JP2009155508A - 環状オレフィン系樹脂成形品の表面処理方法 - Google Patents

環状オレフィン系樹脂成形品の表面処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】環状オレフィン系樹脂の透明性を活かすとともに、環状オレフィン系樹脂成形品の表面がアンカー効果による高いメッキ密着力を実現するための環状オレフィン系樹脂成形品の表面処理方法であり、且つ従来の環状オレフィン系樹脂成形品に対する化学メッキよりも、容易に化学メッキするための環状オレフィン系樹脂成形品の表面処理方法を提供する。
【解決手段】環状オレフィン系樹脂成形品の表面に対して、溶解度パラメーターが12.0Jl/2/cm3/2から20.1Jl/2/cm3/2である有機溶媒によって、表面をエッチングするエッチング工程後に化学メッキ処理する。
【選択図】なし

Description

本発明は、透明性に優れた環状オレフィン系樹脂成形品の表面処理方法に関するものであり、さらに詳しくはメッキ密着力に優れた環状オレフィン系樹脂成形品の表面処理方法に関する。
従来、樹脂成形品へのメッキ方法としては、エッチング時に溶けやすい他成分を樹脂に混練した材料を用い、エッチングによりその他成分を溶解等により除去した孔によるアンカー効果にて、樹脂成形品表面へのメッキ密着力を向上させることが知られている(特許文献1)。
一方、環状オレフィン系樹脂は、熱可塑性樹脂の中でも電気特性、特に誘電損失に優れ、透明性の高い材料として知られている。このため、環状オレフィン系樹脂は、従来から、上記の特微を活かし、メッキにて回路形成した立体回路基板等に採用されてきた。
しかし、従来の方法は、上記の樹脂成形品表面へのメッキ方法と同様に、環状オレフィン系樹脂にゴム成分等のエッチング時に溶けやすい成分を混練した材料を用い、そのゴム成分をエッチングにより除去し、アンカー効果によりメッキ密着力を向上させるものであった。そのため、ゴム成分等を混練させることにより、環状オレフィン系樹脂を用いた立体基板等は、透明性が著しく低下する問題があった(特許文献2、3、4)。
また、樹脂へのメッキ方法としてはスパッタ、イオンプレーティング等の乾式でのメッキ方法も知られているが、これらの方法ではスルーホールや垂直面へのメッキが難しい問題があった(特許文献5)。
特開平5−287176号公報 特開2003−115645号公報 特開2007−67260号公報 特開2007−201212号公報 特開平9−193293号公報
そこで、良好な電気特性から立体回路基板の材料に好適な環状オレフィン系樹脂の高い透明性を活かすために、ゴム成分等のエッチング時に溶けやすい成分を含まなくても環状オレフィン系樹脂成形品の表面に、従来エッチング工程後に得られていたような微小な凹凸を作り、アンカー効果によるメッキの密着性を向上させる技術が求められている。
また、環状オレフィン系樹脂成形品を用いた化学メッキ処理は、環状オレフィン系樹脂にゴム等を添加する工程に始まり、脱脂して樹脂表面の汚れを取り、その後エッチング、中和、触媒付与、触媒の活性化、その後化学メッキ処理されるので、多くの工程が含まれる。これらの工程を少しでも減らし容易且つ効率的に環状オレフィン系樹脂成形品に化学メッキ処理する方法が求められている。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、環状オレフィン系樹脂の透明性を活かすとともに、環状オレフィン系樹脂成形品の表面がアンカー効果による高いメッキ密着力を実現するための環状オレフィン系樹脂成形品の表面処理方法であり、且つ従来の環状オレフィン系樹脂成形品に対する化学メッキ処理よりも、容易に化学メッキ処理するための環状オレフィン系樹脂成形品の表面処理方法を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するために、鋭意研究を重ねた。その結果、環状オレフィン系樹脂成形品の表面を、溶解度パラメーターが12.0Jl/2/cm3/2〜20.1Jl/2/cm3/2である有機溶媒によって処理することで、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1) 前記環状オレフィン系樹脂成形品の表面に対して、溶解度パラメーターが12.0Jl/2/cm3/2から20.1Jl/2/cm3/2である有機溶媒によって、表面をエッチングするエッチング工程後に化学メッキ処理することを特徴とする環状オレフィン系樹脂成形品の表面処理方法。
(1)の発明によれば、環状オレフィン系樹脂にゴム成分等のエッチング時に溶けやすい成分を混練した材料を用いなくても、アンカー効果による強いメッキ密着力を実現することができる。これは、溶解度パラメーター(SP値)が12.0Jl/2/cm3/2〜20.1Jl/2/cm3/2である有機溶媒を用いて、環状オレフィン系樹脂成形品の表面を処理することで生じるマイクロクラックが、従来エッチング工程後にゴム成分が溶融して発生していた凹凸に代わるからである。したがって、本発明によれば、環状オレフィン系樹脂の高い透明性を活かすことができる。
本発明は、環状オレフィン系樹脂成形品の表面を特定の溶解度パラメーターを持つ有機溶媒で処理する。この処理によって環状オレフィン系樹脂成形品の表面にはマイクロクラックが発生する。マイクロクラックによって、環状オレフィン系樹脂成形品の透明性は若干低下するが、マスキング等により選択的にエッチングすることにより高い透明性を持つメッキ処理品を得ることが可能である。
