JP2009162200A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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宏幸 田中
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Abstract

【課題】要求出力部から出力された複数の要求の調停結果と実際の制御結果との間に誤差が生じた場合であっても、複数の要求の実現度が大幅に低下することを抑制することが可能な内燃機関の制御装置を提供する。
【解決手段】要求出力部から出力された複数の要求は、要求値の範囲と、該範囲内の各要求値の期待度を表す期待値の分布とでそれぞれ規定されている。調停部は、同じ物理量で表現された複数の要求値の加算和Dを算出する。そして、調停部は、所定範囲R内の加算和Dの変化量を基準値以下にする該所定範囲Rの中心点である特定点を求め、最大の特定点P2に対応する要求値E2に調停する。
【選択図】図3

Description

本発明は、内燃機関の制御装置に係り、特に内燃機関の機能に関する複数の要求を調停する調停処理に関する。
駆動滑り制御や走行動特性制御のような要求発生源から出力された複数の要求(トルク要求)から、車両駆動ユニットの1つの目標値(目標トルク)を生成する装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。この装置では、複数の要求に優先順位が予め割り当てられる。そして、優先順位の順序にしたがって要求が考慮され、1つの目標値に調停される。よって、この装置によれば、全ての要求を考慮することができる。
特開2004−52769号公報
しかしながら、上記特許文献1では、低い優先順位の要求から高い優先順位の要求へと処理が行われる。このため、要求に優先順位を設定することができない場合や、複数の要求に対して同一の優先順位が設定されている場合には、調停を行うことができない可能性がある。
また、上記特許文献1では、各要求により目標値の制限やシフトがなされる。よって、最も高い優先順位が付された要求の範囲に目標値が算出されてしまうことが多く、比較的低い優先順位が考慮されない可能性が高くなってしまう。
また、上記特許文献1では、調停により得られる制御目標値と、実際の制御結果との間に生じ得る誤差について何ら考慮されていない。かかる誤差により、要求発生源から出力された複数の要求の実現度が大幅に低下する可能性がある。
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、要求出力部から出力された複数の要求の調停結果と実際の制御結果との間に誤差が生じた場合であっても、複数の要求の実現度が大幅に低下することを抑制することが可能な内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、内燃機関の制御装置であって、
内燃機関の機能に関する複数の要求を物理量で表現して出力する要求出力部と、
前記要求出力部から出力された要求のうち同じ物理量で表現された複数の要求を集約して、予め定められた規則に従って1つの要求値に調停する調停部とを備え、
前記要求出力部から出力される各要求は、要求値の範囲と、該範囲内の各要求値の期待度を表す期待値の分布とで規定されており、
前記調停部は、同じ物理量で表現された複数の要求の期待値の加算和を算出し、所定範囲内の該加算和の変化量を基準値以下にする該所定範囲の中心点である特定点を求め、最大の特定点に対応する要求値に調停することを特徴とする。
また、第2の発明は、第1の発明において、
前記調停部は、前記物理量の種類に応じて、前記所定範囲を設定する所定範囲設定手段を有することを特徴とする。
また、第3の発明は、第2の発明において、
前記所定範囲設定手段は、前記物理量の種類と前記内燃機関の運転状態に応じて、前記所定範囲を設定することを特徴とする。
また、第4の発明は、第1から第3の何れか一の発明において、
前記要求出力部は、出力する各要求に、前記調停部により調停される際に考慮される重みを設定し、
前記調停部は、前記重みを反映した要求の加算和を算出することを特徴とする。
第1の発明では、要求出力部から出力される内燃機関の機能に関する複数の要求が、要求値の範囲と、該範囲内の各要求値の期待度を表す期待値の分布とで規定されている。そして、同じ物理量で表現された複数の要求の期待値の加算和が調停部によって算出される。さらに、調停部により、所定範囲内の該加算和の変化量を基準値以下にする該所定範囲の中心点である特定点を求め、最大の特定点に対応する要求値に調停される。すなわち、調停時に加算和の変化量を考慮することで、調停結果である要求値と実際の制御結果との間に生じ得る誤差の影響が考慮される。従って、調停結果と実際の制御結果に誤差が生じた場合であっても、要求出力部から出力された複数の要求の実現度が大幅に低下することを抑制することができる。
第2の発明では、要求を表現する物理量の種類に応じて所定範囲が設定される。ここで、物理量の種類によって制御に用いるアクチュエータが異なり、実際の制御結果の精度が異なるため、調停結果である要求値と実際の制御結果との間に生じ得る誤差の大きさが異なる。従って、所定範囲に物理量の種類が考慮されていない場合に比して、所定範囲を精度良く算出することができるため、要求出力部から出力された要求の実現度の低下を更に抑制することができる。
