JP2009164700A - 電子ビューファインダおよび電子ビューファインダを有する光学機器 - Google Patents

電子ビューファインダおよび電子ビューファインダを有する光学機器 Download PDF

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Abstract

【課題】視度調整機構を備えた電子ビューファインダおよびこれを備えた光学機器を提供する。
【解決手段】表示面を有する表示素子14と、前記表示面の像を拡大する接眼レンズ16と、前記表示素子14を前記接眼レンズ16の光軸方向に対する位置が変化するように移動させる表示素子移動手段40,44とを有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子ビューファインダおよび電子ビューファインダを有する光学機器に関し、より詳細には、見え方を調整できる電子ビューファインダおよびこれを備えた光学機器に関する。
カメラ等の光学機器の多くには、当該光学機器を介して対象物を観察することができるように、ファインダ装置が備えられている。このようなファインダ装置としては、対象物からの光を観察者の目に直接導く光学ファインダや、観察用の表示素子(液晶パネル、EL素子など)を有する電子ビューファインダが知られている。
一方で、これらのファインダ装置の中には、対象物やファインダ内の表示等の見え方を調整するための視度調整機構を備えたものが存在する。観察者の目は、個々人で水晶体の屈折力が異なり、また同一人物であっても体調等によって屈折力が変動する。視度調整機構は、対象物やファインダ内の表示等の見え方を調整し、観察者が対象物やファインダ内の表示等を見やすくするための機構である。
従来技術に係る視度調整機構としては、例えば接眼レンズを移動させるものが知られている(特許文献1参照)。このような従来技術は、カメラ等の筐体の背面部付近に設置される接眼レンズを、光軸に沿って移動させるため、接眼レンズ部が筐体の背面部から飛び出た形となり、カメラ等の外観に係るデザイン自由度を損なっていた。
特に、一眼レフカメラに係るファインダ装置では、撮影レンズと接眼レンズとが、ファインダスクリーン近傍にある1つの共役面を共有しているため、当該共役面を移動させることが極めて難しい。したがって、このようなファインダ装置に搭載される視度調整機構では、接眼レンズを光軸に沿って移動させる構成を回避することが難しく、これを搭載するカメラの設計の自由度が損なわれ、小型化にも問題が生じていた。
特開2002−90857号公報
本発明は、このような実情に鑑みてなされ、その目的は、見え方を調整できる電子ビューファインダおよびこれを備えた光学機器を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明に係る電子ビューファインダ(20)は、
表示面を有する表示素子(14)と、
前記表示面の像を拡大する接眼レンズ(16)と、
前記表示素子(14)を、前記接眼レンズ(16)の光軸方向に対する位置が変化するように移動させる表示素子移動手段(40,44)とを有することを特徴とする。
また、例えば、前記表示素子移動手段(40)は、前記接眼レンズ(16)の光軸(J)に沿って前記表示素子(14)を移動させてもよい。
また、例えば、前記表示素子移動手段(44)は、前記接眼レンズ(16)の光軸(J)に対して所定の角度を有する軸を中心にして前記表示素子(14)を回動させてもよい。
また、例えば、前記軸は、前記接眼レンズの光軸に対して略垂直であり、前記表示素子内を通っていてもよい。
また、例えば、本発明に係る電子ビューファインダ(20)は、
前記接眼レンズ(16)に対して前記表示素子(14)側から所定のパターン像を投射する投射光学系(57)と、
前記接眼レンズ(16)側から前記表示素子(14)へ向かう光を検出する受光部(52)と、
前記受光部(52)で検出した前記光に基づく信号を用いて、前記表示素子移動手段(40,44)を制御する制御部(32,36)とを有していてもよい。
また、例えば、前記投射光学系(57)と前記受光部(52)は、前記表示素子(14)と前記接眼レンズ(16)との間に配置されていてもよい。
また、例えば、本発明に係る電子ビューファインダ(20)は、
前記接眼レンズ(16)を観察者(22)が覗いている状態において、
前記投射パターン像を構成する投射光は、前記観察者(22)の網膜(22d)に反射された後に、
前記受光部(52)によって検出されてもよい。
