JP2009162523A - 圧電センサ及び感知装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】圧電センサ間において、測定対象物が吸着することによる圧電振動子の発振周波数の変化分のばらつきを抑え、測定対象物の量を高精度に検出することができる技術を提供すること。
【解決手段】本発明の圧電センサは、配線基板において圧電振動子の裏面側の引出電極と配線基板側の電極とが対向する部位に、導電性接着剤を収容するための凹部を備え、前記圧電片の周縁部が前記配線基板と密着した状態で前記凹部内の導電性接着剤と前記引出電極とが接着し、前記引出電極と前記電極とが電気的に接続されるように構成している。このようにすれば、水晶押さえ部材によって圧電片に加わる応力が圧電片の面内において均一に加わるようになり、圧電センサ間において水晶押さえ部材によって圧電片に加わる応力にばらつきが生じるといったおそれがない。
【選択図】図3

Description

本発明は、圧電片の一面側に設けられた励振電極が測定雰囲気に接すると共に、他面側に設けられた励振電極が気密空間に臨むように構成された圧電振動子を含み、この圧電振動子の固有振動数を検出することにより測定対象物を感知する圧電センサ及びこの圧電センサを用いた感知装置に関する。
試料液中における微量物質、例えばダイオキシンなどの環境汚染物質あるいはC型肝炎ウイルスやC−反応性タンパク(CPR)などの疾病マーカーの有無を感知したり、これら物質の測定を行うために、水晶振動子を含んだ水晶センサと、この水晶センサに電気的に接続され、当該水晶振動子を発振させるための発振回路などを含んだ測定器とを利用した測定法が広く知られている(例えば特許文献1)。
具体的に説明すると、前記測定法は、例えば板状の水晶片とその水晶片の一面側及び他面側に各々前記水晶片を挟むように設けられた一対の箔状の励振用の電極(励振電極)とを備えた、ランジュバン型と呼ばれる水晶振動子を含む水晶センサについて、一面側の電極が測定雰囲気(試料液)に接触すると共に、他面側の電極が気密空間に臨むように構成し、一面側の電極の表面に測定対象物である抗原を抗原抗体反応により捕捉する抗体を吸着層として形成し、この吸着層に抗原が捕捉され、その吸着量に応じて水晶振動子の固有振動数が変動する性質を利用するものである。そして測定対象物が吸着層に吸着する前の水晶振動子の固有振動数と測定対象物が吸着層に吸着した後の水晶振動子の固有振動数との差、即ち変化量を求め、この変化量に応じて測定対象物の有無あるいは濃度を検出している。
上記のように水晶振動子の一面側のみを測定雰囲気に接触させ、他面側を気密空間に臨むように構成するのは、水晶振動子が安定して発振するためにはこのような構成とすることが好ましいからである。なお、上記の測定においては励振電極の表面に吸着層を設け、その吸着層へ測定対象物を化学的に吸着させて測定を行っているが、前記一面側の電極の表面に直接試料液中の測定対象物が、物理的に吸着することに基づいて測定を行う場合もある。具体的には、水晶センサの開発段階において、電極自体の表面に抗体を物理的に吸着させて吸着層を形成し、この電極の表面に付着している抗体の吸着量を求める場合である。
図11は、前記水晶センサに設けられた水晶振動子の周辺の構成の一例を示したものである。図11中の11は配線基板であり、この配線基板11上に水晶振動子1が載置されている。この水晶振動子1は、板状の水晶片10の一面側及び他面側に、一方の励振電極12及び他方の励振電極13が夫々形成され、一面側の一方の励振電極12に接続されると共に前記水晶片10の一面側から当該水晶片10の端部を介して他面側まで引き出された一方の引出電極12aと、他面側の他方の励振電極13に接続されると共に当該水晶片10の端部を介して一面側まで引き出された他方の引出電極13aとが形成されており、前記引出電極12a,13aが導電性接着剤14を介して配線基板11側に設けられた電極11aに電気的に接続されている。
図11中の15は配線基板11を厚さ方向に穿孔された貫通孔であり、図11中の15aは基板11の裏面側から貫通孔15を塞ぐ封止部材である。これら封止部材15a、貫通孔15及び水晶振動子1に囲まれる領域は気密空間を構成しており、その水晶振動子1の裏面側の励振電極13は、この気密空間に面している。図11中の16は例えばゴム等からなる板状の水晶押さえ部材であり、水晶振動子1を基板11に押圧して、その位置を固定している。
