JP2009157363A - 積層光学製品、光学表示装置および光学表示装置の製造方法 - Google Patents

積層光学製品、光学表示装置および光学表示装置の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】離型フィルム剥離の際に生じる光学部材の帯電状態を、光学部材内に設けた導電層によって制御して、光学部材を光学表示ユニット(液晶セル)に好適に貼り合わせることができる積層光学製品、光学表示装置、および光学表示製品の製造方法を提供することにある。
【解決手段】離型フィルム12と、当該離型フィルム12に粘着剤層14を介して設けられる光学部材11とを有する積層光学製品1であって、光学部材11は、偏光子11aと、導電層11b1とを有し、当該導電層11b1の表面抵抗値が10Ω/□以上10Ω/□以下であることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、離型フィルムと、当該離型フィルムに粘着剤層を介して設けられた光学部材とを有する積層光学製品に関する。また、光学表示ユニットと、当該光学表示ユニットに粘着剤層を介して設けられた光学部材とを有する光学表示装置に関する。また、当該光学表示装置の製造に用いられる光学表示装置の製造方法に関する。
従来の光学表示装置(液晶表示装置)の製造方法を図10に概念的に示す。まず、光学フィルム製造メーカにおいて、光学部材を有する長尺のシート製品をロール原反として製造し(#1)、所定サイズにスリットする(#2)。この光学部材として、例えば、液晶表示装置に用いられる偏光板、偏光板と位相差板の積層フィルム等がある。次いで、スリットされた長尺の原反を、光学表示ユニット(液晶セル)のサイズに合わせて定尺切断し(#3)、定尺切断された枚葉のシート製品を外観検査し(#4)、完成品検査をする(#5)。次いで、枚葉のシート製品の4方の端面を端面加工する(#6)。次いで、クリーンルーム環境において、枚葉のシート製品をクリーン包装し(#7)、輸送用の梱包をする(#8)。以上のようにして枚葉のシート製品が製造され、パネル加工メーカに輸送される。
パネル加工メーカでは、枚葉のシート製品を梱包解体し(#11)、輸送中あるいは梱包解体時に生じた傷、汚れ等を検査するために外観検査をする(#12)。検査で良品判定された枚葉のシート製品は、次工程に搬送される。枚葉のシート製品が貼り合わされる光学表示ユニット(液晶セル)は、予め製造され、この光学表示ユニット(液晶セル)は、貼り合わせ工程の前に洗浄される(#13)。
枚葉のシート製品と光学表示ユニット(液晶セル)を貼り合わせて光学表示装置を形成する(#14)。枚葉のシート製品から粘着剤を残して離型フィルムが剥離され、粘着剤を貼り合わせ面として光学表示ユニット(液晶セル)の一方の面に貼り合わせる。さらに、光学表示ユニット(液晶セル)の他方の面にも同様に貼り合わせることができる。
また、特開2007−140046号公報(特許文献1)の製造方法が知られている。この製造方法は、光学部材を有するシート製品が巻回されたロール原反からシート製品を繰り出し、シート製品の欠陥を検出し、この検出結果に基づいてシート製品を切断し、枚葉のシート製品に加工する。次いで離型フィルムが剥離された後に光学部材を液晶セルに貼り合わせる。
また、特開2005−37416号公報(特許文献2)の製造方法が知られている。この製造方法は、シート製品のうち離型フィルムを残して、他の光学部材(例えば偏光板)を切断し、この離型フィルムによってシート製品の連続性を維持させておく。そして、この離型フィルムを剥離しながら、粘着剤を介して光学部材を光学表示ユニット(液晶セル)に貼り合せる方法である。
上述の従来の枚葉シート製品の貼合わせ方法、および特許文献1、2において、光学部材から離型フィルムを剥離した際に、光学部材が帯電する。かかる帯電状態の光学部材を光学表示ユニット(液晶セル)に貼り合わせると、光学表示ユニット(液晶セル)に破壊等の障害を与える恐れがある。また、帯電状態の光学部材は扱い難く、光学表示ユニット(液晶セル)との貼り合わせを良好に行うことができない。
また、特開2001−147320号公報(特許文献3)が知られている。特許文献3において、偏光子保護フィルムであるポリエステルフィルムの一方面に、表面抵抗が1×1012Ω以下の塗布層を形成し、その反対面に粘着剤を介して偏光子を貼着した積層構成が記載され、この塗布層が偏光子保護フィルムの表面に設けられる構成である。しかしながら、この積層構成には、離型フィルムが設けられておらず、特許文献3は、上述したような離型フィルムの剥離による帯電問題や、光学表示ユニット(液晶セル)との貼り合わせ問題を何ら解決するものではない。
特開2007−140046号公報 特開2005−37416号公報 特開2001−147320号公報
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、離型フィルム剥離の際に生じる光学部材の帯電状態を、光学部材内に設けた導電層によって制御して、光学部材を光学表示ユニット(液晶セル)に好適に貼り合わせることができる積層光学製品、光学表示装置、および光学表示装置の製造方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、以下の本発明を完成するに至ったものである。
本発明は、離型フィルムと、当該離型フィルムに粘着剤層を介して設けられる光学部材とを有する積層光学製品であって、
前記光学部材は、偏光子と、導電層とを有し、当該導電層の表面抵抗値が10Ω/□以上10Ω/□以下であることを特徴とする。
この構成によれば、積層光学製品は、離型フィルムと、当該離型フィルムに粘着剤層を介して設けられる光学部材と、を少なくとも有する。また、積層光学製品は、離型フィルムが設けられる表面と反対の表面に、弱粘着剤層を介してあるいは直接に光学部材に設けられる表面保護部材をさらに有してもよい。この表面保護部材は、光学部材表面の保護のために設けられるものであり、例えば光学表示装置に組み込まれる際には剥離される。光学部材は、偏光子と、導電層とを有する。積層光学製品は、例えば、位相差板、輝度向上フィルム、視角補償フィルム、光拡散フィルム、配向フィルム等をさらに有していてもよい。