また、例えば、前記表示素子移動手段(40,44)は、前記受光部(52)からの前記信号を用いて認識される認識パターン像の大きさと、前記投射パターン像の大きさとの比較に基づき、前記接眼レンズ(16)の光軸(J)に沿って前記表示素子(14)を移動させてもよい。
また、例えば、前記表示素子移動手段(40,44)は、前記受光部(52)からの前記信号を用いて認識される認識パターン像の形状が前記投射パターン像の形状に対して有する歪みに基づき、前記接眼レンズ(16)の光軸(J)に対して所定の角度を有する軸を中心にして前記表示素子(14)を回動させてもよい。
本発明に係る光学機器は、上記いずれかに記載された電子ビューファインダ(20)を有する。
なお上述の説明では、本発明をわかりやすく説明するために実施形態を示す図面の符号に対応づけて説明したが、本発明は、これに限定されるものでない。後述の実施形態の構成を適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替させてもよい。さらに、その配置について特に限定のない構成要件は、実施形態で開示した配置に限らず、その機能を達成できる位置に配置することができる。
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る電子ビューファインダを搭載したカメラ全体を模式的に示した概略断面図、
図2は、図1の電子ビューファインダの表示素子の移動手段を模式的に表した拡大図、
図3は、図1に示すカメラでの視度調整動作の一例を説明するためのフローチャート、
図4は、図1の電子ビューファインダの表示素子および接眼レンズと、観察者の位置関係を表した模式図、
図5は、観察者の目の屈折力の違いと共役点の変動の関係を表した模式図、
図6は、図1に示すカメラでの視度調整動作を説明するためのブロック図、
図7は、図1に示すカメラでの視度調整動作の他の一例を説明するためのフローチャート、
図8は、視度調整動作時に観察者の網膜に写る像を表す模式図、
図9は、本発明の第2実施形態に係る電子ビューファインダを搭載したカメラの概略断面図、
図10は、図9の電子ビューファインダの作用を示す模式図、
図11は、図9に示すカメラでの視度調整動作を説明するためのブロック図、
図12は、図1に示すカメラでの視度調整動作の一例を説明するためのフローチャートである。
第1実施形態
図1は、本発明の第1実施形態に係る電子ビューファインダ20を搭載したカメラ2全体を模式的に示した概略断面図である。図1に示すように、カメラ2は、筐体4を有し、筐体4の前面には、撮影レンズ群6を備えるレンズ鏡筒8が備え付けられている。筐体4の背面には、背面液晶パネル12および電子ビューファインダ20の覗き窓18が形成されている。
筐体4の内部には、撮像レンズ群6の光軸Iの延長上に、シャッタ9および撮像素子10が配置されている。また、覗き窓18の近傍の筐体4内部側には、接眼レンズ16が配置されており、さらに、接眼レンズ16の光軸Jの延長上には、表示素子14が移動可能に備えられている。本実施形態に係る電子ビューファインダ20は、接眼レンズ16、表示素子14、覗き窓18に加え、不図示の表示素子駆動部を有している。
本実施形態のカメラ2では、撮像レンズ群6によって撮像素子10表面に結像される被写体像に係る電子データが、図1には図示しない表示素子画像表示制御部30およびファインダ総合制御部32を介して、表示素子14に送られる。表示素子14は接眼レンズ16と対向する面に接眼レンズ16の光軸Jと略垂直な表示面を有し、撮像素子10の撮像面に結像される被写体像もしくは被写体像に対して間引き処理等の電子処理を施した像を、その表示面にほぼリアルタイムに表示することができる。表示素子14としては、例えば液晶パネルやEVパネル等を用いることができるが、被写体像等を表示できるのであれば特に限定されない。なお、実施形態の説明では、電子ビューファインダ20をカメラ2に適用した例によって説明を行うが、電子ビューファインダ20を他の光学機器に適用しても良い。
覗き窓18からファインダ20を覗いている観察者22は、接眼レンズ16によって拡大された表示素子14の表示面の像を視認することができるので、表示素子14の表示を介して、撮像素子10に結像されている被写体像を観察することができる。
本実施形態に係るファインダ20は、接眼レンズ16の光軸Jに沿った方向(図1の矢印αで示す方向)に表示素子14を移動させることができる。また、本実施形態に係るファインダ20は、接眼レンズ16の光軸Jに対して直交し、表示素子14の中心付近を通り紙面に垂直な方向に延びる軸を中心にして、矢印β方向に表示素子14を回動させることができる。
