JP2009145301A - 角速度センサ - Google Patents

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Abstract

【課題】 外乱として作用する重力の影響を排除し、高精度な測定を行う。
【解決手段】 周囲が固定された可撓性基板200に、重錘体400を接合する。基板200の上面に電極D10〜D15を設け、固定基板100の下面に電極E10〜E15を設ける。重錘体400の下面に電極D10B,D15Bを設け、固定基板300の上面に電極E10B,E15Bを設ける。電極D10/E10間に交流電圧φ1を印加し、電極D10B/E10B間に逆位相の交流電圧φ2を印加して、重錘体400をZ軸方向に振動させる。このとき、電極D15/E15間、電極D15B/E15B間の静電容量をモニタし、交流電圧φ1,φ2の振幅をフィードバック制御する。電極D11/E11間、電極D12/E12間、電極D13/E13間、電極D14/E14間の静電容量により、X軸,Y軸方向のコリオリ力を検出し、角速度検出を行う。
【選択図】図15

Description

本発明は、角速度センサに関し、特に、運動中の振動子に作用するコリオリ力を検出することにより角速度の検出を行うセンサに関する。
小型で量産に適した角速度センサとして、静電容量素子を用いたタイプのセンサが提案されている。たとえば、下記の特許文献1および2には、装置筐体内に可撓性部材を介して振動子を支持した構造体を設け、振動子側に形成した変位電極と装置筐体側に形成した固定電極との間にクーロン力を作用させることにより、振動子を振動状態に維持し、この状態において振動子に作用するコリオリ力を検出することにより、角速度の検出を行う角速度センサが開示されている。
上掲の各文献に開示された静電容量式角速度センサは、振動子を振動させる機構も、コリオリ力を検出する機構も、いずれも静電容量素子によって構成することができる。したがって、物理的には、振動子側と装置筐体側とにそれぞれ必要な数だけ電極を設ける単純な構造により実現が可能であるため、小型で量産される工業製品へ広く利用することができる。
特開平8−226931号公報 特開平10−227644号公報
上述したように、従来の静電容量式角速度センサは、装置筐体内に可撓性部材を介して振動子を支持した構造を有している。この振動子を支持する構造体としては、薄い板状部材(いわゆるダイアフラム)を用いる場合や、複数の橋梁部を用いる場合など、様々であるが、いずれも可撓性をもった部材を用いる点では変わりはない。すなわち、振動子を装置筐体内で振動させるために、可撓性部材による撓みを利用することになる。
ところが、この可撓性部材に撓みを生じさせる力は、本来、意図している力だけではなく、測定系に対しては外乱として作用する力も含まれている。そのため、従来の角速度センサには、この外乱の影響を受けて測定精度が低下するという問題がある。たとえば、角速度センサに対して加速度が作用している測定環境では、この加速度に起因する力が振動子に作用することになり、その影響を受けて、可撓性部材に撓みが生じることになる。特に、地球上では、常に重力加速度が作用している測定環境が不可避である。
もちろん、角速度センサを地上に固定して使用するような測定環境であれば、予め、重力加速度の作用を考慮した設定が可能であり、重力加速度の影響を排除した測定値を得ることができよう。しかしながら、角速度センサは、その性質上、空間内で移動したり姿勢を変えたりする物体に取り付けて利用するのが一般的である。このため、実用上は、角速度センサには、重力加速度をはじめとする様々な加速度が、全く予測できない方向から外乱として加わることになり、従来装置では、この外乱による測定精度の低下が避けられない。
そこで本発明は、測定系に対して外乱として作用する力の影響を排除し、高精度な角速度測定を行うことが可能な角速度センサを提供することを目的とする。
(1) 本発明の第1の態様は、振動子と、この振動子を収容する装置筐体と、振動子を装置筐体に対して接続する可撓性部材と、振動子の表面に設けられた複数の変位電極と、装置筐体に固定され、変位電極のそれぞれに対向する位置に設けられた複数の固定電極と、を備えた角速度センサにおいて、
互いに対向する変位電極と固定電極とによって、それぞれ独立した容量素子を形成し、これらの容量素子には、振動子を駆動させるための駆動用容量素子と、振動子の駆動状態をモニタするためのモニタ用容量素子と、振動子に作用するコリオリ力を検出するためのコリオリ力検出用容量素子と、が含まれるようにし、
角速度センサには、更に、
駆動用容量素子に交流駆動信号を供給することにより、駆動用容量素子を構成する電極間にクーロン力を作用させ、振動子に周期的運動を生じさせる駆動制御回路と、
振動子が周期的運動を行っている状態において、周期的運動に同期した所定タイミングでコリオリ力検出用容量素子の静電容量値を測定し、得られた静電容量値に基づいて所定軸まわりの角速度の検出値を出力する角速度検出回路と、
を設け、
駆動制御回路が、モニタ用容量素子の静電容量値をフィードバック量として、振動子の周期的運動が、予め設定された基準運動に維持されるようにフィードバック制御を行うようにしたものである。
(2) 本発明の第2の態様は、上述の第1の態様に係る角速度センサにおいて、
振動子の上面に形成された変位電極と、これに対向する位置に設けられた固定電極と、によって上方駆動用容量素子が構成され、
振動子の上面に形成された変位電極と、これに対向する位置に設けられた固定電極と、によって上方モニタ用容量素子が構成され、
駆動制御回路は、
上方駆動用容量素子を構成する一方の電極の電圧を基準として、他方の電極に対して交流電圧信号を供給することにより両電極間にクーロン力を作用させ、作用させたクーロン力によって振動子を上下方向に振動させ、
上方モニタ用容量素子の静電容量を示すモニタ電圧の振動中心レベルが、所定の基準レベルよりも小さくなったときには、上方駆動用容量素子に作用させるクーロン力をより大きくする制御を行い、
上方モニタ用容量素子の静電容量を示すモニタ電圧の振動中心レベルが、所定の基準レベルよりも大きくなったときには、上方駆動用容量素子に作用させるクーロン力をより小さくする制御を行うようにしたものである。
(3) 本発明の第3の態様は、上述の第2の態様に係る角速度センサにおいて、
振動子の上面の中心部に配置された上面中心電極と、振動子の上面における上面中心電極を取り囲む位置に配置された上面包囲電極と、を設け、
上面中心電極および上面包囲電極のいずれか一方を用いて上方駆動用容量素子を構成し、他方を用いて上方モニタ用容量素子を構成したものである。
(4) 本発明の第4の態様は、上述の第2または第3の態様に係る角速度センサにおいて、
駆動制御回路が、交流電圧信号として半波整流電圧信号を用い、作用させるクーロン力をより大きくする場合は、供給する交流電圧信号の振幅を大きくし、作用させるクーロン力をより小さくする場合は、供給する交流電圧信号の振幅を小さくする制御を行うようにしたものである。
(5) 本発明の第5の態様は、上述の第2または第3の態様に係る角速度センサにおいて、
駆動制御回路が、交流電圧信号として半波整流電圧信号を用い、作用させるクーロン力をより大きくする場合は、供給する交流電圧信号に正のオフセット電圧を加え、作用させるクーロン力をより小さくする場合は、供給する交流電圧信号に負のオフセット電圧を加える(但し、電圧値が負になる場合は0とする)ようにしたものである。
(6) 本発明の第6の態様は、上述の第2の態様に係る角速度センサにおいて、
振動子の重心位置に原点Oを定義し、振動子の上面がXY平面に平行になるように、XYZ三次元座標系を定義し、X軸およびY軸の振動子上面に対する正射影像を定義したときに、
上方駆動用容量素子および上方モニタ用容量素子が、いずれもZ軸上もしくはZ軸を取り囲む位置に配置され、
X軸の正射影像の正の部分に配置された容量素子および負の部分に配置された容量素子によって、X軸方向に作用するコリオリ力Fxを検出するためのコリオリ力検出用容量素子が構成され、これら両容量素子の静電容量値の差に基づいてコリオリ力Fxが決定され、
Y軸の正射影像の正の部分に配置された容量素子および負の部分に配置された容量素子によって、Y軸方向に作用するコリオリ力Fyを検出するためのコリオリ力検出用容量素子が構成され、これら両容量素子の静電容量値の差に基づいてコリオリ力Fyが決定され、
駆動制御回路が、上方駆動用容量素子に対して交流駆動信号を供給することにより、振動子をZ軸方向に振動させ、
角速度検出回路が、コリオリ力Fxに基づいてY軸まわりの角速度ωyを検出し、コリオリ力Fyに基づいてX軸まわりの角速度ωxを検出するようにしたものである。
(7) 本発明の第7の態様は、上述の第1の態様に係る角速度センサにおいて、
振動子の上面に形成された変位電極と、これに対向する位置に設けられた固定電極と、によって上方駆動用容量素子が構成され、
振動子の下面に形成された変位電極と、これに対向する位置に設けられた固定電極と、によって下方駆動用容量素子が構成され、
振動子の上面に形成された変位電極と、これに対向する位置に設けられた固定電極と、によって上方モニタ用容量素子が構成され、
振動子の下面に形成された変位電極と、これに対向する位置に設けられた固定電極と、によって下方モニタ用容量素子が構成され、
駆動制御回路は、
上方駆動用容量素子を構成する一方の電極の電圧を基準として、他方の電極に対して第1の交流電圧信号φ1を供給することにより両電極間にクーロン力を作用させ、
下方駆動用容量素子を構成する一方の電極の電圧を基準として、他方の電極に対して、第1の交流電圧信号φ1とは逆位相の第2の交流電圧信号φ2を供給することにより両電極間にクーロン力を作用させ、
作用させたクーロン力によって振動子を上下方向に振動させ、
上方モニタ用容量素子の静電容量を示すモニタ電圧の振動中心レベルが、所定の基準レベルよりも小さくなったときには、上方駆動用容量素子に作用させるクーロン力をより大きくする制御を行い、
上方モニタ用容量素子の静電容量を示すモニタ電圧の振動中心レベルが、所定の基準レベルよりも大きくなったときには、上方駆動用容量素子に作用させるクーロン力をより小さくする制御を行い、
下方モニタ用容量素子の静電容量を示すモニタ電圧の振動中心レベルが、所定の基準レベルよりも小さくなったときには、下方駆動用容量素子に作用させるクーロン力をより大きくする制御を行い、
下方モニタ用容量素子の静電容量を示すモニタ電圧の振動中心レベルが、所定の基準レベルよりも大きくなったときには、下方駆動用容量素子に作用させるクーロン力をより小さくする制御を行うようにしたものである。
(8) 本発明の第8の態様は、上述の第7の態様に係る角速度センサにおいて、
振動子の上面の中心部に配置された上面中心電極と、振動子の上面における上面中心電極を取り囲む位置に配置された上面包囲電極と、振動子の下面の中心部に配置された下面中心電極と、振動子の下面における下面中心電極を取り囲む位置に配置された下面包囲電極と、を設け、
上面中心電極および上面包囲電極のいずれか一方を用いて上方駆動用容量素子を構成し、他方を用いて上方モニタ用容量素子を構成し、下面中心電極および下面包囲電極のいずれか一方を用いて下方駆動用容量素子を構成し、他方を用いて下方モニタ用容量素子を構成したものである。
(9) 本発明の第9の態様は、上述の第7または第8の態様に係る角速度センサにおいて、
駆動制御回路が、第1の交流電圧信号φ1および第2の交流電圧信号φ2として、互いに逆位相となる半波整流電圧信号を用い、作用させるクーロン力をより大きくする場合は、供給する交流電圧信号の振幅を大きくし、作用させるクーロン力をより小さくする場合は、供給する交流電圧信号の振幅を小さくする制御を行うようにしたものである。
(10) 本発明の第10の態様は、上述の第7または第8の態様に係る角速度センサにおいて、
駆動制御回路が、第1の交流電圧信号φ1および第2の交流電圧信号φ2として、互いに逆位相となる半波整流電圧信号を用い、作用させるクーロン力をより大きくする場合は、供給する交流電圧信号に正のオフセット電圧を加え、作用させるクーロン力をより小さくする場合は、供給する交流電圧信号に負のオフセット電圧を加える(但し、電圧値が負になる場合は0とする)ようにしたものである。
(11) 本発明の第11の態様は、上述の第7の態様に係る角速度センサにおいて、
振動子の重心位置に原点Oを定義し、振動子の上面がXY平面に平行になるように、XYZ三次元座標系を定義し、X軸およびY軸の振動子上面に対する正射影像を定義したときに、
上方駆動用容量素子、下方駆動用容量素子、上方モニタ用容量素子、下方モニタ用容量素子が、いずれもZ軸上もしくはZ軸を取り囲む位置に配置され、
X軸の正射影像の正の部分に配置された容量素子および負の部分に配置された容量素子によって、X軸方向に作用するコリオリ力Fxを検出するためのコリオリ力検出用容量素子が構成され、これら両容量素子の静電容量値の差に基づいてコリオリ力Fxが決定され、
Y軸の正射影像の正の部分に配置された容量素子および負の部分に配置された容量素子によって、Y軸方向に作用するコリオリ力Fyを検出するためのコリオリ力検出用容量素子が構成され、これら両容量素子の静電容量値の差に基づいてコリオリ力Fyが決定され、
駆動制御回路が、上方駆動用容量素子および下方駆動用容量素子に対して交流駆動信号を供給することにより、振動子をZ軸方向に振動させ、
角速度検出回路が、コリオリ力Fxに基づいてY軸まわりの角速度ωyを検出し、コリオリ力Fyに基づいてX軸まわりの角速度ωxを検出するようにしたものである。
(12) 本発明の第12の態様は、上述の第6または第11の態様に係る角速度センサにおいて、
上方モニタ用容量素子もしくは下方モニタ用容量素子が、同一平面上においてZ軸を取り囲む位置に配置された複数の容量素子によって構成され、
駆動制御回路が、これら複数の容量素子の静電容量値の平均値をフィードバック量として、フィードバック制御を行うようにしたものである。
(13) 本発明の第13の態様は、上述の第12の態様に係る角速度センサにおいて、
上方モニタ用容量素子もしくは下方モニタ用容量素子を構成する、同一平面上に配置された複数の容量素子の静電容量値の差が、所定のしきい値以上になった場合には、異常報知信号を出力するようにしたものである。
(14) 本発明の第14の態様は、上述の第1の態様に係る角速度センサにおいて、
振動子の重心位置に原点Oを定義し、振動子の上面がXY平面に平行になるように、XYZ三次元座標系を定義し、X軸およびY軸の振動子上面に対する正射影像を定義したときに、
X軸の正射影像の正の部分に配置された第1の容量素子と、X軸の正射影像の負の部分に配置された第2の容量素子と、Y軸の正射影像の正の部分に配置された第3の容量素子と、Y軸の正射影像の負の部分に配置された第4の容量素子と、Z軸上もしくはZ軸を取り囲む位置に配置された第5の容量素子と、X軸の正射影像の正の部分における第1の容量素子とは重ならない位置に配置された第6の容量素子と、X軸の正射影像の負の部分における第2の容量素子とは重ならない位置に配置された第7の容量素子と、Y軸の正射影像の正の部分における第3の容量素子とは重ならない位置に配置された第8の容量素子と、Y軸の正射影像の負の部分における第4の容量素子とは重ならない位置に配置された第9の容量素子と、を設け、
第1の容量素子と第2の容量素子は、YZ平面に関して幾何学的に対称となっており、第3の容量素子と第4の容量素子は、XZ平面に関して幾何学的に対称となっており、第5の容量素子はXZ平面およびYZ平面の双方に関して幾何学的に対称となる形状をしており、第6の容量素子と第7の容量素子は、YZ平面に関して幾何学的に対称となっており、第8の容量素子と第9の容量素子は、XZ平面に関して幾何学的に対称となっており、
第1〜第9の容量素子から選択された容量素子によって、駆動用容量素子、コリオリ力検出用容量素子、モニタ用容量素子を構成したものである。
(15) 本発明の第15の態様は、上述の第14の態様に係る角速度センサにおいて、
Z軸上もしくはZ軸を取り囲む位置であって第5の容量素子とは重ならない位置に配置され、XZ平面およびYZ平面の双方に関して幾何学的に対称となる形状をした第10の容量素子を更に設け、
第1〜第10の容量素子から選択された容量素子によって、駆動用容量素子、コリオリ力検出用容量素子、モニタ用容量素子を構成したものである。
(16) 本発明の第16の態様は、上述の第14の態様に係る角速度センサにおいて、
第1〜第4の容量素子が駆動用容量素子を構成し、第6〜第9の容量素子がモニタ用容量素子を構成し、第5の容量素子がZ軸方向に作用するコリオリ力Fzを検出するコリオリ力検出用容量素子を構成し、
駆動制御回路が、第1,第3,第2,第4の容量素子に、それぞれ位相が順次π/2ずつ遅れた交流駆動信号を供給することにより、振動子をXY平面に平行な平面内で円運動させ、第6〜第9の容量素子の静電容量値をフィードバック量として、振動子の運動が、予め設定された基準円運動に維持されるようにフィードバック制御を行い、
角速度検出回路が、振動子の重心がXZ平面を通過するタイミングで測定されたコリオリ力Fzに基づいてX軸まわりの角速度ωxを検出し、振動子の重心がYZ平面を通過するタイミングで測定されたコリオリ力Fzに基づいてY軸まわりの角速度ωyを検出するようにしたものである。
(17) 本発明の第17の態様は、上述の第16の態様に係る角速度センサにおいて、
第6および第7の容量素子をX軸方向に作用するコリオリ力Fxを検出するコリオリ力検出用容量素子として兼用し、
角速度検出回路が、振動子の重心がXZ平面を通過するタイミングで測定されたコリオリ力Fxに基づいてZ軸まわりの角速度ωzを検出するようにしたものである。
(18) 本発明の第18の態様は、上述の第1の態様に係る角速度センサにおいて、
互いに平行な上面と下面とを有する振動子の重心位置に原点Oを定義し、振動子の上面および下面がXY平面に平行になるように、XYZ三次元座標系を定義し、X軸およびY軸の振動子上面および下面に対する正射影像を定義したときに、
振動子上面側において、X軸の正射影像の正の部分に配置された第1の上面側容量素子と、X軸の正射影像の負の部分に配置された第2の上面側容量素子と、Y軸の正射影像の正の部分に配置された第3の上面側容量素子と、Y軸の正射影像の負の部分に配置された第4の上面側容量素子と、Z軸上もしくはZ軸を取り囲む位置に配置された第5の上面側容量素子と、X軸の正射影像の正の部分における第1の上面側容量素子とは重ならない位置に配置された第6の上面側容量素子と、X軸の正射影像の負の部分における第2の上面側容量素子とは重ならない位置に配置された第7の上面側容量素子と、Y軸の正射影像の正の部分における第3の上面側容量素子とは重ならない位置に配置された第8の上面側容量素子と、Y軸の正射影像の負の部分における第4の上面側容量素子とは重ならない位置に配置された第9の上面側容量素子と、を設け、
第1の上面側容量素子と第2の上面側容量素子は、YZ平面に関して幾何学的に対称となっており、第3の上面側容量素子と第4の上面側容量素子は、XZ平面に関して幾何学的に対称となっており、第5の上面側容量素子はXZ平面およびYZ平面の双方に関して幾何学的に対称となる形状をしており、第6の上面側容量素子と第7の上面側容量素子は、YZ平面に関して幾何学的に対称となっており、第8の上面側容量素子と第9の上面側容量素子は、XZ平面に関して幾何学的に対称となっており、
振動子下面側において、X軸の正射影像の正の部分に配置された第1の下面側容量素子と、X軸の正射影像の負の部分に配置された第2の下面側容量素子と、Y軸の正射影像の正の部分に配置された第3の下面側容量素子と、Y軸の正射影像の負の部分に配置された第4の下面側容量素子と、Z軸上もしくはZ軸を取り囲む位置に配置された第5の下面側容量素子と、X軸の正射影像の正の部分における第1の下面側容量素子とは重ならない位置に配置された第6の下面側容量素子と、X軸の正射影像の負の部分における第2の下面側容量素子とは重ならない位置に配置された第7の下面側容量素子と、Y軸の正射影像の正の部分における第3の下面側容量素子とは重ならない位置に配置された第8の下面側容量素子と、Y軸の正射影像の負の部分における第4の下面側容量素子とは重ならない位置に配置された第9の下面側容量素子と、を設け、
第1の下面側容量素子と第2の下面側容量素子は、YZ平面に関して幾何学的に対称となっており、第3の下面側容量素子と第4の下面側容量素子は、XZ平面に関して幾何学的に対称となっており、第5の下面側容量素子はXZ平面およびYZ平面の双方に関して幾何学的に対称となる形状をしており、第6の下面側容量素子と第7の下面側容量素子は、YZ平面に関して幾何学的に対称となっており、第8の下面側容量素子と第9の下面側容量素子は、XZ平面に関して幾何学的に対称となっており、
第1〜第9の上面側容量素子および第1〜第9の下面側容量素子から選択された容量素子によって、駆動用容量素子、コリオリ力検出用容量素子、モニタ用容量素子を構成したものである。
(19) 本発明の第19の態様は、上述の第18の態様に係る角速度センサにおいて、
振動子上面側において、Z軸上もしくはZ軸を取り囲む位置であって第5の上面側容量素子とは重ならない位置に配置され、XZ平面およびYZ平面の双方に関して幾何学的に対称となる形状をした第10の上面側容量素子と、振動子下面側において、Z軸上もしくはZ軸を取り囲む位置であって第5の下面側容量素子とは重ならない位置に配置され、XZ平面およびYZ平面の双方に関して幾何学的に対称となる形状をした第10の下面側容量素子と、を更に設け、
第1〜第10の上面側容量素子および第1〜第10の下面側容量素子から選択された容量素子によって、駆動用容量素子、コリオリ力検出用容量素子、モニタ用容量素子を構成したものである。
(20) 本発明の第20の態様は、上述の第18の態様に係る角速度センサにおいて、
第1〜第4の上面側容量素子および第1〜第4の下面側容量素子が駆動用容量素子を構成し、第6〜第9の上面側容量素子および第6〜第9の下面側容量素子がモニタ用容量素子を構成し、第5の上面側容量素子および第5の下面側容量素子がZ軸方向に作用するコリオリ力Fzを検出するコリオリ力検出用容量素子を構成し、
駆動制御回路が、第1,第3,第2,第4の上面側容量素子に、それぞれ位相が順次π/2ずつ遅れた交流駆動信号を供給するとともに、第1,第3,第2,第4の下面側容量素子に、それぞれ第1,第3,第2,第4の上面側容量素子とは逆位相の交流駆動信号を供給することにより、振動子をXY平面に平行な平面内で円運動させ、第6〜第9の上面側容量素子および第6〜第9の下面側容量素子の静電容量値をフィードバック量として、振動子の運動が、予め設定された基準円運動に維持されるようにフィードバック制御を行い、
角速度検出回路が、振動子の重心がXZ平面を通過するタイミングで測定されたコリオリ力Fzに基づいてX軸まわりの角速度ωxを検出し、振動子の重心がYZ平面を通過するタイミングで測定されたコリオリ力Fzに基づいてY軸まわりの角速度ωyを検出するようにしたものである。
(21) 本発明の第21の態様は、上述の第20の態様に係る角速度センサにおいて、
第6および第7の上面側容量素子および第6および第7の下面側容量素子をX軸方向に作用するコリオリ力Fxを検出するコリオリ力検出用容量素子として兼用し、
