JP2009149527A - 増粘剤組成物およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】増粘性及び耐塩性が高く、みずみずしい感触を有する使用性に優れた増粘剤組成物及びその製造方法を提供する。
【解決手段】下記(A)および(B)を含み、水系中において前記成分がハイブリッド体を形成していることを特徴とする増粘剤組成物。
(A)ビニル系高分子
(B)下記一般式(1)で示される水溶性シラン誘導体
Si−(OR (1)
(式中、Rは多価アルコール残基である。)
前記増粘剤組成物の製造方法において、水系溶媒中においてビニル系高分子と水溶性シラン誘導体とを混合する工程と、前記混合物をホモミキサー攪拌分散する工程と、を含むことを特徴とする増粘剤組成物の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、増粘剤組成物及びその製造方法、特にその増粘性と使用性の改善に関する。
従来、化粧品、医薬品などの分野において、剤型を保持する目的で、様々な増粘剤が用いられている。例えば、水系基剤の増粘剤として、ヒアルロン酸、カラギーナン、キサンタンガム等の天然水溶性高分子、ポリエチレングリコール、アクリル酸系ポリマー等の合成水溶性高分子が汎用されている。多糖類に代表される天然水溶性高分子は、その高分子構造中に水をよく保持するため、系に添加することでみずみずしい増粘組成物を得ることができる。しかしながら、多糖類を添加しただけでは水系基剤の粘度を上げ、ある程度の増粘することは可能であっても、増粘組成物自体は流動性を保ったままであり、使用時に垂れ落ちが起きる等の問題点が残されていた。また、合成水溶性高分子についても、基剤の固化が十分でなく、また電解質の共存やpH変化によって粘度低下が生じることがあるため、配合成分や製造工程に工夫が必要であった。
一方、テトラエトキシシラン等のアルコキシシランは、アルコキシ基の加水分解によりシラノール基を生成し、さらにその脱水縮合によってシリカゲルを形成することが知られている。しかしながら、従来用いられているアルコキシシランのほとんどは水に不溶であるため、水中に添加してもそのままでは加水分解反応は進行せず、別途添加物を用いる必要があり、水系基剤のゲル化には適していなかった。しかしながら、近年、多価アルコールを置換した水溶性のシラン誘導体がモノリス状の固体シリカゲルを生成することが見出されたことから、これを利用した水系基剤の増粘が試みられている。
例えば、多糖類溶液中において水溶性のシラン誘導体であるオルトケイ酸テトラキス(2−ヒドロキシエチル)から多糖類−シリカナノコンポジット構造を形成させ、ゲル化し難い多糖類溶液をゼリー状にし得ることが報告されている(非特許文献1)。
Journal of Colloid and Interface Science 287 (2005) 373-378
しかしながら、前記のように多糖類とシリカのハイブリッド化により増粘された組成物は、従来の増粘剤の適用に比べ耐塩性が高い一方、みずみずしさやべたつきのなさなどの使用性の点で十分なものではなく、皮膚に塗布した際の感触が重視される化粧料等に使用するにはいまだ改善の余地が残されていた。さらに、前記多糖類−シリカハイブリッド体は増粘性が低く、化粧料の増粘に際し多量の配合が必要とされていた。そのため、製造コスト上非効率であり、また化粧料として使用感等を考慮した配合バランスにおいても満足できるものではなかった。
また、従来の増粘剤等でゲル化した組成物は、高分子間に保持された水分が分離する現象、すなわち離しょう(シネレシス)の生じ易いものであった。離しょうにより水分が抜ければ、組成物からはみずみずしさが失われ、また、系の粘度変化や不透明化といった品質低下が導かれる。したがって、特に長期間にわたる安定性の維持が必要とされる化粧料等においては、離しょう性の低いゲルを形成する増粘剤が求められていた。
本発明は前記従来技術の課題に鑑みて行われたものであって、その目的は、増粘性及び耐塩性が高く、みずみずしい感触を有する使用性に優れた増粘剤組成物及びその製造方法を提供することにある。
前記目的を達成するために、本発明者が鋭意検討を重ねた結果、水系において、ビニル系高分子上にシリカを析出させて得たハイブリッド体を含む組成物が、増粘性が高く、みずみずしさやべたつきのなさなどの使用感に優れたゲルを形成することを見出した。さらに、本発明者は、前記組成物が高い耐塩性を有し、また、離しょうも起こりにくく、増粘剤として非常に優れたものであることを見出し本発明の完成に至った。
すなわち、本発明にかかる増粘剤組成物は、ビニル系高分子上にシリカが析出してなるハイブリッド体と、水とを含むことを特徴とする。
また、前記増粘剤組成物において、ビニル系高分子がカルボキシビニルポリマーであることが好適である。
前記増粘剤組成物は、さらに、多糖類を含むことが好適である。
また、本発明にかかる増粘剤組成物の製造方法は、前記増粘剤組成物の製造方法において、(A)ビニル系高分子と、下記一般式(I)で示される水溶性シラン誘導体とを混合する工程、及び、(B)前記混合物をホモミキサーにより分散処理する工程、を含むことを特徴とする。
(化1)
Si−(OR (I)
(式中、Rは多価アルコール残基である。)
前記製造方法においては、ビニル系高分子及び水溶性シラン誘導体の混合物を攪拌分散する工程(B)において、さらに多糖類を添加することが好適である。
さらに、本発明にかかる増粘剤組成物は、乳化化粧料へ配合することにより、乳化化粧料を増粘するとともに、優れた使用感を該化粧料へ付与することができる。
すなわち、本発明にかかる乳化化粧料は、水相成分と油相成分と前記増粘剤組成物とを含有することを特徴とする。
また、本発明にかかる前記乳化化粧料の製造方法は、水相成分と油相成分を乳化してなる乳化化粧料と、増粘剤組成物とをそれぞれ製造し、その後両組成物を混合することを特徴とする。
本発明によれば、極めて高い増粘性を備えた増粘剤組成物を得ることができる。この増粘剤組成物は乳化化粧料をはじめとする様々な製品に添加することで、製品の粘度を調節することができる。また、前記増粘剤組成物は優れた耐塩性を有し、塩型成分との併用が可能であるため、成分を限定することなく広く製品に配合することができる。さらに、前記増粘剤組成物の特性により、配合製品にみずみずしい使用性を付与することができる。
以下、本発明について詳述する。
本発明にかかる増粘剤組成物は、水系において、ビニル系高分子の三次構造上に、下記一般式(I)で示される水溶性シラン誘導体の加水分解・重縮合を経て形成されるシリカが析出してなるハイブリッド体を含有するものである。
(化2)
Si−(OR (I)
(式中、Rは多価アルコール残基である。)
