ところで、前述の慣性過給が行われる内燃機関の吸気系においては、吸気制御弁により発生される負圧波を反射させ正圧波として再び吸気制御弁に送り込むための大容量のサージタンクが必要とされる。この時、吸気通路に大容量のサージタンクを備えることにより内燃機関の車両への搭載性が悪化してしまう虞がある。特に特許文献3に開示されている技術によれば、大容量のサージタンクを吸気マニホールドで覆うように形成されるため、サージタンクの形状に制限が課せられるとともに、もともと大容量のサージタンクを車両へ搭載する際に、占有する体積がさらに増加してしまうという技術的問題が発生する。
他方で、慣性過給が行われるに際して、サージタンクで発生する吸気の脈動により騒音が発生することも一つの技術的問題点として指摘されている。
本発明は、上述した問題点に鑑みて為されたものであり、慣性過給を行う内燃機関に備えられる大容量サージタンクの車両搭載性を向上させ、他方で慣性過給に伴う吸気の脈動意に起因する騒音を好適に抑制させることが可能な内燃機関の吸気制御装置を提供することを課題とする。
上記問題を解決するために、本発明の内燃機関の吸気制御装置は、車両に搭載され、気筒内部に連通する吸気通路と、該吸気通路に設置され、開閉状態に応じて吸気の脈動を生成可能且つ該吸気の量たる吸気量を調整可能な吸気制御弁と、前記吸気通路において前記吸気制御弁の上流側に設置され、前記生成された脈動に対応する脈動波の位相を反転させる位相反転手段とを備え、前記位相反転手段は、(i)前記吸気通路と交わる方向の断面に係る断面積が前記吸気通路における該断面積と較べて大きい外管と、前記吸気通路と交わる方向の断面に係る断面積が前記吸気通路における該断面積と同一の内管を備え、(ii)前記外管における上流側の端部は前記吸気通路に接続されるとともに、下流側の端部は前記内管の外側に接続され、(iii)前記内管における上流側の端部は前記外管の内側で開放端となるとともに、下流側の端部は前記吸気通路に接続され、(iv)前記外管の上流側の端部に接続される前記吸気通路の端部と前記内管の上流側の端部との距離aは、前記内管の内径dより大きく、前記内管の内径dの2倍よりも小さい。
本発明に係る「内燃機関」とは、一又は複数の気筒を有し、当該気筒の各々における燃焼室において、例えばガソリン、軽油、各種アルコール若しくは各種アルコールとガソリンとの混合燃料等各種の燃料又は当該各種燃料を含む混合気等が爆発或いは燃焼した際に生じる力を、例えばピストン、コネクティングロッド及びクランク軸等の物理的な又は機械的な伝達経路を経て駆動力として取り出すことが可能に構成された機関を包括する概念である。また、この種の内燃機関に係る「内燃機関の吸気装置」とは、気筒内部に対する、吸気(即ち、外界から吸入される空気たる吸入空気を少なくとも概念の一部として含み、当該吸入空気そのもの、或いは例えばEGR装置等の排気再循環装置が備わる場合等には例えばEGRバルブ等の流量調整手段の開閉状態等に応じてEGRガス(即ち、排気の一部)と当該吸入空気の混合体等の各種形態を採り得る)の供給に供される装置である。
本発明に係る内燃機関の吸気装置における「吸気通路」とは、即ち、吸気の通路であって、好適な一形態として、例えばエアクリーナ、エアフローメータ、スロットルバルブ(即ち、吸気絞り弁)及び吸気ポート等を相互に且つ適宜に連結又は連通せしめ得る、例えば単一又は複数の管状部材の形態を採る。特に、本発明に係る内燃機関の吸気装置は、この吸気通路に、例えばターボチャージャ等の過給器(無論、タービン等、排気系に備わるべき一部を除外してなる一部であってもよい)が備わっており、更にその下流側(尚、「下流」とは、吸気の流れる方向を基準とする方向概念の一であり、この場合、即ち気筒側である)に、例えばインタークーラ等の吸気冷却手段を備える。吸気冷却手段は、過給器を介して供給される(過給器による過給が実践上有意に行われているか否かとは無関係であってもよい)吸気を冷却可能な物理的、機械的、機構的、電気的、磁気的又は化学的態様を有する手段であって、少なくとも幾らかなり且つ相対的に吸気が冷却されることによって、吸気の密度は相対的に上昇し、吸気の充填効率は向上し得る。
一方、本発明に係る内燃機関の吸気装置は、吸気通路における吸気冷却手段の下流側に吸気制御弁を備える。この吸気制御弁は、例えば二値的に、段階的に或いは連続的に制御され得る開閉状態に応じて、吸気の脈動を少なくとも生成可能な、且つ当該吸気の量たる吸気量を調整可能な、例えば弁体、或いは当該弁体に加え更に当該弁体を駆動する駆動装置等を適宜に含んでなる動弁機構又は動弁装置等の形態を採り得る手段である。この吸気制御弁は、内燃機関にスロットルバルブ等の所謂吸気絞り弁が備わる場合には、好適な一形態として、この吸気絞り弁の下流側に設置される。
吸気制御弁の設置態様は、例えば吸気通路の物理的な構成等に応じて多種多様な形態を採り得る。即ち、吸気通路は、吸気制御弁の下流側において気筒各々に分岐してもよいし(即ち、所謂一弁式のインパルスチャージ系に類する態様)、各々に吸気制御弁を備える、気筒各々に対応する吸気枝管(それに類するものを含む)を備えていてもよい(即ち、所謂多弁式のインパルスチャージ系に類する態様)。いずれにせよ、吸気制御弁は、吸気を脈動波として各気筒へ送り込むこと(好適な一形態として、吸気は、吸気制御弁の有無にかかわらず、基本的に脈動波として気筒内に取り込まれ得るが、吸気制御弁により生じる脈動とは、好適な一形態として、この種の脈動よりも強い脈動である)を主たる目的としており(但し、例えばこの種の脈動の生成とは別に、例えばスロットルバルブ等の吸気絞り弁の開閉操作等により好適に行われ得る吸入空気の調量(吸気絞り)を実践上問題無い程度に実践し得る場合には、スロットルバルブ等の吸気絞り弁の作用を本発明に係る吸気制御弁にて代替させてもよい(或いは逆に、吸気絞り弁が、本発明に係る吸気制御弁として、その機能を代替してもよい))、好適な一形態として、その開閉により少なくとも実践上十分な吸気の脈動を生じさせ得る程度に各気筒の吸気弁に近接した位置に設置されてもよい。
このように吸気制御弁を備える内燃機関では、吸気制御弁が単一であれ複数であれ、吸気の脈動を利用した慣性過給(パルス過給或いはインパルスチャージ等とも称される)が可能であって、例えば吸気制御弁の開閉時期、開弁期間又は開度(即ち、開弁の度合いであり、一義的に開閉状態を規定する)の制御(例えば、吸気の脈動波の山に相当する部分を吸気弁の閉弁時期近傍に同期させる旨の制御等)によって、例えば自然吸気がなされる場合等と比較して多量の吸気を吸気行程で気筒内に取り込むことが可能となる。また、吸気制御弁は、その開閉状態が如何なる態様を採り得るにせよ、また実践的にみて容易であるか否かは別として吸気量の調節が可能であり、例えば、吸気弁の開弁期間の途中で実質的に吸気の流入を遮断する吸気早閉じ制御等により、ポンピングロスの低減を図ることも可能となる。
ここで、本発明に係る内燃機関の吸気装置において、吸気制御弁を利用したこの種の慣性過給を実現する場合、吸気制御弁の開閉制御に加えて、例えばサージタンク等の形態を採り得る位相反転手段による、脈動に対応する脈動波の位相反転作用が利用される。ここで、「脈動に対応する脈動波」と表現されるように、位相反転手段に係る位相の反転に供される脈動波は、好適な一形態として、吸気弁の開弁後然るべき時間経過(クランク角等により角度概念として規定されてもよい)を経て吸気制御弁が開弁することによって生じる(即ち、吸気制御弁の下流側が負圧であり、且つ吸気制御弁の上流側が大気圧以上であることにより生じる)一次的な脈動波(正圧波)ではなく、当該一次的な脈動波が、開放端とみなし得る各気筒の燃焼室入り口近傍で反射されてなる反射波(即ち、当該一次的な脈動波とは位相が反転してなる負圧波)である。この反射波の位相が反転してなる言わば二次的な脈動波(即ち、正圧波)により、上述した慣性過給が実現される。