図2(a)は、図1の表示素子14の概略拡大図であり、図2(b)は、光軸Jを通りY軸に垂直な断面における図2(a)の断面図である。図2(b)に示すように、表示素子14には、当該素子14の両側面に形成された一対の回転軸42が固定されており、当該回転軸42と係合する保持枠38によって、回動可能に保持されている。一対の前記回転軸42のうち、一方の回動軸42には、カメラ2の筐体4外部に設置された不図示の第2調整つまみと関連して回転可能な第2駆動シャフト44が接続されている。図1の観察者22が、不図示の第2調整つまみを動かすと、第2駆動シャフト44が、矢印β方向に回動し、表示素子14表面の法線方向を、光軸Jに対して傾けさせる(図2(a))。
また、保持枠42は、カメラ2の筐体4によって、矢印αで示す方向に移動可能に支持されている第1駆動シャフト40に接続されている。第1駆動シャフト40は、筐体4に設置された不図示の第1調整つまみと関連していている。したがって、図1の観察者22は、不図示の第1調整つまみを動かすことによって、第1駆動シャフト40を矢印α方向に移動させ、表示素子14を図4に示す接眼レンズ16の光軸Jに沿って移動させることができる。
以上のように構成される第1駆動シャフト40および第2駆動シャフト44は、図4に示すように、接眼レンズ16の光軸Jに対する位置が変化するように、表示素子14を移動させることができる。さらに、観察者22は、駆動シャフト40,44に関連して設置されている調整つまみを動かすことによって、表示素子14を、光軸Jに沿う矢印α方向もしくは光軸Jと直交する軸を中心とする矢印β方向に移動させることができる。このように、ファインダ22を観察する観察者22は、表示素子14を動かすことができるため、表示素子14の表示の見え方を、観察者22にとってより好適な状態に調整することができる。
以下図3〜図8を用いて、本実施形態のファインダ20による視度調整方法について説明する。図3は、図1に示すカメラ2での視度調整動作の一例を説明したフローチャートである。視度調整を行う場合、まず観察者22は、ファインダ20を覗くことによって、接眼レンズ16を通して表示素子14を見る(ステップS001)。
図6のブロック図に示すように、表示素子14には、撮像素子10によって取得された被写体像の電子データが、表示素子画像表示制御部30において間引き処理等の適切な処理を受けた後、ファインダ総合制御部32を介して送られる。また、表示素子14は、ファインダ総合制御部32からの信号により、被写体像の他に、オートフォーカス表示や、バッテリ残量表示等を行うことができる。したがって、観察者22は、表示素子14によって表示されている被写体像や各種表示を見ながら視度調整を行うことができる。
次に、観察者22は、接眼レンズ16を通して見ている表示素子14に対して、焦点が合っているかを確認する(ステップS002)。
図5は、観察者22の目と、接眼レンズ16および表示素子14の光学的な位置関係を表している。図5(a)に示す状態では、表示素子14表面から発せられた光が、接眼レンズ16を通過した後、観察者22の角膜22a、水晶体22bおよび硝子体22cを通過して網膜22dで合焦している。言い換えると、図5(a)に示す状態は、表示素子14の表示面と網膜22dが光学的に共役な関係にあるため、観察者22は、多くの場合、表示素子14に対して焦点が合っていると認識する。
表示素子14に対して焦点が合っていると認識した場合、観察者22は、表示素子14を移動させることなく、視度調整を終了する。
それに対して、例えば図5(b)に示す状態では、観察者22の網膜22dと光学的共役関係にある位置P1が、表示素子14の表示面に対して、接眼レンズ16の光軸Jに沿って観察者22から遠ざかる方向(Z軸負方向)にずれている。また、例えば図5(c)に示す状態では、観察者22の網膜22dと光学的に共役な関係にある位置P1が、表示素子14の表示面に対して、接眼レンズ16の光軸Jに沿って観察者22に近接する方向(Z軸正方向)にずれている。
このようなずれは、主として観察者22の水晶体22bの屈折力の違いに関係して発生する。水晶体22bの屈折力は、各個人の目ごとに異なり、また同一観察者22であっても、体調等によって異なる場合がある。図5(b)もしくは図5(c)に示す状態にある場合、観察者22は、表示素子14に対して焦点が合っていない(暈けている)と認識する。
