JP2009153730A - プレフィルドシリンジ用の包装袋 - Google Patents
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【解決手段】二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルム1の一方の面に、無機酸化物蒸着膜2を1層又は2層以上積層し、さらに該無機酸化物蒸着膜の上に、ヒートシール性樹脂層3を積層した積層フィルムを製袋して得られる、プレフィルドシリンジ用の包装袋。
【選択図】図1
Description
プレフィルドシリンジは、薬剤がシリンジ中に充填されてから投与までに時間がかかるため、シリンジ容器には、薬剤の酸化分解を防ぐための高い酸素ガスバリア性が要求される。
<1>本発明のプレフィルドシリンジ用の包装袋を構成する積層フィルムの層構成
まず、本発明において用いられる積層フィルムの層構成について説明する。図1は、本発明のプレフィルドシリンジ用の包装袋を構成する積層フィルムの層構成の一例を示す断面図である。
本発明に係る積層フィルムは、図1に示すように、基材フィルムとしての二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルム1の一方の面に、無機酸化物蒸着膜2、及びヒートシール性樹脂層3を順に積層した構成を基本構造とするものである。
また、本発明において、図2に示すように、無機酸化物蒸着膜2とヒートシール性樹脂層3の間に、バリアコート4を設けてもよい。
本発明において、無機酸化物蒸着膜は、単層であっても、2層以上からなる多層であってもよい。
本発明において、無機酸化物蒸着膜を支持する基材フィルムとして、耐衝撃性、耐突刺性、耐屈曲性に優れる二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルムが用いられる。
このような二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルムとしては、後述の無機酸化物蒸着膜及びバリアコートの特性を損なうことなく良好に保持し得る二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルムであればいずれのものでも使用することができ、例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、その他の各種のポリアミド系樹脂のフィルムを使用することができる。これらの樹脂のフィルムは、二軸方向に延伸されているものが好ましく、また、その厚さとしては、10〜50μm位、好ましくは、10〜25μm位が望ましい。また、上記の樹脂のフィルムとしては、必要ならば、その表面に、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理等の表面活性処理を任意に施すことができる。また、本発明においては、無機酸化物蒸着膜との密着強度を高めるために、例えば、ポリエステル系、ウレタン系、エポキシ系、アミン系等のアンカーコート剤を、無機酸化物蒸着膜を形成する蒸着工程において、インライン又はオフラインで用いることもできる。更に、本発明においては、用途に応じて、例えば、帯電防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、充填剤等の所望の添加剤を、その透明性に影響しない範囲内で任意に添加し、それらを含有するポリアミド系樹脂フィルム等も使用することができる。
本発明において、無機酸化物蒸着膜としては、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、カリウム(K)、スズ(Sn)、ナトリウム(Na)、ホウ素(B)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)等の酸化物からなる蒸着膜を挙げることができる。
好ましいものとしては、ケイ素(Si)又はアルミニウム(Al)の金属の酸化物からなる蒸着膜を挙げることができる。
望ましくは、ケイ素(Si)は1.0〜2.0、アルミニウム(Al)は0.5〜1.5の範囲の値のものを使用することができる。
また、無機酸化物蒸着膜として、使用する金属、又は金属の酸化物は、1種又は2種以上の混合物で使用し、異種の材質で混合した無機酸化物蒸着膜を構成することもできる。
本発明において、所望のガスバリア性を得るために、上記無機酸化物蒸着膜は、化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)、好ましくはプラズマ化学気相成長法により形成される。
本発明においては、具体的には、基材フィルムの表面に、有機ケイ素化合物等の蒸着用モノマーガスを原料とし、キャリヤーガスとして、アルゴンガス、ヘリウムガス等の不活性ガスを使用し、更に、酸素供給ガスとして、酸素ガス等を使用し、低温プラズマ発生装置等を利用する低温プラズマ化学気相成長法を用いて、酸化物からなる蒸着膜を形成することができる。