図11中の17は、水晶押さえ部材16を厚さ方向に貫くように設けられた開口部であり、水晶振動子1の表面側の励振電極12に面している。図11中の18は水晶押さえ部材16の環状の突起である。そして前記開口部17及び環状突起18に囲まれる液収容空間19に所定量の試料液が収容され、前記励振電極12が測定雰囲気に接するようになっている。
ところで上記のような水晶センサにおいて、次のような問題がある。上記水晶センサは、導電性接着剤14を介して配線基板11に載置されるため、水晶センサ間において、導電性接着剤14の高さを揃えることが困難である。即ち、上記の水晶センサでは導電性接着剤14の高さのばらつきを避け難い。水晶センサ間において、引出電極12a,13aと電極11aとが対向する部位に塗布される導電性接着剤14の高さにばらつきがあると、水晶押さえ部材16から基板11までの距離は一定なので、水晶押さえ部材16の復元力による応力がばらついてしまう。このため、抗原が吸着層に吸着する前の水晶振動子の固有振動数fと抗原が吸着層に吸着した後の水晶振動子の固有振動数fとの差である周波数変化量(Δf)を求めるにあたって、吸着量に対するfの変化量が、水晶片10に加わる応力に応じて変わってしまい、抗原の量を高精度に検出することができない。
また水晶センサの開発段階で一方の励振電極12自体の表面に抗体を付着させて抗体の吸着量を求める場合においても、上述と同様の理由により抗体の量を高精度に検出することができない。
一方、特許文献2には、容器内に装着され励振電極が両面に付された圧電板と、導電性接着剤で固着された前記圧電板を、前記容器内にてその底板との間に空隙を保持して支持する支持台とを有する圧電振動子において、導電性接着剤で固着する支持台の上面に導電性接着剤用の塗布幅をもった溝を設け、圧電板と支持台とを重ね合わせて固着する際の導電性接着剤の拡張を防止することが記載されているが、押さえ部材で圧電振動子を基板に押圧する構成にある圧電センサにおいて、上述したような課題があることについては何ら示唆も記載もされていない。
特開2006−194866 特開平5−283967(段落0009、0012及び図1)
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、ランジュバン型の圧電振動子を含み、測定対象物が前記圧電振動子の一面側の励振電極に接触することにより圧電振動子の固有振動数が変化することに基づいて試料液中の測定対象物を検知する圧電センサであって、圧電センサ間において、測定対象物が吸着することによる圧電振動子の発振周波数の変化分のばらつきを抑え、測定対象物の量を高精度に検出することができる技術を提供することにある。
本発明は、試料液中の測定対象物を検知するために測定器本体に電気的に接続される圧電センサにおいて、
前記測定器本体に接続される接続端子部が設けられると共に、その一面側に、前記接続端子部に電気的に接続された電極及び気密空間を構成するための凹部が設けられた配線基板と、
板状の圧電片の一面側及び他面側に一方の励振電極及び他方の励振電極が夫々形成され、一面側の一方の励振電極に接続されると共に前記圧電片の一面側から当該圧電片の端部を介して他面側まで引き出された一方の引出電極と、他面側の他方の励振電極に接続されると共に前記圧電片の端部まで引き出された他方の引出電極とが形成され、他面側の他方の励振電極が前記凹部に臨むように当該凹部を塞いだ状態で配線基板に設けられた圧電振動子と
前記圧電振動子の一面側を底面とする液収容空間を形成すると共に、この液収容空間を囲むように設けられた弾性素材からなる押さえ部材と、
配線基板と対向して前記押さえ部材を覆い、その表面に前記液収容空間に連通し、試料液を前記液収容空間に注入するための注入口が設けられた液注入用カバーと、を備え、
前記配線基板は、前記一方の引出電極及び他方の引出電極と前記電極とが対向する部位に、導電性接着剤を収容するための凹部を備え、