ここで特に、本発明に係る内燃機関の吸気装置における位相反転手段は、吸気通路と交わる方向の断面に係る断面積が吸気通路における該断面積と較べて大きい外管と、吸気通路と交わる方向の断面に係る断面積が吸気通路における該断面積と同一の内管を備え、外管における上流側の端部は吸気通路に接続されるとともに、下流側の端部は内管の外側に接続され、内管における上流側の端部は外管の内側で開放端となるとともに、下流側の端部は吸気通路に接続されるという形態を採っている。言い換えれば、下流側の吸気通路の延長となる内管の上流側の端部が開放端となっており、該内管の周囲を覆うように外管が形成され、該外管の上流側の端部は開口部を有し、該開口部を介して上流側の吸気通路と接続され、該外管の下流側の端部は内管の外壁に接続され、閉塞端を形成する構成となっており、内管と外管との間の容量増大部分をサージタンクとして機能させるものである。このように構成されるサージタンクにおいては、下流側の吸気通路に接続される内管を通過した吸気制御弁からの負圧波が、開放端を形成する該内管の上流側の端部において反射されて、前述のごとく二次的な脈動波が発生し、慣性過給が実現される。
典型的に、前述した慣性過給を実現するためには、吸気通路の一方を開放端とする技術的な要請があり、それに伴って大容量のサージタンクが必要とされる。しかしながら、内燃機関の排気量によって吸気通路の長さ及び径に最適値が決定されるため、内燃機関を車両に搭載する際の吸気通路の搭載、及び吸気通路に接続されるサージタンクの搭載場所の決定に技術的な制限が課せられることがある。他方で、前述のようにサージタンクを構成することによって、吸気通路の周辺の空隙を有効に活用することが出来、更にサージタンクの位置(典型的には、吸気通路の開放端の位置により決定される)を保持しつつも、サージタンクの形状(典型的には、サージタンクを構成する外管の形状に依存する)の自由度が増し、結果、車両への搭載性を飛躍的に上昇せしむることが可能となる。
更に、前述した慣性過給においては、発生する吸気の脈動が非常に大きく、またその周波数も増大する傾向にあり、該吸気の脈動を生成する吸気通路(典型的には、吸気通路の開放端、即ちサージタンク内管の上流側の端部)においては通路を構成する壁面の振動に起因する騒音が発生することがある。他方で、前述のようにサージタンクを構成することによって、前述した吸気の脈動が生成される吸気通路の開放端近傍が外管により覆われる形で形成されるため、前述した騒音が車両外部に漏出することを好適に抑制することが出来る。
更に、この態様によれば、サージタンクにおける開放端である内管の上流側の端部と、サージタンクに接続される上流側の吸気通路の端部(即ち、外管との接続部)との距離aを好適に設定することが可能となる。
ここで、前述の距離aが必要以上に短い場合、慣性過給に伴う内管の開放端からの脈動波の圧力がサージタンク上流側の吸気通路に逃げてしまうため、本発明の構成におけるサージタンクの容量増大部分(つまり、内管と外管の間の体積)が有効に活用されず、開放端において負圧波の反転により生じる正圧波が減少してしまう虞がある。
他方で、距離aが必要以上に長い場合(例えば、外管の長さに比して充分に長い場合など)、本発明の構成に依らない従来のサージタンクの構成に近づくため、本発明におけるサージタンクに係る車両への搭載性の向上及び慣性過給機における吸気騒音の好適な抑制という顕著な効果を提供するという課題を解決できない虞がある。
前述の技術的問題点を鑑みて、距離aを内管の内径dに基づいて決定することで、好適に本発明におけるサージタンクに係る慣性過給の効果を確保しつつも、車両への搭載性及び吸気騒音の抑制効果を向上させることが出来る。
更に、内管の開放端は、好適にはその形状が外側へ向かって広がる漏斗状の形状を採っていることが好ましい。このように構成することで、吸気通路の上流側からの吸気が開放端を介して内管へと流入するにあたり、該開放端において吸気が開放端外部へと流出してしまう、所謂空気圧損を好適に低減させることが出来る。
更に、内管と外管との間には、好適には、ステーなどの支持手段を備えて構成されていていることが好ましい。このように構成することで、吸気の脈動の生成に伴う内管の振動に起因する内管の破壊、或いは損傷を好適に抑制することが出来る。
以上説明したように、本発明に係る内燃機関の吸気制御装置によれば、サージタンクが、吸気通路の延長として開放端を形成する内管と、該内管を覆うように形成された外管とを備えて構成されることにより、該サージタンクを備えた内燃機関の車両への搭載性を飛躍的に向上させるとともに、慣性過給に起因する騒音を好適に抑制することが出来る。
本発明の内燃機関の吸気制御装置の他の態様は、少なくとも前記外管の上流側に接続される前記吸気通路の端部近傍の中心軸と、少なくとも前記内管の上流側の端部近傍の中心軸とが、互いに同一線上に配置されている。
この態様によれば、サージタンクにおける開放端である内管の上流側の端部と、サージタンクに接続される上流側の吸気通路の端部とは、互いに同一線上に中心軸を有して向き合うように構成されている。内管、或いは上流側の吸気通路は車両の搭載性の向上に伴う技術的な要請、或いはその他なんらかの理由により屈曲して構成されていても構わないが、この態様においては、少なくとも内管及び上流側の吸気通路双方の端部近傍の中心軸は同一線上に配置されて構成されている。
このように構成することによって、上流側の吸気通路より流入された吸気が開放端において屈曲することに起因して内管への流入量が低減し、吸気圧損が増大することを好適に防止することが可能である。結果、気筒へ流入する吸気の低減を抑制することが出来、ポンプ損失の増大及びエンジン熱効率の低減をも抑制することが出来る。言い換えれば、このように構成することによって、サージタンク部分における吸気の流れをスムースになり、吸気圧損が低減されることで、高速性能とエンジン熱効率を向上させることが出来る。
或いは、本発明の内燃機関の吸気制御装置のこの態様では、前記外管の上流側に接続される前記吸気通路の端部近傍の内径が端部に向かうほど小さくなる先細り形状である。
このように構成することによって、内管の開放端に向かい合う上流側の吸気通路の端部近傍は端部に近づくほどその内径が小さくなっていく先細り形状となっているため、該吸気通路を通過する吸気が、サージタンク入口の開放端において吸気通路の中心軸方向に向かう流れを作り、吸気のスムースな内管の開放端への流入を促進することが可能となる。結果、サージタンクの入り口における吸気圧損が低減されることで、高速性能とエンジン熱効率を向上させることが出来る。
更に、このように構成することによって、慣性過給が実施されるときに吸気制御弁において発生された脈動波がサージタンクにおいて反射される場合に、サージタンクの上流側の吸気通路へと流出(つまり、逆流)することを好適に抑制することが出来る。結果、負圧波が反射されることで発生する正圧波の反射効率を向上させることが出来、慣性過給における体積効果向上率をより向上させることが出来るのである。
或いは、この態様は、前記外管の長さLと、前記外管の前記吸気通路と交わる方向の断面に係る断面積と同一の面積を有する円の直径Dとの比(L/D)が、3以上5以下である。
このように構成されたサージタンクは、吸気通路と交わる方向の断面積(即ち、半径がD/2である円の面積)に比して、外管の長さ(つまり、サージタンクの吸気通路方向の長さ)が十分に長く形成されている。
