JP3811094B2 - 多層材料の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、すべり軸受などの製造に用いられる多層材料の製造方法に係り、特に裏材に接合された表材が方向性のあるデンドライト組織を持った多層材料の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、裏材である鋼板に表材である銅系軸受合金を接合した構造の軸受用多層材料を製造する方法としては、焼結法と連帯鋳造法とがある。
焼結法は、鋼板上に銅系軸受合金を構成する銅合金の焼結粉末を所定の厚さに散布し、その後、還元雰囲気中で850〜900℃に加熱して一次焼結し、次いで銅合金粉末層の密度が100%となるように圧延し、更に再度上記と同条件で二次焼結を行って多層材料を完成させるというものである。
【0003】
また、連帯鋳造法は、鋼板の両側をL形に折り曲げてチャンネル(溝)状にし、その後、還元雰囲気で1000℃まで予熱し、そこに溶融した銅合金を注入すると共に、鋼板の背面側から油焼き入れし注湯した銅合金を裏面側から冷却して一方向に凝固させ、次いでチャンネルの両側のL形折り曲げ部分を切断除去すると共に、銅合金表面の不要部分を切削し、最後に油焼き入れによってマルテンサイト化した鋼板を800℃に加熱して軟化させ、以上により多層材料を完成させるというものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記の焼結法では一次焼結および二次焼結のための設備、圧延設備などを必要とし、また、連帯鋳造法もチャンネル成型設備、予熱設備、鋳造設備などを必要するので、極めて長い製造設備ラインを必要とする。
また、焼結法では、銅合金層の組織内に空孔が残り易く、組織の緻密化が充分でないため、耐疲労性に問題がある。その上、銅合金層(表材)と鋼板(裏材)との接合強度が低く、しかも、二次焼結によって銅合金層の組織が粗くなり、且つ強度が低下するという問題がある。一方、連帯鋳造法では、銅合金層と鋼板との接合強度は高いが、鋼板の背面から焼き入れを行うため、鋼板が硬化してしまい、その後の軟化のための焼なましをすることによって、銅合金の組織が粗くなり、強度が低くなるという問題を生ずる。
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的は、組織が緻密で高強度の多層材料を製造できる方法を提供するところにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明が製造しようとする多層材料は、裏材にこの裏材とは異種の金属からなる表材を接合して構成される多層材料であって、その表材が裏材表面からほぼ垂直に伸びるデンドライト組織を持ち、且つそのデンドライト組織が裏材表面と平行な断面での結晶粒度が0.02以下および/または裏材表面と垂直な切断面でのデンドライトアームスペイシングが0.02mm以下の急冷組織となるものである。
【0006】
このような多層材料を製造するために、本発明は、まず、表材を構成する金属粉末の表面の酸化物を還元し、その後、還元後の金属粉末が裏材上に散布された状態で、その金属粉末にレーザ光を照射して当該金属粉末を局部的に加熱溶融し、且つこの溶融部分を裏材の背面側から冷却して急速に凝固させるようにしたものである。
【0007】
レーザ光は局所的な加熱に適しており、金属粉末を局部的に加熱溶融して裏材に接合することにより、表材と裏材との接合を良好に行うことができ、しかも、他への熱的影響が少ない。加熱箇所が局部的であれば、その加熱箇所に対する冷却についても制御し易くなる。レーザとしては、エネルギーの変換効率に優れた半導体レーザを用いることが好ましい。
【0008】
本発明では、適切な溶融・凝固条件を与えるレーザ光のエネルギー密度として10〜100KW/cm2とした。エネルギー密度が10KW/cm2未満では裏材上に散布した金属粉末が溶融せず、エネルギー密度が100KW/cm2を越えると、裏材が溶融してしまい、バイメタル化できなくなる。従って、エネルギー密度10〜100KW/cm2の範囲において、裏材と表材との適切な接合状態を維持し、表材と裏材とのバイメタル化が可能となる。
【0009】
本発明の多層材料の製造方法によれば、裏材上に金属粉末を散布し、その金属粉末にレーザ光を照射すると、レーザ光を照射された部分の金属粉末はレーザ光を吸収して瞬間的に溶融し、表面張力により球状化する。このときのレーザ光による加熱速度は800℃/sec以上に達する。そして、球状化した溶融部分は次の瞬間に重力で裏材上に広がると共に、その裏材上に広がった溶融金属は、裏材の背面側から急速冷却されるので、裏材表面からほぼ垂直方向に向かって凝固してゆくようになる。