また、環状オレフィン系樹脂の溶解度パラメーターと有機溶媒の溶解度パラメーターとを適宜調整することで、透明度とアンカー効果によるメッキ密着力との調整をすることができる。
本発明では、先ず、環状オレフィン系樹脂にゴム等の充填剤を添加する必要が無くなり、その手間及び充填剤のコストを削減することができる。さらに、環状オレフィン系樹脂成形品の表面がもともと汚染されていないこと、及び本発明のエッチング工程で用いられるエッチング液は脱脂工程も兼ねることから、本発明は、従来の環状オレフィン系樹脂成形品に対する化学メッキ処理よりも容易に環状オレフィン系樹脂成形品に対して化学メッキ処理をすることができる。
溶解度パラメーターとは、高分子の溶解性や相溶性の目安となる数値であり、高分子及び溶媒のSP値の差が小さいほど溶解性や相溶性が増大することが知られている。高分子と溶媒との間の相互作用が分子間力のみであると考えると、溶液の凝集エネルギーは蒸発エンタルピーと等価であることから、モル蒸発熱ΔHとモル体積Vより、溶媒側のSP値(δ)が下記式で定義される。
Figure 2009155508
一方、高分子のSP値は、SP値既知の溶媒への溶解度から矛盾が出ないように実験的に求められた値や、原子団寄与法によって高分子の分子構造から推定された値が用いられる。高分子や各種溶媒のSP値の具体的な数値に関しては、Polymer Handbook 4th Ed.(ページVII/675以下)等に記載されている値を採用することができる。
(2) 前記エッチング工程後に、さらに前記環状オレフィン系樹脂成形品の表面に極性を付与する湿潤化工程と、表面に極性を付与した環状オレフィン系樹脂成形品に触媒を付与する触媒付与工程と、付与した触媒を活性化する活性化工程と、を備える(1)に記載の環状オレフィン系樹脂成形品の表面処理方法。
(2)の発明によれば、環状オレフィン系樹脂成形品の表面に生じたマイクロクラックに対して、湿潤化し、その後触媒付与し、付与した触媒を活性化することで、アンカー効果によって、透明な環状オレフィン系樹脂成形品の表面に密着力に優れた化学メッキ処理を形成することができる。
(3) さらに、前記化学メッキ処理後に電気メッキ処理を行う(1)又は(2)記載の環状オレフィン系樹脂成形品の表面処理方法。
(3)の発明によれば、化学メッキ処理後に電気メッキ処理を行うことで、透明な材料に回路形成を行うことができる。また、電気メッキ後に所望の回路を形成することもできる。本発明は従来のようにゴム等の充填剤を用いていないので、環状オレフィン系樹脂の基板は高い透明性が保たれており、透明な基板に回路を形成することができる。
(4) 前記有機溶媒がn−ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、ベンゼン、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタンのいずれか1種又は2種以上の混合溶媒である(1)から(3)のいずれか記載の環状オレフィン系樹脂成形品の表面処理方法。
(4)の発明によれば、上記無極性有機溶媒で環状オレフィン系樹脂成形品の表面を処理することで、容易に環状オレフィン系樹脂成形品の表面に所望のマイクロクラックを生じさせることができる。
(5) 前記有機溶媒の沸点が50℃から100℃である(1)から(4)のいずれか記載の環状オレフィン系樹脂成形品の表面処理方法。
(5)の発明によれば、有機溶媒の沸点が上記範囲にあれば、沸点が低すぎないので有機溶媒の管理が容易になる。また、沸点が高すぎないので有機溶媒がマイクロクラックに残存することを防止し、オーバーエッチングを防ぐことができる。したがって、沸点が上記範囲の有機溶媒を用いて環状オレフィン系樹脂成形品の表面を処理することで、環状オレフィン系樹脂成形品に対して容易に化学メッキ処理を行うことができる。
(6) 前記有機溶媒が、さらにアセトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、酢酸エチル、メチルエチルケトンのいずれか1種以上を加えた混合溶媒である(1)から(5)のいずれか記載の環状オレフィン系樹脂成形品の表面処理方法。
(6)の発明によれば、(4)に記載の有機溶媒に上記有機溶媒のいずれか1種以上を加えることで、環状オレフィン系樹脂成形品表面のエッチングのエッチング速度をコントロールすることができる。このため、所望の大きさ、深さ等を持つマイクロクラックを容易に環状オレフィン系樹脂成形品の表面に生じさせることができる。したがって、本発明によれば、さらに環状オレフィン系樹脂成形品に対して容易に化学メッキ処理を行うことができる。
(7) 前記エッチング工程と前記化学メッキ処理との間にアセトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、酢酸エチル、メチルエチルケトンのいずれか1種以上溶媒で処理した後、さらに水にて処理する(1)から(6)のいずれか記載の環状オレフィン系樹脂成形品の表面処理方法。
