JP2009158860A - ボンド磁石の製造方法、ボンド磁石及び製造装置 - Google Patents

ボンド磁石の製造方法、ボンド磁石及び製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】
形状の自由度を向上し、且つ優れた磁気特性を有する磁石を形成することができるボンド磁石の製造方法、そのボンド磁石及び製造装置を提供する。
【解決手段】
ボンド磁石の製造方法において、磁石粉末を混合したペーストを、開口部を有するスクリーンメッシュ3を介して、被印刷体の一面に塗布し、ペーストが充填された開口部を押さえ蓋10により密閉し、被印刷体に付着したペーストを、スクリーンメッシュ3及び押さえ蓋により密閉した状態で磁場を印加する。
【選択図】図2

Description

本発明は、ボンド磁石の製造方法、ボンド磁石及び製造装置に関するものである。
近年、マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)技術の発展等により、光スイッチや、磁気抵抗効果素子を用いた地磁気センサ、超小型モータ等が開発され、永久磁石の用途先であるデバイスは小型化及び高密度化する傾向にある。この傾向に伴い、永久磁石に対し、性能及び形状の自由度の向上が求められている。
一方、優れた磁気特性を有するとともに、形状の自由度が高い磁石として、希土類ボンド磁石が注目されている。希土類ボンド磁石は、希土類磁石粉末に樹脂バインダーを配合して成形することにより製造され、焼結型の磁石に比べて寸法精度が高く複雑な形状に成形でき、歩留まりが少ない等の利点を有している。ボンド磁石を成形する際には、主に圧縮成形法や射出成形法が採用されるが、圧縮成形法では、金型への材料充填が難しく形状の自由度が低い問題がある。また、射出成形法では、希土類系磁石粉末と熱可塑性樹脂が混ざったコンパウンドは、金型の薄いキャビティ内で流動しにくく、形状の自由度が低いという問題がある。
この問題に対し、基板表面に薄膜磁石を生成するスクリーン印刷法が提案されている。スクリーン印刷法では、希土類系永久磁石粉末に樹脂バインダーを配合してペーストとし、基板にスクリーンメッシュを介してスキージによりペーストを塗布する。また、希土類系磁石の磁化方向を所定の方向に向かせるために磁気回路によりペースト内の磁石粒子を配向させて、磁石の前駆体を形成する。さらに基板に付着した前駆体の硬化処理を行う。
例えば特許文献1では、Sm−Co系のボンド磁石をスクリーン印刷する方法が記載されている。また特許文献2では、磁石粉末の平均粒径を2.5〜4μmと小径としたスクリーン印刷法による製造方法も提案されている。
特開平04−364705 特開昭62−167368
しかしながら、上記特許文献に記載された各方法では、基板にスクリーン印刷法により塗布されたペーストに磁場を印加すると、ペースト内の磁石粉末が、磁力線の方向に沿って連なり、それに伴いペースト中の樹脂も盛り上がってしまう。このため、磁石の寸法精度が低下し、所望のパターンの磁石を形成することが難しくなる。また、磁石粉末が磁力線の方向に沿って連なると、配向度が低くなる他、基板に対する密着度や、充填率が低下する等の問題も生じる。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、形状の自由度を向上し、且つ優れた磁気特性を有する磁石を形成することができるボンド磁石の製造方法、そのボンド磁石及び製造装置を提供することにある。
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、ボンド磁石の製造方法において、磁石粉末を混合したペーストを、開口部を有するスクリーンメッシュを介して、被印刷体の一面に塗布し、前記ペーストが充填された前記開口部を蓋部により密閉し、前記被
