JP2009155999A - 断熱防水工法 - Google Patents
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Abstract
【課題】断熱材としてポリスチレンフォームを使用した場合も防水シートの熱融着による接合時の熱で断熱材が溶融したり変形したりするといったことにならず、且つ、遮熱部材はごく限られた狭い範囲に配置することで十分に熱を遮ることができるような断熱防水工法を提供する。
【解決手段】下地1に断熱層2を介在して防水シート3を機械固定により敷設する防水工法であって、防水シート3同士の接合が熱融着により接合されている断熱防水工法において、断熱層2としてはポリスチレンフォームを使用し、防水シート3同士の接合部にあっては防水シート3と断熱層2との間に遮熱部材4を介在してなる。
【選択図】図2
【解決手段】下地1に断熱層2を介在して防水シート3を機械固定により敷設する防水工法であって、防水シート3同士の接合が熱融着により接合されている断熱防水工法において、断熱層2としてはポリスチレンフォームを使用し、防水シート3同士の接合部にあっては防水シート3と断熱層2との間に遮熱部材4を介在してなる。
【選択図】図2
Description
本発明は、建築物などの防水構造においてポリスチレンフォームからなる断熱層を使用した断熱防水工法に関するものであり、断熱層の上に敷設する防水シートの端部同士を熱融着により接合することができる断熱防水工法に係わる。
屋外、特に屋上の断熱防水において、断熱層として発泡シートを敷設することが行われているが、発泡シートの中にはポリエチレンなどの軟質シートと、ポリスチレンやポリウレタンなどの硬質シートがある(特許文献1)。
従来、このような防水シートと積層による断熱防水工法で発泡シートが硬質シートである場合、熱(太陽光)でそりが発生し、外観不良や、場合によってはシート剥がれなどの問題につながってしまうため、ほとんど軟質シートしか使用されていなかった。しかし、軟質シートは柔軟性を有することから、防水シート上を歩行するような使用形態には適さず、用いにくかったことや、上に積層する防水シートを接着剤などで接合する場合に、十分に転圧できなかったこと、そして断熱性能も不十分であってことなど種々の問題を有していた。
また、防水シートと断熱材とを接着するのに接着剤を使用する場合、接着剤に含まれた溶剤に侵されないように溶剤に強い素材を用いる必要があり、防水シート同士を熱融着により接合するときにはその熱によって簡単に融けたり変形したりすることのない素材を用いる必要があった。
これらの問題は硬質のウレタンフォームを用いることによって解消することができるが、断熱性能に優れているウレタンフォームからなるシートは加水分解しやすく、使用しているうちに水分で劣化してしまい、断熱性能が大きく低下するという問題があるとともに、他の材料と比べて価格が高くコスト的には不利であるという問題があった。
一方、ポリスチレンフォームからなるシートでは断熱性能の低下は少なく比較的安価であるというメリットを有しているものの、有機溶剤で侵されてしまうため、通常は図3に示すように、断熱層2を接着剤を用いることなくディスク板10とアンカー11を用いて下地1に物理的に固定する方法が採られていた。その上に敷設配置する防水シート3同士の接合においても接着剤を用いることなく熱融着にて接合することになる。
しかし、ポリスチレンフォームの場合、素材自体の融点が80℃程度と比較的低く、防水シートの接合に例えば熱風を用いた場合、熱風の温度は200℃以上であり、接合部における防水シート自身の温度も80℃以上にまで上昇し、更には接合部の隙間から入り込んだ熱風で直接熱せられることもあり、断熱層として使用しているポリスチレンフォームが融けたり、軟化して変形したりする問題が発生した。
特許文献1は、ビルなどにコンクリート製の蓄熱槽を形成する型枠兼用断熱防水パネルに関するものであり、樹脂発泡断熱材の表面に積層する防水シートを熱融着接合する際に、断熱材を融かしてしまわないよう繊維強化無機質板を積層することで防水シートを熱融着するときに熱風が断熱材に及ばない構造とし、断熱材の変形や収縮などを防ぐことが開示されている。
特許文献2は、樹脂発泡断熱材と防水シートの間に繊維強化無機質板を介在積層したもので、防水シートの接合時の熱を繊維強化無機質板で遮ることで樹脂発泡断熱材の溶融や変形を防止することができる。特許文献1は蓄熱槽の防水パネル及びコンクリート型枠としても使用するものであり、補強の意味合いで繊維強化無機質板といった硬質の部材を全面に配置している。また、比較的限られた範囲の狭い面積において防水するものであることから全面に配置することにもさほど支障は出ない。