(7)の発明によれば、エッチング工程後、化学メッキ処理前に上記有機溶媒1種以上で環状オレフィン系樹脂成形品の表面を処理し、さらにその環状オレフィン系樹脂成形品の表面を水で処理することで、環状オレフィン系樹脂成形品に対して容易に化学メッキ処理を行うことができる。これは、通常の化学メッキ工程は水溶性の溶液中で行われるため、環状オレフィン系樹脂成形品表面に残存するエッチング処理液を除去し上記溶媒を用いて環状オレフィン系樹脂成形品表面の水との濡れ性を向上させることで、化学メッキ処理の促進を図ることができるからである。
本発明によれば、環状オレフィン系樹脂成形品の化学メッキ処理において、環状オレフィン系樹脂成形品表面に対して、溶解度パラメーターが12.0Jl/2/cm3/2から20.1Jl/2/cm3/2である有機溶媒を用いて、表面をエッチングするエッチング工程を設けることで、従来と同等のメッキ密着力でありながら、環状オレフィン系樹脂の透明性を活かすことができる。さらに本発明によれば、従来の環状オレフィン系樹脂成形品の化学メッキ処理よりも容易に環状オレフィン系樹脂成形品に対して化学メッキ処理を行うことができる。
以下、本発明の環状オレフィン系樹脂成形品の表面処理方法の実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の要旨を限定するものではない。
<環状オレフィン系樹脂>
以下、環状オレフィン系樹脂について説明する。本発明に用いられる環状オレフィン系樹脂は、環状オレフィン成分を共重合成分として含むものであり、環状オレフィン成分を主鎖に含むポリオレフィン系樹脂であれば、特に限定されるものではない。例えば、
(a1)環状オレフィンの付加重合体又はその水素添加物、
(a2)環状オレフィンとα−オレフィンの付加共重合体又はその水素添加物、
(a3)環状オレフィンの開環(共)重合体又はその水素添加物、を挙げることができる。
また、本発明に用いられる環状オレフィン成分を共重合成分として含む環状オレフィン系樹脂としては、
(a4)上記(a1)〜(a3)の樹脂に、極性基を有する不飽和化合物をグラフト及び/又は共重合したもの。
極性基としては、例えば、カルボキシル基、酸無水物基、エポキシ基、アミド基、エステル基、ヒドロキシル基等を挙げることができ、極性基を有する不飽和化合物としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アルキル(炭素数1〜10)エステル、マレイン酸アルキル(炭素数1〜10)エステル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル等を挙げることができる。
本発明においては、上記の環状オレフィン成分を共重合成分として含む環状オレフィン系樹脂(a1)〜(a4)は、1種単独であっても、二種以上を混合使用してもよい。本発明においては、(a2)環状オレフィンとα−オレフィンの付加共重合体又はその水素添加物を好ましく用いることができる。
また、本発明に用いられる環状オレフィン成分を共重合成分として含む環状オレフィン系樹脂としては、市販の樹脂を用いることも可能である。市販されている環状オレフィン系樹脂としては、例えば、TOPAS(登録商標)(TOPAS ADVANCED POLYMER社製)、アペル(登録商標)(三井化学社製)、ゼオネックス(登録商標)(日本ゼオン社製)、ゼオノア(登録商標)(日本ゼオン社製)、アートン(登録商標)(JSR社製)等を挙げることができる。
本発明の組成物に好ましく用いられる(a2)環状オレフィンとα−オレフィンの付加共重合体としては、特に限定されるものではない。特に好ましい例としては、〔1〕炭素数2〜20のα−オレフィン成分と、〔2〕下記一般式(I)で示される環状オレフィン成分と、を含む共重合体を挙げることができる。
Figure 2009155508
(式中、R〜R12は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、及び、炭化水素基からなる群より選ばれるものであり、RとR10、R11とR12は、一体化して2価の炭化水素基を形成してもよく、R又はR10と、R11又はR12とは、互いに環を形成していてもよい。また、nは、0又は正の整数を示し、nが2以上の場合には、R〜Rは、それぞれの繰り返し単位の中で、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)
〔〔1〕炭素数2〜20のα−オレフィン成分〕
本発明に好ましく用いられる環状オレフィン成分とエチレン等の他の共重合成分との付加重合体の共重合成分となる炭素数2〜20のα−オレフィンは、特に限定されるものではない。例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ペンテン、3−エチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ヘキセン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、4−エチル−1−ヘキセン、3−エチル−1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等を挙げることができる。また、これらのα−オレフィン成分は、1種単独でも2種以上を同時に使用してもよい。これらの中では、エチレンの単独使用が最も好ましい。
〔〔2〕一般式(I)で示される環状オレフィン成分〕
本発明に好ましく用いられる環状オレフィン成分とエチレン等の他の共重合成分との付加重合体において、共重合成分となる一般式(I)で示される環状オレフィン成分について説明する。
