JP2009154252A - 光学フィルムの切断装置、及び光学フィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】切粉の発生量が少なく、切断面やその近傍の形状が滑らかな光学フィルムを製造する。
【解決手段】長尺状の光学フィルム2を該フィルムの搬送方向に沿う方向に切断する光学フィルムの切断装置5である。光学フィルム2の下面にその外周の一部が当接するように配置された円形の下刃7と、下刃7と実質的に同一の径を有し、該下刃と実質的に同軸上に所定間隔(L1)をもって対向配置された円形支持部材8と、その外周の一部が光学フィルム2の上面側から下刃7と円形支持部材8との間の間隙に入り込むように配置された円形の上刃6とを備えて構成される。
【選択図】図2
【解決手段】長尺状の光学フィルム2を該フィルムの搬送方向に沿う方向に切断する光学フィルムの切断装置5である。光学フィルム2の下面にその外周の一部が当接するように配置された円形の下刃7と、下刃7と実質的に同一の径を有し、該下刃と実質的に同軸上に所定間隔(L1)をもって対向配置された円形支持部材8と、その外周の一部が光学フィルム2の上面側から下刃7と円形支持部材8との間の間隙に入り込むように配置された円形の上刃6とを備えて構成される。
【選択図】図2
Description
本発明は、長尺状の光学フィルムの切断装置、及び該切断装置を用いる光学フィルムの製造方法に関する。
液晶ディスプレイ等の表示装置においては、輝度、視野角、コントラスト等の光学特性を向上するために、各種の光学フィルムが用いられている。このような光学フィルムは、例えば溶融押出法等を用いて製造される。溶融押出法は、押出機が備えるダイスから溶融状態の樹脂を押し出した後、一対のロールを用いてニップして長尺状の光学フィルムを製造するものである。このように製造された光学フィルムは、その両側縁部分の厚さや端面の形状が不均一であるため、トリミング装置等の切断装置を用いて、当該両側縁近傍部分を切り落として、後の加工工程(例えば、フィルムの積層工程、フィルムの延伸工程等)に供される。加工後の光学フィルムは、さらに切断装置を用いて同様にトリミングや製品形状とするための裁断が行われる。
このような光学フィルムの切断に用いられる従来の切断装置としては、例えば、下記特許文献1に開示されているように、搬送ローラによって搬送される光学フィルムを、所定の位置関係で配置された円形の上刃と下刃の間に供給して、該光学フィルムの搬送方向に切断するものが知られている。上刃と下刃の刃先は互いに当接しており、この当接部は、光学フィルムのシート面と略一致している。
しかしながら、このような上刃と下刃を用いる従来技術を用いて光学フィルムのトリミング(側縁近傍部分の切断除去)を行うと、光学フィルムの本体部分(側縁近傍の切除される部分以外の部分)は搬送ローラによってその走行方向に略一定の張力が作用しているものの、切除される部分である当該側縁近傍部分は、再利用等のために別に巻き取られことになり、切断後はそのような張力が作用しない。このため、切断位置近傍において、当該側縁近傍部分に弛みが生じ、切断に伴い発生する切粉の量が多く、また切断面やその近傍の形状が滑らかでないという問題があった。切粉の発生は周囲を汚染するとともに、その付着により高品質な光学部品の製造の支障となる虞があり、切断面やその近傍の形状が滑らかでないと、積層や延伸等の加工工程等において、歩留まりや品質の低下を招く虞がある。
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、切粉の発生量が少なく、切断面やその近傍の形状が滑らかな光学フィルムを製造できるようにすることを目的とする。
特開2006−289601号公報
本発明の第1の観点によると、長尺状の光学フィルムを該光学フィルムの搬送方向に沿う方向に切断する光学フィルムの切断装置であって、前記光学フィルムの一方の面にその外周の一部が当接するように配置された第1円形刃と、前記第1円形刃と実質的に同一の径を有し、該第1円形刃と実質的に同軸上に所定間隔をもって対向配置された円形支持部材と、その外周の一部が前記光学フィルムの他方の面側から前記第1円形刃と前記円形支持部材との間の間隙に入り込むように配置された第2円形刃とを備える光学フィルムの切断装置が提供される。