前記圧電片の周縁部が前記配線基板と密着した状態で前記凹部内の導電性接着剤と前記引出電極とが接着し、前記引出電極と前記電極とが電気的に接続されることを特徴とする。
また本発明の感知装置は、上述した圧電センサと、圧電振動子の固有振動数を検出し、その検出結果に基づいて試料液中の測定対象物を検知する測定器本体と、を備えたことを特徴とする。
本発明の圧電センサは、配線基板において圧電振動子の裏面側の引出電極と配線基板側の電極とが対向する部位に、導電性接着剤を収容するための凹部を備え、前記圧電片の周縁部が前記配線基板と密着した状態で前記凹部内の導電性接着剤と前記引出電極とが接着し、前記引出電極と前記電極とが電気的に接続されるようにしている。このようにすれば、水晶押さえ部材によって圧電片に加わる応力が圧電片の面内において均一に加わるようになり、圧電センサ間において水晶押さえ部材によって圧電片に加わる応力にばらつきが生じるといったおそれがない。その結果、圧電センサ間において、測定対象物が吸着することによる圧電振動子の発振周波数の変化分のばらつきが抑えられ、測定対象物の量を高精度に検出することができる。
本発明に係る圧電センサの一例である水晶センサの実施の形態について、図1から図4を用いて説明する。図1は本発明に係る圧電センサの一例である水晶センサ20を示した斜視図である。図2は水晶センサ20の各部品の上面側を示した分解斜視図であり、この図2に示すように水晶センサ20は封止部材3A、配線基板3、圧電振動子である水晶振動子2、水晶押さえ部材4、液注入用カバー5の各部品がこの順に下から重ね合せることにより構成される。
水晶振動子2は、圧電片である水晶片21、励振電極22,23及び引出電極24,25により構成されている。図2及び図3に示すように、水晶片21は例えば等価厚みが1μm〜300μm、好ましく185μmであり、円形状に形成されている。水晶片21の一面側及び他面側には箔状の一方の励振電極22及び他方の励振電極23が夫々貼着して当該水晶片21よりも小径の円形状に形成されている。また水晶片21の一面側には、箔状の一方の引出電極24の一端側が前記一方の励振電極22に接続されて形成され、この引出電極24は、水晶片21の端面に沿って屈曲され、水晶片21の他面側(裏面側)に回し込まれている。
さらに水晶片21の他面側には、箔状の他方の引出電極25の一端側が前記他方の励振電極23に先の一方の引出電極24と同様のレイアウトで接続されて形成され、水晶片21の両面において、励振電極22(23)及び引出電極24(25)のレイアウトが同じになっている。
前記励振電極22,23及び引出電極24,25の等価厚みは例えば0.2μmであり、電極材料としては例えば金(Au)が用いられる。
また、後述するように励振電極22は、試料液が供給される液収容空間45に面するように設けられるため、当該励振電極22上には抗原を抗原抗体反応により捕捉する抗体が吸着層として形成されており、さらに抗体の隙間にはブロッキング用の物質(ブロック体)が吸着している。そして吸着層に測定対象物が吸着されると、測定対象物の吸着量に応じて水晶振動子2の周波数が変化するようになっている。
次に配線基板3について説明する。この配線基板3は例えばプリント基板により構成され、その表面の前端側から後端側に向けて電極31、電極32が間隔をおいて設けられている。また前記配線基板3の電極31,32が設けられている部位には、導電性接着剤8を収容するための凹部である例えば矩形状の溝部7が形成されており、図3に示すようにこの溝部7の底面及び側面に前記電極31,32が一体的に形成されている。前記配線基板3の電極31,32の間には、これら電極31,32と間隔をおいて、配線基板3の厚さ方向に穿孔された貫通孔33が形成されている。この貫通孔33は、後述するように水晶振動子2の裏面側の励振電極23が臨む気密空間をなす凹部を構成するものであり、その口径は、励振電極23が収まる大きさに形成されている。
また前記電極32が形成されている箇所よりも後端側寄りには、2本の並行するライン状の導電路パターンが、夫々接続端子部34,35として形成されている。一方の接続端子部34はパターン34aを介して電極31と電気的に接続されており、他方の接続端子部35はパターン35aを介して電極32と電気的に接続されている。
