JP2010127228A - 排気浄化装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】排気浄化装置において、NOx及びスモークの排出を抑制し且つ触媒通過後の排気を好適に浄化させると共に動力性能を担保し得る。
【解決手段】排気浄化装置は、モータ(400)から該モータの正回転を伴う駆動力が供給されることにより吸入空気を過給可能に構成されたモータ駆動過給器(217)を含む、内燃機関の吸気系に相互に直列に配置された複数の吸気過給器と、排気系を流れる排気の一部をEGRガスとして吸気系に供給可能なEGR通路(302)と、EGR通路又は排気系においてモータ駆動過給器と一軸配置され、モータからモータの正回転及び逆回転を伴う駆動力が供給されることによりEGRガスを夫々過給及び排気可能なEGR過給器(307)と、モータからモータ駆動過給器への、モータの逆回転を伴う駆動力の伝達を遮断可能な遮断手段(403)とを具備する。
【選択図】図1
【解決手段】排気浄化装置は、モータ(400)から該モータの正回転を伴う駆動力が供給されることにより吸入空気を過給可能に構成されたモータ駆動過給器(217)を含む、内燃機関の吸気系に相互に直列に配置された複数の吸気過給器と、排気系を流れる排気の一部をEGRガスとして吸気系に供給可能なEGR通路(302)と、EGR通路又は排気系においてモータ駆動過給器と一軸配置され、モータからモータの正回転及び逆回転を伴う駆動力が供給されることによりEGRガスを夫々過給及び排気可能なEGR過給器(307)と、モータからモータ駆動過給器への、モータの逆回転を伴う駆動力の伝達を遮断可能な遮断手段(403)とを具備する。
【選択図】図1
Description
本発明は、内燃機関から排出される排気を浄化可能な排気浄化装置の技術分野に関する。
この種の装置として、EGRガスを昇圧して吸気通路に還流するEGRガスコンプレッサを備えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示された過給式エンジンのEGR装置(以下、「従来の技術」と称する)によれば、EGRガスコンプレッサと排気通路タービンとがクラッチを介して継脱自在に連結されるため、気筒への吸気量を十分に確保することによりスモークの発生や燃料消費の悪化を防止しながら、効率良くEGRを行うことが可能となり、エンジンの全運転領域で排気ガス中のNOxの排出量を低減することが可能になるとされている。
尚、EGR手段とスーパーチャージャとを有する構成において還流排気ガスが該スーパーチャージャへ侵入することを防止する技術も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
また、排気浄化用触媒が必要とする燃料添加が実行された場合に、流路切り替え手段によりEGRクーラをバイパスするバイパスラインを選択することによってEGRクーラの冷却性能の低下を防止するものも提案されている(例えば、特許文献3参照)。
また、排気マニホールドとコンプレッサ吸入口の上流側とをEGR通路で接続することにより排気ガス及び吸気の逆流を防ぐ技術も開示されている(例えば、特許文献4参照)。
更に、エキゾーストマニホールドを分割し、その一部にEGR通路を形成する技術も提案されている(例えば、特許文献5参照)。
更には、実際の還流排気量が目標還流排気量よりも少ない場合に駆動される機械式過給機を設けた排気還流装置も提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
上記従来の技術によれば、大量EGRによりNOx排出量の低減が図られるものの、その背反として、吸入空気量が低下することによりスモーク排出量が増加し易い。一方、そのような問題に対処すべく、新気量の確保を目的として、複数の過給器を相互に直列に配置することが周知である。
ところが、複数の吸気過給器を相互に直列に配置する場合、排気域では同時に複数のタービンが仕事をするために、単一の過給器を採用する場合と較べて排気温度の低下を招く。このため、これら過給器の下流側に配置され得る触媒では、その温度上昇が妨げられ、排気の浄化効率自体が低下してしまう。即ち、従来の技術には、NOx及びスモークの排出量の低減を、排気の浄化に十分に貢献させ難いという技術的な問題点がある。
更に、EGRガスコンプレッサ等により比較的大量のEGRガスを吸気系に供給可能に構成された内燃機関においては、例えば要求出力が高まる等して燃料噴射量を増大させる必要が生じた場合に、吸気系に残留するEGRガスのために新気の供給が遅滞し、一時的にせよスモークの排出量が増加してエミッションの悪化が生じ易い。実践的にみれば、そのようなエミッションの悪化は回避せざるを得ないから、この場合、結局EGRガスが吸気系から十分に排除されるまで燃料噴射量の増量を待機させるよりなく、結果的に内燃機関の出力上昇が妨げられ、車両の動力性能が低下してしまう。即ち、従来の技術には、大量のEGRを可能とすることと引き換えに動力性能の低下が顕在化しかねないという技術的な問題点もある。
本発明は、上述した問題点に鑑みてなされたものであり、NOx及びスモークの排出を抑制し且つ触媒通過後の排気を好適に浄化させると共に動力性能を担保し得る排気浄化装置を提供することを課題とする。
上述した課題を解決するため、本発明の排気浄化装置は、モータから該モータの正回転を伴う駆動力が供給されることにより吸入空気を過給可能に構成されたモータ駆動過給器を含む、内燃機関の吸気系に相互に直列に配置された複数の吸気過給器と、前記内燃機関の排気系から分岐し、該排気系を流れる排気の一部をEGRガスとして前記吸気系に供給可能なEGR通路と、前記EGR通路又は前記排気系において前記モータ駆動過給器と一軸配置され、前記モータから前記モータの正回転及び逆回転を伴う駆動力が供給されることにより夫々前記EGRガスを過給及び排気可能なEGR過給器と、前記モータ駆動過給器と前記モータとの間に設けられ、前記モータから前記モータ駆動過給器への、前記モータの逆回転を伴う駆動力の伝達を遮断可能な遮断手段とを具備する。
本発明に係る内燃機関は、一又は複数の気筒を有し、当該気筒の各々における燃焼室において、例えばガソリン、軽油或いは各種アルコール等の燃料が、或いは当該燃料と吸入空気との混合体である混合気が燃焼した際に発生する力を、例えばピストン、コネクティングロッド及びクランクシャフト等の機械的な伝達経路を経る等して、動力として取り出すことが可能に構成された機関を包括する概念であり、例えば2サイクル或いは4サイクルレシプロエンジン等を意味する。
本発明に係る排気浄化装置によれば、各々が相互に直列に配置された複数の吸気過給器によって、例えば吸気通路や吸気マニホールド等を含み得る吸気系を介して内燃機関に新気が供給される。このため、例えば単一の吸気過給器により過給を行う場合と較べて、比較的高い過給圧を得ることが可能である。尚、本発明に係る「吸気過給器」とは、外界から吸入される空気たる吸入空気の圧力を大気圧以上に高めた状態で供給する(即ち、過給する)ことが可能な装置であって、例えば、好適な一形態として、少なくとも一部が排気エネルギー(端的には排気圧)を利用した(即ち、排気圧に応じたタービンの回転駆動力の少なくとも一部をコンプレッサの回転駆動力として利用した)、所謂ターボチャージャー等として構成され得る。
一方、燃焼室から排出され排気系を介して外界に導かれる排気は、排気系に適宜の設置態様を伴って設置され得る触媒装置等により浄化される。この触媒装置は、好適には触媒活性温度以上の温度領域において好適な排気浄化効果を発揮し得るが、その昇温には専ら排気の熱エネルギが利用される。即ち、燃焼室から排出される高温の排気が触媒装置を通過する過程で生じる熱交換等により、この排気の熱エネルギを触媒装置に供給し、触媒装置の昇温を促すといった構図である。
ところが、排気浄化装置を構成する複数の吸気過給器の各々が、排気圧によりタービンを駆動する所謂ターボチャージャー等として構成される場合、吸気過給器の数量に応じて排気圧は低下する。従って、好適にはこれら複数のタービンの下流側に位置する触媒装置(一部のタービンに対し上流側に位置していてもよいが、その場合、タービンが十分に駆動され難くなり、過給器本来の過給動作に支障をきたす可能性がある)では、排気圧の低下に伴い単位時間当たりに供給される熱負荷が減少して、その昇温が阻害されることとなる。その結果、排気の浄化効率が低下して、折角燃焼室から排出される排気(所謂、エンジン出ガス)のスモーク量或いはNOx量が低減されているにもかかわらず、触媒装置下流側のガス(所謂、触媒出ガス)の浄化が必ずしも好適に進行しない、といった問題が生じ得る。
