JP2009156338A - シザーズギヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】歯打ち音を低減可能であり、メインギヤとサブギヤとの摩擦を抑制可能なシザーズギヤを提供する。
【解決手段】シザーズギヤ1は、メインギヤ10と、このメインギヤ10に対し同軸かつ相対回転可能に設けられるサブギヤ20と、メインギヤ10およびサブギヤ20を周方向で互いに反対の方向に付勢するシザーズスプリングとを備えている。そして、メインギヤ10には、その回転にともなって径方向へ移動可能な錘体15およびピン16と、錘体15およびピン16を径方向の一方側へ付勢するスプリング18とが設けられている。サブギヤ20には、ピン16が挿入されるガイド溝24が設けられている。ガイド溝24には、メインギヤ10およびサブギヤ20によるバックラッシ除去機能を発揮可能な逃げ部およびバックラッシ除去機能を発揮不可能な拘束部が設けられている。
【選択図】図3
【解決手段】シザーズギヤ1は、メインギヤ10と、このメインギヤ10に対し同軸かつ相対回転可能に設けられるサブギヤ20と、メインギヤ10およびサブギヤ20を周方向で互いに反対の方向に付勢するシザーズスプリングとを備えている。そして、メインギヤ10には、その回転にともなって径方向へ移動可能な錘体15およびピン16と、錘体15およびピン16を径方向の一方側へ付勢するスプリング18とが設けられている。サブギヤ20には、ピン16が挿入されるガイド溝24が設けられている。ガイド溝24には、メインギヤ10およびサブギヤ20によるバックラッシ除去機能を発揮可能な逃げ部およびバックラッシ除去機能を発揮不可能な拘束部が設けられている。
【選択図】図3
Description
本発明は、シザーズギヤに関する。本発明のシザーズギヤは、さまざまな箇所に適用可能であり、例えば、車両に搭載されるトランスミッションや内燃機関などにも適用可能である。
一般的なギヤでは、互いに噛み合うギヤ間にバックラッシ(隙間)が存在するため、このバックラッシに起因する歯打ち音が問題となる。つまり、駆動トルクや負荷トルクに変動が生じると、歯面分離および歯打ちが生じ、歯打ち音が発生する。例えば、車両のトランスミッションなどの動力伝達機構として歯車を用いた場合、駆動トルクの変動にともなって歯打ち音が発生し、品質を悪化させてしまう。
従来では、バックラッシによる歯打ち音の低減を図るため、シザーズギヤが提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。特許文献1には、シザーズギヤを内燃機関の動弁装置に適用した例が示されている。また、特許文献2には、シザーズギヤを内燃機関のバランサ装置に適用した例が示されている。
シザーズギヤは、同軸上に重ね合わせられるメインギヤおよびサブギヤと、メインギヤおよびサブギヤを周方向(回転方向)で互いに反対の方向に付勢する付勢部材(シザーズスプリング)とを備えた構成となっている。そして、メインギヤとサブギヤとによって周方向の両側から相手ギヤを挟み込むことで、バックラッシをなくするバックラッシ除去機能を有する構成となっている。
特開平11−101329号公報
特開平8−135767号公報
ところで、一般的なギヤでは、ギヤの回転数域が広範囲にわたると、その範囲内にはバックラッシによる歯打ち音が問題となる回転数域と、そうではない回転数域とが含まれる場合がある。例えば、マニュアルトランスミッションでは、ニュートラル時の歯打ち音がアイドリング回転付近の回転数域で問題となり、また、通常走行時のいわゆるねじり共振に起因する歯打ち音がその共振点(共振周波数)付近の回転数域で問題となる。したがって、歯打ち音が問題となる回転数域では、バックラッシを低減して歯打ち音の発生を抑制し、そうではない回転数域では、歯打ち音以外の問題に対処することが好ましい。
歯打ち音以外の問題としては、例えば、次のような問題が挙げられる。シザーズギヤは、メインギヤとサブギヤとの相対回転が可能な構成であるので、その相対回転にともなってメインギヤとサブギヤとの間で摩擦が発生する。このため、摩擦によるエネルギー損失(摩擦損失)や、メインギヤおよびサブギヤの摩耗が懸念される。
本発明は、そのような点に着目して提案されたものであり、その目的は、歯打ち音が問題となる回転数域における歯打ち音の低減、および、そうではない回転数域におけるメインギヤとサブギヤとの摩擦の抑制の両立を図るようにする点にある。
本発明は、上述の課題を解決するための手段を以下のように構成している。すなわち、本発明は、メインギヤと、このメインギヤに対し同軸かつ相対回転可能に設けられるサブギヤと、メインギヤおよびサブギヤを周方向で互いに反対の方向に付勢する付勢手段とを備えたシザーズギヤであって、上記メインギヤおよびサブギヤの回転にともなって径方向へ移動可能な可動部材と、上記可動部材を径方向一方側へ付勢する付勢部材と、上記メインギヤおよびサブギヤによるバックラッシ除去機能を発揮可能な部位および発揮不可能な部位を、上記可動部材の径方向の位置に対応して設定する設定手段とを備えていることを特徴としている。
上記構成によれば、設定手段にメインギヤおよびサブギヤによるバックラッシ除去機能を発揮可能な部位および発揮不可能な部位が設けられているので、シザーズギヤの回転時、可動部材に作用する遠心力と付勢部材の付勢力とのバランスによって可動部材が径方向へ移動することで、回転数に応じてバックラッシ除去機能の要否を切り替えることができる。そして、設定手段におけるバックラッシ除去機能を発揮可能な部位および発揮不可能な部位の位置、数などを工夫することで、歯打ち音が問題となる回転数域に対応させてバックラッシ除去機能を発揮可能な部位を設けることができるとともに、そうではない回転数域に対応させてバックラッシ除去機能を発揮不可能な部位を設けることができる。これにより、歯打ち音が問題となる回転数域におけるシザーズギヤと相手ギヤとの間で発生する歯打ち音の低減、および、そうではない回転数域におけるメインギヤとサブギヤとの間で発生する摩擦損失などの回避の両立を図ることができる。