印刷体に付着した前記ペーストを、前記スクリーンメッシュ及び前記蓋部により密閉した状態で磁場を印加することを要旨とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のボンド磁石の製造方法において、前記スクリーンメッシュを、非磁性体とすることを要旨とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のボンド磁石の製造方法において、前記蓋部又は前記被印刷体を、磁性体とすることを要旨とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のボンド磁石の製造方法において、前記ペーストは、希土類磁石粉末及びガラス粒子を含有し、前記ペーストに磁場を印加して形成された前駆体に、マイクロ波を照射して、前記希土類磁石粉末による発熱により前記ガラス粒子を溶融することを要旨とする。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載のボンド磁石の製造方法において、前記ペーストは、希土類磁石粉末及び熱硬化性樹脂を含有し、前記ペーストに磁場を印加して形成された前駆体に、マイクロ波を照射して、前記希土類磁石粉末の発熱により前記熱硬化性樹脂を硬化することを要旨とする。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれか1項に記載のボンド磁石の製造方法において、前記磁石粉末の平均粒径は、2〜90μmであることを要旨とする。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載のボンド磁石の製造方法によって製造され、その厚みが2μm以上500μm以下であって、ボンド磁石の理論寸法体積に対する充填率が60%以上であることを特徴とすることを要旨とする。
請求項8に記載の発明は、開口部を有するスクリーンメッシュを介して被印刷体に塗布された磁石ペーストを配向するボンド磁石の製造装置において、前記被印刷体に重ねられた前記スクリーンメッシュの前記開口部を密閉する蓋部と、前記被印刷体、前記スクリーンメッシュ及び前記蓋部が重ねられた状態で磁場を印加する配向機構とを備えたことを要旨とする。
請求項1及び8に記載の発明によれば、ペーストをスクリーンメッシュを介して塗布した後、スクリーンメッシュの開口部を蓋部により密閉した状態で、開口部に充填されたペーストを配向するので、優れた磁気特性を維持しながら、ボンド磁石を所望の形状に形成することができる。また、磁石の充填率や被印刷体への密着性も向上することができる。
請求項2に記載の発明によれば、スクリーンメッシュが非磁性体であるため、磁力線の偏りを抑制することができる。このため、高い磁気特性を有する磁石を形成することができる。
請求項3に記載の発明によれば、磁性体のスクリーンメッシュが用いられた場合でも、蓋部又は被印刷体を磁性体にすることにより、磁力線の偏りを抑制することができる。このため、良好な磁気特性を有する磁石を形成することができる。
請求項4に記載の発明によれば、ペーストは、希土類磁石粉末の他、ガラス粒子を少なくとも含んでいる。また、希土類磁石粉末にマイクロ波を照射して、磁石の自己発熱によりガラス粒子を溶融する。ガラス粒子の融点は希土類磁石粉末の融点より低いので、ガラス粒子がバインダーとして作用することにより、温度上昇が低くとも前駆体を固化させることができる。ガラス粒子を前駆体に混合することにより、マイクロ波の照射時間を短くすることができる。また、磁石の充填率を高め、且つ磁石粉末の酸化を防止することがで
きる。
請求項5に記載の発明によれば、ペーストは、希土類磁石粉末の他、熱硬化性樹脂を少なくとも含んでいる。また、希土類磁石粉末にマイクロ波を照射して、磁石の自己発熱により熱硬化性樹脂を硬化させるので、前駆体の温度上昇が低くとも固化させることができる。熱硬化性樹脂を前駆体に混合することにより、マイクロ波の照射時間を短くすることができる。また、磁石の充填率を高め、且つ磁石粉末の酸化を防止することができる。
