JP5051996B2 - 圧電/電歪膜保持体、圧電/電歪膜型素子及びそれらの製造方法 - Google Patents

圧電/電歪膜保持体、圧電/電歪膜型素子及びそれらの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、圧電/電歪膜及びその製造方法、圧電/電歪膜型素子及びその製造方法並びに圧電/電歪膜型素子に関する。
従来より、圧電/電歪膜型素子は、その素子材料を1000℃以上の高温で焼成する必要があるため、下部電極や素子を一体化させる基板として前記膜形成温度に耐え得る材料を用いることが必要とされている。このため、微細加工の困難なセラミックス基板や、高価なプラチナなど電極材料に限定されている。
こうしたことから基板材料等の選択の自由度を向上させるため種々の検討が行われている。例えば、圧電/電歪膜の焼成温度の低温化、高温で予め焼成した圧電/電歪自立膜の基板への接着等のほか、サファイア基板上の高温プロセスで圧電/電歪膜を付着状態で形成した後、付着状態のまま圧電/電歪膜をガラス基板などに接合し、その後圧電/電歪膜とサファイア基板との界面をレーザ等で破壊してサファイア基板を分離する方法(特許文献1)が試みられている。
特開2004−260176
しかしながら、低温焼成で十分な特性を有する圧電/電歪膜は得られておらず、圧電/電歪自立膜は膜の強度やハンドリング性上の問題から素子に必要なパターニングが困難であった、また、サファイア基板を利用する方法は、レーザーによる処理が必要である点及びレーザ−照射による破壊相の生成が特性の低下を招く点が問題となっていた。このように、現状において、圧電/電歪膜型素子を基板の材料選択の自由度、生産性及び圧電/電歪膜型素子特性を充足する圧電/電歪膜並びに圧電/電歪膜型素子の製造方法は見出されていない。
そこで、本発明の圧電/電歪膜及び圧電/電歪膜型素子並びにこれらの製造方法は、圧電/電歪膜型素子の基板材料の選択自由度を高めることを一つの目的とする。また、本発明の圧電/電歪膜及び圧電/電歪膜型素子並びにこれらの製造方法は、圧電/電歪膜型素子の基板材料の選択自由度を高めるとともにその生産性を向上させることを他の一つの目的とする。さらに、本発明の圧電/電歪膜及び圧電/電歪膜型素子並びにこれらの製造方法は、圧電/電歪膜型素子の基板材料の選択の自由度を高めるとともに特性の良好な圧電/電歪膜型素子を生産することを他の一つの目的とする。
本発明者らは、上記した課題の少なくとも一つを解決するものとして、以下の手段を採った。すなわち、本発明によれば、以下の手段が提供される。
本発明によれば、固相担体上に保持される圧電/電歪膜であって、前記固相担体上に不完全に結合する所定パターンの不完全結合領域と、該不完全結合領域を分離可能に前記固相担体表面に結合する結合領域と、を備えている、圧電/電歪膜が提供される。
本圧電/電歪膜においては、前記結合領域は、前記圧電/電歪膜の周縁部分を含むことができる。また、前記結合領域は、前記不完全結合領域とは形態、組成及び結晶構造のいずれか1種以上において異なる異相を有していてもよい。また、この態様において、前記異相は、前記圧電/電歪材料の組成において少なくとも一つの金属元素の含有量が他の部位よりも低い相であってもよく、前記金属元素は、鉛、ビスマス、カリウム及びバナジウムからなる群から選択される1種又は2種以上とすることができる。また、前記結合領域は、前記不完全結合領域よりも膜厚が小さい領域を含むことができる。
本圧電/電歪膜においては、前記不完全結合領域は、前記固相担体表面に対して未結合であるかあるいは前記結合領域よりも低い強度で前記固相担体表面に結合している領域とすることができる。また、本圧電/電歪膜は、膜厚が5μm以下の前記結合領域を有することができるし、膜厚が2μm以上の前記不完全結合領域を有することができる。さらに、前記圧電/電歪膜を所定のパターンで前記固相担体上に複数個備えられていてもよい。さらにまた、前記圧電/電歪膜は、鉛含有セラミックス材料を含んで構成されていてもよいし、前記固相担体は、ジルコニア含有セラミックス材料を含んで構成されていてもよい。
本圧電/電歪膜は中央部分が端部よりも膜厚が大きい断面形状を有することができるし、前記圧電/電歪膜の最大厚みは5μm以上100μm以下とすることができる。
また、本発明によれば、圧電/電歪膜の製造方法であって、固相担体上の圧電/電歪材料層を焼成して圧電/電歪膜を形成する工程を備え、前記圧電/電歪膜は、前記固相担体上に不完全に結合する所定パターンの不完全結合領域と、該不完全結合領域を分離可能に前記固相担体表面に結合する結合領域と、を備えている、製造方法が提供される。
本製造方法においては、前記圧電/電歪材料層は、前記固相担体表面に圧電/電歪材料を供給して形成することができる。また、前記圧電/電歪材料層は、前記圧電/電歪膜の前記結合領域に対応する領域に、前記圧電/電歪膜の前記不完全結合領域に対応する領域よりも層厚の小さい部分を有していてもよい。さらに、前記圧電/電歪材料層は、鉛含有セラミックス材料を含んで構成されていてもよいし、前記固相担体は、ジルコニア含有セラミックス材料を含んで構成されていてもよい。
本製造方法においては、前記圧電/電歪材料層は中央部分が端部よりも膜厚が大きい断面形状を有することができる。また、前記圧電/電歪材料層の最大層厚は5μm以上200μm以下とすることができる。さらに、前記圧電/電歪材料層は、印刷により形成されていてもよい。
本製造方法においては、前記焼成工程は、前記圧電/電歪材料層の前記圧電/電歪膜の前記結合領域に対応する領域では前記圧電/電歪材料に含有される金属元素の蒸発を促進し、前記不完全結合領域に対応する領域では前記金属元素の蒸発を抑制するように前記圧電/電歪材料層を焼成する工程とすることができる。また、前記金属元素は、鉛、ビスマス、カリウム及びバナジウムからなる群から選択される1種又は2種以上とすることができる。また、本製造方法における前記焼成工程は、前記圧電/電歪材料層を1000℃以上1400℃以下で焼成する工程とすることができる。さらに、本製造方法は、形成した前記圧電/電歪膜を前記基板表面から剥離する工程を備えることができる。
本発明によれば、上記いずれかの製造方法によって得られる、圧電/電歪膜も提供される。
本発明によれば、圧電/電歪膜を基板上に作動可能に備える圧電/電歪膜型素子であって、固相担体上に保持される圧電/電歪膜であって、前記固相担体上に不完全に結合する所定パターンの不完全結合領域と、該不完全結合領域を分離可能に前記固相担体表面に結合する結合領域と、を備える圧電/電歪膜の前記不完全結合領域を前記圧電/電歪膜として備える、圧電/電歪膜型素子が提供される。
本発明によれば、圧電/電歪膜型素子の製造方法であって、固相担体上に保持される圧電/電歪膜であって前記固相担体上に不完全に結合する所定パターンの不完全結合領域と該不完全結合領域を分離可能に前記固相担体表面に結合する結合領域とを備える圧電/電歪膜を準備する準備工程と、前記圧電/電歪膜を用いて基板に対する前記不完全結合領域の接合及び分離により前記圧電/電歪膜型素子を形成する圧電/電歪膜型素子形成工程と、を備える、製造方法が提供される。