本発明のシザーズギヤにおいて、上記メインギヤおよびサブギヤの一方には上記可動部材、他方には上記設定手段がそれぞれ設けられており、上記可動部材には、上記メインギヤおよびサブギヤの他方側へ向けて突出する突起が一体的に設けられており、上記設定手段は、径方向に延びかつ上記突起が挿入可能な溝となっており、この溝には、周方向の幅が上記突起に比べ大きい第1の部位が少なくとも1つ設けられるとともに、周方向の幅が上記突起と同じ第2の部位が少なくとも1つ設けられていることが好ましい。
ここでは、可動部材および設定手段の構成を特定している。この構成によれば、溝の周方向の幅が突起に比べ大きい第1の部位が、バックラッシ除去機能を発揮可能な部位となるとともに、溝の周方向の幅が突起と同じ第2の部位が、バックラッシ除去機能を発揮不可能な部位となる。このため、溝における第1の部位および第2の部位の位置、数などを工夫することで、歯打ち音が問題となる回転数域におけるシザーズギヤと相手ギヤとの間で発生する歯打ち音の低減、および、そうではない回転数域におけるメインギヤとサブギヤとの間で発生する摩擦損失などの回避の両立を図ることができる。
本発明のシザーズギヤにおいて、上記溝には、内径側から外径側にかけて順に、上記第1の部位、上記第2の部位、上記第1の部位、および、上記第2の部位が設けられていることが好ましい。このような構成のシザーズギヤは、例えばトランスミッションなどに適している。トランスミッションでは、ニュートラル時に発生する歯打ち音と、いわゆるねじり共振に起因する歯打ち音とが問題となる。上記構成によれば、そのような歯打ち音が問題となる回転数域では、バックラッシ除去機能を発揮不可能な第1の部位に突起を位置させることができ、ニュートラル時および通常走行時の歯打ち音を低減することができる。一方、それ以外の回転数域では、バックラッシ除去機能を発揮不可能な第2の部位に突起を位置させることができ、メインギヤとサブギヤとの間で発生する摩擦損失を防ぐことができ、また、メインギヤおよびサブギヤの摩耗を抑制することができる。
本発明のシザーズギヤにおいて、上記溝には、内径側から外径側にかけて順に、上記第1の部位、上記第2の部位、および、上記第1の部位が設けられていることが好ましい。このような構成のシザーズギヤは、例えば内燃機関などに適している。内燃機関では、アイドリング時の歯打ち音と、通常走行時の高回転域の歯打ち音とが問題となる。上記構成によれば、そのような歯打ち音が問題となる回転数域では、バックラッシ除去機能を発揮不可能な第1の部位に突起を位置させることができ、アイドリング時および通常走行時の歯打ち音を低減することができる。一方、通常走行時の中間回転域では、バックラッシ除去機能を発揮不可能な第2の部位に突起を位置させることができ、メインギヤとサブギヤとの間で発生する摩擦損失を防ぐことができ、また、メインギヤおよびサブギヤの摩耗を抑制することができる。付勢手段の弾性力が相手ギヤには伝わらないため、シザーズギヤと相手ギヤとの噛み合い音(噛み合いによって発生する騒音)の悪化を防ぐことができる。
本発明を実施するための最良の形態について添付図面を参照しながら説明する。
まず、実施形態に係るシザーズギヤの概略構成について、図1、図2を用いて説明する。図1は、実施形態に係るシザーズギヤを示す側面図、図2は、図1のシザーズギヤのX−X断面図である。
図1、図2に示すように、シザーズギヤ1は、メインギヤ10と、このメインギヤ10に対し同軸かつ相対回転可能に設けられるサブギヤ20と、メインギヤ10およびサブギヤ20を周方向(回転方向)で互いに反対の方向に付勢する付勢手段としてのシザーズスプリング30とを備えている。メインギヤ10およびサブギヤ20は、外径および歯数が等しく形成されている。メインギヤ10は、サブギヤ20に比べ軸方向の幅(厚み)が大きく形成されている。メインギヤ10およびサブギヤ20は、例えばヘリカルギヤとして構成することが可能であるが、その他の構成(例えば平ギヤなど)であってもよい。
メインギヤ10およびサブギヤ20の中心には、図示しない回転軸への組み付け用の貫通孔11,21が形成されている。メインギヤ10は、回転軸にキーなどによって固定され、回転軸と一体的に回転可能に設けられている。一方、サブギヤ20は、回転軸には固定されておらず、メインギヤ10に対し相対回転可能に設けられている。
メインギヤ10のサブギヤ20への組み付け面側の側面には、シザーズスプリング30の一方の先端部31に係合するストッパーとしてのピン12が突設されている。また、サブギヤ20のメインギヤ10への組み付け面の側面には、シザーズスプリング30の他方の先端部32に係合するストッパーとしてのピン22が突設されている。
メインギヤ10のサブギヤ20側の側面には、環状の凹部13が形成されている。この凹部13内にはシザーズスプリング30が配設されている。シザーズスプリング30は、メインギヤ10およびサブギヤ20を周方向で互いに反対の方向に付勢する弾性部材である。具体的には、シザーズスプリング30は、側面視で一部が欠けた円環形状、つまり、ほぼC字形状に形成されている。このシザーズスプリング30の対向する先端部31,32には、上述したピン12,22が係合されている。シザーズスプリング30の弾性力は、対向する固定ピン12,22を近づける方向に作用している。これにより、相手ギヤ2(図4参照)をメインギヤ10とサブギヤ20とによって挟むことが可能になっている。
次に、この実施形態の特徴部分について説明する。
