JP2005098892A - 角速度センサ - Google Patents

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Abstract

【課題】 角速度の検出感度の劣化を抑える。
【解決手段】 駆動用固定電極6a〜6f、7a〜7fに入力される駆動信号Va〜Vdは、振動子4をX軸方向に定常振動するように駆動する。Z軸周りの角速度ωzが作用するとコリオリ力の作用により、振動子4はY軸方向に振動する。変位検出部22は振動子4のY軸方向の変位を通じて角速度ωzを検出する。振動子4がY軸方向に変位することにより、駆動用可動電極4a〜4fと駆動用固定電極6a〜6fとの間の静電容量と、駆動用可動電極4a〜4fと駆動用固定電極7a〜7fとの間の静電容量とがアンバランスすることよりY軸方向に発生する正味の静電力を消去乃至低減するように、振幅制御器3は、振動子4のY軸方向の変位量に応じて、駆動信号Vaと駆動信号Vbの間、及び駆動信号Vcと駆動信号Vdの間で信号の強さを配分する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、振動式の角速度センサに関する。
角速度の検出を軽量で簡便に行うことを可能にする技術として、振動式の角速度センサが知られている。図8は、特許文献1に開示される従来の振動式の角速度センサの全体構成図である。この従来の角速度センサは、センシング部100と周辺回路とを有している。センシング部100は、基板71を有しており、基板71の上に固定された固定部材72a〜72dに基端側が連結された弾性支持部材74a〜74dよって、振動子73が基板71の主面から距離をおいて支持されている。振動子73は、弾性支持部材74a〜74dに支持されることにより、基板71の主面に平行なX−Y座標面内において変位可能となっている。振動子73の側面には、櫛歯状の可動電極77a〜77d、78a〜78dが設けられている。基板1の上には、固定電極79a〜79d、82a〜82dが、可動電極77a〜77d、78a〜78dの一方の面に対向するように立設されており、固定電極80a〜80d、83a〜83dが、可動電極77a〜77d、78a〜78dの他方の面に対向するように立設されている。
センサエレメント100は、SOI(Semiconductor On Insulator)基板に微細加工を施すことによって一体的に形成されるもので、基板71はSOI基板を構成する支持基板に相当し、シリコンを材料としている。基板71の上の振動子73を含む各部材は、SOI基板を構成するSOI層から形成されるもので、同じくシリコンを材料としている。固定部材72a〜72dと基板71との間、及び固定電極79a〜79d、80a〜80d、82a〜82d、83a〜83dと基板71との間は、SOI基板の埋め込み絶縁膜に相当するシリコン酸化膜によって、互いに電気的に絶縁されている。
スイッチング制御回路86は、スイッチSW1〜SW4をオンし、スイッチSW5〜SW8をオフすることにより、振動子73を強制振動させる励振モードと、スイッチSW1〜SW4をオフし、スイッチSW5〜SW8をオンすることにより、振動子73を自由振動させるとともに角速度を検出する角速度検出モードとの、2つの動作モードを交互に実現する。励振モードでは、励振信号発生回路85が生成する交流の励振信号が固定電極79a〜79d、80a〜80d、82a〜82d、83a〜83dに入力される。このとき、固定電極79a〜79d、80a〜80dと、固定電極82a〜82d、83a〜83dとには、互いに逆相の励振信号が入力される。その結果、可動電極77a〜77d、78a〜78dと固定電極79a〜79d、80a〜80d、82a〜82d、83a〜83dとの間に発生する静電力により、振動子73がX軸方向に振動する。振動子73がX軸方向に振動しているときに、Z軸周りの角速度が作用すると、Y軸方向のコリオリ力が振動子73に作用する。それにより、振動子73には、Z軸周りの角速度の大きさに応じた振幅の振動がY軸方向に発生する。
動作モードが励振モードから角速度検出モードへ切り替わると、固定電極79a〜79d、80a〜80d、82a〜82d、83a〜83dには、励振信号発生回路85からの励振信号は入力されなくなるので、振動子73は自由振動することとなる。角速度検出モードでは、固定電極79a〜79d、82a〜82dは、C−V(容量−電圧)変換器88へ接続され、固定電極80a〜80d、83a〜83dは、C−V変換器89へ接続される。演算回路90は、C−V変換器88及びC−V変換器89が出力する電圧信号を受けることにより、可動電極77a〜77d、78a〜78dと固定電極79a〜79d、80a〜80d、82a〜82d、83a〜83dとの間の静電容量の変化量として振動子73のY軸方向の変位量を捉え、それによりZ軸周りの角速度を検出する。
特開2000−81335号公報
図9は、振動子73の動きを詳細に示す説明図である。図9では、可動電極77a〜77d、78a〜78dを可動電極77a、78aで代表して示し、固定電極79a〜79d、80a〜80d、82a〜82d、83a〜83dを固定電極79a、80a、82a、83aで代表して示す。図9(a)に示すように、固定電極79a、80a、82a、83aへの励振信号の入力が始まる前には、振動子73は弾性支持部材72a〜72dの弾性復元力が釣り合う平衡位置にあり、このとき可動電極77a、78aは、固定電極79a、80a、82a、83aから等しく離れた位置にある。説明の便宜のために、可動電極77aと固定電極79aとの間の静電容量をC1で表し、可動電極77aと固定電極80aとの間の静電容量をC2で表す。同様に、可動電極78aと固定電極82aとの間の静電容量をC3で表し、可動電極78aと固定電極83aとの間の静電容量をC4で表す。振動子73が図9(a)に示す平衡位置にあるときには、静電容量C1〜C4は、互いに等しい大きさとなる。