本製造方法においては、前記圧電/電歪膜型素子形成工程は、前記固相担体の前記圧電/電歪膜を導電性層を介して基板に接合し、前記不完全結合領域を前記固相担体から分離することを含む工程としてもよいし、前記固相担体の前記圧電/電歪膜を導電性層を介することなく別の固相担体に接合し、前記不完全結合領域を前記固相担体から分離し、次いで、前記不完全結合領域の露出された表面を導電性層を介して基板に接合し、前記不完全結合領域を前記他の固相担体から分離することを含む工程としてもよい。
本製造方法における前記圧電/電歪膜型素子形成工程は、1個又は2個以上の前記圧電/電歪膜の不完全結合領域を前記基板に転写することを含む工程としてもよい。また、前記圧電/電歪膜型素子は、2個以上の前記不完全結合領域が、所定のパターンで前記基板上に備えることができる。さらに、前記圧電/電歪材料層は、鉛含有セラミックス材料を含むことができる。さらに、前記準備工程は、上記いずれかに記載の圧電/電歪膜形成工程を実施する工程とすることができる。
本発明によれば、上記いずれかに記載の圧電/電歪膜型素子の製造方法によって得られる、圧電/電歪膜型素子も提供される。
本発明の固相担体上に保持される圧電/電歪膜は、前記固相担体上に不完全に結合する所定パターンの不完全結合領域と該不完全結合領域を分離可能に前記固相担体表面に結合する結合領域とを備えている。
本発明の圧電/電歪膜によれば、結合領域によって圧電/電歪膜を固相担体表面に結合させた状態を維持させることもできるし、圧電/電歪膜における、結合領域と不完全結合領域の境界付近に何らかのエネルギー(たとえば応力)を付与して、結合領域と不完全結合領域を分離させることにより不完全結合領域である所定パターンの圧電/電歪膜を基板表面から分離させることもできる。このような圧電/電歪膜の固相担体への結合状態を利用すれば、圧電/電歪膜を固相担体上に結合させたままその不完全結合領域を他の固相担体に接合することができ、さらに、不完全結合領域と他の固相担体との接合強度を、結合領域を介した不完全結合領域と固相担体表面との結合強度を上回るようにすることで、圧電/電歪膜を他の固相担体に接合させたまま当初の固相担体を圧電/電歪膜から分離させることができる。
すなわち、こうした圧電/電歪膜によれば、所望のパターンの圧電/電歪膜を接着剤などにより所望の材料の基板に接合させて圧電/電歪膜型素子を形成することができる。したがって、本発明の圧電/電歪膜によれば、所望のパターンの圧電/電歪膜を所望の配置で所望の基板上に一体化することできる。したがって、本発明の圧電/電歪膜を用いることにより、基板材料を選択する自由度が向上し、各種材料の基板上に所望のパターンの所望の配置で圧電/電歪膜型素子を形成することができる。また、同様に電極材料の選択の自由度も向上する。さらに、多数個の圧電/電歪膜を一括して作製し、これらの圧電/電歪膜を一括して他の基板に接合させることができるため、生産性よく圧電/電歪膜型素子を製造することができる。さらに、圧電/電歪膜は圧電/電歪膜の焼成に適した固相担体上で焼成することができるため、特性の優れた圧電/電歪膜型素子を得ることができる。
以下、本発明の実施形態である圧電/電歪膜及びその製造方法、圧電/電歪膜型素子及びその製造方法について、適時図面を参照しながら説明する。図1には、本発明の圧電/電歪膜の一例を示す平面図と断面図とを示し、図2には、本発明の圧電/電歪膜の製造工程の一例を示し、図3には、本発明の圧電/電歪膜型素子の例を示し、図4には本発明の圧電/電歪膜型素子の製造工程の一例を示す。なお、本実施形態で参照する図面は本発明を説明するための一例であり、本発明の実施形態を限定するものではない。
(圧電/電歪膜)
圧電/電歪膜10が保持される固相担体2は、上記圧電/電歪膜を焼成可能な耐熱性を備えている。固相担体10の構成材料としては、例えば、完全安定化ジルコニア、部分安定化ジルコニア、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、アルミナ、マグネシア、酸化チタン等の材料を挙げることができるが、なかでも、完全安定化又は部分安定化ジルコニアを主成分とするジルコニア含有セラミックス材料が挙げられる。完全安定化ジルコニア又は部分安定化ジルコニアを主成分とする材料は、薄肉でも機械的強度が大きいこと、靭性が高いこと、圧電/電歪材料との反応性が低い点において好ましい。また、ジルコニアを安定化させる化合物としては、酸化イットリウム、酸化イッテルビウム、酸化セリウム、酸化カルシウム及び酸化マグネシウムからなる群から選択される1種又は2種以上を添加し含有させることで部分安定化又は完全安定化ジルコニアが得られる。
本圧電/電歪膜10を構成する材料は、高い圧電/電歪係数、高い電気機械結合係数を有する材料が好ましく、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT系)を主成分とする材料、マグネシウムニオブ酸鉛(PMN系)を主成分とする材料、ニッケルニオブ酸鉛(PNN系)を主成分とする材料、マンガンニオブ酸鉛を主成分とする材料、アンチモンスズ酸鉛を主成分とする材料、亜鉛ニオブ酸鉛を主成分と材料、チタン酸鉛を主成分とする材料、マグネシウムタンタル酸鉛を主成分とする材料、ニッケルタンタル酸鉛を主成分とする材料、更にはこれらの複合材料等の鉛含有セラミックス材料が用いられる。更に、これら圧電/電歪材料に、ランタン、バリウム、ニオブ、亜鉛、セリウム、カドミウム、クロム、コバルト、アンチモン、鉄、イットリウム、タンタル、タングステン、ニッケル、マンガン、リチウム、ストロンチウム、ビスマス等の酸化物や、それらの他の化合物を、添加物として含有せしめた材料、例えばPLZT系となるように、前記材料に所定の添加物を適宜に加えたものも、好適に使用される。
具体的には、ジルコン酸鉛、マンガンタングステン鉛、チタン酸ナトリウムビスマス、鉄酸ビスマス、ニオブ酸カリウムナトリウム、タンタル酸ストロンチウムビスマス、マグネシウムニオブ酸鉛、ニッケルニオブ酸鉛、亜鉛ニオブ酸鉛、マンガンニオブ酸鉛、マグネシウムタンタル酸鉛、ニッケルタンタル酸鉛、アンチモンスズ酸鉛、チタン酸鉛、チタン酸バリウム、銅タングステン酸バリウム、マグネシウムタングステン酸鉛、コバルトニオブ酸鉛あるいはこれらから2種以上を組み合わせた複合酸化物などの鉛含有圧電/電歪セラミックス材料が挙げられる。また、これらの圧電/電歪材料には、ランタン、カルシウム、ストロンチウム、モリブデン、タングステン、バリウム、ニオブ、亜鉛、ニッケル、マンガン、セリウム、カドミウム、クロム、コバルト、アンチモン、鉄、イットリウム、タンタル、リチウム、ビスマス、スズ、銅等の酸化物が固溶されていてもよい。また、これらの材料等に、ビスマス酸リチウム、ゲルマン酸鉛等を添加した材料、例えば、ジルコン酸鉛、チタン酸ジルコン酸鉛及びマグネシウムニオブ酸鉛の複合酸化物に、ビスマス酸リチウム及び/又はゲルマン酸鉛を添加した材料は、低温焼成を実現しつつ高い材料特性を発現することができる。
