JP2014114247A - 水中油型の乳剤およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 合成界面活性剤を実質的に含まない、または合成界面活性剤の使用を可能な限り抑えた、水中油型(W/O)の乳剤を提供することを課題とする。
【解決手段】 (a)カルニチン類、(b)多価アルコール、(c)水、および(d)脂溶性物質を含む水中油型の乳剤。
【選択図】なし

Description

本発明は、水中油型の乳剤およびその製造方法に関する。
植物性油、動物性油、脂溶性化合物などの脂溶性物質の中には、人や動物の体内において重要な役割を果たす物質が多く存在することが知られている。しかし、脂溶性物質は、一般に水に対して不溶性を示す。よって、食品や医薬品の製造において、脂溶性物質の取り扱いは困難である。また、水に不溶性を示す脂溶性物質は、生体内での吸収率が低いものとなる。そこで従来より、このような脂溶性物質を水溶性物質の中に安定に分散した系について研究が進められてきた。一般に、脂溶性物質を水溶性物質の中に安定に分散させるためには、界面活性作用を持つ物質を使用する。これにより脂溶性物質を水溶性物質(水相)へ乳化させ、いわゆる水中油型(O/W)の乳剤(エマルション溶液)を製造することができる。
例えば、特許文献1には、天然または合成の精油、色素、ビタミン、香料より選ばれる非水溶性物に対して、乳化剤であるポリグリセリン脂肪酸エステル、水、多価アルコールを混合し可溶化することを特徴とする可溶化液の製造法が記載されている。また、特許文献2には、脂溶性物質に乳化剤、多価アルコールを加え均一化した後に、高圧処理することによって、保存安定性を高めた脂溶性物質の水性液剤を開示している。
しかしながら、このようにして得られた乳剤は、添加する乳化剤の割合が高く、結果として乳剤中の脂溶性物質の含有率が低くなってしまう。さらに、乳剤を食品や医薬品に用いる場合、近年の自然派志向の高まりから合成界面活性剤の使用を可能な限り抑えたいとの要求が多い。しかしながら、上記で開示される製法により製造される乳剤は、このような要求を満たすものではなかった。
特開2004−208555号公報 特許第3880265号
上記の問題点を鑑み、本発明は、合成界面活性剤の使用を可能な限り抑えた、水中油型(W/O)の乳剤を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、水中油型の乳剤を製造する際、水相にカルニチン類を含有させることで、脂溶性物質の乳化に必要な合成界面活性剤を実質的に含まないようにできる、または合成界面活性剤の使用量を抑えることができることを見出した。
すなわち本発明は、一態様において、水中油型の乳剤であって、(a)カルニチン類、(b)多価アルコール、(c)水、および(d)脂溶性物質を含むことを特徴とする水中油型の乳剤を提供する。
また、本発明の水中油型の乳剤は、一実施の形態として、合成界面活性剤を実質的に含まないことを特徴とする。
また、本発明の水中油型の乳剤は、一実施の形態として、前記(a)カルニチン類が、L−カルニチンまたはその塩であることを特徴とする。
また、本発明の水中油型の乳剤は、一実施の形態として、前記(a)カルニチン類が、L−カルニチン酒石酸塩、L−カルニチンフマル酸塩、およびL−カルニチン塩酸塩からなる群より選択されることを特徴とする。
また、本発明の水中油型の乳剤は、一実施の形態として、前記(b)多価アルコールが、グリセリン、ポリスチレングリコール、およびソルビトールからなる群より選択されることを特徴とする。
また、本発明の水中油型の乳剤は、一実施の形態として、前記(d)脂溶性物質が、植物由来の脂溶性物質、または動物由来の脂溶性物質であることを特徴とする。
また、本発明の水中油型の乳剤は、一実施の形態として、水難溶性の生理活性物質をさらに含むことを特徴とする。
また、本発明の水中油型の乳剤は、一実施の形態として、(e)乳化剤をさらに含むことを特徴とする。
また、本発明の水中油型の乳剤は、一実施の形態として、前記(e)乳化剤が合成界面活性剤を含み、前記(e)合成界面活性剤を3質量%未満で含むことを特徴とする。
また、本発明の水中油型の乳剤は、一実施の形態として、前記(e)乳化剤が、レシチン類であることを特徴とする。
また、本発明の水中油型の乳剤は、一実施の形態として、水溶性の機能性物質をさらに含むことを特徴とする。
また、本発明の水中油型の乳剤は、一実施の形態として、前記(a)カルニチン類を、10〜40質量%で含むことを特徴とする。
また、本発明の水中油型の乳剤は、一実施の形態として、前記(b)多価アルコールを、30〜60質量%で含み、前記(c)水を、10〜30質量%で含み、前記(d)脂溶性物質を、25質量%以下で含むことを特徴とする。
また、本発明の水中油型の乳剤は、一実施の形態として、(a)カルニチン類と(b)多価アルコールとの配合比が、質量比で、(a)カルニチン類:(b)多価アルコールが1:0.8〜1:2.5であることを特徴とする。
以上述べた本発明の一又は複数の特徴を、任意に組み合わせたものも、本発明の水中油型の乳剤であることはいうまでもない。
また、本発明の別の態様によれば、前記水中油型の乳剤を含む医薬組成物または食品組成物を提供する。
また、本発明の別の態様によれば、水中油型の乳剤の製造方法であって、(A)(a)カルニチン類、(b)多価アルコール、および(c)水を含む水相を調製するステップと、(B)(d)脂溶性物質を含む油相を調製するステップと、(C)前記水相へ前記油相を混合することにより乳化させるステップとを含むことを特徴とする製造方法を提供する。
また、本発明の製造方法は、一実施の形態において、前記水相及び/又は油相に、(e)乳化剤が含まれていることを特徴とする。
