JP2009154121A - マンノシルエリスリトールリピッドを用いたベシクル、乳化組成物及びその利用 - Google Patents

マンノシルエリスリトールリピッドを用いたベシクル、乳化組成物及びその利用 Download PDF

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Abstract

【課題】従来の4−O−β−D−マンノピラノシル−meso−エリスリトール構造を有するMELに対して、その光学異性体である1−O−β−D−マンノピラノシル−meso−エリスリトール構造を有するMELを用いてベシクル、乳化組成物及びその利用を提供するものである。
【解決手段】1−O−β−D−マンノピラノシル−meso−エリスリトール構造を有するMELを用いることにより、ベシクル及び乳化組成物を調製できる。
【選択図】図1

Description

本発明は、マンノシルエリスリトールリピッド(以下、単にMELと称する場合もある)が形成するベシクル、乳化組成物及びその利用に関し、より詳細には微生物生産糖脂質の一種であるMELであって、分子構造中のマンノシルエリスリトール骨格が1−O−β−D−マンノピラノシル−meso−エリスリトールであるMELが形成するベシクル、乳化組成物及びその利用に関するものである。
糖脂質は、糖の性質に由来する親水性と脂質の性質に由来する親油性の二つの性質を合わせ持つ両親媒性物質であり、このような性質を有する物質は界面活性物質と呼ばれている。石油化学工業が隆盛となるまでは、レシチン、サポニン等の生体成分由来の界面活性剤(バイオサーファクタント)が利用されてきたが、石油化学工業の発展により合成界面活性剤が開発され、界面活性剤の生産量は飛躍的に増加し、日常生活には無くてはならない物質となった。しかしながら、合成界面活性剤の使用量の拡大につれて環境汚染が広がってきた。そこで、安全性が高く、環境に対する負荷を低減するために、再度生分解性の高い界面活性物質であるバイオサーファクタントが見直されており、それに伴い様々な種類のバイオサーファクタントの開発が望まれている。
バイオサーファクタントとしては、微生物が生産する界面活性物質が代表的なものとして挙げられる。現在、上述した微生物が生産する界面活性物質としては、糖脂質系、アシルペプタイド系、リン脂質系、脂肪酸系及び高分子化合物系の5つに大別されている。これらのうち、リン脂質系バイオサーファクタントは、古くから乳化剤として用いられているばかりでなく、水に懸濁させると、このリン脂質が会合して二分子膜を形成し、水相を閉じこめたベシクルを形成することが知られている。このベシクルは、リポソームとも呼ばれ、生体膜のモデルや、化粧品や薬物の担体としても極めて利用価値が高い。しかしながら、リン脂質系以外のバイオサーファクタントにおいてベシクルを形成するものは、ほとんど知られていないのが現状である。
一方、糖脂質系の界面活性剤は、細菌及び酵母により生産された、多くの種類の物質が報告されている。糖脂質系のバイオサーファクタントは、生分解性が高く、低毒性で環境に優しいばかりでなく、優れた生理機能を有している。従って、その化合物自身に保湿効果等の生理機能があるばかりでなく、実用面においてもベシクルを形成可能であり、かつ乳化剤としても優れているような糖脂質系のバイオサーファクタントが熱望されている。
代表的な糖脂質系バイオサーファクタントの一つにマンノシルエリスリトールリピッド(MEL)がある。MELは、Ustilago nuda(ウスチラゴ ヌーダ)とShizonella melanogramma(シゾネラ メラノグラマ)から発見された物質である(非特許文献1及び2参照)。その後、イタコン酸生産の変異株であるCandida属酵母(特許文献1及び非特許文献3参照)、Candida antarctica(キャンデダ アンタークチカ)(現在はPseudozyma antarctica(シュードザイマ アンタークチカ))(非特許文献4及び5参照)、Kurtzmanomyces(クルツマノマイセス)属(非特許文献6参照)等の酵母らによっても生産されることが報告されている。現在では、長時間の連続培養・生産を行うことで300g/L以上の生産が可能となっている。
上記MELが有する糖骨格には複数の不斉炭素原子が存在し、その数をnとすると2個の光学異性体が存在する。しかし、これまで報告されてきたMELは全て、その糖骨格が以下の式(2)に示されるような4−O−β−D−マンノピラノシル−meso−エリスリトール構造であった。
この4−O−β−D−マンノピラノシル−meso−エリスリトール構造を有するMELについては、抗菌性、抗腫瘍性、糖タンパク結合能をはじめ、様々な生理活性を有することが報告されている(非特許文献7)。また、この従来のMELは極めて特異な自己集合特性を示し、分子構造の僅かな違いが自己集合体の形成に多大な影響を与えるばかりでなく、それを活用したベシクル形成について、希薄溶液(6.3×10−2 wt%以下)においてのみ報告されている(非特許文献8)。さらに、従来のMELの両連続スポンジ構造を用いた液晶乳化技術(特許文献2)が報告されている。
特公昭57−145896号公報 特開2007−181789号公報 アール.エイチ.ハスキンス(R. H. Haskins),ジェイ.エー.トーン(J. A. Thorn),B. Boothroyd,「カナデアン ジャーナル オブ ケミストリー(Can. J. Microbiol.)」,1巻,p749−756(1955). ジー.デム(G. Deml),ティ.アンケ(T. Anke),エフ.オーバーウインカー(F. Oberwinkler),ビー.エム.ジアネッティー(B. M. Giannetti),ダブリュ.ステグリッチ(W. Steglich),「フィトケミストリー(Phytochemistry)」,19巻,p83−87(1980). ティ.ナカハラ(T. Nakahara),エイチ.カワサキ(H. Kawasaki),ティ.スギサワ(T. Sugisawa),ワイ.タカモリ(Y. Takamori),ティ.タブチ(T. Tabuchi),「ジャーナル オブ ファーメンテーションテクノロジー(J. Ferment.Technol.)」,(日本),日本発酵工学会,61巻,p19−23(1983). ディ.キタモト(D. Kitamoto),エス.アキバ(S. Akiba),シー.ヒオキ(C. Hioki),ティ.タブチ(T. Tabuchi)「アグリカリチュラル アンド バイオロジカル ケミストリー(Agric. Biol. Chem.)」,(日本),日本農芸化学会,54巻.p31−36(1990). エイチ.エス.キム(H.