JPH08201066A - 振動型ジャイロスコープ - Google Patents

振動型ジャイロスコープ

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JPH08201066A
JPH08201066A JP7027702A JP2770295A JPH08201066A JP H08201066 A JPH08201066 A JP H08201066A JP 7027702 A JP7027702 A JP 7027702A JP 2770295 A JP2770295 A JP 2770295A JP H08201066 A JPH08201066 A JP H08201066A
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electrodes
elastic body
vibrating
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Kazumasa Onishi
一正 大西
Yoshiro Tomikawa
義朗 富川
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Alps Electric Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 圧電材料を用いた振動型ジャイロスコープに
おいて、全体を薄型化し、且つ電極を高精度に形成でき
るようにする。 【構成】 単結晶材料の圧電材料により形成される弾性
体12の同一面に第一の電極13aと第二の電極13b
が形成され、他方の面に対向電極14が形成される。電
極13aと13bに逆位相の交流電力が与えられると、
弾性体12はX方向へ曲げ振動する。Z軸回りの回転系
内では、コリオリ力により弾性体12がY方向へ振動
し、この振動により誘起された電力が電極13aと13
bに現れる。両電極13aと13bの検出電力を加算手
段17で加算することにより、駆動電力が消去され、コ
リオリ力による振動成分のみが取り出される。第一と第
二の電極が同一面に形成されているため、エッチング構
成などにより両電極の相対位置などを高精度に設定でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、所定の方向へ変形振動
する弾性体が回転系内に置かれたときに、コリオリ力に
より生じる前記振動方向と直交する方向の変形振動を検
出して、回転系の角速度を求めることのできる振動型ジ
ャイロスコープに関する。
【0002】
【従来の技術】回転角速度を検出するジャイロスコープ
は、車載用ナビゲーションシステム、航空機や船舶等の
慣性航法システムや姿勢制御システム、ロボツトや無人
走行車等の姿勢制御システム、さらにはテレビカメラや
ビデオカメラの画面振れ防止装置等に使用される。この
ような種々の分野の使用に適するジャイロスコープとし
ては小型のものが必要になっており、そこで振動型ジャ
イロスコープが着目されている。
【0003】図7、図8(a)は、この種の振動型ジャ
イロスコープの従来例を示し、図8(b)は同図(a)
の振動型ジャイロスコープのZ軸方向矢視図である。図
7に示す振動型ジャイロスコープでは、恒弾性金属(エ
リンバ)により形成された四角柱状の弾性体1の側面
に、駆動用の圧電素子2aと検出用の圧電素子2bが固
着されている。この例では、駆動用の圧電素子2aによ
り柱状弾性体1にX軸方向の曲げ振動を与えながら、柱
状弾性体1をZ軸回りの回転系内に置くと、柱状弾性体
1に対しY軸方向へのコリオリ力が作用し、柱状弾性体
1はY軸方向へ振動する。このY軸方向の曲げ振動によ
る変形量が圧電素子2bにより検出される。
【0004】また図8(a)、(b)に示す例において
は、同様に恒弾性金属(エリンバ)により形成された三
角柱状の弾性体3の各側面に、圧電素子4a,4bおよ
び4cが固着されている。この例においては、圧電素子
4aと圧電素子4b,4cとで弾性体3にX軸方向の曲
げ振動を与えながら、弾性体3をZ軸回りの回転系内に
置くと、弾性体3に対しY軸方向へのコリオリ力が作用
し、弾性体3はY軸方向へ振動する。このY軸方向の曲
げ振動による変形量が圧電素子4bおよび4cにより検
出される
【0005】上記に示した四角柱状の弾性体1または三
角柱状の弾性体3の質量をm、弾性体1または弾性体3
のX軸方向の振動速度をv(ベクトル値)、回転系での
Z軸回りの角速度をω0 (ベクトル値)とすると、コリ
オリ力F(ベクトル値)は、
【0006】
【数1】F=2m(v×ω0 )(×はベクトル積)
【0007】と表わされ、コリオリ力Fは角速度ω0 に
比例する。よって、弾性体1または弾性体3のY軸方向
への変形振動が圧電素子により検出されることにより、
角速度ω0 が求められる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、図7または図
8に示す振動型ジャイロスコープは、いずれも柱形状の
弾性体1または3が使用され、柱状の各側面を高精度に
加工する必要がある。すなわち図7に示す弾性体1で
は、断面が正方形となるように、また図8に示す弾性体
3では、断面が正三角形となるように、高精度に加工す
る必要があるが、この加工には高い精度が要求され、量
産性に適さないものとなる。
【0009】また、柱状の弾性体1または3を有する振
動型ジャイロスコープは立体的な構造で比較的大型のも
のになり、回路基板上などでの実装スペースが広く必要
になる。
【0010】さらに、図7に示すものでは、四角柱形状
の弾性体1の各側面に圧電素子2a,2bを固着するこ
