JP2009153548A - 医療用パウチおよびドレープ - Google Patents
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Abstract
【課題】医療用パウチの下部排液口近傍において流路が閉塞されることを防止することにより、下部排液口からの液体の円滑な排出を実現する。
【解決手段】医療用パウチ1は、柔軟な第1シート部11および第2シート部12、並びに、第1シート部11および第2シート部12の下部に接合されるカップ部材13を備える。医療用パウチ1では、下部排液口22からの液体の排出により下部排液口22近傍において負圧が生じるが、下部排液口22近傍の部位が、剛性を有する樹脂成型品であるカップ部材13とされることにより、医療用パウチ1の使用時に、下部排液口22近傍の形状が維持される。これにより、下部排液口22近傍の部位が互いに密着して流路が閉塞されることが防止され、下部排液口22からの液体の円滑な排出を実現することができる。その結果、術野に対する連続的あるいは断続的な生理食塩水等の液体の付与を伴う手術を円滑に行うことができる。
【選択図】図3
【解決手段】医療用パウチ1は、柔軟な第1シート部11および第2シート部12、並びに、第1シート部11および第2シート部12の下部に接合されるカップ部材13を備える。医療用パウチ1では、下部排液口22からの液体の排出により下部排液口22近傍において負圧が生じるが、下部排液口22近傍の部位が、剛性を有する樹脂成型品であるカップ部材13とされることにより、医療用パウチ1の使用時に、下部排液口22近傍の形状が維持される。これにより、下部排液口22近傍の部位が互いに密着して流路が閉塞されることが防止され、下部排液口22からの液体の円滑な排出を実現することができる。その結果、術野に対する連続的あるいは断続的な生理食塩水等の液体の付与を伴う手術を円滑に行うことができる。
【選択図】図3
Description
本発明は、手術時における術野からの液体を上部受液口にて受けて下部排液口から排出する医療用パウチ、および、医療用パウチを備えるドレープに関する。
従来より、手術室において外科手術等の医療処置が行われる際には、不潔領域と規定される患者の体表や医療装置等の医療用物品の表面を医療用のドレープにて覆い、清潔領域を当該不潔領域から隔離することが行われている。患者を覆うドレープでは、患者の手術対象部位である術野をドレープから露出させるための開口が設けられている。
ところで、膀胱や前立腺等の下腹部の手術や開頭手術、あるいは、関節鏡を利用した膝関節の手術等では、術野に対して生理食塩水等を連続的あるいは断続的に付与しつつ手術が行われることがあり、このような手術に利用されるドレープでは、術野から流れ落ちる生理食塩水や血液等を受けて所定の廃液タンク等へと送る医療用パウチが、術野を露出させるための開口近傍に取り付けられている。
例えば、特許文献1の開頭用ドレープでは、手術用開口の下側に流出ポーチが設けられており、手術中に発生した流体物および固形物が流出ポーチにより受けられる。また、流出ポーチの下端部には、吸引装置が取り付けられるドレーンポートが設けられる。さらには、流水ポーチの上部開口とドレーンポートとの間には、固形物を受ける固形スクリーンが設けられることにより、固形物によるドレーンポートのブロック(すなわち、固形物による吸引の阻害)が防止される。開頭用ドレープでは、流出用ポーチの上部開口のエッジに延性材料(金属ワイヤとプラスチックとの複合材)が設けられることにより、上部開口が閉じてしまうことが防止される。
特許文献2では、下腹部の手術時に利用される流水袋付覆布が開示されている。流水袋付覆布では、流水袋の入口と底部とを仕切ってネットを設けることにより、流水袋に流入する洗浄液等に浮遊している生体組織の小片を容易に捕捉して回収することが可能とされる。また、底部に排水用のホースを取り付けることにより、比較的小さい流水袋で大量の液体の処理が可能とされる。
特許文献3の手術用ドレープでは、底面シートの開口の周囲三方を側壁シートにより囲むことにより、側壁シートと底面シートとの間の空間が血液等を捕集する受水パウチとされる。手術用ドレープでは、側壁シートのエッジ(すなわち、受水パウチの開口縁)に沿ってワイヤが配置されており、当該ワイヤを適宜曲げることにより、受水パウチの開口が閉じてしまうことが防止される。なお、手術用ドレープは、受水パウチ内の液体を外部へと排出する排出口等は設けられていない。
特表2000−517215号公報
実公平3−13298号公報
特開2006−110099号公報