上記導電層の表面抵抗値が、10Ω/□以上10Ω/□以下である。導電層の表面抵抗値を10Ω/□以下にすることで、離型フィルム剥離時の光学部材の帯電の程度を減少させ、貼り合わせ時の光学表示ユニット(液晶セル)への影響、例えば液晶セルの回路破壊、液晶の配向不良、ドット抜け等を好適に防止できる。また、導電層の表面抵抗値を10Ω/□以上にすることで、離型フィルム剥離時の光学部材の帯電を程よく生じさせて、光学部材を弾性ローラ等の押圧手段に好適に密着させることができ、光学表示ユニット(液晶セル)との貼り合わせを良好に行える。また、導電層の表面抵抗値は10Ω/□以上10Ω/□以下であることがより好ましい。
導電層の材料は、特に制限されない。例えば、導電層が、帯電防止剤とバインダーとで構成される場合、帯電防止剤とバインダーとの重量比や導電層の膜厚を調整することにより、導電層の表面抵抗値を調整することができる。
また、上記導電層は、膜厚が70nm以上500nm以下であることが好ましい。
膜厚が70nm未満であると、膜厚均一性が充分でなく、導電層の表面抵抗値を10Ω/□以上10Ω/□以下の範囲に設定し難く、本発明の効果が得られなくなる恐れがある。500nmを超えると、呈色などにより光学特性が低下する恐れがある。より好ましくは、100nm以上400nm以下であり、更に好ましくは200nm以上400nm以下である。
また、上記光学部材は、偏光子を保護する偏光子保護フィルムをさらに有し、前記導電層は、偏光子保護フィルムの表面に設けられた構成であることが好ましい。
偏光子保護フィルムは、偏光子を保護する目的で設けられ、偏光子保護フィルムは、単層でもよく積層構成でもよい。偏光子保護フィルムは、偏光子の片面あるいは両面に設けられる。偏光子保護フィルムが偏光子の両面に設けられる場合、それぞれの偏光子保護フィルムが同じ構成でもよく異なる構成でもよい。偏光子の両面に偏光子保護フィルムが形成される場合、その片方あるいは両方に導電層が形成されてもよい。また、離型フィルムが貼着された光学部材面と反対面側に設けられることが好ましい。それは、光学表示ユニット(液晶セル)と偏光子との間に、導電層付の偏光子保護フィルムが介在していると、その影響によって、表示特性が低下するため、高品質表示には適さないからである。
光学部材が積層構成の場合、それぞれの積層間は、例えば接着剤、粘着剤等を介して設けられ、例えば、偏光子と偏光子保護フィルムとの間に、接着剤層が介在している構成が例示される。また、多層押出し製造手法によって形成された積層フィルムを部材として用いて光学部材を構成することもできる。
また、本発明において、上記導電層は、偏光子保護フィルムの偏光子側と反対側の表面に設けられてもよいが、導電層が、前記偏光子保護フィルムの偏光子側の表面に設けられた構成であることが好ましい。
この構成によれば、導電層が離型フィルムにより近い位置に配置されるため、離型フィルム剥離時の光学部材の帯電の程度をより減少させ、貼り合わせ時の液晶セルへの影響をよりなくすことができる。
また、上記偏光子保護フィルムは、オレフィン系樹脂フィルム、ポリエステル系樹脂フィルム、及びポリカーボネート系樹脂フィルムからなる群から選択された少なくとも1種で構成されることが好ましい。
偏光子保護フィルムは、単層フィルム構成でもよく積層フィルム構成でもよい。オレフィン系樹脂フィルムとしては、例えばポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、シクロオレフィン等が挙げられる。また、ポリエステル系樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等が挙げられる。こられの樹脂フィルムは、公知の方法で製造される。また、樹脂フィルムの組成成分中に、各種目的に応じた他の成分が含まれていても良い。
上記の樹脂フィルムで構成された偏光子保護フィルムは、離型フィルム剥離の際に、帯電し易い性質であるため、この偏光子保護フィルムに導電層を設けていることが好ましい。
上記積層光学製品が、離型フィルム、粘着剤層、第1偏光子保護フィルム、偏光子、第2偏光子保護フィルムの順に積層された構造を有する場合、第1偏光子保護フィルムは、例えば、トリアセチルセルロース(TAC)フィルムであり、第2偏光子保護フィルムは、帯電しやすい性状の上述の各種フィルムであり、その中でもポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが機械強度、耐熱性の観点から好ましい。この構成によれば、PETフィルムが偏光子と液晶セルの間にはさまれることがなく、良好な表示品質を得ることができる。
また、他の本発明の光学表示装置は、光学表示ユニットと、当該光学表示ユニットに粘着剤層を介して設けられた光学部材とを有する光学表示装置であって、前記光学部材は、偏光子と、導電層とを有し、当該導電層の表面抵抗値が10Ω/□以上10Ω/□以下であることを特徴とする。
この構成によれば、表面抵抗値が10Ω/□以上10Ω/□以下の導電層を光学部材に設けてあるため、貼り合わせ時の帯電の影響を制御して光学表示ユニットへの影響をなくすことができるので、例えば、光学表示ユニットが液晶セルの場合、その回路破壊、液晶の配向不良、ドット抜け等の破損のない高品質の光学表示装置を提供できる。
また、他の本発明の光学表示装置の製造方法は、上記の光学表示装置を製造する方法であって、当該製造方法は、上記の積層光学製品から、離型フィルムを剥離することにより露出した粘着剤層を介して光学部材を光学表示ユニットに、当該光学部材を当該光学表示ユニットに向かって押圧手段で押圧することで、貼り合せる貼合工程を有することを特徴とする。
この構成によれば、導電層の表面抵抗値を102Ω/□以上10Ω/□以下にすることで、離型フィルム剥離時の帯電の程度を好適範囲に制御でき、光学部材と光学表示ユニットとの貼り合せを良好に行えると共に、光学表示ユニットへの悪影響、例えば光学表示ユニットが液晶セルの場合、その回路破壊、液晶の配向不良、ドット抜け等を好適に防止できる。なお、上記弾性ローラの材料は、弾性体であるかぎり特に限定されず、シリコンゴム、ニトリルブチルゴム等が挙げられる。
また、上記の本発明の一実施態様として、押圧手段を弾性ローラで構成する。この構成によれば、離型フィルム剥離時の光学部材の帯電が適度に制御されているため、弾性ローラと良好に密着させながら、光学部材を光学表示ユニットに貼り合せることができると共に、光学表示ユニットへの悪影響、例えば光学表示ユニットが液晶セルの場合、その回路破壊、液晶の配向不良、ドット抜け等を好適に防止できる。