とになるが、各側面での圧電素子の固着位置を高精度に
揃える必要がある。同様に図8に示すものにおいても、
三角柱の弾性体の3つの側面に圧電素子4a,4b,4
cを高精度に位置決めして固着する必要がある。このよ
うに立体的な各側面にそれぞれ圧電素子を高精度に位置
決めして固着するのは、高精度な製造工程が必要にな
る。
【0011】また、図8(a)に示す三角柱形状の弾性
体3を用いた振動型ジャイロスコープでは、同図(b)
に示すように圧電素子4aが振動方向のY軸に対して正
三角形の底辺に置かれ、他の2つの圧電素子4bおよび
4cは互いに平行とならず、正三角形の斜辺分の傾きを
以って配置されることになる。よって弾性体3をX方向
へ振動させるときに、圧電素子4b,4cの圧電力がX
方向に対してベクトルの分力として作用し、またコリオ
リ力によるY方向への振動を検出する際も、圧電素子4
cと4bが弾性体3のY方向の変形を分力として検出す
るものとなる。したがって、弾性体1の振動駆動効率が
悪く、またコリオリ力による振動の検出効率も悪くな
る。
【0012】また圧電素子が立体的な各側面に設けられ
るので、例えばスパッタリングや蒸着などの薄膜形成技
術により、圧電素子およびその電極を形成することがで
きず、量産性の向上や製造コストを下げることに限界が
ある。
【0013】本発明は上記従来の課題を解決するもので
あり、全体の構造を平面的に構成して薄型化を可能と
し、また複数の電極を同一面に高精度に配置できるよう
にし、さらに電極の形成に薄膜形成技術を利用すること
を可能としたことを目的としている。
【0014】また、本発明は同一平面に形成した電極に
より弾性体を振動させ、コリオリ力による振動成分を前
記の同じ電極から検出できるようにすることを目的とし
ている。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明による振動型ジャ
イロスコープは、圧電材料または圧電材料と他の弾性材
料とで構成された平板状の弾性体と、前記圧電材料に接
する対向電極と、前記圧電材料の同一平面上に取り付け
られて前記対向電極に対向する第一と第二の電極と、第
一と第二の電極へ駆動電力を与えて前記弾性体を変形振
動させる駆動電力部と、前記第一と第二の電極のそれぞ
れから取り出した検出電力を加算しまたは差を求める手
段を有して、回転系内におかれたときにコリオリ力によ
り生じる振動成分を検出する検出部を有することを特徴
とするものである。
【0016】この場合に、第一の電極に対する圧電材料
の誘電分極方向と第二の電極に対する圧電材料の誘電分
極方向が同じであり、第一の電極と第二の電極に対して
駆動電力部から互いに逆位相の電力が与えられる場合
に、検出部は第一の電極と第二の電極から取り出された
検出電力を加算する手段を有して、コリオリ力による振
動成分を検出する検出部を有するものとなる。
【0017】また、第一の電極に対する圧電材料の誘電
分極方向と第二の電極に対する圧電材料の誘電分極方向
が相異し、第一の電極と第二の電極に対して駆動電力部
から同位相の電力が与えられる場合に、検出部は第一の
電極と第二の電極から取り出された検出電力を差を求め
る手段を有して、コリオリ力による振動成分を検出する
検出部を有することになる。
【0018】さらに、圧電材料または圧電材料と他の弾
性材料とで構成された平板状の振動体の一部を三枚に分
離し、それぞれの振動体に上記の第一と第二の電極およ
び対向電極が設けられていることを特徴とするものであ
る。
【0019】また、前記三枚に分離した振動体におい
て、駆動電力部からの駆動電力により中央の振動体と両
端の振動体とで逆位相の振動が与えられることを特徴と
するものである。
【0020】また、上記において用いる圧電材料は、全
ての部分での誘電分極方向が同じである圧電単結晶材料
により形成することが可能である。
【0021】
【作用】上記手段では、弾性体が圧電セラミックや単結
晶材料などの圧電材料で構成され、またはこの圧電材料
と恒弾性体(エリンバ)などの他の弾性材料とが積層さ
れたものとして構成される。第一と第二の電極は、前記
圧電材料の同一の平面に形成され、この第一と第二の電
極に対向する対向電極は、第一と第二の電極と逆の平面
または第一および第二の電極と同じ平面に形成される。
第一と第二の電極が同じ平面に形成されるため、互いの
位置を高精度に決めることが容易であり、また薄膜形成
技術により両電極を形成することも可能である。
【0022】圧電材料の誘電分極方向が、第一の電極と
第二の電極とに対して同じ向きである場合には、第一と
第二の電極に逆位相の電圧を与えることにより、弾性体
は電極が形成されている面の方向へ曲げ変形振動する。
圧電材料の誘電分極方向が、第一の電極と第二の電極と
で異なる方向である場合には、第一と第二の電極に同じ
位相の電力を与えることにより、弾性体は電極が形成さ
れた面の方向へ曲げ変形振動する。
【0023】同じ平面に形成された第一と第二の電極に
対して誘電分極方向が同じとなる圧電材料は、水晶やL
iNbO3などの単結晶材料により形成できる。また第
一と第二の電極に対して異なる分極方向となる圧電材料
は、PZT系などの圧電セラミック材料などにより形成
できる。この場合、例えば圧電材料をシリコンオイル中
にて高電圧を掛けることにより比較的簡単に且つ自由に
誘電分極方向を設定することが可能である。
【0024】上記のようにして電極が形成された面の方
向へ振動している弾性体が回転系内に置かれると、コリ
オリ力が、電極が形成された面と直交する方向へ作用
し、弾性体が同方向へ振動する。このとき第一の電極と
第二の電極からの検出電力から、コリオリ力による振動
成分が検出され、角速度が求められる。
