JP2009148814A - ブレージングシートの製造方法 - Google Patents

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夏樹 米山
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Abstract

【課題】クラッド層の低融点化を実現するとともに高品質なブレージングシートを製造する。
【解決手段】シリコン成分とは異なる成分からなると共にクラッド層22の融点を低下させる低融点化成分とロウ材成分とを有するクラッド層形成用粉末2を圧延ローラ4A,4Bによって基材21に圧着させる工程と、圧着されたクラッド層形成用粉末2をクラッド層化する工程とを有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、ブレージングシートの製造方法に関するものである。
従来から、ロウ材組成を有するクラッド層と基材とを備えるブレージングシートを用いたロウ付けが行われている。このブレージングシートは、クラッド層のみからなるシート材を基材上に配し、これらを圧延ローラによって圧延することで製造されるものである。
クラッド層は基材よりも低融点とされており、クラッド層の融点以上でかつ基材の融点以下の温度で加熱することによってブレージングシートと対象物とのロウ付けが可能とされている。
ところで、より低温にてロウ付けが可能となるようにクラッド層の融点は低いことが好ましい。このため、クラッド層の融点を低下させる方法としてクラッド層にシリコン成分を添加することが行われており、これによって低い温度でのロウ付けが可能となっている(例えば、非特許文献1参照)。
日本工業規格 JIS Z3263(2002年)
しかしながら、クラッド層中に添加するシリコン成分が所定量よりも多くなってしまうと、シリコン成分が基材の強度を低下させるといった不具合を生じさせるおそれがあった。そこで、シリコン成分に代えてクラッド層の融点を基材に比べて低下させる低融点化成分を添加することも考えられるが、この場合、低融点化成分によってクラッド層延性が低下し、圧延時に基材とクラッド層からなるシートの充分な密着性が得られなくなってしまい、ブレージングシートの品質が低下してしまうといった問題があった。
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、クラッド層のさらなる低融点化を実現するとともに高品質なブレージングシートを製造することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明のブレージングシートの製造方法は、アルミニウムを含むシート状の基材の少なくとも一方の面にロウ材組成を有するクラッド層が形成されたブレージングシートの製造方法であって、シリコン成分とは異なる成分からなると共に上記クラッド層の融点を低下させる低融点化成分とロウ材成分とを有する粉末を圧延ローラによって上記基材に圧着させる工程と、圧着された上記粉末を上記クラッド層化する工程とを有することを特徴とする。
このような特徴を有する本発明のブレージングシートの製造方法によれば、シリコン成分とは異なる成分からなると共に上記クラッド層の融点を低下させる低融点化成分とロウ材成分とを有する粉末が圧延され、クラッド層化される。
また、本発明のブレージングシートの製造方法においては、上記低融点化成分は、銅、マグネシウム、及び亜鉛のうち少なくともいずれかの成分を含むという構成を採用する。
また、本発明のブレージングシートの製造方法においては、上記粉末は、上記低融点化成分及び上記ロウ材成分に加え、上記基材の強度低下が許容できる範囲においてシリコン成分をさらに含むという構成を採用する。
本発明のブレージングシートの製造方法によれば、シリコン成分とは異なる成分からなると共に上記クラッド層の融点を低下させる低融点化成分とロウ材成分とを有する粉末が圧延され、クラッド層化され、直接基材上にクラッド層が形成される。このため、クラッド層にシリコン成分とは異なる成分からなると共に上記クラッド層の融点を低下させる低融点化成分を含ませ、かつ、クラッド層と基材との密着性を確保することができる。
したがって、本発明のブレージングシートの製造方法によれば、クラッド層の低融点化を実現するとともに高品質なブレージングシートを製造することが可能となる。
以下、図面を参照して、本発明に係るブレージングシートの製造方法の一実施形態について説明する。また、以下の図面においては、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。
