JP2009174328A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】実際の吸入空気量に合わせた点火時期の制御によって内燃機関の出力トルクを要求トルクに追従させつつ、少なくとも定常運転時においては確実に基準点火時期での運転を実現できるようにする。
【解決手段】目標トルク(要求トルク)から求めた目標KLをエア逆モデルM1-1に入力して目標開度を計算し、目標開度に従ってスロットルを制御する。また、スロットル開度をエアモデルM1に入力して見込みKLを求め、見込みKLで実現できるトルクを推定トルクとして算出する。そして、推定トルクと目標トルクとの比(トルク効率)に基づいて見込みKLのもとで目標トルクを実現するための点火時期補正量を算出する。また、スロットル開度とエアフローメータの出力値とをエアモデルM2に入力して実KLを求め、実KLに基づいて基準点火時期を算出する。点火時期補正量と基準点火時期とから目標点火時期を設定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関の制御装置に関し、詳しくは、吸気系に配置された吸気アクチュエータの制御による吸入空気量の調整と、点火アクチュエータの制御による点火時期の調整とにより内燃機関が出力するトルクを制御することができる火花点火式の内燃機関の制御装置に関する。
従来、火花点火式の内燃機関では、その出力トルクを制御するための手段として、吸入空気量の調整と合わせて点火時期の調整が用いられている。例えば、特開平10−89214号公報には、アイドルの安定化、変速ショックの軽減、或いは急加速時のショックの軽減などの各種の要求に基づくトルクダウンを点火時期の遅角によって実現する技術について開示されている。この技術では、要求されるトルクダウン量に応じて基本点火時期で発生するトルク(図示トルク)に対する減量割合が求められ、減量割合はトルク補正率として算出される。そして、トルク補正率に応じて点火時期の遅角補正量が決定され、その遅角補正量によって基本点火時期の補正が行われる。
また、特開2005−113877号公報には、空燃比ディザ制御によるトルク変動をスロットル開度と点火時期との協調制御により抑制する技術が開示されている。この技術では、空燃比ディザ制御による空燃比のリーン方向への制御によるトルクダウン量の絶対値がリザーブトルクとして算出される。そして、このリザーブトルクを要求トルクに加算したものがスロットル系要求トルクとされ、そのスロットル系要求トルクを用いて要求スロットル開度が算出される。また、要求トルクはそのまま点火系要求トルクとして用いられ、実吸入空気量に基づいて算出された推定トルクと点火系要求トルクとに基づいて要求点火時期が算出される。
これら特許文献に記載の技術からも分かるように、点火時期は必ずしも最適点火時期(MBT)に設定されるわけではなく、内燃機関に対する要求トルクと実際の吸入空気量との関係に応じて適宜に補正される。点火時期の補正は吸入空気量の補正と比べてトルクの応答性に優れているからである。要求されているトルク調整量のうち、吸入空気量の補正では間に合わない分が点火時期の補正によって実現されるようになっている。
特開平10−89214号公報 特開2005−113877号公報
点火時期の補正量の計算方法としては、特開2005−113877号公報にも開示されているように、実際の吸入空気量から推定した推定トルクと要求トルクとを比較し、その比較値に基づいて基準点火時期(例えばMBT)に対する補正量を計算する方法がある。この方法によれば、実際の吸入空気量が要求トルクを実現できる吸入空気量(目標吸入空気量)に一致したときには、推定トルクが要求トルクに等しくなることによって点火時期の補正量が無くなり、基準点火時期での運転が実現できるものと期待される。
ところが、場合によっては、定常運転時にもかかわらず目標吸入空気量と実際の吸入空気量との間に誤差が生じてしまうことがある。これは、目標吸入空気量を目標スロットル開度に変換する過程での計算精度や、実際のスロットル開度から吸入空気量を推定計算する過程での計算精度の影響によるものである。目標吸入空気量と実際吸入空気量とが不一致である場合には、その差に応じて点火時期が補正されるために、基準点火時期での運転を実現できなくなってしまう。
近年、スロットルの動作に対する吸入空気量の応答をモデル化し、それを数式で表した吸気系モデル(エアモデルともいう)が知られている。この吸気系モデルに関しては、空気流量センサの出力値を補正データとして取り入れる等、モデル精度を高めるための種々の提案がなされている。モデルを用いた計算は、上述の目標吸入空気量を目標スロットル開度に変換する過程にも、スロットル開度から吸入空気量を推定計算する過程にも利用することができる。しかし、いくら高精度なモデルを用いたとしても、その計算過程においてある程度の計算誤差が生じることは避けられない。このため、吸気系モデルを計算に用いる場合であっても、定常運転時において目標吸入空気量と実際の吸入空気量とが一致しないという問題は依然として残ることになる。
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、実際の吸入空気量に合わせた点火時期の制御によって内燃機関の出力トルクを要求トルクの変化に追従させつつ、少なくとも定常運転時においては確実に基準点火時期での運転を実現できるようにした、内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、吸気系に配置された吸気アクチュエータの制御による吸入空気量の調整と、点火アクチュエータの制御による点火時期の調整とにより内燃機関が出力するトルクを制御する内燃機関の制御装置において、
前記内燃機関に対して要求されるトルクを取得する要求トルク取得手段と、