ところで、特許文献1の流水ポーチや特許文献2の流水袋のような医療用パウチは、透明ポリプロピレン等の薄いシート部材により形成されている。このため、医療用パウチに流入した液体が下端部の排液口から排出されることにより排液口近傍における流体の圧力が低下すると、筒状のシート部材の互いに対向する部位が排液口近傍において密着して流路が閉塞されてしまい、医療用パウチ内に流入する液体の排出が阻害される恐れがある。また、上部の受液口と下部の排液口との間に設けられたネット等により捕集された生体組織を医療用パウチから取り出す際にも、シート部材が密着していると取り出しが困難となる上、取り出す者の腕にシート部材がまとわりつくことにより、医療用パウチの内側に付着した血液等が腕に付着してしまう。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、医療用パウチの下部排液口近傍において流路が閉塞されることを防止することにより、下部排液口からの液体の円滑な排出を実現することを目的としている。
請求項1に記載の発明は、手術時における術野からの液体を上部受液口にて受けて下部排液口から排出する医療用パウチであって、第1シート部と、前記第1シート部とほぼ同形状であり、使用前の状態において前記第1シート部に重なるとともに左右方向の両側の側縁が前記第1シート部に接続され、または、前記第1シート部と連続し、使用する際に前記第1シート部から離間することにより上部に術野からの液体を受ける上部受液口が形成される第2シート部と、剛性を有するカップ状であり、上端部が前記第1シート部および前記第2シート部の下部に接合されるとともに下端部に前記液体を排出する下部排液口が設けられたカップ部材とを備える。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の医療用パウチであって、前記第1シート部および前記第2シート部が樹脂シートであり、前記カップ部材が樹脂成型品である。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の医療用パウチであって、前記カップ部材の内側に全周が接合されるとともに前記液体が通過するメッシュ部材または多数の穴が形成されたシート部材をさらに備える。
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の医療用パウチであって、前記使用前の状態において、前記カップ部材の前記上端部における前記左右方向の幅が、前記上部受液口の幅よりも小さく、かつ、前記下部排液口の幅よりも大きい。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の医療用パウチであって、前記カップ部材の前記下端部に、前記下部排液口に連続する略円筒状の導管部が設けられ、前記カップ部材の前記上端部の断面が、短径が前記導管部の直径以下であり、かつ、長径が前記導管部の前記直径よりも大きい略楕円形である。
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の医療用パウチであって、前記下部排液口が、前記液体を吸引する吸引機構に接続される。
請求項7に記載の発明は、手術時に患者を覆うシート状のドレープであって、請求項1ないし6のいずれかに記載の医療用パウチと、前記医療用パウチが固定されるドレープ本体とを備える。
本発明では、下部排液口近傍において流路が閉塞されることを防止することにより、下部排液口からの液体の円滑な排出を実現することができる。また、請求項3の発明では、液体の流れを阻害することなく、術野から摘出された組織を容易に得ることができる。さらに、請求項4の発明では、上部受液口にて受けた液体を下部排液口に確実に集めて排出することができる。請求項5の発明では、使用前の状態において医療用パウチを薄く折り畳むことができる。
図1は、本発明の一の実施の形態に係る医療用パウチ1を示す図であり、図2は、医療用パウチ1を図1中のA−Aの位置にて切断した断面図である。医療用パウチ1は、患者の術野に対して生理食塩水等を連続的あるいは断続的に付与しつつ行われる手術の際に患者を覆うシート状のドレープに設けられ、手術時における術野からの液体(例えば、血液や体液、術野の洗浄に利用された生理食塩水等)を受ける、いわゆる受水袋である。本実施の形態では、膀胱や前立腺等の下腹部の手術(すなわち、泌尿器科手術)の際に利用されるドレープに設けられる医療用パウチ1について説明する。図1および図2では、医療用パウチ1の使用前の状態を示している。
