JP2009165221A - 摩擦駆動アクチュエータおよびそれを用いるハードディスク装置 - Google Patents

摩擦駆動アクチュエータおよびそれを用いるハードディスク装置 Download PDF

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Shigeaki Tochimoto
茂昭 栃本
Akihiro Oki
昭広 沖
Takashi Matsuo
隆 松尾
Katsuichi Uratani
勝一 浦谷
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Abstract

【課題】HDDの磁気記録ヘッドの駆動などのために用いられる超音波モータにおいて、応答性を向上する。
【解決手段】面内振動を行い、ステータとなる振動体2をロータ13に内包することで、前記振動体2の振動が摩擦接触するロータ13に伝達されて該ロータ13が予め規定された範囲の回転角度内で往復動する超音波モータ10において、略円筒状や有底円筒状に形成される前記ロータ13の周壁を挟んで、振動体2の当接部2g;2h,2iの反対側の位置に重量部11,12を設ける。したがって、ロータ13の軸受けを不要にした構成にできるとともに、前記重量部21,22では、当接部2g;2h,2iで叩かれても、慣性質量が大きいために逃げず、振動体2に励起された楕円振動による推力を効率良く伝達することができ、ロータ13の慣性質量を従来より軽量化しつつ、応答性を向上できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、ハードディスク装置(以下HDD)の磁気記録ヘッド駆動用として好適に用いられ、超音波アクチュエータと称される摩擦駆動アクチュエータおよび前記ハードディスク装置に関する。
前記HDDの磁気記録ヘッド駆動用の超音波アクチュエータには、高精度な位置決め性や高速応答性が要求される。そこで、このような用途に適用できそうな典型的な従来技術が、特許文献1で示されている。図10は、その従来技術による超音波アクチュエータの断面図である。この超音波アクチュエータは、一般的な進行波型回転アクチュエータの典型例であり、円板状の振動体101に貼付けられた圧電素子102で発生された円板の周方向に進行する超音波振動が、ライナー103を介して移動体104(ロータ)に伝搬されることで該移動体104が回転するようになっている。
しかしながら、この従来技術では、移動体104は、ボールベアリングから成る軸受105で位置決めされる。したがって、ボールベアリングはボールと内輪および外輪との間にわずかではあるがガタを有するので、その分、ロータ(移動体104)の位置変動や不要な共振が生じ、高精度化、したがって前記HDDの場合には記録密度の向上に限界がある。また、それらのガタに、ボールベアリングの慣性質量、軸受の摩擦抵抗や軸受潤滑剤の粘性抵抗による軸受負荷が、応答性向上の制約になるという問題もある。詳しくは、HDDの磁気記録ヘッド駆動用の超音波アクチュエータとしての駆動応答性は、アーム部の共振周波数、軸受部の共振周波数、先端に取付けられるサスペンションの共振周波数などによって決定される。HDDのサイズの小型化に伴い、アーム部およびサスペンションの共振周波数は比較的高く設計できるようになっており、このため軸受け部における前記ガタ、慣性質量および軸受負荷が前記応答性の制約になっている。
そこで、このような問題を解決できる他の従来技術として、特許文献2が挙げられる。図11は、その従来技術の微小駆動装置を用いた情報記憶装置の平面図である。この情報記憶装置では、ヘッド・アーム111の基端側に円筒状の部材112を固着し、その部材112の周りに3個以上配置した圧電振動体113が、屈曲と伸縮とを組合わせた運動を行うことで楕円振動を行って前記部材112を回転させ、その部材112を回転軸として前記ヘッド・アーム111を揺動させている。これによって、前記ボールベアリングなどの軸受を用いずに、圧電振動体113のみでヘッド・アーム111の位置決めを行っているので、軸受によるガタがなく、また軸受の慣性および軸受負荷が低減されている。
特開平6−78570号公報 特開2000−224876号公報
一般的にモータの応答性を高めるために、ロータの慣性を小さくするにあたっては、ロータを小径化したり、大径の場合には中空化を行ったりする。しかしながら、前記特許文献2のような超音波モータにおいては、ロータとなる円筒状の部材112を軽量化するために該部材112を薄肉化してしまうと、圧電振動体113の楕円振動による突き動作によって、該部材112が逃げてしまい、圧電振動体113の振動が充分に部材112へ伝達されないという問題がある。
