JP2010164000A - 内燃機関の吸気制御装置及び方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】内燃機関の吸気制御装置において、吸気制御弁の動作をより適切に開始することを可能とする。
【解決手段】内燃機関の吸気制御装置(100等)は、吸気を気筒に導くための吸気通路(204等)と、吸気通路に設けられ、開閉状態に応じて吸気の流れの脈動を生成可能な吸気制御弁(224等)と、吸気制御弁を駆動し、開閉状態を時間軸上、変化させる駆動手段(224Dや224E等)と、吸気制御弁の動作が停止している停止状態から吸気制御弁の駆動を開始する場合、吸気制御弁の動作加速度が発生するタイミングを、基準タイミングより早めにさせつつ、吸気制御弁を駆動するように駆動手段を制御する制御手段(100)とを備える。
【選択図】図2
【解決手段】内燃機関の吸気制御装置(100等)は、吸気を気筒に導くための吸気通路(204等)と、吸気通路に設けられ、開閉状態に応じて吸気の流れの脈動を生成可能な吸気制御弁(224等)と、吸気制御弁を駆動し、開閉状態を時間軸上、変化させる駆動手段(224Dや224E等)と、吸気制御弁の動作が停止している停止状態から吸気制御弁の駆動を開始する場合、吸気制御弁の動作加速度が発生するタイミングを、基準タイミングより早めにさせつつ、吸気制御弁を駆動するように駆動手段を制御する制御手段(100)とを備える。
【選択図】図2
Description
本発明は、吸気流量を制御する内燃機関の吸気制御装置及び方法の技術分野に関する。
この種の装置として、特許文献1や特許文献2等には、内燃機関の運転状態に応じて吸気制御弁の開閉タイミングを変化させつつ、吸気制御弁を制御することで、内燃機関の有効吸気期間を変化させる技術について開示されている。
特許文献3等には、慣性過給を利用しつつ吸気制御弁を制御する技術について開示されている。
しかしながら、上述した特許文献1等によれば、吸気制御弁が停止している状態から吸気制御弁の動作を開始する場合、目標となる開度に一致させるために消費電力が増大してしまうという技術的な問題点が生じる。
そこで、本発明は、例えば上記の問題点に鑑みなされたものであり、吸気制御弁の動作をより適切に開始することが可能な内燃機関の吸気制御装置及び方法を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る内燃機関の吸気制御装置は、吸気を気筒に導くための吸気通路と、前記吸気通路に設けられ、開閉状態に応じて前記吸気の流れの脈動を生成可能な吸気制御弁と、前記吸気制御弁を駆動し、前記開閉状態を変化させる駆動手段と、前記吸気制御弁の動作が停止している停止状態(例えば動作速度がゼロである停止状態)から前記吸気制御弁の駆動を開始する場合、前記吸気制御弁の動作加速度が発生するタイミングを、内燃機関の運転状態に応じて決定される基準タイミングより早めにさせつつ、前記吸気制御弁を駆動するように前記駆動手段を制御する制御手段とを備える。
本発明に係る「内燃機関」とは、一又は複数の気筒を有し、当該気筒の各々における燃焼室において、例えばガソリン、軽油、各種アルコール若しくは各種アルコールとガソリンとの混合燃料等各種の燃料又は当該各種燃料を含む混合気等が爆発或いは燃焼した際に生じる力を、例えばピストン、コネクティングロッド及びクランク軸等の物理的な又は機械的な伝達経路を経て駆動力として取り出すことが可能に構成された機関を包括する概念である。また、この種の内燃機関に係る「内燃機関の吸気制御装置」とは、気筒内部に対する、吸気(即ち、外界から吸入される空気たる吸入空気を少なくとも概念の一部として含み、当該吸入空気そのもの、或いは例えばEGR装置等の排気再循環装置が備わる場合等には例えばEGRバルブ等の流量調整手段の開閉状態等に応じてEGRガス(即ち、排気の一部)と当該吸入空気の混合体等の各種形態を採り得る)の供給に供される装置である。
本発明に係る内燃機関の吸気装置における「吸気通路」とは、即ち、吸気の通路であって、好適な一形態として、例えばエアクリーナ、エアフローメータ、スロットルバルブ(即ち、吸気絞り弁)及び吸気ポート等を相互に且つ適宜に連結又は連通せしめ得る、例えば単一又は複数の管状部材の形態を採る。特に、本発明に係る内燃機関の吸気装置は、この吸気通路に、例えばターボチャージャ等の過給器(無論、タービン等、排気系に備わるべき一部を除外してなる一部であってもよい)が備わっており、更にその下流側(尚、「下流」とは、吸気の流れる方向を基準とする方向概念の一であり、この場合、即ち気筒側である)に、例えばインタークーラ等の吸気冷却手段を備える。吸気冷却手段は、過給器を介して供給される(過給器による過給が実践上有意に行われているか否かとは無関係であってもよい)吸気を冷却可能な物理的、機械的、機構的、電気的、磁気的又は化学的態様を有する手段であって、少なくとも幾らかなり且つ相対的に吸気が冷却されることによって、吸気の密度は相対的に上昇し、吸気の充填効率は向上し得る。
一方、本発明に係る内燃機関の吸気制御装置は、典型的には、吸気通路における吸気冷却手段の下流側に吸気制御弁を備える。この吸気制御弁は、例えば二値的に、段階的に或いは連続的に制御され得る開閉状態に応じて、吸気の脈動を少なくとも生成可能な、且つ当該吸気の量たる吸気量を調整可能な、例えば弁体、或いは当該弁体に加え更に当該弁体を駆動する駆動装置等を適宜に含んでなる動弁機構又は動弁装置等の形態を採り得る手段である。この吸気制御弁は、内燃機関にスロットルバルブ等の所謂吸気絞り弁が備わる場合には、好適な一形態として、この吸気絞り弁の下流側に設置される。
例えば駆動回路や駆動モータ等を備えて構成される駆動手段は、吸気制御弁を駆動し、開閉状態を時間軸上、変化させる。例えばプロセッサやメモリ等を備えて構成される制御手段の制御下で、駆動手段は、吸気制御弁の動作が停止している停止状態から吸気制御弁の駆動を開始する場合、吸気制御弁の動作加速度が発生するタイミングを、基準タイミングより早めにさせつつ、吸気制御弁を駆動する。ここに、本発明に係る「停止状態」とは、典型的には、吸気制御弁の動作速度がゼロである状態が、所定の時間、継続し、吸気制御弁が運動エネルギーを殆ど又は完全に有しない状態を意味する。また、本発明に係る「基準タイミング」とは、内燃機関の運転状態に応じて、吸気制御弁が連続的に動作を継続し、ある程度の運動エネルギーを有している動作状態の下で定義される吸気制御弁の動作タイミングを意味する。
このように、基準タイミングよりも早いタイミングで、駆動手段によって、動作加速度が吸気制御弁に対して付与されることにより、吸気制御弁が駆動を開始する際の、吸気制御弁における実際の開度が所望となる目標開度と一致するまでの動作加速時間を長く確保することができる。これにより、吸気制御弁の実際の開度が所望となる目標開度と一致するまでの動作加速度を急激に上昇させる必要性を殆ど又は完全になくすことができる。これにより、吸気制御弁の実際の開度が所望となる目標開度と一致するまでの吸気制御弁の動作速度の変動を低減させることができる。
この結果、吸気制御弁が動作を開始する際の駆動電力若しくは駆動力をより効率的に使用することができるので、吸気制御弁が動作を開始する際の省電力化を実現可能である。以上の結果、駆動手段において、制御回路等の構成の簡素化若しくは小型化を図ることが出来、車両への搭載性の向上及び質量の低減を実現することができる。
本発明の内燃機関の吸気制御装置の一の態様は、前記制御手段は、前記動作加速度が発生するタイミングを、前記基準タイミングより所定時間だけ早めにさせつつ、前記吸気制御弁を駆動するように前記駆動手段を制御する。
ここに、本発明に係る所定時間は、実験的、理論的、経験的、又はシミュレーション等によって、吸気制御弁における実際の開度が所望の開度と一致するまでの動作速度の変動量をより小さくするように、個別具体的に定義されてよい。
