JP2009067998A - 放熱膜用塗料および放熱膜の形成方法 - Google Patents

放熱膜用塗料および放熱膜の形成方法 Download PDF

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Abstract


【課題】 熱源の熱エネルギーを遠赤外線に変換して放射・放熱する機能を備えた放熱膜を形成し、かつ、耐熱性、付着性、靭性および熱伝導に優れた放熱膜をえることができる放熱膜用塗料を提供する。
【解決手段】 アルコキシド化合物からなるバインダーと、遠赤外線放射性物質の顔料と、溶媒を備えた放熱膜用塗料において、前記アルコキシド化合物からなるバインダーとして、テトラアルコキシシランに対してトリアルコキシシランを、テトラアルコキシシラン:トリアルコキシシランが5対5から2対8の割合で配合し、前記アルコキシド化合物の脱水縮合により生じるSi−Oネットワークの形成進行を制御しつつSi−OH基を残存させて塗布する基材との付着力を向上せしめたことを特徴とする。顔料は例えばシリカ(SiO2)、アルミナ(Al2O3)、マグネシア(MgO2)の少なくとも一つの単体またはそれらの化合物である。
【選択図】 図2

Description

本発明の放熱膜用塗料は、熱源の熱エネルギーを遠赤外線に変換して放射・放熱する機能を備えた放熱膜を形成する放熱膜用塗料に関する。従来の放熱板などの機械的構造物とは異なり、塗料を塗布し乾燥させて成膜せしめて形成する機能性膜であり、形成する対象物体は特に限定されず、多様な製品の筐体壁面や基板上などに形成することができる。
従来技術において遠赤外線放射用塗料が知られている。遠赤外線放射用塗料とは、原則として、遠赤外線ヒーターのような発熱体の表面に塗布され、発熱体の発熱効率を高めるための塗料として知られている。
従来技術における遠赤外線放射用塗料は、顔料として遠赤外線放射物質である酸化アルミニウムやチタン、珪素、ジルコニウム、鉄、銅、コバルト、ニッケル、マンガン、クロム等の酸化物をバインダーに混合させたものが多い。バインダーとしては、シリコーン樹脂等の有機バインダーが用いられている。
バインダーとしてアルコキシシランを使用する遠赤外線放射用塗料も知られている。
例えば、特開昭63−207868号公報(特許文献1)には、アルキルシリケート又はアルキルシリケートと金属アルコキシドとの混合物にアルミナ粉末やシリカ粉末を添加した組成物が記載され、この組成物はヒーターの遠赤外線放射物層の形成に役立つことが記載されている。
また、例えば、特開2004−359811号公報(特許文献2)には、アルコキシシランの溶液、コロイダルシリカの水分散液、酸化珪素粉末、酸化アルミニウム粉末及びカオリン粉末との混合物からなる塗料が開示されている。
アルコキシシランは、水分の作用を受けて加水分解・縮合して最終的には重合体を形成する。この作用をバインダーとして利用し、溶剤中でアルコキシシランと各種顔料を混合したものを物体に塗布して皮膜を形成せしめることができる。
特開昭63−207868号公報 特開2004−359811号公報
電子機器などでは放熱対策が問題となっている。従来は放熱板を設けるなどの手段により放熱処理を行ってきたが、装置の小型化に対する要望の高まりとともに放熱板を設けることが難しくなってきている。
本発明は、装置の筐体表面などに塗料膜を形成せしめ、そこに蓄積された熱を放出することにより、機器等の温度上昇を抑えようとするものである。
しかし、実用的な放熱膜を形成するためにはいくつかの課題がある。
まず、第1の課題は放熱膜の耐熱性である。有機バインダーを用いている場合、有機物の熱分解が問題となり耐熱性に弱いという課題がある。
第2の課題は金属板などの基材に対する付着力である。有機バインダーを用いる場合には比較的基材に対する付着力が大きいが上記第1の課題で示した耐熱性がない。そこで、特開2004−359811号公報(特許文献2)のようにアルコキシシランのバインダーを用いる場合が考えられるが、特開2004−359811号公報の方法では重合体を形成することに重点が置かれており、完全に重合体が形成されると塗布膜が脆くなったりクラックが入りやすくなったりして基材への付着力が小さくなってしまう。
第3の課題は、ポットライフの短さと取り扱いの不便さの問題である。
従来の塗料にはいわゆる一液性のものと二液性のものがある。
二液性塗料とは、塗料の成分を二つの溶媒に分けてまとめてものや、塗料成分と触媒成分を分けてまとめたものなどを言い、常時保存時は二液に分離した状態でそれぞれ保存する。塗布にあたっては塗布の所定時間前に二液を混ぜ合わせて一液にして馴染ませた後、塗布するというステップが必要となり、取り扱いが不便であるというデメリットがある。
特に、アルコキシドバインダーの場合を想定すると、加水分解してシラノール基が生成され、そのままシラノール反応が進んで脱水縮合によりSi−Oネットワークが形成されて行くが、上記第2の課題で述べたように脱水縮合が進みすぎると塗布膜が脆くなったりクラックが入りやすくなったりして基材への付着力が小さくなってしまうという問題が発生する。
一方、2液を混ぜ合わせてから直ぐに使用すれば足りるかと言えばそうではない。シラノール反応が十分に起こる前に使用すれば、いわゆるシラノールリッチの状態では、塗布後に膜が形成されてゆく過程でも脱水縮合が進んで行くが、脱水縮合が進むと収縮して行くこととなり収縮率が大きくなってしまい、塗布した膜が剥がれ落ちるという不具合が起こる。そこで、2液を混ぜ合わせてから直ぐに使用するためには塗布面側をサンドブラストで粗くしておくなどの工夫や手間が必要となってしまう。
以上、2液性の場合、混ぜ合わせてから使用するまでの時間管理がとても難しい。この時間管理を行うことは一般ユーザーにとって極めて困難である。
一方、一液性塗料とは、塗料のすべての成分が一つの溶媒にまとめられたものであり、常時保存時もそのまま保存し、塗布もそのまま塗布するもので取り扱いが非常に簡単であるというメリットがある。
しかし、特に、アルコキシドバインダーの場合を想定すると、塗料メーカーにおける塗料作製時にアルコキシドバインダーの加水分解を完全に反応させ、その後のシラノール基反応はそのまま進行してゆく。そのため、ユーザー自身が混ぜ合わせる必要はないものの、やはりユーザー側で、塗料メーカーが指定する製造後の使用可能期間を厳密に管理する必要が生じることは同様である。使用期間を超えてしまうと固体化してしまうなどポットライフが短い傾向にある。二液性の場合、使用まで混合しなければ保存期間は長くすることができ、また、混ぜ合わせた時間はユーザーが明確に把握することができるため、アルコキシドバインダーを用いる塗料はユーザー取り扱いの作業や時間管理という不便さを持ちつつも仕方なく二液性とすることが常識とされている。
特開2004−359811号公報(特許文献2)は、アルコシシランバインダーが不安定性であり安定状態で保存することが難しいことを課題とし、その解決手段として使用直前に塗料成分を混ぜ合わせることで塗料を調整することを特徴としており、いわゆる二液性のものである。結局、特開2004−359811号公報は使用直前に混ぜ合わせるなど取り扱いが不便でありかつ混ぜ合わせた後のポットライフは短い。
第4の課題は靭性の問題である。有機バインダーを用いる場合には比較的靭性に優れているが上記第1の課題で示した耐熱性がない。特開2004−359811号公報に示されたアルコキシシランのバインダーを用いる方法では重合体を形成することに重点が置かれており、完全に重合体が形成されると脆くなったりクラックが入りやすくなったりして靭性に乏しくなってしまう。
第5の課題は熱エネルギーの遠赤外線への変換効率である。遠赤外線放射物質はいろいろ知られているが、顔料の組み合わせを工夫して輻射の波長領域において高温領域から低温領域まで効率良い変換を可能とすることが好ましい。
つまり、放射率を如何に高めるかという工夫が施されていることが好ましい。