本発明において、前記所定間隔は、1.5mm〜3.0mmの範囲内で設定することができる。また、前記第1円形刃と前記第2円形刃とのラップ量を、0.1mm〜1.0mmの範囲内で設定することができる。さらに、前記第1円形刃及び前記円形支持部材の前記光学フィルムの前記一方の面に対する当接部を、当該一方の面よりも所定持上量だけ入り込むように配置することができる。この場合において、前記所定持上量は、0.5mm〜3.0mm程度とすることができる。
本発明の第1の観点に係る光学フィルムの切断装置では、第1円形刃と実質的に同一の径を有し、該第1円形刃と実質的に同軸上に所定間隔をもって対向配置された円形支持部材を備えており、この円形支持部材と第1円形刃との間の間隙に、第2円形刃が入り込むように配置されている。このため、光学フィルムの第2円形刃が切り込まれる部分において、第1円形刃と反対側の近傍部分が、円形支持部材によって支持されるので、当該近傍部分に弛みが発生することが少なくなり、切粉の発生量を抑制できるとともに、切断面及びその近傍の形状を安定かつ滑らかにすることができる。
また、本発明の第2の観点によれば、上述した第1の観点に係る光学フィルムの切断装置を用いて、該光学フィルムの両側縁のうちの少なくとも一方の側縁近傍を切り落とす工程を含む光学フィルムの製造方法が提供される。
本発明の第2観点に係る光学フィルムの製造方法では、切粉の発生が少ないので、フィルム面への切粉の付着に伴う光学特性の劣化や周囲の汚染が抑制されるとともに、切断面及びその近傍の形状が安定かつ滑らかであるので、光学フィルムの当該切断面近傍を含む全体で、均一で良好な光学特性を有する光学フィルムを製造することができる。
本発明によれば、切粉の発生量が少なく、切断面やその近傍の形状が滑らかな光学フィルムを製造することができるという効果がある。
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の実施形態に係る光学フィルムの切断装置を含む切断ユニットの概略構成を示す図であり、図2は同じく切断装置の要部構成を示す図である。なお、ここでは、長尺状の光学フィルムの側縁近傍の部分を切除するためのトリミング工程を実施するための切断ユニットであるものとして説明するが、複数の幅狭光学フィルムを製造するために、長尺状の幅広光学フィルムの比較的に中側の単一又は複数箇所を搬送方向に沿って切断する切断ユニットであっても、あるいはこれらの両者を含む切断ユニットであってもよい。本実施形態の切断装置は、特に比較的に厚い光学フィルムの切断に優れており、ここでは、光学フィルムの厚さは、300μm〜20μm程度のものを対象とするものとする。本発明において長尺状とは、フィルムの幅に対して、少なくとも5倍程度以上の長さを有するものをいい、好ましくは10倍若しくはそれ以上の長さを有し、具体的にはロール状に巻回されて保管又は運搬される程度の長さを有するものをいう。
切断ユニット1は、位相差板や偏光板等の光学部品製造用の長尺状の光学フィルム2を製造するための製造ライン中に設けられている。切断ユニット1は、光学フィルム2を搬送(走行)させるための搬送装置3,4と、該搬送装置3,4によって搬送される光学フィルム2をその搬送方向に沿って裁断する切断装置5とを概略備えて構成されている。
搬送装置は、切断装置5の上流側に光学フィルム2の幅方向に沿って延在された従動ローラ3、及び下流側に同じく光学フィルム2の幅方向に沿って延在された一対のローラ4(駆動ローラ及び従動ローラ)を備え、光学フィルム2は、これらのローラ3,4に沿って架け渡されている。一対のローラ4の一方(駆動ローラ)は、不図示の駆動モータによって回転駆動され、他方(従動ローラ)は光学フィルム2を介して所定のニップ圧で駆動ローラに圧接している。駆動ローラが回転駆動されることによって、光学フィルム2が搬送される。