そこで、本発明の排気浄化装置は、複数の吸気過給器の少なくとも一部としてモータ駆動過給器を備える構成となっている。本発明に係る「モータ駆動過給器」とは、例えば車載用バッテリ等の蓄電手段を電力供給源とするモータから、例えばモータ出力軸等の回転軸及び当該回転軸と直接的に、間接的に又は物理的、機械的、電気的若しくは磁気的な各種の条件が満たされた場合に限定的に連結される回転軸等を適宜介する等してモータの正回転を伴う駆動力が供給されることにより、吸入空気を過給可能に構成された装置であり、好適な一形態としては、例えば回転軸の回転により入り口側ガスを圧縮して出口側へ導くコンプレッサ等の流体圧縮手段である。尚、本発明における「正回転」とは、あくまでモータの一回転方向を表すに過ぎず、必ずしもモータの仕様等において規定された回転方向である必要はない。
このモータ駆動過給器が吸入空気の過給を行うにあたっては、排気圧(あるいは排気温)の低下が生じることはないから、本発明に係る排気浄化装置においては、複数の吸気過給器により望ましい過給効果を得るに際して、触媒装置に供給される熱負荷の低下を抑制することが可能となる。従って、複数の吸気過給器全てを排気駆動する場合と較べて明らかに触媒装置の昇温が促進され、触媒装置での排気浄化効率の低下が抑制される。即ち、NOx及びスモークの排出を抑制し且つ触媒通過後の排気を好適に浄化させることが可能となるのである。
一方、本発明に係る排気浄化装置は、例えば排気ポート、排気マニホールド及び排気通路等を含み得る内燃機関の排気系から分岐し、当該排気系を流れる排気の一部をEGRガスとして吸気系に供給可能なEGR通路を更に備えている。
例えば、このEGR通路は、内燃機関の吸気系に、直接若しくは間接的に、又はEGRバルブ等、EGRガスの流量(即ち、還流する排気の量であり、以下、適宜「EGR量」等と略称する)を制御可能な弁装置等の状態に応じて限定的に連通する構成となっており、EGR通路に導かれる、上記排気系に排出される排気の一部が、不活性のCO2を比較的大量に含むEGRガスとして吸気系に還流される構成となっている。当該EGRガスが、吸気系に供給される吸入空気と混合され気筒内に吸入される吸気を形成することによって、例えばNOx等の発生が少なくとも幾らかなり抑制される。
ところで、先述したように複数の吸気過給器により比較的高い過給圧が実現され得る点に鑑みれば、EGR通路と排気系との分岐位置(例えば、排気マニホールドの一部)における排気圧(所謂、エンジン背圧である)と、EGR通路と吸気系との合流位置(例えば、吸気マニホールドの一部)における吸気圧との圧力偏差は小さくなり易い。このため、この圧力偏差を利用してEGRガスを吸気系に押し込む構成では、場合によっては十分なEGRガスを吸気系に還流させ難いといった事態が生じ得る。
そこで、このEGR通路或いは内燃機関の排気系には、EGR過給器が備わっている。このEGR過給器は、モータから、例えば先述したモータ出力軸等の回転軸及び当該回転軸と直接的に、間接的に又は物理的、機械的、電気的若しくは磁気的な各種の条件が満たされた場合に限定的に連結される回転軸等を適宜介する等して、モータの正回転を伴う駆動力が供給されることにより、EGRガスを過給することが可能に構成された装置であり、好適な一形態としては、例えば回転軸の回転により入り口側ガスを圧縮して出口側へ導くコンプレッサ等の流体圧縮手段である。このEGR過給器によりEGRガスが過給されることによって、上記圧力偏差が比較的小さいとしても、実践上十分な量のEGRガスを吸気系に供給することが可能となり得る。このように複数の吸気過給器とEGR過給器とを有する本発明に係る排気浄化装置の構成によれば、スモーク及びNOx各々の発生量を同時に低減し得る。
ここで、このEGR過給器は、先述したモータ駆動過給器と一軸配置される。ここで、「一軸配置」とは、実質的にその回転軸が共有されることを意味する。従って、EGR過給器とモータ駆動過給器とは、モータの回転に伴って同期回転可能或いは一体回転可能であるが、「実質的に」とあるように、EGR過給器、モータ駆動過給器及びモータ相互間の厳密な連結態様については何ら限定されない趣旨である。例えば、モータ出力軸が両者の回転軸を兼用していてもよいし、モータ出力軸が一方の回転軸を兼用し且つ他方の回転軸と各種の態様の下に(直接的、間接的又は限定的の別を問わない)連結されていてもよいし、或いは両者が個々に回転軸を有し且つ夫々モータ出力軸に各種の態様の下に連結されていてもよい。
補足すれば、モータとEGR過給器との間には、例えば電磁クラッチ、機械クラッチ或いは流体クラッチ等の各種係合手段が介装され、モータとEGR過給器とが選択的に連結し得る構成とされていてもよい。この場合、EGRガスの過給を伴うことなく吸入空気の過給のみを行うことも可能となるため、例えば、高速高負荷時等、比較的大量の新気を必要とする場合において効果的である。
一方、EGR過給器を駆動するモータは、例えば実質的に回転方向が一義的に規定される排気駆動型のガスタービン等と異なり、正逆いずれの回転方向に回転することも可能であり、EGR過給器は、モータから当該モータの逆回転を伴う駆動力が供給された場合には、吸気系から、吸気系に供給されたEGRガスを排気する(吸気系からEGRガスを吸引する)ことが可能に構成される。このようなEGR過給器によるEGRガスの排気作用は、EGR過給器の駆動力源がモータであることによって実現されるものである。
本発明に係る排気浄化装置によれば、このようなEGRガスの排気(言うなれば、吸気系の掃気)が可能であるため、例えば、車両の運転条件等によりEGRガスの供給が不要となった場合、或いはEGRガスの減量が必要とされた場合等において、吸気系からEGRガスを迅速に排出することが可能となる。吸気系からEGRガスを迅速に排出することができれば、例えば、急加速時等、燃料噴射量の増量が要求される場合等において、増量後の燃料噴射量に対応する十分な新気量を確保するのに要する時間を短縮することが可能となり、車両の動力性能(主として、過渡応答速度)を顕著に向上させることが可能となる。
ここで特に、EGR過給器は、先に述べたようにモータ駆動過給器と一軸配置されているから、EGR過給器にモータの逆回転を伴う駆動力が供給された場合、何らの対策も講じられることがなければ、モータ駆動過給器にもまた、モータの逆回転を伴う駆動力が供給され、EGR過給器と同様、モータの逆回転時に吸気系から折角過給した吸入空気を排出するといった事態が生じ得る。
ところが、このような吸入空気の排出は、気筒内に吸入される新気量の大幅な減少を招くため、EGR過給器により吸気系からEGRガスを好適に排出せしめたところで、スモークの発生限界に律束される形で燃料噴射量を増量することが困難となる。
このような問題を解決すべく、本発明に係る排気浄化装置には、好適な一形態として例えばワンウェイクラッチ、電磁クラッチ、又は機械クラッチ等の形態を採り得る遮断手段が備わっている。遮断手段は、モータ駆動過給器とモータとの間に設けられ、如何なる物理的、機械的、電気的又は磁気的構成を採るにせよ、モータからモータ駆動過給器への、モータの逆回転を伴う駆動力の伝達を遮断することが可能に構成される。
このため、本発明に係る排気浄化装置によれば、吸気系から迅速にEGRガスを排出すべき各種の条件下においてモータを逆回転させる等の措置を講じることによって、遮断手段の作用によりモータ駆動過給器にモータの逆回転を伴う駆動力が供給される事態を回避しつつEGR過給器を逆回転(尚、「逆回転」とは、過給時を正回転とした場合にその逆方向への回転であることを意味するに過ぎない)させることによる吸気系の掃気を実現し、燃料噴射量の増量要求に対し迅速に燃料噴射量を増量させることが可能となる。即ち、NOx及びスモークの排出を抑制し且つ触媒通過後の排気を好適に浄化させ得ると共に、加速性能の低下を抑制することが可能となるのである。
本発明に係る排気浄化装置の一態様では、前記EGRガスの供給量を減少させる場合に、前記EGR過給器に対し前記モータの逆回転を伴う駆動力が供給されるように前記モータを制御する制御手段を更に具備する。
この態様によれば、例えばECU(Electronic Control Unit:電子制御ユニット)等の各種処理ユニット、各種コントローラ或いはマイコン装置等各種コンピュータシステム等の形態を採り得る制御手段により、例えば各種のスイッチング回路、PWM制御回路或いはインバータ回路等を適宜に含み得る然るべき駆動系或いは駆動部材の制御等を介して、EGRガスの供給量を減少させる場合において、モータの逆回転を伴う駆動力がEGR過給器に供給される。即ち、モータが逆回転せしめられる。このため、本発明に係る実践上の利益が確実に享受される。
尚、「EGRガスの供給量を減少させる場合」とは、目標とするEGR率(気筒内に吸入される吸気の全量に対するEGR量の比率)が減少するといった意味の他に、好適な一形態として、加速要求時等EGRガスの供給を停止すべき場合を含む趣旨であり、車両の運転条件、例えば、車速、機関回転速度或いはアクセル開度等に基づいて適宜に判断される性質のものであってよい。