前記水溶性シラン誘導体は、水系において下記のような加水分解・脱水縮合を経てゲル状シリカを生成する。この反応をビニル系高分子水溶液中で行うことにより、シリカがビニル系高分子の三次構造に沿って架橋し、耐塩性及び使用性に優れたゲルを形成する。

まず、本発明にかかる増粘剤組成物の必須成分であるビニル系高分子−シリカハイブリッド体を形成する成分について説明する。
ビニル系高分子
本発明にかかるハイブリッド体は、ビニル系高分子及び特定構造の水溶性シラン誘導体を水系溶媒中において反応させることにより容易に得ることができる。
前記ビニル系高分子としては、カルボマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、ポリ(メタ)アクリル酸等、カルボキシル基を有するアルカリ増粘型ポリマーのものが好ましい。
前記カルボマーは、アクリル酸系の架橋共重合体で、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸等の置換アクリル酸等のアクリル酸系モノマーの架橋ポリマーである。前記アクリル酸系モノマーは好ましくはアクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸であり、アクリル酸が最も好ましい。
前記ビニル系高分子は、それぞれ公知の方法で適宜合成して用いることも可能であるが、適宜市販品を用いてもよい。市販品の例としては、例えばカルボキシビニルポリマーとしてグッドリッチ社のカーボポール、和光純薬工業社のハイビスワコー、シグマ社のシンタレン等が挙げられる。
また、前記ビニル系高分子は、有機塩又は無機塩の形であってもよい。有機塩としては、例えば、トリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、モノエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、ピリジン塩、アルギニン塩等が挙げられる。無機塩としては、アンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩等が挙げられる。
水溶性シラン誘導体
前記ビニル系高分子と架橋構造を形成するシリカは、下記一般式(I)で示される水溶性シラン誘導体から生成される。
Si−(OR (I)
(式中、Rは多価アルコール残基である。)
本発明に用いられる上記一般式(I)に示される水溶性シラン誘導体において、Rは多価アルコールの残基であり、多価アルコールにおける1つの水酸基が除かれた形として示される。なお、前記水溶性シラン誘導体は、通常、テトラアルコキシシランと多価アルコールとの置換反応により調製することができ、Rは、使用する多価アルコールの種類によって異なるが、例えば、多価アルコールとしてエチレングリコールを用いた場合、Rは−CH−CH−OHとなる。
上記一般式(I)におけるRとしては、例えば、エチレングリコール残基、ジエチレングリコール残基、トリエチレングリコール残基、テトラエチレングリコール残基、ポリエチレングリコール残基、プロピレングリコール残基、ジプロピレングリコール残基、ポリプロピレングリコール残基、ブチレングリコール残基、ヘキシレングルコール残基、グリセリン残基、ジグリセリン残基、ポリグリセリン残基、ネオペンチルグリコール残基、トリメチロールプロパン残基、ペンタエリスリトール残基、マルチトール残基等が挙げられる。これらのうち、Rがエチレングリコール残基、プロピレングリコール残基、1,3−ブタジエングリコール残基、グリセリン残基のいずれかであることが好ましい。
本発明に用いられる水溶性シラン誘導体としては、より具体的には、Si−(O−CH−CH−OH)、Si−(O−CH−CH−CH−OH)、Si−(O−CH−CH−CHOH−CH、Si−(O−CH−CHOH−CH−OH)等が挙げられる。
本発明に用いられる前記水溶性シラン誘導体は、例えば、テトラアルコキシシランと多価アルコールとを、固体触媒の共存下、常温で反応させることにより調製することができる。
テトラアルコキシシランは、ケイ素原子に4つのアルコキシ基が結合したものであればよく、特に限定されるものではないが、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等が挙げられる。これらのうち、入手のし易さ、及び反応副生成物の安全性の点から、テトラエトキシシランを好適に用いることができる。
テトラアルコキシシランの代替としてモノ、ジ、トリハロゲン化アルコキシシラン、すなわちモノクロロトリエトキシシラン、ジクロロジメトキシシラン、モノブロモトリエトキシシランなど、あるいはテトラハロゲン化シラン例えばテトラクロロエトキシシランを用いることも可能である。
多価アルコールは、分子中に2つ以上の水酸基を有する化合物であればよく、特に限定されるものではないが、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、マルチトール等が挙げられる。これらのうち、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリンのいずれかを用いるのが好ましい。
固体触媒は、用いられる原料成分、反応溶媒、及び反応生成物に対して不要な固体状の触媒であり、ケイ素原子上の置換基交換反応に対して活性を有する酸点及び/又は塩基点を有する固体であればよい。本発明に用いられる固体触媒としては、例えば、イオン交換樹脂、及び各種無機固体塩/塩基触媒が挙げられる。
固体触媒として用いられるイオン交換樹脂としては、例えば、酸性陽イオン交換樹脂及び塩基性陰イオン交換樹脂が挙げられる。これらのイオン交換樹脂の基体をなす樹脂としてはスチレン系、アクリル系、メタクリル酸系樹脂が挙げられ、また、触媒活性を示す官能基としてはスルホン酸、アクリル酸、メタクリル酸、4級アンモニウム、3級アミン、1,2級ポリアミンが挙げられる。また、イオン交換樹脂の基体構造としては、ゲル型、ポーラス型、バイポーラス型等から、目的に応じて選択することができる。
酸性陽イオン交換樹脂としては、例えば、アンバーライト IRC76、FPC3500、IRC748、IRB120B Na、IR124 Na、200CT Na(以上、ロームアンドハース社製)、ダイヤイオン SK1B、PK208(以上、三菱化学社製)、Dow EX モノスフィア650C、マラソンC、HCR−S、マラソンMSC(以上、ダウ・ケミカル社製)等が挙げられる。また、塩基性陰イオン交換樹脂としては、例えば、アンバーライト IRA400J CL、IRA402BL CL、IRA410J CL、IRA411 CL、IRA458RF CL、IRA900J CL、IRA910CT CL、IRA67、IRA96SB(以上、ロームアンドハース社製)、ダイヤイオン SA10A、SAF11AL、SAF12A、PAF308L(以上、三菱化学社製)、Dow EX モノスフィア550A、マラソンA、マラソンA2、マラソンMSA(以上、ダウ・ケミカル社製)等が挙げられる。