切断ユニット1の従動ローラ3よりも上流側には、図示は省略するが、例えば、ダイスから溶融状態の樹脂を押し出した後、一対のロールを用いてニップして長尺状の光学フィルムを成形する押出機が配置される。但し、切断ユニット1の上流側に配置される装置は、このような押出機に限られず、複数の光学フィルムを積層する積層ユニットや光学フィルムを1軸延伸、2軸延伸、又は斜め延伸等する延伸ユニット、その他の加工ユニットであってもよい。また、該押出機によって成形された光学フィルム、積層ユニットによって積層された光学フィルム、延伸ユニットによって延伸された光学フィルム、又はその他の加工ユニットによって加工された光学フィルムを、ロール状に巻回してなるフィルムロール(繰出ロール)が配置されていてもよい。
切断ユニット1の一対のローラ4よりも下流側には、同じく図示は省略するが、例えば、切断ユニット1によって切断処理(ここでは、トリミング処理)された光学フィルムをロール状に巻き取るための巻取ユニットが配置される。但し、切断ユニット1の下流側に配置される装置は、このような巻取ユニットに限られず、上述の積層ユニット、延伸ユニット、又はその他の加工ユニットであってもよい。
切断装置5は、長尺状の光学フィルム2を該フィルムの搬送方向(図1中、矢印A方向)に沿う方向に切断する装置であり、ここでは、例えば、光学フィルム2の幅方向の寸法を1800mmとして、その両側縁近傍の形状が不安定な部分(側縁から150mm程度の部分)をトリミング(切除)するため、光学フィルム2の幅方向に沿って2つ設けられている。但し、切断装置5は、これらに加えて、又はこれらに代えて、光学フィルム2を搬送方向に沿って複数に分割して幅狭の光学フィルムを形成するために、これらよりも内側の単一又は複数箇所に設けてもよい。
切断装置5は、光学フィルム2の上側に配置される上刃6、下側に配置される下刃7、及び光学フィルム2を下側から支持するための円形支持部材8(図2参照)を備えて構成されている。上刃6及び下刃7は、回転可能に軸支された円形刃である。ここでは、上刃6は光学フィルム2の搬送に従って受動的に回転するように回転自在に軸支されており、下刃7は不図示の駆動モータによって光学フィルム2の搬送速度と概略一致するように、図1中で反時計方向に回転駆動される。但し、これらは逆、すなわち、下刃7を光学フィルム2の搬送に従って受動的に回転するように回転自在に軸支し、上刃6を不図示の駆動モータによって光学フィルム2の搬送速度と概略一致するように、図1中で時計方向に回転駆動するようにしてもよい。また、上刃6及び下刃7の両者を光学フィルム2の搬送速度と概略一致するように回転駆動するようにしてもよく、あるいは両者とも回転駆動することなく回転自在に軸支するようにしてもよい。また、上刃6及び下刃7の一方又は双方を逆回転駆動するようにしてもよい。
上刃6及び下刃7としては、いわゆる皿型刃や椀型刃、その他の形状の円形刃のいずれでもよいが、ここでは、上刃6は皿形刃、下刃7は椀型刃であるものとする。上刃6及び下刃7の素材としては、金属製でもセラミック製でもよいが、超硬合金やハイス鋼を用いることが好ましい。切粉の発生量及び切断面の滑らかさの観点からは、超硬合金からなる超硬刃を用いることが好ましい。上刃6の直径は90mm〜150mm程度、厚さは1mm〜5mm程度である。また、下刃7の直径は90mm〜150mm程度、厚さは1mm〜10mm程度である。
上刃6の刃先の角度θは、25°≦θ≦90°、好ましくは25°≦θ≦75°、より好ましくは25°≦θ≦35°である。
図2に示すように、下刃7と実質的に同軸上には、該下刃7と実質的に同一の径を有する円形(円板状)の円形支持部材(フィルム支え)8が設けられている。円形支持部材8は下刃7と一体的に回転するように、又は下刃7とは独立して回転自在に軸支されている。円形支持部材8は、下刃7に対して所定間隔L1をもって対向配置されている。
上刃6は、その刃先が下刃7と円形支持部材8との間の間隙に入り込むように配置されている。図2では、上刃6と下刃7とは離間しているように表示されているが、上刃6は下刃7に対して所定の接圧をもって圧接しており、これらの協働による剪断によって、光学フィルム2を切断する。但し、上刃6は下刃7から僅かに離間して配置してもよい。これは、本実施形態では、下刃7の近傍に円形支持部材8を配置しているため、必ずしも接圧をかけなくても、良好な切断を得ることができるからである。接圧をかけないと、上刃6及び下刃7の長寿命化を図ることができる。
