JP2009147422A - I/q特性校正方法、i/q復調器、i/q変調器及びi/q変復調装置 - Google Patents

I/q特性校正方法、i/q復調器、i/q変調器及びi/q変復調装置 Download PDF

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興治郎 川井
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Abstract

【課題】周波数が高くなってもI/Q不均衡(Imbalance)であるI/Q位相誤差やI/Q振幅誤差の増大を抑制すること。
【解決手段】I/Q振幅誤差とI/Q位相誤差とをもたらすI/Q不均衡を含まない校正信号を生成し、その校正信号を用いI/Q位相の誤差が0になるように位相を合わせ、I/Q変調が0,±π/2の点でI/Q振幅が等しくなるように振幅を合わせることで、周波数に追従させたI/Q特性の校正を行うことができるようにした。
【選択図】図1

Description

本発明は、I(同相)信号とQ(I信号に直角の位相)信号との特性を校正するI/Q特性校正方法、I/Q復調器、I/Q変調器及びI/Q変復調装置に関する。
従来より、通信機器等においては、I(同相)信号とQ(I信号に直角の位相)信号とに分割してベクトル変調及び復調を行うI/Q変調器及びI/Q復調器が用いられている。
ここで、まず、I/Q復調器においては、たとえば電圧制御発振器からの発振信号周波数が周波数逓倍回路によって2倍の周波数に変換され、2分周回路で逓倍信号を立上がりのタイミングと立下りのタイミングで2分周することで、90°の位相差を持った信号が得られることになり、0°と180°及び90°と270°の2つの信号が作り出される。
そして、90°と270°の信号はQミキサへ供給され、一方0°と180°の信号はIミキサへ供給されることで、90°と270°のQ信号と、0°と180°のI信号が得られる。
一方、I/Q変調器においては、たとえばI/Q復調器の場合と同様に、周波数逓倍回路及び2分周回路によって90°の位相差を持った2つの信号が得られ、上記の90°と270°の信号がQミキサへ供給され、0°と180°の信号がIミキサへ供給されることで、I信号とQ信号によって変調された高周波信号が出力される。
しかしながら、このようなI/Q変復調装置では、90°の位相差を持った信号を形成するためにトランジスタ等(能動素子)の非線形素子を含む周波数逓倍回路と2分周回路とを用いているため、I/Q不均衡(Imbalance)であるI/Q位相誤差やI/Q振幅誤差が大きくなるという不具合がある。
このような不具合を解消するために、特許文献1では、0°、90°、180°、270°の信号を出力する抵抗とコンデンサとから構成される4相入出力RCポリフェイズフィルタを設け、この0°と180°の信号をI信号用ミキサへ供給し、90°、270°の信号をQ信号用ミキサへ供給し、これらのミキサに高周波信号を入力することにより、I/Q復調を行い、また、逆にそれらのミキサにQ信号とI信号とを入力することにより、I/Q変調を行うようにしたI/Q変復調回路を提案している。
特開2003−283253号公報
上述した特許文献1では、トランジスタ等の非線形素子を用いずに回路を構成しているため、I/Q位相誤差やI/Q振幅誤差を小さくすることができるようになっている。
ところが、このようなI/Q変復調回路では、トランジスタ等の非線形素子を用いずに回路を構成しているものの、周波数が高くなるに従い、I/Q不均衡(Imbalance)であるI/Q位相誤差やI/Q振幅誤差が増大してしまうという問題があった。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、上記問題点を解決することができるI/Q特性校正方法、I/Q復調器、I/Q変調器及びI/Q変復調装置を提供することを目的とする。
本発明のI/Q特性校正方法は、I/Q変復調装置におけるI/Q特性を校正するI/Q特性校正方法であって、I/Q振幅誤差とI/Q位相誤差とをもたらすI/Q不均衡を含まない校正信号を生成する工程と、前記校正信号を用いI/Q位相の誤差が0になるように位相を合わせる工程と、I/Q変調が0,±π/2の点でI/Q振幅が等しくなるように振幅を合わせる工程とを有することを特徴とする。