表示素子14に対して焦点が合っていない場合、撮影者22は、図6に示す表示素子駆動部34を手動で動かし、表示素子14を光軸Jに沿って移動させる。図3のステップS003では、表示素子駆動部34のうち、図2に示す第1駆動シャフト40およびこれと関連する第1調整つまみ(不図示)を使用する。すなわち、撮影者22は、筐体4外部に配置された第1調整つまみを移動させることによって、第1駆動シャフト40を介して、矢印α方向に表示素子14を移動させる。
第1駆動シャフト40および第1調整つまみによって、表示素子14を移動させる移動距離d(mm)と、当該移動による視度変化量ΔD(ディオプター)との関係は、接眼レンズ16の焦点距離f(mm)を用いて以下の式で表される。
ΔD=(1000/f )×d
表示素子14を矢印α方向に移動させ得る最大移動距離dmaxとしては、特に限定されないが、ΔDの絶対値が2以上となるようにdmaxの値を設定することが、観察者の視度のばらつき範囲をカバーする上で好ましい。
図5(b)もしくは図5(c)に示す状態にある場合、観察者22は、表示素子14の表示面と共役点P1が一致するように、表示素子14を光軸Jに沿って移動させることが好ましい。ただし、観察者22は、共役点P1が、表示素子14の表示面に対して、観察者22から遠ざかる方向(Z負方向)にあるのか(図5(b))、観察者22に近づく方向(Z正方向)にあるのか(図5(c))判断できない場合がある。その場合、観察者22は、表示素子14を矢印α方向に往復移動させることによって、表示素子14をいずれの方向に移動させるべきかを知ることができる。
表示素子14を矢印α方向に移動させながら、もしくは、移動させた後に、観察者22は、表示素子14に対して焦点が合っているか否かを確認し(ステップS0004)、焦点が合っていれば視度調整動作を終了する。
しかしながら、表示素子14を光軸Jに沿って矢印α方向に移動させた後も、観察者22は、表示素子18に対して焦点が合っていないと認識する場合がある。例えば、表示素子14の垂直方向(Y方向)における中央部分では焦点が合っているものの、表示素子14の垂直方向(Y方向)における端部付近では焦点が合っておらず、表示素子14全体として焦点が合っていないと認識する場合がある。
このような場合、本実施形態に係るファインダ20では、図4に示すように、表示素子14を光軸Jと垂直な軸を中心とする矢印β方向に回動させることができる。表示素子14を回動させる際の中心軸としては、光軸Jと垂直な軸であればよいが、光軸Jと直交する軸が好ましく、光軸Jと直交し、かつ表示素子14表示面を水平方向(X方向)に延びる軸がさらに好ましい。表示素子14を回転させる際に、光軸Jからの表示素子14のずれを抑制できるからである。
表示素子14を光軸Jと垂直な軸を中心とする矢印β方向に回動させながら、もしくは、移動させた後に、観察者22は、表示素子14に対して焦点が合っているか否かを確認し(S0006)、焦点が合っていれば視度調整を終了する。表示素子14を回動させた後でも焦点が合っていない場合は、観察者22は、ステップS0003に戻って視度調整を行っても良く、また、そのまま視度調整を終了させてもよい。
なお、本願明細書において、「焦点が合っている」とは、網膜22dと、例えば表示素子14表面の所定の点とが、光学的にほぼ共役な関係にあることを意味するが、さらに詳しくは、網膜22dに対して、表示素子14の表示面全体が共役点近傍の一定範囲内にあり、観察者22が表示素子14の表示を適切に読み取ることができる(所定値以上の分解能で視認できる)状態にあることを意味する。
以上のように、本発明の第1実施形態に係るファインダ20は、観察者22が、表示素子14を、表示素子駆動部34によって、光軸J方向に対する位置が変化するように移動させることができる。したがって、観察者22は、最も見えやすい状態になるように、好ましくは表示素子14に対して焦点が合うように、視度調整を行うことができる。
さらに、本発明の第1実施形態に係るファインダ20は、表示素子14を光軸Jに対して所定の角度を有する軸を中心に回動することができるため、例えば表示素子の垂直方向の一部で焦点が合わないような場合であっても、観察者22にとって、表示素子14がさらに見えやすい状態になるように、視度調整を行うことができる。
本発明の第1実施形態に係るファインダ20は、表示素子14を移動させて視度調整を行うため、筐体4の背面部付近に設置される接眼レンズ16を、視度調整のために移動させる必要がない。したがって、カメラ等の外観に係るデザイン自由度を大きくなり、ファインダ20を搭載するカメラの小型化にも貢献できる