この態様によれば、吸気制御弁の駆動を開始する際に、吸気制御弁をより高精度に駆動することができる。この結果、吸気制御弁が動作を開始する際の駆動電力若しくは駆動力をより効率的に使用することができるので、吸気制御弁が動作を開始する際の省電力化を実現可能である。
本発明の内燃機関の吸気制御装置の他の態様は、前記制御手段は、前記停止状態としての、前記吸気制御弁の運動エネルギーがゼロである状態から前記吸気制御弁の駆動を開始する場合、前記動作加速度が発生するタイミングを、前記基準タイミングより所定時間だけ早めにさせつつ、前記吸気制御弁を駆動するように前記駆動手段を制御する。
この態様によれば、吸気制御弁の駆動を開始する際に、吸気制御弁をより適切なタイミングで駆動することができる。この結果、吸気制御弁が動作を開始する際の駆動電力若しくは駆動力をより効率的に使用することができるので、吸気制御弁が動作を開始する際の省電力化を実現可能である。
本発明の内燃機関の吸気制御装置の他の態様は、前記制御手段は、前記停止状態としての、前記吸気制御弁の開度が全開であり、且つ前記吸気制御弁の動作速度がゼロである全開状態から前記吸気制御弁の駆動を開始する場合、前記動作加速度が発生するタイミングを、前記基準タイミングより早めにさせつつ、前記吸気制御弁を駆動するように前記駆動手段を制御する。
この態様によれば、全開状態の吸気制御弁の駆動を開始する際に、吸気制御弁をより適切なタイミングで駆動することができる。この結果、吸気制御弁が動作を開始する際の駆動電力若しくは駆動力をより効率的に使用することができるので、吸気制御弁が動作を開始する際の省電力化を実現可能である。
本発明の内燃機関の吸気制御装置の他の態様は、前記吸気制御弁は、前記吸気通路に設けられた弁体を弁軸の回りに回転させることにより前記開閉状態を変化させて前記吸気の流量を変化させるバタフライ弁であり、前記駆動手段は、前記バタフライ弁を回転駆動し、前記バタフライ弁の開度を時間軸上、変化させ、前記制御手段は、前記バタフライ弁の開度が全開であり、且つ回転速度がゼロである前記停止状態から前記バタフライ弁の回転を開始する場合、前記バタフライ弁の回転加速度が発生するタイミングを、前記基準タイミングより早めにさせつつ、前記バタフライ弁を回転駆動するように前記駆動手段を制御する。
この態様によれば、停止状態のバタフライ弁の駆動を開始する際に、バタフライ弁をより適切なタイミングで回転駆動することができる。この結果、バタフライ弁が回転駆動を開始する際の駆動電力若しくは駆動力をより効率的に使用することができるので、バタフライ弁が回転駆動を開始する際の省電力化を実現可能である。
本発明の内燃機関の吸気制御装置の他の態様は、前記吸気制御弁は、弁軸に回動可能に支持される弁体を、所定の角度範囲で、一の方向又は他の方向に回転させることにより前記開閉状態を変化させて前記吸気の流量を変化させるインパルス弁であり、前記駆動手段は、前記インパルス弁を回転駆動し、前記インパルス弁の開度を時間軸上、変化させ、前記制御手段は、前記インパルス弁の開度が全開であり、且つ回転速度がゼロである前記停止状態から前記インパルス弁の回転を開始する場合、前記インパルス弁の回転加速度が発生するタイミングを、前記基準タイミングより早めにさせつつ、前記インパルス弁を回転駆動させるように前記駆動手段を制御する。
この態様によれば、停止状態のインパルス弁の駆動を開始する際に、インパルス弁をより適切なタイミングで回転駆動することができる。この結果、インパルス弁が回転駆動を開始する際の駆動電力若しくは駆動力をより効率的に使用することができるので、バタフライ弁が回転駆動を開始する際の省電力化を実現可能である。
上記課題を解決するために、本発明に係る内燃機関の吸気制御方法は、吸気を気筒に導くための吸気通路と、前記吸気通路に設けられ、開閉状態に応じて前記吸気の流れの脈動を生成可能な吸気制御弁と、前記吸気制御弁を駆動し、前記開閉状態を変化させる駆動手段とを備えた内燃機関の吸気制御装置における内燃機関の吸気制御方法であって、前記吸気制御弁の動作が停止している停止状態(例えば、動作速度がゼロである停止状態)から前記吸気制御弁の駆動を開始する場合、前記吸気制御弁の動作加速度が発生するタイミングを、内燃機関の運転状態に応じて決定される基準タイミングより早めにさせつつ、前記吸気制御弁を駆動するように前記駆動手段を制御する制御工程とを備える。
本発明に係る内燃機関の吸気制御方法によれば、上述した本発明に係る内燃機関の吸気制御装置が有する各種利益を享受することが可能となる。
尚、上述した本発明に係る内燃機関の吸気制御装置が有する各種態様に対応して、本発明に係る内燃機関の吸気制御方法も各種態様を採ることが可能である。
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施するための最良の形態から明らかにされる。
以下、図面を参照して、本発明の好適な各種実施形態について説明する。
(第1実施形態)
(基本構成)
始めに、図1を参照して、本発明の第1実施形態に係るエンジンシステム10の構成について一部その動作を交えて説明する。ここに、図1は、本発明の第1実施形態に係るエンジンシステム10の構成を概念的に表してなる概略構成図である。
(基本構成)
始めに、図1を参照して、本発明の第1実施形態に係るエンジンシステム10の構成について一部その動作を交えて説明する。ここに、図1は、本発明の第1実施形態に係るエンジンシステム10の構成を概念的に表してなる概略構成図である。
図1において、エンジンシステム10は、図示せぬ車両に搭載され、ECU100及びエンジン200を備える。
ECU100は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を備え、エンジン200の動作全体を制御することが可能に構成された電子制御ユニットである。
エンジン200は、軽油を燃料とする、本発明に係る「内燃機関」の一例たる直列4気筒ディーゼルエンジンである。エンジン200の概略について説明すると、エンジン200は、シリンダブロック201に4本の気筒202が並列して配置された構成を有している。そして、各気筒内における圧縮行程において、当該圧縮行程或いは吸気行程に気筒内に直接噴射される燃料と吸入空気との混合気が圧縮され、自発的に着火した際に生じる力が、夫々不図示のピストン及びコネクティングロッドを介してクランクシャフト(不図示)の回転運動に変換される構成となっている。このクランクシャフトの回転は、エンジンシステム10を搭載する車両の駆動輪に伝達され、当該車両の走行が可能となる。以下に、エンジン200の要部構成を、その動作の一部と共に説明する。尚、個々の気筒202の構成は相互に等しいため、ここでは一の気筒202についてのみ説明することとする。特に、クランクシャフトの回転状態は、時間軸上のクランク角度の変化によって特定される。
図1において、外界から導かれる空気たる吸入空気は、本発明に係る「吸気通路」の一例たる吸気管204を介して、その内部が吸気管204と連通してなるサージタンク205へ供給される構成となっている。
サージタンク205の下流側(即ち、気筒202側)において、下流側管路204bは連通管206に接続され、その内部において連通管206と連通する構成となっている。連通管206は、各気筒202の吸気ポート(不図示)の各々に連通しており、吸気管204に導かれた吸入空気は、連通管206を介して、各気筒に対応する吸気ポートに導かれる構成となっている。吸気ポートは、一の気筒202について夫々二個ずつ備わっており、夫々が気筒202内部に連通可能に構成されている。
