JP2009299501A - 内燃機関の吸気制御装置 - Google Patents

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泰志 伊藤
Masaji Katsumata
正司 勝間田
Keiji Yotsueda
啓二 四重田
Hideyuki Nishida
秀之 西田
Shiro Tanno
史朗 丹野
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Abstract

【課題】吸気制御弁を利用してEGRガスを導入する際に燃焼を安定させる。
【解決手段】吸気管204にインパルス弁224を備え、当該吸気管204がインパルス弁224下流の分岐位置において連通管206に分岐すると共に、EGR通路226がインパルス弁224下流且つ分岐位置上流に接続されるエンジン200において、ECU100は、噴射量Qがインパルス弁併用EGR範囲に該当する場合に、インパルス弁併用EGRを実行する。この際、インパルス弁開度Aipは、デフォルト値たる全開相当値から、中間開度に減少制御される。ここで、ECU100は、EGR量の気筒間偏差を抑制すべく、この中間開度を、基本中間開度Aipmと開度補正値Aadjとにより気筒毎に算出し、インパルス弁開度Aipがこの気筒毎に算出された値となるようにアクチュエータ225を介してインパルス弁224を制御する。
【選択図】図2

Description

本発明は、吸気制御弁の開閉制御による慣性過給が可能に構成された内燃機関の吸気制御装置の技術分野に関する。
この種の技術分野において、吸気制御弁閉弁中にEGRガスを導入するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示されたエンジンの排気還流ガス導入制御装置(以下、「第1の従来技術」と称する)によれば、吸気行程初期に吸気制御弁を閉じ、排気還流ガス制御弁のみを開くことにより吸入負圧により吸気制御弁下流にEGRガスを導入し、EGRガスと吸入空気との成層状態を得ることが可能であるとされている。
尚、慣性過給とは異なる技術分野においては、吸気制御弁の閉弁中に吸気制御弁下流に負圧を形成し、所望のEGRガスを導入する技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
また、パルス過給時の吸気制御弁下流における負圧発生によりEGRガスを導入する場合のEGR量のバラツキ抑制のため、EGR弁の開度を減少させる技術(以下、「第2の従来技術」と称する)も提案されている(例えば、特許文献3参照)。
更には、吸気制御弁上流に圧力調整弁を備える構成において、パルス過給時の気筒毎の吸気量のバラツキを抑制するために吸気制御弁の開閉時期を気筒毎に補正する技術も開示されている(例えば、特許文献4参照)。
特開2006−266159号公報 特開2006−46248号公報 特開2007−231773号公報 特許第2734645号公報
吸気制御弁の開閉は、大なり小なり吸気の脈動を伴う。この脈動の状態は、気筒相互間で必ずしも等しいとは限らないため、吸気制御弁の開閉によって形成された負圧によりEGRガスを吸気系に導入する場合には、気筒間でEGRガスの量(以下、適宜「EGR量」と称する)の偏差が生じ易い。この際、吸入空気自体も一種の脈動を生じており、吸気制御弁の開度を、例え吸気行程中に一定開度(無論幾らかなり閉じられた状態に相当する開度である)に維持したところで、この種の気筒間偏差は必ずしも解消されない。翻って第1の従来技術は、EGR量の気筒間偏差を抑制する術を有さないため、気筒間でEGR量にバラツキが生じて、燃焼が不安定となる可能性がある。また、吸気通路が、各気筒で共有且つ共用される部分と、各気筒へ分岐する部分とを有する所謂インマニレス吸気系等においては、例えば気筒毎に吸気通路長が異なる等の理由により、EGR量のバラツキがより生じ易い傾向にあり、燃焼がより不安定となり易い。
一方で、第2の従来技術に示されるが如く、EGR量のバラツキをEGR弁の開度補正により抑制しようとしても、EGR弁の応答速度は、少なくともEGR量を迅速且つ正確に制御するには不十分であり、吸気制御弁の開閉に伴う脈動並びに吸気系の構造及び構成等に起因するEGR量の気筒間偏差を、EGR弁の開度制御により減少させることは、少なくとも実践的にみて困難である。
即ち、上述した各種従来の技術には、EGRガスの導入に際し燃焼が不安定となり易いという技術的な問題点がある。
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、吸気制御弁を利用してEGRガスを導入する際に燃焼を安定させることが可能な内燃機関の吸気制御装置を提供することを課題とする。
上述した課題を解決するため、本発明に係る内燃機関の吸気制御装置は、車両に備わり、複数の気筒、該複数の気筒に連通する吸気通路、該吸気通路に設置された吸気制御弁、及び排気系からEGR弁を介して前記吸気制御弁下流に排気の一部をEGRガスとして導入可能なEGR装置を備え、前記吸気制御弁の開閉を伴う所定種類の慣性過給制御により吸気の脈動を利用した慣性過給が可能に構成されてなる内燃機関の吸気制御装置であって、前記EGRガスが導入される場合に、前記内燃機関の吸気行程において前記吸気制御弁の開度が減少するように前記吸気制御弁を制御する第1制御手段と、前記複数の気筒相互間における前記EGRガスの導入量の偏差が減少するように前記複数の気筒の少なくとも一部について前記吸気制御弁の開閉特性を補正する補正手段とを具備することを特徴とする。
本発明に係る「内燃機関」とは、複数の気筒を有し、当該気筒の各々における燃焼室において、例えばガソリン、軽油、各種アルコール若しくは各種アルコールとガソリンとの混合燃料等各種の燃料が、又は当該各種燃料を含む混合気等が爆発或いは燃焼した際に生じる力を、例えばピストン、コネクティングロッド及びクランク軸等の物理的な又は機械的な伝達経路を経て駆動力として取り出すことが可能に構成された機関を包括する概念である。
特に、本発明において、内燃機関はEGR(Exhaust Gas Recirculation:排気ガス再循環)装置を備えており、排気系から取り出した排気を、その開度が二値的、段階的又は連続的に可変に制御され得る、例えば弁体、或いは当該弁体に加え更に当該弁体を駆動する駆動装置等を適宜に含んでなる動弁機構又は動弁装置等の各種形態を採り得る手段としてのEGR弁を介して、EGRガスとして吸気系に導入可能に構成される。即ち、本発明における「吸気」とは、EGRガスの導入状態及びその部位に応じて適宜、外界から吸入される空気たる吸入空気、EGRガス、或いはそれらの混合体等といった各種形態を採り得る。尚、EGR装置の構成は、排気系から排気を取り出し、EGR弁を介して後述する吸気制御弁下流(尚、「下流」及び「上流」とは、流体の流れる方向を基準とする方向概念であり、この場合、下流とは即ち気筒側である)にフィードすることが可能である限りにおいて何ら限定されず、例えば、比較的排気圧の高い排気マニホールドから排気を取り出す、一種のHPL(High Pressure Loop)EGR装置であってもよいし、比較的排気圧の低い触媒装置下流側から排気を取り出す、一種のLPL(Low Pressure Loop)EGR装置であってもよい。
本発明に係る内燃機関の吸気制御装置における「吸気通路」とは、上述した吸気の通路であって、好適な一形態として、例えばエアクリーナ、エアフローメータ、スロットルバルブ(即ち、吸気絞り弁)、サージタンク及び吸気ポート等を相互に且つ適宜に連結又は連通せしめ得る、例えば単一又は複数の管状部材の形態を採り得る。また、好適な一形態として、本発明に係る内燃機関は、この吸気通路に、例えばターボチャージャ等の過給器(無論、タービン等、排気系に備わるべき一部を除外してなる一部であってもよい)が備わっていてもよく、その場合、更にその下流側に、例えばインタークーラ等の吸気冷却手段を備えていてもよい。尚、吸気冷却手段は、過給器を介して供給される(過給器による過給が実践上有意に行われているか否かとは無関係であってもよい)吸気を冷却可能な物理的、機械的、機構的、電気的、磁気的又は化学的態様を有する手段であって、少なくとも幾らかなり且つ相対的に吸気が冷却されることによって、吸気の密度は相対的に上昇し、吸気の充填効率は向上し得る。