-S. Kim),ビー.ディ.ユーン(B.-D. Yoon),ディ.エイチ.チョン(D.-H. Choung),エイチ.エム.オー(H.-M. Oh),ティ.カツラギ(T. Katsuragi),ワイ.タニ(Y. Tani)「アプライド マイクロバイオロジー アンド バイオテクノロジー(Appl. Microbiol. Biotechnol.)」,(ドイツ),スプリンガー−バーラグ(Springer-Verlag),52巻,p713−721(1999). 角川(K. kakukawa),玉井(M. Tamai),今村(K. Imamura),宮本(K. Miyamoto),三好(S. Miyoshi),森永(Y. Morinaga),鈴木(O. Suzuki),宮川(T. Miyakawa)「バイオサイエンス,バイオテクノロジー アンド バイオケミストリー(Biosci. Biotechnol. Biochem.)」,(日本),日本農芸化学会,66巻,p188−191(2002). 北本 大「オレオサイエンス」,(日本),日本油化学会,3巻,p663−672(2003). ティ.イムラ(T. Imura),エヌ.オオタ(N. Ohta),ケー.イノウエ(K. Inoue),エヌ.ヤギ(N. Yagi),エイチ.ネギシ(H. Negishi),エイチ.ヤナギシタ(H. Yanagishita),ディ.キタモト(D. Kitamoto)「ケミストリー ア ヨーロピアン ジャーナル(Chem. Eur. J)」,(米国),ワイリー(Wiley),12巻,p2434−2440(2006). ディ.クリッチ(D. Crich),エム.エー.モーラ(M. A. Mora),アール.クルツ(R. Cruz)「テトラヘドロン(Tetrahedron)」,(オランダ),エルゼビア(Elsevier),58巻,p35−44(2002).
分解性が高く、低毒性で環境に優しい界面活性剤を広く、化粧品工業、食品工業、医薬品工業等に普及をはかるためには、新規な糖脂質等のバイオサーファクタントを開拓し、その機能・用途を拡充することは極めて重要な課題である。
特に、MELは、生産性、界面物性に優れるだけでなく、特異な自己集合特性と生理活性を利用した種々の用途開発が行われている。しかしながら、これまで報告されている微生物由来のMELは、糖骨格が主に4−O−β−D−マンノピラノシル−meso−エリスリトール構造であり、構造や機能のバラエティの拡充が強く求められていた。
さらに、化粧品工業分野では、要素技術の高度化に伴って、分子自身に保湿効果などの機能があるばかりではなくて、それ自身がベシクルの形成や各種乳化組成物の提供に寄与するような新素材の開発が熱望されている。
ところで、β−D−マンノピラノシル−meso−エリスリトール構造には、もう一つ1−O−β−D−マンノピラノシル−meso−エリスリトール構造(下記式(3))の異性体が想定される。
この1−O−β−D−マンノピラノシル−meso−エリスリトール構造を有するMELの1種を合成し、これとの比較によって従来のMELの糖骨格が上記式(2)の構造であることが証明されている(非特許文献9)。
また、従来の4−O−β−D−マンノピラノシル−meso−エリスリトール構造を有するMELに対して、その光学異性体である上記式(3)の1−O−β−D−マンノピラノシル−meso−エリスリトール構造を有するMELをシュードザイマ・ツクバエンシス(Pseudozyma tsukubaensis)又はシュードザイマ・クラッサ(Pseudozyma crassa)等の微生物を用いて生産することによって、量産できることが本願発明者らの研究グループにより確認されている(特願2007−303164号公報及びT. Fukuoka,T. Morita,M. Konishi,T. Imura,D. Kitamoto、Carbohyd. Res.,Elsevier,in press. いずれも本願出願時点において未公開)。
ここで、自己集合特性により機能を発現する界面活性剤にとって、その分子のキラリティーは極めて重要なポイントとなる。このため、従来知られていたMELの光学異性体である1−O−β−D−マンノピラノシル−meso−エリスリトール構造を有するMELは、従来のMELと異なるベシクル形成能や乳化能を示すことが考えられる。
しかし、上記未公開の特許文献(特願2007−303164号公報)及び非特許文献(T. Fukuoka,T. Morita,M. Konishi,T. Imura,D. Kitamoto、Carbohyd. Res.,Elsevier,in press.)には、従来のMELの光学異性体である1−O−β−D−マンノピラノシル−meso−エリスリトール構造を有するMELの製造方法について記載されているだけであり、その詳細な機能解析は行われていない。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、従来の4−O−β−D−マンノピラノシル−meso−エリスリトール構造を有するMELに対して、その光学異性体である1−O−β−D−マンノピラノシル−meso−エリスリトール構造を有するMELの機能・用途を明らかにし、実用上重要である、この新規MELが形成するベシクル、乳化組成物及びその利用を提供するものである。
本発明者らは上記目的を達成すべく鋭意努力した結果、従来の4−O−β−D−マンノピラノシル−meso−エリスリトール構造を有するMEL(以下、「従来型MEL」又は「4−O−MEL」と称する場合もある。)に対して、その光学異性体である1−O−β−D−マンノピラノシル−meso−エリスリトール構造を有するMEL(以下、「本発明に係るMEL」又は「1−O−MEL」と称する場合もある。)を活用することによって、化粧品素材等として実用上重要なベシクルや、乳化組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、以下の発明を包含する。
(1)下記一般式(1)で表される構造を有するマンノシルエリスリトールリピッドを含むベシクル。
(式(1)中、置換基Rは同一でも異なっていてもよく炭素数4〜24の脂肪族アシル基であり、置換基Rは同一でも異なっていてもよく水素又はアセチル基を表す。また、置換基Rは水素又は炭素数2〜24の脂肪族アシル基を表す。ただし、置換基Rがともに炭素数12の脂肪族アシル基であって、置換基Rがともにアセチル基であって、置換基Rが水素であるものを除くことが好ましい。)
(2)上記一般式(1)中、置換基Rのいずれか一方がアセチル基であり、他方が水素である(1)に記載のベシクル。
(3)上記一般式(1)中、置換基Rが炭素数2〜24の脂肪族アシル基である(1)又は(2)に記載のベシクル。