一般式(I)におけるR〜R12は、それぞれ同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、及び、炭化水素基からなる群より選ばれるものである。
〜Rの具体例としては、例えば、水素原子;フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の低級アルキル基等を挙げることができ、これらはそれぞれ異なっていてもよく、部分的に異なっていてもよく、また、全部が同一であってもよい。
また、R〜R12の具体例としては、例えば、水素原子;フッ素、塩素、臭素等のハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ヘキシル基、ステアリル基等のアルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、エチルフェニル基、イソプロピルフェニル基、ナフチル基、アントリル基等の置換又は無置換の芳香族炭化水素基;ベンジル基、フェネチル基、その他アルキル基にアリール基が置換したアラルキル基等を挙げることができ、これらはそれぞれ異なっていてもよく、部分的に異なっていてもよく、また、全部が同一であってもよい。
とR10、又はR11とR12とが一体化して2価の炭化水素基を形成する場合の具体例としては、例えば、エチリデン基、プロピリデン基、イソプロピリデン基等のアルキリデン基等を挙げることができる。
又はR10と、R11又はR12とが、互いに環を形成する場合には、形成される環は単環でも多環であってもよく、架橋を有する多環であってもよく、二重結合を有する環であってもよく、またこれらの環の組み合わせからなる環であってもよい。また、これらの環はメチル基等の置換基を有していてもよい。
一般式(I)で示される環状オレフィン成分の具体例としては、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、5−メチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5,5−ジメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−エチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−ブチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−エチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−ヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−オクチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−オクタデシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−メチリデン−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−ビニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−プロペニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン等の2環の環状オレフィン;
トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3,7−ジエン(慣用名:ジシクロペンタジエン)、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ−3−エン;トリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3,7−ジエン若しくはトリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3,8−ジエン又はこれらの部分水素添加物(又はシクロペンタジエンとシクロヘキセンの付加物)であるトリシクロ[4.4.0.12,5]ウンデカ−3−エン;5−シクロペンチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−シクロヘキシル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−シクロヘキセニルビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、5−フェニル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エンといった3環の環状オレフィン;
テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン(単にテトラシクロドデセンともいう)、8−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−メチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−エチリデンテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−ビニルテトラシクロ[4,4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−プロペニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エンといった4環の環状オレフィン;