また、I/Q入力信号の振幅が零のとき零電位になるように直流電位調整を行う工程を有するようにすることができる。
また、I/Q出力信号の漏れ成分を検出し、その成分を抽出する工程と、前記I/Q出力信号に前記抽出した成分に対し同一で逆相の成分を注入する工程とを有するようにすることができる。
本発明のI/Q復調器は、第1発振器からの信号を用いて高周波信号を復調したI信号を出力するIミキサと、前記第1発振器からの信号を用いて前記高周波信号を復調したQ信号を出力するQミキサと、前記第1発振器からの信号をπ/2シフトして前記Qミキサに与えるπ/2シフト器とを備え、前記第1発振器からの信号が位相調整器を介して前記π/2シフト器に与えられるとともに、I/Q振幅誤差とI/Q位相誤差とをもたらすI/Q不均衡を含まない校正信号を用い、前記位相調整器を介してI/Q位相の誤差が0になるように位相が合わせられ、さらにI/Q変調が0,±π/2の点でI/Q振幅が等しくなるようにされることを特徴とする。
本発明のI/Q変調器は、請求項1〜3のいずれかのI/Q特性校正方法により校正されたI/Q復調器を用いて、I/Q不均衡が校正されることを特徴とする。
本発明のI/Q変復調装置は、第1発振器からの信号を用いて高周波信号を復調したI信号を出力するIミキサと、前記第1発振器からの信号を用いて前記高周波信号を復調したQ信号を出力するQミキサと、前記第1発振器からの信号をπ/2シフトして前記Qミキサに与えるπ/2シフト器とを備え、前記第1発振器からの信号が位相調整器を介して前記π/2シフト器に与えられるように構成されたI/Q復調器と、第1発振器からの信号をI信号で変調して出力するIミキサと、前記第1発振器からの信号をQ信号で変調して出力するQミキサと、前記第1発振器からの信号をπ/2シフトして前記Qミキサに与えるπ/2シフト器とを備え、前記第1発振器からの信号が位相調整器を介して前記π/2シフト器に与えられるように構成されたI/Q変調器とを備え、I/Q振幅誤差とI/Q位相誤差とをもたらすI/Q不均衡を含まない校正信号を用い、前記位相調整器を介してI/Q位相の誤差が0になるように位相が合わせられ、さらにI/Q変調が0,±π/2の点でI/Q振幅が等しくなるようにされることを特徴とする。
また、前記I/Q変調器の出力からの漏れ成分を検出して漏れ成分を除去するために、第2発振器からの信号を取り込んで前記I/Q復調器に与える切換スイッチと、該切換スイッチを介して取り込まれた信号の振幅が零のとき零電位になるようにオン/オフすることで直流電位調整を行う零点補正スイッチとを備えるようにすることができる。
本発明のI/Q特性校正方法、I/Q復調器、I/Q変調器及びI/Q変復調装置では、I/Q振幅誤差とI/Q位相誤差とをもたらすI/Q不均衡を含まない校正信号を生成し、その校正信号を用いI/Q位相の誤差が0になるように位相を合わせ、I/Q変調が0,±π/2の点でI/Q振幅が等しくなるように振幅を合わせることで、周波数に追従させたI/Q特性の校正を行うことができる。
本発明のI/Q特性校正方法、I/Q復調器、I/Q変調器及びI/Q変復調装置によれば、I/Q振幅誤差とI/Q位相誤差とをもたらすI/Q不均衡を含まない校正信号を生成し、その校正信号を用いI/Q位相の誤差が0になるように位相を合わせ、I/Q変調が0,±π/2の点でI/Q振幅が等しくなるように振幅を合わせることで、周波数に追従させたI/Q特性の校正を行うことができるようにしたので、周波数が高くなってもI/Q不均衡(Imbalance)であるI/Q位相誤差やI/Q振幅誤差の増大を抑制することができる。
本実施形態では、I/Q振幅誤差とI/Q位相誤差とをもたらすI/Q不均衡を含まない校正信号を生成し、その校正信号を用いI/Q位相の誤差が0になるように位相を合わせ、I/Q変調が0,±π/2の点でI/Q振幅が等しくなるように振幅を合わせることで、周波数に追従させたI/Q特性の校正を行うことができるようにし、周波数が高くなってもI/Q不均衡(Imbalance)であるI/Q位相誤差やI/Q振幅誤差の増大を抑制することができるようにした。
また、I/Q入力信号の振幅が零のとき零電位になるように直流電位調整を行うようにすることで、I/Q復調器の理想的零点を検出して校正することができる。
また、I/Q出力信号の漏れ成分を検出し、その成分を抽出し、そのI/Q出力信号に抽出した成分に対し同一で逆相の成分を注入するようにすることで、I/Q出力信号の漏れ成分を限りなく零にすることができる。