この実施形態の特徴部分は、メインギヤ10およびサブギヤ20の回転にともなって径方向へ移動可能な可動部材と、可動部材を径方向一方側へ付勢する付勢部材と、メインギヤ10およびサブギヤ20によるバックラッシ除去機能を発揮可能な場合および発揮不可能な場合を、可動部材の径方向の位置に対応して設定する設定手段とを設けた点にある。
以下、この特徴構成について、図1〜図4を用いて詳しく説明する。図3は、図1のシザーズギヤをY−Y断面図、図4は、シザーズギヤの動作を説明するための図である。なお、図4ではサブギヤ側から見たメインギヤとサブギヤとの位置関係を示しており、シザーズギヤと相手ギヤとのバックラッシをやや誇張して示している。
図1〜図4に示すように、メインギヤ10には、シザーズギヤ1の回転にともなって径方向へ移動可能な可動部材としての錘体15およびピン16が設けられている。具体的には、メインギヤ10のサブギヤ20側の側面には、径方向に延びる凹部14が形成されている。この場合、凹部14は、上述した環状の凹部13に連続して設けられている。この凹部14内には、錘体15が径方向に移動可能に設けられている。
錘体15は、可動部材の質量の大部分が集中している部材である。この錘体15は、凹部14内の径方向内側(図3では下側)の部分に配設されており、付勢部材であるスプリング18を介して凹部14の径方向外側(図3では上側)の壁面14aに連結されている。スプリング18は、圧縮状態で設けられており、このスプリング18の弾性力によって錘体15が径方向内側へ向けて付勢されている。錘体15には、サブギヤ20側へ向けて突出する円柱形状のピン(突起)16が一体的に設けられている。ピン16は、メインギヤ10の側端面から突出しており、サブギヤ20側にわたって設けられている。
サブギヤ20には、シザーズギヤ1のバックラッシ除去機能を発揮可能な場合および発揮不可能な場合を、可動部材の径方向の位置に対応して設定する設定手段としてのガイド溝24が設けられている。具体的には、ガイド溝24は、径方向の内側から外側へ延びる溝部となっている。ここでは、ガイド溝24は、サブギヤ20の厚み方向に貫通して設けられている。ガイド溝24は、側面視でメインギヤ10の凹部14と重なり合う位置に設けられている。このガイド溝24内には上述したピン16が挿入されている。そして、ピン16がガイド溝24に沿って移動可能となっている。
ガイド溝24には、少なくとも1つの逃げ部(非拘束部)25と少なくとも1つの拘束部26とが設けられている。図4では、ガイド溝24に、逃げ部25と拘束部26とが2つずつが設けられた例を示している。このガイド溝24には、内径側から外径側にかけて逃げ部25と拘束部26とが交互に設けられている。なお、ガイド溝24の形状、ガイド溝24における逃げ部25および拘束部26の位置、数などは、この場合だけに限定されず、シザーズギヤの適用対象に応じてさまざまに変更される。
逃げ部25は、周方向の幅が大きい部分であり、その幅はピン16の直径(周方向の幅)に比べ大きくなっている。この逃げ部25にピン16が位置しているとき、ピン16の周方向の移動は逃げ部25の壁面によっては規制されず(拘束されず)、ピン16の周方向の移動が可能となっている。このため、シザーズスプリング30の弾性力によってメインギヤ10とサブギヤ20との相対回転が可能となる。そして、この状態では、相手ギヤ2をメインギヤ10とサブギヤ20とによって周方向の両側から挟み込むことが可能となり、シザーズギヤ1と相手ギヤ2とのバックラッシがなくなる。したがって、逃げ部25は、シザーズギヤ1のバックラッシ除去機能を発揮可能な部位(第1の部位)となっている。
拘束部26は、周方向の幅が小さい部分であり、その幅はピン16の直径と等しくなっている。この拘束部26にピン16が位置しているとき、ピン16の周方向の移動が拘束部26の壁面によって規制されて(拘束されて)、ピン16の周方向の移動は不可能になる。このため、シザーズスプリング30の弾性力が作用していてもメインギヤ10とサブギヤ20との相対回転は不可能となる。ここで、拘束部26は、この拘束部26にピン16が位置しているとき、メインギヤ10とサブギヤ20とが同じ位相で重なり合うような位置に設けられている。この状態では、相手ギヤ2をメインギヤ10とサブギヤ20とによって周方向の両側から挟み込むことは不可能となり、シザーズギヤ1と相手ギヤ2とのバックラッシはなくならない。したがって、拘束部26は、シザーズギヤ1のバックラッシ除去機能を発揮不可能な部位(第2の部位)となっている。
次に、以上のような構成のシザーズギヤ1の動作について説明する。
まず、シザーズギヤ1が回転していないときには、メインギヤ10の錘体15は、スプリング18の弾性力によって径方向の内側へ向けて付勢されており、図3に示す状態で静止している。このとき、ピン16は、図4(a)に示すように、ガイド溝24の内径側の逃げ部25に位置している。
次に、シザーズギヤ1が回転しているときには、メインギヤ10の錘体15には遠心力(慣性力)が作用する。そして、その遠心力とスプリング18の弾性力のバランスによって錘体15およびピン16が径方向へ移動する。これにともなって、ガイド溝24におけるピン16の径方向の位置が変化する。
ガイド溝24におけるピン16の径方向の位置は、錘体15(およびピン16)に作用する遠心力に応じて変化する。このため、ガイド溝24におけるピン16の径方向の位置は、シザーズギヤ1の回転数に対応して変化する。つまり、シザーズギヤ1の回転数が高くなるほど、ピン16の位置が外径側へと変化し、逆に、シザーズギヤ1の回転数が低くなるほど、ピン16の位置が内径側へと変化する。これにより、ピン16の位置がガイド溝24の逃げ部25と拘束部26との間で切り替わる。
具体的に、シザーズギヤ1の回転数が低く、錘体15に作用する遠心力がスプリング18の弾性力に打ち勝つまでは、ピン16は、シザーズギヤ1が回転していない場合(図4(a))と同じ位置にある。つまり、ピン16は、ガイド溝24の内径側の逃げ部25に位置している。