角速度検出回路が、振動子の重心がXZ平面を通過するタイミングで測定されたコリオリ力Fxに基づいてZ軸まわりの角速度ωzを検出するようにしたものである。
(22) 本発明の第22の態様は、上述の第20または第21の態様に係る角速度センサにおいて、
振動子上面側において、Z軸上もしくはZ軸を取り囲む位置であって第5の上面側容量素子とは重ならない位置に配置され、XZ平面およびYZ平面の双方に関して幾何学的に対称となる形状をした第10の上面側容量素子と、振動子下面側において、Z軸上もしくはZ軸を取り囲む位置であって第5の下面側容量素子とは重ならない位置に配置され、XZ平面およびYZ平面の双方に関して幾何学的に対称となる形状をした第10の下面側容量素子と、を更に設け、
第10の上面側容量素子および第10の下面側容量素子の静電容量値をフィードバック量として、振動子の運動面が、予め設定された基準平面の位置に維持されるようにフィードバック制御を行うようにしたものである。
(23) 本発明の第23の態様は、上述の第1の態様に係る角速度センサにおいて、
振動子の重心位置に原点Oを定義し、振動子の上面がXY平面に平行になるように、XYZ三次元座標系を定義し、X軸およびY軸の振動子上面に対する正射影像を定義したときに、
振動子上面側において、X軸の正射影像の正の部分に配置された第1の容量素子と、X軸の正射影像の負の部分に配置された第2の容量素子と、Z軸上もしくはZ軸を取り囲む位置に配置された第3の容量素子と、X軸の正射影像の正の部分における第1の容量素子とは重ならない位置に配置された第4の容量素子と、X軸の正射影像の負の部分における第2の容量素子とは重ならない位置に配置された第5の容量素子と、Z軸上もしくはZ軸を取り囲む位置における第3の容量素子とは重ならない位置に配置された第6の容量素子と、Y軸の正射影像の正の部分に配置された第7の容量素子と、Y軸の正射影像の負の部分に配置された第8の容量素子と、
を設け、
第1の容量素子と第2の容量素子は、YZ平面に関して幾何学的に対称となっており、第4の容量素子と第5の容量素子は、YZ平面に関して幾何学的に対称となっており、第3の容量素子はXZ平面およびYZ平面の双方に関して幾何学的に対称となる形状をしており、第6の容量素子はXZ平面およびYZ平面の双方に関して幾何学的に対称となる形状をしており、第7の容量素子と第8の容量素子は、XZ平面に関して幾何学的に対称となっており、
第1〜第3の容量素子が駆動用容量素子を構成し、第4〜第6の容量素子がモニタ用容量素子を構成し、第7〜第8の容量素子がY軸方向に作用するコリオリ力Fyを検出するコリオリ力検出用容量素子を構成し、
駆動制御回路が、第1および第2の容量素子に、互いに逆位相の交流駆動信号を供給し、第3の容量素子に、第1の容量素子に供給する交流駆動信号に対して位相がπ/2だけずれた交流駆動信号を供給することにより、振動子をXZ平面内で円運動させ、第4〜第6の容量素子の静電容量値をフィードバック量として、振動子の運動が、予め設定された基準円運動に維持されるようにフィードバック制御を行い、
角速度検出回路が、振動子の重心がXY平面を通過するタイミングで測定されたコリオリ力Fyに基づいてX軸まわりの角速度ωxを検出し、振動子の重心がYZ平面を通過するタイミングで測定されたコリオリ力Fyに基づいてZ軸まわりの角速度ωzを検出するようにしたものである。
(24) 本発明の第24の態様は、上述の第23の態様に係る角速度センサにおいて、
振動子下面側において、Z軸上もしくはZ軸を取り囲む位置に配置された第9の容量素子と、Z軸上もしくはZ軸を取り囲む位置における第9の容量素子とは重ならない位置に配置された第10の容量素子と、を更に設け、
第9の容量素子および第10の容量素子は、XZ平面およびYZ平面の双方に関して幾何学的に対称となる形状をしており、
駆動制御回路が、第9の容量素子に、第3の容量素子に供給する交流駆動信号に対して逆位相の交流駆動信号を供給することにより、振動子をXZ平面内で円運動させ、第10の容量素子の静電容量値をフィードバック量として加えることにより、振動子の運動が、予め設定された基準円運動に維持されるようにフィードバック制御を行うようにしたものである。
(25) 本発明の第25の態様は、上述の第23または第24の態様に係る角速度センサにおいて、
第4および第5の容量素子をX軸方向に作用するコリオリ力Fxを検出するコリオリ力検出用容量素子として兼用し、
角速度検出回路が、振動子の重心がXY平面を通過するタイミングで測定されたコリオリ力Fxに基づいてY軸まわりの角速度ωyを検出するようにしたものである。
(26) 本発明の第26の態様は、上述の第23または第24の態様に係る角速度センサにおいて、
第6の容量素子をZ軸方向に作用するコリオリ力Fzを検出するコリオリ力検出用容量素子として兼用し、
角速度検出回路が、振動子の重心がYZ平面を通過するタイミングで測定されたコリオリ力Fzに基づいてY軸まわりの角速度ωyを検出するようにしたものである。
(27) 本発明の第27の態様は、上述の第14〜第26の態様に係る角速度センサにおいて、
個々のモニタ用容量素子について、それぞれ最も近い位置に配置されている駆動用容量素子を対応づけ、
駆動制御回路が、特定のモニタ用容量素子の静電容量を示すモニタ電圧の振動中心レベルが、所定の基準レベルよりも小さくなったときには、これに対応する駆動用容量素子に作用させるクーロン力をより大きくする制御を行い、特定のモニタ用容量素子の静電容量を示すモニタ電圧の振動中心レベルが、所定の基準レベルよりも大きくなったときには、これに対応する駆動用容量素子に作用させるクーロン力をより小さくする制御を行うようにしたものである。
(28) 本発明の第28の態様は、上述の第27の態様に係る角速度センサにおいて、
駆動制御回路が、各駆動用容量素子に供給する交流駆動信号として、半波整流電圧信号を用い、作用させるクーロン力をより大きくする場合は、供給する交流電圧信号の振幅を大きくし、作用させるクーロン力をより小さくする場合は、供給する交流電圧信号の振幅を小さくする制御を行うようにしたものである。
(29) 本発明の第29の態様は、上述の第27の態様に係る角速度センサにおいて、
駆動制御回路が、各駆動用容量素子に供給する交流駆動信号として、半波整流電圧信号を用い、作用させるクーロン力をより大きくする場合は、供給する交流電圧信号に正のオフセット電圧を加え、作用させるクーロン力をより小さくする場合は、供給する交流電圧信号に負のオフセット電圧を加える(但し、電圧値が負になる場合は0とする)ようにしたものである。
(30) 本発明の第30の態様は、上述の第1の態様に係る角速度センサにおいて、
物理的に同一の容量素子を、モニタ用容量素子およびコリオリ力検出用容量素子として兼用するようにしたものである。
(31) 本発明の第31の態様は、上述の第1の態様に係る角速度センサにおいて、
駆動制御回路からの交流駆動信号を、切替スイッチを介して駆動用容量素子に供給し、切替スイッチを切り替えることにより、物理的に同一の容量素子を、ある期間には、駆動用容量素子として機能させ、別な期間には、モニタ用容量素子もしくはコリオリ力検出用容量素子として機能させることができるようにしたものである。
(32) 本発明の第32の態様は、上述の第31の態様に係る角速度センサにおいて、
互いに平行な上面と下面とを有する振動子の重心位置に原点Oを定義し、振動子の上面および下面がXY平面に平行になるように、XYZ三次元座標系を定義し、X軸およびY軸の振動子上面および下面に対する正射影像を定義したときに、
振動子上面側において、X軸の正射影像の正の部分に配置された第1の上面側容量素子と、X軸の正射影像の負の部分に配置された第2の上面側容量素子と、Y軸の正射影像の正の部分に配置された第3の上面側容量素子と、Y軸の正射影像の負の部分に配置された第4の上面側容量素子と、Z軸上もしくはZ軸を取り囲む位置に配置された第5の上面側容量素子と、を設け、
第1の上面側容量素子と第2の上面側容量素子は、YZ平面に関して幾何学的に対称となっており、第3の上面側容量素子と第4の上面側容量素子は、XZ平面に関して幾何学的に対称となっており、第5の上面側容量素子はXZ平面およびYZ平面の双方に関して幾何学的に対称となる形状をしており、
振動子下面側において、X軸の正射影像の正の部分に配置された第1の下面側容量素子と、X軸の正射影像の負の部分に配置された第2の下面側容量素子と、Y軸の正射影像の正の部分に配置された第3の下面側容量素子と、Y軸の正射影像の負の部分に配置された第4の下面側容量素子と、Z軸上もしくはZ軸を取り囲む位置に配置された第5の下面側容量素子と、を設け、
第1の下面側容量素子と第2の下面側容量素子は、YZ平面に関して幾何学的に対称となっており、第3の下面側容量素子と第4の下面側容量素子は、XZ平面に関して幾何学的に対称となっており、第5の下面側容量素子はXZ平面およびYZ平面の双方に関して幾何学的に対称となる形状をしており、
駆動制御回路は、振動子の運動周期の第1の四半周期を構成する期間T1にクーロン力を発生させることができる交流駆動信号φ1と、振動子の運動周期の第2の四半周期を構成する期間T2にクーロン力を発生させることができる交流駆動信号φ2と、振動子の運動周期の第3の四半周期を構成する期間T3にクーロン力を発生させることができる交流駆動信号φ3と、振動子の運動周期の第4の四半周期を構成する期間T4にクーロン力を発生させることができる交流駆動信号φ4と、を発生させ、
交流駆動信号φ1は、期間T1に第1の切替状態となるように制御される第1の切替スイッチを介して第5の上面側容量素子に供給され、交流駆動信号φ2は、期間T2に第1の切替状態となるように制御される第2の切替スイッチを介して第2の上面側容量素子および第1の下面側容量素子に供給され、交流駆動信号φ3は、期間T3に第1の切替状態となるように制御される第3の切替スイッチを介して第5の下面側容量素子に供給され、交流駆動信号φ4は、期間T4に第1の切替状態となるように制御される第4の切替スイッチを介して第1の上面側容量素子および第2の下面側容量素子に供給され、これら交流駆動信号の供給により、振動子はXZ平面内で円運動し、
駆動制御回路は、
期間T1において、第2の切替状態となるように制御された第3の切替スイッチを介して第5の下面側容量素子の静電容量値を検出し、当該静電容量値をフィードバック量として、交流駆動信号φ1を制御し、
期間T2において、第2の切替状態となるように制御された第4の切替スイッチを介して第1の上面側容量素子の静電容量値および第2の下面側容量素子の静電容量値を検出し、当該静電容量値をフィードバック量として、交流駆動信号φ2を制御し、
期間T3において、第2の切替状態となるように制御された第1の切替スイッチを介して第5の上面側容量素子の静電容量値を検出し、当該静電容量値をフィードバック量として、交流駆動信号φ3を制御し、
期間T4において、第2の切替状態となるように制御された第2の切替スイッチを介して第2の上面側容量素子の静電容量値および第1の下面側容量素子の静電容量値を検出し、当該静電容量値をフィードバック量として、交流駆動信号φ4を制御し、
角速度検出回路は、
期間T1および期間T3において、第3の上面側容量素子および第3の下面側容量素子ならびに第4の上面側容量素子および第4の下面側容量素子の静電容量値に基づいて、X軸まわりの角速度ωxを検出し、
期間T2および期間T4において、第2の切替状態となるように制御された第1の切替スイッチを介して第5の上面側容量素子の静電容量値を検出し、第2の切替状態となるように制御された第3の切替スイッチを介して第5の下面側容量素子の静電容量値を検出し、当該静電容量値に基づいて、Y軸まわりの角速度ωyを検出し、
期間T2および期間T4において、第3の上面側容量素子および第3の下面側容量素子ならびに第4の上面側容量素子および第4の下面側容量素子の静電容量値に基づいて、Z軸まわりの角速度ωzを検出するようにしたものである。
(33) 本発明の第33の態様は、上述の第1〜第32の態様に係る角速度センサにおいて、
角速度検出回路が、モニタ用容量素子の静電容量値に基づいて、コリオリ力検出用容量素子の静電容量値の測定タイミングを決定するようにしたものである。
(34) 本発明の第34の態様は、上述の第1〜第33の態様に係る角速度センサにおいて、
それぞれ独立した容量素子が形成されるという条件が満足される限りにおいて、複数の変位電極もしくは複数の固定電極を物理的に単一の導電層によって構成したものである。
(35) 本発明の第35の態様は、上述の第34の態様に係る角速度センサにおいて、
振動子を導電性材料によって構成し、各変位電極を振動子の表面層のそれぞれ特定の部分領域によって構成し、すべての変位電極が共通電位となるようにしたものである。
(36) 本発明の第36の態様は、上述の第1〜第35の態様に係る角速度センサにおいて、
可撓性部材が、振動子の周囲を取り囲む形状をなし、可撓性をもった板状構造体によって構成されており、板状構造体の内側部分が振動子に接続され、外側部分が装置筐体に固定されているようにしたものである。
(37) 本発明の第37の態様は、上述の第1〜第35の態様に係る角速度センサにおいて、
可撓性部材が、可撓性をもった複数の橋梁部によって構成されており、各橋梁部の内側端が振動子に接続され、外側端が装置筐体に固定されているようにしたものである。
本発明に係る角速度センサでは、駆動用容量素子およびコリオリ力検出用容量素子の他に、振動子の運動をモニタするためのモニタ用容量素子を設け、このモニタ用容量素子の静電容量値をフィードバック量として、駆動用容量素子に供給する駆動信号をフィードバック制御するようにしたため、振動子の周期的運動を、予め設定した基準運動に維持することができるようになる。このため、測定系に対して外乱として作用する加速度などに起因する力が働いたとしても、振動子の運動が予め設定した基準運動を維持するような制御が行われ、測定系を安定させることが可能になる。こうして、本発明によれば、測定系に対して外乱として作用する力の影響を排除し、高精度な角速度測定を行うことが可能になる。
以下、本発明を図示する実施形態に基づいて説明する。
<<< §1.従来の角速度センサ >>>
本発明は、前掲の各文献に記載された従来の静電容量式角速度センサの測定精度を向上させるための工夫を提案するものである。そこで、まず、従来の基本的な角速度センサの構造部の一例を、図1の斜視図を参照して説明するとともに、この角速度センサによる検出原理を簡単に述べておく。
図1に示す角速度センサの主たる構成要素は、上方基板100、可撓性基板200、下方基板300、重錘体400である。可撓性基板200は、可撓性をもった薄い円板状の構造体であり、その下面中央部分には、円柱状の重錘体400が接合されている。可撓性基板200の周囲部分は装置筐体に固定されている。一方、上方基板100および下方基板300は剛性をもった基板であり、やはり装置筐体に固定されている。具体的には、上方基板100は、可撓性基板200の上方に、可撓性基板200の上面に対して平行になる位置に配置され、下方基板300は、重錘体400の下方に、重錘体400の下面に対して平行になる位置に配置されている。なお、図において、各基板100,200,300の左右に示す斜線は、これら各基板の周囲部分が装置筐体に固定されていることを示している。
可撓性基板200の上面には、図示のとおり、5枚の電極D10〜D14が設けられており、重錘体400の下面には、図示のとおり、電極D10Bが設けられている。後述するように、これらの電極は、重錘体400の運動とともに変位する電極であるため、以後、「変位電極」と呼ぶことにし、「Deviate(変位)」の頭文字Dを冠した符号で示すことにする。図では、各電極の形状を明確にするために、斜視図に現れる電極部分にはハッチングを施して示す。
変位電極D10は、可撓性基板200の上面中心部に配置された円盤状の電極であり、変位電極D11〜D14は、その周囲に配置された扇型の電極である。一方、変位電極D10Bは、変位電極D10と同様に円盤状の電極であるが、重錘体400の底面に形成されている。本明細書では、重錘体400の底面側に形成された電極については、「Bottom(底)」の頭文字Bを末尾に付した符号を用いることにする。変位電極D10Bは、変位電極D10と同一形状の電極であり、変位電極D10の真下に配置された電極である。
これら各変位電極D10〜D14,D10Bに対して対向する位置に、それぞれ同一の形状をもった固定電極E10〜E14,E10Bが配置されている。すなわち、上方基板100の下面に形成された固定電極E10〜E14は、変位電極D10〜D14に対向する電極であり、下方基板300の下面に形成された固定電極E10Bは、変位電極D10Bに対向する電極である。
この角速度センサでは、重錘体400と、可撓性基板200の中央部分(重錘体400が接合されている部分)とは、一塊の物体として運動を行うことになるので、以下、この一塊の物体を「振動子」と呼ぶことにする。一方、可撓性基板200の周囲部分(重錘体400が接合されていない部分)は、可撓性をもった薄いワッシャ状の構造体を構成し、「振動子」の部分を周囲から支持する可撓性部材としての機能を果たす。結局、可撓性基板200に重錘体400を接合することによって得られる構造体は、振動子と、この振動子を装置筐体に対して接続する可撓性部材を構成することになる。
ここでは、説明の便宜上、この振動子の重心Gの位置に原点Oを定義し、振動子の上面(可撓性基板200の上面)がXY平面に平行になるように、XYZ三次元座標系を定義する。すると、図示のとおり、電極D10,E10,D10B,E10Bは、いずれもZ軸上に配置された同一半径をもった円盤状の電極(円の中心がZ軸上にくる)ということになる。
図2は、図1に示す角速度センサの上方基板100の下面図であり、図3は、図1に示す角速度センサの可撓性基板200の上面図である。いずれも、ハッチングは、電極形状を示すためのものである。図に示すX′軸およびY′軸は、図1に示すX軸およびY軸を、図示されている面に投影した正射影像である。図3に示すように、変位電極D11,D12は、X′軸の正の部分および負の部分に配置された扇型の電極であり、変位電極D13,D14は、Y′軸の正の部分および負の部分に配置された扇型の電極である。一方、固定電極E11〜E14は、図2に示すように、各変位電極D11〜D14に対向する位置に配置されている。
図4は、図1に示す角速度センサの中立状態(何ら力が加わっていない状態、たとえば、無重力空間内に静止している状態)を示す側断面図である。これに対して、図5は、振動子の重心Gに対してZ軸正方向の力+Fzが加えられたときの状態(上方変位状態)を示し、図6は、重心Gに対してZ軸負方向の力−Fzが加えられたときの状態(下方変位状態)を示している。もちろん、振動子の変位方向は、Z軸方向に限定されるものではない。たとえば、重心Gに対してX軸正方向の力+Fxが加えられると、図7に示すような右方変位状態が得られ、X軸負方向の力−Fxが加えられると、図7とは逆の左方変位状態が得られる。Y軸方向の力が加えられた場合も、同様にY軸方向の変位状態が得られることになる。
このように、振動子に対して力が作用すると、可撓性部材(可撓性基板200の周囲部分)に撓みが生じ、振動子は作用した力の方向に変位することになる。こうして振動子が変位すると、振動子の表面に設けられている各変位電極も変位し、対向する各固定電極との電極間距離に変化が生じる。逆に、対向する変位電極と固定電極との間にクーロン力を作用させて、電極間距離を変化させれば、振動子を変位させることができる。
そこで、図8(a) ,(b) に示すような交流電圧信号φ1,φ2を用意し、これを図1に示す角速度センサに、振動子を振動させるための交流駆動信号として供給する。図8(a) ,(b) の横軸は時間軸tであり、縦軸は電圧値Vを示している。図示のとおり、交流電圧信号φ1,φ2は、いずれもピーク電圧Vpをもった同一周期の正弦波を半波整流して得られる電圧信号であるが、位相は互いに逆になっている(πだけずれている)。
ここでは、図1に示す角速度センサにおける変位電極D10,D10Bを電気的に接地電位に接続し、固定電極E10に対して図8(a) に示す交流電圧信号φ1を与え、固定電極E10Bに対して図8(b) に示す交流電圧信号φ2を与えることにする。すると、時間軸上に示す位相が0〜πの期間内は、変位電極D10と固定電極E10との間にクーロン引力が作用するので、振動子に対しては、Z軸正方向の力+Fzが作用し、振動子は上方へと運動する。ところが、時間軸上に示す位相がπ〜2πの期間内は、変位電極D10Bと固定電極E10Bとの間にクーロン引力が作用するので、振動子に対しては、Z軸負方向の力−Fzが作用し、振動子は下方へと運動する。
結局、交流電圧信号φ1,φ2を供給することにより、振動子は、Z軸方向に振動することになる。図8(c) は、振動子の重心Gの変位を示すグラフであり、横軸は図8(a) ,(b) の横軸と同期した時間軸tであり、縦軸は変位を示している。ここで、変位0は、重心Gが座標系の原点Oの位置にあることを示している。振動子は、振幅 Aをもって上下方向に振動し、その周期は、交流電圧信号φ1,φ2の周期に一致する。ただし、振動子の変位の位相は、交流電圧信号の位相に対して所定の位相差dだけ遅れることになる。これは、クーロン力が作用してから、実際に振動子が当該クーロン力に応じた変位を生じるまでに、機械系や回路系の遅延により若干の時間的な遅れが生じるためである。位相差dは、振動子や可撓性部材といった機械的な振動系に固有の特性と振動周波数に応じて定まる値であり、たとえば、振動系のもつ共振周波数で振動子を振動させた場合、d=π/2になることが知られている。
さて、こうして、振動子をZ軸方向に振動させた状態において、角速度が作用すると、作用した角速度に応じて、振動子に対してコリオリ力が作用する。たとえば、Y軸まわりの角速度ωyが作用したとすると、振動子の運動方向はZ軸方向であるから、X軸方向のコリオリ力Fxが作用することになる。このX軸方向のコリオリ力Fxの作用により、振動子は図7に示すように傾くことになる。その結果、変位電極D11と固定電極E11との間の電極間距離は、変位電極D12と固定電極E12との間の電極間距離よりも小さくなるので、これら対向する電極によって構成される2組の容量素子の静電容量値の差を測定することにより、作用したコリオリ力Fxを検出することができ、これをY軸まわりの角速度ωyの検出値として出力することができる。
同様に、X軸まわりの角速度ωxが作用したとすると、振動子の運動方向はZ軸方向であるから、Y軸方向のコリオリ力Fyが作用することになる。このY軸方向のコリオリ力Fyの作用により振動子が傾斜し、変位電極D13と固定電極E13との間の電極間距離と、変位電極D14と固定電極E14との間の電極間距離と、の間に差が生じることになる。そこで、これら対向する電極によって構成される2組の容量素子の静電容量値の差を測定することにより、作用したコリオリ力Fyを検出することができ、これをX軸まわりの角速度ωxの検出値として出力することができる。
かくして、図1に示す角速度センサでは、振動子をZ軸方向に振動させた状態において、X軸まわりの角速度ωxとY軸まわりの角速度ωyとを検出することが可能になる。
<<< §2.本発明の基本原理 >>>