固定電極79a、80a、82a、83aに励振信号が入力されると、振動子73はX軸方向に振動する。このとき、Z軸周りの角速度ωzが振動子73に作用すると、Y軸方向のコリオリ力によりY軸方向の振動が発生し、X軸方向の振動とY軸方向の振動とが合成されることにより、振動子73は上記平衡点を中心とする楕円軌道に沿った回転運動をする。即ち、振動子73は図9(b)〜図9(e)の順序で楕円運動をする。図9(b)に示すように、振動子73のY軸負方向の変位量が最も大きいときには、静電容量C2とC4は最大となり、静電容量C1とC3は最小となる。即ち、静電容量C1、C3と静電容量C2、C4との間のアンバランスは最大となる。可動電極77aと固定電極79aの間に作用する静電力(静電引力)は、それらの電極間に印加される電圧と、それらの間の静電容量C1との積に略比例する。他の可動電極と固定電極との間の静電力についても同様の関係が成り立つ。従って、静電容量C1、C3と静電容量C2、C4との間のアンバランスにより、可動電極77aにはY軸負方向の静電力が作用する。
これに対して、図9(c)に示すように、振動子73のY軸方向の変位量がゼロとなるときには、静電容量C1とC3は等しくなり、静電容量C2とC4も等しくなる。即ち、静電容量C1、C3と静電容量C2、C4との間のアンバランスは最小のゼロとなる。従って、振動子73が図9(c)の位置にあるときには、振動子73にはY軸方向の静電力は作用しない。同様に、振動子73が図9(d)の位置にあるときには、振動子73にはY軸正方向の静電力が作用し、振動子73が図9(e)の位置にあるときには、振動子73にはY軸方向の静電力は作用しない。
即ち、振動子73が図9(e)の位置から図9(b)の位置を経て図9(c)の位置に至る間には、振動子73にはY軸負方向の静電力が大きさを変えつつ作用し、振動子73が図9(c)の位置から図9(d)の位置を経て図9(e)の位置に至る間には、振動子73にはY軸正方向の静電力が大きさを変えつつ作用する。このように、振動子73がY軸方向に変位することに伴って静電容量C1〜C4の間に生じるアンバランスによって、振動子73にはY軸方向の静電力が作用する。すなわち、振動子73にはZ軸周りの角速度によるY軸方向のコリオリ力以外に、Y軸方向の静電力が作用する。その結果、振動子73のY軸方向の変位を通じて検出されるZ軸周りの角速度の検出感度が低下するという問題点があった。
本発明は従来技術における上記の問題点に鑑みてなされたもので、振動子が角速度を受けて変位することにより駆動用可動電極と駆動用固定電極との間に発生する変位方向の静電力による角速度の検出感度の劣化を抑えた角速度センサを提供することを目的とする。
上記課題を解決し上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、角速度センサであって、基板と、基端側を前記基板に固定され弾性を有する弾性支持部材と、前記弾性支持部材の先端側に固着されることにより前記基板の上方に前記基板から離間して支持される振動子と、前記振動子に設けられ、前記基板の主面に沿った第1所定軸の正方向に向いた第1電極面と前記第1所定軸の負方向に向いた第2電極面とを有する可動電極と、前記基板に固定され、前記第1所定軸に垂直な第2所定軸の方向の端部において対向しない部分を残して、前記第1電極面に対向する第1固定電極と、前記基板に固定され、前記第2所定軸の方向の端部において対向しない部分を残して、前記第2電極面に対向する第2固定電極と、前記振動子を前記第2所定軸に沿った方向に定常振動させるための駆動信号を前記第1固定電極及び前記第2固定電極に入力する駆動信号入力部と、前記第1所定軸及び前記第2所定軸の双方に垂直な第3所定軸の周りに作用する角速度により前記第1所定軸に沿った方向に前記振動子が変位する量である変位量を検出する変位検出部と、を備え、前記駆動信号入力部は、前記変位検出部が検出する前記変位量に基づいて、前記第1電極面と前記第1固定電極との間に作用する第1静電力と前記第2電極面と前記第2固定電極との間に作用する第2静電力との間の偏差を低減するように、前記第1固定電極と前記第2固定電極との間で、入力する前記駆動信号の強さを配分することを特徴とするものである。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1記載の角速度センサであって、前記第2所定軸が前記基板の前記主面に垂直であり、前記角速度センサは、前記振動子に設けられ、前記第3所定軸の正方向に向いた第3電極面と前記第3所定軸の負方向に向いた第4電極面とを有する別の可動電極と、前記基板に固定され、前記第2所定軸の方向の端部において対向しない部分を残して、前記第3電極面に対向する第3固定電極と、前記基板に固定され、前記第2所定軸の方向の端部において対向しない部分を残して、前記第4電極面に対向する第4固定電極と、前記1所定軸の周りに作用する角速度により前記第3所定軸に沿った方向に前記振動子が変位する量である変位量を検出する別の変位検出部と、を更に備え、前記駆動信号入力部は、前記駆動信号を前記第3固定電極及び前記第4固定電極にも入力するものであり、且つ、前記別の変位検出部が検出する前記変位量に基づいて、前記第3電極面と前記第3固定電極との間に作用する第3静電力と前記第4電極面と前記第4固定電極との間に作用する第4静電力との間の偏差を低減するように、前記第3固定電極と前記第4固定電極との間においても、入力する前記駆動信号の強さを配分するものである。