前記要求トルクを実現する吸入空気量を前記内燃機関の目標吸入空気量として算出する目標吸入空気量算出手段と、
前記吸気アクチュエータの動作に対する吸入空気量の応答を表した吸気系モデルの逆モデルを具備し、前記目標吸入空気量を前記逆モデルに入力して得られる動作量を前記吸気アクチュエータの目標動作量として設定する目標動作量設定手段と、
前記目標動作量に従って前記吸気アクチュエータを制御する吸気制御手段と、
前記吸気系モデルの順モデルを具備し、前記吸気アクチュエータの動作量を前記順モデルに入力して得られる吸入空気量を前記内燃機関の見込み吸入空気量として算出する見込み吸入空気量算出手段と、
前記見込み吸入空気量で実現できるトルクを前記内燃機関の推定トルクとして算出する推定トルク算出手段と、
前記推定トルクと前記要求トルクとの比較値に基づいて前記見込み吸入空気量のもとで前記要求トルクを実現するための点火時期補正量を算出する点火時期補正量算出手段と、
前記内燃機関の吸気系に配置された空気流量センサの出力値に基づいて前記内燃機関の実際の吸入空気量を算出する実際吸入空気量算出手段と、
前記実際吸入空気量に基づいて基準点火時期を算出する基準点火時期算出手段と、
前記基準点火時期と前記点火時期補正量とに基づいて目標点火時期を設定する目標点火時期設定手段と、
前記目標点火時期に従って前記点火アクチュエータを制御する点火制御手段と、
を備えることを特徴としている。
第2の発明は、第1の発明において、
前記実際吸入空気量で実現できるトルクを前記内燃機関の推定トルクとして算出する第2の推定トルク算出手段と、
前記第2の推定トルク算出手段で算出された推定トルクと前記要求トルクとの比較値に基づいて前記実際吸入空気量のもとで前記要求トルクを実現するための点火時期補正量を算出する第2の点火時期補正量算出手段と、
前記目標点火時期設定手段において目標点火時期の設定に用いる点火時期補正量を、前記点火時期補正量算出手段により算出される点火時期補正量から、前記第2の点火時期補正量算出手段により算出される点火時期補正量へ切り替える切り替え手段と、
をさらに備えることを特徴としている。
第3の発明は、第2の発明において、
前記内燃機関に対して要求される効率を取得する要求効率取得手段と、
目標吸入空気量の算出に用いる要求トルクを前記要求効率によって補正する要求トルク補正手段と、
をさらに備え、前記切り替え手段は、前記要求効率が1の場合には前記点火時期補正量算出手段により算出される点火時期補正量を選択することを特徴としている。
第4の発明は、第1の発明において、
前記内燃機関に対して要求される効率を取得する要求効率取得手段と、
目標吸入空気量の算出に用いる要求トルクを前記要求効率によって補正する要求トルク補正手段と、
前記実際吸入空気量と前記見込み吸入空気量との比較値に基づいて前記目標点火時期設定手段により設定される目標点火時期を補正する目標点火時期補正手段と、
をさらに備えることを特徴としている。
第5の発明は、第4の発明において、
前記要求効率が1の場合には前記目標点火時期補正手段による目標点火時期の補正を禁止する補正禁止手段、
をさらに備えることを特徴としている。
第1の発明によれば、目標吸入空気量を吸気アクチュエータの目標動作量に変換する計算過程と、吸気アクチュエータの動作量から吸入空気量を求める計算過程とにおいて、共通する吸気系モデルが使用される。つまり、同吸気系モデルの逆モデルに目標吸入空気量を入力したものが吸気アクチュエータの目標動作量として設定され、同吸気系モデルの順モデルに吸気アクチュエータの動作量を入力したものが内燃機関の見込み吸入空気量として算出される。これによれば、同吸気系モデルの逆モデルでの計算過程で生じた誤差は、同吸気系モデルの順モデルでの計算過程で生じた誤差によって打ち消される。その結果、少なくとも定常運転時においては目標吸入空気量と見込み吸入空気量とを一致させることができる。
そして、第1の発明によれば、見込み吸入空気量で実現できるトルクが内燃機関の推定トルクとして算出され、推定トルクと要求トルクとの比較値に基づいて、見込み吸入空気量のもとで要求トルクを実現するための点火時期補正量が算出される。見込み吸入空気量が目標吸入空気量に一致する場合には推定トルクが要求トルクに一致することから、それらの比較値から算出される点火時期補正量はゼロとなる。目標点火時期は、実際吸入空気量に基づいて算出された基準点火時期と点火時期補正量とに基づいて設定されるので、見込み吸入空気量が目標吸入空気量に一致する場合には、目標点火時期は基準点火時期に設定されることになる。つまり、少なくとも定常運転時においては確実に基準点火時期での運転を実現することができる。
また、第1の発明によれば、過渡運転時のように要求トルクを実現する目標吸入空気量と見込み吸入空気量との間にずれが生じている状況では、見込み吸入空気量から計算される推定トルクと要求トルクとの比較値に応じて点火時期補正量が算出される。目標点火時期が基準点火時期に対して点火時期補正量の分だけ補正されることで、内燃機関の出力トルクを要求トルクの変化に追従させることができる。
第2の発明によれば、目標点火時期の設定に用いる点火時期補正量を、見込み吸入空気量に基づいて計算したものから実際吸入空気量に基づいて計算したものに切り替えることができる。吸気系モデルの計算誤差の影響により、見込み吸入空気量と実際の吸入空気量とは必ずしも一致しないため、見込み吸入空気量に基づいて計算した点火時期補正量では要求トルクを実現できない可能性が有る。基準点火時期での運転よりも要求トルクの実現が優先される場合には、上記の切り替えを行うことで、内燃機関に対する要求トルクを出力トルクとして確実に実現することができる。
