JP2009152537A - 高効率放熱ヒートシンクおよびそれを用いた産業機器、電子機器、コンピューター製品および自動車 - Google Patents

高効率放熱ヒートシンクおよびそれを用いた産業機器、電子機器、コンピューター製品および自動車 Download PDF

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Abstract


【課題】 熱源で集中的に発生する熱を高効率にて外界に放熱することができる高効率放熱ヒートシンクを提供する。
【解決手段】 熱伝導率の高い金属材料からなり、一端において熱源に対接する受熱面を備え、熱源からの熱を伝導する熱伝導路を提供する熱伝導体10と熱伝導率の高い金属材料からなり熱伝導体10の他端において多数立設された放熱フィン30とを備えたヒートシンクに対して、それぞれの放熱フィン30の表面に、高い熱伝導性と高い放熱性とを兼ね備えた性質を持つ高効率熱放射材料をベースとした熱伝導・放熱性塗布膜20を塗布し、熱源200で集中的に発生した熱を放熱フィン30の表面の熱伝導・放熱性塗布膜20から外界に向けて高効率に熱を放射する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、熱源からの熱を伝導する熱伝導路を提供する熱伝導体に立設された多数の放熱フィンを持ち、放熱フィンを介して熱源の熱を効率よく系外に放熱するヒートシンクに関する。また、本発明は、ヒートシンクを搭載する機器・製品であれば特に限定されず、多様な機器や製品に適用できる技術に関する。また、本発明は高効率放熱ヒートシンクを用いた産業機器、電子機器、コンピューター製品および自動車に関する。
現在の電気製品における大きな課題は放熱対策である。電気製品の高性能化に伴い、電子素子部品において電気エネルギーの一部が熱エネルギーに変換され、発熱する現象が見られる。半導体素子などの電子素子部品は熱に弱く、誤動作を防ぐためには放熱対策は重要な課題となっている。放熱対策としては、電子素子部品で集中的に発生する熱を如何に素早く拡散させた上で系外に放出すれば良い。
従来技術では、熱源となるものに対して熱伝導性の高いヒートパイプの受熱面を対接させ、前記熱源からの熱をヒートシンクまで伝導させ、ヒートシンクから熱を系外に拡散させている。
ヒートシンクは、熱伝導率の高い金属、例えば、アルミニウムやステンレスにより形成し、基本的には多数の放熱フィンをベースに立設した構造となっており、その表面積が大きくなるように工夫して放熱フィンが系外の空気と触れる面積を大きくし、放熱フィンと系外の空気との間の熱交換効率を向上させるものである。
従来技術の室外熱交換器および室内熱交換器の放熱フィンとして汎用的に用いられているものは、1枚1枚がアルミニウムなどの熱伝導性の高い金属を薄く延ばした板状の形状をしており、それら板状の放熱フィンを所定間隔(例えば2mmから3mm)を開けて多数枚を並べた構造をしている。
しかしながら、半導体等の電子部品では、更なる高速化の進展等によって益々発熱が大きくなる傾向にあり、従来の構成の冷却装置を用いた場合では、十分な冷却等を行うことができにくくなってきている。特にMPUなどの高発熱電子部品では、その性能を十分に発揮することができなかったり、あるいは熱暴走などを起こし、電子機器に異常が生じる等の問題が生じている。また発熱量の増加に伴ってヒートシンクそのものを相対的に大きくして冷却能力を高める方法も考えられるが、電子機器自体の大きさから、自ずとヒートシンクの大きさや重さに制限を受けるという状況もある。
そこで、従来技術において、ヒートシンクの大きさを大型化することなく放熱フィンの熱交換効率の向上を図る技術として以下のものがある。
例えば、特開2001−326307号公報には、発熱体に対接する受熱面を有し、前記受熱面と反対側に突出する支柱を設け、前記支柱が前記受熱面に平行な面で長手方向と短手方向を有し、前記支柱の側面にピン状フィンを有するヒートシンクであって、前記支柱の前記受熱面に対する垂直断面の形状が前記支柱の前記長手方向の各断面において同一形状であることを特徴とするヒートシンクが開示されている。つまり、特開2001−326307号公報に開示されたヒートシンクは、熱の拡散が球面上に拡がって行く性質に注目し、ヒートシンクの支柱の形状を工夫したものである。
また、例えば、特開平06−151659号公報には、多数の円柱状の放熱ピンを有し、LSIチップを実装するLSIパッケージにおいて、円柱状の放熱ピンの長さを、一方側から他方側に向けて徐々に長くしてあるヒートシンクが開示されている。つまり、特開平06−151659号公報に開示された技術は、ファンによる空冷で放熱を助け、ファンの風下の部分においても外部から吹いてくる風を直接受けることが可能となるように、放熱ピンの高さを一方から他方に向けて徐々に高くしてゆくことにより放熱特性を改善する技術である。
特開2001−326307号公報 特開平06−151659号公報
しかし、従来技術においてはまだ熱交換器の熱交換効率を向上する余地がある。
例えば、特開2001−326307号公報に開示された技術では、熱の拡散が球面状に拡がって行くという前提のもとベースの形状を工夫するものであり全体形状は立体的に形成されている。このようなタワー型ヒートシンクでは全体としての形状が大きくなってしまい、ヒートシンクを取り付ける空間がうまく確保できなかったり、機器全体の筐体の大きさが大きくなってしまったりするおそれがある。
また、特開平06−151659号公報に開示された技術では、ファンの風下の部分においても外部から吹いてくる風を直接受けることが可能となるように円柱状の放熱フィンの高さを工夫するが、ファンの風下にある円柱状の放熱フィンの高さが高くなり、ヒートシンク全体としては立体的になって全体としての形状が大きくなってしまい、ヒートシンクを取り付ける空間がうまく確保できなかったり、機器全体の筐体の大きさが大きくなってしまったりするおそれがある。
上記問題点に鑑み、本発明は、機器の熱源に対して最適な位置にヒートパイプの受熱面を設け、機器の筐体に適した形状を持つヒートシンクを用いつつ、ヒートシンクの大きさを大きくすることなく、熱源で発生した熱を高効率に放熱することができる高効率放熱ヒートシンクを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の第1の高効率放熱ヒートシンクは、
熱伝導率の高い金属材料からなり、一端において熱源に対接する受熱面を備え、前記熱源からの熱を伝導する熱伝導路を提供する熱伝導体と、
熱伝導率の高い金属材料からなり、前記熱伝導体の他端において多数立設された放熱フィンとを備えたヒートシンクにおいて、
それぞれの前記放熱フィンの表面に、高い熱伝導性と高い放熱性とを兼ね備えた性質を持つ熱伝導・放熱性塗布膜を塗布し、前記熱源で集中的に発生した熱を前記放熱フィンの表面の前記熱伝導・放熱性塗布膜から外界に向けて熱を放射するものである。
