JP2009164313A - 電極パターン形成方法及び圧電アクチュエータの製造方法 - Google Patents

電極パターン形成方法及び圧電アクチュエータの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】エアロゾルデポジション法により形成された薄膜上に、所望の電極パターンを形成するに際して、簡便な手法で、薄膜と電極パターンとの十分な密着性を確保することが可能な方法を提供する。
【解決手段】エアロゾルデポジション法で形成された膜上に電極パターンを形成するための方法であって、表面に膜が形成された基材を準備する工程と、転写材の上に電極パターンを形成する工程と、前記電極パターン上に接着剤層を設ける工程と、前記膜と前記接着剤層とを対向させて、前記基材と前記転写材とを熱圧着する工程と、前記基材から前記転写材を剥離する工程と、前記膜上に残留した接着剤を、前記基材の加熱によって分解除去する工程と、を含む。好ましくは、前記膜は圧電材料を含む圧電材料膜であり、前記加熱工程において、前記接着剤の分解除去と同時に、前記膜の圧電特性を向上させるためのアニールを行う。
【選択図】図1

Description

本発明は、エアロゾルデポジション法によって形成された薄膜上に電極パターンを形成するための方法、及びこの方法を利用した圧電アクチュエータの製造方法に関する。
インクジェットプリンタ等に用いられる圧電アクチュエータにおける圧電膜を形成する方法として、エアロゾルデポジション法が注目されている。エアロゾルデポジション法は、気体中にセラミックス微粒子を分散してなるエアロゾルをノズルから噴射し、高速で基板表面に吹き付けることによって、当該基板上で微粒子を粉砕し堆積させてセラミックス薄膜を形成するものである。当該方法は、基板表面へのセラミックス微粒子の衝突で発生する局所的な衝撃エネルギーが開放することに起因したメカノケミカル反応の誘起によって起こる常温衝撃固化現象を利用しており、粒子衝突時の衝撃力を膜形成時の反応エネルギーとして作用させる成膜技術である。この成膜方法は常温で実施されるものであり、従来のセラミックス薄膜形成法において実施されていた1000℃以上での焼結プロセスを不要とする。そのため、寸法精度を考慮した薄膜設計を行う必要がなくなり、また、微粒子の破砕によって極めて緻密なナノ結晶組織を形成することができる。
圧電アクチュエータにおいては、エアロゾルデポジション法により形成された圧電膜に対して電圧を印可することができるよう、当該圧電膜の上に電極パターンが形成される。この形成方法としては、まず圧電膜の全域に導電膜を形成した後、フォトリソグラフィ・エッチング法を利用して所定のパターンを形成する方法や、圧電膜の上面に直接スクリーン印刷により形成する方法が提案されている(例えば特許文献1を参照)。
特開2007−88449号公報
しかしながら、エアロゾルデポジション法により形成された薄膜は表面荒れが比較的大きい膜であるため、その上に電極パターンを直接積層すると電極の被覆性(カバレジ性)が低くなる傾向があった。さらに、エアロゾルデポジション法に由来する微粒子が薄膜に付着しており、これを十分に除去することは困難であった。
これらの理由から、エアロゾルデポジション法により形成された薄膜の上に電極パターンを形成すると、形成された電極パターンの十分な密着性を確保できないという問題があった。密着性が十分でないと、微細な電極パターンを所望の形状で正確に形成することができず、圧電アクチュエータの圧電特性や、歩留りが低下する恐れがある。
そこで本発明は、エアロゾルデポジション法により形成された薄膜上に、所望の電極パターンを形成するに際して、簡便な手法で、薄膜と電極パターンとの十分な密着性を確保することが可能な方法を提供することを目的とする。