本発明の目的は、面内振動を行う振動体(ステータ)をロータに内包または外包し、前記振動体の振動が摩擦接触するロータに伝達されて該ロータが回転することで、ロータを軸受け不要に支持する摩擦駆動アクチュエータにおいて、ロータの慣性質量を従来より軽量化しつつ、応答性を向上することができる摩擦駆動アクチュエータおよびそれを用いるハードディスク装置を提供することである。
本発明の摩擦駆動アクチュエータは、面内振動を行う振動体と、環状に形成され、その内周面または外周面において前記振動体の当接部が複数箇所で半径方向に当接するロータとを備えて構成され、前記振動体の振動が当接部から摩擦接触しているロータに伝達されて、該ロータが予め規定された範囲の回転角度内で往復動する摩擦駆動アクチュエータにおいて、前記ロータは、該ロータの回転に対して略前記当接部が当接する範囲に、残余の範囲に比べて、単位周長当りの質量を大きくする重量部を備えることを特徴とする。
上記の構成によれば、HDDの磁気記録ヘッド駆動用として好適に用いられ、超音波アクチュエータと称される摩擦駆動アクチュエータにおいて、先ず該摩擦駆動アクチュエータを、面内振動を行い、ステータとなる振動体と、前記振動体を内包または外包するロータとを備えて構成し、前記振動体の振動が摩擦接触するロータに伝達されて該ロータが予め規定された範囲の回転角度内で往復動するようにする。したがって、面内振動を行う振動体をロータの加圧(バイアス)力によって挟み込むことで、該ロータの回転軸方向および軸直角方向への位置決め(センタリング)が共に行われて、該ロータの軸受けを不要にした構成とすることができる。
そして、略円筒状や有底円筒状に形成される前記ロータの周壁において、該ロータの回転に対して略前記当接部が当接する範囲に、残余の範囲に比べて、単位周長当りの質量を大きくする重量部を設ける。したがって、前記重量部では、前記振動体の当接部で叩かれても、慣性質量が大きいためにロータは逃げず、振動体に励起された楕円振動による推力を効率良く伝達することができる。これによって、ロータの慣性質量を従来より軽量化しつつ、同じ電力で、力が大きく、速度の大きいアクチュエータを得ることができる。また、応答性が高く、制御帯域の広いアクチュエータを得ることができる。
好ましくは、前記重量部は、ロータとなるリングが、該重量部となる部分で、厚肉に形成されて成ることを特徴とする。
また好ましくは、前記重量部は、ロータとなるリングに、重りが一体的に固定されて成ることを特徴とする。
さらにまた、好ましくは、前記重量部は、ロータとなるリングが、該重量部となる部分で、比重の重たい材料が使用されて成ることを特徴とする。
また、本発明のハードディスク装置は、前記の摩擦駆動アクチュエータを用い、前記重量部が出力取出し部となって、該重量部にHDDヘッドのヘッド・アームが取付けられることを特徴とする。
上記の構成によれば、薄い板ばねのリングから成るロータで、剛性が上がる前記重量部の部分を出力取出し部として、該重量部にHDDヘッドのヘッド・アームを取付けるので、該ヘッド・アームの取付けにあたって、ロータの慣性質量の増加を抑えることができるハードディスク装置を実現することができる。
本発明の摩擦駆動アクチュエータは、以上のように、HDDの磁気記録ヘッド駆動用として好適に用いられ、超音波アクチュエータと称される摩擦駆動アクチュエータにおいて、該摩擦駆動アクチュエータを、面内振動を行い、ステータとなる振動体と、前記振動体を内包または外包し、内周面または外周面において前記振動体の当接部が複数箇所で半径方向に当接するロータとを備えて構成するとともに、前記ロータを予め規定された範囲の回転角度内で往復動するようにし、該ロータの回転に対して略前記当接部が当接する範囲に、残余の範囲に比べて、単位周長当りの質量を大きくする重量部を設ける。
したがって、ロータの軸受けを不要にした構成とすることができるとともに、前記重量部では、前記振動体の当接部で叩かれても、慣性質量が大きいためにロータは逃げず、振動体に励起された楕円振動による推力を効率良く伝達することができ、ロータの慣性質量を従来より軽量化しつつ、同じ電力で、力が大きく、速度の大きいアクチュエータを得ることができる。また、応答性が高く、制御帯域の広いアクチュエータを得ることができる。
