JP2009154551A - ヘッドレスト位置調整装置およびヘッドレスト位置調整方法 - Google Patents

ヘッドレスト位置調整装置およびヘッドレスト位置調整方法 Download PDF

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Abstract

【課題】短時間で高精度なヘッドレストの位置調整を行うこと。
【解決手段】ヘッドレスト位置調整装置100は、静電容量センサ部10と駆動モータ部30とを備え、静電容量センサ部10は、複数の検知電極11〜15と検出回路20とを備える。各検出電極11〜15は、ヘッドレスト43の前面側の高さ方向全域にわたって等間隔をおいて並設された状態で配置される。検出回路20は、各検知電極11〜15と一対一で接続された複数の静電容量検知回路21〜25と演算処理回路28とを備え、駆動モータ部30は、モータ駆動回路と駆動モータとを備える。各検知電極11〜15の検知信号にて最も高い出力の該当検知電極を検出回路20が検出し、該当検知電極がヘッドレスト43の高さ方向の中心位置P’よりも上方に配置されている場合が頭部49の中心位置Pに対する適正位置として位置調整する。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車等の車両の座席に備えられたヘッドレストの位置を調整するヘッドレスト位置調整装置およびヘッドレスト位置調整方法に関し、特にヘッドレストの位置を自動的に適切な状態に調整することができるヘッドレスト位置調整装置およびヘッドレスト位置調整方法に関する。
従来より、例えば自動車等の車両の座席に備えられたヘッドレストの位置を調整するものとして、次のようなものが知られている。すなわち、下記特許文献1に開示されている車両用ヘッドレスト装置は、ヘッドレスト前部を全開位置方向へ移動させるときに、静電容量センサから検出された静電容量の変化量とあらかじめ設定されたしきい値とを比較し、変化量がしきい値よりも大きければヘッドレスト前部が乗員(人体)の頭部に接近したと判断するECUを備えて構成される。
そして、ECUは、所定のタイミングの静電容量センサの単位移動量あたりの容量変化を検出し、その検出結果に基づいてしきい値を切り替えたり、一定時間ごとにしきい値を切り替えたり、モータの駆動電圧に基づいてしきい値を変更したりする。これにより、ヘッドレスト前部が乗員の頭部に接近したことを的確に検出することができる構成とされている。
また、下記特許文献2に開示されているヘッドレストを調節するための装置は、乗員の頭部位置を検知するためのヘッドレスト内に配置されている2つのコンデンサプレートを含むセンサを有して構成され、これら2つのコンデンサプレートは、ヘッドレスト内に上下に配置されている。
そして、一方のコンデンサプレートのセンサ信号(検知信号)の増加が他方のコンデンサプレートのセンサ信号の減少と同時に生じる限り、ヘッドレストの高さ位置が、引っ込められているヘッドレストを伴う定位置から出発して変化するように調節される構成とされている。
また、下記特許文献3に開示されているヘッドレスト駆動装置は、ヘッドレストを移動可能に支持する支持手段と、ヘッドレストを往復駆動する駆動手段と、ヘッドレスト外カバーの頭部を支える部位の内側に互いに離れて設けられた複数の検出電極と、これら複数の検出電極が共通電位ラインに対して形成する静電容量を検出する静電容量検出手段と、静電容量がバランスする方向にヘッドレストを移動させるように駆動手段を制御する位置制御手段とを備えて構成される。
そして、頭部が複数の検出電極の中心に位置するように、換言すると、頭部の動きに追従してヘッドレストが移動するようにヘッドレストが駆動され、自動的にヘッドレストの位置を調整することができる構成とされている。
さらに、下記特許文献4に開示されているヘッドレスト調整装置は、モータの駆動によって上下動可能なようにシートバック(背もたれ部)の上部に配置されたヘッドレストと、着座者(乗員)の頭部位置を検出する頭部検出センサと、頭部検出センサからの信号に基づいて、着座者の頭部位置に応じてヘッドレストの高さを調整するCPUとを備えて構成される。
