JP5447967B2 - バイオサーファクタントからなる逆ベシクル - Google Patents

バイオサーファクタントからなる逆ベシクル Download PDF

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本発明は、糖型バイオサーファクタントを主成分として形成された逆ベシクルに関するものである。
ヒトの角質層は、細胞間脂質が層状に積層して形成(ラメラ構造)され、バリア機能や保湿機能に重要な働きを示すことが知られている。クリームや乳液などの皮膚外用剤に対しては、このような機能を高め、肌の状態を改善することが優れた製剤として求められている。また、上記機能を高めるという観点から、肌のラメラ構造と同じラメラ構造を有した製剤を提供することが、浸透性、保湿効果の点で望ましい。
脂質、または分子内に親水基と疎水基を共に有する両親媒性物質が、連続相である水溶液中で、(連続相側)親水基―疎水基;疎水基―親水基(内側)の順に配向した二分子膜のラメラ構造からなる小胞体(カプセル)を「ベシクル」という。ベシクルを活用した製剤は、その構造が細胞構造に似ていることから、浸透性、保湿効果などにおいてもさらに高い機能を有するものと考えられる。また、ミセルやエマルションと比べ、二分子膜を介した界面(表面)積が大きく、物質移動・輸送に優れることから、ドラッグデリバリーシステム(DDS)担体等、医薬、食品分野への利用にも効果が大きい。
しかし、連続相が水ではなく、油(非極性溶媒)であるベシクル、すなわち「逆ベシクル(反転ベシクル)」((連続相側)疎水基―親水基;親水基―疎水基(内側)の順に配向した二分子膜により構成されたベシクル)の報告例はきわめて少なく、その応用例は皆無である。これは、そもそも逆ベシクルを形成可能な素材が限られていること、形成できる条件(油種、温度)が非常に狭く、製造方法が複雑であることによる。
逆ベシクルは、Kuniedaらによって1991年に初めて報告されているが(非特許文献1)、その後の報告例も限られており、親水基がポリオキシエチレン型の非イオン型合成界面活性剤による報告が中心である(非特許文献2〜4)。天然系の素材ではリン脂質(レシチン)を用いた系(非特許文献5、6)、糖脂質系では合成品であるショ糖脂肪酸モノエステルの系(非特許文献7〜9)も報告されているが、多くの場合、連続相となる油性物質の種類が限られており、また連続相以外の油性物質や別の界面活性剤など第三成分の添加を必要とする。最近、安定な逆ベシクルの製造を目指して、素材の選択と組み合わせ、混合方法を改良する報告がされているが(特許文献1、2)、その条件はごく限られたものである。幅広い油性物質中で、簡便に逆ベシクルを形成する方法の開発が実用上強く求められる。
特開2009-62365号公報 特開2009-62386号公報
H. Kunieda et.al., J. Am. Chem. Soc., 113, 1051-1052 (1991) H. Kunieda et.al., Langmuir, 7, 1915-1919 (1991) H. Kunieda et.al., J. Colloid Interfac. Sci., 150, 277-280 (1992) H. Kunieda et.al., Langmuir, 15, 3118-3122 (1999) H. Kunieda et.al., Adv. Mater., 4, 291-293 (1992) S-H. Tung et.al., J. Am. Chem. Soc., 130, 8813-8817 (2008) H. Kunieda et.al., J. Phys. Chem., 97, 9525-9531 (1993) H. Kunieda et.al., J. Colloid Interfac. Sci., 156, 446-453 (1993) H. Mollee et.al., J. Pharm. Sci., 89, 930-939 (2000)
本発明では、幅広い種類の油性物質中で、単一の成分を用いて簡便な操作で逆ベシクルを形成し、これを提供することを目的とする。