また、本発明の別の態様によれば、前記水中油型の乳剤の製造方法により得られうる乳剤を提供する。
また、本発明の別の態様によれば、水中油型の乳剤における合成界面活性剤の使用量を低減させるためのカルニチン類の使用に関する。
本発明の効果
本発明の水中油型の乳剤によれば、カルニチン類の添加により脂溶性物質の水相への乳化を促進させることができるため、乳剤に含まれる合成界面活性剤を実質的に含まないとするか、もしくは合成界面活性剤の使用量を抑えることが可能となる。これにより、特に食品や化粧品、医薬品の適用に好ましい水中油型の乳剤を提供することが可能となる。
また、本発明の水中油型の乳剤によれば、特定量のカルニチン類をその水相に含むため、例えば、本発明の乳剤を含むカプセル剤等を生体内に投与した際、乳剤に含まれるカルニチン自体の効果も得ることが可能となる。
図1は、本発明の一実施の形態である、下記に示す処方例3、処方例4、処方例5、処方例6、および処方例7により製造された水中油型の乳剤を示す写真図である。なお、図中、Aは乳剤の原液を示し、Bは乳剤の原液を水で約100倍薄めたものを示す。 図2は、本発明の一実施の形態である、下記に示す処方例5により製造された水中油型の乳剤(L−カルニチン(+))および処方例5において、L−カルニチンを無添加とした水中油型の乳剤(L−カルニチン(−))を示す写真図を示す。なお、図中、Aは乳剤の原液を示し、Bは乳剤の原液を水で約100倍薄めたものを示す。 図3は、本発明の一実施の形態である、下記に示す処方例4により製造された水中油型の乳剤に含まれる油滴(ミセル)の粒度分布を積算分布として示すグラフである。なお、図3に示す粒度分布の測定は、乳剤の製造直後に行ったものである。 図4は、本発明の一実施の形態である、下記に示す処方例4により製造された水中油型の乳剤に含まれる油滴(ミセル)の粒度分布を頻度分布として示すグラフである。なお、図4に示す粒度分布の測定は、乳剤の製造直後に行ったものである。 図5は、本発明の一実施の形態である、下記に示す処方例4により製造された水中油型の乳剤に含まれる油滴(ミセル)の粒度分布を積算分布として示すグラフである。なお、図5に示す粒度分布の測定は、乳剤の製造より1ヶ月保存後に行ったものである。 図6は、本発明の一実施の形態である、下記に示す処方例4により製造された水中油型の乳剤に含まれる油滴(ミセル)の粒度分布を頻度分布として示すグラフである。なお、図6に示す粒度分布の測定は、乳剤の製造より1ヶ月保存後に行ったものである。 図7は、本発明の一実施の形態である、下記に示す処方例4により製造された水中油型の乳剤に含まれる油滴(ミセル)の粒度分布を積算分布として示すグラフである。なお、図7に示す粒度分布の測定は、乳剤の製造より2ヶ月保存後に行ったものである。 図8は、本発明の一実施の形態である、下記に示す処方例4により製造された水中油型の乳剤に含まれる油滴(ミセル)の粒度分布を頻度分布として示すグラフである。なお、図8に示す粒度分布の測定は、乳剤の製造より2ヶ月保存後に行ったものである。 図9は、本発明の一実施の形態である、下記に示す処方例7により製造された、製造直後の水中油型の乳剤に含まれる油滴(ミセル)の粒度分布を積算分布として示すグラフである。なお、図9に示す粒度分布の測定は、乳剤の製造直後に行ったものである。 図10は、本発明の一実施の形態である、下記に示す処方例7により製造された、製造直後の水中油型の乳剤に含まれる油滴(ミセル)の粒度分布を頻度分布として示すグラフである。なお、図10に示す粒度分布の測定は、乳剤の製造直後に行ったものである。
本発明の水中油型の乳剤は、(a)カルニチン類、(b)多価アルコール、(c)水、および(d)脂溶性物質を含むことを特徴とする。ここで、(a)カルニチン類、(b)多価アルコール、および(c)水は、乳剤において水相を形成し、この水相に(d)脂溶性物質を含む油相が油滴となって乳化した状態となることで本発明の水中油型の乳剤となる。なお、本明細書において、「水相」とは、水中油型の乳剤において溶媒を構成する水溶性の連続相を意味するが、これに限らず、油性溶液と混合される前の水性溶液であって、油性溶液と混合されたときに水相となるべき水性溶液も含む。同様に、本明細書において「油相」とは、水中油型の乳剤において水相中に液滴となって分散する分散相を意味するが、これに限らず、水溶性溶液と混合される前の油性溶液であって、水溶性溶液と混合されたときに油相となるべき油性溶液も含む。なお、本明細書において、「水中油型の乳剤」とは、油滴を分散質とし、水を分散媒とする分散系を構成する乳剤をいう。本発明の「乳剤」は、その油滴中に生理活性物質を含むことができ、食品、機能性食品、栄養補助食品(サプリメント)、化粧品、医薬組成物等の原料や添加剤として使用されることを意図するものである。特に本発明の「乳剤」は、従来より乳化剤として使用される合成界面活性剤を実質的に含まないか、合成界面活性剤の使用量を抑えたものである。よって、生体内に取り込まれる食品や医薬組成物、生体に対して適用する化粧品等の用途に非常に適したものである。しかしながら、本発明の「乳剤」は上記の用途に限定されず、従来より水中油型の液剤が使用される用途に幅広く適用することができる。
なお、本明細書において、「合成界面活性剤を実質的に含まない」とは、乳剤が全く合成界面活性剤を含まない、あるいは、合成界面活性剤の機能を発揮しない程度の量または態様でのみ合成界面活性剤を含むことをいう。