また、上記の本発明の一実施態様として、前記光学表示装置の製造方法は、吸着固定手段で、前記積層光学製品を吸着固定する吸着固定工程をさらに有し、
前記貼合工程は、前記吸着固定手段に吸着固定された積層光学製品から離型フィルムを剥離した後、当該離型フィルムの剥離により露出した粘着剤層を介して光学部材を光学表示ユニットに、当該光学部材を当該光学表示ユニットに向かって当該吸着固定手段で押圧することで、貼り合せることを特徴とする。
この構成によれば、吸着固定手段で吸着固定された積層光学製品からの離型フィルムの剥離によって生じる積層光学製品の帯電は導電層によって適度に制御されており、積層光学製品と吸着固定手段との密着性が良くなる。特に、積層光学製品の端部分と吸着固定手段との密着性がよくなり、当該端部分の剥がれやヨレ等を好適に防止できる。このように密着性がよく、剥がれやヨレがない状態で、光学部材を光学表示ユニットに押圧して、光学表示ユニットに貼り合せることができる。よって、離型フィルム剥離時の帯電が適度に制御されているため、吸着固定手段と良好に密着させながら、光学表示ユニットに貼り合せることができると共に、光学表示ユニットへの悪影響、例えば光学表示ユニットが液晶セルの場合、その回路破壊、液晶の配向不良、ドット抜け等を好適に防止できる。
また、上記の製造方法において、積層光学製品から離型フィルムを剥離する第1離型フィルム剥離工程と、離型フィルムが剥離された光学部材の欠点検査をする欠点検査工程と、離型フィルム(貼合工程で剥離される離型フィルム)を粘着剤層を介して積層光学製品に貼り合せる第2離型フィルム貼合工程を、さらに有する構成を例示できる。
欠点検査において、離型フィルムに内在する位相差および、離型フィルムに付着または内在する異物やキズ等の欠点を考慮する必要がなく、光学部材の欠点検査を行なえる。再び積層光学製品に貼着される離型フィルムは、使用済みあるいは未使用のものでもよい。なお、欠点検査は公知の方法が適用できる。
「欠点」は、例えば、表面又は内部の汚れ、傷、異物をかみ込んだ打痕状のひねったような特殊状欠点(クニックと称されることがある)、気泡、異物等を意味している。
光学表示装置は、例えば、液晶表示装置、有機EL表示装置が挙げられる。液晶表示装置は、光学表示ユニットとして液晶セルを有する。また、有機EL表示装置は、光学表示ユニットとして、有機ELセルを有する。
(実施形態1)
本発明の実施形態1について以下に説明する。
(積層光学製品の構成)
図1は、実施形態1に用いられる積層光学製品の構成を示す断面模式図である。積層光学製品1は、光学部材11と、離型フィルム12と、表面保護部材13と、粘着剤層14と、弱粘着剤層15を有する。
第1偏光子保護フィルム11cは、例えばトリアセチルセルロース(TAC)フィルムである。離型フィルム12は、第1偏光子保護フィルム11cと粘着剤層14を介して設けられている。また、表面保護部材13は、第2偏光子保護フィルム11bと弱粘着剤層15を介して設けられている。
偏光子11a側の第2偏光子保護フィルム面に、導電層11b1が形成される。この導電層11b1と偏光子11aとの間に不図示の接着剤層が設けられる。また、別実施形態として、導電層を第2偏光子保護フィルム11b面に形成するとともに、あるいは第2偏光子保護フィルム11b面に形成せずに、第1偏光子保護フィルム11c面に形成する構成もある。
離型フィルム12は、粘着剤層14の露出面に対して、その汚染防止等を目的に仮着されている。これにより、通例の取扱状態で粘着剤層14に接触することを防止できる。離型フィルム12としては、例えばプラスチックフィルム、ゴムシート、紙、布、不織布、ネット、発泡シートや金属箔、それらのラミネート体等の適宜な薄葉体を、必要に応じシリコーン系や長鎖アルキル系、フッ素系や硫化モリブデン等の適宜な剥離剤でコート処理したものなどの、従来に準じた適宜なものを用いうる。
光学部材11は、偏光子11aと、導電層11b1と、第2偏光子保護フィルム11bと、第1偏光子保護フィルム11cとで構成されている。また、光学部材11は、実用に際して各種光学層を積層した多層積層構造の光学フィルムが例示できる。その光学層については特に限定されるものではないが、例えば、偏光子保護フィルムの偏光子を接着させない面(接着剤塗布層を設けない面)に対して、ハードコート処理や反射防止処理、スティッキング防止や、拡散ないしアンチグレアを目的とした表面処理を施したり、視角補償等を目的とした配向液晶層を積層する方法があげられる。また、反射板や半透過板、位相差板(1/2や1/4等の波長板(λ板)を含む)、視角補償フィルムなどの液晶表示装置等の形成に用いられる光学フィルムを1層または2層以上貼りあわせたものもあげられる。
偏光子11aは、例えば、ポリビニルアルコール系フィルムによって構成される。このポリビニルアルコール系フィルムの染色、架橋、延伸の各処理は、別々に行う必要はなく同時に行ってもよく、また、各処理の順番も任意でよい。なお、ポリビニルアルコール系フィルムとして、膨潤処理を施したポリビニルアルコール系フィルムを用いてもよい。一般には、ポリビニルアルコール系フィルムを、ヨウ素や二色性色素を含む溶液に浸漬し、ヨウ素や二色性色素を吸着させて染色した後洗浄し、ホウ酸やホウ砂等を含む溶液中で延伸倍率3倍〜7倍で一軸延伸した後、乾燥する。ヨウ素や二色性色素を含む溶液中で延伸した後、ホウ酸やホウ砂等を含む溶液中でさらに延伸(二段延伸)した後、乾燥することにより、ヨウ素の配向が高くなり、偏光度特性が良くなるため、特に好ましい。