吸気ポートと気筒202内部との連通状態は、各吸気ポートに設けられた吸気バルブ207により制御される。吸気バルブ207は、クランクシャフトに連動して回転する吸気カムシャフト208に固定された、吸気カムシャフト208の伸長方向と垂直な断面が楕円形状をなす吸気カム209のカムプロフィール(端的に言えば、形状)に応じてその開閉特性が規定されており、開弁時に吸気ポートと気筒202内部とを連通させることが可能に構成されている。このように、エンジン200では、連通管206が、個々の気筒202(より具体的には吸気ポート)に対応する部分の上流側において集約され、下流側管路204bを介してサージタンク205と接続される構成となっており、連通管206は、吸気管204と共に本発明に係る「吸気通路」の一例を構成している。
気筒202の内部には、筒内噴射型のインジェクタ203の一部としての燃料噴射弁が露出しており、高温高圧の気筒内部に燃料たる軽油を直接噴射することが可能に構成されている。ここで、燃料は、不図示の燃料タンクに貯留されている。この燃料タンクに貯留される燃料は、不図示のフィードポンプの作用により燃料タンクから汲み出され、不図示の低圧配管を介して不図示の高圧ポンプに圧送される構成となっている。この高圧ポンプは、コモンレール203Aに対し、燃料を供給することが可能に構成されている。尚、高圧ポンプは、公知の各種態様を採り得、ここでは、その詳細については省略することとする。
コモンレール203Aは、ECU100と電気的に接続され、上流側(即ち、高圧ポンプ側)から供給される高圧燃料をECU100により設定される目標レール圧まで蓄積することが可能に構成された、高圧貯留手段である。尚、コモンレール203Aには、レール圧を検出することが可能なレール圧センサ及びレール圧が上限値を超えないように蓄積される燃料量を制限するプレッシャリミッタ等が配設されるが、ここではその図示を省略することとする。インジェクタ203は、気筒202各々について搭載されており、夫々が高圧デリバリ203Bを介してコモンレール203Aに接続されている。
ここで、インジェクタ203の構成について補足すると、インジェクタ203は、ECU100から供給される指令に基づいて作動する電磁弁と、この電磁弁への通電時に燃料を噴射するノズル(いずれも不図示)とを備える。当該電磁弁は、コモンレール203Aの高圧燃料が印加される圧力室と、当該圧力室に接続された低圧側の低圧通路との間の連通状態を制御することが可能に構成されており、通電時に当該加圧室と低圧通路とを連通させると共に、通電停止時に当該加圧室と低圧通路とを相互に遮断する。
一方、ノズルは、噴孔を開閉するニードルを内蔵し、圧力室の燃料圧力がニードルを閉弁方向(噴孔を閉じる方向)に付勢している。従って、電磁弁への通電により加圧室と低圧通路とが連通し、圧力室の燃料圧力が低下すると、ニードルがノズル内を上昇して開弁する(噴孔を開く)ことにより、コモンレール203Aより供給された高圧燃料を噴孔より噴射することが可能に構成される。また、電磁弁への通電停止により加圧室と低圧通路とが相互に遮断されて圧力室の燃料圧力が上昇すると、ニードルがノズル内を下降して閉弁することにより、噴射が終了する構成となっている。尚、このような構成は一例であり、例えば、燃料噴射プロセスそのものが電子制御化(即ち、圧力を媒体とすることなく燃料を噴射する)されていてもよい。
ここで、インジェクタ203によれば、燃料の噴射量を精細に制御することが可能であり、エンジン200では、個々のシリンダ202において、インジェクタ203を介し、目標噴射量に相当する燃料が、燃料と吸気との予混合を促進するための(無論、燃焼室内の急激な温度上昇を防止する目的もある)一又は複数回のパイロット噴射と、目標噴射量とパイロット噴射量との差分に相当するメイン噴射とに分割して噴射される構成となっている。
尚、高圧ポンプ、コモンレール203A、高圧デリバリ203B、及びインジェクタ203は、一体のコモンレールシステムとして構成されていてもよい。また、高温高圧の気筒内部に燃料を噴射するための態様は、ここに例示するものに限定されず、公知の各種態様を採ってよい。
いずれにせよ気筒202内部で形成される混合気は、圧縮行程において自着火して燃焼し、燃焼済みガスとして、或いは一部未燃の混合気として、吸気バルブ207の開閉に連動して開閉する排気バルブ210の開弁時に、不図示の排気ポートを介して排気として排気マニホールド213に導かれる構成となっている。排気バルブ210は、クランクシャフトに連動して回転する排気カムシャフト211に固定された、排気カムシャフト211の伸長方向と垂直な断面が楕円形状をなす排気カム212のカムプロフィール(端的に言えば、形状)に応じてその開閉特性が規定されており、開弁時に排気ポートと気筒202内部とを連通させることが可能に構成されている。排気マニホールド213に集約された排気は、排気マニホールド213に連通する排気管214に供給される。
排気管214には、タービンハウジング215に収容される形でタービン216が設置されている。タービン216は、排気管214に導かれた排気の圧力(即ち、排気圧)により所定の回転軸を中心として回転可能に構成された、セラミック製の回転翼車である。このタービン216の回転軸は、コンプレッサハウジング217に収容される形で吸気管204に設置されたコンプレッサ218と共有されており、タービン216が排気圧により回転すると、コンプレッサ218も当該回転軸を中心として回転する構成となっている。
コンプレッサ218は、エアクリーナ219を介して外界から吸気管204に吸入される吸入空気を、その回転に伴う圧力により下流側へ圧送供給することが可能に構成された、所謂、「過給器」の一例たる圧送手段である。このコンプレッサ218による吸入空気の圧送効果により、所謂過給が実現される構成となっている。即ち、エンジン200では、タービン216とコンプレッサ218とにより、一種のターボチャージャが構成されている。尚、これ以降の説明において、タービン216及びコンプレッサ217を含む包括概念として、適宜「ターボチャージャ」なる言葉を使用することとする。
エアクリーナ219とコンプレッサ218との間には、吸入空気の質量流量を検出可能なホットワイヤ式のエアフローメータ220が設置されている。エアフローメータ220は、ECU100と電気的に接続されており、検出された吸入空気量Gaは、ECU100により一定又は不定の周期で把握される構成となっている。尚、本実施形態において、検出された吸入空気量Gaは、気筒202に吸入される吸気の量(即ち、吸気量)と一義的な関係を有しており、エンジン200の実負荷を規定する指標値として扱われる。
吸気管204において、コンプレッサ218の下流側、且つサージタンク205の上流側には、インタークーラ221が設置されている。インタークーラ221は、その内部に熱交換壁を有しており、過給された吸入空気が(無論、コンプレッサ218が実質的にみて有意に作用しない低回転領域においても同様である)通過する際に、係る熱交換壁を介した熱交換により吸入空気を冷却することが可能に構成された、所謂、「吸気冷却手段」の一例である。エンジン200では、このインタークーラ221による冷却によって吸入空気の密度を増大させることが可能となるため、コンプレッサ217を介した過給がより効率的になされ得る。
インタークーラ221とサージタンク205との間には、サージタンク205へ供給される吸入空気の量を調節可能なディーゼルスロットルバルブ222が配設されている。このディーゼルスロットルバルブ222は、ECU100と電気的に接続され且つECU100により上位に制御されるスロットルバルブモータ223から供給される駆動力により回転可能に構成された回転弁であり、ディーゼルスロットルバルブ222を境にした吸気管204の上流部分と下流部分とをほぼ遮断する全閉位置から、ほぼ全面的に連通させる全開位置まで、その回転位置が連続的に制御される構成となっている。このように、エンジン200では、ディーゼルスロットルバルブ222及びスロットルバルブモータ223により、一種の電子制御式スロットル装置が構成されている。