そして、CPUがイグニッションスイッチの導通を検知し、かつ着座センサが着座があることを検知し、さらにシートベルトバックルスイッチが車両のシートベルトが装着されていることを検知したときに、ヘッドレストの調整動作を開始することができる構成とされている。
特開2007−30676号公報 特開2000−309242号公報 特開昭64−11512号公報 特開平11−180200号公報
しかしながら、上述した特許文献1に開示されている車両用ヘッドレスト装置では、1つの静電容量センサにより、また、上述した特許文献2に開示されているヘッドレストを調節するための装置では、2つもしくは3つのコンデンサプレートにより、それぞれ頭部と検知電極との間の静電容量を測定して位置調整に利用するとされている。
また、上述した特許文献3に開示されているヘッドレスト駆動装置では、ヘッドレストと車両の天井部などとの間の静電容量により、さらに上述した特許文献4に開示されているヘッドレスト調整装置では、シート各部の調整結果により、それぞれヘッドレストの位置調整を行うとされている。
このため、センサの出力バランスや各検知電極の出力ピークなどを比較して頭部中心を検出する必要がある。そして、このような検出方式では検知電極が配置されているヘッドレストを、例えば高さ方向に下端側から上端側まで移動させて走査し、センサの出力がバランスする位置の特定や、各検知電極の出力ピークを検出するというような検出動作を行わなければならない。したがって、短時間で高精度の位置調整を行うことができないという問題がある。
特に、上記のような検出方式では、検出動作中に頭部が動くことなどによって、頭部の形状以外の要因がセンサなどの出力変動を引き起こしてしまうという点については考慮されていない。このため、高精度に位置調整を行うためにはある程度の調整時間が掛かってしまい、短時間に位置調整を行うことができない構成となっていた。
一例として、ヘッドレストに静電容量センサを設置し、シートに被験者が着座した状態における本出願人の実験によるセンサ出力の検出結果を図11に示す。なお、図11において、ヘッドレストは、検知電極を下部、中央部、上部の3箇所に別々に配置したパターンのものを3種類用意して実験を行った。また、図11における縦軸は検知電極中心からシート上端までの距離(センサ高さ)を表し、横軸は各検出位置でのセンサ出力を表している。なお、被験者の頭部とヘッドレストとの距離は20mmを維持するようにしつつ、なるべく動かない状態で実験を行った。
この結果、図11からも明らかなように、センサ出力は決して安定したものとはならず、通常時における乗車状態ではさらに出力は不安定な挙動を示すであろうと想定された。このことからも、上述したような検出方式による検出動作を実施してヘッドレストの位置調整を高精度に行うことは、調整時間を要するとともに困難であるといわざるを得ないことが判明した。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、短時間で高精度なヘッドレストの位置調整を自動的に行うことができるヘッドレスト位置調整装置およびヘッドレスト位置調整方法を提供することを目的とする。
本発明に係るヘッドレスト位置調整装置は、車両の座席に備えられたヘッドレストに高さ方向に並設された状態で設けられ、前記座席に着座した人体の頭部と前記ヘッドレストとの間の静電容量を検知する複数の検知電極と、前記複数の検知電極のうち、検知信号の出力が最も高い検知電極を検出する検出回路と、前記検出回路によって検出された検知信号の出力が最も高い検知電極が前記ヘッドレストの高さ方向の中心位置よりも上方に位置するように前記ヘッドレストの前記座席に対する位置を調整する位置調整手段とを備えたことを特徴とする。
本発明に係るヘッドレスト位置調整装置は、以上のように構成することにより、検出された検知信号の出力が最も高い検知電極がヘッドレストの高さ方向の中心位置よりも上方に位置するように、ヘッドレストの座席に対する位置を適切かつ自動的に調整することができる。このため、短時間で高精度なヘッドレストの位置調整を行うことが可能となる。また、自動的にヘッドレストの座席に対する位置を調整することができるため、ヘッドレスト位置未調整に伴う車両の衝突時などにおける乗員の頸椎損傷などの事故防止を図ることができる。