【0010】
このような方法を採用することによって上述した本発明の多層材料が製造され、表材のデンドライト組織は、裏材表面からほぼ垂直に伸び、その裏材の表面と平行な切断面での結晶粒度が0.02mm以下および/または裏材表面と垂直な切断面でのデンドライトアームスペイシングが0.02mm以下の急冷凝固組織を持つようになるのである。
【0011】
ところで、本発明の特徴は、金属粉末にレーザ光を照射する前に、金属粉末の表面の酸化物を還元して還元減量が0.05%以下となるようにしたところにある。その理由を以下に説明する。
【0012】
本発明者は、組織が緻密で高強度の多層材料を得るために、レーザ法、つまり裏材上に金属粉末を散布した後、レーザ光によって金属粉末を局部的に加熱溶融し、且つこの溶融部分を裏材の背面側から冷却して急速凝固させる方法を採用した。ところが、レーザ法により製造した多層材料では、図8に示すように表材の組織中に空孔や介在物(酸化物、炭化物など)が多く存在し、組織の緻密化程度の低いものしか得られなかった。このような空孔や介在物が表材中に生ずる原因を究明するために、本発明者は鋭意実験を重ねたところ、金属粉末の表面にできている酸化物の影響によるものであることが判明した。
【0013】
すなわち、金属粉末の表面は空気に晒されて酸化しており、その酸化物にレーザ光が照射されると、酸化物からガスが電離してプラズマフレームを生ずる。すると、レーザ光自体が金属粉末に到達する以前に減衰し、本来のエネルギーを与えることができなくなる熱レンズ現象が起こり、安定な溶融状態が維持できなくなるため、表材の中に空孔や介在物が生ずることを究明したのである。
【0014】
金属粉末をレーザ光の被照射体として考えるとき、金属粉末はきわめて比表面積が大きいから表面の酸化物の影響が大きく、しかも粉末粒度により酸化の程度に幅があって一定ではない。従って金属粉末にレーザ光を照射する場合、安定した照射状態を維持し、安定したエネルギーの入力状態を確保するためには、金属粉末の酸化状態を安定した一定レベルに保つ必要がある。
【0015】
次の表1は金属粉末の表面の酸化程度と、その金属粉末にレーザ光を照射した場合のプラズマの発生の有無を実験により求めた結果を示す。なお、酸化程度は、日本粉末冶金工業会が定めるJPMA P 03−1992に規格化された還元減量で示す。
【0016】
【表1】
【0017】
上記の表1から、還元減量の多い過度に酸化した粉末では必ずプラズマが発生していることが分かる。従って、プラズマ発生を回避するには、銅系合金粉末の場合、還元減量が0.05%以下となるような清浄な表面状態を持つ粉末がレーザ法に有効であることが分かる。図7は還元減量が0.03%の銅系合金(Cu−10Sn−10Pb粉末)にレーザ光を照射した場合を示すが、同図では、空孔や介在物は存在していない。
【0018】
金属粉末の還元は、金属粉末を裏材上に散布する前に行っても良いし、金属粉末を裏材上に散布してから行っても良い。裏金上に金属粉末を散布した後に還元を行った場合には、還元後、直ちにレーザ光を照射できるので、その間に酸化物が再生することがない。
【0019】
このような本発明方法では、裏材上に金属粉末を散布し、これをレーザ光によって溶融し、その後、急速冷却することによりバイメタル材を製造できるので、従来の焼結法のように一次焼結、二次焼結、圧延設備などが要らず、また連帯鋳造法のように金属を溶融する大掛かりな設備や鋼板上に注入された多量の溶融金属を冷却するための大掛かりな冷却装置も要らないので、製造ラインを短縮することができる。しかも、裏材上に散布された金属粉末を局部的に急速に溶融し、急速に冷却することにより、表材の組織が緻密になる。
【0020】
一方、銅系合金は軸受合金として最も優れた特性を持つ材料の一つであり、鋼裏金との濡れ性も良く、鋼裏金との接合性に優れる。しかしながら、銅系合金は、光吸収率が低い材料である。そこで、レーザとしては、半導体レーザを用いることが好ましい。半導体レーザが発するレーザ光の波長は0.8〜1.1μmであり、この波長は銅系合金が高い吸収率を呈する波長であり、従って、銅系合金と半導体レーザとの組み合わせにより本発明方法を実施することが最も適している。
【0021】