第3の発明では、物理量の種類に加えて内燃機関の運転状態に応じて所定範囲が設定される。ここで、物理量の種類だけでなく、内燃機関の運転状態によっても実際の制御結果の精度が異なるため、調停結果と実際の制御結果との間に生じ得る誤差の大きさが異なる。従って、第2の発明よりも更に所定範囲を精度良く設定することができるため、要求出力部から出力された要求の実現度の低下を更に抑制することができる。
第4の発明では、要求出力部から出力される各要求には調停時に考慮される重みが設定されており、この重みを反映した期待値の加算和が調停部により算出される。よって、同じ物理量で表現された複数の要求の期待値を加算和に適切に反映させることができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。尚、各図において共通する要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1による内燃機関の制御装置1の構成を説明するためのブロック図である。図1に示す制御装置1は、図示しない内燃機関(エンジン)に適用されるものである。制御装置1は、図1に示すように、3つの階層10,20,30を有している。最上位の階層には要求出力部10が設けられ、その下位の階層には調停部20が設けられ、更にその下位の階層には制御量設定部30が設けられている。また、制御量設定部30には、各種のアクチュエータ42,44,46が接続されている。
図1において矢印で示すように、制御装置1の要求出力部10、調停部20及び制御量設定部30の間では、信号の流れは一方向である。詳細には、要求出力部10から調停部20へと信号が伝達され、調停部20から制御量設定部30へと信号が伝達される。また、これらの階層(要求出力部10、調停部20及び制御量設定部30)とは独立して、共通信号配信部50が設けられている。共通信号配信部50は、要求出力部10、調停部20及び制御量設定部30に共通の信号を並列に配信するように構成されている。
ここで、制御装置1において伝達又は配信される信号について説明する。
先ず、要求出力部10、調停部20及び制御量設定部30の間を伝達される信号は、エンジンの機能に関する要求を信号化したものであり、最終的にはアクチュエータ42,44,46の制御量に変換される信号である。
これに対して、共通信号配信部50によって配信される信号は、要求出力部10において要求を発生させたり、制御量設定部30において制御量を演算したりする上で必要な情報を含む信号である。具体的には、エンジンの運転条件や運転状態に関する情報(エンジン回転数、吸入空気量、推定トルク、現時点の実点火時期、冷却水温、バルブタイミング、運転モード等)を含む信号である。これらの情報の情報源は、エンジンに設けられた各種のセンサや、制御装置1内部の推定機能等である。これらの情報は、各部10,20,30で共通に利用される共通エンジン情報であり、共通エンジン情報配信部52から配信される。
図1に示す要求出力部10は、エンジンの機能に関する要求を数値化して出力するものである。要求出力部10は、複数の要求出力要素12,14,16を有している。これらの要求出力要素12,14,16は、エンジンの機能毎に設けられている。エンジンの機能としては、ドライバビリティ(以下「ドラビリ」という。)、排気ガス、アイドリング(以下「アイドル」という。)、燃費、騒音、振動等が挙げられる。本実施の形態1の制御装置1には、ドラビリに関する機能に対応して要求出力要素(以下「ドラビリ要求出力要素」ともいう。)12が設けられ、排気ガスに関する機能に対応して要求出力要素(以下「排気ガス要求出力要素」ともいう。)14が設けられ、アイドルに関する機能に対応して要求出力要素(以下「アイドル要求出力要素」ともいう。)16が設けられている。
ここで、エンジンの出力には、トルク以外にも熱と排気ガスが含まれる。これらの全体によって、前述のドラビリ、排気ガス、アイドルといったエンジンの各種の機能が決定される。よって、エンジンの出力を制御するためのパラメータは、トルク、効率及び空燃比の3種の物理量に集約することができる。効率の詳細については、後述する。かかる3種の物理量を用いて要求を表現し、アクチュエータ42,44,46の動作を制御することで、エンジンの出力に要求を確実に反映させることが可能である。そこで、本実施の形態1では、要求の表現に使用する物理量として、トルク、効率及び空燃比(A/F)の3種が用いられる。
ドラビリ要求出力要素12は、ドラビリに関する要求を、トルクで表現された要求(以下「トルク要求」という。)や効率で表現された要求(以下「効率要求」という。)として出力する。排気ガス要求出力要素14は、排気ガスに関する要求を、効率要求や空燃比で表現された要求(以下「空燃比要求」という。)として出力する。アイドル要求出力要素16は、アイドルに関する要求を、効率要求や空燃比要求として出力する。
なお、各要求出力要素12,14,16から出力される要求値は、各物理量(トルク,効率,空燃比)につき1つには限定されない。例えば、物理量:トルクに関して、要求出力要素12からは、ドライバからの要求トルク(アクセル開度から計算されるトルク)だけでなく、VSC(Vehicle Stability Control system)、TRC(Traction Control System)、ABS(Antilock Brake System)、トランスミッション等の車両制御にかかる各種デバイスから要求されるトルクも同時に出力されている。