第6の課題は、着色が自由にできないという問題である。機能性膜は機能を追及すると塗料膜の色がくすんだ色など製品表面に塗布するには好ましくない色となってしまうことが多い。一方、着色用の顔料は目的とする機能を発揮しない非機能性顔料であることが多く、当該顔料を含めると機能性膜の機能低下を招くことが多い。着色用の非機能性顔料は塗料膜の表面に表出することとなり、表面積に占める機能性顔料の割合を低下させてしまう。放熱膜であれば着色用の顔料の存在により熱放射率が低下してしまう。また遠赤外線物質を加えることにより、必ず着色してしまう。そのため、色彩が自由に制御できないという問題がある。
上記問題点に鑑み、本発明は、熱源の熱エネルギーを遠赤外線に変換して放射・放熱する機能を備えた放熱膜を形成し、かつ、耐熱性、付着性、靭性に優れた放熱膜をえることができる放熱膜用塗料を提供することを目的とする。また、本発明は一液性でありながらポットライフが長く取り扱いが簡便である放熱膜用塗料を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の放熱膜用塗料は、アルコキシド化合物からなるバインダーと、遠赤外線放射性物質の顔料と、溶媒を備えた放熱膜用塗料において、前記バインダーのアルコキシド化合物の加水分解後のシラノール脱水縮合の進展を、前記シラノール脱水縮合により生じる塗料中に存在するSi−Oネットワーク素材の形成量と前記シラノール基の残存量が所定範囲になった状態で抑制し、塗料の全成分を混合液としてまとめた状態におけるポットライフを調整せしめたことを特徴とする。
上記構成により、放熱膜用塗料として、含有するSi−Oネットワーク素材の形成量とシラノール基の残存量が所定範囲となった時点でシラノール反応の進展を制御でき、取り扱いやすい一液性塗料とすることができる。
上記目的を達成するため、本発明の放熱膜用塗料は、アルコキシド化合物からなるバインダーと、遠赤外線放射性物質の顔料と、溶媒を備えた放熱膜用塗料において、
前記アルコキシド化合物からなるバインダーとして、テトラアルコキシシランに対してトリアルコキシシランを、テトラアルコキシシラン:トリアルコキシシランが5対5から2対8の割合で配合し、前記アルコキシド化合物の加水分解後のシラノール脱水縮合により生じる塗料中に存在するSi−Oネットワーク素材の形成進行の制御とシラノール基の残存量の制御を行うことを特徴とする。
また、上記目的を達成するため、本発明の放熱膜用塗料は、アルコキシド化合物からなるバインダーと、遠赤外線放射性物質の顔料と、溶媒を備えた放熱膜用塗料において、前記アルコキシド化合物からなるバインダーとして、テトラアルコキシシランに対してトリアルコキシシランとジアルコキシシランを、テトラアルコキシシラン:トリアルコキシシラン:ジアルコキシシランが4.5対4.5対1から7.2対1.8対1の割合で配合し、前記アルコキシド化合物の加水分解後のシラノール脱水縮合により生じる塗料中に存在するSi−Oネットワーク素材の形成進行の制御とシラノール基の残存量の制御を行うことを特徴とする。
上記の放熱膜用塗料により、塗料中に存在する強靭なSi−Oネットワーク素材の形成とシラノール基の残存量を制御することができ、耐熱性、基材への強い付着性、靭性を同時に得ることができる。Si−Oネットワーク素材をある程度まで形成しておくことにより膜が形成される過程における収縮率が小さくなり残留応力が小さくなり基材への付着力が向上する。
上記シラノール脱水縮合反応の進展制御としては、酸触媒を用いて前記バインダーのアルコキシド化合物の前記加水分解を促進せしめ、前記加水分解反応後の前記シラノール脱水縮合により生じる塗料中に存在するSi−Oネットワーク素材の形成量と前記シラノール基の残存量が所定範囲になった状態にて、液全体のpHを中性側に調整して前記酸触媒を減らすことにより、シラノール脱水縮合の進展速度を遅延せしめる。
なお、pH調整は、液全体のpHが3.0〜5.5、さらに好ましくは3.8〜4.2となるように調整することが好ましい。
放熱膜全体のpHがこの範囲であればシラノール反応である脱水縮合反応が一気には進展しないことが確認されている。
本発明の放熱膜用塗料においては、1液性の塗料として作製しつつもポットライフを長くする工夫を施す。そのため、前記バインダーの脱水縮合を遅延させる性質を備えたポットライフ延長成分を含有せしめることが好ましい。
工夫の一つが、前記ポットライフ延長成分が、沸点が常温より高い温度のアルコール類であり、前記アルコール類を前記溶媒として加え、溶媒リッチの状態として前記バインダーの脱水縮合を遅延せしめることである。
他の工夫が、前記遠赤外線放射性物質の顔料を前記ナノ粒子を含む無機顔料として作製し、前記ポットライフ延長成分として前記バインダーの脱水縮合を遅延せしめることである。
上記構成により、本発明の放熱膜用塗料は一液性でありながらポットライフが長いものであり、取り扱いが容易な一液性塗料として提供できる。
さらに、前記バインダーにおいて塗布前に液中で十分に分子成長を熟成せしめることにより、塗布環境に対して安定でかつ作業性の高いものとすることが好ましい。
一液性としてより安定した塗料とすることができる。
さらに、前記バインダーにアミノ基、エポキシ基、アクリル基などを備えた反応性変性オルガノシロキサンを加えることにより常温乾燥を可能とせしめることが好ましい。常温での乾燥がしやすいものであれば一層作業性が向上する。
ここで、反応性変性オルガノシロキサンの例として、アミノ基(アミノエチル-アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノエチル-アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノエチル-アミノプロピルメチルメトキシシラン、アミノエチル-アミノプロピルメチルエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン)、エポキシ基(グリドキシプロピルトリメトキシシラン、グリドキシプロピルトリエトキシシラン、グリドキシプロピルメチルメトキシシラン、グリドキシプロピルメチルエトキシシラン)、アクリル基(メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルメトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルエトキシシラン)などがある。
次に、前記遠赤外線放射性物質の顔料の一例として、シリカ(SiO2)、コージライトとシリカ(SiO2)、コージライトとアルミナ(Al2O3)、コージライトとシリカ(SiO2)およびアルミナ(Al2O3)の化合物のいずれかを含む第1の顔料を備えたものであることが好ましい。
また、前記遠赤外線放射性物質の顔料が、前記第1の顔料に加え、酸化鉄(FeO、Fe2O3、Fe3O4)、二酸化マンガン(MnO2)、酸化コバルト(CoO)、三酸化コバルト(Co2O3)、酸化銅(I)(Cu2O)、酸化銅(II)(CuO)、酸化ニッケル(NiO)、酸化ジルコニウム(ZrO2)またはそれらの化合物のいずれかを含む第2の顔料を備えたものであることが好ましい。
上記放熱膜用塗料により、これら顔料により遠赤外線放射波長領域において高温領域から低温領域まで効率良い変換を得ることができる。
次に、塗布形成される膜の着色の制御については以下の工夫がある。
第1の着色の工夫は、前記顔料として、着色顔料となる酸化チタンまたは酸化亜鉛を含有させるとともに、前記酸化チタン粒子または前記酸化亜鉛粒子の周囲に前記遠赤外線放射性物質の顔料をコーティングせしめるものである。
酸化チタンまたは酸化亜鉛を含有させれば白色に発色するが、放熱膜の表面積に酸化チタンが表出するので表面積に占める遠赤外線放射顔料が表出する割合が減少することとなり、放射率が低下する。しかし、上記構成により酸化チタン粒子の周囲に遠赤外線放射顔料の化合物によりコーティングしておくことにより白色の着色を確保するとともに放射率を低下させることがなくなる。
第2の着色の工夫は、前記顔料として前記遠赤外線放射性物質を100nm以下の粒径を有する顔料のみとする工夫である。
上記構成により、塗布乾燥により形成される膜が透明となる。透明性の放熱膜を得ることにより、例えば、熱反射率の高い金属基体と組み合わせることにより直射日光を反射・散乱することで温度上昇を抑制することができる。
次に、前記溶媒が、沸点が常温より高い温度のアルコール類であり、前記放熱膜形成の際に前記溶媒を揮発させることによりポーラス構造を形成せしめることが好ましい。
