JP2009151924A - 工具及び金型の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】十分な透過光量を得るために必要となる値と範囲を明確にすることで、効率の良い回折光学素子の製作を実現できる金型、その工具及び製作された光学素子を提供する。
【解決手段】光学素子10の回折溝14の第1面11と第2面12とは、光路差関数等で近似されない第3の面13で連結されており、第2の面12は光軸に対して1°以下の角度誤差で平行であり、第3の面13の光軸直角方向の幅Δ1は、それに接続される第1の面11の光軸直角方向の幅Δ2と、第3の面13の光軸直角方向の幅Δ1の和の0.5%以上かつ15%以下であるので、入射光束の散乱を極力抑制して、透過光量を高めることができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、回折溝を有する光学素子、それを形成する金型、及びその切削工具に関し、特に、光量損失を低減し有効光量を100%に近づけた光学素子、及びその形成の際に重要となる、回折溝形状、表面粗さ、金型加工条件、金型加工工具、樹脂材料などの要因を考慮し、理想的な回折光学素子を得るための金型、及び切削工具に関する。
回折光学素子は、光学素子の光学面に鋸歯状の段差を設け、ここを透過する光波について位相を変化させることで回折を発生させ、光路を曲げる働きを利用した光学素子である。母非球面形状を屈折する光束に対して、回折の効果によって光路をさらに曲げることで光学面1面で2面に相当する屈折効果を発揮できる。しかも、屈折の場合は長波長ほど光路が曲がりにくく屈折角が小さくなるが、回折による光路は長波長ほど大きく曲げられるので、両者を組み含わせることで屈折の波長依存性を低減することができる。
回折レンズの応用例としては、パソコン搭載カメラの撮像レンズや光ディスクなどのピックアップ光学素子などが挙げられる。前者は、回折効果を用いることで少ないレンズ枚数で色収差などを効率よく小さくできるので、パソコンに搭載するのに都含の良い薄くて軽量な撮像レンズが実現できる。また、後者の例では、DVDやCDなどの光ディスクから情報を読み出しから書き込みを行う際に発生する、光源となる高出力レーザーダイオードの波長変動を収差補正するのに用いられる対物レンズなどがある。
また、DVDやCDなど異なる光ディスクを共用化するため、複数の光源波長に対して良好に収差を補正し、温度変化による波長変動やモードホップに対しても良好な色収差特性を確保するために、回折効果を利用した光学素子が採用されている。
しかし、前者の撮像レンズでは、光学面表面やレンズ内部で散乱が生じると結像した画像にフレアがかかりコントラストが低くなって、画質が急激に劣化する。特に回折レンズの場合は、光学面が不連続のために画角内の全ての入射光に対して回折効率を100%にすることは設計上困難であり、理想的にレンズが出来ていても若干量の散乱が発生するという特性がある。
従って、回折レンズを製作する際に散乱を実用上問題のないレベルに低減するには、その光学面形状を可能な限り設計形状に近く創成することが通常のレンズの場合よりも重要となる。散乱の実用上問題のないレベルとして入射光量の5%以下、より好ましくは3%以下が求められる。これは、代表的なBK7などの光学ガラスによる光学面に反射防止コー卜を施さなかったときの表面反射率に相当し、少なくともコートなしの状態よりも散乱が多くならないというのが、必要な画質や回折光学面を採用するメリッ卜を求める上での目安である。
また、後者の光ディスク用ピックアップシステムの光学素子においては、レーザーダイオードは一般に高出力になるほど寿命の低下や信頼性の低下が著しいので、出来る限り低出力で使用するのが好ましく、書き込みに際して十分な光量を確保するには光路中の散乱などの光量損失を出来る限り少なくしなければならない。
この光量損失の許容範囲としては入射光量から表面反射成分を引いた値の少なくとも10%以下、より好ましくは5%以下が通常求められている。この値は、光学素子のアライメントやレーザーダイオードの光量バラツキ、受光素子の感度バラツキなどを総合して、経験的に求められている。
以上のように、回折を用いた光学素子においては、通常の連続的な光学面を持つ光学素子と比較して、散乱などの影響が大きく顕れやすく、従って散乱による光量損失の少ない理想的な回折効率を得ることが重要で、それにはまず回折光学面を理想通りの形状に作らなければならないということがある。
しかしながら、従来の回折光学素子の製作においては、この理想形状に対してどの程度の誤差であれば実用上問題がないのか明確ではなく、回折光学面を成形転写する金型を切削加工する場合では、工具の刃先形状においても、ただ鋭くすればよいというだけでどれくらい鋭くすれば良いか、またその際の副作用にはいかなるものがあるなどに関しては不明瞭であった。
また、回折溝の段差部の入射光束に対する平行度を考慮して、必要となる工具頂角を明確にするという思想はなかった。さらに、回折溝の段差以外の光学面での散乱を充分に低減する表面粗さの閾値についても明瞭ではなかった。成形金型の転写光学面をなす材料についても、切削工具の鋭い刃先の加工中の損耗を低減し維持するために、高被削性材料が必要という概念はなかった。そのため、刃先先端の鋭さが若干数の金型を切削加工しただけで鈍り、結果として理想的な回折溝形状の創成を不可能とし、入射光束の散乱を招いたり、金型光学面の加工に必要以上に工数をかけたり加工精度が不足して散乱が大きくなるなどが散見された。
本発明は、この点について要因を考察しなされたものであり、十分な透過光量を得るために必要となる値と範囲を明確にすることで、効率の良い回折光学素子の製作を実現できる金型、その工具及び製作された光学素子を提供することを目的とする。
請求項1に記載の光学素子は、光学面の少なくとも一部に、所定の光学的関数で近似される第1の面と、前記第1の面に交差する方向に延在する第2の面とを少なくとも備えた回折溝を有し、光を透過可能な光学素子であって、前記回折溝の前記第1面と前記第2面とは、前記所定の光学的関数で近似されない第3の面で連結されており、第2の面は光軸に対して1°以下の角度誤差で平行であり、前記第3の面の光軸直角方向の幅は、それに接続される前記第1の面の光軸直角方向の幅と、前記第3の面の光軸直角方向の幅の和の0.5%以上かつ15%以下であるので、入射光束の散乱を極力抑制して、透過光量を高めることができる。
本発明を、図面を参照してより詳細に説明する。図1は、光学素子の断面図であり、図2は、その回折溝付近を拡大して示す光軸方向断面図である。図2において、光学素子10は、図2の左側面に光学面10aを有している。光学面10aには、回折溝14が形成されている。回折溝14は、母非球面及び位相差もしくは光路差関数で近似される第1の面11と、光軸に対して1°以下の角度誤差で平行な第2の面12と、これらを連結する第3の面13とから形成されている。第3の面13の光軸直角方向の幅Δ1は、それに接続される前記第1の面11の光軸直角方向の幅Δ2と、第3の面13の光軸直角方向の幅Δ1の和の0.5%以上かつ15%以下である。すなわち、
(Δ1+Δ2)×0.5/100≦Δ1≦ (Δ1+Δ2)×15/100
を満たすようにしている。第3の面13は、母非球面及び位相差もしくは光路差関数で近似されないため、光学素子10の光学性能を向上させることに関与しない領域であり、従ってなるべく狭い方がよい。ところが金型製造上、工具刃先が大きさを持つため、第3の面13に対応する金型の面は必ず形成されてしまう。そこで、この面を極力小さくすることで、第3の面13を上述のごとく狭く抑え、それにより光学素子10の透過光量を十分に確保するようにしている。
回折溝の形状は、図1、2に示すように光学面の母非球面形状に対して、非球面形状をつぎはぎした段差を有する形状となっているが、この段差により光源光束が位相差を生じ回折を発生するため、特定方向へ透過光路を曲げる働きが生じる。この回折光学面を透過した光束が、入射光束から屈折率差による表面反射成分を除いた値に対して100%の光量を有すれば、回折効率は100%となるが、実際にはいくつかの要因により回折効率は100%とならない。
次に、回折光学素子の回折溝を成形転写する金型の加工方法を示す。図3に、2軸または3軸の超精密旋盤の斜視図を示す。図4は、金型切削用の工具を示す図であり、図4(a)はその斜視図であり、図4(b)は 刃先の正面図であり、羽4(c)は、刃先の側面図である。
図3において、固定基盤100上に支持されたZ方向に移動可能なスピンドルスライドテーブル102上に、エアスピンドル103が配置され、金型50を回転可能に支持している。一方、スピンドルスライドテーブル102の手前側には、X方向に移動可能な工具テーブル104が配置され、工具70を支持している。