さて、§1では、図1に示す従来の角速度センサの基本構造とその検出動作を述べた。しかしながら、この説明は、「角速度センサには外乱となる力が作用しない」という理想的な測定環境における説明であり、実用上は、このような理想的な測定環境でセンサが利用されることは稀である。前述したとおり、センサが実際に利用される環境では、たとえば、重力加速度などの外乱要因が存在するため、§1で説明した従来の角速度センサには、この外乱の影響を受けて測定精度が低下するという問題がある。
たとえば、図1に示す角速度センサの振動子を静止状態にして、無重力空間内に放置した場合であれば、振動子は、図4の側断面図に示すような基準位置をとる。ところが、重力の影響下にある地球上では、図9に示すように、振動子の重心Gには、重力加速度αgに基づく力が作用するため、図4に示す状態に比べて、振動子の静止状態の基準位置は若干下方に変位した状態になる。一方、図10に示すように、この加速度センサを地球上で天地逆の状態にすれば、振動子の重心Gには、図示の方向に重力加速度αgに基づく力が作用する。これは、図4において、振動子の静止状態の基準位置が若干上方に変位した状態に相当する。
角速度センサは、その性質上、空間内で移動したり姿勢を変えたりする物体に取り付けて利用するのが一般的であるから、振動子に作用する重力加速度αgの向きは、全く予想することができない。また、運動中の物体にセンサを取り付けて利用する場合、当該物体には、その運動に起因する加速度も作用することになるので、振動子の静止状態の基準位置に影響を与える要因は、重力加速度だけではなく、運動に起因する加速度も加わることになる。
振動子は、その静止状態の基準位置を中心として振動することになるので、この基準位置が変化すると、振動の運動系全体の位置がずれることになる。図11は、図9に示すような重力加速度αgの影響を受けている角速度センサにおいて、供給する交流電圧信号φ1,φ2と振動子の重心Gの変位との関係を示すグラフである。ここで、図11(a) ,(b) に示す交流電圧信号φ1,φ2は、図8(a) ,(b) に示すものと全く同じである。ところが、図9に示すように、振動子の静止状態の基準位置が重力加速度αgの作用によってZ軸負方向にずれるため、図11(c) に示すように、振動子の振動中心位置Lが下方にずれ、振動子はこの振動中心位置Lを中心として上下に振動することになる。
一方、図12は、図10に示すような重力加速度αgの影響を受けている角速度センサにおいて、供給する交流電圧信号φ1,φ2と振動子の重心Gの変位との関係を示すグラフである。やはり、図12(a) ,(b) に示す交流電圧信号φ1,φ2は、図8(a) ,(b) に示すものと全く同じである。ところが、図10に示すように、振動子の静止状態の基準位置が重力加速度αgの作用によってZ軸正方向にずれるため、図12(c) に示すように、振動子の振動中心位置Lが上方にずれ、振動子はこの振動中心位置Lを中心として上下に振動することになる。
このように、振動子の振動中心位置Lが一定でないと、容量素子の静電容量値に基づく正確な角速度検出を行うことができず、測定精度の低下が避けられない。すなわち、対向する一対の電極間距離と静電容量値との間には、線形関係が得られないため、振動子の振動中心位置Lが変動すると、検出感度にも変動が生じることになる。具体的には、図11(c) に示すように、振動中心位置Lが下方にずれると、コリオリ力の検出に利用される変位電極D11〜D14と、これに対向する固定電極E11〜E14との距離が全体的に広がることになり検出感度は低くなる。逆に、図12(c) に示すように、振動中心位置Lが上方にずれると、コリオリ力の検出に利用される変位電極D11〜D14と、これに対向する固定電極E11〜E14との距離が全体的に狭まることになり、検出感度は高くなる。
結局、§1に示す従来の角速度センサを用いた測定では、検出対象となる角速度が同一であったとしても、図9に示すような姿勢で検出を行った場合に比べて、図10に示すような姿勢で検出を行った場合の方が、より大きな測定値が得られることになる。このように、測定時のセンサの姿勢によって、測定値に差が生じるようでは、高精度の角速度検出を行うことはできない。
本発明は、従来装置のこのような問題を解決するための新技術を提案するものであり、その目的は、測定系に対して外乱として作用する力の影響を排除し、高精度な角速度測定を行うことを可能にすることにある。
上記問題を解決するためには、センサの姿勢に拘わらず、振動子が常に同一の振動中心位置Lを中心として、常に同一の振幅をもって、安定した振動を行うようにすればよい。そのために、本発明では、振動子の駆動状態をモニタするためのモニタ用容量素子を設け、このモニタ用容量素子の静電容量値をフィードバック量として、振動子の振動が、予め設定された基準振動(予め設定された所定の振動中心位置Lを中心として、予め設定された所定の振幅をもった振動)に維持されるようにフィードバック制御を行うようにする。
図13は、図9に示す重力加速度αgの影響を受けている角速度センサにおいて、供給する交流電圧信号φ1,φ2の振幅制御方法と、そのときの重心Gの変位を示すグラフである。図9に示す重力加速度αgの影響を受けると、そのままでは、図11(c) に示すように、振動中心位置Lが下方にずれることになる。そこで、図13(a) に示すように、交流電圧信号φ1の振幅を大きくし、図13(b) に示すように、交流電圧信号φ2の振幅を小さくするような制御を行うのである。図13(a) ,(b) において、破線で示す信号は制御前の信号(図11(a) ,(b) と同じ信号)を示し、実線で示す信号は制御後の信号を示している。
このような制御後の交流電圧信号φ1,φ2を図1に示す角速度センサに供給すると、振動子を上方向(Z軸正方向)に引き寄せるクーロン力はより大きくなり、振動子を下方向(Z軸負方向)に引き寄せるクーロン力はより小さくなるので、図13(c) に示すように、振動中心位置Lは本来の位置(座標系の原点Oの位置)へ復帰する。したがって、図8(c) に示すように、重力加速度αgが作用していない測定環境と同一の振動状態を維持することができ、正しい検出結果を得ることができる。
一方、図14は、図10に示す重力加速度αgの影響を受けている角速度センサにおいて、供給する交流電圧信号φ1,φ2の振幅制御方法と、そのときの重心Gの変位を示すグラフである。図10に示す重力加速度αgの影響を受けると、そのままでは、図12(c) に示すように、振動中心位置Lが上方にずれることになる。そこで、図14(a) に示すように、交流電圧信号φ1の振幅を小さくし、図14(b) に示すように、交流電圧信号φ2の振幅を大きくするような制御を行うのである。図14(a) ,(b) において、破線で示す信号は制御前の信号(図12(a) ,(b) と同じ信号)を示し、実線で示す信号は制御後の信号を示している。
このような制御後の交流電圧信号φ1,φ2を図1に示す角速度センサに供給すると、振動子を上方向(Z軸正方向)に引き寄せるクーロン力はより小さくなり、振動子を下方向(Z軸負方向)に引き寄せるクーロン力はより大きくなるので、図14(c) に示すように、振動中心位置Lは本来の位置(座標系の原点Oの位置)へ復帰する。したがって、図8(c) に示すように、重力加速度αgが作用していない測定環境と同一の振動状態を維持することができ、正しい検出結果を得ることができる。
このように、振動子の駆動状態をモニタして、振動子の振動を安定させるフィードバック制御を行う点が、本発明の重要な特徴である。要するに本発明では、図8(c) に示すように、測定系に対して外乱として作用する力が何ら作用していない理想的な測定環境における振動子の運動を予め基準運動として設定しておき、実際の振動子の運動がこの基準運動に維持されるようなフィードバック制御を行うようにすればよい。
なお、本発明を実施する場合、振動子の駆動周波数を振動子の共振周波数に一致させると、より効率的な制御を行うことが可能である。本願発明者は、本願に係る角速度センサの試作品(空気によるダンピング効果を排除するために、振動子の収容空間を真空状態としたもの)を用いて、振動子の駆動周波数(交流電圧信号φ1,φ2の周波数)をいろいろな値に設定し、各駆動周波数ごとに正しい制御を行う実験を行った。その結果、振動子をその共振周波数(試作品の場合、4kHz)で駆動した場合は、非共振周波数で駆動した場合に比べて、重力加速度の影響を排除するためのフィードバック制御に必要な電圧変化分(図13(a) ,(b) や図14(a) ,(b) における破線で示す信号のピーク値と実線で示す信号のピーク値との差)が、数百分の1ですむことが確認できた。
具体的には、重力加速度が作用していない環境下において、ピーク電圧5Vをもった交流電圧信号φ1,φ2を用いて振動子を駆動させるよう設計された角速度センサを用意し、この角速度センサに、その振動子の共振周波数に相当する交流電圧信号φ1,φ2を供給して駆動した場合と、非共振周波数に相当する交流電圧信号φ1,φ2を供給して駆動した場合とを比較してみた。その結果、前者では、ピーク電圧5Vを5.1V程度に変化させる制御(電圧変化分:0.1V)を行うだけで、重力加速度の影響を排除した動作が可能になったのに対して、後者では、重力加速度の影響を排除した動作を行うために、ピーク電圧5Vを25V程度に変化させる制御(電圧変化分:20V)が必要であった。
このように、振動子を非共振周波数で駆動する場合に比べて、共振周波数で駆動する場合では、フィードバック制御に必要な電圧変化分が数百分の1ですむことになり、極めて効率的な制御が可能になる。これは、本発明に係るセンサ構造体における振動子の尖鋭度Qが100〜1000程度であるため、共振周波数で駆動した場合は、非共振周波数で駆動した場合に比べて、100〜1000倍の効率が得られ、交流電圧信号の電圧変化分がわずかであっても、振動子の振幅を大きく変化させることができるためと考えられる。よって、本発明を実施する場合、振動子の駆動周波数を振動子の共振周波数に一致させるのが好ましい。
<<< §3.本発明の基本的な実施形態 >>>
図15は、本発明の基本的な実施形態に係る角速度センサの構造部の一例を示す斜視図である。なお、この図においても、ハッチングは、電極形状を示すためのものである。図1に示す従来の角速度センサとの相違点は、変位電極D15,D15Bおよびこれらに対向する固定電極E15,E15Bを新たに設けた点と、後述するフィードバック制御を行うための回路を付加した点である。その他の構成は、§1で述べた従来の角速度センサと同じである。
図16は、図15に示す角速度センサの上方基板100の下面図であり、図17は、図15に示す角速度センサの可撓性基板200の上面図である。いずれも、ハッチングは、電極形状を示すためのものである。図に示すX′軸およびY′軸は、図15に示すX軸およびY軸を、図示されている面に投影した正射影像である。
図16を図2と比較すると、この実施形態に係るセンサでは、円盤状の固定電極E10が若干小さくなり、その外側に、新たにワッシャ状の固定電極E15が付加されていることがわかる。また、図17を図3と比較すると、この実施形態に係るセンサでは、円盤状の変位電極D10が若干小さくなり、その外側に、新たにワッシャ状の変位電極D15が付加されていることがわかる。同様に、図15の斜視図を見ればわかるとおり、この実施形態に係るセンサでは、重錘体400の底面に設けられていた円盤状の変位電極D10Bが若干小さくなり、その外側に、新たにワッシャ状の変位電極D15Bが付加されており、下方基板300の上面に設けられていた円盤状の固定電極E10Bが若干小さくなり、その外側に、新たにワッシャ状の固定電極E15Bが付加されている。
この実施形態に係るセンサにおいても、変位電極D10と固定電極E10との間に、交流駆動電圧φ1を印加し、変位電極D10Bと固定電極E10Bとの間に、交流駆動電圧φ2を印加することにより、振動子をZ軸方向に振動させる点に変わりはない。ただ、この実施形態に係るセンサでは、これら駆動用の各電極D10,E10,D10B,E10Bの外側近傍に、それぞれモニタ用の各電極D15,E15,D15B,E15Bが付加されており、振動子の駆動状態をモニタする機能が付加されている。
図18は、この実施形態に係るセンサに用いる信号処理回路の一例を示す回路図である。この図18に示す回路は、図15に示す構造体とは別個独立して設けることも可能であるが、図15に示す構造体をシリコンなどの半導体を利用して構成するのであれば、その一部(たとえば、上方基板100や下方基板300の一部)に半導体集積回路として図18に示す回路を設けるのが好ましい。
図18の回路図の左端に示すE11〜E15,E15Bは、図15に同符号で示す各固定電極であり、図18の回路図の左端に示すD11〜D15,D15Bは、図15に同符号で示す各変位電極である。ここでは、説明の便宜上、任意の変位電極Dxとこれに対向する固定電極Exとによって構成される静電容量素子を、容量素子Cxと呼ぶことにし、当該容量素子Cxの静電容量値も、同じ記号Cxで示すことにする。たとえば、変位電極D15と固定電極E15とによって構成される容量素子C15の静電容量値は、C15ということになる。図18の回路図に示すC11〜C15,C15Bは、各静電容量素子の静電容量値を示している。
図示のとおり、静電容量値C15,C15Bは、C/V変換回路15,l5Bによって電圧値V15,V15Bに変換され、駆動制御回路30および角速度検出回路40に与えられる。また、静電容量値C11〜C14は、C/V変換回路11〜14によって電圧値V11〜V14に変換される。そして、差分回路21によって、電圧値V11とV12との差電圧Vxが求められ、差分回路22によって、電圧値V13とV14との差電圧Vyが求められる。これら差電圧Vx,Vyは、角速度検出回路40に与えられる。
駆動制御回路30は、交流信号源31で発生された交流信号に基づいて、交流電圧信号φ1およびφ2を生成し、これを固定電極E10およびE10Bに供給する。既に述べたとおり、交流電圧信号φ1およびφ2は、振動子をZ軸方向に振動させるための交流駆動信号であり、たとえば、図8(a) ,(b) に示すように互いに逆位相の信号である。この交流駆動信号の供給によって、固定電極E10と変位電極D10との間、および固定電極E10Bと変位電極D10Bとの間に、それぞれ逆位相のクーロン引力が周期的に作用することになり、振動子がZ軸方向に振動する。
駆動制御回路30には、モニタ用容量素子C15,C15Bの静電容量値に対応する電圧値V15,V15Bが与えられており、これらの電圧値をフィードバック量として、交流電圧信号φ1およびφ2の振幅の制御が行われる。§2で述べたとおり、振動子に対して、図9に示すような方向に重力加速度αgが作用すると、振動子の振動中心位置Lは、図11(c) に示すように下方に移動する。このため、振動子の上方に設けられたモニタ用容量素子C15の電極間距離は広がり、振動子の下方に設けられたモニタ用容量素子C15Bの電極間距離は狭まる。よって、電圧値V15は低くなり、電圧値V15Bは高くなる。逆に、振動子に対して、図10に示すような方向に重力加速度αgが作用すると、振動子の振動中心位置Lは、図12(c) に示すように上方に移動する。このため、振動子の上方に設けられたモニタ用容量素子C15の電極間距離は狭まり、振動子の下方に設けられたモニタ用容量素子C15Bの電極間距離は広がる。よって、電圧値V15は高くなり、電圧値V15Bは低くなる。
図19は、図18に示す回路におけるモニタ電圧V15の変動の一例を示すグラフであり、図20は、図18に示す回路におけるモニタ電圧V15Bの変動の一例を示すグラフである。ここで、横軸は時間軸tを示し、縦軸は電圧値Vを示す。いずれのグラフにおいても、実線は、重力加速度などの外乱要因が全く作用していない状態のモニタ電圧の時間的変化を示している。図示のとおり、モニタ電圧V15は、基準電圧Vref1を中心として、振幅A1をもった交流波形をとり、モニタ電圧V15Bは、基準電圧Vref2を中心として、振幅A2をもった逆位相の交流波形をとる。
ところが、振動子に対して、図9に示すような方向に重力加速度αgが作用すると、振動子の振動中心位置Lは、図11(c) に示すように下方に移動するので、各モニタ電圧V15,V15Bは、図19および図20に破線で示すグラフのように変化する。すなわち、モニタ電圧V15は、図19の破線の波形として示されているように、全体的に低下し、その中心電圧は基準電圧Vref1よりも低いVref1(図に破線で示す電位レベル)になる。一方、モニタ電圧V15Bは、図20の破線の波形として示されているように、全体的に上昇し、その中心電圧は基準電圧Vref2よりも高いVref2(図に破線で示す電位レベル)になる。
これとは逆に、振動子に対して、図10に示すような方向に重力加速度αgが作用すると、振動子の振動中心位置Lは、図12(c) に示すように上方に移動するので、各モニタ電圧V15,V15Bは、図19および図20に一点鎖線で示すグラフのように変化する。すなわち、モニタ電圧V15は、図19の一点鎖線の波形として示されているように、全体的に上昇し、その中心電圧は基準電圧Vref1よりも高いVref1(図に一点鎖線で示す電位レベル)になる。一方、モニタ電圧V15Bは、図20の一点鎖線の波形として示されているように、全体的に低下し、その中心電圧は基準電圧Vref2よりも低いVref2(図に一点鎖線で示す電位レベル)になる。
図18の回路図に示すように、駆動制御回路30には、基準電圧Vref1,Vref2が与えられている。そこで、駆動制御回路30は、モニタ電圧V15,V15Bの中心電圧レベルを常に監視し、これらが基準電圧Vref1,Vref2を維持するようなフィードバック制御を行う。
具体的には、モニタ電圧V15の中心電圧レベル(平均電圧)が基準電圧Vref1よりも低下したら(図19の破線)、図13(a) に示すように、交流電圧信号φ1の振幅を大きくする制御(ピーク電圧Vpを高くする制御)を行い、逆に、モニタ電圧V15の中心電圧レベル(平均電圧)が基準電圧Vref1よりも上昇したら(図19の一点鎖線)、図14(a) に示すように、交流電圧信号φ1の振幅を小さくする制御(ピーク電圧Vpを低くする制御)を行う。
同様に、モニタ電圧V15Bの中心電圧レベル(平均電圧)が基準電圧Vref2よりも上昇したら(図20の破線)、図13(b) に示すように、交流電圧信号φ2の振幅を小さくする制御(ピーク電圧Vpを低くする制御)を行い、逆に、モニタ電圧V15Bの中心電圧レベル(平均電圧)が基準電圧Vref2よりも低下したら(図20の一点鎖線)、図14(b) に示すように、交流電圧信号φ2の振幅を大きくする制御(ピーク電圧Vpを高くする制御)を行う。
駆動制御回路30によって、このようなフィードバック制御を行えば、振動子の振動態様を、図13(c) や図14(c) に示すような基準振動(原点Oの位置を重心Gの振動中心とし、予め設定された振幅Aをもった振動)に維持することが可能になる。したがって、角速度検出回路40は、重力加速度などの外乱要因の影響を受けない正確な角速度を検出することができる。
図18に示す回路において、差分回路21は、容量素子C11の静電容量値と容量素子C12の静電容量値との差を示す電圧Vxを出力する。この電圧Vxの大きさは、振動子に作用したX軸方向のコリオリ力Fxの大きさに対応し、その符号は、コリオリ力Fxの向きを示すものになる(図7を参照)。同様に、差分回路22は、容量素子C13の静電容量値と容量素子C14の静電容量値との差を示す電圧Vyを出力する。この電圧Vyの大きさは、振動子に作用したY軸方向のコリオリ力Fyの大きさに対応し、その符号は、コリオリ力Fyの向きを示すものになる。
角速度検出回路40は、振動子が周期的運動(この実施形態の場合は、Z軸方向への振動)を行っている状態において、この周期的運動に同期した所定タイミングで電圧Vx,Vyを取り込み、電圧Vxに対応する値をY軸まわりの角速度ωyの検出値として出力し、電圧Vyに対応する値をX軸まわりの角速度ωxの検出値として出力する。要するに、コリオリ力検出用容量素子C11〜C14の静電容量値を測定し、得られた静電容量値に基づいて所定軸まわりの角速度の検出値を出力することになる。
電圧Vx,Vyを取り込むタイミング、別言すれば、コリオリ力検出用容量素子の静電容量値を測定するタイミングは、振動子の重心Gが原点O(すなわち、振動中心)を通過する瞬間に設定するのが好ましい。振動子の運動が予め設定された基準振動に維持されていれば、重心Gが原点Oを通過する瞬間に、振動子の速度は最大値に達するので、作用するコリオリ力も最大値に達することになる。したがって、このタイミングで取り込んだ電圧Vx,Vyを、そのまま角速度ωy,ωxを示す検出値として出力するようにすれば、最も効率が良い検出が可能になる。
角速度検出回路40に、振動子の重心Gが原点Oを通過する測定タイミングを認識させる1つの方法は、交流信号源31からの交流信号と遅延時間に相当する位相差dを角速度検出回路40に与える方法である。図18において、角速度検出回路40に入力されている交流信号源31からの交流信号と位相差dは、このタイミング認識に利用するための情報である。図8(c) に示すように、振動子の振動変位を示す波形は、交流電圧信号φ1に対して所定の位相差dをもっている。この位相差dは、センサを構成する構造体に固有の機械的特性と振動周波数に応じて定まる。したがって、交流信号源31からの交流信号と位相差dとを角速度検出回路40に与えておけば、振動子の重心Gが原点Oを通過するタイミング(図8(c) において、変位0を示す水平線を横切るタイミング)を把握することができる。
角速度検出回路40に、振動子の重心Gが原点Oを通過する測定タイミングを認識させる別な方法は、モニタ用容量素子C10,C15Bの静電容量値、すなわち、モニタ電圧V15,V15Bを利用する方法である。図18において、角速度検出回路40にモニタ電圧V15,V15Bが入力されているのは、この方法によるタイミング認識を行う例を示すためのものである。モニタ電圧V15,V15Bは、たとえば、図19,図20に示すような波形の信号になる。ここで、上述したフィードバック制御が適正に行われていれば、各モニタ電圧V15,V15Bは、ほぼ図に実線で示す波形に維持されることになる。この場合、モニタ電圧V15が基準電圧Vref1を横切るタイミング、もしくはモニタ電圧V15Bが基準電圧Vref2を横切るタイミングは、振動子の重心Gが原点Oを通過する測定タイミングに対応する。よって、モニタ電圧V15が基準電圧Vref1に一致したタイミング、もしくはモニタ電圧V15Bが基準電圧Vref2に一致したタイミングとして、測定タイミングの認識が可能になる。
<<< §4.基本的な実施形態の変形例 >>>
さて、§3では、図15に示すような構造体を有し、図18に示すような信号処理回路を有する角速度センサを、本発明の基本的な実施形態に係る角速度センサとして例示したが、もちろん、本発明は、このような実施形態に限定されるものではない。
本発明は、振動子と、この振動子を収容する装置筐体と、振動子を装置筐体に対して接続する可撓性部材と、振動子の表面に設けられた複数の変位電極と、装置筐体に固定され、変位電極のそれぞれに対向する位置に設けられた複数の固定電極と、を備えた角速度センサに広く適用することが可能である。
本発明の第1の特徴は、上記構成をもったセンサにおいて、互いに対向する変位電極と固定電極とによって、それぞれ独立した容量素子を形成するようにし、振動子を駆動させるための駆動用容量素子と、振動子の駆動状態をモニタするためのモニタ用容量素子と、振動子に作用するコリオリ力を検出するためのコリオリ力検出用容量素子と、を設けるようにする点にある。