これらの圧電/電歪材料のなかでも、マグネシウムニオブ酸鉛とジルコン酸鉛とチタン酸鉛とからなる成分を主成分とする材料、ニッケルニオブ酸鉛とジルコン酸鉛とチタン酸鉛からなる成分を主成分とする材料又はニッケルニオブ酸とマグネシウムニオブ酸鉛とジルコン酸鉛とチタン酸鉛とからなる材料を主成分とする材料が好ましく、さらにその中でも、マグネシウムニオブ酸鉛とジルコン酸鉛とチタン酸鉛とからなる成分を主成分とする材料が、その熱処理中における固相担体2との反応が少ないことから、熱処理時に圧電/電歪材料成分の固相担体2への導入が過剰でなく、コントローラブルであるため、好適に不完全結合領域20を焼成と同時に形成することができるとともに、この低反応性ゆえに焼成後に圧電/電歪材料の目的とする組成及び結晶構造を得らやすい、高い圧電/電歪定数、電気機械結合定数を有すること、さらには、スクリーン印刷、スプレー、ディッピング、塗布、エアロゾルデポジション法等の厚膜形成方法で圧電/電歪膜10を形成する場合の材料として好ましい。また、圧電/電歪膜10の最大厚みは5μm以上100μm以下であることが好ましい。
(不完全結合領域)
本発明の圧電/電歪膜10は、固相担体2の表面に所定のパターンで不完全に結合する不完全結合領域20を備えている。不完全結合領域20を備えていることで、不完全結合領域20が容易に固相担体2の表面4から所定パターンを維持して分離させることができる。不完全結合領域20は、固相担体2の表面4に対して結合していないか(未結合)又は結合領域30よりも低い強度で前記基板表面に結合している部位とすることができるが、好ましくは、未結合である。なお、ここで、「結合」とは、固相担体2と圧電/電歪膜10のそれぞれに含まれる元素が拡散することにより結合している状態を含んでいる。また、不完全結合領域20は、結合領域30と不完全結合領域20とを分離させることにより、同時に固相担体2から分離できる程度に不完全に結合している限り基板2の表面に密着等されていてもよい。
不完全結合領域20の有する所定のパターンは、特に限定されないで、三角形状、方形状等の多角形状や円形状等のほか、櫛状、格子状等、作製しようとする圧電/電歪膜型素子の用途に応じてデザインされた所望の二次元形態等の任意パターンとすることができる。したがって、圧電/電歪膜10の周縁部分を含まない中央部分としてもよいし、逆に周縁部分を含むようにしてもよい。不完全結合領域20は、圧電/電歪膜10のいずれの部位にあってもよい。不完全結合領域20は、連続性のある圧電/電歪膜10において結合領域30とともに複数個備えられていてもよい。
不完全結合領域20の厚みは特に限定しないが、2μm以上の領域を有し、こうした領域が主体(例えば、80面積%以上)であることが好ましい。2μm未満では結合部分を形成してしまいやすく、分離が困難となることがあるからである。より好ましくは5μm以上である。さらに、厚みは、100μm以下であることが好ましい。100μmを超えると焼成過程での膜の面内収縮による応力が大きくなり、結合領域と不完全結合領域の界面を破壊してしまいやすくなるためである。50μm以下であることがより好ましい。
不完全結合領域20の大きさは、特に限定しないが、正方形とした場合に、一辺が30μm以上5mm以下であることが好ましい。こうした範囲であると圧電/電歪膜10の中央部分を不完全結合領域20とし周縁部分を結合領域30としたときにおいて、不完全結合領域20と結合領域30とのバランスが不完全結合領域20を剥離させるのに適切だからである。また、より好ましくは50μm以上2mm以下である。
(結合領域)
本圧電/電歪膜10は、不完全結合領域20を分離可能に固相担体2の表面4に結合する結合領域30を有している。結合領域30を備えていることで、圧電/電歪膜10を固相担体2上に保持することができるとともに、この領域30に固相担体2の表面4から分離するような外力などの外部エネルギーを付与することで不完全結合領域20を固相担体2から分離することができる。こうした結合領域30は、上記したように、圧電/電歪膜10に含まれる元素と固相担体2の表面4に含まれる元素の少なくとも一方が他方に拡散することによる結合を含んでいる。なお結合領域30の領域全体が固相担体2の表面4に結合している必要はなく、部分的に結合しているものであってもよい。こうした結合領域30は、固相担体2との圧電/電歪膜10との所定の結合状態を可能とする一方で,不完全結合領域20との界面が脆弱であるため、外力等が加えられるとこの界面部分で亀裂等が生じて破壊されその結果、不完全結合領域20と結合領域30とが分離され、不完全結合領域20を固相担体2から分離させることができる。
結合領域30は、不完全結合領域20とは、その外観などを含む形態、組成及び結晶構造のいずれか1種以上において異なる異相を有している。異相は、例えば、粒状相を有していたり、組成において少なくとも一つの金属元素の含有量が他の部位(不完全結合領域20など)よりも低い相である。こうした異相の生成原因は必ずしも明らかではなく本発明を拘束するものではないが、圧電/電歪膜10の形成材料を焼成する際に、こうした材料中の金属元素の一部が蒸発して組成が変更されるためであると推測される。例えば、圧電/電歪膜4の形成材料として、鉛を含有するチタン酸ジルコン酸鉛などを用いるとき、材料中の鉛が焼成中に蒸発し、鉛濃度が低い部分が生成する。例えは、走査型電子顕微鏡(SEM)の反射電子モードで観察した時には、重金属である鉛を含んでいる不完全結合領域20は白っぽく観察されるのに対して、鉛濃度の低い結合領域30は黒っぽく観察される。こうした元素の蒸発は材料の層厚が薄い等により蒸発が促進される部位に生じる一方、層厚が厚いかあるいは蒸発を抑制するような遮蔽体が存在する場合には生じにくい。なお、こうした元素としては、鉛の他にビスマス、カリウム、バナジウムが挙げられる。
また、結合領域30は、不完全結合領域20よりも膜厚が小さい領域を含んでいることが好ましい。膜厚が小さいことにより、結合領域30と不完全結合領域20の界面が機械的に脆弱となるからであり、不完全結合領域20に比べて脆弱であることにより、結合領域と不完全結合領域の界面で固相担体2と分離させるときに、不完全結合領域20を少ない外力で分離させることができる。例えば、台形状など圧電/電歪膜10が中央部分が端部よりも膜厚が大きい断面形状を有することで、不完全結合領域20と結合領域30とについて膜厚の差が容易に形成される。また、結合領域30は、5μm以下の膜厚である領域を有しており、好ましくはこうした領域を主体として(例えば、80面積%以上)で備えることが好ましい。5μm以下であると、結合領域と不完全結合領域が分離する際、少ない外力で分離できると共に、界面の亀裂が均一に入りやすく、膜のカケや割れなどの不良が起こりにくい。より好ましくは3μm以下であり、さらに好ましくは2μm以下である。なお、不完全結合領域20の厚みと結合領域30の厚みとがほぼ同一であることを排除するものではない。図2に示すように、圧電/電歪材料層8を焼成するとき、その周縁部では露出面(側端面及び外周端縁の近傍の表面)が相対的に多く中央部では露出面が表面に限定されることから、材料層8の元素の蒸発傾向が中央部よりも周縁部の方が大きくなり、その結果、中央部を不完全結合領域20とし、周縁部を結合領域30とし、不完全結合領域20と結合領域30との膜厚が同程度の圧電/電歪膜10が形成されることがあるからである。