上記のように膜中にポーラス構造を作り込むことにより膜全体としてさらに優れた靭性を得ることができる。
また、本発明の放熱膜用塗料により形成された放熱膜において熱伝導率が大きくなるように工夫をする。工夫としては、前記一液性塗料の状態において、前記遠赤外線放射性物質の顔料が無機顔料であり、塗布・乾燥により形成される塗料膜を無機成分が主成分となる放熱膜とする。
上記構成により、Si−Oネットワークが膜全体を全通しているので熱伝導率が向上する。さらに、無機鉱物である無機顔料が含まれて固化されているので熱伝導率が落ちることはない。
また、本発明の放熱膜の形成方法は、アルコキシド化合物からなるバインダーと、遠赤外線放射性物質の顔料と、溶媒を備えた放熱膜用塗料を塗布して放熱膜を形成する方法であって、前記放熱膜用塗料において、前記バインダーのアルコキシド化合物の加水分解後のシラノール脱水縮合の進展を、前記シラノール脱水縮合により生じる塗料中に存在するSi−Oネットワーク素材の形成量と前記シラノール基の残存量が所定範囲になった状態で抑制し、塗料の全成分を混合液としてまとめた状態におけるポットライフを調整せしめた放熱膜用塗料を用いた放熱膜の形成方法である。
次に、本発明の放熱膜の形成方法は、アルコキシド化合物からなるバインダーと、遠赤外線放射性物質の顔料と、溶媒を備えた放熱膜用塗料を塗布して放熱膜を形成する方法であって、前記アルコキシド化合物からなるバインダーとして、テトラアルコキシシランに対してトリアルコキシシランを、テトラアルコキシシラン:トリアルコキシシランが5対5から2対8の割合で配合し、前記アルコキシド化合物の加水分解後のシラノール脱水縮合により生じる塗料中に存在するSi−Oネットワーク素材の形成進行の制御とシラノール基の残存量の制御を行った放熱膜用塗料を用いた放熱膜の形成方法である。
また、本発明の放熱膜の形成方法は、アルコキシド化合物からなるバインダーと、遠赤外線放射性物質の顔料と、溶媒を備えた放熱膜用塗料を塗布して放熱膜を形成する方法であって、前記アルコキシド化合物からなるバインダーとして、テトラアルコキシシランに対してトリアルコキシシランとジアルコキシシランを、テトラアルコキシシラン:トリアルコキシシラン:ジアルコキシシランが4.5対4.5対1から7.2対1.8対1の割合で配合し、前記アルコキシド化合物の加水分解後のシラノール脱水縮合により生じる塗料中に存在するSi−Oネットワーク素材の形成進行の制御とシラノール基の残存量の制御を行った放熱膜用塗料を用いた放熱膜の形成方法である。
上記の放熱膜用塗料において、塗料中に存在する強靭なSi−Oネットワーク素材の形成とシラノール基の残存量を制御することができ、当該放熱膜用塗料を用いて形成した放熱膜においては、耐熱性、基材への強い付着性、靭性を同時に得ることができる。Si−Oネットワーク素材をある程度まで形成しておくことにより膜が形成される過程における収縮率が小さくなり残留応力が小さくなり基材への付着力が向上する。
ポットライフを長くする工夫としては、前記放熱膜用塗料において、酸触媒を用いて前記バインダーのアルコキシド化合物による前記加水分解を促進せしめ、前記加水分解反応後の前記シラノール脱水縮合により生じる塗料中に存在するSi−Oネットワーク素材の形成量と前記シラノール基の残存量が所定範囲になった状態にて、液全体のpHを中性側に調整して前記酸触媒を減らし、前記シラノール脱水縮合の進展速度を遅延せしめる調整方法であることを特徴とする。
なお、pH調整は、液全体のpHが3.0〜5.5、さらに好ましくは3.8〜4.2となるように調整することが好ましい。
放熱膜全体のpHがこの範囲であればシラノール反応である脱水縮合反応が一気には進展しないことが確認されている。
次に、ポットライフを長くする工夫として、前記バインダーの脱水縮合を遅延させる性質を備えたポットライフ延長成分を含有せしめ、前記放熱膜用塗料のポットライフの期間内において放熱膜を塗布形成することを特徴とする。
例えば、前記ポットライフ延長成分が、沸点が常温より高い温度のアルコール類であり、前記アルコール類を前記溶媒として加え、溶媒リッチの状態として前記バインダーの脱水縮合を遅延せしめたものである。
例えば、前記ポットライフ延長成分が、前記遠赤外線放射性物質の顔料を前記ナノ粒子を含む無機顔料として作製し、前記ポットライフ延長成分として前記バインダーの脱水縮合を遅延せしめたものである。
本発明の放熱膜用塗料によれば、塗料中に存在する強靭なSi−Oネットワーク素材の形成とシラノール基の残存量を制御することができ、ポットライフの制御、耐熱性、基材への強い付着性、靭性を同時に得ることができる。
また、本発明の放熱膜用塗料によれば、これら顔料により遠赤外線放射波長領域において高温領域から低温領域まで効率良い変換を得ることができる。
また、本発明の放熱膜用塗料によれば、膜中にポーラス構造を作り込むことにより膜全体としてさらに優れた靭性を得ることができる。
また、本発明の放熱膜用塗料によれば、一液性でありながらポットライフが長いものであり、取り扱いが容易な一液性塗料として提供できる。
また、本発明の放熱膜用塗料によれば、Si−Oネットワークが膜全体を全通しているので熱伝導率が向上する。さらに、無機鉱物である無機顔料が含まれて固化されているので熱伝導率が落ちることはない。
また、本発明の放熱膜用塗料によれば、遠赤外線放射性物質を100nm以下の粒径を有する顔料のみとすることにより、塗布乾燥により形成される膜が透明となる。
また、本発明の放熱膜用塗料によれば、バインダーにアミノ基、エポキシ基、アクリル基などを備えた反応性変性オルガノシロキサンを加えることにより常温乾燥が可能となる。
以下、図面を参照しつつ、本発明の放熱膜用塗料および放熱膜の形成方法の実施例を説明する。ただし、本発明の範囲は以下の実施例に示した具体的な用途、形状、個数などには限定されないことは言うまでもない。
実施例1にかかる本発明の第1の放熱膜用塗料の例を示す。
本発明の放熱膜用塗料は、アルコキシド化合物からなるバインダーと、遠赤外線放射性物質の顔料と、溶媒を備え、バインダーのアルコキシド化合物による加水分解後のシラノール反応の進展を制御することにより、塗料の全成分を混合液としてまとめた1液性塗料の状態において保存可能に調整せしめている。
本発明の放熱膜用塗料は、1液性でありながら、塗料の製造過程において、前記アルコキシド化合物の脱水縮合により生じる塗料中に存在するSi−Oネットワーク素材の形成進行の制御とシラノール基の残存量の制御を行い、塗布する基材との付着力の強さを制御せしめ、塗布される基材への強固な付着性、耐熱性、耐磨耗性を実現せしめるものである。
本発明の放熱膜用塗料は、アルコキシドバインダーを用いる。アルコキシドバインダーはまず加水分解によりシラノール基が生成され、その後シラノール反応が進んで脱水縮合によりSi−Oネットワークが形成されて行く。
アルコキシドの加水分解は速やかに促進された方が良いが、その後にシラノールの脱水縮合が進みすぎるおそれに注意する必要がある。従来課題で述べたように、塗料の状態でシラノールの脱水縮合が進みすぎるとSi−Oネットワークが多数形成され、固化してしまったり、塗布した塗布膜が脆くなったりクラックが入りやすくなったりして基材への付着力が小さくなってしまうという問題が発生する。
一方、シラノールの脱水縮合反応が十分ではない場合、つまり、シラノールリッチの状態では、塗布後に膜が形成されてゆく過程で多くの脱水縮合が進んで行くこととなり、脱水縮合が進むと膜が収縮して行くこととなり収縮率が大きくなってしまい、塗布した膜が剥がれ落ちるという不具合が起こる。
以上から、本発明の放熱膜用塗料は、アルコキシドの加水分解は完全に終了せしめ、シラノール脱水縮合反応は適切量進めた後に脱水縮合反応を抑止することにより、脱水縮合により生じる塗料中に存在するSi−Oネットワーク素材の形成進行の制御とシラノール基の残存量の制御を行う。これにより塗布前に適切量のSi−Oネットワーク素材を形成しておき、塗布後に新たに脱水縮合により形成されるSi−Oネットワーク量を少なくして収縮率が大きくなることを抑え、残存するSi−OH基により基材との付着力を確保せしめる。