そして、本発明の第2の特徴は、駆動用容量素子に交流駆動信号を供給することにより、駆動用容量素子を構成する電極間にクーロン力を作用させ、振動子に周期的運動を生じさせる駆動制御回路と、振動子が周期的運動を行っている状態において、この周期的運動に同期した所定タイミングでコリオリ力検出用容量素子の静電容量値を測定し、得られた静電容量値に基づいて所定軸まわりの角速度の検出値を出力する角速度検出回路と、を設け、駆動制御回路によって、モニタ用容量素子の静電容量値をフィードバック量として、振動子の周期的運動が、予め設定された基準運動に維持されるようにフィードバック制御を行う点にある。
図15に示す構造体は、上記特徴をもつ角速度センサを実現する一態様を示すものである。この構造体の場合、振動子の上面に形成された変位電極D10と、これに対向する位置に設けられた固定電極E10と、によって上方駆動用容量素子C10が構成され、振動子の下面に形成された変位電極D10Bと、これに対向する位置に設けられた固定電極E10Bと、によって下方駆動用容量素子C10Bが構成され、振動子の上面に形成された変位電極D15と、これに対向する位置に設けられた固定電極E15と、によって上方モニタ用容量素子C15が構成され、振動子の下面に形成された変位電極D15Bと、これに対向する位置に設けられた固定電極E15Bと、によって下方モニタ用容量素子C15Bが構成され、振動子の上面に形成された変位電極D11〜D14と、これに対向する位置に設けられた固定電極E11〜E14と、によってコリオリ力検出用容量素子C11〜C14が構成されている。
なお、図18に示す回路では、各容量素子を構成する一対の電極において、変位電極側の電位を基準電位に固定し、固定電極側に交流駆動信号を供給したり、固定電極側の信号をC/V変換回路を介して取り出したりしているが、変位電極と固定電極との回路上での役割は入れ換えてもかまわない。
結局、図18に示す駆動制御回路30は、上方駆動用容量素子C10を構成する一方の電極の電圧を基準として、他方の電極に対して第1の交流電圧信号φ1を供給することにより両電極間にクーロン力を作用させ、下方駆動用容量素子C10Bを構成する一方の電極の電圧を基準として、他方の電極に対して、第1の交流電圧信号φ1とは逆位相の第2の交流電圧信号φ2を供給することにより両電極間にクーロン力を作用させ、作用させたクーロン力によって振動子を上下方向に振動させる処理を行い、更に、上方モニタ用容量素子C15の静電容量を示すモニタ電圧V15の振動中心レベルが、所定の基準レベルVref1よりも小さくなったときには、上方駆動用容量素子C10に作用させるクーロン力をより大きくする制御を行い、上方モニタ用容量素子C15の静電容量を示すモニタ電圧V15の振動中心レベルが、所定の基準レベルVref1よりも大きくなったときには、上方駆動用容量素子C10に作用させるクーロン力をより小さくする制御を行い、下方モニタ用容量素子C15Bの静電容量を示すモニタ電圧V15Bの振動中心レベルが、所定の基準レベルVref2よりも小さくなったときには、下方駆動用容量素子C10Bに作用させるクーロン力をより大きくする制御を行い、下方モニタ用容量素子C15Bの静電容量を示すモニタ電圧V15Bの振動中心レベルが、所定の基準レベルVref2よりも大きくなったときには、下方駆動用容量素子C10Bに作用させるクーロン力をより小さくする制御を行うようにすればよい。
なお、クーロン力を増減する制御を行うために、前述の実施形態では、駆動制御回路30が、第1の交流電圧信号φ1および第2の交流電圧信号φ2として、互いに逆位相となる半波整流電圧信号を用い、作用させるクーロン力をより大きくする場合は、図13(a) もしくは図14(b) に示すように、供給する交流電圧信号の振幅を大きくし、作用させるクーロン力をより小さくする場合は、図13(b) もしくは図14(a) に示すように、供給する交流電圧信号の振幅を小さくしているが、クーロン力を増減させる方法は、このような振幅を制御する方法に限定されるものではない。
たとえば、作用させるクーロン力をより大きくする場合は、供給する交流電圧信号に正のオフセット電圧を加え、作用させるクーロン力をより小さくする場合は、供給する交流電圧信号に負のオフセット電圧を加える(但し、電圧値が負になる場合は0とする)という制御方法を採ることも可能である。
図21は、図9に示す重力加速度αgの影響を受けている角速度センサにおいて、供給する交流電圧信号にオフセット電圧を印加することにより、振動子の運動が所定の基準振動に維持されるような制御を行う例を示すグラフである。図9に示す重力加速度αgの影響を受けると、そのままでは、図11(c) に示すように、振動中心位置Lが下方にずれることになる。
そこで、図21(a) に示すように、交流電圧信号φ1に正のオフセット電圧+Voffsetを加えるようにし、交流信号に正の直流バイアス成分が重畳されるようにするとともに、図21(b) に示すように、交流電圧信号φ2に負のオフセット電圧−Voffsetを加えるようにし、交流信号に負の直流バイアス成分が重畳されるようにする。但し、電圧値が負になる場合は0とする。図21(a) ,(b) において、破線で示す信号は制御前の信号(図11(a) ,(b) と同じ信号)を示し、実線で示す信号は制御後の信号を示している。
このような制御後の交流電圧信号φ1,φ2を図15に示す角速度センサに供給すると、振動子を上方向(Z軸正方向)に引き寄せるクーロン力はより大きくなり、振動子を下方向(Z軸負方向)に引き寄せるクーロン力はより小さくなるので、図21(c) に示すように、振動中心位置Lは本来の位置(座標系の原点Oの位置)へ復帰する。したがって、図8(c) に示すように、重力加速度αgが作用していない測定環境と同一の振動状態を維持することができ、正しい検出結果を得ることができる。
一方、図22は、図10に示す重力加速度αgの影響を受けている角速度センサにおいて、供給する交流電圧信号にオフセット電圧を印加することにより、振動子の運動が所定の基準振動に維持されるような制御を行う例を示すグラフである。図10に示す重力加速度αgの影響を受けると、そのままでは、図12(c) に示すように、振動中心位置Lが上方にずれることになる。
そこで、図22(a) に示すように、交流電圧信号φ1に負のオフセット電圧−Voffsetを加えるようにし、交流信号に負の直流バイアス成分が重畳されるようにするとともに、図22(b) に示すように、交流電圧信号φ2に正のオフセット電圧+Voffsetを加えるようにし、交流信号に正の直流バイアス成分が重畳されるようにする。但し、電圧値が負になる場合は0とする。図22(a) ,(b) において、破線で示す信号は制御前の信号(図11(a) ,(b) と同じ信号)を示し、実線で示す信号は制御後の信号を示している。
このような制御後の交流電圧信号φ1,φ2を図15に示す角速度センサに供給すると、振動子を上方向(Z軸正方向)に引き寄せるクーロン力はより小さくなり、振動子を下方向(Z軸負方向)に引き寄せるクーロン力はより大きくなるので、図22(c) に示すように、振動中心位置Lは本来の位置(座標系の原点Oの位置)へ復帰する。したがって、図8(c) に示すように、重力加速度αgが作用していない測定環境と同一の振動状態を維持することができ、正しい検出結果を得ることができる。
なお、これまでの説明では、振動子を駆動させるための交流駆動信号として、正弦波形をとる交流電圧信号φ1,φ2を用いた例を述べたが、交流電圧信号φ1,φ2は必ずしも正弦波信号である必要はなく、矩形波や三角波など任意の波形をもった交流信号でかまわない。矩形波や三角波などを交流駆動信号として用いた場合でも、振動子はほぼ単振動に近い運動を行うことになり、実用上、何ら支障は生じない。
ところで、§3で述べた基本的な実施形態に係る角速度センサの場合、容量素子C10(変位電極D10と固定電極E10)および容量素子C10B(変位電極D10Bと固定電極E10B)を駆動用容量素子として利用し、容量素子C15(変位電極D15と固定電極E15)および容量素子C15B(変位電極D15Bと固定電極E15B)をモニタ用容量素子として利用しているが、いずれも役割分担を入れ替えてもかまわない。たとえば、容量素子C10をモニタ用容量素子とし、容量素子C15を駆動用容量素子とするような入れ替えを行ってもよいし、容量素子C10Bをモニタ用容量素子とし、容量素子C15Bを駆動用容量素子とするような入れ替えを行ってもよいし、これら両方の入れ替えを行ってもよい。
要するに、図15に示す構造体は、振動子の上面の中心部に配置された上面中心電極D10と、振動子の上面における上面中心電極D10を取り囲む位置に配置された上面包囲電極D15と、振動子の下面の中心部に配置された下面中心電極D10Bと、振動子の下面における下面中心電極D10Bを取り囲む位置に配置された下面包囲電極D15Bと、を有しており、更に、これら各電極に対向する固定電極E10,E15,E10B,E15Bを有している。そこで、この場合、上面中心電極D10および上面包囲電極D15のいずれか一方を用いて上方駆動用容量素子を構成し、他方を用いて上方モニタ用容量素子を構成し、下面中心電極D10Bおよび下面包囲電極D15Bのいずれか一方を用いて下方駆動用容量素子を構成し、他方を用いて下方モニタ用容量素子を構成すればよい。
なお、図15に示す具体的な構造体では、振動子の重心位置に原点Oを定義し、振動子の上面がXY平面に平行になるように、XYZ三次元座標系を定義したときに、上方駆動用容量素子C10、下方駆動用容量素子C10B、上方モニタ用容量素子C15、下方モニタ用容量素子C15Bが、いずれもZ軸上もしくはZ軸を取り囲む位置に配置されている。このような配置を採ると、駆動制御回路30が、上方駆動用容量素子C10および下方駆動用容量素子C10Bに対して交流駆動信号を供給することにより、振動子をZ軸方向に安定して振動させることができ、この振動状態を効率的にモニタすることができる。
また、振動子の運動状態をモニタするためには、必ずしも上方モニタ用容量素子C15と下方モニタ用容量素子C15Bとの両方を設ける必要はなく、いずれか一方のみでも、振動子の運動制御を行うことは可能である。たとえば、上方モニタ用容量素子C15のみを用いた制御を行う場合、フィードバック量としては、図19に示すモニタ電圧V15のみしか得られないことになるが、モニタ電圧V15の振動中心レベルが、図に破線で示すように、所定の基準レベルVref1よりも小さくなったときには、上方駆動用容量素子C10に作用させるクーロン力をより大きくするとともに、下方駆動用容量素子C10Bに作用させるクーロン力をより小さくする制御を行い、逆にモニタ電圧V15の振動中心レベルが、図に一点鎖線で示すように、所定の基準レベルVref1よりも大きくなったときには、上方駆動用容量素子C10に作用させるクーロン力をより小さくするとともに、下方駆動用容量素子C10Bに作用させるクーロン力をより大きくする制御を行えばよい。ただ、実用上は、振動子の上下両方にモニタ用容量素子を設け、モニタ電圧V15,V15Bの双方に基づくフィードバック制御を行うのが好ましい。
更に、上述の実施形態では、振動子の運動を予め設定された基準運動に維持するために、上方駆動用容量素子C10に供給する交流電圧信号φ1と、下方駆動用容量素子C10Bに供給する交流電圧信号φ2との双方に対するフィードバック制御を行っているが、いずれか一方についてのみフィードバック制御を行うことも可能である。たとえば、交流電圧信号φ2は常に一定に維持し、交流電圧信号φ1のみに対してフィードバック制御を行うことも可能であるし、逆に、交流電圧信号φ1は常に一定に維持し、交流電圧信号φ2のみに対してフィードバック制御を行うことも可能である。
但し、フィードバック制御を上下いずれか一方のみで行うと、振動子の振動中心レベルLを所定の基準位置に維持することは可能であるが、振動子の振幅を一定に維持することはできなくなる。たとえば、重力加速度αgの影響により、振動子の振動中心レベルLが、図11(c) に示すように本来の位置より下方にずれた場合、これまで述べてきた実施形態では、図13(a) に示すように、上方駆動用容量素子C10に供給する交流電圧信号φ1の振幅を大きくするとともに、図13(b) に示すように、下方駆動用容量素子C10Bに供給する交流電圧信号φ2の振幅を小さくするフィードバック制御を行っていたが、交流電圧信号φ2の振幅は一定に保ちつつ、交流電圧信号φ1の振幅のみを大きくするような制御を行っても、振動子の振動中心レベルLを本来の位置に維持する制御が可能である。しかしながら、交流電圧信号φ1の振幅のみを大きくする制御を行うと、振動子の上下の振幅は全体的に増えてしまうことになる。同様に、上例の場合、交流電圧信号φ1の振幅は一定に保ちつつ、交流電圧信号φ2の振幅のみを小さくするような制御を行っても、振動子の振動中心レベルLを本来の位置に維持する制御が可能であるが、今度は、振動子の上下の振幅は全体的に減ってしまうことになる。
要するに、フィードバック制御を上下いずれか一方のみで行うと、振動子に交流電圧信号として供給する電力量が変動を生じ、振動子の振幅が変化してしまうことになる。ここで、交流電圧信号の周波数が一定であるとすると、振動子の振幅変化は振動子の速度変化となって現れる。しかも、振動子に作用するコリオリ力は、振動子の速度に比例した値になるので、コリオリ力検出用容量素子の静電容量値として測定されるコリオリ力の値は、その時点の振動子の振幅によって変動してしまうことになる。
このような問題に対処するには、フィードバック制御を上下いずれか一方のみで行う場合、コリオリ力検出用容量素子の所定タイミングにおける静電容量値を角速度の大きさを示す値として出力する際に、その時点の振動子の振幅に応じた補正を行うようにすればよい。具体的には、振幅が基準より大きければ、出力値を小さくし、振幅が基準より小さければ、出力値を大きくする補正を行うことになる。なお、その時点の振幅値は、モニタ用容量素子の静電容量に基づいて認識することもできるし、駆動用容量素子に供給する交流電圧信号の振幅に基づいて認識することもできる。
もちろん、フィードバック制御を上下いずれか一方のみで行う運用は、図21および図22に示すように、交流電圧信号に直流バイアス成分を加えて制御を行う方法においても同様に行うことができる。
なお、センサの構造を更に単純化する上では、駆動用容量素子を上下いずれか一方のみに設けるような実施形態も可能である。たとえば、図15に示す実施例では、上方駆動用容量素子C10(電極D10とE10)と下方駆動用容量素子C10Bと(電極D10BとE10B)の双方により、振動子を上下方向に振動させているが、振動子の上下振動は、上方駆動用容量素子C10のみによって行うことも可能である。すなわち、上方モニタ用容量素子C15(電極D15とE15)の静電容量値をフィードバック量として、上方駆動用容量素子C10に供給する交流電圧信号φ1のみに対してフィードバック制御を行っても、上述したように、振動子の振動中心レベルLを所定の基準位置に維持することは可能である(振幅は変動してしまうので、上述したような補正が必要になる)。そのような運用を採る場合には、図15に示されている変位電極D10B,D15Bおよび固定電極E10B,E15Bは不要になる。
一方、コリオリ力検出用容量素子の配置に関しては、図15に示す具体的な構造体では、振動子上面(可撓性基板200の上面)に対するX軸およびY軸の正射影像を定義したときに、X軸の正射影像の正の部分に配置された容量素子C11および負の部分に配置された容量素子C12によって、X軸方向に作用するコリオリ力Fxを検出するためのコリオリ力検出用容量素子が構成され、Y軸の正射影像の正の部分に配置された容量素子C13および負の部分に配置された容量素子C14によって、Y軸方向に作用するコリオリ力Fyを検出するためのコリオリ力検出用容量素子が構成されている。このような構成を採れば、両容量素子C11,C12の静電容量値の差に基づいてコリオリ力Fxを決定し、両容量素子C13,C14の静電容量値の差に基づいてコリオリ力Fyを決定することができるので、角速度検出回路40は、コリオリ力Fxに基づいてY軸まわりの角速度ωyを検出し、コリオリ力Fyに基づいてX軸まわりの角速度ωxを検出することができる。
図23は、図15に示す角速度センサにおいて、電極構成を変更した変形例についての可撓性基板200の上面図である。ここでも、ハッチングは、電極形状を示すためのものである。この変形例では、可撓性基板200の上面には、9枚の変位電極D20〜D29が形成されている。また、図示は省略するが、上方基板100の下面には、この9枚の変位電極D20〜D29に対向する固定電極E20〜E29が形成されており、互いに対向する一対の電極により、合計9組の容量素子C20〜C29が構成されることになる。なお、振動子の下面側の電極構成は、これまで述べた基本的な実施形態と同様である。
この変形例の場合、容量素子C20は駆動用容量素子として利用され、容量素子C21〜C24はコリオリ力検出用容量素子として利用され、容量素子C26〜C29はモニタ用容量素子として利用される。ここで、駆動用容量素子C20の機能は、これまで述べた実施形態における駆動用容量素子C10の機能と全く同じであり、コリオリ力検出用容量素子C21〜C24の機能も、これまで述べた実施形態におけるコリオリ力検出用容量素子C11〜C14の機能と全く同じである。そして、モニタ用容量素子C26〜C29は、これまで述べた実施形態におけるモニタ用容量素子C15とほぼ同等の機能を果たす。
ただ、図15に示す実施形態の場合、ワッシャ状の変位電極D15とワッシャ状の固定電極E15によって、単一のモニタ用容量素子C15が構成されていたが、図23に示す電極構成を採る変形例の場合、同一平面上(図23に示す可撓性基板200の上面)においてZ軸を取り囲む位置に配置された複数の容量素子C26〜C29によって、モニタ用容量素子が構成されていることになる。このように、複数の容量素子C26〜C29によってモニタ用容量素子を構成した場合、駆動制御回路30は、これら複数の容量素子C26〜C29の静電容量値の平均値をフィードバック量として、フィードバック制御を行うようにすればよい。
また、このように、複数の容量素子C26〜C29によってモニタ用容量素子を構成すると、振動子の振動方向がZ軸から外れたことを検出できる。たとえば、容量素子C26の静電容量値と容量素子C27の静電容量値とに差が生じれば、当該差は振動方向がX軸方向にずれていることを示し、容量素子C28の静電容量値と容量素子C29の静電容量値とに差が生じれば、当該差は振動方向がY軸方向にずれていることを示す。
もちろん、角速度検出にあたっては、X軸方向やY軸方向にコリオリ力が作用するので、このようなコリオリ力も、上記差を生じさせる要因になる。しかしながら、通常の測定環境においては起こり得ないような大きな差が生じた場合には、何らかの異常により振動軸がZ軸から外れたと判断することができる。そこで、これら複数の容量素子C26〜C29の静電容量値の差が、所定のしきい値以上になった場合には、何らかの異常報知信号を出力するような仕組を設けておけば、ユーザに何らかの異常が発生したことを知らせることができる。
また、振動子の下面側に設ける下方モニタ用容量素子を、同一平面上においてZ軸を取り囲む位置に配置された複数の容量素子によって構成することも可能であり、その場合の取り扱いは、上述した上方モニタ用容量素子を複数の容量素子によって構成した場合と同様である。
図24は、図15に示す角速度センサにおいて、基板等の形状および電極形状を変更した変形例についての可撓性基板220の上面図である。ここでも、ハッチングは、電極形状を示すためのものである。図24に示す可撓性基板220は、これまで述べてきた例のような円盤状ではなく、正方形をした板状基板となっており、図示されていないが、その下面には、四角柱状の重錘体が接合されている。可撓性基板220の上面には、図示のとおり、6枚の変位電極D30〜D35が形成されている。四角柱状の重錘体の上面のサイズは、変位電極D31〜D34の最外郭輪郭線で囲まれた正方形とほぼ等しくなっている。
もちろん、上方基板の下面には、各変位電極D30〜D35に対向した固定電極E30〜E35が設けられており、重錘体の下面および下方基板の上面にも、これまで述べてきた例における変位電極D10B,D15Bおよび固定電極E10B,E15Bが設けられている。
このように、この変形例は、可撓性基板220および重錘体の平面形状が円形ではなく、正方形となっている点において、これまで述べてきた基本的な実施形態と相違するが、角速度の検出原理については、何ら相違はない。すなわち、図24に示す変位電極D30〜D35は、図17に示す変位電極D10〜D15と全く同等の機能を果たすことになる。
なお、これまで述べてきた実施形態では、変位電極および固定電極を、それぞれ物理的に独立した個別の導電層によって構成した例を述べたが、それぞれ独立した容量素子が形成されるという条件が満足される限りにおいて、複数の変位電極もしくは複数の固定電極を物理的に単一の導電層によって構成することが可能である。
たとえば、図18に示す回路では、すべての変位電極D10〜D15,D10B,D15Bが接地電位に接続されており、等電位となっている。したがって、これらすべての変位電極を物理的に単一の導電層によって構成したとしても、各容量素子C10〜C15,C10B,C15Bは、それぞれ電気的に独立した容量素子として機能する。このような場合、実用上は、すべての変位電極D10〜D15,D10B,D15Bを物理的に単一の導電層によって構成することにより、センサの構造を単純化することができる。
特に、振動子を導電性材料によって構成し、各変位電極を振動子の表面層のそれぞれ特定の部分領域によって構成し、すべての変位電極が共通電位となるようにすれば、個別の変位電極を形成する必要がなくなり、製造コストを大幅に低減できる。
図25は、図15に示す角速度センサにおいて、すべての変位電極を単一の共通電極に置き換えた変形例を示す斜視図である。図示の可撓性基板200および重錘体400は、金属などの導電性材料から構成されているので、その表面がそのまま単一の共通電極層として機能する。このため、振動子表面における各固定電極E10〜E15,E10B,E15Bに対向する特定の部分領域が、個々の変位電極D10〜D15,D10B,D15Bとしての役割を果たすことになる。図18の回路に示すように、すべての変位電極D10〜D15,D10B,D15Bを接地電位に固定するのであれば、図25に示すように、可撓性基板200の任意の箇所を接地すればよい。
<<< §5.本発明の汎用型実施形態 >>>
最後に、本発明に係る角速度センサの汎用型実施形態を述べておく。これまで述べた実施形態は、振動子をZ軸方向に振動させた状態において、X軸方向に作用するコリオリ力Fxを測定してY軸まわりの角速度ωyを検出し、Y軸方向に作用するコリオリ力Fyを測定してX軸まわりの角速度ωxを検出する二軸角速度センサについての実施例であった。しかしながら、振動子の運動は、必ずしもZ軸方向に沿った振動に限定されるものではなく、X軸方向に沿って振動させたり、Y軸方向に沿って振動させたり、あるいは円運動させたりすることも可能であり、その運動方向に応じて、検出可能な角速度の成分も変わってくる。