要求出力部10には共通エンジン情報配信部52から共通エンジン情報が配信されている。各要求出力要素12,14,16では、この共通エンジン情報を参照して出力すべき要求を決定(発生)している。要求の内容が、エンジンの運転条件や運転状態によって変化するためである。例えば、図示しない触媒温度センサにより触媒温度が測定されている場合、触媒温度の情報が上記共通エンジン情報に含まれると共に共通エンジン情報発信部52から発信される。そして、要求出力要素14,16では、その温度情報に基づいて触媒の暖機の必要性を判定し、その判定結果に応じて効率要求や空燃比要求を出力する。
上述したように、要求出力部10から、複数のトルク要求、効率要求及び空燃比要求が出力される。しかし、それらの要求を全て同時に完全に実現することはできない。複数のトルク要求があったとしても実現できるトルクは1つだからである。同様に、複数の効率要求に対して実現できる効率は1つであり、複数の空燃比要求に対して実現できる空燃比は1つである。このため、要求の調停という処理が必要となる。すなわち、複数の要求を集約して、1つの要求値に調停する必要がある。
要求出力部10から出力される複数の要求の調停は、要求出力部10よりも下位階層の調停部20で行なわれる。本実施の形態1の調停部20は、図1に示すように、要求の分類である3種の物理量(トルク、効率及び空燃比)にそれぞれ対応する調停要素22,24,26を有している。トルク調停要素22は、複数のトルク要求を集約し、予め定められた規則に従って1つのトルク要求値に調停するものである。また、効率調停要素24は、複数の効率要求を集約し、予め定められた規則に従って1つの効率要求値に調停するものである。そして、空燃比調停要素26は、複数の空燃比要求を集約し、予め定められた規則に従って1つの空燃比要求値に調停するものである。
以下、図2及び図3を参照して、調停部20の効率調停要素24で行われる効率要求の調停処理の例について説明する。
図2及び図3は、本実施の形態1において、調停部20の効率調停要素24による効率要求の調停処理を説明するための図である。詳細には、図2(A)は、アイドル要求出力要素16から出力された効率要求(以下「アイドル効率要求」という。)Aを、図2(B)は、排気ガス要求出力要素14から出力された効率要求(以下「排気ガス効率要求」という。)Bを、それぞれ示している。図2(C)は、ドラビリ要求出力要素12から出力された効率要求(以下「ドラビリ効率要求」という。)Cを、図2(D)は、これらの効率要求A,B,Cの加算和(すなわち、調停結果)Dを、それぞれ示している。
図2に示された各効率要求A〜Cは、要求値の範囲と、該範囲内の要求値の期待度(要求度)を表す期待値の分布とによって規定されている。各効率要求A〜Cにつき、期待値が大きい要求値は、期待値が小さい要求値に比して重要である。ここで、「要求値の範囲」とは、期待値がゼロよりも大きい要求値の範囲を意味し、内燃機関の機能(ドラビリ、排気ガス、アイドル)について何らかのメリットが得られる範囲である。よって、期待値が大きい要求値ほど、内燃機関の機能について大きなメリットを得ることができる。
ここで、「効率」とは、点火時期をMBTとした場合に出力されるトルクに対する現在のトルクの比率である。効率は0以上1以下の値をとるため、効率要求値も0以上1以下の値をとる。効率を1未満にしておくことで、点火時期の進角制御によりトルクアップ要求に対して瞬時に対応することができると共に、点火時期の遅角制御によりトルクダウン要求に対して瞬時に対応することができる。
(アイドル効率要求)
アイドル時には、点火時期をMBTよりも遅角側に設定することで、燃焼を安定化することができる。このため、効率を低下させておくことが好ましい。また、アイドル時には、外乱によりエンジン回転数が急激に低下した場合に、エンストを回避すべく急速にトルクアップできるように、効率を低下させておくことが好ましい。一方、効率を低下させすぎると、燃焼が悪化する可能性がある。これらを考慮して、図2(A)に示すようなアイドル効率要求Aが、アイドル要求出力要素16から出力される。
(排気ガス効率要求)
また、触媒暖機のためには、燃料を後燃えさせて排気温度を上昇させるべく、点火時期を遅角させておくことが好ましい。一方、効率を低下させすぎると、触媒温度が過上昇(OT)する可能性がある。また、シリンダ内での燃焼を抑えることでNOxを低減するため、効率を低下させておく要求もある。これらを考慮して、図2(B)に示すような排気ガス効率要求Bが、排気ガス要求出力要素14から出力される。
(ドラビリ効率要求)
また、ドラビリに関して、トルクアップ要求に瞬時に対応することはさほど要求されない。よって、図2(C)に示すように、ドラビリ要求出力要素12から出力されるドラビリ効率要求Cは、図2(A),(B)に示す効率要求A,Bに比して全体的に要求値が高くされている。
これらの効率要求A〜Cは、図1に示すように、調停部20の効率調停要素24に集約される。この効率調停要素24において、効率要求A〜Cが加算される。すなわち、要求値が0〜1の範囲において、効率要求A〜Cの期待値が加算される。この期待値の加算に際し、効率要求A〜Cに予め設定された重み係数が反映される。図2に示すように、アイドル効率要求Aに設定された重み係数は0.3であり、排気ガス効率要求Bに設定された重み係数は0.5であり、ドラビリ効率要求Cに設定された重み係数は1.0である。各効率要求A〜Cの期待値に重み係数を乗算した値を加算すると、図2(D)に示すような期待値の加算和Dが得られる。