本発明に係る水中油型の乳剤は、その水相中に「(a)カルニチン類」を含むことを特徴とする。本発明に係る水中油型の乳剤は、カルニチン類を含むことにより、実質的に合成界面活性剤を含まない、または合成界面活性剤の使用量を抑えつつ、脂溶性物質を水相へ乳化させる事を可能とする。本発明に使用し得る「カルニチン類」としては、乳剤の水相に含まれることにより、脂溶性物質の乳化を促進させることができるものであれば特に制限されない。または、乳剤の水相に含まれることにより、乳剤に含まれる合成界面活性剤の量または配合比を低減させることができるものであれば特に制限されない。このような「カルニチン類」としては、カルニチン、カルニチン誘導体、およびそれらの塩を挙げることができる。カルニチン誘導体としては、例えば、アセチルカルニチン、プロピオニルカルニチンなどのカルニチンにおける水酸基がアシル化された誘導体、等を挙げることができる。カルニチンの塩としては、例えば、(1)塩化カルニチンなどのアルカリ金属塩、(2)カルニチンマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、(3)カルニチン硝酸塩などのカルニチンの鉱酸塩、(4)カルニチン酒石酸塩、カルニチンフマル酸塩などのカルニチンの有機酸塩等を挙げることができる。本発明に使用されるより好ましいカルニチン類としては、カルニチン酒石酸塩、カルニチンフマル酸塩、カルニチン塩酸塩を挙げることができる。また、カルニチン誘導体の塩としては、例えば、上記のアセチルカルニチンやプロピオカルニチンの(1)アルカリ金属塩、(2)アルカリ土類金属塩、(3)鉱酸塩、および(4)有機酸塩等を挙げることができる。なお、本明細書において、「カルニチン」には、L−カルニチン、D−カルニチン、DL−カルニチンを含む。そして、生体に投与する目的で本発明の水中油型の乳剤を使用する際には、L−カルニチンまたはDL−カルニチンを用いることが好ましく、L−カルニチンがより好ましい。すなわち、生体に投与する目的で本発明の水中油型の乳剤を使用する際は、「カルニチン類」として、例えば、L−カルニチン酒石酸塩、L−カルニチンフマル酸塩、L−カルニチン塩酸塩等を使用する事が好ましい。なお、L−カルニチンは、体内において、脂質代謝促進、運動機能向上、疲労回復、男性の生殖機能改善等に関与することが知られている。したがって、本発明の一態様において、特定の量のL−カルニチンを含む水中油型の乳剤は、例えば錠剤等に封入されて生体内に投与される際、上記に列挙されるL−カルニチン自体の機能も発揮することができる。
本発明の水中油型の乳剤に含まれる「カルニチン類」の濃度は、10〜40質量%とすることが好ましく、20〜35質量%とすることがより好ましい。乳剤に含まれるカルニチン類が10質量%未満であると、期待する脂溶性物質の乳化作用を得ることができない。また、乳剤に含まれるカルニチン類が40質量%を超えるとカルニチン類が水相に溶解しづらくなる。
また、本発明に係る水中油型の乳剤は、水相を形成する一成分として「多価アルコール」を含むことを特徴とする。本発明に使用し得る「(b)多価アルコール」としては、1つの分子内に2個以上の水酸基を有する化合物であって、水中油型の乳剤の水相に使用される公知の「多価アルコール」であれば限定されない。具体的な「多価アルコール」としては、以下に限定されないが、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、マルチトール、キシリトール、エリスリトール、ラクチトール、ソルビタン、キシロース、アラビノース、マンノース、トレハロース、乳糖、砂糖、果糖糖を挙げることができる。本発明に使用される「多価アルコール」としてより好ましいものは、グリセリン、ポリエチレングリコール(好ましくは分子量200−600)、ソルビトール等である。なお、「多価アルコール」は、上記で列挙するようなものを単独で用いても良いし、2種以上を混合して用いてもよい。
なお、本発明の水中油型の乳剤に含まれる「多価アルコール」の濃度は、30〜60質量%とすることが好ましく、35〜56質量%とすることがより好ましい。
また、本発明の水中油型の乳剤においては、カルニチン類と多価アルコールとの配合比を、質量比で1:0.8〜1:2.5とすることが好ましく、1:1〜1:2とすることがより好ましい。カルニチン類と多価アルコールとの配合比を1:0.8〜1:2.5とすることでカルニチン類の機能性を期待できる量を含有することができ、かつ、脂溶性物質を水相へ乳化するに十分なカルニチン類を含有できるため好ましい。
また、本発明に係る水中油型の乳剤は、水相を形成する一成分として「(c)水」を含む。本発明の水中油型の乳剤に含まれる「水」の量は、10〜30質量%とすることが好ましく、12〜20質量%がより好ましい。
また、本発明に係る水中油型の乳剤は、水相中に乳化して分散(拡散)する「(d)脂溶性物質」を含む。本明細書において「脂溶性物質」とは、乳剤中に油滴(分散質)として乳化可能な脂溶性の物質であれば限定されず、例えば、医薬品、化粧品、食品等の原料となる脂溶性物質として用いられるものを挙げることができる。本発明に使用される「脂溶性物質」は、人工的に合成された脂溶性物質であってもよいし、植物由来の脂溶性物質、または動物由来の脂溶性物質であってもよい。植物由来の脂溶性物質としては、以下に限定されないが、例えば、アボガド油、エゴマ油、シソ油、月見草油、オリーブ油、小麦胚芽油、米胚芽油、ノコギリヤシ油、コーン油、ボラージ油、サフラワー油、大豆油、カロテノイド等を挙げることができる。また、動物由来の脂溶性物質としては、以下に限定されないが、魚油(EPA、DHA)、オキアミオイル、卵黄油、肝油、スクワレン、脂溶性ビタミン等を挙げることができる。なお、本発明の水中油型の乳剤に含まれる「脂溶性物質」の濃度は、25質量%以下とすることが好ましい。