つまり、本発明の放熱膜用塗料は、適切量のSi−Oネットワーク素材が形成され、適切量のSi−OH基が残存している状態という、ユーザーが即座に塗布作業に用いることができる理想的な状態でありながら、シラノールの脱水縮合反応が抑止されているのでポットライフ(使用可能期間)が長いものである。
本発明の放熱膜用塗料を上記理想的な状態とするために、塗料成分および製造過程において様々な工夫を盛り込んでいる。
第1の工夫は、アルコキシドバインダーの組成の工夫である。
第2の工夫は、アルコキシドバインダーの加水分解後のシラノール反応が適切量進んだ状態でバインダーの脱水縮合を遅延させるようにpHを調整する工夫である。
第3の工夫は、アルコキシドバインダーの加水分解後のシラノール反応が適切量進んだ状態でバインダーの脱水縮合を遅延させる性質を備えたポットライフ延長成分を含有せしる工夫である。
ポットライフ延長成分の一例が溶媒である。つまり、アルコキシドバインダーの加水分解後のシラノール反応が適切量進んだ状態で溶媒リッチの状態に調整する工夫である。
ポットライフ延長成分の他の例が無機顔料である。つまり、アルコキシドバインダーの加水分解後のシラノール反応が適切量進んだ状態で無機顔料を阻害要素として機能させる工夫である。
まず、上記の第1から第3の工夫の内容を詳しく述べる前に、上記第1から第3の工夫の目的・効果を説明しておく。
図1は、本発明の放熱膜用塗料におけるシラノール脱水縮合反応は適切量進めた後に脱水縮合反応を抑止する工夫の効果を分かりやすく示す図である。
縦軸はシラノール官能基の消費割合、横軸は経過時間である。範囲Dは、塗料中に含有されるSi−Oネットワーク素材の形成量とシラノール基の残存量のバランスが良く、塗布基材に対する付着力の強さが強く発揮される範囲である。塗料がこの範囲にある状態が塗料のポットライフとなる。
線Aはアルコキシドバインダーの配合を特に工夫せず、例えば、4官能基のテトラエトキシシランのみを用いて脱水縮合反応を進めた場合のシラノール官能基の消費割合を示している。線Aに見るようにすみやかにシラノール脱水縮合反応が進みゲル化してしまうことが分かる。図1に示すようにポットライフは短い。
線Bは、第1の工夫であるアルコキシドバインダーの配合の工夫を施した場合のシラノール官能基の消費割合を示している。線Bに見るようにすみやかにシラノール脱水縮合反応がある程度進むと急速にシラノール脱水縮合反応のブレーキがかかりその後緩やかにシラノール脱水縮合反応が進んでゆく。図1に示すようにポットライフは線Aに比べて長くなっている。
線Cは、第1の工夫であるアルコキシドバインダーの配合の工夫を施し、さらに、第2の工夫であるpH調整、第3の工夫であるポットライフ延長成分を含有せしめる工夫を施した場合のシラノール官能基の消費割合を示している。線Cに見るようにすみやかにシラノール脱水縮合反応がある程度進むと急速にシラノール脱水縮合反応のブレーキがかかりその後線Bよりもより緩やかにシラノール脱水縮合反応が進んでゆく。図1に示すようにポットライフは線Aおよび線Bに比べてさらに長くなっている。
このように本発明の放熱膜用塗料は、塗料中に含有されるSi−Oネットワーク素材の形成量とシラノール基の残存量を制御し、ポットライフを長くしつつ基材への付着力を強くする。
まず、第1の工夫である、アルコキシドバインダーの組成の工夫について述べる。
第1の放熱膜用塗料のバインダー組成は、アルコキシド化合物からなるバインダーとして、テトラアルコキシシランとトリアルコキシシランを所定割合で混合したものとなっている。その混合割合は、テトラアルコキシシラン:トリアルコキシシランが5対5から2対8の割合が好ましい。
第2の放熱膜用塗料のバインダー組成は、アルコキシド化合物からなるバインダーとして、テトラアルコキシシランとトリアルコキシシランとジアルコキシシランを所定割合で混合したものとなっている。その混合割合は、テトラアルコキシシラン:トリアルコキシシラン:ジアルコキシシランが4.5対4.5対1から7.2対1.8対1の割合が好ましい。
Si−OH官能基を4つ備えたテトラアルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等が挙げられる。
Si−OH官能基を3つ備えたトリアルコキシシランとしては、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシラン、トリフェニルメトキシシラン、トリフェニルエトキシシラン、トリメチルプロポキシシラン、トリエチルプロポキシシランなどが挙げられる。
Si−OH官能基を2つ備えたジアルコキシシランとしては、ジチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシランなどが挙げられる。
アルコキシド化合物としてこれらを組み合わせて用いる。組み合わせで好ましいのはジメチルメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン及びテトラメトキシシランの組合せ、またはジメチルエトキシシラン、トリメチルエトキシシラン及びテトラエトキシシランの組合せである。
アルコキシドバインダーの組成の調整による、アルコキシド化合物の加水分解後の脱水縮合により生じる塗料中に存在するSi−Oネットワーク素材の形成進行の制御とシラノール基の残存量の制御の原理は以下の通りである。
アルコキシド化合物同士は加水分解によりシラノール基(Si−OH官能基)が生成され、Si−OH官能基の脱水縮合によりSi−Oネットワークの形成が進行してゆく。Si−OH官能基を4つ持つテトラアルコキシシランはSi−OH官能基を多く持つので、脱水縮合を促進させればSi−Oネットワークの形成進行が速く、早期にゲル化する。テトラアルコキシシランのみでバインダーを形成するとほぼ完全にSi−OH官能基が消費され、Si−Oネットワークが形成される。Si−OH官能基を3つ持つトリアルコキシシランもSi−OH官能基を持つので、脱水縮合を促進させればSi−Oネットワークの形成が進行し、ゲル化する。トリアルコキシシランのみでバインダーを形成すると粒子間のSi−OH官能基の存在が均等になるので、ほぼ完全にSi−OH官能基が消費された状態でSi−Oネットワークが形成される。
Si−OH官能基を2つ持つジアルコキシシランもSi−OH官能基を持つので、脱水縮合を促進させればSi−Oネットワークの形成が進行し、ゲル化する。ジアルコキシシランのみでバインダーを形成すると同様にほぼ完全にSi−OH官能基が消費された状態でSi−Oネットワークの形成が形成される。しかし、ジアルコキシシランはSi−OH官能基が2つしかなく、脱水縮合によって直鎖状にSi−Oネットワークが形成されてしまい、堅牢性が小さくなる。
従来の考え方であれば、強力なSi−Oネットワークを形成して堅牢な膜形成を目指すところである。本発明では、Si−Oネットワークの形成を進行させつつもSi−OH官能基をすべては消費させずに残存させるように制御する。残存したSi−OH官能基により金属プレートなどの基材のOH基との間の結合エネルギーにより基材と強力な付着力をもたらす。
つまり、Si−OH官能基を2つ持つアルコキシド化合物、Si−OH官能基を3つ持つアルコキシド化合物、Si−OH官能基を4つ持つアルコキシド化合物を、所定割合で混ぜ合わせると、アルコキシド分子間でSi−OH官能基の数に不均衡があるため、反応する相手となるSi−OH官能基がなく、いわば浮いてしまうSi−OH官能基が多数出てくるので脱水縮合が一気には進まなくなる。
ただし、長期間放置していると、浮いているSi−OH同士の脱水縮合反応が進んでくるので残存するSi−OH官能基の量は漸減して行くが、上記のように2官能のアルコキシド化合物、3官能のアルコキシド化合物、4官能のアルコキシド化合物の割合を調整すれば、当初、脱水縮合は早期に進むもののSi−OH官能基の数が不均衡状態に陥ってからは脱水縮合に急速にブレーキがかかることとなり、その時点で、後述する第2の工夫、第3の工夫を施しやすくなるという効果が得られる。
なお、本発明では、アルコキシド化合物の配合を調整し、このシラノール脱水縮合にブレーキがかかる状態におけるSi−Oネットワーク素材の形成量とシラノール基の残存量のバランスが、塗布する基材に対する付着力の強さが強くなる範囲となるよう制御する。