図2中の36は例えばレジストを用いたフォトリソグラフィにより形成された堰であり、水晶振動子2の外形に沿って形成されている。前記堰36は、水晶振動子2の位置合わせをする役割を有し、この堰36に囲まれる領域に水晶振動子2が載置される。図2中の37a,37b,37cは係合孔であり、配線基板3の厚さ方向に穿孔されている。これら係合孔37a,37b,37cは、カバー5の下面に設けられた係合突起51a,51b,51cに夫々係合する。また図2中の38a,38b,38cは配線基板3の周縁に形成された切欠き部である。またカバー5の下面の周縁部には内側に屈曲した爪部52a,52b,52cが設けられており、切欠き部38a,38b,38cは、これら爪部52a,52b,52cに夫々係合する。
前記封止部材3Aは、フィルム状の部材であり前記貫通孔33と共に気密空間をなす凹部を構成する。
続いて水晶押さえ部材4について説明する。水晶押さえ部材4は、例えばシリコンゴムにより形成されており、配線基板3に対応した形状に構成されている。具体的に説明すると、この水晶押さえ部材4は、切欠き部38a,38b,38cに夫々対応する矩形状の切欠き部41a,41b,41cを夫々備えた板状に形成されている。また、これら切欠き部41b,41cが形成された側を後方側とすると、切欠き部41aは水晶押さえ部材4の前方側の一縁の中央に形成されている。
図4は水晶押さえ部材4の下面側を示した斜視図であり、この図も参照しながら押さえ部材4の構成を説明する。図3及び図4に示すように水晶押さえ部材4の下面には水晶振動子2を収容する凹部42が形成されている。この凹部42の天井面部(図4の向きで説明すれば底面部)の中央には、配線基板3の上面における前記貫通孔33よりも一回り大きい環状突起43が設けられている。この環状突起43は、水晶振動子2を前記配線基板3の貫通孔33を囲む領域に押し付けて、水晶振動子2の位置を固定する役割を有する。
また図2、図3及び図4に示すように水晶押さえ部材4の表面側には、開口部44が形成されており、この開口部44は、環状突起43に囲まれる空間に連通している。
前記開口部44の周面44a及び環状突起43の内周面43aは、内側下方に向かって傾斜している。つまり開口部44及び環状突起43の径は下方に向かうにつれて小さくなっている。また環状突起43の先端部47は水晶片20の周縁部を押圧している。また周面43a、44a及び水晶振動子2により囲まれる領域は、試料液を収納する液収容空間45を構成している。
また図2中の46a,46bは押さえ部材4を厚さ方向に貫通するように穿孔された係合孔であり、前記配線基板3の係合孔37a,37b及び液注入用カバー5の係合突起51a,51bに対応するように形成されている。図2中の46cは後方側の一縁の中央に形成された弧状の切欠き部であり、配線基板3の係合孔37c及び液注入用カバー5の係合突起51cに対応している。
次に液注入用カバー5の構成について説明する。前記カバー5は、例えばポリカーボネイトにより構成され、その上面の前側、後側には試料液の注入口53、確認口54が夫々形成されている。図3に示すようにカバー5の下面にはカバー5の長さ方向に沿って溝である注入路55が形成されており、この注入路55の一端、他端は、注入口53、確認口54に夫々接続されている。また注入路55は開口部44に面するように設けられており、注入口53に注入した試料液は注入路55を介して液収容空間45に供給されるようになっている。また所定量の試料液が水晶センサ20に供給されると、確認口54にその試料液の液面が現れ、このセンサ20への液の供給の有無を確認できるようになっている。
カバー5の下面には注入路55を囲む環状の堰56が設けられており、この堰56は水晶押さえ部材4にめり込んで、注入口51に注入された試料液が液注入用カバー5と押さえ部材4との間から漏れることを防ぐ役割を有する。
上記の水晶センサ20は次のようにして組み立てられる。先ず封止部材3Aにより配線基板3の貫通孔33を塞ぎ、基板3に凹部を形成する。続いて配線基板3の溝部7内に所定量の導電性接着剤8を塗布する。しかる後、水晶振動子2側の引出電極24,25が配線基板3側の電極31,32に重なり且つ水晶振動子2の裏面側の励振電極23が前記凹部に重なるように、水晶振動子2を配線基板3に載置する。