なお、本発明の水中油型の乳剤は、一実施の形態において、水難溶性の生理活性成分をさらに含むことができる。水難溶性の生理活性成分は、以下の形態に限定されないが、一実施形態において、脂溶性物質を含む油相に溶解した状態で、乳剤に含まれる(すなわち、油滴の成分として乳剤に含まれる)。水難溶性の生理活性物質としては、特に限定されないが、医薬品、化粧品、食品等の原料物質として使用されるものが好ましい。このような水難溶性の生理活性物質としては、例えば、コエンザイムQ10、ルテイン、リコペン、アスタキサンチン、アントシアニン、MCT(中鎖脂肪酸トリグリセライド)等を挙げることができる。水難溶性の生理活性成分は、1種類を単独で使用しても良いし、2種以上の生理活性成分を同時に使用しても良い。水難溶性の生理活性成分を、脂溶性物質を含む油相に溶解させる場合の濃度は、脂溶性物質を含む油相が油滴として水相へ乳化できる範囲で適宜設定することができる。
本発明の水中油型の乳剤は、一実施の形態において、脂溶性物質を乳化させるために、「(e)乳化剤」を含むことができる。本発明に使用し得る「(e)乳化剤」としては、脂溶性物質を水相へ乳化させる作用を有するものであれば限定されず、公知の乳化剤を用いることができる。乳化剤は、1種類を単独で使用しても良いし、2種以上の乳化剤を同時に使用しても良い。具体的には、以下に限定されないが、グリセリン脂肪酸エステル(例えば、ジグリセリン脂肪酸エステル)、脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン類、サポニン類、カゼインナトリウム等を挙げることができる。
なお、乳化剤として合成界面活性剤を使用する場合には、本発明の水中油型の乳剤に含まれる「乳化剤」の濃度は、3質量%未満とすることが好ましく、2質量%未満することがより好ましく、1質量%未満とすることがさらに好ましい。とりわけ、脂溶性物質が水相に乳化可能である限り、合成界面活性剤を含まないことが最も好ましい。なお、本発明の水中油型の乳剤は、その水相中にカルニチン類を特定量含むため、3質量%未満の乳化剤の使用であっても、脂溶性物質を水相へ乳化させることを可能とする。
また、特に、食品や医薬品として生体内に投与することを目的とする場合には、乳化剤としては、レシチン類、サポニン類、カゼイン類(例えば、カゼインナトリウム)等の当業者に公知の乳化剤として使用可能な天然由来の化合物を用いることが好ましい。なお、本発明に使用し得るレシチン類としては、例えば、ダイズ、コメ、ナタネ、サフラワー等の植物より得ることのできるレシチン、卵黄等の動物より得ることのできるレシチン、これらのレシチンを化学的または酵素処理することにより得られるレシチン誘導体を挙げることができる。なお、レシチン誘導体としては、例えば、酵素分解レシチン、水素添加酵素分解レシチン、ヒドロキシレシチン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、アセチル化レシチン等を挙げることができる。
また、本発明の水中油型の乳剤は、一実施の形態において、さらに水溶性の機能性物質を含有することができる。水溶性の機能性物質は、以下の形態に限定されないが、一実施形態において、乳剤の水相に含まれる。本明細書において、水溶性の機能性物質とは、限定されないが、生体内に投与された際に、生体の生理活動に直接的または間接的に、何らかの作用・影響をもたらす物質を意味する。このような機能性物質を含むことにより、乳剤はさらに機能性物質の機能を発揮させることができる。水溶性の機能性物質としては、医薬品、化粧品、食品の原料や添加物として用いられるものであれば特に限定されず、例えば、α―リポ酸、ポリフェノール類、親水性のアミノ酸(例えば、グリシン、セリン、シトルリン、オルニチン等)、水溶性ビタミン(例えば、ビタミンC、ビタミンB群等)、種々の素材より水抽出またはアルコール抽出したエキス末(例えば、ウコンエキス、人参エキス、梅エキス、イチョウ葉エキス、甜茶エキス等)等を挙げることができる。水溶性の機能性物質は、1種類を単独で使用しても良いし、2種以上の機能性物質を同時に使用しても良い。
本発明の水中油型の乳剤に水溶性の機能性物質をさらに含む場合、「機能性物質」の濃度は、脂溶性物質の乳化の作用を妨げない程度で添加することができる。
本発明の水中油型の乳剤は、(A)(a)カルニチン類、(b)多価アルコール、および(c)水を含む水相を調製するステップと、(B)(d)脂溶性物質を含む油相を調製するステップと、(C)前記水相へ前記油相を混合することにより乳化させるステップとを含む方法により製造される。
(A)(a)カルニチン類、(b)多価アルコール、および(c)水を含む水相を調製する方法は、(a)カルニチン類、(b)多価アルコール、および(c)水が充分に混合される手法であれば限定されない。例えば、ミキサーや撹拌子(例えば、マグネチックスターラー)等を用いる撹拌混合、浸とう混合、回転混合、超音波を利用した混合などを挙げることができ、好ましくは、ミキサーや撹拌子(例えば、マグネチックスターラー)等を用いる撹拌混合である。
また、乳剤に油滴として乳化される油相は、(d)脂溶性物質より調製される。なお、脂溶性物質を含む油相を調製時において、例えば、油相に他の成分を含ませる場合には、上記と同様の手法により混合することで、(d)脂溶性物質と当該成分とを含む油相を調製することができる。
(C)調製した水相へ調製した油相を混合することにより乳化させる方法も、上記と同様の手法により混合することで、油相を水相へ乳化させることができる。
なお、本発明の製造方法は、一実施の形態において、水相及び/又は油相に、(e)乳化剤を含む。