請求項6に記載の発明によれば、磁石粉末の平均粒径が、2〜90μmであるため、厚みが薄く、且つ高い充填率の磁石を形成することができる。
請求項7に記載の発明によれば、請求項1〜6の製造方法に従ってボンド磁石を製造するので、その厚みが2μm以上500μm以下であって、ボンド磁石の理論寸法体積に対する充填率が60%以上であるボンド磁石を得ることができる。
本発明の希土類元素−遷移金属系,希土類元素−遷移金属−窒素系(以下、R−TM系という)の希土類ボンド磁石の製造方法について以下に工程毎に説明する。尚、Rは希土類元素のうち少なくとも1種若しくは2種以上の元素であり、TMは遷移元素のうち少なくとも1種若しくは2種以上の元素である。
(1)希土類系磁石粉末
本発明のR−TM系合金を構成する異方性希土類元素は、Y(イットリウム)と、ランタノイド元素(La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLu)等を好適に用いることができる。特にPr、NdまたはSmを用いると、著しく磁気特性を高めることができる。また、2種以上の希土類元素を組合せることにより、磁気特性である残留磁束密度と保持力を向上させることができる。
具体的には、異方性希土類磁石粉末は、SmCo5、SmCo17といったSm−Co系磁石粉末や、HDDR(Hydrogenation Decomposition Desorption Recombination)法により製造されるNdFe14B等のNd−Fe−B系磁石粉末を用いることができる。又は、Smを主とする希土類元素と、Feを主とする遷移金属と、Nを主とする格子間元素とを基本成分とするSm−Fe−N系磁石粉末を用いることができる。又は上記した希土類磁石粉末を2種以上混合しても良い。
以上のR−TM系の希土類磁石粉末は、一般的な溶解鋳造法の場合、希土類金属及び遷移金属等を所定の配合比で調合して、不活性ガス雰囲気中で高周波溶解する。さらに、得られた合金インゴットを熱処理し、ジョークラッシャー、ジェットミル又はアトライター等の粉砕機で所定の粒度に粉砕して製造する。この溶解時、不可避的不純物として、C、B等が含まれても特に問題は無い。
磁石粉末の粒径としては、平均粒径2〜90μmが好ましい。2μm未満では、酸化されやすい他、ボンド磁石作成時に凝集し配向の向上が得られず、磁気特性が低いものとなる。また、平均粒径が90μmを超える場合には、磁場をかけて磁化方向を揃えながら成形する際に、粒子が所望の磁化方向に向かず、磁気特性の低下を引き起こす。
さらに、厚みが例えば10μmの磁石を製造する際、異方性磁石粉末の平均粒径が90μmもある粉末を使用することは不可能である。また、異方性希土類ボンド磁石の厚みtと平均粒径dとが、下記の式1を満たすように、平均粒径を調整すると好ましい。
t=3×d1.04 ・・・(式1)
上記式を満たすように平均粒径dを調整すると、磁石を所望の厚みに成形することができ、且つ高充填率を確保することができる。
(2)スクリーン印刷用ペースト
基板に対する密着性等を向上させるために、スクリーン印刷用ペーストにガラス粒子を用いる場合、上記磁石粉末及びガラス粒子の他、バインダー樹脂、有機溶媒及び分散剤を用いる。
ガラス粒子は、酸化物のケイ素、ホウ素、鉛、亜鉛、ビスマスやバリウム等を主成分とする材質からなる。このガラス粒子は、異なる種類のものを組み合わせて使用できる。また、ガラス粒子の平均粒径は、1μm以下とするのが好ましい。1μm以下とすると、異方性希土類磁石粉末の間にガラス粒子が入り込み、焼成後の密度向上が得られるとともに、基板との密着性も増大する。また、基板材質の熱膨張率に合わせてガラス粒子の材質を選択すると、さらに密着性を向上させることができるので、より好ましい。