実験を重ねて2官能のアルコキシド化合物、3官能のアルコキシド化合物、4官能のアルコキシド化合物の配合割合を見出した。
[付着性実験]
付着性実験に用いた放熱膜用塗料のバインダー組成
実験に用いた放熱膜用塗料のバインダー組成は、4官能基を備えたテトラアルコキシシランとしてモメンティブマテリアル社製のテトラメトキシシランを用いた。また、3官能基を備えたバインダーのトリアルコキシシランとしてモメンティブマテリアル社製のトリメチルメトキシシランを用いた。また、2官能基を備えたジメトキシシランとしてモメンティブマテリアル社製のジメチルメトキシシランを用いた。テトラメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、ジメチルメトキシシランの配合を変えてそれぞれ製作した。
加水分解に用いた水の量は、アルコキシド化合物1モルに対して水0.8〜1.4モルとした。水が0.8モル以下ではSi−OH基の発生が十分でなく膜の硬度が上がらず、1.4モル以上ではSi−OH基が多くなり、シラノールの分子結合が大きくなり、ゲル化が進展し、クラックが生じやすくなるからである。触媒としての酸の量は有機酸、無機酸何れの場合も、加水分解を起こすのに十分な量を用いた。
サンプルのそれぞれに含まれるジメチルメトキシシラン(2官能)、トリメチルメトキシシラン(3官能)、テトラメトキシシラン(4官能)の配合を[表1]に示す。
Figure 2009067998
−放熱膜を形成する基材
アルミブラスト処理を行ったアルミプレートと、ステンレスブラスト処理を行ったステンレスプレートを用いた。
−付着性実験の手法
付着性実験は、JIS−K5600−5−6の手法により碁盤目テストを行った。実験は3回行った。アルミブラスト処理を行ったアルミプレートに対する付着実験結果を[表2]に示す。ステンレスブラスト処理を行ったステンレスプレートに対する付着実験結果を[表3]に示す。
Figure 2009067998
Figure 2009067998
注1:その他のアルコキシドとしてエトキシ基、フェニル基もあるが、エトキシ基はメトキシ基と反応スピードの違いなので省略し、フェニルは硬度が劣るので省略し、メチル基のみでテストを実施した。
注2:反応はアルコキシド1モルに対して水2.5〜4.5モル、望ましくは3.3モル、酸の量を十分入れ、顔料比率70%とし、膜厚を25μ±3μにして実施。
注3:分散溶媒はエタノール、イソプロピルアルコールを配合した物を使用した。
注4:分散は0.7mmのガラスビーズを使用した。分散後粒度はD50で0.35ミクロン。
注5:焼成条件は180℃で20分。基板はアルコール脱脂のみのアルミ板を使用した。試験片は7.5mmw×15.0mml×1.0mmtを各3枚。(評価は全数クリアー)
注6:塗布方法はスプレーコート。
注7:膜厚は15μ〜20μ、測定方法はマイクロメーター。
上記付着性実験から、テトラアルコキシシランとトリアルコキシシランを混合したバインダーである配合1から配合3の実験結果より、混合割合は配合1から配合2の混合割合が良いことが実証できた。つまり、テトラアルコキシシラン:トリアルコキシシランが5対5から2対8の割合が好ましい。
また、上記付着性実験から、テトラアルコキシシランとトリアルコキシシランとジアルコキシシランを混合したバインダーである配合4から配合9の実験結果より、混合割合は配合4から配合5の混合割合が良いことが実証できた。つまり配合6のように3官能基の割合が減ると付着性が劣り、また、配合7から配合9のように2官能基の割合が増えても付着性が劣る。つまり、テトラアルコキシシラン:トリアルコキシシラン:ジアルコキシシランが4.5対4.5対1から7.2対1.8対1の割合が好ましい。
以上、本発明の放熱膜用塗料における加水分解後の脱水縮合の進展を調整する第1の工夫として、アルコキシドバインダーの組成を上記の割合となるように工夫すれば、Si−Oネットワーク形成進行の制御と残存するSi−OH基の量の制御が可能となる。
次に、本発明の放熱膜用塗料における加水分解後の脱水縮合の進展を調整する第2の工夫について述べる。第2の工夫は、バインダーの加水分解後のシラノール反応が適切量進んだ状態でバインダーの脱水縮合を遅延させるようにpHを調整する工夫である。
本発明の放熱膜用塗料ではバインダーはアルコキシド化合物を用いており、2段階の反応が介在する。まず、第1の反応が加水分解反応である。ここでSi−OH官能基が生成される。次に、第2の反応が脱水縮合反応である。ここで、Si−Oネットワークが形成されてゆく。
ここで、第1の反応である加水分解反応は速やかに進めた方が製造工程を短縮できる。そこで、触媒を用いて促進させる。例えば、酸触媒を用いて加水分解反応を促進させる。例えば、溶液のpHを1.5から3.0に調整してアルコキシド化合物の加水分解反応を促進せしめる。
次に、第2の反応である脱水縮合反応は、当初Si−OH官能基の脱水縮合は促進しておき、上記第1の工夫で述べたSi−OH官能基の割合の不均衡により脱水縮合反応が抑制され始めた時点で、液全体のpHを中性側に調整する。例えば、上記の加水分解反応が進展してもpHの調整は行わずpHをそのままとしておき、Si−OH官能基の割合の不均衡により脱水縮合反応が抑制され始めた時点で、溶液のpHを中性側に調整する。例えば、pH3.0から5.5に調整する。さらに好ましくは3.8〜4.2となるように調整することが好ましい。
本発明者はシラノール反応がpH3.0から5.5程度であれば抑制されることを実験により確認した。この実験結果については後述する。
次に、本発明の放熱膜用塗料における加水分解後の脱水縮合の進展を調整する第3の工夫について述べる。第3の工夫は、アルコキシドバインダーの加水分解後のシラノール反応が適切量進んだ状態でバインダーの脱水縮合を遅延させる性質を備えたポットライフ延長成分を含有せしる工夫である。
第1のポットライフ延長成分は溶媒である。つまり、アルコキシドバインダーの加水分解後のシラノール反応が適切量進んだ状態で溶媒リッチの状態に調整する。つまり上記の加水分解反応が進展した段階ではまだ溶媒は追加せず、Si−OH官能基の割合の不均衡により脱水縮合反応が抑制され始めた時点で、溶媒を加えて溶媒リッチの状態とする。
なお、溶媒は放熱塗料膜が形成される過程で蒸発する必要があるので、沸点が常温より高い温度のアルコール類であることが好ましい。例えば、イソプロピルアルコールなどである。
次に、第2のポットライフ延長成分は無機顔料である。つまり、シラノール反応が適切量進んだ状態で無機顔料を阻害要素として機能させる。
無機顔料として、顔料の粒子を20μm以下のナノ粒子として加水分解の阻害要因とする。顔料の粒子が細かくなればアルコキシド系バインダーが脱水縮合反応によりSi−Oネットワークを形成して行く際には阻害要因となるため、Si−OH官能基の割合の不均衡により脱水縮合反応が抑制され始めた後では、さらにシラノール反応が進展してゆくことを抑制する効果を発揮する。
ここで、バインダーにおいて塗布前に液中でアルコキシドバインダーの加水分解後のシラノール反応による十分な分子成長を熟成せしめることが好ましい。十分に熟成させて適切量のSi−Oネットワークを得ておくことで塗布環境に対して安定でかつ作業性の高いものとなり、一液性としてより安定した塗料となる。
また、バインダーにアミノ基、エポキシ基、アクリル基などを備えた反応性変性オルガノシロキサンを加えておくことにより常温乾燥に適したものとなる。
たとえば、反応性変性オルガノシロキサンの例として、アミノ基(アミノエチル-アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノエチル-アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノエチル-アミノプロピルメチルメトキシシラン、アミノエチル-アミノプロピルメチルエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシラン)、エポキシ基(グリドキシプロピルトリメトキシシラン、グリドキシプロピルトリエトキシシラン、グリドキシプロピルメチルメトキシシラン、グリドキシプロピルメチルエトキシシラン)、アクリル基(メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルメトキシシラン、メタクリロキシプロピルメチルエトキシシラン)などがある。
