JP2009149732A - ポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】DCP含有量が少ないポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂の製造方法を提供する。
【解決手段】炭素数8〜22の脂肪族モノカルボン酸及び/又はその誘導体とポリアルキレンポリアミン類とを反応させてポリアミドアミン系化合物を合成し、該ポリアミドアミン系化合物をエピハロヒドリン類と反応させて、ポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂を製造する方法であって、該ポリアミドアミン系化合物と該エピハロヒドリン類とを反応させる工程前から、塩基性物質を添加し始める、ポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂の製造方法である。
【選択図】なし
【解決手段】炭素数8〜22の脂肪族モノカルボン酸及び/又はその誘導体とポリアルキレンポリアミン類とを反応させてポリアミドアミン系化合物を合成し、該ポリアミドアミン系化合物をエピハロヒドリン類と反応させて、ポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂を製造する方法であって、該ポリアミドアミン系化合物と該エピハロヒドリン類とを反応させる工程前から、塩基性物質を添加し始める、ポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂の製造方法である。
【選択図】なし
Description
本発明は、ポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂の製造方法に関し、詳しくは、低分子有機ハロゲン化合物の含有量が少ないポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂の製造方法に関する。
ポリアミドポリアミン−エピハロヒドリン樹脂は、製紙用サイズ剤、湿潤紙力増強剤、多孔性向上剤等として有用である。このポリアミドポリアミン−エピハロヒドリン樹脂の製造法としては、二塩基性カルボン酸類とポリアルキレンポリアミン類とを反応させてアミドアミン化合物を製造し、得られたアミドアミン化合物とエピハロヒドリンとを更に反応させる方法が知られている。この製造法の問題点としては、アミドアミン化合物とエピハロヒドリンとの反応時に、PRTR物質(化学物質排出把握管理促進法に定める第一種指定化学物質)である1,3−ジクロロプロパン等の低分子有機ハロゲン化合物(以下、総称して単に「DCP」という)が生成することが挙げられる。
そこで、DCP量の少ないポリアミドポリアミン−エピハロヒドリン樹脂を製造する方法として、特許文献1〜4には、二塩基性カルボン酸類とポリアルキレンポリアミン類とのモル比、反応温度等の反応条件を調整する方法が提案されている。
そこで、DCP量の少ないポリアミドポリアミン−エピハロヒドリン樹脂を製造する方法として、特許文献1〜4には、二塩基性カルボン酸類とポリアルキレンポリアミン類とのモル比、反応温度等の反応条件を調整する方法が提案されている。
また、特許文献5には、モノカルボン酸類とポリアルキレンポリアミン類との反応で得られるアミド系化合物と、エピハロヒドリンとを反応させる工程中又は反応終了後に、塩基性物質を添加する工程を含む紙用添加剤の製造方法が提案されている。特許文献5では、DCPをより効率的に低減させるためには、反応の終了後に塩基性物質を添加することが好ましいと記載され(段落〔0019〕)、塩基性物質の使用量は、DCPの量に対して200〜800モル%と記載されている(段落〔0021〕)。また、塩基性物質としては、水酸化ナトリウムや有機アミン等が挙げられ、DCPを効率的に低減させるためには、特にアンモニアが好ましいとされている。このように特許文献5には、生成したDCPを塩基性物質で処理(反応)して低減させる方法が記載されている。
しかしながら、従来法は、DCPを効率的に除去する点で、満足できるものではない。
しかしながら、従来法は、DCPを効率的に除去する点で、満足できるものではない。
本発明は、DCPの生成自体を抑制し、DCP含有量が少ないポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂を製造する方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、ポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂の製造過程において、アミド系化合物とエピハロヒドリンとの反応前から塩基性物質を添加することにより、DCP生成の原因となるハロゲン化水素を中和し、DCPの生成の抑制できることを見出した。