【0025】第一と第二の電極に対して圧電材料の誘電
分極が同じ方向である場合には、検出部において第一の
電極と第二の電極との検出出力の和が求められる。この
和を求めることにより、駆動電力部から各電極に与えら
れる駆動電力が消去され、コリオリ力の振動により誘起
された電力のみが検出される。第一と第二の電極に対し
て圧電材料の誘電分極方向が相違する場合には、検出部
において第一と第二電極からの出力の差が求められる。
これにより駆動電力部から各電極に与えられる駆動電力
が消去され、コリオリ力の振動により誘起された電極の
みが検出される。
【0026】また、弾性体が平板状の場合、1枚の弾性
体に溝を形成して複数の板状の振動体を形成し、コリオ
リ力により複数の振動体を異なる位相で曲げ振動させる
ことが可能である。例えば1枚の板状の弾性体に3個の
振動体が形成されている場合には、両側の振動体と中央
の振動体とを互いに逆の位相にて振動させることができ
る。この振動モードでは弾性体の内部の振動による応力
のバランスがとれ、安定した振動を得ることができる。
また中央の振動体をトリミングして長さを変えることに
より固有振動数の設定調整が可能である。また、3個の
振動体が分離形成された弾性体の場合には、弾性体の基
部を剛体支持しても、各振動体の安定した振動が得られ
る。
【0027】
【実施例】以下、本発明について図面を参照して説明す
る。図1(a)は、本発明の第一実施例の振動型ジャイ
ロスコープを示す斜視図、同図(b)は、その回路構成
図、図2(a)は、本発明の第二実施例の振動型ジャイ
ロスコープを示す斜視図、同図(b)は、その回路構成
図、図3(a)は、本発明の第三実施例の振動型ジャイ
ロスコープを示す斜視図、同図(b)は、その回路構成
図、図4(a)は、本発明の第四実施例の振動型ジャイ
ロスコープを示す斜視図、同図(b)は、その回路構成
図、図5(a)は、本発明の第五実施例の振動型ジャイ
ロスコープを示す斜視図、同図(b)は、その回路構成
図、図6(a)は、本発明の第六実施例の振動型ジャイ
ロスコープを示す斜視図、同図(b)は、その回路構成
図である。
【0028】(第一実施例)図1(a)に示す第一実施
例の振動型ジャイロスコープ11では、板状の弾性体1
2が、圧電材料により形成されている。この実施例で
は、弾性体12を構成する圧電材料の圧電分極方向を白
抜きの矢印で示している。各部分での誘電分極方向は同
じ−Y方向であるため、この弾性体12は、水晶やLi
NbO3などの単結晶材料により形成することが可能で
ある。あるいはPZT系などの圧電セラミック材料を用
い、板厚方向への誘電分極方向が全ての位置において同
じとなるように設定してもよい。
【0029】弾性体12を構成する圧電材料の一方の面
には、Z方向に延びる第一の電極13aと第二の電極1
3bが形成されており、逆側の面には対向電極14がほ
ぼ全面に形成されている。電極13a,13bおよび電
極14は、銅などの導電性材料により形成されている。
例えば弾性体12を構成する圧電材料の表裏両面に銅の
薄膜をスパッタリングや蒸着などの手段で全面に形成し
ておく。一方の面の銅の薄膜をエッチングすることによ
り第一と第二の電極13aと13bを形成することがで
き、他方の面は全面に銅の薄膜を残して、これを対向電
極14とすることができる。薄膜形成工程およびエッチ
ング工程を用いて、第一と第二の電極13aと13bを
形成すれば、弾性体12に対する両電極13aと13b
の相対位置や、それぞれの電極13aと13bの面積な
どを高精度に形成できる。
【0030】駆動電源部は、交流電源15と位相反転回
路16などにより構成される。交流電源15からは、弾
性体12のX方向への共振点または反共振点にほぼ等し
くなる周波数の電力が発せられる。第一の電極13aに
対しては、交流電源15からの駆動電力が端子A1を介
して与えられ、第二の電極13bに対しては、交流電源
15からの駆動電力が位相反転回路16により反転さ
れ、端子B1を介して与えられる。すなわちこの駆動電
源部では、第一の電極13aと第二の電極13bに対し
て逆位相の駆動電力が与えられる。また対向電極14は
接地され、または所定の電位に設定される。
【0031】検出部では、第一の電極13aの電力が端
子C1から、第二の電極13bの電力が端子D1から検
出される。この実施例では、検出部において、加算手段
17により両電極13aと13bの電力の和が求められ
る。なお、上記位相反転回路16には、OPアンプを用
いて構成される反転増幅回路等を用いても良い。
【0032】交流電源15からの駆動電力の周波数をf
とすると、角周波数ωはω=2πfである。端子A1を
介して第一の電極13aには数2の駆動電圧Vaが与え
られる。なお、以下では、圧電材料が定電流により駆動
され、また振動成分が電圧として検出される場合を例と
して説明する。圧電材料が定電圧により駆動され、また
振動成分が電流として検出される場合もあるが、この場
合の電流は電圧と位相が相違するだけであり、以下の数
式における関係は同じである。
【0033】
【数2】Va =ν0 sinωt
【0034】第二の電極13bには、交流電源15で発
生した電圧が位相反転回路16により位相反転され(位
相を180度ずらして)与えられる。よって第一の電極
13aに数2の電圧が与えられるとき、第二の電極13
bに与えられる電圧Vbは、
【0035】
【数3】Vb =−ν0 sinωt である。
【0036】対向電極14に対する第一の電極13aと
第二の電極13bの電圧の位相が相違するために、ある
時点で圧電材料の12aで示す部分がY方向に伸びる
と、そのとき圧電材料の12bで示す部分がY方向に収
縮する。この伸びと収縮が、前記周波数fにて繰返さ