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施形態から明らかにされる。
<発明の実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の好適な各種実施形態について説明する。
以下、図面を参照して、本発明の好適な各種実施形態について説明する。
<実施形態の構成>
始めに、図1を参照して、本発明の実施形態に係るエンジンシステム10の構成について説明する。ここに、図1は、エンジンシステム10の構成を概念的に表してなる概略構成図である。
始めに、図1を参照して、本発明の実施形態に係るエンジンシステム10の構成について説明する。ここに、図1は、エンジンシステム10の構成を概念的に表してなる概略構成図である。
図1において、エンジンシステム10は、図示せぬ車両に搭載され、ECU100、エンジン200、EGR装置300及びモータ400を備える。
ECU100は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等を備え、エンジン200の動作全体を制御することが可能に構成された電子制御ユニットである。ECU100は、ROMに格納される制御プログラムに従って、後述する排気浄化制御を実行することが可能に構成されている。
エンジン200は、軽油を燃料とする、本発明に係る「内燃機関」の一例たる直列4気筒ディーゼルエンジンである。エンジン200の概略について説明すると、エンジン200は、シリンダブロック201に4本の気筒202が並列配置された構成を有している。そして、各気筒内において燃料を含む混合気が圧縮自着火した際に生じる熱エネルギが、不図示のピストンの往復運動を生じさせ、更にコネクティングロッドを介してピストンに連結されるクランクシャフト(いずれも不図示)の回転運動に変換される構成となっている。以下に、エンジン200の要部構成を、その動作の一部と共に説明する。
尚、本実施形態に係るエンジン200は、気筒202が図1において紙面と垂直な方向に4本並列してなる直列4気筒ディーゼルエンジンであるが、個々の気筒202の構成は相互に等しいため、ここでは一の気筒202についてのみ説明することとする。
気筒202内における混合気の燃焼に際し、外部から吸入された空気たる吸入空気は、各気筒について共通に設置された吸気マニホールド203に導かれた後、各気筒について独立に設けられた吸気ポート(不図示)に導かれ、吸気ポートと気筒内部とを連通可能に構成された不図示の吸気バルブの開弁時に気筒202内に吸入される。気筒202内には、筒内直噴型のインジェクタ204から燃料たる軽油が噴射される構成となっており、噴射された燃料が各気筒内部で、気筒内に吸入されたガス(以下、「吸気」と略称する)と混合され、上述した混合気となる。
エンジン200において、燃料は、不図示の燃料タンクに貯留されている。この燃料タンクに貯留される燃料は、不図示のフィードポンプの作用により燃料タンクから汲み出され、不図示の低圧配管を介して高圧ポンプ(不図示)に圧送される構成となっている。高圧ポンプは、コモンレール205に対し、燃料を供給することが可能に構成されている。尚、高圧ポンプは、公知の各種態様を採り得、ここでは、その詳細については省略することとする。
コモンレール205は、ECU100と電気的に接続され、上流側(即ち、高圧ポンプ側)から供給される高圧燃料をECU100により設定される目標レール圧まで蓄積することが可能に構成された、高圧貯留手段である。尚、コモンレール205には、レール圧を検出することが可能なレール圧センサ及びレール圧が上限値を超えないように蓄積される燃料量を制限するプレッシャリミッタ等が配設されるが、ここではその図示を省略することとする。前述したインジェクタ204は、気筒202毎に搭載されており、夫々が高圧デリバリ206を介してコモンレール205に接続されている。
ここで、インジェクタ204の構成について補足すると、インジェクタ204は、ECU100から供給される指令に基づいて作動する電磁弁と、この電磁弁への通電時に燃料を噴射するノズル(いずれも不図示)とを備える。当該電磁弁は、コモンレール205の高圧燃料が印加される圧力室と、当該圧力室に接続された低圧側の低圧通路との間の連通状態を制御することが可能に構成されており、通電時に当該加圧室と低圧通路とを連通させると共に、通電停止時に当該加圧室と低圧通路とを相互に遮断する。
一方、ノズルは、噴孔を開閉するニードルを内蔵し、圧力室の燃料圧力がニードルを閉弁方向(噴孔を閉じる方向)に付勢している。従って、電磁弁への通電により加圧室と低圧通路とが連通し、圧力室の燃料圧力が低下すると、ニードルがノズル内を上昇して開弁する(噴孔を開く)ことにより、コモンレール205より供給された高圧燃料を噴孔より噴射することが可能に構成される。また、電磁弁への通電停止により加圧室と低圧通路とが相互に遮断されて圧力室の燃料圧力が上昇すると、ニードルがノズル内を下降して閉弁することにより、噴射が終了する構成となっている。
尚、燃料は、個々の気筒202において、インジェクタ204を介し、目標噴射量に相当する燃料が、燃焼室内の急激な温度上昇を防止するための少量のパイロット噴射と、目標噴射量とパイロット噴射量との差分に相当するメイン噴射とに分割して噴射される構成となっている。
上述した混合気は、圧縮工程において自着火して燃焼し、燃焼済みガスとして、或いは一部未燃の混合気として、吸気バルブの開閉に連動して開閉する排気バルブ(不図示)の開弁時に排気ポート(不図示)を介して排気マニホールド207に導かれる構成となっている。この排気マニホールド207は、排気通路208に連通しており、排気の大部分は、この排気通路208に導かれる構成となっている。
一方、排気通路208には、LP(Low Pressure:低圧)側タービンハウジング209に収容される形でLP側タービン210が設置されている。LP側タービン210は、排気通路208に導かれた排気の圧力により所定の回転軸を中心として回転可能に構成されている。このLP側タービン210の回転軸は、LP側コンプレッサハウジング211に収容される形で吸気通路213に設置されたLP側コンプレッサ212と共有されており、LP側タービン210が排圧により回転すると、LP側コンプレッサ212も当該回転軸を中心として回転する構成となっている。尚、吸気通路213は、吸気マニホールド203と共に本発明に係る「吸気系」の一例を構成している。LP側コンプレッサ212は、図示せぬクリーナを介して外界から吸気通路213に導かれた吸入空気を、その回転に伴う圧力により吸気マニホールド203に圧送する(即ち、過給する)ことが可能に構成された、本発明に係る「吸気過給器」の一例である。
尚、LP側タービン210には、ノズルベーンの開度に応じてLP側タービン210を駆動する排気圧を調整可能なVN(Variable Nozzle:可変ノズル)214が設けられている。
一方、吸気通路213においてLP側コンプレッサ212の下流側の分岐位置から分岐するHP(High Pressure:高圧)側吸気通路215(尚、HP側吸気通路215もまた、本発明に係る「吸気系」の一例である)には、HP側コンプレッサハウジング216に収容される形でHP側コンプレッサ217が設置されている。HP側コンプレッサ217は、HP側吸気通路215に導かれた吸入空気(即ち、LP側コンプレッサ212により過給された吸入空気)を更に過給することが可能に構成された、本発明に係る「吸気過給器」の他の一例であり、LP側コンプレッサ212と相互に直列に配置されている。尚、HP側コンプレッサ217により過給された吸入空気は、HP側吸気通路215の一部であるHP側コンプレッサ出口部218を介し、分岐位置下流側において再び吸気通路213に戻される構成となっている。このように、本実施形態に係るエンジン200では、LP側コンプレッサ212とHP側コンプレッサ217とにより、所謂2段過給がなされ得る構成となっている。
HP側コンプレッサ出口部218と、LP側コンプレッサ212の出口であるLP側コンプレッサ出口部219(吸気通路213の一部であって、前述した分岐位置よりも下流側に設定される)とは、吸気切替弁220を介して接続されている。吸気切替弁220は、開度が全開開度と全閉開度の間で二値的に可変な弁体を備え、当該開度に応じて吸入空気の供給経路を切り替えることが可能に構成された、電磁開閉弁である。吸気切替弁220は、ECU100と電気的に接続されており、その開度は、然るべき駆動系を介してECU100により上位に制御される構成となっている。