また、本発明のハードディスク装置は、以上のように、前記の摩擦駆動アクチュエータを用い、薄い板ばねのリングから成るロータで、剛性が上がる前記重量部の部分を出力取出し部として、該重量部にHDDヘッドのヘッド・アームを取付ける。
それゆえ、該ヘッド・アームの取付けにあたって、ロータの慣性質量の増加を抑えることができるハードディスク装置を実現することができる。
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の第1の形態に係る摩擦駆動アクチュエータである超音波モータ10の構造を示す図であり、(a)は正面図、(b)は縦断面図である。この超音波モータ10は、大略的に、面内振動を行う振動体2と、前記振動体2を内包するロータ13と、前記振動体2を支持する固定部材4と、前記振動体2から引出されるFPC(フレキシブルプリント基板)5とを備えて構成される。
図2は、前記振動体2を拡大して示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面図、(c)は裏面図である。この振動体2は、矩形のバルク圧電素子2cの正面側に、4分割した対角線線上に一対のA相電極2aとB相電極2bとが貼付けられ、裏面側に共通のGND電極2dが貼付けられ、長手方向両端部にチップ部材2e,2fが設けられ、そのチップ部材2e,2fに実際にロータ13の内周面に当接する当接部2g;2h,2iが設けられて成る。そして、振動体2の中央部に形成された孔2jに固定ねじ6が挿通され、前記固定部材4に螺着されることで該振動体2が固定部材4にねじ止め固定される。
この振動体2は、薄い圧電素子の層を複数積層して構成することで、低電圧化を図ることができる。前記当接部2g;2h,2iは、ロータ13の支持のために3点設けられるけれども、4点以上設けられてもよい。また、振動体2の短手方向に対するロータ13の揺動を別途抑えられる構成が設けられていれば、2個でもよい。前記当接部2g;2h,2iは、アルミナ、ジルコニアなどのセラミックや超硬合金などから成り、前記チップ部材2e,2fとの結合には、接着強度が高く、比較的剛性の高いエポキシ系接着剤などが用いられる。
前記A相電極2a、B相電極2bおよびGND電極2dはFPC5に接続され、図示しない駆動回路から、前記A相電極2aとB相電極2bとに相互に位相の90度ずれた共振周波数の駆動信号が印加されることで、図3(a)で示す縦1次振動モードの振動と、図3(b)で示す屈曲2次振動モードの振動とを励起させ、それらを合成することで、それぞれ同じ方向に回転する高周波の楕円振動が得られるようになっている。この楕円振動が、前記当接部2g;2h、2iで当接しているロータ13に伝搬され、該ロータ13が回転する。前記駆動信号の位相を反転させることで、前記楕円振動の回転方向、すなわちロータ13の回転方向が反転する。前記電極2a,電極2bに与える電圧の大きさを変化することで前記楕円振動の大きが変化し、速度やトルクが変化する。前記バルク圧電素子2cの縦横比、チップ部材2e,2fの重量などを調整することで、前記2つのモードでの共振周波数が略一致されている。
上述のように構成される超音波モータ10において、注目すべきは、本実施の形態では、前記ロータ13は、リング14に、該ロータ3の回転に対して、後述する略前記当接部2g;2h,2iが当接する範囲に、残余の範囲に比べて、単位周長当りの質量を大きくする重量部11,12を備えて構成されることである。本実施の形態では、前記重量部11,12は、ロータ13となるリング14が、該重量部11,12となる部分で、厚肉に形成されて構成される。前記リング14は、前記振動体2の3点の当接部2g;2h,2iに外接している円筒形状の弾性を有するステンレスなどの金属材料から成り、磨耗を防ぐため、その表面には、窒化処理などの硬化処理が施される。或いは、CrNやTiCNなどのセラミックコーティングが行われてもよい。
前記リング14は、振動体2の組み込み前は、その接触部の内径が、振動体2の外径よりも小さく設定されており、これによって振動体2へ組み込まれた状態では、リング14は振動体2によってその直径が拡大する方向へ変形させられており、振動体2のリング14への3箇所の当接部2g;2h,2iには、リング14の弾性変形による弾性力が加圧力として作用している。これら3箇所の当接により、ロータ13は振動体2に対して半径方向の移動をガタなく規制される。さらに、リング14の振動体2との接触部はV字状溝13aが設けられており、振動体2の球状の各当接部2g;2h,2iが嵌まり込むので、ロータ13の回転軸方向および軸倒れ方向の移動も規制される。したがって、従来のボールベアリングなどの軸受と異なり、ラジアル方向、スラスト方向ともに軸受ガタが全くないので、剛性が高く、モータの応答性を向上できる。