バインダー樹脂としては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ニトロセルロース等のセルロースや、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリエチレン、ポリアミド、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリマーを用いることができる。このようなバインダー樹脂はガラスペーストに適正な粘性を与えるものであればよく、各種樹脂を組み合わせて使用してもよい。
有機溶媒としては、酢酸エステル、ケトン、エーテルやアルコール類を用いることができる。有機溶媒は、異方性希土類磁石粉末とガラス粒子の分散媒として作用し、ペーストに混合することによって適度な流動性及び粘度を確保することができる。
分散剤としては、界面活性剤、高分子化合物、疎水性樹脂や親水性樹脂等を用いることができる。分散剤は、異方性希土類磁石粉末とガラス粒子とを効率良く分散できるものであれば、各化合物を組み合わせて使用できる。
上記混合物の組成は、ペーストの流動性、磁場をかけて磁化方向を揃えるための滑り性,均一に充填又は配向させるための分散性、成形体の撥水性、密度向上又は強度向上、基板との密着性を左右する要因となり、上記のように組成することによって、上記した特性を満たすことができる。
ペースト中のガラス粒子、バインダー樹脂、有機溶媒及び分散剤の割合は、磁石粉末に対し10wt%以上40wt%以下の範囲にすることが好ましい。10wt%未満では、スクリーン印刷可能なペースト状態にはならず、40wt%を超えると、希土類磁石粉末の体積割合が減少することになり、磁気特性の低下を招く。
一方、ペーストに熱硬化性樹脂を用いる場合には、上記した磁石粉末及び熱可塑性樹脂の他、各添加剤を用いる。熱硬化性樹脂として、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂等を用いることができる。この熱硬化性樹脂は、一液性又は二液性、液状又は固形いずれの状態であっても、加熱して硬化反応を示すものであれば、あらゆる種類のものを組み合わせて使用することができる。熱硬化性樹脂の添加量は、磁石粉末に対し10wt%以上40wt%以下の範囲が好ましい。10wt%未満では、スクリーン印刷に適したペースト状態にならず、40wt%を超えると、希土類磁石粉末の体積割合が減少することにより、磁気特性の低下を招く。
添加剤としては、有機溶剤、分散剤、界面活性剤、カップリング剤、滑剤、離型剤、難
燃剤、安定剤、無機充填剤、顔料等を用いることができる。この添加剤は、スクリーン印刷するための流動性、磁場をかけて磁化方向を揃えるための滑り性、均一に充填或いは配向するための分散性、成形体の撥水性、密度又は強度向上、基板との密着性等のために添加される。
(3)混合
上記希土類系磁石粉末とその他の材料とを、遊星式攪拌機、プロペラ式撹拌機、振動式攪拌機、すり潰し式攪拌機や三本ロールミル等で混合分散させることにより、ペーストを得ることができる。このとき、有機溶剤等によって、特にガラス粒子及び添加剤を均一に混合するために粘度を調整すると、より好ましい。
(4)スクリーン印刷及び配向
本実施形態では、スクリーン印刷装置と、ヨーク及び電磁コイルを備えた配向装置とを用いる。尚、スクリーン印刷機構及び配向機構を一体にしてもよい。即ち、ヨーク及び電磁コイルを、スクリーン印刷機構の台座を挟むように配置し、スクリーン印刷が完了した際に、台座に基板を載置した状態で配向するようにしてもよい。
図1はスクリーン印刷装置1の要部を示す模式図である。スクリーン印刷装置1は、枠体2と、枠体2に嵌合されたスクリーンメッシュ3と、スキージ4とを備えている。また、スクリーン印刷装置1は、ペーストを塗布する被印刷体としての基板5を載置するステージと、スキージ4を該ステージに対して相対移動させる移動機構とを備えるようにしてもよい。