本発明に係る内燃機関は、吸気通路に、例えば二値的に、段階的に或いは連続的に制御され得る開閉状態に応じて吸気の量たる吸気量を調整可能な、例えば弁体、或いは当該弁体に加え更に当該弁体を駆動する駆動装置等を適宜に含んでなる動弁機構又は動弁装置等の各種形態を採り得る手段としての吸気制御弁を備える。この吸気制御弁は、内燃機関にスロットルバルブ等の所謂吸気絞り弁が備わる場合には、好適な一形態として、この吸気絞り弁の下流側に設置される。尚、吸気制御弁の設置態様は、吸気通路の構造等に応じて適宜変化し得る。例えば、吸気通路が、例えばサージタンクと各気筒との間の区間において、例えば各気筒又は気筒群に対応して適宜に分岐する構成を有する場合等には、その分岐位置又はその上流側に複数の気筒に共有される形で単一の吸気制御弁が備わっていてもよいし(この場合、好適な一形態として吸気系は、所謂一弁式のインマニレス吸気系を採り得る)、このような吸気通路の構成においても、各気筒に対応する複数の吸気通路(即ち、分岐位置下流側)に各気筒個別に複数の吸気制御弁が備わっていてもよい。或いは吸気通路の一部が、所謂吸気マニホールド等、例えばサージタンク下流側において気筒毎に独立した構成とされる場合等には、無論これら独立した管路の各々に(或いは一部に)吸気制御弁が備わっていてもよい。
本発明に係る内燃機関は、吸気制御弁の開閉を伴う所定種類の慣性過給制御が実行された場合に、吸気の脈動を利用した慣性過給(パルス過給又はインパルスチャージ等とも称される)が可能に構成されている。ここで、慣性過給とは、好適な一形態として、例えば吸気弁の開弁に相前後して吸気制御弁を閉弁し、例えば吸気弁の開弁後然るべき時間経過(クランク角等により角度概念として規定されてもよい)を経て吸気制御弁を開弁させる(即ち、吸気制御弁の下流側が負圧であり、且つ吸気制御弁の上流側が大気圧以上である状態で開弁させる)こと等によって正圧波を生成し、この正圧波を開放端とみなし得る各気筒の燃焼室入り口近傍で負圧波として反射させると共に、この負圧波が、例えば吸気通路に対し直列又は並列に配置された、例えばサージタンク等の開口部で再び開放端反射されて生じる、言わば二次的な正圧波等の形態を採り得る吸気の脈動を利用して、自然吸気がなされる場合(好適な一形態として、吸気は吸気制御弁の有無にかかわらず基本的に脈動波として気筒内に取り込まれ得るが、吸気制御弁に施される開閉制御により生じる脈動とは、好適な一形態として、この種の脈動よりも強い脈動である)と比較して多量の吸気を吸気行程で気筒内に取り込む(即ち、過給する)こと等を指す。
ここで、「所定種類の慣性過給制御」とは、この種の慣性過給を実現させるべくなされる、例えば吸気制御弁における、開閉時期、開弁期間及び開度(即ち、開弁の度合いであり、一義的に開閉状態を規定する)等を包括する概念としての開閉特性の制御、吸気弁の開閉時期又は開弁期間の制御、或いは更に吸気の充填効率の変化に伴う吸気量の変化に応じた燃料噴射量の補正等を包括する概念であって、例えば吸気弁(即ち、好適な一形態として燃焼室と吸気通路との連通状態を制御する弁)の閉弁時期と、吸気の脈動波(正圧波)のピークが吸気弁に到達する時期とを同期させる(必ずしも一致させることのみを表すものではない)旨の制御等を含む趣旨である。尚、慣性過給制御は、吸気の充填効率向上を主たる目的とするが、過給の本質から言えば、気筒内に可及的に空気を取り込むことを目的としている。従って、吸気中の空気量を相対的に減少させることになるEGRの実行期間と慣性過給制御の実行期間とは、少なくともその切り替え時期を除けば好適には重複しない。或いは重複したところで問題が生じない程度にEGR弁の開度が減少せしめられる。
一方、EGRの実行期間におけるEGR量は、EGR弁の開閉状態(開度或いは開閉時期)の制御により変化する。この際、EGR弁は、車両又は内燃機関の運転条件、例えば機関回転速度、要求負荷、実負荷又は燃料噴射量等に応じて適宜設定されるEGR量或いはEGR率の目標値等に基づいて、その開閉状態が制御される。
他方、EGRの実行が内燃機関の燃焼性能に与える影響は小さくなく、例えばEGR量が、例えば目標値(好適な一形態として、所望のEGR率となるEGR量である)に対し大きければ酸素不足によるエミッションの悪化が生じ易く、例えば目標値に対し小さければ燃焼温度の上昇を招いてノッキングを生じ易い、即ち、いずれにせよ燃焼状態の悪化を生じ易い。ところが、EGR弁の時間応答は、その物理的、機械的、機構的又は電気的な各種要因により、内燃機関における、例えば吸排気バルブ等の時間応答と較べて緩慢であり、例えば、EGR導入初期においてEGR量は目標値に対し不足し易い。また、排気系と吸気系との差圧又はEGR弁前後の差圧が相対的に小さい、或いは吸気系が排気系に対し高圧である場合、EGRガスは、吸気系への導入が阻害され易い。即ち、実践的見地から言えば、単にEGR弁の開閉状態の制御のみによってEGR量を最適に維持することは必ずしも容易でない。このため、単にEGR弁の開閉特性の制御のみによってEGR量を制御するよりない構成においては、燃焼状態の悪化が回避され難い。
本発明に係る内燃機関の吸気制御装置によれば、その動作時には、例えばECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等として構成され得る第1制御手段が、EGRガスが導入される場合(即ち、EGRの実行期間)における内燃機関の吸気行程において吸気制御弁の開度が減少するように(即ち、言い換えれば、吸気制御弁が閉じ側へ駆動されるように)吸気制御弁を制御する。
吸気制御弁の従前の開度が如何なるものであれ(但し、上述したように、EGRの実行期間は、好適には慣性過給制御の非実行期間であり、吸気制御弁の開度は、基本的に全開又はそれに類する値である)、吸気行程において吸気制御弁の開度が幾らかなり減少せしめられた場合(尚、吸気制御弁が好適には全開である点に鑑みれば、開度を減少させるに際しての許容減少幅は、吸気制御弁の稼動域の中で実質的に自由に選択可能である)、吸気通路における吸気制御弁下流側には負圧が形成される。EGRガスは、この負圧によって吸気通路への導入が促進された状態となり、元より吸気制御弁の開度が減じられている影響もあって、EGR量は少なくとも幾らかなり増大する。また、吸気制御弁の応答速度は、EGR弁の応答速度よりも速いことが多く、この種の吸気制御弁の制御による効果は、比較的迅速に顕在化する。
この際、「開度が減少するように」とは、少なくとも一時的に(無論、少なくともEGR量を有意に増大させ得る程度に、且つ所望の精度でEGR量を制御可能である期間以上)開度が減少する限りにおいて、如何なる開閉特性の下で実現されてもよい。例えば、吸気制御弁は、吸気行程の全域について予め設定された中間開度(この場合の「中間」とは、全開と全閉との間の広範囲を指す。尚、補足すると、吸気制御弁を吸気行程の全域にわたって全閉すると、吸気はEGRガスのみとなって燃焼が成立しないため、中間開度とされるのが望ましい。)を維持してもよいし、吸気行程の初期、中期又は初期から中期にかけて閉弁側へ駆動され、その後、吸気行程中に全開又はそれに類する開度へ復帰せしめられてもよい。この場合、吸気行程初期又は中期において気筒内に吸入される吸気はEGRガスが支配的となり、所謂成層EGRの実現が可能となる。尚、このような開閉特性の下では、吸気制御弁を全閉とすることも可能であり、吸気制御弁の開閉駆動の態様は、概念上は先に述べた慣性過給制御におけるそれを含み得る(無論、吸気の脈動が積極的に生成される必要はないから、吸気制御弁の開閉時期の自由度は、慣性過給制御が実行される場合と較べて大きい)。
また、「EGRガスが導入される場合に」とは、無論EGRガスを導入すべき期間(以下、適宜「EGR導入期間」と称する)の少なくとも一部であって、必ずしもEGRガス導入期間において常にこの種の制御がなされる必要はない。例えば、所定値以上のEGR量が必要となる場合に限定的にこの種の制御がなされてもよい。或いは予め実験的に、経験的に、理論的に又はシミュレーション等に基づいて、EGRガスの導入が阻害され易い旨に相当する車両又は内燃機関の運転条件が確定されている場合等には、この種の運転条件において係る制御がなされてもよい。