このような構成の角速度センサは、駆動信号が入力されることにより第2所定軸方向に定常振動する振動子が第3所定軸周りの角速度を受けることによって第1所定軸方向に変位する量である変位量に基づいて、第1電極面と第1固定電極との間に作用する第1静電力と、第2電極面と第2固定電極との間に作用する第2静電力との間の偏差を低減するように、第1固定電極と第2固定電極との間に入力する駆動信号の強さを配分するので、第1所定軸方向の変位によって可動電極と固定電極との間に発生する第1所定軸方向の正味の静電力が低減される。それにより、第1所定軸方向の正味の静電力の上記変位量への影響が低減されるので、上記変位量として検出される第3所定軸周りの角速度の検出感度が向上する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態による角速度センサの全体構成図である。また、図2は、同角速度センサのセンシング部の斜視図(図2(a))及び断面図(図2(b))である。図2(b)は、図2(a)のA−A切断線及びB−B切断線に沿った断面図である。この角速度センサ101は、センシング部111とその周辺回路とを備えている。センシング部111は基板21を有しており、基板21の上に固定された固定部材23a〜23dに基端側が連結された弾性支持部材5a〜5dよって、直方体の振動子4が支持されている。振動子4は、基板21から離間し基板21の上方に浮遊した状態で、且つその上面および底面が基板21の主面に平行になるように支持されている。振動子4は、弾性支持部材5a〜5dに支持されることにより、基板21の主面に平行なX−Y座標面内において変位可能となっている。
振動子4の側面には、櫛歯状の駆動用可動電極4a〜4f、櫛歯状の検出用可動電極4i、4j、4m、4nが設けられている。基板21の上には、駆動用固定電極(第1固定電極)6a〜6fが、駆動用可動電極4a〜4fのY軸(第1所定軸)正方向に向いた面(第1電極面)に対向するように立設されており、駆動用固定電極(第2固定電極)7a〜7fが、駆動用可動電極4a〜4fのY軸負方向に向いた面(第2電極面)に対向するように立設されている。基板21の上には更に、櫛歯状の検出用固定電極10aが、櫛歯状の検出用可動電極4i、4jに噛合するように立設されており、櫛歯状の検出用固定電極10bが、櫛歯状の検出用可動電極4m,4nに噛合するように立設されている。
駆動用可動電極4a〜4f及び駆動用固定電極6a〜6f、7a〜7fの個数は、図1及び図2に例示するものに限られず、好ましくは、駆動力を高めるために遙かに大きく設定される。同様に、検出用可動電極4i,4j,4m,4n及び検出用固定電極10a、10bの櫛歯の個数は、図1及び図2に例示するものに限られず、好ましくは、検出感度を高めるために遙かに大きく設定される。
駆動用固定電極6a〜6fと駆動用可動電極4a〜4f、及び駆動用固定電極7a〜7fと駆動用可動電極4a〜4fは、X軸(第2所定軸)方向の端部において、互いに対向しない部分41、42を有している(図2(b)参照)。これにより、駆動用固定電極6a〜6f、7a〜7fに駆動信号が入力されたときに、可動電極4a〜4fにX軸方向の駆動力が生じる。
センシング部111は、半導体微細加工プロセスを用いて製造可能である。基板21及び基板21の上に設けられる振動子4を含む各部材は、例えばシリコンを材料としている。駆動用固定電極6a〜6f、7a〜7fと基板21との間、及び検出用固定電極10a、10bと基板21との間は、絶縁膜50(図2(b)参照)によって、互いに電気的に絶縁されている。絶縁膜50は、例えばシリコン酸化物を材料とする。なお、振動子4は、弾性支持部材5a〜5d及び固定部材23a〜23dを通じて、基板21に接地されている。更に、駆動用可動電極4a〜4f及び検出用可動電極4i、4j、4m、4nは、振動子4と同一材料で構成され、振動子4と一体的に連結している。
周辺回路は、信号発生器1、位相制御器2、振幅制御器3、C−V変換器11、及び演算器12を備えている。信号発生器1、位相制御器2及び振幅制御器3は駆動信号入力部20を構成する。また、検出用可動電極4i、4j、4m、4n、検出用固定電極10a、10b、C−V変換器11、及び演算器12の一部は変位検出部22を構成する。信号発生器1は、正弦波又は矩形波等の交流信号を生成する。位相制御器2は、例えば1倍乗算器2aと−1倍乗算器2bとを備えることにより、信号発生器1が生成した交流信号の位相を0°及び180°シフトさせることにより、正相及び逆相の交流信号を生成する。振幅制御器3は、例えば増幅率が可変の増幅器3a〜3dを備えることにより、正相及び逆相の交流信号の振幅を調整して、駆動信号Va〜Vdを出力する。正相の駆動信号Vaは駆動用固定電極6a〜6cへ入力され、正相の駆動信号Vbは駆動用固定電極7a〜7cへ入力され、逆相の駆動信号Vcは駆動用固定電極6d〜6fへ入力され、逆相の駆動信号Vdは駆動用固定電極7d〜7fへ入力される。