シザーズギヤ1の回転数が高くなり錘体15に作用する遠心力がスプリング18の弾性力に打ち勝つと、ピン16の位置が、図4(a)〜(d)に示すように変化していく。ピン16の位置は、シザーズギヤ1の回転数が高くなるほど、内径側の逃げ部25(図4(a))→内径側の拘束部26(図4(b))→外径側の逃げ部25(図4(c))→外径側の拘束部26(図4(d))のように変化していく。
そして、ピン16が、例えば図4(a),(c)に示すように、ガイド溝24の逃げ部25に位置しているとき、シザーズギヤ1のバックラッシ除去機能が発揮可能となるため、シザーズギヤ1と相手ギヤ2とのバックラッシがなくなる。これにより、シザーズギヤ1と相手ギヤ2との間で発生する歯打ち音を低減することができる。
一方、ピン16が、例えば図4(b),(d)に示すように、ガイド溝24の拘束部26に位置しているとき、シザーズギヤ1のバックラッシ除去機能が発揮不可能となるため、メインギヤ10とサブギヤ20とが同じ位相で重なり合う。そして、メインギヤ10とサブギヤ20との相対回転が不可能となるので、メインギヤ10とサブギヤ20との摩擦を防止できる。これにより、その摩擦によるエネルギー損失(摩擦損失)を回避することができ、また、メインギヤ10およびサブギヤ20の摩耗を回避することができる。また、シザーズスプリング30の弾性力が相手ギヤ2には伝わらないため、シザーズギヤ1と相手ギヤ2との噛み合い音(噛み合いによって発生する騒音)の悪化を防ぐことができる。
この実施形態では、ガイド溝24に逃げ部25および拘束部26を設けているので、シザーズギヤ1の回転数に応じてシザーズギヤ1のバックラッシ除去機能の要否を切り替えることができる。そして、ガイド溝24における逃げ部25および拘束部26の位置および数を工夫することで、歯打ち音が問題となる回転数域に対応させてバックラッシ除去機能を発揮可能な逃げ部25を設けることができるとともに、そうではない回転数域に対応させてバックラッシ除去機能を発揮不可能な拘束部26を設けることができる。これにより、歯打ち音が問題となる回転数域におけるシザーズギヤ1と相手ギヤ2との間で発生する歯打ち音の低減、および、そうではない回転数域におけるメインギヤ10とサブギヤ20との間で発生する摩擦損失などの回避の両立を図ることができる。
この実施形態に係るシザーズギヤは、互いに噛み合うギヤの駆動側のギヤにも被駆動側にギヤにも適用可能である。そして、実施形態に係るシザーズギヤは、さまざまな箇所に適用可能であるが、以下では、図5に示すような車両に搭載されるトランスミッションの遊転ギヤに適用した例について説明する。
図5に例示するトランスミッション100は、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)車両に搭載される、前進6速段、後進1速段の同期噛み合い式の手動変速機(マニュアルトランスミッション)である。このようなトランスミッション100の構成や動作については既に公知であるので、ここではその詳細な説明は省略する。
トランスミッション100においては、互いに平行に配置されたインプットシャフト101、アウトプットシャフト102、および、リバースシャフト103(図5では2点鎖線で示す)が、図示しないトランスミッションケースによって回転自在に支持されている。インプットシャフト101は、図示しないエンジンのクランクシャフトにクラッチ機構を介して連結されており、このクラッチ機構の係合動作によりエンジンの回転駆動力が入力されるようになっている。その回転駆動力は、トランスミッション100において所定の変速比で変速されまたは逆回転されてアウトプットシャフト102に伝達され、さらに、ファイナルリダクションギヤ列115の終減速比によって減速された後、ディファレンシャル装置116へ伝達される。これによって、図示しない駆動輪が前進方向または後進方向に回転するようになっている。
インプットシャフト101とアウトプットシャフト102との間には、前進1速段〜前進6速段および後進段の各変速段を成立させるための複数の変速ギヤ列104〜110が設けられている。具体的には、前進段用のギヤ列として、図5において右側から軸線方向左側に向かって、1速ギヤ列104、2速ギヤ列105、3速ギヤ列106、4速ギヤ列107、5速ギヤ列108、および、6速ギヤ列109が順に配設されている。そして、上記各変速ギヤ列の切り換え動作(変速動作)は、3つのシンクロメッシュ機構(同期装置)111,112,113によって行われるようになっている。また、後進段用のギヤ列として、リバースギヤ列110が配設されている。
ここで、前進1速段〜前進6速段の変速ギヤ列104〜109は、インプットシャフト101上に支持されるドライブギヤ104a〜109aと、アウトプットシャフト102上に支持されるドリブンギヤ104b〜109bとによって構成される。そして、変速ギヤ列104〜109のドライブギヤ104a〜109aおよびドリブンギヤ104b〜109bのうち、一方は相対回転自在に支持軸(インプットシャフト101またはアウトプットシャフト102)に設けられ、他方は回転一体に支持軸(アウトプットシャフト102またはインプットシャフト101)に設けられるようになっている。
そして、シザーズギヤは、トランスミッション100において、支持軸に相対回転自在に設けられる遊転ギヤに適用される。
具体的には、1速ギヤ列104は、インプットシャフト101に回転一体に取り付けられた1速ドライブギヤ104aと、アウトプットシャフト102に対して相対回転自在に組み付けられた1速ドリブンギヤ104bとを備えており、これら1速ドライブギヤ104aと1速ドリブンギヤ104bとは互いに噛み合っている。