第3の発明によれば、目標吸入空気量の算出には要求効率によって補正された要求トルクが用いられ、点火時期補正量の算出には補正前の要求トルクと推定トルクとが用いられる。見込み吸入空気量に基づいて推定トルクを計算する場合には、推定トルクは補正前の要求トルクに一致することから、補正前の要求トルクと推定トルクとの比較値は要求効率を表したものとなり、見込み吸入空気量のもとで要求効率を実現できる点火時期遅角量が算出される。第3の発明によれば、要求効率が1の場合には見込み吸入空気量に基づいて点火時期補正量の計算が行われるので、点火時期遅角量はゼロとなり、少なくとも定常運転時においては確実に基準点火時期での運転を実現することができる。
また、第4の発明によれば、目標吸入空気量の算出には要求効率によって補正された要求トルクが用いられ、点火時期補正量の算出には補正前の要求トルクと推定トルクとが用いられる。定常運転時においては見込み吸入空気量から計算される推定トルクは補正前の要求トルクに一致することから、補正前の要求トルクと推定トルクとの比較値は要求効率を表したものになる。その結果、点火時期遅角量としては見込み吸入空気量のもとで要求効率を実現できる値が算出されることになる。しかし、内燃機関の効率と点火時期遅角量との関係は吸入空気量によって変わるため、見込み吸入空気量のもとで要求効率を実現できる点火時期遅角量であっても、実際吸入空気量のもとでは要求効率を実現できない可能性がある。この点に関し、第4の発明によれば、実際吸入空気量と見込み吸入空気量との比較値に基づいて目標点火時期が補正されることで、実際吸入空気量と見込み吸入空気量との間にずれがある場合であっても、実際吸入空気量のもとで要求効率を実現できる適切な点火時期での運転が可能になる。
第5の発明によれば、内燃機関に対して要求される効率が1のとき、すなわち、点火時期の遅角補正を必要としていない状況では、目標点火時期の補正が禁止されるので、少なくとも定常運転時においては確実に基準点火時期での運転を実現することができる。
実施の形態1.
本発明の実施の形態1について図1を参照して説明する。
図1は、本発明の実施の形態1としての内燃機関の制御装置の構成を示すブロック図である。本実施の形態の制御装置は、火花点火式の内燃機関に適用され、火花点火式内燃機関のアクチュエータであるスロットル及び点火装置の動作を制御する制御装置として構成されている。以下、図1を参照して本実施の形態の制御装置の構成について説明する。また、以下では、内燃機関を単にエンジンという。
本実施の形態の制御装置は複数の計算要素2,4,6,8、10,14,16,18,20,32,34,36を備えている。また、スロットルの動作を制御するスロットルドライバ12と点火装置の動作を制御する点火装置ドライバ38とを備えている。制御装置は、入力された情報に基づいて各計算要素により所定の計算規則に従って計算を行い、各アクチュエータの動作量、すなわち、目標スロットル開度と目標点火時期とを算出する。そして、各アクチュエータの動作量をドライバ12,38にセットし、ドライバ12,38を介して各アクチュエータの動作を制御する。
制御装置に入力される情報には、エンジンの運転状態に関する情報が含まれている。具体的には、スロットル開度の設定値、点火時期の設定値、A/Fの設定値、エアフローメータの出力値、エンジン回転数、冷却水温度、吸入空気温度、バルブタイミング等の運転状態情報が入力情報に含まれている。なお、エアフローメータは、エンジンの吸気系においてスロットルの上流に配置された空気流量センサである。
また、制御装置に入力される情報には、内燃機関のトルクに関する要求と内燃機関の効率に関する要求とが含まれている。これらの要求は、制御系統の上位に設けられたパワートレインマネージャ(図示略)から数値で入力される。トルク要求には、運転者からの要求を含む軸トルク要求の他、VSC(Vehicle Stability Control system)やTRC(Traction Control System)等の車両制御に必要なトルクも含まれる。効率要求は、トルクに変換可能な熱エネルギのトルクへの変換効率の要求値という意味を有しており、点火時期が最適点火時期(MBT)のときを基準にして設定される無次元パラメータである。例えば、触媒暖機のために熱エネルギを排気ガスの昇温に利用したい場合等には、効率要求値は基準値の1よりも小さい値とされる。
以下、本実施の形態の制御装置を構成する各計算要素2,4,6,8、10,14,16,18,20,32,34,36の機能と、計算要素間の信号処理の流れについて説明する。
パワートレインマネージャから供給されるトルク要求はトルク調停部2に入力され、効率要求は効率調停部4に入力される。パワートレインマネージャからはトルクや効率で表現された複数の要求が出力されるが、それらの要求を全て同時に実現することはできない。複数のトルク要求があったとしても実現できるトルクは1つであるため、要求の調停という処理が必要となる。効率に関しても同様である。そこで、トルク調停部2は、入力された複数のトルク要求を集約して1つの値に調停し、調停したトルク値をエンジンの目標トルクとして出力する。また、効率調停部4は、入力された複数の効率要求を集約して1つの値に調停し、調停した効率値をエンジンの目標効率として出力する。なお、ここでいう調停とは、予め定められた計算規則に従って複数の数値から1つの数値を得る動作である。計算規則には例えば最大値選択、最小値選択、平均、或いは重ね合わせ等が含まれる。それら複数の計算規則を適宜に組み合わせたものとしてもよい。
トルク調停部2で設定された目標トルクと、効率調停部4で設定された目標効率とは、目標トルク補正部6に入力される。目標トルク補正部6は目標トルクを目標効率で除算して補正し、その補正目標トルクを目標吸入空気量計算部8に出力する。目標効率が通常値の1であれば、トルク調停部2で設定された目標トルクがそのまま目標吸入空気量計算部8に出力される。一方、目標効率が通常値の1よりも小さければ、目標効率による除算によって目標トルクは嵩上げされ、嵩上げされた補正目標トルクが目標吸入空気量計算部8に出力される。