(e)乳化剤は、例えば、水相を調製するステップにおいて、(a)カルニチン類、(b)多価アルコール、および(c)水とともに混合することにより水相へ添加することができる。または、油相を調製するステップにおいて、(d)脂溶性物質とともに混合することにより、脂溶性物質および乳化剤を含む油相を予め調製することができる。
また、乳化剤を水相または油相と混合する際は、水相または油相を加温状態とする事が好ましく、例えば、水相または油相を50〜65℃とすることが好ましい。
なお、製造された水中油型の乳剤は、その油滴の平均粒度が、0.04〜50μmであることが好ましく、0.07〜20μmであることがより好ましい。また、製造された水中油型の乳剤の保存安定性は、保存後の乳剤に含まれる油滴の平均粒径および粒度分布を測定することにより評価することができる。例えば、保存前の油滴の平均粒径と保存後の油滴の平均粒径との間の差が、10%以内であり、かつ粒度分布曲線の形状に大きな変化がなければ、優れた保存安定性を示しているといえる。
なお、水中油型の乳剤に含まれる油滴の平均粒径は、例えば、レーザ回析式粒度分布測定装置を用いた油滴の粒度分布の測定結果より求めることができる。
また、本発明は、一実施の態様として、(A)(a)カルニチン類、(b)多価アルコール、および(c)水を含む水相を調製するステップと、(B)(d)脂溶性物質を含む油相を調製するステップと、(C)前記水相へ前記油相を混合することにより乳化させるステップとを含むことを特徴とする水中油型の乳剤の製造方法より得られうる、乳剤を提供する。
ここで、本明細書において、上記の製造方法により「得られうる」乳剤とは、上記製造方法により「得られた」乳剤に限らず、上記製造方法以外の製造方法により得られた乳剤であって、本発明の乳剤と同じ成分について同じ割合または同じ配合比で含む構造を有する乳剤も含まれる。
なお、本発明の別の態様によれば、水中油型の乳剤を含む医薬組成物または食品組成物を提供する。本発明に係る医薬組成物または食品組成物とは、本発明の水中油型の乳剤を例えば添加剤として含む医薬用の組成物または食品用の組成物であって、例えば、医薬品、動物医薬品、食品、健康食品、特定保健用食品、栄養補助食品、家畜用飼料、ペットフード、ドリング剤を挙げることができる。
なお、本発明の食品組成物は、例えば、飲料水、菓子、パン類、食肉加工製品、油脂加工製品、水産加工製品、発酵食品、冷凍食品等として提供することができる。また、本発明の別の態様によれば、例えば本発明の水中油型乳剤を配合する化粧料組成物を提供することもできる。化粧料組成物としては、例えば、香水、制汗剤、歯磨き剤、化粧水、乳液、クリーム、石鹸、皮膚・毛髪洗浄料、毛髪用化粧品、ボディケア製品等として提供することができる。
また、本発明の医薬組成物は、例えば、エアゾル剤、チンキ剤、エキス剤、洗口剤、エリキシル剤、顆粒剤、カプセル剤、液剤、シロップ剤、ゼリー剤、注射剤等として提供することができる。なお、医薬組成物が対象とする医薬用途は、乳剤に含まれる生理活性物質や機能性物質が関与する疾患、疾病を対象とするものであってよい。
したがって、上記の用途に資するため、本発明の医薬組成物または食品組成物は、以下に限定されないが、例えば、水中油型の乳剤とともに公知の賦形剤や薬理学的に許容される担体等を含むことができる。
また、本発明の医薬組成物の投与方法としては特に制限はなく、各種製剤形態、患者の年齢、性別、疾患の状態、その他の条件に応じた方法で投与される。本発明の医薬組成物の投与量は、用法、患者の年齢、性別、疾患の程度、その他の条件に応じて適宜選択すればよい。投与回数は、用法、患者の年齢、性別、疾患の程度、その他の条件に応じて適宜選択すればよく、例えば、3回/1日、2回/1日、1回/1日、さらにはその血中安定性に応じて、より頻度の少ない投与回数(例えば、1回/週、1回/月等)も選択しうる。なお、ヒトにおけるL−カルニチンの1日推奨摂取量は、500mgであることから、これを基準の一つとして適宜設定することが好ましい。
なお、本発明に係る医薬組成物または食品組成物に含まれる水中油型の乳剤は、乾燥粉末とされたものであってもよい。乾燥粉末の製造方法としては、乳剤をそのまま乾燥して得ることができる。好ましくは、乳剤に分散剤を添加した後に乾燥させる方が、水分散性に優れる脂溶性物質を含有する乾燥粉末を得ることができ好ましい。乾燥方法については、真空乾燥、凍結乾燥、噴霧乾燥等公知の方法を挙げることができる。
なお、分散剤としては、例えば、デキストリン、シュクロース、マンニトール、マルトース等を挙げることができる。添加する分散剤の量は、乾燥粉末が水に均一に分散される量であればよい。
本明細書において用いられる用語は、特定の実施態様を説明するために用いられるのであり、発明を限定する意図ではない。
また、本明細書において用いられる「含む」との用語は、文脈上明らかに異なる理解をすべき場合を除き、記載された事項(部材、ステップ、要素または数字等)が存在することを意図するものであり、それ以外の事項(部材、ステップ、要素または数字等)が存在することを排除しない。
一態様において、限定はされないが、本発明の水中油型の乳剤は、(a)カルニチン類、(b)多価アルコール、(c)水、および、(d)脂溶性物質から実質的になってもよく(言い換えれば、本発明の基本的、本質的な構成には影響を与えない態様で、他の成分、例えば(e)乳化剤や水溶性の機能性物質、を有してもよく)、または、(a)カルニチン類、(b)多価アルコール、(c)水、および(d)脂溶性物質のみからなってもよい。
異なる定義が無い限り、ここに用いられるすべての用語(技術用語及び科学用語を含む。)は、本発明が属する技術の当業者によって広く理解されるのと同じ意味を有する。ここに用いられる用語は、異なる定義が明示されていない限り、本明細書及び関連技術分野における意味と整合的な意味を有するものとして解釈されるべきであり、理想化され、又は、過度に形式的な意味において解釈されるべきではない。