れ、よって、弾性体12は電極が形成された面の方向
(X方向)へ周波数fにて曲げ変形振動する。
【0037】この状態で振動型ジャイロスコープ11が
Z軸回りの回転系内に置かれると、弾性体12に対しY
軸方向へコリオリ力が作用し、弾性体12がY軸方向へ
曲げ変形振動する。弾性体12の圧電材料の12aの部
分と12bの部分がY方向へ曲げ変形振動する際に電極
13aと13bに誘起される電圧V1を数4で表わす。
数4でのν1は、Y方向での振動で誘起される電圧の最
大値を示し、δは電極13aと13bに与えられる前記
駆動電圧に対する位相の進み量または遅れ量を示す。
【0038】
【数4】V1 =ν1 sin(ωt+δ)
【0039】第一の電極13aと第二の電極13bに
は、駆動電圧Va,Vbと、上記電圧V1が混在すること
になる。すなわち第一の電極13aの電圧VC1は数5で
表わされ、第二の電極13bの電圧VD1は数6で表わさ
れる。
【0040】
【数5】VC1= Va +V1 =ν0 sinωt+ν1 s
in(ωt+δ)
【0041】
【数6】VD1=Vb +V1 =−ν0 sinωt+ν1 s
in(ωt+δ)
【0042】検出部には加算手段17が設けられ、第一
の電極13aの電圧VC1と第二の電極13bの電圧VD1
との和が求められて検出出力Voutとなる。このVoutは
数7で示す通りである。
【0043】
【数7】 Vout=VC1+VD1={ν0 sinωt+ν1 sin(ωt+δ)} +{−ν0 sinωt+ν1 sin(ωt+δ)} =2ν1 sin(ωt+δ)=2V1
【0044】この検出出力Voutでは、駆動電力である
VaとVbの成分が消去され、コリオリ力によるY方向の
振動で誘導された電圧V1のみの成分となる。よってこ
の検出出力Voutに基づいて、回転系での角速度ω0を求
めることができる。
【0045】(第二実施例)図2(a)に示す第二実施
例の振動型ジャイロスコープ21では、弾性体22が平
板状の圧電材料により形成されているが、この圧電材料
はPZT系の圧電セラミックなどであり、各部位にて誘
電分極方向を自由に設定できるものとなっている。図1
に示したものと同様に、弾性体22の圧電材料の一方の
面には第一の電極23aと第二の電極23bが形成さ
れ、逆側の面に、第一と第二の電極に対向する対向電極
24がほぼ全面に形成されている。この実施例でも電極
23a,23bと24は銅の薄膜などにより形成され、
また第一と第二の電極23a,23bはエッチング工程
により形成される。
【0046】この実施例では、Y方向に延びる中央断面
Oを境として、弾性体22を構成する圧電材料の一方の
部分22aと他方の部分22bとで、誘電分極方向(白
抜きの矢印で示す)が逆向きである。第一の電極23a
に対応する部分22aでは誘電分極方向が−Y方向で、
第二の電極23bに対応する部分22bでは、誘電分極
方向が+Y方向である。
【0047】駆動電源部では、所定の周波数fの交流電
源25が設けられており、この交流電源25からの駆動
電力は端子A2とB2を介して、第一の電極23aと第
二の電極23bに対して同位相にて与えられる。なお対
向電極24は接地されまたは所定の電位に設定されてい
る。
【0048】この振動型ジャイロスコープ21が定電流
駆動されるとすると、第一の電極23aと第二の電極2
3bに与えられる電圧は共に数2に示すのと同じ(Va
=ν0 sinωt)である。第一の電極23aが設けら
れている部分と第二の電極23bが設けられている部分
とで、弾性体22の圧電材料の分極方向が逆である。よ
って弾性体22は、電極が形成された面方向(X方向)
へ周波数fにて曲げ振動(共振)させられる。
【0049】この状態で振動型ジャイロスコープ21が
Z軸回りの回転系内に置かれると、弾性体22に対しY
方向のコリオリ力が作用し、弾性体22がY方向へ曲げ
振動する。このY方向の曲げ振動により第一の電極23
aに誘起される電圧は{(ν1 sin(ωt+δ)}で
あるが、第二の電極23bに誘起される電圧は第一の電
極23aと逆位相の{−ν1 sin(ωt+δ)}であ
る。したがって、第1の電極23aの電圧VC2は数8と
なり、第二の電極23bの電圧VD2は数9となる。
【0050】
【数8】VC2=Va+V1 =ν0 sinωt+ν1 si
n(ωt+δ)
【0051】
【数9】VD2=Va−V1 =ν0 sinωt−ν1 si
n(ωt+δ)
【0052】端子C2と端子D2で検出された値が減算
手段28によって減算されると、検出出力Voutは数1
0となる。
【0053】
【数10】 Vout=VC2−VD2 ={ν0 sinωt+ν1 sin(ωt+δ)} −{ν0 sinωt−ν1 sin(ωt+δ)} =2ν1 sin(ωt+δ)=2V1
【0054】この実施例でも、検出出力Voutには、駆
動電力の成分が消去され、コリオリ力による変形振動成
分V1のみを検出できる。
【0055】(第三実施例)図3(a)に示す第三実施
例の振動型ジャイロスコープ31では、エリンバなどの
恒弾性材料34の表裏両面に圧電材料32,32が積層
されて平板状の弾性体36が構成されている。恒弾性材
料34が対向電極(コモン電極)となり接地され、また
は所定の電位に設定されている。圧電材料32,32
は、誘電分極方向の設定が自由な圧電セラミック材料に
より形成されている。一方の面の圧電材料32は、中央
断面O1を境として、32aの部分と32bの部分で誘
電分極方向(矢印で示す)が互いに逆向きであり、同様
に他方の面の圧電材料32も、中央断面O2を境とする
32cの部分と32dの部分とで誘電分極方向が逆向き
である。32aと32dの部分での誘電分極方向は−Y
方向で、32bの部分と32cの部分での誘電分極方向