前述の比L/Dが必要以上に大きい場合、外管の内径(ひいては、サージタンクの内径)が小さくなってしまい、サージタンクとしての圧力脈動を減衰させる効果が低減し、結果、慣性過給における体積効果向上率が低減してしまう虞がある。他方で、比L/Dが必要以上に小さい場合、サージタンクとしての効果を発揮するために必要な容量を得るために、外管の内径を非常に大きく採らなければならないという技術的な要請が課せられ、車両への搭載性を著しく悪化させる虞がある。
ここで、比L/Dを本発明の範囲で設定した場合、前述の技術的な問題を回避できると共に、慣性過給における内燃機関のトルク向上効果を顕著に増大することが出来る。
本発明の内燃機関の吸気制御装置の他の態様は、前記内管の板厚は、前記吸気通路の板厚に比して薄い。
この態様によれば、サージタンクを構成する内管の板厚は、吸気通路の板厚に比して薄く構成することが出来る。従来型の慣性過給が行われるディーゼル、或いはガソリンエンジンにおいては、吸気通路及びサージタンクの外側は大気圧であり、慣性過給による過給圧との圧力差に耐えうる強度を要するとの技術的要請から、吸気通路の板厚を大きく採る必要があった。結果、生産コストの増大、及び内燃機関の質量増加に伴う燃費の悪化を招いていた。
他方で、この態様においてサージタンクは、吸気通路に接続された内管と、該内管の周囲を覆うように形成された外管とを備えて構成されるため、外管に覆われた吸気が通過する通路(即ち、内管)においては、慣性過給の際に、その外側(つまり、内管と外管の間の部位であり、サージタンクとしての効果を有する部位)でも吸気通路及び内管と同程度の過給圧が加わるため、内管の内側及び外側での圧力差から生じる力は低減され、要求される内管の強度も従来型に比して小さく抑えられる。そこで、このように構成することによって、内管が過給圧に耐えうる強度を保持しつつ、その板圧を可能な範囲において薄くすることで、生産コストの低減、及び質量の低減に伴う燃費の向上を実現することが出来るのである。
尚、この態様においては、好適には、サージタンクの内管が下流側の吸気通路に接続されている部分においては、少なくとも双方の内径における前述の板厚の差異に起因する段差が生じないよう構成されていることが好ましい。
本発明の内燃機関の吸気制御装置の他の態様は、前記内管は、樹脂製である。
この態様によれば、サージタンクを構成する内管の内壁は、従来型の内燃機関における吸気通路の壁面を形成する材質に比して低質量及び低コストである樹脂により構成することが出来る。
この態様によれば、サージタンクは、吸気通路に接続された内管と、該内管の周囲を覆うように形成された外管とを備えて構成されるため、外管に覆われた吸気が通過する通路(即ち、内管)においては、慣性過給の際に、その外側(つまり、内管と外管の間の部位であり、サージタンクとしての効果を有する部位)でも吸気通路及び内管と同程度の過給圧が加わるため、内管の内側及び外側での圧力差から生じる力は低減され、要求される内管の強度も従来型の内燃機関における吸気通路に比して小さく抑えられる。そこで、このように構成することによって、内管が過給圧に耐えうる強度を保持しつつ、生産コストの低減、及び質量の低減に伴う燃費の向上を実現することが出来るのである。
尚、この態様においては、好適には、サージタンクの内管が下流側の吸気通路に接続されている部分においては、少なくとも双方の内径における前述の材質の差異に起因する段差が生じないよう構成されていることが好ましい。
本発明の内燃機関の吸気制御装置の他の態様は、前記外管の上流側の端部の内径が端部に向かうほど小さくなる先細り形状であるとともに、前記内管の下流側の端部が上方となるよう当該内燃機関の吸気制御装置が車両に搭載される。
この態様によれば、慣性過給が行われるディーゼル、或いはガソリンエンジンにおいて、インタークーラにより吸気が冷却される際に発生する凝縮水がサージタンク内の閉塞端(即ち、外管と内管の外壁との接続部分)に貯まることに伴う不具合を好適に防止することが出来る。典型的に、発生した凝縮水は、車両の下部に搭載されるインタークーラの下部に貯められ、慣性過給に伴って吸気通路において吸気制御弁の下流側の気筒内部に連通する部分(つまり、吸気マニホールド)が負圧となった場合に、吸引される構成となっている。
従って、このように構成することによって、発生した凝縮水がサージタンクの上流側の吸気通路を介してインタークーラに流入することが促進され、結果、サージタンク内に凝縮水が溜まることに起因する、サージタンクの腐食、凝縮水の氷結による破損、騒音、及びサージタンク内の容積低減による慣性過給の体積効率向上効果の低減などの不具合を好適に防止することが出来る。
ここに、内管の下流側の端部が上方となるように搭載することとは、サージタンクの上流側の端部に比して、下流側の端部(つまり、内管の下流側の端部)が、少なくともサージタンク内で結露した凝縮水が上流側の端部に流入するのに十分高く搭載されていることを指し、前述の効果を享受できるような態様であればどのように搭載されていても良い。
本発明の内燃機関の吸気制御装置の他の態様は、前記外管の下流側の端部において車両に搭載される際に下方となる部位に少なくとも一つの開口部を備え、前記開口部を介して前記吸気通路において前記吸気制御弁の下流側における前記気筒内部に連通する部位に接続される
この態様によれば、慣性過給が行われるディーゼル、或いはガソリンエンジンにおいて、インタークーラにより吸気が冷却される際に発生する凝縮水がサージタンク内の閉塞端(即ち、外管と内管の外壁との接続部分)に貯まることに伴う不具合を好適に防止することが出来る。更に、当該内燃機関が車両に搭載されるにあたり、その搭載の態様に制限を加えることなく、サージタンク内に結露した凝縮水を好適に吸気マニホールドへと流入させることが出来る。
従って、このように構成することによって、発生した凝縮水がサージタンクの上流側の吸気通路を介してインタークーラに流入することが促進され、結果、サージタンク内に凝縮水が溜まることに起因する、サージタンクの腐食、凝縮水の氷結による破損、騒音、及びサージタンク内の容積低減による慣性過給の体積効率向上効果の低減などの不具合を好適に防止することが出来る。
<発明の実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の好適な各種実施形態について説明する。
<基本構成>
始めに、図1を参照して、本発明の実施形態に係るエンジンシステム10の基本構成について一部その動作を交えて説明する。ここに、図1は、エンジンシステム10の構成を概念的に表してなる概略構成図である。
図1において、エンジンシステム10は、図示せぬ車両に搭載され、ECU100及びエンジン200を備える。
ECU100は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を備え、エンジン200の動作全体を制御することが可能に構成された電子制御ユニットである。
エンジン200は、軽油を燃料とする、本発明に係る「内燃機関」の一例たる直列4気筒ディーゼルエンジンである。エンジン200の概略について説明すると、エンジン200は、シリンダブロック201に4本の気筒202が並列して配置された構成を有している。そして、各気筒内における圧縮行程において、当該圧縮行程或いは吸気行程に気筒内に直接噴射される燃料と吸入空気との混合気が圧縮され、自発的に着火した際に生じる力が、夫々不図示のピストン及びコネクティングロッドを介してクランクシャフト(不図示)の回転運動に変換される構成となっている。このクランクシャフトの回転は、エンジンシステム10を搭載する車両の駆動輪に伝達され、当該車両の走行が可能となる。以下に、エンジン200の要部構成を、その動作の一部と共に説明する。尚、個々の気筒202の構成は相互に等しいため、ここでは一の気筒202についてのみ説明することとする。