図7は、本発明の第1実施形態に係るファインダ20を搭載したカメラ2による視度調整動作の他の一例を表したフローチャートである。観察者22が、ファインダ20を覗き、表示素子14に対して焦点が合っているかを確認するまでは、図3に示した場合と同じである(ステップS101〜S102)。
表示素子14に対して焦点が合っていない場合、図7に示す例では、観察者22はカメラ2の筐体4外部表面に配置された不図示の視度調整用画像表示ボタンを押す(ステップS103)。視度調整用画像表示ボタンが押されると、図6に示すファインダ総合制御部32は、表示素子14に、焦点が合っているか否かの判断を容易にするための視度調整用画像50を表示させる(ステップS104)。
図8(a)および(b)は、ファインダ20を覗いている観察者22が、視度調整用画像50を表示している表示素子14を見た際に、観察者22の網膜22dに結像される像の例を表したものである。本実施形態における視度調整用画像50は、図8(a)に示すように、互いに直交し、シャープなエッジを有する十字線50aであるが、視度調整用画像50としてはこれに限られず、観察者22にとって焦点が合っているか否かを判断し易い画像であればなんでも良い。
表示素子14に対して焦点が合っていない場合において、観察者22の網膜22dに結像される視度調整用画像50の像は、図8(b)に示すように十字線50aのエッジが暈けている。この場合、観察者22は、図3のステップS003と同様に、筐体4外部に配置された第1調整つまみを移動させることによって、第1駆動シャフト40を介して、図4の矢印α方向に表示素子14を移動させる(ステップS105)。
表示素子14を矢印α方向に移動させた後に、もしくは移動させながら、観察者22は、表示素子14に対して焦点が合っているか否かを確認する(ステップS106)。このとき、観察者22の網膜22dに結像される視度調整用画像50の像が、図8(a)に示すように、十字線50aのエッジがシャープな状態に変化している場合は、観察者22は、表示素子14に対して焦点が合っていると認識する。焦点が合っていると認識した場合、観察者22は、筐体4の外部表面に配置された不図示の視度補正完了ボタンを押す(ステップS109)。視度補正完了ボタンが押されると、図6に示すファインダ総合制御部32は、表示素子14の表示を、視度調整用画像50から、被写体像等に変更し、視度補正動作を終了する。
これに対して、図4に示す矢印α方向に表示素子14を移動させた後にも、観察者22の網膜22dに結像される視度調整用画像50の像が、図8(a)に示すような焦点が合っている状態にならない場合がある。このときは、図3のステップS005と同様に、観察者22は、表示素子14を、図4の矢印β方向に移動させることができる(ステップS107)。
そして、表示素子14を図4に示す矢印β方向に移動させた後に、もしくは移動させながら、観察者22は、表示素子14に対して焦点が合っているか否かを確認する(ステップS108)。このとき、観察者22の網膜22dに結像される視度調整用画像50の像が、図8(a)に示すような焦点が合っている状態になっていれば、視度完了補正ボタンを押して(ステップS109)、視度調整動作を終了する。表示素子14を回動させた後でも焦点が合っていない場合は、観察者22は、ステップS105に戻って再度視度調整を行っても良く、また、そのまま視度補正完了補正ボタンを押して(ステップS109)視度調整動作を終了させてもよい。
本発明の第1実施形態に係るファインダ20は、観察者22が選択することにより、表示素子14に視度調整用画像50を表示させることができる。したがって、観察者22は、焦点が合っているか否かの判断を容易に行うことができ、より正確に、または容易に視度調整を行うことができる。
第2実施形態
図9は、本発明の第2実施形態に係る電子ビューファインダ20を搭載したカメラ2全体を模式的に示した概略断面図である。第2実施形態に係る電子ビューファインダ20は、表示素子14、接眼レンズ16等に加え、受光部52、投射部54等をさらに有する。