次に液注入用カバー5の係合突起51a〜51cを水晶押さえ部材4の係合孔46a,46b及び切欠き部46cに係合させ、液注入用カバー5と押さえ部材4とを重ね合わせた後、液注入用カバー5の爪部52a,52b,52cと配線基板3の切欠き部38a,38b,38cとを嵌合させるように被わせて配線基板3に向かって押圧する。これにより液注入用カバー5の各爪部52a〜52cが配線基板3の外側へと撓み、さらに各爪部52a〜52cが各切欠き部38a〜38cを介して配線基板3の周縁部の下面に回り込むと同時に各爪部52a〜52cが、内方側への復元力により元通りの形状になり、配線基板3が各爪部52a〜52cに挟み込まれて互いに係止されると同時に、配線基板3とカバー5とに挟まれた押さえ部材4がこれらに押圧される。
押圧された押さえ部材4の弾性により、環状突起43が、水晶振動子2の表面における前記凹部の外側部位を配線基板3側に押し付けることにより、水晶振動子2の位置が固定されると共に、その周縁部が配線基板3と密着して、貫通孔33と封止部材3Aとにより構成される凹部が気密空間となり、水晶振動子2の裏面側の励振電極23がこの気密空間に臨むと共に、前記溝部7内の導電性接着剤8と水晶振動子2の裏面側の引出電極24,25とが接着し、前記引出電極24,25と配線基板3側の電極31,32とが電気的に接続される。
また測定前に水晶振動子2に注入口53及び確認口54から侵入した不純物が付着するのを防ぐために、注入口53及び確認口54はフィルム状の保護シートで被覆される。
本実施の形態における水晶センサ20が使用される際には、作業者が例えば注入器により液注入用カバー5の注入口53に試料液を注入する。注入口53に注入された試料液は、開口部44及び環状突起43により構成される試料液の液収容空間45に供給され、水晶振動子2の表面側の励振電極22が当該試料液に接する。
上述の実施の形態によれば、配線基板3において水晶振動子2の裏面側の引出電極24,25と配線基板3側の電極31,32とが対向する部位に、導電性接着剤8を収容するための溝部7を備え、前記水晶片21の周縁部が前記配線基板3と密着した状態で前記溝部7内の導電性接着剤8と前記引出電極24,25とが接着し、前記引出電極24,25と前記電極31,32とが電気的に接続されるようにしている。このようにすれば、水晶押さえ部材4によって水晶片21に加わる応力が水晶片21の面内において均一に加わるようになり、水晶センサ20間において水晶押さえ部材4によって水晶片21に加わる応力にばらつきが生じるといったおそれがない。その結果、後述する実施例に示すように水晶センサ20間における、測定対象物が吸着することにより水晶振動子2の発振周波数が変化した後の水晶振動子2の周波数安定度のばらつきが抑えられる。
なお、上記の水晶センサ20において水晶押さえ部材4はゴム以外の弾性体によって構成されてもよい。
上述した水晶センサ20は、例えばブロック図である図5で示されるような構成を持つ測定器本体6に接続されることで感知装置の検知部として使用される。図5中の62は、水晶センサ20の水晶片21を発振させる発振回路、63は基準周波数信号を発生する基準クロック発生部、64は例えばヘテロダイン検波器からなる周波数差検出手段であり、発振回路62からの周波数信号及び基準クロック発生部63からのクロック信号に基づいて両者の周波数差に対応する周波数信号を取り出す。65は増幅部、66は増幅部65からの出力信号の周波数をカウントするカウンタ、67はデータ処理部である。
水晶センサ20の周波数としては例えば9MHzが選ばれ、また基準クロック発生部63の周波数としては例えば10MHzが選ばれる。測定対象物例えばダイオキシンが水晶センサ20の水晶振動子2に設けられた上述の吸着層に吸着していないときには、周波数差検出手段64では、水晶センサ側からの周波数と基準クロックの周波数との差である1MHzの周波数信号(周波数差信号)が出力されるが、試料溶液に含まれる測定対象物が水晶振動子2の吸着層に吸着すると、水晶振動子2の固有振動数が変化し、このため周波数差信号も変化するので、カウンタ66におけるカウント値が変化し、こうして測定対象物の濃度あるいはその物質の有無を検知できる。