(4)下記一般式(1)で表される構造を有するマンノシルエリスリトールリピッドを含む乳化組成物。
(式(1)中、置換基Rは同一でも異なっていてもよく炭素数4〜24の脂肪族アシル基であり、置換基Rは同一でも異なっていてもよく水素又はアセチル基を表す。また、置換基Rは水素又は炭素数2〜24の脂肪族アシル基を表す。ただし、置換基Rがともに炭素数12の脂肪族アシル基であって、置換基Rがともにアセチル基であって、置換基Rが水素であるものを除くことが好ましい。)
(5)上記一般式(1)中、置換基Rのいずれか一方がアセチル基であり、他方が水素である(4)に記載の乳化組成物。
(6)上記一般式(1)中、置換基Rが炭素数2〜24の脂肪族アシル基である(4)又は(5)に記載の乳化組成物。
(7)上記(1)〜(6)のいずれかに記載のベシクル又は乳化組成物を含む化粧料。
(8)上記(1)〜(6)のいずれかに記載のベシクル又は乳化組成物を含む食品。
(9)上記(1)〜(6)のいずれかに記載のベシクル又は乳化組成物を含む医薬品。
本発明に係るベシクル又は乳化組成物は、従来型MELと立体構造(キラリティー)が異なるMELを用いているため、従来型MELを用いたものに比べて、より幅広い濃度・温度範囲において形成可能であるという効果を奏する。これらのベシクル又は乳化組成物は、化粧料、食品及び医薬品として有用である。
本発明の一実施形態について説明すると以下の通りである。なお、本発明では、特願2007−303164号公報に開示のMELを用いているため、必要に応じて適宜当該特願2007−303164号公報の内容を援用することができる。
<1.マンノシルエリスリトールリピッド(MEL)>
本発明に係るMELの理解の一助とすべく、まず従来型MELについて概説する。
従来型MELは、MEL生産菌の培養によって得られ、その化学構造の代表例は以下の一般式(4)に示すように、4−O−β−D−マンノピラノシル−meso−エリスリトールをその基本構造とするものである。
上記一般式(4)中、置換基Rは炭化水素基(アルキル基又はアルケニル基)である。上記従来型MELは、マンノースの4位及び6位のアセチル基の有無からMEL−A、MEL−B、MEL−C及びMEL−Dの4種類が知られている。
まず、MEL−Aは、上記一般式(4)中、置換基R及びRがともにアセチル基である。MEL−Bは、上記一般式(4)中、置換基Rがアセチル基で置換基Rは水素である。MEL−Cは、上記一般式(4)中、置換基Rが水素で置換基Rはアセチル基である。MEL−Dは、上記一般式(4)中、置換基R及びRがともに水素である。
上記MEL−A〜MEL−Dにおける置換基Rの炭素数は、MEL生産培地に含有させる油脂類中のトリグリセリドを構成する脂肪酸の炭素数及び使用するMEL生産菌の脂肪酸の資化の程度により変化する。また、上記トリグリセリドが不飽和脂肪酸残基を有する場合、MEL生産菌が上記不飽和脂肪酸の二重結合部分まで資化しなければ、置換基Rとして不飽和脂肪酸残基を含ませることも可能である。以上の説明から明らかなように、得られる各MELは、通常、置換基Rの脂肪酸残基部分が異なる化合物の混合物の形態である。
一方、本発明に係るMELは上記一般式(1)で表される構造を有し、MEL中のエリスリトールが従来型MELとは逆向きに導入された光学異性体であることが大きな特徴である。なお、上記一般式(1)中、置換基Rは同一でも異なっていてもよく炭素数4〜24の脂肪族アシル基であり、置換基Rは同一でも異なっていてもよく水素又はアセチル基を表す。また、置換基Rは水素又は炭素数2〜24の脂肪族アシル基を表す。ただし、置換基Rがともに炭素数12の脂肪族アシル基であって、置換基Rがともにアセチル基であって、置換基Rが水素であるものを除く。これは、上記非特許文献9に開示のMELを除く意図であり、それ以外の意図はなく、本発明の権利範囲を不当に制限する限定事項ではないことを念のため付言しておく。
また、上記一般式(1)中の置換基Rは、飽和脂肪族アシル基であっても不飽和脂肪族アシル基であってもよく、限定されるものではない。不飽和結合を有している場合、複数の二重結合を有していてもよい。炭素鎖は直鎖状であってもよく分岐鎖状であってもよい。また、酸素原子含有炭化水素基の場合、含まれる酸素原子の数及び位置は限定されない。
さらに、上記一般式(1)中、置換基Rのいずれか一方がアセチル基であり、他方が水素であることが好ましい。つまり、1−O−MELであって、MEL−B又はMEL−Cであることが好ましい。なかでも特に、4位が水素であって、6位がアセチル基である、すなわちMEL−Bであることがより好ましい。
例えば、MEL−A(アセチル基が2個)に比べて、MEL−BまたはMEL−C(アセチル基が1個)は極性が高く、水中での自己組織化挙動が異なる。このため、形成される液晶の形態が異なり、MEL−Aでは幅広い濃度領域でスポンジ相(L相)等を作るのに対して、MEL−B又はMEL−Cではラメラ相(Lα)を作りやすい。ラメラ相は肌の角質層と非常に近い形態ですので、肌浸透性が良くなり、スキンケア素材として有用である。さらに、MEL−Bは2分子膜がカプセル化したベシクル(リポソーム)を形成しやすく、カプセル内に薬剤を内包できることから、リポソーム化粧品、医薬品への応用が容易になると期待される(上記非特許文献7参照)。しかし、製造法や精製法の問題から、上記MEL−B又はMEL−Cの物性については、これまで、6.3×10−2 wt%以下の希薄溶液についてのみしか知られていない。
なお、上記非特許文献9において合成されたMELはAタイプであり、かつ脂肪酸鎖が2本ともC12のものである。これに対して、本発明に関わるものは、従来型MELの光学異性体のMEL−Bであり、また脂肪酸鎖長も多様性を持たせることができる。その結果、これを活用することによって、幅広い濃度・温度範囲においてベシクルを形成可能であることや、各種エマルション・マイクロエマルションなどの乳化組成物を容易に得ることができる。
また、上記非特許文献9に記載の合成方法はあくまでMEL−Aの合成方法のみに限定されており、MEL−B,Cを合成するためには、異なる保護基の使用や異なるステップの反応を繰り返さなければならず、上記文献を参酌しても本発明に係るMELを合成することはできないことを念のため付言しておく。
また、上記一般式(1)中、置換基Rが炭素数2〜24の脂肪族アシル基であることが好ましい。式(1)中、置換基R及びRがいずれも脂肪族アシル基であれば、トリアシルMELとなり、ジアシルMELとは異なった性質のMELを得ることができる。