上記構成により、ヒートシンクの形状などはそのままとし、放熱フィン表面の放熱効率を一気に向上させることができ、系外に放熱することができる。このように放熱フィンに高い熱伝導性と高い放熱性とを兼ね備えた性質を持つ高効率熱放射材料をベースとした熱伝導・放熱性塗布膜を塗布して放熱フィンの放熱効率を向上させるという概念は従来技術にはない画期的な技術である。
なお、本発明のヒートシンクの放熱フィンの形状は特に制限されず、多様な形状のものが可能である。
例えば、放熱フィンを板状のものまたはシート状のものとするとすることが可能であり、また、放熱フィンをピン状のものとすることも可能である。
本発明では、ヒートシンクの放熱フィンの表面には熱伝導・放熱性塗布膜が塗布されており、熱線輻射があるので、ヒートシンクの熱放射が系外に向かいやすいように以下の工夫を施すことも可能である。
ヒートシンクの放熱フィンの形状が、その縦断面において、前記熱伝導体の前記受熱面に近い根元側が太く、前記熱伝導体の前記受熱面に遠い先端側が細くなった山型となっている。
上記構成により、隣接する前記放熱フィンの前記熱伝導・放熱性塗布膜が塗布された表面間で放熱と受熱という形で前記熱のキャッチボールを繰り返すうちに、前記外界に対向する前記放熱フィンの先端側に至り、前記放熱フィンの先端側から前記熱が前記外界に向けて放射され、放熱効率が向上する。
ここで、前記熱伝導・放熱性塗布膜は、アルコキシド化合物の加水分解反応とシラノール脱水縮合反応により生成されるバインダーと、遠赤外線放射性物質の顔料と、溶媒を備えた塗料を塗布・乾燥することにより形成された塗布膜であって、前記アルコキシド化合物の加水分解後、シラノール脱水縮合の進展により形成されるSi−Oネットワークおよび残存するシラノール基により構成される被膜により前記熱伝導性と前記放熱性とを発揮せしめたものであることが好ましい。
上記構成により、膜自体にはSi−Oネットワークが全体を全通しているのでSi−Oネットワークを伝わることにより熱が効率よく運搬され、高い熱伝導率が得られる。さらに、無機鉱物である無機顔料が含まれて固化されているので熱伝導率が落ちることはない。基板が熱伝導率の良い素材であれば、熱が素早く基板全体に拡散し、高効率放熱ヒートシンク全体から熱を系外に放出することができる。
なお、熱伝導・放熱性塗布膜の成分は以下のものとすることができる。
まず、前記アルコキシド化合物の加水分解反応とシラノール脱水縮合反応により生成されるバインダーの第1の構成として、テトラアルコキシシランに対してトリアルコキシシランを、テトラアルコキシシラン:トリアルコキシシランが5対5から0対10の割合で配合することにより、前記アルコキシド化合物の加水分解後のシラノール脱水縮合により生じる塗料中に存在するSi−Oネットワーク素材の形成進行の制御とシラノール基の残存量の制御を行ったものが好ましい。
次に、前記アルコキシド化合物の加水分解反応とシラノール脱水縮合反応により生成されるバインダーの第2の構成として、テトラアルコキシシランに対してトリアルコキシシランとジアルコキシシランを、テトラアルコキシシラン:トリアルコキシシラン:ジアルコキシシランが4.5対4.5対1から7.2対1.8対1の割合で配合し、前記アルコキシド化合物の加水分解後のシラノール脱水縮合により生じる塗料中に存在するSi−Oネットワーク素材の形成進行の制御とシラノール基の残存量の制御を行ったものが好ましい。
上記の熱伝導・放熱性塗布膜用塗料により、塗料中に存在する強靭なSi−Oネットワーク素材の形成とシラノール基の残存量を制御することができ、放熱性、耐熱性、基材への強い付着性、靭性を同時に得ることができる。また、Si−Oネットワーク素材をある程度まで形成しておくことにより膜が形成される過程における収縮率が小さくなり残留応力が小さくなり基材への付着力が向上する。
ここで、高効率放熱ヒートシンクの熱伝導・放熱性塗布膜用塗料のバインダーにおいて塗布前に液中で十分に分子成長を熟成せしめたものを用いることが好ましい。
上記構成により、塗布環境に対して安定でかつ作業性の高いものとすることができ、高効率放熱ヒートシンクのそれぞれの放熱フィンにおいて安定した熱伝導・放熱性塗布膜を得ることができる。
さらに、高効率放熱ヒートシンクの熱伝導・放熱塗布膜用塗料のバインダーにアミノ基、エポキシ基、アクリル基などを備えた反応性変性オルガノシロキサンを加えることが好ましい。
上記構成により、高効率放熱ヒートシンクのそれぞれの放熱フィンの熱伝導・放熱性塗布膜を常温乾燥にて得ることができ、製作の作業性が向上する。
ここで、反応性変性オルガノシロキサンの例として、アミノ基(アミノエチル-アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノエチル-アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノエチル-アミノプロピルメチルメトキシシラン、アミノエチル-アミノプロピルメチルエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン)、エポキシ基(グリドキシプロピルトリメトキシシラン、グリドキシプロピルトリエトキシシラン、グリドキシプロピルメチルメトキシシラン、グリドキシプロピルメチルエトキシシラン)、アクリル基(メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルメトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルエトキシシラン)などがある。
次に、前記熱伝導・放熱性塗布膜を形成する塗料における顔料の第1の構成として、シリカ(SiO2)、コージライトとシリカ(SiO2)、コージライトとアルミナ(Al2O3)、コージライトとシリカ(SiO2)およびアルミナ(Al2O3)の化合物のいずれかを含むものとすることが好ましい。
また、前記熱伝導・放熱性塗布膜を形成する塗料における顔料の第2の構成として、前記第1の顔料に加え、酸化鉄(FeO、Fe2O3、Fe3O4)、二酸化マンガン(MnO2)、酸化コバルト(CoO)、三酸化コバルト(Co2O3)、酸化銅(I)(Cu2O)、酸化銅(II)(CuO)、酸化ニッケル(NiO)、酸化ジルコニウム(ZrO2)またはそれらの化合物のいずれかを含むものとすることが好ましい。
上記熱伝導・放熱性塗布膜用塗料により、これら顔料により遠赤外線放射波長領域において高温領域から低温領域まで効率良い変換を得ることができる。
また、前記熱伝導・放熱性塗布膜を形成する塗料における顔料の構成として、着色顔料となる酸化チタンまたは酸化亜鉛を含有させるとともに、前記酸化チタン粒子または前記酸化亜鉛粒子の周囲に前記遠赤外線放射性物質の顔料をコーティングせしめたものとすることが好ましい。
酸化チタンまたは酸化亜鉛を含有させれば白色に発色するが、熱伝導・放熱性塗布膜の表面積に酸化チタンが表出するので表面積に占める遠赤外線放射顔料が表出する割合が減少することとなり、放射率が低下する。しかし、上記構成により酸化チタン粒子の周囲に遠赤外線放射顔料の化合物によりコーティングしておくことにより白色の着色を確保するとともに放射率を低下させることがなくなる。