固体触媒として用いられる無機固体酸/塩基触媒としては、特に限定されるものではない。無機固体酸触媒としては、Al、SiO、ZrO、TiO、ZnO、MgO、Cr等の単元系金属酸化物、SiO−Al、SiO−TiO、SiO−ZrO、TiO−ZrO、ZnO−Al、Cr−AlO3、SiO−MgO、ZnO−SiO等の複合系金属酸化物、NiSO、FeSO等の金属硫酸塩、FePO等の金属リン酸塩、HSO/SiO等の固定化硫酸、HPO/SiO等の固定化リン酸、HBO/SiO等の固定化ホウ酸、活性白土、ゼオライト、カオリン、モンモリロナイト等の天然鉱物又は層状化合物、AlPO−ゼオライト等の合成ゼオライト、HPW1240・5HO、HPW1240等のヘテロポリ酸等が挙げられる。また、無機固体塩基触媒としては、NaO、KO、RbO、CsO、MgO、CaO、SrO、BaO、La、ZrO、ThO等の単元系金属酸化物、NaCO、KCO、KHCO、KNaCO、CaCO、SrCO、BaCO、(NHCO、NaWO・2HO、KCN等の金属塩、Na−Al、K−SiO等のアルカリ金属担持金属酸化物、Na−モルデナイト等のアルカリ金属担持ゼオライト、SiO−MgO、SiO−CaO、SiO−SrO、SiO−ZnO、SiO−Al、SiO−ThO、SiO−TiO、SiO−ZrO、SiO−MoO、SiO−WO、Al−MgO、Al−ThO、Al−TiO、Al−ZrO、ZrO−ZnO、ZrO−TiO、TiO−MgO、ZrO−SnO等の複合系金属酸化物等が挙げられる。
固体触媒は、反応終了後にろ過あるいはデカンテーション等の処理を行なうことによって、容易に生成物と分離することができる。
また、反応の際の温度条件は特に限定されるものではないが、常温から90℃の範囲で行なうことが好ましい。なお、常温とは、加熱等の特別な温度調節操作を行なわない条件下であることを意味し、より具体的には、5〜35℃の温度範囲である。
反応時には溶媒を用いなくてもよいが、必要に応じて各種溶媒を用いても構わない。反応に用いる溶媒としては、特に限定されるものではなく、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、酢酸エチル、酢酸メチル、アセトン、メチルエチルケトン、セロソルブ、ジエチルエーテル、ジオキサン等のエステル、エーテル、ケトン系溶媒、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等の極性溶媒、さらにはクロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン系溶媒が挙げられる。ここで、原料として用いるテトラアルコキシシランの加水分解縮合反応を抑制するため、溶媒は予め脱水しておくことが好ましい。また、これらのうちで、反応時に副生成するエタノール等のアルコールと共沸混合物を形成して系外へと除去することで反応を促進することのできるアセトニトリル、トルエン等を用いることが好ましい。
また、本発明に係る増粘剤組成物には、上記必須成分(ハイブリッド体)の他、本発明の目的を妨げない範囲であれば、例えば、ビニル系高分子のカルボキシル基を中和するためのアルカリ塩や、組成物に機能付与するための薬剤等の各種成分を配合することができる。
上記ビニル系高分子及び水溶性シラン誘導体を含む成分を調製することにより、増粘性及び使用性に優れた増粘剤組成物を得ることができる。以下、本発明にかかる増粘剤組成物の製造方法について説明する。
本発明においては、ビニル系高分子及び水溶性シラン誘導体を水系溶媒中で混合することにより、ビニル系高分子の構造上にシリカを析出させ、さらにこれをホモミキサーを用いて攪拌分散することにより、なめらかなゲル状をなす増粘剤組成物を製造することができる。
具体的な製造方法としては、例えば、ビニル系高分子及び水溶性シラン誘導体を含む混合水溶液を調製し、これを適宜静置して水溶性シラン誘導体の加水分解・縮合によるシリカの析出反応を促す。重合が十分に進行した後、ホモミキサーを用いて生成したゲル組成物を攪拌分散すれば、容易に本発明の増粘剤組成物を得ることができる。
ビニル系高分子のカルボキシル基を中和するためのアルカリ塩の添加は、水溶性シラン誘導体と混合する前に行うことが好ましい。
本発明の増粘剤組成物の製造に適用するビニル系高分子の配合量は、該組成物の製造にかかる全成分に対して0.05〜1質量%が好適であり、より好ましくは0.1〜0.5質量%である。前記配合量が0.05質量%に満たないと、増粘剤組成物が十分な増粘効果を発揮せず、一方、配合量が1質量%を超えると、組成物にべたつきを与えてしまうことがあるため好ましくない。
また、水溶性シラン誘導体の配合量は、該組成物の製造にかかる全成分に対して0.1〜10質量%が好ましく、より好ましくは1〜5質量%である。配合量が0.1質量%に満たないと、増粘剤組成物が十分な増粘効果を与えることができず、一方、配合量が10質量%を超えると、系が固くなりすぎてしまうことがあるため好ましくない。
本発明の増粘剤組成物の製造にかかる前記ビニル系高分子と水溶性シラン誘導体の配合量比は、(ビニル系高分子):(水溶性シラン)が1:10〜1:50であることが好適である。前記配合量比を維持していれば、例えば、ビニル系高分子及び水溶性シラン誘導体の配合量を増大させて高濃度のハイブリッド体を含む増粘剤組成物を製造し、これを使用時に適切な濃度に希釈して用いることも可能である。
前記成分を混合する水系溶媒としては、通常、水またはこれと相溶性のある有機溶媒と水との混合物を含む溶媒を使用することができ、成分の自己組織化能を促進する観点から水単独、または各種多価アルコール類との混合溶媒が好ましい。
上記増粘剤組成物の製造における温度条件は特に制限されるものではないが、通常、室温から使用する溶媒の沸騰温度の範囲で行うことが好ましい。特に、ビニル系高分子及び水溶性シラン誘導体を混合した後、重合促進に適した温度条件である25〜50℃において、1〜48時間静置しておくことが好適である。
ホモミキサーによる攪拌条件は、製造する組成物の量や形態により適宜設定することができるが、通常6000〜9000rpmにて1〜3分間程度処理すれば、組成物に十分ななめらかさが付与される。
また、前記ホモミキサー処理の際に、組成物へ多糖類を添加することにより、さらに離しょうを抑制することができる。ビニル系高分子の構造上にシリカを析出させたハイブリッド体と、多糖類とを組成物中へ均一に分散させることで、ハイブリッド体に保持された水分の分離を同系中に分散した多糖類が防ぎ、みずみずしい感触を長期間維持することができる。