また、第2実施形態に係る電子ビューファインダ20では、接眼レンズ16の光軸Jに沿って、表示素子14と接眼レンズ16との間に、第1ハーフミラー52aおよび第2ハーフミラー54aが配置されている。図10に示すように、第2ハーフミラー54aは、光軸Jと直交する所定方向(Y軸負方向)の光を、接眼レンズ16側へ反射するため、投射部54による投射パターン像は、観察者22の網膜22dに投射される。また、第2ハーフミラー54aは、光軸Jに沿う方向(Z軸正負方向)の光は透過する。それに対し第1ハーフミラー52aは、光軸Jに沿って表示素子14に向かう方向(Z軸負方向)の光を反射し、観察者22の網膜22dで反射された光を受光部52に導くことができる。また、第1ハーフミラー52aは、光軸Jに沿って接眼レンズ16に向かう方向(Z軸正方向)の光は透過する。
投射部54は、LED等で構成される光源56と、投射パターン像の形状を決定するマスク57と、投射レンズ58とを有する。光源56からの光は、マスク57に形成されたスリットよって、正円形のリング形状の投射パターン像を形成し、投射レンズ58を透過した後に、第2ハーフミラー54aによって接眼レンズ16方向に反射される。なお、投射パターン像の形状としては、特に限定されないが、大きさおよび形状(歪み)の変化が比較しやすいリング形状とすることが好ましい
投射パターン像を構成する光源56の光は、接眼レンズ16を透過して観察者22の目に入射し、網膜22dで反射され、再び接眼レンズ16方向に出射される。さらに、前記光源56の光は、接眼レンズ16および第2ハーフミラー54aを透過した後、第1ハーフミラー52aによって反射され、受光部52に到達する。受光部52は、例えばCCDセンサ等によって構成されており、到達した前記光源56の光が形成する像を読み取ることができる。
なお、図示していないが、第2実施形態に係る表示素子14では、図2に示す第1駆動シャフト40および第2駆動シャフト44は、筐体4内に設置された不図示のモータ等によって駆動される。当該モータ等および駆動シャフト40,44を含む表示素子駆動装置制御部36は、図11に示すように、ファインダ総合制御部32からの指令によって動作させられる。
図10に示す投射部54および必要に応じてその駆動手段(不図示)等からなる視度調整用パターン投影部60と、受光部52および必要に応じてその駆動手段(不図示)等からなる視度調整用パターン検出部62とは、図11に示すように、ファインダ総合制御部32からの指令によって動作させられる。
図12は、図9に示すカメラ2での視度調整動作の一例を説明したフローチャートである。視度調整を行う時、図10または図11に示す視度調整用パターン投影部60の光源56は、ファインダ総合制御部32からの指示を受けて発光し、網膜22d上にマスク57によって形成される視度調整用パターン像を投射する(ステップS201)。本願の第2実施形態に係るファインダ20では、図10に示すように、視度調整用パターン像として正円形のリングパターンを用いている。
ステップS201〜S203が実行される際、図10に示すマスク57および受光部52は、観察者22のファインダ20を覗いている目が、所定の視度を有すると仮定した上で、網膜22dと光学的に共役な関係に配置されている。この場合における所定の視度としては、特に限定されないが、カメラ2によって前回測定された値や、想定されるユーザーの平均的な視度の値などを用いることができる。なお、本実施形態における表示素子14も、受光部52と同様に、観察者22のファインダ20を覗いている目が、所定の視度を有すると仮定した上で、網膜22dと光学的に共役な関係に配置されている。
投射パターン像を形成する光は、網膜22dで反射された後、受光部52によって検出される(ステップS202)。受光部52によって読み取られた認識パターン像は、図11に示すファインダ総合制御部32を介して、カメラ2内に備えられた視度調整補正量解析部64に送られ、視度ずれ情報の解析が行われる(ステップS203)。
視度ずれ情報の解析は、図10に示すマスク57によって決定される投射パターン像の形状および大きさと、受光部52によって読み取られた認識パターン像の形状および大きさを比較することによって行われる。観察者22のファインダ20を覗いている目が有する現実の視度と、視度調整前にファインダ20が仮定していた所定の視度とが一致する場合は、網膜22dと、マスク57および受光部52は、光学的に共役な関係にある。さらに、乱視等の影響がなければ、受光部52によって読み取られた認識パターン像は、投射パターン像に対して相似形状であり、その相似比も各レンズ18,58および仮定していた視度から算出される所定の値となる。
受光部52によって読み取られた像の形状および大きさと、投射パターン像を基に上記の手法で予想される像の形状および大きさとの差異が、所定のしきい値以下である場合、視度調整補正量解析部64は、焦点が合っていると判断する(ステップS204)。さらに、図11に示す視度調整補正量解析部64が、その情報をファインダ総合制御部32にフィードバックした後、視度補正動作は終了する。