次に、前記熱伝導・放熱性塗布膜を形成する塗料における溶媒は、沸点が常温より高い温度のアルコール類であり、前記熱伝導・放熱性塗布膜形成の際に前記溶媒を揮発させることによりポーラス構造を形成せしめるものとすることが好ましい。
上記のように膜中にポーラス構造を作り込むことにより膜全体としてさらに優れた靭性を得ることができる。
なお、本発明の高効率放熱ヒートシンクは多様な製品に適用することができる。
例えば、本発明の高効率放熱ヒートシンクを適用した産業機器を提供することができる。
また、例えば、本発明の高効率放熱ヒートシンクを適用した電子機器を提供することができる。
また、例えば、本発明の高効率放熱ヒートシンクを適用したコンピューター製品を提供することができる。
また、例えば、本発明の高効率放熱ヒートシンクを適用した自動車を提供することができる。
本発明の高効率放熱ヒートシンクによれば、従来のヒートシンクの形状などはそのままとし、放熱フィン表面に熱伝導・放熱性塗布膜を形成することによりその放熱効率を一気に向上させることができ、系外に放熱することができる。つまり、放熱ヒートシンクの形状を問わず適用することができ、かつ、熱伝導・放熱性塗布膜を介してその放熱ヒートシンクの熱伝導効率、放熱効率を向上することができる。
本発明は多様なヒートシンクに用いることができ、産業機器用ヒートシンク、電子機器用ヒートシンク、コンピューター製品向けヒートシンク、自動車向けヒートシンクなど形状や用途に制限はない。
なお、高効率熱伝導・放熱性塗布膜にはSi−Oネットワークが全体を全通しているのでSi−Oネットワークを伝わることにより熱が効率よく運搬され、高い熱伝導率が得られる。さらに、無機鉱物である無機顔料が含まれて固化されているので熱伝導率が落ちることはない。
また、アルコシキシドバインダーの組成を工夫することにより、塗料中に存在する強靭なSi−Oネットワーク素材の形成とシラノール基の残存量を制御することができ、放熱性、耐熱性、基材への強い付着性、靭性を同時に得ることができる。また、Si−Oネットワーク素材をある程度まで形成しておくことにより膜が形成される過程における収縮率が小さくなり残留応力が小さくなり基材への付着力が向上する。
以下、図面を参照しつつ、本発明の高効率放熱ヒートシンクおよびその形成方法の実施例を説明する。ただし、本発明の範囲は以下の実施例に示した具体的な用途、形状、個数などには限定されないことは言うまでもない。
実施例1にかかる本発明の高効率放熱ヒートシンクの例を示す。
図1は、本発明の第1の高効率放熱ヒートシンクの構成例を示す図である。
図1は高効率放熱ヒートシンク100の平面図および正面図を模式的に示す図である。
図1の構成例では、高効率放熱ヒートシンク100は、熱伝導体10、放熱フィン30、熱伝導・放熱性塗布膜20を備えている。なお、熱源200は特に限定されないが、ここでは例えばコンピューターのマイクロプロセッサユニットとする。
熱伝導体11は、熱伝導率の高い金属材料、例えばアルミニウムからなり、一端において熱源200に対接する受熱面11を備え、熱源200からの熱を伝導する熱伝導路12を提供する。
放熱フィン30は、熱伝導率の高い金属材料、例えばアルミニウムからなり、熱伝導体10の他端において多数立設されている。なお、放熱フィン30の形状は特に限定されないが、例えば、板状やシート状のものがある。さらに放熱フィン30の形状としてピン状のものもありえる。
放熱フィン30の表面には、高い熱伝導性と高い放熱性とを兼ね備えた性質を持つ高効率熱放射材料をベースとした熱伝導・放熱性塗布膜20が塗布されている。
この構成例では、放熱フィン30の表面全体に熱伝導・放熱性塗布膜20が形成されている。
この熱伝導・放熱性塗布膜20の組成などについては詳しくは後述する。
実施例1にかかる本発明の第1の高効率放熱ヒートシンクは、熱源200で集中的に発生した熱を熱伝導体10の熱伝導路12を介して放熱フィンの表面から外界に向けて熱を放射する仕組みとなっている。
上記構成の高効率放熱ヒートシンク100では、熱源200で発生した熱は以下のように放熱される。
熱源200で発生した熱は熱伝導体10の受熱面11から熱伝導体10に入り、熱伝導路12を介して拡散し、放熱フィン30に入る。放熱フィン30の表面に塗布されている熱伝導・放熱性塗布膜20に対して熱が伝導される。熱伝導・放熱性塗布膜20の熱は素早く系外に熱が拡散してゆく。
熱伝導・放熱性塗布膜20は後述するように高い放熱性を備えているので、熱伝導・放熱性塗布膜20の表面全体から系外に放出される。
図1(c)は、熱源200からの熱伝導および熱伝導・放熱性塗布膜20からの放熱の様子を模式的に示している。
このように、本発明の高効率放熱ヒートシンク100は熱を効率よく系外に放出できる仕組みとなっている。
次に、熱伝導・放熱性塗布膜20を詳しく説明する。
本発明の熱伝導・放熱性塗布膜20用の塗料は、アルコキシド化合物の加水分解反応とシラノール脱水縮合反応により生成されるバインダーを用いる。バインダーはまずアルコキシド化合物の加水分解によりシラノール基が生成され、その後シラノール脱水縮合反応が進んでSi−Oネットワークが形成されて行く。このシラノール脱水縮合の進展により形成されるSi−Oネットワークおよび残存するシラノール基により構成される被膜により熱伝導性と放熱性とが発揮される。また、顔料が高効率熱放射性物質を含んでおり顔料による放熱性も発揮される。
アルコキシドの加水分解は速やかに促進された方が良いが、その後にシラノールの脱水縮合が進みすぎるおそれに注意する必要がある。塗料の状態でシラノールの脱水縮合が進みすぎると塗布前にSi−Oネットワークが多数形成され、塗布後に乾燥して形成された塗布膜が脆くなったりクラックが入りやすくなったりして基材への付着力が小さくなってしまうという問題が発生するからである。
一方、シラノールの脱水縮合反応が十分ではない場合、つまり、塗料状態においてシラノールリッチの状態では、塗布後に膜が形成されてゆく過程で多くの脱水縮合が進んで行くこととなり、脱水縮合が進むと膜が収縮して行くこととなり収縮率が大きくなってしまい、塗布した膜が剥がれ落ちるという不具合が起こる。
以上から、熱伝導・放熱性塗布膜20を形成する塗料は、アルコキシドの加水分解は完全に終了せしめ、シラノール脱水縮合反応は適切量進めた後に脱水縮合反応を抑止することにより、脱水縮合により生じる塗料中に存在するSi−Oネットワーク素材の形成進行の制御とシラノール基の残存量の制御を行ったものとすることが好ましい。これにより塗布前に適切量のSi−Oネットワーク素材を形成しておき、塗布後に新たに脱水縮合により形成されるSi−Oネットワーク量を少なくして収縮率が大きくなることを抑え、残存するSi−OH基により基材との付着力を確保せしめる。
バインダーの組成の例について述べる。
第1の熱伝導・放熱性塗布膜用塗料のバインダー組成は、アルコキシド化合物からなるバインダーとして、テトラアルコキシシランとトリアルコキシシランを所定割合で混合したものとなっている。
その混合割合は、テトラアルコキシシラン:トリアルコキシシランが5対5から0対10の割合が好ましい。