したがって、この離しょうの改善は、多糖類の添加量よりも添加時期によるところが大きいと考えられることから、多糖類の添加量は、組成物に対し0.01〜0.1質量%程度で足る。多糖類は成分の混合時に添加しても、離しょうの低下にある程度は寄与するが、十分な効果を得るならば重合反応後のホモミキサー処理時に添加することが好ましい。添加する多糖類としては、特にキサンタンガムが好ましい。
このようにして得た本発明の増粘剤組成物は、医薬品、化粧料、塗料等の通常増粘剤を配合することのできる製品に添加し、その系を増粘することができる。系の粘度は、本発明の増粘剤組成物の配合量によって適宜調節することが可能である。また、前述のように、本発明の増粘剤組成物の製造における水分添加量と添加時期により、増粘剤組成物自体の粘度を調整することで配合系の粘度を調節することもできる。そのため、本発明にかかる増粘剤組成物によれば、該組成物の粘度、製品への配合量、またはその組み合わせにより、各製品に適した粘度を付与することができる。
特に、本発明の増粘剤組成物は、基礎をなすビニル系高分子自体の高い増粘性が保持されている上、その構造上にシリカを析出させる(ハイブリッド化)ことによりさらに増粘性が強化されていることから、従来の増粘剤に比して少量の配合で極めて高い増粘効果を得ることができる。また、ビニル系高分子上にシリカが析出することにより、ビニル系高分子がシリカでコーティングされた状態となる。そのため、ビニル系高分子の欠点であった耐塩性の低さが克服されることとなり、高い増粘性と耐塩性の両立が達成される。
また、本発明の増粘剤組成物は、前述のように増粘剤組成物として製品に添加する他、製品の製造工程において増粘剤組成物を生成することも可能である。すなわち、前者は増粘剤組成物及びその添加対象となる製品の2つの製造工程を経ているのに対し、後者は1つの製造工程で増粘した製品を得ることができる。
ただし、乳化化粧料へ配合する場合には製品製造時に増粘剤組成物を原料成分ごとに添加すると、増粘剤組成物の製造におけるビニル系高分子と水溶性シラン誘導体のハイブリッド体の形成や、ホモミキサーによる増粘剤成分の攪拌分散を十分に行うことが困難であるため、製品の系の増粘及びなめらかさに劣ることがある。したがって、本発明の増粘剤組成物の乳化化粧料への配合手段としては、増粘剤組成物を別途製造し、これを各種製品へ添加することが好ましい。
特に、本発明にかかる増粘剤組成物は、一般的な乳化化粧料へ配合することにより、増粘性及び使用感に優れた乳化化粧料を得ることができる。
本発明にかかる増粘剤を配合する乳化化粧料は、水相成分と油相成分とを乳化混合して得られる通常の乳化化粧料であればよく、その剤型ないし使用形態にも制限はない。
乳化化粧料の剤型としては、例えば、水中油型(O/W)、油中水型(W/O)、トリプル型(W/O/WまたはO/W/O)等のエマルジョンが挙げられるが、特に水中油型のものが好適である。
また、前記乳化化粧料の使用形態としては、例えば、化粧水、クリーム、乳液、ローション、パック、軟膏、ムース、及び石けんの他、ファンデーション、アイシャドー、マスカラ、口紅等のメークアップ化粧料、ヘアーリンス、シャンプー、浴用剤等が挙げられる。
本発明の乳化化粧料に適用する水相成分及び油相成分としては、通常乳化化粧料に配合される成分であれば特に制限なく使用することができる。
水相成分としては、例えば、水の他、低級アルコール、多価アルコールが含まれる。
低級アルコールとしては、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール等が挙げられる。
多価アルコールとしては、例えば、2価のアルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、2,3-ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、2-ブテン-1,4-ジオール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール等);3価のアルコール(例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン等);4価アルコール(例えば、1,2,6-へキサントリオール等のペンタエリスリトール等);5価アルコール(例えば、キシリトール等);6価アルコール(例えば、ソルビトール、マンニトール等);多価アルコール重合体(例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、トリグリセリン、テトラグリセリン、ポリグリセリン等);2価のアルコールアルキルエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ2-メチルヘキシルエーテル、エチレングリコールイソアミルエーテル、エチレングリコールベンジルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル等);2価アルコールアルキルエーテル類(例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル等);2価アルコールエーテルエステル(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、エチレングリコールジアジベート、エチレングリコールジサクシネート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノフェニルエーテルアセテート等);グリセリンモノアルキルエーテル(例えば、キシルアルコール、セラキルアルコール、バチルアルコール等);糖アルコール(例えば、ソルビトール、マルチトール、マルトトリオース、マンニトール、ショ糖、エリトリトール、グルコース、フルクトース、デンプン分解糖、マルトース、キシリトース、デンプン分解等還元アルコール等);グリソリッド;テトラハイドロフルフリルアルコール;POE-テトラハイドロフルフリルアルコール、POP-ブチルエーテル;POP・POE-ブチルエーテル;トリポリオキシプロピレングリセリンエーテル;POP-グリセリンエーテル;POP-グリセリンエーテルリン酸;POP・POE-ペンタンエリスリトールエーテル、ポリグリセリン等が挙げられる。
特に、ゲル化した乳化化粧料の離しょう性を向上するため、キサンタンガム等の多糖類を配合することが好ましい。
油相成分としては、例えば、天然油、合成油等の油剤が挙げられる。
液体油脂として、例えば、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン等が挙げられる。