このようにして得られた期待値の加算和Dが最大となるときの要求値E1(図2(D)参照)に調停することが考えられる。すなわち、期待値の加算和Dが最大となるときの効率要求値Eを調停結果として選択することが考えられる。
ところで、調停結果を実現するために用いられるアクチュエータ42,44,46の性能や制御バラツキにより、実際の制御結果(実際値)と調停結果(目標値)との間に誤差が生じ得る。かかる誤差により、調停結果が意味をなさなくなり、要求出力部10から出力された複数の要求の実現度が大幅に低下する可能性がある。
そこで、本実施の形態1では、以下に説明するように、加算和Dが最大となるときの効率要求値を無条件に調停結果として選択するのではなく、加算和Dの大きさと共に、所定範囲R内の加算和Dの変化量を考慮するようにする。
先ず、加算和Dが最大となる点Pを探索する。このとき、例えば、図3に示す点P1が探索されたとする。そして、この探索された点(以下「探索点」という。)P1近傍の所定範囲R内において、加算和Dの最大値Maxと最小値Minを取得する。つまり、探索点P1を中心とする所定範囲R内の最大値Maxと最小値Minを取得する。続いて、取得した最大値Maxと最小値Minの差分を算出する。すなわち、探索点P1近傍の所定範囲Rの加算和Dの変化量を算出する。
この算出された差分(変化量)が予め定められた基準値よりも大きい場合には、調停結果と実際の制御結果との間に生じ得る誤差により、複数の要求の実現度が大幅に低下する可能性があると判断される。すなわち、アクチュエータ42,44,46の性能や制御バラツキに起因して実際の制御結果が調停結果からずれてしまうと、複数の要求の実現度が大幅に低下し得ると判断される。この場合、探索点P1に対応する要求値を調停結果として選択するのではなく、他の点Pを探索する。すなわち、次に加算和Dが最大となる点Pを探索する。そして、その探索点Pにつき、上記と同様の処理を実行する。すなわち、探索点P近傍の所定範囲Rにおける加算和Dの差分が基準値以下となり、かつ、最大となる点Pの探索が続けられる。
なお、点Pを探索する際には、先ずは加算和Dの波形におけるピーク点を大きいものから順番に探索するようにしてもよい。すなわち、加算和Dのうちのピーク点間の谷の部分から点Pを探索する前に、ピーク点を優先して探索してもよい。
探索の結果、図3に示す探索点P2近傍の所定範囲R内の加算和Dの差分が基準値以下であったとする。この探索点P2のように、所定範囲R内の加算和Dの変化量が基準値以下となるときの該所定範囲Rの中心点Pを、以下「特定点」ともいう。加算和Dはかかる特定点を複数有しているが、複数の特定点のうちの最大の特定点がこの探索点P2である。この最大の特定点P2近傍における加算和Dの変化量は少ないため、アクチュエータ42,44,46の性能や制御バラツキに起因して実際の制御結果と調停結果との間に誤差が生じても、複数の要求の実現度の大幅な低下を抑制することができる。本実施の形態2では、この最大の特定点である探索点P2に対応する効率要求値E2が、調停結果として選択される。
上述したような詳細な具体例は省略するが、トルク調停要素22及び空燃比調停要素26においても同様の処理が行なわれる。
例えば、トルク調停要素22は、ドラビリ要求出力要素12から出力されたドラビリトルク要求と、図示しないその他のトルク要求(フューエルカット前トルク要求、フューエルカット復帰時トルク要求等)とを集約し、重み係数が反映された各要求の期待値の加算和を算出する。そして、所定範囲R内の加算和の変化量が基準値以下であるときの該所定範囲Rの中心点を特定点とするとき、最大の特定点に対応するトルク要求値を調停結果として選択する。
例えば、空燃比調停要素26は、ドラビリ空燃比要求とアイドル空燃比要求とを集約し、重み係数が反映された各要求の期待値の加算和を算出する。そして、所定範囲R内の加算和の変化量が基準値以下であるときの該所定範囲Rの中心点を特定点とするとき、最大の特定点に対応する空燃比要求値を調停結果として選択する。
ところで、調停部20にも共通エンジン情報配信部52から共通エンジン情報が配信されている。上述した効率調停要素24における調停処理では共通エンジン情報は利用されていないが、各調停要素22,24,26において共通エンジン情報を利用することは可能である。例えば、エンジンの運転条件や運転状態によって調停の規則を変更することができる。ただし、本実施の形態1では、エンジンの実現可能範囲を考慮して規則を変更することは行なわない。
上述の具体例からも明らかなように、効率調停要素24では、エンジンの実現可能範囲の上下限や、他の調停要素22,26による調停結果は加味せずに調停が行われている。エンジンの実現可能範囲の上下限はエンジンの運転条件によって変わり、また、トルク、効率及び空燃比間の関係によっても変化する。このため、エンジンの実現可能範囲に各要求値を調停しようとすると、計算機の演算負荷の増大を招いてしまう。そこで、各調停要素22,24,26では、要求出力部10から出力される要求のみを集約して調停しているのである。
上述の調停処理が各調停要素22,24,26において行なわれることで、調停部20からは1つのトルク要求値と、1つの効率要求値と、1つの空燃比要求値とが出力される。調停部20よりも下位階層の制御量設定部30では、調停結果であるトルク要求値、効率要求値及び空燃比要求値に基づいて、各アクチュエータ42,44,46の制御量が設定される。