エアスピンドル103によって金型50を回転させ、図4のごとく刃先を鋭くとがらせた剣先形状のダイアモンド工具70により、光学素子の回折溝に対応する金型50の面を切削加工する。非球面形状の加工形状誤差としては通常50nm以下が要求されるので、工具刃先の位置合わせが煩雑となる3軸よりは、より簡易で高精度加工がしやすい2軸の超精密旋盤を用いて加工されるのが一般的である。従って、金型50上で回折溝に対応する谷形状は、工具70の刃先形状がそのまま転写されるため、工具刃先がどの程度鋭いかが回折効率を左右する要因の一つとなる。図4では、工具刃先が鋭くとがっており、刃先先端が1点に収斂しているが、実際の工具の刃先先端はすくい面形状が例えば微小な円弧状であったり、平面であったり、工具製作時の微小なカケによる複雑な形状をとっていたりしており、数100nm以上の大きさを有している。本文では、この部分を第3の縁部と呼び、光学面のここで切削形成される形状を第3の面と呼ぶ。
図5は、平板の鋸歯状回折光学面で、金型加工で刃先の先端が円弧となっている工具を用いて回折溝を切削加工したときの、単一の光源波長における回折効率の低下を表すグラフであって、横軸に刃先先端の円弧半径、縦軸に回折効率をとり、回折溝の光軸に直角方向の幅(ピッチ)を10μm、20μm、40μmの3種類をとりグラフ化したものである.工具刃先半径が10μmの大きさでは、回折溝のピッチが40μmでも回折効率は82.3%まで低下し、ピッチが20μmでは66.2%、グラフにはないがピッチが10μmでは39.1%となり、ほとんど散乱されて回折効果を期待できない。工具刃先半径が3μmと小さくなっても、ピッチが40μmで回折効率は90.8%、ピッチが20μmで82.3%、ピッチが10μmでは65.4%とまだ1/3の光量が散乱されてしまう。逆に、散乱光量を前述したような目安で10%または5%以下にするには、工具刃先半径をピッチが40μmで3.5μm以下と1.5μm以下、ピッチが20μm以下では1.5μm以下と0.9μm以下、ピッチが10μm以下では0.7μm以下と0.3μm以下にそれぞれすることが必要である。
これにより、散乱光量を10%以下または5%以下とするには、回析溝の光軸に直角方向の幅(ピッチ)に対する工具刃先半径(バイトR)によって理想形状に切削できていない溝部分の同じく直角方向の幅の割合が、少なくとも10%以下であり、より好ましくは5%以下であれば良いことがわかる。
ところで、前述したように複数の波長光に対して回折を用いる場合は、回折効率は全ての使用波長に対して100%とはならないという実状がある。図6は、横軸に使用波長、縦軸に光学素子の回折効率をとって、両者の関係を示す図であるが、曲線aはDVDの光源波長である655nmで回折効率が100%となるように回折溝の段差深さを設計した場合の回折効率を示す。かかる場合、CDの使用光源波長である785nmでは、表面反射による光量損失を除いても91%まで透過光量が低下することがわかる。
一方、曲線bはCDの使用波長で回折効率が100%となるように回折溝の段差深さを設計した場合で、DVDの使用波長では、回折効率が87、5%程度まで低下し大きな光量損失を発生する。そこで、複数の光源波長を用いる回折光学素子では、通常曲線cのように、両波長のほぼ中問となる波長で回折効率が100%となるように設計波長を合わせ、どちらの使用光源波長に対してもそこそこの回折効率を維持するという手法が用いられている。曲線cは、720nmで回折効率が100%となるように回折溝の段差深さを設計し、DVDの使用波長で約98%、CD波長で約97%の回折効率を維持している。
従って、理想的な光学面が出来たとしても、このような複数波長光を用いる光学システムでは、回折光学面1面あたりで既に3%程度の光量損失を生じることになる。しかも、前述した工具刃先半径による回折効率の低下は、これらとは独立に単一波長の場合と同様に発生するので、工具刃先半径をより小さく管理する必要がある。
この場合では、回折効率を95%以上とすると、工具刃先半径による回折効率の低下分は2%以下でなければならず、ピッチが40μmで工具刃先半径は1μm以下、ピッチが20μmで工具刃先半径は0.5μm以下、ピッチが10μmでは工具刃先半径は0.1μm以下となっている。溝の光軸直角方向の幅に対する、工具刃先の大きさにより理想形状にできていない部分の同様の幅の割合は、概ね8%以下となる。
ここでは、切削工具70の刃先先端を仮に円弧としたが、実際の工具では、製作過程で刃先先端形状は刃先の頂角を研磨する際のできなりになることが多く、必ずしも正確な円弧とは限らない。しかし、回折溝幅に対する刃先の大きさが回折効率に影響を与えることに変わりはなく、回折溝幅に対する刃先先端の大きさが、前述した15%以下であることが、回折効率を2%以上低減させないために必要であり、回折効率の低下を1%以下とするには回折溝の非理想形状の割合を8%以下にする必要がある。また、工具刃先の大きさは、製作過程で最良の条件の時に約0.3μm程度なので、回折溝の非理想形状の割合を15%までとすると最小回折溝幅は2μm程度ということになる。
しかしながら、刃先を鋭利にすればするほど、工具製作中にダイアモンドの刃先が欠ける事故が発生しやすく、刃先先端の大きさが1μm以下となると急速に工具製作の収率が低下する。また、段差間の屈折面においては、刃先先端が鋭いと同じ工具送り加工した場合、表面粗さは劣化するのでこの部分での散乱発生量が増加する。従来、このような実用上の問題を加味して工具刃先先端の大きさについて吟味されたことはなく、回折効率の向上のために単に刃先先端を微小にすることのみが強調されてきた。
また、複数の波長光を用いる場合、回折効率はそれぞれの単一波長で100%となる形状では他の波長での回折効率が極端に低下してしまうので、複数の波長でそこそこ充分な回折効率となるように選択せざるを得ず、設計段階の理想回折溝形状でも使用波長に対して回折効率は100%とはなっておらず、散乱による透過光量損失が数%発生する。このような状況では、実際の光学素子における透過光量の損失は徹底的に避ける必要があるが、従来、このような多波長対応の回折光学素子について、特に注意深く検討を要することを明確にされたことはなかった。
請求項2に記載の光学素子において、前記所定の光学的関数は以下の式で表されることを特徴とする。
N=INT(Ah+Bh+C)
X(h,N)=h/(r(1+√(1-(1+K)h/r )))+A4+A6
+A8+A1010+ΔN
但し、Nは前記回折溝の輪帯番号、hは光軸からの高さ、Xは接平面からの光軸方向距離、rは第N輪帯の曲率半径、KA4〜A10は第N輪帯の非球面係数、Δ=−λ/(n−1)は光軸上1λ分の面シフト量である。上式は、「回折光学素子入門」(オプトロニクス社発行)92頁に記載されており、光軸を含む断面形状が鋸歯形状の回折面を表すことができる。ただし、λは、回折輪帯の製造波長として良い。尚、光学素子の回折面の面形状を表せるのであれば、上記関数以外を用いることも可能である。
一般に、回折輪帯(各輪帯の位置)のピッチは、位相差関数若しくは光路差関数を使って定義される。具体的には、位相差関数Φは単位をラジアンとして以下の〔数1〕で表され、光路差関数Φは単位をmmとして〔数2〕で表わされる。
Figure 2009151924
Figure 2009151924
これら2つの表現方法は、単位が異なるが、回折輪帯のピッチを表わす意味では同等である。即ち、ブレーズ化波長λ(単位mm)に対し、位相差関数の係数bに、λ/2πを掛ければ光路差関数の係数Bに換算でき、また逆に光路差関数の係数Bに、2π/λを掛ければ位相差関数の係数bに換算できる。
今、説明を簡単にする為、1次回折光を用いる回折レンズについて述べることにすると、光路差関数なら、関数値がブレーズ化波長λの整数倍を超える毎に輪帯が刻まれ、位相差関数なら、関数値が2πの整数倍を超える毎に輪帯が刻まれることになる。
例えば、屈折パワーのない円筒状の両平面の物体側面に回折輪帯を刻んだレンズを想定し、ブレーズ化波長を0.5μm=0.0005mm、光路差関数の2次係数(2乗項)を−0.05(位相差関数の2次係数に換算すると−628.3)、他の次数の係数を全て零とすると、第1輪帯の半径はh=0.1mmであり、第2輪帯の半径はh=0.141mmということになる。また、この回折レンズの焦点距離fについては、光路差関数の2次係数B2=−0.05に対して、f=−1/(2・B2)=10mmとなることが知られている。
今、上記の定義を基にした場合、位相差関数若しくは光路差関数の2次係数を零でない値とすることにより、レンズにパワーを持たせることができる。また、位相差関数若しくは光路差関数の2次以外の係数、例えば、4次係数、6次係数、8次係数、10次係数等を零でない値とすることにより、球面収差を制御することができる。尚、ここで、制御するということは、屈折パワーを有する部分が持つ球面収差を、逆の球面収差を発生させて補正したり、全体の球面収差を所望な値にすることを意味する。
請求項3に記載の前記光学素子は、情報記録及び/又は再生装置に用いる光ピックアップ装置のカップリングレンズであることを特徴とする。
請求項4に記載の光学素子は、光軸方向からの平行光を収束する対物レンズであることを特徴とする。
請求項5に記載の光学素子は、光軸方向からの発散光を収束する対物レンズであることを特徴とする。
請求項6に記載の光学素子は、コリメーターであることを特徴とする。