以下、本発明の実施例の詳細について説明する。図1〜図3は、本発明のI/Q変復調装置の一実施例を説明するための図である。ここで、図1はI/Q変復調装置を示す図、図2は図1のI/Q変調器の詳細を説明するための図であり、図3は図1のI/Q復調器を説明するための図である。
まず、図1に示すように、I/Q変復調装置は、I/Q変調器(I/Q Modulator)10と、I/Q復調器(I/Q Demodulator)20と、第1発振器30と、分配器(又は分岐器)40と、第2発振器50と、切換スイッチ60と、零点補正スイッチ70とを備えている。
第1発振器30は、I/Q変調器10及びI/Q復調器20の搬送周波数の信号を発振する。分配器(又は分岐器)40は、I/Q変調器10の信号の一部を分配(又は分岐)してI/Q復調器20に入力するための装置である。第2発振器50は、I/Q不均衡(I/Q Imbalance)校正用のFM Modulatorである。
切換スイッチ60は、分配器(又は分岐器)40からの信号又は第2発振器50からのI/Q不均衡(I/Q Imbalance)校正用のFM Modulatorの信号のいずれかをI/Q復調器20に取り込む。零点補正スイッチ70は、I/Q復調器の入力信号がゼロ(振幅がゼロ)のときI/Q復調器20の出力信号の原点になるように補正(校正)するためにオン/オフする。
ここで、I/Q変調器10は、図2に示すように、π/2シフト器14と、ミキサー15,16と、加算器17とを有している。なお、図中符号11,12はレベル調整器であり、符号13は位相調整器である。
レベル調整器11,12は、I信号及びQ信号のレベルを調整する。位相調整器13は、第1発振器30からの信号の周波数の位相を調整する。π/2シフト器14は、第1発振器30からの信号の周波数の位相を90°だけシフトする。
ミキサー15はIミキサであり、第1発振器30からの信号をI信号によって変調する。ミキサー16はQミキサであり、位相調整器13及びπ/2シフト器14を介して入力される第1発振器30からの信号をQ信号によって変調する。加算器17は、ミキサー15,16からのI信号及びQ信号によって変調された信号を加算してI/QModを出力する。
I/Q復調器20は、図3に示すように、π/2シフト器24と、ミキサー25,26とを有している。なお、図中符号21,22はレベル調整器21,22であり、符号23は位相調整器である。
レベル調整器21,22は、ミキサー25,26からのI信号及びQ信号のレベルを調整する。位相調整器23は、第1発振器30からの信号の周波数の位相を調整する。π/2シフト器24は、第1発振器30からの信号の周波数の位相を90°だけシフトする。
ミキサー25はIミキサであり、入力されるI信号を第1発振器30からの信号で復調する。ミキサー26はQミキサであり、入力されるQ信号を位相調整器23及びπ/2シフト器24を介して入力される第1発振器30からの信号で復調する。
次に、図4及び図5を参照しながらI/Q不均衡(Imbalance)特性を校正する方法について説明する。なお、以下に示す図においては、第1発振器30とローカル周波数の信号を発信する第2発振器50とからの信号の周波数は同一であるものとする。
まず、RFハードウェア系の不完全さによりI/Q変調器10及び/又はI/Q復調器20において、I/Q不均衡(Imbalance)は発生し得る。言い換えれば、I/Q変調器10とI/Q復調器20のどちらか一方(あるいは双方)で発生したI/Q不均衡(Imbalance)の影響や量を分離することができなかった。ここで、I/Q不均衡(Imbalance)は、I/Q位相誤差とI/Q振幅誤差とである。
そこで、まず第一に、図5(a)に示すようなI/Q不均衡(Imbalance)を含まない信号(理想的な信号:I/Q Mod Calibration)を生成し、この信号を校正(あるいは基準)信号として図5(b)に示すようにI/Q復調器20を完全に校正するようにする。
また、図1に示したI/Q変調器10の入力信号Imod及びQmodと、I/Q復調器20の出力信号Idet及びQdetとを各々比較(Imod←→Idet,Qmod←→Qdet)して校正することにより、I/Q変調器10のI/Q不均衡(Imbalance)の特性を補正することができる。