尚、エンジン200は、典型的には、ディーゼルエンジンであり、その出力は、ガソリン等を燃料とするエンジンにおける空燃比制御(吸気量を基準とした燃料噴射制御)と異なり、噴射量の増減制御を介してコントロールされる。従って、ディーゼルスロットルバルブ222を介して吸入される吸入空気の量には、少なくともその上限側に実質的な制限はなく、ディーゼルスロットルバルブ222は、エンジン200の動作期間の大部分の領域において、基本的に全開位置に制御される。
エンジン200の要求負荷は、不図示のアクセルペダルの操作量(即ち、ドライバによる操作量)たるアクセル開度Accに応じて決定される。アクセル開度Accは、アクセル開度センサ11により検出され、アクセル開度センサ11と電気的に接続されたECU100により一定又は不定の周期で把握される構成となっている。総体的には、アクセル開度が小さい程要求負荷は小さく、アクセル開度が大きい程要求負荷は大きくなる。要求負荷の大小とは、要求出力の大小と相関するから、エンジンシステム10において、エンジン要求出力は、アクセル開度Accに応じて変化する。
一方、連通管206の集約部分(即ち、個々の気筒202に分岐する分岐部分よりも上流側(サージタンク205側)の部分であって、下流側管路204bとの接続部分)には、単一のインパルス弁224が設けられている。インパルス弁224は、後述する弁体224Aの位置に応じて規定される開度が、下流側管路204b(一義的にサージタンク205)と連通管206との連通を遮断する全閉開度と、下流側管路204b(一義的にサージタンク205)と連通管206とをほぼ全面的に連通させる全開開度との間で連続的に変化するように構成された、本発明に係る「吸気制御弁」の一例たる電磁制御弁である。尚、インパルス弁224は、下流側管路204bに設けられていてもよい。
(インパルス弁の構成)
ここで、図2を参照し、インパルス弁224の詳細な構成について説明する。ここに、図2は、第1実施形態に係るインパルス弁224の周辺の模式的な断面図である。尚、同図において、図1と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
ここで、図2を参照し、インパルス弁224の詳細な構成について説明する。ここに、図2は、第1実施形態に係るインパルス弁224の周辺の模式的な断面図である。尚、同図において、図1と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。
図2において、インパルス弁224は、弁体224A、ハウジング224B、回転軸224C、駆動モータ224D及び駆動回路224Eを備えた弁装置として構成されている。
弁体224Aは、図示断面における面内で回転可能に構成された回転体である。
ハウジング224Bは、吸気通路204上に設けられ、内部に弁体224Aが挿入されることで典型的な弁を構成する、所謂バルブハウジングである。ハウジング224Bは、その内部において弁体224Aが図示断面における面内で回転可能に支持され、該弁体224Aが回転することによって、インパルス弁224の開度の調整が行われる。
回転軸224Cは、弁体224Aの回転中心を規定する軸体であり、駆動モータ224Dの回転軸に連結されている。
駆動モータ224Dは、三相交流型の電動機であり、その回転軸には上述した回転軸224Cが連結されている。駆動モータ224Dは、当該回転軸に連結され且つ永久磁石が付設されてなる不図示のロータが、駆動回路224Eにより駆動モータ224D内に形成される磁界の作用によって回転することにより、その回転方向に駆動力を発生する構成となっている。
駆動回路224Eは、駆動モータ224Dに形成される磁界の状態を制御することが可能に構成された電力制御回路である。駆動回路224Eは、ECU100と電気的に接続されており、ECU100によりその動作が上位に制御される構成となっている。
詳細には、駆動回路224Eは、ステータへの通電を介して駆動モータ内部に形成される磁界の状態を制御することが可能に構成された、インバータを含む電流制御回路である。駆動回路224Eは、ECU100と電気的に接続されており、ECU100によりその動作が上位に制御される構成となっている。上述した駆動モータ224Dは、DCブラシレスモータであり、その駆動電圧は、直流電圧たる駆動電圧Vdcであるが、その駆動電流は、駆動回路224E内のインバータにより生成される、u相、v相及びw相に対応する三相交流電流として制御される構成となっている。
詳細には、図2において、インパルス弁224は、吸気管204内において、図示する面内で回動可能に構成されている。尚、図示された白抜き矢線は、吸入空気の流れ方向を示している。
特に、本実施形態では、一端部分A1を有する弁体224Aが、回転軸224Cを軸として図2中の基準位置A0から回転する回転角度θ(以下、適宜、「インパルス弁の角度θ」と称す)によって、インパルス弁224における開度等の回動状態を規定する指標値の一例が構成されている。ここで、インパルス弁の角度θ=0°の場合(太破線で示されるインパルス弁の位置に相当する開度)が、全開位置OPに相当しており、インパルス弁の角度θ=90°の場合(一点砂線で示されるインパルス弁の位置に相当する開度)が、全閉位置CLに相当している。
一方、インパルス弁224の動作範囲のうち、インパルス弁の角度θが、「θth ≦θ≦ 180−θth」に相当する領域は、不感帯領域となっている。ここで、不感帯領域について説明すると、不感帯領域において、吸気管204は若干拡幅されており、インパルス弁224が回動した場合に、吸気管204の内壁部分とインパルス弁224の端部との間隙が、概略一定に維持される構成となっている。このため、不感帯領域では、インパルス弁224がどの位置にあっても、吸入空気の流れは実質的に遮断される。即ち、図中でインパルス弁224を境にして右側の領域への吸入空気の流れが遮断される構成となっている。
特に、ECU100の制御下で、駆動回路224E及び駆動モータ224Dは、弁体224Aの一端部分A1が、図2に示されたインパルス弁224の目標開度に相当する目標回転角度θtgtが示す方向を追従するように、弁体224Aを回転させる。具体的には、図2中の点線の矢印が示す弁体224Aの回転軸224Cから一端部分A1へ向かう方向が、目標回転角度θtgtが示す方向を追従するように、弁体224Aは回転される。即ち、駆動回路224Eからの電力の供給を受け、駆動モータ224D内には、駆動モータ224Dのロータを当該目標回転角度θtgtに相当する位置に回転させるための、或いは当該目標回転角度に相当する位置に保持するための磁界が形成され、当該ロータに間接的に固定された弁体224Aの一端部分A1が、目標回転角度θtgtが示す方向と殆ど又は完全に一致するようにして、目標回転角度θtgtが示す方向を追従する。尚、上述した開角の制御範囲内において、弁体224Aは、時計回り方向にも反時計回り方向にも回転可能でよい。このように、エンジン200では、ディーゼルスロットルバルブ222よりも下流側においてインパルス弁224を備えることにより、各気筒202への吸入空気の供給の有無が、インパルス弁224の開閉状態に応じて制御される構成となっている。
一般的に、上述した目標回転角度θtgtは、定常時の目標回転角度θtgtを意味し、インパルス弁224の弁体224Aが、車両の運転状態に応じて、連続的に回転が継続している回転状態の下で、定義される目標回転角度を意味する。
詳細には、本願発明者による研究によれば、弁体224Aが連続的に回転を継続している回転状態の下では、弁体224Aは運動エネルギー(例えば回転運動エネルギー)を有しているので、ECU100の制御下で、弁体224Aの回転を行うために必要な駆動モータ224D及び駆動回路224Eにおける電力消費量は、インパルス弁224の弁体224Aの回転を開始する場合と比較して小さいことが判明している。