なお、ファインダ総合制御部32は、焦点が合っている状態における表示素子14の位置情報を、カメラ内のメモリ(不図示)に記録しても良い。この場合、観察者22は、過去に視度補正を行った際に算出された表示素子14の位置情報を呼び出し、表示素子14を適切な位置に移動させることができる。
これに対して、受光部52によって読み取られた像の形状および大きさと、投射パターン像を基に、前記所定の視度等から算出される像の形状および大きさとの差異が、所定のしきい値以上であった場合、視度調整補正量解析部64は、焦点が合っていないと判断する(ステップS204)。この場合、視度調整補正量解析部64は、受光部52によって読み取られた像の大きさと、投射パターン像を基に、前記所定の視度等から算出される像の大きさとの差異から、光軸J方向の視度ずれによる補正移動量を算出する(ステップS205)。
算出された補正移動量は、図11に示す視度調整補正量解析部64からファインダ総合制御部32へと送られ、ファインダ総合制御部32は、当該補正移動量に基づき、表示素子駆動装置制御部36に指令を出す(ステップS205)。表示素子駆動装置制御部36は、図2に示す第1駆動シャフト40に接続されたモータ等を駆動させ、算出された移動量に相当するだけ、光軸Jに沿って表示素子14を移動させる(ステップS207)。この際、解析された視度ずれ量に応じて、マスク57および受光部57の位置も、表示素子14に連動して移動させられる。ただし、マスク57または受光器52の光学的位置は固定されていてもよく、その場合は、焦点が合っているか否かの判断において、所定の補正を行えばよい。
表示素子14等を移動させた後、受光器52によって認識パターン像を再度読み取り、ステップ204と同様にして、焦点があっているか否かを判断する(ステップS208)。視度調整補正量解析部64の解析によって、焦点があっていると判断された場合は、解析結果をファインダ総合制御部32にフィードバックして補正動作が終了する。
それに対して、視度調整補正量解析部64の解析によって、焦点があっていないと判断された場合は、さらに視度調整を続ける。当該視度調整補正量解析部64は、受光部52によって読み取られた像が有する正円形状からのひずみを基に、表示素子14を、光軸Jに直交する軸を中心とするβ方向へ回動させる回動量を算出する(ステップS209)。算出された回動量は、図11に示す視度調整補正量解析部64からファインダ総合制御部32へと送られ、ファインダ総合制御部32は、当該補正移動量に基づき、表示素子駆動装置制御部36に指令を出す(ステップS210)。表示素子駆動装置制御部36は、図2に示す第2駆動シャフト44に接続されたモータ等を駆動させ、算出された回動量に相当するだけ、表示素子14を移動させる(ステップS211)。
表示素子14等を移動させた後、受光器52によって認識パターン像を再度読み取り、ステップ204または208と同様にして、焦点があっているか否かを判断する(ステップS212)。視度調整補正量解析部64の解析結果によって、焦点があっていると判断された場合は、解析結果をファインダ総合制御部32にフィードバックして補正動作が終了する。
表示素子14を回動させた後でも焦点が合っていない場合は、ファインダ20は、ステップS205に戻って再度視度調整を行う。ただし、S205〜S212までの一連の視度補正動作を、すでに連続して複数回行っている場合は、そのまま視度調整動作を終了させる(ステップS213)。
本願の第2実施形態に係るファインダ20は、第1実施形態に係るファインダ20が有する効果に加えて、以下の効果を奏する。
本願第2実施形態に係るファインダ20を搭載したカメラ2は、投射部54、受光部52およびこれらを制御するファインダ総合制御部32等を有するため、視度補正動作を自動で行うことができる。さらに、視度補正を自動でおこなうことができるため、カメラ2を操作する観察者22の技能にかかわらず、精度良く視度補正を行うことができる。したがって当該カメラ2の観察者は、好適なファインダ像を得ることができる。
また、本願第2実施形態に係るファインダ20の受光部は、前記表示素子14と、前記接眼レンズ16との間に配置されるため、表示素子14と光学的に共役な関係とすることができうえに、ファインダ20を小型化できる。さらに、本願第2実施形態に係るファインダ20は、受光部52によって読み取られた像の大きさと、所定の視度等から予想される像の大きさとの差異から、視度補正に係る表示素子14の移動量を算出するため、自動で表示素子14の表示に対して焦点を合わせることができる。