下刃7と円形支持部材8との間の上述の所定間隔L1は、上刃6を支障なくこの間隙に入り込ませることができる程度以上で、なるべく狭くすることが好ましい。この所定間隔L1は狭い方が切粉の発生を抑制でき、かつ切断面及びその近傍の形状を滑らかにできるからである。但し、あまり狭くしすぎると、下刃7と円形支持部材8との間の間隙に上刃6を挿入する際に、接触等が生じて、刃こぼれ等の障害が発生する虞もあるので、このような作業性の観点も考慮して設定する必要がある。例えば、上刃6の厚さが2.0mmとして、1.5mm〜3.0mmの範囲、好ましくは2.0mm〜3.0mmの範囲内で設定するのがよい。ラップ量(上刃6と下刃7との重ね合わせの寸法L2)は、0.1mm〜1.0mmの範囲内で設定することが好ましい。
図3は本発明の他の実施形態に係る切断装置の要部構成を示す図である。この実施形態の切断装置の構成、及び搬送装置の構成は上述した第1実施形態と同様であるので、その説明は省略し、異なる部分についてのみ説明する。
すなわち、図2では、下刃7及び円形支持部材8は、これらの外周の一部が光学フィルム2の下面に当接するように配置していたが、この実施形態では、図3に示すように、下刃7及び円形支持部材8を、これらの外周の一部が光学フィルム2の下面よりも上側に所定持上量L3だけ入り込むように配置している。これにより、光学フィルム2の切断すべき部分の近傍に作用する張力が増大し、切粉の発生量をさらに抑制し、切断面の形状の滑らかさをさらに向上することが可能である。この所定持上量L3としては、0.5mm〜3.0mmの範囲内で設定することが好ましく、特に1mm程度が好ましい。
本発明の実施形態に係る光学フィルムの切断装置を用いて、光学フィルムの側縁近傍の部分を裁断する際には、光学フィルムの搬送方向にかかる張力をA(N)、光学フィルムの厚みをB(mm)、切除後の光学フィルムの幅をC(mm)とすると、
0.5<A/(B×C)<1.7の関係を満たすことが好ましく、0.8<A/(B×C)<1.3の関係を満たすことがより好ましく、1.2<A/(B×C)<1.3の関係を満たすことが特に好ましい。A/(B×C)が0.5以下となると、光学フィルム端面部の切断面の外観が悪くなる。A/(B×C)が逆に1.7以上となると、光学フィルムの端面部にラッパ状の盛り上がり(ハイエッジ)が発生したり、切断不良による糸くずが発生したりすることがある。
0.5<A/(B×C)<1.7の関係を満たすことが好ましく、0.8<A/(B×C)<1.3の関係を満たすことがより好ましく、1.2<A/(B×C)<1.3の関係を満たすことが特に好ましい。A/(B×C)が0.5以下となると、光学フィルム端面部の切断面の外観が悪くなる。A/(B×C)が逆に1.7以上となると、光学フィルムの端面部にラッパ状の盛り上がり(ハイエッジ)が発生したり、切断不良による糸くずが発生したりすることがある。
以下、本発明の実施例について説明する。
図7に示されるような製造装置を用いて光学フィルムを製造した。
図7に示される製造装置は、ホッパ9、押出機10、ギヤポンプ11、濾過装置12、ダイス13、第1冷却ロール14、第2冷却ロール15、第3冷却ロール16、静電ピニング装置17、テンションロール18、切断装置19、駆動ロール20、巻取ロール21を備える。
図7において、乾燥された非晶性の熱可塑性樹脂のペレットがホッパ9に供給され、押出機10により加熱され、溶融混練される。溶融した熱可塑性樹脂は、ギヤポンプ11により定量供給され、濾過装置(ポリマーフィルタ)12により濾過されて不溶融の異物等が除去され、ダイス13からフィルム状に押し出される。
ダイス13からフィルム状に押し出された溶融状態の熱可塑性樹脂は、第1冷却ロール14、第2冷却ロール15、及び第3冷却ロール16で順次冷却される。また、ダイス13の開口部の近傍には、静電ピニング装置17が設けられており、ダイス13から押し出されたフィルムの両端に静電気を印加して、フィルムの両端を第1冷却ロール14に静電吸着させるようになっている。