補足すると、この吸気切替弁220により、LP側コンプレッサ出口部219とHP側コンプレッサ出口部218との連通が遮断された状態(即ち、全閉開度に相当する状態)においては、LP側コンプレッサ212により過給された吸入空気は、その全量がHP側コンプレッサ217に供給される。また、この吸気切替弁220により、LP側コンプレッサ出口部219とHP側コンプレッサ出口部218とが連通せしめられた状態(即ち、全開開度に相当する状態)においては、後述するようにHP側コンプレッサ217が停止されることにより、LP側コンプレッサ212により過給された吸入空気は、HP側コンプレッサ217に殆ど供給されることなく(即ち、より流路抵抗の低いLP側コンプレッサ出口部219を通過して)下流側の吸気マニホールド203へ供給される。尚、吸気切替弁220は、その開度が連続的に可変な構造を有していてもよい。
モータ400は、不図示のバッテリから供給される電力により正回転方向及び逆回転方向に夫々駆動可能に構成されてなる、本発明に係る「モータ」の一例たるDCブラシレスモータである。モータ400のロータを貫通するモータ出力軸たるモータ軸401の一端部は、先に述べたHP側コンプレッサ217の回転軸に後述するワンウェイクラッチ403を介して接続されている。このため、モータ軸401の回転速度に応じて、HP側コンプレッサ217の回転速度も変化し、HP側コンプレッサ217の過給圧が変化する。即ち、HP側コンプレッサ217は、本発明に係る「モータ駆動過給器」の一例である。
モータ400は、不図示の駆動系がECU100と電気的に接続されており、その駆動状態がECU100により制御される構成となっている。即ち、HP側コンプレッサ217の過給状態は、ECU100により適宜調整可能となっている。尚、HP側コンプレッサ217は、モータ400が正回転した場合に、吸入空気の過給を行ない得るように設置されている。尚、本実施形態においては、HP側コンプレッサ217が、モータ400が正回転するのに伴って、吸入空気の過給がなされる方向へ回転している状態を、「HP側コンプレッサ217の正回転状態」と定義する。即ち、HP側コンプレッサ217の正回転方向は、モータ400の正回転方向に対応している。
吸気通路213には、吸入空気の量を調節可能なディーゼルスロットルバルブ221が配設されている。このディーゼルスロットルバルブ221は、ECU100と電気的に接続され且つECU100により上位に制御されるスロットルバルブモータ222から供給される駆動力により回転可能に構成された回転弁であり、ディーゼルスロットルバルブ221を境にした吸気通路213の上流部分と下流部分とをほぼ遮断する全閉位置から、ほぼ全面的に連通させる全開位置まで、その回転位置が連続的に制御される構成となっている。尚、エンジン200は、ディーゼルエンジンであり、その出力は、ガソリン等を燃料とするエンジンにおける空燃比制御(吸入空気量制御)と異なり、噴射量の増減制御を介してコントロールされる。従って、ディーゼルスロットルバルブ221は、エンジン200の動作期間において、基本的に全開位置(図示するディーゼルスロットルバルブ221の位置が全開位置に相当する)に制御される。尚、吸気通路213には、過給された吸入空気を冷却することが可能なインタークーラ(図示「I/C」)223が設置されている。
また、吸気通路213には、インマニ圧力センサ224が設置されている。インマニ圧力センサ224は、吸気マニホールド203における吸気の圧力たるインマニ圧Pb(エンジン200全体としての過給圧と実質的に等価である)を検出することが可能に構成されたセンサである。インマニ圧力センサ224は、ECU100と電気的に接続されており、検出されたインマニ圧Pbは、ECU100により一定又は不定のタイミングで参照される構成となっている。
また、排気マニホールド207には、エキマニ圧力センサ225が設置されている。エキマニ圧力センサ225は、排気マニホールド207における排気の圧力たるエキマニ圧P4(所謂エンジン背圧である)を検出することが可能に構成されたセンサである。エキマニ圧力センサ225は、ECU100と電気的に接続されており、検出されたエキマニ圧P4は、ECU100により一定又は不定のタイミングで参照される構成となっている。
尚、排気通路208には、不図示のDPF(Diesel Particulate Filter)を含む触媒システムが設置されている。このDPFは、エンジン200から排出されるPMを捕集可能且つ浄化可能に構成された、所謂セラミックウォールフロー型のフィルタであり、担体表面に形成された無数の細孔部にPMを捕捉すると共に、所定の再生処理において、捕捉したPMを酸化燃焼させることにより排気の浄化を可能としている。補足すると、この触媒システムにおいて、このDPFの前段には、酸化触媒が設置されており、排気中のNOは、この酸化触媒により一旦酸化力の良好なNO2に酸化され、DPFにおけるPMの再生が促される構成となっている。また、この触媒システムには、例えばNSR(Nox Strage Reduction:NOx吸蔵還元)触媒等、他の触媒装置が備わっていてもよい。
また、気筒202を収容するシリンダブロック201における、気筒202の外周部位には、LLC等の冷却水を循環供給するためのウォータジャケット(不図示)が設けられており、気筒202を含むエンジン200全体を冷却可能に構成されている。
また、エンジンシステム10において、ECU100には、図示する以外にも、エンジン200の、或いはエンジン200が搭載される車両の運転条件を規定する各種の指標値が、各指標値について設置された各種のセンサ(不図示)を介して電気的に入力される構成となっている。例えば、ECU100は、エンジン200の機関回転速度NEをNEセンサから、またアクセルペダルの開度(即ち、アクセル開度)をアクセルポジションセンサから取得することが可能に構成されている。
尚、本実施形態において、エンジン200はディーゼルエンジンとして構成されるが、本発明に係る内燃機関は、ガソリン或いはアルコールを燃料とするエンジンにも同様に適用可能である。更には、気筒配列も多種多様であってよい。
次に、EGR装置300について説明する。EGR装置300は、EGR導入通路301、EGR通路302、EGRクーラ303、EGRクーラバイパス弁304、EGRバルブ305、EGRコンプレッサハウジング306、EGRコンプレッサ307、第1切替弁308、第2切替弁309、EGRコンプレッサ出口圧力センサ310、第1通路311及び第2通路312を備え、排気の一部をEGRガスとして吸気マニホールド203に循環させることが可能に構成されている。
EGR導入通路301は、排気通路208と第1通路311とを連通させる管状部材であり、LP側タービンハウジング209よりも上流側において排気通路208から分岐する構成となっている。また、EGR導入通路301における排気通路208と反対側の端部は、EGRコンプレッサハウジング306に接続されており、EGR導入通路301は、その内部においてEGRコンプレッサハウジング306と連通する構成となっている。
第1通路311は、一端部がEGRコンプレッサハウジング306に接続され、他端部がEGR通路302に接続された、中空且つ金属製の管状部材である。尚、第1通路311とEGR通路302とは相互に一体に形成されていてもよいし、溶接されていてもよいし、或いは然るべき連結部材(例えば、フランジ、ガスケット或いはカプラ等)により気密を保って連結されていてもよい。
EGR通路302は、一端部が第1通路311に接続され、他端部が吸気マニホールド203の上流側にある接続位置において吸気通路213に接続され、EGR導入通路301、第1通路311及び第2通路312と共に本発明に係る「EGR通路」の一例を構成する中空且つ金属製の管状部材である。
EGRクーラ303は、EGR通路302に設けられたEGRガスの冷却装置である。EGRクーラ303は、外周部にエンジン200の冷却水配管が張り巡らされた構成を有し、EGR通路302に導かれEGRクーラ303を通過するEGRガスは、この冷却水との熱交換により冷却され、下流側(即ち、吸気通路213側)へ導かれる構成となっている。EGRクーラ303には、夫々が上述したウォータジャケットに連通するインレットパイプ及びアウトレットパイプ(いずれも不図示)が接続されており、冷却水は、当該インレットパイプから当該冷却水配管に流入し、当該アウトレットパイプを介して当該冷却水配管の外に排出される。排出された冷却水は、エンジン200の冷却水循環系に還流され、所定の経路を経て再びインレットパイプから供給される。
EGR通路302には、EGRクーラ303の上流側及び下流側を連通させるバイパス通路(符合省略)が形成されている。EGRガスが、このバイパス通路に導かれた場合、EGRガスは、このバイパス通路によりバイパスされるEGR通路302の被バイパス区間に設置されたEGRクーラ303を通過することなく吸気系に還流する構成となっている。