本発明方法により製造された多層材料において、表材のデンドライト組織に、幹に相当する部分から伸びた枝(以下、アーム)を確認できる場合と、そのようなアームを確認できない場合とがある。例えば、銅系合金の場合、その銅系合金に鉛やビスマス、或いは錫が含まれていると、銅系合金粉末を溶融し冷却固化させた状態では、その鉛粒子、ビスマス粒子、錫粒子が支柱から伸びたアームの相互間に介在するようになるので、アームを確認できる。しかし、その後に調質のための焼鈍などの熱処理を行うと、鉛やビスマスは、そのままアームの相互間に残るが、錫の場合には、熱処置によってアームの間から消失してしまうため、そのようなアームを確認することができなくなる。
【0022】
そこで、デンドライト組織のアームが確認できない場合には、図2に示すように、裏材の表面と平行な切断面でのデンドライト組織の間隔Lを結晶粒度と称してmm単位で表し、図3に示すように、アームが確認できる場合には、デンドライト組織のアームとアームとの間隔をデンドライトアームスペイシングDASと称してmm単位で表すこととした。但し、結晶粒度の測定法はJIS H 0501に従うものとする。
【0023】
本発明方法により製造された多層材料によれば、表材がデンドライト組織で、そのデンドライト組織が裏材表面からほぼ垂直に伸びるので、すべり軸受とした場合、デンドライト組織の幹の部分が相手材の荷重方向と一致し、幹が荷重を支える柱の役目を果たすこととなり、強度および耐疲労性に優れたものとなる。
【0024】
また、表材のデンドライト組織の結晶粒度が0.02mm以下および/またはデンドライトアームスペイシングが0.02mm以下と緻密であるので、すべり軸受とした場合、非焼付性および耐疲労性に優れたものとなる。
【0025】
錫10質量%、鉛10質量%、残り銅の銅合金の凝固組織について、本発明による場合を図4、従来の焼結法による場合を図5、連帯鋳造法による場合を図6にそれぞれ示した。この図4と図5、図6との対比から明らかなように、本発明の多層材料は表材の組織が緻密であることが理解される。なお、図4〜6において、(a)は裏材の表面に垂直な切断面での組織、(b)は裏材の表面と平行な切断面での組織であり、白地は銅マトリクス、黒枠内は鉛を示す。
【0026】
上記のデンドライト組織の結晶粒度およびデンドライトアームスペイシングが共に0.02mmを越えると、非焼付性および耐疲労性の向上を望み得ない。レーザ光により溶融された金属の冷却速度を100℃/sec以上とすることにより、確実に、デンドライト組織の結晶粒度を0.02mm以下、デンドライトアームスペイシングを0.02mm以下の急冷組織とすることができる。
【0027】
本発明方法において、金属粉末を散布した裏材を固定し、レーザ光を移動させ、若しくはレーザ光を固定し、金属粉末を散布した裏材を移動させる場合、その移動速度は多層材料の製造にとって重要である。この移動速度が0.2m/min未満では金属粉末がレーザ光のエネルギーを過大に受けることとなり、裏材を溶かしてしまう。また、移動速度が5m/minを越えると、金属粉末の溶融が起きず、バイメタル化できない。
【0028】
この移動速度、金属粉末の加熱速度およびその冷却速度はレーザ加熱による裏材の熱影響深さに影響を及ぼす。従来の連帯鋳造において、鋼板の背面からの急冷により鋼板がマルテンサイト化し、後加工ができなくなるため、鋳造後、高温で熱処理する必要があった。しかし、本発明では、レーザ光に対する表材の移動速度、金属粉末の加熱速度およびその冷却速度は適切に定められ、裏材の熱的影響深さが0.3mm以下となるようにされる。
【0029】
このように裏材の熱影響部の深さが0.3mm以下であれば、裏材の全体に影響が及ぶことがなく、高温での焼戻し処理を不要とすることができる。ただし、改質のための熱処理を否定するものではない。また、裏材は熱影響部と元々の組織の部分との二層構造の組織となるので、複合材的な効果を生み、裏材そのものの強度改善にも有効である。但し、裏材の熱影響部とは、レーザ光により急熱急冷され、元の金属組織に比べて結晶粒が微細化された部分のことである。
【0030】
また、このようにして製造された多層材料において、付加的に均質化処理を施すことも必要である。すなわち、溶融凝固時の急冷により、成分の偏析や歪みを除去することを目的として、400〜800℃で1〜10時間、目的や材料成分に応じて焼鈍することが可能である。しかし、この場合でも、方向性を持たせて凝固させた基本的な構造を変えてしまうような焼鈍温度は選択すべきではない。特に、600℃を越える焼鈍温度では、結晶粒が粗大化し、材料強度が低下するので注意を要する。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施例を、鋼板に銅系軸受合金を接合して構成する軸受用多層材料に適用して図面を参照しながら説明する。