図3は、振幅制御器3が駆動信号Va〜Vdの振幅を同一に調整したときの駆動信号Va〜Vdの波形の例を示すグラフである。図3(a)は、駆動信号Va〜Vdが正弦波である場合の波形図であり、図3(b)は同信号が矩形波である場合の波形図である。図3が示すように、駆動信号Va〜Vdは、例えば負電位とならないように正電位側にバイアスされている。駆動信号Va〜Vdが駆動用固定電極6a〜6f、7a〜7fに入力されることにより、駆動用可動電極4a〜4fと駆動用固定電極6a〜6f、7a〜7fとの間には、静電引力が作用する。駆動用固定電極6a〜6c、7a〜7cと駆動用固定電極6d〜7f、7d〜7fとには、互いに逆相の駆動信号Va、Vbと駆動信号Vc、Vdとがそれぞれ入力されるので、駆動用可動電極4a〜4fには、X軸方向に沿った駆動力が生じる。この駆動力により、振動子4はX軸方向に定常振動する。この定常振動は参照振動と称される。
振動子4が参照振動を行っているときに、Z軸(第3所定軸)周りに角速度ωzが作用すると、Y軸方向にコリオリ力が作用する。Y軸方向のコリオリ力Fyは、角速度ωzと参照振動の速度Vxと振動子4の質量Mとの積に比例し、より詳細には、
Fy=2M・ωz・Vx ・・・・(式1)
で表される。
従って、Z軸周りの角速度ωzは、振動子4のY軸方向への振動を生じる。コリオリ力FyによるY軸方向の振動とX軸方向の参照振動との合成により、振動子4はXY平面上で楕円運動をする。角速度ωzが大きいほど振動子4のY方向の振幅は大きくなる。変位検出部22は、Y軸方向の振動にともなって振動子4がY軸方向に変位する量である変位量を通じて角速度ωzを検出する。
振動子4がY軸方向に変位すると、検出用可動電極4i、4jと検出用固定電極10aとの間の静電容量、及び検出用可動電極4m、4nと検出用固定電極10bとの間の静電容量が変化する。これらの静電容量の変化は、互いに逆相となる。C−V変換器11aは検出用可動電極4i、4jと検出用固定電極10aとの間の静電容量を電圧信号へ変換し、C−V変換器11bは検出用可動電極4m、4nと検出用固定電極10bとの間の静電容量を電圧信号へ変換する。演算器12が備える減算器12aは、C−V変換器11aが出力する電圧信号とC−V変換器11bが出力する電圧信号との差を演算して出力する。即ち、減算器12aは、入力される2つの電圧信号の間の逆相成分を取り出すことにより、振動子4のY軸方向の変位量を検出する。
振動子4のY軸方向の変位量の検出信号である減算器12aの出力信号は、振幅制御器3へフィードバックされる。後述するように、振幅制御器3は、フィードバックされた検出信号に基づいて、駆動用可動電極4a〜4fに作用するY軸方向の静電力を低減乃至消去するように、駆動信号Vaと駆動信号Vbの間の強度の配分、及び駆動信号Vcと駆動信号Vdの間の強度の配分を調整する。
演算器12が備える加算器12cは、C−V変換器11aが出力する電圧信号とC−V変換器11bが出力する電圧信号との和を演算して出力する。即ち、加算器12cは、入力される2つの電圧信号の間の同相成分を取り出すことにより、振動子4のX軸方向の変位量を検出する。振動子4がX軸方向に変位するのに伴って、検出用可動電極4i、4jと検出用固定電極10aとの間の距離、及び検出用可動電極4m、4nと検出用固定電極10bとの間の距離が変化すると、それに伴い、それらの間の静電容量が変化する。この静電容量の変化は、C−V変換器11a及び11bの出力電圧に同相成分として現れるので、加算器12cの出力信号は振動子4のX軸方向の変位量の検出信号となる。加算器12cの出力信号は信号発生器1へフィードバックされる。信号発生器1は、フィードバックされた検出信号に基づいて、振動子4のX軸方向の参照振動の振幅及び周波数が、与えられた基準となる振幅及び周波数にそれぞれ一致するように、生成する交流信号の振幅及び周波数を制御する。
図4は、振幅制御器3の動作を説明するための図である。図4では、駆動用可動電極4a〜4fを代表して駆動用可動電極4a、4dを示し、駆動用固定電極6a〜6f、7a〜7fを代表して、駆動用固定電極6a、6d、7a、7dを示している。X軸方向に参照振動する振動子4が、角速度ωzを受けることによりY軸方向に振動する過程で、図4に例示するようにY軸正方向に変位したときには、駆動用可動電極4aと駆動用固定電極6aとの間の静電容量Caは、駆動用可動電極4aと駆動用固定電極7aとの間の静電容量Cbよりも大きくなる。同様に、駆動用可動電極4dと駆動用固定電極6dとの間の静電容量Ccは、駆動用可動電極4dと駆動用固定電極7dとの間の静電容量Cdよりも大きくなる。
従って、駆動信号Vaと駆動信号Vbとが同一強度であって、駆動信号Vcと駆動信号Vdとが同一強度であれば、駆動用可動電極4aと駆動用固定電極6aとの間に作用する静電力は、駆動用可動電極4aと駆動用固定電極7aとの間に作用する静電力よりも大きくなる。同様に、駆動用可動電極4dと駆動用固定電極6dとの間に作用する静電力は、駆動用可動電極4dと駆動用固定電極7dとの間に作用する静電力よりも大きくなる。その結果、可動電極4a、4dには、それらの合成力としての静電力、即ち正味の静電力がY軸正方向に作用し、角速度ωzによるY軸方向のコリオリ力Fy以外の力がY軸方向に作用することとなる。