請求項7に記載の光学素子は、光学面の少なくとも一部に、所定の光学的関数で近似される第1の面と、前記第1の面に交差する方向に延在する第2の面とを少なくとも備えた回折溝を有し、光を透過可能な光学素子であって、前記第1の面の表面粗さRz値が、前記光源における使用波長の1/10以下であるので、入射光の散乱を抑制して、透過光量を十分に確保できる。尚、前記第1の面の表面粗さRz値の最小値は、前記光源における使用波長の1/1000以上である。また、これら表面粗さRz値は、JIS B0601−1994(ISO 4287)で定義される値である。
先のとがった切削工具によって光学面金型を旋削加工する場合、その工具送りの条件が、創成される光学面の表面粗さに大きく影響する。従って、単に回折溝のピッチや山、谷の稜線部が理想形状に近く、回折効率が理想に近くても、透過面の表面粗さが粗くては入射光束は散乱し、透過光量の低下を招く。表面粗さによる散乱は、レーリー散乱と考えると波長の4乗に反比例するので、使用光源が短波長化すると同じ表面粗さでも急速に増大して大きな透過光量損失となる。従って、使用波長によって透過光学面の表面粗さを規定するのが理にかなっており、表面粗さRz値が波長の1/10以下であれば1%を超える散乱の発生はない。表面粗さRz値とは、測定範囲の中で最も高いピーク点5つから最も低いバレー点5つを引いて平均をとったもので、平均することでノイズや異常点の影響を受けにくくした確からしいPV値(最大最小値)である。また、ダイヤモンド工具による切削加工においては、加工時の切削応力により加工表面に深さ1nmほどの加工変質層が形成されることが一般に知られており、この加工変質層では原子の並び方が加工前の状態から変化しているために、この層の厚み以下で加工表面粗さを制御することは非常に難しい。従って、表面粗さRz値は波長に換算して概ね1/1000程度が下限値となる。
請求項8に記載の光学素子において、前記所定の光学的関数は以下の式で表されることを特徴とする。
N=INT(Ah+Bh+C)
X(h,N)=h/(r(1+√(1-(1+K)h/r )))+A4+A6
+A8+A1010+ΔN
但し、Nは前記回折溝の輪帯番号、hは光軸からの高さ、Xは接平面からの光軸方向距離、rは第N輪帯の曲率半径、KA4〜A10は第N輪帯の非球面係数、Δ=−λ/(n−1)は光軸上1λ分の面シフト量である。
請求項9に記載の光学素子において、前記第2の面は、光軸に対して1°以下の角度誤差で平行であることを特徴とする。
請求項10に記載の光学素子は、情報記録及び/又は再生装置に用いる光ピックアップ装置のカップリングレンズであることを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の光学素子。
請求項11に記載の光学素子は、光軸方向からの平行光を収束する対物レンズであることを特徴とする。
請求項12に記載の光学素子は、光軸方向からの発散光を収束する対物レンズであることを特徴とする。
請求項13に記載の光学素子は、コリメーターであることを特徴とする。
請求項14に記載の金型は、光学面の少なくとも一部に、所定の光学的関数で近似される第1の面と、前記第1の面に交差する方向に延在する第2の面とを少なくとも備えた回折溝を有し、且つ光を透過可能な光学素子を、成形によって形成する際に用いる金型であって、前記光学素子の少なくとも前記第1面に対応する前記金型の面は回転切削加工により形成され、加工時における切削工具の半径方向の送り量を、前記金型の一回転当たり0.1μm以上1μm以下としたので、入射光の散乱を抑制して、透過光量を十分に確保できる。
図7は、切削加工時における金型と工具のセッティング位置関係を示す図である。実際の切削加工で屈折光学面を切削加工しているときの表面粗さRz値は、図7に示すように工具のセットの仕方によって異なる。図7(a)は、工具中心線を金型光学面の光軸に平行になるように工具をセットしたオフセット角0°の場合であり、この時回折溝の段差部分は光軸周りに円錐状になり、特に無限入射光束に対して光学的には不要部分が発生する。図7(b)は、回折溝の段差部が光軸に平行となるように工具頂角αを構成する側面の一方を光軸に平行になるように、オフセット角右α/2で工具をセッ卜した場合である。両図から明らかなように、図7(a)の関係では、Rz値は理論上、金型一回転当たりの送り量P(フィードレートと呼ぶ)に対して、P/2tan(α/2)となり、図7(b)の関係では、Rz=P/tanαとなる。この時、工具頂角αが10°以下に小さければ両者のRz値の差は、2tan(α/2)≒2*α/2=α≒tanαとなりほぼ等しくなる。
しかし、実際にこのような小さな工具頂角は、工具の製作中に刃先の欠けを頻発し、また切削加工中の刃先折損が容易に発生するため一般的ではない。また、Rz値そのものも低減することにはならない。通常、工具頂角はこれらのことを考慮して30〜40°程度にとるのが一般的であり、この時の加工表面粗さRz値を図7(c)に示す表中で比較した。図7(b)の関係の方が、工具頂角30°で7.5%、40°で15%近く、図7(a)の場合よりも表面粗さが改善できることがわかる。また、逆に同じ表面粗さRz値を得るには、図7(a)の関係よりも図7(b)の工具セットの方が、フィードレー卜Pを7.5〜15%速くして切削加工が出来るわけで、より高速で効率の良い金型加工ができる。
表面粗さRz値について説明する。従来の屈折レンズによるピックアップ用対物レンズやコリメーターなどの例では、使用波長が650nmの時、光学面の表面粗さRz値は、大凡50nmで、成形されたレンズの表面散乱による光量損失は1%以下であった。このことよりダイアモンド工具によって切削した金型光学面により成形されたレンズの表面粗さRz値は、使用光源波長の1/10以下であれば、レーリー散乱による光量損失をほとんど無視できる程度に減少できることがわかる。
さらにより良い表面粗さを得るには、光学面の切削加工の際に工具の送る速度を低くして、前述した金型光学面1回転当たりの工具送り量(フィードレート)Pを小さくしてやれば良い。しかし、フィードレートPを小さくすると言うことは切削加工時間が長くなることを意味し、実用的には現状のフィードレートの1/10倍程度が生産性の上で限界となる。先のとがった工具によって切削加工した光学面の表面粗さRz値は、図7(c)の表に示すようにフィードレートPに比例するので、この条件で切削加工したときに得られるRz値は、前述の1/10であるから使用光源波長の1/100程度となる。以上を整理すると、レーリー散乱による光量損失の影響をなくすには、Rz値が使用光源波長の1/10以下であれば良く、実用的には同時に1/100以上であることが好ましい。
ところで、工具による金型光学面の切削加工において、前述した使用光源波長の1/1000以上で1/10以下の範囲となるRz値を満たすフィードレートPを求めると、使用光源波長が650nm、工具は図7(b)で示す刃先頂角30°、オフセット角15°とすると、図7(c)の表から37.5nm/rev(nm/回転)以下で3.75nm/rev以上の範囲となる。これは、工具の刃先先端が完全な頂点となっている場合の数値であるが、通常のフィードレートが2〜4μm/revであるのに比較して、極端に低速な送りが必要であることがわかる。実際の金型加工ではこのような小さなフィードレート値では生産性が低すぎて大量の金型を必要とする場合には全く実用性がない。
しかしながら、実際の剣先バイ卜の刃先先端では、製作上の収率や効率の点で鋭く作るのにも限界があり微小なR状になっている場合が多い。場合によっては、カケを防ぐために故意に刃先先端を切り落として面取りを行うことすらある。このように、刃先先端に微小な円弧がある状況では、加工表面粗さを低く押さえたまま、フィードレート値を以下のように大きく改善できる。
刃先先端にRがついている場合のフィードレートPと加工表面粗さRz値との間には以下の関係が知られている。
Rz=R(1−cosφ) ただし、φ=Sin−1(P/2R) (式1)
これに基づいて、前述した刃先先端が頂点の場合も含め、λ=650nmの時の各Rz値におけるフィードレートPを求めると以下の[データ1]のようになる。刃先先端Rは、図5でも示したように3μm以下で急速に回折効率が向上し、1μm以下では微小化に伴う回折効率の向上が緩やかになる。そのため本発明では、刃先先端がRでない場合も含めて、式2に基づき刃先頂角αが90°の場合まで考慮して、頂点位置から0.1μmから3μmの範囲で刃先先端がある場合を規定している。一方、工具の製作におけるカケや研磨摩耗などによる収率低下や効率などと、実際の切削加工中のカケや刃先折損などを少なくする実用的な見地から、刃先先端Rは0.3μm程度が限界と言われているので、刃先先端Rは0.3〜0.5μm程度が回折効率を高く維持し、安定して供給でき加工できる最適範囲と言える。これも、前述した刃先先端がRでない場合も含めて、刃先頂角が一般的な40°前後とすると、より好ましい範囲として頂点から0.2〜1.5μmの範囲に刃先先端があることとなる。以下の[データ1]は、この範囲について刃先先端Rを変えてフィードレートを算出したものである。
[データ1]
刃先先端R Rz=λ/10 Rz=λ/100
R=0 37.5nm/rev 3.8nm/rev
R=0.1μm 187nm/rev 57.7nm/rev