第1、第2偏光子保護フィルム11c、11bは、例えば、透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性などに優れる熱可塑性樹脂を材料とするフィルムで構成される。このような熱可塑性樹脂の具体例としては、トリアセチルセルロース等のセルロース樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、環状ポリオレフィン樹脂(ノルボルネン系樹脂)、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、およびこれらの混合物があげられる。また、偏光子保護フィルムとして、(メタ)アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化性樹脂または紫外線硬化型樹脂を用いることができる。偏光子保護フィルム中には任意の適切な添加剤が1種類以上含まれていてもよい。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、可塑剤、離型剤、着色防止剤、難燃剤、核剤、帯電防止剤、顔料、着色剤などがあげられる。偏光子保護フィルム中の上記熱可塑性樹脂の含有量は、好ましくは50〜100重量%、より好ましくは50〜99重量%、さらに好ましくは60〜98重量%、特に好ましくは70〜97重量%である。偏光子保護フィルム中の上記熱可塑性樹脂の含有量が50重量%以下の場合、熱可塑性樹脂が本来有する高透明性等が十分に発現できないおそれがある。また、非晶性POフィルム、シクロオレフィンポリマー(COP)系フィルム、アートンフィルム(JSR製)、ゼオノアフィルム(日本ゼオン製)等が挙げられる。
また、偏光子保護フィルムとしては、特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルム、例えば、(A)側鎖に置換および/または非置換イミド基を有する熱可塑性樹脂と、(B)側鎖に置換および/または非置換フェニルならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物があげられる。具体例としてはイソブチレンとN−メチルマレイミドからなる交互共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体とを含有する樹脂組成物のフィルムがあげられる。フィルムは樹脂組成物の混合押出品などからなるフィルムを用いることができる。これらのフィルムは位相差が小さく、光弾性係数が小さいため偏光板の歪みによるムラなどの不具合を解消することができ、また透湿度が小さいため、加湿耐久性に優れる。
偏光子保護フィルムの厚さは、適宜に決定しうるが、一般には強度や取扱性等の作業性、薄層性などの点より1〜500μm程度である。特に1〜300μmが好ましく、5〜200μmがより好ましい。偏光子保護フィルムは、5〜150μmの場合に特に好適である。
また、本発明において、第2偏光子保護フィルム11bが、オレフィン系樹脂フィルム、ポリエステル系樹脂フィルム、及びポリカーボネート系樹脂フィルムからなる群から選択された少なくとも1種で構成されることが好ましい。これらのフィルムは、帯電しやすい性状であり、その中でもポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムが機械強度、耐熱性の観点から好ましい。
表面保護部材13は、弱粘着剤15を介して形成される。その目的は、傷防止、汚染防止等が主目的である。表面保護部材としては、例えばプラスチックフィルム、ゴムシート、紙、布、不織布、ネット、発泡シートや金属箔、それらのラミネート体等の適宜な薄葉体を、必要に応じシリコーン系や長鎖アルキル系、フッ素系や硫化モリブデン等の適宜な剥離剤でコート処理したものなどの、従来に準じた適宜なものを用いうる。
粘着剤層14、弱粘着剤層15は、液晶セル等の他の部材と接着するために設けられている。粘着剤層14、弱粘着剤層15を構成する粘着剤としては、特に限定されるものではないが、アクリル系等の従来に準じた適宜な粘着剤にてそれぞれ形成することができる。
上記の導電層11b1の表面抵抗値は、102Ω/□以上10Ω/□以下であり、102Ω/□以上10Ω/□以下が好ましい。
導電層11b1の表面抵抗値を102Ω/□以上10Ω/□以下にすることで、離型フィルム12の剥離時の帯電の程度を好適範囲に制御できる。この帯電制御の作用メカニズムについて以下に説明する。積層光学製品1から離型フィルム12を剥離した際に、粘着剤層14表面に分極が発生する。これに対し、対電荷が光学部材11内に生じて、移動、供給される。すなわち内部電位差を打ち消す方向に動き、粘着剤層14表面の電荷と光学部材11内より供給される対電荷とが徐々に中和される。このとき導電層11b1は、この中和速度を速めるように作用する。その結果、貼り合わせ時には、分極の解消が進み、その周囲に対して静電誘導を小さくあるいは生じさせず、液晶セルに障害を与えることがない。
また、離型フィルム12の剥離による帯電は、その剥離速度に比例して強くなることや、離型フィルム12の構成材料及び粘着剤層14の構成材料等の剥離対象同士の組み合わせ、周辺環境温度、湿度によっても変動することが想定される。しかし、本発明による導電層の表面抵抗値を102Ω/□以上10Ω/□以下にすることで、光学表示装置の製造工程中の貼合工程の温度・湿度環境に関係なく(例えば、−10℃以上45℃以下の温度範囲、0、1%以上100%以下の湿度範囲)、また、離型フィルムの剥離速度に関係なく(例えば、剥離速度20mm/min以上、好ましくは50mm/min以上、より好ましくは100mm/min以上)、導電層の上記効果は、良好に発揮される。
また、離型フィルム12の剥離の際に生じる分極の解消のためには、導電層を離型フィルム12に近い位置に設けることが好ましく、例えば、粘着剤層14と第1偏光子保護フィルム11cとの間に導電層を設ける構成や、第1偏光子保護フィルム11cと偏光子11aとの間に導電層を設ける構成が例示できる。一方、導電層を表面保護部材13内に設けた場合には、離型フィルム12の剥離の際に生じる分極と導電層の距離が大きすぎるため、分極の解消や液晶セルへの貼り合わせを良好に行えない。また、本実施形態1のように、第2偏光子保護フィルム11bと偏光子11aとの間に導電層11b1を設けることで、離型フィルム12の剥離時に生じる分極の解消作用が良好となり、さらに、表面保護部材13の剥離時に生じる第2偏光子保護フィルム11b表面の分極の解消にも良好に作用するため好ましい。
また、導電層11b1の膜厚が、70nm以上500nm以下であることが好ましい。70nm以上にして、表面抵抗値を小さくし、導電性能を充分に発揮させることができる。また、500nm以下にして、呈色などによる光学特性低下を防ぐことができる。
また、導電層11b1の全光線透過率は、分光光度計を用いた測定において、PETフィルム11bのみの測定値を97%としたときに、導電層11b1形成されたPETフィルム11bの測定値が、92%以上が好ましく、94%以上がより好ましい。