第2の熱伝導・放熱性塗布膜用塗料のバインダー組成は、アルコキシド化合物からなるバインダーとして、テトラアルコキシシランとトリアルコキシシランとジアルコキシシランを所定割合で混合したものとなっている。
その混合割合は、テトラアルコキシシラン:トリアルコキシシラン:ジアルコキシシランが4.5対4.5対1から7.2対1.8対1の割合が好ましい。
Si−OH官能基を4つ備えたテトラアルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等が挙げられる。
Si−OH官能基を3つ備えたトリアルコキシシランとしては、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルエトキシシラン、トリメチルプロポキシシラン、トリエチルプロポキシシランなどが挙げられる。
Si−OH官能基を2つ備えたジアルコキシシランとしては、ジチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシランなどが挙げられる。
アルコキシド化合物としてこれらを組み合わせて用いる。組み合わせで好ましいのはジメチルメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン及びテトラメトキシシランの組合せ、またはジメチルエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン及びテトラエトキシシランの組合せである。
本発明では、アルコキシド化合物の加水分解後の脱水縮合により生じる塗料中に存在するSi−Oネットワーク素材の形成進行の制御とシラノール基の残存量の制御を行い、熱伝導・放熱性塗布膜20の熱伝導性と放熱性を確保する。
次に、本発明の熱伝導・放熱性塗布膜20が熱伝導性と放熱性を兼ね備えたものとなっていることを説明する。
Si−Oネットワーク素材の形成進行の制御とシラノール基の残存量の制御の原理は以下の通りである。
アルコキシド化合物同士は加水分解によりシラノール基(Si−OH官能基)が生成され、Si−OH官能基の脱水縮合によりSi−Oネットワークの形成が進行してゆく。Si−OH官能基を4つ持つテトラアルコキシシランはSi−OH官能基を多く持つので、脱水縮合を促進させればSi−Oネットワークの形成進行が速く、早期にゲル化する。テトラアルコキシシランのみでバインダーを形成するとほぼ完全にSi−OH官能基が消費され、Si−Oネットワークが形成される。Si−OH官能基を3つ持つトリアルコキシシランもSi−OH官能基を持つので、脱水縮合を促進させればSi−Oネットワークの形成が進行し、ゲル化する。トリアルコキシシランのみでバインダーを形成すると粒子間のSi−OH官能基の存在が均等になるので、ほぼ完全にSi−OH官能基が消費された状態でSi−Oネットワークが形成される。
Si−OH官能基を2つ持つジアルコキシシランもSi−OH官能基を持つので、脱水縮合を促進させればSi−Oネットワークの形成が進行し、ゲル化する。ジアルコキシシランのみでバインダーを形成すると同様にほぼ完全にSi−OH官能基が消費された状態でSi−Oネットワークの形成が形成される。しかし、ジアルコキシシランはSi−OH官能基が2つしかなく、脱水縮合によって直鎖状にSi−Oネットワークが形成されてしまい、堅牢性が小さくなる。
本発明では、Si−Oネットワークによる堅牢な膜形成を目指すだけではなく、Si−Oネットワークの形成を進行させつつもSi−OH官能基をすべては消費させずに残存させるように制御する。残存したSi−OH官能基により金属プレートなどの基材のOH基との間の結合エネルギーにより基材と強力な付着力をもたらす。
つまり、Si−OH官能基を2つ持つアルコキシド化合物、Si−OH官能基を3つ持つアルコキシド化合物、Si−OH官能基を4つ持つアルコキシド化合物を、所定割合で混ぜ合わせると、アルコキシド分子間でSi−OH官能基の数に不均衡があるため、反応する相手となるSi−OH官能基がなく、いわば浮いてしまうSi−OH官能基が多数出てくるので脱水縮合が一気には進まなくなる。
ただし、長期間放置していると、浮いているSi−OH同士の脱水縮合反応が進んでくるので残存するSi−OH官能基の量は漸減して行くが、上記のように2官能のアルコキシド化合物、3官能のアルコキシド化合物、4官能のアルコキシド化合物の割合を調整すれば、当初、脱水縮合は早期に進むもののSi−OH官能基の数が不均衡状態に陥ってからは脱水縮合に急速にブレーキがかかることとなる。
後述するように、良好な付着性、熱伝導性、放熱性を備えた膜が形成される配合について実験を重ねて2官能のアルコキシド化合物、3官能のアルコキシド化合物、4官能のアルコキシド化合物の配合割合を見出した。
ここで、バインダーにおいて塗布前に液中でアルコキシドバインダーの加水分解後のシラノール反応による十分な分子成長を熟成せしめることが好ましい。十分に熟成させて適切量のSi−Oネットワークを得ておくことで塗布環境に対して安定でかつ作業性の高いものとなり、一液性としてより安定した塗料となるからである。
次に、バインダーに対する他の工夫として、また、バインダーにアミノ基、エポキシ基、アクリル基などを備えた反応性変性オルガノシロキサンを加えておくことにより常温乾燥に適したものとする工夫がある。
たとえば、反応性変性オルガノシロキサンの例として、アミノ基(アミノエチル-アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノエチル-アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノエチル-アミノプロピルメチルメトキシシラン、アミノエチル-アミノプロピルメチルエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン)、エポキシ基(グリドキシプロピルトリメトキシシラン、グリドキシプロピルトリエトキシシラン、グリドキシプロピルメチルメトキシシラン、グリドキシプロピルメチルエトキシシラン)、アクリル基(メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルメトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルエトキシシラン)などがある。
以上の成分に調整した熱伝導・放熱性塗布膜用の塗料を用いて形成した、熱伝導・放熱性塗布膜20について、実際に塗料を形成し、種々の性能実験を行った。
まず、熱伝導・放熱性塗布膜20の付着性試験を行い、熱伝導・放熱性塗布膜20が安定して基板上に付着している条件について実験し、次に、熱伝導性試験、放熱性試験を行い、熱伝導・放熱性塗布膜20が良好な熱伝導性、放熱性を備えていることを検証する。
[付着性実験]
付着性実験に用いた熱伝導・放熱性塗布膜用塗料のバインダー組成