すなわち、I/Q変調器10に図5(a)に示す信号(FM Mod Input) を入力することにより、±π/2の信号を作ることができる。この場合、図5(a)に示す信号(FM Mod Input)の振幅を0から大きくしてゆくと、図5(c)に示すように、ΔΦが大きくなるため、ΔΦが±π/2になるまで調整する。
ここで、図5(b)に示すように、I軸出力が振幅+1から減衰し、ΔΦがπ/2のとき零電位になり、さらにΔΦを増加させると負電位になる。−π(rad)のとき、−1で最も低い電位になる。また、零電位をよぎる点が±π/2の点である。
このとき、+π/2(あるいは−π/2)に位相変移した後、−π/2(あるいは+π/2)に位相変移させて位相変移量が元に戻るように必ず2つの周波数変位を行わせる必要がある。これにより、図5(a)に示す信号(FM Mod Input)の平均位相変位は0となり、PLLに影響を及ぼすことがなくなる。
図5では、説明の都合上、位相ロックした期間がI軸に重なるように制御されたものとして示してあるが、I軸(あるいはQ軸)と位相差がある場合、Q軸(あるいはI軸)と同じだけ位相差が生じる。この場合、極座標上の補正を行うことにより位相差を取り除くことができる。
また、図5(a)に示す信号(FM Mod Input)は必ずしも同図のような形である必要はなく、ΔΦ=Δω・Δtの時間積で示される信号(矩形波)であればよい。
ここで、図5(a)に示す信号(FM Mod Input)に従って位相が変化する様子を、図6(a)〜(i)の時間変遷で示す。図6(a)〜(i)から分かる通り、正又は負の信号の時間積分に相当する大きさを互いに等しくすることは容易であり、+π/2、−π/2の位相変移は等しくなる。また、+π/2、−π/2の位相変移を一組の位相変移とすることによりPLLの位相制御回路に影響をなくすことができる。
すなわち、図5(a)に示す信号(FM Mod Input)は、まさしくI軸(あるいはQ軸)に対して直交する信号を作り出すことができるものであり、このことを利用してI/Q復調器20のI/Q不均衡(Imbalance)特性を補正することにより理想的なI/Q復調器20を得ることができる。
次に、図7により、I/Q不均衡(Imbalance)特性の校正(補正)についてさらに詳しく説明する。
まず、I/Q不均衡(Imbalance)のΦerを有するI/Q復調器20に校正用の信号(理想的に±π/2の信号)を入力した場合、I出力及びQ出力の信号は図7(a)〜(d)のようになる。
本来、I軸とQ軸は直交しなければならないため、図7(a)〜(d)のように、(0 rad)、(+π/2 rad)、(−π/2 rad)、(π rad)の信号が入力されたときの各I出力信号及びQ出力信号を示す。
図7(a)〜(d)のように、入力される信号に応じて振幅に影響が現れていることが分かる。I/Q不均衡(Imbalance)の校正(補正)においては、理想状態になるまでI/Q位相の誤差が0になるように位相を合わせる必要がある。具体的には、0°変調時のQ出力信号が0になるように位相を合わせ、次に、I/Q変調が0,±π/2の点で理想の位置になるまでI/Q振幅を等しくなるように合わせる。これにより、I/Q復調器20のI/Q位相誤差とI/Q振幅誤差とを校正することができる。
ここで、図7(e)は、図7(a)〜(d)の状態を合成したものであり、一般に、星座(Constellation)と呼ばれている。また、図7(e)は、I/Qの振幅特性が等しいと仮定している。
図7(e)のように、I/Q不均衡(Imbalance)のΦerを有するI/Q復調器20に、理想的にI/Q変調された信号を入力した場合、同図のように歪んだ信号が出力される。
図7(e)において、I/Q復調器20のI/Qの位相誤差Φerが0になるように補正することで、星座(Constellation)の位置は本来の正しく、かつ理想の位置になる。
I/Qの振幅特性を補正する場合、必ず位相誤差を補正してからI/Qの出力及び振幅が等しくなるように調整する必要がある。これは、I/Qには本来同一の振幅特性を持つ信号を入力しているからである。
ここで、I出力は次の様にして得られる。
I出力:
Sin(ωt+φ0+Δφ)×Sin(ωt)
=1/2{Cos(ωt+φ0+Δφ?ωt)?Cos(ωt+φ0+Δφ+ωt)}
=1/2Cos(φ0+Δφ)?1/2Cos(2ωt+φ0+Δφ)
ここで、LPFにより高周波成分を取り除くことにより復調出力を得ると、
1/2Cos(φ0+Δφ)
がI出力となる。