しかし、ビルの屋上全体を防水するなどの場合は広大な面積に防水シートを敷設することになる。その場合は補強の必要はなく硬質であることも、また全面に配置する必要もない。但し、防水シートの接合に用いる熱は、断熱材に伝わらないように確実性をもって遮る必要がある。
そこで、本発明では、断熱防水工法において断熱材としてポリスチレンフォームを使用した場合も防水シートの熱融着による接合時の熱で断熱材が溶融したり変形したりするといったことにならず、且つ、遮熱部材はごく限られた狭い範囲に配置することで十分に熱を遮ることができるような断熱防水工法の提供を目的とする。
請求項1では、下地上に断熱層を介在して防水シートを機械固定により敷設する防水工法であって、防水シート同士の接合が熱融着により接合されている断熱防水工法において、断熱層としてはポリスチレンフォームを使用し、防水シート同士の接合部にあっては防水シートと断熱層との間に遮熱部材を介在してなることを特徴とする。
請求項2では、遮熱部材は粘着性を有しており防水シートと密着してなる請求項1記載の断熱防水工法としている。
請求項3では、遮熱部材を防水シートの端部同士の重ね合わせたラップ領域と該ラップ領域に接する10〜50mmの範囲に設置してなる請求項1〜2記載の断熱防水工法としている。
請求項4では、遮熱部材がテープ状を呈したゴム材料からなり、厚みが0.5mm以上である請求項1〜3記載の断熱防水工法としている。
請求項1では、ポリスチレンフォームからなる断熱層の上に防水シートを敷設配置する断熱防水工法において、防水シート同士の接合部の位置する箇所に遮熱部材を介在させているので、防水シート端部を加熱して熱融着する際に、熱がポリスチレンフォームからなる断熱層を溶融させたり変形させたりする問題を防止することができる。
請求項2では、遮熱部材が粘着性を有しており、防水シートと密着することで、防水シートの接合を熱風を用いて行う場合にも、熱風が遮熱部材を配置した領域から更に奥側へ流れ込むのを防止することができる。
請求項3においては、遮熱部材の幅を防水シート端部のラップ領域から10〜50mmの範囲に設置してなるとしており、特に防水シートの接合時に十分な加熱を行う防水シート端縁においても断熱層が変形しないようにしている。
請求項4においては、遮熱部材がテープ状を呈したゴム材料からなり、厚みが0.5mm以上としており、防水シートの接合部に沿って容易に配置することができ、防水シートとの密着性もよいので熱風が遮熱部材を配置した領域よりも奥へ流れ込むのを更に確実に防止することができる。
以下、本発明の具体的な実施態様を添付図面に従って説明する。図1は本発明の断熱防水工法において特徴部分である防水シートの接合部における断面図である。ビルの屋上などのコンクリートからなる下地1にポリスチレンフォームからなる断熱層2を介在して防水シート3を敷設し、防水性を有すると共に断熱効果を有する断熱防水工法となっている。
断熱層2の下地1への固定であるが、断熱層2の表面に固定ディスク10を当ててアンカー部材11を下地1に打ち込むことによって機械的に固定されており、その上から防水シート3が敷設配置されている。固定ディスク10と断熱層2との間にゴムシート12などを介在させることによって固定ディスク10に防水シート3を熱融着する際の熱で断熱層2が融けてしまうのを防止することができる。
防水シートは、元々幅が1〜2m程度のシートを幅方向に複数枚接続して例えば5〜10mぐらいの幅広のシートを現場に持ち込んで使用することも可能であるが、どうしても現場にて防水シート同士の接続を行わなければならない箇所が多数でてくる。
本発明では防水シートの接合は、図2に示すように熱風発生器Dなどを使用した熱融着による接合を行っている。防水シートの端部3a、3bを重ね合わせて熱融着を行う際に、熱風を防水シート3a、3b間に吹き付けて接合する面を溶融させ、溶融させた面を重ねて転圧することで融着が完成する。そこで、熱風が防水シート3の裏側へ流れ込んで防水シート3の下に配置している断熱層2を加熱してしまう。本発明で使用している断熱層2は、ポリスチレンフォームからなっており、他の材料と比べると安価でコスト的には有利であるといえるが、融点が80℃程度と低めであり、防水シート同士の接合を熱風で行うような場合に、その熱風が防水シート3と防水層2との間に流れ込んでくると、その熱でポリスチレンフォームからなる断熱層2が融けてしまったり、軟化して変形してしまったりするが、本発明では防水シート3の接合部付近には、防水シート3とポリスチレンフォームからなる防水層2との間に遮熱部材4を介在させているので接合の際の熱が直接断熱層2に伝わるのを防止することができるので、例えばポリウレタンフォームと比べると融点の低いポリスチレンフォームを用いても、熱より溶融したり変形したりすることがない。よって、コスト的にも有利なポリスチレンフォームを断熱層2の素材として使用することができる。