この1速ギヤ列104では、遊転ギヤである1速ドリブンギヤ104bがシザーズギヤとして構成されている。1速ドリブンギヤ104bは、上記シザーズギヤ1と同様の構成となっており(図3参照)、メインギヤ141とサブギヤ142とを備えている。また、サブギヤ142に設けられるガイド溝24’は、径方向に延びており、図6に示すような形状になっている。なお、図6では、サブギヤ142のガイド溝24’だけを示している。
2速ギヤ列105は、インプットシャフト101に回転一体に取り付けられた2速ドライブギヤ105aと、アウトプットシャフト102に対して相対回転自在に組み付けられた2速ドリブンギヤ105bとを備えており、これら2速ドライブギヤ105aと2速ドリブンギヤ105bとは互いに噛み合っている。
この2速ギヤ列105では、遊転ギヤである2速ドリブンギヤ105bがシザーズギヤとして構成されている。2速ドリブンギヤ105bは、上記シザーズギヤ1と同様の構成となっており、メインギヤ151とサブギヤ152とを備えている。また、サブギヤ152に設けられるガイド溝は、図6に示すガイド溝24’と同様の形状になっている。
3速ギヤ列106は、インプットシャフト101に相対回転自在に組み付けられた3速ドライブギヤ106aと、アウトプットシャフト102に回転一体に取り付けられた3速ドリブンギヤ106bとを備えており、これら3速ドライブギヤ106aと3速ドリブンギヤ106bとは互いに噛み合っている。
この3速ギヤ列106では、遊転ギヤである3速ドライブギヤ106aがシザーズギヤとして構成されている。3速ドライブギヤ106aは、上記シザーズギヤ1と同様の構成となっており、メインギヤ161とサブギヤ162とを備えている。また、サブギヤ162に設けられるガイド溝は、図6に示すガイド溝24’と同様の形状になっている。
4速ギヤ列107は、インプットシャフト101に相対回転自在に組み付けられた4速ドライブギヤ107aと、アウトプットシャフト102に回転一体に取り付けられた4速ドリブンギヤ107bとを備えており、これら4速ドライブギヤ107aと4速ドリブンギヤ107bとは互いに噛み合っている。
この4速ギヤ列107では、遊転ギヤである4速ドライブギヤ107aがシザーズギヤとして構成されている。4速ドライブギヤ107aは、上記シザーズギヤ1と同様の構成となっており、メインギヤ171とサブギヤ172とを備えている。また、サブギヤ172に設けられるガイド溝は、図6に示すガイド溝24’と同様の形状になっている。
5速ギヤ列108は、インプットシャフト101に相対回転自在に組み付けられた5速ドライブギヤ108aと、アウトプットシャフト102に回転一体に取り付けられた5速ドリブンギヤ108bとを備えており、これら5速ドライブギヤ108aと5速ドリブンギヤ108bとは互いに噛み合っている。
この5速ギヤ列108では、遊転ギヤである5速ドライブギヤ108aがシザーズギヤとして構成されている。5速ドライブギヤ108aは、上記シザーズギヤ1と同様の構成となっており、メインギヤ181とサブギヤ182とを備えている。また、サブギヤ182に設けられるガイド溝は、図6に示すガイド溝24’と同様の形状になっている。
6速ギヤ列109は、インプットシャフト101に相対回転自在に組み付けられた6速ドライブギヤ109aと、アウトプットシャフト102に回転一体に取り付けられた6速ドリブンギヤ109bとを備えており、これら6速ドライブギヤ109aと6速ドリブンギヤ109bとは互いに噛み合っている。
この6速ギヤ列109では、遊転ギヤである6速ドライブギヤ109aがシザーズギヤとして構成されている。6速ドライブギヤ109aは、上記シザーズギヤ1と同様の構成となっており、メインギヤ191とサブギヤ192とを備えている。また、サブギヤ192に設けられるガイド溝は、図6に示すガイド溝24’と同様の形状になっている。
そして、第1のシンクロメッシュ機構111は、1速ドリブンギヤ104bと2速ドリブンギヤ105bとの間におけるアウトプットシャフト102上に設けられている。つまり、この第1のシンクロメッシュ機構111が1速ドリブンギヤ104b側に作動すると、この1速ドリブンギヤ104bがアウトプットシャフト102に回転一体に連結され、1速ドライブギヤ104aと1速ドリブンギヤ104bとの間で、インプットシャフト101からアウトプットシャフト102への動力伝達が行われることになる(第1変速段の成立)。一方、第1のシンクロメッシュ機構111が2速ドリブンギヤ105b側に作動すると、この2速ドリブンギヤ105bがアウトプットシャフト102に回転一体に連結され、2速ドライブギヤ105aと2速ドリブンギヤ105bとの間で、インプットシャフト101からアウトプットシャフト102への動力伝達が行われることになる(第2変速段の成立)。
第2のシンクロメッシュ機構112は、3速ドライブギヤ106aと4速ドライブギヤ107aとの間におけるインプットシャフト101上に設けられている。つまり、この第2のシンクロメッシュ機構112が3速ドライブギヤ106a側に作動すると、この3速ドライブギヤ106aがインプットシャフト101に回転一体に連結され、3速ドライブギヤ106aと3速ドリブンギヤ106bとの間で、インプットシャフト101からアウトプットシャフト102への動力伝達が行われることになる(第3変速段の成立)。一方、第2のシンクロメッシュ機構112が4速ドライブギヤ107a側に作動すると、この4速ドライブギヤ107aがインプットシャフト101に回転一体に連結され、4速ドライブギヤ107aと4速ドリブンギヤ107bとの間で、インプットシャフト101からアウトプットシャフト102への動力伝達が行われることになる(第4変速段の成立)。