導電層11b1を構成する帯電防止剤としては、例えば、イオン性界面活性剤系、導電性ポリマー、金属酸化物などの帯電防止性を付与できる材料等を用いることができる。導電性ポリマーとしては、TCNQ電荷移動錯体が好ましい。導電層を形成方法は、特に制限されず、公知のコート方法、スプレー方法が挙げられる。
上記のTCNQ電荷移動錯体としては、N−n−ブチルイソキノリニウム等の電子供与性を持つ分子をドナーとするTCNQ電荷移動錯体が例示される。TCNQは、電子受容体であり、7,7,8,8‐テトラシアノキノジメタンまたはその誘導体を意味する。
イオン性界面活性剤としては、カチオン系(例えば、4級アンモニウム塩型、ホスホニウム塩型、スルホニウム塩型等)、アニオン系(カルボン酸型、スルホネート型、サルフェート型、ホスフェート型、ホスファイト型等)、両性イオン系(スルホベタイン型、アルキルベタイン型、アルキルイミダゾリウムベタイン型等)またはノニオン系(多価アルコール誘導体、β−シクロデキストリン包接化合物、ソルビタン脂肪酸モノエステル・ジエステル、ポリアルキレンオキシド誘導体、アミンオキシド等)の各種界面活性剤があげられる。
導電性ポリマーとしては、他に、ポリアニリン系、ポリチオフェン系、ポリピロール系、ポリキノキサリン系等のポリマーが例示される。
また金属酸化物としては、酸化スズ系、酸化アンチモン系、酸化インジウム系、酸化亜鉛系などがあげられる。これらのなかでも酸化スズ系が好ましい。酸化スズ系のものとしては、たとえば、酸化スズの他、アンチモンドープ酸化スズ、インジウムドープ酸化スズ、アルミニウムドープ酸化スズ、タングステンドープ酸化スズ、酸化チタン−酸化セリウム−酸化スズの複合体、酸化チタン−酸化スズの複合体等があげられる。
さらに前記以外の帯電防止剤として、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、天然グラファイト、人造グラファイト、チタンブラックや、カチオン型(4級アンモニウム塩等)、両性イオン型(ベタイン化合物等)、アニオン型(スルホン酸塩等)またはノニオン型(グリセリン等)のイオン導電性基を有する単量体の単独重合体若しくは当該単量体と他の単量体との共重合体、4級アンモニウム塩基を有するアクリレートまたはメタクリレート由来の部位を有する重合体等のイオン導電性を有する重合体;ポリエチレンメタクリレート共重合体等の親水性ポリマーをアクリル系樹脂等にアロイ化させたタイプの永久帯電防止剤を例示できる。
これら帯電防止剤のなかでも光学特性、外観、帯電防止効果および帯電防止効果の熱時、加湿時での安定性という観点から、導電性ポリマーが好ましく使用される。特に、ポリアニリン、ポリチオフェンなどの水溶性導電性ポリマーまたは水分散性導電性ポリマーが好ましく使用される。水溶性導電性ポリマーや水分散性導電性ポリマーは帯電防止層を形成する際の塗布液を水溶液または水分散液として調製でき、当該塗布液は非水系の有機溶剤を用いる必要がなく、当該有機溶剤による光学フィルム基材の変質を抑えることができるためである。なお、水溶液または水分散液は、水のほかに水系の溶媒を含有できる。たとえば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、sec−アミルアルコール、tert−アミルアルコール、1−エチル−1−プロパノール、2−メチル−1−ブタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール等のアルコール類があげられる。
前記水溶性または水分散性のポリアニリンのポリスチレン換算による重量平均分子量は500000以下であることが好ましく、さらに好ましくは300000以下である。水溶性または水分散性のポリチオフェンのポリスチレン換算による重量平均分子量は400000以下であることが好ましく、さらに好ましくは300000以下である。重量平均分子量が前記値を超える場合には前記水溶性または水分散性を満たさなくなる傾向にあり、そのようなポリマーを用いて塗布液(水溶液または水分散液)を調製した場合には、当該塗布液中にポリマーの固形分が残存し、あるいは高粘度化して膜厚の均一な帯耐電防止層を形成することが困難になる傾向にある。
水溶性導電ポリマーの水溶性とは、水100gに対する溶解度が5g以上の場合をいう。前記水溶性導電ポリマーの水100gに対する溶解度は20〜30gであることが好ましい。水分散性導電性ポリマーとは、ポリアニリン、ポリチオフェン等の導電性ポリマーが微粒子状で水中に分散しているものであり、水分散液は液粘度が小さく薄膜塗工が容易であるばかりか、塗布層の均一性に優れている。ここで微粒子のサイズとしては1μm以下のものが帯電防止層の均一性という点から好ましい。
また、前記ポリアニリン、ポリチオフェン等の水溶性導電性ポリマーまたは水分散性導電性ポリマーは、分子中に親水性官能基を有することが好ましい。親水性官能基としては、たとえばスルホン基、アミノ基、アミド基、イミノ基、四級アンモニウム塩基、ヒドロキシル基、メルカプト基、ヒドラジノ基、カルボキシル基、硫酸エステル基、リン酸エステル基、またはそれらの塩などがあげられる。分子内に親水性官能基を有することにより水に溶けやすくなったり、水に微粒子状で分散しやすくなり、前記水溶性導電性ポリマーまたは水分散性導電性ポリマーを容易に調製することができる。
水溶性導電ポリマーの市販品の例としては、ポリアニリンスルホン酸(三菱レーヨン社製,ポリスチレン換算による重量平均分子量150000)などがあげられる。水分散性導電ポリマーの市販品の例としては、ポリチオフェン系導電性ポリマー(ナガセケムテック社製、商品名,デナトロンシリーズ)などがあげられる。
また帯電防止層の形成材料としては、前記帯電防止剤とともに、帯電防止剤の皮膜形成性、光学フィルムへの密着性の向上などを目的に、バインダー成分を添加することもできる。帯電防止剤が水溶性導電性ポリマーまたは水分散性導電性ポリマーの水系材料の場合には、水溶性もしくは水分散性のバインダー成分を用いる。バインダーの例としては、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、セルロース系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレングリコール、ペンタエリスリトールなどがあげられる。特にポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂が好ましい。これらバインダーは1種または2種以上を適宜その用途に合わせて用いることができる。バインダーの使用量は、帯電防止剤の種類にもよるが、通常、帯電防止剤100重量部に対して600重量部以下、さらには250〜500重量部であるのが好ましい。