目標吸入空気量計算部8は、補正目標トルクの実現に必要な吸入空気量(KL)をKLマップを用いて計算する。KLマップは補正目標トルクを吸入空気量に変換するためのマップであって、点火時期、エンジン回転数、A/F、バルブタイミング等、トルクと吸入空気量との関係に影響する各種の運転条件がパラメータとして用いられている。これらのパラメータには現在の運転状態情報から得られる値(現在値)が入力される。ただし、点火時期は基準点火時期(本実施の形態ではMBT)とされている。目標吸入空気量計算部8は、補正目標トルクから変換された吸入空気量をエンジンの目標吸入空気量(以下、目標KLという)とし、それを目標スロットル開度設定部10に出力する。
目標スロットル開度設定部10は、吸気系モデルの逆モデルを用いて目標KLをスロットル開度に変換する。すなわち、目標KLを実現可能なスロットル開度を計算する。吸気系モデル(エアモデル)は、スロットルの動作に対する吸入空気量の応答を流体力学等に基づいてモデル化し、それを数式で表したものである。吸気系モデルの順モデルにスロットル開度を入力することで、そのスロットル開度で実現できる吸入空気量が算出される。一方、吸気系モデルの逆モデルに吸入空気量を入力することで、その吸入空気量を実現するためのスロットル開度が算出される。
目標スロットル開度設定部10に具備された吸気系モデルの逆モデル(以下、エア逆モデルという)M1-1では、大気圧や吸入空気温度等、スロットル開度と吸入空気量との関係に影響する運転条件をパラメータして設定することができる。目標スロットル開度設定部10は、目標KLから変換されたスロットル開度をスロットルの目標開度として設定し、それをスロットルドライバ12にセットする。スロットルドライバ12は、この目標開度を実現するようにスロットルを制御する。
スロットルによって実際に実現されているスロットル開度は、スロットル開度センサによって取得することができる。実際のスロットル開度が分かれば、前述の吸気系モデルの順モデルを用いることによって吸入空気量を求めることができる。見込み吸入空気量計算部14は、吸気系モデルの順モデル(以下、単にエアモデルという)M1を用いてスロットル開度を吸入空気量に変換する。スロットル開度計算部10のエア逆モデルM1-1は、このエアモデルM1の逆モデルにあたる。
見込み吸入空気量計算部14に具備されたエアモデルM1では、大気圧や吸入空気温度等、スロットル開度と吸入空気量との関係に影響する運転条件をパラメータして設定することができる。ただし、このエアモデルM1ではエアフローメータの出力値はパラメータとして用いられない。エアフローメータの出力値を補正データとして用いるならば、現在のスロットル開度にて実現される実際の吸入空気量を高い精度で求めることができる。これに対してエアモデルM1で得られる吸入空気量は、あくまでも現在のスロットル開度にて想定される見込みの吸入空気量(以下、見込みKLという)である。
見込み吸入空気量計算部14で計算された見込みKLは、推定トルク計算部16にてトルクに変換される。推定トルク計算部16は、見込みKLをトルクマップに照合する。トルクマップは見込みKLをトルクに変換するためのマップであって、点火時期、機関回転数、A/F、バルブタイミング等、トルクと吸入空気量との関係に影響する各種の運転条件がパラメータとして用いられている。これらのパラメータには現在の運転状態情報から得られる値(現在値)が入力される。ただし、点火時期は基準点火時期(本実施の形態ではMBT)とされている。推定トルク計算部16は、見込みKLから変換されたトルクをエンジンの推定トルクとし、それをトルク効率計算部18に出力する。
トルク効率計算部18には、トルク調停部2で設定された目標トルクと推定トルク計算部16で計算された推定トルクとが入力される。トルク効率計算部18は目標トルクと推定トルクとの比較値、具体的には目標トルクの推定トルクに対する比を計算し、その計算結果をトルク効率として算出する。エンジンの目標効率が1であって推定トルクと目標トルクとが一致するときにはトルク効率は1になる。一方、目標効率が1よりも小さい値に設定されたときには、目標トルク補正部6にて目標トルクの嵩上げが行われる結果、トルク効率は1よりも小さい値になる。本実施の形態の制御装置では、トルク効率計算部18で算出されたトルク効率に基づいてエンジンの目標点火時期が計算される。
目標点火時期の計算のため、制御装置には点火時期補正量計算部20,基準点火時期計算部34及び目標点火時期設定部36が具備されている。基準点火時期計算部34はエンジンの基準点火時期を算出する手段であり、点火時期補正量計算部20は基準点火時期に対する点火時期の遅角量を算出する手段である。本実施の形態ではエンジンの最適点火時期(MBT)を基準点火時期としている。目標点火時期設定部36は、最適点火時期に点火時期補正量を加算したものを目標点火時期として設定し、それを点火装置ドライバ38にセットする。点火装置ドライバ38は、目標点火時期に従って点火装置を制御する。
点火時期補正量計算部20は、要求点火時期計算部22,基準点火時期計算部24及び点火時期偏差計算部26から構成されている。トルク効率計算部18で算出されたトルク効率は、要求点火時期計算部22に入力される。要求点火時期計算部22は、見込みKLのもとでトルク効率を実現するための要求点火時期を計算する。要求点火時期の計算には、要求点火時期マップが用いられる。要求点火時期マップはトルク効率を点火時期に変換するためのマップであって、目標トルクやエンジン回転数等、要求点火時期の決定に影響する各種の運転条件がパラメータとして用いられている。このマップは、トルク効率が1のときには要求点火時期は最適点火時期に設定され、トルク効率が小さいほど要求点火時期は遅角側に設定されるように設計されている。