第1冷却ロール14、第2冷却ロール15及び第3冷却ロール16において冷却されたフィルムは、テンションロール18を経由し、切断装置19により幅方向の両端部を裁断(トリミング)した後、駆動ロール20を経由し、巻取ロール21に巻き取られる。
本実施例においては、具体的には、樹脂としてメタクリル樹脂を用い、押出機10としてスクリュー径φ90mmのものを用い、ヘッド温度270℃、押出量300kg/hに設定して溶融樹脂を押し出した。ダイス13として単層ダイ、スリット幅0.8mm×1850mmのものを用い、ダイス温度設定温度を270℃とした。濾過装置12として、目開き3μm、直径12インチ(約305mm)のフィルタを、50枚積層したものを用い、フィルタの設定温度を270℃とした。巻取ロール21の引取速度は15m/minとして、長さ1600m、厚さ80μm、160μm及び180μmの光学フィルムを製膜した。以下、特に指定がない場合は、切断装置19により光学フィルムの幅方向の両端部を裁断する際の、光学フィルムの搬送方向にかかる張力は140N、裁断後の光学フィルムの幅は1100mmとした。
(1)円形支持部材の効果実験
切断装置19として、上述した図1及び図2に示した切断ユニットを用い、円形支持部材を取り外して円形支持部材無しとした場合、円形支持部材有りで下刃との間隔(所定間隔L1)を3mmとした場合、円形支持部材有りで下刃との間隔(所定間隔L1)を1.5mmとした場合のそれぞれにおいて、実際に光学フィルムを切断した。切粉の発生量は、図1に示した切断ユニットの一対のローラ(4)の位置でフィルム表面を目視観察して評価した。また、その後ロール状に巻き取って該フィルムロールの端部に発生するラッパ状の盛り上がり(ハイエッジ)の有無を確認した。このハイエッジは、フィルムの側縁近傍における切粉の付着や切断面の形状の不均一がロール状に多数回巻回されることによって顕在化したものである。
切断装置19として、上述した図1及び図2に示した切断ユニットを用い、円形支持部材を取り外して円形支持部材無しとした場合、円形支持部材有りで下刃との間隔(所定間隔L1)を3mmとした場合、円形支持部材有りで下刃との間隔(所定間隔L1)を1.5mmとした場合のそれぞれにおいて、実際に光学フィルムを切断した。切粉の発生量は、図1に示した切断ユニットの一対のローラ(4)の位置でフィルム表面を目視観察して評価した。また、その後ロール状に巻き取って該フィルムロールの端部に発生するラッパ状の盛り上がり(ハイエッジ)の有無を確認した。このハイエッジは、フィルムの側縁近傍における切粉の付着や切断面の形状の不均一がロール状に多数回巻回されることによって顕在化したものである。
なお、上刃としてはハイス刃(刃先45°)を用い、下刃もハイス刃とした。また、切断する光学フィルムの厚さは80μm、上刃と下刃のラップ量は0.6mm、上刃と下刃の接圧は6N〜8Nとした。その結果を表1に示す。
表1中の記号の意味は以下の通りである。
「◎」:フィルム表面への切粉の付着は確認できず、ハイエッジもなかった。
「○」:フィルム表面に若干量の切粉の付着が確認できたが、ハイエッジは殆ど認められなかった。
「△」:フィルム表面にかなりの量の切粉の付着が確認でき、ハイエッジも認められた。
(2)円形支持部材とラップ量との関係
切断装置20として、上述した図1及び図2に示した切断ユニットを用い、円形支持部材無しとした場合、円形支持部材有りで下刃との間隔(所定間隔L1)を2mmとした場合において、上刃と下刃のラップ量(L2)を0.2mm〜0.6mmの範囲で変更して、それぞれ実際に光学フィルムを切断した。切粉の発生量、及びハイエッジの評価方法は、上記と同様である。
切断装置20として、上述した図1及び図2に示した切断ユニットを用い、円形支持部材無しとした場合、円形支持部材有りで下刃との間隔(所定間隔L1)を2mmとした場合において、上刃と下刃のラップ量(L2)を0.2mm〜0.6mmの範囲で変更して、それぞれ実際に光学フィルムを切断した。切粉の発生量、及びハイエッジの評価方法は、上記と同様である。
表2中の記号の意味は表1の場合と同じである。また、これら以外の表2中の記号の意味は以下の通りである。