(光学表示装置)
光学表示装置の一例として、液晶表示装置100について、図2を用いて説明する。図2は、液晶セルAに、積層光学製品1が粘着剤層14を介して貼着されている。積層光学製品1は、離型フィルム14が存在しない他は、図1の積層光学製品1と同様の構成である。
(液晶表示装置の製造方法)
上記の液晶表示装置100の製造方法について、図3の製造工程フローと、図4、5の製造装置の一例を用いて説明する。
(1)ロール原反準備工程(ステップS1)。長尺の積層光学製品1をロール原反として準備し、設置手段301に設置する。
(2)離型フィルム除去工程(ステップS2)。次いで、搬送手段302を用いて、ロール原反から積層光学製品1を繰り出し、離型フィルム12を剥離してロール状に巻き取る。他の離型フィルム12の剥離方法としては、例えば、所定サイズ単位に第1離型フィルムのみをカットし粘着テープで剥離除去する方法、その他公知の除去方法も用いることができる。ここでの剥離機構(図5参照)としては、先端が先鋭なナイフエッジN1を有し、このナイフエッジN1に離型フィルム12を巻き掛けて反転移送することにより、離型フィルム12を剥離除去すると共に、離型フィルム12を剥離した後の積層光学製品1を搬送方向に搬送するように構成される。
(3)欠点検査工程(ステップS3)。次いで、離型フィルム除去工程後に、欠点検査手段303を用いて光学部材11を検査する。離型フィルム12に内在する位相差を考慮する必要がなく、光学部材11の欠点検査を行なえる。欠点検査は公知の方法が適用でき、欠点検査手段303も公知の欠点検査装置を用いることができる。
(4)離型フィルム貼合工程(ステップS4)。次いで、欠点検査工程後に、第2離型フィルム12aを、粘着剤層14を介して、光学部材11に貼り合せる。
(5)切断工程(ステップS5)。次いで、第2離型フィルム12aの貼合工程後に、切断手段304を用いて、第2離型フィルム12aを残して、表面保護部材13、弱粘着剤層15、光学部材11および粘着剤層14を切断する。切断手段304としては、例えば、レーザ装置、カッター、その他の公知の切断手段等が挙げられる。欠点検査工程(ステップS3)で検出された欠点の位置座標に基づいて、切断手段304は、欠点部分を避けるように所定サイズに切断する。すなわち、欠点部分を含む切断品は不良品として後工程で排除される。あるいは、切断手段304は、欠点の存在を無視して、連続的に所定サイズに切断してもよい。
(6)貼合工程(ステップS6)。次いで、切断工程後に、第2離型フィルム12aを剥離しながら、上記で切断された部材を、粘着剤層14を介して液晶セルAに貼り合せる。剥離機構は、図5に示すように、先端が先鋭なナイフエッジN1を有し、このナイフエッジN1に第2離型フィルム12aを巻き掛けて反転移送することにより、第2離型フィルム12aを剥離すると共に、切断された積層光学製品1の部材を液晶セルA面に送り出すように構成される。
貼合せ機構は、図4、5に示すように、押圧ローラ305とそれに対向して配置される案内ローラ3051とから構成されている。案内ローラ3051は、モータ駆動されるゴムローラで構成され、その直上方にはモータ駆動される弾性ローラからなる押圧ローラ305が昇降可能に配備されており、液晶セルAを貼合せ位置に送り込む際には、押圧ローラ305はその上面より高い位置まで上昇されてローラ間隔を開けるようになっている。液晶セルAは、予め洗浄されストックされており、貼合工程の処理動作に連動して、吸着搬送手段306により、搬送機構に配置され、貼合処理位置に搬送される。
以上の実施形態1の貼合工程では、積層光学製品1と液晶セルAをロール対(押圧ローラ305、案内ローラ3051)で挟んで、積層光学製品1を液晶セルAに押圧することで、光学部材11を液晶セルAに貼り合わせている。光学部材11内に導電層11b1が形成されているため、第2離型フィルム12aの剥離時に生じる光学部材11の帯電の程度を好適に制御でき、積層光学製品1の表面と押圧ローラ305とが好適に密着する。さらに、積層光学製品1を液晶セルAに好適に貼り合せることができ、また、液晶セルAに対し破壊等の障害を生じさせることがない。
上記切断工程において、離型フィルムを残して、積層光学製品のその他の部材を切断する方式(ハーフカット方式)について説明したが、本発明の切断工程は、その切断方式に限定されない。また、切断後の積層光学製品を基板に貼り合わせる貼合工程において、ローラ対による貼り合わせ方式を説明したが、本発明の貼合工程は、その方式に限定されない。以下において、切断工程および貼合工程における別実施形態について図6〜9を用いて説明する。
(実施形態2)
図6は、フルカット方式による切断、および吸着固定装置601(吸着固定手段に相当する)による貼り合わせ方法を示す説明図である。先ず、搬送されてきた積層光学製品1を、吸着固定装置601で吸着して固定する。次いで、積層光学製品1を切断手段604で切断する。切断された積層光学製品1は、吸着固定装置601に吸着されながら、次工程に搬送される。吸着固定装置601の下面には吸着用の孔が複数設けられ、不図示の真空発生装置と管で接続される。真空発生装置によって真空引きされることで、吸着固定装置601の下面に積層光学製品1が吸着固定される。吸着用孔は、一般的には、吸着固定装置601の下面に規則的に配列されており、被吸着体を全面的に吸着することがきる。しかしながら、吸着用孔に直接吸着されない部位では、被吸着体にシワが生じたり、その被吸着体端部が剥がれたりする場合がある。本実施形態では、積層光学製品1の光学部材11内に導電層11b1を設けることで、離型フィルム12の剥離時の帯電を制御して、吸着固定装置601と積層光学製品1との密着性を向上させ、積層光学製品1のシワやその端部の剥がれを防止し、液晶セルAとの貼り合わせを良好にしている。
次いで、離型フィルム12が剥離される。図6の剥離方法は、粘着テープ602のロール原反から粘着テープ602を繰り出し、ローラで押さえつけながら粘着テープ602を離型フィルム12に貼り、離型フィルム12を剥離するように接着テープ602を巻き取る方法である。なお、剥離工程は、人手で行なってもよく、公知の離型フィルム剥離装置を用いてもよい。