固体油脂としては、例えば、カカオ脂、ヤシ油、馬脂、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、硬化牛脂、パーム核油、豚脂、牛骨脂、モクロウ核油、硬化油、牛脚脂、モクロウ、硬化ヒマシ油等が挙げられる。
ロウ類としては、例えば、ミツロウ、カンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル等が挙げられる。
炭化水素油としては、例えば、流動パラフィン、オゾケライト、スクワラン、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。
高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、トール酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等が挙げられる。
高級アルコールとしては、例えば、直鎖アルコール(例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等);分岐鎖アルコール(例えば、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2-デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等)等が挙げられる。
合成エステル油としては、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12-ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2-エチルヘキサノエート、2-エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、アセトグリセライド、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸2-エチルヘキシル、クエン酸トリエチル等が挙げられる。
シリコーン油としては、例えば、鎖状ポリシロキサン(例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等);環状ポリシロキサン(例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等)、3次元網目構造を形成しているシリコーン樹脂、シリコーンゴム、各種変性ポリシロキサン(アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等)、アクリルシリコーン類等が挙げられる。
また、上記成分の他にも、化粧料に通常配合される成分、例えば、各種界面活性剤、香料、色素、防腐剤、殺菌剤、保湿剤、紫外線吸収剤、紫外線散乱剤、塩、キレート剤、他の増粘剤、パール剤、各種薬剤等を本発明の目的を妨げない限り配合することができる。
本発明にかかる乳化化粧料は、常法にて製造した乳化化粧料と、本発明の増粘剤組成物とを混合することにより製造することができる。
乳化化粧料の通常の製造において、該増粘剤組成物の各成分を配合し、乳化化粧料中にて増粘剤組成物を調製することも可能であるが、乳化化粧料の粘度を安定して調節し得る点では、乳化化粧料及び増粘剤組成物を別途調製後混合することが好ましい。
前記乳化化粧料の製造における、乳化化粧料と増粘剤組成物の混合比は目的とする乳化化粧料の剤形にもよるが、(増粘剤組成物):(乳化化粧料)が重量比で1:1〜1:10程度であれば適度な増粘効果を得ることができる。
以下、具体的な実施例を挙げて、本発明についてさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。また、特に断りのない限り、配合量は全て質量%で表す。
下記合成例及び製造例により本発明にかかる増粘剤組成物を調製し、下記に記載する各試験によりその特性を評価した。
まず、本実施例における水溶性シラン誘導体の合成例について説明する。
水溶性シラン誘導体の合成例
テトラエトキシシラン60.1g(0.28モル)と、グリセリン106.33g(1.16モル)とを混合し、無溶媒下、固体触媒として強酸性イオン交換樹脂(DowEX 50W−X8:ダウ・ケミカル社製)1.1gを添加した後、85℃で混合攪拌した。約3時間の後、混合物は一層透明溶液となった。さらに5時間30分反応を続けた後、得られた溶液を終夜静置した。減圧下、固体触媒をろ過分離した後、少量のエタノールで洗浄した。さらにこの溶液からエタノールを留去して、透明の粘性液体112gとしてグリセリン置換水溶性シラン誘導体(Si−(O−CH−CHOH−CH−OH))を得た。この生成物は、同量の水と室温で混合することにより、やや発熱し、均一で透明なゲルを形成した(収率:97%)。
つづいて、本実施例における増粘剤組成物の製造例について説明する。
増粘剤組成物の製造例
イオン交換水とビニル系高分子であるカルボキシビニルポリマーを混合し、攪拌して均一な水溶液とし、水酸化カリウムを用いて中和した。該水溶液へ上記合成例による水溶性シラン誘導体を加えて混合した。前記混合液を室温下にて2日間静置して水溶性シラン誘導体の重合反応を促し、各サンプルの増粘剤組成物を得た。
<増粘剤組成物の形態>
図1は、上記製造例により得られた増粘剤組成物を凍結乾燥し、走査型電子顕微鏡にて観察した画像である。右図(B)は上記製造例において、カルボキシビニルポリマーを組成物に対し0.2%、水溶性シラン誘導体を0.5%として調製したものであり、左図(A)は比較例として、上記製造例において水溶性シラン誘導体を添加せず、カルボキシビニルポリマーの0.2%水溶液のみから製造した組成物を示す。
図1によれば、カルボキシビニルポリマーと水溶性シラン誘導体から得た増粘剤組成物は、カルボキシビニルポリマー単独である比較例に比べ、架橋した高分子が著しく膨潤していることが確認できる。これは、高分子に沿うようにシリカが析出し、ネットワーク構造を形成していることを示す。すなわち、本発明の増粘剤組成物では、ビニル系高分子とシリカがハイブリッド体を形成していることが確認された。
<増粘剤組成物の粘度挙動>
本発明にかかる増粘剤組成物における、ビニル系高分子及び水溶性シラン誘導体の配合量に対する粘度挙動を測定した。
すなわち、上記製造例において、水溶性シラン誘導体濃度を組成物に対し0〜5.0%、カルボキシビニルポリマー濃度を0〜0.5%まで変化させた際に得られる組成物の粘度を測定した。粘度の測定はB型粘度計(芝浦システム(株):VS−A1)を用い、30℃下にて実施した。結果を図2に示す。