本発明に係る電極パターンの形成方法は、基材に対してエアロゾル流を吹き付けることにより成膜をするエアロゾルデポジション法で形成された膜上に電極パターンを形成するための方法であって、エアロゾルデポジション法により表面に膜が形成された基材を準備する準備工程と、転写材の上に電極パターンを形成する電極形成工程と、前記電極パターン上に接着剤層を設ける接着剤層設置工程と、前記膜と前記接着剤層とを対向させて、前記基材と前記転写材とを熱圧着する熱圧着工程と、前記基材から前記転写材を剥離する剥離工程と、前記膜上に残留した接着剤を、前記基材の加熱によって分解除去する加熱工程と、を含む。
本発明によると、転写材上に電極パターンを別途形成し、これを、エアロゾルデポジション法により形成された膜上に熱転写することによって、当該膜に関する表面荒れや付着微粒子の問題を回避して、簡便な手法で、薄膜と電極パターンとの十分な密着性を確保することが可能になる。
また、前記熱転写に際しては接着剤を使用するが、転写材を基材から剥離した後に加熱工程を実施することによって、当該接着剤を簡便に、かつ効率よく除去することができる。
本発明においては、前記膜は圧電材料を含む圧電材料膜であり、前記加熱工程において、前記接着剤の分解除去と同時に、前記膜の圧電特性を向上させるためのアニールを行うことが好ましい。
ここで、エアロゾルデポジション法は、吹き付けられた微粒子が基材に衝突して粉砕しつつ付着するものであるため、衝突による粒子の微細化、格子欠陥の発生等のために、形成される薄膜そのままでは、圧電特性が十分なレベルに達しない。このため、必要な圧電特性を達成するために、成膜後にアニール処理を施す必要がある。
アニール処理とは、エアロゾルデポジション法により形成された薄膜を加熱することであり、これによって薄膜表面の結晶粒の成長や、格子欠陥の修正を達成し、薄膜の圧電特性等を向上させることができる。
前記の好ましい態様によると、アニール処理を別途行う必要がなくなり、アニール処理と接着剤の分解除去とを一手順で同時に行うことができるので、圧電アクチュエータの製造に関わる工程数を削減することが可能になる。
本発明においては、前記加熱工程における加熱温度が750℃以上であることが好ましい。
この温度範囲では、前記接着剤の分解除去をより効率よく行うことができるとともに、圧電材料膜の比誘電率を高めることができる。また、この温度範囲では、前述した薄膜のアニール処理についても同時に、効率よく行うことができる。
本発明に係る電極パターン形成方法は圧電アクチュエータの製造に適用することができる。すなわち、本発明の一実施形態に係る圧電アクチュエータの製造方法は、基板と、その基板上に形成された圧電材料膜と、その圧電材料膜に電圧を印加するための電極パターンとを有する圧電アクチュエータの製造方法であって、基板に対して圧電材料の粉体のエアロゾル流を吹き付けることにより、前記圧電材料膜を成膜する圧電材料膜形成工程と、転写材の上に前記電極パターンを形成する電極形成工程と、前記電極パターン上に接着剤層を設ける接着剤層設置工程と、前記圧電材料膜と前記接着剤層とを対向させて、前記基板と前記転写材とを熱圧着する熱圧着工程と、前記基板から前記転写材を剥離する剥離工程と、前記接着剤を分解除去しつつ前記圧電材料膜の圧電特性を向上させるように、前記電極パターンが形成された前記基板を加熱する加熱工程と、を含む。
当該実施形態における圧電材料膜形成工程は、前記の基材準備工程に相当する。
本発明の具体的な一態様によると、本発明によって製造される圧電アクチュエータは、振動板上に、拡散防止層、下部電極層、圧電材料膜、上部電極層が積層されたものである。この場合、本発明における「基板」とは、振動板上に、拡散防止層と下部電極層とが積層されたもののことを指し、本発明に係る製造方法は当該「基板」に対して圧電材料膜と上部電極層とを順次形成するためのものである。
この実施形態によると、優れた圧電特性を有する圧電アクチュエータを製造することが可能になり、また、圧電アクチュエータの歩留りを向上させることができる。