R=0.3μm 241nm/rev 111nm/rev
R=0.5μm 361nm/rev 147nm/rev
ここで、工具の製作上の刃先先端Rの限界値である0.3μmと、先端Rがゼロ、すなわち理想的な頂点である場合とを比較すると、Rz値でλ/100(6.5nm)の表面粗さを得るには、フィードレートにおいて15倍以上の差があり、これはそのまま刃先先端Rを0.3μmにした方が、金型切削加工の効率が15倍向上できることを示している。また、刃先先端R0.3μmとは、ただ製作上の収率や効率の点で限界であるだけでなく、切削加工においてもレーリー散乱を押さえ実用的な生産性を確保する上で、微小さの限界であることがこれでわかる。以上を要約すると、剣先バイトで金型光学面を切削加工する場合、フィードレートは刃先先端Rの大きさに合わせて決めることが理想的であるが、少なくとも1μm/rev以下である必要があり、かつ100nm/rev以上であることが好ましい。
刃先頂点から全刃先が入るまでの距離Dから等価刃先先端Rを求める。刃先頂点からの距離D内に入る剣先バイトの刃先において、刃先先端形状は必ずしも円孤ではないが、刃先の大きさがさほど違わない等価的な円弧とおいて一般化することで、加工表面粗さRz値や切削条件であるフィードレートなどの目安値を得ることができる。そこでこの等価刃先先端Rを以下の式で求めることとする。αは刃先頂角である。
R=D・tan(α/2) (式2)
請求項15に記載の金型において、前記第2の面は、光軸に対して1°以下の角度誤差で平行であることを特徴とする。
請求項16に記載の光学素子は、請求項14又は15に記載の金型を用いて射出成形もしくは射出圧縮成形されることにより形成されたことを特徴とする。
請求項17に記載の光学素子において、前記所定の光学的関数は以下の式で表されることを特徴とする。
N=INT(Ah+Bh+C)
X(h,N)=h/(r(1+√(1-(1+K)h/r )))+A4+A6
+A8+A1010+ΔN
但し、Nは前記回折溝の輪帯番号、hは光軸からの高さ、Xは接平面からの光軸方向距離、rは第N輪帯の曲率半径、KA4〜A10は第N輪帯の非球面係数、Δ=−λ/(n−1)は光軸上1λ分の面シフト量である。
請求項18に記載の光学素子は、情報記録及び/又は再生装置に用いる光ピックアップ装置のカップリングレンズであることを特徴とする。
請求項19に記載の光学素子は、光軸方向からの平行光を収束する対物レンズであることを特徴とする。
請求項20に記載の光学素子は、光軸方向からの発散光を収束する対物レンズであることを特徴とする。
請求項21に記載の光学素子は、コリメーターであることを特徴とする。
請求項22に記載の工具は、光学面の少なくとも一部に、所定の光学的関数で近似される第1の面と、前記第1の面に交差する方向に延在する第2の面と、前記第1の面と前記第2の面とを接続する第3の面とを少なくとも備えた回折溝を有し、且つ光を透過可能な光学素子を、成形によって形成する際に用いる金型を切削するための工具であって、前記金型の面の少なくとも一部は、前記工具を用いた回転切削加工により形成され、前記回転切削加工の際に前記工具における前記金型の回転方向に対抗するすくい面が少なくとも、前記光学素子の第2の面に対応する前記金型の面を切削形成する第1の縁部と、前記第1の縁部に交差する方向に延在する第2の縁部と、前記第1の縁部と前記第2の縁部とを接続し、前記光学素子の第3の面に対応する前記金型の面を切削形成する第3の縁部とで輪郭づけられており、前記第1の縁部の延長線と前記第2の縁部の延長線との交点から、前記第3の縁部までの距離は0.1μm以上3μm以下であるので、かかる工具を用いて切削された金型により成形される光学素子において、入射光の散乱を抑制して、透過光量を十分に確保することができる。
本発明を、図面を参照してより詳細に説明する。図8は、旋削中の工具70と金型50との関係を示す図である。図8において、金型50は、工具70により、光学素子の回折溝(図2参照)における上述した所定の光学的で近似される第1の面に対応する面11’と、光軸に対して略平行な第2の面に対応する面12’と、これらを連結する第3の面に対応する13’とを形成される。このとき、金型50の回転方向に対して対抗する工具70のすくい面74が、金型50の面12’を切削形成する第1の縁部71と、第1の縁部71に交差する方向に延在する第2の縁部72と、第1の縁部71と第2の縁部72とを接続し、金型50の面13’を切削形成する第3の縁部73とで輪郭づけられており、第1の縁部71の延長線と第2の縁部72の延長線との交点Cから、第3の縁部73までの距離Δ3が0.1μm以上3μm以下であるので、金型50の面13’を小さく抑え、かかる工具70を用いて切削された金型50により成形される光学素子において、入射光の散乱を抑制して、透過光量を十分に確保することができるのである。
請求項23に記載の金型は、請求項22に記載の工具を用いて加工されたことを特徴とする。
請求項24に記載の金型において、前記第2の面は、光軸に対して1°以下の角度誤差で平行であることを特徴とする。
請求項25に記載の光学素子は、請求項23又は24に記載の金型を用いて射出成形もしくは射出圧縮成形されることにより形成されたことを特徴とする。
請求項26に記載の光学素子において、前記所定の光学的関数は以下の式で表されることを特徴とする。
N=INT(Ah+Bh+C)
X(h,N)=h/(r(1+√(1-(1+K)h/r )))+A4+A6
+A8+A1010+ΔN
但し、Nは前記回折溝の輪帯番号、hは光軸からの高さ、Xは接平面からの光軸方向距離、rは第N輪帯の曲率半径、KA4〜A10は第N輪帯の非球面係数、Δ=−λ/(n−1)は光軸上1λ分の面シフト量である。
請求項27に記載の光学素子は、情報記録及び/又は再生装置に用いる光ピックアップ装置の力ップリングレンズであることを特徴とする。
請求項28に記載の光学素子は、光軸方向からの平行光を収束する対物レンズであることを特徴とする。
請求項29に記載の光学素子は、光軸方向からの発散光を収束する対物レンズであることを特徴とする。
請求項31に記載の工具は、光学面の少なくとも一部に、所定の光学的関数で近似される第1の面と、前記第1の面に交差する方向に延在する第2の面と、前記第1の面と前記第2の面とを接続する第3の面とを少なくとも備えた回折溝を有し、光源からの光を透過可能な光学素子を、成形によって形成する際に用いる金型を切削するための工具であって、前記金型の面の少なくとも一部は前記工具を用いて回転切削加工により形成され、前記回転切削加工の際に前記工具における前記金型の回転方向に対抗するすくい面が、少なくとも、前記光学素子の第2の面に対応する前記金型の面を切削形成する第1の縁部と、前記第1の縁部に交差する方向に延在する第2の縁部と、前記第1の縁部と前記第2の縁部とを接続し、前記光学素子の第3の面に対応する前記金型の面を切削形成する第3の縁部とで輸郭づけられており、前記第1の縁部と前記第2の縁部との成す角度αは、前記光学面に対価する前記金型の最大法線角をθmaxとし、工具の光学面光軸に対する設定角(いわゆるオフセット角)をSとしたときに、5°以上かつθmax≦(90−(α/2+S))°を満たすので、金型に工具干渉を生じさせることが無く、より適切な形状の光学素子の製造を可能とする。
特に、高NAレンズの成形金型では光学面の曲率が強くなる傾向があるので、図9に示すような金型断面において、光学面形状50aの最外周付近で光学面形状の法線角θ(法線と光軸Lの成す角)が非常に大きくなる場合があり、この時には従来の工具を不用意に用いると、工具干渉(工具の切れ刃でない部分が加工中に金型にあたってしまう不具合)が発生する恐れがある。以下に、従来容易に発生した工具干渉について説明する。
工具干渉の第1の態様としては、以下のようなことがある。回折効率を低下させないためには、光学素子の回折溝の段差部(図2でいう第2の面12)が入射光束に対して平行である必要がある。従って、入射光束が無限遠光の場合は、段差部は光軸に平行な円筒状の面となる。また入射光束が発散光の場合は、入射光束に対して影を作らないように段差部がオーバーハングする円錐形状が理想的であるが、これではレンズ成形時にアンダーカットとなってしまい、射出成形した光学素子が金型に張り付いて離型しないという問題が生じる。そのため、段差部はこれらの入射光束において、光軸と平行で円筒状であるのが好ましい。
しかしながら、工具を用いて成形金型を切削加工する際には、図7(b)に示したように工具を、外周方向ヘオフセット角S(例えば頂角αの1/2の角度)だけ傾けてセッティングする必要がある。したがって、工具の余裕は90°−(α/2+S)°だけしかなく、金型が切削加工中に工具に干渉しないためには、光学面のどこの法線角もこの値より小さくなくてはならない。しかも実際の光学素子では、光学面の半径方向外方に、固定のためのフランジ部を付けるために有効径よりもさらに外周に光学面を延長する形状が必要とされることが多いため、実際には光束は通らないこの延長部分においても、工具の光学面光軸に対する設定角をSとしたときに、5°以上かつθmax≦(90−(α/2+S))°を満たしていなければならないことがわかる。尚、工具の「オフセット角」とは、工具を加工機にセットした際に、刃先頂角αの2等分線が切削加工する光学面の光軸に対して成す角度を指す。