は+Y方向である。
【0056】圧電材料32の32aの部分と32bの部
分の表面には、第一の電極33aと第二の電極33bが
Z方向に延びて形成されている。他方の圧電材料32の
32cの部分と32dの部分の表面にも、同様に第一の
電極33cと第二の電極33dがZ方向に延びて形成さ
れている。電極33aと33bは同一面に形成され、電
極33cと33dは同一面に形成されているため、この
全ての電極は、銅箔をエッチングするなどの工程で、高
精度に形成することが可能である。
【0057】図3(b)に示すように、駆動電源部には
周波数fの駆動電力を出力する交流電源35が設けら
れ、全ての電極33a,33b,33c,33dに同位
相の駆動電力が与えられる。また検出部では、加算手段
37a,37bと減算手段(差動回路)38が設けられ
ている。駆動電源部の交流電源35から、各電極33
a,33b,33c,33dに同位相の電圧が与えられ
る。この電圧は前記数2で示した(Va =ν0 sinω
t)である。
【0058】互いに対向する位置にある組み合せの電極
33aと33cに対する圧電材料32の分極方向は同じ
であり(共に矢印の先端向き)、同じく対向する位置に
ある組み合せの電極33bと33dに対する圧電材料3
2の分極方向は前記と逆(共に矢印の基端向き)であ
る。よって、弾性体36には電極形成面方向(X方向)
への曲げ振動が生じる。
【0059】この弾性体36がZ軸回りの回転系内に置
かれると、コリオリ力により弾性体36にY方向への曲
げ振動が生じる。この曲げ振動により、電極33aと3
3dに誘起される電圧を{ν1 sin(ωt+δ)}と
すると、電極33bと33cに誘起される電圧は電極3
3a,33dと逆位相の−{ν1 sin(ωt+δ)}
である。よって端子A3,B3,C3,D3から得られ
る電圧VA3,VB3,VC3,VD3は、数11、数12、数
13、数14で示される。
【0060】
【数11】VA3=Va +V1 =ν0 sinωt+ν1 s
in(ωt+δ)
【0061】
【数12】VB3=Va −V1 =ν0 sinωt−ν1 s
in(ωt+δ)
【0062】
【数13】VC3=Va −V1 =ν0 sinωt−ν1 s
in(ωt+δ)
【0063】
【数14】VD3=Va +V1 =ν0 sinωt+ν1 s
in(ωt+δ)
【0064】となる。したがって、端子A3と端子D3
で検出された電圧の和が加算手段37bにより求められ
ると、その出力VF3(端子F3)は、
【0065】
【数15】VF3=VA3+VD3=2ν0 sinωt+2ν
1 sin(ωt+δ)
【0066】となる。同様に端子B3と端子C3で検出
された値の和が加算手段37aにより求められると、そ
の出力VE3(端子E3)は、
【0067】
【数16】VE3=VB3+VC3=2ν0 sinωt−2ν
1 sin(ωt+δ)
【0068】となる。よって、端子E3と端子F3に得
られる加算出力の差が減算手段(差動回路)38により
求められると、最終的な検出出力Voutは、数17とな
る。
【0069】
【数17】 Vout=VF3−VE3 ={2ν0 sinωt+2ν1 sin(ωt+δ)} −{2ν0 sinωt−2ν1 sin(ωt+δ)} =4ν1 sin(ωt+δ)=4V1
【0070】この実施例でも検出出力から駆動電力の成
分が消去され、コリオリ力による振動成分が検出され
る。この実施例では、検出出力が第一実施例と第二実施
例の2倍の強度となり、一層高精度な角速度ω0の検出
が可能になる。また上記第三実施例において、恒弾性材
料の両面に重ねられる圧電材料32と32を単結晶材料
により形成することが可能である。この場合圧電材料の
32aと32cの部分で誘電分極方向が同じ向きにな
り、圧電材料32の32bと32dの部分でも誘電分極
方向が同じになる。
【0071】よって、第一の電極33a,33cに所定
の位相の交流電力を与えたときに、第二の電極33b,
33dにこれと逆の位相の交流電力を与えれば、弾性体
36をX方向へ曲げ変形振動させることができる。また
検出部では、端子A3とB3の検出出力の和と、端子C
3とD3の検出出力の和を求め、両和出力の差を求める
ことにより、コリオリ力の振動成分V1のみを得ること
ができる。
【0072】(第四実施例)図4(a)に示す第四実施
例の振動型ジャイロスコープ41では、弾性体42が圧
電セラミックなどの圧電材料により形成されている。こ
の圧電材料は、図4(b)に示すように、縦方向(Z方
向)に小ブロック化され、隣接する上下の各小ブロック
の間で誘電分極方向が互いに逆向きに設定されている。
この誘電分極方向が互いに逆向きとなる小ブロックがY
方向へ配列されたものがさらに左右(X方向)に2列に
形成されている。
【0073】上記圧電材料により形成された弾性体42
の一方の表面に、櫛歯状の第1の電極43aと櫛歯状の
第2の電極43dが形成され、さらに第一の電極43a
と第二の電極43dの中間に、櫛歯状の一対の対向電極
43b,43cが形成されている。第一の電極43aと
第二の電極43dならびに対向電極43b,43cは、
例えば弾性体42の圧電材料に銅などの導電性の薄膜を
形成し、この薄膜をエッチングすることにより形成され
る。
【0074】図4(b)に示すように、左側の列の小ブ
ロックの配列において、小ブロック42aでは、圧電材
料の誘電分極方向が−Z方向であり、分極方向を示す白
抜きの矢印の先端方向が対向電極43bで、矢印の基端
方向が第一の電極43aである。小ブロック42bにお
いても同様に、誘電分極方向を示す矢印の先端方向が対
向電極43bであり、矢印の基端方向が第一の電極43
aである。図示左側の小ブロックでは、全て分極方向が