次いで、吸着固定装置601に吸着させながら積層光学製品1を液晶セルAまで搬送する。貼り合わせ位置決め後に、吸着固定手段601を液晶セルAへ下降させ、押圧しながら、積層光学製品1を液晶セルAに貼り合わせる。次いで、吸着固定装置601の吸着作用を停止し、吸着固定装置601を上昇させて、積層光学製品1から離れる。
(実施形態3)
図7は、キャリアフィルムを用いたフルカット方式を示す説明図である。キャリアフィルム701のロール原反を積層光学製品1の搬送位置に配置する。キャリアフィルム701は、例えば、粘着テープ、接着テープである。先ず、キャリアフィルム701のロール原反からキャリアフィルム701を繰り出し、ローラで押さえつけながらキャリアフィルム701を積層光学製品1の表面保護部材13の表面に貼る。次いで、キャリアフィルム701と共に搬送されてきた積層光学製品1を、当該キャリアフィルム701を残して、切断手段604で切断する。
次いで、図6の剥離工程と同様に、粘着テープ602のロール原反から粘着テープ602を繰り出し、ローラで押さえつけながら粘着テープ602を離型フィルム12に貼り、離型フィルム12を剥離するように接着テープ602を巻き取る。次いで、図5と同様の方法で、キャリアフィルム701をナイフエッジ部で剥離しながら、押圧ローラ705および案内ローラ7051によって、積層光学製品1を液晶セルAに貼り合わせる。なお、キャリアフィルム701の剥離を、積層光学製品1を液晶セルAに貼り合わせた後に行なうこともできる。
本実施形態によれば、離型フィルム12の剥離時およびキャリアフィルム701の剥離時に生じる帯電を、導電層11b1によって好適に制御しており、積層光学製品1の表面と押圧ローラ705とを好適に密着することができ、積層光学製品1を液晶セルAに好適に貼り合せることができる。また、液晶セルAに対し障害を生じさせることがない。
(実施形態4)
図8は、表面保護部材を残してハーフカットする方式を示す説明図である。先ず、搬送されてきた積層光学製品1を、表面保護部材13を残して切断手段604で切断する。離型フィルム12の剥離方法は、上述と同様である。次いで、図5と同様の方法で、押圧ローラ705および案内ローラ7051によって、積層光学製品1を液晶セルAに貼り合わせる。次いで、表面保護部材13を切断手段605で切断する。
本実施形態によれば、離型フィルム12の剥離時に生じる帯電を、導電層11b1によって好適に制御しており、積層光学製品1の表面と押圧ローラ705とを好適に密着することができ、積層光学製品1を液晶セルAに好適に貼り合せることができる。また、液晶セルAに対し障害を生じさせることがない。また、表面保護部材13剥離する際に生じる帯電においても、導電層11b1によって好適に制御しており、液晶セルAに対し障害を生じさせることがない。
(実施形態5)
図9に示すように、積層光学製品1を切断手段604で切断し、複数のロールバーRで押さえながら、押圧ローラ705及び案内ローラ7051まで搬送するように構成できる。本実施形態においても実施形態4と同様の効果が得られる。
(実施例1)
実施例1の積層光学製品は、図1と同様に、離型フィルム、粘着剤層、第1偏光子保護フィルム(TACフィルム)、偏光子、導電層、第2偏光子保護フィルム(PETフィルム)、弱粘着剤層、及び表面保護部材を、この順に積層した構造を有する。離型フィルムは、PETフィルム(三菱ポリエステル社製、ダイヤホイルMRF、厚み25μm)を用いた。粘着剤層の粘着剤は、アクリルポリマー100重量部(ブチルアクリレート100重量部に対しアクリル酸10重量部)に対し、ポリイソシアネート化合物3重量部の粘着剤(日東電工社製)を用いた。この粘着剤層の厚みは、30μmとした。第1偏光子保護フィルムは、TACフィルム(富士フィルム社製TD80UL、厚み80μm)を用いた。偏光子は、ポリビニルアルコールフィルム((株)クラレ製、ケン化度99.5%、重合度2400)を以下の条件の浴に順に浸漬させて作製したものを用いた。
イ)30℃の水浴で膨潤させた。
ロ)30℃のヨウ素水溶液で染色した。
ハ)30℃のホウ酸水溶液で架橋した。
ニ)60℃の水浴で初期原反長さの5倍に延伸した。
ホ)30℃のKI水溶液で色調調整した。
第2偏光子保護フィルムは、PETフィルム(東レ社製S−10、厚み38μm)を用いた。また、第2偏光子保護フィルムの偏光子側の表面に、ポリエステル樹脂を100重量部に対し、N−n−ブチルイソキノリニウムをドナーとするTCNQ電荷移動錯体を40重量部とした混合物を塗布して膜厚が300nmの導電層を形成した。弱粘着剤層の粘着剤は、アクリル粘着剤を用いた。弱粘着剤層の厚みは、20μmとした。表面保護部材は、PETフィルム(東レ社製、ルミラー、厚み38μm)を用いた。
(実施例2)
実施例2は、TCNQ電荷移動錯体を20重量部として導電層を形成したこと以外は、実施例1と同じである。
(実施例3)
実施例3は、TCNQ電荷移動錯体を15重量部として導電層を形成したこと以外は、実施例1と同じである。
(実施例4)
実施例4は、アニオン系帯電防止剤を塗布して膜厚が300nmの導電層を形成したこと以外は、実施例1と同じである。
(実施例5)
実施例5は、膜厚が70nmの導電層を形成したこと以外は、実施例1と同じである。
(比較例1)
比較例1は、酸化インジウム(ITO)を蒸着して膜厚が300nmの導電層を形成したこと以外は、実施例1と同じである。
(比較例2)
比較例2は、酸化インジウム(ITO)を蒸着して膜厚が40nmの導電層を形成したこと以外は、実施例1と同じである。
(比較例3)
比較例3は、酸化インジウム(ITO)を蒸着して膜厚が20nmの導電層を形成したこと以外は、実施例1と同じである。
(比較例4)
比較例4は、アニオン系帯電防止剤を塗布して膜厚が50nmの導電層を形成したこと以外は、実施例1と同じである。
(比較例5)
比較例5は、膜厚が30nmの導電層を形成したこと以外は、実施例1と同じである。
(比較例6)
比較例6は、ポリエステル樹脂を100重量部に対し、N−n−ブチルイソキノリニウムをドナーとするTCNQ電荷移動錯体を20重量部とした混合物を、第2偏光子保護フィルム(PETフィルム)側の表面保護部材面に塗布して膜厚が300nmの導電層を形成したこと以外は、実施例1と同じである。
(比較例7)
比較例7は、第2偏光子保護フィルム(PETフィルム)に導電層を形成していないこと以外は、実施例1と同じである。