また、リング14と振動体2との当接は円周全域においてではなく、上述のように3箇所の限定された部分のみにおいてであるので、リング14には隣り合う当接部の間に振動体2とは当接しない部分が存在する。この非当接部分は振動体2との当接による形状拘束がないので、円周全域が当接する場合に比べて弾性変形が容易である。つまり、ロータ13を当接部によってチャージされ、加圧力を発生するバネとしてみたときのばね定数は、本実施の形態が円周全域を当接させる場合よりも小さい。したがって、加圧力が安定し、駆動力も安定する。
ここで、図4で示すように、ロータ13は、予め規定された範囲の回転角度内で往復動する。図4の例では、前記ロータ13は、中心位置から時計回り、反時計回りにそれぞれθだけ回転することを表しており、その中心位置で前記各当接部2g;2h,2iの中心と回転中心Pとを結ぶ線を参照符号Lg;Lh,Liで示し、各当接部2g;2h,2iのロータ13との当接範囲(稼動範囲)を参照符号Wg;Wh,Wiで示している。近接して2つ設けられる当接部2h、2iでは、そのロータ13との当接する範囲Wh,Wiが角度θ1だけ重なっている。前記角度θは、たとえば30度の範囲であり、後述するHDDのヘッドアームの駆動には充分な回転量である。
このようにロータ13の当接範囲(稼動範囲)Wg;Wh,Wiにだけ厚肉の重量部11,12を設けることで、残余の範囲の質量増加を招くことなく、その重量部11,12では、前記振動体2の当接部2g;2h,2iで叩かれても、慣性質量が大きいためにロータ13は逃げず、振動体2に励起された楕円振動による推力を効率良く伝達することができる。また、前記当接範囲(稼動範囲)Wg;Wh,Wiを外れた近傍にも、前記重量部11,12を延長してもよい。特にロータ13の重心が回転中心とずれないように、複数の当接範囲に差異がある場合は、当接範囲の大きい側に揃えることも有効である。これによって、ロータ13の慣性質量を従来より軽量化しつつ、同じ電力で、力が大きく、速度の大きい超音波モータを得ることができる。また、応答性が高く、制御帯域の広い超音波モータを得ることができる。一方、ロータ13全域を厚肉にすると、該ロータ13のばね定数が大きくなり、わずかな寸法誤差により押圧力が大きく変動してしまうという不具合も発生する。
[実施の形態2]
図5は、本発明の実施の第2の形態に係る摩擦駆動アクチュエータである超音波モータ20の構造を示す図であり、(a)は正面図、(b)は縦断面図である。この超音波モータ20は、前述の超音波モータ10に類似し、対応する部分には同一の参照符号を付して示し、その説明を省略する。注目すべきは、本実施の形態では、ロータ23は、リング24に、重りとなる重量部21,22が一体的に固定されて成ることである。好ましくは、前記重量部21,22は、銅系、鉛、タングステン、ステンレスなどの比重の比較的大きい金属、あるいはタングステン等高比重の金属を分散させた樹脂材料から成る。前記固定には、たとえば前記エポキシ系の接着剤を用いることができる。このようにリング24に重量部21,22を別体とすることで、それぞれに好適な材料を用いることができるとともに、作成し易くなる。
図6は、前記図5で示す超音波モータ20をHDD磁気記録ヘッド15の駆動に応用したHDD装置16の概略構成図である。従来のHDD磁気記録ヘッド駆動アクチュエータの構成としては、前記磁気記録ヘッド15が取付けられたヘッド・アーム17をピボットベアリングで回転支持し、VCM(ボイスコイルモータ)で駆動を行っている。これに対して、本実施の形態では、前記ヘッド・アーム17を前記超音波モータ20で回転支持するとともに、駆動も行う。具体的には、回転駆動されるディスク18の側方に前記超音波モータ20が配置されており、この超音波モータ20において、前述のように剛性を有する前記重量部21,22が出力取出し部となって、前記ヘッド・アーム17の基端部に連結される。