制御量設定部30は、1つの調整部32と、複数の制御量演算要素34,36,38とを有している。これらの制御量演算要素34,36,38はアクチュエータ42,44,46に対応して設けられている。
図1に示すように、アクチュエータ42はスロットル弁であり、制御量演算要素34に接続されている。この制御量演算要素34では、制御量としてスロットル開度TAが演算される。また、アクチュエータ44は点火装置(点火プラグ)であり、制御量演算要素36に接続されている。この制御量演算要素36では、制御量として点火時期SAが演算される。また、アクチュエータ46は燃料噴射装置(インジェクタ)であり、制御量演算要素38に接続されている。この制御量演算要素38では、制御量として燃料噴射量が演算される。
各制御量演算要素34,36,38にて制御量の演算に使用される数値は、調整部32から供給される。調停部20から出力されたトルク要求値、効率要求値及び空燃比要求値は、まず、調整部32にて大きさを調整される。前述のように要求出力部10や調停部20ではエンジンの実現可能範囲は調停に加味されていないため、各要求値の大きさによっては、エンジンを適正に運転できない可能性があるからである。
調整部32は、エンジンの適正運転が可能になるように各要求値を相互の関係に基づいて調整するものである。制御量設定部30よりも上位階層の要求出力部10や調停部20では、トルク要求値、効率要求値及び空燃比要求値は夫々が独立に演算され、演算に係る要素間で演算値が相互に使用されたり参照されたりすることはなかった。つまり、調整部32において初めてトルク要求値、効率要求値、空燃比要求値が相互に参照されることになる。制御量設定部30にて調整を行なう場合には、調整対象がトルク要求値、効率要求値及び空燃比要求値の三つに限定される。よって、かかる調整部32による調整に要する演算負荷を小さくすることができる。
調整をどのように行なうかは設計に委ねられるものであって、本発明に関しては調整の内容に限定はない。ただし、トルク要求値、効率要求値及び空燃比要求値の間に優先順序がある場合には、より優先順位の低い要求値を調整(修正)するのが好ましい。つまり、優先順位が高い要求値はそのままアクチュエータ42,44,46の制御量に反映し、優先順位が低い要求値は調整した上でアクチュエータの制御量42,44,46に反映する。これによれば、エンジンの適正運転が可能な範囲内で、優先順位が高い要求は確実に実現しつつ、優先順位が低い要求も可能な限り実現することができる。例えば、トルク要求値が最も優先順位が高い場合には、効率要求値と空燃比要求値とを修正し、そのうちより優先順位が低いほうの修正を大きくする。エンジンの運転条件等によって優先順序が変わるのであれば、共通信号配信部50から配信される共通エンジン情報に基づいて優先順序を判定し、どの要求値を修正するのか決定すればよい。
[実施の形態1における具体的処理]
図4は、本実施の形態1において、調停部20が実行するルーチンを示すフローチャートである。本ルーチンは、所定間隔毎に起動されるものである。
図4に示すルーチンによれば、先ず、同一物理量の複数の要求を集約する(ステップ100)。このステップ100では、例えば、図2(A)に示されたアイドル効率要求Aと、図2(B)に示された排気ガス効率要求Bと、図2(C)に示されたドラビリ効率要求Cとが集約される。
次に、重み係数を考慮して、期待値の加算和を算出する(ステップ102)。このステップ102では、各要求の重み係数が乗算された期待値が加算される。例えば、重み係数0.3が乗算されたアイドル効率要求Aの期待値と、重み係数0.5が乗算された排気ガス効率要求Bの期待値と、重み係数1.0が乗算されたドラビリ効率要求Cの期待値とが加算される。このステップ102の処理により、例えば、図2(D)に示す加算和Dが得られる。
次に、加算和が最大となる点Pを探索する(ステップ104)。このステップ104では、例えば、図3に示す点P1が探索される。そして、この探索点P1近傍の所定範囲R内の最大値Maxと最小値Minとを取得する(ステップ106)。このステップ106では、例えば、図3に示す最大値Maxと最小値Minとが取得される。
次に、上記ステップ106で取得された最大値Maxと最小値Minの差分を算出する(ステップ108)。このステップ108では、所定範囲R内の加算和の変化量が算出される。そして、上記ステップ108で算出された差分(変化量)が基準値以下であるか否かを判別する(ステップ110)。このステップ110では、現在の探索点Pが、最大の特定点であるか否かが判別される。
上記ステップ110で差分が基準値よりも大きいと判別された場合には、探索点P1近傍の所定範囲R内の加算和の変化量が大きいと判断される。この場合、実際の制御結果と調停結果との間に生じる誤差によって、要求出力部10により出力された複数の要求の実現度が大幅に低下する可能性があると判断される。この場合、探索点P1に対応する要求値を調停結果として選択せずに、次に加算和Dが最大となる点Pを探索する(ステップ112)。その後、ステップ106の処理に戻る。
ステップ106では、上記ステップ112で求められた探索点P近傍の所定範囲R内の最大値Maxと最小値Minとが取得される。続いて、これらの最大値Maxと最小値Minの差分が算出され(ステップ108)、算出された差分が基準値以下であるか否かが再び判別される(ステップ110)。差分が基準値以下になるまで、これらのステップ110,106,108の一連の処理が繰り返し実行される。