すなわち、本発明は、炭素数8〜22の脂肪族モノカルボン酸及び/又はその誘導体とポリアルキレンポリアミン類とを反応させてポリアミドアミン系化合物を合成し、該ポリアミドアミン系化合物をエピハロヒドリン類と反応させて、ポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂を製造する方法であって、該ポリアミドアミン系化合物と該エピハロヒドリン類とを反応させる工程前から、塩基性物質を添加し始める、ポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂の製造方法を提供する。
すなわち、本発明は、炭素数8〜22の脂肪族モノカルボン酸及び/又はその誘導体とポリアルキレンポリアミン類とを反応させてポリアミドアミン系化合物を合成し、該ポリアミドアミン系化合物をエピハロヒドリン類と反応させて、ポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂を製造する方法であって、該ポリアミドアミン系化合物と該エピハロヒドリン類とを反応させる工程前から、塩基性物質を添加し始める、ポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂の製造方法を提供する。
本発明の方法によれば、DCP含有量が少ないポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂を効率的に製造することができる。
本発明のポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂の製造方法は、炭素数8〜22の脂肪族モノカルボン酸及び/又はその誘導体とポリアルキレンポリアミン類とを反応させてポリアミドアミン系化合物を合成し、該ポリアミドアミン系化合物をエピハロヒドリン類と反応させて、ポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂を製造する方法であって、該ポリアミドアミン系化合物と該エピハロヒドリン類とを反応させる工程前から、塩基性物質を添加し始めることを特徴とする。
<ポリアミドアミン系化合物>
本発明に用いられるポリアミドアミン系化合物は、炭素数8〜22の脂肪族モノカルボン酸(以下、「長鎖脂肪酸」ともいう)及び/又はその誘導体とポリアルキレンポリアミン類との反応で得られる。
長鎖脂肪酸としては、炭素数8〜22、好ましくは炭素数12〜22、より好ましくは炭素数14〜20、特に好ましくは炭素数16〜18の直鎖状又は分岐鎖状の飽和又は不飽和の脂肪族モノカルボン酸が挙げられる。
炭素数8〜22の飽和脂肪族モノカルボン酸としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸等が挙げられ、炭素数8〜22の不飽和脂肪族モノカルボン酸としては、シトロネル酸、リンデル酸、抹香酸、オレイン酸等が挙げられる。
これらの中では、嵩高性能の観点から、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、及びオレイン酸から選ばれる1種以上が特に好ましい。
本発明に用いられるポリアミドアミン系化合物は、炭素数8〜22の脂肪族モノカルボン酸(以下、「長鎖脂肪酸」ともいう)及び/又はその誘導体とポリアルキレンポリアミン類との反応で得られる。
長鎖脂肪酸としては、炭素数8〜22、好ましくは炭素数12〜22、より好ましくは炭素数14〜20、特に好ましくは炭素数16〜18の直鎖状又は分岐鎖状の飽和又は不飽和の脂肪族モノカルボン酸が挙げられる。
炭素数8〜22の飽和脂肪族モノカルボン酸としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸等が挙げられ、炭素数8〜22の不飽和脂肪族モノカルボン酸としては、シトロネル酸、リンデル酸、抹香酸、オレイン酸等が挙げられる。
これらの中では、嵩高性能の観点から、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、及びオレイン酸から選ばれる1種以上が特に好ましい。
長鎖脂肪酸の誘導体としては、長鎖脂肪酸のエステル等を挙げることができる。
長鎖脂肪酸のエステルとしては、長鎖脂肪酸と炭素数1〜5の低級アルコールとのエステルが挙げられ、特に好適なエステルとしては、長鎖脂肪酸のメチルエステル、エチルエステル、及びプロピルエステル等が挙げられる。これらの長鎖脂肪酸のエステルは、長鎖脂肪酸とアルコールとの公知のエステル化反応により得ることができる。