具体的には、トリアシル体は従来のジアシル体と比べてHLB(親水−疎水バランス)が低く、より親油性の高い界面活性剤である。このため、応用用途が異なってくる。例えば、W/Oエマルジョンや分散剤等への利用が考えられる。また上述と同様、上記非特許文献9に記載の合成方法はあくまでジアシル体のMEL−Aの合成方法のみに限定されており、トリアシル体の合成には根本的に異なる合成経路(異なる保護基や多段階反応)を経る必要がある。それゆえ、上記非特許文献9を参酌しても本発明に係るMELを合成することはできない。
本発明に係るMELの分子構造は、基本的には上記一般式(1)における置換基Rの脂肪族アシル基の炭素数あるいは二重結合の有無等において異なる各化合物の混合物の形態で得られるが、これらはさらに分取HPLC等により精製すれば、単一のMEL化合物とすることもできる。
本発明に係るMELは、従来型MELと異なり、幅広い濃度・温度範囲においてベシクルを形成可能であることや、各種エマルション・マイクロエマルションなどの乳化組成物を容易に得ることができる。さらにMELは生分解性があり、高い安全性を有する点でも非常に意義ある物質である。つまり、生分解性が高く、低毒性で環境に優しいバイオサーファクタントである。
さらに、従来型MELは様々な生理活性作用を有することが報告されている。例えば、ヒト急性前骨髄性白血病細胞性HL60株にMELを作用させると、顆粒系を分化させる白血病細胞細胞分化誘導作用があること。またラット副腎髄質褐色細胞腫由来のPC12細胞にMELを作用させると神経突起の伸長が生ずる神経系細胞分化誘導作用等の生理活性作用を有すること、さらに微生物産生の糖脂質として初めて、メラノーマ細胞のアポトーシスを誘導することが可能となり(X. Zhao et. al., Cancer Research,59, 482-486 (1999))、癌細胞増殖抑制作用があること、等が報告されている。これら従来型MELの生理作用からみて、本発明に係るMELにも種々の生理活性を有することが期待でき、例えば抗ガン剤等の医薬としての用途や新規化粧品材料用途が考えられる。
<2.MELの製造方法>
本発明に係るMELの製造は、特願2007−303164号公報(本願出願時において未公開)に従って製造し、1−O−MELの生産能を有する微生物を用いることが特徴である。具体的には、例えば、シュードザイマ(Pseudozyma)属に属し、かつマンノシルエリスリトールリピッドを生産する能力を有する微生物を培養し、上記一般式(1)で表される構造を有するマンノシルエリスリトールリピッドを製造するMELの製造方法である。なお、本MELの製造方法を説明する記載においては、上記一般式(1)中、置換基Rは同一でも異なっていてもよく炭素数4〜24の脂肪族アシル基であり、置換基Rは同一でも異なっていてもよく水素又はアセチル基を表す。また、置換基Rは水素又は炭素数2〜24の脂肪族アシル基を表す。
<2−1.使用微生物>
本発明に係るMELの製造に使用可能な微生物としては、上記シュードザイマ属に属し、MELを生産する能力を有するもののうち、上記式(1)で表されるMEL光学異性体を生産するものであれば特に限定されるものではない。
上記一般式(1)のMELを生産する微生物の例としては、例えばシュードザイマ・ツクバエンシス又はシュードザイマ・クラッサ等に属する微生物が挙げられ、このうち特に、シュードザイマ・ツクバエンシスに属する微生物が好ましい。シュードザイマ・ツクバエンシスに属する微生物は、例えば25〜35℃で培養した場合、MELの生産性向上効果が高く、特にシュードザイマ・ツクバエンシスJCM 10324株の場合、培養温度30℃の場合に最も良好な生産性が得られる。
<2−2.使用培地及び培養方法>
培地は、例えば、一般的な微生物又は酵母に対して一般に用いられる培地を使用でき、特に限定されるものではなく、特に酵母に用いられる培地が好ましい。このような培地としては、例えば、YPD培地(イーストイクストラクト10g、ポリペプトン20g、及びグルコース100g)を挙げることができる。特に、シュードザイマ・ツクバエンシスJCM 10324株を用いる場合は、培養温度を27℃〜33℃に設定することが好ましいという知見を得ている。上述のとおり、MELの生産性が著しく向上するためである。
さらに、本発明に係るMEL製造に利用可能な微生物、特に前記シュードザイマ・ツクバエンシスJCM 10324株を用いてMELを生産する場合の好適な培地組成は、以下のとおりである。
・酵母エキス;0.1〜2g/Lが好ましく、1g/Lが特に好ましい。
・硝酸ナトリウム;0.1〜1g/Lが好ましく、0.3g/Lが特に好ましい。
・リン酸2水素カリウム;0.1〜1g/Lが好ましく、0.3g/Lが特に好ましい。
・硫酸マグネシウム;0.1〜1g/Lが好ましく、0.3g/Lが特に好ましい。
・油脂類;40g/L以上が好ましく、80g/Lが特に好ましい。
また、上記微生物の培養においては、培地に炭素源を添加することが好ましい。炭素源としては油脂類、脂肪酸、脂肪酸誘導体(脂肪酸トリグリセリド等の脂肪酸エステル類)、あるいは合成エステルを少なくとも1種、さらには複数種混合して含有させればよく、その他の諸条件については、特に制限はなく、本発明の利用当時の技術水準に基づいて適宜選定することができる。
「油脂類」としては、植物油、動物油、鉱物油及びその硬化油であればよい。具体的には、アボカド油、オリーブ油、ゴマ油、ツバキ油、月見草油、タートル油、マカデミアンナッツ油、トウモロコシ油(コーン油)、ミンク油、ナタネ油、卵黄油、パーシック油、ピーナッツ油、ベニバナ油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、キリ油、ホホバ油、カカオ脂、ヤシ油、馬油、パーム油、パーム核油、牛脂、羊脂、豚脂、ラノリン、鯨ロウ、ミツロウ、カルナウバロウ、モクロウ、キャンデリラロウ、スクワラン等の動植物油及びその硬化油、流動パラフィン、ワセリン等の鉱物油、トリパルミチン酸グリセリン等の合成トリグリセリンが挙げられる。好ましくはアボカド油、オリーブ油、ゴマ油、ツバキ油、月見草油、タートル油、マカデミアンナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、ナタネ油、卵黄油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、より好ましくはオリーブ油、大豆油である。
「脂肪酸」又は「脂肪酸誘導体」としては、高級脂肪酸由来が好ましく、例えばカプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、イソステアリン酸、ウンデシン酸、トール酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸などが挙げられる。好ましくはラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ステアリン酸、ウンデシレン酸、より好ましくはオレイン酸、リノール酸、ウンデシレン酸である。