従って、予め加工する回折光学面の形状関数がわかれば、その微分値から法線角θはわかるので、加工範囲で最大の法線角θmaxを求めておけば、前式より工具干渉の発生しない限界の頂角αmaxが求められ、所望の形状を安全に切削加工できる。ただし、工具の頂角はあまり小さくなると、工具製作上の収率が低下し高価となりまた剛性も低下するので、ビビリや折損などの加工中の事故を発生しやすい。そのため、頂角10°程度が光学素子成形金型用の工具としての実用限界であるといえる。このときのオフセット角は、回折溝の段差部を光軸と平行にするためには、5°以上となる。
請求項32に記載の金型は、請求項31に記載の工具を用いて加工されたことを特徴とする。
請求項33に記載の金型は、前記第2の面は、光軸に対して1°以下の角度誤差で平行であることを特徴とする。
請求項34に記載の金型は、前記最大法線角θが、40°以上70°以下の範囲に、前記光学素子の前記回折溝に対応する溝が形成されていることを特徴とする。
請求項35に記載の光学素子は、請求項32〜34のいずれかに記載の金型を用いて射出成形もしくは射出圧縮成形されることにより形成されたことを特徴とする。
請求項36に記載の光学素子において、前記所定の光学的関数は以下の式で表されることを特徴とする。
N=INT(Ah+Bh+C)
X(h,N)=h/(r(1+√(1-(1+K)h/r )))+A4+A6
+A8+A1010+ΔN
但し、Nは前記回折溝の輪帯番号、hは光軸からの高さ、Xは接平面からの光軸方向距離、rは第N輪帯の曲率半径、KA4〜A10は第N輪帯の非球面係数、Δ=−λ/(n−1)は光軸上1λ分の面シフト量である。
請求項37に記載の光学素子は、情報記録及び/又は再生装置に用いる光ピックアップ装置の力ップリングレンズであることを特徴とする。
請求項38に記載の光学素子は、光軸方向からの平行光を収束する対物レンズであることを特徴とする。
請求項39に記載の光学素子は、光軸方向からの発散光を収束する対物レンズであることを特徴とする。
請求項40に記載の光学素子は、コリメーターであることを特徴とする。
請求項41に記載の工具は、光学面の少なくとも一部に、所定の光学的関数で近似される第1の面と、前記第1の面に交差する方向に延在する第2の面と、前記第1の面と前記第2の面とを接続する第3の面とを少なくとも備えた回折溝を有し、且つ光を透過可能な光学素子を、成形によって形成する際に用いる金型を切削するための工具であって、前記金型の面の少なくとも一部は前記工具を用いて回転切削加工により形成され、前記回転切削加工の際に前記工具における前記金型の回転方向に対抗するすくい面が少なくとも、前記光学素子の第2の面に対応する前記金型の面を切削形成する第1の縁部と、前記第1の縁部に交差する方向に延在する第2の縁部と、前記第1の縁部と前記第2の縁部とを接続し、前記光学素子の第3の面に対応する前記金型の面を切削形成する第3の縁部とで輸郭づけられており、前記すくい面と前記第1の縁部を構成する工具の第1の側面、及び前記第2の縁部を構成する第2の側面において、すくい面に対する第1の側面の傾き角と、第2の側面の傾き角とが互いに異なっており、その差が1°以上20°以下であるので、金型に工具干渉を生じさせることが無く、より適切な形状の光学素子の製造を可能とする。差が1°未満なら効果が少なく、20°を超えると、工具製作が困難であるからである。尚、傾き角とは、すくい面の第1の縁部と第2の縁部で、すくい面に直交する仮想面に対して、第1の側面と第2の側面のそれぞれなす角をいう。
工具干渉の異なる態様について説明する。従来の工具刃先のダイアモンド形状は、図4で示したように、頂角を構成する側面75,76が、すくい面74に対して直角から数度傾き角を以て交わることによって、第1逃げ角β1を形成している。さらに第2逃げ面77を形成することにより、側面75,76が下方に長くのびて金型の光学面形状に干渉することがないようにデザインされている。しかし、第1逃げ角β1は、工具製作中にカケなどが発生するため、最大で10°程度が限界となっており、側面75,76の傾き角は頂角αによるが数度が限界となる。
従来の工具では、側面75,76のこの傾き角を左右同じ角度だけとっており、刃先の形状は左右対称形状となっていた。そのため、側面の傾き角は頂角αが決まると一義的に決まってしまい、もし側面75,76と第2逃げ面77の稜線が工具干渉を発生する場合は、第2逃げ面77の角度β2を通常40°から50°近くまでとることが行われていた。当然ながら、これは刃先の強度を低下させ、加工中のビビリやカケの発生を増加させ、高精度な回折光学面形状の加工を難しくしていた。
そこで、本発明者は、理想的な回折光学面形状を切削加工するのに、工具のセッティングが図7(b)に示すようであるならば、金型光学面形状の内周側の側面は、傾き角0°でも全く問題ないことを見いだした。従って、工具干渉を発生する光学面外周側の側面の傾き角を、これにより2倍近く増加させることができ、これによって側面75,76と第2逃げ面77との稜線が工具中心ヘより大きく逃げるため、刃先強度を低下させることなく、また製作上の効率を低下させることなく工具干渉を避けることが出来ることを見いだしたのである。
請求項42に記載の金型は、請求項41に記載の工具を用いて加工されたことを特徴とする。
請求項43に記載の金型は、前記第2の面は、光軸に対して1°以下の角度誤差で平行であることを特徴とする。
請求項44に記載の光学素子は、請求項43に記載の金型を用いて射出成形もしくは射出圧縮成形されることにより形成されたことを特徴とする。
請求項45に記載の光学素子は、前記所定の光学的関数は以下の式で表されることを特徴とする。
N=INT(Ah+Bh+C)
X(h,N)=h/(r(1+√(1-(1+K)h/r )))+A4+A6
+A8+A1010+ΔN
但し、Nは前記回折溝の輪帯番号、hは光軸からの高さ、Xは接平面からの光軸方向距離、rは第N輪帯の曲率半径、KA4〜A10は第N輪帯の非球面係数、Δ=−λ/(n−1)は光軸上1λ分の面シフト量である。
請求項46に記載の光学素子は、情報記録及び/又は再生装置に用いる光ピックアップ装置のカップリングレンズであることを特徴とする。
請求項47に記載の光学素子は、光軸方向からの平行光を収束する対物レンズであることを特徴とする。
請求項48に記載の光学素子は、光軸方向からの発散光を収束する対物レンズであることを特徴とする。
請求項49に記載の光学素子は、コリメーターであることを特徴とする。
請求項50に記載の工具は、光学面の少なくとも一部に、所定の光学的関数で近似される第1の面と、前記第1の面に交差する方向に延在する第2の面と、前記第1の面と前記第2の面とを接続する第3の面とを少なくとも備えた回折溝を有し、且つ光を透過可能な光学素子を、成形によって形成する際に用いる金型を切削するための工具であって、前記金型の面の少なくとも一部は前記工具を用いて回転切削加工により形成され、前記回転切削加工の際に前記工具における前記金型の回転方向に対抗するすくい面が少なくとも、前記光学素子の第2の面に対応する前記金型の面を切削形成する第1の縁部と、前記第1の縁部に交差する方向に延在する第2の縁部と、前記第1の縁部と前記第2の縁部とを接続し、前記光学素子の第3の面に対応する前記金型の面を切削形成する第3の縁部とで輸郭づけられており、前記すくい面と前記第1の縁部を構成する工具の第1の側面、及び前記第2の縁部を構成する第2の側面において、少なくともどちらか一方の側面がすくい面に対する第1の傾き角を有して、前記第1側面と前記第2側面の交線によって第1逃げ角を構成し、さらに少なくとも前記第1の側面または第2の側面がさらにすくい面に対して第2の傾き角を有し、少なくともこの第2の傾き角を有する側面ともう一方の側面とが交線を形成しこの交線が第2逃げ角を構成するので、金型に工具干渉を生じさせることが無く、より適切な形状の光学素子の製造を可能とする。
さらに工具干渉を確実に避けるために、本発明者は全く新規なデザインの工具を提案する。図10は、本発明にかかる新規な工具の斜視図である。図10において、工具70の側面75’は、上方側面75a’と下方側面75b’とから形成され、上方側面75a’の第1の傾き角が例えば5°である場合、下方側面75b’の第2の傾き角は5°を超えた値であると好ましい。
このように、側面75’の傾き角を従来のように1段だけではなく2段として、この2段目の傾き角により側面同志が交わることで第2逃げ角β2を形成し、第2逃げ面を省略している。これにより、側面75’は第1傾き角の部分が第1逃げ角の刃厚と同じだけ薄くなって第2傾き角につながるので、従来に比べて飛躍的に工具干渉を回避することが出来る。また、実際に切れ刃を有する第1逃げ角β1の刃厚部分は従来と全く同じ形状なので、刃先強度の極端な低下を防ぐことが出来る。さらに、前述した非対称側面傾き角にも対応できる形状なので、これを組み合わせることで曲率の極端に小さな光学面や高NAレンズ用の金型を、工具干渉することなく十分な余裕と強度をもって切削加工することが出来る。