そして、前記ヘッド・アーム17の先端に取付けられたHDD磁気記録ヘッド15が前記回転駆動されるディスク18上を周方向に走行することで、記録内容の書込み、消去、読出し等が可能になり、図示しない制御手段によって該超音波モータ20が駆動され、HDD磁気記録ヘッド15がディスク18の径方向に移動されることでサーチ動作が実現され、所望とする記録位置へ前記書込み、消去、読出し等が行われる。また、そのサーチ動作や、書込み、消去、読出し等の動作時には、トラックNoが管理されており、前記制御手段は、ロータ23が前記当接範囲(稼動範囲)Wg;Wh,Wiを逸脱しないように振動体2を駆動する。さらにまた、電源遮断時に前記ヘッド・アーム17が拘束されるホームポジションなどには、前記ロータ23の前記当接範囲(稼動範囲)Wg;Wh,Wiからの逸脱を機械的に防止するストッパ19が設けられている。
このようなHDDヘッド駆動の場合、高速で回転するディスク18上のトラックのうねりなどに追従しながら位置決め制御を行う必要があり、アクチュエータには、非常に高い応答性と分解能とが要求される。本実施の形態のように超音波モータ20を磁気記録ヘッド15の駆動に使用すると、軸受ガタに軸受慣性や軸受負荷が全くなく、振動体(ステータ)2とロータ23との間の摩擦力をより安定させられるので、高い応答性を得ることができ、記録密度を向上することができる。
また、薄い板ばねのリング24から成るロータ23で、剛性が上がる前記重量部21,22の部分を出力取出し部として、該重量部21,22にHDDヘッドのヘッド・アーム17を取付けるので、軸受けが不要であるとともに、ヘッド・アーム17の取付けにあたって、ロータの慣性質量の増加を抑えることができるハードディスク装置を実現することができる。
なお、上述の例は、出力取出し部となる前記重量部21,22は、ヘッド・アーム17に一体である。しかしながら、重量部21,22の外周にリングを設け、そのリングをヘッド・アーム17の基端部に圧入や接着などで嵌め込むようにすれば、それぞれに別材料を使用することもできる。
ここで、前記重量部21,22には、前述のように質量を大きくする必要があるので、前述のように比重の比較的大きい金属、あるいは高比重の金属を分散させた樹脂材料で構成される。しかしながら、リング24の材料と同一、あるいは共に鉄系材料など類似の材料であると、両者が共に振動し、駆動周波数の帯域によっては不要な共振が発生することがある。このため、たとえばリング24がステンレス系である場合は、重量部21,22を高比重樹脂とすることで、材料の差異により両者の振動特性を大きく異ならせ、仮にリング24が共振を励起しようとしても、両者が密着していれば、高比重樹脂部に制振効果を発揮させることができる。この場合、摩擦駆動アクチュエータの効率がさらに向上することが期待できる。
[実施の形態3]
図7は、本発明の実施の第3の形態に係る摩擦駆動アクチュエータである超音波モータ30の構造を示す図であり、(a)は正面図、(b)は縦断面図である。この超音波モータ20は、前述の超音波モータ20に類似し、対応する部分には同一の参照符号を付して示し、その説明を省略する。注目すべきは、本実施の形態では、振動体2’が正三角形状に形成されることである。具体的には、この振動体2’は、前記正三角形の頂点を削り落とした形状の圧電素子2c’の正面側に、中心(重心)から120°に分割した線上に一対のA相電極2a’とB相電極2b’とが貼付けられ、裏面側に図示しない共通のGND電極が貼付けられ、前記圧電素子2c’の前記削り落とした頂点部分に当接部2g’,2h’,2i’が固着されて成り、振動の節となる中心(重心)位置が前記固定部材4に固定ねじ6で固定される。これに対応して、ロータ33も、前記リング24の周方向に等間隔で、相互に等しい重量部31a,31b,31cを設けて成る。
[実施の形態4]
図8および図9は、本発明の実施の第4の形態に係る摩擦駆動アクチュエータである超音波モータ40,50の構造を示す図であり、(a)は正面図、(b)は縦断面図である。これらの超音波モータ40,50は、前述の超音波モータ10,20,30に類似し、対応する部分には同一の参照符号を付して示し、その説明を省略する。注目すべきは、本実施の形態では、振動体42は、3つに分割され、ロータ43,53を外囲するように、軸直角断面での形状が略三角形状の位置に配置されていることである。前記振動体42は、2本の積層型圧電素子42cを直交配置し、その交点部分に当接部42g,42h,42iが取付けられ、各圧電素子42cの他端側はベース部材46に接着固定された、いわゆるトラス型振動体から成る。このトラス型振動体は、ベース部材46の背面部分でフレーム45に取付けられており、前記2つの圧電素子42cに位相をずらした交流電圧をそれぞれ印加することによる伸縮および屈曲動作によって、前記楕円振動が発生する。このように、本発明では、ロータ43は、振動体2,2’;42に対して、外嵌めと内嵌めとのどちらで設けられてもよい。