また、上記製造例において、水溶性シラン誘導体濃度を0%(不使用)、0.5%とし、カルボキシビニルポリマー濃度を0.5%とした組成物それぞれについて、動的粘弾性を測定した。結果を図3に示す。なお、図3中のG’は貯蔵弾性率(弾性成分)、G’’は損失弾性率(粘性成分)、tanδはG’’/G’(粘性の割合)、ω[s−1]はずり速度を表す。
さらに、上記粘度挙動試験においてほぼ同様の粘度を示したカルボキシビニルポリマー0.5%のサンプル(図2中の試験例1)と、カルボキシビニルポリマー濃度0.2%、水溶性シラン誘導体濃度0.5%のサンプル(図2中の試験例2)について、下記の評価方法にしたがって使用感を評価した。結果を表1に示す。
評価方法
専門パネラー10名の皮膚表面へ各サンプルを塗布し、下記項目について評価を行った。評価基準は次のとおりである。
(みずみずしさ)
パネル8名以上が、みずみずしいと感じた:◎
パネル6名以上8名未満が、みずみずしいと感じた:○
パネル3名以上6名未満が、みずみずしいと感じた:△
パネル3名未満が、みずみずしいと感じた:×
(なめらかさ)
パネル8名以上が、塗布時になめらかであると感じた:◎
パネル6名以上8名未満が、塗布時になめらかであると感じた:○
パネル3名以上6名未満が、塗布時になめらかであると感じた:△
パネル3名未満が、塗布時になめらかであると感じた:×
(ぬめり)
パネル8名以上が、ぬめりを感じないと認めた:◎
パネル6名以上8名未満が、ぬめりを感じないと認めた:○
パネル3名以上6名未満が、ぬめりを感じないと認めた:△
パネル3名未満が、ぬめりを感じないと認めた:×
(べたつき)
パネル8名以上が、塗布時にべたつきを感じないと認めた:◎
パネル6名以上8名未満が、塗布時にべたつきを感じないと認めた:○
パネル3名以上6名未満が、塗布時にべたつきを感じないと認めた:△
パネル3名未満が、塗布時にべたつきを感じないと認めた:×
(皮膜感)
パネル8名以上が、塗布後の皮膚に皮膜感がないと認めた:◎
パネル6名以上8名未満が、塗布後の皮膚に皮膜感がないと認めた:○
パネル3名以上6名未満が、塗布後の皮膚に皮膜感がないと認めた:△
パネル3名未満が、塗布後の皮膚に皮膜感がないと認めた:×
(ふっくら感)
パネル8名以上が、塗布時にふっくら感があると認めた:◎
パネル6名以上8名未満が、塗布時にふっくら感があると認めた:○
パネル3名以上6名未満が、塗布時にふっくら感があると認めた:△
パネル3名未満が、塗布時にふっくら感があると認めた:×
(表1)
使用性 試験例1 試験例2
みずみずしさ △ ◎
なめらかさ ◎ △
ぬめり △ ○
べたつき ○ ○
皮膜感 △ ○
ふっくら感 △ ○
図2に示すとおり、ビニル系高分子濃度及び水溶性シラン誘導体濃度の上昇に伴い、組成物の粘度は増加した。ビニル系高分子濃度が0%、すなわち水溶性シラン誘導体単独の場合は0に近い液状の組成物となり、ビニル系高分子単独の場合、濃度上昇に伴う増粘性は水溶性シラン誘導体と組み合わせたものよりも劣っていた。つまり、図2中の試験例1及び2の示す粘度がほぼ同様であることを考慮すると、単独では増粘作用を有さない量の水溶性シラン誘導体を添加した方が、従来の増粘剤であるビニル系高分子(カルボキシビニルポリマー)を単独で用いるよりも、少量で高い増粘効果が得られることが分かる。
さらに、表1より、同様の粘度を示す組成物であっても、ビニル系高分子と水溶性シラン誘導体とを含む組成物の方が、従来の増粘剤を単独で使用するよりもみずみずしさや、ぬめり感、皮膜感のなさ、ふっくら感といった使用感に優れていることが明らかになった。
また、図3に示す動的粘弾性試験の結果によれば、ビニル系高分子と水溶性シラン誘導体を併用した場合、粘性G’’及び弾性G’ともにビニル系高分子単独のものより上昇し、さらに粘性の割合tanδの結果から弾性がより高いことがわかる。このことは、表1においてビニル系高分子及び水溶性シラン誘導体の配合系が比較例に比べてなめらかさが低かったことに反映されていると考えられる。
したがって、ビニル系高分子と水溶性シラン誘導体から形成されるハイブリッド体を含む本発明の増粘剤組成物により、適度な粘性を有し弾性に優れたゲルが得られることが明らかになった。
以上の結果から、本発明にかかる増粘剤組成物は、ビニル系高分子及び水溶性シラン誘導体の配合により、増粘性が高く、且つ使用性に優れたものであることが認められた。
<増粘剤組成物の耐塩性>
下記の各種増粘剤組成物について、耐塩性及び使用感を試験した。各サンプルの調製及び試験の方法は以下のとおりである。
製造及び試験方法
下記製造方法により製造した各組成物へ塩化ナトリウムを組成物に対し0から0.1%濃度となるように添加していき、B型粘度計を用いて30℃における粘度変化を測定した。結果を図4に示す。
また、前記試験において、塩化ナトリウム濃度0.1%とした時の各試験サンプルについて、前述の評価方法にしたがって使用感を評価し、さらに図4の結果から耐塩性及び増粘性を相対的に評価した。これらの結果を表2に示す。
(試験例3)
イオン交換水へ0.1%濃度となるようにカルボキシビニルポリマーの中和物を添加し、混合した。
(試験例4)
上記増粘剤組成物の製造例において、カルボキシビニルポリマーの中和物及び水溶性シラン誘導体の各濃度を0.1%及び2.0%とした。
(試験例5)
上記した増粘剤組成物の製造例において、カルボキシビニルポリマーの中和物に代えてキサンタンガムを用い、キサンタンガム及び水溶性シラン誘導体の各濃度を0.1%及び2.0%とした。
(試験例6)
上記した増粘剤組成物の製造例において、カルボキシビニルポリマーの中和物に代えてヒアルロン酸を用い、ヒアルロン酸及び水溶性シラン誘導体の各濃度を0.1%及び2.0%とした。
(表2)
使用性 試験例3 試験例4 試験例5 試験例6
みずみずしさ ◎ ◎ × ×
なめらかさ ◎ △ ○ ○
ぬめり △ ○ × △
べたつき ○ ○ △ △
皮膜感 △ ○ △ △
耐塩性 × ○ ○ ○
増粘性 ○ ◎ × △
図4に示すとおり、同濃度の成分配合において、ビニル系高分子と水溶性シラン誘導体からなる組成物(試験例4)は、多糖類と水溶性シラン誘導体からなる試験例5及び6に比べ10〜100倍もの高い増粘を示した。すなわち、同じ粘度の系を得る場合、ビニル系高分子−シリカハイブリッド体は、多糖類−シリカハイブリッド体の10〜100分の1の配合量で足ると考えられる。また、ビニル系高分子を単独で配合した試験例3は、塩化ナトリウム無添加時は試験例4に及ばないものの、高い粘度を示した。しかしながら、塩の添加に伴い急激に粘度が減少し、著しく耐塩性に劣るものであった。
さらに、表2に示す結果から、使用感においてもみずみずしさや、ぬめり、べたつき、皮膜感のなさの点で試験例4が優れた評価を得た。一方、試験例3は使用時にぬめりや皮膜感が認められ、試験例5及び6は特にみずみずしさが著しく劣っていた。