「合成エステル」としては、例えば、カプロン酸メチル、カプリル酸メチル、カプリン酸メチル、ラウリン酸メチル、ミリスチン酸メチル、パルミチン酸メチル、オレイン酸メチル、リノール酸メチル、リノレン酸メチル、ステアリン酸メチル、ウンデシン酸メチル、カプロン酸エチル、カプリル酸エチル、カプリン酸エチル、ラウリン酸エチル、ミリスチン酸エチル、パルミチン酸エチル、オレイン酸エチル、リノール酸エチル、リノレン酸エチル、ステアリン酸エチル、ウンデシン酸エチル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、オレイン酸ビニル、リノール酸ビニル、リノレン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、ウンデシン酸ビニル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、オレンイ酸デシル、ジメチルオクタン酸、乳酸セチル、乳酸ミリスチル等が挙げられる。好ましくはラウリン酸メチル、ミリスチン酸メチル、パルミチン酸メチル、オレイン酸メチル、リノール酸メチル、リノレン酸メチル、ステアリン酸メチル、ウンデシレン酸メチル、より好ましくはオレイン酸メチル、リノール酸メチル、ウンデシレン酸メチルである。
これらは、1種を単独で又は2種以上を適宜混合して用いてもよい。
本発明に係るMELの製造方法の具体的な工程については、特に限定されるものではなく、目的に応じて適宜選定することができるが、例えば、種培養、本培養及びMEL生産培養の順にスケールアップしていくことが好ましい。これらの培養における、培地並びに培養条件を例示すると以下のとおりである。
a)種培養;グルコース40g/L、酵母エキス1g/L、硝酸ナトリウム0.3g/L、リン酸2水素カリウム0.3g/L、及び硫酸マグネシウム0.3g/Lの組成の液体培地5mLが入った試験管に1白金耳接種し、30℃で1日間振とう培養を行う。
b)本培養;所定量の植物性油脂等の油脂類と、酵母エキス1g/L、硝酸ナトリウム0.3g/L、リン酸2水素カリウム0.3g/L、及び硫酸マグネシウム0.3g/Lの組成の液体培地100mLの入った坂口フラスコにa)の培養液を接種して、30℃で2日間培養を行う。
c)マンノシルエリスリトールリピッド生産培養;所定量の植物性油脂等の油脂類と酵母エキス1g/L、硝酸ナトリウム0.3g/L、リン酸2水素カリウム0.3g/L、及び硫酸マグネシウム0.3g/Lの組成の液体培地1.4Lが入ったジャーファメンターに接種して、30℃で800rpmの撹拌速度で培養を行う。この培養においては、培養途中から植物性油脂を培養容器中に流下させて、培地中の油脂類濃度を20〜200g/Lに保持することが好ましい。
<2−3.MELの回収方法>
MELの回収についても従来公知の脂質の精製方法を用いることができ、特に限定されるものではない。例えば、培養終了後、当容積〜4容積倍の酢酸エチルで脂質成分を抽出し、酢酸エチルを、エバポレーターを用いて留去して脂質及び糖脂質成分を回収する工程を挙げることができる。その後、この脂質成分を等量のクロロホルムに溶解し、これをシリカゲルクロマトグラフィーにかけ、クロロホルム、クロロホルム:アセトン(80:20)、同(70:30)、同(60:40)、同(50:50)、同(30:70)、アセトンの順で溶出させる。各溶液を薄層クロマトグラフィー(TLC)プレートにチャージし、クロロホルム:メタノール:アンモニア水=65:15:2(容積比)で展開する。展開終了後、アンスロン硫酸試薬で糖脂質の存在を確認する。糖脂質の含まれる溶出液を集め、溶媒を留去して糖脂質成分を得ることができる。
<3.本発明に係るMELを用いたベシクル>
次に、本発明におけるベシクルについて説明する。一般に、ベシクルとは、脂質や界面活性剤が二分子膜状に自己集合してカプセル構造を構築したものであり、親水部と疎水部のバランスがつりあう、主に疎水部に炭化水素鎖を二つ有するような二鎖型の界面活性剤によって形成される。本発明に係るMELは、上記一般式(1)において、R1とR3のうち、少なくとも2ヶ所にアシル基が結合しているため、効率的にベシクルを形成することができる。
また、炭化水素鎖が親水基と比較して小さすぎる場合は、通常のミセルが生成されることになる。また、炭化水素鎖が親水基と比較して大きすぎる場合も、ベシクルは生じない。本発明に係るMELでは、親水基がマンノシルエリスリトール(ME)であるため、上記一般式(1)のR1に炭素数4〜24、より好ましくは炭素数8〜14のアシル基を有し、R3に水素もしくは炭素数2〜24、さらには水素もしくは炭素数6〜20のアシル基を有することがより好ましい。本構成であれば、ベシクルを形成しやすいという利点がある。
また、ベシクルを調製する場合、本発明に係るMELを0.0003〜20wt%の範囲で用いることが好ましく、さらには0.0003〜10wt%の範囲がより好ましい。上記数値範囲内であれば、効率的にベシクルを調製することができる。
ベシクルは、カプセル構造を有しているため、有効成分の安定配合や皮膚への浸透性、滞留性の向上などの優れた効果があり、化粧品製剤としては極めて有効である。それゆえ、それ自身が保湿効果などの機能性を有する糖型バイオサーファクタント、特にMELにおいてベシクルを形成することは実用上も大きな利点である。
本発明に係るMELを用いることによって、ボルテックスミキサーで10分程度撹拌することによって、5℃〜95℃までの非常に幅広い温度領域や10wt%以下までの濃度領域において、ベシクルを容易に形成させることができる。なお、ベシクルの形成は、分子集合体の内部の構造を観察することが可能な共焦点レーザー操作顕微鏡(CLSM)や光学的異方性を検討する偏光顕微鏡、又はベシクル内水相に保持させた水溶性物質の保持効率測定によって確認した。ベシクルの保持効率は、グルコース透析法により求め、保持効率とは、内水相に保持されたグルコースと系全体のグルコースとの比である。
<4.本発明に係るMELを用いた乳化組成物>
次に、本発明における乳化組成物について説明する。