実験に用いた熱伝導・放熱性塗布膜用塗料のバインダー組成は、4官能基を備えたテトラアルコキシシランとしてモメンティブマテリアル社製のテトラメトキシシランを用いた。また、3官能基を備えたバインダーのトリアルコキシシランとしてモメンティブマテリアル社製のトリメチルメトキシシランを用いた。また、2官能基を備えたジメトキシシランとしてモメンティブマテリアル社製のジメチルメトキシシランを用いた。テトラメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ジメチルメトキシシランの配合を変えてそれぞれ製作した。
加水分解に用いた水の量は、アルコキシド化合物1モルに対して水0.8〜1.4モルとした。水が0.8モル以下ではSi−OH基の発生が十分でなく膜の硬度が上がらず、1.4モル以上ではSi−OH基が多くなり、シラノールの分子結合が大きくなり、ゲル化が進展し、クラックが生じやすくなるからである。触媒としての酸の量は有機酸、無機酸何れの場合も、加水分解を起こすのに十分な量を用いた。
サンプルのそれぞれに含まれるジメチルメトキシシラン(2官能)、トリメチルメトキシシラン(3官能)、テトラメトキシシラン(4官能)の配合を[表1]に示す。
Figure 2009152537
−熱伝導・放熱性塗布膜を形成する基材
ブラスト処理を行ったアルミプレートを用いた。
−付着性実験の手法
付着性実験は、JIS−K5600−5−6の手法により碁盤目テストを行った。実験は3回行った。ブラスト処理を行ったアルミプレートに対する付着実験結果を[表2]に示す。
Figure 2009152537
注1:その他のアルコキシドとしてエトキシ基、フェニル基もあるが、エトキシ基はメトキシ基と反応スピードの違いなので省略し、フェニルは硬度が劣るので省略し、メチル基のみでテストを実施した。
注2:反応はアルコキシド1モルに対して水2.5〜4.5モル、望ましくは3.3モル、酸の量を十分入れ、顔料比率70%とし、膜厚を25μ±3μにして実施。
注3:分散溶媒はエタノール、イソプロピルアルコールを配合した物を使用した。
注4:分散は0.7mmのガラスビーズを使用した。分散後粒度はD50で0.35ミクロン。
注5:焼成条件は180℃で20分。基板はアルコール脱脂のみのアルミ板を使用した。試験片は7.5mmw×15.0mml×1.0mmtを各3枚。(評価は全数クリアー)
注6:塗布方法はスプレーコート。
注7:膜厚は15μ〜20μ、測定方法はマイクロメーター。
上記付着性実験から、テトラアルコキシシランとトリアルコキシシランを混合したバインダーである配合1から配合3の実験結果より、混合割合は配合1から配合2の混合割合が良いことが実証できた。つまり、テトラアルコキシシラン:トリアルコキシシランが5対5から0対10の割合が好ましい。
また、上記付着性実験から、テトラアルコキシシランとトリアルコキシシランとジアルコキシシランを混合したバインダーである配合4から配合9の実験結果より、混合割合は配合4から配合5の混合割合が良いことが実証できた。つまり配合6のように3官能基の割合が減ると付着性が劣り、また、配合7から配合9のように2官能基の割合が増えても付着性が劣る。つまり、テトラアルコキシシラン:トリアルコキシシラン:ジアルコキシシランが4.5対4.5対1から7.2対1.8対1の割合が好ましい。
以上、本発明の熱伝導・放熱性塗布膜20用塗料のバインダーの組成を上記の割合となるように工夫すれば、熱伝導・放熱性塗布膜20の付着性が大きくなるように、Si−Oネットワークと残存するSi−OH基の量を制御できる。
[熱伝導試験]
熱伝導・放熱性塗布膜20において、高い熱伝導率が得られていることを確認した。
−熱伝導試験に用いた塗料のバインダー組成
熱伝導・放熱性塗布膜20用塗料のバインダー組成は、付着性実験に用いた塗料のバインダー組成と同じものとした。
−熱伝導・放熱性塗布膜20を形成する基板
アルミブラスト処理を行ったアルミプレート(150mm×75mm×1.0mm)を用いた。
−熱伝導性試験の手法
アルミプレートの半分に熱伝導・放熱性塗布膜20を形成し、残り半分は熱伝導・放熱性塗布膜20は形成せずアルミプレートが剥き出しのままとする。アルミプレートの裏面から加熱し、アルミプレートの表面の温度分布を測定した。
本発明の熱伝導・放熱性塗布膜では、Si−Oネットワークが膜全体を全通しているので熱伝導率が高く、ポーラス構造にかかわらずコージライト、アルミナ、シリカ、ジルコニアという無機鉱物である無機顔料が含まれて固化されているので熱伝導率が高い。実際に熱伝導・放熱性塗布膜2の試料片を用いて熱伝導率を計測したところ、2W/mK以上の熱伝導率が得られていた。
[放熱性試験]
次に、放熱膜としての機能、つまり、発熱体から受けた熱エネルギーの遠赤外線エネルギーへの変換効率について検証する。本発明の熱伝導・放熱性塗布膜用塗料において、含有されている顔料は形成した膜において遠赤外線放射機能を与えるものである。それゆえに顔料の配合が重要である。
高い熱放射率を実現するためには、熱線波長領域の全範囲にわたって、放射率が100%に近く、さらに放射輝度が当該温度における黒体輻射に近い放射スペクトルを持つこと必要がある。
第1の顔料として、シリカ(SiO2)、マグネシア(MgO2)、コージライトとシリカ(SiO2)、コージライトとアルミナ(Al2O3)、コージライトとシリカ(SiO2)およびアルミナ(Al2O3)の化合物のいずれかを含むものとする。これらは、熱拡散性が高く放熱性を有する上、熱膨張率が5×10−6〜10.5×10−6であり、比較的大きいので、顔料として含有させてシート状に成形しても、膜も金属の挙動と同様な挙動をする。それゆえ、膜中に引っ張り応力が発生せず、高温域でも安定した放熱性が得られる。なお、カーボンを一定量以上入れることにより容易に導電性が得られる。特に450℃までの大気中、または高温真空炉、或いは不活性ガス等の雰囲気炉中で従来不可能とされていたカーボンの面状発熱体が使用可能となる。
上記の第1の顔料に対して、以下の第2の顔料を加える工夫も好ましい。第2の顔料は、酸化鉄(FeO、Fe2O3、Fe3O4)、二酸化マンガン(MnO2)、酸化コバルト(CoO)、三酸化コバルト(Co2O3)、酸化銅(I)(Cu2O)、酸化銅(II)(CuO)、酸化ニッケル(NiO)、酸化ジルコニウム(ZrO2)またはそれらの化合物のいずれかを含むものである。
なお、顔料の粒度は、膜の平滑性や綴密性、強度を考慮して、顔料の粒度は溶媒分散後で平均粒度で0.5μ以下が望ましい。
アルコキシドと顔料の割合は、15〜45体積%が妥当である。15%以下では膜の靭性が低下し堅牢さが失われる。45%を超えると、脱水縮合による乾燥収縮量が多く、高温下でクラックが発生しやすく、所望の放熱性が得がたい。
膜の厚みは、基材や発熱体と膜が強固に付着し、且つ、両者の熱膨張差が非常に近い場合でも、膜が厚くなりすぎると、クラックが発生する。それは、Si−OHが脱水縮合するときに起こる収縮現象が原因である。膜厚は、バインダーの含有量にもよるが、30μ以下が望ましい。特にアルコキシド化合物の脱水縮合物の全固形物(即ちSi−OHから生じるSiO2と混合したときの無機顔料成分の合計)にしめる割合が45体積%の場合、800℃でクラックの発生を防ぐ為には10μ前後が好ましい。膜厚が30μを超えると、膜が脆くなり、長時間の使用に耐えられなくなる。そのため、アルコキシド化合物の脱水縮合物の割合は30体積%以下が望ましい。