第3のシンクロメッシュ機構113は、5速ドライブギヤ108aと6速ドライブギヤ109aとの間におけるインプットシャフト101上に設けられている。つまり、この第3のシンクロメッシュ機構113が5速ドライブギヤ108a側に作動すると、この5速ドライブギヤ108aがインプットシャフト101に回転一体に連結され、5速ドライブギヤ108aと5速ドリブンギヤ108bとの間で、インプットシャフト101からアウトプットシャフト102への動力伝達が行われることになる(第5変速段の成立)。一方、第3のシンクロメッシュ機構113が6速ドライブギヤ109a側に作動すると、この6速ドライブギヤ109aがインプットシャフト101に回転一体に連結され、6速ドライブギヤ109aと6速ドリブンギヤ109bとの間で、インプットシャフト101からアウトプットシャフト102への動力伝達が行われることになる(第6変速段の成立)。
このようにして、前進時には、シフトチェンジ動作時を除いて、上記インプットシャフト101の回転駆動力が、上述したシンクロメッシュ機構111,112,113のうちのいずれか1つの作動によって選択された1つの変速ギヤ列104〜109を介してアウトプットシャフト102へ伝達される。
また、リバースギヤ列110は、インプットシャフト101に回転一体に取り付けられたリバースドライブギヤ110aと、アウトプットシャフト102に回転一体に組み付けられたリバースドリブンギヤ110bと、リバースシャフト103に対してスライド移動自在に組み付けられたリバースアイドラギヤ110c(図5では2点鎖線で示す)とを備えている。リバースドリブンギヤ110bは、上記第1のシンクロメッシュ機構111の外周側に回転一体に配設されている。これらギヤ110a,110b,110cは前進時には動力伝達を行っておらず、後進時においては、全てのシンクロメッシュ機構111,112,113が中立状態に設定され、リバースアイドラギヤ110cがリバースシャフト103の軸線方向に沿って移動することにより、リバースドライブギヤ110aとリバースドリブンギヤ110bとの両方に噛み合うことで、リバースドライブギヤ110aの回転方向を逆転させてリバースドリブンギヤ110bに伝達することになる。これにより、アウトプットシャフト102が上記前進段の場合とは逆方向に回転し、駆動輪は後退方向に回転する。
上述したように、トランスミッション100では、遊転ギヤである1速ドリブンギヤ104b、2速ドリブンギヤ105b、3速ドライブギヤ106a、4速ドライブギヤ107a、5速ドライブギヤ108a、および、6速ドライブギヤ109aが、シザーズギヤとして構成されている。そして、シザーズギヤのサブギヤに設けられるガイド溝が、図6に示すような形状になっており、このガイド溝にはメインギヤのピン16が挿入されるようになっている。ここでは、1速ドリブンギヤ104bのサブギヤ142に設けられるガイド溝24’だけを示しているが、他のサブギヤに設けられるガイド溝も同様の形状になっている。
図6に示すように、ガイド溝24’には、2つの逃げ部25a’,25b’と2つの拘束部26a’,26b’とが設けられている。ガイド溝24’には、内径側から外径側にかけて順に、逃げ部25a’,拘束部26a’,逃げ部25b’,拘束部26b’が配置されている。そして、トランスミッション100に駆動力が入力され、インプットシャフト101が回転すると、ガイド溝24’におけるピン16の径方向の位置が変化する。ガイド溝24’におけるピン16の径方向の位置は、シザーズギヤの回転数が高くなるほど、逃げ部25a’→拘束部26a’→逃げ部25b’→拘束部26b’のように変化する。
ここで、トランスミッション100において、シザーズギヤの回転数Ngが所定の設定回転数(第1の閾値)N1未満のときに(Ng<N1)、ピン16が逃げ部25a’に位置するように、ガイド溝24’の形状が設定されている。
また、シザーズギヤの回転数Ngが上記設定回転数N1以上であり、所定の設定回転数(第2の閾値)N2未満のときに(N1≦Ng<N2)、ピン16が拘束部26a’に位置するように、ガイド溝24’の形状が設定されている。
また、シザーズギヤの回転数Ngが上記設定回転数N2以上であり、所定の設定回転数(第3の閾値)N3未満のときに(N2≦Ng<N3)、ピン16が逃げ部25b’に位置するように、ガイド溝24’の形状が設定されている。
そして、シザーズギヤの回転数Ngが上記設定回転数N3以上のときに(N3≦Ng)、ピン16が拘束部26b’に位置するように、ガイド溝24’の形状が設定されている。
上記設定回転数N1〜N3は、トランスミッション100の特性を考慮して予め設定された値となっている。ここで、上記設定回転数N1は、ニュートラル時のアイドリング回転付近の回転数域よりも若干高い値に設定され、例えば800rpmに設定される。また、上記設定回転数N2は、通常走行時のいわゆるねじり共振の共振点(共振周波数)付近の回転数域よりも若干低い値に設定され、例えば1500rpmに設定される。上記設定回転数N3は、そのねじり共振の共振点付近の回転数域よりも若干高い値に設定され、例えば2500rpmに設定される。ただし、上記設定回転数N1〜N3の値は、トランスミッションごとに特有の値であり、さまざまに変更される。
そして、シザーズギヤをトランスミッション100の遊転ギヤに適用すれば、次のような作用効果も得られる。
トランスミッション100では、ニュートラル時に、インプットシャフト101の回転数がアイドリング回転付近の回転数域で変化する。このとき、全てのシンクロメッシュ機構111,112,113が中立状態となっているが、1速ギヤ列104の1速ドライブギヤ104aと1速ドリブンギヤ104bとの間、および、2速ギヤ列105の2速ドライブギヤ105aと2速ドリブンギヤ105bとの間では回転が伝達される。このため、1速ドライブギヤ104aと1速ドリブンギヤ104bとの間、および、2速ドライブギヤ105aと2速ドリブンギヤ105bとの間でバックラッシがあれば、歯打ち音が発生して問題となる可能性がある。