図8の超音波モータ40と、図9の超音波モータ50とでは、ロータ43,53が、前記ロータ13,23と同様に、重量部41a,41b,41c;51a,51b,51cが、リング44の厚肉形成であるか、リング54への一体取付けであるかで異なる。また、前記当接部42g,42h,42iが内向きであることから、重量部41a,41b,41c;51a,51b,51cは、リング44,54の内周面に取付けられる。これらの重量部41a,41b,41c;51a,51b,51cによって、ロータ43,53のばね定数を大きくすることなく質量を付加することで、押圧力の安定化を妨げることもない。
前記リング44,54は、振動体42への組み込み前は、その外径が当接部42g,42h,42iの内径より大きく設定されているので、組み込みまれた状態では、ロータ43,53は振動体42によってその直径が縮小する方向へ弾性変形させることになり、ロータ43,53の3箇所の接触部には該ロータ43,53の弾性変形による弾性力が加圧力として作用する。前記各超音波モータ10,20,30と同様に、リング44,54の外周面には、V形状の溝43a,53aが設けられ、球状の前記各当接部42g,42h,42iが嵌まり込むので、ロータ43,53の回転軸方向および軸倒れ方向の移動も規制される。
本発明の実施の第1の形態に係る摩擦駆動アクチュエータである超音波モータの構造を示す図である。 前記摩擦駆動アクチュエータの振動体を拡大して示す図である。 振動体の振動モードを説明するための図である。 ロータの回転範囲を説明するための図である。 本発明の実施の第2の形態に係る摩擦駆動アクチュエータである超音波モータの構造を示す図である。 図5の超音波モータをHDD磁気記録ヘッドの駆動に応用したHDD装置の概略構成図である。 本発明の実施の第3の形態に係る摩擦駆動アクチュエータである超音波モータの構造を示す図である。 本発明の実施の第4の形態に係る摩擦駆動アクチュエータである超音波モータの構造を示す図である。 本発明の実施の第4の形態に係る摩擦駆動アクチュエータである超音波モータの構造を示す図である。 HDDの磁気記録ヘッド駆動用の典型的な従来技術による超音波アクチュエータの断面図である。 他の従来技術の平面図である。
符号の説明
2,2’,42 振動体
2a,2a’ A相電極
2b,2b’ B相電極
2c,2c’,42c 圧電素子
2d GND電極
2g;2h,2i;2g’,2h’,2i’;42g,42h,42i 当接部
4 固定部材
5 FPC
6 固定ねじ
10,20,30,40,50 超音波モータ
11,12;21,22;31a,31b,31c 重量部
13,23,33,43,53 ロータ
14,24,44,54 リング
15 HDD磁気記録ヘッド
16 HDD装置
17 ヘッド・アーム
18 ディスク
19 ストッパ
41a,41b,41c;51a,51b,51c 重量部
45 フレーム
46 ベース部材
Wg;Wh,Wi 当接範囲(稼動範囲)

Claims (5)

  1. 面内振動を行う振動体と、環状に形成され、その内周面または外周面において前記振動体の当接部が複数箇所で半径方向に当接するロータとを備えて構成され、前記振動体の振動が当接部から摩擦接触しているロータに伝達されて、該ロータが予め規定された範囲の回転角度内で往復動する摩擦駆動アクチュエータにおいて、
    前記ロータは、該ロータの回転に対して略前記当接部が当接する範囲に、残余の範囲に比べて、単位周長当りの質量を大きくする重量部を備えることを特徴とする摩擦駆動アクチュエータ。
  2. 前記重量部は、ロータとなるリングが、該重量部となる部分で、厚肉に形成されて成ることを特徴とする請求項1記載の摩擦駆動アクチュエータ。
  3. 前記重量部は、ロータとなるリングに、重りが一体的に固定されて成ることを特徴とする請求項1記載の摩擦駆動アクチュエータ。
  4. 前記重量部は、ロータとなるリングが、該重量部となる部分で、比重の重たい材料が使用されて成ることを特徴とする請求項1記載の摩擦駆動アクチュエータ。
  5. 前記請求項1〜6のいずれか1項に記載の摩擦駆動アクチュエータを用い、前記重量部が出力取出し部となって、該重量部にHDDヘッドのヘッド・アームが取付けられることを特徴とするハードディスク装置。
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