本発明の実施態様は模式図を参照しつつ説明される場合があるが、模式図である場合、説明を明確にするために、誇張されて表現されている場合がある。
本明細書において、例えば、「1〜10質量%」と表現されている場合、当業者は、当該表現が、1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10質量%を個別具体的に指すことを理解する。
本明細書において、成分含有量や数値範囲を示すのに用いられるあらゆる数値は、特に明示がない限り、用語「約」の意味を包含するものとして解釈される。例えば、「10倍」とは、特に明示がない限り、「約10倍」を意味するものと理解される。
本明細書中に引用される文献は、それらのすべての開示が、本明細書中に援用されているとみなされるべきであって、当業者は、本明細書の文脈に従って、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、それらの先行技術文献における関連する開示内容を、本明細書の一部として援用して理解する。
以下において、本発明を、実施例を参照してより詳細に説明する。しかしながら、本発明はいろいろな態様により具現化することができ、ここに記載される実施例に限定されるものとして解釈されてはならない。
(処方例1)
12質量%のグリセリンを、12.5質量%の水へ加え、撹拌することによりグリセリンが均一に溶解した溶液を作製した。次に、上記で作製したグリセリンが均一に溶解する溶液に25質量%のL−カルニチン結晶性粉末(純度98%以上、ロンザ社製)を添加した。マグネチックスターラーを用いて撹拌することによりL−カルニチン結晶性粉末を溶解させ、グリセリンおよびL−カルニチン含有の水相を得た。その後、グリセリンおよびL−カルニチンを溶解させた水相をホットマグネチックスターラー(Heidolph社製)を用いて60〜65℃まで加熱した。加熱後、60〜65℃を維持したままジグリセリン脂肪酸エステルからなる乳化剤であるポエムDO−100V(理研ビタミン株式会社製)を1質量%の割合で添加し、マグネチックスターラーを用いた撹拌により溶解させた。ポエムDO−100Vを添加した後、アスタキサンチン5%含有のヘマトコッカス藻色素製剤(食用油脂ベース製剤、富士化学工業社製)からなる油相を12質量%の割合で、上記で得られた水相に添加した。なお、ヘマトコッカス藻色素製剤は、生理活性物質としてアスタキサンチン5%を含有する脂溶性物質である。マグネチックスターラーを用いて撹拌することにより油相を乳化させ、生理活性物質および脂溶性物質からなる油相が油滴(ミセル)として水相に均一に拡散した水中油型の乳剤を製造した。なお、油相添加時の水相の温度、およびその後の撹拌の工程は、室温で行った。
(処方例2)
アスタキサンチン5%含有のヘマトコッカス藻色素製剤(食用油脂ベース製剤、富士化学工業社製)からなる油相の添加割合を6質量%とし、かつ、グリセリンの添加割合を55.5質量%とした以外は、上記処方例1と同様にして、水中油型の乳剤を製造した。
(処方例3)
L−カルニチン結晶性粉末の添加割合を33.4質量%とし、アスタキサンチン5%含有のヘマトコッカス藻色素製剤(食用油脂ベース製剤、富士化学工業社製)からなる油相の添加割合を16質量%とし、グリセリンの添加割合を32.46質量%とし、水を16.8質量%とし、かつ、ポエムDO−100Vの添加割合を1.34質量%として、上記処方例1と同様に、水中油型の乳剤を製造した。
(処方例4)
L−カルニチン結晶性粉末の添加割合を33.4質量%とし、アスタキサンチン5%のヘマトコッカス藻色素製剤(食用油脂ベース製剤、富士化学工業社製)からなる油相の添加割合を8質量%とし、グリセリンの添加割合を41.14質量%とし、水を16.8質量%とし、かつ、ポエムDO−100Vの添加割合を0.66質量%として、上記処方例1と同様に、水中油型の乳剤を製造した。
(処方例5)
処方例5では、乳化剤であるポエムDO−100Vを添加せずに、水中油型の乳剤を作製した。
すなわち、41.8質量%のグリセリンを、16.8質量%の水へ加え、撹拌することによりグリセリンが均一に溶解した溶液を作製した。次に、上記で作製したグリセリンの均一溶液に33.4質量%のL−カルニチン結晶性粉末を添加した。マグネチックスターラーを用いて撹拌することによりL−カルニチン結晶性粉末を溶解させ、グリセリンおよびL−カルニチン含有の水相を得た。その後、グリセリンおよびL−カルニチンを溶解させた水相にアスタキサンチン5%含有のヘマトコッカス藻色素製剤(食用油脂ベース製剤、富士化学工業社製)からなる油相を8質量%の割合で添加した。マグネチックスターラーを用いて撹拌することにより脂溶性物質を乳化させ、脂溶性物質が油滴(ミセル)として水相に均一に拡散した水中油型の乳剤を作製した。
下記表1では、液体充填ハードカプセル1カプセルに対して500mgの水中油型の乳剤を封入した際の、配合割合を処方例1〜5として示す。
(処方例6)
処方例1〜5において、乳化剤として添加していた合成界面活性剤であるポエムDO−100Vの代わりに、天然由来の化合物であり、ホスファチジルコリン(PC)を35%含有するレシチンPC35%(EPIKRON 135F、Cargill社製)を乳化剤として用いて水中油型の乳剤を製造した。