サンプルとして顔料を[表3]のように配合した熱伝導・放熱性塗布膜用塗料2を作製し、遠赤外線放射実験を行った。
焼成条件は180℃で20分間焼き付けた。
膜厚はマイクロメーターの測定により20μ〜26μのものが焼成できた。
測定は遠赤外線応用研究会によった。
測定温度は60℃とした。
測定機種はJIR−E500を用いた。
測定条件は、分解能16cm−1、積算回数200回
検知器はMCTである。
Figure 2009152537
本発明の第1の顔料である、シリカ(SiO2)、マグネシア(MgO2)、アルミナ(Al2O3)、マグネシア(MgO2)のうち、熱伝導・放熱性塗布膜2ではシリカ(SiO2)、アルミナ(Al2O3)、マグネシア(MgO2)とした。酸化チタンは着色顔料として配合し、塗料全体の色を白色に着色した。バインダーは3官能基を備えたトリメチルメトキシシランと4官能基を備えたテトラメトキシシランを配合した。
上記構成の組成を持つ熱伝導・放熱性塗布膜を用いて放射率と放射輝度測定を行った。
図2は熱伝導・放熱性塗布膜の放射率である。
図3は熱伝導・放熱性塗布膜の放射輝度スペクトルである。
放射輝度は、540.06kcal/m2・hrであった。
図3に見るように、低温の波長領域から高温の波長領域まで良好な放射輝度スペクトルが得られており、放熱性は、4μ〜24μの波長域での放射率は85%以上の放射率を有することが分かった。高い遠赤外線変換効率が得られていることが実証できた。
[耐熱性試験]
熱伝導・放熱性塗布膜を800℃に熱し、水で急冷却するという処理を繰り返して、クラックが入るか否かを試験した。
加熱はバーナーで800℃まで加熱した。冷却は冷水にて急速に冷却した。この加熱・冷却を5回繰り返した。
結果を[表4]に示す。
Figure 2009152537
[表面硬度試験]
本発明の熱伝導・放熱性塗布膜の耐摩耗性を調べるために熱伝導・放熱性塗布膜を用いて表面硬度テストも行った。
硬度テストの方法は、JIS−K−5−4に準じた。
実験にはアルミプレートに焼成したものを用いた。
表面硬度テストの結果を[表5]に示す。
Figure 2009152537
なお、上記において、アルコキシド化合物と顔料の割合は、15〜45体積%が妥当であると指摘したが、実験にて実証した。バインダーであるアルコキシド化合物は熱伝導・放熱性塗布膜用塗料2と同様、トリメチルメトキシシランとテトラメトキシシランの混合とし、顔料の体積%を変えたサンプルを製作し、表面硬度テストを行うことにより妥当な割合を検証した。
Figure 2009152537
注1:アルコキシド化合物は代表例としてトリメチルメトキシシラン66.7重量%、テトラメトキシシラン33.5重量%、ジメチルメトキシシラン4,8重量%でテスト。
注2:各反応条件、分散条件、縮合脱水条件、膜厚、基材は前記テストに準じる。
注3:使用顔料は平均1次粒子径0.15μのアルミナ(Al2O3)、平均1次粒子径0.5μのカオリン、10〜20nのシリカ(SiO2)をそれぞれ30体積%、65体積%、5体積%配合したものを使用した。
注4:分散溶媒はエタノール、イソプロピルアルコールを配合した物を使用した。
注5:分散は0.7ミリ径のガラスビーズを用いたビーズミルで1時間実施した。その時の平均粒皮は0.35μであった。
注6:○は硬度7H以上、曲げ20R可、碁盤目テスト問題なし、△は硬度7Hまで、碁盤目テスト間題なし、Xは、膜が脆くクラック発生。
以上、アルコキシド化合物と顔料の割合は15〜45体積%が妥当であると実証できた。
[耐腐食性試験]
本発明の熱伝導・放熱性塗布膜の耐腐食性も調べるために熱伝導・放熱性塗布膜を用いて塩水噴霧試験と水浸試験も行った。
塩水噴霧試験の方法は、JIS−K5600−7−1に準じた。
測定はステンレスプレートのものを用いた。
塩水噴霧の放置時間は500時間とした。
塩水噴霧試験の結果を[表7]に示す。
Figure 2009152537
水浸試験の方法は、JIS−K5600−6−2に準じた。
測定はアルミプレートのものを用いた。
水浸の放置時間は500時間とした。
水浸試験の結果を[表8]に示す。
Figure 2009152537
以上、塩水噴霧試験と水浸試験の結果から、本発明の熱伝導・放熱性塗布膜の耐腐食性が大きいことが実証できた。
以上、実施例1にかかる本発明の熱伝導・放熱性塗布膜および熱伝導・放熱性塗布膜により塗布・形成した熱伝導・放熱性塗布膜は、バインダーの付着力が大きく、顔料も遠赤外線放射効率が高く、表面硬度が大きく、耐腐食性、耐熱性に優れたものである。また、本発明の熱伝導・放熱性塗布膜用塗料は1液性でありながらアルコキシド系バインダーの脱水縮合反応を制御することがき、ポットライフが長くかつ取り扱いが容易な1液性塗料として提供できる。
放熱膜用塗料の顔料における着色の制御について述べる。
第1の工夫は、放熱率を低下させることなく着色を白色とするもので、着色顔料として酸化チタンを含有させるとともに、酸化チタン粒子の周囲に遠赤外線放射性物質の顔料をコーティングせしめたことを特徴とするものである。
熱伝導・放熱性塗布膜用塗料の顔料粒子は塗布膜の形成段階において、一部が表面上に表出する。遠赤外線放射性物質である顔料は熱源から受けた熱エネルギーを遠赤外線エネルギーに変換して放射する。
ここで、形成される熱伝導・放熱性塗布膜が製品の筐体など目に触れる箇所である場合などにおいては、塗料の色が見た目にきれいな色となるよう要求がある。そこで、塗料を綺麗に発色させるため着色用の顔料を混合させるニーズがある。この場合、着色用に配合された酸化チタンや酸化亜鉛などの顔料粒子が、遠赤外線への変換効率に寄与するものでなければ熱伝導・放熱性塗布膜の放熱機能を低下させる要因となりうる。
実施例1の遠赤外線放射実験で製作した熱伝導・放熱性塗布膜用塗料2に用いられている酸化チタン(石原産業製 A−100)は、特に表面に何もコーティングが施されていないものであった。図4は、熱伝導・放熱性塗布膜用塗料2を用いて形成した熱伝導・放熱性塗布膜の表面の様子を模式的に拡大して示した図である。顔料粒子を模式的に大きく示している。図4に見るように、熱伝導・放熱性塗布膜の表面には遠赤外線放射性物質である顔料とともに酸化チタン粒子が表出している。この酸化チタン粒子が表出している部分は遠赤外線放射機能を発揮しないので遠赤外線放射効率が低下することとなる。実際、図2、図3に見るように、高温領域(5〜8μm)においてスペクトルが低下している部分が見られる。
実施例2にかかる本発明の熱伝導・放熱性塗布膜用塗料は、着色顔料として酸化チタンを含有させるとともに、酸化チタン粒子の周囲に遠赤外線放射性物質の顔料をコーティングせしめている。後述する熱伝導・放熱性塗布膜用塗料3に用いられている酸化チタン(石原産業製 R−95)は、表面に粒度の細かいシリカがコーティングされているものである。