スクリーンメッシュ3は、所望の磁石形状のパターンに合わせて、開口部3aを備えている。スクリーン印刷を行う際には、基板5にスクリーンメッシュ3を重ねた状態で、スキージ4をX方向に移動させながらペーストを塗布する。これにより、スクリーンメッシュ3の開口部3aには、ペーストが充填される。
次に、図2に示すように、スクリーンメッシュ3に蓋部としての押さえ蓋10を重ね、基板5、スクリーンメッシュ3及び押さえ蓋10を、製造装置としての配向装置6に設置する。押さえ蓋10は、基板5に形成された各開口部3aを全て閉塞可能な形状に形成されている。
配向装置6は、配向機構を構成するヨーク7及び電磁コイル8を備えている。配向の際には、押さえ蓋10を被せたスクリーンメッシュ3及び基板5の上下に、各電磁コイル8及び各ヨーク7を配置した状態で、10kOe(エルステッド)以上の磁場を印加して、ボンド磁石の前駆体を形成する。これにより、図3に示すように、基板5のパターン形成領域に磁力線が集中し、磁場強度も十分な状態にすることができる。
配向の際、スクリーンメッシュ3が磁性体だと、図4に示すように、磁力線の方向がスクリーンメッシュ3の方向に偏倚し、配向に必要な磁場強度が低下する現象が起きる。このため、スクリーンメッシュ3が非磁性体である場合は、必要な磁場強度を確保することができるが、スクリーンメッシュ3が磁性体である場合には、押さえ蓋10又は基板5を磁性体にすることにより、磁力線の偏りを抑制し、磁力線分布を改善することができる。
図5に示すように、押さえ蓋10がスクリーンメッシュ3上に載置された状態で磁場を印加した場合、開口部3aに入り込んだペーストPは、押さえ蓋10、基板5、スクリーンメッシュ3によって形成された、閉じられた空間S内で配向される。このため、ペーストP内の磁石粒子Mが、磁力線MFの方向に沿って配列しようとしても、空間S内に閉じこめられているため、厚みが一定になり、理論寸法体積に対する充填率も高くなり、配向
度も向上することができる。また、基板5に対する接触面積が拡大するため、基板5への密着性も良好に確保することができる。
図6に示すように、押さえ蓋10をスクリーンメッシュ3上に載置せずに磁場を印加した場合、ペーストP内の磁石粒子Mは、ある一粒子を核とし、磁力線MFの方向に沿って連なる。その結果、ペーストP内のバインダー樹脂等がスクリーンメッシュ3から盛り上がった状態となる。従って、基板5との接触面積も減少し、所望とする寸法を得ることはもちろんできず、理論寸法体積に対し充填率が低いものとなる。よって、磁気特性はもちろん基板に対しての密着性も充分なものを得られない。
(5)ガラス粒子溶融
ペーストPにガラス粒子を混合した場合、スクリーン印刷及び配向工程が終了した後、前駆体に対してマイクロ波を照射することでガラス粒子を溶融させる。このように希土類磁石粉末を選択的且つ急速に自己発熱させることによって、150〜500℃まで数分で昇温する。希土類磁石粉末の自己発熱により生じた熱は、磁石粉末の間隙或いは表面に付着しているガラス粒子に伝わり、ガラス粒子は磁石粉末から伝播した熱により溶融する。このとき、試料全体が均一に昇温することにより、ペーストP内のガラス粒子全体が溶融する。ペーストPにガラス粒子を混合した場合、ガラスと基板5との熱膨張係数との差が小さくなるため、リフロー等の加熱時に成形品又はその前駆体が基板5から剥離するような事態を抑制することができる。
前駆体に照射するマイクロ波の周波数は、1GHz以上30GHz以下が好ましい。1GHz未満では、アーク放電が生じやすく、30GHzより大きいと、所望する温度以上に加熱されてしまう。雰囲気は、大気、真空、窒素等の不活性ガスのいずれでも良いが、磁石の酸化抑制の観点から、真空又は不活性ガス中がより好ましい。
(6)熱硬化性樹脂硬化
ペーストに熱硬化性樹脂を混合した場合、スクリーン印刷終了後、得られた前駆体に対してマイクロ波を照射することで熱硬化性樹脂を硬化させる。希土類磁石粉末の自己発熱により生じた熱は、磁石粉末の間隙或いは表面に付着している熱硬化性樹脂に伝わり、熱硬化性樹脂は瞬時に硬化する。このとき、試料全体が均一に昇温することにより、未硬化部のない高強度の希土類系ボンド磁石を得ることができる。また、マイクロ波照射により数分で所定温度まで昇温することができるので、処理時間を短縮化するとともに合金粉末の酸化を抑制することができる。