長鎖脂肪酸及び/又はその誘導体は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
長鎖脂肪酸のエステルとしては、長鎖脂肪酸と炭素数1〜5の低級アルコールとのエステルが挙げられ、特に好適なエステルとしては、長鎖脂肪酸のメチルエステル、エチルエステル、及びプロピルエステル等が挙げられる。これらの長鎖脂肪酸のエステルは、長鎖脂肪酸とアルコールとの公知のエステル化反応により得ることができる。
長鎖脂肪酸及び/又はその誘導体は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
ポリアルキレンポリアミン類としては、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサエチレンヘプタミン、ジプロピレントリアミン、トリプロピレンテトラミン、ヘキサメチレンジアミン、イミノビスプロピルアミン及びこれらのアミン類のアルキレンオキシド付加物が挙げられる。これらの中では、嵩高性能の観点から、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンが好ましく、テトラエチレンペンタミンが特に好ましい。
上記のポリアルキレンポリアミン類は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。例えば、ジエチレンジアミンを15質量%程度含有するテトラエチレンペンタミンを使用することもできる。
上記のポリアルキレンポリアミン類は、1種単独で又は2種以上を混合して使用することができる。例えば、ジエチレンジアミンを15質量%程度含有するテトラエチレンペンタミンを使用することもできる。
長鎖脂肪酸及び/又はその誘導体とポリアルキレンポリアミン類との反応モル比は、特に限定されないが、ポリアルキレンポリアミン類1モルに対して、長鎖脂肪酸及び/又はその誘導体は、通常1〜7モル、好ましくは1.2〜6モル、より好ましくは1.5〜5モルである。
長鎖脂肪酸及び/又はその誘導体とポリアルキレンポリアミン類との反応温度は、通常100〜250℃、好ましくは150〜230℃で行われる。反応時間は、通常0.5〜20時間、好ましくは2〜15時間である。反応に際して、長鎖脂肪酸及び/又はその誘導体とポリアルキレンポリアミン類とを接触させる方法に特に制限はなく、通常はポリアルキレンポリアミン類に、長鎖脂肪酸及び/又はその誘導体を徐々に添加してアミド化反応をスムースに進行させる方法が好ましい。
アミド化反応の触媒は特に必要ではないが、触媒を用いる場合は、硫酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸等のスルホン酸類、その他、アミド化反応に通常に用いられる触媒を使用することができる。触媒の使用量は、ポリアルキレンポリアミン1モルに対し、通常0.005〜0.1モル、好ましくは0.01〜0.05モルである。
また、ポリアミドアミン中の酸価は、原料脂肪酸の反応率を維持する目安であり、原料脂肪酸を効率的に使用する観点から、JIS K 0070、AOCS Te 2a−64に準拠した測定値で、0〜10が好ましく、特に0〜5が好ましい。
長鎖脂肪酸及び/又はその誘導体とポリアルキレンポリアミン類との反応温度は、通常100〜250℃、好ましくは150〜230℃で行われる。反応時間は、通常0.5〜20時間、好ましくは2〜15時間である。反応に際して、長鎖脂肪酸及び/又はその誘導体とポリアルキレンポリアミン類とを接触させる方法に特に制限はなく、通常はポリアルキレンポリアミン類に、長鎖脂肪酸及び/又はその誘導体を徐々に添加してアミド化反応をスムースに進行させる方法が好ましい。
アミド化反応の触媒は特に必要ではないが、触媒を用いる場合は、硫酸、ベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸等のスルホン酸類、その他、アミド化反応に通常に用いられる触媒を使用することができる。触媒の使用量は、ポリアルキレンポリアミン1モルに対し、通常0.005〜0.1モル、好ましくは0.01〜0.05モルである。
また、ポリアミドアミン中の酸価は、原料脂肪酸の反応率を維持する目安であり、原料脂肪酸を効率的に使用する観点から、JIS K 0070、AOCS Te 2a−64に準拠した測定値で、0〜10が好ましく、特に0〜5が好ましい。
<ポリアミドアミン系化合物とエピハロヒドリン類との反応>
上記の反応で得られたポリアミドアミン系化合物は、次いでエピハロヒドリン類と反応させて架橋し、ポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂を製造する。