また、本発明で使用する遮熱部材4は、粘着性を有しているので防水シート3と密着し、熱融着のために防水シート3の端部同士の間に吹き込んだ熱風が堰き止められて奥側へ流れ込むこともなく、遮熱部材4を防水シート3と断熱層2との全域に配置しなくても、防水シート3の接合部付近のみに配置していれば、それで十分に断熱層2への熱の伝達を防止することができる。
遮熱部材4は、防水シート3の端部同士の重ね合わせたラップ領域Wと該ラップ領域Wに接する10〜50mmの範囲の領域Y1、Y2に及んで設置することが好ましい。ラップ領域Wについては、防水シート3が最も加熱される部分であり、遮熱部材4の設置は必須であり、端部の重ね合わせ時に上側に重ねた防水シート3a側には熱風が流れ込んで断熱層2が熱風によって直接熱せられることになるので、遮熱部材4は前記ラップ領域Wから更に10〜50mmの範囲(領域Y1)ではみ出させておく必要がある。また、端部の重ね合わせ時に下側に配置した防水シート3b側についても熱風の吹き込み口でありかなり加熱されることになるので、やはり前記ラップ領域Wから更に10〜50mmの範囲(領域Y2)ではみ出させておく必要がある。
但し、遮熱部材4に粘着性を有する材料を用いることで前記のように防水シート3と遮熱部材4とが密着して熱風を堰き止めることができるので、逆にラップ領域Wがはみ出させる長さが前記の10〜50mm程度でよくなっているということもできる。
また、遮熱部材4として使用することができるものとしては、熱に対して強くて熱伝導性が低く、防水シート3の下に設置しても外観上問題にならないようなシートやテープ形状を有するものであることが好ましく、素材としては加硫ゴム未加硫ゴムやウレタン等を挙げることができ、加硫ゴムからなるテープで、厚みが0.5mm〜2.0mmの範囲のものを用いることが好ましい。厚みが0.5mm未満であると遮熱効果が少なくなって、断熱層2を熱から十分に保護することができなくなり断熱層の変形や溶融につながってしまうので好ましくない。逆に2.0mmを越えるような厚みになると断熱性能としては十分すぎるほどあるが、防水シート3の表面に遮熱部材4の形状が突出して外観上問題があるので好ましくない。
防水シート3として用いることができるものとしてはEPDM(エチレン・プロピレン・ジエン・モノマー)、IIR(ブチルゴム)、NR(天然ゴム)、SBR(スチレン・ブタジエンゴム)、CR(クロロプレンゴム)、NBR(アクリロニトリル・ブタジエンゴム)、HNBR(水素化アクリロニトリル・ブタジエンゴム)、CSM(クロロスルフォン化ポリエチレン)等のゴムからなるものやその他、熱可塑性エラストマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等からなる防水シートを挙げることができる。
その厚みは1.0〜2.5mmの範囲のものを用いることが好ましい。1.0mm未満であると強度が不足して防水シートが容易に破断することがあり、2.5mmを越えると接合部において段差が大きくなってしまう外観を悪くすることにもなるので好ましくない。また、これらの素材のシートにガラス繊維やポリエステル繊維などからなる補強布を埋設して機械的強度を向上させたり寸法安定性を向上させたりしたものを用いることも可能である。
ゴムシートの場合は、そのままでは熱融着をすることができないので、防水シート3の下面に熱可塑性樹脂フィルムを積層一体化したものを用いる。そうすることで防水シート3端部の下面を熱風で焙ると熱可塑性樹脂フィルムが溶融し、他方の防水シート端部と重ねて転圧することで熱融着による接合を行うことが可能である。