すなわち、50.5質量%のグリセリンを、12.5質量%の水へ加え、撹拌することによりグリセリンが均一に溶解した溶液を作製した。次に、上記で作製したグリセリンの均一溶液に25質量%のL−カルニチン結晶性粉末を添加した。マグネチックスターラーを用いて撹拌することによりL−カルニチン結晶性粉末を溶解させ、グリセリンおよびL−カルニチン含有の水相を得た。一方、生理活性物質であるコエンザイムQ10(三菱ガス化学社製)を脂溶性物質であるMCT(中鎖脂肪酸トリグリセライド、三栄源エフ・エフ・アイ社製)に対して加えた。その後、ホットマグネチックスターラー(Heidolph社製)を用いて60〜65℃まで加熱・撹拌し、コエンザイムQ10をMCT中へ溶解させ、油相を調製した。なお、コエンザイムQ10とMCTとの配合比が、コエンザイムQ10:MCTが1:4となるように調製した。この油相を放置冷却し、室温(約23〜25℃)になったところで、7.5質量%の油相を取り出した。7.5質量%の油相に対してレシチンPC35%を4.5質量%の割合で添加し、マグネチックスターラーを用い撹拌し均一な溶解溶液とした。この溶液を生理活性物質、脂溶性物質、および乳化剤を含む油相とし、先に調製した水相に添加し、マグネチックスターラーを用い撹拌することで、油相を乳化させ、生理活性物質、脂溶性物質、および乳化剤を含む油相が油滴(ミセル)として水相に均一に拡散した水中油型の乳剤を製造した。
処方例6の配合割合を下記表2に示す。
(処方例7)
処方例6と同様に、処方例1〜5において乳化剤として添加していた合成界面活性剤であるポエムDO−100Vの代わりに、レシチンPC35%のみを乳化剤として用いて水中油型の乳剤を製造した。
すなわち、36.25質量%のグリセリンを、15質量%の水へ加え、撹拌することによりグリセリンが均一に溶解した溶液を作製した。次に、上記で作製したグリセリンの均一溶液に25質量%のL−カルニチンを添加した。マグネチックスターラーを用いて撹拌することによりL−カルニチンを溶解させ、グリセリンおよびL−カルニチン含有の水相を得た。一方、15質量%のドコサヘキサエン酸(Docosahexaenoic acid:DHA、DHAid CL−400、ロンザ社製)に、乳化剤としてレシチンを8.75質量%の割合で添加し、マグネチックスターラーを用い撹拌し均一な油相を調製した。この油相を、先に調製した水相に添加し、マグネチックスターラーを用い撹拌することで、DHA含有の油相を乳化させ、水相に油滴が均一に拡散した水中油型の乳剤を製造した。
処方例7の配合割合を下記表3に示す。
(製造後の乳剤における乳化状態の観察)
上記処方例3、処方例4、処方例5、処方例6、および処方例7により製造された各乳剤について、乳化の状態を観察した。その結果を図1に示す。図1中、Aは処方例通りに製造した乳剤の原液を示し、Bは、当該原液を水で100倍薄めたものを示す。
図1から明らかなように、いずれの処方例においても、脂溶性物質は水相へ均一に分散しており、乳濁した状態を示していた。ここで、処方例5においては、乳化剤を全く添加していないにも関わらず、脂溶性物質を水相へ乳化させることができた。なお、処方例3、処方例4、および処方例5は、色素であるアストキサンチンを含むため、赤みがかった色を有していたが、上述の通り、脂溶性物質は問題なく水相へ乳化していた。
(処方例5におけるL−カルニチン添加の有無による乳化の影響)
図1に示すように、処方例5により製造される水中油型の乳剤は、脂溶性物質を水相へ乳化することが可能である。ここで、カルニチン類の添加の有無の影響を検証するために、処方例5においてL−カルニチンを無添加とする処方により製造した水中油型の乳剤の乳化状態を観察した。処方例5においてL−カルニチンを無添加とした乳剤は、すなわち、アスタキサンチン5%含有の脂溶性物質:グリセリン:水の配合比を、8:75.2:16.8としてL−カルニチン含量分を、グリセリンで補正し調製した溶液乳剤である。L−カルニチンの添加の有無による乳化状態を比較した結果を図2に示す。
図2から明らかな通り、L−カルニチンを無添加とした処方例を100倍に薄めたところ、油滴の大きな粒が水中に存在しており、また液面に油成分が浮いていた。このように、水相全体へ乳濁した状態は観察できず、水相本来の透過性を維持していたことにより容器の反対側を観察することができた。
この結果より、L−カルニチンの添加は、脂溶性物質が水相へ乳化するのを促していることが明らかとなった。
(保存後の乳剤の粒度分布測定)
上記処方例4で製造した水中油型の乳剤を、40℃、75%相対湿度下で1ヶ月および2ヶ月保存した際の、乳剤中に含まれる油的(ミセル)の粒度分布を測定した。また、その測定結果より、積算分布および頻度分布のグラフを作成した。また、比較として、処方例4で製造した直後の水中油型の乳剤について、乳剤中に含まれる油的(ミセル)の粒度分布を測定した。
粒度分布の測定には、レーザ回析式粒度分布測定装置SALD−2200型(株式会社 島津製作所)を用いた。また、測定条件は下記の通りとした。
屈折率:1.70−0.20i(標準屈折率)
分散媒:水
分散:スターラー
処方例4に従い製造した製造直後の水中油型の乳剤について、粒度分布を測定した結果を下記表4に示す。また、表4の結果を積算分布のグラフで表わしたものを図3に示し、表4の結果を頻度分布のグラフで表わしたものを図4に示す。また、処方例4により製造した水中油型の乳剤を40℃、75%相対湿度下の条件で1ヶ月保存した際の粒度分布の測定結果を下記表5に示す。また、表5の結果を積算分布のグラフで表わしたものを図5に示し、表5の結果を頻度分布のグラフで表わしたものを図6に示す。
また、処方例4により製造した水中油型の乳剤を上記の条件で2ヶ月保存した際の粒度分布の測定結果を下記表6に示す。また、表6の結果を積算分布のグラフで表わしたものを図7に示し、表6の結果を頻度分布のグラフで表わしたものを図8に示す。