ここで、エピハロヒドリン類とは、エピハロヒドリン及び/又はその誘導体をいう。エピハロヒドリとしては、エピクロロヒドリン、エピブロムヒドリン等が挙げられ、エピハロヒドリンの誘導体としては、1,3−ジクロロ−2−プロパノール等の1,3−ジハロゲノ−2−プロパノール等が挙げられる。
上記の反応で得られたポリアミドアミン系化合物は、次いでエピハロヒドリン類と反応させて架橋し、ポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂を製造する。
ここで、エピハロヒドリン類とは、エピハロヒドリン及び/又はその誘導体をいう。エピハロヒドリとしては、エピクロロヒドリン、エピブロムヒドリン等が挙げられ、エピハロヒドリンの誘導体としては、1,3−ジクロロ−2−プロパノール等の1,3−ジハロゲノ−2−プロパノール等が挙げられる。
本発明の製造方法においては、ポリアミドアミン系化合物とエピハロヒドリン類とを反応させる工程前から、塩基性物質を添加し始めることで、DCPの生成自体を抑制し、DCP含有量の少ないポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂を製造することができる。
本発明では、DCPをより効果的に低減する観点から、ポリアミドアミン系化合物とエピハロヒドリン類との反応前に塩基性物質を存在させておくことが必要である。また、塩基性物質の添加は、エピハロヒドリン類の添加(滴下)前、又はエピハロヒドリン類の添加(滴下)終了までに添加し終えることが好ましく、特に、エピハロヒドリン類の添加(滴下)前に添加し終えることがより好ましい。
本発明では、DCPをより効果的に低減する観点から、ポリアミドアミン系化合物とエピハロヒドリン類との反応前に塩基性物質を存在させておくことが必要である。また、塩基性物質の添加は、エピハロヒドリン類の添加(滴下)前、又はエピハロヒドリン類の添加(滴下)終了までに添加し終えることが好ましく、特に、エピハロヒドリン類の添加(滴下)前に添加し終えることがより好ましい。
用いる塩基性物質は、塩基性の物質であれば無機物質、有機物質のどちらでもよく、例えば、無機塩基性物質、アミン系物質等が挙げられる。
無機塩基性物質としては、アルカリ金属の炭酸塩及び重炭酸塩、アルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩及び重炭酸塩等が挙げられる。
アルカリ金属の炭酸塩及び重炭酸塩としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。
アルカリ土類金属の水酸化物としては、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等が挙げられ、その炭酸塩及び重炭酸塩としては、炭酸水素カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等が挙げられる。
上記の塩基性物質の中では、弱塩基性無機物質が好ましく、アルカリ金属の炭酸塩及び重炭酸塩がより好ましく、炭酸水素ナトリウムが特に好ましい。
無機塩基性物質としては、アルカリ金属の炭酸塩及び重炭酸塩、アルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩及び重炭酸塩等が挙げられる。
アルカリ金属の炭酸塩及び重炭酸塩としては、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。
アルカリ土類金属の水酸化物としては、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等が挙げられ、その炭酸塩及び重炭酸塩としては、炭酸水素カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等が挙げられる。
上記の塩基性物質の中では、弱塩基性無機物質が好ましく、アルカリ金属の炭酸塩及び重炭酸塩がより好ましく、炭酸水素ナトリウムが特に好ましい。
アミン系物質としては、メチルアミン、エチルアミン、モノエタノールアミン等のモノアルキル又はモノアルカノールアミン;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン等のジアルキル又はジアルカノールアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等のトリアルキル又はトリアルカノールアミン;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキシド等のアンモニウムヒドロキシド類;エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、テトラエチレンペンタミン、イミノビスプロピルアミン等の(ポリ)アルキレンポリアミン、ポリビニルアミン、アンモニア、ピリジン等が挙げられる。