図1に示すように、結合領域30は、不完全結合領域20の周縁(不完全結合領域20の外周縁又は内周縁)近傍に不完全結合領域20の輪郭に沿って備えられていることが好ましい。こうすることで、不完全結合領域20を所定のパターンを維持して固相担体2の表面4から分離するのが容易となる。なお、不完全結合領域20の周縁の全体に結合領域30を備える必要はなく、部分的であってもよい。また、結合領域30は、圧電/電歪膜10の周縁部分を含んでいることが好ましい。換言すれば、圧電/電歪膜10の周縁部分以外の中央部分を不完全結合領域20とすることが好ましい。
こうした結合領域30は、不完全結合領域20を分離可能な程度に固相担体2の表面4に結合している。具体的には、こうした圧電/電歪膜10と固相担体2との間のピール(引き剥がし)強度で0.1kg/mm以下であることが好ましい。0.1kg/mm以下であると、市販の接着剤の接着強度よりも十分に低く、後に示す転写の工程が容易となるためである。より好ましくは0.05kg/mm以下であり、さらに好ましくは0.01kg/mm以下である。なお、こうした接着強度は、例えば、ピール強度測定用L型リード線を膜表面に接着し、引っ張り試験機でリード線を引っ張り、膜が剥離する強度を測定することにより評価することができる。
このような圧電/電歪膜10は、固相担体2の表面4に1個又は2個以上、好ましくは2個以上が所定の配置で保持されている。圧電/電歪膜10の不完全結合領域20の所定のパターンはこの圧電/電歪膜10を圧電/電歪膜型素子として利用しようとする用途に応じた形態であり、また、その配置も圧電/電歪膜型素子の用途に対応されていることが好ましい。こうした圧電/電歪膜10のパターンによれば、そのまま多数個の圧電/電歪膜型素子を後述する製造方法によって製造できる。
(圧電/電歪膜の製造方法)
本発明の圧電/電歪膜10を製造するのに好ましい方法は、図2に示すように、固相担体2を準備し(ステップS10)、この固相担体2表面に圧電/電歪膜10に対応する上記圧電/電歪材料の圧電/電歪材料層8を形成し(ステップS20)、焼成する(ステップS30)、各工程を備えている。こうした一連の圧電/電歪膜10の基本的な製造工程は、従来の圧電/電歪膜10の製造工程と同様に行うことができる。
すなわち、固相担体2を準備するステップS10は、既に説明した固相担体2を準備すればよい。こうした固相担体2は、材料調合、成形及び焼成というセラミックス焼成体の一般的な手法によって得ることもできるし、商業的に入手したものを用いてもよい。また、圧電/電歪材料層8を形成するステップS20は、固相担体2に対して、スクリーン印刷法、ディッピング法、塗布法、粉末吹き付け法、電気泳動法等の厚膜形成法又はイオンビーム法、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、化学気相蒸着法(CVD)、メッキ等の薄膜形成法を用いて圧電/電歪材料を供給して圧電/電歪材料層8を形成すればよい。圧電/電歪材料層8の形成方法としては、なかでも厚膜形成法を好ましく用いることができる。厚膜形成法によれば、平均粒径0.01μm以上5μm以下、好ましくは0.05μm以上3μm以下の圧電/電歪セラミックスの粒子を主成分とするペーストやスラリー又はサスペンションやエマルション、ゾル、エアロゾル、エアロゾルデポジション法等を用いて圧電/電歪材料層8を形成することができ、良好な圧電/電歪作動特性を得ることができる。特に、電気泳動法は、圧電/電歪材料層8を高い密度でかつ高い形状精度で形成することができる。また、スクリーン印刷法は、圧電/電歪材料層8の形成とパターン形成とを同時に行うことができるため好ましい。なお、圧電/電歪材料層8の最大層厚は5μm以上200μm以下であることが好ましい。この範囲であると、焼成により形成される圧電/電歪膜10の結合領域30の厚みが5μm以下程度と好ましい厚みに形成されやすくなるからである。より好ましくは10μm以上100μm以下である。また、圧電/電歪材料層8を焼成するステップS30の焼成温度は、圧電/電歪材料や固相担体2の材料によって適宜設定されるが、一般には、800℃以上1400℃以下であり、好ましくは1000℃以上1400℃以下である。この場合、圧電/電歪膜10の組成を制御するために、適宜、圧電/電歪材料の蒸発源を存在させることが好ましい。
本発明の圧電/電歪膜の製造方法においては、不完全結合領域20と結合領域30とを圧電/電歪膜10に備えるように圧電/電歪膜10を製造する。圧電/電歪膜10に不完全結合領域20を形成するには、固相担体2と圧電/電歪材料との低反応性を用いることができる。すなわち、それぞれ適切な材料を用いることで何ら処理することなく不完全結合領域20を形成できる。
例えば、固相担体2としては、固相担体2が酸化イットリウム及び酸化セリウム及び酸化マグネシウム及び酸化カルシウムのち、少なくとも1つの化合物を含有することによって結晶相が完全安定化若しくは部分安定化された酸化ジルコニウムを主成分とする材料で構成されていることが好ましい。
また、酸化ジルコニウムを安定化若しくは部分安定化させるための添加物の量は、酸化イットリウムに対して1モル%〜30モル%、酸化セリウムでは6モル%〜50モル%、酸化マグネシウムや酸化カルシウムに対しては、5モル%〜40モル%とすることが好ましいが、その中でも特に酸化イットリウムに対して2モル%〜7モル%とすることが、さらに好ましくは2モル%〜4モル%とすることが望ましい。なぜならば、それらの範囲で酸化イットリウムが添加された酸化ジルコニウムは、その結晶相が部分安定化され、特に優れた基板特性を示すからである。
これらの圧電/電歪材料の中でも、マグネシウムニオブ酸鉛とジルコン酸鉛とチタン酸鉛とからなる成分を主成分とする材料、もしくはニッケルニオブ酸鉛とマグネシウムニオブ酸鉛とジルコン酸鉛とチタン酸鉛とからなる成分を主成分とする材料が好ましく、更にその中でも特に、マグネシウムニオブ酸鉛とジルコン酸鉛とチタン酸鉛とからなる成分を主成分とする材料が、その熱処理中における固相担体2との反応が特に少ないことから、組成を保つための処理が好適に行なわれ、目的とする組成及び結晶構造が得られ易い等、高い圧電/電歪定数を有することと併せて有利に用いられ、スクリーン印刷、スプレー、ディッピング、塗布、エアロゾルデポジション法等の厚膜形成手法で圧電/電歪材料層を形成するのに好ましい。また、マグネシウムニオブ酸鉛とニッケルタンタル酸鉛とジルコン酸鉛とチタン酸鉛とからなる成分を主成分とする材料、若しくはマグネシウムタンタル酸鉛とマグネシウムニオブ酸鉛とジルコン酸鉛とチタン酸鉛とからなる成分を主成分とする材料も厚膜形成手法で圧電/電歪材料層8を形成する場合の材料として好ましい。