一方、吸気制御弁の開閉には、大なり小なり吸気の脈動が伴う。係る吸気の脈動は無論、慣性過給制御の実行時における脈動と較べれば規模が小さいとしても、気筒各々に対応する吸気通路の形状等に応じて気筒間で必ずしも一律ではなく、負圧により吸気通路に導かれるEGRガスの量に影響を与えないとは言い切れず、厳密には、気筒相互間でEGR量に偏差が生じ易い。また、吸気制御弁が中間開度に保持されるにせよ、吸入空気自体脈動波である点に鑑みれば、この種の気筒間偏差がゼロである保証はない。即ち、慣性過給制御の非実行時であっても、単にEGRガスの導入の要否に応じて吸気制御弁を各気筒一律の開閉特性に従って閉弁側へ駆動したのでは、EGR量に気筒間偏差が生じて、結局は上述した燃焼状態の悪化が生じ易い。とりわけ、吸気系の構成として、一弁式であるにせよ多弁式であるにせよインマニレス吸気系が採用される場合には、吸気通路長が気筒間で異なるため、例え吸気通路における定常的なEGR量が安定していたところで吸気行程という限られた時間の中で、気筒内部に吸入されるEGRガスの量には気筒間偏差が生じ易い。
そこで、本発明に係る内燃機関の制御装置においては、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等として構成され得る補正手段が、複数の気筒相互間におけるEGR量の偏差が減少するように複数の気筒の少なくとも一部について吸気制御弁の開閉特性を補正する。
吸気制御弁は、本来慣性過給を実現するための開閉弁であり、各気筒で共有されるにせよ、各気筒で個別に備わるにせよ、吸気行程中に、或いはそれに相前後する行程の一部において、繰り返し開閉動作が要求される。従って、EGR弁と較べて高い応答速度を有しており、開閉特性の補正も、EGR弁と較べて早期に且つ正確に実現可能である。このため、吸気制御弁の開閉特性を補正することにより、EGR量を迅速に増大し、且つ気筒間偏差を確実に抑制することが可能となる。即ち、本発明によれば、吸気制御弁を利用してEGRガスを導入する際に燃焼を安定させることが可能となるのである。尚、開閉特性とは、先に述べたように開閉時期、開弁期間及び開度等多様な形態を採り得る概念であり、補正手段の補正対象もまた各種の態様を採り得るが、開閉特性がEGR量に相関することは明らかであり、開閉特性の補正によりEGR量の気筒間偏差が抑制される点に変わりはない。
尚、補足すると、「補正」とは、基準となる制御量(ここでは、開閉特性を規定する指標値、物理量又は制御量)を結果的に増減又は大小に変化させることを包括する概念であって、その補正過程は特に限定されない。即ち、基準となる制御量が算出、取得、導出又は同定された上で、然るべき補正量、補正係数又は補正演算に基づいて補正がなされてもよいし、予めこの種の補正の概念を盛り込んだ形で制御量が算出、取得、導出又は同定されてもよい趣旨である。即ち、本発明の本質は、EGR量の増大を導く吸気制御弁の開閉特性が、EGR量の気筒間偏差が抑制されるように決定される点にあり、補正対象となる開閉特性はさておき、補正そのものの実践的態様(上述したような、補正の順序等)は、本発明の本質に影響を与えない。
本発明に係る内燃機関の吸気制御装置の一の態様では、前記補正手段は、前記開閉特性として前記吸気制御弁の開閉時期を補正する。
開閉時期とは、開弁時期及び閉弁時期の少なくとも一方を指すが、吸気制御弁が閉弁側へ駆動されることによりEGR量の増大効果が奏される点に鑑みれば、開閉時期の補正により、EGR量の気筒間偏差は好適に抑制される。
本発明に係る内燃機関の吸気制御装置の他の態様では、前記補正手段は、前記開閉特性として前記吸気制御弁の開度を補正する。
この態様によれば、吸気制御弁の開度が補正されるため、吸気通路に形成される負圧の絶対値を調整することができ、EGR量を好適に制御することが可能となる。
本発明に係る内燃機関の吸気制御装置の他の態様では、前記EGRガスの導入期間において前記慣性過給制御の実行が要求された場合に、前記EGR弁が所定の閉弁状態に移行するように前記EGR装置を制御する第2制御手段を更に具備し、前記第1制御手段は、前記EGR弁が前記閉弁状態に移行した後に前記慣性過給制御が実行されるように前記慣性過給制御の開始時期を制御する。
慣性過給制御の要否は、好適な一形態として、例えば内燃機関の負荷(負荷に対応する各種の指標値等を含み得る)を少なくとも含む車両の運転条件に基づいて判別される。この際、当該車両の運転条件と慣性過給制御の実行の要否とは、如何なる対応付けがなされていてもよいが、好適な一形態として、慣性過給制御は、例えば機関回転速度が低く(例えば、機関回転速度が、吸気制御弁の動作速度が追従し得る領域としての、或いは吸気が元々有する脈動と吸気制御弁の開閉制御により生成される脈動との間に有意な効果の差が現れ難い領域としての高回転領域を除く領域としての低回転領域に属する場合)、且つ負荷が、例えば元々過給を必要としない旨の低負荷領域を除いてなる高負荷領域に属する場合等に行われてもよい。そのような点に鑑みれば、慣性過給制御の要否判別に際しては更に機関回転速度(機関回転速度に対応する各種の指標値等を含み得る)が参照されてもよい。
このように慣性過給制御の実行が要求された場合、EGR弁が開弁状態を保ったままでは、慣性過給による吸気の脈動により相応にEGR量も増大して、吸気量自体が増加したところで、吸気に対する空気の割合(一義的に、EGR率と相関する)が増加し難い。慣性過給は過給の一種であり、実負荷を要求負荷に到達せしめるべくなされるものである点に鑑みれば即ち、慣性過給制御の実行時には、EGR弁は、少なくとも実負荷の上昇を妨げない程度に閉弁、望ましくは全閉状態とされる必要がある。
ところが、EGR弁の応答速度は総じて遅いから、慣性過給制御の実行時に何らの対策も講じられることがなければ、EGR弁の応答遅れ期間において、過渡的に大量のEGRガスが気筒内に取り込まれ、燃焼が過度に悪化する可能性がある。
この態様によれば、例えばECU等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等として構成され得る第2制御手段が、EGR弁が閉弁状態(即ち、上述したような、実負荷応答を阻害しない状態)に移行した後に慣性過給制御が開始されるように、慣性過給制御の開始時期を制御する(第2制御手段が慣性過給制御の実行主体であれば、吸気制御弁自体を制御してもよいし、慣性過給制御の実行主体となる制御手段を上位に制御してもよい)ため、慣性過給制御の開始時点における燃焼の悪化が抑制され、エミッションの悪化を抑制し得る点において顕著に効果的である。
本発明に係る内燃機関の吸気制御装置の他の態様では、前記吸気通路は、前記複数の気筒で共用される第1通路と、該第1通路と連通し且つ所定の分岐位置において該第1通路から前記複数の気筒の各々へ分岐する第2通路とを含み、前記EGRガスは、前記吸気制御弁下流且つ前記分岐位置上流に導入される。
この態様によれば、EGRガスが、吸気制御弁下流且つ分岐位置上流に導入されるため、各気筒へのEGRガスの分配を可及的に均一に行うことが可能であり、また、EGRガスの導入を一箇所に集約して行うことができるため、実践上極めて有益である。尚、吸気通路がこのような構成を有する場合、既に述べたように吸気通路長は気筒相互間で異なるが、このような吸気通路長がEGR量に与える影響は、吸気制御弁の開閉特性の補正により好適に抑制可能である。
以下、図面を参照して、本発明の好適な各種実施形態について説明する。
<第1実施形態>
<実施形態の構成>
始めに、図1を参照して、本発明の第1実施形態に係るエンジンシステム10の構成について一部その動作を交えて説明する。ここに、図1は、エンジンシステム10の構成を概念的に表してなる概略構成図である。
図1において、エンジンシステム10は、図示せぬ車両に搭載され、ECU100及びエンジン200を備える。
ECU100は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を備え、エンジン200の動作全体を制御することが可能に構成された電子制御ユニットであり、本発明に係る「内燃機関の吸気制御装置」の一例である。ECU100は、ROMに格納された制御プログラムに従って、後述するEGR制御を実行することが可能に構成されている。