本発明によると、エアロゾルデポジション法により形成された薄膜上に、所望の電極パターンを形成するに際して、簡便な手法で、薄膜と電極パターンとの十分な密着性を確保することが可能になる。これによって、圧電アクチュエータを製造した場合には、その圧電特性や歩留りを向上させることができる。
以下では、本発明の実施形態を具体的に説明する。
図1では、本発明に係る電極パターン形成方法を実施するための工程図を示している。これに沿って以下を説明する。
(1)基材準備工程
101は基材準備工程である。本工程では、エアロゾルデポジション法により表面に薄膜が形成された基材を準備する。すなわち、基材に対してエアロゾル流を吹き付けるエアロゾルデポジション法により、基材の表面に薄膜を形成する。
エアロゾルデポジション法とは、上述のとおり、セラミックス等の微粒子粉体をキャリアガスに分散してなるエアロゾルをノズルから噴射することによって、エアロゾル流を高速で基材表面に吹き付けることによって薄膜を形成する成膜方法である。
図5は、本発明の実施形態におけるエアロゾルデポジション法に基づいた成膜装置を概略的に示した図である。この成膜装置は、キャリアガスに微粒子を分散させてエアロゾルを発生させるためのエアロゾル生成器11と、内部で成膜を実施するためのチャンバ12とを備えている。
エアロゾル生成器11には所定量の微粒子粉体が収納されており、キャリアガスが導入される。エアロゾル生成器11では、キャリアガス導入の際に巻き上げガスを発生させ、さらに下部から超音波加振装置を用いた振動を加えることによって、キャリアガスに微粒子粉体を分散させて、エアロゾルを発生させる。前記キャリアガスとしては、例えば、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスや、窒素、空気、酸素等を使用することができる。
エアロゾル生成器11の上部にはエアロゾル供給管13の一端が挿入されている。エアロゾル供給管13の他端はチャンバ12の内部に配置され、噴射ノズル14が接続されている。
チャンバ12には、メカニカルブースターポンプとロータリーポンプ等が接続されており、チャンバ12の内部を減圧できるように構成されている。これによって、チャンバ12の内圧がエアロゾル生成器11の内圧と比較して負圧に保たれるので、その差圧によって、エアロゾル生成器11内で発生したエアロゾルがエアロゾル供給管13に吸い込まれ、これを通過して噴射ノズル14に搬送される。
噴射ノズル14の内部の空洞は、内部を進行するに従い横断面積が減少していくような形状を有しているので、噴射ノズル14の導入開口から噴射ノズル14の内部に進入したエアロゾルは、加速がされたうえで、噴射ノズル14の射出開口から、エアロゾル流15として高速で基板17に吹き付けられる。基板17の表面に衝突した微粒子は破砕し、堆積することによって、薄膜が形成される。
チャンバ12の内部には、噴射ノズル14の射出開口の上方に、基板17を下面に取り付けるための基板ホルダー16が配置されている。基板ホルダー16は矩形板状のものであり、駆動手段たる駆動装置18によって水平姿勢でチャンバ12の天井からつり下げられている。駆動装置18は、基板ホルダー16を、図5での左右方向に駆動するように構成されている。この左右方向での往復運動によって、基板17に対する走査成膜が行われる。この走査成膜によって、基板17の所定の広範な範囲に薄膜が形成される。
成膜対象物である基材としては、代表的にはステンレス製の基板が挙げられるが、これに限定されず、例えば、他の金属、シリコン、半導体、樹脂等からなる基板でもあってよい。また、これらの材料からなるシートのうえに、アルミナやジルコニア等のセラミックスからなる薄膜を形成したものを、基材として使用することもできる。本発明の一実施形態に係る圧電アクチュエータの製造方法においては、成膜対象物である基材は、振動板上に、拡散防止層と下部電極とが積層されたもののことを指す。好適な態様によると、振動板はステンレス製の基板であり、拡散防止層は別途エアロゾルデポジション法により成膜されたアルミナ又はジルコニアの薄膜であり、下部電極はスパッタ法により形成されたTi/Ptからなる電極層である。
