JP2009160752A - 成形型及び樹脂成形品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】成形型1は、固定側型片5と、移動側型片6が一体化されて成る。固定側型片5と移動側型片6とが型締めされた状態の時に内部に第一の成形空間15が形成される。成形型1は、内部を密閉した状態で、移動側型片6を後退させることができる。成形型1は、特有の構成としてコア部材2,3を備えている。コア部材2,3は、いずれもコア部材2,3の突出位置を位置決めする位置決め手段を有し、移動側型片6を後退させたとき、コア部材2,3は、移動側型片6との相対位置関係を保ち、コア部材2,3は、固定側型片5から移動側型片6の成形面側に向かって突出状態となる。
【選択図】 図1
Description
例えば特許文献1には、二つのゲート及びランナー部を有する射出成形型を使用し、基材の表面に発泡層を有する樹脂成形品の製造方法が開示されている。
従来技術の樹脂成形品の製造方法では、図9の様に固定側型片101と、移動側型片102が一体化されて成る成形型100が使用される。固定側型片101は、図示しない樹脂ノズルから溶融状の樹脂が注入される側の型片であり、2系統のランナー部102,103を備えている。
成形型100は、固定側型片101と移動側型片102とが型締めされた状態の時に内部に第一の成形空間105が形成される。
また成形型100は、内部の密閉状態を維持して移動側型片102を後退させることができる。
その後、同(d)の様に移動側型片102を後退させ、基材110の背面側に第二の成形空間111を出現させる。
そして同(e)の様に他方のランナー部103から第二の成形空間111に、発泡層形成用の溶融樹脂を射出する。その結果、基材110の背面側に、発泡層112が形成される。
しかしながら特許文献1に開示された樹脂成形品の製造方法によると、基材の全面に一定厚さの発泡層や表皮層が形成されてしまい、デザイン上や機能上の自由度が低いという不満がある。
すなわち特許文献1に記載の方法は、移動側型片を全体的に後退させるものであるから、基材の背面側の全域に第二の成形空間が形成される。そのため基材に背面側の全域に対して一様に発泡層や表皮層が設けられてしまう。
しかしながら自動車内装品の形状によっては、必ずしも基材の全域に発泡層や表皮層を設ける必要がない場合もあり、従来技術の製造方法や成形型では、この様なデザインの自動車内装品を製造することができない。
図1は、本発明の第一の実施形態における成形型の断面図であり、(a)は型締め状態を示し、(b)は、移動側型片を後退させた状態を示す。
図1に示す成形型1は、前記した従来技術の成形型100の構成要素を全て備え、さらに加えて2か所にコア部材2,3を備えている。コア部材2,3は、表皮層の形成を望まない部位に設けられている。
成形型1は、固定側型片5と、移動側型片6が一体化されて成る射出成形型である。固定側型片5は、図示しない樹脂ノズルから溶融状の樹脂が注入される側の型片であり、2系統のランナー部10,11を備えている。
成形型1は、固定側型片5と移動側型片6とが型締めされた状態の時に内部に第一の成形空間15が形成される。
また成形型1は、内部を密閉した状態で、移動側型片6を後退させることができる。すなわち成形型1は、相対的に移動する一方の型片と他方の型片とを有する成形型である。
コア部材2,3は、いずれもコア部材2,3の突出位置を位置決めする位置決め手段を有し、移動側型片6を後退させたとき、コア部材2,3は、移動側型片6との相対位置関係を移動側型片6の後退の前後で保ち、コア部材2,3は、固定側型片5から移動側型片6の成形面側に向かって突出状態となる。
一方のコア部材2は、リターンピン(連動部材)20を有し、リターンピン20を移動側型片6に当接させて位置決めを行うものである。
すなわちコア部材2にはリターンピン20が設けられている。リターンピン20は、コア部材2に対して平行に設けられたピンであり、連結部25によってコア部材2と一体化されている。
すなわち固定側型片5の成形面15及び合わせ面16には、固定側型片5内に向かって穴部22,23が平行に設けられている。そして穴部22,23の内部は広い空隙部26に繋がっている。
一方、移動側型片6が後退し、成形型1が開くと、リターンピン20の先端が移動側型片6に追従して突出方向に移動し、コア部材2も、固定側型片5の成形面15から突出する。このときのコア部材2の先端と、移動側型片6の成形面7との相対位置関係は、移動の前後で変化しない。
コア部材3の大半は、固定側型片5内にあり、コア部材3は固定側型片5に対して摺動可能であって固定側型片5の表面から出退可能である。
すなわち固定側型片5の成形面15には、もう一つの穴部37が設けられており、コア部材3が摺動可能に配されている。また穴部37の奥部にストッパーピン35が固定されている。ストッパーピン35の先端には、他の部位に比べて太く作られた係合部36がある。
そして前記したストッパーピン35は、孔40内に摺動可能に装入されており、係合部36が大径部41にある。
一方、移動側型片6が後退し、成形型1が開くと、コア部材3はコイルバネ45の押圧力によって押し出される。しかしながらコア部材3の突出長さは、ストッパーピン35の係合部36が孔40の段部と係合することによって規制され、一定の突出量の位置でコア部材3が停止する。
このときのコア部材3の先端と、移動側型片6の成形面7との相対位置関係は、移動の前後で変化しない。
図2乃至図4は、成形型を使用して、自動車内装品を製造する際の成形型の挙動を示す説明図である。
例えば、基材の表面に表皮層を有するインストルメントパネルを成形型1を使用して製造する場合は、図3(b)の様に成形型1を型締めし、図4(c)の様に一方のランナー部10から第一の成形空間15に、基材形成用の溶融樹脂を射出する。その結果、第一の成形空間15内に基材50が成形される。