請求項51に記載の金型は、請求項50に記載の工具を用いて加工されたことを特徴とする。
請求項52に記載の金型は、前記第2の面は、光軸に対して1°以下の角度誤差で平行であることを特徴とする。
請求項53に記載の光学素子は、請求項52に記載の金型を用いて射出成形もしくは射出圧縮成形されることにより形成されたことを特徴とする。
請求項54に記載の光学素子において、前記所定の光学的関数は以下の式で表されることを特徴とする。
N=INT(Ah+Bh+C)
X(h,N)=h/(r(1+√(1-(1+K)h/r )))+A4+A6
+A8+A1010+ΔN
但し、Nは前記回折溝の輪帯番号、hは光軸からの高さ、Xは接平面からの光軸方向距離、rは第N輪帯の曲率半径、KA4〜A10は第N輪帯の非球面係数、Δ=−λ/(n−1)は光軸上1λ分の面シフト量である。
請求項55に記載の光学素子は、情報記録及び/又は再生装置に用いる光ピックアップ装置のカップリングレンズであることを特徴とする。
請求項56に記載の光学素子は、光軸方向からの平行光を収束する対物レンズであることを特徴とする。
請求項57に記載の光学素子は、光軸方向からの発散光を収束する対物レンズであることを特徴とする。
請求項58に記載の光学素子は、コリメーターであることを特徴とする。
本明細書中で用いる回折溝とは、レンズの表面に、レリーフを設けて、回折によって光束を集光あるいは発散させる作用を持たせた溝のことをいう。レリーフの形状としては、例えば、レンズの表面に、光軸を中心とする略同心円状の輪帯として形成され、光軸を含む平面でその断面をみれば各輪帯は鋸歯のような形状が知られているが、そのような形状を含むものである。
本明細書中において、対物レンズとは、狭義には光ピックアップ装置に光情報記録媒体を装填した状態において、最も光情報記録媒体側の位置で、これと対向すべく配置される集光作用を有するレンズを指し、広義にはそのレンズと共に、アクチュエータによって少なくともその光軸方向に作動可能なレンズ群を指すものとする。ここで、かかるレンズ群とは、少なくとも1枚以上(例えば2枚)のレンズを指すものである。従って、本明細書中において、対物レンズの光情報記録媒体側(像側)の開口数NAとは、対物レンズの最も光情報記録媒体側に位置するレンズ面の開口数NAを指すものである。また、本明細書中では必要開口数NAは、それぞれの光情報記録媒体の規格で規定されている開口数、あるいはそれぞれの光情報記録媒体に対して、使用する光源の波長に応じ、情報の記録または再生をするために必要なスポット径を得ることができる回折限界性能の対物レンズの開口数を示す。
本明細書中において、光情報記録媒体とは、例えば、CD−R、CD−RW、CD−Video、CD−ROM等の各種CD系の光ディスク、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−R、DVD−RW、DVD−Video等の各種DVD系の光ディスクを意味するものである。
本発明によると、十分な透過光量を得るために必要となる値と範囲を明確にすることで、効率の良い回折光学素子の製作を実現できる金型、その工具及び製作された光学素子を提供することができる。
本発明にかかる光学素子の断面図である。 光学素子の回折溝付近を拡大して示す光軸方向断面図である。 2軸または3軸の超精密旋盤の斜視図である。 金型切削用の工具を示す図であり、(a)は斜視図であり、(b)は刃先の正面図であり、(c)は刃先の側面図である。 平板の鋸歯状回折光学面で、金型加工で刃先の先端が円弧となっている工具を用いて回折溝を切削加工したときの、単一の光源波長における回折効率の低下を表すグラフである。 横軸に使用波長、縦軸に光学素子の回折効率をとって、両者の関係を示す図である。 切削加工時における金型と工具のセッティング位置関係を示す図である。 旋削中の工具70と金型50との関係を示す図である。 金型断面を示す図である。 本発明にかかる新規な工具の斜視図である。
本発明を実施するための形態は、上記課題を解決するための手段に記載のとおりである。
以下、本発明の実施例について説明する。尚、オフセット角について、左に工具をふる場合と右にふる場合があるので、これらは、それぞれオフセット角左20°、オフセット角右20°とする。以下の実施例では、工具を左にふっている。
(実施例1)
刃先頂角40°の工具(以下、剣先バイトという)の刃先先端部は、800倍の光学顕微鏡で観察したところ弦長約1μmの円弧状となっていた。従って、刃先形状は半径0.5μmの円弧とほぼ見なせた。この時、刃先頂点からこの円弧全周までの距離は、0.5μm/sin20°=1.46μmで、3μm以内であった。この剣先バイトを20°オフセットして超精密旋盤(図3)に取付け、回折溝段差部が加工光学面の光軸に対して角度誤差1°以内で平行となるようにセッティングし、DVD/CD兼用プラスチック対物レンズの金型回折光学面を切削加工した。一方、頂角40°、刃先すくい面R3μmで真円度50nm以下に仕上げられたRバイトを用いて、超精密旋盤に20°オフセットして同じ形状のピックアップ用対物レンズの成形金型の回折光学面を切削加工した。切削加工条件は、両者で同じである。得られた前者と後者の加工金型の表面粗さRz値を測定した後、同一のダイセットに組み込んで全く同一条件で射出成形を行い、同仕様のDVD/CD兼用プラスチック対物レンズをそれぞれ得た。この対物レンズをピックアップユニットに実装して、DVDとCDにおけるアイパターンの信号振幅を測定した。以上の結果を[データ2]に示す。
[データ2]
金型表面粗さ 最大刃先鈍り幅 DVD信号 CD信号
Rz /回折溝幅 振幅 振幅
剣先バイト加工 42.1nm 3.8% 1.756Vpp 1.323Vpp
金型成形レンズ
Rバイト加工 12.3nm 21.1% 1.251Vpp 1.278Vpp
金型成形レンズ
加工金型の表面粗さRz値では、剣先バイトによる金型の方が約3倍悪いにもかかわらず、使用光源波長(650nm)の1/15以下であるため、散乱による光量損失はほとんど発生していない。むしろ、刃先先端Rが約3倍鋭利なことにより、刃先先端形状による回折溝の不完全形状部の回折溝幅に対する割合がRバイトの1/6近くになっているため回折効率が大きく向上し、回折光の影響が大きいDVD信号での振幅値は、Rバイトで切削した金型の方より29%も向上している。この結果、剣先バイトにより切削した金型では、表面粗さRz値が波長の1/1000以上1/10以下にあり、切削した回折溝の不完全形状部の回折溝幅に対する割合が0.5%以上15%以下であれば、散乱が少なく十分な透過光量を得ることが出来た。
(実施例2)
刃先先端が、頂点位置から1.3μm以内にある頂角30°の剣先バイトを用いて、使用光源波長405nmのピックアップ用対物レンズの成形金型回折光学面を切削加工した。加工に際して、限界Rz値をλ/10(40.5nm)にし、刃先先端が円弧と見なしたときのRを式2により算出し、348nmを得た。この値と限界Rz値より式1を用いてフィードレートを算出すると、244nm/revを得た。この切削条件に従って、主軸回転数2000rpm、工具送り速度0.5mm/minに設定して回折光学面の切削加工を行い、できあがった金型をダイセットに組み込んで射出圧縮成形を行い、低複屈折で金型形状転写性にすぐれたプラスチック対物レンズを得た。このレンズの透過光量を測定したところ、反射防止コート無しで89.2%(材料屈折率n400=1.55)であり、垂直入射による表面反射の光量損失計算値9.3%(両面)に対して、ほぼ理想的な値を得ることができた。
(実施例3)
刃先頂角40°の剣先バイトで、第一逃げ角10°、第二逃げ面角度40°仕様と刃先頂角のみ30°で他は同一仕様の剣先バイト、刃先頂角30°で刃先側面の傾き角が非対称の剣先バイトの計3種類の工具を用いて、有効径外である金型最外周で最大法線角53°となるDVD用ピックアップ対物レンズの成形金型の回折光学面を切削加工した。刃先頂角40°の工具をオフセット角左20°で、回折溝の段差部が加工光学面の光軸に対して角度誤差1°以下で平行となるように超精密旋盤に取り付け、金型の最外周部から切削を開始したが、最外周部に円錐状の光学面が創成され、工具のすくい面と側面の稜線が金型に干渉していることがわかった。そこで、刃先頂角30°の工具に切り替え、工具ホルダーはそのままで20°のオフセット角を設けて工具を取り付け切削加工したところ、金型光学面の最外周部で側面と第2逃げ面との稜線が金型に接触していることがわかった。第2逃げ面の逃げ角を測定したところ、38.5°とわずかに40°に足らず、工具製作上のバラツキによりたまたま第2逃げ角の小さな工具に当たって工具干渉が発生したことがわかった。
そこで、刃先頂角30°であるが、オフセット方向の刃先側面の傾きが0°で、もう一方の刃先側面の傾きが4.9°の非対称剣先バイトをオフセット角左20°で超精密旋盤に取り付け、再度金型光学面を切削加工した。工具干渉は発生せず、加工中の工具側面と光学面との間隔も大きいので、切り屑排除や切削液の回り込みが十分行え、その結果切り屑の巻き込みが少ない品位の高い光学面が得られた。ちなみに、工具干渉を発生した刃先頂角30°の対称剣先バイトの刃先側面の傾き角は、左右とも2°であった。