なお、基板には予め位置決め穴を形成しておくとよい。
前記微粒子を構成する材料、すなわちエアロゾルデポジション法により形成される薄膜の材料としては、代表的にはチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)が挙げられる。チタン酸ジルコン酸鉛は通常数μm程度の膜厚で所望の圧電効果を達成する圧電材料として知られている。しかし微粒子を構成する材料としてはこれに限定されず、例えば、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、マグネシウムニオブ酸鉛(PMN)、ニッケルニオブ酸鉛(PNN)、亜鉛ニオブ酸鉛等のセラミックスや、有機樹脂等であってもよい。
微粒子の粒径は、エアロゾルデポジション法に使用可能な粒径であればよく、例えば、0.5μm〜5.0μm程度のものでよい。
エアロゾルデポジション法により形成される薄膜の膜厚は通常、数μm〜数十μm程度である。
本工程で準備するエアロゾルデポジション法により表面に膜が形成された基材は、エアロゾルデポジション法を実施した後、アニール処理を経たものを使用してもよい。しかしながら後の加熱工程でアニール処理も同時に行うことができるので、アニール処理を経ていないものを使用することもできる。
アニール処理を行う場合には、例えば500〜1000℃程度で数分〜1時間程度の加熱を行えばよい。
(2)電極形成工程
102は電極形成工程である。本工程では、転写材の上に電極パターンを形成する。
前記転写材の表面は、後述する接着剤層に対して強固な接着性を発揮しないよう、接着材層との界面が平滑になるように構成されている。転写材としてはフィルム状のものを好ましく使用することができ、通常、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂フィルム、紙、布、不織布、金属箔、又はこれらのラミネート体等からなる適当な薄葉体を用いることができる。当該転写材は、取扱いを容易にするため、その裏面を、台紙フィルムによって保持することが好ましい。
転写材の上に電極パターンを形成するには、例えば、電極材料を含むペーストを用いて転写材に対してスクリーン印刷を行えばよい。スクリーン印刷法はエアロゾルデポジション法と同様、非クリーンルーム環境で実施できるため簡便に実施することができる。この場合、電極パターンと共に、位置決めパターンを印刷しておくと便宜である。電極材料としては、例えば、Au、Pt等の金属や金属酸化物が挙げられる。スクリーン印刷後は、約120℃程度で仮乾燥しておくことが好ましい。
(3)接着剤層設置工程
103は接着剤層設置工程である。本工程では、前記転写材の上に形成されている前記電極パターン上に接着剤層を設ける。
この工程で使用する接着剤としては、エアロゾルデポジション法により形成された薄膜上への電極パターンの熱転写を可能にし、かつ後の加熱工程での十分な分解除去をすることができる接着剤を選択すればよい。分解除去が容易であるため、有機系の接着剤が好ましく、例えば、市販のエポキシ系接着剤を使用することができる。
接着剤層を設けるには、接着剤を、必要に応じて有機溶剤により希釈したうえで、転写材の表面に形成された電極パターン上に全面的に塗布をすればよい。その後、必要に応じて乾燥を行う。
(4)熱圧着工程
104は熱圧着工程である。本工程では、前記膜と前記接着剤層とを対向させて、前記基材と前記転写材とを熱圧着する。
図2では、前記膜と前記接着剤層とを対向させている状態を示している。すなわち、図2の上部では、台紙フィルム1の表面に、転写材たる剥離フィルム2が形成されており、その上に電極パターン3が形成されている。電極パターン3の上に、これを被覆するように、さらに接着剤層4が設けられている。一方、図2の下部では、基板6の表面に、エアロゾルデポジション法により薄膜5が形成されている。この接着剤層4と薄膜5とを対向させた状態で、薄膜5が成膜された基板6と、接着剤層4と電極パターン3が設けられた剥離フィルム2とを重ね合わせた後、熱圧着を行う。なお、熱圧着を行う以前に、台紙フィルム1は引き剥がしておく。