本願第2実施形態に係るファインダ20の受光部は、受光部52によって読み取られた像が投射パターン像の形状に対して有するひずみを基に、表示素子14を、光軸Jに直交するβ方向へ回動させるため、乱視等の影響がある場合にでも、当該表示素子14に対して焦点を合わせることができる。
図1は、本発明の第1実施形態に係る電子ビューファインダを搭載したカメラ全体を模式的に示した概略断面図である。 図2は、図1の電子ビューファインダの表示素子の移動手段を模式的に表した拡大図である。 図3は、図1に示すカメラでの視度調整動作の一例を説明するためのフローチャートである。 図4は、図1の電子ビューファインダの表示素子および接眼レンズと、観察者の位置関係を表した模式図である。 図5は、観察者の目の屈折力の違いと共役点の変動の関係を表した模式図である。 図6は、図1に示すカメラでの視度調整動作を説明するためのブロック図である。 図7は、図1に示すカメラでの視度調整動作の他の一例を説明するためのフローチャートである。 図8は、視度調整動作時に観察者の網膜に写る像を表す模式図である。 図9は、本発明の第2実施形態に係る電子ビューファインダを搭載したカメラの概略断面図である。 図10は、図9の電子ビューファインダの構成部品の位置関係を示す模式図である。 図11は、図9に示すカメラでの視度調整動作を説明するためのブロック図である。 図12は、図1に示すカメラでの視度調整動作の一例を説明するためのフローチャートである。
符号の説明
4… 筐体
10… 撮像素子
14… 表示素子
18… 接眼レンズ
22… 観察者
22d… 網膜
52… 受光部
54… 投射部

Claims (10)

  1. 表示面を有する表示素子と、
    前記表示面の像を拡大する接眼レンズと、
    前記表示素子を、前記接眼レンズの光軸方向に対する位置が変化するように移動させる表示素子移動手段とを有することを特徴とする電子ビューファインダ。
  2. 前記表示素子移動手段は、前記接眼レンズの光軸に沿って前記表示素子を移動させることを特徴とする請求項1に記載の電子ビューファインダ。
  3. 前記表示素子移動手段は、前記接眼レンズの光軸に対して所定の角度を有する軸を中心にして前記表示素子を回動させることを特徴とする請求項2に記載の電子ビューファインダ。
  4. 前記軸は、前記接眼レンズの光軸に対して略垂直であり、前記表示素子内を通ることを特徴とする請求項3に記載の電子ビューファインダ。
  5. 前記接眼レンズに対して前記表示素子側から所定のパターン像を投射する投射光学系と、
    前記接眼レンズ側から前記表示素子へ向かう光を検出する受光部と、
    前記受光部で検出した前記光に基づく信号を用いて、前記表示素子移動手段を制御する制御部とを有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の電子ビューファインダ。
  6. 前記投射光学系と前記受光部は、前記表示素子と前記接眼レンズとの間に配置されることを特徴とする請求項5に記載の電子ビューファインダ。
  7. 前記接眼レンズを観察者が覗いている状態において、
    前記投射パターン像を構成する投射光は、前記観察者の網膜に反射された後に、
    前記受光部によって検出されることを特徴とする請求項5または6に記載の電子ビューファインダ。
  8. 前記表示素子移動手段は、前記受光部からの前記信号を用いて認識される認識パターン像の大きさと、前記投射パターン像の大きさとの比較に基づき、前記接眼レンズの光軸に沿って前記表示素子を移動させることを特徴とする請求項5から7のいずれかに記載の電子ビューファインダ。
  9. 前記表示素子移動手段は、前記受光部からの前記信号を用いて認識される認識パターン像の形状が前記投射パターン像の形状に対して有する歪みに基づき、前記接眼レンズの光軸に対して所定の角度を有する軸を中心にして前記表示素子を回動させることを特徴とする請求項5から8のいずれかに記載の電子ビューファインダ。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載された電子ビューファインダを有する光学機器。
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