なお、多成分系圧電/電歪材料の場合、成分の組成によって圧電/電歪特性が変化するが、本発明で好適に採用されるマグネシウムニオブ酸鉛−ジルコン酸鉛−チタン酸鉛の3成分系材料では、擬立方晶−正方晶−菱面体晶の相境界付近の組成が好ましく、特にマグネシウムニオブ酸鉛:15〜50モル%、ジルコン酸鉛:10〜45モル%、チタン酸鉛:30〜45モル%の組成や、マグネシウムニオブ酸鉛:15〜50モル%、ニッケルタンタル酸鉛:10〜40モル%、ジルコン酸鉛:10〜45モル%、チタン酸鉛:30〜45モル%の組成、更にはマグネシウムニオブ酸鉛:15〜50モル%、マグネシウムタンタル酸鉛:10〜40モル%、ジルコン酸鉛:10〜45モル%、チタン酸鉛:30〜45モル%の組成が、高い圧電/電歪定数と電気機械結合係数を有することから、有利に採用される。特にマグネシウムニオブ酸鉛:15モル%〜50モル%、ジルコン酸鉛:10モル%〜45モル%、チタン酸鉛:30モル%〜45モル%の組成が、高い圧電/電歪定数と電気機械結合係数を有することから、有利に採用される。
圧電/電歪膜10に不完全結合領域20を形成するには、固相担体2の表面4に得ようとする圧電/電歪膜10の不完全結合領域20のパターンに対応して、ダミー層を形成し、このダミー層を介して圧電/電歪材料層8を形成してもよい。このダミー層は、後述する圧電/電歪材料層8の焼成処理によって燃焼・消滅する材料、例えば樹脂材料やテオブロミン等で形成され、これにより不完全結合領域20が形成される。なお、完全に燃焼・消滅しない材料を使用することも可能である。
また、圧電/電歪膜10に結合領域30を形成するには、圧電/電歪材料層8の結合領域30に対応する領域に、圧電/電歪膜10の不完全結合領域20に対応する領域よりも層厚の小さい部分を有するように圧電/電歪材料層8を形成すればよい。すなわち、不完全結合領域20には肉厚部が対応し結合領域30には薄肉部が対応するように圧電/電歪材料層8を形成すればよい。例えば、図2(a)に示すように、形成する圧電/電歪材料層8の断面形状を台形状など中央部分が端部よりも膜厚が大きい断面形状とすることで、圧電/電歪膜10の周縁部分を結合領域30として中央部分を不完全結合領域20とする圧電/電歪膜10を得ることができる。また、図2(b)に示すように、一様に形成した圧電/電歪材料層8において圧電/電歪膜10の結合領域30とすることを意図する部位に薄肉部を形成してもよい。換言すれば、一様に形成した圧電/電歪材料層8において、不完全結合領域20の所定のパターンの輪郭にほぼ沿うように凹状の薄肉部を形成すればよい。例えば、こうした薄肉部の形成は、予めこうした凹状部を有するように圧電/電歪材料層8を成形してもよいし、一様な厚みの圧電/電歪材料層8を形成した上、フォトリソグラフィーを用いてエッチング等により圧電/電歪材料層8をパターニングしてもよいしレーザや超音波を二次元的に走査して相当の肉厚分を除去するようにしてもよい。
また、結合領域30及び不完全結合領域20は、圧電/電歪材料層8の圧電/電歪膜10の結合領域30に対応する領域では圧電/電歪材料層8に含有される鉛、ビスマス、カリウム、バナジウムなどの金属元素の蒸発を促進し、不完全結合領域20に対応する領域では前記金属元素の蒸発を抑制するように圧電/電歪材料層8を焼成することにより得ることができる。一つの方法は、金属元素の蒸発を促進するには、対応する圧電/電歪材料層8の薄膜化、対応する領域の表面積の増大(例えば、対応する領域の表面に凹凸を付与するとか、圧電/電歪材料層8の周縁部分を結合領域30に対応させるなど)が挙げられる。一方、金属元素の蒸発を抑制するには、対応する領域の圧電/電歪材料層8の厚膜化、金属元素が蒸発する表面に対して何らかの遮蔽体(金属を塗布するなど)を付与することなどが挙げられる。こうした手法を単独であるいは組み合わせることにより、圧電/電歪材料層8において相対的に金属元素の蒸発量が異なる領域を形成することができる。
こうして固相担体2上に圧電/電歪膜10を形成後には、このまま固相担体2上に圧電/電歪膜を保持することもできる。圧電/電歪膜10を保持した固相担体2は、圧電/電歪膜10を破壊することなく安定して保持でき、ハンドリング性に優れるものとなっている。また、こうして得られる圧電/電歪膜10は、結合領域30を介して固相担体2に付着した状態で焼成されているため反りがないとともに、面内方向の収縮も回避又は抑制されるため、良好なパターン維持性を有している。さらにまた、圧電/電歪膜10は固相担体2から分離されることで残留応力が開放されるため、固相担体2から分離された不完全結合領域20の圧電/電歪膜10は特性が高いものになっている。
さらに、本製造方法は、不完全結合領域20を形成するのに消失皮膜などを用いない場合には、極めて簡易に分離可能な圧電/電歪膜10を作製することができるものとなっている。
なお、複数個の圧電/電歪膜10が所定の配置で固相担体2に保持される場合には、結合領域30によって不完全結合領域20が仮止め状態となっているといえるため、このまま転写法等により圧電/電歪膜型素子を作製するのに適したものとなっている。なお、圧電/電歪膜10は、固相担体2に保持させたままでもよいし、後段で詳述するように、基板42に対して接合し固相担体2から分離させた状態で保存してもよい。また、結合領域30に対して外力等を負荷して圧電/電歪膜10を固相担体2から剥離させて自立膜として取り扱うこともできる。
(圧電/電歪膜型素子及びその製造方法)
次に、本発明の圧電/電歪膜型素子及びその製造において好ましい方法について説明する。本発明の圧電/電歪膜型素子50の例を図3に示し、図4に、圧電/電歪膜型素子50a、50bの製造工程の一例について示す。図3に示すように、圧電/電歪膜型素子50a、50bは、基板42上に、基板42に近い側から下部電極60、圧電/電歪膜10及び上部電極62を備えている。ここで、図3(a)に示す圧電/電歪膜型素子50aは、圧電/電歪膜10の不完全結合領域20の固相担体2側を基板42上方に向けた状態で存在しており、図3(b)に示す圧電/電歪膜型素子50bは、圧電/電歪膜10の不完全結合領域20の固相担体2側を基板42側に向けた状態で存在している。圧電/電歪膜型素子50a、50bにおけるこうした圧電/電歪膜10の方向性は、圧電/電歪膜10の基板42への接合・分離(転写)方法によって形成されており、図3(a)に示す圧電/電歪膜型素子50は、例えば後述する一回転写法によって得られ、図3(b)に示す圧電/電歪膜型素子50は、例えば同様に後述する二回転写法によって得られる。圧電/電歪膜10の形態等から不完全結合領域20と結合領域30との分離面等が認識される場合、こうした2種の圧電/電歪膜型素子50を判別することが可能である。こうした圧電/電歪膜型素子50については、いずれも下部配線70及び/又は上部配線を備えることができる。
本発明の圧電/電歪膜型素子50の基板42を構成する材料は特に限定されない。圧電/電歪膜10は、既に焼成されているため、基板42はその耐熱性等によって制限されることなく選択できる。このため、基板42は、各種のガラス基板、セラミックス基板、プラスチック基板、有機−無機複合材料基板、金属基板とすることができる。また、基板42は可撓性を有するものであってもよい。