なお、前記複数の検知電極は、例えば前記ヘッドレストの高さ方向全域にわたって等間隔をおいて配置されている構成とされていてもよい。
また、前記複数の検知電極は、例えば前記ヘッドレストの高さ方向に等間隔をおいて配置され、かつ前記複数の検知電極からなる検知電極群の高さ方向の中心近傍に配置された検知電極が、前記検出回路によって検知信号の出力が最も高い検知電極として検出されるように、前記検知電極群全体が前記高さ方向に偏った状態で配置されている構成とされていてもよい。
また、前記複数の検知電極は、例えばそれぞれ前記ヘッドレストの前方表面に沿った前記高さ方向と交差する方向に長手方向を有する矩形短冊状に形成され、前記ヘッドレストの前面側に配置されている構成とされていてもよい。
さらに、前記複数の検知電極は、例えば前記ヘッドレストの前面側に少なくとも5つ設けられている構成とされていてもよい。
前記検出回路は、例えば前記複数の検知電極とそれぞれ一対一に接続され、各検知電極により検知された静電容量を示す情報を出力する複数の静電容量検知回路と、これら複数の静電容量検知回路からの前記情報に基づく静電容量値を比較して検知された静電容量値が最も大きい検知電極を検出し、検出結果に応じた前記ヘッドレストの駆動情報を前記位置調整手段に対して出力する演算処理回路とを備えて構成されていてもよい。
また、前記検出回路は、例えば前記複数の検知電極と接続された時分割回路と、この時分割回路により各検知電極にてそれぞれ異時的に検知された静電容量を示す情報を出力する静電容量検知回路と、この静電容量検知回路からの前記情報に基づく静電容量値を比較して検知された静電容量値が最も大きい検知電極を検出し、検出結果に応じた前記ヘッドレストの駆動情報を前記位置調整手段に対して出力する演算処理回路とを備えて構成されていてもよい。
本発明に係るヘッドレスト位置調整方法は、車両の座席に備えられたヘッドレストに高さ方向に沿って並設された状態で設けられた複数の検知電極によって、前記座席に着座した人体の頭部と前記ヘッドレストとの間の静電容量を検知し、前記複数の検知電極のうち、検知信号の出力が最も高い検知電極を検出し、検出された検知信号の出力が最も高い検知電極が前記ヘッドレストの高さ方向の中心位置よりも上方に位置するように前記ヘッドレストの前記座席に対する位置を調整することを特徴とする。
本発明に係るヘッドレスト位置調整方法は、以上のように構成されることにより、検出された検知信号の出力が最も高い検知電極がヘッドレストの高さ方向の中心位置よりも上方に位置するように、ヘッドレストの座席に対する位置を適切かつ自動的に調整することができ、短時間で高精度なヘッドレストの位置調整を行うことが可能となる。また、自動的にヘッドレストの座席に対する位置を調整することができるため、ヘッドレスト位置未調整に伴う車両の衝突時などにおける乗員の頸椎損傷などの事故防止を図ることが可能となる。
本発明によれば、検出された検知信号の出力が最も高い検知電極がヘッドレストの高さ方向の中心位置よりも上方に位置するように、ヘッドレストの座席に対する位置を適切かつ自動的に調整することができ、短時間で高精度なヘッドレストの位置調整を行うことができるヘッドレスト位置調整装置およびヘッドレスト位置調整方法を提供することが可能となる。
以下、添付の図面を参照して、本発明に係るヘッドレスト位置調整装置およびヘッドレスト位置調整方法の好適な実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施の形態に係るヘッドレスト位置調整装置を配置した車両の座席の例を示す概略図、図2は同ヘッドレスト位置調整装置の一部のヘッドレストにおける配置例を示す説明図、図3は同ヘッドレスト位置調整装置の全体構成の例を示すブロック図である。
また、図4は、同ヘッドレスト位置調整装置の静電容量検知回路の構成例を示すブロック図、図5は同ヘッドレスト位置調整装置の検出回路の動作波形の例を示す動作波形図、図6はヘッドレスト位置調整装置の検知電極の出力の比較例を示す説明図、図7は本発明の第1実施の形態に係るヘッドレスト位置調整装置の検知電極の出力の例を示す説明図である。