基準点火時期計算部24は、見込みKLのもとでの基準点火時期を計算する。前述のように本実施の形態ではエンジンの最適点火時期(MBT)を基準点火時期としている。最適点火時期の計算には、最適点火時期マップが用いられる。このマップは推定トルクを最適点火時期に変換するためのマップであって、エンジン回転数等、最適点火時期の決定に影響する各種の運転条件がパラメータとして用いられている。
点火時期偏差計算部26は、基準点火時期計算部24で計算された最適点火時期と、要求点火時期計算部22で計算された要求点火時期との偏差ΔSAを計算し、その計算結果を目標点火時期設定部36に出力する。計算で得られた偏差ΔSAは、見込みKLのもとで目標トルクを実現するために必要な点火時期補正量である。点火時期補正量計算部20に入力されたトルク効率が1のとき、つまり、推定トルクと目標トルクとが一致するときには、要求点火時期はと最適点火時期とが一致することにより、出力される点火時期補正量はゼロとなる。一方、トルク効率が1よりも小さいとき、つまり、推定トルクと目標トルクとの間に差が生じたときには、それを点火時期の補正によるトルク調整で補償するための点火時期補正量が算出される。
基準点火時期計算部34は、エンジンの実際の吸入空気量(以下、実KLという)に基づいてエンジンの最適点火時期(MBT)を計算する。ここでの最適点火時期の計算には、最適点火時期マップが用いられる。このマップは実KLを最適点火時期に変換するためのマップであって、エンジン回転数等、最適点火時期の決定に影響する各種の運転条件がパラメータとして用いられている。前述の基準点火時期計算部24で計算される最適点火時期は、見込みKLのもとでの最適点火時期であるのに対し、ここで計算される最適点火時期は、実KLのもとでの最適点火時期である。トルクと点火時期との関係は吸入空気量によって変化するので、見込みKLのもとでの最適点火時期と実KLのもとでの最適点火時期とは必ずしも一致しない。
なお、エンジンの実KLは、実吸入空気量計算部32で計算される。実吸入空気量計算部32は、吸気系モデルの順モデル(以下、単にエアモデルという)M2を用いてスロットル開度を吸入空気量に変換する。実吸入空気量計算部32に具備されたエアモデルM2では、見込み吸入空気量計算部14のエアモデルM1とは異なり、エアフローメータの出力値がパラメータとして使用される。エアフローメータの出力値はスロットルの上流における空気流量を示している。このエアモデルM2によれば、実際の空気流量を補正データとして使用できるので、エンジンの実際の吸入空気量を高い精度で求めることができる。
以上説明した本実施の形態の制御装置の構成では、目標KLをスロットルの目標開度に変換する計算過程と、実際のスロットル開度から吸入空気量を求める計算過程とにおいて、共通する吸気系モデルが使用されている。つまり、共通する吸気系モデルの逆モデルであるエア逆モデルM1-1に目標KLを入力したものがスロットルの目標開度として設定され、同吸気系モデルの順モデルであるエアモデルM1にスロットル開度を入力したものが見込みKLとして算出される。これによれば、エア逆モデルM1-1により目標KLをスロットル開度に変換する際に生じた誤差は、エアモデルM1によりスロットル開度を見込みKLに変換する際に生じる誤差によって打ち消されることになる。その結果、少なくとも定常運転時においては、目標KLと見込みKLとを一致させることができる。
本実施の形態の制御装置の構成では、見込みKLで実現できるトルクがエンジンの推定トルクとして算出される。そして、推定トルクと目標トルクとの比較値であるトルク効率に基づいて、見込みKLのもとで目標トルクを実現するための点火時期補正量が算出される。エンジンの目標効率が基本値の1であって、且つ、見込みKLが目標KLに一致する場合には、推定トルクは目標トルクに一致することになり、それらの比較値であるトルク効率から算出される点火時期補正量はゼロとなる。
目標点火時期は、実KLに基づいて算出された基準点火時期(本実施の形態ではMBT)と点火時期補正量との加算値であるので、推定トルクが目標トルクに一致する状況では目標点火時期は必ず基準点火時期に設定されることになる。つまり、本実施の形態の制御装置によれば、エンジンの目標効率が基本値の1に設定されている場合には、少なくとも定常運転時においては確実に基準点火時期での運転を実現することができる。
以上、本発明の実施の形態1としてのエンジンの制御装置について説明した。実施の形態1と本発明との対応関係は次の通りである。
図1に示す構成において、トルク調停部2は第1の発明の「要求トルク取得手段」に相当し、トルク調停部2から出力される目標トルク(調停されたトルク要求)は第1の発明の「要求トルク」に相当する。目標吸入空気量計算部8は第1の発明の「目標吸入空気量算出手段」に相当する。目標スロットル開度設定部10は第1の発明の「目標動作量設定手段」に相当し、エア逆モデルM1-1は第1の発明の「吸気系モデルの逆モデル」に相当する。スロットルドライバ12は第1の発明の「吸気制御手段」に相当する。
また、見込み吸入空気量計算部14は第1の発明の「見込み吸入空気量算出手段」に相当し、エアモデルM1は第1の発明の「吸気系モデルの順モデル」に相当する。推定トルク計算部16は第1の発明の「推定トルク算出手段」に相当する。点火時期補正量計算部20は第1の発明の「点火時期補正量算出手段」に相当する。実吸入空気量計算部32は第1の発明の「実際吸入空気量算出手段」に相当する。基準点火時期計算部34は第1の発明の「基準点火時期算出手段」に相当する。目標点火時期設定部36は第1の発明の「目標点火時期設定手段」に相当する。そして、点火装置ドライバ38は第1の発明の「点火制御手段」に相当する。
実施の形態2.