尚、ECU100は、本発明に係る「第1制御手段」及び「補正手段」の一例として機能するように構成された一体の電子制御ユニットであり、これら各手段に係る動作は、全てECU100によって実行されるように構成されている。但し、本発明に係るこれら各手段の物理的、機械的及び電気的な構成はこれに限定されるものではなく、例えばこれら各手段は、複数のECU、各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等として構成されていてもよい。
エンジン200は、軽油を燃料とする、本発明に係る「内燃機関」の一例たる直列4気筒ディーゼルエンジンである。エンジン200の概略について説明すると、エンジン200は、シリンダブロック201に4本の気筒202が並列して配置された構成を有している。そして、各気筒内における圧縮行程において燃料を含む混合気が圧縮され、自着火した際に生じる力が、夫々不図示のピストン及びコネクティングロッドを介してクランクシャフト(不図示)の回転運動に変換される構成となっている。このクランクシャフトの回転は、エンジンシステム10を搭載する車両の駆動輪に伝達され、当該車両の走行が可能となる。以下に、エンジン200の要部構成を、その動作の一部と共に説明する。尚、個々の気筒202の構成は相互に等しいため、ここでは一の気筒202についてのみ説明することとする。但し、各気筒を区別して表す場合には、これら4本の気筒の各々を適宜「第1気筒」、「第2気筒」、「第3気筒」及び「第4気筒」と表現する。尚、補足すると、エンジン200では、各行程が、第1気筒→第3気筒→第4気筒→第2気筒の順に繰り返し実行される構成となっている。
図1において、外界から導かれる空気たる吸入空気は、吸気管204に導かれる構成となっている。この吸気管204には、吸気管204に導かれる吸入空気の量を調節可能なスロットルバルブ205が配設されている。このスロットルバルブ205は、ECU100と電気的に接続され且つECU100により上位に制御されるスロットルバルブモータ(不図示)から供給される駆動力により回転可能に構成された回転弁であり、スロットルバルブ205を境にした吸気管204の上流部分と下流部分とをほぼ遮断する全閉位置から、ほぼ全面的に連通させる全開位置まで、その回転位置が連続的に制御される構成となっている。このように、エンジン200では、スロットルバルブ205及びスロットルバルブモータにより、一種の電子制御式スロットル装置が構成されている。
吸気管204は、スロットルバルブ205の下流側において連通管206に接続され、その内部において連通管206と連通する構成となっている。連通管206は、各気筒202の吸気ポート(不図示)の各々に連通しており、吸気管204に導かれた吸入空気は、連通管206を介して、各気筒に対応する吸気ポートに導かれる構成となっている。吸気ポートは、一の気筒202について夫々二個ずつ備わっており、夫々が気筒202内部に連通可能に構成されている。尚、吸気管204及び連通管206により、本発明に係る「吸気通路」の一例が構成されている。また、吸気管204は、本発明に係る「第1通路」の一例であり、連通管206は、本発明に係る「第2通路」の一例である。
燃焼室内部には、高温高圧の気筒202内部に直接燃料を噴射するための、例えばコモンレールシステムやユニットインジェクタ等からなる筒内直噴システムの一部として、インジェクタ203の噴射弁が露出しており、燃焼室内部に燃料たる軽油を噴射可能に構成されている。このインジェクタの駆動系は、ECU100と電気的に接続されており、ECU100により上位に制御される。即ち、インジェクタは、ECU100によりその動作が制御される構成となっている。インジェクタを介して噴射された燃料は、気筒内部において、吸気行程に吸入される吸気(吸入空気と、後述するEGRガスとの混合ガスである)と混合され、上述した混合気となる。この混合気は、吸気行程に引き続く圧縮行程において更に混合が促進され、圧縮TDC付近において自発的に着火する(即ち、爆発する)構成となっている。
尚、本実施形態に係るエンジン200は、ディーゼルエンジンであるが、本発明に係る内燃機関としては、ガソリンを燃料とするガソリンエンジンやガソリンとアルコールとが混合されたアルコール混合燃料を使用可能なバイフューエルエンジン等を使用することもできる。内燃機関がこれらの形態を採る場合、燃料噴射用のインジェクタは、吸気ポートに燃料を噴射可能な所謂ポート噴射型インジェクタであってもよい。
吸気ポートと気筒202内部との連通状態は、各吸気ポートに設けられた吸気バルブ207により制御される。吸気バルブ207は、クランクシャフトに連動して回転する吸気カムシャフト208に固定された、吸気カムシャフト208の伸長方向と垂直な断面が楕円形状をなす吸気カム209のカムプロフィール(端的に言えば、形状)に応じてその開閉特性が規定されており、開弁時に吸気ポートと気筒202内部とを連通させることが可能に構成されている。
一方、燃焼した混合気或いは一部未燃の混合気は、吸気バルブ207の開閉に連動して開閉する排気バルブ210の開弁時に、不図示の排気ポートを介して排気として排気マニホールド213に導かれる構成となっている。排気バルブ210は、クランクシャフトに連動して回転する排気カムシャフト211に固定された、排気カムシャフト211の伸長方向と垂直な断面が楕円形状をなす排気カム212のカムプロフィール(端的に言えば、形状)に応じてその開閉特性が規定されており、開弁時に排気ポートと気筒202内部とを連通させることが可能に構成されている。排気マニホールド213に集約された排気は、排気マニホールド213に連通する排気管214に供給される。
排気管214には、タービンハウジング215に収容される形でタービン216が設置されている。タービン216は、排気管214に導かれた排気の圧力(即ち、排気圧)により所定の回転軸を中心として回転可能に構成された、セラミック製の回転翼車である。このタービン216の回転軸は、コンプレッサハウジング217に収容される形で吸気管204に設置されたコンプレッサ218と共有されており、タービン216が排気圧により回転すると、コンプレッサ218も当該回転軸を中心として回転する構成となっている。
コンプレッサ218は、エアクリーナを介して外界から吸気管204に吸入される吸入空気を、その回転に伴う圧力により下流側へ圧送供給することが可能に構成されており、このコンプレッサ218による吸入空気の圧送効果により、所謂過給が実現される構成となっている。即ち、エンジン200では、タービン216とコンプレッサ218とにより、一種のターボチャージャが構成されている。尚、これ以降の説明において、タービン216及びコンプレッサ217を含む包括概念として、適宜「ターボチャージャ」なる言葉を使用することとする。
また、排気管214には、DPNR(Diesel Particulate NOx Reduction system)219が設置されている。DPNR219は、NOx吸蔵層を設けたDPF(Diesel Particulate Filter)の上下流に夫々酸化触媒及びNSR(NOx Storage Reduction:NOx吸蔵還元)触媒を配置した構成を採り、排気中のCO、HC、PM及びNOxを連続的に酸化還元することにより排気を浄化可能な、排気浄化手段である。
気筒202を収容するシリンダブロック201には、水温センサ220が配設されている。シリンダブロック201内部には、気筒202を冷却するための冷却水流路たるウォータジャケットが張り巡らされており、当該ウォータジャケット内部において、冷却水としてのLLCが不図示の循環系の作用により循環供給されている。水温センサ220は、このウォータジャケット内部に検出端子の一部が露出した構成を有しており、冷却水の温度を検出することが可能に構成されている。水温センサ220は、ECU100と電気的に接続されており、検出された冷却水温は、ECU100により一定又は不定の周期で把握される構成となっている。
コンプレッサ218の上流側には、吸入空気の質量流量を検出可能なホットワイヤ式のエアフローメータ221が設置されている。エアフローメータ221は、ECU100と電気的に接続されており、検出された吸入空気量は、ECU100により一定又は不定の周期で把握される構成となっている。尚、本実施形態において、検出された吸入空気量は、気筒202に吸入される吸気の量(即ち、吸気量)と一義的な関係を有しており、エンジン200の実負荷を規定する指標値として扱われる。