水と油のように混じりあわない液体を、界面活性剤等を活用して、他方へ分散することを乳化という。このような乳化によって得られた乳化組成物は、エマルションもしくはマイクロエマルションと呼ばれる。通常のエマルションは、熱力学的に不安定であるため、やがて、水と油のように二相に分離してしまう。この問題を解決するため、様々な界面活性剤を用いた乳化法が開発されている。一方、マイクロエマルションは、熱力学的に安定であり、一般に液滴粒子径は10nm〜100nm程度であるため、通常のエマルションのように不安定化し難いことが特徴である。本発明に係る乳化組成物にはエマルション及びマイクロエマルションの双方が含まれる。
外力に依らず、長期にわたって分散安定なエマルションを調製する方法としてリオトロピック液晶を利用する方法が知られている。ここで、リオトロピック液晶とは、結晶のようにその分子配列を一定の規則性を保ちながら、液体のように流動性を兼ね備えた状態であり、このうち、界面活性剤等の濃度を変化させることによって、得られるものをリオトロピック液晶と呼ぶ。
この方法は、界面活性剤が形成するリオトロッピク液晶中に乳化粒子となる分散相を分散保持させることにより、エマルションの生成及び安定化を行うものである。しかしながら、工業レベルで使用させる合成界面活性剤は、分子構造が均一でないものが多く、分子の配向性が低いため、一般にリオトロピック液晶形成能が低い。
これに対して、本発明に係るMELは、水又は水性媒体と混合するでのみで極めて容易にリオトロピック液晶の一種であるラメラ液晶を極めて幅広い領域において形成することができる。このようにして形成されたラメラ液晶を活用することによって、水又は油をラメラ液晶中に分散した乳化組成物を得ることができる。
つまり、本発明に係るMELが形成するリオトロピック液晶に、油脂あるいは油性物質又は水を所定量添加して、混合乃至攪拌することによってもエマルションを得ることができる。この場合、リオトロピック液晶の粘度が高いため、室温付近の熱エネルギーのみでは、乳化組成物は得られにくいことから温度を70℃付近まで上昇させることが望ましい。このように得られる乳化組成物は、リオトロピック液晶の粘度でエマルションの凝集、合一などが阻害されるため、安定である。
また、本発明に係るMELは、低濃度領域(具体的には0.0003〜35wt%)において、W/O型、両連続型、O/W型の各種マイクロエマルジョンを形成することができる。なお、これらのエマルションタイプは、例えば、MEL/水系/油系の相平衡図を用いることにより、適宜調製することができる。
本発明に係るMELを乳化剤として用いる場合、上記一般式(1)のR1に炭素数4〜24、より好ましくは炭素数8〜14のアシル基を有し、R3に水素もしくは炭素数2〜24、さらには水素もしくは炭素数4〜20のアシル基を有することがより好ましい。本構成であれば、安定な乳化物を調製することができる。なお、乳化物を調製する場合のMELの濃度は、油脂の種類、量、エマルションタイプ等に応じて適宜設定でき、特に限定されるものではない。
このように本発明においては、本発明に係るMELを用いることによって、わずかな機械的外力で、複数の界面活性剤やコーサーファクタントを用いることなく、低コストで効率的に、W/O型、両連続型、O/W型の各種マイクロエマルジョンを提供することができる。
本明細書における「マイクロエマルジョン」とは、少なくとも油性成分、水性成分及び界面活性剤の三成分から成る、熱力学的に安定な等方性一液相を意味する。すなわち、熱力学的に不安定な通常のエマルジョン系において、液滴粒子径が小さいために透明あるいは半透明な外観を有するものとは本質的に異なっている。マイクロエマルジョンの性状は、透明、あるいは半透明の外観であり、また配合する全ての成分が均一に溶解している一相状態の溶液である。マイクロエマルジョンは、その製法にかかわらず、組成、温度が同一であれば同一の状態を得ることができる。このため、上記の三成分やその他の成分は、任意の順番で混合することができ、非常に弱い機械的外力で、同一状態のマイクロエマルジョンを得ることができる。このことは、製造のプロセスが煩雑とならないため、エマルジョンの製造上極めて有効である。
本発明では、各種マイクロエマルジョンについても、水、本発明に係るMEL及び油性成分、並びに必要に応じてその他の成分を、高速ミキサー等の強度の機械的外力を用いることなく任意の順番で混合ことにより作製することができる。
本発明の乳化組成物に配合する成分として、例えば、マカデミアナッツ油、アボガド油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマシ油、サフラワー油、綿実油、ホホバ油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナウバロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ等のオイル、ワックス類、流動パラフィン、スクワラン、プリスタン、オゾケライト、パラフィン、セレシン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類、オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール等、イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコーン油等の油剤類、脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等の必須成分に分類されないカチオン界面活性剤類、イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2 ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類、ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類、ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、2,4−ヘキシレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等の多価アルコール類、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類、グアガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、ペクチン、マンナン、デンプン、キサンタンガム、カードラン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、グリコーゲン、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、ムコイチン硫酸、ヒドロキシエチルグアガム、カルボキシメチルグアガム、デキストラン、ケラト硫酸,ローカストビーンガム,サクシノグルカン,カロニン酸,キチン,キトサン、カルボキシメチルキチン、寒天、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレングリコール、ベントナイト等の増粘剤、(表面を処理されていても良い)マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、(表面を処理されていても良い)ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛の無機顔料類、(表面を処理されていても良い)雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類、(レーキ化されていても良い)赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類、ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類、パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、糖系紫外線吸収剤、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン等の紫外線吸収剤類、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール類、ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩,ビタミンB6トリパルミテート,ビタミンB6ジオクタノエート,ビタミンB2又はその誘導体,ビタミンB12,ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類、α−トコフェロール,β−トコフェロール,γ−トコフェロール,ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン等のビタミン類などが好ましい。植物由来のタンパク質、例えば小麦タンパク質及び大豆タンパク質、大豆イソフラボン;動物由来のタンパク質、例えばケラチン、ケラチン加水分解物及びスルホン系のケラチン、ラクトフェリン、コラーゲン、エラスチン及びこれらの誘導体並びにその塩類等のタンパク質などを添加してもよい。ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジン酸、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、カルジオリピン、卵黄レシチン、水添卵黄レシチン、大豆レシチン、水添大豆レシチン等のグリセロリン脂質類、スフィンゴエミリン、セラミドホスホリルエタノールアミン、セラミドホスホリルグリセロールから選ばれるスフィンゴリン脂質類、プラスマローゲン類、及び/又はこれらからなる群より選ばれる1種類、糖脂質が、ジガラクトシルジグリセリド、ガラクトシルジグリセリド硫酸エステル等のグリセロ脂質類、ガラクトシルセラミド、ガラクトシルセラミド硫酸エステル、ラクトシルセラミド、ガングリオシドG7、ガングリオシドG6、ガングリオシドG4等のスフィンゴ糖脂質類、及び/又はこれらの混合物、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、スフリンゴ脂質、テルペン、ステロイド、プロスタグランジン等の脂質などを用いることもできる。
以上のように、本発明に係るMELは、従来知られていたMELの光学異性体である。分子のキラリティーの違いは機能面において、自己集合体形成能等に大きな影響を及ぼすことから、従来型MELとは、その他の諸性質において異なる挙動を示すようになる。それゆえ、本発明に係るMELを用いて物性・機能評価を行うことにより、MELの用途開発に向けて大きく貢献できる。特に、本発明に係るMELは、従来型MELと異なり、幅広い濃度・温度範囲においてベシクルを形成可能であることや、各種エマルション・マイクロエマルションなどの乳化組成物を容易に得ることができる。
上記発明を実施するための最良の形態の項においてなした具体的な実施態様及び以下の実施例は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、そのような具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、当業者は、本発明の精神及び添付の特許請求の範囲内で変更して実施することができる。
以下に実施例を示して本発明をより具体的に説明するが、これらは単なる例示であって、本発明の範囲を何ら限定するものではない。
〔実施例1:室温におけるMEL−B/水系の相挙動〕
まず、特願2007−303164号公報の実施例2に従い、シュードザイマ・ツクバエンシスに属する微生物によって生産・精製された所定量のMEL−B(上記一般式(1)において、R1は炭素数8〜14の脂肪族アシル基であり、R3は水素である。なお、油脂原としてオリーブ油を用いた。)0.05gと水を、試験管に測りとり、25℃〜70℃の間でサンプルを昇降温させながら、ボルテックスミキサーで撹拌することによって、種々の濃度のMEL−B水溶液を得た。その目視観察結果を図1に示した。図1より、MEL−B水溶液濃度が60wt%以下の場合、二相領域であったが、それ以上の場合、一相領域となった。この二相領域の上相は水相である。
次に、各相の光学的異方性を偏光顕微鏡(ECLIPSE E600、ニコン社製)によって観察した。その結果を図2に示す。図2より明らかなように、いずれの濃度においても、ラメラ液晶相に特有のモザイクテクスチャーが観測された。このことから、上記MEL−Bはいずれの濃度においても、良好なリオトロピック液晶形成能を示すことが判明した。
次いで、得られたリオトロピック液晶の詳細な構造を小角X線散乱(RU-200、リガク社製)測定によって検討した。なお、サンプルは、外径1.5mmの石英セルに封入した。得られた結果を図3に示す。図3より、X線散乱ピークは、q値が1:2の位置に得られたことから、このリオトロピック液晶がラメラ液晶であることが判明した。
従来型のMEL−Bは、ごく低濃度領域の6.3×10−2wt%においてのみ、ラメラ液晶が形成することが報告されているが、本発明に係るMEL−Bに関して様々な濃度領域で同様の実験を行ったところ、ごく低濃度から100wt%の極めて幅広い濃度領域においてラメラ液晶を形成することがわかった。
〔実施例2:MEL−B/水系の温度依存性〕