前駆体に照射するマイクロ波の周波数は、ガラス粒子溶融の場合と同様に、1GHz以上30GHz以下が好ましい。
(7)冷却処理
マイクロ波照射を行った後、前駆体の冷却処理を行う。即ち、マイクロ波の照射を終了すると、希土類磁石粉末自身は迅速に冷却されるものの、多少の酸化は免れない。これに対し、マイクロ波の照射出力を低下しながら、冷却させる方法も試みたが、ある出力以下になると酸化反応が優先的になり、僅かではあるが磁気特性の低下が見られる。このため、真空引き、或いは窒素やアルゴンガス等の不活性ガス中にて室温まで冷却する必要があり、外部冷却を併用して行うことも場合によっては好ましい。
これにより、基板5上に、厚みが2〜500μmであって、理論寸法体積に対する充填率が60%以上である厚みの薄い磁石を形成することができる。
以上により、基板上に形成されたボンド磁石を得ることができ、そのまま部品として組み込みを行うか、所望とする寸法に加工を実施する。また、着磁方法は、定常磁場或いはパルス磁場により製品に組み込む前または組み込んでから行うことができ、磁場強度15kO
e以上あれば好ましい。以上の方法により、本発明のボンド磁石を作製することができる
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、希土類磁石粉末を混合したペーストPを、開口部3aを有するスクリーンメッシュ3を介して、基板5の一面に塗布し、ペーストPが充填された開口部3aを押さえ蓋10により密閉し、基板5に付着したペーストPを、スクリーンメッシュ3及び押さえ蓋10により密閉した状態で磁場を印加する。このため、優れた磁気特性を維持しながら、ボンド磁石を所望の形状に形成することができる。また、磁石の充填率や被印刷体への密着性も向上することができる。
(2)上記実施形態では、スクリーンメッシュ3を非磁性体とするか、或いは、押さえ蓋10又は基板5を磁性体とすることにより、磁力線の分布の偏りを抑制するようにした。このため、良好な磁気特性を有するボンド磁石を形成することができる。
(3)上記実施形態では、ペーストPに、希土類磁石粉末及びガラス粒子を混合し、ペーストPに磁場を印加して形成された前駆体に、マイクロ波を照射して、希土類磁石粉末による発熱によりガラス粒子を溶融する。或いは、ペーストPに、希土類磁石粉末及び熱硬化性樹脂を混合し、ペーストPに磁場を印加して形成された前駆体に、マイクロ波を照射して、希土類磁石粉末の発熱により熱硬化性樹脂を硬化する。このため、前駆体を、短時間で均一に昇温することができる。また、磁石の充填率を高め、処理時間を短縮化することができる。
(4)上記実施形態では、磁石粉末の平均粒径を、2〜90μmに調整した。このため、厚みが薄く、且つ高い充填率の磁石を形成することができる。
尚、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、板状の基板5にボンド磁石を形成したが、その他の被印刷体にスクリーン印刷するようにしてもよい。
・上記実施形態では、ヨーク7の間に、スキージ4が移動するスペースを設けた配向装置としてもよい。この場合、ペーストの塗布が完了してから、磁場を印加する。
以下、実施例について比較例を用いながら詳細に説明するが、本発明は実施例によって何ら限定されるものではない。
(実施例1〜5)
希土類磁石粉末として、SmFe17磁石粉末を用い、アトライター粉砕により、平均粒径2μm、3μm、30μm、90μm、100μmにそれぞれ粒度調整した。