本発明者らは、その特異な分子構造に基づき、溶液中で自己組織化により容易に様々な分子集合体を形成するなど、優れた液晶形成能を有するバイオサーファクタント(微生物が生産する両親媒性物質)に注目し、これを利用することで幅広い液状油性物質中で簡便に逆ベシクルを形成できることを見出した。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
(1)糖型バイオサーファクタント化合物の自己組織化2分子膜からなる逆ベシクルであって、糖型バイオサーファクタント化合物が、以下の式(2)に記載の構造を有するマンノシルアルジトールリピッドであることを特徴とする逆ベシクル。
(式中、Rは、同一でも異なっていてもよい炭素数4〜20の脂肪族アシル基を表す。)
)薬剤を含有することを特徴とする、上記(1)に記載の逆ベシクル。
式(2)に記載の糖型バイオサーファクタント化合物を、水を添加した非極性の液状油性物質中で攪拌することを特徴とする、上記(1)に記載の逆ベシクル形成方法。
)水に水溶性薬剤を、及び/又は非極性の液状油性物質に油溶性の薬剤を含有させることを特徴とする,上記()に記載の逆ベシクル形成方法。
バイオサーファクタントは、微生物が各種バイオマスを原料として生産する両親媒性物質であり、環境や生体に対する適合性に優れるため、これを逆ベシクル化して化粧品や皮膚外用剤等の種々医薬品素材に利用することは、既存の合成界面活性剤の系と比べ安全性の面で非常に有用である。また、バイオサーファクタントは汎用の合成界面活性剤に比べて極めて低濃度で高い界面活性を示すほか、特異な自己組織化特性や様々な生理機能を有する。したがって、既存の化合物と比べて少量の使用で同等以上の効果が期待でき、さらに種々の生理活性を利用した生体機能性を逆ベシクルに付与できることから、これを基材として油系で利用する波及効果は極めて高いと期待される。
さらに本発明を用いれば、従来では得られなかった非常に幅広い種類の溶媒中で、単一の成分で逆ベシクルを形成できる。用途に応じて油の種類を選択でき、多種多様なクリームや乳液、軟膏などの製品の提供が可能となる。
実施例1で調製した逆ベシクルの顕微鏡観察の結果を示した写真である。 実施例1で調製した逆ベシクルの小角X線散乱(SAXS)測定の結果を示した図である。 実施例23で調製したカルセイン水溶液を内包する逆ベシクルの共焦点レーザー顕微鏡による蛍光観察の結果を示した写真である。
〔バイオサーファクタント〕
現在、バイオサーファクタント(微生物が生産する界面活性物質)としては、糖脂質系、アシルペプタイド系、リン脂質系、脂肪酸系、及び高分子化合物系の5つに分類されている。中でも糖脂質系の界面活性剤については、生産性に優れ量産化が可能であること、糖鎖由来の高い生理活性が見込まれることなどから、最もよく研究され、細菌及び酵母による多くの種類の物質が報告されている。
シュードモナス アエルジノーサ(Pseudomonas aeruginosa)をはじめ、主にシュードモナス(Pseudomonas)属細菌が生産するラムノリピッド類、スターメレラ ボンビコーラ(Starmerella bombicola)をはじめ、主にキャンディダ(Candida)属酵母が生産するソホロリピッド類、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属やロドコッカス(Rodococcus)属をはじめとする細菌が生産するトレハロースリピッド類、ウスチラゴ メイディス(Ustilago maydis)やクリプトコッカス フミコーラ(Cryptococcus humicola)などをはじめとする細菌が生産するセロビオースリピッド類、シュードザイマ(Pseudozyma)属などの酵母が生産するマンノシルアルジトールリピッド類、ツカムレラ(Tsukamurella)属酵母が生産するオリゴ糖リピッド類などが、代表的な糖脂質系のバイオサーファクタントである。
これらは二分子膜で構成される液晶の形成能力に優れており、ベシクル系の製剤に高い適正を有すると期待される。特に、マンノシルアルジトールリピッドは非常に幅広い濃度・温度領域で液晶を形成出来ることから、逆ベシクル形成に望ましい。