「−」:未実施である。
「×」:切れなかった(破断)。
(3)下刃及び円形支持部材の持ち上げの評価
図3に示したように、切断装置を光学フィルムの下面よりも持ち上げた場合の切粉の発生量、及びハイエッジを評価した。切断する光学フィルムの厚さは180μm、持上量は1mmとして、実際に光学フィルムを切断した。上刃と下刃の接圧はゼロ、すなわち上刃と下刃を離間させて切断を行った。その結果、切粉の発生量が大幅に削減され、ハイエッジも認められず、良好な切断ができた。この持ち上げにより、接圧をかけなくても、良好な切断を実施することができ、上刃及び下刃の長寿命化を達成できた。
図3に示したように、切断装置を光学フィルムの下面よりも持ち上げた場合の切粉の発生量、及びハイエッジを評価した。切断する光学フィルムの厚さは180μm、持上量は1mmとして、実際に光学フィルムを切断した。上刃と下刃の接圧はゼロ、すなわち上刃と下刃を離間させて切断を行った。その結果、切粉の発生量が大幅に削減され、ハイエッジも認められず、良好な切断ができた。この持ち上げにより、接圧をかけなくても、良好な切断を実施することができ、上刃及び下刃の長寿命化を達成できた。
(4)フィルムの切断面の評価
図4〜図6に、厚さ180μmの光学フィルムの切断面を光学顕微鏡で観察した写真を示した。図4は円形支持部材無しとした場合の切断面であり、円形支持部材がないことから、光学フィルムの切除される耳側の部分に弛みが発生するため、滑らかかつ安定した断面形状が得られなかった。図5は円形支持部材有りでの切断面であり、円形支持部材によって、光学フィルムの切除される耳側の部分における弛みの発生が抑制されるため、図4の場合よりも、滑らかかつ安定した断面形状が得られた。図6は円形支持部材有りで、さらに下刃及び円形支持部材を光学フィルムの下面よりも持ち上げた場合(図3の場合)の切断面であり、かかる持ち上げにより、光学フィルムの切断部における光学フィルムの横方向(幅方向)の張力(応力)が増大し、小さいクラックで切断(裂ける)ことになり、図5の場合よりも、さらに滑らかかつ安定した断面形状が得られた。
図4〜図6に、厚さ180μmの光学フィルムの切断面を光学顕微鏡で観察した写真を示した。図4は円形支持部材無しとした場合の切断面であり、円形支持部材がないことから、光学フィルムの切除される耳側の部分に弛みが発生するため、滑らかかつ安定した断面形状が得られなかった。図5は円形支持部材有りでの切断面であり、円形支持部材によって、光学フィルムの切除される耳側の部分における弛みの発生が抑制されるため、図4の場合よりも、滑らかかつ安定した断面形状が得られた。図6は円形支持部材有りで、さらに下刃及び円形支持部材を光学フィルムの下面よりも持ち上げた場合(図3の場合)の切断面であり、かかる持ち上げにより、光学フィルムの切断部における光学フィルムの横方向(幅方向)の張力(応力)が増大し、小さいクラックで切断(裂ける)ことになり、図5の場合よりも、さらに滑らかかつ安定した断面形状が得られた。
(5)フィルムの搬送方向にかかる張力の効果実験
切断装置19として、上述した図1及び図2に示した切断ユニットを用い、円形支持部材有りで下刃との間隔(所定間隔L1)を2mmとし、下刃持上量を2mmとし、上刃と下刃のラップ量(L2)を0.2mm、巻取ロール21の引取速度を4m/min、切断装置19によりフィルムの幅方向の両端部を裁断する際のフィルムの搬送方向にかかる張力を140N〜320Nの範囲内で変更して、それぞれ実際に光学フィルムを切断した。フィルムをロール状に1ロール分巻き取った後の、フィルムロールの切粉の発生量、糸くずの発生量、及びハイエッジの有無を確認した。
切断装置19として、上述した図1及び図2に示した切断ユニットを用い、円形支持部材有りで下刃との間隔(所定間隔L1)を2mmとし、下刃持上量を2mmとし、上刃と下刃のラップ量(L2)を0.2mm、巻取ロール21の引取速度を4m/min、切断装置19によりフィルムの幅方向の両端部を裁断する際のフィルムの搬送方向にかかる張力を140N〜320Nの範囲内で変更して、それぞれ実際に光学フィルムを切断した。フィルムをロール状に1ロール分巻き取った後の、フィルムロールの切粉の発生量、糸くずの発生量、及びハイエッジの有無を確認した。