次に、Q出力は次のようにして得られる。
Q出力:
Sin(ωt+φ0+Δφ)×Sin(ωt+π/2−φe)
=1/2Cos(φ0+Δφ?π/2+φe)?1/2Cos(2ωt+φ0+Δφ+π/2−φe)
ここで、LPFにより高周波成分を取り除くことにより復調出力を得ると、
1/2Cos(φ0?π/2+φe)
=1/2{Cos(φ0+φe)×Cosπ/2+Sin(φ0+φe)×Sinπ/2}
=1/2Sin(φ0+φe)
がQ出力となる。
ここで、φ0=0とすると、
I出力は1/2Cos(Δφ)、
Q出力は1/2Sin(φe+Δφ)
となる。
また、Δφ=0のときのI出力及びQ出力は、次の通りである。
I出力:
1/2Cos(Δφ)
=1/2Cos(0)=1/2
がI出力となる。
Q出力:
Sin(ωt+Δφ)×Sin(ωt+π/2−φe)
1/2Sin(φe)
がQ出力となる。
また、Δφ=π/2のときのI出力及びQ出力は、次の通りである。
I出力:
1/2Cos(Δφ)
=1/2Cos(π/2)=0
がI出力となる。
Q出力:
1/2Sin(φe+Δφ)
=1/2Sin(φe+π/2)
=1/2Cos(φe)
がQ出力となる。
また、Δφ=?π/2のときのI出力及びQ出力は、次の通りである。
I出力:
1/2Cos(Δφ)
=1/2Cos(?π/2)=0
がI出力となる。
Q出力:
1/2Sin(Δφ+φe)
=1/2Sin(Δφ−π/2)
=1/2{Sin(φe)×Cosπ/2+Cos(φe)×Sinπ/2}
=1/2Cos(φe)
がQ出力となる。
また、Δφ=?πのときのI出力及びQ出力は、次の通りである。
I出力:
1/2Cos(Δφ)
=1/2Cos(−π)
=?1/2
がI出力となる。
Q出力:
1/2Sin(φe+π)
=?1/2Sin(φe)
がQ出力となる。
次に、ローカル信号の注入法について説明する。なお、以下に説明するローカル信号の注入法は、上述した校正方法とは異なるものである。
まず、図8に示すI/Q復調器20では、ミキサー25,26に第1発振器30からの信号と第2発振器50からの信号とが入力される。ただし、ミキサー26には、π/2シフト器24を介して第2発振器50からの信号とミキサー25,26からのそれぞれの出力をミキシングするミキサー27からの信号とが入力される。そして、ミキサー25,26からのそれぞれの出力は、レベル調整器21,22及びLPF28a,28bを介し、I出力及びQ出力とされる。
ここで、この方法は上述した校正方法とは異なり第1発振器30及び第2発振器50からの2つの周波数であるω1とω2とが異なる周波数の条件で校正される。また、ω2はI/Q復調器20の搬送波周波数を示している。また、I出力とQ出力との前段にLPF28a,28bを配置し、ω1とω2の周波数差の成分(ω1−ω2)を通過させる。
また、(ω1+ω2)の成分はLPF28a,28bで十分に減衰させることができるものとする。このとき、それぞれのI出力及びQ出力の成分は互いにπ/2+Φerの位相差を持っている。ΦerはI/Q復調器20のI/Q不均衡(Imbalance)を示している。
ここで、Φerが0になるように補正すると、I/Q不均衡(Imbalance)を正しく校正することができる。これにより、I出力及びQ出力の成分は(ω1−ω2)として出力され、互いにπ/2の関係になるように自動的に位相及び振幅を補正することができる。
このような機能を応用する方法として、
(1)復調しようとする信号を時間的に切り換えて定期的に短い期間で校正を行う方法。
(2)変・復調信号帯域より高い周波数(ω1−ω2)のω1の信号を注入することにより校正する方法。
の2つの方法が考えられる。
また、I出力及びQ出力は、次のようにして得られる。
I出力:
Sin(ω1×t+φ1)×Sin(ω2×t+φ2)
=1/2{Cos(ω1×t+φ1?ω2×t?φ2)+Cos(ω1×t+φ1+ω2×t+φ2)}
=1/2Cos{(ω1?ω2)×t+(φ1?φ2))}+1/2Cos{(ω1+ω2)×t+(φ1+φ2)}
ここで、高周波成分をLPFで取り除き、
(ω1?ω2)=Δω,(φ1?φ2)=Δφとすると、
→1/2Cos(Δωt+Δφ)
としたI出力が得られる。
Q出力:
Sin(ω1×t+φ1)×Sin(ω2×t+φ2+π/2+φer)
=1/2{Cos(ω1×t+φ1?ω2×t?φ2?π/2?φer)+Cos(ω1×t+φ1+ω2×t+φ2+π/2+φer)}