マンノシルアルジトールリピッドの化学構造は一般式(1)に示され、マンノシルアルジトールリピッド(以下、MALと呼ぶ)は、MAL生産微生物の培養によって得られ、4−O−β−D−マンノピラノシル−アルジトールをその基本構造とするものである。
〔ただし、上記式(1)中、Rは炭素数2〜24の脂肪族アシル基であり、直鎖あるいは分岐状の飽和または不飽和脂肪族アシル基を含む。Rは、水素またはアセチル基を表す。Rは水素または炭素数2〜24脂肪族アシル基であり、直鎖あるいは分岐状の飽和または不飽和脂肪族アシル基を含む。2箇所あるR及びRは同一であっても異なっていてもよい。nは1〜4の整数である。〕
ここで、アルジトールとは直鎖状の糖質の両末端が還元された糖アルコールのことであり、炭素数3のグリセリン(n=1)、炭素数4のエリスリトール、トレイトール(n=2)、炭素数5のアラビニトール、キシリトール、リビトール(n=3)、炭素数6のアリトール、ソルビトール、マンニトール、イジトール、ガラクチトール、タリトール(n=4)などが例に挙げられる。
また、上記一般式(1)の置換基R及びRの脂肪族アシル基の種類及びその炭素数は、MAL生産培地に含有させる油脂類中の脂肪酸に基本的には依存するが、その炭素数は使用するMAL生産菌の脂肪酸の資化の程度により変化する。したがって、得られる各MALは、通常、置換基Rの脂肪酸残基部分が異なる化合物の混合物の形態である。
上記マンノシルアルジトールリピッドの中でも、上記式(1)中n=2で表されるマンノシルエリスリトールリピッドが最も生産性に優れるため、利用することが望ましい。
本発明に用いるマンノシルエリスリトールリピッド(以下、MELと呼ぶ)は、MEL生産微生物の培養によって得られ、上記式(1)中n=2で表される。MELの代表例としてMEL−A、MEL−B、MEL−C、MEL−D、一鎖型MEL及び三鎖型MEL−Aの化学構造を以下に示す。
これら式中、Rは上記式(1)と同様の基であり、Acはアセチル基を表す。
これらの代表的な同族体は、生産微生物や原料の違いによってそれぞれ選択的に製造することが可能である。一例をあげると、シュードザイマ アンタクティカ(Pseudozyma antarctica)などがMEL−Aを、シュードザイマ ツクバエンシス(Pseudozyma tsukubaensis)などがMEL−Bを、シュードザイマ グラミニコーラ(Pseudozyma graminicola)などがMEL−Cを主生成物として生産することが知られており、これらを培養することで各同族体を選択的に取得できる。また、MEL−Dはこれらの同族体からアセチル基のみを加水分解することで製造可能である。さらに、一鎖型MELは、主原料を糖質などの親水性基質に限定することで得られ、三鎖型MELは、疎水性基質を大量に添加して培養時間を制御することで選択的に得られる。
これ以外に、エリスリトール部分が反転した光学異性体も存在する(式4)。
一般的なMEL生産微生物の多くは左の立体構造のMELを生産するが、シュードザイマ ツクバエンシス(Pseudozyma tsukubaensis)、シュードザイマ クラッサ(Pseudozyma crassa)が右の立体構造のMELを生産することが知られている。
以上の同族体はそれぞれ異なる物性を示すことが知られているが、これらはシリカゲルカラムクロマトグラフィーなど通常の分離精製工程で容易に単離できる。
〔逆ベシクルの形成、利用〕
逆ベシクルの形成は、通常水系でベシクルを形成させる方法を各種の液状油性物質中で行うことで可能である。
液状油性物質としては、非極性のものが望ましく、例えば、炭素数5以上の直鎖、不飽和及び環状炭化水素が挙げられるが、ジメチルシリコーンオイルあるいは環状ジメチルシリコーンオイル等の非極性シリコーンオイルでもよく、これら液状油性物質中で容易に逆ベシクルが形成されることが確認された。