ガラス粒子は、低融点ガラスを使用した。また、バインダー樹脂としてセルロース樹脂を用い、その他に分散剤stを用いた。混合物の組成は、希土類系磁石粉末70wt%、セルロース1.5wt%、分散剤0.2wt%とし、その残分に有機溶媒ブチルカルビトールアセテートを配合した。さらに、遊星式攪拌機で混合分散し、磁石粉末の平均粒径が異なる5種類のペーストを作製した。
そのペーストを、非磁性体であるスクリーンメッシュ3を用いて、非磁性Si基板へスクリーン印刷し、押さえ蓋10を重ねて15kOeの磁界を印加した後、押さえ蓋10を取除いて前駆体を形成した。このとき、成形体の設計上の寸法を、幅0.5mm×長さ0.5mmであって、厚さをそれぞれ0.02mm,0.3mmに設定した。
その後、真空中の炉内にて成形体にマイクロ波周波数2.45GHz、出力1.5kWの条件下で照射し、350℃に温度上昇させた後、この状態を2分間保持した。さらに、マイクロ波照射の後、成形体を、アルゴンガス雰囲気下で室温まで冷却し、本発明の希土類系ボンド磁石を得た。
このようにして作製した希土類系ボンド磁石の磁気特性及び配向度を試料振動型磁力計(以下VSMと記す)によって計測した。尚、配向度は以下の式2に準じて求められる。Mxは配向方向の残留磁束密度、My,Mzは、配向方向に対しそれぞれ垂直方向である残留磁束密度である。
配向度(%)=100×Mx/(Mx+My+Mz1/2 ・・・(式2)
また成型体の寸法(厚み)を測定し、充填率及びクロスカット法をJIS K 5600−5−6に準じて測定した。特に平均粒径の影響を示すため、厚さ0.02mmの結果を表1に、厚さ0.3mmの結果を表2に、それぞれ表した。
(実施例6)
上記実施例2と同様に、希土類磁石粉末の平均粒径を3μmとし、スクリーンメッシュ3の材質を磁性材にするとともに、押さえ蓋10の材質を強磁性材に変更し、基板の材質を磁性材に変更した以外は同様に実施した。
Figure 2009158860
Figure 2009158860
(比較例1)
上記実施例2と同様に、希土類磁石粉末の平均粒径を3μmとし、配向工程の際に、押さえ蓋10を取り外した以外は同様に実施した。
(比較例2)
上記実施例2と同様に、希土類磁石粉末の平均粒径を3μmとし、スクリーンメッシュ3の材質を磁性材に変更した以外は同様に実施した。
(実施例1〜5)
希土類磁石粉末として、SmFe17磁石粉末を用い、アトライター粉砕により、平均粒径2μm、3μm、30μm、90μm、100μmにそれぞれ粒度調整した。
熱硬化性樹脂として、耐熱性が良好であるエポキシ樹脂を使用し、添加剤として分散剤stを用いた。混合物の組成は、希土類系磁石粉末70wt%、エポキシ樹脂29.5wt%、分散剤0.5wt%とし、それらを遊星式攪拌機で混合分散し、磁石粉末の平均粒径が異なる5種類のペーストを作製した。
さらに、非磁性体のスクリーンメッシュ3を用いて、そのペーストを非磁性Si基板へスクリーン印刷し、押さえ蓋10をスクリーンメッシュ3に重ねて、15kOeの磁界を印加した後、押さえ蓋10を取り除いて前駆体を形成した。このとき、成形体の設計上の寸法を、幅0.5mm×長さ0.5mmであって、厚さをそれぞれ0.02mm、0.3mmに設定した。
その後、真空中の炉内にて成形体に、マイクロ波周波数2.45GHz、出力1.5kWの条件下で照射し、250℃に温度上昇させた後、その状態を2分間保持した。さらに、成形体をアルゴンガスの雰囲気下で室温まで冷却して、本発明の希土類系ボンド磁石を得た。
このようにして作製した希土類系ボンド磁石の磁気特性及び配向度をVSMによって計測した。また成型体の寸法(厚み)を測定し、充填率及びクロスカット法をJIS K
5600−5−6に準じて測定した。特に平均粒径の影響を示すため、厚さ0.02mmの結果を表3に、厚さ0.3mmの結果を表4に、それぞれ表した。
(実施例6)
上記実施例2と同様に、希土類磁石粉末の平均粒径を3μmとし、スクリーンメッシュ3の材質を磁性材にするとともに、押さえ蓋10の材質を強磁性材に変更し、基板の材質を磁性材に変更した以外は同様に実施した。