ここに述べる実施形態は、用いる信号処理回路を変えることにより、様々な検出動作が可能になる汎用型の角速度センサの実施例である。この汎用型の実施形態の基本構造は、図25に示すセンサとほぼ同じであるが、可撓性基板200の代わりに、図26に示すような可撓性基板250が用いられる。この可撓性基板250は、金属などの導電性をもった材料からなり、可撓性をもった板状の基板であるが、その重要な特徴は、厚み方向に貫通するスリットS1〜S4が形成されている点である。各スリットS1〜S4は、いずれも「ム」の字状をしている。
図27は、図26に示す可撓性基板250の形状を明確に示すための平面図である。この図27におけるハッチング部分は、基板としての実体部分を示しており、ハッチングが施されていない部分は、スリットS1〜S4に相当する部分である。このスリットS1〜S4の存在により、可撓性基板250は、4枚の台形状の翼状部251〜254と、図26に破線で囲われている円形の中心部255と、4本の橋梁部B1〜B4と、外側に位置するフレーム状の周囲部256と、に分けられる。円形の中心部255の下面には、円柱状の重錘体450が接合されている。
この実施形態の場合、円形の中心部255と、その下面に接合されている円柱状の重錘体450と、4枚の台形状の翼状部251〜254と、によって構成される一塊の物体が振動子として機能し、4本の橋梁部B1〜B4が、この振動子を支持するための可撓性部材として機能する。フレーム状の周囲部256は、装置筐体に固定されるので、振動子は、可撓性をもった4本の橋梁部B1〜B4によって、装置筐体に対して接続されることになる。
要するに、図25に示す構造体では、可撓性部材(可撓性基板200の外側部分)が、振動子(可撓性基板200の内側部分と、その下面に接合された重錘体400)の周囲を取り囲む形状をなし、可撓性をもった板状構造体によって構成されており、この板状構造体の内側部分を振動子に接続し、外側部分を装置筐体に固定する構成をとっているのに対して、図26に示す構造体では、可撓性部材が、可撓性をもった複数の橋梁部B1〜B4によって構成されており、各橋梁部B1〜B4の内側端が振動子に接続され、外側端が装置筐体に固定されている構成をとることになる。なお、各翼状部251〜254の下面にも重錘体を配置し、振動子の質量を増加させるようにしてもよい。
この§5で述べる汎用型実施形態の場合、可撓性基板250および重錘体450が半導体や金属などの導電性材料から構成されており、その表面が共通の変位電極として機能する。したがって、個別の変位電極を構成する必要はない。
可撓性基板250の上方には、図28に下面図を示すような上方基板150が配置される。ここで、X′軸およびY′軸は、それぞれX軸およびY軸の正射影像である。この上方基板150の下面には、図示のとおり、固定電極E41〜E50が形成されている(ハッチングは、電極形状を示すためのものである)。また、重錘体450の下方には、図25に示すような下方基板300が配置される(この点は、前述した実施形態と同様である)。この下方基板300の上面には、図25に示すとおり、固定電極E10B,E15Bが形成されている。
結局、ここで述べる汎用型実施形態に係る角速度センサは、振動子の上方に設けられた合計10組の容量素子C41〜C50と、振動子の下方に設けられた2組の容量素子C10B,C15Bとを有している(前述したとおり、本願では、任意の変位電極Dxとこれに対向する固定電極Exとによって構成される静電容量素子を、容量素子Cxと呼ぶ)。ここで、上方に設けられた合計10組の容量素子C41〜C50の配置は、振動子の重心位置に原点Oを定義し、振動子の上面がXY平面に平行になるように、XYZ三次元座標系を定義し、X軸およびY軸の振動子上面に対する正射影像X′軸およびY′軸を定義すれば、次のとおりである。
第1の容量素子C41:X′の正の部分に配置されている。第2の容量素子C42:X′軸の負の部分に配置されている。第3の容量素子C43:Y′軸の正の部分に配置されている。第4の容量素子C44:Y′軸の負の部分に配置されている。第5の容量素子C45:Z軸上に配置されている(Z軸を取り囲む位置に配置してもよい)。第6の容量素子C46:X′軸の正の部分における第1の容量素子C41とは重ならない位置に配置されている。第7の容量素子C47:X′軸の負の部分における第2の容量素子C42とは重ならない位置に配置されている。第8の容量素子C48:Y′軸の正の部分における第3の容量素子C43とは重ならない位置に配置されている。第9の容量素子C49:Y′軸の負の部分における第4の容量素子C44とは重ならない位置に配置されている。第10の容量素子C50:Z軸を取り囲む位置(もしくは、Z軸上の位置でもよい)であって、第5の容量素子C45とは重ならない位置に配置されている。
しかも、第1の容量素子C41と第2の容量素子C42は、YZ平面に関して幾何学的に対称となっており、第3の容量素子C43と第4の容量素子C44は、XZ平面に関して幾何学的に対称となっており、第5の容量素子C45はXZ平面およびYZ平面の双方に関して幾何学的に対称となる形状をしており、第6の容量素子C46と第7の容量素子C47は、YZ平面に関して幾何学的に対称となっており、第8の容量素子C48と第9の容量素子C49は、XZ平面に関して幾何学的に対称となっており、第10の容量素子C50はXZ平面およびYZ平面の双方に関して幾何学的に対称となる形状をしている。
また、振動子の下方に設けられた容量素子C10BおよびC15Bは、Z軸上もしくはZ軸を取り囲む位置であって、相互に重ならない位置に配置されており、XZ平面およびYZ平面の双方に関して幾何学的に対称となる形状をしている。
このように、各容量素子について、幾何学的に対称となる配置や形状を採用すると、信号処理回路を単純化させる上で役立つ。上述した各容量素子の中から、振動子を駆動させるための駆動用容量素子と、振動子の駆動状態をモニタするためのモニタ用容量素子と、振動子に作用するコリオリ力を検出するためのコリオリ力検出用容量素子と、を適宜選択して用いることにより、振動子に対して所定の周期的運動を生じさせた状態で、所定軸まわりの角速度を検出する角速度センサを実現することができる。
以下、この汎用型実施形態に係る構造体を利用して、具体的な角速度センサを構成した例をいくつか述べておく。
(1) 振動子をZ軸方向に振動させるセンサ
図28に示す10枚の固定電極E41〜E50のうち、電極E41,E46の2枚に、図16に示す電極E11の役割を担わせ、電極E42,E47の2枚に、図16に示す電極E12の役割を担わせ、電極E43,E48の2枚に、図16に示す電極E13の役割を担わせ、電極E44,E49の2枚に、図16に示す電極E14の役割を担わせるようにすれば、この汎用型実施形態に係る角速度センサは、§3で述べた基本的な実施形態に係る角速度センサとして機能し、振動子をZ軸方向に振動させた状態において、X軸まわりの角速度ωxとY軸まわりの角速度ωyとを検出する二軸角速度センサとして利用できる。もちろん、電極E46〜E49を利用せずに、電極E41〜E44のみをコリオリ力検出に利用してもよいし、逆に、電極E41〜E44を利用せずに、電極E46〜E49のみをコリオリ力検出に利用してもよい。
(2) 振動子をXY平面に沿って円運動させるセンサ
図28に示す10枚の固定電極E41〜E50を用いて構成される10組の容量素子C41〜C50のうち、4組の容量素子C41〜C44を駆動用容量素子として利用し、4組の容量素子C46〜C49をモニタ用容量素子として利用し、1組の容量素子C45をZ軸方向に作用するコリオリ力Fzを検出するコリオリ力検出用容量素子として利用する。
この場合、駆動制御回路30は、時計まわりに配置されている4組の駆動用容量素子C41,C43,C42,C44に対して、それぞれ位相が順次π/2ずつ遅れた交流駆動信号(たとえば、半波整流された正弦波電圧信号)を供給することにより、振動子をXY平面に平行な平面内で円運動させることができる。あるいは、反時計まわりの順に並べた4組の駆動用容量素子C41,C44,C42,C43に対して、それぞれ位相が順次π/2ずつ遅れた交流駆動信号を供給すれば、逆まわりの円運動を行わせることができる。
このとき、駆動制御回路30が、4組のモニタ用容量素子C46〜C49の静電容量値をフィードバック量として、振動子の運動が、予め設定された基準円運動に維持されるようにフィードバック制御を行うようにしておく。そうすれば、重力加速度などの外乱要因が作用したとしても、振動子の運動は基準円運動に維持されることになる。
具体的には、個々のモニタ用容量素子について、それぞれ最も近い位置に配置されている駆動用容量素子を対応づけ、駆動制御回路30が、特定のモニタ用容量素子の静電容量を示すモニタ電圧の振動中心レベルが、所定の基準レベルよりも小さくなったときには、これに対応する駆動用容量素子に作用させるクーロン力をより大きくする制御を行い、特定のモニタ用容量素子の静電容量を示すモニタ電圧の振動中心レベルが、所定の基準レベルよりも大きくなったときには、これに対応する駆動用容量素子に作用させるクーロン力をより小さくする制御を行うようにすればよい。
たとえば、図28に示す例では、モニタ用容量素子C46には駆動用容量素子C41が対応づけられ、モニタ用容量素子C47には駆動用容量素子C42が対応づけられ、モニタ用容量素子C48には駆動用容量素子C43が対応づけられ、モニタ用容量素子C49には駆動用容量素子C44が対応づけられる。したがって、たとえば、モニタ用容量素子C46の静電容量を示すモニタ電圧の振動中心レベルが、所定の基準レベルよりも小さくなったときには、これに対応する駆動用容量素子C41に作用させるクーロン力をより大きくする制御を行い、所定の基準レベルよりも大きくなったときには、駆動用容量素子C41に作用させるクーロン力をより小さくする制御を行えばよい。
実際には、各駆動用容量素子に供給する交流駆動信号として、半波整流電圧信号を用いるのであれば、作用させるクーロン力をより大きくする場合は、供給する交流電圧信号の振幅を大きくし、作用させるクーロン力をより小さくする場合は、供給する交流電圧信号の振幅を小さくする制御を行えばよい。あるいは、作用させるクーロン力をより大きくする場合は、供給する交流電圧信号に正のオフセット電圧を加え、作用させるクーロン力をより小さくする場合は、供給する交流電圧信号に負のオフセット電圧を加える(但し、電圧値が負になる場合は0とする)ようにしてもよい。
こうして、駆動制御回路30によって、振動子がXY平面に平行な平面内での基準円運動を続行するような制御を行いながら、角速度検出回路40によって、所定タイミングで振動子に作用するコリオリ力を検出することにより、所定軸まわりの角速度検出が可能になる。具体的には、振動子の重心GがXZ平面を通過するタイミングで測定されたコリオリ力Fz(コリオリ力検出用容量素子C45の静電容量)に基づいてX軸まわりの角速度ωxを検出し、振動子の重心GがYZ平面を通過するタイミングで測定されたコリオリ力Fz(コリオリ力検出用容量素子C45の静電容量)に基づいてY軸まわりの角速度ωyを検出することができる。
なお、Z軸方向に作用するコリオリ力Fzを検出するためのコリオリ力検出用容量素子としては、容量素子C45の代わりに、容量素子C50、容量素子C10B、C15Bを用いることもできるし、これらを組み合わせて用いることできる。また、4組の容量素子C46〜C49を駆動用容量素子として利用し、4組の容量素子C41〜C44をモニタ用容量素子として利用することも可能である。
更に、Z軸まわりの角速度ωzを検出するのであれば、モニタ用容量素子C46,C47を、X軸方向に作用するコリオリ力Fxを検出するコリオリ力検出用容量素子として兼用し、角速度検出回路40が、振動子の重心GがXZ平面を通過するタイミングで測定されたコリオリ力Fx(容量素子C46の静電容量と容量素子C47の静電容量との差)に基づいてZ軸まわりの角速度ωzを検出するようにすればよい。あるいは、モニタ用容量素子C48,C49を、Y軸方向に作用するコリオリ力Fyを検出するコリオリ力検出用容量素子として兼用し、角速度検出回路40が、振動子の重心GがYZ平面を通過するタイミングで測定されたコリオリ力Fy(容量素子C48の静電容量と容量素子C49の静電容量との差)に基づいてZ軸まわりの角速度ωzを検出するようにしてもよい。
このように、本発明に係る角速度センサでは、物理的に同一の容量素子を、モニタ用容量素子およびコリオリ力検出用容量素子として兼用することが可能である。このように、容量素子の兼用を行うようにすれば、電極の形成を単純化できるメリットが得られる。
(3) 振動子をXY平面に沿って円運動させるセンサの変形例
上述した実施例では、図28に示す10枚の固定電極E41〜E50を用いて構成される10組の容量素子C41〜C50のうち、4組の容量素子C41〜C44を駆動用容量素子として利用し、4組の容量素子C46〜C49をモニタ用容量素子として利用し、1組の容量素子C45をZ軸方向に作用するコリオリ力Fzを検出するコリオリ力検出用容量素子として利用することにより、振動子をXY平面に沿って円運動させながら、Z軸方向に作用するコリオリ力Fzの検出を行っている。しかしながら、このような実施例では、振動子の運動を予め設定された基準円運動に維持することができない場合がある。これは、一対の電極間に所定の電圧を印加する方法では、クーロン引力を作用させることはできるが、クーロン斥力を作用させることができないためである。
たとえば、重力加速度αgがZ軸負方向に作用したために、振動子の運動軌跡が基準円運動に対してZ軸負方向に変位した場合であれば、4組の駆動用容量素子C41〜C44の各電極間の印加電圧を増加させてクーロン引力を強化させ、振動子の運動軌跡を上方基板150側に引き上げるフィードバック制御を行うことができる。ところが、逆に、重力加速度αgがZ軸正方向に作用したために(たとえば、センサ全体を天地逆に設置した場合など)、振動子の運動軌跡が基準円運動に対してZ軸正方向に変位した場合は、4組の駆動用容量素子C41〜C44の各電極間に所定電圧を印加することによってクーロン斥力を作用させることはできないため、振動子の運動軌跡が基準円運動となるようなフィードバック制御を行うことができなくなる。
このような状況にも対応できるようにするには、図28に示す上方基板150と全く同じ基板を下方基板150Bとして、重錘体の下方に配置すればよい。図28に示す上方基板150には、10枚の固定電極E41〜E50が形成されているが、ここでは説明の便宜上、下方基板150B側に形成された10枚の固定電極をE41B〜E50Bと呼ぶことにしよう。ここで、上方基板150側の固定電極E41〜E50と、下方基板150B側の固定電極E41B〜E50Bとは、それぞれ対向する位置にあるものとする。
結局、ここに示す変形例では、重錘体の上面には10組の上面側容量素子C41〜C50が配置され、重錘体の下面には10組の下面側容量素子C41B〜C50Bが配置されることになる。これらのうち、8組の容量素子C41〜C44,C41B〜C44Bを駆動用容量素子として利用し、8組の容量素子C46〜C49,C46B〜C49Bをモニタ用容量素子として利用し、2組の容量素子C45,C45BをZ軸方向に作用するコリオリ力Fzを検出するコリオリ力検出用容量素子として利用することにより、振動子をXY平面に沿って円運動させながら、Z軸方向に作用するコリオリ力Fzの検出を行うことになる。
この変形例において、駆動制御回路30は、上面側の4組の駆動用容量素子C41,C43,C42,C44に対して、それぞれ位相が順次π/2ずつ遅れた交流駆動信号(たとえば、半波整流された正弦波電圧信号)を供給するとともに、下面側の4組の駆動用容量素子C41B,C43B,C42B,C44Bに対しては、それぞれC41,C43,C42,C44とは逆位相の(位相がπずれた)交流駆動信号を供給することにより、振動子をXY平面に平行な平面内で円運動させることができる。
たとえば、第1四半周期のタイミングでは、C41およびC42Bにのみ電圧印加してクーロン引力を作用させ、振動子の重心Gが、X軸正方向に変位した状態とする。続く第2四半周期のタイミングでは、C43およびC44Bにのみ電圧印加してクーロン引力を作用させ、振動子の重心Gが、Y軸正方向に変位した状態とする。次の第3四半周期のタイミングでは、C42およびC41Bにのみ電圧印加してクーロン引力を作用させ、振動子の重心Gが、X軸負方向に変位した状態とする。最後の第4四半周期のタイミングでは、C44およびC43Bにのみ電圧印加してクーロン引力を作用させ、振動子の重心Gが、Y軸負方向に変位した状態とする。
このとき、駆動制御回路30が、8組のモニタ用容量素子C46〜C49,C46B〜C49Bの静電容量値をフィードバック量として、振動子の運動が、予め設定された基準円運動に維持されるようにフィードバック制御を行うようにしておく。そうすれば、重力加速度などの外乱要因が作用したとしても、振動子の運動は基準円運動に維持されることになる。
具体的には、個々のモニタ用容量素子について、それぞれ最も近い位置に配置されている駆動用容量素子を対応づけ、駆動制御回路30が、特定のモニタ用容量素子の静電容量を示すモニタ電圧の振動中心レベルが、所定の基準レベルよりも小さくなったときには、これに対応する駆動用容量素子に作用させるクーロン力をより大きくする制御を行い、特定のモニタ用容量素子の静電容量を示すモニタ電圧の振動中心レベルが、所定の基準レベルよりも大きくなったときには、これに対応する駆動用容量素子に作用させるクーロン力をより小さくする制御を行うようにすればよい。
たとえば、上面側の容量素子の場合、モニタ用容量素子C46には駆動用容量素子C41が対応づけられ、モニタ用容量素子C47には駆動用容量素子C42が対応づけられ、モニタ用容量素子C48には駆動用容量素子C43が対応づけられ、モニタ用容量素子C49には駆動用容量素子C44が対応づけられる。同様に、下面側の容量素子の場合、モニタ用容量素子C46Bには駆動用容量素子C41Bが対応づけられ、モニタ用容量素子C47Bには駆動用容量素子C42Bが対応づけられ、モニタ用容量素子C48Bには駆動用容量素子C43Bが対応づけられ、モニタ用容量素子C49Bには駆動用容量素子C44Bが対応づけられる。
ここで、たとえば、モニタ用容量素子C46の静電容量を示すモニタ電圧の振動中心レベルが、所定の基準レベルよりも小さくなったときには、これに対応する駆動用容量素子C41に作用させるクーロン力をより大きくする制御を行い、所定の基準レベルよりも大きくなったときには、駆動用容量素子C41に作用させるクーロン力をより小さくする制御を行えばよい。同様に、モニタ用容量素子C46Bの静電容量を示すモニタ電圧の振動中心レベルが、所定の基準レベルよりも小さくなったときには、これに対応する駆動用容量素子C41Bに作用させるクーロン力をより大きくする制御を行い、所定の基準レベルよりも大きくなったときには、駆動用容量素子C41Bに作用させるクーロン力をより小さくする制御を行えばよい。
このように、振動子の上面側と下面側の双方に駆動用容量素子を配置するようにすれば、上下いずれの方向にもクーロン引力を作用させることが可能になるため、振動子の運動が予め設定された基準円運動になるように、正確に制御することができる。
なお、容量素子C50およびC50Bを運動面位置補正用容量素子として加え、振動子が正しい円運動を行うように制御する役割と、当該円運動面のZ軸方向に関する位置が基準位置となるように制御する役割とを分担させるようにしてもよい。すなわち、8組の駆動用容量素子C41〜C44、C41B〜C44Bについては、上述したように、8組のモニタ用容量素子C46〜C49、C46B〜C49Bから得られるフィードバック量に基づいて、振動子が基準円運動を行うような制御を行う。それと同時に、運動面位置補正用容量素子C50およびC50Bには、それぞれ所定の直流電圧を印加し、この電圧値のバランスをとることにより、振動子の円運動面が所定の基準位置にくるように制御するのである。
すなわち、円運動面がZ軸負方向にずれている場合には、容量素子C50への印加電圧を増加するか、容量素子C50Bへの印加電圧を減少させるか、その両方を行うことにより、Z軸正方向へのクーロン力が増加するような制御を行い、円運動面がZ軸正方向にずれている場合には、容量素子C50への印加電圧を減少させるか、容量素子C50Bへの印加電圧を増加するか、その両方を行うことにより、Z軸負方向へのクーロン力が増加するような制御を行えばよい。なお、円運動面のZ軸方向に関するずれ量は、たとえば、上面側のモニタ用容量素子C46〜C49の静電容量値の平均値と下面側のモニタ用容量素子C46B〜C49Bの静電容量値の平均値と差により認識することが可能である。あるいは、コリオリ力検出用容量素子C45,C45Bをモニタ用容量素子として兼用し、両容量素子C45,C45Bの静電容量値の差によっても認識可能である。
このように、容量素子C50およびC50Bを運動面位置補正用容量素子として加え、振動子の円運動面のZ軸方向に関する位置が基準位置となるように制御する役割を担わせれば、8組の駆動用容量素子C41〜C44、C41B〜C44Bは、振動子を正しい円軌道を描くように駆動する役割のみを果たせばよいので、より安定した制御が可能になる。
(4) 振動子をXZ平面上で円運動させるセンサ
図28に示す10枚の固定電極E41〜E50を用いて構成される10組の容量素子C41〜C50のうち、3組の容量素子C41,C42,C45を駆動用容量素子として利用し、3組の容量素子C46,C47,C50をモニタ用容量素子として利用し、2組の容量素子C43,C44をY軸方向に作用するコリオリ力Fyを検出するコリオリ力検出用容量素子として利用する。
この場合、駆動制御回路30は、駆動用容量素子C41,C42に対して、互いに逆位相の交流駆動信号を供給し、駆動用容量素子C45に対して、駆動用容量素子C41に供給する交流駆動信号に対して位相がπ/2だけずれた交流駆動信号を供給することにより、振動子をXZ平面内で円運動させることができる。この場合、容量素子C41は、振動子をX軸正方向に変位させる力を作用させ、容量素子C45は、振動子をZ軸正方向に変位させる力を作用させ、容量素子C42は、振動子をX軸負方向に変位させる力を作用させることになる。このように3組の容量素子C41,C42,C45を駆動用容量素子として利用した場合、振動子をZ軸負方向に変位させる力を作用させることはできないため、振動子の運動軌跡は完全な円にはならないが、実用上、角速度検出には支障は生じない。したがって、本願では、このように運動軌跡が不完全な円になるような運動も、便宜上「円運動」と呼ぶことにする。なお、前述した下方側の容量素子C45Bを更に駆動用容量素子として加え、この容量素子C45Bに対して、容量素子C45とは逆位相の交流駆動信号を与えるようにすれば、下方へのクーロン力を作用させることが可能になり、完全な円運動を行わせることが可能になる。
そもそも角速度の測定を行うために振動子が行うべき運動は、必ずしも単振動や円運動に限定されるものではなく、何らかの周期的運動であればよい。したがって、本発明に係る角速度センサでは、駆動制御回路30は、モニタ用容量素子の静電容量値をフィードバック量として、振動子の周期的運動が、予め設定された基準運動に維持されるようにフィードバック制御を行うようにすれば足りる。
上例の場合、駆動制御回路30が、3組のモニタ用容量素子C46,C47,C50の静電容量値をフィードバック量として、振動子の運動が、予め設定された基準円運動(運動軌跡は、完全な円にはならない)に維持されるようにフィードバック制御を行うようにしておけばよい。そうすれば、重力加速度などの外乱要因が作用したとしても、振動子の運動は基準円運動に維持されることになる。なお、下方側の容量素子C45Bを駆動用容量素子として加える場合は、下方側の容量素子C50Bを対応するモニタ用容量素子として加えるようにし、その静電容量値をフィードバック量に加えた制御を行うようにすればよい。