したがって、試験例5及び6の増粘剤組成物を多量に使用して試験例4と同じ粘度を得ようとすれば、益々みずみずしさは失われ、ぬめりやべたつきが増加すると考えられる。対して、試験例4の増粘剤組成物を用いれば、少量の使用で系を高く増粘することができ、しかも優れた使用性を付与することができることが明らかである。
以上のことから、本発明にかかる増粘剤組成物は、ビニル系高分子とシリカのハイブリッド体により極めて高い増粘性及び耐塩性を示し、また、塩の存在下においても優れた使用性を維持するものである。
次に、下記の各試験により、製造方法による増粘剤組成物の特性を評価した。なお、本実施例では、水溶性シランとしてグリセリン置換水溶性シラン誘導体(Si−(O−CH−CHOH−CH−OH))を使用した。
<ホモミキサー処理による粘性挙動>
下記製造例による増粘剤組成物について、動的粘弾性を測定した。結果を図5に示す。なお、図5中のG’は貯蔵弾性率(弾性成分)、G’’は損失弾性率(粘性成分)、tanδはG’’/G’(粘性の割合)、ω[s−1]はずり速度を表す。
増粘剤組成物の製造例(ホモミキサー処理あり)
0.3%カルボキシビニルポリマー、2.5%水溶性シラン誘導体の混合水溶液を調製した。前記混合水溶液を室温下にて2日間静置した後、9000rpmにて3分間ホモミキサー処理を施し、増粘剤組成物を得た。
増粘剤組成物の製造例(ホモミキサー処理なし)
ホモミキサー処理を行わないこと以外は上記製造例と同様にして増粘剤組成物を得た。
図5に示すとおり、ホモミキサー処理を行ったサンプルにおいては、未処理のものに比べ弾性成分G’’の低下が認められた。これに応じ、tanδの結果からも、未処理に比べ粘性の割合が増加していることが分かる。このことから、ホモミキサー処理を施した増粘剤組成物は、未処理のものよりもなめらかな使用感を示すものと考えられる。
したがって、本発明にかかる増粘剤組成物において、成分混合後にホモミキサー処理を行うことにより、なめらかな使用感を付与することができることが明らかになった。
<増粘剤組成物の離しょう性>
下記表3に示す処方の増粘剤組成物について、ホモミキサー処理及びキサンタンガム添加の有無における粘度と離しょう性を試験した。結果を表3に示す。
なお、各試験例の組成物は下記の方法で調製した。各組成物は室温下にて10日間保存後、B型粘度計を用いて30℃における粘度を測定し、組成物の感触によって離しょうの状態を評価した(離しょうが見られない:○、やや離しょうが見られる:△、著しく離しょうが見られる:×)。
調製方法
(試験例7)
カルボキシビニルポリマーと水酸化カリウムの一部とを水へ加えて混合して溶解させ、ここへ水溶性シラン誘導体を添加し混合した。その後残りの成分を添加して混合し、該混合物を2日間静置して増粘剤組成物を得た。
(試験例8)
残りの成分としてキサンタンガムを添加する他は、前記試験例7と同様に調製して増粘剤組成物を得た。
(試験例9)
試験例8と同様の成分混合工程を行い、得られた混合物を2日間静置した。その後、該混合物をホモミキサー(9000rpm、2分間)で混合撹拌して増粘剤組成物を得た。
(試験例10)
カルボキシビニルポリマーと一部の水酸化カリウムとを水へ加えて混合して溶解させ、ここへ水溶性シラン誘導体を添加し混合した。その後キサンタンガムを除く残りの成分を添加し、得られた混合物を2日間静置した。その後、該混合物にキサンタンガムを添加し、ホモミキサー(9000rpm、2分間)で混合攪拌して増粘剤組成物を得た。
(表3)
(処方) 試験例7 試験例8 試験例9 試験例10
イオン交換水 96.0 95.95 95.95 95.95
カルボキシビニルポリマー 0.3 0.3 0.3 0.3
水溶性シラン誘導体 1.0 1.0 1.0 1.0
アスコルビン酸2−グルコシド 2.0 2.0 2.0 2.0
水酸化カリウム 0.6 0.6 0.6 0.6
キサンタンガム(先に添加) − 0.05 0.05 −
キサンタンガム(後に添加) − − − 0.05
ホモミキサー処理 なし なし あり あり
粘度 3000 6500 3500 3000
離しょう性 × × △ ○
表3によれば、試験例7及び8と、試験例9及び10の比較から、成分の調製後にホモミキサー処理を行うことにより、組成物の離しょうが改善されることが分かる。また、試験例9及び10の結果から、特にホモミキサー処理時にキサンタンガムを添加することで、さらに離しょうが低下することが明らかになった。なお、試験例8が示すように、ホモミキサー処理を行わずにキサンタンガムを添加するだけでは、粘度が多少上昇するものの、離しょうの改善はみられなかった。
以上の結果から、本発明にかかる増粘剤組成物の製造方法において、ハイブリッド体の形成後にホモミキサーを用いて攪拌処理を行うことにより、離しょうの低い優れた増粘剤組成物が得られることが認められた。また、このホモミキサー処理時に微量のキサンタンガム等の多糖類を添加することが好適である。
続いて、本発明の乳化化粧料の製造方法について以下の試験を行った。なお、本実施例では、水溶性シランとしてグリセリン置換水溶性シラン誘導体(Si−(O−CH−CHOH−CH−OH))を使用した。
下記表4に示す処方及び製造方法により乳化化粧料を製造した。各乳化化粧料の粘度をB型粘度計を用いて測定し、乳化化粧料の凝集の有無を以下の規準で外観から評価した。結果を表4に示す。
評価基準
凝集が認められず、系がなめらかである:○
やや凝集が認められる:△
著しく凝集が認められる:×
(製造方法)
1.(15)に(11)及び(13)を添加して混合した後、(14)を加えて混合した。前記混合物を室温にて2日間静置したのち、(12)を加えてホモミキサー(9000rpm、2分間)を用いて混合攪拌し、増粘剤組成物を得た。
2.水相成分(8)〜(10)、(16)の混合物と、油相成分(1)〜(7)の混合物を70℃の加熱下で混合して乳化させた。均一に乳化したのち、25℃に冷却して乳化化粧料を得た。
3.上記工程1で得た増粘剤組成物を、工程2で得た乳化化粧料へ加えて混合し、増粘した乳化化粧料を得た。
表4に示すとおり、製造例1及び2のいずれによっても、凝集のないなめらかな乳化化粧料が得られた。また、両製造例の組成は全く同じであるが、増粘剤組成物の調製時に用いる水分量によって得られる化粧料の粘度が大きく変化し、それに応じて乳化化粧料の剤型もクリーム状ないし乳液状となった。
以上の結果から、本発明に係る増粘剤組成物を乳化化粧料へ添加することにより、増粘した乳化化粧料が得られることが認められた。また、増粘剤組成物調製時の水分量により乳化化粧料の粘度を調整し、様々な剤型とすることができる。