[実験]
上記した第1から第3の工夫を盛り込んだ、[表4]の成分を備えた放熱膜用塗料1を試作して放置実験を行った。結果は[表5]に示すようになった。
Figure 2009067998
(注)コロイダルシリカは、シリカ成分が30%で、残量の70%はイソプロピルアルコールである。
Figure 2009067998
以上、本発明の放熱膜用塗料は、1液性でありながら、塗料の製造過程において、アルコキシド化合物の脱水縮合により生じる塗料中に存在するSi−Oネットワーク素材の形成進行の制御とシラノール基の残存量の制御を行い、塗布する基材との付着力の強さを制御せしめ、塗布される基材への強固な付着性、耐熱性、耐磨耗性を実現せしめることができる。
[遠赤外線放射実験]
次に、放熱膜としての機能、つまり、発熱体から受けた熱エネルギーの遠赤外線エネルギーへの変換効率について検証する。本発明の放熱膜用塗料において、含有されている顔料は形成した膜において遠赤外線放射機能を与えるものである。それゆえに顔料の配合が重要である。
高い熱放射率を実現するためには、熱線波長領域の全範囲にわたって、放射率が100%に近く、さらに放射輝度が当該温度における黒体輻射に近い放射スペクトルを持つこと必要がある。
第1の顔料として、シリカ(SiO2)、コージライトとシリカ(SiO2)、コージライトとアルミナ(Al2O3)、コージライトとシリカ(SiO2)およびアルミナ(Al2O3)の化合物のいずれかを含むものとする。これらは、熱拡散性が高く放熱性を有する上、熱膨張率が5×10−6〜10.5×10−6であり、比較的大きいので、顔料として含有させてシート状に成形しても、膜も金属の挙動と同様な挙動をする。それゆえ、膜中に引っ張り応力が発生せず、高温域でも安定した放熱性が得られる。しかも、絶縁性も得られる。なお、カーボンを一定量以上入れることにより容易に導電性が得られる。特に450℃までの大気中、または高温真空炉、或いは不活性ガス等の雰囲気炉中で従来不可能とされていたカーボンの面状発熱体が使用可能となる。
上記の第1の顔料に対して、以下の第2の顔料を加える工夫も好ましい。第2の顔料は、酸化鉄(FeO、Fe2O3、Fe3O4)、二酸化マンガン(MnO2)、酸化コバルト(CoO)、三酸化コバルト(Co2O3)、酸化銅(I)(Cu2O)、酸化銅(II)(CuO)、酸化ニッケル(NiO)、酸化ジルコニウム(ZrO2)またはそれらの化合物のいずれかを含むものである。
なお、顔料の粒度は、膜の平滑性や綴密性、強度を考慮して、顔料の粒度は溶媒分散後で平均粒度で0.5μ以下が望ましい。
アルコキシドと顔料の割合は、15〜45体積%が妥当である。15%以下では膜の靭性が低下し堅牢さが失われる。45%を超えると、脱水縮合による乾燥収縮量が多く、高温下でクラックが発生しやすく、所望の放熱性が得がたい。
膜の厚みは、基材や発熱体と膜が強固に付着し、且つ、両者の熱膨張差が非常に近い場合でも、膜が厚くなりすぎると、クラックが発生する。それは、Si−OHが脱水縮合するときに起こる収縮現象が原因である。膜厚は、バインダーの含有量にもよるが、30μ以下が望ましい。特にアルコキシド化合物の脱水縮合物の全固形物(即ちSi−OHから生じるSiO2と混合したときの無機顔料成分の合計)にしめる割合が45体積%の場合、800℃でクラックの発生を防ぐ為には10μ前後が好ましい。膜厚が30μを超えると、膜が脆くなり、長時間の使用に耐えられなくなる。そのため、アルコキシド化合物の脱水縮合物の割合は30体積%以下が望ましい。
サンプルとして顔料を[表6]のように配合した放熱膜用塗料2を作製し、遠赤外線放射実験を行った。
焼成条件は180℃で20分間焼き付けた。
膜厚はマイクロメーターの測定により20μ〜26μのものが焼成できた。
測定は遠赤外線応用研究会によった。
測定温度は60℃とした。
測定機種はJIR−E500を用いた。
測定条件は、分解能16cm−1、積算回数200回
検知器はMCTである。
Figure 2009067998
本発明の第1の顔料である、シリカ(SiO2)、アルミナ(Al2O3)、マグネシア(MgO2)のうち、放熱膜用塗料2ではシリカ(SiO2)、アルミナ(Al2O3)、マグネシア(MgO2)とした。酸化チタンは着色顔料として配合し、塗料全体の色を白色に着色した。バインダーは3官能基を備えたトリメチルメトキシシランと4官能基を備えたテトラメトキシシランを配合した。
上記構成の組成を持つ放熱膜試料2を用いて放射率と放射輝度測定を行った。
図2は放熱膜試料2の放射率である。
図3は放熱膜試料2の放射輝度スペクトルである。
放射輝度は、540.06kcal/m2・hrであった。
図3に見るように、低温の波長領域から高温の波長領域まで良好な放射輝度スペクトルが得られており、放熱性は、4μ〜24μの波長域での放射率は85%以上の放射率を有することが分かった。高い遠赤外線変換効率が得られていることが実証できた。
[表面硬度試験]
本発明の放熱膜の耐摩耗性を調べるために放熱膜試料2を用いて表面硬度テストも行った。
硬度テストの方法は、JIS−K−5−4に準じた。
実験にはアルミプレートに焼成したものを用いた。
表面硬度テストの結果を[表7]に示す。
Figure 2009067998
なお、上記において、アルコキシド化合物と顔料の割合は、15〜45体積%が妥当であると指摘したが、実験にて実証した。バインダーであるアルコキシド化合物は放熱膜用塗料2と同様、トリメチルメトキシシランとテトラメトキシシランの混合とし、顔料の体積%を変えたサンプルを製作し、表面硬度テストを行うことにより妥当な割合を検証した。
Figure 2009067998
注1:アルコキシド化合物は代表例としてトリメチルメトキシシラン66.7重量%、テトラメトキシシラン33.5重量%、ジメチルメトキシシラン4,8重量%でテスト。
注2:各反応条件、分散条件、縮合脱水条件、膜厚、基材は前記テストに準じる。
注3:使用顔料は平均1次粒子径0.15μのアルミナ(Al2O3)、平均1次粒子径0.5μのカオリン、10〜20nのシリカ(SiO2)をそれぞれ30体積%、65体積%、5体積%配合したものを使用した。
注4:分散溶媒はエタノール、イソプロピルアルコールを配合した物を使用した。
注5:分散は0.7ミリ径のガラスビーズを用いたビーズミルで1時間実施した。その時の平均粒皮は0.35μであった。
注6:○は硬度7H以上、曲げ20R可、碁盤目テスト問題なし、△は硬度7Hまで、碁盤目テスト間題なし、Xは、膜が脆くクラック発生。
以上、アルコキシド化合物と顔料の割合は15〜45体積%が妥当であると実証できた。
[耐腐食性試験]
本発明の放熱膜の耐腐食性も調べるために放熱膜試料2を用いて塩水噴霧試験と水浸試験も行った。
塩水噴霧試験の方法は、JIS−K5600−7−1に準じた。
測定はステンレスプレートのものを用いた。
塩水噴霧の放置時間は500時間とした。
塩水噴霧試験の結果を[表9]に示す。
Figure 2009067998
水浸試験の方法は、JIS−K5600−6−2に準じた。
測定はアルミプレートのものを用いた。
水浸の放置時間は500時間とした。
水浸試験の結果を[表10]に示す。
Figure 2009067998
以上、塩水噴霧試験と水浸試験の結果から、本発明の放熱膜の耐腐食性が大きいことが実証できた。
[耐熱性試験]
放熱膜試料2を800℃に熱し、水で急冷却するという処理を繰り返して、クラックが入るか否かを試験した。
加熱はバーナーで800℃まで加熱した。冷却は冷水にて急速に冷却した。この加熱・冷却を5回繰り返した。
結果を[表11]に示す。
Figure 2009067998
[熱伝導試験]
本発明の放熱膜用塗料において、高い熱伝導率を達成していることを確認した。
本発明の放熱膜用塗料では、Si−Oネットワークが膜全体を全通しているので熱伝導率が高く、ポーラス構造にかかわらずコージライト、アルミナ、シリカ、ジルコニアという無機鉱物である無機顔料が含まれて固化されているので熱伝導率が高い。実際に放熱膜用塗料2の試料片を用いて熱伝導率を計測したところ、2W/mK以上の熱伝導率が得られていた。