次に、図2を参照して本発明の実施の形態2について説明する。
図2は、本発明の実施の形態2としてのエンジンの制御装置の構成を示すブロック図である。本実施の制御装置と実施の形態1の制御装置とは、目標点火時期の計算に係る部分の構成に違いがある。図2のブロック図には目標点火時期の計算に係る部分の構成を示している。目標スロットル開度の計算に係る部分の構成については図1に示す構成と共通しているので、図2のブロック図からは省略している。なお、図2に示す構成において、実施の形態1のものと共通する要素については同一の符号を付している。
本実施の形態の制御装置は、点火時期補正量を計算するための系統を2つ備えている。第1の点火時期補正量計算系統100は、実施の形態1の制御装置と共通であって、見込み吸入空気量計算部14,推定トルク計算部16,トルク効率計算部18及び点火時期補正量計算部20から構成されている。実施の形態1にて説明したとおり、この計算系統100から算出される点火時期補正量は、見込みKLのもとで目標トルクを実現するために必要な点火時期補正量である。
第2の点火時期補正量計算系統200は、実吸入空気量計算部40,推定トルク計算部42,トルク効率計算部44及び点火時期補正量計算部46から構成されている。実吸入空気量計算部40は、エアモデルM2を用いてスロットル開度を吸入空気量に変換する。実施の形態1にて説明したとおり、エアモデルM2ではエアフローメータの出力値がパラメータとして使用されている。このため、エアモデルM2で得られる吸入空気量は、エンジンの実際の吸入空気量(実KL)に高い確度で一致している。
推定トルク計算部42は、実吸入空気量計算部40で計算された実KLをトルクに変換する。実KLのトルクへの変換には推定トルク計算部16のものと共通のトルクマップが用いられる。推定トルク計算部42は、実KLから変換されたトルクをエンジンの推定トルクとし、それをトルク効率計算部44に出力する。
トルク効率計算部44には、トルク調停部2で設定された目標トルクと推定トルク計算部42で計算された推定トルクとが入力される。トルク効率計算部44は目標トルクの推定トルクに対する比を計算し、その計算結果をトルク効率として算出する。
点火時期補正量計算部46は、第1の計算系統100の点火時期補正量計算部20と共通の機能を有している。トルク効率計算部44で算出されたトルク効率に基づき、実KLのもとでトルク効率を実現するための要求点火時期を計算するとともに、実KLのもとでの基準点火時期(本実施の形態でもMBT)を計算する。そして、基準点火時期と要求点火時期との偏差ΔSAを計算し、その偏差ΔSAを点火時期補正量として出力する。こうして得られた点火時期補正量は、実KLのもとで目標トルクを実現するために必要な点火時期補正量である。
以上のように、本実施の形態の制御装置では、第1の計算系統100において見込みKLに基づく点火時期補正量を得ることができ、第2の計算系統200において実KLに基づく点火時期補正量を得ることができる。選択スイッチ48は、これら2つの点火時期補正量のうち、目標点火時期設定部36に入力すべき点火時期補正量を選択する。選択された点火時期補正量は目標点火時期設定部36にて基準点火時期(本実施の形態でもMBT)に加算され、その計算結果が目標点火時期として設定される。
選択スイッチ48により第1の計算系統100が選択されているときには、実施の形態1と同様の理由により、少なくとも定常運転時においては確実に基準点火時期での運転を実現することができる。ただし、エアモデルM1,M2の計算誤差の影響により、見込みKLと実KLとは必ずしも一致しないため、見込みKLに基づいて計算した点火時期補正量では目標トルクを実現できない可能性が有る。
一方、選択スイッチ48により第2の計算系統200が選択されているときには、点火時期補正量は目標KLと実KLとのずれに基づいて計算される。このため、目標KLと実KLとのずれに伴うトルク差を確実に補償することのできる目標点火時期を設定することができ、目標トルクをエンジンの出力トルクとして確実に実現することができるようになる。
選択スイッチ48は、上位のパワートレインマネージャから供給される点火時期精度優先フラグのオン/オフに従って選択の切り替えを行っている。点火時期精度優先フラグがオンの場合には第1の計算系統100が選択され、オフの場合には第2の計算系統200が選択される。点火時期精度優先フラグは、点火時期の精度が優先される状況、例えば、目標効率が1に設定されているときにオンに設定される。その他の状況ではトルクの実現精度を優先し、点火時期精度優先フラグはオフに設定される。
以上、本発明の実施の形態2としてのエンジンの制御装置について説明した。実施の形態2と本発明との対応関係は次の通りである。
図2に示す構成において、実吸入空気量計算部40及び実吸入空気量計算部32は第1の発明の「実際吸入空気量算出手段」に相当する。推定トルク計算部42は第2の発明の「第2の推定トルク算出手段」に相当する。点火時期補正量計算部46は第2の発明の「第2の点火時期補正量算出手段」に相当する。そして、選択スイッチ48は第2の発明の「切り替え手段」に相当する。
また、実施の形態1と共通する構成(図1に示す構成)において、効率調停部4は第3の発明の「要求効率取得手段」に相当し、効率調停部4から出力される目標効率(調停された効率要求)は第3の発明の「要求効率」に相当する。目標トルク補正部6は第3の発明の「要求トルク補正手段」に相当する。
実施の形態3.