図1および図2に示すように、ヘッドレスト位置調整装置100は、車両などの座席40に設けられ、例えば座席40のヘッドレスト43に配置された静電容量センサ部10と、座席40の背もたれ部41に配置された駆動モータ部30とを備えて構成されている。本実施の形態に係るヘッドレスト位置調整装置100では、静電容量センサ部10と駆動モータ部30は、例えばハーネス29により電気的に接続されている。
静電容量センサ部10は、例えば基板19の一方の面側に形成された複数の検知電極11〜15と、この基板19の他方の面側に形成された検出回路20とを備えて構成され、座席40の着座部42に着座した人体48の頭部49とヘッドレスト43(具体的には、検知電極11〜15)との間の静電容量を検知する。
基板19は、例えばフレキシブルプリント基板、リジッド基板あるいはリジッドフレキシブル基板により構成されている。また、複数の検知電極11〜15は、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)あるいはエポキシ樹脂などの絶縁体からなる基板19上にパターン形成された銅、銅合金またはアルミニウムなどからなる。
これら複数の検知電極11〜15は、例えばヘッドレスト43の前面側において、ヘッドレスト43の前方の表面に沿った高さ方向と交差する幅方向に、その長手方向を有する矩形短冊状に形成され、ヘッドレスト43の高さ方向に沿って検知電極11〜15の幅方向が並ぶように高さ方向全域にわたって等間隔をおいて並設された状態で配置されている。
そして、複数の検知電極11〜15には、例えばそれぞれ電極番号1〜5が割り当てられている。これら複数の検知電極11〜15は、本例では5つ設けられているが、検出された検知信号の出力が最も高い検知電極がヘッドレスト43の高さ方向の中心位置よりも上方に位置するような態様や数が配置されていればよく、例えば5以上設けられていてもよい。
検出回路20は、複数の検知電極11〜15からの検知信号に基づいて、これら各検知電極11〜15のうち、検知信号の出力が最も高い検知電極を検出する。この検出回路20は、図3に示すように、例えば複数の検知電極11〜15とそれぞれ一対一で接続され、各検知電極11〜15により検知された静電容量を示す情報を出力する複数の静電容量検知回路21〜25と、これら複数の静電容量検知回路21〜25と接続され、各静電容量検知回路21〜25から出力された情報に基づく静電容量値を比較して検知された静電容量値が最も大きい検知電極を検出し、検出結果に応じたヘッドレスト43の駆動情報を駆動モータ部30のモータ駆動回路(図示せず)に出力する演算処理回路28とを備えて構成されている。
複数の静電容量検知回路21〜25は、例えば各検知電極11〜15と頭部49との間の静電容量に応じてデューティー比が変化するパルス信号を生成するとともに平滑化して検知信号を出力する。演算処理回路28は、例えばCPU、RAM、ROMなどを備えてなり、各静電容量検知回路21〜25から出力された検知信号に基づく静電容量値を比較して検知された静電容量値が最も大きい検知電極を検出するとともに、ヘッドレスト43の位置を変化させる駆動モータ部30に対して検出結果に基づく制御信号(駆動情報)を出力する。
各静電容量検知回路21(22〜25)は、図4に示すように、静電容量Cに応じてデューティー比が変化するものであり、例えば一定周期のトリガ信号TGを出力するトリガ信号発生回路101と、入力端に接続された静電容量Cの大きさによってデューティー比が変化するパルス信号Poを出力するタイマー回路102と、このパルス信号Poを平滑化するローパスフィルタ(LPF)103とを備えて構成されている。
タイマー回路102は、例えば2つの比較器201,202と、これら比較器201,202の出力がそれぞれリセット端子Rおよびセット端子Sに入力されるRSフリップフロップ(以下、「RS−FF」と呼ぶ。)203と、このRS−FF203の出力DISをLPD103に出力するバッファ204と、RS−FF203の出力DISでオン/オフ制御させるトランジスタ205とを備えて構成されている。
比較器202は、トリガ信号発生回路101から出力される図5に示すようなトリガ信号TGを、抵抗R1,R2,R3によって分割された所定のしきい値Vth2と比較して、トリガ信号TGに同期したセットパルスを出力する。このセットパルスは、RS−FF203のQ出力をセットする。