表4より、処方例4により製造された水中油型の乳剤は、その製造直後において、平均粒子径が約0.07μmであった。また、表5より、処方例4により製造された水中油型の乳剤は、1ヶ月の保存の後であってもその平均粒径は、約0.07μmのままであった。さらに、表6より、処方例4により製造された水中油型の乳剤は、2ヶ月の保存の後であっても、その平均粒径が、約0.07μmであった。このように、処方例4により製造された乳剤は、40℃、75%の相対湿度の条件下で1ヶ月または2ヶ月保存した後であっても、製造直後と変わらない平均粒子径を有していた。さらに、図3〜図8に示すように、処方例4により製造された乳剤は、40℃、75%の相対湿度の条件下で1ヶ月または2ヶ月保存した後であっても、製造直後と変わらない粒度分布を有していた。このように、処方例4に従い製造された水中油型の乳剤は、優れた保存安定性を有していた。
(合成界面活性剤を含まない乳剤の粒度分布測定)
次に、処方例7により製造された水中油型の乳剤について、製造直後の粒度分布を測定した。
粒度分布の測定には、レーザ回析式粒度分布測定装置SALD−2200型(株式会社 島津製作所)を用いた。また、測定条件は下記の通りとした。
屈折率:1.70−0.20i(標準屈折率)
分散媒:水
分散:スターラー
処方例7により製造した水中油型の乳剤の粒度分布の測定結果を下記表7に示す。また、表7の結果を積算分布のグラフで表わしたものを図9に示し、表4の結果を頻度分布のグラフで表わしたものを図10に示す。
表7より、処方例7により製造された水中油型の乳剤中の油滴(ミセル)の平均粒径は、約11.03μmであった。
処方例7においては、粒度分布に2つのピークが認められているが、撹拌方法を検討することで、よりシャープな分布を持つ乳剤を製造できる可能性はある。
このように、本発明の乳剤の製造方法によれば、合成界面活性剤を用いない場合であっても、好適な油滴の平均粒径を有する水中油型の乳剤を製造することができる。

Claims (19)

  1. (a)カルニチン類、
    (b)多価アルコール、
    (c)水、および
    (d)脂溶性物質を含むことを特徴とする
    水中油型の乳剤。
  2. 請求項1に記載の水中油型の乳剤であって、合成界面活性剤を実質的に含まないことを特徴とする水中油型の乳剤。
  3. 請求項1に記載の水中油型の乳剤であって、
    前記(a)カルニチン類が、L−カルニチンまたはその塩であることを特徴とする
    水中油型の乳剤。
  4. 請求項3に記載の水中油型の乳剤であって、
    前記(a)カルニチン類が、L−カルニチン酒石酸塩、L−カルニチンフマル酸塩、およびL−カルニチン塩酸塩からなる群より選択されることを特徴とする
    水中油型の乳剤。
  5. 請求項1に記載の水中油型の乳剤であって、
    前記(b)多価アルコールが、グリセリン、ポリスチレングリコール、およびソルビトールからなる群より選択されることを特徴とする
    水中油型の乳剤。
  6. 請求項1に記載の水中油型の乳剤であって、
    前記(d)脂溶性物質が、植物由来の脂溶性物質、または動物由来の脂溶性物質であることを特徴とする
    水中油型の乳剤。
  7. 請求項1に記載の水中油型の乳剤であって、
    水難溶性の生理活性物質をさらに含むことを特徴とする
    水中油型の乳剤。
  8. 請求項1に記載の水中油型の乳剤であって、
    (e)乳化剤をさらに含むことを特徴とする
    水中油型の乳剤。
  9. 請求項8に記載の水中油型の乳剤であって、
    前記(e)乳化剤が合成界面活性剤を含み、
    前記(e)合成界面活性剤を3質量%未満で含むことを特徴とする
    水中油型の乳剤。
  10. 請求項8に記載の水中油型の乳剤であって、
    前記(e)乳化剤が、レシチン類であることを特徴とする
    水中油型の乳剤。
  11. 請求項1に記載の水中油型の乳剤であって、
    水溶性の機能性物質をさらに含むことを特徴とする
    水中油型の乳剤。
  12. 請求項1〜11のいずれか一項に記載の水中油型の乳剤であって、
    前記(a)カルニチン類を、10〜40質量%で含むことを特徴とする
    水中油型の乳剤。
  13. 請求項12に記載の水中油型の乳剤であって、さらに
    前記(b)多価アルコールを、30〜60質量%で含み、
    前記(c)水を、10〜30質量%で含み、
    前記(d)脂溶性物質を、25質量%以下で含むことを特徴とする
    水中油型の乳剤。
  14. 請求項1〜11のいずれか一項に記載の水中油型の乳剤であって、
    (a)カルニチン類と(b)多価アルコールとの配合比が、質量比で、(a)カルニチン類:(b)多価アルコールが1:0.8〜1:2.5であることを特徴とする
    水中油型の乳剤。
  15. 請求項1〜14のいずれか一項に記載の水中油型の乳剤を含む医薬組成物または食品組成物。
  16. 水中油型の乳剤の製造方法であって、
    (A)(a)カルニチン類、(b)多価アルコール、および(c)水を含む水相を調製するステップと、
    (B)(d)脂溶性物質を含む油相を調製するステップと、
    (C)前記水相へ前記油相を混合することにより乳化させるステップとを含むことを特徴とする
    製造方法。
  17. 請求項16に記載の水中油型の乳剤の製造方法であって、
    前記水相及び/又は油相に、(e)乳化剤が含まれていることを特徴とする
    製造方法。
  18. 請求項16および17に記載の水中油型の乳剤の製造方法により得られうる乳剤。
  19. 水中油型の乳剤における合成界面活性剤の使用量を低減させるためのカルニチン類の使用。
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