対向電極43bに向けられている。
【0075】図4(b)に示す右側の列の小ブロックの
配列において、小ブロック42cでは、圧電材料の誘電
分極方向が+Z方向であり、分極方向を示す白抜きの矢
印の先端方向が第二の電極43dで、矢印の基端方向が
対向電極43cに向けられている。これに隣接する小ブ
ロック42dでは、分極方向が−Z方向であり、分極方
向を示す矢印の先端方向が第二の電極43dである。右
側の列の各小ブロックでは、分極方向が全て第二の電極
43dに向けられている。
【0076】駆動電源部では、交流電源45から所定の
周波数fの駆動電力が与えられるが、この駆動電力は端
子A4を介して第一の電極43aへ、また端子D4を介
して第二の電極43dへ同じ位相で与えられる。また対
向電極43bと43cは、接地されまたは所定の電位に
設定されている。検出部では、第一の電極43aの電力
と第二の電極43dの電力との差を求める減算手段(差
動回路)48が設けられている。
【0077】この振動型ジャイロスコープ41が定電流
駆動される場合、交流電源45から端子A4とD4を介
して第一の電極43aと第二の電極43dに同じ位相の
数2で示した駆動電圧Vaが与えられる。このとき、あ
る時点では、図示左側の列の小ブロック42a,42
b,…の圧電材料がZ方向へ伸び、図示右側の小ブロッ
ク42c,42d,…の圧電材料が収縮する。また電圧
の位相が180度進んだ時点では、上記と逆に図示左側
の個々の小ブロックがZ方向へ収縮し、図示右側の小ブ
ロックの圧電材料が伸びる。よって、弾性体42はX方
向へ曲げ変形振動する。
【0078】このときにZ軸回りの回転系内に置かれる
と、弾性体42はコリオリ力によりY方向へ曲げ変形し
て振動する。第一の電極43aと第二の電極43dに対
する圧電材料の各小ブロックの誘電分極方向が逆である
ため、弾性体42がY方向へ振動したときに、第一の電
極43aに誘起される電圧が{ν1 sin(ωt+
δ)}であると、第二の電極43dに誘起される電圧は
{−ν1 sin(ωt+δ)}である。
【0079】よって第一の電極43aの電圧すなわち電
極43aと43bの間によって検出される電圧VA4ーB4
(端子A4ーB4間)は、数18で示すものとなり、第
二の電極43dの電圧すなわち電極43cと43dの間
によって検出される電圧VC4ーD4(端子C4ーD4間)
は数19で示すものとなる。
【0080】
【数18】VA4ーB4 =Va +V1 =ν0 sinωt+ν
1 sin(ωt+δ)
【0081】
【数19】VC4ーD4 =Va −V1 =ν0 sinωt−ν
1 sin(ωt+δ)
【0082】これは第二実施例で得られた数8と数9と
同じである。したがって、これらから得られたれ検出電
圧が減算手段48によって減算されると、
【0083】
【数20】 VA4ーB4 −VC4ーD4 ={ν0 sinωt+ν1 sin(ωt+δ)} −{ν0 sinωt−ν1 sin(ωt+δ)} =2ν1 sin(ωt+δ)=2V1
【0084】となり、駆動電力が消去され、コリオリ力
による振動成分のみが検出される。なお、圧電材料の各
小ブロックの誘電分極方向を、第一の電極43aと第二
の電極43dに対して同じ向きにした場合には、第一実
施例と同様に、減算手段48の代わりに加算手段を設け
ることにより、同様にして、コリオリ力による振動成分
のみを検出することができる。
【0085】また、この第四実施例において、第三実施
例に示したように恒弾性材料の両側に圧電材料を積層
し、それぞれの圧電材料の表面に図4(b)に示した各
電極43a,43b,43c,43dを配置して、恒弾
性材料の両側からX方向への振動を発生させ、またコリ
オリ力による振動成分をそれぞれの圧電材料に形成され
た電極から検出してもよい。
【0086】(第五実施例)図5(a)に示す第五実施
例の振動型ジャイロスコープ51では、弾性体52を構
成する圧電材料の誘電分極方向が全ての位置で+X方向
となっている。したがって、この弾性体52は、単結晶
材料により形成することが可能である。そして弾性体5
2の圧電材料の一方の面に、第一の電極53aと第二の
電極53dが形成され、また両電極53aと53dの間
に、これに対向する対向電極53b,53cが形成され
ている。これらの電極53a,53b,53c,53d
も銅などの薄膜をエッチングすることにより形成でき
る。
【0087】駆動と検出は第四実施例と同じであり、駆
動電源部には交流電源55が設けられ、検出部には減算
手段(差動回路)58が設けられている。第一の電極5
3aに対する圧電材料の誘電分極方向と、第二の電極5
3dに対する圧電材料の誘電分極方向は逆向きである。
よって交流電源55から、第一の電極53aと第二の電
極53dに同じ位相の駆動電圧Vaが与えられると、弾
性体52は電極が形成された面方向(X方向)へ曲げ変
形振動する。
【0088】X方向へ振動している振動型ジャイロスコ
ープ51がZ軸回りの回転系内に置かれると、弾性体5
2に対しY軸方向のコリオリ力が作用し、弾性体52が
Y軸方向へ振動する。第一の電極53aと第二の電極5
3dに対する圧電材料の分極方向が逆向きであるため、
弾性体52がY方向へ振動したときに第一の電極53a
に誘起される電圧と、第二の電極53dに誘起される電
圧は逆の位相となり、一方の電極の誘起電圧が{ν1 s
in(ωt+δ)}のとき、他方の電極の誘起電圧は
{−ν1 sin(ωt+δ)}である。
【0089】よって、第一の電極53aと対向電極53
bとの間によって検出される電圧VA5ーB5(端子A5ー
B5間)は数21となり、第二の電極53dと対向電極
53cとの間に検出される電圧VD5ーC5(端子D5ーC