熱圧着を行う際の温度や圧力は使用する接着剤の種類や、薄膜の材料等によって調整することができるが、例えば接着剤がエポキシ系接着剤であり、薄膜がPZT膜である場合には、温度としては約180℃程度、圧力としては約5MPa程度を適用すればよい。具体的には、基板6を固定しておき、剥離フィルム2の上部から、所定の温度に調整した熱板を所定の圧力でプレスし、所定時間(例えば1時間程度)のあいだ仮固定をする。なお、熱板と剥離フィルム2とのあいだに、フッ素樹脂シートを介在させることによって、熱板に剥離フィルム2が接着するのを防止することができる。
前記の重ね合わせに際しては、基板6に形成された位置決め穴61と、剥離フィルム2の上に形成された位置決めパターン41とによって位置合わせをすることにより、所望の位置に電極パターンを設置することが可能になる。位置決めは、ピン決め等を用いた機械的アライメントや、画像認識等による光学的アライメントによって行うことができる。
(5)剥離工程
105は剥離工程である。この工程では、熱圧着を行った後に、前記基材から前記転写材を剥離する。
熱圧着工程の後、適当な温度に冷却して、前記基板6から前記剥離フィルム2を剥離する。剥離フィルム2は表面が平滑であるので、エアロゾルデポジション法により形成され表面粗れが大きい薄膜5と比較すると、接着剤層4との密着力が弱い。したがって、基板6から剥離フィルム2を剥離すると、剥離フィルム2は接着剤層4から良好に剥離し、エアロゾルデポジション法により形成された薄膜5の上に電極パターン3が転写されることになる。これと同時に、接着剤層4も薄膜5の上に残留することになるが、接着剤層4のすべてが薄膜5の上に残留する場合に限られず、一部は剥離フィルム2とともに除去される場合もある。
接着剤層4が薄膜5の上に残留している状態を図3に示す。なお、図3では、電極パターン3が薄膜5の表面に接触して積層しているように図示しているが、電極パターン3と薄膜5とのあいだに、接着剤層4が存在している場合もあり得る。
(6)加熱工程
106は加熱工程である。この工程では、前記膜上に残留した接着剤を、前記基材の加熱によって分解除去する。
電極パターン3が転写された基板6を加熱することによって、先の工程で薄膜5の上に残留した接着剤層4を分解して、簡便かつ効率よく除去する。この加熱工程においては、例えば、マッフル炉等の加熱炉を使用すればよい。この際の加熱温度は、使用した接着剤が分解して揮発できるように調整すればよい。このためには、少なくとも約400℃以上の加熱が好ましい。接着剤の分解除去をより効率よく行うことができるとともに、圧電材料膜の比誘電率を高めることも可能になるので、約750℃以上の加熱温度がより好ましく、例えば、850℃程度の加熱温度を採用することができる。加熱時間としては数分〜1時間程度であり、例えば30分程度でよい。
薄膜5が圧電材料を含む圧電材料膜である場合には、この工程で薄膜5のアニール処理も同時に実施して薄膜5の結晶粒を成長させて圧電特性を向上させるようにすると、圧電アクチュエータの製造に関わる工程数を削減することができ好ましい。
この工程によって、エアロゾルデポジション法により基板6上に成膜された薄膜5の上に、微細な電極パターン3が形成された積層体を製造することができる。この積層体を図4に示す。こうして得られた積層体は、薄膜5がエアロゾルデポジション法により形成されており表面荒れが大きいものであるにも関わらず、薄膜5と電極パターン3との密着性が十分なレベルに達している。したがって、従来の電極パターン形成方法よりも優れた圧電特性を有する圧電アクチュエータを製造することが可能になり、また、圧電アクチュエータの歩留りの低下を抑制することができる。