本発明の圧電/電歪膜型素子50の電極材料は、特に限定されないが、室温で固体であり、導電性に優れた金属であることが好ましい。例えば、アルミニウム、チタン、クロム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ニオブ、モリブデン、ルテニウム、パラジウム、ロジウム、銀、スズ、タンタル、タングステン、イリジウム、白金、金、鉛等の金属単体またはこれらの合金が挙げられる。さらに、これらに圧電/電歪膜10の材料と同じ材料を分散させたサーメット材料を用いてもよい。本発明の圧電/電歪膜型素子50における電極の材料選定においては、低温で電極形成できる、アルミニウム、金、銀等の低融点金属を使用することが好ましい。なお、電極を形成する方法としては、例えば、イオンビーム、スパッタリング、真空蒸着、PVD、イオンプレーティング、CVD、メッキ、スクリーン印刷、スプレー、又はディッピング等を挙げることができる。
本発明の圧電/電歪膜型素子50は、固相担体2上に備えられる圧電/電歪膜10の不完全結合領域20をその配置のままで基板42上に備えることができる。したがって、圧電/電歪膜型素子50に必要な圧電/電歪膜10の形状及び配置を圧電/電歪膜10の状態で形成しておくことで容易に圧電/電歪膜型素子50を作製することができる。
次に、本発明の圧電/電歪膜型素子50を製造するのに適した方法について説明する。本発明の圧電/電歪膜型素子50を製造するのに好ましい方法としては、圧電/電歪膜10の基板42への接合と固相担体2からの分離とを伴う転写法が挙げられる。転写法としては、図4に示すように、例えば1回のみ転写する方法と2回転写する方法が挙げられる。
図4(a)に示すように、一回転写する方法では、まず、本発明の圧電/電歪膜10を備える固相担体2を準備する(ステップS100)。圧電/電歪膜10は、圧電/電歪膜型素子50の製造工程において製造してもよいし、別途製造してものを圧電/電歪膜型素子50の製造工程のために調達してもよい。次に、下部電極60となる接着性を有する導電性層61を基板42の表面に所定のパターンで形成し(ステップS110)、その後、この導電性層61のパターンに対して圧電/電歪膜10を位置合わせして重ねて、基板42に対して圧電/電歪膜10を接合する(ステップS120)。接合は、導電性層61を必要に応じて加熱して硬化させ、適宜圧着してもよい。導電性層52を硬化させると下部電極60が形成される。なお、この導電性層61の接着強度は、結合領域30を介した圧電/電歪膜10の不完全結合領域と固相担体2との結合強度よりも高くなるようにしておく。
こうして圧電/電歪膜10を電極60を介して基板42に接合後、固相担体2を圧電/電歪膜10から分離させる(ステップS130)。このステップS130では、結合領域30と不完全結合領域20の界面において亀裂が生じるなどして圧電/電歪膜10と固相担体2との結合状態が解除される。そして、このステップS120及びステップS130により結果として、圧電/電歪膜10の不完全結合領域20は基板42に転写される。この後、転写された不完全結合領域20の露出された表面に対して上部電極62や上部配線などを施すことができる。なお、この例では、下部配線70を施さなかったが、必要に応じて予め基板42に対して形成しておくことができる。
また、図4(b)に示す2回転写する方法では、図4(a)と同様に、まず、本発明の圧電/電歪膜10を備える固相担体2を準備する(ステップS200)。圧電/電歪膜10は、圧電/電歪膜型素子50の製造工程において製造してもよいし、別途製造してものを圧電/電歪膜型素子50の製造工程のために調達してもよい。次に、下部電極60となる導電性層61を備えない別の固相担体52に一旦圧電/電歪膜10を接合し(ステップS210)、次いで、固相担体2から不完全結合領域20を分離する(ステップS220)。これにより、結合領域30と不完全結合領域20の界面において亀裂が生じるなどして圧電/電歪膜10と固相担体2との結合状態が解除され、圧電/電歪膜10の不完全結合領域20は固相担体52に転写され仮保持されることになる。なお、この固相担体52の圧電/電歪膜10を接合する表面には、結合領域を介した圧電/電歪膜10の不完全結合領域と固相担体2との結合強度よりも高い接着強度の接着剤層81を形成しておく。
次いで、固相担体52に一体保持させた不完全結合領域20の露出された表面に下部電極60となる導電性層61を形成する(ステップS230)。また、下部配線70となる導電性層71及び接着剤層81を形成した基板42の表面に対して固相担体53に仮保持させた不完全結合領域20を接合する(ステップS240)。導電性層61と導電性層71とを接着するような熱又は熱と圧力を付与して両者を接合するとともに下部配線70と下部電極60とを一体化し、さらに不完全結合領域20を基板42に接合する。次いで、この不完全結合領域20から固相担体52を分離する(ステップS250)。これにより、不完全結合領域20が基板42に対して下部配線70及び下部電極60を介して接合される。さらに、この不完全結合領域20の露出された表面に対して上部電極62や上部配線72を施すことができる。
なお、これらの転写方法において、下部電極60、上部電極62、下部配線70及び上部配線72を形成するための各種導電性材料の組成やこれらと基板42又は圧電/電歪膜10との接合のための接着性材料又はその配置などについては、当業者であれば適宜変更して実施することができる。
また、本発明の圧電/電歪膜型素子50の製造方法によれば、圧電/電歪膜10及びその製造方法が有する効果を奏することができるほか、さらに、圧電/電歪膜型素子50の製造に際して、圧電/電歪膜型素子50を構成する圧電/電歪膜10(不完全結合領域20)を基板42に対して接合し、その後圧電/電歪膜10を保持していた固相担体2、52を分離するという工程により、不完全結合領域20を圧電/電歪膜型素子50用の圧電/電歪膜10として基板42に対して所定の配置で保持させることができる。すなわち、こうした圧電/電歪膜10の分離工程においてレーザー加工などの精度を要求される加工や圧電/電歪膜10の組成や結晶構造に変化を及ぼすような加工が排除されているため、簡易に圧電/電歪膜型素子50を製造することができる。
また、本発明の製造方法によれば、圧電/電歪膜10は焼成されており基板42にて熱処理する必要がない。このため、基板42に圧電/電歪膜10を保持させるために基板42の材料選択の自由度が向上されるとともに電極材料や配線材料の選択の自由度も向上されている。また、本発明の製造方法によれば、圧電/電歪膜10の成形加工、ハンドリング、基板42への配置を容易にし、さらに、良好な特性の圧電/電歪膜型素子50を容易に得られるようになっている。
なお、本発明の製造方法において用いた固相担体2は、不完全結合領域20を分離後にその表面4を軽くポリッシュ等することにより、結合領域30を除去することができるため、繰り返し利用が可能である。