EGRクーラバイパス弁304は、EGR通路302において、EGRクーラ303の上流側(即ち、排気マニホールド側)端部付近に設置され(尚、このような構成は一例であり、下流側端部近傍であってもよい)、弁体の位置制御により、EGR通路302におけるEGRガスの供給経路を二値的に切り替えることが可能な弁装置である。EGRクーラバイパス弁304は、ECU100と電気的に接続されており、その弁体位置は、ECU100により上位に制御される構成となっている。
より具体的には、EGRクーラバイパス弁304は、その弁体の位置が、上述した被バイパス区間へのEGRガスの流入を遮断してEGRガスをバイパス通路のみへ導くバイパス側弁体位置と、それとは逆にバイパス通路へのEGRガスの流入を遮断して、被バイパス区間のみにEGRガスを導くクーラ側弁体位置との間で二値的に且つ選択的に切り替えられる構成となっている。
尚、バイパス通路及びEGRクーラバイパス弁304の構成は、ここで述べる形態に限定されない。例えば、EGRクーラバイパス弁304は、単数又は複数の弁体の開閉状態が段階的又は連続的に可変に制御されることにより、EGRクーラ303をバイパスするEGRガスの量を段階的又は連続的に変化させ得るように構成されていてもよい。
EGRバルブ305は、先に述べた吸気通路213との接続位置よりも上流側においてEGR通路302に設置され、弁体の開閉状態の制御によりEGRガスの量(即ち、EGR量)を変化させることが可能に構成された電磁開閉弁である。EGRバルブ305は、ECU100と電気的に接続されており、その駆動状態はECU100により上位に制御される構成となっている。補足すると、EGR通路302に導かれたEGRガスは、先に述べたEGRクーラバイパス弁304の弁体位置が、上述した二種類の弁体位置のいずれであるにせよ、最終的には、このEGRバルブ305の開度(即ち、開弁の度合いであり、例えば、全開を100(%)、全閉を0(%)等として規格化された数値として表され得る)に応じた量が吸気マニホールド203に供給される。
EGRコンプレッサ307は、EGRコンプレッサハウジング306に収容される形で設置された、本発明に係る「EGR過給器」の一例たる過給器である。EGRコンプレッサ307は、EGR導入通路301を介して導かれた排気の一部(即ちEGRガス)を、その回転軸の回転速度に応じて下流側に接続された第1通路311に圧送することが可能であり、このEGRガスの圧送によりEGRガスが過給される構成となっている。EGRコンプレッサ307の回転軸は、先述したモータ軸401の他端部に、後述する電磁クラッチ402を介して連結されている。即ち、EGRコンプレッサ307は、新気過給用のHP側コンプレッサ217と、その回転軸を実質的に共有しており、本発明に係る「一軸配置」の一例が実現されている。
EGRコンプレッサ307は、モータ400が正回転した場合に上述したEGRガスの過給がなされるように、EGRコンプレッサハウジング306内部に収容されている。ここで、本実施形態においては、EGRコンプレッサ307が、モータ400が正回転するのに伴ってEGRガスの過給がなされる方向へ回転している状態を、「EGRコンプレッサ307の正回転状態」と定義する。即ち、EGRコンプレッサ307の正回転方向は、モータ400の正回転方向に対応しており、同時にHP側コンプレッサ217の正回転方向に対応している。
また、EGRコンプレッサ307は、正回転状態においてEGRガスを過給し得るため、モータ400から、モータ400の逆回転に伴う駆動力が供給され、逆回転方向へ回転した場合(即ち、逆回転状態にある場合)には、逆にEGRガスをEGR通路302から吸い出すことが出来る。
第2通路312は、一端部が排気マニホールド207に接続され、他端部が、EGR通路302に接続されてなる、中空且つ金属製の管状部材である。第2通路312は、排気マニホールド207に滞留する排気を、EGRガスとして、先述のEGRコンプレッサ307を経由することなく(即ち、バイパスして)EGR通路302に供給可能である。尚、第2通路312とEGR通路302とは相互に一体に形成されていてもよいし、溶接されていてもよいし、或いは然るべき連結部材(例えば、フランジ、ガスケット或いはカプラ等)により気密を保って連結されていてもよい。
第1切替弁308は、全閉状態と全開状態との間で開閉状態を二値的に制御可能な弁体を備えた電磁開閉弁である。第1切替弁308は、第1通路311に設置されており、弁体の開閉状態に応じて第1通路311とEGR通路302との連通状態を二値的に変化させることが可能である。即ち、弁体が全開状態にある場合には、第1通路311とEGR通路302とは連通し、弁体が全閉状態にある場合には、第1通路311とEGR通路302との連通は遮断される。
第2切替弁309は、第1切替弁308と同様、全閉状態と全開状態との間で開閉状態を二値的に制御可能な弁体を備えた電磁開閉弁である。第2切替弁309は、第2通路312に設置されており、弁体の開閉状態に応じて第2通路312とEGR通路302との連通状態を二値的に変化させることが可能である。即ち、弁体が全開状態にある場合には、第2通路312とEGR通路302とは連通し、弁体が全閉状態にある場合には、第2通路312とEGR通路302との連通は遮断される。
従って、EGRガスは、第1切替弁308が開弁し且つ第2切替弁209が閉弁した状態において排気マニホールド207、EGR導入通路301、EGRコンプレッサ307、第1通路311及びEGR通路302を経由して吸気マニホールド203に導かれ、第1切替弁308が閉弁し且つ第2切替弁209が開弁した状態において排気マニホールド207、第2通路312及びEGR通路302を経由して吸気マニホールド203に導かれる。これ以降は適宜、前者の経路(EGRコンプレッサ307を経由する経路)を第1経路、後者の経路(EGRコンプレッサ307をバイパスする経路)を第2経路と称することとする。尚、第1及び第2切替弁を双方とも開弁又は閉弁させることも可能であるが、ここではその詳細については触れないこととする。
EGRコンプレッサ出口圧力センサ310は、第1通路311に設置され、第1通路311におけるEGRガスの圧力たるEGRコンプレッサ出口圧Pegrを検出することが可能に構成されたセンサである。EGRコンプレッサ出口圧力センサ310は、ECU100と電気的に接続されており、検出されたEGRコンプレッサ出口圧Pegrは、ECU100により一定又は不定のタイミングで参照される構成となっている。尚、第2通路312におけるEGRガスの圧力は、エキマニ圧力センサ225により検出されるエキマニ圧P4によって代替される。
一方、エンジンシステム10は、電磁クラッチ402を備える。電磁クラッチ402は、相互に対向する金属製のクラッチ板(符号省略)を有し、不図示のソレノイド駆動装置に対する通電制御により電磁力を適宜に生じさせ、両クラッチ板を結合又は分離せしめる構造を有する、電磁駆動式のクラッチ装置である。電磁クラッチ402は、ECU100と電気的に接続されており、電磁クラッチ402の駆動状態(ここでは、ソレノイド駆動装置の通電状態)は、ECU100により上位に制御される構成となっている。
ここで、電磁クラッチ402の効果について説明する。モータ400の回転軸たるモータ軸401の両端部には、夫々HP側コンプレッサ217の回転軸及びEGRコンプレッサ307の回転軸が連結されている。上記クラッチ板は、このモータ軸401におけるEGRコンプレッサ307の回転軸と対向する端部と、EGRコンプレッサ307におけるモータ軸401と対向する端部とに夫々固定されている。従って、両クラッチ板が相互に結合した結合状態においては、モータ400とEGRコンプレッサ307とは、両軸体が結合された一体とみなし得る回転軸により一体に回転する。一方で、両クラッチ板が相互に分離した分離状態においては、EGRコンプレッサ307は、その回転駆動力を失うこととなり、停止する。
また、エンジンシステム10は、モータ軸401とHP側コンプレッサ217の回転軸との間に、ワンウェイクラッチ403を備える。
ワンウェイクラッチ403は、外輪部と内輪部との間に多数のカムを配置してなる公知の一方向クラッチ装置であり、モータ400の正回転時には、当該カムが外輪部と内輪部の間で突っ張ることによりモータ400の駆動力がHP側コンプレッサ217の回転軸に伝達され、HP側コンプレッサ217の回転軸が先述した正回転方向へ回転駆動される構成となっている。一方、モータ400の逆回転時には、当該カムが周方向に倒れることにより内輪部が極低トルクで空転するため、モータ400の駆動力はHP側コンプレッサ217の回転軸に殆ど伝達されない。即ち、ワンウェイクラッチ403は、HP側コンプレッサ217を正回転方向のみへ回転させるように、モータ400からの駆動力を伝達する、本発明に係る「遮断手段」の一例である。