以下に実施例を掲げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
(1)基材準備工程
評価用SUS基板:15mm×35mm×0.4mmを準備した。SUS基板には、位置決め穴が形成されている。
当該SUS基板に対して、上述した実施形態に基づくエアロゾルデポジション法に基づいた成膜装置にて、拡散防止層としてZrO膜を約2μm厚で形成した。ZrO膜が形成された基板に対して1分間の超音波洗浄を行い、付着した粉体を除去した後、乾燥した。
ZrO膜の表面に、スパッタ装置にて、下部電極としてTi(0.05μm)/Pt(0.5μm)層を形成した。マッフル炉を用いて、応力開放アニール:500℃×30minを行った。
下部電極の表面に、上記と同じ成膜装置にて、圧電層であるPZT膜を約5μm厚で形成した。エアブローにて付着した粉体を除去した。
マッフル炉を用いて、結晶成長アニール:850℃×30minアニールを行った。
(2)電極形成工程
片面全体が台紙フィルムによって保持されたPET(ポリエチレンテレフタレート)製の剥離フィルムを準備した。
剥離フィルムの平滑な表面に対して、Auペーストを用いたスクリーン印刷を行い、配線パターン及び位置決めパターンを形成した後、約120℃で仮乾燥した。この段階でのAu膜は熱処理が不足しているため、フィラー等が介在しており、膜中に隙間が多数存在する。
(3)接着剤層設置工程
前記工程で形成されたAu膜の上に、エポキシ系接着剤を全面的に塗布し、乾燥した。
(4)熱圧着工程
剥離フィルムから台紙フィルムを引き剥がした後、電極パターンが形成された剥離フィルムの位置決めパターンとSUS基板の位置決め穴で位置合わせをしながら、接着剤層とPZT膜とを対向させた状態で剥離フィルムとSUS基板とを重ね合わせた。
ホットプレス機を用いて、加圧条件:180℃×60min、5MPaにて剥離フィルムとSUS基板を仮固定した。ただし、プレス機の熱板と剥離フィルムは、両者が接着しないよう、両者間にフッ素樹脂シートを介在させた。
(5)剥離工程
加圧した後、SUS基板から剥離フィルムを引き剥がした。
(6)加熱工程
Au膜からなる電極パターンが転写されたSUS基板に対して、マッフル炉にて転写アニール:550℃×30minを行い、SUS基板上に残存した接着剤を分解除去した。この接着剤は約400℃にて分解除去される。これによって、PZT膜上に上部電極であるAu膜が形成された圧電アクチュエータを製造した。
(実施例2)
前記(6)加熱工程における転写アニールの条件を650℃×30minに変更したこと以外は、実施例1と同様にして圧電アクチュエータを製造した。
(実施例3)
前記(6)加熱工程における転写アニールの条件を750℃×30minに変更したこと以外は、実施例1と同様にして圧電アクチュエータを製造した。
(実施例4)
前記(6)加熱工程における転写アニールの条件を850℃×30minに変更したこと以外は、実施例1と同様にして圧電アクチュエータを製造した。
(実施例5)
前記(1)基材準備工程において最後の結晶成長アニールを行わずに、アズデポジットな状態にあるPZT膜を用いて実施例1を再現した。ただし、前記(6)加熱工程におけるアニール条件を850℃×30minに変更することによって、接着剤の分解除去とともに、圧電膜の結晶成長を同一工程にて行った。これによって、圧電アクチュエータを製造した。
(比較例1)
実施例1における(1)基材準備工程を再現した後、得られたPZT膜の表面に、スパッタ装置にて、メタルマスクを介して上部電極となるAu膜(0.2μm)を形成した。これによって、比較対象たる圧電アクチュエータを製造した。
(性能評価)
実施例1〜5及び比較例1で製造した圧電アクチュエータについて、インピーダンスアナライザを用いて、比誘電率と誘電損失を測定した。その結果を、図6に示す。