以上説明した本発明の圧電/電歪膜型素子50は、例えば、アクチュエータ、センサ及びディスプレイなどの電子放出源として使用できる。なお、ここで称呼される素子とは、電気エネルギーを機械エネルギーに変換、即ち機械的な変位、応力または振動に変換する素子の他、その逆の変換を行なう素子、さらには、所定の電界が印加されることにより電子を放出し得るように構成された電子放出素子をも意味するものである。
アクチュエータとしては、内野研二著(日本工業技術センター編)「圧電/電歪アクチュエータ基礎から応用まで」(森北出版)に記載のサーボ変位素子、パルス駆動モータ、超音波モータ等に用いられるユニモルフ型、バイモルフ型等の屈曲変位を発生させるタイプのアクチュエータ、各種トランスデューサ等の能動素子のほか、特に、光学機器、精密機器等の各種精密部品等の変位や位置決め調整、角度調整の機構に用いられる各種アクチュエータに好適に利用することができる。また、センサとしては、加速度センサや衝撃センサ、質量センサ、超音波センサ、角速度センサ等の各種センサに用いられる。さらに、電子放出源としては、ディスプレイ、液晶ディスプレイのバックライト、平面光源用途などが挙げられる。本発明の圧電/電歪膜型素子50は、例えば、ディスプレイにおいては、基板42に対して画素に対応する多数個のセルを設け、このセルに圧電/電歪膜型素子を対応させ、真空中において圧電/電歪膜に所定の電界が印加されることにより蛍光体を励起する電子を放出する、電子放出素子として用いることができる。この他、本発明の圧電/電歪膜型素子50は、フィルターディスクリミネータ、トランス、マイクロフォン、発音体(スピーカ等)、動力用や通信用の振動子、共振子及び発振子等の能動素子に用いることができる。
以下、本発明を実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
本実施例は、1回転写法で圧電/電歪膜型素子を作成した例である。製造工程を図5に示す。
(材料)
圧電/電歪膜を焼成するための固相担体として3mol%イットリア部分安定化ジルコニア基板(株式会社TYK、商品名TZ−T1、板厚2mm、ダイヤモンドスラリーによるバフ研磨により鏡面仕上げ、表面粗さRa=0.03μm)を用いた。また、圧電/電歪材料としては、PMN(マグネシウムニオブ酸鉛)15mol%:PT(チタン酸鉛)45mol%:PZ(ジルコン酸鉛)40mol%に対してNiO(酸化ニッケル)0.5%を添加した組成からなる、セラミックス粉末(平均粒径0.5μm)とした。
(印刷)
図5(a)に示すように、この粉末をバインダー、溶媒などを用いてペースト化して、印刷膜厚(生)40μm、パターン0.5μm×0.5μm、0.6mmピッチで前記部分安定化ジルコニア基板にスクリーン印刷した。
(脱脂・焼成)
次いで、大気中、600℃で5時間焼成して脱脂した後、図5(b)に示すように、内容器(内寸法:縦100mm×横100mm×高さ70mm)に、圧電/電歪材料と同じ組成の粉末を40g投入し、鉛雰囲気を調整した状態で1250℃で2時間、焼成した。
(転写)
ジルコニア基板上に形成された圧電/電歪膜を、導電性接着剤として、エポキシ系の銀ペーストを圧電/電歪膜のパターンに対応するように膜厚10μmで印刷したガラス基板に対して、位置合わせした上で重ね合わせ、その状態で150℃×30minでエポキシ樹脂を硬化させた(図5(c))。その後ジルコニア基板を圧電/電歪膜から分離した(図5(d))。その後、下部電極と同じ銀ペーストを用いて上部電極を印刷形成した。
圧電/電歪膜を備えるジルコニア基板の表面SEM写真(反射像)と圧電/電歪膜剥離後の同じ部位の表面SEM写真(反射像)を図6に示す。図6に示すように、剥離前には、淡色の中央部分と濃色の周縁部分とを備える圧電/電歪膜がジルコニア基板上に形成されていたが、剥離後には、濃色の周縁部分が基板上に残留し、淡色部分が剥離していたことがわかった。この観察によれば、基板上の残留した濃色の周縁部分は、剥離した淡色の中央部分とは異なる相を形成していることが明らかであった。
(実施例2)
本実施例は、2回転写法で圧電/電歪膜型素子を作成した例である。製造工程を図7に示す。なお、用いた材料、印刷、脱脂・焼成については実施例1と同様に行った(図7(a)(b))ので、転写工程以降について説明する。なお、図7には適宜表面SEM写真を付している。
(転写(1回目))
適当な板状体に接着層として熱可塑性樹脂であるブチルセルロースを膜厚5μmで印刷し、この板状体を100℃のホットプレート上で圧電/電歪膜を形成したジルコニア基板へ重ね合わせた(図7(c))。ブチルセルロースを適度に軟化させ、圧電/電歪膜表面へ融着させた状態で降温し、その後ジルコニア基板から板状体を分離することで、圧電/電歪膜を板状体に転写した(図7(d))。
(下部電極及び下部配線の形成)
次に、ジルコニア基板から剥離させた圧電/電歪膜の露出された表面に下部電極材料として金レジネートペーストを膜厚5μmで印刷した(図7(e))。一方、ガラス基板に対して所定のパターンで下部配線となる銀ペースト(ノリタケカンパニーリミテッド、商品名NP−4348)を印刷し、600℃で焼き付けた上に、ガラスペースト(ほうケイ酸鉛ガラス、ノリタケカンパニーリミテッド、商品名NP−7730)を20wt%配合した前記銀ペーストを膜厚5μmで印刷した。ガラス配合銀ペーストの乾燥後、その上に接着層(ブチルセルロース)を膜厚5μmで印刷した(図7(f))。
(下部転写(2回目))
100℃のホットプレート上にガラス基板を載置し、ガラス基板に対して位置合わせした上、圧電/電歪膜を転写した板状体を重ねて仮接着し(図7(g))、そのまま電気炉で600℃で5時間熱処理した。このとき、適当な重石を載せることで、荷重がかかった状態で熱処理した。これにより、金レジネートとガラス配合銀ペーストを焼成して圧電/電歪膜を下部配線へ接着させるとともに、接着層を焼失させて、接合と分離とを実施して結果として圧電/電歪膜をガラス基板に再転写した(図7(h))。その後下部電極と同じ金ペーストを用いて上部電極を印刷形成し、600℃で焼成して形成した(図7(i))。
ガラス基板上に圧電/電歪膜を転写したときの状態(図7(h)の状態)の表面SEM写真を図8に示す。図8(a)、(b)に示すように、多数個の圧電/電歪膜がそれぞれ所定の方形状パターンを維持して整列した状態で接合されたことがわかった。また、図8(c)、(d)に示すように、圧電/電歪膜は、略台形状の断面形状を有して、平坦部(ジルコニア基板側)をガラス基板への接合面となるように接合され、圧電/電歪膜は異相や破壊相のない均一な相であることがわかった。
本発明の圧電/電歪膜の一例を示す図である。 本発明の圧電/電歪膜の製造工程の一例を示す図である。 本発明の圧電/電歪膜型素子の例を示す図である。 本発明の圧電/電歪膜型素子の製造工程の一例を示す図である。 実施例1における製造工程を示す図である。 実施例1において得られるジルコニア基板上の圧電/電歪膜の転写前後を示す表面SEM写真である。 実施例2における製造工程を示す図である。 実施例2において、ガラス基板上に圧電/電歪膜を転写したときの状態の表面SEM写真である。