塩基性物質の添加量は、DCP低減と安定なエマルションを形成する観点から、エピハロヒドリン類に対して、好ましくは1〜50モル%、より好ましくは5〜40モル%、特に好ましくは10〜30モル%である。また、低分子ハロゲン化合物がDCP以外にも多量に存在している場合は、塩基性物質はエピハロヒドリン類に対して50モル%よりも多いことが好ましい。
この反応においては、溶媒を用いてもよく、用いなくてもよい。溶媒を用いる場合は、水又は水と有機溶剤との混合溶媒を用いることが好ましい。
有機溶剤としてはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等が挙げられるが、これらの中ではイソプロピルアルコールが好ましい。有機溶剤は、1種単独で又は2種以上を併用して水と混合することができる。
水と有機溶剤の使用量、混合比は、反応温度でポリアミドアミン系化合物を均一に溶解又は分散させるのに必要な量、混合比であればよい。通常、ポリアミドアミン系化合物とエピハロヒドリン類との反応は、ポリアミドアミン系化合物の濃度が5〜99.8質量%、好ましくは15〜99質量%、水と有機溶剤の混合比が、水100gに対して有機溶剤0〜100g、好ましくは3〜30gの範囲で行われる。
反応は、通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃に昇温した後、エピハロヒドリン類を0.2〜2時間かけて添加(滴下)して反応(第2段階反応)させ、更に、通常0.5〜20時間、好ましくは1〜15時間熟成させることが好ましい。
有機溶剤としてはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等が挙げられるが、これらの中ではイソプロピルアルコールが好ましい。有機溶剤は、1種単独で又は2種以上を併用して水と混合することができる。
水と有機溶剤の使用量、混合比は、反応温度でポリアミドアミン系化合物を均一に溶解又は分散させるのに必要な量、混合比であればよい。通常、ポリアミドアミン系化合物とエピハロヒドリン類との反応は、ポリアミドアミン系化合物の濃度が5〜99.8質量%、好ましくは15〜99質量%、水と有機溶剤の混合比が、水100gに対して有機溶剤0〜100g、好ましくは3〜30gの範囲で行われる。
反応は、通常70〜120℃、好ましくは80〜110℃に昇温した後、エピハロヒドリン類を0.2〜2時間かけて添加(滴下)して反応(第2段階反応)させ、更に、通常0.5〜20時間、好ましくは1〜15時間熟成させることが好ましい。
ポリアミドアミン系化合物とエピハロヒドリン類との反応において、ポリアミドアミン系化合物の残存アミノ基の活性水素1モルに対する、エピハロヒドリン類の量は、DCP含量の増加を抑制する観点から、好ましくは0.5〜1.2モル当量、より好ましくは0.7〜1.0モル当量である。エピハロヒドリン類の量が0.5モル当量よりも少ないとポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂の粘度が高くなって流動性を失い、取り扱いが困難となるという不都合を生じることがあり、また1.2モル当量を超えるとポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂中のDCPの含有量が多くなるという不都合を生じることがある。
かくして、得られた本発明のポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂は、DCPの含有量が非常に少ないというという特徴を有する。しかも、製紙用嵩高剤として用いると公知の方法で製造されたポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂と同等以上の優れた嵩高性能、吸水抑制能を有する。
本発明のポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂を紙用嵩高剤等として使用する場合は、例えば、パルプスラリーに0.1〜2質量%程度添加する方法、抄紙された紙にサイズプレス、ゲートロールコーター、ビルブレードコーター、キャレンダー等を用いて表面塗工又は含浸加工する方法等を採用することができる。
また、必要に応じて、填料、染料、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力向上剤、歩留り向上剤、濾水性向上剤等の公知の添加物を添加し、又は公知の方法で水等に分散させて使用することができる。
分散方法としては、転相乳化法、界面活性剤や無機塩類の添加による方法、界面活性剤・無機塩類を添加した後の転相乳化法、機械的方法等が挙げられる。