さらに、上記表4の製造例1の処方について、下記製造方法により製造した乳化化粧料について離しょう、使用性を評価した。離しょう及び使用性は、それぞれ上記実施例2及び実施例1に記載の評価基準にしたがって評価した。結果を表5に示す。
製造方法
(試験例11)
上記製造例1の製造方法と同様にして調製した。
(試験例12)
水相成分(9)〜(16)の混合物と、油相成分(1)〜(9)の混合物を70℃の加熱下で混合して乳化させた。均一に乳化したのち、25℃に冷却して乳化化粧料を得た。
(表5)
試験例11 比較例12
離しょう ○ △
使用性
みずみずしさ ◎ △
なめらかさ ○ ×
ぬめり ○ ○
べたつき ○ ○
皮膜感 ○ △
ふっくら感 ○ △
表5に示すとおり、増粘剤組成物と乳化化粧料を別途調製し、混合した試験例1のほうが、乳化化粧料の製造時に増粘剤組成物を成分ごとに添加した比較例よりも離しょうが低く、みずみずしさ、なめらかさ、皮膜感、ふっくら感の点で使用性にも優れていることが明らかになった。
したがって、本発明にかかる乳化化粧料の製造方法において、乳化化粧料と増粘剤組成物とをそれぞれ製造し、その後両者を混合することが好適である。
以下、本発明にかかる乳化化粧料の処方例を示すが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
処方例1 乳液 (質量%)
(1)ジメチルポリシロキサン 2.0
(2)ベヘニルアルコール 0.5
(3)グリセリン 5.0
(4)1,3−ブチレングリコール 5.0
(5)スクワラン 5.0
(6)硬化油 3.0
(7)テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリット 2.0
(8)イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル 1.0
(9)モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン 1.0
(10)アスコルビン酸2−グルコシド 2.0
(11)水酸化カリウム 適量
(12)クエン酸 0.02
(13)クエン酸ナトリウム 0.08
(14)フェノキシエタノール 適量
(15)カルボキシビニルポリマー 0.1
(16)キサンタンガム 0.05
(17)1,3-ブチレングリコール置換水溶性シラン誘導体 2.0
(Si−(O−CH−CH−CHOH−CH
(18)イオン交換水 残余
(製造方法)
1.(18)の一部に(15)及び(11)を添加して混合した後、(17)を加えて混合した。前記混合物を室温にて2日間静置したのち、(16)を加えてホモミキサー(9000rpm、2分間)を用いて混合攪拌し、増粘剤組成物を得た。
2.水相成分(3)、(4)、(10)、(12)〜(14)、(18)の混合物と、油相成分(1)、(2)、(5)〜(9)の混合物を70℃の加熱下で混合して乳化させた。均一に乳化したのち、25℃に冷却して乳化化粧料を得た。
3.上記工程1で得た増粘剤組成物を、工程2で得た乳化化粧料へ加えて混合し、乳液を得た。
処方例2 クリーム (質量%)
(1)ジメチルポリシロキサン 2.0
(2)ベヘニルアルコール 0.5
(3)グリセリン 5.0
(4)1,3−ブチレングリコール 5.0
(5)スクワラン 5.0
(6)硬化油 3.0
(7)テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリット 2.0
(8)イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル 1.0
(9)モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン 1.0
(10)水酸化カリウム 適量
(11)クエン酸 0.02
(12)クエン酸ナトリウム 0.08
(13)フェノキシエタノール 適量
(14)カルボキシビニルポリマー 0.2
(15)キサンタンガム 0.05
(16)グリセリン置換水溶性シラン誘導体 2.0
(Si−(O−CH−CHOH−CH−OH)
(17)イオン交換水 残余
(製造方法)
1.(17)の一部に(14)及び(10)を添加して混合した後、(16)を加えて混合した。前記混合物を室温にて2日間静置したのち、(15)を加えてホモミキサー(9000rpm、2分間)を用いて混合攪拌し、増粘剤組成物を得た。
2.水相成分(3)、(4)、(11)〜(13)、(18)の混合物と、油相成分(1)、(2)、(5)〜(9)の混合物を70℃の加熱下で混合して乳化させた。均一に乳化したのち、25℃に冷却して乳化化粧料を得た。
3.上記工程1で得た増粘剤組成物を、工程2で得た乳化化粧料へ加えて混合し、クリームを得た。
本発明にかかる増粘剤組成物の走査型電子顕微鏡による写真図である。 本発明にかかる増粘剤組成物の各成分濃度に対する粘度を示したグラフである。 本発明にかかる増粘剤組成物の動的粘弾性試験の結果を示したグラフである。 本発明にかかる増粘剤組成物のNaClの添加に対する粘度変化を示したグラフである。 本発明にかかる増粘剤組成物の製造方法における、ホモミキサー処理による組成物の動的粘弾性試験の結果を示したグラフである。

Claims (7)

  1. ビニル系高分子上にシリカが析出してなるビニル系高分子−シリカハイブリッド体と、水とを含むことを特徴とする増粘剤組成物。
  2. 前記ビニル系高分子がカルボキシビニルポリマーであることを特徴とする請求項1に記載の増粘剤組成物。
  3. さらに、多糖類を含むことを特徴とする請求項1及び2に記載の増粘剤組成物。
  4. 請求項1に記載の増粘剤組成物の製造方法において、
    (A)ビニル系高分子と、
    下記一般式(I)で示される水溶性シラン誘導体とを混合する工程、及び、
    (B)前記混合物をホモミキサーにより分散処理する工程、
    を含むことを特徴とする増粘剤組成物の製造方法。
    (化1)
    Si−(OR (I)
    (式中、Rは多価アルコール残基である。)
  5. ビニル系高分子及び水溶性シラン誘導体の混合物を攪拌分散する工程(B)において、さらに多糖類を添加することを特徴とする請求項4に記載の増粘剤組成物の製造方法。
  6. 水相成分、油相成分、及び請求項1ないし3に記載の増粘剤組成物とを含有することを特徴とする乳化化粧料。
  7. 請求項6に記載の乳化化粧料の製造方法において、
    水相成分と油相成分を乳化してなる乳化化粧料と、増粘剤組成物とをそれぞれ製造し、その後両組成物を混合することを特徴とする乳化化粧料の製造方法。
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