図1は本実施形態の製造方法によって製造されたブレージングシートの全体構成を示す斜視図である。
図1に示すように、ブレージングシート1は、アルミニウムを含むシート状の基材21と、該基材21の一方面に固着されると共にロウ材組成を有するクラッド層22とから構成されている。このクラッド層22は、ロウ材成分の他、シリコン成分と異なる成分からなるとともにクラッド層22自体の融点を低下させるための低融点化成分を含んでいる。なお、クラッド層22は詳細については後述する粉末(以下、クラッド層形成用粉末2と称する)の圧延処理を含む製造工程によって形成されたものである。
次に、ブレージングシート1を製造するための製造装置について説明する。図2は、ブレージングシート1の製造装置Dの概略構成図である。
製造装置Dは、クラッド層形成用粉末2を貯蓄するホッパ3と、ホッパ3からクラッド層形成用粉末2を後述する圧延ローラ4Aの周面に供給する供給配管5と、供給されたクラッド層形成用粉末2と基材21とを圧延する圧延ローラ4A、4Bと、圧延ローラ4Aの周面に供給されたクラッド層形成用粉末2の圧延ローラ4A,4B間への供給量を調節する調節ローラ7と、圧延加工されたクラッド層形成用粉末2と基材21とを加熱処理する加熱炉6と、加熱処理の後に形成されるブレージングシート1を巻き取る回収ローラ8とを有する。
クラッド層形成用粉末2としては、ロウ材成分及び上述の低融点化成分を含む粉末が用いられる。
この低融点化成分としては、銅、マグネシウム、及び亜鉛のうち少なくともいずれかの成分を含むものとなっている。
なお、粉末を構成する粉末粒子は、例えば数μmの粒径を有している。
クラッド層形成用粉末2は、例えば、アルミニウム成分を含むロウ材成分からなる粉末粒子と、上述の銅、マグネシウム、及び亜鉛のうち少なくともいずれかの成分を融点低下成分として含む粉末粒子とからなるように構成することができる。このように異なる粉末粒子を用いてクラッド層形成用粉末2を構成することで、クラッド層形成用粉末2における成分調整を容易に行うことができる。
ただし、クラッド層形成用粉末2は、ロウ材成分及び上述の低融点化成分を含む合金粒子から構成することもできる。このような場合には、クラッド層形成用粉末2における成分の偏りを防止することができる。
なお、上記クラッド層形成用粉末2には、シリコン成分をさらに含ませても良い。シリコン成分は、効率的にクラッド層22の融点を低下させる機能を有しているため、シリコン成分をクラッド層形成用粉末2に含ませることによって、クラッド層22の低融点化を促進することができる。ただし、シリコン成分は上述したようにその成分比率が許容量を超えた場合には、基材21の強度を低下させる可能性がある。このため、本実施形態においてシリコン成分は、あくまでも低融点化成分の補助として用いられるに留められ、基材21の強度低下が許容できる範囲において添加が許容されるものとする。
ホッパ3は、クラッド層形成用粉末2を貯蓄する中空構造を有し、供給配管5を介して圧延ローラ4Aの周面にクラッド層形成用粉末2を供給する構成となっている。
供給配管5は、一端がホッパ3の下部と接続され、他端が調節ローラの近傍に配置されており、他端から排出されたクラッド層形成用粉末2が調節ローラ7直前の圧延ローラ4Aの周面に供給されるように構成されている。
なお、供給配管5の他端は、圧延ローラ4Aの幅と略同一の幅を有しており、圧延ローラ4Aの幅方向に亘って均一にクラッド層形成用粉末2を供給可能な構成となっている。
圧延ローラ4A、4Bは、供給配管5の下方に一対となって設けられる。また、圧延ローラ4A、4Bは、互いの周面が所定の間隔で平行対峙するように配置される。そして、圧延ローラ4A、4Bは、不図示の回転駆動機構により回転駆動することによって、圧延ローラ4A、4Bの間に挿入される部材(基材21及びクラッド層形成用粉末2)を圧延する構成となっている。
調節ローラ7は、圧延ローラ4Aの対峙方向に延在し、圧延ローラ4Aの周面上方に設けられる。調節ローラ7は、調節ローラ7と、圧延ローラ4Aとの互いの周面が所定の間隔で対峙するように配置される。そして、調節ローラ7は、不図示の回転駆動機構により回転駆動することによって、圧延ローラ4A,4B間へのクラッド層形成用粉末2の供給量を調節する構成となっている。
加熱炉6は、圧延ローラ4A、4Bの下方に設置される。そして、加熱炉6は、圧延ローラ4A,4Bにより圧延され、送出されたクラッド層形成用粉末2及び基材21を加熱炉6内へプーリ9を介して挿入することによって加熱処理する構成となっている。