図6は上述の測定器本体6の一例を示す図である。図6(a)で示されるように当該測定器本体6は、本体部68と本体部68の前面に形成されている開閉自在の蓋部69とからなる。蓋部69を開くと、図6(b)に示すように本体部68の前面が現れる。この本体部68の前面には当該水晶センサの差込口60が複数形成されており、当該差込口は、例えば8つ、直線状に一定の間隔を持って形成されている。
測定器本体6の各差込口60に対して、各水晶センサ20の配線基板3の後端側を水平に一定の深さまで差し込むことで、基板3の接続端子部34,35と差込口60の内部に形成された電極とが電気的に接続されると同時に、差込口60の内部が配線基板3を挟持することで水晶センサ20が水平を保ったまま測定器本体6に固定される。
このように上述した水晶センサ20を用いて感知装置を構成することで、複数この例では8つの水晶センサ20における、測定対象物が吸着することにより水晶センサ20の発振周波数が変化した後の水晶センサ20の周波数安定度のばらつきが殆どないため、濃度の異なる8つの測定対象物を夫々8つの水晶センサ20を用いて測定するにあたって、8つの測定対象物の周波数の変化量を正確に測定することができる。
本発明の効果を確認するために行った実験について説明する。
A.実験1
(実施例)
上述した水晶センサ20を用いて周波数測定を行った。この周波数測定は、先ず水晶センサ20の注入口53に緩衝溶液であるpH6.7のPBS溶液を0.12m注入する。これにより水晶振動子2の環境雰囲気が気相から液相に変わり、それに伴って水晶振動子2の発振周波数が低くなる。次に水晶センサ20の注入口53に抗原であるP蛋白が100μg/ml含まれている試料溶液を0.6ml注入する。前記P蛋白は水晶振動子2の表面の吸着層に捕獲され、その吸着量に応じて水晶振動子2の発振周波数が変化する。
上述した周波数測定を3つの水晶センサ20に対して夫々行った、この結果を図7に示す。図7の縦軸は周波数(Hz)であり、横軸は時間(秒)である。
(比較例)
図11に示す従来の水晶センサ、つまり配線基板において水晶振動子の裏面側の引出電極と配線基板側の電極とが対向する部位に、導電性接着剤を収容するための溝部は形成されておらず、水晶振動子が導電性接着剤を介して配線基板に載置した構造にある水晶センサを用いて、実施例と同様にして周波数測定を行った。この周波数測定を3つの従来の水晶センサに対して夫々行った。この結果を図8に示す。図8の縦軸は周波数(Hz)であり、横軸は時間(秒)である。
(結果及び考察)
図8に示すように比較例では、3つの従来の水晶センサにおいて、P蛋白が吸着層に吸着して水晶振動子の発振周波数が変化した後の水晶振動子の発振周波数を観察すると、P蛋白の濃度が同じであるにもかかわらず、3つの水晶センサは夫々異なった周波数で安定していることが分かる。つまり3つの水晶センサにおいてP蛋白が吸着層に吸着することにより水晶振動子の発振周波数が変化した後の水晶振動子の周波数安定度にばらつきがあることが分かる。
一方、図7に示すように実施例では、3つの水晶センサ20において、P蛋白が吸着層に吸着して水晶振動子2の発振周波数が変化した後の水晶振動子2を観察すると、3つの水晶センサは夫々略同じ周波数で安定していることことが分かる。つまり3つの水晶センサ20においてP蛋白が吸着層に吸着することにより水晶振動子2の発振周波数が変化した後の水晶振動子2の周波数安定度にばらつきが殆どないことが分かる。
B.実験例2
(実施例)
上述した水晶センサ20を用いて、当該水晶センサ20の周波数安定度を確認する実験を行った。この実験は、水晶センサ20の注入口53に試薬であるpH7.2のPBS溶液を0.12ml注入し、水晶振動子2の環境雰囲気が気相から液相に変わった後の水晶振動子2の発振周波数を観察している。
上述した実験を3つの水晶センサ20に対して夫々行った。各水晶センサ20に対する実験を夫々実施例1−1、実施例1−2及び実施例1−3とし、この結果を図9に示す。
(比較例)