図1において、外界から導かれる空気たる吸入空気は、本発明に係る「吸気通路」の一例たる吸気管204を介して、その内部が吸気管204と連通してなるサージタンク205へ供給される構成となっている。サージタンク205は、後述するターボチャージャの過給作用を適宜受けつつ供給される吸入空気の不規則な脈動を抑制し、且つ下流側(即ち、気筒202側)に安定して吸入空気を供給すると共に、後述するインパルスチャージの実行時において、本発明に係る「位相反転手段」の一例として機能するように構成されてなる貯留手段である。但し、吸入空気は基本的に大なり小なり脈動しつつ気筒202側へ供給されるため、サージタンク205を通過する吸入空気もまた、一種の脈動波である。
ここで、図2から図4を参照し、サージタンク205及びその周辺部の構成について補足する。ここに、図2aから図4は、吸気管204に沿ったサージタンク205周辺部分の模式的な断面図である。また、図2bは、サージタンク205の吸気管と交差する方向の模式的な断面図である。尚、同図において、図1と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図2aにおいて、サージタンク205は、その上流側において上流側管路204aに、またその下流側において下流側管路204bに夫々連結された吸入空気貯留用のボリュームであり、上流側管路204aに接続され、径方向(即ち、吸気管204の伸長方向と交わる方向)の長さが、上流側管路204a及び下流側管路204bにおける径方向の長さよりも大きい外管205aと、下流側管路204bに接続され、径方向の長さが、上流側管路204a及び下流側管路204bにおける径方向の長さと等しい内管205bにより構成されている。尚、内管205bの上流側の端部は開放端となっており、好適にはその形状は端部近傍より端部に近づくほど先が広がる漏斗状の構成となっていることが好ましい。また、外管205aの下流側の端部は、内管205bの外壁に接続される閉塞端を形成している。尚、上流側管路204a及び下流側管路204bは、夫々吸気管204の一部である。尚、補足すると、サージタンク205を構成する外管205aは、吸気管204の伸長方向と交わる断面に係る断面形状が略円形状をなしており、上流側管路204a及び下流側管路204bは当該断面形状が円形をなす管状部材である。従って、外管205aの当該断面の断面積(つまり、サージタンク205における当該断面の断面積)は、上流側管路204a及び下流側管路204bに対して十分大きいものとなっている。
また、図2a及び図2bに示すように、内管205bは、その外壁上の所定の位置において、外管205aとの間にステー構造を備えて構成されていることが好ましい。該ステー構造は、少なくとも、後に詳述する慣性過給に伴う吸気の脈動による内管205bの振動及び該振動による内管205bの破壊或いは損耗を幾らかなりとも抑制し得る構造であれば良く、そのような範囲のいかなる形態をも取り得るものである。
図3に示すように、好適には、サージタンク205において、内管205bの開放端とサージタンク205の上流側の端部にあたる上流側管路204aと外管205aとの接続部分との距離aは、内管205bの径方向の長さ(つまり内径)dより大きく、dの2倍よりも小さく構成されていることが好ましい。更に、図4に示すように、好適には、サージタンク205において、内管205bの開放端の中心軸と、上流側管路204aの中心軸とは、同一直線状に構成されていることが好ましい。
図1に戻り、サージタンク205の下流側(即ち、気筒202側)において、下流側管路204bは連通管206に接続され、その内部において連通管206と連通する構成となっている。連通管206は、各気筒202の吸気ポート(不図示)の各々に連通しており、吸気管204に導かれた吸入空気は、連通管206を介して、各気筒に対応する吸気ポートに導かれる構成となっている。吸気ポートは、一の気筒202について夫々二個ずつ備わっており、夫々が気筒202内部に連通可能に構成されている。
吸気ポートと気筒202内部との連通状態は、各吸気ポートに設けられた吸気バルブ207により制御される。吸気バルブ207は、クランクシャフトに連動して回転する吸気カムシャフト208に固定された、吸気カムシャフト208の伸長方向と垂直な断面が楕円形状をなす吸気カム209のカムプロフィール(端的に言えば、形状)に応じてその開閉特性が規定されており、開弁時に吸気ポートと気筒202内部とを連通させることが可能に構成されている。このように、エンジン200では、連通管206が、個々の気筒202(より具体的には吸気ポート)に対応する部分の上流側において集約され、下流側管路204bを介してサージタンク205と接続される構成となっており、連通管206は、吸気管204と共に本発明に係る「吸気通路」の一例を構成している。
気筒202の内部には、筒内噴射型のインジェクタ203の一部としての燃料噴射弁が露出しており、高温高圧の気筒内部に燃料たる軽油を直接噴射することが可能に構成されている。ここで、燃料は、不図示の燃料タンクに貯留されている。この燃料タンクに貯留される燃料は、不図示のフィードポンプの作用により燃料タンクから汲み出され、不図示の低圧配管を介して不図示の高圧ポンプに圧送される構成となっている。この高圧ポンプは、コモンレール203Aに対し、燃料を供給することが可能に構成されている。尚、高圧ポンプは、公知の各種態様を採り得、ここでは、その詳細については省略することとする。
コモンレール203Aは、ECU100と電気的に接続され、上流側(即ち、高圧ポンプ側)から供給される高圧燃料をECU100により設定される目標レール圧まで蓄積することが可能に構成された、高圧貯留手段である。尚、コモンレール203Aには、レール圧を検出することが可能なレール圧センサ及びレール圧が上限値を超えないように蓄積される燃料量を制限するプレッシャリミッタ等が配設されるが、ここではその図示を省略することとする。インジェクタ203は、気筒202各々について搭載されており、夫々が高圧デリバリ203Bを介してコモンレール203Aに接続されている。
ここで、インジェクタ203の構成について補足すると、インジェクタ203は、ECU100から供給される指令に基づいて作動する電磁弁と、この電磁弁への通電時に燃料を噴射するノズル(いずれも不図示)とを備える。当該電磁弁は、コモンレール203Aの高圧燃料が印加される圧力室と、当該圧力室に接続された低圧側の低圧通路との間の連通状態を制御することが可能に構成されており、通電時に当該加圧室と低圧通路とを連通させると共に、通電停止時に当該加圧室と低圧通路とを相互に遮断する。
一方、ノズルは、噴孔を開閉するニードルを内蔵し、圧力室の燃料圧力がニードルを閉弁方向(噴孔を閉じる方向)に付勢している。従って、電磁弁への通電により加圧室と低圧通路とが連通し、圧力室の燃料圧力が低下すると、ニードルがノズル内を上昇して開弁する(噴孔を開く)ことにより、コモンレール203Aより供給された高圧燃料を噴孔より噴射することが可能に構成される。また、電磁弁への通電停止により加圧室と低圧通路とが相互に遮断されて圧力室の燃料圧力が上昇すると、ニードルがノズル内を下降して閉弁することにより、噴射が終了する構成となっている。尚、このような構成は一例であり、例えば、燃料噴射プロセスそのものが電子制御化(即ち、圧力を媒体とすることなく燃料を噴射する)されていてもよい。
ここで、インジェクタ203によれば、燃料の噴射量を精細に制御することが可能であり、エンジン200では、個々のシリンダ202において、インジェクタ203を介し、目標噴射量に相当する燃料が、燃料と吸気との予混合を促進するための(無論、燃焼室内の急激な温度上昇を防止する目的もある)一又は複数回のパイロット噴射と、目標噴射量とパイロット噴射量との差分に相当するメイン噴射とに分割して噴射される構成となっている。