本発明の逆ベシクルの形成において種々は公知法が用いられ得るが、一般的には薄膜法(バンガム法)を用いるのが好ましい。この方法においては、バイオサーファクタント試料をクロロホルム、アセトンなどの揮発性の溶媒に溶解させて容器内に秤取し、減圧乾燥によって溶媒を除去してバイオサーファクタントの薄膜を容器内面に形成させる。次に、連続相となる各種の非極性の液状油性物質を添加し、ボルテクスミキサーあるいは超音波等により、攪拌あるいは振盪させることで上記油性物質中にラメラ相が分散して、逆ベシクルが形成される。
この時、バイオサーファクタント試料の濃度は0.0001〜50質量%となるのが好ましく、0.001〜20%、さらには0.01〜10%となるのが好ましい。
また、この際、他成分の添加せずに逆ベシクルを形成することも可能であるが、水を添加するとさらに安定に逆ベシクルを形成できる。水を添加する場合は、全組成比で0.0001〜5質量%含有するのが好ましく、0.001〜3%、さらに0.01〜1%含有するのが好ましい。
さらに、上記液状油性物質と本発明の逆ベシクルとを、濾過、乾燥等により分離するために、より安定性が必要となる場合においては、上記逆ベシクル形成時、さらに、非イオン界面活性剤、あるいはコレステロール等の安定化剤の添加等のそれ自体公知の安定化手段を適用すればよい。
本発明の逆ベシクルを構成する膜は、ラメラ構造を有し、自己組織化2分子膜を構造単位として一層あるいはそれ以上積層した構造を有し、通常、これら積層状態の異なる混合物の状態で得られる。上記2分子膜は、単分子膜が2枚積層した構造を有し、バイオサーファクタントの疎水基(脂肪族アシル基)及び親水基(水酸基)が、外側から疎水基―親水基::親水基―疎水基が順に配向している。また、上記2分子膜が2層以上積層している場合は、2分子膜の疎水基同士が隣接配向して積層状態になっている。
一方、上記逆ベシクルの内部は中空状であり、この中空空間には、上記逆ベシクル形成の際、連続相として用いた油性物質が内包されている。また、上記自己組織化2分子膜の親水基配向部分には、上記添加した水を含有させることができる。したがって、本発明の逆ベシクルに薬剤を含有させる場合には、上記逆ベシクル形成において用いた上記油性物質及び/又はあるいは水に、薬剤を含有させればよく、本発明の逆ベシクルには、油溶性薬剤、水溶性薬剤、あるいはその両者を含有させることができる。
すなわち、本発明の逆ベシクルに含有しうる薬剤には、特に制限はなく、例えば、抗炎症剤、殺菌剤、収斂剤、防腐剤、保湿剤、各種の脂溶性生理活性物質(ホルモン剤、ビタミン類、細胞活性因子など)など極めて多岐にわたる。
本発明の逆ベシクルは、それ自体あるいは上記液状油性物質中に存在する状態で、化粧品基材、あるいは医薬品基材中に配合できる。本願発明の逆ベシクルは、皮膚と同様のラメラ構造を有するため、皮膚との親和性がよく、経皮吸収性に優れる。
本発明において、逆ベシクルが形成されていることは、通常液晶を観察する方法に従い、偏光下で溶液の顕微鏡観察を行い、溶液中に形成された自己集合体が逆ミセルでないことを、ベシクル界面が異方性を有することにより確認される、構造の異方性パターンから確認することができる。より具体的には、マルテーゼクロスが見えることで確認できる。さらに詳細に解析するには、X線結晶構造解析により二分子膜構造(ラメラ構造)であることを確認するとともに、電子顕微鏡によって構造体がカプセル(中空)状であることを観察する。
以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、これらは単なる例示であり、本発明をここに限定するものではない。
[実施例1]
逆ベシクルの形成に用いるバイオサーファクタント試料として、マンノシルエリスリトールリピッド−D(以下、MEL−D)を選択した。下記化学式(5)に分子構造を記す。
ここで、式中、Rは、同一でも異なっていてもよい炭素数4〜20の脂肪族アシル基を表すが、今回用いた試料のRの組成比は表1の通りである。
(逆ベシクル調製方法)
1%MEL−Dクロロホルム/メタノール(50/50vol)溶液を調製し、試験管に0.5mL秤取し、ロータリーエバポレーターを用いて減圧濃縮し、さらに減圧下乾燥することで溶媒を完全に除去し、管壁面にMEL−Dの薄膜を形成させた。次に、デカン6mL、水20μLを加え、ボルテクスミキサー、超音波振盪を用いて溶液を十分に撹拌することで、白濁溶液を得た。