また、吸気管204において、コンプレッサ218の下流側、且つスロットルバルブ205の上流側には、インタークーラ222が設置されている。インタークーラ222は、その内部に熱交換壁を有しており、過給された吸入空気が(コンプレッサ218が実質的にみて有意に作用しない低回転領域においても同様である)通過する際に、係る熱交換壁を介した熱交換により吸入空気を冷却することが可能に構成されている。エンジン200は、このインタークーラ222による冷却によって吸入空気の密度を増大させることが可能となるため、コンプレッサ218を介した過給がより効率的になされ得る構成となっている。
ここで、吸気管204における、スロットルバルブ205の下流側には、サージタンク223が設置されている。サージタンク223は、上述したターボチャージャの過給作用を適宜受けつつ供給される吸入空気の不規則な脈動を抑制し、且つ下流側(即ち、気筒202側)に安定して吸入空気を供給すると共に、後述する慣性過給制御の実行時において、負圧波の位相を反転させる(即ち、吸気の脈動を生じさせる)ことが可能に構成された貯留手段であり、上述した連通管206は、このサージタンク223の下流側における分岐位置(符合省略)において吸気管204に接続されている。但し、吸入空気は基本的に大なり小なり脈動しつつ気筒202側へ供給されるため、慣性過給の非実行期間においてサージタンク223を通過する吸入空気もまた、一種の脈動波である。
吸気管204に設置されたサージタンク223の下流側における、連通管206への分岐位置近傍には、各気筒で共有且つ共用される単一のインパルス弁224が設けられている。インパルス弁224は、弁体の位置により規定される開度Aipが、吸気管204と連通管206との連通を遮断する全閉開度と、吸気管204と連通管206とをほぼ全面的に連通させる全開開度との間で連続的に変化するように構成された、本発明に係る「吸気制御弁」の一例たる回転弁である。尚、これ以降の説明においては適宜、インパルス弁224の開度Aipを0(%)〜100(%)の範囲で規格化して表現することとし、上記全開開度をAip=100とし、全閉開度をAip=0と表現することとする。
インパルス弁224は、アクチュエータ225から供給される駆動力によりその開度が制御される構成となっている。このアクチュエータ225は、ECU100と電気的に接続されており、ECU100によりその駆動状態が制御される構成となっている。即ち、インパルス弁224の開度は、ECU100により制御される構成となっている。
尚、エンジン200では、連通管206が、個々の気筒202(より具体的には吸気ポート)に対応する部分の上流側において集約され、且つインパルス弁224が共有される、所謂一弁式のインマニレス吸気系が実現されているが、吸気系の構成はこれに限定されるものではなく、連通管206における個々の吸気ポートに対応する箇所に各気筒個別にインパルス弁224が備わる多弁式のインマニレス吸気系であってもよいし、例えばサージタンク223から個々の気筒202に対し吸気マニホールドが分岐する構成を有していてもよい。この場合、個々の吸気マニホールドに、インパルス弁224が夫々独立して制御可能に設置されていてもよい。
ここで、排気マニホールド213には、EGR通路226の一端部が接続されており、その内部で排気マニホールド213に連通している。このEGR通路226の他端部は、吸気管204における連通管206への分岐位置近傍に設定されたEGR導入口228を介して吸気管204と連通する構成となっている。即ち、排気マニホールド213に導かれた排気の一部は、EGRガスとして、吸気系に適宜導入される構成となっている。
一方、EGR通路226には、EGR弁227が設置されている。EGR弁226は、ECU100と電気的に接続され、ECU100の制御により内部の弁体の開度が連続的に変化するように構成された電磁制御弁である。EGR弁227の開度たるEGR弁開度Aegrは、EGR通路226と吸気管204との連通を遮断する全閉開度(尚、インパルス弁開度Aipと同様に、適宜「0」と表現する)から、EGR通路226をほぼ全面的に吸気管204と連通させる全開開度(これも同様に適宜「100」と表現する)まで、連続的に可変に制御される。このEGR通路226、EGR導入口228及びEGR弁227により、本発明に係る「EGR装置」の一例が構成されている。
エンジン200の要求負荷は、不図示のアクセルペダルの操作量(即ち、ドライバによる操作量)たるアクセル開度Taに応じて決定される。アクセル開度Taは、アクセル開度センサ11により検出され、アクセル開度センサ11と電気的に接続されたECU100により一定又は不定の周期で把握される構成となっている。総体的には、アクセル開度が小さい程要求負荷は小さく、アクセル開度が大きい程要求負荷は大きくなる。要求負荷の大小とは、要求出力の大小と相関するから、エンジンシステム10において、エンジン要求出力は、アクセル開度Taに応じて変化する。
<実施形態の動作>
次に、図2を参照し、本実施形態の動作として、ECU100により実行されるEGR制御の詳細について説明する。ここに、図2は、EGR制御のフローチャートである。
図2において、ECU100は、燃料の噴射量Q及び機関回転速度Neを取得する(ステップS101)。この際、噴射量Qは、要求負荷たるアクセル開度Taと機関回転速度Neとに基づいて、予め設定された噴射量マップから取得される。また、機関回転速度Neは、クランクシャフトの回転位相を検出するクランクポジションセンサの値を時間処理することにより算出される。尚、エンジン200に機関回転速度Neを検出可能なNeセンサ等の検出手段が備わる場合には、当該検出手段から機関回転速度Neが取得されてもよい。
ECU100は、取得された噴射量Qが、下限値Q1より大きく且つ上限値Q2(Q2>Q1)未満であるか否かを判別する(ステップS102)。
ここで、下限値Q1及び上限値Q2は、夫々機関回転速度Neに応じた(連続的でも段階的でもよい)可変な値として予めROMに格納される値であり、定性的には、インパルス弁224を併用したEGRガスの導入(以下、適宜「インパルス弁併用EGR」と称する)の要否(即ち、相対的に大量のEGR量が要求されるか否か)に対応付けられる形で設定されている。
尚、「より大きい」及び「未満」とは、基準値の設定如何により容易に「以上」及び「以下」と置換し得る概念であり、基準値が含まれるか否かは設計事項であって、発明の本質とは無関係である。
噴射量Qが、下限値Q1以下であるか、或いは上限値Q2以上である場合(ステップS102:NO)、ECU100は、インパルス弁併用EGRの実行要否を規定するインパルス弁併用EGRフラグFg_ipegrを、インパルス弁併用EGRが不要である旨を表す「0」に設定し(ステップS106)、EGR弁227のみを使用した通常のEGR導入(以下、適宜「通常EGR」と称する)を実行する(ステップS107)。
尚、ステップS102に係る処理においては、EGR自体の実行要否が判別される訳ではない。即ち、ステップS107に係る通常EGRの実行に際しては、別途定められる目標EGR率が得られるように、実負荷に応じてEGR弁227の開度制御が実行される。この際、目標EGR率がゼロ(例えば、始動時や軽負荷時等)であれば、無論EGR弁227の開度たるEGR弁開度Aegrは全閉、即ち0(%)に制御される。このように通常EGRが実行される期間において、インパルス弁224の開度Aipは全開、即ち100(%)に制御される。
一方、ステップS102において、噴射量QがQ1より大きく且つQ2未満の範囲(この範囲を適宜「インパルス弁併用EGR実行範囲」と称する)にある場合(ステップS102:YES)、ECU100は、インパルス弁併用EGRフラグFg_ipegrを、インパルス弁併用EGRの実行が必要とされる旨を表す「1」に設定し(ステップS103)、インパルス弁開度Aipの補正に供すべき開度補正値Aadj(j)を算出する(ステップS104)。尚、インパルス弁開度Aipの補正については後述する。
尚、開度補正値Aadj(j)の「j」とは、気筒番号に相当し、各気筒個別に開度補正値Aadjが決定されることを意味する。開度補正値Aadjは、予めROMに気筒毎の固定値として格納されており、ECU100により気筒毎に参照され設定される(このような態様もまた「算出」の範疇であるとする)。