具体的には、個々のモニタ用容量素子について、それぞれ最も近い位置に配置されている駆動用容量素子を対応づけ、駆動制御回路30が、特定のモニタ用容量素子の静電容量を示すモニタ電圧の振動中心レベルが、所定の基準レベルよりも小さくなったときには、これに対応する駆動用容量素子に作用させるクーロン力をより大きくする制御を行い、特定のモニタ用容量素子の静電容量を示すモニタ電圧の振動中心レベルが、所定の基準レベルよりも大きくなったときには、これに対応する駆動用容量素子に作用させるクーロン力をより小さくする制御を行うようにすればよい。
たとえば、図28に示す例では、モニタ用容量素子C46には駆動用容量素子C41が対応づけられ、モニタ用容量素子C47には駆動用容量素子C42が対応づけられ、モニタ用容量素子C50には駆動用容量素子C45が対応づけられる。したがって、たとえば、モニタ用容量素子C46の静電容量を示すモニタ電圧の振動中心レベルが、所定の基準レベルよりも小さくなったときには、これに対応する駆動用容量素子C41に作用させるクーロン力をより大きくする制御を行い、所定の基準レベルよりも大きくなったときには、駆動用容量素子C41に作用させるクーロン力をより小さくする制御を行えばよい。なお、下方側の容量素子C45Bを駆動用容量素子として加え、下方側の容量素子C50Bをモニタ用容量素子として加える場合は、モニタ用容量素子C50Bには駆動用容量素子C45Bが対応づけられる。
実際には、前述した例と同様に、各駆動用容量素子に供給する交流駆動信号として、半波整流電圧信号を用いるのであれば、作用させるクーロン力をより大きくする場合は、供給する交流電圧信号の振幅を大きくし、作用させるクーロン力をより小さくする場合は、供給する交流電圧信号の振幅を小さくする制御を行えばよい。あるいは、作用させるクーロン力をより大きくする場合は、供給する交流電圧信号に正のオフセット電圧を加え、作用させるクーロン力をより小さくする場合は、供給する交流電圧信号に負のオフセット電圧を加える(但し、電圧値が負になる場合は0とする)ようにしてもよい。
こうして、駆動制御回路30によって、振動子がXZ平面内で基準円運動を続行するような制御を行いながら、角速度検出回路40によって、所定タイミングで振動子に作用するコリオリ力を検出することにより、所定軸まわりの角速度検出が可能になる。具体的には、振動子の重心GがXY平面を通過するタイミングで測定されたコリオリ力Fy(容量素子C43の静電容量と容量素子C44の静電容量との差)に基づいてX軸まわりの角速度ωxを検出し、振動子の重心がYZ平面を通過するタイミングで測定されたコリオリ力Fy(容量素子C43の静電容量と容量素子C44の静電容量との差)に基づいてZ軸まわりの角速度ωzを検出することができる。
なお、Y軸方向に作用するコリオリ力Fyを検出するためのコリオリ力検出用容量素子としては、容量素子C43,C44の代わりに、容量素子C48,C49を用いることもできる。また、3組の容量素子C46,C47,C50を駆動用容量素子として利用し、3組の容量素子C41,C42,C45をモニタ用容量素子として利用することも可能である。
更に、Y軸まわりの角速度ωyを検出するのであれば、モニタ用容量素子C46,C47を、X軸方向に作用するコリオリ力Fxを検出するコリオリ力検出用容量素子として兼用し、角速度検出回路40が、振動子の重心GがXY平面を通過するタイミングで測定されたコリオリ力Fx(容量素子C46の静電容量と容量素子C47の静電容量との差)に基づいてY軸まわりの角速度ωyを検出するようにすればよい。あるいは、モニタ用容量素子C50を、Z軸方向に作用するコリオリ力Fzを検出するコリオリ力検出用容量素子として兼用し、角速度検出回路40が、振動子の重心GがYZ平面を通過するタイミングで測定されたコリオリ力Fz(容量素子C50の静電容量)に基づいてY軸まわりの角速度ωyを検出するようにしてもよい。
<<< §6.容量素子の役割を時分割する実施形態 >>>
本発明に係る角速度センサでは、駆動用容量素子、モニタ用容量素子、コリオリ力検出用容量素子の3通りの容量素子が必要になる。駆動用容量素子の役割は、振動子に対してクーロン力を作用させ、所定の周期的運動を行うように振動子を駆動することであり、モニタ用容量素子の役割は、振動子が上記周期的運動を正しく行っているかどうかをモニタしてフィードバック制御を可能にすることであり、コリオリ力検出用容量素子の役割は、振動子が上記周期的運動を行っているときに作用したコリオリ力を求めて角速度検出を行うことである。ここで、モニタ用容量素子とコリオリ力検出用容量素子については、既に述べたように、物理的に同一の容量素子を兼用することができる。これは、一対の電極間の静電容量値を得るという点において、両者は共通した機能をもつためである。一方、駆動用容量素子については、一対の電極間に交流電圧信号を供給する必要があるため、モニタ用容量素子あるいはコリオリ力検出用容量素子との兼用を行うためには、何らかの工夫を施す必要がある。以下、容量素子の役割を時分割することにより、このような兼用を行う実施形態を述べる。
図29は、このように、容量素子の役割を時分割する実施形態に係る角速度センサの構造部の一例を示す斜視図である(ハッチングは、電極形状を示すためのものである)。この実施形態の基本構造は、図25に示す角速度センサの基本構造とほぼ同じであり、可撓性基板200および重錘体400は、金属などの導電性材料から構成されているため、その表面がそのまま単一の共通電極層として機能する。上方基板100の下面には、5枚の固定電極E10〜E14が形成されている。これらの形状および配置は、図2に示す例と全く同様である。一方、下方基板300の上面には、5枚の固定電極E10B〜E14Bが形成されている。これらの形状および配置も、図2に示す例と全く同様である。結局、上方基板100および下方基板300は、全く同一の電極構成を有する同一構造をもった基板ということになる。
可撓性基板200および重錘体400(振動子)の導電性表面層は、単一の共通電極として機能するため、振動子表面における各固定電極E10〜E15,E10B〜E15Bに対向する特定の部分領域が、個々の変位電極D10〜D15,D10B〜D15Bとしての役割を果たすことになる。こうして、それぞれ対向する位置に設けられた固定電極と変位電極とによって、独立した容量素子が形成される。ここでは、これらの各容量素子を、それぞれ容量素子C10〜C15,C10B〜C15Bと呼ぶことにする。図29に示す例では、可撓性基板200の表面が接地されている。これにより、すべての変位電極D10〜D15,D10B〜D15Bが接地電位に固定されることになる。以下、この接地電位に固定された共通変位電極を電極Dと呼ぶことにする。
結局、互いに平行な上面と下面とを有する振動子の重心位置に原点Oを定義し、振動子の上面および下面がXY平面に平行になるように、XYZ三次元座標系を定義し、X軸およびY軸の振動子上面および下面に対する正射影像を定義すると、図29に示すセンサ構造部には、次のような各容量素子が形成されていることになる。
まず、振動子上面側には、X軸の正射影像の正の部分に配置された第1の上面側容量素子C11、X軸の正射影像の負の部分に配置された第2の上面側容量素子C12、Y軸の正射影像の正の部分に配置された第3の上面側容量素子C13、Y軸の正射影像の負の部分に配置された第4の上面側容量素子C14、Z軸上(もしくはZ軸を取り囲む位置でもよい)に配置された第5の上面側容量素子C10が配置されている。ここで、第1の上面側容量素子C11と第2の上面側容量素子C12は、YZ平面に関して幾何学的に対称となっており、第3の上面側容量素子C13と第4の上面側容量素子C14は、XZ平面に関して幾何学的に対称となっており、第5の上面側容量素子C10はXZ平面およびYZ平面の双方に関して幾何学的に対称となる形状をしている。
一方、振動子下面側には、X軸の正射影像の正の部分に配置された第1の下面側容量素子C11B、X軸の正射影像の負の部分に配置された第2の下面側容量素子C12B、Y軸の正射影像の正の部分に配置された第3の下面側容量素子C13B、Y軸の正射影像の負の部分に配置された第4の下面側容量素子C14B、Z軸上(もしくはZ軸を取り囲む位置でもよい)に配置された第5の下面側容量素子C10Bが配置されている。ここで、第1の下面側容量素子C11Bと第2の下面側容量素子C12Bは、YZ平面に関して幾何学的に対称となっており、第3の下面側容量素子C13Bと第4の下面側容量素子C14Bは、XZ平面に関して幾何学的に対称となっており、第5の下面側容量素子C10BはXZ平面およびYZ平面の双方に関して幾何学的に対称となる形状をしている。
図30は、図29に構造部が示されている角速度センサに用いる信号処理回路の駆動制御を行う部分の回路図であり、図31は、図29に構造部が示されている角速度センサに用いる信号処理回路のコリオリ力検出を行う部分の回路図である。また、図32は、これらの回路の動作チャートである。以下、これらの回路図および動作チャートを参照しながら、この実施形態の角速度センサの動作原理を説明する。
図30の上段に示されている回路は、振動子を駆動させるための構成要素であり、図30の下段に示されている回路は、振動子の周期的運動をモニタするための構成要素である。図示のとおり、電極E10,E10B,E11,E12B,E12,E11Bは、それぞれ切替スイッチS1〜S6に接続されている。一方、これら各電極は、いずれも共通変位電極Dに対向しており、共通変位電極Dは接地されている。切替スイッチS1〜S6は、上側接点と下側接点とのいずれかに切り替えることができる。図では、便宜上、全切替スイッチS1〜S6が上側接点に切り替えられている状態が示されているが、実際は、図32の動作チャート下段に示すようなタイミングで、各切替スイッチごとに「上/下」の切り替えが行われることになる。
切替スイッチS1〜S6を上側接点に切り替えた状態では、駆動制御回路50からの交流電圧信号φ1〜φ4が各電極E10,E10B,E11,E12B,E12,E11Bに供給されることになる。この場合、これら各電極と共通変位電極Dとによって構成される容量素子C10,C10B,C11,C12B,C12,C11Bは、駆動用容量素子として機能する。
図32の動作チャートは、振動子の周期的運動の1周期を、四半周期の期間T1〜T4に分け、この角速度センサの動作を説明するものである。この実施形態における交流電圧信号φ1〜φ4は、4つの期間T1〜T4のいずれかの期間にのみ半波整流された電圧信号(図では正弦波を示すが、矩形波などでもかまわない)になっている。すなわち、図30に示す第1の交流電圧信号φ1は期間T1にのみ供給される信号であり、第2の交流電圧信号φ2は期間T2にのみ供給される信号であり、第3の交流電圧信号φ3は期間T3にのみ供給される信号であり、第4の交流電圧信号φ4は期間T4にのみ供給される信号である。これら4種類の交流電圧信号φ1〜φ4は、それぞれπ/2ずつ位相がずれた交流信号ということになる。
図32の動作チャートの下段には、各切替スイッチS1〜S6の切替状態が示されているが、切替状態を一目で把握できるように、上側接点に切り替えた場合を示す「上」の文字を丸で囲って示してある。別言すれば、各切替スイッチS1〜S6は、丸がついた期間にのみ上側接点に切り替えられることになり、当該スイッチを介して交流電圧信号が供給されることになる。
まず、期間T1に着目すると、切替スイッチS1のみが上側接点に切り替えられ、第1の交流電圧信号φ1が電極E10に加えられる。その結果、電極E10と振動子との間にクーロン引力が作用し、振動子には+Z軸方向への加速度が加わることになる(図5の状態)。続く期間T2に着目すると、切替スイッチS5,S6のみが上側接点に切り替えられ、第2の交流電圧信号φ2が電極E12,E11Bに加えられる。その結果、電極E12と振動子との間にクーロン引力が作用するとともに、電極E11Bと振動子との間にクーロン引力が作用し、振動子には−X軸方向への加速度が加わることになる(図7とは左右逆の状態)。次に期間T3に着目すると、切替スイッチS2のみが上側接点に切り替えられ、第3の交流電圧信号φ3が電極E10Bに加えられる。その結果、電極E10Bと振動子との間にクーロン引力が作用し、振動子には−Z軸方向への加速度が加わることになる(図6の状態)。最後の期間T4に着目すると、切替スイッチS3,S4のみが上側接点に切り替えられ、第4の交流電圧信号φ4が電極E11,E12Bに加えられる。その結果、電極E11と振動子との間にクーロン引力が作用するとともに、電極E12Bと振動子との間にクーロン引力が作用し、振動子には+X軸方向への加速度が加わることになる(図7の状態)。
結局、駆動制御回路50は、振動子の運動周期の第1の四半周期を構成する期間T1にクーロン力を発生させることができる交流駆動信号φ1と、振動子の運動周期の第2の四半周期を構成する期間T2にクーロン力を発生させることができる交流駆動信号φ2と、振動子の運動周期の第3の四半周期を構成する期間T3にクーロン力を発生させることができる交流駆動信号φ3と、振動子の運動周期の第4の四半周期を構成する期間T4にクーロン力を発生させることができる交流駆動信号φ4と、を発生させる機能を有している。
そして、交流駆動信号φ1は、期間T1に上側接点状態となるように制御される切替スイッチS1を介して上面側容量素子C10に供給され、交流駆動信号φ2は、期間T2に上側接点状態となるように制御される切替スイッチS5,S6を介して上面側容量素子C12および下面側容量素子C11Bに供給され、交流駆動信号φ3は、期間T3に上側接点状態となるように制御される切替スイッチS2を介して下面側容量素子C10Bに供給され、交流駆動信号φ4は、期間T4に上側接点状態となるように制御される切替スイッチS3,S4を介して上面側容量素子C11および下面側容量素子C12Bに供給され、これら交流駆動信号の供給により、振動子はXZ平面内で円運動する。
図32の動作チャートにおける「振動子の速度成分」の欄には、4つの期間T1〜T4において、上述のクーロン引力に起因した加速度の作用によって生じる振動子の速度成分を示している。すなわち、期間T1,T2,T3,T4には、それぞれ+Z軸方向の速度成分+Vz(図29の上方向の速度成分),−X軸方向の速度成分−Vx(図29の左方向の速度成分),−Z軸方向の速度成分−Vz(図29の下方向の速度成分),+X軸方向の速度成分+Vx(図29の右方向の速度成分)が作用する。
なお、実際には、前述したとおり、振動子を所定方向に引っ張るクーロン力を作用させるための電圧を供給してから、実際に振動子がその方向へ移動するまでには、所定の遅延時間が生じるため、「振動子の速度成分」の欄に記載された速度成分をもって振動子が実際に運動をし始めるまでには、当該遅延時間が必要になる。
このように、駆動制御回路50からの4種類の交流電圧信号φ1〜φ4を、適切なタイミングで適切な固定電極に供給すれば、振動子は、XZ平面内で円運動を行うことになる。駆動制御回路50は、交流信号源51からの交流信号を利用して、それぞれ所定の位相(π/2ずつずれた位相)をもった交流信号電圧φ1〜φ4を発生するとともに、図32の動作チャートに示されたタイミングに従って、各切替スイッチS1〜S6の切替制御を行うことになる。
一方、切替スイッチS1〜S6を下側接点に切り替えた状態では、駆動制御回路50からの交流電圧信号φ1〜φ4は切り離され、各電極E10,E10B,E11,E12B,E12,E11Bは、丸数字1〜6で示されているノードを経て、C/V変換回路61〜66に接続される。その結果、各容量素子C10,C10B,C11,C12B,C12,C11Bの静電容量値は、電圧V10,V10B,V11,V12B,V12,V11Bに変換され、モニタ電圧として駆動制御回路50に与えられる。この場合、これら各電極と共通変位電極Dとによって構成される容量素子C10,C10B,C11,C12B,C12,C11Bは、モニタ用容量素子として機能する。
このモニタ用容量素子の静電容量値に基づくフィードバック制御は、次のようにして行うことができる。まず、期間T1では、切替スイッチS2の状態は下側接点となっており、容量素子C10Bはモニタ用容量素子として機能しているので、駆動制御回路50には、モニタ電圧V10Bが供給されている。そこで、このモニタ電圧V10Bの振動中心レベルが所定の基準レベルに維持されるような方向に、第1の交流電圧信号φ1の振幅(もしくはバイアス電圧)をフィードバック制御すればよい。具体的には、期間T1において、モニタ電圧V10Bは、振動子が上方に移動すると小さくなり(容量素子C10Bは、電極間距離が大きくなるので、静電容量値は小さくなる)、逆に、振動子が下方に移動すると大きくなる。したがって、モニタ電圧V10Bの振動中心レベルが基準レベルより大きい場合には作用するクーロン力を大きくし、モニタ電圧V10Bの振動中心レベルが基準レベルより小さい場合には作用するクーロン力を小さくする制御を行えばよい。
次の期間T2では、切替スイッチS3,S4の状態は下側接点となっており、容量素子C11,C12Bはモニタ用容量素子として機能しているので、駆動制御回路50には、モニタ電圧V11,V12Bが供給されている。そこで、このモニタ電圧V11,V12Bの振動中心レベルが所定の基準レベルに維持されるような方向に、第2の交流電圧信号φ2の振幅(もしくはバイアス電圧)をフィードバック制御すればよい。具体的には、期間T2において、モニタ電圧V11,V12Bは、振動子が左方に移動すると小さくなり(容量素子C11,C12Bは、電極間距離が大きくなるので、静電容量値は小さくなる)、逆に、振動子が右方に移動すると大きくなる。したがって、たとえば、モニタ電圧V11,V12Bの振動中心レベルの平均値が基準レベルより大きい場合には作用するクーロン力を大きくし、モニタ電圧V11,V12Bの振動中心レベルの平均値が基準レベルより小さい場合には作用するクーロン力を小さくする制御を行えばよい(モニタ電圧V11,V12Bのいずれか一方のみを用いたフィードバック制御も可能である)。
続く期間T3では、切替スイッチS1の状態は下側接点となっており、容量素子C10はモニタ用容量素子として機能しているので、駆動制御回路50には、モニタ電圧V10が供給されている。そこで、このモニタ電圧V10の振動中心レベルが所定の基準レベルに維持されるような方向に、第3の交流電圧信号φ3の振幅(もしくはバイアス電圧)をフィードバック制御すればよい。具体的には、期間T3において、モニタ電圧V10は、振動子が下方に移動すると小さくなり(容量素子C10は、電極間距離が大きくなるので、静電容量値は小さくなる)、逆に、振動子が上方に移動すると大きくなる。したがって、モニタ電圧V10の振動中心レベルが基準レベルより大きい場合には作用するクーロン力を大きくし、モニタ電圧V10の振動中心レベルが基準レベルより小さい場合には作用するクーロン力を小さくする制御を行えばよい。
最後の期間T4では、切替スイッチS5,S6の状態は下側接点となっており、容量素子C12,C11Bはモニタ用容量素子として機能しているので、駆動制御回路50には、モニタ電圧V12,V11Bが供給されている。そこで、このモニタ電圧V12,V11Bの振動中心レベルが所定の基準レベルに維持されるような方向に、第4の交流電圧信号φ4の振幅(もしくはバイアス電圧)をフィードバック制御すればよい。具体的には、期間T4において、モニタ電圧V12,V11Bは、振動子が右方に移動すると小さくなり(容量素子C12,C11Bは、電極間距離が大きくなるので、静電容量値は小さくなる)、逆に、振動子が左方に移動すると大きくなる。したがって、たとえば、モニタ電圧V12,V11Bの振動中心レベルの平均値が基準レベルより大きい場合には作用するクーロン力を大きくし、モニタ電圧V12,V11Bの振動中心レベルの平均値が基準レベルより小さい場合には作用するクーロン力を小さくする制御を行えばよい(モニタ電圧V12,V11Bのいずれか一方のみを用いたフィードバック制御も可能である)。
要するに、駆動制御回路50は、期間T1において、下側接点状態となるように制御された切替スイッチS2を介して下面側容量素子C10Bの静電容量値を検出し、当該静電容量値をフィードバック量として、交流駆動信号φ1を制御し、期間T2において、下側接点状態となるように制御された切替スイッチS3,S4を介して上面側容量素子C11の静電容量値および下面側容量素子C12Bの静電容量値を検出し、当該静電容量値をフィードバック量として、交流駆動信号φ2を制御し、期間T3において、下側接点状態となるように制御された切替スイッチS1を介して上面側容量素子C10の静電容量値を検出し、当該静電容量値をフィードバック量として、交流駆動信号φ3を制御し、期間T4において、下側接点状態となるように制御された切替スイッチS5,S6を介して上面側容量素子C12の静電容量値および下面側容量素子C11Bの静電容量値を検出し、当該静電容量値をフィードバック量として、交流駆動信号φ4を制御する。
このように、容量素子C10,C10B,C11,C11B,C12,C12Bは、切替スイッチS1〜S6の切替動作により、駆動用容量素子として機能する期間と、モニタ用容量素子として機能する期間とに切り替えられることになる。しかも、各期間T1〜T4のいずれにおいても、駆動用容量素子として機能するものとモニタ用容量素子として機能するものとの双方が必ず存在するため、兼用を行ったとしても支障は生じない。
続いて、コリオリ力を検出する原理について説明する。図31の上段に示されている回路は、振動子に加わるY軸方向のコリオリ力を検出するための構成要素である。図示のとおり、電極E13,E13B,E14,E14Bは、いずれも共通変位電極Dに対向しており、共通変位電極Dは接地されている。また、電極E13,E13B,E14,E14Bは、C/V変換回路71〜74に接続されており、各容量素子C13,C13B,C14,C14Bの静電容量値は、電圧V13,V13B,V14,V14Bに変換され、差分回路81に与えられる。差分回路81は、与えられた電圧に基づいて、V13−V13B−V14+V14Bなる演算を行い、その結果を電圧V81として出力する。
図29において、振動子の重心Gが+Y軸方向に移動すると、容量素子C13,C14Bの静電容量値は増加し、容量素子C14,C13Bの静電容量値は減少する。逆に、振動子の重心Gが−Y軸方向に移動すると、容量素子C13,C14Bの静電容量値は減少し、容量素子C14,C13Bの静電容量値は増加する。差分回路81における演算は、このような特性を考慮したものであり、電圧V81は、Y軸方向に作用したコリオリ力を示す値になる。結局、これら各電極E13,E13B,E14,E14Bと共通変位電極Dとによって構成される容量素子C13,C13B,C14,C14Bは、Y軸方向についてのコリオリ力検出用容量素子として機能する。
一方、図31の回路図における丸数字7,8で示されているノードは、図30に示す丸数字7,8で示されているノードと同一のものであり、C/V変換回路61,62から出力される電圧V10,V10Bが与えられている。差分回路82は、与えられた電圧に基づいて、V10−V10Bなる演算を行い、その結果を電圧V82として出力する。この電圧V82は、Z軸方向に作用したコリオリ力を示す値になる。結局、この電圧V82を得る動作に関しては、電極E10,E10Bと共通変位電極Dとによって構成される容量素子C10,C10Bは、Z軸方向についてのコリオリ力検出用容量素子として機能する。