振幅制御器3は、減算器12aが出力するY軸方向の変位量の検出信号に基づいて、静電容量Caと静電容量Cbとの間のアンバランスに起因する静電力のアンバランス(偏差)を埋め合わせるように、駆動信号Vaを駆動信号Vbよりも弱くする。即ち、振幅制御器3は、
Ca・Va=Cb・Vb ・・・・(式2)
の関係が成り立つように、或いはこの関係に近付くように、駆動信号Va及び駆動信号Vbの強さを配分する。
同様に、振幅制御器3は、減算器12aが出力するY軸方向の変位量の検出信号に基づいて、静電容量Ccと静電容量Cdとの間のアンバランスに起因する静電力のアンバランス(偏差)を埋め合わせるように、駆動信号Vcを駆動信号Vdよりも弱くする。即ち、振幅制御器3は、
Cc・Vc=Cd・Vd ・・・・(式3)
の関係が成り立つように、或いはこの関係に近付くように、駆動信号Vc及び駆動信号Vdの強さを配分する。振幅制御器3は、振動子4がY軸負方向に変位したときにも、式2及び式3の関係が成り立つように、乃至それらの関係に近付くように駆動信号Va〜Vdの強さを配分する。このとき、駆動信号Vaと駆動信号Vbとの間の大小関係、及び駆動信号Vcと駆動信号Vdとの間の大小関係は、上記とは逆となる。
このように、振幅制御器3は、Y軸方向の変位量に応じて、式2及び式3が成り立つように、或いは式2及び式3に近付くように、駆動信号Vaと駆動信号Vbとの間の強さの配分、及び駆動信号Vcと駆動信号Vdとの間の強さの配分を調整する。それにより、振動子4がY軸方向に変位することに伴って駆動用可動電極4a〜4fに発生するY軸方向の静電力のアンバランスが解消乃至低減され、駆動用可動電極4a〜4fに作用するY軸方向の正味の静電力が消去乃至低減される。従って、減算器12aが検出する振動子4のY軸方向の変位量において、角速度ωzに起因するコリオリ力Fy以外の力成分の影響が消去乃至低減されるので、振動子4のY軸方向の変位量に基づく角速度ωzの検出の感度が向上する。
(第2の実施形態)
図5は、本発明の第2の実施形態による角速度センサの全体構成図である。また、図6は、同角速度センサのセンシング部の斜視図(図6(a))及び断面図(図6(b))である。図6(b)は、図6(a)のC−C切断線及びD−D切断線に沿った断面図である。図5及び図6において、図1及び図2と同一部分又は対応する部分には、同一の符号を付している。
この角速度センサ102は、センシング部112とその周辺回路とを備えている。センシング部112では、基板21の上に固定された固定部材23a〜23dに基端側が連結された弾性支持部材5a〜5dよって、直方体の振動子4が基板21の上に支持されている。振動子4は、基板21から離間し基板21の上方に浮遊した状態で、かつその上面および底面が基板21の主面に平行になるように支持されている。振動子4は、弾性支持部材5a〜5dに支持されることにより、基板21の主面に平行なX−Y座標面内に加えて当該主面に垂直なZ軸方向にも変位可能となっている。
振動子4の側面には、櫛歯状の駆動用可動電極4a〜4h、櫛歯状の検出用可動電極4i、4j、4m、4n、4r、4s、4t、4uが設けられている。本実施形態による角速度センサ102では、駆動用可動電極4a〜4hと検出用可動電極4i、4j、4m、4n、4r、4s、4t、4uとの双方が、振動子4の4つの側面の全てに配分されている。基板21の上には、駆動用固定電極(第1固定電極)6a〜6dが、駆動用可動電極4a〜4dのY軸(第1所定軸)正方向に向いた面(第1電極面)に対向するように立設されており、駆動用固定電極(第2固定電極)7a〜7dが、駆動用可動電極4a〜4dのY軸負方向に向いた面(第2電極面)に対向するように立設されている。同様に基板21の上には、駆動用固定電極(第3固定電極)7e〜7hが、駆動用可動電極4e〜4hのX軸(第3所定軸)正方向に向いた面(第3電極面)に対向するように立設されており、駆動用固定電極(第4固定電極)6e〜6hが、駆動用可動電極4e〜4hのX軸負方向に向いた面(第4電極面)に対向するように立設されている。
基板21の上には更に、櫛歯状の検出用固定電極10aが、櫛歯状の検出用可動電極4i、4jに噛合するように立設されており、櫛歯状の検出用固定電極10bが、櫛歯状の検出用可動電極4m,4nに噛合するように立設されている。同様に基板21の上には、櫛歯状の検出用固定電極10cが、櫛歯状の検出用可動電極4r、4sに噛合するように立設されており、櫛歯状の検出用固定電極10dが、櫛歯状の検出用可動電極4t,4uに噛合するように立設されている。
駆動用可動電極4a〜4h及び駆動用固定電極6a〜6h、7a〜7hの個数が、図5及び図6に例示するものに限られず、好ましくは、駆動力を高めるために遙かに大きく設定される点、並びに、検出用可動電極4i,4j,4m,4n、4r、4s、4t、4u及び検出用固定電極10a〜10dの櫛歯の個数が、図5及び図6に例示するものに限られず、好ましくは、検出感度を高めるために遙かに大きく設定される点は、第1の実施形態による角速度センサ101と同様である。
角速度センサ102では、いわゆるVertical Comb Driveを実現するために、振動子4は、駆動用固定電極6a〜6h、7a〜7hよりもやや高い位置に支持されている。即ち、駆動用固定電極6a〜6hと駆動用可動電極4a〜4h、及び駆動用固定電極7a〜7hと駆動用可動電極4a〜4hは、Z軸(第2所定軸)方向の端部において、互いに対向しない部分43、44を有している(図6(b)参照)。これにより、駆動用固定電極6a〜6h、7a〜7hに駆動信号が入力されたときに、可動電極4a〜4hにZ軸方向の駆動力が生じる。このように角速度センサ102は、振動子4がZ軸方向に参照振動するように構成されている。また、検出用可動電極4i,4j,4m,4n、4r、4s、4t、4uと検出用固定電極10a〜10dとの間にも、同様に対向しない部分43、44が設けられている(図6(b)参照)。