以上、実施例1にかかる本発明の放熱膜用塗料および放熱膜用塗料により塗布・形成した放熱膜は、バインダーの付着力が大きく、顔料も遠赤外線放射効率が高く、表面硬度が大きく、耐腐食性、耐熱性に優れたものである。また、本発明の放熱膜用塗料は1液性でありながらアルコキシド系バインダーの脱水縮合反応を制御することがき、ポットライフが長くかつ取り扱いが容易な1液性塗料として提供できる。
放熱膜用塗料の顔料における着色の制御について述べる。
第1の工夫は、放熱率を低下させることなく着色を白色とするもので、着色顔料として酸化チタンを含有させるとともに、酸化チタン粒子の周囲に遠赤外線放射性物質の顔料をコーティングせしめたことを特徴とするものである。
放熱膜用塗料の顔料粒子は塗布膜の形成段階において、一部が表面上に表出する。遠赤外線放射性物質である顔料は熱源から受けた熱エネルギーを遠赤外線エネルギーに変換して放射する。
ここで、形成される放熱膜が製品の筐体など目に触れる箇所である場合などにおいては、塗料の色が見た目にきれいな色となるよう要求がある。そこで、塗料を綺麗に発色させるため着色用の顔料を混合させるニーズがある。この場合、着色用に配合された酸化チタンや酸化亜鉛などの顔料粒子が、遠赤外線への変換効率に寄与するものでなければ放熱膜の放熱機能を低下させる要因となりうる。
実施例1の遠赤外線放射実験で製作した放熱膜用塗料2に用いられている酸化チタン(石原産業製 A−100)は、特に表面に何もコーティングが施されていないものであった。図4は、放熱膜用塗料2を用いて形成した放熱膜の表面の様子を模式的に拡大して示した図である。顔料粒子を模式的に大きく示している。図4に見るように、放熱膜の表面には遠赤外線放射性物質である顔料とともに酸化チタン粒子が表出している。この酸化チタン粒子が表出している部分は遠赤外線放射機能を発揮しないので遠赤外線放射効率が低下することとなる。実際、図2、図3に見るように、高温領域(5〜8μm)においてスペクトルが低下している部分が見られる。
実施例2にかかる本発明の放熱膜用塗料は、着色顔料として酸化チタンを含有させるとともに、酸化チタン粒子の周囲に遠赤外線放射性物質の顔料をコーティングせしめている。後述する放熱膜用塗料3に用いられている酸化チタン(石原産業製 R−95)は、表面に粒度の細かいシリカがコーティングされているものである。
図5は、放熱膜用塗料3を用いて形成した放熱膜の表面の様子を模式的に拡大して示した図である。放熱膜用塗料3においてその表面に酸化チタン粒子が表出している部分からもその酸化チタン粒子の表面にコーティングされた遠赤外線放射性顔料の働きにより遠赤外線放射機能が発揮されることとなる。なお、酸化チタン粒子の表面にコーティングするためにコーティングする遠赤外線放射性顔料は酸化チタンの粒度よりも十分に細かい粒度とする必要がある。つまり、着色用の顔料が酸化チタンのコーティング処理をしているか否か以外の諸条件は実施例1とまったく同じ条件にて実験した。
つまり、焼成条件は180℃で20分間の焼き付け、膜厚は20μ〜26μ、測定温度は60℃、測定機種はJIR−E500、測定条件は、分解能16cm−1、積算回数200回、検知器はMCTである。
サンプルとして顔料を[表12]のように配合した放熱膜用塗料3を作製し、遠赤外線放射実験を行った。
Figure 2009067998
遠赤外線放射顔料としては、本発明の第1の顔料である、シリカ(SiO2)、コージライトとシリカ(SiO2)、コージライトとアルミナ(Al2O3)、コージライトとシリカ(SiO2)およびアルミナ(Al2O3)の化合物のいずれかを含む第1の顔料のうち、シリカ(SiO2)、アルミナ(Al2O3)、マグネシア(MgO2)を顔料とした。
着色用顔料としては、表面に粒度の細かいシリカがコーティングされている酸化チタン(石原産業製 R−95)を用いている。
バインダーは3官能基を備えたトリメチルメトキシシランと4官能基を備えたテトラメトキシシランを配合した。
上記構成の組成を持つ放熱膜試料3を用いて放射線測定を行った。
図6は放熱膜試料3を用いた放射線測定結果である。
図7は放熱膜試料3が発する放射スペクトルである。
図2、図3と、図6、図7を比べるとあきらかに、高温領域(5〜8μm)においてスペクトルが改善されている部分が見られる。
このスペクトル改善は、酸化チタンの表面のシリカのコーティングの有無によりもたらされているので、着色用の顔料を配合する場合、当該着色用の顔料の表面に遠赤外線放射顔料をコーティングせしめることにより、放熱膜において遠赤外線放射機能が改善されることが実証できた。
放熱膜用塗料の顔料における着色の第2の工夫について述べる。
第2の着色の工夫は、顔料を遠赤外線放射性物質を100nm以下の粒径を有する顔料のみとする工夫である。
バインダーは実施例1に示したものと同様で良い。ここで顔料が100nm以下の粒径を有する顔料のみとなれば、バインダー、顔料とも光を遮ったり散乱したりする要素をなくすことができ、塗布乾燥により形成される膜が透明となる。
発明者は、実際に、顔料を100nm以下の粒径を有する遠赤外線放射顔料のみとする塗料を製作し、塗布乾燥することにより実際に透明性の放熱膜を得ることに成功している。
透明性の放熱膜を得ることにより、例えば、熱反射率の高い金属基体と組み合わせることにより直射日光を反射・散乱することで温度上昇を抑制することができる。
実施例4にかかる放熱膜用の塗料は、遠赤外線放射顔料として、スペクトル波長領域において高温領域から低温領域まで効率良い変換を得るため、低温領域にて放射能率が高い第1の遠赤外線顔料に加え、特に高温領域にて放射能率が高い第2の遠赤外線顔料を添加したものである。
第1の顔料が、シリカ(SiO2)、コージライトとシリカ(SiO2)、コージライトとアルミナ(Al2O3)、コージライトとシリカ(SiO2)およびアルミナ(Al2O3)の化合物のいずれかを含む顔料である。
第2の顔料が、酸化鉄(FeO、Fe2O3、Fe3O4)、二酸化マンガン(MnO2)、酸化コバルト(CoO)、三酸化コバルト(Co2O3)、酸化銅(I)(Cu2O)、酸化銅(II)(CuO)の少なくとも一つの単体またはそれらの化合物を含む顔料である。
このように、低温領域にて放射能率が高い第1の遠赤外線顔料に加え、特に高温領域にて放射能率が高い第2の遠赤外線顔料を添加することにより、スペクトル波長領域において高温領域から低温領域まで効率良い変換効率を達成することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態を図示して説明してきたが、本発明は、熱エネルギーを遠赤外線エネルギーに変換する放熱膜に広く適用することができる。
本発明の技術的範囲を逸脱することなく種々の変更が可能であることは理解されるであろう。
本発明の放熱膜用塗料におけるシラノール脱水縮合反応は適切量進めた後に脱水縮合反応を抑止する工夫の効果を分かりやすく示す図 放熱膜試料2を用いた放射線測定結果を示す図 放熱膜試料2が発する放射スペクトルを示す図 放熱膜用塗料2を用いて形成した放熱膜の表面の様子を模式的に拡大して示した図 放熱膜用塗料3を用いて形成した放熱膜の表面の様子を模式的に拡大して示した図 放熱膜試料3を用いた放射線測定結果を示す図 放熱膜試料3が発する放射スペクトルを示す図

Claims (24)

  1. アルコキシド化合物からなるバインダーと、遠赤外線放射性物質の顔料と、溶媒を備えた放熱膜用塗料において、
    前記バインダーのアルコキシド化合物の加水分解後のシラノール脱水縮合の進展を、前記シラノール脱水縮合により生じる塗料中に存在するSi−Oネットワーク素材の形成量と前記シラノール基の残存量が所定範囲になった状態で抑制し、塗料の全成分を混合液としてまとめた状態におけるポットライフを調整せしめたことを特徴とする放熱膜用塗料。
  2. アルコキシド化合物からなるバインダーと、遠赤外線放射性物質の顔料と、溶媒を備えた放熱膜用塗料において、
    前記アルコキシド化合物からなるバインダーとして、テトラアルコキシシランに対してトリアルコキシシランを、テトラアルコキシシラン:トリアルコキシシランが5対5から2対8の割合で配合することにより、前記アルコキシド化合物の加水分解後のシラノール脱水縮合により生じる塗料中に存在するSi−Oネットワーク素材の形成進行の制御とシラノール基の残存量の制御を行うことを特徴とする放熱膜用塗料。