図1および図2に示すように、医療用パウチ1は、ポリエチレン等の透明または半透明の柔軟な樹脂材料により形成されたほぼ同形状の2つのシート部11,12、並びに、2つのシート部11,12のそれぞれの下部に上端部が接合されるカップ部材13を備え、使用前の状態において2つのシート部11,12はほぼ重なっている。以下の説明では、2つのシート部11,12をそれぞれ、「第1シート部11」および「第2シート部12」という。本実施の形態では、第1シート部11と第2シート部12とは個別のシート部材であり、第1シート部11の左右方向(医療用パウチ1を使用する際に左右方向となる方向であり、図1中の左右方向に一致する。)両側の側縁は、第2シート部12の左右方向両側の側縁と接続(例えばヒートシールにより接合)されている。また、第1シート部11の上端縁は、第2シート部12の上端縁と非接合とされる。
図3は、医療用パウチ1の使用時の状態を示す斜視図である。図3に示すように、医療用パウチ1が使用される際には、第1シート部11の上部と第2シート部12の上部とが離間することにより、医療用パウチ1の上部に、術野からの液体を受ける上部受液口21が形成される。カップ部材13は、比較的高い剛性を有するカップ状の樹脂成型品であり、下端部には、医療用パウチ1にて受けられた液体を排出する下部排液口22が設けられる。また、カップ部材13の下端部には、下部排液口22に連続する略円筒状の導管部24が設けられる。
ここでいう「カップ状」とは、上下方向に垂直な断面の形状が略円形である有底円筒状、半球面状や半球面の一部と等しい形状、あるいは、漏斗状等、液体を下部排液口22へと導く側面部(および底面部)を有する様々な形状を意味する。本実施の形態では、カップ部材13は、上下方向に垂直な断面が略楕円形である有底円筒状とされ、カップ部材13の上端部における楕円形の断面の短径は、図2および図3に示すように、導管部24の直径(すなわち、外径)以下とされる。また、カップ部材13の上端部における楕円形の断面の長径は、図3に示すように、導管部24の直径よりも大きくされる。
カップ部材13では、図2に示すように、上下方向に垂直な断面の短径は、上下方向のいずれの位置においても一定であり、長径は、図1および図3に示すように、下部排液口22に近づくに従って小さくなる。また、図1に示すように、使用前の状態における医療用パウチ1では、第1シート部11および第2シート部12の幅が、上部受液口21から下部排液口22に向かっておよそ漸次減少する。したがって、医療用パウチ1では、使用前の状態において、カップ部材13の上端部における左右方向の幅が、上部受液口21の左右方向の幅(正確には、医療用パウチ1の上部において第1シート部11のエッジと第2シート部12のエッジとが接合されていない部位の左右方向の最大幅であり、本実施の形態では、第1シート部11および第2シート部12が最大幅を取る位置における幅)よりも小さく、かつ、下部排液口22の左右方向の幅よりも大きくなる。
図1ないし図3に示すように、医療用パウチ1は、カップ部材13の内側にその全周が接合されるメッシュ部材17をさらに備え、メッシュ部材17は、上部受液口21から下部排液口22へと流れる液体を通過させるとともに当該液体中の固形物を捕捉する。本実施の形態では、メッシュ部材17は、柔軟な樹脂材料により形成される。
また、医療用パウチ1は、第2シート部12の上端部近傍において、左右方向に伸びる弾性部材25をさらに備える。図2に示すように、第2シート部12の上端部近傍の部位は下方に折り返されており、折り返された部位の下端部と当該下端部と対向する部位とがヒートシール等により接合されて2層構造を形成している。弾性部材25は、当該2層構造の間に保持されるとともに、第2シート部12の左右方向の中央部において第2シート部12と接合される。また、弾性部材25は、図1および図3に示すように、第2シート部12の左右方向の両側端から突出しており、弾性部材25の両端部はリング状とされる。以下の説明では、弾性部材25の両端のリング状の部位251を、「リング部251」という。
次に、医療用パウチ1が設けられる手術用のドレープ3について説明する。図4は、ドレープ3を示す図であり、図5.Aは、ドレープ3を図4中のB−Bの位置にて切断して一部を拡大した断面図である。また、図5.Bは、ドレープ3の第2ドレープシート33(後述)近傍を拡大して示す側面図である。図4、図5.Aおよび図5.Bは、使用前の状態のドレープ3を示す。ドレープ3は、泌尿器科手術の際に、膝を屈曲させた開脚姿勢にて仰向けに手術台上に位置する(いわゆる砕石体位を取る)患者を覆うために使用される。