(逆ベシクル形成の確認)
得られた溶液について顕微鏡観察を行い、微分干渉観察から球状の集合体が観察され、偏光観察によりこの集合体が直交ニコル下においてマルテーゼクロスとして観察されたことから、逆ベシクルの形成を確認した(図1)。さらに、時間経過後、逆ベシクルが沈降してできた下層部分(沈殿物)を採取し、小角X線散乱(SAXS)測定を行った結果(図2)、1:2:3の比でラメラ構造を示すピークが検出された。この結果からも、本バイオサーファクタントサンプルがデカン中でラメラ構造を形成することが確認され、これが分散して逆ベシクルが形成することが支持された。
[実施例2〜14]
実施例1で連続相としてデカンの代わりに、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ドデカン、テトラデカン、ヘキサデカン、シクロヘキサン、1−オクタノール、オレイン酸、スクアラン、スクアレン、シリコーンオイルKF-96A-6cs(ジメチルシリコーンオイル)、KF-995(環状ジメチルシリコーンオイル)(共に、信越シリコーン社製)を用いて同様の実験を行った。結果をまとめて表2に示す。逆ベシクルの形成有無はマルターゼクロスの観察によって判別した。
アルコール(1−オクタノール)や脂肪酸(オレイン酸)のような極性官能基を有する溶媒中では逆ベシクルが形成されなかったが、それ以外の直状炭化水素系溶媒は天然油(スクアレン、スクアランを含めて逆ベシクルを形成した。さらには、シリコーンオイル中でも容易に逆ベシクルが形成されることが確認された。
[実施例15]
実施例2で、水を添加せずに同様の実験を行った(表2)。その結果、水を添加せず、連続相(ヘキサン)と活性剤(MEL−D)のみで逆ベシクルが形成されることが確認された。
[実施例16〜22]
実施例15で連続相としてヘキサンの代わりに、ヘキサデカン、1−オクタノール、オレイン酸、スクアラン、スクアレン、シリコーンオイルKF-96A-6cs(ジメチルシリコーンオイル)、KF-995(環状ジメチルシリコーンオイル)を用いて、同様の実験を行った(表2)。アルコール、脂肪酸、及び炭素数の大きい炭化水素中では逆ベシクルの形成が見られなかったが、それ以外では水非添加でも逆ベシクルの形成が確認された。
[実施例23](逆ベシクルの構造確認及び水溶性基質の脂質膜間への内包)
実施例1と同様の方法で、逆ベシクルを調製する際、水20μLの代わりに、水溶性蛍光指示薬であるカルセインの水溶液(1mM)を6μL添加し、カルセイン水溶液を膜間に内包する逆ベシクルを調製した。共焦点レーザー顕微鏡を用いた蛍光観察の結果、球状の集合体の外殻部分のみ緑の蛍光が観察され、内部は中空構造であることが確認された(図3)。
この結果より、本集合体は内部に水相を有するミセル構造ではなく、バイオサーファクタントの疎水基(脂肪族アシル基)及び親水基(水酸基)が、外側から疎水基―親水基::親水基―疎水基が順に配向した二分子膜構造で集合体の外殻が構築された逆ベシクルを形成していることが確認された。また、膜間の親水部領域にカルセインを局所的に内包できることが確認されたことから、分子レベルの極めて微小、かつ表面積の大きな領域に、特定の親水的な薬物を内包できることが示された。

Claims (4)

  1. 糖型バイオサーファクタント化合物の自己組織化2分子膜からなる逆ベシクルであって、糖型バイオサーファクタント化合物が、以下の式(2)に記載の構造を有するマンノシルアルジトールリピッドであることを特徴とする逆ベシクル。
    (式中、Rは、同一でも異なっていてもよい炭素数4〜20の脂肪族アシル基を表す。)
  2. 薬剤を含有することを特徴とする,請求項1に記載の逆ベシクル。
  3. 式(2)に記載の糖型バイオサーファクタント化合物を、水を添加した非極性の液状油性物質中で攪拌することを特徴とする、請求項1に記載の逆ベシクル形成方法。
  4. 水に水溶性薬剤を、及び/又は非極性の液状油性物質に油溶性の薬剤を含有させることを特徴とする,請求項に記載の逆ベシクル形成方法。
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