第1の実施形態によるセンシング部111と同様に、センシング部112は、半導体微細加工プロセスを用いて製造可能であり、基板21及び基板21の上に設けられる振動子4を含む各部材は、例えばシリコンを材料としている。駆動用固定電極6a〜6h、7a〜7hと基板21との間、及び検出用固定電極10a〜10dと基板21との間は、例えばシリコン酸化物を材料とする絶縁膜50によって、互いに電気的に絶縁されている。振動子4が、弾性支持部材5a〜5d及び固定部材23a〜23dを通じて、基板21に接地されている点、更に、駆動用可動電極4a〜4h及び検出用可動電極4i、4j、4m、4n、4r、4s、4t、4uが、振動子4と同一材料で構成され、振動子4と一体的に連結している点もセンシング部111と同様である。
周辺回路は、信号発生器1、振幅制御器3、C−V変換器11、及び演算器12を備えている。信号発生器1及び振幅制御器3は駆動信号入力部20を構成する。また、検出用可動電極4i、4j、4m、4n、4r、4s、4t、4u、検出用固定電極10a〜10d、C−V変換器11、及び演算器12の一部は変位検出部22を構成する。信号発生器1は、第1の実施形態における信号発生器1と同様に、正弦波又は矩形波等の交流信号を生成する。第1の実施形態による角速度センサ101とは異なり、駆動信号入力部20は位相制御器2を必要としない。従って、振幅制御器3は、同相の交流信号の振幅を調整して、駆動信号Va〜Vdを出力する。駆動信号Vaは駆動用固定電極6a〜6dへ入力され、駆動信号Vbは駆動用固定電極7a〜7dへ入力され、駆動信号Vcは駆動用固定電極6e〜6hへ入力され、駆動信号Vdは駆動用固定電極7e〜7hへ入力される。振幅制御器3が駆動信号Va〜Vdの振幅を同一に調整したときの駆動信号Va〜Vdの波形の例は、図3において、駆動信号Va(Vb)と駆動信号Vc(Vd)とのうちの一方の曲線によって共通に描かれる。
駆動信号Va〜Vdが駆動用固定電極6a〜6h、7a〜7hに入力されることにより、駆動用可動電極4a〜4hと駆動用固定電極6a〜6h、7a〜7hとの間には、静電引力が作用する。駆動用可動電極4a〜4hと駆動用固定電極6a〜6h、7a〜7hとは、互いに対向しない部分43、44を有しているために、同相の駆動信号Va〜Vdが入力されることによって、駆動用可動電極4a〜4hには、Z軸方向に沿った駆動力が生じる。この駆動力により、振動子4はZ軸方向に定常振動する。
振動子4がZ軸方向に参照振動を行っているときに、X軸周りに角速度ωxが作用すると、Y軸方向にコリオリ力が作用する。Y軸方向のコリオリ力Fyは、角速度ωxと参照振動の速度Vzと振動子4の質量Mとの積に比例し、より詳細には、
Fy=2M・ωx・Vz ・・・・(式4)
で表される。
従って、X軸周りの角速度ωxは、振動子4のY軸方向への振動を生じる。コリオリ力FyによるY軸方向の振動とZ軸方向の参照振動との合成により、振動子4はYZ平面上で楕円運動をする。角速度ωxが大きいほど振動子4のY方向の振幅は大きくなる。
同様に、振動子4がZ軸方向に参照振動を行っているときに、Y軸周りに角速度ωyが作用すると、X軸方向にコリオリ力が作用する。X軸方向のコリオリ力Fxは、角速度ωyと参照振動の速度Vzと振動子4の質量Mとの積に比例し、より詳細には、
Fx=2M・ωy・Vz ・・・・(式5)
で表される。
従って、Y軸周りの角速度ωyは、振動子4のX軸方向への振動を生じる。コリオリ力FxによるX軸方向の振動とZ軸方向の参照振動との合成により、振動子4はXZ平面上で楕円運動をする。角速度ωyが大きいほど振動子4のX方向の振幅は大きくなる。
変位検出部22は、Y軸方向の振動にともなって振動子4がY軸方向に変位する量である変位量を通じて角速度ωxを検出するとともに、X軸方向の振動にともなって振動子4がX軸方向に変位する量である変位量を通じて角速度ωyを検出する。
振動子4がY軸方向に変位すると、検出用可動電極4i、4jと検出用固定電極10aとの間の静電容量、及び検出用可動電極4m、4nと検出用固定電極10bとの間の静電容量が変化する。これらの静電容量の変化は、互いに逆相となる。C−V変換器11aは検出用可動電極4i、4jと検出用固定電極10aとの間の静電容量を電圧信号へ変換し、C−V変換器11bは検出用可動電極4m、4nと検出用固定電極10bとの間の静電容量を電圧信号へ変換する。演算器12が備える減算器12aは、C−V変換器11aが出力する電圧信号とC−V変換器11bが出力する電圧信号との差を演算して出力する。即ち、減算器12aは、入力される2つの電圧信号の間の逆相成分を取り出すことにより、振動子4のY軸方向の変位量を検出する。
同様に、振動子4がX軸方向に変位すると、検出用可動電極4r、4sと検出用固定電極10cとの間の静電容量、及び検出用可動電極4t、4uと検出用固定電極10dとの間の静電容量が変化する。これらの静電容量の変化は、互いに逆相となる。C−V変換器11cは検出用可動電極4r、4sと検出用固定電極10cとの間の静電容量を電圧信号へ変換し、C−V変換器11dは検出用可動電極4t、4uと検出用固定電極10dとの間の静電容量を電圧信号へ変換する。演算器12が備える減算器12bは、C−V変換器11cが出力する電圧信号とC−V変換器11dが出力する電圧信号との差を演算して出力する。即ち、減算器12bは、入力される2つの電圧信号の間の逆相成分を取り出すことにより、振動子4のX軸方向の変位量を検出する。