以上から、刃先頂角40°の工具では、法線角は(90°−(40°/2+20°))=50°となり、最大法線角53°より小さくなってしまうので、すくい面と側面の稜線で工具干渉が発生することが裏付けられた。また、刃先頂角30°でオフセット角20°の場合は、(90°−(30°/2+20°))=55°となり、すくい面と側面の稜線で工具干渉することはなくなったが、刃先側面の傾き角が小さいので側面と第2逃げ面との稜線で工具干渉を生じてしまった。しかし、これも刃先側面の傾き角を非対称にすることで、金型光学面に接近する側面の逃げを大きくでき、工具干渉の発生を抑制できた。
(実施例4)
刃先頂角25°、第一逃げ角10°、第二逃げ面角40°で、右側側面の傾き角4.9°、左側側面の傾き角0°の非対称形状の剣先バイトと、刃先頂角25°、第一逃げ角10°、第二逃げ面はなく左右側面の交わりで第二逃げ角稜線が形成され、第二逃げ角40°、右側側面の第一傾き角を4.9°で第2傾き角が20°、左側側面は傾き角0°で第2傾き角はない非対称形状の剣先バイトを用いて、最大法線角61.6°のNA0.85ピックアップ用回折対物レンズの成形金型光学面を切削加工した。どちらの工具も法線角(90°−(25°/2+15°))=62.5°で、最大法線角に対して刃先頂角の工具干渉はかわせることがわかったので、オフセット角左15°で超精密旋盤にセットした。
前者の工具により金型光学面を切削加工したところ、光学面の外周部において右側側面と第2逃げ面の稜線が金型に干渉し、回折光学面が創成できなかったばかりか、光学面を大きく破損したので再加工しても使用できなくなった。そこで同じ新規の金型を用意し、後者の工具を用いて切削加工したところ、工具干渉が発生することなく光学面の切削加工ができた。
刃先形状の側面は、実施例4に示すように片側だけ2段の傾き角をとっても良いし、傾き角を左右側面で1°以上変えて非対称形状としても良く、これらの組み合わせを行って相乗効果で工具の逃げを増加させ、より工具干渉の発生しがたい形状としても良い。本発明の範囲は、個々の工具干渉を回避する手段であっても、まだそれらの組み含わせであっても良い。
10 光学素子
50 金型
70 工具

Claims (58)

  1. 光学面の少なくとも一部に、所定の光学的関数で近似される第1の面と、前記第1の面に交差する方向に延在する第2の面とを少なくとも備えた回折溝を有し、光を透過可能な光学素子であって、前記回折溝の前記第1面と前記第2面とは、前記所定の光学的関数で近似されない第3の面で連結されており、第2の面は光軸に対して1°以下の角度誤差で平行であり、前記第3の面の光軸直角方向の幅は、それに接続される前記第1の面の光軸直角方向の幅と、前記第3の面の光軸直角方向の幅の和の0.5%以上かつ15%以下であることを特徴とする光学素子。
  2. 前記所定の光学的関数は以下の式で表されることを特徴とする請求頂1に記載の光学素子。
    N=INT(Ah+Bh+C)
    X(h,N)=h/(r(1+√(1-(1+K)h/r )))+A4+A6
    +A8+A1010+ΔN
    但し、Nは前記回折溝の輪帯番号、hは光軸からの高さ、Xは接平面からの光軸方向距離、rは第N輪帯の曲率半径、KA4〜A10は第N輪帯の非球面係数、Δ=−λ/(n−1)は光軸上1λ分の面シフト量である。
  3. 前記光学素子は、情報記録及び/又は再生装置に用いる光ピックアップ装置のカップリングレンズであることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の光学素子。
  4. 前記光学素子は、光軸方向からの平行光を収束する対物レンズであることを特徴とする請求項3に記載の光学素子。
  5. 前記光学素子は、光軸方向からの発散光を収束する対物レンズであることを特徴とする請求項3に記載の光学素子。
  6. 前記光学素子は、コリメーターであることを特徴とする請求項3に記載の光学素子。
  7. 光学面の少なくとも一部に、所定の光学的関数で近似される第1の面と、前記第1の面に交差する方向に延在する第2の面とを少なくとも備えた回折溝を有し、光を透過可能な光学素子であって、前記第1の面の表面粗さRz値が、前記光源における使用波長の1/10以下であることを特徴とする光学素子。
  8. 前記所定の光学的関数は以下の式で表されることを特徴とする請求頂7に記載の光学素子。
    N=INT(Ah+Bh+C)
    X(h,N)=h/(r(1+√(1-(1+K)h/r )))+A4+A6
    +A8+A1010+ΔN
    但し、Nは前記回折溝の輪帯番号、hは光軸からの高さ、Xは接平面からの光軸方向距離、rは第N輪帯の曲率半径、KA4〜A10は第N輪帯の非球面係数、Δ=−λ/(n−1)は光軸上1λ分の面シフト量である。
  9. 前記第2の面は、光軸に対して1°以下の角度誤差で平行であることを特徴とする請求項7又は8に記載の光学素子。
  10. 前記光学素子は、情報記録及び/又は再生装置に用いる光ピックアップ装置のカップリングレンズであることを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の光学素子。
  11. 前記光学素子は、光軸方向からの平行光を収束する対物レンズであることを特徴とする請求項7〜10に記載の光学素子。
  12. 前記光学素子は、光軸方向からの発散光を収束する対物レンズであることを特徴とする請求項7〜10に記載の光学素子。
  13. 前記光学素子は、コリメーターであることを特徴とする請求項7〜10に記載の光学素子。
  14. 光学面の少なくとも一部に、所定の光学的関数で近似される第1の面と、前記第1の面に交差する方向に延在する第2の面とを少なくとも備えた回折溝を有し、且つ光を透過可能な光学素子を、成形によって形成する際に用いる金型であって、前記光学素子の少なくとも前記第1面に対応する前記金型の面は回転切削加工により形成され、加工時における切削工具の半径方向の送り量を、前記金型の一回転当たり0.1μm以上1μm以下としたことを特徴とする金型。
  15. 前記第2の面は、光軸に対して1°以下の角度誤差で平行であることを特徴とする請求項14に記載の金型。
  16. 請求項14又は15に記載の金型を用いて射出成形もしくは射出圧縮成形されることにより形成されたことを特徴とする光学素子。
  17. 前記所定の光学的関数は以下の式で表されることを特徴とする請求頂16に記載の光学素子。
    N=INT(Ah+Bh+C)
    X(h,N)=h/(r(1+√(1-(1+K)h/r )))+A4+A6
    +A8+A1010+ΔN
    但し、Nは前記回折溝の輪帯番号、hは光軸からの高さ、Xは接平面からの光軸方向距離、rは第N輪帯の曲率半径、KA4〜A10は第N輪帯の非球面係数、Δ=−λ/(n−1)は光軸上1λ分の面シフト量である。
  18. 前記光学素子は、情報記録及び/又は再生装置に用いる光ピックアップ装置のカップリングレンズであることを特徴とする請求項16又は17に記載の光学素子。
  19. 前記光学素子は、光軸方向からの平行光を収束する対物レンズであることを特徴とする請求頂16〜18のいずれかに記載の光学素子。
  20. 前記光学素子は、光軸方向からの発散光を収束する対物レンズであることを特徴とする請求頂16〜18に記載の光学素子。
  21. 前記光学素子は、コリメーターであることを特徴とする請求項16〜18に記載の光学素子。
  22. 光学面の少なくとも一部に、所定の光学的関数で近似される第1の面と、前記第1の面に交差する方向に延在する第2の面と、前記第1の面と前記第2の面とを接続する第3の面とを少なくとも備えた回折溝を有し、且つ光を透過可能な光学素子を、成形によって形成する際に用いる金型を切削するための工具であって、前記金型の面の少なくとも一部は、前記工具を用いた回転切削加工により形成され、前記回転切削加工の際に前記工具における前記金型の回転方向に対抗するすくい面が少なくとも、前記光学素子の第2の面に対応する前記金型の面を切削形成する第1の縁部と、前記第1の縁部に交差する方向に延在する第2の縁部と、前記第1の縁部と前記第2の縁部とを接続し、前記光学素子の第3の面に対応する前記金型の面を切削形成する第3の縁部とで輪郭づけられており、前記第1の縁部の延長線と前記第2の縁部の延長線との交点から、前記第3の縁部までの距離は0.1μm以上3μm以下であることを特徴とする工具。
  23. 請求項22に記載の工具を用いて加工されたことを特徴とする金型。
  24. 前記第2の面は、光軸に対して1°以下の角度誤差で平行であることを特徴とする請求項23に記載の金型。
  25. 請求項23又は24に記載の金型を用いて射出成形もしくは射出圧縮成形されることにより形成されたことを特徴とする光学素子。
  26. 前記所定の光学的関数は以下の式で表されることを特徴とする請求頂25に記載の光学素子。
    N=INT(Ah+Bh+C)
    X(h,N)=h/(r(1+√(1-(1+K)h/r )))+A4+A6
    +A8+A1010+ΔN