(評価方法)
(1)表面抵抗値の測定方法
気温23℃、湿度65%R.H.の環境下で、抵抗値表示計(モデル860、エレクトロ−テックシステム社製)を、導電層に接触させ測定した。測定位置は、導電層が形成されたフィルムの流れ方向(長尺方向)に10cm間隔で3点とした。表1の表面抵抗値は、3点の測定値の平均値である。
(2)帯電圧の測定方法
気温23℃、湿度65%R.H.の環境下で、200×200mmサイズの積層光学製品の試験サンプル片から離型フィルムを50mm/secの速さで剥離し、剥離後3秒後の粘着剤層の中央部の表面の帯電圧をデジタル式静電気測定器(MODEL 2050、ヒューグル製)で3回測定した。
(3)ロール密着性の評価
気温23℃、湿度50%R.H.の環境下で、図5に示すように、積層光学製品から離型フィルムを剥離速度100mm/minで剥離させ、押圧ローラと案内ローラとで、積層光学製品と液晶セルとを押圧して貼り合せた。押圧ローラとして、直径70mmのシリコンゴム製の弾性ローラを用いた。案内ローラとして、直径100mmのニトリルブチルゴム(BNR)製の弾性ローラを用いた。貼り合わせ後の積層光学製品と液晶セル間の気泡の有無を目視で確認した。「◎」は、気泡、シワが確認されず、貼り位置ズレが、0.5mm以下の場合を示す。「○」は、3mm未満の気泡が確認されたが、シワの発生はなく、貼り位置ズレが、0.5mmを超えるが0.8mm以下である場合を示す。「×」は、3mm以上の気泡又はシワが発生し、貼り直しが必要となり、貼り位置ズレが1mm以上である、又はそのようになることがある場合を示す。貼り位置ズレは、目標とする貼り位置からのズレである。
(4)帯電防止性の評価
上記速度で離型フィルムを剥離した積層光学製品を液晶セルに貼り合わせ後に、液晶セルにドット抜けが確認されたか否かを評価した。「○」は、ドット抜けが確認されなかった場合であり、「×」は、ドット抜けが確認された場合を示す。
以上の評価結果を表1に示す。
Figure 2009157363
表1から以下のことが分かった。すなわち、表面抵抗値が10Ω/□以上10Ω/□以下の導電層を第2偏光子保護フィルムの偏光子側の表面に設けた実施例1〜5は、帯電防止性の評価、及びローラ密着性の評価がともに良好であった。
これに対し、導電層の表面抵抗値が10Ω/□未満のである比較例1は、ローラ密着性の評価が悪く、表面抵抗値が10Ω/□を超える比較例4及び5は、帯電防止性の評価が悪かった。
また、導電層の膜厚が70nm未満である比較例2及び3は、導電層の膜厚均一性が悪く、導電層の表面抵抗値が10Ω/□未満となることがあるため、ローラ密着性の評価が悪くなることがあった。導電層が偏光板(光学部材)内に設けられていない比較例6及び7は、ともに帯電防止性の評価が悪かった。
本発明の積層光学製品の一例を説明するための断面模式図 本発明の光学表示装置の一例を説明するための断面模式図 実施形態1の光学表示装置の製造方法のフローチャート 実施形態1の光学表示装置の製造方法について説明するための図 実施形態1の光学表示装置の製造方法について説明するための図 実施形態2の切断方法および貼合方法の一例について説明するための図 実施形態3の切断方法および貼合方法の一例について説明するための図 実施形態4の切断方法および貼合方法の一例について説明するための図 実施形態5の搬送方法、切断方法および貼合方法の一例について説明するための図 従来の光学表示装置の製造方法のフローチャート
符号の説明
1 積層光学製品
11 光学部材
11a 偏光子
11b 第2偏光子保護フィルム
11b1 導電層
11c 第1偏光子保護フィルム
12 離型フィルム
12a 第2離型フィルム
13 表面保護部材
14 粘着剤層
15 弱粘着剤層
100 液晶表示装置
301 設置手段
302 搬送手段
303 欠点検査手段
304、604 切断手段
305、705 押圧ローラ
3051、7051 案内ローラ
306 吸着搬送手段
601 吸着固定装置
602 粘着テープ
701 キャリアフィルム
A 液晶セル
N1 ナイフエッジ
R 複数のロールバー

Claims (9)

  1. 離型フィルムと、当該離型フィルムに粘着剤層を介して設けられた光学部材とを有する積層光学製品であって、
    前記光学部材は、偏光子と、導電層とを有し、当該導電層の表面抵抗値が10Ω/□以上10Ω/□以下である積層光学製品。
  2. 前記導電層は、膜厚が70nm以上500nm以下である請求項1に記載の積層光学製品。
  3. 前記光学部材は、偏光子を保護する偏光子保護フィルムをさらに有し、
    前記導電層は、偏光子保護フィルムの表面に設けられた請求項1又は2に記載の積層光学製品。
  4. 前記導電層が、前記偏光子保護フィルムの偏光子側の表面に設けられた請求項3に記載の積層光学製品。
  5. 前記偏光子保護フィルムは、オレフィン系樹脂フィルム、ポリエステル系樹脂フィルム、及びポリカーボネート系樹脂フィルムからなる群から選択された少なくとも1種で構成される請求項3又は4に記載の積層光学製品。
  6. 光学表示ユニットと、当該光学表示ユニットに粘着剤層を介して設けられた光学部材とを有する光学表示装置であって、
    前記光学部材は、偏光子と、導電層とを有し、当該導電層の表面抵抗値が10Ω/□以上10Ω/□以下である光学表示装置。
  7. 請求項6に記載の光学表示装置を製造する方法であって、
    当該製造方法は、請求項1に記載の積層光学製品から、離型フィルムを剥離することにより露出した粘着剤層を介して光学部材を光学表示ユニットに、当該光学部材を当該光学表示ユニットに向かって押圧手段で押圧することで、貼り合せる貼合工程を有する光学表示装置の製造方法。
  8. 前記押圧手段は、弾性ローラである請求項7に記載の光学表示装置の製造方法。
  9. 前記光学表示装置の製造方法は、吸着固定手段で、前記積層光学製品を吸着固定する吸着固定工程をさらに有し、
    前記貼合工程は、前記吸着固定手段に吸着固定された積層光学製品から離型フィルムを剥離した後、当該離型フィルムの剥離により露出した粘着剤層を介して光学部材を光学表示ユニットに、当該光学部材を当該光学表示ユニットに向かって当該吸着固定手段で押圧することで、貼り合せる請求項7に記載の光学表示装置の製造方法。
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