用いることのできる界面活性剤としては特に制限はなく、例えば、高級アルコール又は高級脂肪酸にオキシアルキレン基が付加した非イオン界面活性剤等の公知の界面活性剤が挙げられる。また、無機塩類としては、例えば、ナトリウムやカルシウムの塩酸塩、硫酸塩、炭酸塩等が挙げられる。
機械的方法としては、ホモミキサー、高圧吐出型ホモジナイザー、高剪断型回転式乳化分散機、超音波乳化機等の各種の乳化機により均一分散させる方法が挙げられる。
これらの方法は組み合わせて用いることができる。
また、必要に応じて、填料、染料、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力向上剤、歩留り向上剤、濾水性向上剤等の公知の添加物を添加し、又は公知の方法で水等に分散させて使用することができる。
分散方法としては、転相乳化法、界面活性剤や無機塩類の添加による方法、界面活性剤・無機塩類を添加した後の転相乳化法、機械的方法等が挙げられる。
用いることのできる界面活性剤としては特に制限はなく、例えば、高級アルコール又は高級脂肪酸にオキシアルキレン基が付加した非イオン界面活性剤等の公知の界面活性剤が挙げられる。また、無機塩類としては、例えば、ナトリウムやカルシウムの塩酸塩、硫酸塩、炭酸塩等が挙げられる。
機械的方法としては、ホモミキサー、高圧吐出型ホモジナイザー、高剪断型回転式乳化分散機、超音波乳化機等の各種の乳化機により均一分散させる方法が挙げられる。
これらの方法は組み合わせて用いることができる。
以下の実施例及び比較例において、「%」は特記しない限り「質量%」である。
実施例1
(1)ポリアミドアミン化合物の製造
温度計、冷却管、窒素導入管を備えた1L容4ツ口フラスコにテトラエチレンペンタミン94.7g(0.5モル)とパルミチン酸/ステアリン酸混合物(混合質量比35/65)479.5g(1.75モル)を加えて徐々に200℃まで昇温し、温度が到達してから10時間反応させた。得られたポリアミドアミン中の酸価を、JIS K 0070、AOCS Te 2a−64に記載の試験法に準拠して測定した結果、3.8であった。
(2)ポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂の製造
前記(1)で得られたポリアミドアミン化合物300gを、温度計、冷却管、撹拌機、滴下ロートを備えた1L容4ツ口フラスコに仕込んだ後に、水を5g添加し、95℃にて3時間保持した。その後、炭酸水素ナトリウム7.7g(エピクロロヒドリンに対して23モル%)を添加し、105℃へ温度を上げて、エピクロロヒドリン37g(0.4モル)を1時間かけて滴下して反応させ(反応系中の水分量:1.6質量%)、9時間熟成を行った。
熟成終了後、ガスクロマトグラフィー法〔HEWLETT PACKARD株式会社製GC装置(HP4890)、Agilent Technologies株式会社製カラム(ULTRA1)〕により、1,3−ジクロロプロパンの含有量を測定した結果、2%であった。
実施例1
(1)ポリアミドアミン化合物の製造
温度計、冷却管、窒素導入管を備えた1L容4ツ口フラスコにテトラエチレンペンタミン94.7g(0.5モル)とパルミチン酸/ステアリン酸混合物(混合質量比35/65)479.5g(1.75モル)を加えて徐々に200℃まで昇温し、温度が到達してから10時間反応させた。得られたポリアミドアミン中の酸価を、JIS K 0070、AOCS Te 2a−64に記載の試験法に準拠して測定した結果、3.8であった。
(2)ポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂の製造
前記(1)で得られたポリアミドアミン化合物300gを、温度計、冷却管、撹拌機、滴下ロートを備えた1L容4ツ口フラスコに仕込んだ後に、水を5g添加し、95℃にて3時間保持した。その後、炭酸水素ナトリウム7.7g(エピクロロヒドリンに対して23モル%)を添加し、105℃へ温度を上げて、エピクロロヒドリン37g(0.4モル)を1時間かけて滴下して反応させ(反応系中の水分量:1.6質量%)、9時間熟成を行った。
熟成終了後、ガスクロマトグラフィー法〔HEWLETT PACKARD株式会社製GC装置(HP4890)、Agilent Technologies株式会社製カラム(ULTRA1)〕により、1,3−ジクロロプロパンの含有量を測定した結果、2%であった。
比較例1
実施例1(1)で得られたポリアミドアミン化合物300gを、温度計、冷却管、撹拌機、滴下ロートを備えた1L容4ツ口フラスコに仕込んだ後に、水を5g添加し、95℃にて3時間保持した。その後、105℃へ温度を上げて、エピクロロヒドリン37g(0.4モル)を1時間かけて滴下して反応させ(反応系中の水分量:1.6質量%)、9時間熟成を行った。
熟成終了後の1,3−ジクロロプロパンの含有量を実施例1と同様にして測定した結果、4.1%であった。