具体的には、定常時の目標回転角度θtgtは、次の式(1)に示されるように、時間変数t、エンジン回転数Ne、及びエンジンに要求される出力トルクtrqを入力情報とする所定関数f(t,Ne,trq)に基づいて定義される回転角度を意味する。
θtgt = f(t,Ne,trq) ・・・・・ (1)
但し、t:時間変数
Ne:エンジン回転数
trq:エンジンの出力トルク 。
θtgt = f(t,Ne,trq) ・・・・・ (1)
但し、t:時間変数
Ne:エンジン回転数
trq:エンジンの出力トルク 。
図1に戻り、連通管206におけるインパルス弁224の近傍には、回転角センサ225が設置されている。回転角センサ225は、ロータの2相コイルから出力される電圧の位相が変化することを利用して回転角度を検出することが可能な、所謂、レゾルバであり、インパルス弁224の開度(即ち、一義的に弁体224Aの位置)を検出することが可能に構成されている。また、回転角センサ225は、ECU100と電気的に接続されており、検出されたインパルス弁224の開度は、ECU100により一定又は不定の周期で把握される構成となっている。尚、インパルス弁224の開度を検出する手段は、レゾルバに限定されない。
排気管214には、DPF(Diesel Particulate Filter)226が設置されている。DPF226は、エンジン200から排出されるPM(Particulate Matter:粒子状物質)を捕集可能且つ浄化可能に構成されている。また、気筒202を収容するシリンダブロック201には、水温センサ227が配設されている。シリンダブロック201内部には、気筒202を冷却するための冷却水(例えば、LLC)の流路たるウォータジャケットが張り巡らされており、当該ウォータジャケット内部において、冷却水が不図示の循環系の作用により循環供給されている。水温センサ227は、このウォータジャケット内部に検出端子の一部が露出しており、冷却水の温度を検出することが可能に構成されている。水温センサ227は、ECU100と電気的に接続されており、検出された冷却水温は、ECU100により一定又は不定の周期で把握される構成となっている。
尚、本実施形態に係るエンジンシステム10では、本発明に係る「内燃機関」の一例として、ディーゼルエンジンたるエンジン200が採用されているが、本発明に係る内燃機関とはディーゼルエンジンのみを指すものではなく、無論ガソリンエンジンや、アルコール混合燃料を使用するエンジン等であってもよい。また、説明の煩雑化を防ぐ目的から、本実施形態に係るエンジン200には、EGR装置等の排気再循環装置が装着されないが、無論好適な一形態としてエンジン200に排気再循環装置が装着されていてもよい。ここで、排気再循環装置が装着されない構成に鑑みれば、本実施形態におけるエンジン200において、各気筒202に吸気ポートを介して吸入される吸気は、吸気管204を介して導かれる吸入空気のみにより構成される。
このように、本実施形態に係るエンジンシステム10では、吸気管204(上流側管路204a及び下流側管路204bを含む)、コンプレッサ218、インタークーラ221、サージタンク205、連通管206及びインパルス弁224を含む吸気系が、所謂、内燃機関の吸気装置の一例をなしており、特に、サージタンク205の下流側に位置するインパルス弁224の下流側において連通管206が各気筒に対し分岐する、所謂一弁式のインマニレス吸気系として構成されている。但し、本発明に係る内燃機関は、例えばサージタンク205に対し相互に独立した吸気マニホールドが接続され、個々の吸気マニホールドを介して各気筒202へ吸入空気が導かれる構成を有していてもよい。この場合、複数の吸気マニホールドの一部にインパルス弁が設置されていてもよいし、各吸気マニホールドにインパルス弁が設置されていてもよい。
(動作原理)
次に、図3及び図4を参照して、本発明の第1実施形態に係る吸気制御弁の制御装置の吸気制御弁の始動時の動作原理について説明する。ここに、図3は、本発明の第1実施形態に係るインパルス弁の制御装置を統括制御するECUにおける、インパルス弁の始動時の制御処理の流れを示したフローチャートである。図4は、本発明の第1実施形態に係るインパルス弁の回転角度、角速度及び角加速度の変化をクランク角度の変化に応じて示したグラフである。図5は、第1実施形態に係るインパルス弁の定常時の目標角度の変化を時間軸上、示したグラフ(図5(a))及び第1実施形態に係るインパルス弁の始動時の目標角度の変化を時間軸上、示したグラフ(図5(b))である。尚、図3で示された制御処理は、ECU100によって、所定周期で繰り返し実行される。また、図4中の横軸は、時間の流れに沿ったクランク角度の変化を1周期、即ち、720度の範囲で示し、図4中の縦軸は、回転角度(以下、適宜、「角度」と称す)、角速度及び角加速度の大きさを、単位として、(度)、(度/秒)及び(度/秒/秒)で夫々示す。また、図4中の点線で囲まれた部分は、インパルス弁の始動時における角度、角速度及び角加速度の変化の概略を示している。
次に、図3及び図4を参照して、本発明の第1実施形態に係る吸気制御弁の制御装置の吸気制御弁の始動時の動作原理について説明する。ここに、図3は、本発明の第1実施形態に係るインパルス弁の制御装置を統括制御するECUにおける、インパルス弁の始動時の制御処理の流れを示したフローチャートである。図4は、本発明の第1実施形態に係るインパルス弁の回転角度、角速度及び角加速度の変化をクランク角度の変化に応じて示したグラフである。図5は、第1実施形態に係るインパルス弁の定常時の目標角度の変化を時間軸上、示したグラフ(図5(a))及び第1実施形態に係るインパルス弁の始動時の目標角度の変化を時間軸上、示したグラフ(図5(b))である。尚、図3で示された制御処理は、ECU100によって、所定周期で繰り返し実行される。また、図4中の横軸は、時間の流れに沿ったクランク角度の変化を1周期、即ち、720度の範囲で示し、図4中の縦軸は、回転角度(以下、適宜、「角度」と称す)、角速度及び角加速度の大きさを、単位として、(度)、(度/秒)及び(度/秒/秒)で夫々示す。また、図4中の点線で囲まれた部分は、インパルス弁の始動時における角度、角速度及び角加速度の変化の概略を示している。
図3に示されるように、先ず、ECU100の制御下で、インパルス弁224の回転(又は回動)が要求されているか否かが判定される(ステップS101)。
次に、ECU100の制御下で、全開状態で停止しているインパルス弁224の最初の回転(又は回動)であるか否かが判定される、言い換えると、全開状態で停止しているインパルス弁224の回転(又は回動)を開始するか否かが判定される(ステップS102)。即ち、ECU100は、インパルス弁224の弁体224Aの一端部分A1が、インパルス弁の角度θが「θ=0°」である全開位置OPにおいて固定された状態から、最初の回転を開始するか否かが判定される。ここで、インパルス弁224の弁体224Aの最初の回転を開始する場合(ステップS102:Yes)、ECU100の制御下で、目標回転角度が、始動時の目標回転角度θtgtstに基づいて算出される(ステップS103)。
ここに、本実施形態に係る「始動時の目標回転角度θtgtst」とは、インパルス弁224の弁体224Aの回転運動エネルギーがゼロであり、且つ、インパルス弁が全開位置OPにある状態から、インパルス弁224の回転を開始する場合において、目標となるインパルス弁の目標回転角度を意味する。
具体的には、目標回転角度が、次の式(3a)、式(3b)及び式(3c)に示される、時間変数t、所定時間Δt、エンジン回転数Ne、及びエンジンに要求される出力トルクtrqを入力情報とする所定関数である、始動時の目標回転角度θtgtstに基づいて算出される。
(t < T1 − Δt)の場合、
θtgtst =0(ゼロ) ・・・・・ (3a)
(T1 − Δt < t ≦ t’)の場合、