5)は数22となる。
【0090】
【数21】VA5ーB5=Va +V1 =ν0 sinωt+ν1
sin(ωt+δ)
【0091】
【数22】VD5ーC5=Va −V1 =ν0 sinωt−ν1
sin(ωt+δ)
【0092】これは、第二実施例での数8と数9、およ
び第四実施例での数17と数18と同じである。これら
から得られた電圧が減算手段58によって減算される
と、
【0093】
【数23】VA5ーB5−VD5ーC5 =2ν1 sin(ωt+
δ)=2V1
【0094】となり、コリオリ力による振動成分のみが
検出される。また図3に示したように、恒弾性材料の両
側に単結晶材料の圧電材料を積層し、この圧電材料のそ
れぞれの表面に図5に示したのと同じ電極を形成しても
よい。
【0095】(第六実施例)この第六実施例での弾性体
62には、先端から切り込まれた2つの溝69aおよび
69bが形成され、この溝69aと69bにより分離さ
れた3個の平板状の振動体62a,62bおよび62c
が形成されている。各振動体62a,62b,62cは
その形状と寸法が互いに同じである。
【0096】この振動型ジャイロスコープ61では、全
ての振動体62a,62b,62cがX方向へ駆動され
るが、このときの振動位相は、両側の振動体62a,6
2cと中央の振動体62bとで逆に設定される。ある時
点で両側の振動体62aと62cの振幅が+X方向のと
き中央の振動体62bの振幅は−X方向である。この位
相にてX方向へ振動する弾性体62がZ軸回りの回転系
内に置かれると、各振動体62a,62b,62cにコ
リオリ力によるY方向への振動が発生する。このときの
Y方向への振動では、両側の振動体62a,62cと中
央の振動体62bとで位相が逆になる。ある時点で、両
側の振動体62aと62cの振幅方向が+Y方向である
とき、中央の振動体62bの振幅方向は−Y方向であ
る。
【0097】このように、両側の振動体62a,62c
と中央の振動体62bとが互いに逆向きの振動になるた
め、弾性体62全体にひねりなどが生じることなく、安
定した振動となる。また弾性体62の溝69a,69b
が形成されていない基部を剛体支持することが可能であ
り、支持が容易で且つ支持状態が安定したものとなる。
また中央の振動体62bの長さをトリミングして設定す
ることにより、全体の固有振動数の調整も容易である。
【0098】上記の各振動体62a,62b,62cを
駆動し、またコリオリ力による振動成分を検出するため
の電極配置に関しては、前記第一実施例から第五実施例
のいずれのものであっても適用可能である。ただし、図
6(a)(b)では、振動体62a,62b,62cを
駆動し且つコリオリ力による振動成分の検出のための電
極配置として図5に示した第五実施例を適用した例を示
している。
【0099】弾性体62は、第五実施例に示したものと
同じようにその分極方向が+X方向へ揃えられており、
例えば単結晶材料により構成することができる。振動体
62aには第一の電極63aと第二の電極63dおよび
対向電極63b,63cが設けられ、振動体62cには
第一の電極63iと第二の電極63lおよび対向電極6
3j,63kが設けられている。この両側の振動体62
aと62cでは、共に第一の電極63aと63iに対す
る圧電材料の分極方向が同じであり、第二の電極63d
と63lに対する圧電材料の分極方向が同じである。
【0100】中央の振動体62bには、第一の電極63
fと第二の電極63gおよび対向電極63e,63hが
形成されているが、中央の振動体62bでは第一の電極
63fに対する圧電材料の分極方向が、両側の振動体6
2a,62cの第一の電極63a,63iに対する向き
と逆向きである。また中央の振動体62bでの第二の電
極63gに対する分極方向が、両側の振動体62a,6
2cの第二の電極63d,63lに対する向きと逆向き
である。なお、図6では、第一と第二の電極をハッチン
グを付して示し、対向電極はハッチングを付すことなく
示している。全ての対向電極63b,63c,63e,
63h,63j,63kは接地されまたは所定の電位に
設定されている。駆動電源部に設けられた交流電源65
からは、所定周波数fの交流電力が与えられるが、全て
の第一の電極63a,63f,63iと第二の電極63
d,63g,63lに対して同じ位相の電圧Vaが与え
られる。
【0101】その結果、前述のように各振動体62a,
62b,62cはX方向へ曲げ変形振動するが、両側の
振動体62a,62cと中央の振動体62bとで、X方
向への振動が逆位相となる。この弾性体62がZ軸回り
の回転系内に置かれると、コリオリ力により各振動体6
2a,62b,62cにY方向への曲げ変形振動が発生
する。このときのY方向への振動においても、両側の振
動体62a,62cと中央の振動体62bとで逆の位相
である。
【0102】圧電材料により形成されている各振動体6
2a,62b,62cがY方向へ振動したときに誘起さ
れる電圧は、電極63a,63f,63iで同じ位相
で、電極63d,63g,63lで、前記とは逆の位相
である。前の組の電極に誘起される電圧の位相が{ν1
sin(ωt+δ)}のとき、後の組の電極に誘起され
る電圧の位相は{−ν1 sin(ωt+δ)}である。
【0103】よって電極63a,63f,63i(端子
A6,F6,I6)で検出される電圧は全て数24で表
わされ、電極63d,63g,63l(端子D6,G
6,L6)で検出される電圧は数25で表わされる。
【0104】
【数24】 Va +V1 =ν0 sinωt+ν1 sin(ωt+δ)
【0105】
【数25】 Va −V1 =ν0 sinωt−ν1 sin(ωt+δ)
【0106】検出部には、加算手段67aと67bおよ