=1/2Cos{(ω1?ω2)×t+(φ1?φ2?π/2?φe}+1/2Cos{(ω1+ω2)×t+(φ1+φ2+π/2+φer)}
ここで、高周波成分をLPFで取り除き、
(ω1?ω2)=Δω,(φ1?φ2)=Δφとすると、
→1/2Cos{Δωt+Δφ?π/2?φer}
=1/2Cos{(Δωt+Δφ?φer)?π/2}
ここで、α=(Δωt+Δφ−φer)とし、β=π/2として、これらのα,βを、
1/2Cos(α−β)=1/2{Cos(α)×Cos(β)+Sin(α)×Sin(β)}
に代入すると、
1/2Sin(Δωt+Δφ−φer)
としたQ出力が得られる。
このように、周波数ω2のローカル信号を有するI/Q復調器20に周波数ω2の単一周波数信号を入力してI/Q復調器20を校正する場合、2つの信号の周波数差(|ω2−ω1|)のBeatとしてI軸、Q軸の各々の端子に信号が出力される。このとき、各I軸及びQ軸の信号は、Sin(ωt+Φ)、Cos(ωt+Φ+Φer)の形で表される。
ΦerはI/Q復調器20のI/Q不均衡(Imbalance)の成分である。このように、I軸及びQ軸の信号出力に、I/Q不均衡(Imbalance)の成分が含まれていることは明白であり、Φerが0になるように位相補正することで、I/Q復調器20のI/Q位相のI/Q不均衡(Imbalance)を校正することができる。
また、I軸及びQ軸の信号出力の大きさ(最大値)が互いに等しくなるようにすることで、I/Q復調器20のI/Qの信号出力の大きさ(最大値)のI/Q不均衡(Imbalance)を校正することができる。
次に、図9を参照しながらI軸、Q軸の信号出力を用い、I/Q位相のI/Q不均衡(Imbalance)を校正する方法について説明する。
まず、図9に示すI/Q復調器20では、ミキサー25,26に第1発振器30からの信号と第2発振器50からの信号とが入力される。ただし、第1発振器30からの信号は、補正スイッチ70aを介してミキサー25,26に入力される。また、ミキサー26には、π/2シフト器24を介して第2発振器50からの信号が入力される。また、ミキサー25,26からのそれぞれの出力は、LPF28a,28bを介し、I出力及びQ出力とされる。また、ミキサー25,26からのそれぞれの出力は、ミキサー27及びLPF28cを介して出力される。
すなわち、ミキサー25,26からのそれぞれの出力をミキサー27に入力し、I軸及びQ軸の出力の積(I/Q Phase Det)をとると、I軸及びQ軸の出力の積により0の点が正確に互いに90°の位相差になる。このように、常に0の点を正確に保持することによりI/Q復調器20の位相差を90°に保つことができる。
次に、図10及び図11を参照しながらI/Q復調器20の理想的零点を検出して補正する方法について説明する。
まず、図10に示すI/Q変復調装置には、I/Q変調器10、I/Q復調器20、位相調整器13a、加算器18、分配器(又は分岐器)40、切換スイッチ60及び零点補正スイッチ70等が設けられている。I/Q変調器10には、ImodとQmodと、第1発振器30からの信号が入力される。
加算器18には、I/Q変調器10の出力と、位相調整器13a及びレベル調整器19を介しての第1発振器30からの信号とが入力される。ここで、位相調整器13aは、逆相成分注入用として設けられているものである。
分配器(又は分岐器)40は、I/Q変調器10の信号の一部を分配(又は分岐)してI/Q復調器に入力するための装置である。第2発振器50は、I/Q不均衡(I/Q Imbalance)校正用のFM Modulatorである。
切換スイッチ60は、分配器(又は分岐器)40からの信号又は第2発振器50からのI/Q不均衡(I/Q Imbalance)校正用のFM Modulatorの信号のいずれかをI/Q復調器20に取り込む。零点補正スイッチ70は、I/Q復調器の入力信号がゼロ(振幅がゼロ)のときI/Q復調器20の出力信号の原点になるように補正(校正)するためにオン/オフする。
そして、I/Q復調器20からはI/Q不均衡(Imbalance)を含まない信号(Idet及びQdet)が出力される。
ここで、アナログ系のI/Q復調器20は温度及び周波数等の影響を受け易い。特に、周波数が高くなるとその影響は顕著になってくる。また、直流電位が必ずしも入力信号の0電位を示さない場合が殆どである。そのために、直流電位が信号の零電位になるように調整を行うことが多い。