図4、図5.Aおよび図5.Bに示すように、ドレープ3は、患者を覆うシート状のドレープ本体31、および、ドレープ本体31に両面テープ等で固定される医療用パウチ1を備える。ドレープ本体31は、患者のほぼ全身を覆う第1ドレープシート32を備え、第1ドレープシート32には、図4に示すように、患者の手術対象部位である術野を露出させるための開口321、および、開口321近傍から一のエッジに向かって直線状に伸びるスリット322が形成されている。
ドレープ本体31は、また、図5.Aおよび図5.Bに示すように、第1ドレープシート32の下面(すなわち、ドレープ3の使用時に患者に対向する面)に接合されてスリット322を覆う第2ドレープシート33を備える。第2ドレープシート33は、折り目が開口321側(すなわち、図5.B中における右側)となるように2つ折りにされた長方形状の部材であり、第2ドレープシート33の上端部は、図4および図5.Aに示すように、第1ドレープシート32のスリット322の左右両側の部位に、スリット322のほぼ全長に亘って接続される。すなわち、ドレープ本体31では、第1ドレープシート32のスリット322の下方に、第2ドレープシート33によるマチが形成されている。図4に示すように、ドレープ3では、スリット322の開口321側の端部近傍において、医療用パウチ1の上端部がドレープ本体31の第1ドレープシート32に接合されている。
図6は、ドレープ3の使用時の状態を示す図であり、図6ではドレープ3の一部を示す。ドレープ3が使用される際には、ドレープ本体31のスリット322が左右に開かれ、第1ドレープシート32のスリット322の左右両側の部位により、膝を屈曲させた開脚姿勢の患者の両脚が覆われる。このとき、第2ドレープシート33は左右方向に広がり、これにより、広げられたスリット322から患者の体表等が露出することが防止される。また、医療用パウチ1は、患者の両脚の間において開口321の下方に上部受液口21を上方に向けて配置される。
ドレープ3では、医療用パウチ1の第1シート部11の上端が、開口321近傍において第1ドレープシート32の上面(すなわち、患者側とは反対側の面)に固定されており、第2シート部12から左右に突出する弾性部材25の両端のリング部251が、患者の両側の足首よりも先の部位(例えば、足の甲と土踏まずとを囲む部位)にかけられる。これにより、医療用パウチ1の第1シート部11の上部と第2シート部12の上部とが離間して上部受液口21が形成される。なお、弾性部材25に代えて、両端にリング部が設けられない紐状部材が設けられもよい。この場合、当該紐状部材の両端を患者の両側の足首よりも先の部位等に結びつけることにより、医療用パウチ1の上部受液口21が形成される。また、紐状部材の両端部は、患者の両脚の間に位置する施術者の首の後ろにて結ばれてもよい。
施術者は、患者の両脚の間において医療用パウチ1の手前側(すなわち、医療用パウチ1を挟んで開口321の反対側)に腰掛ける等し、この状態で、ドレープ3の開口321から露出する術野に対して生理食塩水等を連続的あるいは断続的に付与しつつ手術が行われる。そして、術野からの液体は、上部受液口21を介して医療用パウチ1に流入し、下方へと向かうに従って断面積が漸次減少する医療用パウチ1の内部空間(すなわち、流路)を通過して下部排液口22(図1ないし図3参照)から排出される。下部排液口22から排出された液体は、導管部24(図1ないし図3参照)に接続されたホース等を介して所定の場所へと導かれて廃棄される。
医療用パウチ1では、下部排液口22からの液体の排出により下部排液口22近傍において負圧が生じる。ここで、下部排液口近傍の部位が柔軟なシート状部材により形成されている医療用パウチを想定すると、このような医療用パウチでは、下部排液口近傍において対向するシート部材が密着してしまい、下部排液口からの液体の排出が阻害されてしまう。
これに対し、本実施の形態に係る医療用パウチ1では、下部排液口22近傍の部位が、剛性を有するカップ部材13とされることにより、医療用パウチ1の使用時に、下部排液口22近傍の形状(すなわち、カップ部材13の形状)が維持されるため、下部排液口22近傍の部位が互いに密着して流路が閉塞されることが防止される。これにより、下部排液口22からの液体の円滑な排出を実現することができ、その結果、術野に対する連続的あるいは断続的な生理食塩水等の液体の付与を伴う手術を円滑に行うことができる。したがって、医療用パウチ1を備えるドレープ3は、術野に対する連続的あるいは断続的な液体の付与を伴う手術に特に適していると言える。