尚、高圧ポンプ、コモンレール203A、高圧デリバリ203B、及びインジェクタ203は、一体のコモンレールシステムとして構成されていてもよい。また、高温高圧の気筒内部に燃料を噴射するための態様は、ここに例示するものに限定されず、公知の各種態様を採ってよい。
いずれにせよ気筒202内部で形成される混合気は、圧縮行程において自着火して燃焼し、燃焼済みガスとして、或いは一部未燃の混合気として、吸気バルブ207の開閉に連動して開閉する排気バルブ210の開弁時に、不図示の排気ポートを介して排気として排気マニホールド213に導かれる構成となっている。排気バルブ210は、クランクシャフトに連動して回転する排気カムシャフト211に固定された、排気カムシャフト211の伸長方向と垂直な断面が楕円形状をなす排気カム212のカムプロフィール(端的に言えば、形状)に応じてその開閉特性が規定されており、開弁時に排気ポートと気筒202内部とを連通させることが可能に構成されている。排気マニホールド213に集約された排気は、排気マニホールド213に連通する排気管214に供給される。
排気管214には、タービンハウジング215に収容される形でタービン216が設置されている。タービン216は、排気管214に導かれた排気の圧力(即ち、排気圧)により所定の回転軸を中心として回転可能に構成された、回転翼車である。このタービン216の回転軸は、コンプレッサハウジング217に収容される形で吸気管204に設置されたコンプレッサ218と共有されており、タービン216が排気圧により回転すると、コンプレッサ218も当該回転軸を中心として回転する構成となっている。
コンプレッサ218は、エアクリーナ219を介して外界から吸気管204に吸入される吸入空気を、その回転に伴う圧力により下流側へ圧送供給することが可能に構成された、本発明に係る「過給器」の一例たる圧送手段である。このコンプレッサ218による吸入空気の圧送効果により、所謂過給が実現される構成となっている。即ち、エンジン200では、タービン216とコンプレッサ218とにより、一種のターボチャージャが構成されている。尚、これ以降の説明において、タービン216及びコンプレッサ217を含む包括概念として、適宜「ターボチャージャ」なる言葉を使用することとする。
エアクリーナ219とコンプレッサ218との間には、吸入空気の質量流量を検出可能なホットワイヤ式のエアフローメータ220が設置されている。エアフローメータ220は、ECU100と電気的に接続されており、検出された吸入空気量Gaは、ECU100により一定又は不定の周期で把握される構成となっている。尚、本実施形態において、検出された吸入空気量Gaは、気筒202に吸入される吸気の量(即ち、吸気量)と一義的な関係を有しており、エンジン200の実負荷を規定する指標値として扱われる。
吸気管204において、コンプレッサ218の下流側、且つサージタンク205の上流側には、インタークーラ221が設置されている。インタークーラ221は、その内部に熱交換壁を有しており、過給された吸入空気が(無論、コンプレッサ218が実質的にみて有意に作用しない低回転領域においても同様である)通過する際に、係る熱交換壁を介した熱交換により吸入空気を冷却することが可能に構成された、本発明に係る「吸気冷却手段」の一例である。エンジン200では、このインタークーラ221による冷却によって吸入空気の密度を増大させることが可能となるため、コンプレッサ217を介した過給がより効率的になされ得る。
インタークーラ221とサージタンク205との間には、サージタンク205へ供給される吸入空気の量を調節可能なディーゼルスロットルバルブ222が配設されている。このディーゼルスロットルバルブ222は、ECU100と電気的に接続され且つECU100により上位に制御されるスロットルバルブモータ223から供給される駆動力により回転可能に構成された回転弁であり、ディーゼルスロットルバルブ222を境にした吸気管204の上流部分と下流部分とをほぼ遮断する全閉位置から、ほぼ全面的に連通させる全開位置まで、その回転位置が連続的に制御される構成となっている。このように、エンジン200では、ディーゼルスロットルバルブ222及びスロットルバルブモータ223により、一種の電子制御式スロットル装置が構成されている。
尚、エンジン200は、ディーゼルエンジンであり、その出力は、ガソリン等を燃料とするエンジンにおける空燃比制御(吸気量を基準とした燃料噴射制御)と異なり、噴射量の増減制御を介してコントロールされる。従って、ディーゼルスロットルバルブ222を介して吸入される吸入空気の量には、少なくともその上限側に実質的な制限はなく、ディーゼルスロットルバルブ222は、エンジン200の動作期間の大部分の領域において、基本的に全開位置に制御される。
エンジン200の要求負荷は、不図示のアクセルペダルの操作量(即ち、ドライバによる操作量)たるアクセル開度Accに応じて決定される。アクセル開度Accは、アクセル開度センサ11により検出され、アクセル開度センサ11と電気的に接続されたECU100により一定又は不定の周期で把握される構成となっている。総体的には、アクセル開度が小さい程要求負荷は小さく、アクセル開度が大きい程要求負荷は大きくなる。要求負荷の大小とは、要求出力の大小と相関するから、エンジンシステム10において、エンジン要求出力は、アクセル開度Accに応じて変化する。
一方、連通管206の集約部分(即ち、個々の気筒202に分岐する分岐部分よりも上流側(サージタンク205側)の部分であって、下流側管路204bとの接続部分)には、単一のインパルス弁224が設けられている。インパルス弁224は、後述する弁体224Aの位置に応じて規定される開度が、下流側管路204b(一義的にサージタンク205)と連通管206との連通を遮断する全閉開度と、下流側管路204b(一義的にサージタンク205)と連通管206とをほぼ全面的に連通させる全開開度との間で連続的に変化するように構成された、本発明に係る「吸気制御弁」の一例たる電磁制御弁である。尚、インパルス弁224は、下流側管路204bに設けられていてもよい。
ここで、図3を参照し、インパルス弁224の詳細について説明する。ここに、図3は、インパルス弁224周辺の模式的な断面図である。尚、同図において、図1と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図3において、インパルス弁224は、弁体224A、回転軸224B、駆動モータ224C及び駆動回路224Dを備えた弁装置として構成されている。
弁体224Aは、図示断面における面内で回転可能に構成された回転体である。
回転軸224Bは、弁体224Aの回転中心を規定する軸体であり、駆動モータ224Cの回転軸に連結されている。
駆動モータ224Cは、三相交流型の電動機であり、その回転軸には上述した回転軸224Bが連結されている。駆動モータ224Cは、当該回転軸に連結され且つ永久磁石が付設されてなる不図示のロータが、駆動回路224Dにより駆動モータ224C内に形成される磁界の作用によって回転することにより、その回転方向に駆動力を発生する構成となっている。
駆動回路224Dは、駆動モータ224Cに形成される磁界の状態を制御することが可能に構成された電力制御回路である。駆動回路224Dは、ECU100と電気的に接続されており、ECU100によりその動作が上位に制御される構成となっている。
ここで、インパルス弁224の開度を規定する弁体224Aの位置は、平常時において、図示全閉位置CLと図示全開位置OPとの間で連続的に(或いは実践上連続的にとみなし得る程度に段階的に)制御される。全閉位置CLとは、上述した全閉開度に相当する位置であり、全開位置OPとは、上述した全開開度に相当する位置である。補足すると、平常時におけるインパルス弁224の弁体224Aの基準位置(即ち、非駆動時の位置であり、デフォルトの位置である)は全閉位置である。弁体224Aは、当該基準位置から時計回り方向に開角90°(即ち、全開位置に相当する)までの範囲で連続的に位置制御される。
ECU100は、弁体224Aが、インパルス弁224の目標開度に相当する目標位置(目標開角)で停止するように駆動回路224Dを制御する。その結果、駆動回路224Dからの電力の供給を受け、駆動モータ224C内には、駆動モータ224Cのロータを当該目標位置に相当する位置に回転させるための、或いは当該目標位置に相当する位置に保持するための磁界が形成され、当該ロータに間接的に固定された弁体224Aが最終的に目標位置で停止する。尚、上述した開角の制御範囲内において、弁体224Aは、時計回り方向にも反時計回り方向にも回転可能である。このように、エンジン200では、ディーゼルスロットルバルブ222よりも下流側においてインパルス弁224を備えることにより、各気筒202への吸入空気の供給の有無が、インパルス弁224の開閉状態に応じて制御される構成となっている。
図1に戻り、連通管206におけるインパルス弁224の近傍には、回転角センサ225が設置されている。回転角センサ225は、ロータの2相コイルから出力される電圧の位相が変化することを利用して角度を検出することが可能な、所謂レゾルバであり、インパルス弁224の開度(即ち、一義的に弁体224Aの位置)を検出することが可能に構成されている。また、回転角センサ225は、ECU100と電気的に接続されており、検出されたインパルス弁224の開度は、ECU100により一定又は不定の周期で把握される構成となっている。尚、インパルス弁224の開度を検出する手段は、レゾルバに限定されない。
排気管214には、DPF(Diesel Particulate Filter)226が設置されている。DPF226は、エンジン200から排出されるPM(Particulate Matter:粒子状物質)を捕集可能且つ浄化可能に構成されている。また、気筒202を収容するシリンダブロック201には、水温センサ227が配設されている。シリンダブロック201内部には、気筒202を冷却するための冷却水(例えば、LLC)の流路たるウォータジャケットが張り巡らされており、当該ウォータジャケット内部において、冷却水が不図示の循環系の作用により循環供給されている。水温センサ227は、このウォータジャケット内部に検出端子の一部が露出しており、冷却水の温度を検出することが可能に構成されている。水温センサ227は、ECU100と電気的に接続されており、検出された冷却水温は、ECU100により一定又は不定の周期で把握される構成となっている。
尚、本実施形態に係るエンジンシステム10では、本発明に係る「内燃機関」の一例として、ディーゼルエンジンたるエンジン200が採用されているが、本発明に係る内燃機関とはディーゼルエンジンのみを指すものではなく、無論ガソリンエンジンや、アルコール混合燃料を使用するエンジン等であってもよい。また、説明の煩雑化を防ぐ目的から、本実施形態に係るエンジン200には、EGR装置等の排気再循環装置が装着されないが、無論好適な一形態としてエンジン200に排気再循環装置が装着されていてもよい。ここで、排気再循環装置が装着されない構成に鑑みれば、本実施形態におけるエンジン200において、各気筒202に吸気ポートを介して吸入される吸気は、吸気管204を介して導かれる吸入空気のみにより構成される。
このように、本実施形態に係るエンジンシステム10では、吸気管204(上流側管路204a及び下流側管路204bを含む)、コンプレッサ218、インタークーラ221、サージタンク205、連通管206及びインパルス弁224を含む吸気系が、本発明に係る「内燃機関の吸気装置」の一例をなしており、特に、サージタンク205の下流側に位置するインパルス弁224の下流側において連通管206が各気筒に対し分岐する、所謂一弁式のインマニレス吸気系として構成されている。
<基本動作>
エンジンシステム10では、エンジン200の機関回転速度NEが所定のインパルスチャージ領域にある場合に、インパルスチャージが実行される。ここで、インパルスチャージとは、インパルス弁224の開閉により生じる吸気の脈動を利用した慣性過給を指す。より具体的に説明すると、インパルス弁224が閉弁した状態で一の気筒202が吸気行程を迎えると、当該気筒202の吸気バルブ207が開弁され、当該気筒202のピストンが下降し始める。この際、インパルス弁224が閉弁しているため、連通管206の管内圧は負圧となり、大気圧又は過給により大気圧以上に維持される下流側管路204bの管内圧との圧力差が拡大する。
このような状態においてインパルス弁224を開弁する(即ち、吸気バルブ207の開弁タイミング以降の開弁期間において開弁する)と、下流側管路204b(一義的にサージタンク205)と該当する気筒202(即ち、その時点で吸気行程にある気筒)の内部とが連通し、インパルス弁224を介して吸入空気が吸気として一気に気筒202内部の燃焼室に流入することとなる。
一方、燃焼室との連通部位において連通管206は所謂開放端となっており、燃焼室への吸入空気の流入に惹起された正圧波は、燃焼室で反射することによって、位相が反転した負圧波(即ち、本発明に係る「脈動に対応する脈動波」の一例)となる。この負圧波は、連通管206、インパルス弁224及び下流側管路204bを順次介してサージタンク205に到達する。
本実施形態においては、サージタンク205は、下流側管路204bと等しい内径を有し、該下流側管路204bの延長に当たる内管205bと、上流側管路204aに接続され、内管205bを覆うように形成された上流側管路204a及び内管205bに比して充分に大きい内径を有する外管205aから構成される。ここに、内管205bの上流側の端部もまた開放端となっており、前述の負圧波を反射させる効果を有するものである。
このため、サージタンク205に到達した負圧波は、内管205bの上流側の端部において反射され、位相が反転した正圧波として再び下流側管路204b、インタークーラ221a、インパルス弁224及び連通管206を介して燃焼室に到達する。この言わば二次的な正圧波のピークが燃焼室に(或いは吸気バルブ207に)到達した時点で(必ずしも、当該時点のみに限定されるものではなく、吸気の充填効率を幾らかなり向上させ得る限りにおいて当該時点を含む一定又は不定の期間であってよい)吸気バルブ207を閉弁すれば、燃焼室内の圧力は上昇し、吸気の充填効率が向上する。インパルス弁224を利用したインパルスチャージはこのように実行される。
一方で、サージタンク205は、その物理構造上、脈動波(正圧波の反射波たる負圧波)の位相を反転させ得るから、吸気バルブ207(或いは、その近傍部位)との距離に起因する脈動波の減衰が実践上問題とならない限りにおいて、或いは設置上の制約等、他の要請に抵触しない限りにおいて、本来、その吸気管204上の設置位置は比較的自由である。
ここで、エンジンシステム10にはインタークーラ221aが備わっており、インパルスチャージにより気筒内202内に供給される吸気は、元よりその密度が増大した(少なくともインタークーラ221aが備わらない場合と較べて増大した)状態にある。従って、インパルスチャージによって、吸気の充填効率はより向上し得る。
本発明に係る内燃機関の吸気制御装置のサージタンク205によれば、一義的には、当該サージタンク205の下流側管路204bの延長である内管205bと、該内管205bの周囲を覆う外管205aにより構成されるため、吸気通路204の周囲の空隙を有効に活用し、一義的には、吸気通路204の周囲の空隙の形状に依拠して外管205aを形成することが可能であるため、本発明に係る内燃機関の吸気制御装置が車両に搭載されるに際し、その搭載性を飛躍的に向上させることが可能となるものである。