8−シクロペンチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−シクロヘキシル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−シクロヘキセニル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン、8−フェニル−シクロペンチル−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン;テトラシクロ[7.4.13,6.01,9.02,7]テトラデカ−4,9,11,13−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,9a−テトラヒドロフルオレンともいう)、テトラシクロ[8.4.14,7.01,10.03,8]ペンタデカ−5,10,12,14−テトラエン(1,4−メタノ−1,4,4a,5,10,10a−へキサヒドロアントラセンともいう);ペンタシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]−4−ヘキサデセン、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]−4−ペンタデセン、ペンタシクロ[7.4.0.02,7.13,6.110,13]−4−ペンタデセン;ヘプタシクロ[8.7.0.12,9.14,7.111,17.03,8.012,16]−5−エイコセン、ヘプタシクロ[8.7.0.12,9.03,8.14,7.012,17.113,l6]−14−エイコセン;シクロペンタジエンの4量体等の多環の環状オレフィンを挙げることができる。
これらの環状オレフィン成分は、1種単独でも、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの中では、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン(慣用名:ノルボルネン)、テトラシクロドデセンが好ましく用いられる。
〔1〕炭素数2〜20のα−オレフィン成分と〔2〕一般式(I)で表される環状オレフィン成分との重合方法及び得られた重合体の水素添加方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法に従って行うことができる。ランダム共重合であっても、ブロック共重合であってもよいが、ランダム共重合であることが好ましい。
また、用いられる重合触媒についても特に限定されるものではなく、チーグラー・ナッタ系、メタセシス系、メタロセン系触媒等の従来周知の触媒を用いて周知の方法により得ることができる。本発明に好ましく用いられる環状オレフィンとα−オレフィンの付加共重合体又はその水素添加物は、メタロセン系触媒やチーグラー・ナッタ系触媒を用いて製造されることが好ましい。
メタセシス触媒としては、シクロオレフィンの開環重合用触媒として公知のモリブデン又はタングステン系メタセシス触媒(例えば、特開昭58−127728号公報、同58−129013号公報等に記載)が挙げられる。また、メタセシス触媒で得られる重合体は無機担体担持遷移金属触媒等を用い、主鎖の二重結合を90%以上、側鎖の芳香環中の炭素−炭素二重結合の98%以上を水素添加することが好ましい。
〔その他共重合成分〕
本発明の組成物に特に好ましく用いられる(a2)環状オレフィンとα−オレフィンの付加共重合体は、上記の〔1〕炭素数2〜20のα−オレフィン成分と、〔2〕一般式(I)で示される環状オレフィン成分以外に、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて他の共重合可能な不飽和単量体成分を含有していてもよい。
任意に共重合されていてもよい不飽和単量体としては、特に限定されるものではないが、例えば、炭素−炭素二重結合を1分子内に2個以上含む炭化水素系単量体等を挙げることができる。炭素−炭素二重結合を1分子内に2個以上含む炭化水素系単量体の具体例としては、1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、4−メチル−1,5−ヘキサジエン、5−メチル−1,5−ヘキサジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン等の鎖状非共役ジエン;シクロヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、メチルテトラヒドロインデン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボンネン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネン、4,9,5,8−ジメタノ−3a,4,4a,5,8,8a,9,9a−オクタヒドロ−1H−ベンゾインデン等の環状非共役ジエン;2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン;2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン;2−プロペニル−2,2−ノルボルナジエン等を挙げることができる。これらのうちでは、1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、及び環状非共役ジエン、とりわけ、ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエンが好ましい。