その後、同(d)の様に移動側型片6を後退させる。この時、先に成形された基材50を移動側型片6に残し、基材50の背面側に第二の成形空間51を出現させる。
そして図4(e)の様に他方のランナー部11から第二の成形空間51に、表皮層形成用の溶融樹脂を射出する。その結果、基材50の背面側に、表皮層52が形成されるが、基材50の背面側の特定の部位にはコア部材2,3が接しているので、コア部材2,3が介在される部位には樹脂が回り込めない。
そのため図4(f)の様に成形型を開いて成形物を脱型すると、基材50の背面側の多くに表皮層が設けられているが、その一部に表皮層が欠落した部位を有するインストルメントパネルが成形される。
前述した実施形態では、二つのコア部材2,3の内の一方のコア部材3は、ストッパーピン35によって突出長さを規制する構造としたが、図5に示す様にストッパーピン35を略し、コア部材3の端面の一部を移動側型片6の一部に直接当接させる構造としてもよい。すなわち図5に示す成形型60では、コア部材3は、その一部に成形面を構成しない部位61があり、当該部位61が連動部材として機能し、移動側型片6と当接すると共にコア部材3の本体部分と連動する。そして移動側型片6を後退させたとき連動部材61が移動側型片6と当接して移動側型片6とコア部材3との相対位置関係を保つ。
図6乃至図9は、成形型を使用して、二層目の樹脂層が部分的に薄い構造の自動車内装品を製造する際の成形型の挙動を示す説明図である。
図6乃至図9に示す成形型1’は、ストッパーピン35の長さが短いという点だけが先の実施形態と異なり、他の構成は、先の実施形態と同一である。
このときのコア部材3の先端と、移動側型片6の成形面7との相対距離は、移動の前よりも少しだけ広い。そのためコア部材3は、先に成形された基材50からわずかに離れる。すなわち成形型1’では、コア部材3の先端側に第二の成形空間51が存在するが、その厚さは、他の部位に比べて薄いものとなる。
その後、同(d)の様に移動側型片6を後退させる。この時、先に成形された基材50を移動側型片6に残し、基材50の背面側に第二の成形空間51を出現させる。
従って一方のコア部材2は、先の実施形態と同様に先に成形された基材50から離れず、第二の成形空間51の一部がコア部材2によって潰される。
これに対して、他方のコア部材3は、ストッパーピン35の係合部36がコア部材3と当接してコア部材3の突出長さが規制されるが、コア部材2の停止位置は、先に成形された基材50からわずかに離れた位置である。
すなわち移動側型片6を後退させたとき、ストッパーピン35によって前記コア部材3が移動側型片6に対する一定の相対位置関係を保持し、コア部材は移動側型片6に対して相対的にわずかに後退した位置で停止する。
またコア部材3と基材50の背面側の距離は、他の部位に比べて短いので、コア部材3の部位は、第二の成形空間51が狭い。
そのため図8(f)の様に成形型を開いて成形物を脱型すると、基材50の背面側の多くに表皮層が設けられているが、その一部に表皮層が全く欠落し、また他の一部は表皮層が薄いインストルメントパネルが成形される。
2,3 コア部材
5 固定側型片
6 移動側型片
15 第一の成形空間
20 リターンピン(連動部材)
30 ,31コイルバネ
35 ストッパーピン(ストッパー)
45 コイルバネ
50 基材
51 第二の成形空間
52 表皮層
Claims (5)
- 相対的に移動する一方の型片と他方の型片とを有する成形型であって、一方の型片と他方の型片とが型締めされた状態の際に両者の間に第一の成形空間が形成され、一方の型片を他方の型片に対して相対的に移動させて成形型内に新たに第二成形空間を形成させることが可能な成形型において、一方の型片から他方の型片の成形面側に向かって突出可能なコア部材と、コア部材の突出位置を位置決めする位置決め手段を有し、一方の型片を他方の型片に対して相対的に移動させたとき前記位置決め手段によって前記コア部材が他方の型片に対する一定の相対位置関係を保持し、コア部材は一方の型片から他方の型片の成形面側に向かって突出状態となることを特徴とする成形型。
- 相対的に移動する一方の型片と他方の型片とを有する成形型であって、一方の型片と他方の型片とが型締めされた状態の際に両者の間に第一の成形空間が形成され、前記第一の成形空間に溶融状の第一樹脂が注入されて第一成形品が成形され、一方の型片を他方の型片に対して相対的に移動させて成形型内に新たに第二成形空間を形成し、当該第二成形空間に再度溶融状の第二樹脂が注入されて第一成形品と一体的に第二成形品を成形することが可能な成形型において、一方の型片から他方の型片の成形面側に向かって押圧されるコア部材と、コア部材の突出位置を位置決めする位置決め手段を有し、一方の型片を他方の型片に対して相対的に移動させたとき前記位置決め手段によって前記コア部材が他方の型片に対する相対位置関係を保持し、コア部材は一方の型片から他方の型片の成形面側に向かって突出状態となることを特徴とする成形型。
- 位置決め手段は、他方の型片の一部または成形型以外の部材と当接すると共にコア部材と連動する連動部材であり、一方の型片を他方の型片に対して相対的に移動させたとき連動部材が他方の型片の一部と当接して他方の型片との一定の相対位置関係を保持することを特徴とする請求項1又は2に記載の成形型。
- 位置決め手段は、一方の型片に設けられたストッパーであり、コア部材が一方の型片から所定長さ突出した時にコア部材と当接してコア部材の突出長さを規制するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の成形型。
- 請求項1乃至4のいずれかに記載の成形型を使用し、第一成形品の背面側に第二成形品又は発泡層を一体化し、さらに第一成形品の背面側に第二成形品又は発泡層が存在しない部位を形成させることを特徴とする樹脂成形品の製造方法。
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