上記において、低温プラズマ発生装置としては、例えば、高周波プラズマ、パルス波プラズマ、マイクロ波プラズマ等の発生装置を使用することができるが、本発明においては、高活性の安定したプラズマを得るために、高周波プラズマ方式による発生装置を使用することが望ましい。
本発明においては、上記無機酸化物蒸着膜上に、さらに、アルコキシドと水溶性高分子とをゾルゲル法によって重縮合して得られるガスバリア性組成物を塗布してなるバリアコートを設けることができる。これにより、酸素ガスバリア性をさらに向上させることができる。
また、水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール系樹脂若しくはエチレン・ビニルアルコール共重合体のいずれか又はその両方を好ましく用いることができる。
尚、本発明において、同一分子中において、これらのアルキル基は同一であっても、異なってもよい。
本発明において用いられるガスバリア性組成物は、アルコキシドと水溶性高分子とを、ゾル−ゲル法触媒、酸、水及び有機溶剤の存在下で、ゾルゲル法によって重縮合することにより調製することができ、これを、基材フィルムとしての二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルム上に設けた無機酸化物蒸着膜の上に塗布し、20℃〜200℃、好ましくは140℃以上、且つ基材フィルムの融点以下の温度で10秒〜10分間加熱処理することにより、バリアコートを形成することができる。必要ならば、無機酸化物蒸着膜の表面を、酸素ガスによりプラズマ処理してもよい。
なお、バリアコートは、2層以上重層して複合ポリマー層を形成してもよい。
上記のガスバリア性組成物を、無機酸化物蒸着膜の上に塗布し、加熱して溶媒及び重縮合反応により生成したアルコールを除去すると、重縮合反応が完結し、透明なバリアコートが形成される。
本発明において、ヒートシール性樹脂層を構成するヒートシール性樹脂としては、熱によって溶融して相互に融着し得る、ヒートシール性を有する樹脂を使用することができ、具体的には、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテンポリマー、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂等の各種の樹脂を使用することができる。本発明においては、上記のような樹脂のフィルムないしシート、あるいは上記のような樹脂を主成分とする樹脂組成物によるコーティング膜等によって、ヒートシール性樹脂層を構成することができる。その厚さとしては、5μmないし300μm位が好ましく、更には、10μmないし100μm位が望ましい。
本発明において、ヒートシール性樹脂層は、無機酸化物蒸着膜上に、又はバリアコートを設ける場合は、バリアコート上に、ラミネート用接着剤を介して、通常のラミネート方法、例えばウエットラミネーション法、ドライラミネーション法、押し出しラミネーション法等で行うことができる。
次に、本発明の包装袋を構成する積層フィルムに要求されるガスバリア性を設定する際の要因について説明する。
プラスチック製シリンジ容器中の薬剤の品質低下を抑止するために、本発明の包装袋を構成する積層フィルムは、酸素透過度に関して、JIS K 7126に準拠した手法で得られる数値として5ml/m2・24時間・MPa以下という優れた酸素バリア性を示すことができる。
次に、本発明において、上記のような本発明に係る積層フィルムを製袋して、本発明に係るプレフィルドシリンジ用の包装袋を製造する方法について説明すると、例えば、上記のような方法で製造した本発明に係る積層フィルムを使用し、そのヒートシール性樹脂層の面を対向させて、それを折り重ねるか、或いはその二枚を重ね合わせ、更にその周辺端部をヒートシールしてシール部を設けて、種々の形態からなる包装袋を製造することができる。
次に本発明について実施例を挙げて具体的に説明する。
厚さ15μmの二軸延伸ナイロンフィルムの一方の面に、プラズマ化学気相成長法を用いて、厚さ10nmの酸化ケイ素蒸着層を形成した。次いで、その酸化ケイ素蒸着層上に下記のバリアコート形成用組成物をグラビアコート法により塗工し、150℃で1分間乾燥して厚さ0.3μmの複合ポリマー層からなるバリアコートを形成した。
上記得られたガスバリア性透明蒸着ナイロンフィルムのバリアコート上に、ドライラミネート用接着剤を介して、厚さ50μmの低密度ポリエチレンフィルムをドライラミネートすることにより、二軸延伸ナイロンフィルム15μm/酸化ケイ素蒸着層10nm/バリアコート0.3μm/低密度ポリエチレンフィルム50μmの積層フィルムを作製した。
次いで、水50L中にグリチルリチンアンモニウム塩100g、グリシン800g、L−システイン30gを溶解し、これをろ過して得られた溶液を充填・密封したプレフィルドシリンジを上記包装袋に挿入し、密封して、プレフィルドシリンジ入り包装袋を得た。
エチルシリケート34.13g、エタノール25g、2N塩酸1.15g及び水4.58gを混合し、常温で約1時間攪拌し、次いでエポキシシランSH6040(東レダウコーニング製)3.41g、ソアノール30L(日本合成化学社製)31.56g及びN,N−ジメチルベンジルアミン0.17gを加えて30分攪拌し、バリアコート形成用組成物を得た。