<実施形態の動作>
エンジンシステム10では、LP側コンプレッサ212及びHP側コンプレッサ217を使用した吸入空気の二段過給が可能であり、比較的高い過給圧(インマニ圧Pbと実質的に等価である)を実現可能である。このため、スモークの排出を抑制しつつ動力性能が担保される。一方、このように過給圧を高め得る点に鑑みれば、インマニ圧Pbとエキマニ圧P4との偏差は、相対的に減少し易く、この圧力差を利用してEGRガスを吸気マニホールド203に導くのみの構成では、十分なEGR量が確保され難い。
エンジンシステム10では、LP側コンプレッサ212及びHP側コンプレッサ217を使用した吸入空気の二段過給が可能であり、比較的高い過給圧(インマニ圧Pbと実質的に等価である)を実現可能である。このため、スモークの排出を抑制しつつ動力性能が担保される。一方、このように過給圧を高め得る点に鑑みれば、インマニ圧Pbとエキマニ圧P4との偏差は、相対的に減少し易く、この圧力差を利用してEGRガスを吸気マニホールド203に導くのみの構成では、十分なEGR量が確保され難い。
その点、エンジンシステム10にはEGRコンプレッサ307が備わっており、EGRガスの過給が可能となっている。このため、過給圧の上昇に伴うEGR量の低下を回避することが出来、EGR(EGRガスを吸気系に循環させることを指す)によるNOxの低減も好適に図られる。即ち、エンジンシステム10によれば、スモーク及びNOxの排出量を低減することが可能となる。
また、HP側コンプレッサ217は、モータ400からの駆動力の供給を受けて作動するモータ駆動型の過給器であり、その駆動に排気のエネルギを要しない。このため、吸入空気の過給を行う過給器が全て排気駆動型である場合と較べて排気温度の低下が抑制されている。即ち、エンジンシステム10によれば、上記スモーク及びNOxの排出量を低下させる背反として触媒システムにおける排気の浄化効率が低下するといった事態を招来せずに済み、排気の好適な浄化を図ることができる。
一方、EGRコンプレッサ307は、HP側コンプレッサ217と同様にモータ400を駆動力源としている。モータ400は、既に述べたように正逆いずれの回転方向へも回転可能であり、従って、EGRコンプレッサ307もまた正逆いずれの回転方向へも回転可能である。エンジンシステム10では、この特性を利用してECU100により実行される排気浄化制御により、エンジン200、EGR装置300、第1切替弁308、第2切替弁309、モータ400及び電磁クラッチ402等の各動作状態が制御され、動力性能を向上させることが可能となっている。ここで、図2を参照し、本実施形態の動作について説明する。ここに、図2は、排気浄化制御のフローチャートである。
図2において、ECU100は、EGRガスの過給が必要であるか否かを判別する(ステップS101)。この際、ECU100は、インマニ圧力センサ224により検出されるインマニ圧Pbが、エキマニ圧力センサ225により検出されるエキマニ圧P4より小さいか否かを判別する。
インマニ圧Pbがエキマニ圧P4より小さい場合(ステップS101:YES)、ECU100は、EGRガスの過給が不要であると判断して、処理をステップS102に進ませる。一方で、インマニ圧Pbがエキマニ圧P4以上である場合(ステップS101:NO)、ECU100は、EGRガスの過給が必要であると判断して処理をステップS201に進ませる。
尚、ここでは、インマニ圧Pbがエキマニ圧P4以上である場合にEGRガスの過給が必要である旨の判別がなされる構成としたが、エキマニ圧P4とインマニ圧Pbとの差分が正の所定値以下(或いは未満)である場合にEGRガスの過給が必要である旨の判別がなされてもよい。
ステップS102において、ECU100は、電磁クラッチ402への通電を停止することによってクラッチ板同士を分離させ、電磁クラッチ402を分離状態に制御する。その結果、モータ400からEGRコンプレッサ307への駆動力の供給は遮断され、EGRコンプレッサ307はその駆動力を失うこととなって停止する(尚、従前の状態として既に停止している場合には、停止状態が維持される)。
続いて、ECU100は、EGRの要否を規定する車両の運転条件が、EGRオン条件(即ち、EGRを実行すべき条件)からEGRカット条件(即ち、EGRを停止すべき条件)へ切り替わったか否かを判別する(ステップS103)。ここで、ECU100は、一定又は不定のタイミングで、その時点の車両の運転条件(例えば、機関回転速度NE及び燃料噴射量Q等)に基づいてEGRの要否を判別しており、ステップS103に係る判別処理は、係る要否の判別結果に基づいてなされる構成となっている。尚、EGRの要否判別及びEGR量又はEGR率の目標値設定等、EGRの実行に関する各種条件設定に係るプロセスは、公知の各種態様を採ってよい。例えば、EGRカット条件には、車両の運転条件が、高回転高負荷の領域(例えば、急加速時に該当する領域等)に属する場合等、比較的大量の新気が必要とされる運転領域に属する場合等が含まれる。
ステップS103において、車両の運転条件がEGRオン条件からEGRカット条件へと切り替わっていない場合(ステップS103:NO)、即ち、EGRオン条件又はEGRカット条件が継続している或いはEGRカット条件からEGRオン条件へと車両の運転条件が切り替わった場合、ECU100は排気浄化制御を終了させる。但し、排気浄化制御は、所定のタイミングで繰り返し実行されるように制御されており、然るべき時間経過の後に、処理は再びステップS101から繰り返される。
ここで、図示は省略されているが、ステップS103が「NO」側へ分岐した場合、ECU100は更に、車両の運転条件がEGRオン条件に該当するか、又はEGRカット条件に該当するかを判別する。
車両の運転条件がEGRオン条件に該当する場合、EGRガスの過給は必要とされないものの、EGR自体は必要とされているため、通常のEGRが実行される。即ち、EGRバルブ305の開度が、所望のEGR量(EGR率)実現するための目標開度に維持され、排気マニホールド207と吸気マニホールド203との圧力偏差に応じてEGRガスが吸気マニホールド203に供給される。この際、第1切替弁308は全閉、第2切替弁309は全開とされ、EGRガスの供給経路として、先に述べた第2の経路が選択される。また、車両の運転条件がEGRカット条件に該当する場合、EGRバルブ305が全閉状態に制御され、EGRの実行が停止される(この場合、第1及び第2切替弁の開閉状態は、基本的にどのようなものであってもよい)。尚、第1の経路を利用することによっても、EGRガスを吸気マニホールド203に供給することは可能であるが、EGRコンプレッサ307が停止した状態で第1の経路を利用してEGRを行おうとした場合、EGRコンプレッサ307は単なる流路抵抗体となり、EGRガスを供給するにあたっての効率が低下する。このため、EGRガスの過給を行わずにEGRを行う場合、エンジンシステム10では、第2の経路が選択され、効率的なEGRの実現が図られるのである。
一方、車両の運転条件が、EGRオン条件からEGRカット条件へと切り替わった場合(ステップS103:YES)、ECU100は、第2切替弁309を閉弁させる(ステップS104)。
第2切替弁309が閉弁されると、ECU100は、EGRクーラバイパス弁304を先述のバイパス側弁体位置に制御する(ステップS105)。
次に、ECU100は、第1切替弁308を開弁させ(ステップS106)、またEGRバルブ305を全開状態に制御する(ステップS107)。
続いて、ECU100は、モータ400を逆回転させる(ステップS108)。また、ECU100は、電磁クラッチ402への通電を開始することによってクラッチ板同士を結合させ、電磁クラッチ402を先述した結合状態に制御する(ステップS109)。
ここで、ステップS109が終了すると、電磁クラッチ402を介してモータ400からモータ400の逆回転を伴う駆動力がEGRコンプレッサ307に伝達され、EGRコンプレッサ307が逆回転状態となる。EGRコンプレッサ307が逆回転状態にある場合、EGR通路302を介して吸気マニホールド203から吸気マニホールド203に残留するEGRガスが排出される。