図11に示す従来の水晶センサ、つまり配線基板において水晶振動子の裏面側の引出電極と配線基板側の電極とが対向する部位に、導電性接着剤を収容するための溝部は形成されておらず、水晶振動子が導電性接着剤を介して配線基板に載置した構造にある水晶センサを用いて、実施例と同様にして当該水晶センサの周波数安定度を確認する実験を行った。この実験を3つの従来の水晶センサに対して夫々行った。各水晶センサに対する実験を夫々比較例1−1、比較例1−2及び比較例1−3とし、この結果を図9に示す。
(結果及び考察)
図9は実施例1−1〜1−3及び比較例1−1〜1−3において、試薬を投入してから10分後の水晶振動子の発振周波数と、試薬を投入してから15分後の水晶振動子の発振周波数と、試薬を投入してから10分後の水晶振動子の発振周波数と試薬を投入してから15分後の水晶振動子の発振周波数との差である変化量(ΔF)と、を夫々示している。図9に示すように実施例1−1、実施例1−2及び実施例1−3の変化量(ΔF)は、夫々0.32Hz、2.61Hz、1.18Hzであり、比較例1−1、比較例1−2及び比較例1−3の変化量(ΔF)は、夫々4.00Hz、3.75Hz、4.65Hzであり、この結果から実施例の方が比較例よりも変化量(ΔF)が小さいことが分かる。つまり実施例の水晶センサは比較例の水晶センサに比べて水晶センサの周波数安定度が高いことが分かる。なお、図10に実施例1−1及び比較例1−1における水晶振動子の環境雰囲気が気相から液相に変わった後の水晶振動子の発振周波数を示しておく。図10に示すように比較例の水晶センサでは周波数が徐々に高くなっているのに対して、実施例の水晶センサでは周波数の上昇がなく、安定していることが分かる。
本発明の実施の形態に係る水晶センサの斜視図である。 前記水晶センサの分解斜視図である。 前記水晶センサの縦断側面図である。 前記水晶センサを構成する水晶押さえ部材の裏面側の斜視図である。 前記水晶センサを含む感知装置のブロック図である。 前記感知装置の斜視図である。 本発明の効果を確認するために行った実験結果を示す説明図である。 本発明の効果を確認するために行った実験結果を示す説明図である。 本発明の効果を確認するために行った実験結果を示す説明図である。 本発明の効果を確認するために行った実験結果を示す説明図である。 従来の水晶センサの要部を示す概略縦側面図である。
符号の説明
20 水晶センサ
2 水晶振動子
21 水晶片
22,23 励振電極
24,25 引出電極
3 配線基板
4 水晶押さえ部材
43 環状突起部
44 開口部
45 液収容空間
5 液注入用カバー
6 測定器本体
7 溝部
8 導電性接着剤

Claims (2)

  1. 試料液中の測定対象物を検知するために測定器本体に電気的に接続される圧電センサにおいて、
    前記測定器本体に接続される接続端子部が設けられると共に、その一面側に、前記接続端子部に電気的に接続された電極及び気密空間を構成するための凹部が設けられた配線基板と、
    板状の圧電片の一面側及び他面側に一方の励振電極及び他方の励振電極が夫々形成され、一面側の一方の励振電極に接続されると共に前記圧電片の一面側から当該圧電片の端部を介して他面側まで引き出された一方の引出電極と、他面側の他方の励振電極に接続されると共に前記圧電片の端部まで引き出された他方の引出電極とが形成され、他面側の他方の励振電極が前記凹部に臨むように当該凹部を塞いだ状態で配線基板に設けられた圧電振動子と
    前記圧電振動子の一面側を底面とする液収容空間を形成すると共に、この液収容空間を囲むように設けられた弾性素材からなる押さえ部材と、
    配線基板と対向して前記押さえ部材を覆い、その表面に前記液収容空間に連通し、試料液を前記液収容空間に注入するための注入口が設けられた液注入用カバーと、を備え、
    前記配線基板は、前記一方の引出電極及び他方の引出電極と前記電極とが対向する部位に、導電性接着剤を収容するための凹部を備え、
    前記圧電片の周縁部が前記配線基板と密着した状態で前記凹部内の導電性接着剤と前記引出電極とが接着し、前記引出電極と前記電極とが電気的に接続されることを特徴とする圧電センサ。
  2. 請求項1に記載の圧電センサと、圧電振動子の固有振動数を検出し、その検出結果に基づいて試料液中の測定対象物を検知する測定器本体と、を備えたことを特徴とする感知装置。
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