上記環状オレフィン系樹脂の数平均分子量は20000〜100000であることが好ましく、より好ましくは30000〜60000である。環状オレフィン系樹脂の数平均分子量が小さ過ぎると樹脂の溶解性が高くなり、所望のマイクロクラックが得られにくくなるので好ましくなく、数平均分子量が高過ぎると樹脂の溶解性が低くなりすぎてマイクロクラックが環状オレフィン系樹脂成形品に生じにくくなるので好ましくない。環状オレフィン系樹脂の数平均分子量が上記範囲にあれば所望の大きさ、深さ等をもつマイクロクラックが得られやすくなるので好ましい。
環状オレフィン系樹脂の溶解度パラメーターは特に限定されないが、12.0Jl/2/cm3/2〜19.0Jl/2/cm3/2であることが好ましく、より好ましくは15.0Jl/2/cm3/2〜17.0Jl/2/cm3/2である。環状オレフィン系樹脂の溶解度パラメーターが上記範囲内にあれば、表面処理に用いる有機溶媒との相溶性や溶解性が適切になるので好ましい。
環状オレフィン系樹脂成形品にはフィルム等のシート状物を含み、その厚さは特に限定されないが5μm以上であることが好ましく、より好ましくは1mm以上である。あまり薄すぎると環状オレフィン系樹脂の透明性を維持することが難しくなるため好ましくない。
本発明に用いる環状オレフィン系樹脂成形品の形状は特に限定されず、板状のような単純な形状から凹凸を含むような複雑な形状まで適用可能である。
<有機溶媒>
本発明の表面処理に用いる有機溶媒は溶解度パラメーターが、12.0Jl/2/cm3/2〜20.1Jl/2/cm3/2の範囲にあるものであれば特に限定されない。有機溶媒は、環状オレフィン系樹脂を溶解させる溶媒であればよく、特に溶解後に、環状オレフィン系樹脂成形品の表面に均一でメッキ処理後にアンカー効果が得られやすいマイクロクラックを発生させる有機溶媒が好ましい。これらの条件を満たす有機溶媒としては、n−ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、ベンゼン、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタンが挙げられる。
有機溶媒の溶解度パラメーターは12.0Jl/2/cm3/2〜20.1Jl/2/cm3/2であることが好ましく、より好ましくは18.0Jl/2/cm3/2〜20.0Jl/2/cm3/2である。有機溶媒の溶解度パラメーターが上記範囲にあれば、有機溶媒と環状オレフィン系樹脂成形品との間に一定の溶解性、相溶性があるので好ましい。これら溶解性や相溶性により環状オレフィン系樹脂成形品には好ましいマイクロクラックが生じる。
環状オレフィン系樹脂と有機溶媒との溶解度パラメーターの差は0.0Jl/2/cm3/2〜4.0Jl/2/cm3/2であることが好ましく、より好ましくは2.0Jl/2/cm3/2〜4.0Jl/2/cm3/2である。環状オレフィン系樹脂と有機溶媒との溶解度パラメーターの差が上記範囲にあることで、環状オレフィン系樹脂の透明性をほとんど損なわない程度のマイクロクラックが環状オレフィン系樹脂成形品に得られ、さらにアンカー効果によるメッキ密着力の向上の効果も得られるので好ましい。
有機溶媒の沸点は40℃〜120℃であることが好ましく、より好ましくは50℃〜100℃であり、さらに好ましくは60℃〜90℃である。有機溶媒の沸点が低すぎると常温での気化が速くなり、溶媒の管理が難しくなる。また、逆に有機溶媒の沸点が高すぎるとエッチング後に環状オレフィン系樹脂成形品の表面に有機溶媒が付着したままとなり、オーバーエッチングになってしまうことがある。したがって、環状オレフィン系樹脂の透明性を維持するため、一定の大きさ、深さ等をもつマイクロクラックを環状オレフィン系樹脂成形品の表面に得るためには、有機溶媒の沸点が上記範囲内にあることが好ましい。
高沸点の有機溶媒をエッチング溶媒として用いる場合にはエッチング処理後に乾燥工程を設けることで、オーバーエッチングの問題を解消することができる。
また、エッチングに用いる有機溶媒は上記SP値を持つ有機溶媒を2種以上混合した混合溶媒を用いることも可能である。この様な混合溶媒としては、n−ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、ベンゼン、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタンから選ばれる2種以上の溶媒を混合した混合溶媒が挙げられ、その中でもn−ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、ジクロロメタンより選ばれる2種以上の溶媒の混合溶媒が好ましい。混合溶媒を用いることでエッチング条件の調整範囲が広がるという効果が得られる。