ここで特に、モータ軸401とHP側コンプレッサ217の回転軸との間が、絶えず動力伝達可能に構成されている場合、モータ400の逆回転に伴ってHP側コンプレッサ217も逆回転することとなるから、EGRコンプレッサ307と同様の原理により、吸気通路213から折角過給した吸入空気が排出されるといった事態を招来し得る。その点、エンジンシステム10は、両軸の間にワンウェイクラッチ403を備えており、係る逆回転を伴ったモータ400の駆動力は伝達されない構成となっている。即ち、モータ400の逆回転を伴う駆動力は、ワンウェイクラッチ403の内輪部を空転させるのみであり、ワンウェイクラッチ403の外輪部に連結されたHP側コンプレッサ217には、モータ400からの駆動力が伝達されないのである。従って、ステップS109においては、EGRコンプレッサ307のみが、吸気マニホールド203からEGRガスを排出すべく逆回転することとなる。
尚、モータ400を逆回転させることによりEGRガスを吸気マニホールド203から排出することが可能である点に鑑みれば、この際のモータ400の回転速度は、特に限定されない。例えば、この際のモータ400の回転速度は、EGRガス排出用に予め設定された固定値であってもよいし、従前のEGR量或いはEGR率等に応じて可変な(例えば、従前のEGR率が大きい程高い)値であってもよく、またその絶対値は、予め実験的に、経験的に、理論的に又はシミュレーション等に基づいて、動力性能の低下を顕在化させない程度に迅速にEGRガスを排出しつつ、且つモータ400の逆回転に伴う電力消費を可及的に抑制し得るように設定されていてもよい。
ステップS109によりEGRガスの排出が開始されると、ECU100は、係るEGRガスの排出を終了させるべき条件である終了条件が満たされたか否かを判別する(ステップS110)。ここで、本実施形態において、この終了条件は、EGRコンプレッサ307の逆回転が開始されてよりの経過時間により規定されている。尚、この点については、後に発明の効果の項において述べることとする。
ECU100は、終了条件が満たされない間は(ステップS110:NO)、ステップS110を繰り返し実行して、処理を実質的に待機状態に制御すると共に、終了条件が満たされた場合には(ステップS110:YES)、排気浄化制御は終了する。
一方、ステップS201において、ECU100は、電磁クラッチ402への通電を開始することによってクラッチ板同士を結合させ、電磁クラッチ402を結合状態に制御する。
続いて、ステップS103と同様に、ECU100は、EGRの要否を規定する車両の運転条件が、EGRオン条件からEGRカット条件へ切り替わったか否かを判別する(ステップS202)。ステップS202において、車両の運転条件がEGRオン条件からEGRカット条件へと切り替わっていない場合(ステップS202:NO)、ECU100は排気浄化制御を終了させる。
ここで、図示は省略されているが、ステップS202が「NO」側へ分岐した場合、ECU100は更に、車両の運転条件がEGRオン条件に該当するか、又はEGRカット条件に該当するかを判別する。前者である場合、EGRガスの過給が必要とされているため、ECU100は、EGRコンプレッサ307の駆動制御を介してEGRガスを過給する。この際も、EGRバルブ305の開度は、所望のEGR量(EGR率)実現するための目標開度に維持される。また、この際、第1切替弁308は全開、第2切替弁309は全閉とされ、EGRガスの供給経路として、先に述べた第1の経路が選択される。一方、後者である場合、EGRバルブ305が全閉状態に制御され、EGRの実行が停止される(この場合、第1及び第2切替弁の開閉状態は、基本的にどのようなものであってもよい)。
一方、車両の運転条件が、EGRオン条件からEGRカット条件へと切り替わった場合(ステップS202:YES)、ECU100は、ステップS105と同様に、EGRクーラバイパス弁304の弁体位置を、バイパス側弁体位置に制御し(ステップS203)、またEGRバルブ305を全開状態に制御する(ステップS204)。ステップS204が実行されると、ECU100は、モータ400を逆回転させる(ステップS205)。尚、この時点では既に、第1切替弁308は全開状態にあり、また第2切替弁309は全閉状態にある。即ち、EGRガスの経路として既に第1の経路が選択されている。従って、ステップS205においてEGRコンプレッサ307が逆回転状態となると、吸気マニホールド203からのEGRガスの排出が開始される。
ステップS205が実行されると、ECU100は、ステップS110と同様、係るEGRガスの排出を終了させるべき条件である終了条件が満たされたか否かを判別する(ステップS206)。係る終了条件が満たされない間は(ステップS206:NO)、ステップS206が繰り返し実行され、処理は実質的に待機状態に制御される。また、終了条件が満たされた場合(ステップS206:YES)、排気浄化制御は終了する。
<実施形態の効果>
ここで、図3を参照し、本実施形態に係る排気浄化制御の効果について説明する。ここに、図3は、EGRコンプレッサ307が逆回転する場合の各部の状態の経過を表すタイミングチャートである。
ここで、図3を参照し、本実施形態に係る排気浄化制御の効果について説明する。ここに、図3は、EGRコンプレッサ307が逆回転する場合の各部の状態の経過を表すタイミングチャートである。
図3において、縦方向の系列は、上段から順に、モータ400の回転方向(以下、モータ回転方向)、アクセル開度、EGR率、燃料噴射量(即ち、実質的にはトルクに相当する)、及びエンジンシステム10を搭載する車両の車速を表しており、夫々において横軸には共通の時刻が表されている。
図3において、時刻T0に、車両のドライバがアクセルペダルを急に踏み込む等の操作を行った結果、アクセル開度が、A0からA1(A1>A0)まで急峻に増大したとする。この場合、車両は、例えば急加速が要求された(或いは、登坂路での車速維持が要求された)状態となり、ECU100は、燃料噴射量Qを増量させる必要があると判断する。
一方、時刻T0以前の期間において、モータ400は正回転方向に回転速度Rm1で回転しており、LP側コンプレッサ207及びHP側コンプレッサ217を共に使用した、吸入空気の二段過給が行われている。他方、EGR率は、時刻T0以前の期間において、Regr1に設定されている。即ち、この期間においてはEGR装置300を使用したEGRが行われている。
ここで、時刻T0において上述したようにアクセル開度が過度に増大した結果、車両の運転条件が先に述べたEGRオン条件からEGRカット条件へと変化し、EGR率(図示PRF_egr1(実線)参照)の目標値(以下、適宜「目標EGR率」と称する。破線参照)が時刻T0を境にしてゼロに変更されたとする。この際、ECU100は、先に述べた、EGRオン条件からEGRカット条件への切り替わりタイミングであるとして、時刻T0において、モータ400を逆回転させる。その結果、モータ400は回転速度Rm2(Rm2<0)で逆回転を開始する。モータ400が逆回転を開始すると、吸気マニホールド203からのEGRガスの排出が開始される。
ところで、モータ400の逆回転は、先述したように、所定の終了条件が満たされるまで継続される。本実施形態において、この終了条件は、加速なまし期間が経過するまでの時間として定められている。加速なまし期間とは、加速要求に対し、意図的に燃料噴射量の増量を抑える期間であり、この期間中は、燃料噴射量は、ある一定の増量比率で増量される。加速なまし期間が設定されることにより、トルク段差の発生が抑制され、好適なドライバビリティが確保される。加速なまし期間は、時間値として設定されていてもよいし、燃料の増量分の目標値として設定されていてもよい。尚、これは終了条件の一例に過ぎず、モータ400の逆回転を終了させるべきか否かの判断に係る条件は、吸気マニホールド203から幾らかなりEGRガスを排出し得る限りにおいて、各種態様を有し得る。
モータ400の逆回転に伴い、EGR率が減少を続けた結果、加速なまし期間の終了時(即ち、先のフローチャートで言えば、終了条件が満たされた場合)に相当する時刻T1おいて、EGR率は、Regr0(Regr1>Regr0>0)まで減少する。また、加速なまし期間の終了と共に(即ち、時刻T1において)、モータ400は再び回転速度Rm3(Rm3>Rm1>0)で正回転駆動される。尚、ここでは、加速要求に応じて、時刻T0以前の期間よりも目標過給圧が高く設定されている。
一方、時刻T1において、吸気マニホールド203内に残留するEGRガスが実践上十分に減少しているため、時刻T1を境に、燃料噴射量(図示PRF_Q1(実線)参照)は、急激に増加する。その結果、車速(図示PRF_V1(実線)参照)は好適に上昇する。
ここで、本実施形態の効果を明確化するために、モータ400の逆回転によるEGRガスの排出が行なれない構成について説明する。モータ400を逆回転させない場合、時刻T0において、例えば、EGRバルブ305を全閉とすること等により、EGRガスの供給自体は停止させ得るにしても、本実施形態の如く積極的なEGRガスの排出は不可能であり、EGRガスが自然に減少するのを待つよりないから、EGR率は、図示PRF_egr2(鎖線参照)として例示するが如く、その減少速度が緩慢となる。その結果、加速なまし期間の終了時点たる時刻T1においても、吸気マニホールド203には未だ大量のEGRガスが残留している。