振動子4のY軸方向の変位量の検出信号である減算器12aの出力信号、及び振動子4のX軸方向の変位量の検出信号である減算器12bの出力信号は、振幅制御器3へフィードバックされる。後述するように、振幅制御器3は、フィードバックされた検出信号に基づいて、駆動用可動電極4a〜4dに作用するY軸方向の静電力を低減乃至消去するように、駆動信号Vaと駆動信号Vbの間の強度の配分を調整し、駆動用可動電極4e〜4hに作用するX軸方向の静電力を低減乃至消去するように、駆動信号Vcと駆動信号Vdの間の強度の配分を調整する。
演算器12が備える加算器12cは、第1の実施形態と同様に、C−V変換器11aが出力する電圧信号とC−V変換器11bが出力する電圧信号との和を演算して出力する。即ち、加算器12cは、入力される2つの電圧信号の間の同相成分を取り出すことにより、振動子4のZ軸方向の変位量を検出する。振動子4がZ軸方向に変位するのに伴って、検出用可動電極4i、4jと検出用固定電極10aとの間の対向面積が変化し、検出用可動電極4m、4nと検出用固定電極10bとの間の対向面積が変化すると、それに伴い、それらの間の静電容量が変化する。この静電容量の変化は、C−V変換器11a及び11bの出力電圧に同相成分として現れるので、加算器12cの出力信号は振動子4のZ軸方向の変位量の検出信号となる。信号発生器1は、加算器12cからフィードバックされた検出信号に基づいて、振動子4のZ軸方向の参照振動の振幅及び周波数が、与えられた基準となる振幅及び周波数にそれぞれ一致するように、生成する交流信号の振幅及び周波数を制御する。
図7は、振幅制御器3の動作を説明するための図である。図7では、駆動用可動電極4a〜4dを代表して駆動用可動電極4a、4cを示し、駆動用固定電極6a〜6d、7a〜7dを代表して、駆動用固定電極6a、6c、7a、7cを示している。Z軸方向に参照振動する振動子4が、角速度ωxを受けることによりY軸方向に振動する過程で、図7に例示するようにY軸正方向に変位したときには、駆動用可動電極4aと駆動用固定電極6aとの間の静電容量Caは、駆動用可動電極4aと駆動用固定電極7aとの間の静電容量Cbよりも大きくなる。同様に、駆動用可動電極4cと駆動用固定電極6cとの間の静電容量Ccは、駆動用可動電極4cと駆動用固定電極7cとの間の静電容量Cdよりも大きくなる。なお、振動子4が角速度ωyを受けてX軸方向に変位する場合もあることから、図7では振動子4がX軸方向にも変位した状態を描いている。
従って、駆動信号Vaと駆動信号Vbとが同一強度であれば、駆動用可動電極4aと駆動用固定電極6aとの間に作用する静電力は、駆動用可動電極4aと駆動用固定電極7aとの間に作用する静電力よりも大きくなり、駆動用可動電極4cと駆動用固定電極6cとの間に作用する静電力は、駆動用可動電極4cと駆動用固定電極7cとの間に作用する静電力よりも大きくなる。その結果、可動電極4a、4cには、Y軸正方向に正味の静電力が作用し、角速度ωxによるY軸方向のコリオリ力Fy以外の力がY軸方向に作用することとなる。
振幅制御器3は、減算器12aが出力するY軸方向の変位量の検出信号に基づいて、静電容量Caと静電容量Cbとの間のアンバランス、及び静電容量Ccと静電容量Cdとの間のアンバランスに起因する静電力のアンバランス(偏差)を埋め合わせるように、駆動信号Vaを駆動信号Vbよりも弱くする。即ち、振幅制御器3は、
Ca・Va=Cb・Vb ・・・・(式6)
Cc・Va=Cd・Vb ・・・・(式7)
の関係が同時に成り立つように、或いはこれらの関係に近付くように、駆動信号Va及び駆動信号Vbの強さを配分する。静電容量Caと静電容量Cbとの比率は、静電容量Ccと静電容量Cdとの比率と同一になるので、式6と式7とは、一方が満たされれば他方は同時に満たされる。振動子4がY軸負方向に変位したときにも、式6及び式7の関係が成り立つように、乃至それらの関係に近付くように駆動信号Va、Vbの強さを配分する。このとき、駆動信号Vaと駆動信号Vbの間の大小関係は、上記とは逆となる。
このように、振幅制御器3は、Y軸方向の変位量に応じて、式6及び式7が成り立つように、或いは式6及び式7に近付くように、駆動信号Vaと駆動信号Vbとの間の強さの配分を調整する。それにより、振動子4がY軸方向に変位することに伴って駆動用可動電極4a〜4dに発生するY軸方向の静電力のアンバランスが解消乃至低減され、駆動用可動電極4a〜4dに作用するY軸方向の正味の静電力が消去乃至低減される。従って、減算器12aが検出する振動子4のY軸方向の変位量において、角速度ωxに起因するコリオリ力Fy以外の力成分の影響が消去乃至低減されるので、振動子4のY軸方向の変位量に基づく角速度ωxの検出の感度が向上する。
同様に、駆動用可動電極4eと駆動用固定電極6eとの間の静電容量をCeとし、駆動用可動電極4eと駆動用固定電極7eとの間の静電容量をCfとし、駆動用可動電極4gと駆動用固定電極6gとの間の静電容量をCgとし、駆動用可動電極4gと駆動用固定電極7gとの間の静電容量をChとしたときに、振幅制御器3は、X軸方向の変位量に応じて、
Ce・Vc=Cf・Vd ・・・・(式8)