ところで、ドレープ3を利用して手術が行われる際に、術野に対して大量の液体が付与される場合等、医療用パウチ1の下端に設けられた導管部24が、液体を吸引する吸引機構であるポンプ(図示省略)に接続されてもよい。このように、医療用パウチ1の下部排液口22が導管部24を介してポンプに接続されることにより、医療用パウチ1にて受けた液体を迅速に排出することができる。また、下部排液口22がポンプに接続されると、下部排液口22近傍に生じる負圧は大きくなるが、医療用パウチ1では、上述のように、下部排液口22近傍の部位が、比較的高い剛性を有するカップ部材13とされるため、下部排液口22近傍における流路の閉塞が防止され、これにより、下部排液口22からの液体の円滑な排出が実現される。仮に、下部排液口近傍の部位が柔軟なシート状部材により形成されている医療用パウチにおいて、下部排液口にポンプを接続することを想定すると、ポンプによる吸引により、下部排液口近傍において対向するシート部材が密着(あるいは近接)し、密着(あるいは近接)した部位が振動して振動音が発生してしまう。これに対し、本実施の形態に係る医療用パウチ1では、このような振動音の発生も防止することができる。
上述のように、使用前の状態におけるカップ部材13の上端における左右方向の幅は、上部受液口21の左右方向の幅よりも小さく、かつ、下部排液口22の左右方向の幅よりも大きくされるため、医療用パウチ1の使用時に、上部受液口21にて受けた液体を下部排液口22に確実に集めて排出することができる。また、このように、下部排液口22近傍が上部受液口21よりも細くなっている医療用パウチ1では、下部排液口22近傍における負圧が大きくなるため、下部排液口22近傍の部位が比較的高い剛性を有するカップ部材13とされる上記構造が特に適している。
医療用パウチ1では、カップ部材13の内側に、上部受液口21から下部排液口22へと流れる液体を通過させるとともに当該液体中の固形物を捕捉するメッシュ部材17が設けられる。これにより、医療用パウチ1中における液体の流れ、および、下部排液口22からの液体の排出を阻害することなく、術野から摘出されて液体と共に流れ出た病変部分の組織等を容易に得ることができる。また、固形物等による下部排液口22の閉塞を防止することもできるため、下部排液口22からの液体の排出が阻害されることがより確実に防止される。なお、医療用パウチ1では、メッシュ部材17に代えて、多数の微小な穴が形成されたシート部材(いわゆる、パンチングシート)がカップ部材13の内側に設けられてもよい。この場合も、上記と同様に、医療用パウチ1中における液体の流れ、および、下部排液口22からの液体の排出を阻害することなく、術野から摘出されて液体と共に流れ出た病変部分の組織等を容易に得ることができる。
医療用パウチ1では、メッシュ部材17が、上部受液口21よりも幅が小さいカップ部材13の内側に設けられることによりメッシュ部材17の面積を小さくすることができるため、医療用パウチ1の製造コストを低減することができるとともに、メッシュ部材17により捕捉された病変部分の組織等を容易に視認して取り出すことが可能とされる。組織等の取り出しに際しては、カップ部材13の形状が維持されることにより、医療用パウチ1の内側に付着した血液等が施術者の腕に付着することが抑制される。
上述のように、医療用パウチ1では、第1シート部11、第2シート部12およびメッシュ部材17が樹脂シートとされ、カップ部材13が樹脂成型品とされることにより、使用後の医療用パウチ1の廃棄の際に、医療用パウチ1の各構成を分解して分別廃棄する必要がなく、医療用パウチ1の廃棄を容易とすることができる。
医療用パウチ1では、カップ部材13の上端部の断面が、短径が導管部24の直径以下であり、かつ、長径が導管部24の直径よりも大きい略楕円形とされる。このように、カップ部材13の上端部を(少なくとも、短径方向において)薄くすることにより、使用前の状態において、医療用パウチ1およびドレープ3を薄く折り畳むことが可能とされ、医療用パウチ1およびドレープ3の収容等を容易とすることができる。
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
例えば、医療用パウチ1では、異なる大きさの2枚のシート部材が重ね合わされて小さい方のシート部材の両側縁にて2枚のシート部材が接合されることにより、医療用パウチ1の上部が形成されてもよい。この場合、小さい方のシート部材を第1シート部とすると、大きい方のシート部材のうち、小さい方のシート部材と重なる部位が第2シート部となる。また、第1シート部と第2シート部とは必ずしも別部材とされる必要はなく、例えば、1枚のシート部材を2つ折りにして形成された互いに連続する第1シート部と第2シート部とが、互いに対向する側縁を接合することにより筒状とされてもよい。