    但し、Nは前記回折溝の輪帯番号、hは光軸からの高さ、Xは接平面からの光軸方向距離、rは第N輪帯の曲率半径、KA4〜A10は第N輪帯の非球面係数、Δ=−λ/(n−1)は光軸上1λ分の面シフト量である。
  27. 前記光学素子は、情報記録及び/又は再生装置に用いる光ピックアップ装置の力ップリングレンズであることを特徴とする請求項25又は26に記載の光学素子。
  28. 前記光学素子は、光軸方向からの平行光を収束する対物レンズであることを特徴とする請求項25〜26のいずれかに記載の光学素子。
  29. 前記光学素子は、光軸方向からの発散光を収束する対物レンズであることを特徴とする請求頂24〜26のいずれかに記載の光学素子。
  30. 前記光学素子は、コリメーターであることを特徴とする請求項24〜26のいずれかに記載の光学素子。
  31. 光学面の少なくとも一部に、所定の光学的関数で近似される第1の面と、前記第1の面に交差する方向に延在する第2の面と、前記第1の面と前記第2の面とを接続する第3の面とを少なくとも備えた回折溝を有し、光源からの光を透過可能な光学素子を、成形によって形成する際に用いる金型を切削するための工具であって、前記金型の面の少なくとも一部は前記工具を用いて回転切削加工により形成され、前記回転切削加工の際に前記工具における前記金型の回転方向に対抗するすくい面が、少なくとも、前記光学素子の第2の面に対応する前記金型の面を切削形成する第1の縁部と、前記第1の縁部に交差する方向に延在する第2の縁部と、前記第1の縁部と前記第2の縁部とを接続し、前記光学素子の第3の面に対応する前記金型の面を切削形成する第3の縁部とで輸郭づけられており、前記第1の縁部と前記第2の縁部との成す角度αは、前記光学面に対価する前記金型の最大法線角をθmaxとし、工具の光学面光軸に対する設定角をSとしたときに、5°以上かつθmax≦(90−(α/2+S))°を満たすことを特徴とする工具。
  32. 請求項31に記載の工具を用いて加工されたことを特徴とする金型。
  33. 前記第2の面は、光軸に対して1°以下の角度誤差で平行であることを特徴とする請求項32に記載の金型。
  34. 前記最大法線角θが、40°以上70°以下の範囲に、前記光学素子の前記回折溝に対応する溝が形成されていることを特徴とする請求項32又は33に記載の金型。
  35. 請求項32〜34のいずれかに記載の金型を用いて射出成形もしくは射出圧縮成形されることにより形成されたことを特徴とする光学素子。
  36. 前記所定の光学的関数は以下の式で表されることを特徴とする請求頂35に記載の光学素子。
    N=INT(Ah+Bh+C)
    X(h,N)=h/(r(1+√(1-(1+K)h/r )))+A4+A6
    +A8+A1010+ΔN
    但し、Nは前記回折溝の輪帯番号、hは光軸からの高さ、Xは接平面からの光軸方向距離、rは第N輪帯の曲率半径、KA4〜A10は第N輪帯の非球面係数、Δ=−λ/(n−1)は光軸上1λ分の面シフト量である。
  37. 前記光学素子は、情報記録及び/又は再生装置に用いる光ピックアップ装置の力ップリングレンズであることを特徴とする請求頂35又は36に記載の光学素子。
  38. 前記光学素子は、光軸方向からの平行光を収束する対物レンズであることを特徴とする請求項35〜37のいずれかに記載の光学素子。
  39. 前記光学素子は、光軸方向からの発散光を収束する対物レンズであることを特徴とする請求項35〜37のいずれかに記載の光学素子。
  40. 前記光学素子は、コリメーターであることを特徴とする請求頂35〜37のいずれかに記載の光学素子。
  41. 光学面の少なくとも一部に、所定の光学的関数で近似される第1の面と、前記第1の面に交差する方向に延在する第2の面と、前記第1の面と前記第2の面とを接続する第3の面とを少なくとも備えた回折溝を有し、且つ光を透過可能な光学素子を、成形によって形成する際に用いる金型を切削するための工具であって、前記金型の面の少なくとも一部は前記工具を用いて回転切削加工により形成され、前記回転切削加工の際に前記工具における前記金型の回転方向に対抗するすくい面が少なくとも、前記光学素子の第2の面に対価する前記金型の面を切削形成する第1の縁部と、前記第1の縁部に交差する方向に延在する第2の縁部と、前記第1の縁部と前記第2の縁部とを接続し、前記光学素子の第3の面に対応する前記金型の面を切削形成する第3の縁部とで輸郭づけられており、前記すくい面と前記第1の縁部を構成する工具の第1の側面、及び前記第2の縁部を構成する第2の側面において、すくい面に対する第1の側面の傾き角と、第2の側面の傾き角とが互いに異なっており、その差が1°以上20°以下であることを特徴とする工具。
  42. 請求項41に記載の工具を用いて加工されたことを特徴とする金型。
  43. 前記第2の面は、光軸に対して1°以下の角度誤差で平行であることを特徴とする請求項42に記載の金型。
  44. 請求項43に記載の金型を用いて射出成形もしくは射出圧縮成形されることにより形成されたことを特徴とする光学素子。
  45. 前記所定の光学的関数は以下の式で表されることを特徴とする請求頂44に記載の光学素子。
    N=INT(Ah+Bh+C)
    X(h,N)=h/(r(1+√(1-(1+K)h/r )))+A4+A6
    +A8+A1010+ΔN
    但し、Nは前記回折溝の輪帯番号、hは光軸からの高さ、Xは接平面からの光軸方向距離、rは第N輪帯の曲率半径、KA4〜A10は第N輪帯の非球面係数、Δ=−λ/(n−1)は光軸上1λ分の面シフト量である。
  46. 前記光学素子は、情報記録及び/又は再生装置に用いる光ピックアップ装置のカップリングレンズであることを特徴とする請求項44又は45に記載の光学素子。
  47. 前記光学素子は、光軸方向からの平行光を収束する対物レンズであることを特徴とする請求項44〜46のいずれかに記載の光学素子。
  48. 前記光学素子は、光軸方向からの発散光を収束する対物レンズであることを特徴とする請求頂44〜46のいずれかに記載の光学素子。
  49. 前記光学素子は、コリメーターであることを特徴とする請求頂44〜46のいずれかに記載の光学素子。
  50. 光学面の少なくとも一部に、所定の光学的関数で近似される第1の面と、前記第1の面に交差する方向に延在する第2の面と、前記第1の面と前記第2の面とを接続する第3の面とを少なくとも備えた回折溝を有し、且つ光を透過可能な光学素子を、成形によって形成する際に用いる金型を切削するための工具であって、前記金型の面の少なくとも一部は前記工具を用いて回転切削加工により形成され、前記回転切削加工の際に前記工具における前記金型の回転方向に対抗するすくい面が少なくとも、前記光学素子の第2の面に対応する前記金型の面を切削形成する第1の縁部と、前記第1の縁部に交差する方向に延在する第2の縁部と、前記第1の縁部と前記第2の縁部とを接続し、前記光学素子の第3の面に対応する前記金型の面を切削形成する第3の縁部とで輸郭づけられており、前記すくい面と前記第1の縁部を構成する工具の第1の側面、及び前記第2の縁部を構成する第2の側面において、少なくともどちらか一方の側面がすくい面に対する第1の傾き角を有して、前記第1側面と前記第2側面の交線によって第1逃げ角を構成し、さらに少なくとも前記第1の側面または第2の側面がさらにすくい面に対して第2の傾き角を有し、少なくともこの第2の傾き角を有する側面ともう一方の側面とが交線を形成しこの交線が第2逃げ角を構成することを特徴とする工具。
  51. 請求項50に記載の工具を用いて加工されたことを特徴とする金型。
  52. 前記第2の面は、光軸に対して1°以下の角度誤差で平行であることを特徴とする請求項51に記載の金型。
  53. 請求項52に記載の金型を用いて射出成形もしくは射出圧縮成形されることにより形成されたことを特徴とする光学素子。
  54. 前記所定の光学的関数は以下の式で表されることを特徴とする請求頂53に記載の光学素子。
    N=INT(Ah+Bh+C)
    X(h,N)=h/(r(1+√(1-(1+K)h/r )))+A4+A6
    +A8+A1010+ΔN
    但し、Nは前記回折溝の輪帯番号、hは光軸からの高さ、Xは接平面からの光軸方向距離、rは第N輪帯の曲率半径、KA4〜A10は第N輪帯の非球面係数、Δ=−λ/(n−1)は光軸上1λ分の面シフト量である。
  55. 前記光学素子は、情報記録及び/又は再生装置に用いる光ピックアップ装置のカップリングレンズであることを特徴とする請求項53又は54に記載の光学素子。
  56. 前記光学素子は、光軸方向からの平行光を収束する対物レンズであることを特徴とする請求項53〜55のいずれかに記載の光学素子。
  57. 前記光学素子は、光軸方向からの発散光を収束する対物レンズであることを特徴とする請求頂53〜55のいずれかに記載の光学素子。
  58. 前記光学素子は、コリメーターであることを特徴とする請求頂53〜55のいずれかに記載の光学素子。
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