この例では、アイドリング回転付近の回転数域は上記設定回転数N1未満の領域となるので、シザーズギヤである1速ドリブンギヤ104bおよび2速ドリブンギヤ105bにおいて、ピン16がバックラッシ除去機能を発揮可能な逃げ部25a’に位置する。このため、1速ドライブギヤ104aと1速ドリブンギヤ104bとの間、および、2速ドライブギヤ105aと2速ドリブンギヤ105bとの間のバックラッシがなくなる。これにより、ニュートラル時に、1速ドライブギヤ104aと1速ドリブンギヤ104bとの間、および、2速ドライブギヤ105aと2速ドリブンギヤ105bとの間で発生する歯打ち音を低減することができる。
また、トランスミッション100では、通常走行時に、インプットシャフト101の回転数が、アイドリング回転付近の回転数から最高回転数の広範囲にわたって変化し、その範囲内にねじり共振の共振点付近の回転数域に含まれる場合がある。このとき、シンクロメッシュ機構111,112,113のうちいずれか1つが作動状態となり、残り2つが中立状態となっているため、中立状態となっているシンクロメッシュ機構のドライブギヤとドリブンギヤとの間でバックラッシがあれば、歯打ち音が発生して問題となる可能性がある。
この例では、ねじり共振の共振点付近の回転数域は上記設定回転数N2およびN3の間に含まれるので、シザーズギヤである遊転ギヤにおいて、ピン16がバックラッシ除去機能を発揮可能な逃げ部25b’に位置する。このため、中立状態となっているシンクロメッシュ機構のドライブギヤとドリブンギヤとの間のバックラッシがなくなる。これにより、通常走行時に、そのドライブギヤとドリブンギヤとの間で発生する歯打ち音を低減することができる。
一方、トランスミッション100では、アイドリング回転付近の回転数域およびねじり共振の共振点付近の回転数域以外の回転数域では、ドライブギヤとドリブンギヤとの間の歯打ち音はあまり問題とはならない。この例では、上記設定回転数N1およびN2の間の回転数域、および、上記設定回転数N3以上の回転数域では、シザーズギヤである遊転ギヤにおいて、ピン16がバックラッシ除去機能を発揮不可能な拘束部26a’,26b’に位置する。これにより、メインギヤとサブギヤとの間で発生する摩擦損失を防ぐことができ、また、メインギヤおよびサブギヤの摩耗を抑制することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、ここに示した実施形態は一例であり、さまざまに変形することが可能である。
(1)シザーズギヤの適用対象として挙げたトランスミッションは一例であって、シザーズギヤはさまざまな箇所に適用可能である。シザーズギヤは、例えば内燃機関などにも適用可能である。内燃機関においては、図示はしないが、例えば上記特許文献1,2などに示されるように、動弁装置やバランサ装置などにシザーズギヤを適用することが可能である。
図7には、内燃機関の動弁装置やバランサ装置に用いる場合に適したシザーズギヤのサブギヤのガイド溝を示している。この図7に示すシザーズギヤのガイド溝24”は、径方向に延びており、メインギヤのピン16が挿入されるようになっている。具体的に、ガイド溝24”には、2つの逃げ部25a”,25b”と1つの拘束部26a”とが設けられている。ガイド溝24”には、内径側から外径側にかけて順に、逃げ部25a”,拘束部26a”,逃げ部25b”が配置されている。そして、内燃機関が駆動すると、ガイド溝24”におけるピン16の径方向の位置が変化する。ガイド溝24”におけるピン16の径方向の位置は、シザーズギヤの回転数が高くなるほど、逃げ部25a”→拘束部26a”→逃げ部25b”のように変化する。
ここで、内燃機関において、シザーズギヤの回転数Ngが所定の設定回転数(第1の閾値)N11未満のときに(Ng<N11)、ピン16が逃げ部25a”に位置するように、ガイド溝24”の形状が設定されている。
また、シザーズギヤの回転数Ngが上記設定回転数N11以上であり、所定の設定回転数(第2の閾値)N12未満のときに(N11≦Ng<N12)、ピン16が拘束部26a”に位置するように、ガイド溝24”の形状が設定されている。
そして、シザーズギヤの回転数Ngが上記設定回転数N12以上のときに(N12≦Ng)、ピン16が逃げ部25b”に位置するように、ガイド溝24”の形状が設定されている。
上記設定回転数N11,N12は、内燃機関の特性を考慮して予め設定された値となっている。ここで、上記設定回転数N11は、アイドリング時の回転数域よりも若干高い値に設定され、例えば1000rpmに設定される。また、上記設定回転数N12は、通常走行時の中間回転域と高回転域との境の値に設定され、例えば3000rpmに設定される。ただし、上記設定回転数N11,N12の値は、内燃機関ごとに特有の値であり、さまざまに変更される。
そして、シザーズギヤを内燃機関に適用すれば、次のような作用効果も得られる。内燃機関では、アイドリング時の歯打ち音と、通常走行時の高回転域の歯打ち音とが問題となる。この例では、アイドリング回転付近の回転数域は上記設定回転数N11未満の領域となるので、シザーズギヤにおいて、ピン16がバックラッシ除去機能を発揮可能な逃げ部25a”に位置する。これにより、アイドリング時に、シザーズギヤと相手ギヤとの間で発生する歯打ち音を低減することができる。また、通常走行時の高回転域は上記設定回転数N12以上の領域となるので、シザーズギヤにおいて、ピン16がバックラッシ除去機能を発揮可能な逃げ部25b”に位置する。これにより、通常走行時の高回転域におけるシザーズギヤと相手ギヤとの間で発生する歯打ち音を低減することができる。