上記ステップ112において、例えば、図3に示す点P2が探索されたとする。そうすると、上記ステップ110で差分が基準値以下であると判別される。すなわち、現在の探索点P2が、最大の特定点であると判断される。よって、探索点P2近傍の所定範囲R内の加算和の変化量が小さいため、制御結果と調停結果との間に誤差が生じても、要求出力部10により出力された複数の要求の実現度が大幅に低下することを抑制可能であると判断される。この場合、最大の特定点である探索点Pに対応する効率要求値を調停結果として選択する(ステップ112)。図3に示す例では、最大の特定点である探索点P2に対応する効率要求値E2が調停結果として選択される。その後、本ルーチンを終了する。
以上説明したように、本実施の形態1では、エンジンの機能であるドライバビリティ、排気ガス及びアイドルに関する複数の要求が、トルク、効率及び空燃比のうちの少なくとも何れかの物理量で表現され、要求出力部10から出力される。各要求は、要求値の範囲と、該範囲内の各要求値の期待度を表す期待値の分布とによって規定される。よって、1つの要求のうちの各要求値の重要度を、期待値の分布によって表すことができる。そして、調停部20において、同じ物理量で表現された複数の要求が集約され、複数の要求の期待値の加算和が算出される。期待値の低い要求値も加算されるため、要求のうちの比較的重要度の高い要求値だけでなく比較的重要度の低い要求値も加算和に反映することができる。
さらに、本実施の形態1では、探索点P近傍の所定範囲R内の加算和の変化量を基準値以下にする該探索点Pである特定点を求め、最大の特定点に対応する1つの要求値に調停される。従って、アクチュエータ42,44,46の性能や制御バラツキに起因して実際の調停結果(実際値)と調停結果(目標値)との間に誤差が生じたとしても、要求出力部10から出力される複数の要求の実現度の大幅な低下を抑制することができる。
また、要求出力部10から出力される各要求には調停時に考慮される重み係数が設定されており、この重み係数を乗算した期待値の加算和が調停要素22,24,26により算出される。よって、同じ物理量で表現された複数の要求の期待値を加算和に対して適正に反映させることができる。
また、調停部20で調停されたトルク要求値、効率要求値及び空燃比要求値に基づいて各アクチュエータ42,44,46の制御量を演算することで、エンジンの出力に要求が反映されるよう各アクチュエータ42,44,46の動作を適切に制御することができる。
ところで、図4に示すルーチンによれば、加算和が最大となる点Pから最大の特定点を求めている。しかしながら、最大の特定点を求める手法は任意であってもよく、例えば、加算和が最小となる点から最大の特定点を求めるようにしてもよく、加算和から全ての特定点を求めた後に最大の特定点を選択するようにしてもよい(後述する実施の形態2,3についても同様)。
実施の形態2.
次に、図5及び図6を参照して、本発明の実施の形態2について説明する。
上記実施の形態1では、探索点P近傍の所定範囲R内の加算和Dの変化量を基準値以下にする該探索点Pである特定点を求め、最大の特定点Pに対応する要求値を調停結果として選択した。上記実施の形態1では、調停時に加算和Dの変化量を算出する際、物理量の種類とは無関係に共通の所定範囲Rが用いられている。
ところで、物理量の種類に応じて、使用するアクチュエータ42,44,46も相違する。そうすると、アクチュエータ42,44,46の性能や制御バラツキも相違することとなるため、調停結果に対する実際の制御結果のバラツキも相違する。よって、物理量の種類に応じて、実際の制御結果と調停結果との間に生じる誤差も相違することとなる。
そこで、本実施の形態2では、物理量の種類に応じて、所定範囲Rを算出する。すなわち、物理量の制御に使用するアクチュエータ42,44,46に応じて、所定範囲Rを異ならしめる。詳細には、主に使用するアクチュエータ42,44,46の制御性が高いほど、所定範囲Rを小さく設定する。ここで、空燃比の制御に用いられる燃料噴射装置(燃料噴射弁)46、トルクの制御に用いられるスロットル弁42、効率の制御に用いられる点火装置(点火プラグ)46の順番で、制御性が高い。よって、本実施の形態2では、空燃比調停、トルク調停、効率調停の順番で、所定範囲Rを小さく算出するようにする。
図5は、本実施の形態2において、調停時に算出される所定範囲Rと、調停結果とを示す図である。詳細には、図5(A)は、加算和D1から効率調停する場合に算出される所定範囲R1と効率調停結果E3とを示している。図5(B)は、図5(A)と同じ加算和D1から空燃比調停する場合に算出される所定範囲R2と空燃比調停結果E4とを示している。
効率調停時には、図5(A)に示すように、比較的小さい所定範囲R1が算出される。そして、探索点P近傍の所定範囲R1内の加算和の変化量が算出される。さらに、その加算和の変化量が基準値以下となる探索点Pを特定点としたとき、最大の特定点である探索点Pに対応する効率要求値が調停結果として選択される。図5(A)に示す例では、最大の特定点である探索点P3に対応する効率要求値E3が効率調停結果として選択される。