更に、前述した慣性過給に際し、内管205bにおいて、吸気の脈動に起因して振動が生じ、騒音が発生する原因となる技術的問題に関しても、該内管205bの周囲を覆うように形成された外管205aによって、該騒音が内燃機関外部に漏出する程度を好適に抑制することが可能である。
尚、前述したように、内管205bの開放端と上流側管路204aの端部との距離aを、内管205bの内径dよりも大きく、dの2倍よりも小さい範囲で規定することにより、一方では双方の距離が近すぎることに起因して慣性過給に伴う内管の開放端からの脈動波の圧力がサージタンク上流側の吸気通路に逃げてしまうことによる、開放端において負圧波の反転により生じる正圧波が減少してしまうが事態を好適に防止し、他方で双方の距離が長すぎることに起因して、サージタンク205を二重管構造にすることに伴う前述した本発明の内燃機関の吸気制御装置における顕著な効果が得られなくなるが事態を好適に防止することが出来る。
更に、内管205bの開放端及び上流側管路204aの端部の少なくとも夫々の近傍における中心軸が同一線上に存在するように構成することで、上流側より流入する吸気の流れが、上流側管路204aの端部から内管205bへと好適に流入する効率を向上させることが出来、吸気の流れが内管205bに流入しないことに起因する吸気圧損の増大及びポンプ損失の増大を好適に抑制することが出来る。また、内管205bの開放端を端部に近づくにつれてその内径が大きくなる漏斗状に構成することによって、吸気の流れをより好適に内管205bへと流入させることが可能となり、吸気圧損を更に低減させることが可能となるのである。
<第1変形例>
本発明の第1変形例に係るサージタンク205’及びその周辺部の構成について、図6及び図7を参照して説明する。ここに、図6及び図7aは、吸気管204に沿ったサージタンク205’周辺部分の模式的な断面図である。尚、同図において、図1と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
前述の実施形態に係る記載においては、サージタンク205を備えて成るエンジンシステム10の基本構成及び基本動作に係る説明を行ったが、本変形例においては、サージタンク205に代えてエンジンシステム10に備えられる、サージタンク205’の説明を行う。本変形例におけるサージタンク205’を備えて成るエンジンシステム10の基本構成及び基本動作は、後に詳述するサージタンク205とサージタンク205’との特筆すべき差異を除いて前述の実施形態に係るエンジンシステム10と同様であるものである。
図6に示すように、本変形例におけるサージタンク205’は、その内管205’bの内径dに比して、上流側管路204aの端部の内径d2は小さく形成されており、また、該上流側管路204aの該端部近傍では、端部に近づくほど内径が小さく徐変していく先細り形状となっている。
更に、図7aに示すように、本変形例におけるサージタンク205’の吸気通路方向の長さL及び吸気通路と交わる断面積と同一の面積を有する円の直径(つまり、サージタンク205’における該断面積が円形である場合の該円形の直径)Dの比L/Dが3以上且つ5以下であるように構成されていることが好ましい。
ここに、図7bは、前述の比L/Dと、該比L/Dを順守して構成されるサージタンクを備えるエンジンシステムにおけるエンジントルク(つまり、軸トルク)との関係を概略的に示すグラフである。図7bに示すとおり、比L/Dが3から5の間において、慣性過給の際のエンジントルクの向上効果が最大となる。ここで、比L/Dが必要以上に大きくなる場合、サージタンク205’の内径が小さくなり、サージタンクとしての圧力脈動の減衰効果が低減し、結果、慣性過給における体積効果の向上効果が低減することで、エンジントルクの向上効果が低減することになる。他方で、比L/Dが必要以上に小さくなる場合、サージタンクとしての機能を有するために必要な容量を備えるために必要とされる径が増大し、形成されたサージタンク205’の車両への搭載性が著しく悪化してしまう。本変形例のサージタンク205’の構成においては、係る技術的問題点を好適に防止しつつ、慣性過給に伴うエンジントルクの向上効果を著しく増大させることが可能である。
更に、前述の如く、上流側管路204aをサージタンク205’との接続部分に向けて先細り形状とすることで、吸気通路204の上流側からの吸気の流れが、サージタンク205’の内部において内管205’bの径方向の中心に向かうよう調整されるため、サージタンク205’を介してもスムースに下流側管路204bへと吸気を送り込むことが出来、吸気圧損を低減することが出来る。更に、慣性過給に伴う吸気の脈動が、前述の先細り形状のため上流側管路204aへと逆流することを好適に抑制でき、サージタンク205’においてインパルス弁224からの負圧波を好適に反射出来るようになり、結果、慣性過給に際する体積効率の向上効果を更に増大させることが可能である。
本変形例におけるサージタンク205’の構成は、前述の如く実施形態におけるエンジンシステム10が備えるサージタンク205に代えて備えられてもよく、また、読み取れる範囲において前述の実施形態及び他の変形例におけるサージタンク或いはそれに代わる要素に係る構成として組み合わせて構成されていても良い。その場合、本変形例における顕著な効果のみならず、実施形態或いは他の変形例における顕著な効果をも発揮し得ることは当然である。
<第2変形例>
本発明の第2変形例に係るサージタンク205’’及びその周辺部の構成について、図8及び図9を参照して説明する。ここに、図8及び図9は、吸気管204に沿ったサージタンク205’’周辺部分の模式的な断面図である。尚、同図において、図1と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
前述の実施形態に係る記載においては、サージタンク205を備えて成るエンジンシステム10の基本構成及び基本動作に係る説明を行ったが、本変形例においては、サージタンク205に代えてエンジンシステム10に備えられる、サージタンク205’’の説明を行う。本変形例におけるサージタンク205’’を備えて成るエンジンシステム10の基本構成及び基本動作は、後に詳述するサージタンク205とサージタンク205’’との特筆すべき差異を除いて前述の実施形態に係るエンジンシステム10と同様であるものである。
図8に示すように、本変形例におけるサージタンク205’’は、その内管205’’bの板厚が、吸気通路204の板厚、或いは外管205’’aの板厚に比して薄く形成されている(図8の点線部分)。ここで、内管205’’bの板厚は、内管205’’bと外管205’’aとの間の空間における空気圧と、内管205’’bの内部との空気圧の差から生じる力に対して破壊を伴わない程度の強度を有し、且つ、吸気通路204の板厚、或いは外管205’’aの板厚に比して幾らかなりでも薄く形成されていれば良く、結果として、サージタンク205’’を製作するに際しての材料のコスト低減及び質量低下に伴う燃費の向上などの好適な効果をもたらし得るものである。
他方で、図9に示すように、本変形例におけるサージタンク205’’は、その内管205’’bの材質が樹脂により形成されていても良い。ここで、樹脂により形成されることとは、内管205’’bと外管205’’aとの間の空間における空気圧と、内管205’’bの内部との空気圧の差から生じる力に対して破壊を伴わない程度の強度を有する樹脂により形成され、更に、典型的には金属製の材質により形成される従来型のサージタンク或いは吸気通路に比して幾らかなりと質量が低減されていることが望ましい。このように構成されたサージタンク205’’においても、製作に際しての材料のコスト低減及び質量低下に伴う燃費の向上などの好適な効果を享受することが出来る。