び減算手段68が設けられている。加算手段67aで
は、端子A6,F6,I6の電圧が加算され、加算手段
67bでは端子D6,G6,L6の電圧が加算される。
それぞれの加算電圧(端子M6とN6の電圧)はそれぞ
れ数26と数27で表わされる。
【0107】
【数26】 3{ν0 sinωt+ν1 sin(ωt+δ)}
【0108】
【数27】 3{ν0 sinωt−ν1 sin(ωt+δ)}
【0109】よって、減算手段(差動回路)68により
減算されて端子P6に出力されるVoutは数28で表わ
される。
【0110】
【数28】6ν1 sin(ωt+δ)
【0111】このようにしてコリオリ力による振動成分
のみを検出できるようになる。
【0112】
【発明の効果】以上のように、本発明では、弾性体が平
板状であり、平板状の圧電材料にて同一面に第一と第二
の電極が形成されている。よって、第一と第二の電極の
相対位置および面積などを互いに高精度に一致させて形
成することが容易にできる。また同一の平面に第一と第
二の電極が形成されるため、各電極を薄膜形成し、且つ
エッチングすることなどが可能であり、高精度な電極を
簡単に形成することができる。
【0113】また同一平面に形成された第一と第二の電
極を駆動用と検出用に使用し、また加算手段や減算手段
を用いることにより、電極からコリオリ力による振動成
分のみを高精度に検出することができる。電極を駆動用
と検出用に兼用することにより全体の構造を簡単にでき
る。
【0114】また、圧電材料として単結晶材料を使用す
れば、分極設定の工程が不要になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明の第一実施例の振動型ジャイ
ロスコープを示す斜視図、(b)は、その回路構成図。
【図2】(a)は、本発明の第二実施例の振動型ジャイ
ロスコープを示す斜視図、(b)は、その回路構成図で
ある。
【図3】(a)は、本発明の第三実施例の振動型ジャイ
ロスコープを示す斜視図、(b)は、その回路構成図で
ある。
【図4】(a)は、本発明の第四実施例の振動型ジャイ
ロスコープを示す斜視図、(b)は、その回路構成図で
ある。
【図5】(a)は、本発明の第五実施例の振動型ジャイ
ロスコープを示す斜視図、(b)は、その回路構成図で
ある。
【図6】(a)は、本発明の第六実施例の振動型ジャイ
ロスコープを示す斜視図、(b)は、その回路構成図で
ある。
【図7】従来の振動型ジャイロスコープの第一の例を示
す斜視図である。
【図8】(a)は従来の振動型ジャイロスコープの第二
の例を示す斜視図、(b)は、そのZ軸方向矢視図であ
る。
【符号の説明】
12,22,36,42,52,62 弾性体 62a,62b,62c 三分割された振動体 32 圧電材料 34 恒弾性材料 13a,23a,33a,33c,43a,53a,6
3a,63f,63i第一の電極 13b,23b,33b,33d,43d,53d,6
3d,63g,63l第二の電極 14,24,43b,43c,53b,53c,63
b,63c,63e,63h,63j,63k 対向電
極 15,25,35,45,55,65 交流電源 16 位相反転回路 17,37a,37b,67a,67b 加算手段 28,38,48,58,68 減算手段

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧電材料または圧電材料と他の弾性材料
    とで構成された平板状の弾性体と、前記圧電材料に接す
    る対向電極と、前記圧電材料の同一平面上に取り付けら
    れて前記対向電極に対向する第一と第二の電極と、第一
    と第二の電極へ駆動電力を与えて前記弾性体を変形振動
    させる駆動電力部と、前記第一と第二の電極のそれぞれ
    から取り出した検出電力を加算しまたは差を求める手段
    を有して、回転系内におかれたときにコリオリ力により
    生じる振動成分を検出する検出部を有することを特徴と
    する振動型ジャイロスコープ。
  2. 【請求項2】 第一の電極に対する圧電材料の誘電分極
    方向と第二の電極に対する圧電材料の誘電分極方向が同
    じであり、第一の電極と第二の電極に対して駆動電力部
    から逆位相の電力が与えられ、検出部は第一の電極と第
    二の電極から取り出された検出電力を加算する手段を有
    する請求項1記載の振動型ジャイロスコープ。
  3. 【請求項3】 第一の電極に対する圧電材料の誘電分極
    方向と第二の電極に対する圧電材料の誘電分極方向が相
    違し、第一の電極と第二の電極に対して駆動電力部から
    同位相の電力が与えられ、検出部は第一の電極と第二の
    電極から取り出された検出電力との差を求める手段を有
    する請求項1記載の振動型ジャイロスコープ。
  4. 【請求項4】 圧電材料または圧電材料と他の弾性材料
    とで構成された平板状の弾性体に、三枚に分離された振
    動体が設けられ、それぞれの振動体に第一と第二の電極
    および対向電極が設けられている請求項1から請求項3
    のいずれかに記載の振動型ジャイロスコープ。
  5. 【請求項5】 駆動電力部からの駆動電力により中央の
    振動体と両端の振動体とで逆位相の振動が与えられる請
    求項4記載の振動型ジャイロスコープ。
  6. 【請求項6】 圧電材料は、全ての部分での誘電分極方
    向が同じである圧電単結晶材料により形成されている請
    求項1から請求項5のいずれかに記載の振動型ジャイロ
    スコープ
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