このQ出力は、ディスチャージ信号DISとしてトランジスタ205をオフ状態にし、検知電極11(12〜15)およびグランドの間を、各検知電極11(12〜15)の対接地静電容量Cおよび入力端と電源ラインとの間に接続された抵抗R4による時定数で決まる速度で充電する。これにより、入力信号Vinの電位が静電容量Cによって決まる速度で上昇する。
入力信号Vinが、抵抗R1,R2,R3で決まるしきい値Vth1を超えたら、比較器201の出力が反転してRS−FF203の出力を反転させる。この結果、トランジスタ205がオン状態となって、検知電極11(12〜15)に蓄積された電荷がトランジスタ205を介して放電される。
したがって、このタイマー回路102は、図5に示すように、検知電極11(12〜15)および接近した人体48の頭部49との間の静電容量Cに基づくデューティー比で発振するパルス信号Poを出力する。LPF103は、この出力を平滑化することにより、図5に示すような直流の検知信号Voutを出力する。なお、図5中において、実線で示す波形と点線で示す波形は、前者が後者よりも静電容量が小さいことを示しており、例えば後者が物体接近状態を示している。
駆動モータ部30は、各静電容量検知回路21〜25からの検知信号Voutによって、検知信号の出力が最も高い(大きい)検知電極(以下、「該当検知電極」と呼ぶ。)を検出した演算処理回路28からの制御信号に基づいて、図示しない駆動モータを制御して、ヘッドレスト43の座席40の背もたれ部41に対する位置を、該当検知電極がヘッドレスト43の高さ方向の中心位置よりも上方に位置するように変化させるモータ駆動回路と、このモータ駆動回路の制御により、ヘッドレスト43の位置を実際に移動させる駆動モータとを備えて構成されている。
なお、この駆動モータは、第1実施の形態ではヘッドレスト43を支持軸43aを介して上下方向(高さ方向)に移動自在に駆動するが、これに加えて例えば上下方向とそれぞれ交差する左右方向や前後方向に移動自在に駆動するようにしてもよい。また、ヘッドレスト43の高さ方向の中心位置は、ここではヘッドレスト43の前面側を正面に見たときの中心部分を指すが、ヘッドレスト43の形状等によりその位置は適宜変化してもよい。
このように構成されたヘッドレスト位置調整装置100では、例えば初期状態(ヘッドレスト43の位置が背もたれ部41に対して最も近い状態)において、静電容量センサ部10の各検知電極11〜15にて頭部49との間の静電容量Cを検知し、検出回路20にてその出力のピークを検出して比べることで、出力が最も高い電極である該当検知電極を検出する。そして、この該当検知電極の位置が、ヘッドレスト43の高さ方向の中心位置よりも上方に位置するときがヘッドレスト43の頭部49に対する適正位置として位置調整を行う。
ここで、第1実施の形態のヘッドレスト位置調整装置100に対する比較例について説明する。なお、ここでは、上述したように、ヘッドレスト43の高さ方向全域にわたって各検知電極11〜15が等間隔に配置された場合の出力について説明する。また、頭部49の中心位置Pを、目尻と耳の中心とを結ぶ線の中心に設定した。
本出願人が実施した実験によると、図6(a)に示すように、例えば頭部49の中心位置Pよりもヘッドレスト43の高さ方向の中心位置P’が上方に位置する場合、同図(b)に示すように、各検知電極11〜15(電極番号1〜5)の出力(V)は、次のようなものとなった。すなわち、ここでは電極番号3の検知電極13の出力が0.75Vを超えて最も高く、電極番号1,5の検知電極11,15の出力が0.25V程度となり最も低い結果となった。この場合は、頭部49の中心位置Pとヘッドレスト43の中心位置P’とが水平方向に一致しないため、必ずしも適正な位置とは言い難い結果となった。
一方、図7(a)に示すように、頭部49の中心位置Pとヘッドレスト43の高さ方向の中心位置P’とが水平方向に一致する場合は、各検知電極11〜15(電極番号1〜5)の出力(V)は、同図(b)に示すようになった。ここでは、電極番号4の検知電極14の出力が0.75Vを超えて最も高く、電極番号1の検知電極11の出力が0.25Vを下回って最も低い結果となった。このとき、各中心位置P,P’は水平方向に一致しているため、ヘッドレスト43が適正位置にあるとみなすことができ、検出回路20は、この状態におけるヘッドレスト43の座席40(背もたれ部41)に対する位置が適正であるとして、駆動モータ部30に対して位置調整のための制御信号を出力する。