次に、上記のラメラ液晶形成領域を、示差走査熱量計(セイコー社製、DSC6200)測定によって検討した結果を図4に示す。なお測定は、アルミニウムパンに20mgのサンプルを封入し、1℃/minの昇温速度にて行った。図4より、MEL−B水溶液濃度が80wt%までは、ラメラ液晶の融解に起因する吸熱ピークは観測されなかったものの、MEL−B水溶液濃度が80wt%以上では、ラメラ液晶の融解に起因する吸熱ピークが認められた。
これらの結果をもとに作成した、温度と濃度を変数としたMEL−B/水系の相平衡状態図を図5に示した。図5より明らかなように、MEL−Bは極めて幅広い温度領域(5℃〜95℃)および濃度領域(ごく低濃度から100wt%)において、ラメラ液晶を形成可能であることがわかった。
〔実施例3:MEL−Bによる水中でのベシクル形成〕
二分子膜構造を有するカプセルであるベシクルは、通常、ラメラ液晶と水相が共存する場合に、ラメラ液晶が水中に分散した際に生じる。従って、図5より、ラメラ液晶と水相が共存する領域において、ボルテックスミキサーで外力を付与することによって、ベシクルの調製を試みたところ、10wt%以下の濃度において、ベシクルの形成が確認された。
図6には、MEL−B水溶液濃度が10wt%において、ナイルレッド(和光純薬社製)で染色したベシクルを共焦点レーザー操作顕微鏡(LSMS PASCAL、ツワイス社製)で観察した結果を示す。図6より、内部に中空構造を有する粒子径10μmにも及ぶ大きなベシクルが形成することが明らかになった。また、得られたベシクル(10wt%)の保持効率を、グルコース透析法で検討したところ、6.7%となり、ベシクルの内水相に水溶性物質を保持可能であることが確認された。
〔実施例4:MEL−B/水/油系の相挙動〕
次に、デカン(和光純薬社製)を油相として、MEL−B/水/デカン系の相状態についても検討した。なお、サンプルの調製については、実施例1と同様である。その結果を図7に示す。
図7より、まず、MEL−B低濃度領域において、マイクロエマルションに特有の半透明の外観を有する相が観察された。これらの相は、それぞれ、相図中I、IVの領域では、親水性と疎水性がつりあった両連続のマイクロエマルションであり、相図中II、IIIの領域においては、それぞれ水中に油が分散したO/W型のマイクロエマルション(IIの領域)及び油中に水が分散したW/O型のマイクロエマルション(IIIの領域)が形成しているものと考えられる。これらのマイクロエマルションは熱力学的に安定であるため、長時間経過しても相分離することがないばかりでなく、容易に形成させることができる。
〔実施例5:MEL−Bを活用した液晶乳化〕
図7のMEL−B/水/デカン系の相平衡図より、ラメラ液晶と水又は油が共存する二相領域が得られている。このような領域においては、リオトロピック液晶中に水又は油を分散する液晶乳化を実施することが可能である。そこで、(1)MEL−B/水/デカン=45/45/10及び(2)MEL−B/水/デカン=45/10/45の組成を用いて、温度を70℃に上昇させた後、ボルテックスミキサーで10分間撹拌して、液晶乳化を試みた。その結果、図8に示すように、(1)、(2)のいずれの組成においてもエマルションを得ることができた。なお、このエマルションは少なくとも1ヶ月以上は安定であった。
本発明に係るMELは、従来型MELに対してエリスリトールがマンノースに逆向きにエーテル結合したキラリティーの全く異なる構造をしており、このことにより、優れたベシクル形成能や産業上有用な乳化組成物を提供することができる。このような物性により、食品工業、化学工業、環境分野等への幅広い利用はもちろん、特に医薬、化粧品産業等でのバイオサーファクタントの用途拡大に多大に貢献できると考えられるものと期待される。
実施例1において、本発明に係るMEL−Bが各濃度水溶液中で形成する相構造の目視観察結果を示す図である。 実施例1において、本発明に係るMEL−Bが各濃度水溶液中で形成するリオトロピック液晶の偏光顕微鏡観察結果を示す図である。 実施例1において、本発明に係るMEL−Bが各濃度水溶液中で形成するリオトロピック液晶の小角X線散乱測定の結果を示す図である。 実施例2における、本発明に係るMEL−Bの各濃度水溶液の示差走査熱量計測定の結果を示す図である。 実施例2における、本発明に係るMEL−B/水系の相平衡状態を示す図である。 実施例3において、本発明に係るMEL−Bが10wt%水溶液中で形成するベシクルを共焦点レーザー操作顕微鏡で観察した結果を示す図である。 実施例4における、本発明に係るMEL−B/水/デカン系の相平衡状態を示す図である。 実施例5において、本発明に係るMEL−Bを用いて作製したエマルションの目視観察結果を示す図である。

Claims (9)

  1. 下記一般式(1)で表される構造を有するマンノシルエリスリトールリピッドを含むことを特徴とするベシクル。
    (式(1)中、置換基Rは同一でも異なっていてもよく炭素数4〜24の脂肪族アシル基であり、置換基Rは同一でも異なっていてもよく水素又はアセチル基を表す。また、置換基Rは水素又は炭素数2〜24の脂肪族アシル基を表す。)
  2. 上記一般式(1)中、置換基Rのいずれか一方がアセチル基であり、他方が水素であることを特徴とする請求項1に記載のベシクル。
  3. 上記一般式(1)中、置換基Rが炭素数2〜24の脂肪族アシル基であることを特徴とする請求項1又は2に記載のベシクル。
  4. 下記一般式(1)で表される構造を有するマンノシルエリスリトールリピッドを含むことを特徴とする乳化組成物。
    (式(1)中、置換基Rは同一でも異なっていてもよく炭素数4〜24の脂肪族アシル基であり、置換基Rは同一でも異なっていてもよく水素又はアセチル基を表す。また、置換基Rは水素又は炭素数2〜24の脂肪族アシル基を表す。)
  5. 上記一般式(1)中、置換基Rのいずれか一方がアセチル基であり、他方が水素であることを特徴とする請求項4に記載の乳化組成物。
  6. 上記一般式(1)中、置換基Rが炭素数2〜24の脂肪族アシル基であることを特徴とする請求項4又は5に記載の乳化組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のベシクル又は乳化組成物を含むことを特徴とする化粧料。
  8. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のベシクル又は乳化組成物を含むことを特徴とする食品。
  9. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のベシクル又は乳化組成物を含むことを特徴とする医薬品。
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