ここで、I/Q入力信号が0(振幅0)のとき零電位になるように直流電位調整を行う。通常、温度の他、経時的に直流電位が変化することが実際の機器で発生している。この場合、I/Q入力信号を定期的に振幅が0になるように、零点補正スイッチ70をオン/オフさせて補正する。
このように、定期的に信号が減衰された期間の間に直流電位を自動的に補正し、記憶し、状態保持することにより、常にI/Q復調器20が自動補正される。
次に、図11のように、漏れ成分(Leakage Component)を限りなく0にする場合は、I/Q変調器10の漏れ成分(Leakage Component)を分配器(又は分岐器)40で検出し、その成分を抽出して同一で逆相の成分を注入する。
すなわち、アナログ系のI/Q変調器10は、特に周波数が高くなると搬送波(注入キャリア:ローカル信号)が直接I/Q信号に重畳されて出力される量が増大する。この成分は、漏れ成分(Leakage Component)と呼ばれている。周波数が高くなるとこの傾向が顕著になる。
この場合、I/Q変調器10の出力信号にI/Q変調器10aから漏れ成分(Leakage Component)と同一振幅で逆位相の信号を注入することにより、漏れ成分(Leakage Component)を取り除くことができる。
ここで、漏れ成分は、I/Q変調器10の入力信号成分、I/Q復調器20の出力信号成分及び直流電位自動補正の機能により差分として出力されるものを検出することで抽出される。
以上のことにより、常に安定な漏れ成分(Leakage Component)を取り除いた信号を出力することができる。
このように、本実施例では、I/Q振幅誤差とI/Q位相誤差とをもたらすI/Q不均衡を含まない校正信号を生成し、その校正信号を用いI/Q位相の誤差が0になるように位相を合わせ、I/Q変調が0,±π/2の点でI/Q振幅が等しくなるように振幅を合わせることで、周波数に追従させたI/Q特性の校正を行うことができるようにしたので、周波数が高くなってもI/Q不均衡(Imbalance)であるI/Q位相誤差やI/Q振幅誤差の増大を抑制することができる。
また、本実施例では、I/Q入力信号の振幅が零のとき零電位になるように直流電位調整を行うようにしたので、I/Q復調器の理想的零点を検出して校正することができる。
また、本実施例では、I/Q出力信号の漏れ成分を検出し、その成分を抽出し、そのI/Q出力信号に抽出した成分に対し同一で逆相の成分を注入するようにしたので、I/Q出力信号の漏れ成分を限りなく零にすることができる。
また、本実施例では、上述した方法によって校正されたI/Q復調器20で復調されるI/Q変調器10の出力信号は、I/Q変調器10の入力I信号とI/Q復調器20の出力I信号とを比較して差が零になるように、また、I/Q変調器10の入力Q信号とI/Q復調器20の出力Q信号とを比較して差が零になるように、I/Q変調器10のI/Q位相誤差やI/Q振幅誤差を調整することにより、I/Q不均衡(Imbalance)が少ないI/Q変調器10を得ることができる。
通信機器に限らず、データ伝送装置等の他の装置にも適用可能である。
I/Q変復調装置を示す図である。 図1のI/Q変調器の詳細を説明するための図である。 図1のI/Q復調器を説明するための図である。 図1のI/Q変復調装置におけるI/Q不均衡(Imbalance)特性を校正する方法について説明するための図である。 図1のI/Q変復調装置におけるI/Q不均衡(Imbalance)特性を校正する方法について説明するための図である。 図1のI/Q変復調装置におけるI/Q不均衡(Imbalance)特性を校正する際の位相の変化を示す図である。 図1のI/Q変復調装置におけるI/Q不均衡(Imbalance)特性を校正する際の位相の変化をさらに詳しく説明するための図である。 図1のI/Q変復調装置におけるローカル信号の注入法について説明するための図である。 図1のI/Q変復調装置におけるI/Q位相のI/Q不均衡(Imbalance)特性を校正する方法について説明するための図である。 図1のI/Q変復調装置における理想的零点を検出して補正する方法を説明するための図である。 図1のI/Q変復調装置における理想的零点を検出して補正する方法を説明するための図である。
符号の説明
10 I/Q変調器