したがって、第1実施の形態に係るヘッドレスト位置調整装置100は、例えば上記初期状態からヘッドレスト43を可動範囲の上下端に移動させて走査(スキャニング)することなく、頭部49の中心位置Pに対してその高さ方向の中心位置P’を位置させることができる。このため、位置調整に関する一方向(一回)のヘッドレスト43の移動動作により頭部49に対して最適な位置にヘッドレスト43を配置させることができる。
これにより、短時間で高精度なヘッドレスト43の位置調整を行うことが可能となる。また、自動的に最適な位置にヘッドレスト43を移動させることができるので、ヘッドレスト43の位置未調整に伴う衝突時などにおける人体48の頸椎損傷などの事故防止を図ることができる。
なお、第1実施の形態に係るヘッドレスト位置調整装置100の静電容量センサ部10と駆動モータ部30は、ハーネス29により電気的に接続されていたが、例えば無線などのデバイスによって遠隔制御可能に構成されていてもよい。また、駆動モータ部30が静電容量センサ部10と一体的に構成され、ヘッドレスト43側に配置されていてもよい。
さらに、検出回路20は、検知信号の出力が最も高い検知電極を検出してヘッドレスト43を移動させる他に、演算処理回路28によって、車両の乗員(人体)の頭部49の形状をプロファイルし、このプロファイル結果から適正位置をあらかじめ記憶しておき、位置調整開始時に記憶されたプロファイルを読み出してヘッドレスト43を乗員に合わせて移動するようにしてもよい。
その他、検出回路20は、例えばヘッドレスト位置調整装置100の工場出荷時などにあらかじめプリセットされた人体49のプロファイル情報(頭部49の形状に関する情報を含む)やヘッドレスト43の形状(大きさ、表面形状など)に関する情報などに基づいて、ヘッドレスト43の高さ方向の中心位置P’を含めた任意の位置を、頭部49の中心位置Pと水平方向に一致する位置に合わせるように移動させるようにしてもよい。
図8は、本発明の第1実施の形態に係るヘッドレスト位置調整装置の全体構成の他の例を示すブロック図である。なお、以降において、既に説明した部分と重複する箇所には同一の符号を付して説明を省略し、本発明に特に関わる部分以外は明記しない場合があることとする。
図8に示すように、検出回路20は、各検知電極11〜15と接続された時分割回路26と、この時分割回路26により各検知電極11〜15にてそれぞれ異時的に検知された静電容量を示す情報を出力する静電容量検知回路27と、この静電容量検知回路27から出力された情報に基づく静電容量値を比較して検知された静電容量値が最も大きい該当検知電極を検出し、検出結果に応じたヘッドレスト43の駆動情報を駆動モータ部30のモータ駆動回路に出力する演算処理回路28とを備えて構成されている。
このように検出回路20を構成すれば、時分割回路26を介して各検知電極11〜15にて静電容量を順番に走査(スキャニング)し、その結果に基づき出力が最も高い該当検知電極を検出して上述したようなヘッドレスト43の位置調整を行うことが可能となる。したがって、このような構成の検出回路20を採用しても、短時間で高精度なヘッドレスト43の位置調整を行うことが可能となる。
図9は、本発明の第2実施の形態に係るヘッドレスト位置調整装置の一部のヘッドレストにおける配置例を示す説明図、図10は同ヘッドレスト位置調整装置の検知電極の出力の例を示す説明図である。この第2実施の形態に係るヘッドレスト位置調整装置は、静電容量センサ部10における各検知電極11〜15の配置態様が先の第1実施の形態に係るヘッドレスト位置調整装置100における静電容量センサ部10と相違している以外、その他の各構成部については同一であるため、ここでは説明を省略する。