<エッチング工程>
本発明のエッチング工程は、環状オレフィン系樹脂成形品にマイクロクラックを生じさせるために、環状オレフィン系樹脂成形品の表面を、上記有機溶媒を用いて処理する。環状オレフィン系樹脂成形品の表面に発生するマイクロクラックは均一でメッキ処理後にアンカー効果が得られやすいものが好ましい。
エッチング工程における有機溶媒の使用量は特に限定されず、使用する有機溶媒や環状オレフィン系樹脂によって、その有機溶媒の使用量は適宜変更することが好ましい。用いる有機溶媒の溶解度パラメーターが12.0Jl/2/cm3/2〜20.1Jl/2/cm3/2であり、環状オレフィン樹脂の表面1cm当たり、0.3ml〜10mlであることが好ましい。より好ましくは1ml〜3mlである。有機溶媒の使用量が上記範囲内であれば、環状オレフィン系樹脂成形品の表面に均一でメッキ処理後にアンカー効果が得られやすいマイクロクラックを発生させやすくなるので好ましい。
発生するマイクロクラックの大きさ等を調整するため、オーバーエッチング等を防ぐために、エッチング速度をコントロールすることが好ましい。エッチング速度は上記有機溶媒にさらに溶解度パラメーターの高い有機溶媒を混合することでコントロールすることができる。このような上記溶解度パラメーターの値よりも高い有機溶媒としては、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、酢酸エチル、メチルエチルケトンから選ばれる1種又は2種以上の混合溶媒が挙げられる。この中でもアセトン、メタノール、エタノール、イソプロパノールが好ましい。
有機溶媒によるエッチング温度は、有機溶媒の沸点以下であればエッチング可能であるが、取り扱いの点から室温で行うことが好ましい。
また、エッチング時間は、有機溶媒により異なるが、長すぎると溶解が進みエッチング時に生成するマイクロクラックが溶けてしまい、逆に短すぎると充分なマイクロクラックが発生しないため、何れもメッキ密着力が低下する問題が発生する。そのため、SP値が
12.0Jl/2/cm3/2〜20.1Jl/2/cm3/2の有機溶媒のみを用いる場合はエッチング時間としては10〜180秒が好ましく、より好ましくは15秒〜60秒である。エッチング溶媒としてSP値の大きい溶媒を混合する場合、例えばSP値が18.0Jl/2/cm3/2〜20.1Jl/2/cm3/2の有機溶媒を用いる場合は10秒〜30秒が好ましい。より好ましくは15〜20秒である。
有機溶媒によるエッチング工程は、成形品の全面をエッチングするだけではなく、マスキング等を行うことにより、選択的にエッチングすることも可能である。
上記のエッチング工程によって得られるマイクロクラックの大きさ、深さは特に限定されないが、マイクロクラックが大きく、深い場合には環状オレフィン系樹脂の透明性が低下してしまうので好ましくない。また、マイクロクラックの大きさ等はメッキ処理後にアンカー効果が得られやすいものが好ましい。マイクロクラックの大きさは0.1μm〜30μmであることが好ましく、より好ましくは1μm〜10μmである。マイクロクラックの深さは0.5μm〜30μmであることが好ましく、より好ましくは1μm〜20μmである。なお、マイクロクラックの大きさとは環状オレフィン系樹脂成形品表面に現れるヒビの長さのことをいう。
十分なメッキ密着力の実現と透明性とを維持するためには1cm当たり500個〜10000個のマイクロクラックがあることが好ましい。より好ましくは600個〜5000個である。なおここでのマイクロクラックはメッキ形成面に対して垂直な方向に形成され、マイクロクラックの大きさや深さは上記好ましい範囲に含まれるマイクロクラックとする。
上記のような好ましいマイクロクラックは、使用する有機溶媒、有機溶媒の溶解度パラメーター、エッチング条件等のいくつかを上記の好ましい範囲に設定することで得ることができる。
エッチング工程の最後に洗浄工程を設けることが好ましい。エッチング処理後の洗浄工程であるが、エッチング後のメッキ工程が水溶性の溶液にて行うため、エッチング処理時に用いる有機溶媒を除去し、水との濡れ性を向上させる。この洗浄工程は水そのものを使用し、置換することも可能であるが、エッチングに用いた有機溶媒を完全に除去するためには、エッチングに用いた有機溶媒と混合し置換でき且つ蒸発による除去後、水にて洗浄する方法又はエッチングに用いた有機溶媒と水とも混合する溶媒を用い、有機溶媒を置換後、さらに水で洗浄する方法がある。その様な方法で用いることが可能な溶媒としては、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、酢酸エチル、メチルエチルケトンが挙げられ、その中でも取扱のしやすさからアセトン、メタノール、エタノール、イソプロパノールが好ましく、さらに好ましくはアセトン、イソプロパノールである。
<化学メッキ処理>
環状オレフィン系樹脂成形品を有機溶媒で処理した後に行われる化学メッキ処理工程は特に限定されるものではなく従来公知の方法で行うことができる。例えば、環状オレフィン系樹脂成形品を有機溶媒で処理した後に湿潤化、触媒付与、触媒活性化、化学メッキの順で行うことが好ましい。
湿潤化とは、メッキ用触媒を付着するためにプラスチック表面のぬれ性を向上させる工程であり、通常プラスチックを、界面活性剤を含む水溶液で処理することにより、行うことができる。