開度補正値Aadj(j)が算出されると、ECU100は、インパルス弁併用EGRを実行する(ステップS105)。この際、インパルス弁開度Aipは、基本中間開度Aipm(0<Aipm<100)に対しステップS104で設定された開度補正値Aadjを加算する形で、最終的には中間開度Aipm+Aadjに制御される。即ち、インパルス弁224は閉弁側へ駆動される。尚、開度補正値Aadjは正負いずれの値も採り、中間開度Aipm+Aadjは、基本中間開度Aipmに対し大小いずれの領域でも設定される。ステップS105又はステップS107が実行されると、処理は、ステップS101に戻され、一連の処理が繰り返される。
ここで、図3を参照し、インパルス弁開度Aipの補正について説明する。ここに、図3は、インパルス弁開度Aipの補正前後におけるインパルス弁224の駆動状態の一例を模式的に表してなるタイミングチャートである。
図3において、上段には、上述したインパルス弁併用EGRフラグFg_ipegrの状態が示され、下段には、インパルス弁開度Aipの状態が示される。また、図3において、図示時刻T0からT1までの期間が第1気筒の吸気行程(図示「IVO1」参照)に相当し、図示時刻T1からT2までの期間が第3気筒の吸気行程(図示「IVO3」参照)に相当し、図示時刻T2からT3までの期間が第4気筒の吸気行程(図示「IVO4」参照)に相当し、図示時刻T3からT4までの期間が第2気筒の吸気行程(図示「IVO2」参照)に相当し、図示時刻T4からT5までの期間が第1気筒の吸気行程(図示「IVO1」参照)に相当するものとする。
ここで、IVO3の開始時点たる時刻T1において、インパルス弁併用EGRフラグFg_ipegrが「1」となり、インパルス弁併用EGRが開始されると、インパルス弁開度Aipは、上記補正を施された中間開度(即ち、全開でも全閉でもない開度)に制御され、第3気筒及び第2気筒については、Aip2(Aipm>Aip2)に、また第1気筒及び第4気筒についてはAip1(Aip1>Aipm)に維持される。
ここで更に、図4を参照し、インパルス弁併用EGRの効果について説明する。ここに、図4は、インパルス弁併用EGRの効果の一例を模式的に表すタイミングチャートである。尚、同図において、図3と重複する箇所には、同一の符合を付してその説明を適宜省略することとする。
図4において、上段から順に、インパルス弁併用EGRフラグFg_ipegr、インパルス弁開度Aip、EGR弁開度Aegr及びEGR率Regrの時間応答が表されている。
ここで、時刻T10において、インパルス弁併用EGRフラグFg_ipegrが「1」となり、インパルス弁開度Aipが基本中間開度Aimに制御されるとする。
一方で、時刻T10においてEGR弁227の開度制御により、EGR弁開度Aegrが従前のAegr0からAegr1(Aegr1>Aegr0)まで増加(即ち、開弁側に駆動)されたとする。この際、インパルス弁開度Aipの閉弁側への駆動を伴わない通常EGRであっても、EGR弁開度Aegrの増加に伴って、EGR量は幾らかなり増加し得るから、EGR率Regrもまた幾らかなり増加し得るが、あくまでその速度はEGR弁開度Aegrの応答速度に準じた緩慢なものとなる。
それに対し、インパルス弁224の閉弁側への駆動を伴うインパルス弁併用EGRの場合、インパルス弁開度Aipの減少に伴い吸入空気が絞られるため、EGR弁開度Aegrが例え不変であっても、EGR率Regrは、インパルス弁224の閉弁応答に連動して比較的早く変化し始める。図4では特に、EGR弁開度Aegrも増加制御されており、双方の相乗効果により、EGR率Regrは、時刻T10のRegr0から時刻T11においてEGR弁開度AegrがAegr1に収束するまで上昇し、最終的にRegr1で安定する。
また、時刻T12においてインパルス弁併用EGRフラグFg_ipegrが再び「0」となり、インパルス弁開度Aipが100(%)、即ちインパルス弁224が全開状態に復帰すると、Regr0を目標とするEGR弁開度Regrの駆動が終了する過程で、インパルス弁224の時間応答に追従するようにEGR率Regrは迅速に変化する(無論、EGR弁開度が収束するまで変化は継続する)。
このように、インパルス弁併用EGRによれば、EGR弁227よりも明らかに応答速度が速く、且つ吸入空気量の調整機能を有するインパルス弁224の閉弁側への駆動により、連通管206に負圧が形成され、この負圧によって連通管206へのEGRガスの導入が促進されることにより、EGR率を所望の値へ迅速に変化させることが可能となる。また、インパルス弁開度Aipの閉弁側への駆動を伴わない通常EGRでは、例えばEGR弁227前後の圧力差が小さい場合等には、EGR率Regrが図示Regr1に到達しない可能性も有り、インパルス弁併用EGRは、EGRガスの導入に係る応答速度のみならず、EGR量の向上に顕著に効果的である。
尚、スロットルバルブ205も吸入空気量を調整可能であるが、スロットルバルブ205の開度変化が、下流側に離れた連通管206における吸入空気量の変化として顕在化するまでの時間は、インパルス弁224によりこの種の吸気絞りがなされた場合と較べて遥かにに長くなり、図4に例示する如き顕著な効果は望めない。即ち、スロットルバルブ205は、本発明に係る「吸気制御弁」の概念の範囲外であるか否かは別として少なくとも吸気制御弁の好適な一形態ではない。但し、逆に、インパルス弁224にスロットルバルブ205の機能を併有させることは可能である。
一方、連通管206の構成上、EGR導入口228から各気筒の吸気バルブまでの距離は異なっており、インパルス弁併用EGRにおけるインパルス弁224の駆動態様が各気筒一律である場合には、例えEGR導入口228におけるEGR量に差はなくても、各気筒に流入する吸気ベースでみれば、EGR率に変化が生じ易い。即ち、EGR量の気筒間偏差が生じ易い。
ここで、図4のEGR弁開度Aegrの応答速度からも明らかなように、EGR弁227の開度制御によりこの種の気筒間偏差の解消を図ることは実践上困難である。一方で、インパルス弁開度Aipの閉弁側への変化量(即ち、減少量)が大きい程、連通管206に形成される負圧の絶対値が大きくなって、EGR量の増大が見込めることも明らかである。そこで、本実施形態では、上記開度補正値Aadjによる補正を経たインパルス弁開度AipによりEGR量の気筒間偏差の抑制が図られるのである。
図3では、第1気筒と第4気筒とでインパルス弁開度Aipは等しく(Aip=Aip1)、第2気筒と第3気筒とでインパルス弁開度Aipが等しく(Aip=Aip2)なっている。これは、第1気筒及び第4気筒と、第2気筒及び第3気筒との間で、同一のEGR弁開度におけるEGR率(別段、EGR量であってもよい)を比較した場合に、後者の方が小さいことに由来しており、EGR量の気筒間偏差(この場合、言わば気筒群間偏差)が生じ易いことを意味している。このため、本実施形態では、第2気筒及び第3気筒について、インパルス弁224がより閉弁側へ駆動され吸入空気量が絞られ、EGRガスの導入が促進されているのである。
尚、ここで補足すると、上述した開度補正値Aadjは、予め実験的に、経験的に、理論的に又はシミュレーション等に基づいて、目標EGR率に応じて、EGR量の気筒間偏差が実践上有意な範囲で(即ち、燃焼性能にさしたる変化が生じない程度であれば、係る気筒間偏差を抑制する必然性は低くなる)可及的に抑制され得るように決定された適合値である。
尚、ここで例示するEGR量の気筒間偏差は一例に過ぎず、EGR量の気筒間偏差は、エンジン200の構造、顕著には吸気系の構造等に応じて本来多種多様である。然るに、EGR量の気筒間偏差が如何なる態様を採ったところで、インパルス弁開度AipとEGR量との関係が、少なくとも定性的に規定されている限り、インパルス弁開度Aipの補正によりEGR量の気筒間偏差を抑制することは実践上十分に可能である。
以上説明したように、本実施形態によれば、インパルス弁併用EGRにより、EGRの応答速度を向上させ、且つEGR量を増大させることが可能であると共に、インパルス弁開度Aipの補正により、EGR量の気筒間偏差を抑制することができる。このため、各気筒で燃焼状態の均一化を図ることが可能となるのである。
