JP2009145251A - 燃料棒およびその製造方法 - Google Patents

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【課題】沸騰水型原子炉に装荷される燃料集合体に用いられる燃料棒のPCI−SCC破損および水素脆化破損をともに抑制する。
【解決手段】燃料棒11は、少なくとも内面から所定の厚さの領域が、1.20〜1.70質量%のスズと、0.13〜0.40質量%の鉄と、0.05〜0.15質量%のクロムと、0.03〜0.08質量%のニッケルと0.09〜0.16質量%の酸素と、不可避不純物とを含有し、残部がジルコニウムからなるジルコニウム基合金で形成された円筒状の被覆管12に、核燃料物質の酸化物にアルミナおよびシリカを添加した燃料ペレット13を収めて、その両端を端栓で封止して形成される。
【選択図】図1

Description

本発明は、沸騰水型原子炉に装荷される燃料集合体に用いられる燃料棒およびその製造方法に関する。
沸騰水型原子炉(BWR)で使用される燃料棒は、基本的に、核分裂性物質の酸化物である複数の燃料ペレットをジルコニウム基合金製の被覆管に装填し封止したものが用いられる。
このような被覆管には、一般的に、いわゆるジルカロイ−2(ASTM B 811でのR60802)が用いられる。ジルカロイ−2は、合金成分として、1.20〜1.70質量%のスズ(Sn)、0.07〜0.20質量%の鉄(Fe)、0.05〜0.15質量%のクロム(Cr)、0.03〜0.08質量%のニッケル(Ni)および0.09〜0.16質量%の酸素(O)を含む。
燃料ペレットとしては、UO、あるいはUOとPuOの混合酸化物を焼結したものが用いられる。このような燃料ペレットには、Gdなどの可燃性毒物が添加される場合がある。燃料ペレットは、一般的に、円柱形状に形成され、ペレット−被覆管間に約200μmの直径ギャップ(被覆管内直径と燃料ペレット外直径の差)が残るように設計されている。これはペレット装填に最低限必要なギャップを確保しつつ、照射中のペレット−被覆管相互作用(Pellet Cladding Interaction:PCI)を緩和して被覆管の破損確率を低減するためである。
PCIの増大により、主に燃焼中期において、被覆管に応力腐食割れ(SCC)が生じる場合がある。PCI−SCC破損と呼ばれる破損は、次の3条件が重なって生じる。すなわち、(1)被覆管材料が応力腐食割れに対し感受性をもつこと、(2)ペレットが膨張して外側の被覆管を押し広げることによって被覆管にある程度の引張応力がかかることと、(3)核分裂によりペレット内で生成された腐食性を有する物質(ヨウ素など)が被覆管に達すること、の3条件である。これらの少なくとも1つを抑制することによりPCI−SCC破損を抑制できる。
そこで、たとえば特許文献1には、ペレット−被覆管相互作用に伴う応力腐食割れ(Stress Corrosion Cracking:SCC)を抑制することを目的として、被覆管の内面にジルコニウムを内張りする方法が開示されている。被覆管に内張りされたジルコニウム(ジルコニウムライナ)は、ジルコニウムはジルカロイ−2よりも軟らかいために被覆管にかかる応力を緩和することができる。また、ジルコニウムは腐食性の核分裂生成物に対する感受性が低い。BWR用の燃料として、約0.1mm厚のジルコニウムライナが設けられた被覆管が実用化されている。
PCI−SCC破損を抑制する別の方策として、アルミナ(Al)およびシリカ(SiO)あるいはこれらの化合物であるアルミナシリケートを微量添加して焼結したアルミナシリケート添加ペレットが考案されている(たとえば特許文献2および特許文献3参照)。
アルミナシリケート添加ペレットは、それを添加しない通常のペレットに比べてクリープ速度が大きいためにペレットが被覆管に与える応力を低減すると考えられる。また、アルミナシリケートがペレット内において腐食性の核分裂生成物と反応して被覆管内面に達する腐食性物質の濃度を顕著に低下させる。これらにより、PCI−SCC破損の抑制に寄与する。
特公昭63−9187号公報 特公平8−27367号公報 特許第2786345号公報 S. Ishimoto、他4名著、"IMPROVED ZR ALLOYS FOR HIGH BURNUP BWR FUEL"、the proceedings of 2006 INTERNATIONAL MEETING ON LWR FUEL PERFORMANCE (TOPFUEL)、22-26 October 2006、Salamanca、Spain、p.312−p.323