一方、内燃機関では、通常走行時の中間回転域では歯打ち音はあまり問題とはならない。この例では、上記設定回転数N11およびN12の間の回転数域では、シザーズギヤにおいて、ピン16がバックラッシ除去機能を発揮不可能な拘束部26a”に位置する。これにより、メインギヤとサブギヤとの間で発生する摩擦損失を防ぐことができ、また、メインギヤおよびサブギヤの摩耗を抑制することができる。この場合、シザーズスプリング30の弾性力が相手ギヤには伝わらないため、シザーズギヤと相手ギヤとの噛み合い音の悪化を防ぐことができる。
(2)可動部材と付勢部材と設定手段の構成は一例であって、それ以外の構成であってもよい。
上記実施形態では、メインギヤ10に可動部材である錘体15およびピン16、付勢部材であるスプリング18を設け、サブギヤ20に設定手段であるガイド溝24を設けた場合について説明したが、これとは逆に、メインギヤに設定手段を設け、サブギヤに可動部材と付勢部材を設ける構成としてもよい。
上記実施形態では、突起であるピン16が錘体15に一体的に設けられている場合について説明したが、錘体15の一部分を加工して突起を設ける構成としてもよい。
突起であるピン16の形状は円柱形状以外であってもよい。ガイド溝24は貫通孔ではなく凹形状の溝であってもよい。また、錘体15とスプリング18との位置関係が逆であってもよい。つまり、錘体15を径方向外側の部分に設け、スプリング18を径方向内側の部分に設けて、錘体15をスプリング18の弾性力によって引っ張り方向に付勢する構成としてもよい。また、付勢部材としてスプリング18以外のもの(例えばゴムなど)を用いてもよい。
1 シザーズギヤ
2 相手ギヤ
10 メインギヤ
15 錘体
16 ピン
18 スプリング
20 サブギヤ
24 ガイド溝
25 逃げ部
26 拘束部
30 シザーズスプリング
2 相手ギヤ
10 メインギヤ
15 錘体
16 ピン
18 スプリング
20 サブギヤ
24 ガイド溝
25 逃げ部
26 拘束部
30 シザーズスプリング
Claims (4)
- メインギヤと、このメインギヤに対し同軸かつ相対回転可能に設けられるサブギヤと、メインギヤおよびサブギヤを周方向で互いに反対の方向に付勢する付勢手段とを備えたシザーズギヤにおいて、
上記メインギヤおよびサブギヤの回転にともなって径方向へ移動可能な可動部材と、上記可動部材を径方向一方側へ付勢する付勢部材と、上記メインギヤおよびサブギヤによるバックラッシ除去機能を発揮可能な部位および発揮不可能な部位を、上記可動部材の径方向の位置に対応して設定する設定手段とを備えていることを特徴とするシザーズギヤ。 - 請求項1に記載のシザーズギヤにおいて、
上記メインギヤおよびサブギヤの一方には上記可動部材、他方には上記設定手段がそれぞれ設けられており、
上記可動部材には、上記メインギヤおよびサブギヤの他方側へ向けて突出する突起が一体的に設けられており、
上記設定手段は、径方向に延びかつ上記突起が挿入可能な溝となっており、この溝には、周方向の幅が上記突起に比べ大きい第1の部位が少なくとも1つ設けられるとともに、周方向の幅が上記突起と同じ第2の部位が少なくとも1つ設けられていることを特徴とするシザーズギヤ。 - 請求項2に記載のシザーズギヤにおいて、
上記溝には、内径側から外径側にかけて順に、上記第1の部位、上記第2の部位、上記第1の部位、および、上記第2の部位が設けられていることを特徴とするシザーズギヤ。 - 請求項2に記載のシザーズギヤにおいて、
上記溝には、内径側から外径側にかけて順に、上記第1の部位、上記第2の部位、および、上記第1の部位が設けられていることを特徴とするシザーズギヤ。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007334708A JP2009156338A (ja) | 2007-12-26 | 2007-12-26 | シザーズギヤ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2007334708A JP2009156338A (ja) | 2007-12-26 | 2007-12-26 | シザーズギヤ |
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Publication Number | Publication Date |
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Family Applications (1)
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2012218622A (ja) * | 2011-04-12 | 2012-11-12 | Toyota Motor Corp | ハイブリッド車両の制御装置 |
CN104373549A (zh) * | 2014-10-27 | 2015-02-25 | 苏州优金金属成型科技有限公司 | 一种能够降噪的齿轮 |
WO2022087555A1 (en) * | 2020-10-21 | 2022-04-28 | Cummins Inc. | Centrifugal anti-backlash scissor gear |
-
2007
- 2007-12-26 JP JP2007334708A patent/JP2009156338A/ja active Pending
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WO2022087555A1 (en) * | 2020-10-21 | 2022-04-28 | Cummins Inc. | Centrifugal anti-backlash scissor gear |
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