これに対して、空燃比調停時には、図5(B)に示すように、所定範囲R1よりも大きい所定範囲R2が算出される。そして、探索点P近傍の所定範囲R2内の加算和の変化量が算出される。さらに、その加算和の変化量が基準値以下となる探索点Pを特定点としたとき、最大の特定点である探索点Pに対応する空燃比要求値が調停結果として選択される。図5(B)に示す例では、最大の特定点である探索点P4に対応する空燃比要求値E4が空燃比調停結果として選択される。
このように、同じ加算和D1から調停する場合であっても、調停する物理量によって所定範囲Rを異ならしめることで、調停結果が相違する。すなわち、物理量の制御に用いるアクチュエータの制御性が高い場合には、所定範囲Rを小さく算出することで、より高い加算和(期待値)の要求値に調停される。図5に示す例では、空燃比調停時の所定範囲R2よりも効率調停時の所定範囲R1を小さく算出することで、空燃比調停結果E3の加算和よりも効率調停結果E4の加算和が高くなる。従って、使用するアクチュエータの制御性が高い物理量に関する調停時には、所定範囲を相対的に小さくすることで、より高い加算和の要求値に調停することができる。
[実施の形態2における具体的処理]
図6は、本実施の形態2において、調停部20が実行するルーチンを示すフローチャートである。本ルーチンは、所定間隔毎に起動されるものである。図6に示すルーチンは、図4に示すルーチンのステップ104,106の間に、ステップ105の処理を有している。よって、このステップ105の処理を中心に説明する。
図6に示すルーチンによれば、図4に示すルーチンと同様の方法により、同一物理量の複数の要求を集約し(ステップ100)、重み係数を考慮して集約した複数の要求の期待値の加算和を算出し(ステップ102)、加算和が最大となる点Pを探索する(ステップ104)。
次に、集約した複数の要求に共通する物理量に応じた所定範囲Rを算出する(ステップ105)。調停部20には、複数の物理量(トルク,効率,空燃比)にそれぞれ対応する複数の所定範囲(例えば、図5に示す所定範囲R1,R2)が予め格納されている。このステップ105では、物理量に対応する所定範囲が読み出され、所定範囲Rとして算出される。
なお、複数の物理量にそれぞれ対応する複数の係数を調停部20に予め格納しておき、物理量に対応する係数が読み出され、該係数を基本の所定範囲に乗算することで得られた値を、所定範囲Rとして算出してもよい。
そして、上記ステップ104で求められた探索点P近傍で、上記ステップ105で算出された所定範囲R内の最大値Maxと最小値Minとを取得する(ステップ106)。その後、図4に示すルーチンと同様の方法により、上記ステップ108以降の処理を実行する。
以上説明したように、本実施の形態2では、加算和の変化量を算出する所定範囲Rが物理量に応じて算出される。ここで、物理量の種類によって要求の実現に用いるアクチュエータ42,44,46が異なり、実際の制御結果の精度が異なる。このため、実際の制御結果と調停結果との間に生じ得る誤差の大きさが異なる。従って、所定範囲Rを算出する際に物理量の種類が考慮されていない場合に比して、所定範囲Rを精度良く算出することができるため、要求出力部から出力された要求の実現度の低下を更に抑制することができる。
実施の形態3.
次に、図7及び図8を参照して、本発明の実施の形態3について説明する。
上記実施の形態2では、物理量の種類に応じて、所定範囲Rが算出された。
ところで、物理量が同じ場合においても、内燃機関の運転状態が相違すると、アクチュエータの制御バラツキが異なるため、調停結果と実際の制御結果との間の誤差が相違する。例えば、空燃比調停結果を実現するために、空燃比センサが未活性であり冷間運転時よりも、空燃比センサが活性である暖機後運転時(すなわち、空燃比センサ出力に基づくフィードバック制御実施時)の方が、アクチュエータの制御性能が高い。
また、例えば、トルク調停結果を実現するために、アクチュエータとしてスロットル弁42の他に油圧式の可変動弁機構を用いる場合がある。この場合、油圧が低い冷間運転時よりも油圧が十分に高い暖機後運転時の方が、アクチュエータの制御性能が高い。
そこで、本実施の形態2では、物理量の種類と内燃機関の運転状態とに応じて、所定範囲Rを設定する。すなわち、物理量の種類に加えて、内燃機関の運転状態に応じたアクチュエータの制御性を考慮して、所定範囲Rを異ならしめるようにする。
図7は、本実施の形態3において、調停時に設定される所定範囲Rと、調停結果とを示す図である。詳細には、図7(A)は、冷間運転時に加算和D2から空燃比調停する場合に算出される所定範囲R2と空燃比調停結果E4とを示している。また、図7(B)は、図7(A)と同じ加算和D2から暖機後に空燃比調停する場合に算出される所定範囲R3と空燃比調停結果E5とを示している。
冷間運転時に空燃比調停する場合には、図7(A)に示すように、比較的大きい所定範囲R3が算出される。冷間運転時には、空燃比制御に用いられる空燃比センサや酸素センサが不活性であることに起因してアクチュエータの制御性が低いためである。よって、この場合は、最大の特定点である探索点P4に対応する空燃比要求値E4が空燃比調停結果として選択される。
一方、暖機後に空燃比調停する場合には、空燃比センサ等が活性化しているため、冷間運転時に比してアクチュエータの制御性が高くなっている。この場合、図7(B)に示すように、冷間運転時の所定範囲R3よりも小さい所定範囲R3が算出される。そうすると、最大の特定点が、探索点P4よりも高い加算和の探索点P5となる。よって、この探索点P5に対応する空燃比要求値E5が空燃比調停結果として選択される。