試験炉での実験において、被覆管の水素脆化に起因した燃料破損の発生が報告されている。このような燃料破損は、このPCI−SCC破損とは異なるメカニズムの燃料破損が高燃焼度域で顕在化する可能性を示唆している。被覆管外面における冷却水によるジルコニウムの酸化(腐食)に伴って生じる水素の一部は被覆管に吸収され、固溶限界濃度を越えた水素はジルコニウム水素化合物(以下、水素化物と呼ぶ)として被覆管中に析出する。水素化物は機械的に極めて脆いことから、水素化物を内在した被覆管の延性は低下する。PCI−SCC破損では被覆管内面からき裂が進展して破損に至るのに対し、水素脆化破損では水素濃度が相対的に高い被覆管外面からき裂が進展することが分かっている。
このような水素脆化破損の可能性を低減するには、被覆管への水素の吸収量を抑制することが効果的である。被覆管の腐食とそれに伴う水素吸収を抑制するために、合金中の鉄の濃度を従来のジルカロイ−2の組成範囲の上半分(約0.13〜0.20質量%)になるよう高めに調整した合金成分を持つ被覆管が実用化されている。さらに、従来のジルカロイ−2の合金組成範囲を超えて、たとえば約0.25質量%や約0.4質量%までに鉄の濃度を高めた改良型合金が開発され、改善効果が実験的に確かめられている(たとえば非特許文献1参照)。
しかし、単に、鉄濃度を高めたジルコニウム基合金の被覆管を用いても、水素吸収率を低減することはできるが、PCI−SCC破損を抑制することはできない。
水素脆化破損では水素濃度が相対的に高い被覆管外面からき裂が進展するため、被覆管内面のジルコニウムライナによってPCI−SCC破損を抑制することはできても、外面からの水素脆化破損を抑制することは困難である。また、ジルコニウム中における水素の固溶限界は、ジルコニウム基合金中に比べて低い。このため、ジルコニウムライナ中には照射時に水素化物が高密度に析出する可能性がある。その後、燃料棒が高い出力を経験して被覆管内面温度が上昇すると、ジルコニウムライナ中に蓄積された水素化物は水素原子に再溶解して被覆管外面に拡散移動し、被覆管外面近傍の水素濃度を高める傾向があると考えられる。その結果、被覆管外面からのき裂進展を促進するため、ジルコニウムライナの存在自体が水素脆化破損を促進する可能性がある。
また、アルミナシリケート添加ペレットは、液相下で焼結が進むために結晶粒が大きく成長する特性があり、焼結後の結晶粒径は通常のペレットの10μm程度に対して約20〜60μmと大きくなる。比較的低い応力下でのペレットのクリープ速度は、ウラン原子の拡散に支配される。このため、結晶粒径が大きいと、ペレットのクリープ速度が低下する傾向がある。つまり、アルミナシリケート添加によるクリープの加速効果はある程度相殺され、アルミナシリケート添加による被覆管応力の低減効果は限定的である。よって、アルミナシリケート添加ペレット燃料のPCI−SCC破損の抑制効果は、腐食性物質を捕捉するアルミナシリケートの化学的な働きが主であると考えられ、被覆管応力の低減効果は限定的である。このため、水素脆化破損の抑制効果も小さい。また、アルミナシリケート添加ペレットが腐食性物質を捕捉するとしても、腐食性物質が関与しない水素脆化破損に対しては有効ではない。
このように、PCI−SCC破損を抑制するために、アルミナシリケート添加ペレットや、ジルコニウムライナ被覆管を用いても、水素脆化破損を抑制することは困難である。さらに、ジルコニウムライナは水素脆化破損を促進する可能性がある。一方、単に、鉄濃度を高めたジルコニウム基合金の被覆管を用いても、水素吸収率を低減することはできるが、PCI−SCC破損を抑制することはできない。
そこで、本発明は、燃料棒のPCI−SCC破損および水素脆化破損をともに抑制することを目的とする。
上述の目的を達成するため、本発明は、沸騰水型原子炉に装荷される燃料集合体に用いられる燃料棒において、少なくとも内面から所定の厚さの領域が、1.20〜1.70質量%のスズと、0.13〜0.40質量%の鉄と、0.05〜0.15質量%のクロムと、0.03〜0.08質量%のニッケルと0.09〜0.16質量%の酸素と、不可避不純物とを含有し、残部がジルコニウムからなるジルコニウム基合金で形成された円筒状の被覆管と、前記被覆管に収められ、核燃料物質の酸化物にアルミナおよびシリカを添加した複数の燃料ペレットと、を有することを特徴とする。