本発明に係る二重管構造のサージタンク205’’においては、慣性過給に伴う過給圧と、吸気系外部での大気圧との圧力差により生じる力に対し、破壊を伴わない程度の強度を有していることが必要とされるものの、特にサージタンク205’’を構成する内管205’’bにおいては、慣性過給に伴う過給圧と、内管205’’b外部との空気圧との圧力差により加えられる力が、例えば従来型のサージタンク、或いは本発明に係るサージタンク205’’の外管205’’aに比して低減されているため、求められる強度が比較的小さく設定されている。従って、内管205’’bの板厚を薄くする、或いは、低質量低コストではあるものの強度的に劣る樹脂により形成することによって、従来型のサージタンクに比して製作コストの低減や、車両搭載時の質量低減に伴う燃費の向上を可能とすることが出来るのである。
更に、本変形例における内管205’’bと下流側管路204aとの接続部分には、少なくともその内壁部分において、板厚或いは材質の差異に起因する段差や突起などが生じないように構成されていることが好ましい。このように構成されることで、該接続部分において、吸気の流れに乱れが生じるが事態を好適に抑止することが出来、スムースな吸気の通過が行われることとなる。
本変形例におけるサージタンク205’’の構成は、前述の如く実施形態におけるエンジンシステム10が備えるサージタンク205に代えて備えられてもよく、また、読み取れる範囲において前述の実施形態及び他の変形例におけるサージタンク或いはそれに代わる要素に係る構成として組み合わせて構成されていても良い。その場合、本変形例における顕著な効果のみならず、実施形態或いは他の変形例における顕著な効果をも発揮し得ることは当然である。
<第3変形例>
本発明の第3変形例に係るサージタンク205’’’及びその周辺部の構成について、図8及び図9を参照して説明する。ここに、図10は、吸気管204に沿ったサージタンク205’’’周辺部分の模式的な断面図である。尚、同図において、図1と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
前述の実施形態に係る記載においては、サージタンク205を備えて成るエンジンシステム10の基本構成及び基本動作に係る説明を行ったが、本変形例においては、サージタンク205に代えてエンジンシステム10に備えられる、サージタンク205’’’の説明を行う。本変形例におけるサージタンク205’’’を備えて成るエンジンシステム10の基本構成及び基本動作は、後に詳述するサージタンク205とサージタンク205’’’との特筆すべき差異を除いて前述の実施形態に係るエンジンシステム10と同様であるものである。
図10に示すように、本変形例におけるサージタンク205’’’は、上流側管路204aとの接続部分に向けて、外管205’’’aの上流側の端部が先細りするように形成されている。更に、該サージタンク205’’’を備えるエンジンシステム10は、該サージタンク205’’’の下流側が上方に位置し、相対的に上流側が下方に位置するように車両に搭載される。
図1に示されるような、過給機を有し、慣性過給が行われるエンジンシステム10においては、インタークーラ221において吸気が冷却されるにあたり、凝縮水が発生し、吸気通路204やサージタンク205’’’内に結露して貯まる場合がある。ここで結露した凝縮水は、典型的には、車両の下部に搭載されるインタークーラ221の下部に溜めおかれ、慣性過給に伴ってインパルス弁の下流に位置する連通管が負圧となった際に、吸気と共に吸引されるようエンジンシステム10は構成されている。本変形例におけるサージタンク205’’’は、サージタンク205’’’内或いは下流側の吸気通路204内に結露した凝縮水が、好適にインタークーラ221へと流入するよう前述の如く、車両への搭載位置の設定や外管205’’’aの先細り形状を備えて構成されている。従って、サージタンク205’’’内に凝縮水が溜まることに起因する、腐食、騒音、及びサージタンク205’’’の容量低下などの事態を好適に抑制することが出来る。
本変形例におけるサージタンク205’’’の構成は、前述の如く実施形態におけるエンジンシステム10が備えるサージタンク205に代えて備えられてもよく、また、読み取れる範囲において前述の実施形態及び他の変形例におけるサージタンク或いはそれに代わる要素に係る構成として組み合わせて構成されていても良い。その場合、本変形例における顕著な効果のみならず、実施形態或いは他の変形例における顕著な効果をも発揮し得ることは当然である。
<第4変形例>
本発明の第4変形例に係るサージタンク205’’’’及びその周辺部の構成について、図8及び図9を参照して説明する。ここに、図11は、吸気管204に沿ったサージタンク205’’’’周辺部分の模式的な断面図である。尚、同図において、図1と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
前述の実施形態に係る記載においては、サージタンク205を備えて成るエンジンシステム10の基本構成及び基本動作に係る説明を行ったが、本変形例においては、サージタンク205に代えてエンジンシステム10に備えられる、サージタンク205’’’’の説明を行う。本変形例におけるサージタンク205’’’’を備えて成るエンジンシステム10の基本構成及び基本動作は、後に詳述するサージタンク205とサージタンク205’’’’との特筆すべき差異を除いて前述の実施形態に係るエンジンシステム10と同様であるものである。
図11に示すように、本変形例におけるサージタンク205’’’’を備えるエンジンシステム10は、該サージタンク205’’’’の上流側が上方に位置し、相対的に下流側が下方に位置するように車両に搭載される。更に、典型的には、サージタンク205’’’’の外管205’’’’aの下流側の閉塞端にあたる、車両搭載時に最も下方に当たる部位に開口部を介して、吸気通路204におけるインパルス弁224の下流側で各気筒202へと連通する部位(例えば、連通管206などの典型的には吸気マニホールドとされる部位)へと接続される。該接続部位を通じて、サージタンク205’’’’内に溜まった凝縮水を、吸気マニホールドが負圧になることに伴って吸入されることに依拠せず、好適に吸気マニホールドへと流入させることが出来るのである。また、何らかの理由によって、前述の第3変形例に記載したように、凝縮水の好適な流出のため、サージタンクを上流側が下方に向くように車両へと搭載できないような場合であっても、本変形例における吸気マニホールドとの接続部位を介すことによって、好適に凝縮水を排出することが出来る。従って、サージタンク205’’’’内に凝縮水が溜まることに起因する、腐食、騒音、及びサージタンク205’’’’の容量低下などの事態を好適に抑制することが出来る。
本変形例におけるサージタンク205’’’’の構成は、前述の如く実施形態におけるエンジンシステム10が備えるサージタンク205に代えて備えられてもよく、また、読み取れる範囲において前述の実施形態及び他の変形例におけるサージタンク或いはそれに代わる要素に係る構成として組み合わせて構成されていても良い。その場合、本変形例における顕著な効果のみならず、実施形態或いは他の変形例における顕著な効果をも発揮し得ることは当然である。
10…エンジンシステム、100…ECU、200…エンジン、202…気筒、204…吸気通路、205…サージタンク、205a…外管、205b…内管、206…連通管、207…吸気バルブ、216…タービン、218…コンプレッサ、221…インタークーラ、222…スロットルバルブ、224…インパルス弁