Figure 2009158860
Figure 2009158860
(比較例1)
上記実施例2と同様に、希土類磁石粉末の平均粒径を3μmとし、配向工程の際に、押さえ蓋を取り外した以外は同様に実施した。
(比較例2)
上記実施例2と同様に、希土類磁石粉末の平均粒径を3μmとし、スクリーンメッシュ3の材質を磁性材に変更した以外は同様に実施した。
スクリーン印刷装置の模式図。 配向装置の断面図。 本実施形態の磁力線の分布を示す模式図。 比較例の磁力線の分布を示す模式図。 本実施形態の基板、スクリーンメッシュ及び押さえ蓋の積層体の断面図。 押さえ蓋を取り除いた場合の積層体の断面図。
符号の説明
1…製造装置としてのスクリーン印刷装置、3…スクリーンメッシュ、3a…開口部、5…被印刷体としての基板、6…製造装置としての配向装置、7…配向機構を構成するヨーク、8…配向機構を構成する電磁コイル、10…蓋部としての押さえ蓋、d…平均粒径、M…磁石粉末、P…ペースト。

Claims (8)

  1. ボンド磁石の製造方法において、
    磁石粉末を混合したペーストを、開口部を有するスクリーンメッシュを介して、被印刷体の一面に塗布し、前記ペーストが充填された前記開口部を蓋部により密閉し、前記被印刷体に付着した前記ペーストを、前記スクリーンメッシュ及び前記蓋部により密閉した状態で磁場を印加することを特徴とするボンド磁石の製造方法。
  2. 請求項1に記載のボンド磁石の製造方法において、
    前記スクリーンメッシュを非磁性体とすることを特徴とするボンド磁石の製造方法。
  3. 請求項1に記載のボンド磁石の製造方法において、
    前記蓋部又は前記被印刷体を、磁性体とすることを特徴とするボンド磁石の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のボンド磁石の製造方法において、
    前記ペーストは、希土類磁石粉末及びガラス粒子を含有し、
    前記ペーストに磁場を印加して形成された前駆体に、マイクロ波を照射して、前記希土類磁石粉末による発熱により前記ガラス粒子を溶融することを特徴とするボンド磁石の製造方法。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のボンド磁石の製造方法において、
    前記ペーストは、希土類磁石粉末及び熱硬化性樹脂を含有し、
    前記ペーストに磁場を印加して形成された前駆体に、マイクロ波を照射して、前記希土類磁石粉末の発熱により前記熱硬化性樹脂を硬化することを特徴とするボンド磁石の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のボンド磁石の製造方法において、
    前記磁石粉末の平均粒径は、2μm〜90μmであることを特徴とするボンド磁石の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のボンド磁石の製造方法によって製造され、その厚みが2μm以上500μm以下であって、ボンド磁石の理論寸法体積に対する充填率が60%以上であることを特徴とするボンド磁石。
  8. 開口部を有するスクリーンメッシュを介して被印刷体に塗布された磁石ペーストを配向するボンド磁石の製造装置において、
    前記被印刷体に重ねられた前記スクリーンメッシュの前記開口部を密閉する蓋部と、
    前記被印刷体、前記スクリーンメッシュ及び前記蓋部が重ねられた状態で磁場を印加する配向機構と
    を備えたことを特徴とするボンド磁石の製造装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2016157812A (ja) * 2015-02-24 2016-09-01 トヨタ自動車株式会社 異方性磁石薄帯の製造方法

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