θtgtst =g(t,Ne,trq) ・・・・・ (3b)
(t’ < t)の場合、
θtgtst =g(t,Ne,trq) =f(t,Ne,trq)・・・(3c)
但し、t:時間変数
Ne:エンジン回転数
trq:エンジンの出力トルク
Δt:所定時間
T1:定常時に目標バルブ角が「0(全開)」となる時刻
t’:所定範囲(T1<t≦T2)に含まれる時刻
T2:定常時に目標バルブ角が「θth(閉じる:不感帯に突入)」となる時刻。
(t < T1 − Δt)の場合、
θtgtst =0(ゼロ) ・・・・・ (3a)
(T1 − Δt < t ≦ t’)の場合、
θtgtst =g(t,Ne,trq) ・・・・・ (3b)
(t’ < t)の場合、
θtgtst =g(t,Ne,trq) =f(t,Ne,trq)・・・(3c)
但し、t:時間変数
Ne:エンジン回転数
trq:エンジンの出力トルク
Δt:所定時間
T1:定常時に目標バルブ角が「0(全開)」となる時刻
t’:所定範囲(T1<t≦T2)に含まれる時刻
T2:定常時に目標バルブ角が「θth(閉じる:不感帯に突入)」となる時刻。
ここに、本実施形態に係る所定時間Δtは、インパルス弁224の駆動回路224Eに電流を印加する印加タイミングを、上述の定常時の目標回転角度θtgtと比較して、少し早めるために予め設定された時間間隔を意味する。この所定時間Δtは、実験的、理論的、経験的、又はシミュレーション等によって、インパルス弁224における実際の角度θが、所望の回転角度と一致するまでの弁体224Aの角速度の変動量をより小さくするように個別具体的に定義されてよい。
典型的には、図5(b)に示されるように、時間変数tが、条件(t < T1 − Δt)を満たす場合、始動時の目標回転角度θtgtstの値は0(ゼロ)である。そして、時間変数tが、条件(T1 − Δt < t ≦ t’)を満たす場合、始動時の目標回転角度θtgtstの値は、図5(a)に示される定常時の目標回転角度θtgtと比較して傾斜の小さい所定関数g(t,Ne,trq)で定義される。そして、時間変数tが、条件(t’ < t)を満たす場合、始動時の目標回転角度θtgtstの値は、図5(a)及び上述の式(1)によって示される定常時の目標回転角度θtgtと同じ値となるように定義される。
次に、ECU100の制御下で、駆動回路224E及び駆動モータ224Dは、インパルス弁の角度θが、算出された目標回転角度と実際に一致するように、駆動される。言い換えると、駆動回路224E及び駆動モータ224Dは、弁体224Aの一端部分A1が、算出された目標回転角度が示す方向を追従するように、駆動される(ステップS104)。
典型的には、図4に示されるように、車両の運転状態に応じて決定される、クランク角度が、例えば135度となるタイミングtime1と比較して、上述した所定時間Δtの大きさだけ早いタイミングで、駆動回路224E及び駆動モータ224Dの駆動が実際に開始され、弁体224Aの一端部分A1が、始動時の目標回転角度θtgtstが示す方向を追従するようにインパルス弁224が回転される。尚、図4中でのΔaは所定時間Δtに相当する微小なクランク角度を示す。また、この例えば135度となるタイミングtime1によって、本発明に係る「基準タイミング」の一例が構成されている。
このように、本実施形態では、インパルス弁224の駆動回路224E及び駆動モータ224Dに電流を印加する印加タイミングを、上述した定常時の目標回転角度θtgtによって規定される電流の印加タイミングと比較して、所定時間Δtだけ早くさせる。これにより、インパルス弁224の弁体224Aが回転を開始する際の、インパルス弁224における実際の回転角度が所望となる目標回転角度と一致するまでの加速時間を長く確保することができる。具体的には、インパルス弁224の弁体224Aにおける実際の回転角度である角速度の時間積分が、所望となる目標回転角度の大きさと一致するまでのインパルス弁224の弁体224Aの角速度の変動を低減させることができる。これにより、インパルス弁224の弁体224Aが回転を開始する際の駆動電力をより効率的に使用することができるので、インパルス弁224の弁体224Aが回転を開始する際の省電力化を実現可能である。これにより、駆動回路224Eにおいては、制御回路の簡素化を実現できると共に、駆動モータ224Dにおいては、コイル或いはモータ自体の小型化を図ることが出来、車両への搭載性の向上及び質量の低減を実現することができる。
仮に、上述した始動時の目標回転角度θtgtstの代わりに、上述した定常時の目標回転角度θtgtを用いて、駆動回路224E及び駆動モータ224Dを駆動した場合、インパルス弁224における実際の回転角度は、上述の定常時の目標回転角度θtgtにおける目標回転角度を追従する際に、消費電力が増大してしまうという技術的な問題点が生じる。
何故ならば、上述した常時の目標回転角度θtgtは、弁体224Aが連続的に回転を継続している回転状態の下であることを想定している、言い換えると、弁体224Aが回転運動エネルギーをある程度、有している回転状態の下で、所望となる目標回転角度を追従することを想定している。このため、インパルス弁224の弁体224Aが回転を開始する場合、弁体224Aの回転運動エネルギーがゼロであるため、駆動回路224E及び駆動モータ224Dによって発生させる弁体224Aに対する回転力だけでは、インパルス弁224の弁体224Aにおける実際の回転角度が所望となる目標回転角度と一致するために、弁体224Aの角速度を急激に上昇させなくてはならないため、駆動回路224E及び駆動モータ224Dは多大な電力を必要とするからである。
他方、上述したステップS102の判定の結果、ECU100の制御下で、全開状態で停止しているインパルス弁224の最初の回転(又は回動)でないと判定される場合(ステップS102:No)、目標回転角度が、上述の式(1)で示した定常時の目標回転角度θtgtに基づいて算出される。
また、他方、上述したステップS101の判定の結果、インパルス弁224の弁体224Aの回転が要求されていない場合(ステップS101:No)、ECU100の制御下で、インパルス弁224の弁体224Aの一端部分A1が、インパルス弁の角度θが「θ=0°」である全開位置OPにおいて固定された状態が継続される(ステップS107)。
そして、図4の上側のグラフに示されるように、本実施形態に係るインパルス弁の始動時の制御処理が終了後は、車両の運転状態に応じて、全開状態と全閉状態との間で、回転角度、角速度(又は回転角速度)、角加速度(又は回転角加速度)は変化する。具体的には、インパルス弁224の回転角度は連続的に変化する。即ち、クランク角度が180度の時に回転角度は、θth(度)であり、クランク角度が270度の時に回転角度は、「180−θth」(度)であり、・・・、クランク角度が450度の時に回転角度は、「−θth」(度)であるように連続的に変化する。また、インパルス弁224の角速度、及び、インパルス弁224の角加速度は、インパルス弁224の回転角度を実現するように、夫々変化する。
(本実施形態に係る作用と効果との検討)
次に、図6及び図7を参照して、本実施形態に係る作用と効果について検討する。ここに、図6は、本実施形態に係るインパルス弁の角度θ、インパルス弁の角速度及びインパルス弁の角加速度と、時間の流れを示すクランク角度との関係を夫々示したグラフ(図6(a)、図6(b)及び図6(c))である。図7は、比較例に係るインパルス弁の角度θ、インパルス弁の角速度及びインパルス弁の角加速度と、時間の流れを示すクランク角度との関係を夫々示したグラフ(図7(a)、図7(b)及び図7(c))である。