図1は本発明による製造設備の概略を示すもので、アンコイラー1、洗浄装置2、レベラー3、粉末散布装置4、還元処理炉5、レーザ装置6、冷却装置7、ミリング8、焼鈍炉9、コイラー10が順に並べられている。
【0032】
アンコイラー1は、コイル状に巻かれた裏材としての帯状鋼板11を巻き戻すためのもので、このアンコイラー1から引き出された鋼板11は、洗浄装置2により洗浄された後、レベラー3によって巻き癖が矯正される。粉体散布装置4は鋼板11上に銅系合金粉末12を散布するためのもので、この鋼板11上に散布された銅系合金粉末12は、還元炉5で表面の酸化物が還元されて還元減量が0.05%以下となるようになされた後、レーザ装置6からレーザ光を照射される。
【0033】
還元炉5は、内部に例えば発熱線からなる電気ヒータ13を設けたもので、還元時には、H2、COなどの還元性ガスが内部に供給されるようになっている。レーザ装置6は、半導体レーザを複数個集積したもので、このレーザ装置6から発せられるレーザ光は帯状鋼板11の幅一杯に広がる細長い矩形状となるように構成され、その矩形状のレーザ光の周りにアルゴンなどのシールドガスが噴射されるようになっている。そして、この矩形状のレーザ光は、その長辺方向が矢印Aで示す鋼板11の送り方向と直角になるように銅系合金粉末12に照射され、従って、鋼板11上に散布された銅系合金粉末12は、鋼板11の幅方向に沿う直線状の領域にレーザ光を受けるようになっている。
【0034】
冷却装置7は水噴射式のもので、レーザ光により溶融された金属を鋼板11を介して冷却する。この冷却装置7は、鋼板11を挟んでレーザ装置6の下側に位置して設けられ、鋼板11の背面、つまり下面に水を噴射してレーザ光により溶融された金属を冷却する。
【0035】
ミリング8は溶融された銅系合金粉末12が凝固して表材(表層)としての銅系合金層14を形成した後、銅系合金層14の表面側を切削して厚さ均一にするものである。焼鈍炉9は、銅系合金層14を均質化するために、ミリング後に焼鈍を行うためのものである。コイラー10は焼鈍後の多層材料15をコイル状に巻回するためのものである。
【0036】
次にこの製造装置により多層材料を製造する場合の作用を説明する。
アンコイラー1から巻き戻された鋼板11は、洗浄装置2により洗浄され、レベラー3によって巻き癖を矯正された後、粉末散布装置4へ送られて上面に銅系合金粉末12が散布される(散布工程)。そして、銅系合金粉末12が散布された鋼板11は、還元炉5に搬入される。この還元炉5では、銅系合金粉末は、電気ヒータ13により還元雰囲気中で加熱されて表面の酸化物が還元される(還元工程)。この還元により、銅系合金粉末12は、表面の酸化物の還元減量が0.05%以下にされる。この還元は、400〜900℃で行うことが好ましい。
【0037】
その後、銅系合金粉末12は、レーザ装置6からレーザ光を照射されて急速に溶融し、この溶融後、冷却装置7によって鋼板11の背面側から急速に冷却されて急速凝固する(溶融・冷却工程)。このとき、銅系合金粉末12の表面の酸化物の還元減量が0.05%以下となっているので、レーザ光の照射によってプラズマフレームが発生するようなことはなく、銅系合金粉末12は良好に溶解され、その後の凝固は溶融した銅系合金の下側から上に向かって進行するため、鋼板11の表面からデンドライト組織がほぼ垂直に伸び、且つ結晶粒度を0.02mm以下および/またはデンドライトアームスペイシングを0.02mm以下に制御できる。
【0038】
銅系合金粉末12を溶融し凝固させることにより、銅系合金層14が鋼板11上に接合され多層材料15として形成される。その後、ミリング8により銅系合金層14の表面の不要部分が切削除去され、次いで600℃で焼鈍された後、コイラー10に巻き取られる。
【0039】
以上の多層材料の製造に使用したレーザ装置6は、レーザ光の波長0.8μm、出力4KWでエネルギー密度は66.8KW/cm2であり、鋼板11の移動速度は1m/minである。また、使用した鋼板11の厚さは2mm、銅系合金粉末は平均粒径100μmの球状のもの、散布の厚さは1mmである。
【0040】
次の表2は製造設備ラインの長さと、多層材料の単位長さ当たりの加工時間について、本発明と従来の焼結法および連帯鋳造法とを比較した結果を示す。この表2によれば、本発明の製造設備ラインは従来法に比べて著しく短くでき、また、製造能率にも優れることが理解される。
【0041】
【表2】
【0042】
また、上述のようにして製造された本発明品と、従来の焼結法および連帯鋳造法によって製造した従来品とについて、合金強度試験とせん断強度試験を行った結果を下の表3に示す。なお、合金強度試験は、多層材料の鋼板部分を切除して銅系合金部分のみの試験片を作成し、この試験片により引張強さ試験を行ったものである。せん断強度試験は、多層材料の銅系合金側と鋼板側の両方から5mmの間隔をおいて境界まで伸びるスリットを形成して試験片を作成し、銅系合金層と鋼板とのせん断強度(接着強度)試験を行ったものである。