角速度検出回路90は、所定の検出タイミングにおける電圧V81およびV82の値を、角速度ωx,ωy,ωzの値として出力する処理を行う。各検出タイミングは、期間T1〜T4内の所定時点(たとえば、各期間の中間時点)に設定しておけばよく、検波信号に基づいて認識することができる。検波信号としては、交流信号源51の信号を用いてもよいし、各モニタ電圧信号V10,V10B,V11,V12B,V12,V11Bを用いてもよい。この角速度検出回路90による角速度検出原理は、図32の動作チャートにおける「ωx」,「ωy」,「ωz」の欄に示されている。
まず、期間T1では、振動子は速度成分+Vzをもって運動中であるので、この期間内の所定のタイミング(実用上は、速度成分+Vzの絶対値が最大となるタイミング)において、振動子に作用するY軸方向のコリオリ力±Fyを検出すれば、当該検出値はX軸まわりの角速度ωxを示すものになる。Y軸方向のコリオリ力±Fyは、図31の回路に示すように、検出用電極E13,E13B,E14,E14Bからの信号を利用して、電圧V81として得られることになる。ここで、これらの電極E13,E13B,E14,E14Bを用いて構成された容量素子C13,C13B,C14,C14Bは、コリオリ力検出用に設けられた専用の容量素子であるため、検出にあたって何ら支障は生じない。
次の期間T2では、振動子は速度成分−Vxをもって運動中であるので、この期間内の所定のタイミング(実用上は、速度成分−Vxの絶対値が最大となるタイミング)において、振動子に作用するZ軸方向のコリオリ力±Fzを検出すれば、当該検出値はY軸まわりの角速度ωyを示すものになる。Z軸方向のコリオリ力±Fzは、図30および図31の回路に示すように、電極E10,E10Bからの信号を利用して、電圧V82として得られることになる。ここで、これらの電極E10,E10Bを用いて構成された容量素子C10,C10Bは、期間T2においては、コリオリ力検出用容量素子およびモニタ用容量素子として機能しており、駆動用容量素子としては機能していないので、検出にあたって何ら支障は生じない。
また、この期間T2において、振動子に作用するY軸方向のコリオリ力±Fyを検出すれば、当該検出値はZ軸まわりの角速度ωzを示すものになる。Y軸方向のコリオリ力±Fyは、図31の回路に示すように、検出用電極E13,E13B,E14,E14Bからの信号を利用して、電圧V81として得られることになる。ここで、これらの電極E13,E13B,E14,E14Bを用いて構成された容量素子C13,C13B,C14,C14Bは、コリオリ力検出用に設けられた専用の容量素子であるため、検出にあたって何ら支障は生じない。
続く期間T3では、振動子は速度成分−Vzをもって運動中であるので、この期間内の所定のタイミング(実用上は、速度成分−Vzの絶対値が最大となるタイミング)において、振動子に作用するY軸方向のコリオリ力±Fyを検出すれば、当該検出値はX軸まわりの角速度ωxを示すものになる。Y軸方向のコリオリ力±Fyは、図31の回路に示すように、検出用電極E13,E13B,E14,E14Bからの信号を利用して、電圧V81として得られることになる。ここで、これらの電極E13,E13B,E14,E14Bを用いて構成された容量素子C13,C13B,C14,C14Bは、コリオリ力検出用に設けられた専用の容量素子であるため、検出にあたって何ら支障は生じない。
最後の期間T4では、振動子は速度成分+Vxをもって運動中であるので、この期間内の所定のタイミング(実用上は、速度成分+Vxの絶対値が最大となるタイミング)において、振動子に作用するZ軸方向のコリオリ力±Fzを検出すれば、当該検出値はY軸まわりの角速度ωyを示すものになる。Z軸方向のコリオリ力±Fzは、図30および図31の回路に示すように、電極E10,E10Bからの信号を利用して、電圧V82として得られることになる。ここで、これらの電極E10,E10Bを用いて構成された容量素子C10,C10Bは、期間T4においては、コリオリ力検出用容量素子およびモニタ用容量素子として機能しており、駆動用容量素子としては機能していないので、検出にあたって何ら支障は生じない。
また、この期間T4において、振動子に作用するY軸方向のコリオリ力±Fyを検出すれば、当該検出値はZ軸まわりの角速度ωzを示すものになる。Y軸方向のコリオリ力±Fyは、図31の回路に示すように、検出用電極E13,E13B,E14,E14Bからの信号を利用して、電圧V81として得られることになる。ここで、これらの電極E13,E13B,E14,E14Bを用いて構成された容量素子C13,C13B,C14,C14Bは、コリオリ力検出用に設けられた専用の容量素子であるため、検出にあたって何ら支障は生じない。
要するに、角速度検出回路90は、期間T1および期間T3において、上面側容量素子C13および下面側容量素子C13Bならびに上面側容量素子C14および下面側容量素子C14Bの静電容量値に基づいて、X軸まわりの角速度ωxを検出する。また、期間T2および期間T4においては、下側接点状態となるように制御された切替スイッチS1を介して上面側容量素子C10の静電容量値を検出し、下側接点状態となるように制御された切替スイッチS2を介して下面側容量素子C10Bの静電容量値を検出し、当該静電容量値に基づいて、Y軸まわりの角速度ωyを検出する。更に、この期間T2および期間T4において、上面側容量素子C13および下面側容量素子C13Bならびに上面側容量素子C14および下面側容量素子C14Bの静電容量値に基づいて、Z軸まわりの角速度ωzを検出する。
なお、図32の「ωy」の欄に括弧書きで示したように、期間T1,T3において、振動子に作用するX軸方向のコリオリ力±Fxを検出すれば、当該検出値はY軸まわりの角速度ωyを示すものになるので、角速度ωyは、期間T1,T3においても検出可能である。X軸方向のコリオリ力±Fxは、電極E11,E11B,E12,E12Bからの信号を利用して得ることができる(図31の上段と同様な回路を構成すればよい)。これらの電極E11,E11B,E12,E12Bを用いて構成された容量素子C11,C11B,C12,C12Bは、期間T1,T3においては、モニタ用容量素子として機能しており、駆動用容量素子としては機能していないので、検出にあたって何ら支障は生じない。もっとも、Y軸まわりの角速度ωyは、期間T2,T4において検出されるので、実用上は、期間T1,T3において検出する必要性は乏しい。
このように、ここに示す実施形態では、駆動制御回路50からの交流駆動信号φ1〜φ4を、切替スイッチS1〜S6を介して駆動用容量素子C10,C10B,C11,C11B,C12,C12Bに供給し、切替スイッチS1〜S6を切り替えることにより、物理的に同一の容量素子を、ある期間には、駆動用容量素子として機能させ、別な期間には、モニタ用容量素子もしくはコリオリ力検出用容量素子として機能させることができる。このような実施形態は、センサの物理的構造部の電極構成を単純化する上で効果的である。
従来の基本的な角速度センサの構造部の一例を示す斜視図である(ハッチングは、電極形状を示すためのものである)。 図1に示す角速度センサの上方基板100の下面図である(ハッチングは、電極形状を示すためのものである)。 図1に示す角速度センサの可撓性基板200の上面図である(ハッチングは、電極形状を示すためのものである)。 図1に示す角速度センサの中立状態を示す側断面図である。 図1に示す角速度センサの上方変位状態を示す側断面図である。 図1に示す角速度センサの下方変位状態を示す側断面図である。 図1に示す角速度センサの右方変位状態を示す側断面図である。 図1に示す角速度センサにおいて、供給する交流電圧信号と重心Gの変位との関係をを示すグラフである。 図1に示す角速度センサに重力加速度αgが加わった状態を示す側断面図である。 図1に示す角速度センサを転置した場合に重力加速度αgが加わった状態を示す側断面図である。 図9に示す重力加速度αgの影響を受けている角速度センサにおいて、供給する交流電圧信号と重心Gの変位との関係を示すグラフである。 図10に示す重力加速度αgの影響を受けている角速度センサにおいて、供給する交流電圧信号と重心Gの変位との関係を示すグラフである。 図9に示す重力加速度αgの影響を受けている角速度センサにおいて、供給する交流電圧信号の振幅制御方法と、そのときの重心Gの変位を示すグラフである。 図10に示す重力加速度αgの影響を受けている角速度センサにおいて、供給する交流電圧信号の振幅制御方法と、そのときの重心Gの変位を示すグラフである。 本発明の基本的な実施形態に係る角速度センサの構造部の一例を示す斜視図である(ハッチングは、電極形状を示すためのものである)。 図15に示す角速度センサの上方基板100の下面図である(ハッチングは、電極形状を示すためのものである)。 図15に示す角速度センサの可撓性基板200の上面図である(ハッチングは、電極形状を示すためのものである)。 図15に構造部が示されている角速度センサに用いる信号処理回路の一例を示す回路図である。 図18に示す回路におけるモニタ電圧V15の変動の一例を示すグラフである。 図18に示す回路におけるモニタ電圧V15Bの変動の一例を示すグラフである。 図9に示す重力加速度αgの影響を受けている角速度センサにおいて、供給する交流電圧信号のオフセット電圧印加方法と、そのときの重心Gの変位を示すグラフである。 図10に示す重力加速度αgの影響を受けている角速度センサにおいて、供給する交流電圧信号のオフセット電圧印加方法と、そのときの重心Gの変位を示すグラフである。 図15に示す角速度センサにおいて、電極構成を変更した変形例についての可撓性基板200の上面図である(ハッチングは、電極形状を示すためのものである)。 図15に示す角速度センサにおいて、基板等の形状および電極形状を変更した変形例についての可撓性基板220の下面図である(ハッチングは、電極形状を示すためのものである)。 図15に示す角速度センサにおいて、すべての変位電極を単一の共通電極に置き換えた変形例を示す斜視図である(ハッチングは、電極形状を示すためのものである)。 複数の橋梁部によって振動子を支持する構造をとる本発明の汎用型実施形態に用いる可撓性基板250の上面図である。 図26に示す可撓性基板250の形状を明確に示すための平面図である(ハッチングは、基板形状を示すためのものである)。 図26,図27に示す可撓性基板250に対向させて用いる上方基板150の下面図である(ハッチングは、電極形状を示すためのものである)。 容量素子の役割を時分割する実施形態に係る角速度センサの構造部の一例を示す斜視図である(ハッチングは、電極形状を示すためのものである)。 図29に構造部が示されている角速度センサに用いる信号処理回路の駆動制御を行う部分の回路図である。 図29に構造部が示されている角速度センサに用いる信号処理回路のコリオリ力検出を行う部分の回路図である。 図30,図31に示す回路の動作チャートである。
符号の説明
11〜15,15B:C/V変換回路
21,22:差分回路
30:駆動制御回路
31:交流信号源
40:角速度検出回路
50:駆動制御回路
51:交流信号源
61〜66:C/V変換回路
71〜74:C/V変換回路
81,82:差分回路
90:角速度検出回路
100:上方基板
150:上方基板
200:可撓性基板
220:可撓性基板
250:可撓性基板
251〜254:翼状部
255:中心部
256:周囲部
300:下方基板
400:重錘体
450:重錘体
500:装置筐体
A,A1,A2:振動の振幅
B1〜B4:橋梁部
C10〜C15,C10B〜C15B:容量素子/静電容量値
d:位相差
D:共通変位電極
D10〜D15:変位電極
D10B,D15B:変位電極
D20〜D29:変位電極
D30〜D35:変位電極
E10〜E15:固定電極
E10B〜E15B:固定電極
E41〜E50:固定電極
G:振動子の重心
L:振動中心位置
S1〜S4:スリット
S1〜S6:切替スイッチ
T1〜T4:四半周期の期間
t:時間
V:電圧
V10〜V15,V10B〜V15B,V81,V82:電圧
Voffset:オフセット電圧
Vp:ピーク電圧
Vref1,Vref2:基準電圧
Vx,Vy:電圧
X,Y,Z:各座標軸
X′,Y′:各座標軸の正射影像
αg:重力加速度
ΔV:偏差
φ1:第1の交流電圧信号
φ2:第2の交流電圧信号
φ3:第3の交流電圧信号
φ4:第4の交流電圧信号
ωx,ωy,ωz:角速度

Claims (37)

  1. 振動子と、この振動子を収容する装置筐体と、前記振動子を前記装置筐体に対して接続する可撓性部材と、前記振動子の表面に設けられた複数の変位電極と、前記装置筐体に固定され、前記変位電極のそれぞれに対向する位置に設けられた複数の固定電極と、を備えた角速度センサであって、
    互いに対向する変位電極と固定電極とによって、それぞれ独立した容量素子が形成されており、前記容量素子には、前記振動子を駆動させるための駆動用容量素子と、前記振動子の駆動状態をモニタするためのモニタ用容量素子と、前記振動子に作用するコリオリ力を検出するためのコリオリ力検出用容量素子と、が含まれており、
    前記角速度センサは、更に、
    前記駆動用容量素子に交流駆動信号を供給することにより、前記駆動用容量素子を構成する電極間にクーロン力を作用させ、前記振動子に周期的運動を生じさせる駆動制御回路と、
    前記振動子が前記周期的運動を行っている状態において、前記周期的運動に同期した所定タイミングで前記コリオリ力検出用容量素子の静電容量値を測定し、得られた静電容量値に基づいて所定軸まわりの角速度の検出値を出力する角速度検出回路と、
    を備えており、
    前記駆動制御回路が、前記モニタ用容量素子の静電容量値をフィードバック量として、前記振動子の前記周期的運動が、予め設定された基準運動に維持されるようにフィードバック制御を行うことを特徴とする角速度センサ。
  2. 請求項1に記載の角速度センサにおいて、
    振動子の上面に形成された変位電極と、これに対向する位置に設けられた固定電極と、によって上方駆動用容量素子が構成され、
    振動子の上面に形成された変位電極と、これに対向する位置に設けられた固定電極と、によって上方モニタ用容量素子が構成され、
    駆動制御回路は、
    前記上方駆動用容量素子を構成する一方の電極の電圧を基準として、他方の電極に対して交流電圧信号を供給することにより両電極間にクーロン力を作用させ、作用させたクーロン力によって振動子を上下方向に振動させ、
    前記上方モニタ用容量素子の静電容量を示すモニタ電圧の振動中心レベルが、所定の基準レベルよりも小さくなったときには、前記上方駆動用容量素子に作用させるクーロン力をより大きくする制御を行い、
    前記上方モニタ用容量素子の静電容量を示すモニタ電圧の振動中心レベルが、所定の基準レベルよりも大きくなったときには、前記上方駆動用容量素子に作用させるクーロン力をより小さくする制御を行うことを特徴とする角速度センサ。
  3. 請求項2に記載の角速度センサにおいて、
    振動子の上面の中心部に配置された上面中心電極と、振動子の上面における前記上面中心電極を取り囲む位置に配置された上面包囲電極と、を備え、
    前記上面中心電極および前記上面包囲電極のいずれか一方を用いて上方駆動用容量素子を構成し、他方を用いて上方モニタ用容量素子を構成したことを特徴とする角速度センサ。
  4. 請求項2または3に記載の角速度センサにおいて、
    駆動制御回路が、交流電圧信号として半波整流電圧信号を用い、作用させるクーロン力をより大きくする場合は、供給する交流電圧信号の振幅を大きくし、作用させるクーロン力をより小さくする場合は、供給する交流電圧信号の振幅を小さくする制御を行うことを特徴とする角速度センサ。
  5. 請求項2または3に記載の角速度センサにおいて、
    駆動制御回路が、交流電圧信号として半波整流電圧信号を用い、作用させるクーロン力をより大きくする場合は、供給する交流電圧信号に正のオフセット電圧を加え、作用させるクーロン力をより小さくする場合は、供給する交流電圧信号に負のオフセット電圧を加える(但し、電圧値が負になる場合は0とする)ことを特徴とする角速度センサ。
  6. 請求項2に記載の角速度センサにおいて、
    振動子の重心位置に原点Oを定義し、振動子の上面がXY平面に平行になるように、XYZ三次元座標系を定義し、X軸およびY軸の振動子上面に対する正射影像を定義したときに、
    上方駆動用容量素子および上方モニタ用容量素子が、いずれもZ軸上もしくはZ軸を取り囲む位置に配置され、
    X軸の正射影像の正の部分に配置された容量素子および負の部分に配置された容量素子によって、X軸方向に作用するコリオリ力Fxを検出するためのコリオリ力検出用容量素子が構成され、これら両容量素子の静電容量値の差に基づいて前記コリオリ力Fxが決定され、
    Y軸の正射影像の正の部分に配置された容量素子および負の部分に配置された容量素子によって、Y軸方向に作用するコリオリ力Fyを検出するためのコリオリ力検出用容量素子が構成され、これら両容量素子の静電容量値の差に基づいて前記コリオリ力Fyが決定され、
    駆動制御回路が、前記上方駆動用容量素子に対して交流駆動信号を供給することにより、振動子をZ軸方向に振動させ、
    角速度検出回路が、前記コリオリ力Fxに基づいてY軸まわりの角速度ωyを検出し、前記コリオリ力Fyに基づいてX軸まわりの角速度ωxを検出することを特徴とする角速度センサ。
  7. 請求項1に記載の角速度センサにおいて、
    振動子の上面に形成された変位電極と、これに対向する位置に設けられた固定電極と、によって上方駆動用容量素子が構成され、
    振動子の下面に形成された変位電極と、これに対向する位置に設けられた固定電極と、によって下方駆動用容量素子が構成され、
    振動子の上面に形成された変位電極と、これに対向する位置に設けられた固定電極と、によって上方モニタ用容量素子が構成され、
    振動子の下面に形成された変位電極と、これに対向する位置に設けられた固定電極と、によって下方モニタ用容量素子が構成され、
    駆動制御回路は、
    前記上方駆動用容量素子を構成する一方の電極の電圧を基準として、他方の電極に対して第1の交流電圧信号φ1を供給することにより両電極間にクーロン力を作用させ、
    前記下方駆動用容量素子を構成する一方の電極の電圧を基準として、他方の電極に対して、前記第1の交流電圧信号φ1とは逆位相の第2の交流電圧信号φ2を供給することにより両電極間にクーロン力を作用させ、
    作用させたクーロン力によって振動子を上下方向に振動させ、
    前記上方モニタ用容量素子の静電容量を示すモニタ電圧の振動中心レベルが、所定の基準レベルよりも小さくなったときには、前記上方駆動用容量素子に作用させるクーロン力をより大きくする制御を行い、
    前記上方モニタ用容量素子の静電容量を示すモニタ電圧の振動中心レベルが、所定の基準レベルよりも大きくなったときには、前記上方駆動用容量素子に作用させるクーロン力をより小さくする制御を行い、
    前記下方モニタ用容量素子の静電容量を示すモニタ電圧の振動中心レベルが、所定の基準レベルよりも小さくなったときには、前記下方駆動用容量素子に作用させるクーロン力をより大きくする制御を行い、
    前記下方モニタ用容量素子の静電容量を示すモニタ電圧の振動中心レベルが、所定の基準レベルよりも大きくなったときには、前記下方駆動用容量素子に作用させるクーロン力をより小さくする制御を行うことを特徴とする角速度センサ。
  8. 請求項7に記載の角速度センサにおいて、
    振動子の上面の中心部に配置された上面中心電極と、振動子の上面における前記上面中心電極を取り囲む位置に配置された上面包囲電極と、振動子の下面の中心部に配置された下面中心電極と、振動子の下面における前記下面中心電極を取り囲む位置に配置された下面包囲電極と、を備え、
    前記上面中心電極および前記上面包囲電極のいずれか一方を用いて上方駆動用容量素子を構成し、他方を用いて上方モニタ用容量素子を構成し、前記下面中心電極および前記下面包囲電極のいずれか一方を用いて下方駆動用容量素子を構成し、他方を用いて下方モニタ用容量素子を構成したことを特徴とする角速度センサ。
  9. 請求項7または8に記載の角速度センサにおいて、
    駆動制御回路が、第1の交流電圧信号φ1および第2の交流電圧信号φ2として、互いに逆位相となる半波整流電圧信号を用い、作用させるクーロン力をより大きくする場合は、供給する交流電圧信号の振幅を大きくし、作用させるクーロン力をより小さくする場合は、供給する交流電圧信号の振幅を小さくする制御を行うことを特徴とする角速度センサ。
  10. 請求項7または8に記載の角速度センサにおいて、
    駆動制御回路が、第1の交流電圧信号φ1および第2の交流電圧信号φ2として、互いに逆位相となる半波整流電圧信号を用い、作用させるクーロン力をより大きくする場合は、供給する交流電圧信号に正のオフセット電圧を加え、作用させるクーロン力をより小さくする場合は、供給する交流電圧信号に負のオフセット電圧を加える(但し、電圧値が負になる場合は0とする)ことを特徴とする角速度センサ。
  11. 請求項7に記載の角速度センサにおいて、
    振動子の重心位置に原点Oを定義し、振動子の上面がXY平面に平行になるように、XYZ三次元座標系を定義し、X軸およびY軸の振動子上面に対する正射影像を定義したときに、
    上方駆動用容量素子、下方駆動用容量素子、上方モニタ用容量素子、下方モニタ用容量素子が、いずれもZ軸上もしくはZ軸を取り囲む位置に配置され、
    X軸の正射影像の正の部分に配置された容量素子および負の部分に配置された容量素子によって、X軸方向に作用するコリオリ力Fxを検出するためのコリオリ力検出用容量素子が構成され、これら両容量素子の静電容量値の差に基づいて前記コリオリ力Fxが決定され、
    Y軸の正射影像の正の部分に配置された容量素子および負の部分に配置された容量素子によって、Y軸方向に作用するコリオリ力Fyを検出するためのコリオリ力検出用容量素子が構成され、これら両容量素子の静電容量値の差に基づいて前記コリオリ力Fyが決定され、
    駆動制御回路が、前記上方駆動用容量素子および前記下方駆動用容量素子に対して交流駆動信号を供給することにより、振動子をZ軸方向に振動させ、
    角速度検出回路が、前記コリオリ力Fxに基づいてY軸まわりの角速度ωyを検出し、前記コリオリ力Fyに基づいてX軸まわりの角速度ωxを検出することを特徴とする角速度センサ。
  12. 請求項6または11に記載の角速度センサにおいて、
    上方モニタ用容量素子もしくは下方モニタ用容量素子が、同一平面上においてZ軸を取り囲む位置に配置された複数の容量素子によって構成され、
    駆動制御回路が、これら複数の容量素子の静電容量値の平均値をフィードバック量として、フィードバック制御を行うことを特徴とする角速度センサ。
  13. 請求項12に記載の角速度センサにおいて、
    上方モニタ用容量素子もしくは下方モニタ用容量素子を構成する、同一平面上に配置された複数の容量素子の静電容量値の差が、所定のしきい値以上になった場合には、異常報知信号を出力することを特徴とする角速度センサ。