触媒付与とは、触媒をプラスチック表面に付着させる工程であり、例えば、パラジウム触媒の場合には、通常、塩化スズと塩化パラジウムの塩酸酸性水溶液にプラスチックを浸漬させることにより行うことができる。
活性化とは、プラスチック表面に付着されたメッキ用触媒を活性化する工程であり、通常塩酸等の酸を接触させることとにより、行うことができる。
化学メッキとはプラスチック表面に活性化した触媒を付着させた状態で、化学メッキ液に浸漬し、金属をプラスチック表面に析出させる工程であり、例えば、化学銅メッキの場合には銅とホルマリンを含む水酸化ナトリウムのアルカリ性水溶液にプラスチックを浸漬することにより行うことができる。メッキの金属としては、ニッケル、クロム、すず、鉛、銅、銀、金、亜鉛等が挙げられるが、銅、ニッケルが好ましい。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を使用してもよい。また、メッキ層は単層であってもよいし、同種又は異種金属の多層でもよい。
化学メッキ処理の後にアディティブ法、セミアディティブ法、サブトラクティブ法等の回路形成手法を用い、電気回路形成や電気メッキ処理を行うことも可能である。回路形成や電気メッキ処理には従来公知の方法を用いることができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
環状オレフィン系樹脂Topas6013(ポリプラスチックス株式会社製)のペレットを、射出成形機を用い、シリンダー温度280℃、金型温度120℃、射出圧100MPa、射出速度30mm/secで70□×2mmt平板を作成した。その平板成形品を用い、表1、表2で示す条件にてエッチングし、湿潤化工程としてコンディライザーSP(奥野製薬工業株式会社製)に40℃、3分間浸漬し、水洗浄後、触媒付与工程としてキャタリストA−30(奥野製薬工業株式会社製)の塩酸水溶液に室温で5分間浸潰し、水洗浄後、活性化工程として5wt%塩酸水溶液に1分間浸漬し、水洗浄後、化学メッキ工程としてOPC−750(奥野製薬工業株式会社製)に室温で20分間浸漬し、約0.8μmの化学銅メッキ膜を形成した。化学銅メッキ膜形成後、メッキ密着有無の評価としてメッキ膜の膨れ、剥がれの有無を目視にて評価した。結果を表1、表2に示す。

Figure 2009155508
Figure 2009155508
実施例1〜5から分かるように、溶解度パラメーターが12.0Jl/2/cm3/2〜20.1Jl/2/cm3/2の範囲にあれば、常温で10秒間又は20秒間エッチングすれば、高いメッキ密着力が得られることが確認された。これに対して、比較例1〜3ではエッチング時間が30秒間と長いにもかかわらずメッキ密着力は確認できなかった。溶解度パラメーターが12.0Jl/2/cm3/2〜20.1Jl/2/cm3/2の範囲にあれば、環状オレフィン系樹脂成形品の表面に均一でメッキ処理後にアンカー効果が得られやすいマイクロクラックを発生させるためと考えられる。
実施例5と比較例1から分かるように、エッチング溶媒として高沸点のトルエンを用いる場合には、エッチング後に乾燥工程を設けなければ、密着力に優れたメッキ処理ができないことが確認された。

Claims (7)

  1. 環状オレフィン系樹脂成形品の表面に対して、溶解度パラメーターが12.0Jl/2/cm3/2から20.1Jl/2/cm3/2である有機溶媒によって、表面をエッチングするエッチング工程後に化学メッキ処理することを特徴とする環状オレフィン系樹脂成形品の表面処理方法。
  2. 前記エッチング工程後に、
    さらに前記環状オレフィン系樹脂成形品の表面に極性を付与する湿潤化工程と、
    表面に極性を付与した環状オレフィン系樹脂成形品に触媒を付与する触媒付与工程と、
    付与した触媒を活性化する活性化工程と、を備える請求項1に記載の環状オレフィン系樹脂成形品の表面処理方法。
  3. さらに、前記化学メッキ処理後に電気メッキ処理を行う請求項1又は2記載の環状オレフィン系樹脂成形品の表面処理方法。
  4. 前記有機溶媒がn−ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、ベンゼン、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタンのいずれか1種又は2種以上の混合溶媒である請求項1から3のいずれか記載の環状オレフィン系樹脂成形品の表面処理方法。
  5. 前記有機溶媒の沸点が50から100℃である請求項1から4のいずれか記載の環状オレフィン系樹脂成形品の表面処理方法。
  6. 前記有機溶媒が、さらにアセトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、酢酸エチル、メチルエチルケトンのいずれか1種以上を加えた混合溶媒である請求項1から5のいずれか記載の環状オレフィン系樹脂成形品の表面処理方法。
  7. 前記エッチング工程と前記化学メッキ処理との間にアセトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、酢酸エチル、メチルエチルケトンのいずれか1種以上溶媒で処理した後、さらに水にて処理する請求項1から6のいずれか記載の環状オレフィン系樹脂成形品の表面処理方法。
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