図5は、熱伝導・放熱性塗布膜用塗料3を用いて形成した熱伝導・放熱性塗布膜の表面の様子を模式的に拡大して示した図である。熱伝導・放熱性塗布膜用塗料3においてその表面に酸化チタン粒子が表出している部分からもその酸化チタン粒子の表面にコーティングされた遠赤外線放射性顔料の働きにより遠赤外線放射機能が発揮されることとなる。なお、酸化チタン粒子の表面にコーティングするためにコーティングする遠赤外線放射性顔料は酸化チタンの粒度よりも十分に細かい粒度とする必要がある。つまり、着色用の顔料が酸化チタンのコーティング処理をしているか否か以外の諸条件は実施例1とまったく同じ条件にて実験した。
つまり、焼成条件は180℃で20分間の焼き付け、膜厚は20μ〜26μ、測定温度は60℃、測定機種はJIR−E500、測定条件は、分解能16cm−1、積算回数200回、検知器はMCTである。
サンプルとして顔料を[表9]のように配合した熱伝導・放熱性塗布膜用塗料3を作製し、遠赤外線放射実験を行った。
Figure 2009152537
遠赤外線放射顔料としては、本発明の第1の顔料である、シリカ(SiO2)、マグネシア(MgO2)、コージライトとシリカ(SiO2)、コージライトとアルミナ(Al2O3)、コージライトとシリカ(SiO2)およびアルミナ(Al2O3)の化合物のいずれかを含む第1の顔料のうち、シリカ(SiO2)、アルミナ(Al2O3)、マグネシア(MgO2)を顔料とした。
着色用顔料としては、表面に粒度の細かいシリカがコーティングされている酸化チタン(石原産業製 R−95)を用いている。
バインダーは3官能基を備えたトリメチルメトキシシランと4官能基を備えたテトラメトキシシランを配合した。
上記構成の組成を持つ熱伝導・放熱性塗布膜を用いて放射線測定を行った。
図6は熱伝導・放熱性塗布膜を用いた放射線測定結果である。
図7は熱伝導・放熱性塗布膜が発する放射スペクトルである。
図2、図3と、図6、図7を比べるとあきらかに、高温領域(5〜8μm)においてスペクトルが改善されている部分が見られる。
このスペクトル改善は、酸化チタンの表面のシリカのコーティングの有無によりもたらされているので、着色用の顔料を配合する場合、当該着色用の顔料の表面に遠赤外線放射顔料をコーティングせしめることにより、熱伝導・放熱性塗布膜において遠赤外線放射機能が改善されることが実証できた。
放熱膜用塗料の顔料における着色の第2の工夫について述べる。
第2の着色の工夫は、顔料を遠赤外線放射性物質を100nm以下の粒径を有する顔料のみとする工夫である。
バインダーは実施例1に示したものと同様で良い。ここで顔料が100nm以下の粒径を有する顔料のみとなれば、バインダー、顔料とも光を遮ったり散乱したりする要素をなくすことができ、塗布乾燥により形成される膜が透明となる。
発明者は、実際に、顔料を100nm以下の粒径を有する遠赤外線放射顔料のみとする塗料を製作し、塗布乾燥することにより実際に透明性の放熱膜を得ることに成功している。
透明性の放熱膜を得ることにより、例えば、熱反射率の高い金属基体と組み合わせることにより直射日光を反射・散乱することで温度上昇を抑制することができる。
実施例4にかかる熱伝導・放熱性塗布膜用の塗料は、遠赤外線放射顔料として、スペクトル波長領域において高温領域から低温領域まで効率良い変換を得るため、低温領域にて放射能率が高い第1の遠赤外線顔料に加え、特に高温領域にて放射能率が高い第2の遠赤外線顔料を添加したものである。
第1の顔料が、シリカ(SiO2)、マグネシア(MgO2)、コージライトとシリカ(SiO2)、コージライトとアルミナ(Al2O3)、コージライトとシリカ(SiO2)およびアルミナ(Al2O3)の化合物のいずれかを含む顔料である。
第2の顔料が、酸化鉄(FeO、Fe2O3、Fe3O4)、二酸化マンガン(MnO2)、酸化コバルト(CoO)、三酸化コバルト(Co2O3)、酸化銅(I)(Cu2O)、酸化銅(II)(CuO)の少なくとも一つの単体またはそれらの化合物を含む顔料である。
このように、低温領域にて放射能率が高い第1の遠赤外線顔料に加え、特に高温領域にて放射能率が高い第2の遠赤外線顔料を添加することにより、スペクトル波長領域において高温領域から低温領域まで効率良い変換効率を達成することができる。
実施例5の高効率放熱ヒートシンクは、放熱フィンの形状に工夫を加えたものである。放熱フィンの縦断面において、熱伝導体の受熱面に近い根元側が太く、熱伝導体の前記受熱面に遠い先端側が細くなった山型となっているものである。
このような放熱フィンの形状の工夫により、隣接する放熱フィンの熱伝導・放熱性塗布膜が塗布された表面間で放熱と受熱という形で熱のキャッチボールを繰り返すうちに、外界に対向する放熱フィンの先端側に至り、放熱フィンの先端側から熱が外界に向けて放射されるものである。
図8は、実施例5にかかる高効率放熱ヒートシンクの構成例を模式的に示す図である。
図8(a)は高効率放熱ヒートシンクの構成例を模式的に示す正面図、側面図である。図中、上方に向かうほど厚さが細くなっている。
図8(b)は放熱フィン30の先端付近の拡大図である。
放熱フィン30の表面には、実施例1と同様、高い熱伝導性と高い放熱性とを兼ね備えた性質を持つ高効率熱放射材料をベースとした熱伝導・放熱性塗布膜20が塗布されている。この構成例では、放熱フィン30の表面全体に熱伝導・放熱性塗布膜20が形成されている。
この熱伝導・放熱性塗布膜20の組成などについては実施例1と同様で良い。
実施例5にかかる高効率放熱ヒートシンクは、熱源200で集中的に発生した熱を熱伝導体10の熱伝導路12を介して放熱フィン30に伝え、放熱フィン30の先端付近から外界に向けて熱を放射する仕組みとなっている。
上記構成の高効率放熱ヒートシンク100では、熱源200で発生した熱は以下のように放熱される。
熱源200で発生した熱は熱伝導体10の受熱面11から熱伝導体10に入り、熱伝導路12を介して拡散し、放熱フィン30に入る。放熱フィン30の表面に塗布されている熱伝導・放熱性塗布膜20に対して熱が伝導される。熱伝導・放熱性塗布膜20の熱は素早く系外に熱が拡散してゆく。その中で、一部の熱は隣接し合う放熱フィン30の表面の間をキャッチボールのように受け渡されつつ先端まで移動し、放熱フィン30の先端付近から外界に向けて熱を放射する仕組みとなっている。
図8(c)は、熱源から伝わった熱が放熱フィン間をキャッチボールされながら先端付近から系外に放熱される様子を模式的に示している。
このように、本発明の高効率放熱ヒートシンク100は熱を効率よく系外に放出できる仕組みとなっている。
本発明の高効率放熱ヒートシンクは多様なものに適用できる。
例えば、本発明の高効率放熱ヒートシンクを適用した産業機器を提供することができる。
また、例えば、本発明の高効率放熱ヒートシンクを適用した電子機器を提供することができる。
また、例えば、本発明の高効率放熱ヒートシンクを適用したコンピューター製品を提供することができる。
また、例えば、本発明の高効率放熱ヒートシンクを適用した自動車を提供することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態を図示して説明してきたが、本発明は、熱エネルギーを遠赤外線エネルギーに変換する放熱膜に広く適用することができる。
本発明の技術的範囲を逸脱することなく種々の変更が可能であることは理解されるであろう。