図9に示すように、静電容量センサ部10の各検知電極11〜15は、ヘッドレスト43の高さ方向に等間隔をおいて配置され、かつ各検知電極11〜15からなる検知電極群10aの高さ方向の中心近傍に配置された検知電極(例えば、検知電極13)が、検出回路20によって検知信号の出力が最も高い該当検知電極として検出されるように、例えばヘッドレスト43の高さ方向の中心位置P’を基準とした場合に各検知電極11〜15からなる検知電極群10a全体が高さ方向に偏った状態で配置されている。
このため、図10(a)に示すように、例えば頭部49の中心位置Pとヘッドレスト43の高さ方向の中心位置P’とが水平方向に一致する場合は、各検知電極11〜15(電極番号1〜5)の出力(V)は、同図(b)に示すようになった。すなわち、ここでは電極番号3の検知電極13の出力が0.75Vを超えて最も高く、電極番号1,5の検知電極11,15の出力が0.25V程度となり最も低い結果となった。このとき、各中心位置P,P’は水平方向に一致しているため、第1実施の形態で説明したことと同様に、ヘッドレスト43が適正位置にあるとみなすことができ、検出回路20は、この状態におけるヘッドレスト43の座席40(背もたれ部41)に対する位置が適正であるとして、駆動モータ部30に対して位置調整のための制御信号を出力する。
このように、第2実施の形態に係るヘッドレスト位置調整装置においても、例えば上記初期状態からヘッドレスト43を可動範囲の上下端に移動させて走査(スキャニング)することなく、頭部49の中心位置Pに対してその高さ方向の中心位置P’を位置させることができるとともに、位置調整に関する一方向(一回)のヘッドレスト43の移動動作により頭部49に対して最適な位置にヘッドレスト43を配置させることができ、短時間で高精度なヘッドレスト43の位置調整を行うことが可能となる。また、自動的に最適な位置にヘッドレスト43を移動させることができるので、ヘッドレスト43の位置未調整に伴う衝突時などにおける人体48の頸椎損傷などの事故防止を図ることができる。
なお、上述した第1および第2実施の形態では、車両の座席40のヘッドレスト43にヘッドレスト位置調整装置100を適用した場合を例に挙げて説明したが、このヘッドレスト位置調整装置100は、車両のみならず、その他にも、ヘッドレストの位置を可変可能なアトラクションにおける座席や、劇場観賞用の座席などに適用することもできる。
本発明によれば、自動車等の車両のヘッドレストの位置を調整する装置において、特に短時間で高精度な位置調整を行うのに有用である。
本発明の一実施形態に係るヘッドレスト位置調整装置を配置した車両の座席の例を示す概略図である。 同ヘッドレスト位置調整装置の一部のヘッドレストにおける配置例を示す説明図である。 同ヘッドレスト位置調整装置の全体構成の例を示すブロック図である。 同ヘッドレスト位置調整装置の静電容量検知回路の構成例を示すブロック図である。 同ヘッドレスト位置調整装置の検出回路の動作波形の例を示す動作波形図である。 ヘッドレスト位置調整装置の検知電極の出力の比較例を示す説明図である。 本発明の第1実施の形態に係るヘッドレスト位置調整装置の検知電極の出力の例を示す説明図である。 本発明の第1実施の形態に係るヘッドレスト位置調整装置の全体構成の他の例を示すブロック図である。 本発明の第2実施の形態に係るヘッドレスト位置調整装置の一部のヘッドレストにおける配置例を示す説明図である。 同ヘッドレスト位置調整装置の検知電極の出力の例を示す説明図である。 本出願人が行った実験におけるセンサ出力の検出結果を示す図である。
符号の説明
10…静電容量センサ部、11〜15…検知電極、19…基板、20…検出回路、21〜25,27…静電容量検知回路、26…時分割回路、28…演算処理回路、29…ハーネス、30…駆動モータ部、40…座席、41…背もたれ部、42…着座部、43…ヘッドレスト、43a…支持軸、48…人体、49…頭部。

Claims (12)

  1. 車両の座席に備えられたヘッドレストに高さ方向に沿って並設された状態で設けられ、前記座席に着座した人体の頭部と前記ヘッドレストとの間の静電容量を検知する複数の検知電極と、
    前記複数の検知電極のうち、検知信号の出力が最も高い検知電極を検出する検出回路と、
    前記検出回路によって検出された検知信号の出力が最も高い検知電極が前記ヘッドレストの高さ方向の中心位置よりも上方に位置するように前記ヘッドレストの前記座席に対する位置を調整する位置調整手段とを備えた