表3中の記号の意味は以下の通りである。
「○」:フィルムロールを1ロール採取後、フィルム表面に切粉や糸くずの発生が目視で確認できないレベルである。
「△」:フィルムロールを1ロール採取後、フィルム表面に切粉や糸くずの発生による若干の汚染やハイエッジが確認されたが製品品質に問題ないレベルである。
「×」: フィルムロールを1ロール採取後、フィルム表面に切粉や糸くずの発生による汚染やハイエッジが確認され、製品品質に問題があるレベルである。
「××」:フィルムロールを1ロール採取後、フィルム表面に切粉や糸くずの発生による甚大な汚染やハイエッジが確認され製品とならないレベルである。
なお、以上説明した実施形態及び実施例は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。従って、上述した実施形態又は実施例に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
1…切断ユニット、
2…光学フィルム、
3,4…ローラ、
5…切断装置、
6…上刃、
7…下刃、
8…円形支持部材、
9…ホッパ、
10…押出機、
11…ギヤポンプ、
12…濾過装置、
13…ダイス、
14…第1冷却ロール、
15…第2冷却ロール、
16…第3冷却ロール、
17…静電ピニング装置、
18…テンションロール、
19…切断装置、
20…駆動ロール、
21…巻取ロール、
L1…下刃と円形支持部材の間の寸法、
L2…上刃と下刃のラップ量、
L3…下刃及び円形支持部材のフィルム下面に対する持上量。
2…光学フィルム、
3,4…ローラ、
5…切断装置、
6…上刃、
7…下刃、
8…円形支持部材、
9…ホッパ、
10…押出機、
11…ギヤポンプ、
12…濾過装置、
13…ダイス、
14…第1冷却ロール、
15…第2冷却ロール、
16…第3冷却ロール、
17…静電ピニング装置、
18…テンションロール、
19…切断装置、
20…駆動ロール、
21…巻取ロール、
L1…下刃と円形支持部材の間の寸法、
L2…上刃と下刃のラップ量、
L3…下刃及び円形支持部材のフィルム下面に対する持上量。
Claims (6)
- 長尺状の光学フィルムを該光学フィルムの搬送方向に沿う方向に切断する光学フィルムの切断装置であって、
前記光学フィルムの一方の面にその外周の一部が当接するように配置された第1円形刃と、
前記第1円形刃と実質的に同一の径を有し、該第1円形刃と実質的に同軸上に所定間隔をもって対向配置された円形支持部材と、
その外周の一部が前記光学フィルムの他方の面側から前記第1円形刃と前記円形支持部材との間の間隙に入り込むように配置された第2円形刃と
を備えることを特徴とする光学フィルムの切断装置。 - 前記所定間隔は、1.5mm〜3.0mmの範囲内で設定したことを特徴とする請求項1に記載の光学フィルムの切断装置。
- 前記第1円形刃と前記第2円形刃とのラップ量を、0.1mm〜1.0mmの範囲内で設定したことを特徴とする請求項1又は2に記載の光学フィルムの切断装置。
- 前記第1円形刃及び前記円形支持部材の前記光学フィルムの前記一方の面に対する当接部は、前記一方の面よりも前記他方の面側に所定持上量だけ入り込むように配置されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光学フィルムの切断装置。
- 前記所定持上量は、0.5mm〜3.0mmであることを特徴とする請求項4に記載の光学フィルムの切断装置。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の光学フィルムの切断装置を用いて、該光学フィルムの両側縁のうちの少なくとも一方の側縁近傍を切り落とす工程を含むことを特徴とする光学フィルムの製造方法。
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2007
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