Cg・Vc=Ch・Vd ・・・・(式9)
の関係が同時に成り立つように、或いはこれらの関係に近付くように、駆動信号Vc及び駆動信号Vdの強さを配分する。それにより、振動子4がX軸方向に変位することに伴って駆動用可動電極4e〜4hに発生するX軸方向の静電力のアンバランスが解消乃至低減され、駆動用可動電極4e〜4hに作用するX軸方向の正味の静電力が消去乃至低減される。従って、減算器12bが検出する振動子4のX軸方向の変位量において、角速度ωyに起因するコリオリ力Fx以外の力成分の影響が消去乃至低減されるので、振動子4のX軸方向の変位量に基づく角速度ωyの検出の感度が向上する。
以上のように、第2の実施の形態による角速度センサ102では、角速度の2軸方向の成分を同時に検出することができ、しかも検出感度を高めることができる。従って、2軸方向あるいは3軸方向の角速度を検出するために、1個あるいは2個の角速度センサ102を使用すれば足り、より縮小されたサイズで、かつ高い感度で角速度を検出することが可能となる。
(その他の実施形態)
上記の各実施形態では、駆動用可動電極、駆動用固定電極、検出用可動電極、検出用固定電極は、振動子4の外周側面に沿って設けられたが、本発明の角速度センサは、これらの電極の位置に関して、上記各実施の形態に限定するものではない。例えば、振動子4の内側に貫通孔を設け、この貫通孔の側面に沿って上記各電極を配置してもよい。
本発明の第1の実施形態による角速度センサの全体構成図である。 図1の角速度センサのセンシング部の斜視図及び断面図である。 駆動信号の波形の例を示すグラフである。 図1の角速度センサの振幅制御器の動作説明図である。 本発明の第2の実施形態による角速度センサの全体構成図である。 図5の角速度センサのセンシング部の斜視図及び断面図である。 図5の角速度センサの振幅制御器の動作説明図である。 従来技術による角速度センサの全体構成図である。 図8の角速度センサの振動子の動きを説明する動作説明図である。
符号の説明
4 振動子
4a〜4h 駆動用可動電極(可動電極)
5a〜5d 弾性支持部材
6a〜6d 駆動用固定電極(第1固定電極)
6e、6f 駆動用電極(第1固定電極、第4固定電極)
6g、6h 駆動用電極(第4固定電極)
7a〜7d 駆動用固定電極(第2固定電極)
7e、7f 駆動用電極(第2固定電極、第3固定電極)
7g、7h 駆動用電極(第3固定電極)
Y 第1所定軸 X(Z) 第2所定軸 Z(X) 第3所定軸
Va〜Vd 駆動信号 20 駆動信号入力部 21 基板
22 変位検出部 101、102 角速度センサ

Claims (2)

  1. 基板と、
    基端側を前記基板に固定され弾性を有する弾性支持部材と、
    前記弾性支持部材の先端側に固着されることにより前記基板の上方に前記基板から離間して支持される振動子と、
    前記振動子に設けられ、前記基板の主面に沿った第1所定軸の正方向に向いた第1電極面と前記第1所定軸の負方向に向いた第2電極面とを有する可動電極と、
    前記基板に固定され、前記第1所定軸に垂直な第2所定軸の方向の端部において対向しない部分を残して、前記第1電極面に対向する第1固定電極と、
    前記基板に固定され、前記第2所定軸の方向の端部において対向しない部分を残して、前記第2電極面に対向する第2固定電極と、
    前記振動子を前記第2所定軸に沿った方向に定常振動させるための駆動信号を前記第1固定電極及び前記第2固定電極に入力する駆動信号入力部と、
    前記第1所定軸及び前記第2所定軸の双方に垂直な第3所定軸の周りに作用する角速度により前記第1所定軸に沿った方向に前記振動子が変位する量である変位量を検出する変位検出部と、を備え、
    前記駆動信号入力部は、
    前記変位検出部が検出する前記変位量に基づいて、前記第1電極面と前記第1固定電極との間に作用する第1静電力と前記第2電極面と前記第2固定電極との間に作用する第2静電力との間の偏差を低減するように、前記第1固定電極と前記第2固定電極との間で、入力する前記駆動信号の強さを配分することを特徴とする角速度センサ。
  2. 前記第2所定軸が前記基板の前記主面に垂直であり、
    前記角速度センサは、
    前記振動子に設けられ、前記第3所定軸の正方向に向いた第3電極面と前記第3所定軸の負方向に向いた第4電極面とを有する別の可動電極と、
    前記基板に固定され、前記第2所定軸の方向の端部において対向しない部分を残して、前記第3電極面に対向する第3固定電極と、
    前記基板に固定され、前記第2所定軸の方向の端部において対向しない部分を残して、前記第4電極面に対向する第4固定電極と、
    前記1所定軸の周りに作用する角速度により前記第3所定軸に沿った方向に前記振動子が変位する量である変位量を検出する別の変位検出部と、を更に備え、
    前記駆動信号入力部は、前記駆動信号を前記第3固定電極及び前記第4固定電極にも入力するものであり、且つ、前記別の変位検出部が検出する前記変位量に基づいて、前記第3電極面と前記第3固定電極との間に作用する第3静電力と前記第4電極面と前記第4固定電極との間に作用する第4静電力との間の偏差を低減するように、前記第3固定電極と前記第4固定電極との間においても、入力する前記駆動信号の強さを配分するものである請求項1記載の角速度センサ。
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