次に、図3乃至図6を参照して本発明の実施の形態3について説明する。
前述のように、実施の形態1では見込みKLに基づいて点火時期補正量を計算している。しかし、見込みKLと実KLとは必ずしも一致しない。例えば、見込みKLが実KLよりも小さい場合、見込みKLのもとでのトルクカーブと実KLのもとでのトルクカーブとの間には図3,図4に示すような違いが生じる。以下では、実施の形態1において目標点火時期を設定する場合の動作について図3,図4を用いて説明するとともに、その動作の課題についても併せて説明する。
まず、図3を用いて点火時期補正量計算部20の動作について説明する。点火時期補正量計算部20は、推定トルクに基づいて見込みKLのもとでの最適点火時期SA1を計算するとともに、見込みKLのもとでトルク効率を実現するための要求点火時期SA2を計算する。ここでは、推定トルクを1.0Tとし、目標効率を0.8とする。定常状態でのトルク効率は目標効率に一致するため、要求点火時期SA2で実現されるトルクは0.8Tとなる。点火時期補正量計算部20は、基準点火時期SA1と要求点火時期SA2との偏差ΔSA1を見込みKLのもとでの点火時期補正量として算出する。
次に、図4を用いて目標点火時期設定部36の動作について説明するとともに、そこで生じる課題についても説明する。目標点火時期設定部36は、実KLに基づいて算出された最適点火時期SA0を取得し、それに点火時期補正量計算部20で算出された点火時期補正量ΔSA1を加算する。そして、その計算結果を目標点火時期SAとして設定する。最適点火時期SA0でのトルクを1.0tとした場合、目標効率が実現されたならば目標点火時期SAで実現されるトルクは0.8tとなる。しかし、見込みKLと実KLのトルクカーブの違いによって、目標点火時期SAで実現できるトルクは必ずしも0.8tにはならない。つまり、実施の形態1の制御装置では、見込みKLと実KLとのずれの程度によっては目標効率を実現できない可能性がある。
そこで、本実施の形態では、見込みKLと実KLとのずれによらず目標効率を実現可能とすべく、図5に示す方法にて目標点火時期の設定を行うこととした。図5に示すように、本実施の形態では、実KLに基づいて算出された最適点火時期SA0に点火時期補正量ΔSA1を加算するとともにさらに別の点火時期補正量ΔSA2を加算し、その計算結果を目標点火時期SAとして設定する。本実施の形態で新たに加算する点火時期補正量ΔSA2は、実KLに基づき計算される点火時期補正量(実施の形態2の計算系統200で算出される点火時期補正量)ΔSA0と点火時期補正量ΔSA1との差に相当する補正量である。このようにして目標点火時期SAを設定することで、目標効率に対応した0.8tのトルクをエンジンに出力させることが可能になる。
図6は、図5にて説明した方法を実現するための構成を示すブロック図である。本発明の実施の形態3としてのエンジンの制御装置は図6に示す構成を有している。点火時期補正量計算部20よりも上流の構成については図1に示す構成と共通しているので、図6のブロック図からは省略している。なお、図6に示す構成において、実施の形態1のものと共通する要素については同一の符号を付している。
本実施の形態の制御装置は、上述の点火時期補正量ΔSA2を計算するための手段として、KLずれ補正部50を備えている。KLずれ補正部50は、見込みKLと実KLとのずれ量を計算し、そのずれ量をマップを用いて点火時期補正量に変換する。マップでは、トルク効率の他、エンジン回転数等のトルクと点火時期との関係に影響する各種の運転条件がパラメータとして用いられている。
KLずれ補正部50で算出された点火時期補正量ΔSA2は、点火時期補正量計算部20で算出された点火時期補正量ΔSA1と基準点火時期計算部34で算出された最適点火時期SA0とともに目標点火時期設定部52に入力される。目標点火時期設定部52は、入力された各値を合計し、その計算結果を目標点火時期SAとして点火装置ドライバ38に出力する。
図6に示す構成によれば、見込みKLと実KLとの間にずれがあったとしても、そのずれ量に応じた目標点火時期の補正によって、目標効率を実現できる適切な点火時期でエンジンを運転することができる。なお、本実施の形態の制御装置の構成としては、図6に示す構成に替えて図7に示す構成を採ることもできる。
図7に示す構成では、図6に示す構成にオン/オフスイッチ54を追加している。オン/オフスイッチ54はKLずれ補正部50と目標点火時期設定部52との間に配置されている。オン/オフスイッチ54がオンの場合には図6に示す構成と同一の機能が実現される。一方、オン/オフスイッチ54がオフの場合には図1に示す構成と同一の機能が実現される。オン/オフスイッチ54は目標効率の値によって切り替わり、目標効率が1の場合にオフになる。
目標効率が1の場合、少なくとも定常運転時には点火時期補正量計算部20で算出される点火時期補正量ΔSA1はゼロとなる。しかし、見込みKLと実KLとの間にずれがある場合には、KLずれ補正部50からはそのずれ量に応じた点火時期補正量ΔSA2が出力される。このため、図6に示す構成では、目標効率が1に設定されて基準点火時期での運転が求められているにもかかわらず、見込みKLと実KLとのずれによっては基準点火時期で運転できない可能性がある。これに対し、図7に示す構成によれば、目標効率が1であれば、点火時期補正量ΔSA2による目標点火時期SAの補正が禁止されるので、少なくとも定常運転時においては確実に基準点火時期での運転を実現することができる。
以上、本発明の実施の形態3としてのエンジンの制御装置について説明した。実施の形態3と本発明との対応関係は次の通りである。
図6,図7に示す構成において、KLずれ補正部50と目標点火時期設定部52とは第4の発明の「目標点火時期補正手段」に相当する。図7に示す構成において、オン/オフスイッチ54は第5の発明の「補正禁止手段」に相当する。また、実施の形態1と共通する構成(図1に示す構成)において、効率調停部4は第4の発明の「要求効率取得手段」に相当し、効率調停部4から出力される目標効率(調停された効率要求)は第4の発明の「要求効率」に相当する。目標トルク補正部6は第4の発明の「要求トルク補正手段」に相当する。
その他.