  3. アルコキシド化合物からなるバインダーと、遠赤外線放射性物質の顔料と、溶媒を備えた放熱膜用塗料において、
    前記アルコキシド化合物からなるバインダーとして、テトラアルコキシシランに対してトリアルコキシシランとジアルコキシシランを、テトラアルコキシシラン:トリアルコキシシラン:ジアルコキシシランが4.5対4.5対1から7.2対1.8対1の割合で配合し、前記アルコキシド化合物の加水分解後のシラノール脱水縮合により生じる塗料中に存在するSi−Oネットワーク素材の形成進行の制御とシラノール基の残存量の制御を行うことを特徴とする放熱膜用塗料。
  4. 酸触媒を用いて前記バインダーのアルコキシド化合物の前記加水分解を促進せしめ、
    前記加水分解反応後の前記シラノール脱水縮合により生じる塗料中に存在するSi−Oネットワーク素材の形成量と前記シラノール基の残存量が所定範囲になった状態にて、液全体のpHを中性側に調整して前記酸触媒を減らし、前記シラノール脱水縮合の進展速度を遅延せしめたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の放熱膜用塗料。
  5. 前記pHの中性側への調整が液全体のpHを3.0〜5.5とする調整であることを特徴する請求項4に記載の放熱膜用塗料。
  6. 前記アルコキシド化合物の加水分解後のシラノール脱水縮合を遅延させる性質を備えたポットライフ延長成分を含有せしめたことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の放熱膜用塗料。
  7. 前記ポットライフ延長成分は沸点が常温より高い温度のアルコール類であり、前記アルコール類を前記溶媒として加え、溶媒リッチの状態として前記アルコキシド化合物の加水分解後のシラノール脱水縮合を遅延せしめたことを特徴とする請求項6に記載の放熱膜用塗料。
  8. 前記遠赤外線放射性物質の顔料を前記ナノ粒子を含む無機顔料として作製し、前記ポットライフ延長成分として前記アルコキシド化合物の加水分解後のシラノール脱水縮合を遅延せしめたことを特徴とする請求項6に記載の放熱膜用塗料。
  9. 前記バインダーにおいて塗布前に液中で十分に分子成長を熟成せしめることにより、塗布環境に対して安定でかつ作業性の高いものとした請求項1から7のいずれか1項に記載の放熱膜用塗料。
  10. 前記バインダーにアミノ基、エポキシ基、アクリル基などを備えた反応性変性オルガノシロキサンを加えることにより常温乾燥を可能とせしめた請求項1から8のいずれか1項に記載の放熱膜用塗料。
  11. 前記遠赤外線放射性物質の顔料が、シリカ(SiO2)、コージライトとシリカ(SiO2)、コージライトとアルミナ(Al2O3)、コージライトとシリカ(SiO2)およびアルミナ(Al2O3)の化合物のいずれかを含む第1の顔料を備えた請求項1から10のいずれか1項に記載の放熱膜用塗料。
  12. 前記遠赤外線放射性物質の顔料が、前記第1の顔料に加え、酸化鉄(FeO、Fe2O3、Fe3O4)、二酸化マンガン(MnO2)、酸化コバルト(CoO)、三酸化コバルト(Co2O3)、酸化銅(I)(Cu2O)、酸化銅(II)(CuO)、酸化ニッケル(NiO)、酸化ジルコニウム(ZrO2)またはそれらの化合物のいずれかを含む第2の顔料を備えた請求項11に記載の放熱膜用塗料。
  13. 前記顔料として、着色顔料となる酸化チタンまたは酸化亜鉛を含有させるとともに、
    前記酸化チタン粒子または前記酸化亜鉛粒子の周囲に前記遠赤外線放射性物質の顔料をコーティングせしめたことを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の放熱膜用塗料。
  14. 前記遠赤外線放射性物質を100nm以下の粒径を有する顔料のみとし、塗布乾燥により形成される膜を透明としたことを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の放熱膜用塗料。
  15. 前記溶媒が、沸点が常温より高い温度のアルコール類であり、
    前記放熱膜形成の際に前記溶媒を揮発させることによりポーラス構造を形成せしめることを特徴とする請求項1から14のいずれか1項に記載の放熱膜用塗料。
  16. 前記一液性塗料の状態において、前記遠赤外線放射性物質の顔料が無機顔料であり、塗布・乾燥により形成される塗料膜を無機成分が主成分となる放熱膜とし、熱伝導率を向上せしめた請求項1から15のいずれか1項に記載の放熱膜用塗料。
  17. アルコキシド化合物からなるバインダーと、遠赤外線放射性物質の顔料と、溶媒を備えた放熱膜用塗料を塗布して放熱膜を形成する方法であって、
    前記放熱膜用塗料において、前記バインダーのアルコキシド化合物の加水分解後のシラノール脱水縮合の進展を、前記シラノール脱水縮合により生じる塗料中に存在するSi−Oネットワーク素材の形成量と前記シラノール基の残存量が所定範囲になった状態で抑制し、塗料の全成分を混合液としてまとめた状態におけるポットライフを調整せしめた放熱膜用塗料を用いた放熱膜の形成方法。
  18. アルコキシド化合物からなるバインダーと、遠赤外線放射性物質の顔料と、溶媒を備えた放熱膜用塗料を塗布して放熱膜を形成する方法であって、
    前記アルコキシド化合物からなるバインダーとして、テトラアルコキシシランに対してトリアルコキシシランを、テトラアルコキシシラン:トリアルコキシシランが5対5から2対8の割合で配合し、前記アルコキシド化合物の加水分解後のシラノール脱水縮合により生じる塗料中に存在するSi−Oネットワーク素材の形成進行の制御とシラノール基の残存量の制御を行った放熱膜用塗料を用いた放熱膜の形成方法。
  19. アルコキシド化合物からなるバインダーと、遠赤外線放射性物質の顔料と、溶媒を備えた放熱膜用塗料を塗布して放熱膜を形成する方法であって、
    前記アルコキシド化合物からなるバインダーとして、テトラアルコキシシランに対してトリアルコキシシランとジアルコキシシランを、テトラアルコキシシラン:トリアルコキシシラン:ジアルコキシシランが4.5対4.5対1から7.2対1.8対1の割合で配合し、前記アルコキシド化合物の加水分解後のシラノール脱水縮合により生じる塗料中に存在するSi−Oネットワーク素材の形成進行の制御とシラノール基の残存量の制御を行った放熱膜用塗料を用いた放熱膜の形成方法。
  20. 前記ポットライフの調整方法が、前記放熱膜用塗料において、酸触媒を用いて前記バインダーのアルコキシド化合物による前記加水分解を促進せしめ、前記加水分解反応後の前記シラノール脱水縮合により生じる塗料中に存在するSi−Oネットワーク素材の形成量と前記シラノール基の残存量が所定範囲になった状態にて、液全体のpHを中性側に調整して前記酸触媒を減らし、前記シラノール脱水縮合の進展速度を遅延せしめる調整方法であることを特徴とする請求項17から19のいずれか1項に記載の放熱膜の形成方法。
  21. 前記pHの中性側への調整が液全体のpHを3.0〜5.5とする調整であることを特徴する請求項20に記載の放熱膜の形成方法。
  22. 前記アルコキシド化合物の加水分解後のシラノール脱水縮合を遅延させる性質を備えたポットライフ延長成分を含有せしめ、前記放熱膜用塗料のポットライフの期間内において放熱膜を塗布形成することを特徴とする請求項17から19のいずれか1項に記載の放熱膜の形成方法。
  23. 前記ポットライフ延長成分が沸点が常温より高い温度のアルコール類であり、前記アルコール類を前記溶媒として加え、溶媒リッチの状態として前記アルコキシド化合物の加水分解後のシラノール脱水縮合を遅延せしめたことを特徴とする請求項22に記載の放熱膜の形成方法。
  24. 前記遠赤外線放射性物質の顔料を前記ナノ粒子を含む無機顔料として作製し、前記ポットライフ延長成分として前記アルコキシド化合物の加水分解後のシラノール脱水縮合を遅延せしめたことを特徴とする請求項22に記載の放熱膜の形成方法。
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