本発明の第1の高効率放熱ヒートシンクの構成例を示す図 熱伝導・放熱性塗布膜を用いた放射線測定結果を示す図 熱伝導・放熱性塗布膜が発する放射スペクトルを示す図 熱伝導・放熱性塗布膜を用いて形成した熱伝導・放熱性塗布膜の表面の様子を模式的に拡大して示した図 熱伝導・放熱性塗布膜を用いて形成した熱伝導・放熱性塗布膜の表面の様子を模式的に拡大して示した図 熱伝導・放熱性塗布膜を用いた放射線測定結果を示す図 熱伝導・放熱性塗布膜が発する放射スペクトルを示す図 本発明の実施例4の高効率放熱ヒートシンクの構成例を示す図
符号の説明
10 熱伝導体
20 熱伝導・放熱性塗布膜
30 放熱フィン
100 高効率放熱ヒートシンク
200 熱源

Claims (19)

  1. 熱伝導率の高い金属材料からなり、一端において熱源に対接する受熱面を備え、前記熱源からの熱を伝導する熱伝導路を提供する熱伝導体と、
    熱伝導率の高い金属材料からなり、前記熱伝導体の他端において多数立設された放熱フィンとを備えたヒートシンクにおいて、
    それぞれの前記放熱フィンの表面に高い熱伝導性と高い放熱性とを兼ね備えた性質を持つ熱伝導・放熱性塗布膜を塗布し、
    前記熱源で集中的に発生した熱を前記放熱フィンの表面の前記熱伝導・放熱性塗布膜から外界に向けて熱を放射する高効率放熱ヒートシンク。
  2. 前記熱伝導・放熱性塗布膜が耐食性を備えたものとし、前記熱伝導・放熱性塗布膜に対して、前記放熱フィンの表面を腐食から保護するコーティング膜としての役割と、前記放熱フィンの表面から熱を伝導・放熱させる放熱膜としての役割を兼務せしめたことを特徴とする請求項1に記載の高効率放熱ヒートシンク。
  3. 前記放熱フィンが板状またはシート状である請求項1または2に記載の高効率放熱ヒートシンク。
  4. 前記放熱フィンがピン状である請求項1または2に記載の高効率放熱ヒートシンク。
  5. 前記放熱フィンの形状が、その縦断面において、前記熱伝導体の前記受熱面に近い根元側が太く、前記熱伝導体の前記受熱面に遠い先端側が細くなった山型となっており、
    隣接する前記放熱フィンの前記熱伝導・放熱性塗布膜が塗布された表面間で放熱と受熱という形で前記熱のキャッチボールを繰り返すうちに、前記外界に対向する前記放熱フィンの先端側に至り、前記放熱フィンの先端側から前記熱が前記外界に向けて放射される請求項1または2に記載の高効率放熱ヒートシンク。
  6. 前記熱伝導・放熱性塗布膜が、アルコキシド化合物の加水分解反応とシラノール脱水縮合反応により生成されるバインダーと、遠赤外線放射性物質の顔料と、溶媒を備えた塗料を塗布・乾燥することにより形成された塗布膜であって、前記アルコキシド化合物の加水分解後、シラノール脱水縮合の進展により形成されるSi−Oネットワークおよび残存するシラノール基により構成される被膜により前記熱伝導性と前記放熱性とを発揮せしめたものであることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の高効率放熱ヒートシンク。
  7. 前記アルコキシド化合物の加水分解反応とシラノール脱水縮合反応により生成されるバインダーとして、テトラアルコキシシランに対してトリアルコキシシランを、テトラアルコキシシラン:トリアルコキシシランが5対5から0対10の割合で配合することにより、前記アルコキシド化合物の加水分解後のシラノール脱水縮合により生じる塗料中に存在するSi−Oネットワーク素材の形成進行の制御とシラノール基の残存量の制御を行うことを特徴とする請求項6に記載の高効率放熱ヒートシンク。
  8. 前記アルコキシド化合物の加水分解反応とシラノール脱水縮合反応により生成されるバインダーバインダーとして、テトラアルコキシシランに対してトリアルコキシシランとジアルコキシシランを、テトラアルコキシシラン:トリアルコキシシラン:ジアルコキシシランが4.5対4.5対1から7.2対1.8対1の割合で配合し、前記アルコキシド化合物の加水分解後のシラノール脱水縮合により生じる塗料中に存在するSi−Oネットワーク素材の形成進行の制御とシラノール基の残存量の制御を行うことを特徴とする請求項6または7に記載の高効率放熱ヒートシンク。
  9. 前記熱伝導・放熱性塗布膜を形成する塗料として、前記バインダーにおいて塗布前に液中で十分に分子成長を熟成せしめることにより、塗布環境に対して安定でかつ作業性の高い塗料を用いたものとした請求項6から8のいずれか1項に記載の高効率放熱ヒートシンク。
  10. 前記熱伝導・放熱性塗布膜を形成する塗料として、前記バインダーにアミノ基、エポキシ基、アクリル基などを備えた反応性変性オルガノシロキサンを加えることにより常温乾燥を可能とせしめた塗料を用いたものとした請求項6から9のいずれか1項に記載の高効率放熱ヒートシンク。
  11. 前記熱伝導・放熱性塗布膜を形成する塗料における顔料が、シリカ(SiO2)、マグネシア(MgO2)、コージライトとシリカ(SiO2)、コージライトとアルミナ(Al2O3)、コージライトとシリカ(SiO2)およびアルミナ(Al2O3)の化合物のいずれかを含む第1の顔料を備えた請求項6から10のいずれか1項に記載の高効率放熱ヒートシンク。
  12. 前記熱伝導・放熱性塗布膜を形成する塗料における顔料が、前記第1の顔料に加え、酸化鉄(FeO、Fe2O3、Fe3O4)、二酸化マンガン(MnO2)、酸化コバルト(CoO)、三酸化コバルト(Co2O3)、酸化銅(I)(Cu2O)、酸化銅(II)(CuO)、酸化ニッケル(NiO)、酸化ジルコニウム(ZrO2)またはそれらの化合物のいずれかを含む第2の顔料を備えた請求項11に記載の熱伝導・放熱性塗布膜用塗料。
  13. 前記熱伝導・放熱性塗布膜を形成する塗料における顔料が、着色顔料となる酸化チタンまたは酸化亜鉛を含有させるとともに、前記酸化チタン粒子または前記酸化亜鉛粒子の周囲に前記遠赤外線放射性物質の顔料をコーティングせしめたことを特徴とする請求項6から12のいずれか1項に記載の高効率放熱ヒートシンク。
  14. 前記遠赤外線放射性物質を100nm以下の粒径を有する顔料のみとし、塗布乾燥により形成される膜を透明としたことを特徴とする請求項6から13のいずれか1項に記載の放熱膜用塗料。
  15. 前記熱伝導・放熱性塗布膜を形成する塗料における溶媒が、沸点が常温より高い温度のアルコール類であり、前記熱伝導・放熱性塗布膜形成の際に前記溶媒を揮発させることによりポーラス構造を形成せしめることを特徴とする請求項6から14のいずれか1項に記載の高効率放熱ヒートシンク。
  16. 請求項1から15のいずれか1項に記載の高効率放熱ヒートシンクを用いた産業機器。
  17. 請求項1から15のいずれか1項に記載の高効率放熱ヒートシンクを用いた電子機器。
  18. 請求項1から15のいずれか1項に記載の高効率放熱ヒートシンクを用いたコンピューター製品。
  19. 請求項1から15のいずれか1項に記載の高効率放熱ヒートシンクを用いた自動車。
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