尚、本実施形態では、本発明に係る「開閉特性」の一例として、インパルス弁開度Aipが補正されているが、開閉特性の補正態様は、これに限定されない。例えば、噴射量Qがインパルス弁併用EGR実行範囲にある場合に、インパルス弁224が吸気行程中に開閉駆動される場合(後述する慣性過給制御のように、全開と全閉との間で繰り返される必要は必ずしもないが、別段、閉じ側の開度が全閉に相当する開度であってもよい)、インパルス弁224が閉弁側へ駆動される時期、開弁側へ駆動される時期又はその両方を、EGR量の気筒間偏差が抑制されるように補正してもよい。この場合、インパルス弁開度Aipは、全開に相当する100(%)と例えば基本中間開度Aipmとの間で二値的に制御されてもよい。
このように、吸気行程中でインパルス弁224の開閉駆動がなされる場合、とりわけ吸気行程初期又は中期等においてインパルス弁224が閉弁側へ駆動される場合、吸気行程において気筒内に取り込まれる吸気は、吸気行程初期又は中期においてEGRガスが支配的となり、インパルス弁224の開弁後には吸入空気が支配的となる。即ち、気筒202内部では、下層にEGRガスが、上層に空気が夫々偏在し易く、所謂成層EGRが実現される。成層EGRが実現された場合、リッチスパイクによるDPNR219(とりわけNSR触媒)のNOx還元時或いはS被毒再生時に効果的である。またガソリンエンジンであっても、EGR量が比較的大きい場合にストイキ燃焼に与える影響が小さくなるため好適である。
尚、本実施形態では、吸気系が、吸気管204と連通管206とによる一弁式のインマニレス吸気系として構成されており、吸気通路長は気筒間で明らかに異なっている。そのため、主としてこの吸気通路長に起因するEGR量の気筒間偏差の抑制に主眼が置かれており、これは、多弁式のインマニレス吸気系(即ち、連通管206における各気筒に対応する通路各々にインパルス弁を有する構成)においても同様である。一方で、例えばサージタンクと各気筒とが、個々の吸気マニホールドにより連通する構成では、吸気通路長といった観点では必ずしも気筒間偏差が生じるとは限らないが、吸入空気が基本的に大なり小なり脈動波である点に鑑みれば、この種の脈動に基づいた気筒間偏差の生じる可能性は少なくとも実践上無視し得る程には小さくない。特に、上述したように、成層EGR等を目的として、吸気行程初期又は中期等においてインパルス弁224の開閉駆動がなされる場合、上記実施形態の如く、インパルス弁開度Aipが中間開度に維持される場合と較べて吸気の脈動は大きくなり易く、EGR量の気筒間偏差は相対的に生じ易くなる。即ち、本実施形態において例示したインパルス弁併用EGR及びそれに類する制御は、広範な吸気系において効果を発揮する。
また、本質的な部分で考えれば、この種のEGR量の気筒間偏差を補正する術を有さぬならば、原因は何であれEGR量の気筒間偏差が生じた場合にシステム上講じ得る対処方法は限定されるが、インパルス弁開度Aipの補正であれ、開閉時期の補正であれ、更には他の補正であれ、インパルス弁224をこの種の気筒間偏差の補正に利用し得る点に着眼した本発明は、これらに対し明らかに有利であり、本発明によりもたらされる実践上の利益は計り知れない程大きいものとなる。
<第2実施形態>
エンジンシステム10では、慣性過給(インパルスチャージ)を実現するための慣性過給制御が実行される。ここで、慣性過給制御とは、インパルス弁224を開閉させることにより吸気の脈動を生成し、吸気の充填効率を向上させる一連の制御を指し、その概要は概ね以下のようになる。
即ち、一の気筒202(例えば、第1気筒)について、吸気行程の開始前に(即ち、好適には他気筒(例えば、第2気筒)の吸気行程終期において)、或いは吸気行程初期においてインパルス弁224を閉弁すると、インパルス弁224が閉弁しているため、当該気筒202のピストンの下降に従って、連通管206の管内圧は負圧となり、大気圧又は過給により大気圧以上に維持される吸気管204の管内圧との圧力差が拡大する。このように十分に連通管206内部に負圧が形成された状態においてインパルス弁224を開弁する(即ち、吸気バルブ207の開弁タイミング以降の開弁期間において開弁する)と、吸気管204と該当する気筒202(即ち、ここでは、第1気筒)の内部とが連通し、インパルス弁224を介して吸入空気が吸気として一気に気筒202内部の燃焼室に流入することとなる。
一方、燃焼室との連通部位において連通管206は所謂開放端となっており、燃焼室への吸入空気の流入に惹起された正圧波は、燃焼室で反射することによって、位相が反転した負圧波となる。この負圧波は、連通管206及びインパルス弁224を順次介してサージタンク223に到達し、開放端となる連通孔において開放端反射して位相が反転した正圧波として再び燃焼室に到達する。この正圧波のピークが燃焼室に(或いは吸気バルブ207に)到達した時点で(必ずしも、当該時点のみに限定されるものではなく、吸気の充填効率を幾らかなり向上させ得る限りにおいて当該時点を含む一定又は不定の期間であってよい)吸気バルブ207を閉弁することにより、或いは、吸気バルブ207が閉弁するタイミングで、この正圧波が燃焼室に到達するようにインパルス弁224の開弁時期を制御することにより、燃焼室内の圧力は上昇し、吸気の充填効率が向上する。インパルス弁224を利用した慣性過給は、このように実行される。
ここで、第1実施形態に係るインパルス弁併用EGRの実行時、或いは通常EGRの実行時に、慣性過給制御の実行が要求された場合、EGR弁227が開弁したままでは、EGR弁227を介して大量のEGRガスが連通管206に流入し、各気筒において燃焼が不安定になりかねない。このため、EGR弁227は、この種の慣性過給制御の要求時には迅速に閉弁されるべきであるが、既に述べたように、EGR弁227の時間応答は、インパルス弁224よりも遅く、何らの対策も講じられることがなければ、各種EGRが終了するまでの過渡期間において、燃焼状態の悪化が避け難い。
ここで、図5を参照し、本発明の第2実施形態として、この種の過渡期間における燃焼状態の悪化を抑制し得るインパルス弁駆動制御実行判断処理について説明する。ここに、図5は、インパルス弁駆動制御実行判断処理のフローチャートである。
図5において、ECU100は、車両の運転条件を取得する(ステップS201)。尚、本実施形態では、係る運転条件として機関回転速度Ne及びアクセル開度Taが取得される。機関回転速度Ne及びアクセル開度Taが取得されると、取得された運転条件が慣性過給領域に該当するか否かが判別される(ステップS202)。
ここで、図6を参照し、慣性過給領域について説明する。ここに、図6は、慣性過給領域の模式図である。
図6において、慣性過給領域は、縦軸及び横軸に夫々アクセル開度Ta及び機関回転速度Neを配してなる二次元座標系において、図示ハッチング領域に相当する領域である。より具体的には、エンジン200の採り得る機関回転速度の範囲を、最低回転速度NeL(自立回転可能な最低回転速度である)以上、且つ最高回転速度NeH(所謂レブリミットである)以下であるとし、アクセル開度Taが0%(即ち、全閉)から100%(即ち、全開)まで変化するとした場合、慣性過給領域は、NeL≦Ne≦Neth(Neth<NeH)、且つTath≦Ta≦100となる領域であり、定性的に言えば低回転高負荷領域となる。
尚、最低回転速度NeLは、例えば800rpm程度の値であり、Nethは、インパルス弁224の動作限界に基づいて規定される判断基準値であり、概ね2000rpm程度の値である。また、Tathはアクセル開度の基準値であり、要求負荷の点から慣性過給が必要である旨の判断を下し得る値である。別言すれば、基準値Tath未満の低負荷領域においては、元より吸気の充填量を増大させる必要がないため、慣性過給制御の実行が必要とされないのである。
図5に戻り、取得した運転条件が慣性過給領域に該当しない場合(ステップS202:NO)、ECU100は、インパルスチャージの実行要否を規定するフラグFg_ip1を、インパルスチャージが必要とされない旨を表す「0」に設定し(ステップS206)、インパルスチャージの実行有無を規定するフラグFg_ip3を、インパルスチャージを実行しない旨を表す「0」に設定して(ステップS207)、インパルス弁駆動制御実行判断処理を終了する。
一方、運転条件が慣性過給領域に該当する場合(ステップS202:YES)、ECU100は、先に述べたフラグFg_ip1を、インパルスチャージが必要とされる旨を表す「1」に設定し(ステップS203)、更にインパルスチャージの実行可否を規定するフラグFg_ip2が、インパルスチャージの実行が許可される旨を表す「0」であるか否かを判別する(ステップS204)。尚、フラグFg_ip2は、インパルスチャージの実行が禁止される場合には「1」に設定されるフラグであり、後述するように、その設定自体もECU100により実行される。