【0043】
【表3】
【0044】
この表3から理解されるように、本発明によれば、銅系合金層の強度が高く、また鋼板との接合強度も高い。
【0045】
また、表4に示す組成の銅系合金を鋼板に接合してなる多層材料を本発明による製造法によって製造した実施例品、従来の焼結法および連帯鋳造法によって製造した比較例品について結晶粒度、Pb粒径を測定すると共に、半割軸受に加工して焼付試験および疲労試験を行い、その結果を同表に示した。焼付試験および疲労試験の条件は表5および表6に示す。
なお、本発明法品のDAS、結晶粒度、Pb粒径は焼鈍前に測定したものである。
【0046】
【表4】
【0047】
【表5】
【0048】
【表6】
【0049】
表4から、本発明品は結晶粒度が細かく、またPbの粒径も細かいので、非焼付性および耐疲労性に優れることが理解される。
【0050】
本発明は上記し且つ図面に示す実施例に限定されるものではなく、以下のような変更および拡張が可能である。
表材は銅系合金、裏材は鋼に限られない。
焼鈍は行わなくとも良い。表材の裏材表面と平行な切断面での結晶粒度が0.02mm以下および/または裏材表面と垂直な切断面でのデンドライトアームスペイシングが0.02mm以下というデンドライト組織は焼鈍前のもので、焼鈍後は結晶粒度およびデンドライトアームスペイシングともに変化する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すもので、製造設備の概略構成図
【図2】結晶粒度の説明図
【図3】デンドライトアームスペイシングの説明図
【図4】本発明による銅系合金の組織図
【図5】焼結法による図4相当図
【図6】連帯鋳造法による図4相当図
【図7】金属粉末を還元した後にレーザ光で溶融した場合の組織図
【図8】金属粉末を還元せずにレーザで溶融した場合の図7相当図
【符号の説明】
図中、4は粉末散布装置、5は還元炉、6はレーザ装置、7は冷却装置、11は帯状鋼板(裏材)、12は銅系合金粉末(金属粉末)、14は銅合金層(表材)、15は多層材料である。
Claims (7)
- 裏材にこの裏材とは異種の金属からなる表材を接合して構成される多層材料を製造する方法において、
前記表材を構成する金属の粉末を還元雰囲気中で加熱して当該金属粉末の表面の酸化物を還元して還元減量が0.05%以下となるようにする工程と、
前記還元後の金属粉末を前記裏材上に散布した状態で、エネルギー密度10〜100KW/cm2のレーザ光を、前記散布された金属粉末に対して相対移動させながら照射して当該金属粉末を局部的に加熱溶融し、且つこの溶融部分を前記裏材の背面側からの冷却によって急速凝固させる工程とを実行することにより、
前記表材が前記裏材表面からほぼ垂直に伸びるデンドライト組織を持ち、且つそのデンドライト組織が、裏材表面と平行な断面での結晶粒度が0.02mm以下および/または裏材表面と垂直な切断面でのデンドライトアームスペイシングが0.02mm以下の急冷組織となるようにしたことを特徴とする多層材料の製造方法。 - 前記金属粉末の表面の酸化物の還元は、前記裏材上に当該金属粉末を散布する工程の後で実行することを特徴とする請求項1記載の多層材料の製造方法。
- 前記金属粉末に対するレーザ光の移動速度は0.2〜5m/minであることを特徴とする請求項1または2記載の多層材料の製造方法。
- 前記レーザ光による金属粉末の加熱速度は800℃/sec以上であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の多層材料の製造方法。
- 前記溶融された金属粉末の冷却速度は100℃/sec以上であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の多層材料の製造方法。
- 前記レーザ光は半導体レーザから発せられることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の多層材料の製造方法。
- 前記金属粉末を溶融し、凝固させる工程の後で、焼鈍による均質化処理を行う工程を実行することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の多層材料の製造方法。
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