符号の説明
2 固相担体、4 表面、8 圧電/電歪材料層、10 圧電/電歪膜、20 不完全結合領域、30 結合領域、50a、50b 圧電/電歪膜型素子、52 他の固相担体、60 下部電極、62 上部電極、70 下部配線、71 導電性層、81 接着剤層。

Claims (27)

  1. 相担体上に不完全に結合された所定パターンの不完全結合領域と、
    該不完全結合領域を分離可能に前記固相担体表面に結合する結合領域と、
    を備え
    前記結合領域及び前記不完全結合領域は、前記固相担体上に圧電/電歪材料を焼成することにより形成されたものであり、
    前記結合領域は、前記不完全結合領域とは組成において異なり前記圧電/電歪材料の組成において少なくとも一つの金属元素の含有量が他の部位よりも低い相である異相を有しているか、又は、前記不完全結合領域よりも膜厚が小さい領域を含んでおり、
    前記不完全結合領域は、前記結合領域に前記固相担体の表面から分離するような外部エネルギーが付与されると前記固相担体から分離され圧電/電歪膜として機能する、圧電/電歪膜保持体
  2. 前記結合領域は、前記圧電/電歪膜保持体の周縁部分を含んでいる、請求項1に記載の圧電/電歪膜保持体
  3. 前記金属元素は、鉛、ビスマス、カリウム及びバナジウムからなる群から選択される1種又は2種以上である、請求項1又は2に記載の圧電/電歪膜保持体
  4. 前記不完全結合領域は、前記固相担体表面に対して未結合であるかあるいは前記結合領域よりも低い強度で前記固相担体表面に結合している、請求項1〜のいずれかに記載の圧電/電歪膜保持体
  5. 膜厚が5μm以下の前記結合領域を有する、請求項1〜のいずれかに記載の圧電/電歪膜保持体
  6. 膜厚が2μm以上の前記不完全結合領域を有する、請求項1〜のいずれかに記載の圧電/電歪膜保持体
  7. 前記圧電/電歪膜保持体を所定のパターンで前記固相担体上に複数個備える、請求項1〜のいずれかに記載の圧電/電歪膜保持体
  8. 前記圧電/電歪膜保持体は、鉛含有セラミックス材料で構成されている、請求項1〜のいずれかに記載の圧電/電歪膜保持体
  9. 前記固相担体は、ジルコニア含有セラミックス材料で構成されている、請求項1〜のいずれかに記載の圧電/電歪膜保持体
  10. 前記圧電/電歪膜保持体は中央部分が端部よりも膜厚が大きい断面形状を有している、請求項1〜のいずれかに記載の圧電/電歪膜保持体
  11. 前記圧電/電歪膜保持体の最大厚みは5μm以上100μm以下である、請求項1〜10のいずれかに記載の圧電/電歪膜保持体
  12. 固相担体上に圧電/電歪材料層を形成する材料層形成工程と、
    前記固相担体上に形成した前記圧電/電歪材料層を焼成す焼成工程を備え、
    前記焼成工程は、前記圧電/電歪材料層を焼成することにより、前記固相担体上に不完全に結合し、所定パターンの不完全結合領域と、該不完全結合領域を分離可能に前記固相担体表面に結合する結合領域と、を形成するものであり、
    前記不完全結合領域は、前記結合領域に前記固相担体の表面から分離するような外部エネルギーが付与されると前記固相担体から分離され圧電/電歪膜として機能するものであり、
    前記材料層形成工程において、前記結合領域に対応する領域に、前記不完全結合領域に対応する領域よりも層厚の小さい部分を有するように前記圧電/電歪材料層を形成するか、又は、前記焼成工程において、前記圧電/電歪材料層の前記結合領域に対応する領域では前記圧電/電歪材料に含有される金属元素の蒸発を促進し、前記不完全結合領域に対応する領域では前記金属元素の蒸発を抑制するように前記圧電/電歪材料層を焼成する、圧電/電歪膜保持体の製造方法。
  13. 前記圧電/電歪材料層は、前記固相担体表面に圧電/電歪材料を供給して形成されている、請求項12に記載の製造方法。
  14. 前記圧電/電歪材料層は、鉛含有セラミックス材料を含んでいる、請求項12又は13に記載の製造方法。
  15. 前記固相担体は、ジルコニア含有セラミックス材料で構成されている、請求項1214のいずれかに記載の製造方法。
  16. 前記圧電/電歪材料層は中央部分が端部よりも膜厚が大きい断面形状を有している、請求項1215のいずれかに記載の製造方法。
  17. 前記圧電/電歪材料層の最大層厚は5μm以上200μm以下である、請求項1216のいずれかに記載の製造方法。
  18. 前記圧電/電歪材料層は、印刷により形成されている、請求項1217のいずれかに記載の製造方法。
  19. 前記金属元素は、鉛、ビスマス、カリウム及びバナジウムからなる群から選択される1種又は2種以上である、請求項12〜18のいずれかに記載の製造方法。
  20. 前記焼成工程は、前記圧電/電歪材料層を1000℃以上1400℃以下で焼成する工程である、請求項1219のいずれかに記載の製造方法。
  21. 請求項12〜20のいずれかに記載の製造方法によって得られる、圧電/電歪膜保持体
  22. 基板に圧電/電歪膜が形成された圧電/電歪膜型素子の製造方法であって、
    請求項12〜20のいずれかに記載の製造方法で圧電/電歪膜保持体を準備する準備工程と、
    前記圧電/電歪膜保持体の前記不完全結合領域を前記基板接合する接合工程と、
    前記結合領域に対して外部エネルギーを付与することにより前記固相担体の表面から前記基板に接合された不完全結合領域を分離する分離工程と、
    を備える、製造方法。
  23. 前記接合工程では、前記固相担体の前記圧電/電歪膜保持体を導電性層を介して基板に接合する、請求項22に記載の製造方法。
  24. 基板に圧電/電歪膜が形成された圧電/電歪膜型素子の製造方法であって、
    請求項12〜20のいずれかに記載の製造方法で圧電/電歪膜保持体を準備する準備工程と、
    前記固相担体の前記圧電/電歪膜保持体を導電性層を介することなく別の固相担体に接合し、前記結合領域に対して外部エネルギーを付与することにより前記固相担体の表面から前記別の固相担体に接合された不完全結合領域を分離し、次いで、前記不完全結合領域の露出された表面を導電性層を介して前記基板に接合する接合工程と、
    前記他の固相担体の表面から前記基板に接合された不完全結合領域を分離する分離工程と、
    を備える、製造方法。
  25. 個又は2個以上の前記圧電/電歪膜保持体の不完全結合領域を前記基板に転写する、請求項2224のいずれかに記載の製造方法。
  26. 前記圧電/電歪膜型素子は、2個以上の前記不完全結合領域を、所定のパターンで前記基板上に備える、請求項2225のいずれかに記載の製造方法。
  27. 請求項2226のいずれかに記載の圧電/電歪膜型素子の製造方法によって得られる、圧電/電歪膜型素子。
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