フラグFg_ip2が「0」である場合(ステップS204:YES)、ECU100は、先に述べたフラグFg_ip3を、インパルスチャージを実行する旨を表す「1」に設定して(ステップS205)、インパルス弁駆動制御実行判断処理を終了する。一方、フラグFg_ip2が、インパルスチャージが禁止される旨を表す「1」である場合(ステップS204:NO)、ECU100は、処理をステップS207に移行させて、インパルス弁駆動制御実行判断処理を終了する。
ECU100は、インパルス弁駆動制御実行判断処理を、所定周期で繰り返し実行しており、フラグFg_ip3が「1」であれば慣性過給制御を実行し、フラグFg_ip3が「0」であれば、慣性過給制御を実行することなく、インパルス弁224を基本的に全開に維持する(但し、この期間において、上述したインパルス弁併用EGRの実行がなされる場合は除く)。
ここで、図7を参照し、慣性過給制御の実行可否を規定するフラグFg_ip2の設定態様について説明する。ここに、図7は、先に述べた通常EGRの実行期間から慣性過給制御の実行期間への切り替わり前後における各種フラグ及び各弁の状態の一例を表す模式的なタイミングチャートである。尚、同図において、図3と重複する箇所には同一の符合を付してその説明を適宜省略することとする。
図7において、上段から順にフラグFg_ip1、フラグFg_ip2、フラグFg_ip3、インパルス弁開度Aip及びEGR弁開度Aegrの状態が示される。
図7において、フラグFg_ip1が「1」となり、慣性過給制御の実行が要求される時刻T20の時点では、EGR弁開度Aegrが未だAegr1である。この状態で慣性過給制御を開始すると、インパルス弁224の時間応答の方がEGR弁227よりも速いため、慣性過給効果がEGRにも影響して、EGR量の増大を招く。慣性過給制御は、実負荷を要求負荷に可及的速やかに追従させるべく、ターボチャージャによる過給圧上昇を補助する意味合いもあり、EGR量はゼロ又はそれに類する程度に、即ち、実負荷の上昇を阻害しない程度に小さいのが望ましい。このため、ECU100は、時刻T20において、フラグFg_ip2を「1」に設定し、慣性過給制御の実行を禁止する。
一方、ECU100は、Fg_ip1が「1」に設定された時点で、EGRガスの導入を終了すべく、EGR弁227の目標開度をゼロに設定し、EGR弁227を駆動制御する。即ち、本実施形態において、ECU100は、本発明に係る「所定の閉弁状態に移行するようにEGR装置を制御する」旨の動作の一例を実行する、本発明に係る「第2制御手段」の一例としても機能するように構成されている。その結果、EGR弁開度Aegrは、時刻T20を境に減少を開始する。ところが、EGR弁227の時間応答は遅いため、第3気筒の吸気行程たるIVO3が開始される時刻T21において、EGR弁227は未だ開弁中である。このため、時刻T21においてもフラグFg_ip2は「1」のまま維持される。
更に時間が経過して、第4気筒の吸気行程たるIVO4の開始時刻T23以前の時刻T22になると、EGR弁開度Aegrはゼロとなる。EGR弁開度Aegrがゼロとなったことにより、EGRガスの導入は物理的に停止するから、ECU100は、時刻T22において、フラグFg_ip2を「0」に設定する。その結果、先に述べたインパルス弁駆動制御実行判断処理によりフラグFg_ip3が「1」となり、慣性過給制御が開始される。即ち、時刻T22以降最初に吸気行程を迎える第4気筒から、慣性過給制御が開始される。
以上説明したように、本実施形態によれば、インパルス弁駆動制御実行判断処理によって、EGR弁227の開弁期間中における慣性過給制御は禁止される。このため、インパルス弁224の本来の使用目的であるインパルスチャージの実行に際して燃焼の悪化を招く事態が防止され、第1実施形態に係る各種EGR制御と、慣性過給制御とを相互に協調的に実行し、互いの利益を好適に享受することが可能となるのである。
尚、図7は、通常EGRの実行期間において慣性過給制御を開始する際の一例であるが、インパルス弁併用EGRの実行期間においても、インパルス弁開度Aipが異なる(例えば、第1実施形態を参照するならばインパルス弁開度Aipは、Aip1或いはAip2である)のみで基本的に同様である。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う内燃機関の吸気制御装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
本発明の第1実施形態に係るエンジンシステムの構成を概念的に表してなる概略構成図である。 図1のエンジンシステムにおいてECUにより実行されるEGR制御のフローチャートである。 インパルス弁開度Aipの補正前後におけるインパルス弁224の駆動状態の一例を模式的に表してなるタイミングチャートである。 インパルス弁併用EGRの効果の一例を模式的に表すタイミングチャートである。 本発明の第2実施形態に係るインパルス弁駆動制御実行判断処理のフローチャートである。 図5の制御において参照される慣性過給領域の模式図である。 通常EGRの実行期間から慣性過給制御の実行期間への切り替わり前後における各種フラグ及び各弁の状態の一例を表す模式的なタイミングチャートである。
符号の説明
10…エンジンシステム、100…ECU、200…エンジン、202…気筒、204…吸気管、205…スロットルバルブ、206…連通管、207…吸気バルブ、216…タービン、218…コンプレッサ、222…インタークーラ、223…サージタンク、224…インパルス弁、225…アクチュエータ、226…EGR通路、227…EGRバルブ、228…EGR導入口。

Claims (5)

  1. 車両に備わり、複数の気筒、該複数の気筒に連通する吸気通路、該吸気通路に設置された吸気制御弁、及び排気系からEGR弁を介して前記吸気制御弁下流に排気の一部をEGRガスとして導入可能なEGR装置を備え、前記吸気制御弁の開閉を伴う所定種類の慣性過給制御により吸気の脈動を利用した慣性過給が可能に構成されてなる内燃機関の吸気制御装置であって、
    前記EGRガスが導入される場合に、前記内燃機関の吸気行程において前記吸気制御弁の開度が減少するように前記吸気制御弁を制御する第1制御手段と、
    前記複数の気筒相互間における前記EGRガスの導入量の偏差が減少するように前記複数の気筒の少なくとも一部について前記吸気制御弁の開閉特性を補正する補正手段と
    を具備することを特徴とする内燃機関の吸気制御装置。
  2. 前記補正手段は、前記開閉特性として前記吸気制御弁の開閉時期を補正する
    ことを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の吸気制御装置。
  3. 前記補正手段は、前記開閉特性として前記吸気制御弁の開度を補正する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の内燃機関の吸気制御装置。
  4. 前記EGRガスの導入期間において前記慣性過給制御の実行が要求された場合に、前記EGR弁が所定の閉弁状態に移行するように前記EGR装置を制御する第2制御手段を更に具備し、
    前記第1制御手段は、前記EGR弁が前記閉弁状態に移行した後に前記慣性過給制御が実行されるように前記慣性過給制御の開始時期を制御する
    ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の内燃機関の吸気制御装置。
  5. 前記吸気通路は、前記複数の気筒で共用される第1通路と、該第1通路と連通し且つ所定の分岐位置において該第1通路から前記複数の気筒の各々へ分岐する第2通路とを含み、前記EGRガスは、前記吸気制御弁下流且つ前記分岐位置上流に導入される
    ことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の内燃機関の吸気制御装置。
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