11,12,19,21,22 レベル調整器
13,13a,23 位相調整器
14,24 π/2シフト器
15,16,25,26,27 ミキサー
17,18 加算器
20 I/Q復調器
28a,28b LPF
30 第1発振器
40 分配器(又は分岐器)
50 第2発振器
60 切換スイッチ
70 ゼロ点補正スイッチ
70a 補正スイッチ

Claims (7)

  1. I/Q変復調装置におけるI/Q特性を校正するI/Q特性校正方法であって、
    I/Q振幅誤差とI/Q位相誤差とをもたらすI/Q不均衡を含まない校正信号を生成する工程と、
    前記校正信号を用いI/Q位相の誤差が0になるように位相を合わせる工程と、
    I/Q変調が0,±π/2の点でI/Q振幅が等しくなるように振幅を合わせる工程とを有する
    ことを特徴とするI/Q特性校正方法。
  2. I/Q入力信号の振幅が零のとき零電位になるように直流電位調整を行う工程を有することを特徴とする請求項1に記載のI/Q特性校正方法。
  3. I/Q出力信号の漏れ成分を検出し、その成分を抽出する工程と、
    前記I/Q出力信号に前記抽出した成分に対し同一で逆相の成分を注入する工程とを有する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のI/Q特性校正方法。
  4. 第1発振器からの信号を用いて高周波信号を復調したI信号を出力するIミキサと、
    前記第1発振器からの信号を用いて前記高周波信号を復調したQ信号を出力するQミキサと、
    前記第1発振器からの信号をπ/2シフトして前記Qミキサに与えるπ/2シフト器とを備え、
    前記第1発振器からの信号が位相調整器を介して前記π/2シフト器に与えられるとともに、
    I/Q振幅誤差とI/Q位相誤差とをもたらすI/Q不均衡を含まない校正信号を用い、前記位相調整器を介してI/Q位相の誤差が0になるように位相が合わせられ、さらにI/Q変調が0,±π/2の点でI/Q振幅が等しくなるようにされる
    ことを特徴とするI/Q復調器。
  5. 請求項1〜3のいずれかのI/Q特性校正方法により校正されたI/Q復調器を用いて、I/Q不均衡が校正されることを特徴とするI/Q変調器。
  6. 第1発振器からの信号を用いて高周波信号を復調したI信号を出力するIミキサと、
    前記第1発振器からの信号を用いて前記高周波信号を復調したQ信号を出力するQミキサと、
    前記第1発振器からの信号をπ/2シフトして前記Qミキサに与えるπ/2シフト器とを備え、
    前記第1発振器からの信号が位相調整器を介して前記π/2シフト器に与えられるように構成されたI/Q復調器と、
    第1発振器からの信号をI信号で変調して出力するIミキサと、
    前記第1発振器からの信号をQ信号で変調して出力するQミキサと、
    前記第1発振器からの信号をπ/2シフトして前記Qミキサに与えるπ/2シフト器とを備え、
    前記第1発振器からの信号が位相調整器を介して前記π/2シフト器に与えられるように構成されたI/Q変調器とを備え、
    I/Q振幅誤差とI/Q位相誤差とをもたらすI/Q不均衡を含まない校正信号を用い、前記位相調整器を介してI/Q位相の誤差が0になるように位相が合わせられ、さらにI/Q変調が0,±π/2の点でI/Q振幅が等しくなるようにされる
    ことを特徴とするI/Q変復調装置。
  7. 前記I/Q変調器の出力からの漏れ成分を検出して漏れ成分を除去するために、
    第2発振器からの信号を取り込んで前記I/Q復調器に与える切換スイッチと、
    該切換スイッチを介して取り込まれた信号の振幅が零のとき零電位になるようにオン/オフすることで直流電位調整を行う零点補正スイッチとを備える
    ことを特徴とする請求項6に記載のI/Q変復調装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2018116346A1 (ja) * 2016-12-19 2018-06-28 三菱電機株式会社 送受信機
WO2019114088A1 (zh) * 2017-12-13 2019-06-20 合肥中科离子医学技术装备有限公司 一种新型超导回旋加速器调谐系统

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