積層一体化する熱可塑性樹脂フィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンビニルアセテート、エチレンメチルアクリレートなどのオレフィン系樹脂や、それらを変性した塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、マレイン化エチレンビニルアセテートなどの変性オレフィン樹脂、オレフィン系熱可塑性エラストマーなどを用いることができ、厚みは50〜500μm厚み、より好ましくは150〜250μm厚みのフィルムを積層する。厚みが50μm未満であるとシート表面のパターンに熱可塑性樹脂フィルムが沿わないなどの原因により熱融着による強度が低くなり、500μmを越えると防水シート本体との熱収縮率の差により防水シート3に大きなソリが発生すること、また防水シートのしなやかさが失われて下地に沿いにくくなったり施工性が悪くなったりすることから好ましくない。
防水シートと熱可塑性樹脂フィルムを積層一体化する方法としては、熱融着によるものや接着剤によるものが考えられるが、熱融着にて行うことによって強固に積層一体化することができる。具体的には防水シートと熱可塑性フィルムを重ね合わせてヒートロールなどにより加熱・加圧することによって熱融着で積層一体化することができる。また、防水シートを加硫して間もない加熱された状態にて、熱可塑性樹脂フィルムを積層して防水シートの加硫時の熱を利用して融着する方法も挙げられる。
具体的には、押出機から押し出された未加硫ゴムシートをエンドレスベルトに載せられて導入ロールから所定温度(150〜200℃)に設定された加硫缶内に送り込まれて加硫され導出ロールから加硫缶外へ送り出されて複数個のガイドロールを経て巻き取りロールに巻き取られる。このとき、加硫缶から送り出されたばかりの加硫ゴムシートは表面が130〜150℃になっており、熱可塑性樹脂フィルムを容易に融着することができる。このような片面に熱可塑性樹脂フィルムを積層一体化した加硫ゴム製防水シートを用いることによって防水シート同士の接合を熱融着で行うことができる。
断熱層2として使用するポリスチレンフォームは、ポリスチレン樹脂を発泡させたもので、スチレン系単量体の単独重合体に限らず、共重合体や単独重合体又は共重合体を他の樹脂と混合したものを、押出発泡成形法やビーズ発泡成形法により成形されたものを用いることができる。そして、発泡倍率が10〜50倍の範囲で、厚みが5〜100mm、より好ましくは10〜50mmの範囲のものを用いることが好ましい。発泡倍率が10倍未満であると熱伝導率が大きくなり、50倍を超えると圧縮、曲げ強度が低下してしまうので好ましくない。また、厚みが5mm未満になると断熱性が低下してしまい、100mmを超えると敷設後の歩行性を損なうなどの問題があるので好ましくない。
本発明の断熱防水工法は、建築物の屋上などに施す防水工法で下地と防水シートの間に断熱層を配置する断熱防水工法であって、断熱層としてポリスチレンフォームを使用する断熱公報として利用することができる。
1 下地
2 断熱層
3 防水シート
4 遮熱部材
10 固定ディスク
11 アンカー部材
12 ゴムシート
D 熱風発生器
W ラップ領域
Y1 領域
Y2 領域
2 断熱層
3 防水シート
4 遮熱部材
10 固定ディスク
11 アンカー部材
12 ゴムシート
D 熱風発生器
W ラップ領域
Y1 領域
Y2 領域
Claims (4)
- 下地上に断熱層を介在して防水シートを機械固定により敷設する防水工法であって、防水シート同士の接合が熱融着により接合されている断熱防水工法において、断熱層としてはポリスチレンフォームを使用し、防水シート同士の接合部にあっては防水シートと断熱層との間に遮熱部材を介在してなることを特徴とする断熱防水工法。
- 遮熱部材は粘着性を有しており防水シートと密着してなる請求項1記載の断熱防水工法。
- 遮熱部材を防水シートの端部同士の重ね合わせたラップ領域と該ラップ領域に接する10〜50mmの範囲に設置してなる請求項1〜2記載の断熱防水工法。
- 遮熱部材がテープ状を呈したゴム材料からなり、厚みが0.5mm以上である請求項1〜3記載の断熱防水工法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007338754A JP2009155999A (ja) | 2007-12-28 | 2007-12-28 | 断熱防水工法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2020066876A (ja) * | 2018-10-23 | 2020-04-30 | 早川ゴム株式会社 | 防水構造及び防水施工方法 |
-
2007
- 2007-12-28 JP JP2007338754A patent/JP2009155999A/ja active Pending
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