実施例1(1)で得られたポリアミドアミン化合物300gを、温度計、冷却管、撹拌機、滴下ロートを備えた1L容4ツ口フラスコに仕込んだ後に、水を5g添加し、95℃にて3時間保持した。その後、105℃へ温度を上げて、エピクロロヒドリン37g(0.4モル)を1時間かけて滴下して反応させ(反応系中の水分量:1.6質量%)、9時間熟成を行った。
熟成終了後の1,3−ジクロロプロパンの含有量を実施例1と同様にして測定した結果、4.1%であった。
比較例2
実施例1(1)で得られたポリアミドアミン化合物300gを、温度計、冷却管、撹拌機、滴下ロートを備えた1L容4ツ口フラスコに仕込んだ後に、水を5g添加し、95℃にて3時間保持した。その後、105℃へ温度を上げて、エピクロロヒドリン37g(0.4モル)を1時間かけて滴下して反応させ(反応系中の水分量:1.6質量%)、その後、炭酸水素ナトリウム7.7g(エピクロロヒドリンに対して23モル%)を添加して9時間熟成を行った。
熟成終了後の1,3−ジクロロプロパンの含有量を実施例1と同様にして測定した結果、3.4%であった。
実施例1(1)で得られたポリアミドアミン化合物300gを、温度計、冷却管、撹拌機、滴下ロートを備えた1L容4ツ口フラスコに仕込んだ後に、水を5g添加し、95℃にて3時間保持した。その後、105℃へ温度を上げて、エピクロロヒドリン37g(0.4モル)を1時間かけて滴下して反応させ(反応系中の水分量:1.6質量%)、その後、炭酸水素ナトリウム7.7g(エピクロロヒドリンに対して23モル%)を添加して9時間熟成を行った。
熟成終了後の1,3−ジクロロプロパンの含有量を実施例1と同様にして測定した結果、3.4%であった。
本発明の方法によれば、DCPの含有量が少ないポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂を効率的に製造することができる。得られるポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂は、嵩高性能、吸水抑制能等に優れており、紙用嵩高剤として有用である。
Claims (6)
- 炭素数8〜22の脂肪族モノカルボン酸及び/又はその誘導体とポリアルキレンポリアミン類とを反応させてポリアミドアミン系化合物を合成し、該ポリアミドアミン系化合物をエピハロヒドリン類と反応させて、ポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂を製造する方法であって、該ポリアミドアミン系化合物と該エピハロヒドリン類とを反応させる工程前から、塩基性物質を添加し始める、ポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂の製造方法。
- 塩基性物質を、エピハロヒドリン類の添加前又は添加終了までに添加し終える、請求項1に記載のポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂の製造方法。
- 塩基性物質の添加量が、エピハロヒドリン類に対して1〜50モル%である、請求項1又は2に記載のポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂の製造方法。
- 塩基性物質が弱塩基性無機物質である、請求項1〜3のいずれかに記載のポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂の製造方法。
- 弱塩基性無機物質が、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化マグネシウム、及び水酸化カルシウムから選ばれる1種以上である、請求項1〜4のいずれかに記載のポリアミドアミン−エピハロヒドリン樹脂の製造方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の方法による、紙用嵩高剤用のポリアミドポリアミン−エピハロヒドリン樹脂の製造方法。
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JP2011068814A (ja) * | 2009-09-28 | 2011-04-07 | Dic Corp | エポキシ樹脂組成物及びその硬化物 |
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CN104004185A (zh) * | 2014-06-11 | 2014-08-27 | 广东省造纸研究所 | 一种生产低氯聚酰胺环氧氯丙烷树脂的新工艺 |
-
2007
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