このため、時刻T1以降に燃料噴射量を増量せしめようとしても、新気不足によるスモークの発生を回避すべく、燃料噴射量(図示PRF_Q2(破線))の増量速度は緩慢にならざるを得ない。燃料噴射量の増量速度が緩慢となれば、エンジン200のトルク特性が緩慢となり、最終的に車速の上昇が緩慢となる(図示PRF_V2(破線)参照)。即ち、本実施形態が適用された場合と較べて、同一の車速を得るのに要する時間が明らかに長くなり、動力性能の低下が顕在化してしまうのである。
以上、説明したように、本実施形態に係る排気浄化制御によれば、EGRを停止すべき場合において、モータ400の逆回転によりEGRコンプレッサ307を逆回転させ、吸気マニホールド203からEGRガスを迅速に排出することが可能となる。このため、例えば急加速時等、例えば燃料噴射量の増量が顕著に要求される場合等において、エンジン200のトルクを早期に上昇させることが可能となり、動力性能の低下が抑制されるのである。
また、モータ軸401とHP側コンプレッサ217の回転軸との間には、ワンウェイクラッチ403が設けられており、このワンウェイクラッチ403の作用により、モータ400からモータ400の逆回転に伴う駆動力がHP側コンプレッサ217に伝達されることが防止されている。このため、EGRコンプレッサ307によるEGRガスの排出に際して吸入空気が吸気通路213を逆流することがなく、上記したEGRガスの排出を、動力性能の低下抑制といった実践上の利益に好適に結び付けることが可能となっているのである。
即ち、本実施形態に係るエンジンシステム10によれば、(1)LP側コンプレッサ207とHP側コンプレッサ217とを利用した二段過給により高い過給圧を実現し、新気量の増量によるスモークの排出量を抑制し、且つEGRコンプレッサ307により実現されるEGRガスの過給によりEGR量を好適に確保することが可能となり、(2)HP側コンプレッサ217がモータ400により駆動されるモータ駆動型過給器として構成されることによって排気温度の低下を抑制し、触媒システム下流側の排気を好適に浄化することが可能となり、(3)EGRコンプレッサ307がHP側コンプレッサ217と一軸配置されることによりシステム構成を簡素化することが夫々可能となった上で、上述したワンウェイクラッチ403の作用によりHP側コンプレッサ217の逆転を防止しつつEGRガスを吸気マニホールド203から排出し、動力性能の低下を好適に抑制することが可能となる。即ち、NOx及びスモークの排出を抑制し且つ触媒通過後の排気を好適に浄化させると共に動力性能を担保することが可能となるのである。
尚、本実施形態においては、説明を分かり易くするために、車両の運転条件がEGRオン条件からEGRカット条件へと変化する場合(即ち、目標EGR率がゼロとなる場合)に限ってEGRガスの排出がなされる構成としたが、EGRコンプレッサ307によるEGRガスの排出は、EGRガスを吸気マニホールド203又はEGR通路302から排出すべき状況において広く適用可能である。従って、例えば、EGRオン条件において目標EGR率が低下するような場合等、EGR量を減少させるべき場合において上記と同様にEGRコンプレッサ307を逆回転させてもよい。特に、EGRバルブ305の動作速度は、要求される速度に対して緩慢であることが多く、とりわけ減量側での動作遅延(所謂、EGR切り遅れ)が動力性能に顕著に影響を及ぼし易い。従って、このように減量側において広くEGRガスの排出が行なわれる場合には、より高い実践上の利益が享受される。
以上説明したように、本実施形態に係るエンジンシステム10の構成及び排気浄化制御によれば、EGRカット又はEGRガスを減量する時、吸気マニホールド203に残留したEGRガスを低減させ、燃料噴射量の制限を好適に低減させ、更にエンジンシステム10の動力性能をアップさせることが可能となる。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う排気浄化装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
10…エンジンシステム、100…ECU、200…エンジン、209…LP側タービンハウジング、210…LP側タービン、211…LP側コンプレッサハウジング、212…LP側コンプレッサ、216…HP側コンプレッサハウジング、217…HP側コンプレッサ、220…吸気切替弁、224…インマニ圧力センサ、225…エキマニ圧力センサ、300…EGR装置、301…EGR導入通路、302…EGR通路、303…EGRクーラ、304…EGRクーラバイパス弁、305…EGRバルブ、306…EGRコンプレッサハウジング、307…EGRコンプレッサ、308…第1切替弁、309…第2切替弁、310…EGRコンプレッサ出口圧力センサ、311…第1通路、312…第2通路、400…モータ、401…モータ軸、402…電磁クラッチ、403…ワンウェイクラッチ。
Claims (2)
- モータから該モータの正回転を伴う駆動力が供給されることにより吸入空気を過給可能に構成されたモータ駆動過給器を含む、内燃機関の吸気系に相互に直列に配置された複数の吸気過給器と、
前記内燃機関の排気系から分岐し、該排気系を流れる排気の一部をEGRガスとして前記吸気系に供給可能なEGR通路と、
前記EGR通路又は前記排気系において前記モータ駆動過給器と一軸配置され、前記モータから前記モータの正回転及び逆回転を伴う駆動力が供給されることにより前記EGRガスを夫々過給及び排気可能なEGR過給器と、
前記モータ駆動過給器と前記モータとの間に設けられ、前記モータから前記モータ駆動過給器への、前記モータの逆回転を伴う駆動力の伝達を遮断可能な遮断手段と
を具備することを特徴とする排気浄化装置。 - 前記EGRガスの供給量を減少させる場合に、前記EGR過給器に対し前記モータの逆回転を伴う駆動力が供給されるように前記モータを制御する制御手段を更に具備する
ことを特徴とする請求項1に記載の排気浄化装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008304466A JP2010127228A (ja) | 2008-11-28 | 2008-11-28 | 排気浄化装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2008304466A JP2010127228A (ja) | 2008-11-28 | 2008-11-28 | 排気浄化装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2010127228A true JP2010127228A (ja) | 2010-06-10 |
Family
ID=42327795
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2008304466A Pending JP2010127228A (ja) | 2008-11-28 | 2008-11-28 | 排気浄化装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2010127228A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
GB2489415A (en) * | 2011-03-25 | 2012-10-03 | Cummins Ltd | An internal combustion engine with exhuast gas recirculation |
JP2014125983A (ja) * | 2012-12-26 | 2014-07-07 | Mitsubishi Motors Corp | エンジンの燃料噴射制御装置 |
CN112041548A (zh) * | 2017-11-30 | 2020-12-04 | 范诺麦勒公司 | 电动多级可变强制进气系统 |
-
2008
- 2008-11-28 JP JP2008304466A patent/JP2010127228A/ja active Pending
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JP2014125983A (ja) * | 2012-12-26 | 2014-07-07 | Mitsubishi Motors Corp | エンジンの燃料噴射制御装置 |
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