次に、図6及び図7を参照して、本実施形態に係る作用と効果について検討する。ここに、図6は、本実施形態に係るインパルス弁の角度θ、インパルス弁の角速度及びインパルス弁の角加速度と、時間の流れを示すクランク角度との関係を夫々示したグラフ(図6(a)、図6(b)及び図6(c))である。図7は、比較例に係るインパルス弁の角度θ、インパルス弁の角速度及びインパルス弁の角加速度と、時間の流れを示すクランク角度との関係を夫々示したグラフ(図7(a)、図7(b)及び図7(c))である。
上述したように、本実施形態では、インパルス弁224の駆動回路224E及び駆動モータ224Dに電流を印加する印加タイミングを、定常時の目標回転角度θtgtによって規定される電流の印加タイミングと比較して、所定時間Δtだけ早くさせて、所望となる目標回転角度の追従の開始を早める。
具体的には、図6(c)に示されるように、上述の式(3)中の所定時間Δtに相当するクランク角度の変化量Δθだけ、例えば135度等の所定のクランク角度から時間軸上を遡って変化したクランク角度As(即ち、「As = 135°−Δθ」)において、角加速度がインパルス弁224の弁体224Aに対して付与される。このように、所定時間Δtに相当するクランク角度の変化量Δθの分だけ、通常よりも早いタイミングで、角加速度がインパルス弁224の弁体224Aに対して付与されることにより、図6(a)に示される、インパルス弁224の弁体224Aが回転を開始する際の、インパルス弁224における実際の回転角度が所望となる目標回転角度と一致するまでの加速時間を長く確保することができる。即ち、インパルス弁224の弁体224Aに対して付与される角加速度については、加速時間を長く確保できるため、図6(c)の2点鎖線で示された比較例に係る角加速度と比較して、実際の回転角度が所望となる目標回転角度と一致するまでの角加速度を急激に上昇させる必要性を殆ど又は完全になくすことができる。
また、インパルス弁224の弁体224Aに対して付与される角速度については、図6(b)に示されるように、インパルス弁の弁体224Aの角速度を、時間が微小時間だけ経過すると共に、クランク角度が大きくなるに従って、線形的に一様に上昇させるだけで十二分に、実際の回転角度が所望となる目標回転角度と一致させることができる(図6(b)中の点Psと点P1とを結ぶ直線の正の傾きを参照)。
詳細には、インパルス弁における実際の回転角度である角速度の時間積分の大きさ(即ち、「図6(b)中の点Ps、点P1、点Pe及び点P2で囲まれた斜線部分」を参照)が、所望となる目標角速度の時間積分の大きさ(即ち、「図6(b)中の点Ps’、点P1’、点Pe及び点P2で囲まれた斜線部分」を参照)と一致するまでのインパルス弁の弁体224Aの角速度の変動を低減させることができる。
これにより、インパルス弁224の弁体224Aが回転を開始する際の駆動電力をより効率的に使用することができるので、インパルス弁224の弁体224Aが回転を開始する際の省電力化を実現可能である。これにより、駆動回路224Eにおいては、制御回路の簡素化を実現できると共に、駆動モータ224Dにおいては、コイル或いはモータ自体の小型化を図ることが出来、車両への搭載性の向上及び質量の低減を実現することができる。
仮に、比較例に係る図7(c)に示されるように、上述の式(1)で示された定常時の目標回転角度θtgtに基づいて、例えば135度等の所定のクランク角度において、インパルス弁224の弁体224Aの回転が開始された場合、インパルス弁224における実際の回転角度が所望となる目標回転角度と一致するまでの加速時間が本実施形態と比較して短くなってしまう。このため、図7(a)に示された、インパルス弁224における実際の回転角度は、上述の定常時の目標回転角度θtgtにおける目標回転角度を追従する際に、消費電力が増大してしまうという技術的な問題点が生じる。
何故ならば、上述した定常時の目標回転角度θtgtは、弁体224Aが連続的に回転を継続している回転状態の下であることを想定している、言い換えると、弁体224Aが回転運動エネルギーをある程度、有している回転状態の下で、所望となる目標回転角度を追従することを想定している。このため、インパルス弁224の弁体224Aが回転を開始する場合、弁体224Aの運動エネルギー(例えば回転運動エネルギー)がゼロであるため、駆動回路224E及び駆動モータ224Dによって、弁体224Aに対して付与される回転力だけでは、インパルス弁224の弁体224Aにおける実際の回転角度が所望となる目標回転角度と一致するために、弁体224Aの角加速度及び角速度を急激に上昇させなくてはならないため、駆動回路224E及び駆動モータ224Dは多大な電力を必要とするからである。
即ち、図7(b)に示されるように、インパルス弁224の弁体224Aの角速度は、クランク角度が大きくなるに従って、急激に上昇させる必要性が生じる(図7(b)中の点Ps’と点Pxとを結ぶ直線の急峻な正の傾きを参照)。このため、図7(c)中のプラス側の角加速度において、無駄な正の角加速度、即ち、実際の回転角度が上述した所望となる目標角度を大きく超えてしまうという、必要の無い正の加速度が生じてしまう。
このことに加えて、図7(b)に示されるように、無駄な正の角加速度に起因して急激に上昇したインパルス弁224の弁体224Aの角速度を、今度は、急激に低減させる必要性が生じてしまう(図7(b)中の点Pxと点Peとを結ぶ直線の急峻な負の傾きを参照)。このため、図7(c)中のマイナス側の角加速度において、無駄な負の角加速度、即ち、上述した所望となる目標角度を大きく超えてしまった実際の回転角度を、今度は、所望となる目標回転角度に近づかせるまで、急激に低減させるための負の加速度が生じさせる必要が生じてしまう。
詳細には、インパルス弁における実際の回転角度である角速度の時間積分の大きさ(即ち、「図7(b)中の点Ps’、点Px、点Pe及び点P2で囲まれた斜線部分」)が、所望となる目標角速度の時間積分の大きさ(即ち、「図7(b)中の点Ps’、点P1’、点Pe及び点P2で囲まれた斜線部分」)と一致するまでのインパルス弁の弁体224Aの角速度及び角加速度が、短時間に急激に変化してしまう。
このため、比較例では、実際の回転角度が所望となる目標回転角度と一致させる際に、インパルス弁224の弁体224Aの回転を開始する際の駆動電力の利用効率が顕著に低下しまう。このため、インパルス弁224の弁体224Aの回転を開始する際に、消費電力が増大してしまうという技術的な問題点が生じる。
(第2実施形態)
(インパルス弁の構成)
次に、図8及び図9を参照して、第2実施形態に係るインパルス弁224’の構成について、その作用及び効果を含めて説明する。ここに、図8は、第2実施形態に係るインパルス弁224’の周辺の模式的な断面図である。尚、同図において、上述した図1及び図2と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。また、図9は、第2実施形態に係るインパルス弁の角度θ、インパルス弁の角速度及びインパルス弁の角加速度と、時間の流れを示すクランク角度との関係を夫々示したグラフ(図9(a)、図9(b)及び図9(c))である。
(インパルス弁の構成)
次に、図8及び図9を参照して、第2実施形態に係るインパルス弁224’の構成について、その作用及び効果を含めて説明する。ここに、図8は、第2実施形態に係るインパルス弁224’の周辺の模式的な断面図である。尚、同図において、上述した図1及び図2と重複する箇所には同一の符号を付してその説明を適宜省略することとする。また、図9は、第2実施形態に係るインパルス弁の角度θ、インパルス弁の角速度及びインパルス弁の角加速度と、時間の流れを示すクランク角度との関係を夫々示したグラフ(図9(a)、図9(b)及び図9(c))である。
図8において、インパルス弁224’は、吸気管204内において、図示する面内で所定の角度範囲において、時計回り又は反時計回りに回転可能(若しくは回動可能)に構成されている。典型的には、この所定の角度範囲は、0度から90度であってよい。尚、図示された白抜き矢線は、吸入空気の流れ方向を示している。