    ことを特徴とするヘッドレスト位置調整装置。
  2. 前記複数の検知電極は、前記ヘッドレストの高さ方向全域にわたって等間隔をおいて配置されていることを特徴とする請求項1記載のヘッドレスト位置調整装置。
  3. 前記複数の検知電極は、前記ヘッドレストの高さ方向に等間隔をおいて配置され、かつ前記複数の検知電極からなる検知電極群の高さ方向の中心近傍に配置された検知電極が、前記検出回路によって検知信号の出力が最も高い検知電極として検出されるように、前記検知電極群全体が前記高さ方向に偏った状態で配置されていることを特徴とする請求項1記載のヘッドレスト位置調整装置。
  4. 前記複数の検知電極は、それぞれ前記ヘッドレストの前方表面に沿った前記高さ方向と交差する幅方向に長手方向を有する矩形短冊状に形成され、前記ヘッドレストの前面側に配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のヘッドレスト位置調整装置。
  5. 前記複数の検知電極は、前記ヘッドレストの前面側に少なくとも5つ設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のヘッドレスト位置調整装置。
  6. 前記検出回路は、前記複数の検知電極とそれぞれ一対一に接続され、各検知電極により検知された静電容量を示す情報を出力する複数の静電容量検知回路と、これら複数の静電容量検知回路からの前記情報に基づく静電容量値を比較して検知された静電容量値が最も大きい検知電極を検出し、検出結果に応じた前記ヘッドレストの駆動情報を前記位置調整手段に対して出力する演算処理回路とを備えて構成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載のヘッドレスト位置調整装置。
  7. 前記検出回路は、前記複数の検知電極と接続された時分割回路と、この時分割回路により各検知電極にてそれぞれ異時的に検知された静電容量を示す情報を出力する静電容量検知回路と、この静電容量検知回路からの前記情報に基づく静電容量値を比較して検知された静電容量値が最も大きい検知電極を検出し、検出結果に応じた前記ヘッドレストの駆動情報を前記位置調整手段に対して出力する演算処理回路とを備えて構成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載のヘッドレスト位置調整装置。
  8. 車両の座席に備えられたヘッドレストに高さ方向に沿って並設された状態で設けられた複数の検知電極によって、前記座席に着座した人体の頭部と前記ヘッドレストとの間の静電容量を検知し、
    前記複数の検知電極のうち、検知信号の出力が最も高い検知電極を検出し、
    検出された検知信号の出力が最も高い検知電極が前記ヘッドレストの高さ方向の中心位置よりも上方に位置するように前記ヘッドレストの前記座席に対する位置を調整する
    ことを特徴とするヘッドレスト位置調整方法。
  9. 前記複数の検知電極は、前記ヘッドレストの高さ方向全域にわたって等間隔をおいて配置されていることを特徴とする請求項8記載のヘッドレスト位置調整方法。
  10. 前記複数の検知電極は、前記ヘッドレストの高さ方向に等間隔をおいて配置され、かつ前記複数の検知電極からなる検知電極群の高さ方向の中心近傍に配置された検知電極が、前記検出回路によって検知信号の出力が最も高い検知電極として検出されるように、前記検知電極群全体が前記高さ方向に偏った状態で配置されていることを特徴とする請求項8記載のヘッドレスト位置調整方法。
  11. 前記複数の検知電極は、それぞれ前記ヘッドレストの前方表面に沿った前記高さ方向と交差する幅方向に長手方向を有する矩形短冊状に形成され、前記ヘッドレストの前面側に配置されていることを特徴とする請求項8〜10のいずれか1項記載のヘッドレスト位置調整方法。
  12. 前記複数の検知電極は、前記ヘッドレストの前面側に少なくとも5つ設けられていることを特徴とする請求項8〜11のいずれか1項記載のヘッドレスト位置調整方法。
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