  14. 請求項1に記載の角速度センサにおいて、
    振動子の重心位置に原点Oを定義し、振動子の上面がXY平面に平行になるように、XYZ三次元座標系を定義し、X軸およびY軸の振動子上面に対する正射影像を定義したときに、
    X軸の正射影像の正の部分に配置された第1の容量素子と、X軸の正射影像の負の部分に配置された第2の容量素子と、Y軸の正射影像の正の部分に配置された第3の容量素子と、Y軸の正射影像の負の部分に配置された第4の容量素子と、Z軸上もしくはZ軸を取り囲む位置に配置された第5の容量素子と、X軸の正射影像の正の部分における前記第1の容量素子とは重ならない位置に配置された第6の容量素子と、X軸の正射影像の負の部分における前記第2の容量素子とは重ならない位置に配置された第7の容量素子と、Y軸の正射影像の正の部分における前記第3の容量素子とは重ならない位置に配置された第8の容量素子と、Y軸の正射影像の負の部分における前記第4の容量素子とは重ならない位置に配置された第9の容量素子と、を備え、
    前記第1の容量素子と前記第2の容量素子は、YZ平面に関して幾何学的に対称となっており、前記第3の容量素子と前記第4の容量素子は、XZ平面に関して幾何学的に対称となっており、前記第5の容量素子はXZ平面およびYZ平面の双方に関して幾何学的に対称となる形状をしており、前記第6の容量素子と前記第7の容量素子は、YZ平面に関して幾何学的に対称となっており、前記第8の容量素子と前記第9の容量素子は、XZ平面に関して幾何学的に対称となっており、
    前記第1〜第9の容量素子から選択された容量素子によって、駆動用容量素子、コリオリ力検出用容量素子、モニタ用容量素子が構成されていることを特徴とする角速度センサ。
  15. 請求項14に記載の角速度センサにおいて、
    Z軸上もしくはZ軸を取り囲む位置であって第5の容量素子とは重ならない位置に配置され、XZ平面およびYZ平面の双方に関して幾何学的に対称となる形状をした第10の容量素子を更に備え、
    第1〜第10の容量素子から選択された容量素子によって、駆動用容量素子、コリオリ力検出用容量素子、モニタ用容量素子が構成されていることを特徴とする角速度センサ。
  16. 請求項14に記載の角速度センサにおいて、
    第1〜第4の容量素子が駆動用容量素子を構成し、第6〜第9の容量素子がモニタ用容量素子を構成し、第5の容量素子がZ軸方向に作用するコリオリ力Fzを検出するコリオリ力検出用容量素子を構成し、
    駆動制御回路が、前記第1,第3,第2,第4の容量素子に、それぞれ位相が順次π/2ずつ遅れた交流駆動信号を供給することにより、前記振動子をXY平面に平行な平面内で円運動させ、前記第6〜第9の容量素子の静電容量値をフィードバック量として、前記振動子の運動が、予め設定された基準円運動に維持されるようにフィードバック制御を行い、
    角速度検出回路が、振動子の重心がXZ平面を通過するタイミングで測定された前記コリオリ力Fzに基づいてX軸まわりの角速度ωxを検出し、振動子の重心がYZ平面を通過するタイミングで測定された前記コリオリ力Fzに基づいてY軸まわりの角速度ωyを検出することを特徴とする角速度センサ。
  17. 請求項16に記載の角速度センサにおいて、
    第6および第7の容量素子をX軸方向に作用するコリオリ力Fxを検出するコリオリ力検出用容量素子として兼用し、
    角速度検出回路が、振動子の重心がXZ平面を通過するタイミングで測定された前記コリオリ力Fxに基づいてZ軸まわりの角速度ωzを検出することを特徴とする角速度センサ。
  18. 請求項1に記載の角速度センサにおいて、
    互いに平行な上面と下面とを有する振動子の重心位置に原点Oを定義し、振動子の上面および下面がXY平面に平行になるように、XYZ三次元座標系を定義し、X軸およびY軸の振動子上面および下面に対する正射影像を定義したときに、
    振動子上面側において、X軸の正射影像の正の部分に配置された第1の上面側容量素子と、X軸の正射影像の負の部分に配置された第2の上面側容量素子と、Y軸の正射影像の正の部分に配置された第3の上面側容量素子と、Y軸の正射影像の負の部分に配置された第4の上面側容量素子と、Z軸上もしくはZ軸を取り囲む位置に配置された第5の上面側容量素子と、X軸の正射影像の正の部分における前記第1の上面側容量素子とは重ならない位置に配置された第6の上面側容量素子と、X軸の正射影像の負の部分における前記第2の上面側容量素子とは重ならない位置に配置された第7の上面側容量素子と、Y軸の正射影像の正の部分における前記第3の上面側容量素子とは重ならない位置に配置された第8の上面側容量素子と、Y軸の正射影像の負の部分における前記第4の上面側容量素子とは重ならない位置に配置された第9の上面側容量素子と、を備え、
    前記第1の上面側容量素子と前記第2の上面側容量素子は、YZ平面に関して幾何学的に対称となっており、前記第3の上面側容量素子と前記第4の上面側容量素子は、XZ平面に関して幾何学的に対称となっており、前記第5の上面側容量素子はXZ平面およびYZ平面の双方に関して幾何学的に対称となる形状をしており、前記第6の上面側容量素子と前記第7の上面側容量素子は、YZ平面に関して幾何学的に対称となっており、前記第8の上面側容量素子と前記第9の上面側容量素子は、XZ平面に関して幾何学的に対称となっており、
    振動子下面側において、X軸の正射影像の正の部分に配置された第1の下面側容量素子と、X軸の正射影像の負の部分に配置された第2の下面側容量素子と、Y軸の正射影像の正の部分に配置された第3の下面側容量素子と、Y軸の正射影像の負の部分に配置された第4の下面側容量素子と、Z軸上もしくはZ軸を取り囲む位置に配置された第5の下面側容量素子と、X軸の正射影像の正の部分における前記第1の下面側容量素子とは重ならない位置に配置された第6の下面側容量素子と、X軸の正射影像の負の部分における前記第2の下面側容量素子とは重ならない位置に配置された第7の下面側容量素子と、Y軸の正射影像の正の部分における前記第3の下面側容量素子とは重ならない位置に配置された第8の下面側容量素子と、Y軸の正射影像の負の部分における前記第4の下面側容量素子とは重ならない位置に配置された第9の下面側容量素子と、を備え、
    前記第1の下面側容量素子と前記第2の下面側容量素子は、YZ平面に関して幾何学的に対称となっており、前記第3の下面側容量素子と前記第4の下面側容量素子は、XZ平面に関して幾何学的に対称となっており、前記第5の下面側容量素子はXZ平面およびYZ平面の双方に関して幾何学的に対称となる形状をしており、前記第6の下面側容量素子と前記第7の下面側容量素子は、YZ平面に関して幾何学的に対称となっており、前記第8の下面側容量素子と前記第9の下面側容量素子は、XZ平面に関して幾何学的に対称となっており、
    前記第1〜第9の上面側容量素子および前記第1〜第9の下面側容量素子から選択された容量素子によって、駆動用容量素子、コリオリ力検出用容量素子、モニタ用容量素子が構成されていることを特徴とする角速度センサ。
  19. 請求項18に記載の角速度センサにおいて、
    振動子上面側において、Z軸上もしくはZ軸を取り囲む位置であって第5の上面側容量素子とは重ならない位置に配置され、XZ平面およびYZ平面の双方に関して幾何学的に対称となる形状をした第10の上面側容量素子と、振動子下面側において、Z軸上もしくはZ軸を取り囲む位置であって第5の下面側容量素子とは重ならない位置に配置され、XZ平面およびYZ平面の双方に関して幾何学的に対称となる形状をした第10の下面側容量素子と、を更に備え、
    第1〜第10の上面側容量素子および第1〜第10の下面側容量素子から選択された容量素子によって、駆動用容量素子、コリオリ力検出用容量素子、モニタ用容量素子が構成されていることを特徴とする角速度センサ。
  20. 請求項18に記載の角速度センサにおいて、
    第1〜第4の上面側容量素子および第1〜第4の下面側容量素子が駆動用容量素子を構成し、第6〜第9の上面側容量素子および第6〜第9の下面側容量素子がモニタ用容量素子を構成し、第5の上面側容量素子および第5の下面側容量素子がZ軸方向に作用するコリオリ力Fzを検出するコリオリ力検出用容量素子を構成し、
    駆動制御回路が、前記第1,第3,第2,第4の上面側容量素子に、それぞれ位相が順次π/2ずつ遅れた交流駆動信号を供給するとともに、前記第1,第3,第2,第4の下面側容量素子に、それぞれ前記第1,第3,第2,第4の上面側容量素子とは逆位相の交流駆動信号を供給することにより、前記振動子をXY平面に平行な平面内で円運動させ、前記第6〜第9の上面側容量素子および前記第6〜第9の下面側容量素子の静電容量値をフィードバック量として、前記振動子の運動が、予め設定された基準円運動に維持されるようにフィードバック制御を行い、
    角速度検出回路が、振動子の重心がXZ平面を通過するタイミングで測定された前記コリオリ力Fzに基づいてX軸まわりの角速度ωxを検出し、振動子の重心がYZ平面を通過するタイミングで測定された前記コリオリ力Fzに基づいてY軸まわりの角速度ωyを検出することを特徴とする角速度センサ。
  21. 請求項20に記載の角速度センサにおいて、
    第6および第7の上面側容量素子および第6および第7の下面側容量素子をX軸方向に作用するコリオリ力Fxを検出するコリオリ力検出用容量素子として兼用し、
    角速度検出回路が、振動子の重心がXZ平面を通過するタイミングで測定された前記コリオリ力Fxに基づいてZ軸まわりの角速度ωzを検出することを特徴とする角速度センサ。
  22. 請求項20または21に記載の角速度センサにおいて、
    振動子上面側において、Z軸上もしくはZ軸を取り囲む位置であって第5の上面側容量素子とは重ならない位置に配置され、XZ平面およびYZ平面の双方に関して幾何学的に対称となる形状をした第10の上面側容量素子と、振動子下面側において、Z軸上もしくはZ軸を取り囲む位置であって第5の下面側容量素子とは重ならない位置に配置され、XZ平面およびYZ平面の双方に関して幾何学的に対称となる形状をした第10の下面側容量素子と、を更に備え、
    前記第10の上面側容量素子および前記第10の下面側容量素子の静電容量値をフィードバック量として、前記振動子の運動面が、予め設定された基準平面の位置に維持されるようにフィードバック制御を行うことを特徴とする角速度センサ。
  23. 請求項1に記載の角速度センサにおいて、
    振動子の重心位置に原点Oを定義し、振動子の上面がXY平面に平行になるように、XYZ三次元座標系を定義し、X軸およびY軸の振動子上面に対する正射影像を定義したときに、
    振動子上面側において、X軸の正射影像の正の部分に配置された第1の容量素子と、X軸の正射影像の負の部分に配置された第2の容量素子と、Z軸上もしくはZ軸を取り囲む位置に配置された第3の容量素子と、X軸の正射影像の正の部分における前記第1の容量素子とは重ならない位置に配置された第4の容量素子と、X軸の正射影像の負の部分における前記第2の容量素子とは重ならない位置に配置された第5の容量素子と、Z軸上もしくはZ軸を取り囲む位置における前記第3の容量素子とは重ならない位置に配置された第6の容量素子と、Y軸の正射影像の正の部分に配置された第7の容量素子と、Y軸の正射影像の負の部分に配置された第8の容量素子と、
    を備え、
    前記第1の容量素子と前記第2の容量素子は、YZ平面に関して幾何学的に対称となっており、前記第4の容量素子と前記第5の容量素子は、YZ平面に関して幾何学的に対称となっており、前記第3の容量素子はXZ平面およびYZ平面の双方に関して幾何学的に対称となる形状をしており、前記第6の容量素子はXZ平面およびYZ平面の双方に関して幾何学的に対称となる形状をしており、前記第7の容量素子と前記第8の容量素子は、XZ平面に関して幾何学的に対称となっており、
    第1〜第3の容量素子が駆動用容量素子を構成し、第4〜第6の容量素子がモニタ用容量素子を構成し、第7〜第8の容量素子がY軸方向に作用するコリオリ力Fyを検出するコリオリ力検出用容量素子を構成し、
    駆動制御回路が、前記第1および第2の容量素子に、互いに逆位相の交流駆動信号を供給し、前記第3の容量素子に、前記第1の容量素子に供給する交流駆動信号に対して位相がπ/2だけずれた交流駆動信号を供給することにより、前記振動子をXZ平面内で円運動させ、前記第4〜第6の容量素子の静電容量値をフィードバック量として、前記振動子の運動が、予め設定された基準円運動に維持されるようにフィードバック制御を行い、
    角速度検出回路が、振動子の重心がXY平面を通過するタイミングで測定された前記コリオリ力Fyに基づいてX軸まわりの角速度ωxを検出し、振動子の重心がYZ平面を通過するタイミングで測定された前記コリオリ力Fyに基づいてZ軸まわりの角速度ωzを検出することを特徴とする角速度センサ。
  24. 請求項23に記載の角速度センサにおいて、
    振動子下面側において、Z軸上もしくはZ軸を取り囲む位置に配置された第9の容量素子と、Z軸上もしくはZ軸を取り囲む位置における前記第9の容量素子とは重ならない位置に配置された第10の容量素子と、を更に備え、
    前記第9の容量素子および前記第10の容量素子は、XZ平面およびYZ平面の双方に関して幾何学的に対称となる形状をしており、
    駆動制御回路が、前記第9の容量素子に、前記第3の容量素子に供給する交流駆動信号に対して逆位相の交流駆動信号を供給することにより、前記振動子をXZ平面内で円運動させ、前記第10の容量素子の静電容量値をフィードバック量として加えることにより、前記振動子の運動が、予め設定された基準円運動に維持されるようにフィードバック制御を行うことを特徴とする角速度センサ。
  25. 請求項23または24に記載の角速度センサにおいて、
    第4および第5の容量素子をX軸方向に作用するコリオリ力Fxを検出するコリオリ力検出用容量素子として兼用し、
    角速度検出回路が、振動子の重心がXY平面を通過するタイミングで測定された前記コリオリ力Fxに基づいてY軸まわりの角速度ωyを検出することを特徴とする角速度センサ。
  26. 請求項23または24に記載の角速度センサにおいて、
    第6の容量素子をZ軸方向に作用するコリオリ力Fzを検出するコリオリ力検出用容量素子として兼用し、
    角速度検出回路が、振動子の重心がYZ平面を通過するタイミングで測定された前記コリオリ力Fzに基づいてY軸まわりの角速度ωyを検出することを特徴とする角速度センサ。
  27. 請求項14〜26のいずれかに記載の角速度センサにおいて、
    個々のモニタ用容量素子について、それぞれ最も近い位置に配置されている駆動用容量素子を対応づけ、
    駆動制御回路が、特定のモニタ用容量素子の静電容量を示すモニタ電圧の振動中心レベルが、所定の基準レベルよりも小さくなったときには、これに対応する駆動用容量素子に作用させるクーロン力をより大きくする制御を行い、特定のモニタ用容量素子の静電容量を示すモニタ電圧の振動中心レベルが、所定の基準レベルよりも大きくなったときには、これに対応する駆動用容量素子に作用させるクーロン力をより小さくする制御を行うことを特徴とする角速度センサ。
  28. 請求項27に記載の角速度センサにおいて、
    駆動制御回路が、各駆動用容量素子に供給する交流駆動信号として、半波整流電圧信号を用い、作用させるクーロン力をより大きくする場合は、供給する交流電圧信号の振幅を大きくし、作用させるクーロン力をより小さくする場合は、供給する交流電圧信号の振幅を小さくする制御を行うことを特徴とする角速度センサ。
  29. 請求項27に記載の角速度センサにおいて、
    駆動制御回路が、各駆動用容量素子に供給する交流駆動信号として、半波整流電圧信号を用い、作用させるクーロン力をより大きくする場合は、供給する交流電圧信号に正のオフセット電圧を加え、作用させるクーロン力をより小さくする場合は、供給する交流電圧信号に負のオフセット電圧を加える(但し、電圧値が負になる場合は0とする)ことを特徴とする角速度センサ。
  30. 請求項1に記載の角速度センサにおいて、
    物理的に同一の容量素子を、モニタ用容量素子およびコリオリ力検出用容量素子として兼用することを特徴とする角速度センサ。
  31. 請求項1に記載の角速度センサにおいて、
    駆動制御回路からの交流駆動信号を、切替スイッチを介して駆動用容量素子に供給し、前記切替スイッチを切り替えることにより、物理的に同一の容量素子を、ある期間には、駆動用容量素子として機能させ、別な期間には、モニタ用容量素子もしくはコリオリ力検出用容量素子として機能させることができるようにしたことを特徴とする角速度センサ。
  32. 請求項31に記載の角速度センサにおいて、
    互いに平行な上面と下面とを有する振動子の重心位置に原点Oを定義し、振動子の上面および下面がXY平面に平行になるように、XYZ三次元座標系を定義し、X軸およびY軸の振動子上面および下面に対する正射影像を定義したときに、
    振動子上面側において、X軸の正射影像の正の部分に配置された第1の上面側容量素子と、X軸の正射影像の負の部分に配置された第2の上面側容量素子と、Y軸の正射影像の正の部分に配置された第3の上面側容量素子と、Y軸の正射影像の負の部分に配置された第4の上面側容量素子と、Z軸上もしくはZ軸を取り囲む位置に配置された第5の上面側容量素子と、を備え、
    前記第1の上面側容量素子と前記第2の上面側容量素子は、YZ平面に関して幾何学的に対称となっており、前記第3の上面側容量素子と前記第4の上面側容量素子は、XZ平面に関して幾何学的に対称となっており、前記第5の上面側容量素子はXZ平面およびYZ平面の双方に関して幾何学的に対称となる形状をしており、
    振動子下面側において、X軸の正射影像の正の部分に配置された第1の下面側容量素子と、X軸の正射影像の負の部分に配置された第2の下面側容量素子と、Y軸の正射影像の正の部分に配置された第3の下面側容量素子と、Y軸の正射影像の負の部分に配置された第4の下面側容量素子と、Z軸上もしくはZ軸を取り囲む位置に配置された第5の下面側容量素子と、を備え、
    前記第1の下面側容量素子と前記第2の下面側容量素子は、YZ平面に関して幾何学的に対称となっており、前記第3の下面側容量素子と前記第4の下面側容量素子は、XZ平面に関して幾何学的に対称となっており、前記第5の下面側容量素子はXZ平面およびYZ平面の双方に関して幾何学的に対称となる形状をしており、
    駆動制御回路は、振動子の運動周期の第1の四半周期を構成する期間T1にクーロン力を発生させることができる交流駆動信号φ1と、振動子の運動周期の第2の四半周期を構成する期間T2にクーロン力を発生させることができる交流駆動信号φ2と、振動子の運動周期の第3の四半周期を構成する期間T3にクーロン力を発生させることができる交流駆動信号φ3と、振動子の運動周期の第4の四半周期を構成する期間T4にクーロン力を発生させることができる交流駆動信号φ4と、を発生させ、
    前記交流駆動信号φ1は、前記期間T1に第1の切替状態となるように制御される第1の切替スイッチを介して前記第5の上面側容量素子に供給され、前記交流駆動信号φ2は、前記期間T2に第1の切替状態となるように制御される第2の切替スイッチを介して前記第2の上面側容量素子および前記第1の下面側容量素子に供給され、前記交流駆動信号φ3は、前記期間T3に第1の切替状態となるように制御される第3の切替スイッチを介して前記第5の下面側容量素子に供給され、前記交流駆動信号φ4は、前記期間T4に第1の切替状態となるように制御される第4の切替スイッチを介して前記第1の上面側容量素子および前記第2の下面側容量素子に供給され、これら交流駆動信号の供給により、振動子はXZ平面内で円運動し、
    前記駆動制御回路は、
    前記期間T1において、第2の切替状態となるように制御された前記第3の切替スイッチを介して前記第5の下面側容量素子の静電容量値を検出し、当該静電容量値をフィードバック量として、前記交流駆動信号φ1を制御し、
    前記期間T2において、第2の切替状態となるように制御された前記第4の切替スイッチを介して前記第1の上面側容量素子の静電容量値および前記第2の下面側容量素子の静電容量値を検出し、当該静電容量値をフィードバック量として、前記交流駆動信号φ2を制御し、
    前記期間T3において、第2の切替状態となるように制御された前記第1の切替スイッチを介して前記第5の上面側容量素子の静電容量値を検出し、当該静電容量値をフィードバック量として、前記交流駆動信号φ3を制御し、
    前記期間T4において、第2の切替状態となるように制御された前記第2の切替スイッチを介して前記第2の上面側容量素子の静電容量値および前記第1の下面側容量素子の静電容量値を検出し、当該静電容量値をフィードバック量として、前記交流駆動信号φ4を制御し、
    角速度検出回路は、
    前記期間T1および前記期間T3において、前記第3の上面側容量素子および前記第3の下面側容量素子ならびに前記第4の上面側容量素子および前記第4の下面側容量素子の静電容量値に基づいて、X軸まわりの角速度ωxを検出し、
    前記期間T2および前記期間T4において、第2の切替状態となるように制御された前記第1の切替スイッチを介して前記第5の上面側容量素子の静電容量値を検出し、第2の切替状態となるように制御された前記第3の切替スイッチを介して前記第5の下面側容量素子の静電容量値を検出し、当該静電容量値に基づいて、Y軸まわりの角速度ωyを検出し、
    前記期間T2および前記期間T4において、前記第3の上面側容量素子および前記第3の下面側容量素子ならびに前記第4の上面側容量素子および前記第4の下面側容量素子の静電容量値に基づいて、Z軸まわりの角速度ωzを検出することを特徴とする角速度センサ。
  33. 請求項1〜32のいずれかに記載の角速度センサにおいて、
    角速度検出回路が、モニタ用容量素子の静電容量値に基づいて、コリオリ力検出用容量素子の静電容量値の測定タイミングを決定することを特徴とする角速度センサ。
  34. 請求項1〜33のいずれかに記載の角速度センサにおいて、
    それぞれ独立した容量素子が形成されるという条件が満足される限りにおいて、複数の変位電極もしくは複数の固定電極を物理的に単一の導電層によって構成したことを特徴とする角速度センサ。
  35. 請求項34に記載の角速度センサにおいて、
    振動子を導電性材料によって構成し、各変位電極を振動子の表面層のそれぞれ特定の部分領域によって構成し、すべての変位電極が共通電位となるようにしたことを特徴とする角速度センサ。
  36. 請求項1〜35のいずれかに記載の角速度センサにおいて、
    可撓性部材が、振動子の周囲を取り囲む形状をなし、可撓性をもった板状構造体によって構成されており、前記板状構造体の内側部分が振動子に接続され、外側部分が装置筐体に固定されていることを特徴とする角速度センサ。
  37. 請求項1〜35のいずれかに記載の角速度センサにおいて、
    可撓性部材が、可撓性をもった複数の橋梁部によって構成されており、各橋梁部の内側端が振動子に接続され、外側端が装置筐体に固定されていることを特徴とする角速度センサ。
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