特に、第2実施形態では、インパルス弁224’の一端部分A1を有する弁体224Aが、回転軸224Cを軸として、インパルス弁の角度θにおける所定の角度範囲において、時計回り又は反時計回りに回転可能(若しくは回動可能)に構成されている。
即ち、インパルス弁の角度θ=0°の場合(太破線で示されるインパルス弁の位置に相当する開度)が、全開位置OPに相当しており、インパルス弁の角度θ=90°の場合(一点砂線で示されるインパルス弁の位置に相当する開度)が、全閉位置CLに相当している。そして、このインパルス弁の角度θは0°から90°へ連続的に変化した後、今度は、90°から0°へ連続的に変化する。
一方、インパルス弁224’の動作範囲のうち、インパルス弁の角度θが、「θth≦ θ ≦90°」に相当する領域は、上述した第1実施形態と概ね同様な不感帯領域となっている。
尚、第2実施形態では、弁体224Aが、当該弁体224Aの中心付近に位置する回転軸224Cを軸として回転可能に構成されているが、この限りではない。即ち、弁体224Aが、当該弁体224Aの一端部(又は根元部)付近に位置する回転軸を軸として回転可能に構成され、吸気管204の流路面積を変化可能なように構成されてよい。
そして、第2実施形態では、上述した第1実施形態と概ね同様にして、インパルス弁224’の駆動回路224E及び駆動モータ224Dに電流を印加する印加タイミングを、定常時の目標回転角度θtgtによって規定される電流の印加タイミングと比較して、所定時間Δtだけ早くさせて、所望となる目標回転角度の追従の開始を早める。
具体的には、図9(c)に示されるように、上述の式(3)中の所定時間Δtに相当するクランク角度の変化量Δθだけ、例えば135度等の所定のクランク角度から時間軸を遡って変化したクランク角度As(即ち、「As = 135°−Δθ」)において、角加速度がインパルス弁224’の弁体224Aに対して付与される。このように、所定時間Δtに相当するクランク角度の変化量Δθの分だけ、通常よりも早いタイミングで、角加速度がインパルス弁224の弁体224Aに対して付与されることにより、図9(a)に示される、インパルス弁224’の弁体224Aが回転を開始する際の、インパルス弁224’における実際の回転角度が所望となる目標回転角度と一致するまでの加速時間を長く確保することができる。即ち、インパルス弁224’の弁体224Aに対して付与される角加速度については、加速時間を長く確保できるため、図9(c)の2点鎖線で示された比較例に係る角加速度と比較して、実際の回転角度が所望となる目標回転角度と一致するまでの角加速度を急激に上昇させる必要性を殆ど又は完全になくすことができる。
これにより、インパルス弁224’の弁体224Aが回転を開始する際の駆動電力をより効率的に使用することができるので、インパルス弁224’の弁体224Aが回転を開始する際の省電力化を実現可能である。これにより、駆動回路224Eにおいては、制御回路の簡素化を実現できると共に、駆動モータ224Dにおいては、コイル或いはモータ自体の小型化を図ることが出来、車両への搭載性の向上及び質量の低減を実現することができる。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う内燃機関の吸気制御装置及び方法もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
10…エンジンシステム、100…ECU、200…エンジン、202…気筒、204…吸気通路、205…サージタンク、206…連通管、207…吸気バルブ、216…タービン、218…コンプレッサ、221…インタークーラ、222…スロットルバルブ、224、224’…インパルス弁、224A…弁体、224B…ハウジング、224C…回転軸、224D…駆動モータ、224E…駆動回路。
Claims (7)
- 吸気を気筒に導くための吸気通路と、
前記吸気通路に設けられ、開閉状態に応じて前記吸気の流れの脈動を生成可能な吸気制御弁と、
前記吸気制御弁を駆動し、前記開閉状態を変化させる駆動手段と、
前記吸気制御弁の動作が停止している停止状態から前記吸気制御弁の駆動を開始する場合、前記吸気制御弁の動作加速度が発生するタイミングを、内燃機関の運転状態に応じて決定される基準タイミングより早めにさせつつ、前記吸気制御弁を駆動するように前記駆動手段を制御する制御手段と
を備えることを特徴とする内燃機関の吸気制御装置。 - 前記制御手段は、前記動作加速度が発生するタイミングを、前記基準タイミングより所定時間だけ早めにさせつつ、前記吸気制御弁を駆動するように前記駆動手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の吸気制御装置。
- 前記制御手段は、前記停止状態としての、前記吸気制御弁の運動エネルギーがゼロである状態から前記吸気制御弁の駆動を開始する場合、前記動作加速度が発生するタイミングを、前記基準タイミングより所定時間だけ早めにさせつつ、前記吸気制御弁を駆動するように前記駆動手段を制御することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の吸気制御装置。
- 前記制御手段は、前記停止状態としての、前記吸気制御弁の開度が全開であり、且つ前記吸気制御弁の動作速度がゼロである全開状態から前記吸気制御弁の駆動を開始する場合、前記動作加速度が発生するタイミングを、前記基準タイミングより早めにさせつつ、前記吸気制御弁を駆動するように前記駆動手段を制御することを特徴とする請求項1から3のうちのいずれか一項に記載の内燃機関の吸気制御装置。
- 前記吸気制御弁は、前記吸気通路に設けられた弁体を弁軸の回りに回転させることにより前記開閉状態を変化させて前記吸気の流量を変化させるバタフライ弁であり、
前記駆動手段は、前記バタフライ弁を回転駆動し、前記バタフライ弁の開度を時間軸上、変化させ、
前記制御手段は、前記バタフライ弁の開度が全開であり、且つ回転速度がゼロである前記停止状態から前記バタフライ弁の回転を開始する場合、前記バタフライ弁の回転加速度が発生するタイミングを、前記基準タイミングより早めにさせつつ、前記バタフライ弁を回転駆動するように前記駆動手段を制御することを特徴とする請求項1から4のうちのいずれか一項に記載の内燃機関の吸気制御装置。 - 前記吸気制御弁は、弁軸に回動可能に支持される弁体を、所定の角度範囲で、一の方向又は他の方向に回転させることにより前記開閉状態を変化させて前記吸気の流量を変化させるインパルス弁であり、
前記駆動手段は、前記インパルス弁を回転駆動し、前記インパルス弁の開度を時間軸上、変化させ、
前記制御手段は、前記インパルス弁の開度が全開であり、且つ回転速度がゼロである前記停止状態から前記インパルス弁の回転を開始する場合、前記インパルス弁の回転加速度が発生するタイミングを、前記基準タイミングより早めにさせつつ、前記インパルス弁を回転駆動させるように前記駆動手段を制御することを特徴とする請求項1から4のうちのいずれか一項に記載の内燃機関の吸気制御装置。 - 吸気を気筒に導くための吸気通路と、前記吸気通路に設けられ、開閉状態に応じて前記吸気の流れの脈動を生成可能な吸気制御弁と、前記吸気制御弁を駆動し、前記開閉状態を変化させる駆動手段とを備えた内燃機関の吸気制御装置における内燃機関の吸気制御方法であって、
前記吸気制御弁の動作が停止している停止状態から前記吸気制御弁の駆動を開始する場合、前記吸気制御弁の動作加速度が発生するタイミングを、内燃機関の運転状態に応じて決定される基準タイミングより早めにさせつつ、前記吸気制御弁を駆動するように前記駆動手段を制御する制御工程と
を備えることを特徴とする内燃機関の吸気制御方法。
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