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、上述の実施の形態では、吸気アクチュエータとしてスロットルを用いているが、可変動弁機構付の吸気バルブを吸気アクチュエータとして用いてもよい。その場合の吸気アクチュエータの動作量は、吸気バルブのリフト量或いは作用角である。
本発明の実施の形態1としての内燃機関の制御装置の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態2としての内燃機関の制御装置の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態1においてトルク効率から点火時期補正量を算出する場合の動作をトルクと点火時期との関係を示すチャートにて示した図である。 本発明の実施の形態1において点火時期補正量から目標点火時期を設定する場合の動作をトルクと点火時期との関係を示すチャートにて示した図である。 本発明の実施の形態3における目標点火時期の設定方法をトルクと点火時期との関係を示すチャートにて示した図である。 本発明の実施の形態3としての内燃機関の制御装置の構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態3としての内燃機関の制御装置の構成の変形例を示すブロック図である。
符号の説明
2 トルク調停部
4 効率調停部
6 目標トルク補正部
8 目標吸入空気量計算部
10 目標スロットル開度設定部
12 スロットルドライバ
14 見込み吸入空気量計算部
16 推定トルク計算部
18 トルク効率計算部
20 点火時期補正量計算部
22 要求点火時期計算部
24 基準点火時期計算部
26 点火時期偏差計算部
32 実吸入空気量計算部
34 基準点火時期計算部
36 目標点火時期設定部
38 点火装置ドライバ
40 実吸入空気量計算部
42 推定トルク計算部
44 トルク効率計算部
46 点火時期補正量計算部
48 選択スイッチ
50 KLずれ補正部
52 目標点火時期設定部
54 オン/オフスイッチ
100 第1の点火時期補正量計算系統
200 第2の点火時期補正量計算系統

Claims (5)

  1. 吸気系に配置された吸気アクチュエータの制御による吸入空気量の調整と、点火アクチュエータの制御による点火時期の調整とにより内燃機関が出力するトルクを制御する内燃機関の制御装置において、
    前記内燃機関に対して要求されるトルクを取得する要求トルク取得手段と、
    前記要求トルクを実現する吸入空気量を前記内燃機関の目標吸入空気量として算出する目標吸入空気量算出手段と、
    前記吸気アクチュエータの動作に対する吸入空気量の応答を表した吸気系モデルの逆モデルを具備し、前記目標吸入空気量を前記逆モデルに入力して得られる動作量を前記吸気アクチュエータの目標動作量として設定する目標動作量設定手段と、
    前記目標動作量に従って前記吸気アクチュエータを制御する吸気制御手段と、
    前記吸気系モデルの順モデルを具備し、前記吸気アクチュエータの動作量を前記順モデルに入力して得られる吸入空気量を前記内燃機関の見込み吸入空気量として算出する見込み吸入空気量算出手段と、
    前記見込み吸入空気量で実現できるトルクを前記内燃機関の推定トルクとして算出する推定トルク算出手段と、
    前記推定トルクと前記要求トルクとの比較値に基づいて前記見込み吸入空気量のもとで前記要求トルクを実現するための点火時期補正量を算出する点火時期補正量算出手段と、
    前記内燃機関の吸気系に配置された空気流量センサの出力値に基づいて前記内燃機関の実際の吸入空気量を算出する実際吸入空気量算出手段と、
    前記実際吸入空気量に基づいて基準点火時期を算出する基準点火時期算出手段と、
    前記基準点火時期と前記点火時期補正量とに基づいて目標点火時期を設定する目標点火時期設定手段と、
    前記目標点火時期に従って前記点火アクチュエータを制御する点火制御手段と、
    を備えることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 前記実際吸入空気量で実現できるトルクを前記内燃機関の推定トルクとして算出する第2の推定トルク算出手段と、
    前記第2の推定トルク算出手段で算出された推定トルクと前記要求トルクとの比較値に基づいて前記実際吸入空気量のもとで前記要求トルクを実現するための点火時期補正量を算出する第2の点火時期補正量算出手段と、
    前記目標点火時期設定手段において目標点火時期の設定に用いる点火時期補正量を、前記点火時期補正量算出手段により算出される点火時期補正量から、前記第2の点火時期補正量算出手段により算出される点火時期補正量へ切り替える切り替え手段と、
    をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の内燃機関の制御装置。
  3. 前記内燃機関に対して要求される効率を取得する要求効率取得手段と、
    目標吸入空気量の算出に用いる要求トルクを前記要求効率によって補正する要求トルク補正手段と、
    をさらに備え、前記切り替え手段は、前記要求効率が1の場合には前記点火時期補正量算出手段により算出される点火時期補正量を選択することを特徴とする請求項2記載の内燃機関の制御装置。
  4. 前記内燃機関に対して要求される効率を取得する要求効率取得手段と、
    目標吸入空気量の算出に用いる要求トルクを前記要求効率によって補正する要求トルク補正手段と、
    前記実際吸入空気量と前記見込み吸入空気量との比較値に基づいて前記目標点火時期設定手段により設定される目標点火時期を補正する目標点火時期補正手段と、
    をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の内燃機関の制御装置。
  5. 前記要求効率が1の場合には前記目標点火時期補正手段による目標点火時期の補正を禁止する補正禁止手段、
    をさらに備えることを特徴とする請求項4記載の内燃機関の制御装置。
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