実施例1〜4は基材準備工程でPZT膜の結晶成長アニールを充分に行っており、最後の加熱工程では接着剤の分解除去のみを目的とした処理を行っているが、図6より、加熱工程の温度が高まるにつれて、比誘電率が向上していることが分かる。特に加熱温度が750℃以上の場合に良好な結果が得られた。
実施例5は基材準備工程でPZT膜の結晶成長アニールを行わずに、最後の加熱工程で接着剤の分解除去とPZT膜の結晶成長アニールの双方を行ったものであり、比較例1は電極パターンは本発明の熱転写法ではなく従来のスパッタ法で行ったものである。両者は比誘電率が同等であり、誘電損失については実施例5が若干低く、電気的な接合も良好であることが判明した。
本発明に係る電極パターン形成方法を実施するための工程図 熱圧着の前に、膜と接着剤層とを対向させている状態を示す概念図 熱圧着が完了し、転写材を剥離した後の状態を示す概念図 加熱によって接着剤を分解除去した後の状態を示す概念図 エアロゾルデポジション法に基づいた成膜装置を示す概略図 実施例1〜5及び比較例1で製造した圧電アクチュエータについて比誘電率と誘電損失を測定した結果を示すグラフ
符号の説明
1 台紙フィルム
2 剥離フィルム
3 電極パターン
4 接着剤層
5 エアロゾルデポジション法により形成された薄膜
6 基板
41 位置決めパターン
61 位置決め穴
11 エアロゾル生成器
12 チャンバ
13 エアロゾル供給管
14 噴射ノズル
15 エアロゾル流
16 基板ホルダー
17 基板
18 駆動装置

Claims (4)

  1. 基材に対してエアロゾル流を吹き付けることにより成膜をするエアロゾルデポジション法で形成された膜上に電極パターンを形成するための方法であって、
    エアロゾルデポジション法により表面に膜が形成された基材を準備する準備工程と、
    転写材の上に電極パターンを形成する電極形成工程と、
    前記電極パターン上に接着剤層を設ける接着剤層設置工程と、
    前記膜と前記接着剤層とを対向させて、前記基材と前記転写材とを熱圧着する熱圧着工程と、
    前記基材から前記転写材を剥離する剥離工程と、
    前記膜上に残留した接着剤を、前記基材の加熱によって分解除去する加熱工程と、を含む、電極パターン形成方法。
  2. 前記膜は圧電材料を含む圧電材料膜であり、
    前記加熱工程において、前記接着剤の分解除去と同時に、前記膜の圧電特性を向上させるためのアニールを行う、請求項1記載の電極パターン形成方法。
  3. 前記加熱工程における加熱温度が750℃以上である、請求項1又は2記載の電極パターン形成方法。
  4. 基板と、その基板上に形成された圧電材料膜と、その圧電材料膜に電圧を印加するための電極パターンとを有する圧電アクチュエータの製造方法であって、
    基板に対して圧電材料の粉体のエアロゾル流を吹き付けることにより、前記圧電材料膜を成膜する圧電材料膜形成工程と、
    転写材の上に前記電極パターンを形成する電極形成工程と、
    前記電極パターン上に接着剤層を設ける接着剤層設置工程と、
    前記圧電材料膜と前記接着剤層とを対向させて、前記基板と前記転写材とを熱圧着する熱圧着工程と、
    前記基板から前記転写材を剥離する剥離工程と、
    前記接着剤を分解除去しつつ前記圧電材料膜の圧電特性を向上させるように、前記電極パターンが形成された前記基板を加熱する加熱工程と、
    を含む圧電アクチュエータの製造方法。
JP2007341552A 2007-12-29 2007-12-29 電極パターン形成方法及び圧電アクチュエータの製造方法 Pending JP2009164313A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011071467A (ja) * 2009-08-28 2011-04-07 Panasonic Electric Works Co Ltd 強誘電体デバイスの製造方法

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