基材フィルムとして、二軸延伸ナイロンフィルムの代わりに、厚さ12μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを用いた以外は、実施例1と同様にして、プレフィルドシリンジ入り包装袋を作製した。
厚さ12μmの二軸延伸ポリエステルフィルムの一方の面に、実施例1と同様にして、酸化ケイ素蒸着層を形成した。次いで、その酸化ケイ素蒸着層上に、ドライラミネート法により、厚さ15μmの二軸延伸ナイロンフィルム、及び厚さ50μmの低密度ポリエチレンフィルムを順に貼り合せた積層フィルムを作製し、これを実施例1と同様にして製袋した。
1.実施例及び比較例において得られた包装袋の酸素及び水蒸気透過度をMOCON法(JIS K7126、JIS K7129)を用いて実施した。
2.実施例及び比較例において得られた包装袋のシール部に切り込みを入れ、その部分を手で引き裂き、包装袋のカット性評価を実施した。評価は、○:きれいに直線的に引き裂けた、△:わずかにカット部が蛇行した、×:カット部が大きく蛇行した、の3段階で行った。
3.実施例及び比較例において得られたプレフィルドシリンジ入り包装袋を、40℃、80%RHの恒温恒湿槽に1ヶ月間保管し、袋内部の外観確認を行った。
4.溶液中のL−システインは、酸素の存在下で分解が促進されることから、プレフィルドシリンジ内の溶液中のL−システインの含有量を、保存試験時の包装袋に対する酸素透過量の指標とした。評価は、実施例及び比較例において得られたプレフィルドシリンジ入り包装袋を1ヶ月間室温で放置し、その後、10袋を紙箱に詰め、振動試験機で1000回振動させた後、室温又は40℃の環境下で保管し、L−システイン含有量の経時変化により実施した。
上記の表2から明らかなように、実施例1で得られた本発明に係る包装袋は、優れた易カット性を有し、プレフィルドシリンジを包装するのに好適な水蒸気バリア性を有し、包装袋内に水滴を生じることなく、美麗な外観を維持していた。また、表3から明らかなように、優れた耐屈曲性を有し、プレフィルドシリンジのバレルやプランジャーの突起部と接触しても、ガスバリア層が破断することなく、高い酸素ガスバリア性を維持することができた。さらに、優れた耐衝撃性も兼ね備え、外部からの衝撃を受け続けても、ガスバリア性の低下は見られなかった。
これに対し、比較例1及び2で得られた包装袋は、いずれも、カットしにくいものであり、また水蒸気バリア性が高すぎるために、袋内部に水滴を生じた。またいずれも、プレフィルドシリンジの突起部との接触部分において、密封により生じるシワや屈曲によりガスバリア層が破断し、酸素ガスバリア性が低下した。また、外部からの衝撃によりガスバリア層の破断がさらに進行し、酸素ガスバリア性が経時的に大幅に低下した。
Claims (10)
- 二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルムの一方の面に、無機酸化物蒸着膜を1層又は2層以上積層し、さらに該無機酸化物蒸着膜の上に、ヒートシール性樹脂層を積層した積層フィルムを製袋して得られる、プレフィルドシリンジ用の包装袋。
- 二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルムが、二軸延伸ナイロンフィルムである、請求項1に記載の包装袋。
- 無機酸化物蒸着膜が、プラズマ化学気相成長法により積層された、請求項1又は2に記載の包装袋。
- 無機酸化物蒸着膜を構成する無機酸化物が、酸化ケイ素又は酸化アルミニウムである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の包装袋。
- ヒートシール性樹脂層が、ヒートシール性を有するポリオレフィン系樹脂層からなる、請求項1〜4のいずれか1項に記載の包装袋。
- 無機酸化物蒸着膜とヒートシール性樹脂層の間に、アルコキシドと水溶性高分子とをゾルゲル法によって重縮合して得られるガスバリア性組成物を塗布してなるバリアコートを設けた、請求項1〜5のいずれか1項に記載の包装袋。
- アルコキシドが、一般式R1 nM(OR2)m(式中、R1、R2は炭素数1〜8の有機基であり、Mは金属原子であり、nは0以上の整数であり、mは1以上の整数であり、n+mはMの原子価である)で表される1種又はそれ以上のアルコキシドであり、そして、水溶性高分子が、ポリビニルアルコール系樹脂若しくはエチレン・ビニルアルコール共重合体のいずれか又はその両方である、請求項6に記載の包装袋。
- ヒートシール性樹脂層が、ラミネート用接着剤を介して積層される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の包装袋。
- 酸素透過度が、JIS K 7126に準拠した手法で得られる数値が5ml/m2・24時間・MPa以下である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の包装袋。
- 水蒸気透過度が、JIS K 7129に準拠した手法で得られる数値が2.0g/m2・day以上、10.0g/m2・day以下である、請求項1〜9のいずれか1項に記載の包装袋。
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