医療用パウチ1では、カップ部材13の上端部における断面が、例えば、導管部24の直径よりも大きい直径を有する略円形とされた場合であっても、上記実施の形態と同様に、医療用パウチ1の使用時に、下部排液口22近傍の部位が互いに密着して流路が閉塞されることが防止され、下部排液口22からの液体の円滑な排出を実現することができる。また、カップ部材13の上端部における幅は、必ずしも上部受液口21の幅よりも小さくされる必要はなく、例えば、カップ部材13の上端部における幅が上部受液口21におよそ等しくされることにより、使用時の医療用パウチの形状が、上下方向の各位置における断面がほぼ等しい略円筒状とされてもよい。
上記実施の形態に係る医療用パウチ1は、上述のドレープ3とは異なる形状のドレープに固定されて利用されてもよく、ドレープに固定されることなく単体にて利用されてもよい。また、上記医療用パウチを備えるドレープは、泌尿器科手術以外にも、例えば、開頭手術や関節鏡を利用した膝関節の手術に利用されてもよい。いずれの場合も、必要に応じて、弾性部材25の有無や医療用パウチの形状等が適宜変更されてよい。
1 医療用パウチ
3 ドレープ
11 第1シート部
12 第2シート部
13 カップ部材
17 メッシュ部材
21 上部受液口
22 下部排液口
24 導管部
31 ドレープ本体
3 ドレープ
11 第1シート部
12 第2シート部
13 カップ部材
17 メッシュ部材
21 上部受液口
22 下部排液口
24 導管部
31 ドレープ本体
Claims (7)
- 手術時における術野からの液体を上部受液口にて受けて下部排液口から排出する医療用パウチであって、
第1シート部と、
前記第1シート部とほぼ同形状であり、使用前の状態において前記第1シート部に重なるとともに左右方向の両側の側縁が前記第1シート部に接続され、または、前記第1シート部と連続し、使用する際に前記第1シート部から離間することにより上部に術野からの液体を受ける上部受液口が形成される第2シート部と、
剛性を有するカップ状であり、上端部が前記第1シート部および前記第2シート部の下部に接合されるとともに下端部に前記液体を排出する下部排液口が設けられたカップ部材と、
を備えることを特徴とする医療用パウチ。 - 請求項1に記載の医療用パウチであって、
前記第1シート部および前記第2シート部が樹脂シートであり、
前記カップ部材が樹脂成型品であることを特徴とする医療用パウチ。 - 請求項1または2に記載の医療用パウチであって、
前記カップ部材の内側に全周が接合されるとともに前記液体が通過するメッシュ部材または多数の穴が形成されたシート部材をさらに備えることを特徴とする医療用パウチ。 - 請求項1ないし3のいずれかに記載の医療用パウチであって、
前記使用前の状態において、前記カップ部材の前記上端部における前記左右方向の幅が、前記上部受液口の幅よりも小さく、かつ、前記下部排液口の幅よりも大きいことを特徴とする医療用パウチ。 - 請求項4に記載の医療用パウチであって、
前記カップ部材の前記下端部に、前記下部排液口に連続する略円筒状の導管部が設けられ、
前記カップ部材の前記上端部の断面が、短径が前記導管部の直径以下であり、かつ、長径が前記導管部の前記直径よりも大きい略楕円形であることを特徴とする医療用パウチ。 - 請求項1ないし5のいずれかに記載の医療用パウチであって、
前記下部排液口が、前記液体を吸引する吸引機構に接続されることを特徴とする医療用パウチ。 - 手術時に患者を覆うシート状のドレープであって、
請求項1ないし6のいずれかに記載の医療用パウチと、
前記医療用パウチが固定されるドレープ本体と、
を備えることを特徴とするドレープ。
Priority Applications (1)
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US4007741A (en) * | 1975-04-11 | 1977-02-15 | Waldrop Rayburn C | Transurethral resection apron system |
JPS57136307U (ja) * | 1981-02-19 | 1982-08-25 | ||
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-
2007
- 2007-12-25 JP JP2007331527A patent/JP2009153548A/ja active Pending
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