このように、同じ加算和D2から空燃比調停する場合であっても、運転状態に応じて所定範囲Rを異ならしめることで、空燃比調停結果が相違する。すなわち、アクチュエータの制御性が高い運転状態の場合には、所定範囲Rを小さく算出することで、より高い加算和(期待値)の要求値に調停される。
[実施の形態3における具体的処理]
図8は、本実施の形態3において、調停部20が実行するルーチンを示すフローチャートである。本ルーチンは、所定間隔毎に起動されるものである。図8に示すルーチンは、図6に示すルーチンのステップ105の代わりに、ステップ105Aの処理を有している。よって、このステップ105Aの処理を中心に説明する。
図8に示すルーチンによれば、図4に示すルーチンと同様の方法により、同一物理量の複数の要求を集約し(ステップ100)、重み係数を考慮して集約した複数の要求の期待値の加算和を算出し(ステップ102)、加算和が最大となる点Pを探索する(ステップ104)。
次に、集約した複数の要求に共通する物理量と、内燃機関の運転状態に応じた所定範囲Rを算出する(ステップ105A)。内燃機関の運転状態は、共通エンジン情報配信部52から調停部20に配信される共通エンジン情報から取得することができる。ここで、調停部20には、複数の物理量にそれぞれ対応する複数の係数と、エンジン運転状態(例えば、空燃比センサの活性/未活性)に応じた係数が予め格納されている。このステップ105Aでは、物理量に対応する係数と、エンジン運転状態に応じた係数とが読み出され、これらの係数を基本の所定範囲に乗算することで得られた値を、所定範囲Rとして算出することができる。
そして、上記ステップ104で求められた探索点P近傍で、上記ステップ105Aで算出された所定範囲R内の最大値Maxと最小値Minとを取得する(ステップ106)。その後、図4に示すルーチンと同様の方法により、上記ステップ108以降の処理を実行する。
以上説明したように、本実施の形態3では、加算和の変化量を算出する所定範囲Rが、物理量とエンジン運転状態とに応じて算出される。ここで、物理量が同じであっても、エンジン運転状態が異なると、アクチュエータの制御性が異なる。そうすると、実際の制御結果の精度が異なるため、実際の制御結果と調停結果との間に生じ得る誤差の大きさが異なる。従って、所定範囲Rを算出する際に物理量の種類とエンジン運転状態が考慮されていない場合に比して、所定範囲Rを精度良く算出することができるため、要求出力部から出力された要求の実現度の低下を更に抑制することができる。
本発明の実施の形態1による内燃機関の制御装置1の構成を説明するためのブロック図である。 本発明の実施の形態1において、調停部20の効率調停要素24による効率要求の調停処理を説明するための図である(その1)。 本発明の実施の形態1において、調停部20の効率調停要素24による効率要求の調停処理を説明するための図である(その2)。 本発明の実施の形態1において、調停部20が実行するルーチンを示すフローチャートである。 本発明の実施の形態2において、調停時に算出される所定範囲Rと、調停結果とを示す図である。 本発明の実施の形態2において、調停部20が実行するルーチンを示すフローチャートである。 本発明の実施の形態3において、調停時に設定される所定範囲Rと、調停結果とを示す図である。 本発明の実施の形態3において、調停部20が実行するルーチンを示すフローチャートである。
符号の説明
1 制御装置
10 要求出力部
12 アイドル要求出力要素
14 排気ガス要求出力要素
16 ドラビリ要求出力要素
20 調停部
22 トルク調停要素
24 効率調停要素
26 空燃比調停要素
30 制御量設定部
42,44,46 アクチュエータ

Claims (4)

  1. 内燃機関の機能に関する複数の要求を物理量で表現して出力する要求出力部と、
    前記要求出力部から出力された要求のうち同じ物理量で表現された複数の要求を集約して、予め定められた規則に従って1つの要求値に調停する調停部とを備え、
    前記要求出力部から出力される各要求は、要求値の範囲と、該範囲内の各要求値の期待度を表す期待値の分布とで規定されており、
    前記調停部は、同じ物理量で表現された複数の要求の期待値の加算和を算出し、所定範囲内の該加算和の変化量を基準値以下にする該所定範囲の中心点である特定点を求め、最大の特定点に対応する要求値に調停することを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 請求項1に記載の内燃機関の制御装置において、
    前記調停部は、前記物理量の種類に応じて、前記所定範囲を算出する所定範囲算出手段を有することを特徴とする内燃機関の制御装置。
  3. 請求項2に記載の内燃機関の制御装置において、
    前記所定範囲算出手段は、前記物理量の種類と前記内燃機関の運転状態に応じて、前記所定範囲を算出することを特徴とする内燃機関の制御装置。
  4. 請求項1から3の何れか一項に記載の内燃機関の制御装置において、
    前記要求出力部は、出力する各要求に、前記調停部により調停される際に考慮される重みを設定し、
    前記調停部は、前記重みを反映した要求の加算和を算出することを特徴とする内燃機関の制御装置。
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