回収ローラ8は、不図示の回転駆動機構により回転駆動可能に担持される。そして、回収ローラ8は、加熱炉6による加熱処理の工程を経て得たブレージングシート1を巻き取る構成となっている。
続いて、製造装置Dの動作を説明すると共に、本発明のブレージングシートの製造方法について述べる。
製造装置Dは、ホッパ3に貯蓄されたクラッド層形成用粉末2を供給配管5に供給し、当該供給配管5を介してクラッド層形成用粉末2を圧延ローラ4A,4Bの周面に連続的に供給する。
圧延ローラ4A,4Bの周面に供給されたクラッド層形成用粉末2は、圧延ローラ4A,4Bの周面と所定の間隔で回転駆動する調節ローラ7によって、一定の厚さに調節されることによって供給量を調節され、圧延ローラ4Aの周面に供給される。
そして、圧延ローラ4Aの周面に供給されたクラッド層形成用粉末2は、圧延ローラ4A,4Bの回転駆動によって、圧延ローラ4A,4Bの間に上方から下方へ挿通されて搬送されるシート状の基材21と圧延される。当該圧延によって、クラッド層形成用粉末2は、基材21の一方の面に固着されることとなる。
クラッド層形成用粉末2が固着した基材21は、圧延ローラ4A,4Bの下方に位置する加熱炉6にプーリ9を介して挿入され、クラッド層形成用粉末2の融点近傍の温度まで加熱される。この結果、クラッド層形成用粉末2が焼結あるいは溶融して層となり、基材21の表面にしっかりと固着されることによって、クラッド層22が形成される。
このような本実施形態のブレージングシート1の製造方法は、シリコン成分とは異なる成分からなると共にクラッド層22の融点を低下させる低融点化成分とロウ材成分とを有するクラッド層形成用粉末2を圧延ローラ4A,4Bによって基材21に圧着させる工程と、圧着されたクラッド層形成用粉末2をクラッド層化する工程(加熱させて焼結あるいは溶融させる工程)とを有する。
このため、本実施形態のブレージングシート1の製造方法では、直接基材上にクラッド層が形成される。よって、クラッド層にシリコン成分とは異なる成分からなると共に上記クラッド層の融点を低下させる低融点化成分を含ませることが可能となり、かつ、クラッド層と基材との密着性を確保することができる。
したがって、本実施形態のブレージングシートの製造方法によれば、クラッド層の低融点化を実現するとともに高品質なブレージングシートを製造することが可能となる。
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、上記実施形態においては、基材21の一方面側にクラッド層22を形成する場合について説明した。
しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、基材21の両面側にクラッド層22を形成する構成としてもよい。このような場合には、圧延ローラ4Bの周面にクラッド層形成用粉末2を供給する不図示の供給配管を設け、圧延ローラ4A,4B間に供給したクラッド層形成用粉末2を圧延ローラ4A,4Bの回転駆動によって、圧延ローラ4A,4Bの間に上方から下方へ挿通されて搬送される基材21の両面に圧着することができる。これにより、基材21の両面に高品質なクラッド層22が形成されたブレージングシートを製造することができる。
本実施形態に係る方法で製造されたブレージングシートの概略斜視図である。 ブレージングシートの製造に用いられる製造装置の概略構成を示す図である。
符号の説明
1……ブレージングシート、2……クラッド層形成用粉末(粉末)、21……基材、22……クラッド層

Claims (3)

  1. アルミニウムを含むシート状の基材の少なくとも一方の面にロウ材組成を有するクラッド層が形成されたブレージングシートの製造方法であって、
    シリコン成分とは異なる成分からなると共に前記クラッド層の融点を低下させる低融点化成分とロウ材成分とを有する粉末を圧延ローラによって前記基材に圧着させる工程と、
    圧着された前記粉末を前記クラッド層化する工程と
    を有することを特徴とするブレージングシートの製造方法。
  2. 前記低融点化成分は、銅、マグネシウム、及び亜鉛のうち少なくともいずれかの成分を含むことを特徴とする請求項1記載のブレージングシートの製造方法。
  3. 前記粉末は、前記低融点化成分及び前記ロウ材成分に加え、前記基材の強度低下が許容できる範囲においてシリコン成分をさらに含むことを特徴とする請求項1または2記載のブレージングシートの製造方法。
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