また、本発明は、沸騰水型原子炉に装荷される燃料集合体に用いられる燃料棒の製造方法において、1.20〜1.70質量%のスズと、0.13〜0.40質量%の鉄と、0.05〜0.15質量%のクロムと、0.03〜0.08質量%のニッケルと0.09〜0.16質量%の酸素と、不可避不純物とを含有し、残部がジルコニウムからなるジルコニウム基合金で円筒状の被覆管を形成する被覆管加工工程と、核燃料物質の酸化物にアルミナおよびシリカを添加した燃料ペレットを製造する工程と、複数の前記燃料ペレットを前記被覆管に収める工程と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、燃料棒のPCI−SCC破損および水素脆化破損をともに抑制することができる。
本発明に係る燃料棒の一実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、同一または類似の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。また、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではない。
図1は、本発明に係る燃料棒の一実施の形態における横断面図である。図2は、本実施の形態における燃料棒の側面図である。
燃料棒11は、円筒形の被覆管12と、被覆管12の軸方向に配列して収められた複数の円柱状の燃料ペレット13を備えている。被覆管12は、燃料ペレット13が収納された後に、その両端を端栓14で封止されている。
被覆管12は、少なくとも内面から所定の厚さの領域がジルコニウム基合金で形成された管である。このジルコニウム基合金は、1.20〜1.70質量%のスズ(Sn)と、0.13〜0.40質量%の鉄(Fe)と、0.05〜0.15質量%のクロム(Cr)と、0.03〜0.08質量%のニッケル(Ni)と0.09〜0.16質量%の酸素(O)と、不可避不純物とを含有し、残部はジルコニウム(Zr)でできている。
被覆管12の内径は、たとえば9.8mmである。被覆管12の肉厚は、たとえば0.7mmである。被覆管12の内面には、いわゆる単体のジルコニウムからなるジルコニウムライナは設けられていない。被覆管12の外面には、たとえば腐食の抑制のためにあらかじめ形成された緻密な酸化物の層などを形成しておいてもよい。
このジルコニウム基合金の組成は、いわゆるジルカロイ−2の仕様範囲と、鉄の濃度が異なる。ジルカロイ−2の鉄の濃度は、0.07〜0.20質量%である。本実施の形態の燃料棒では、ジルカロイ−2の鉄の濃度の仕様範囲のおおむね上半分(0.13〜0.20質量%)と、それ以上の範囲(0.20質量%〜0.40質量%)を含んでいる。
燃料ペレット13には、二酸化ウラン(UO)にアルミナとシリカを微量添加して焼結したアルミナシリケート添加ペレットを用いる。アルミナとシリカの比率は、質量比でたとえば約4:6とし、合計40〜1000ppmを添加する。このような添加物を添加しない通常のペレットでは結晶粒径が10μm程度であるのに対して、このような添加物を添加すると燃料ペレット13の製造時におけるUOの焼結が促進されて、結晶粒径が20〜60μm程度に大きくなる。燃料ペレット13の外径は、たとえば9.6mmである。
燃料ペレット13の焼結を促進して、このような微細組織を得るためには、シリカの添加質量をアルミナの添加質量よりも大きくしたほうが好ましいことが実験的に確かめられている。また、平均結晶粒径が20μmの場合、その全結晶粒を検出できる厚さ(約1nm以上)のアルミナシリケート相で被覆するためには、少なくとも約40ppm必要であることが計算で求められる。また、約1000ppm以上のアルミナシリケートを添加すると、ペレットの密度が有意に低下する。このため、アルミナシリケートの添加量の範囲は、40〜1000ppmが好ましい。
なお、燃料ペレット13は主成分であるUOの他に、核分裂性物質としてのPuOやThO、あるいは、可燃性毒物としてのGdなどを含有していてもよい。また、これらの酸化物にアルミナとシリカを添加物として加えるに当たっては、アルミナとシリカのそれぞれを加えて混合してもよいし、あるいは、アルミナとシリカを予め反応させてアルミナシリケートとした後に加えてもよい。
燃料の照射中に核分裂により発生した核分裂生成物は、主に結晶粒界を通ってペレット外部に放出される。本実施の形態では、燃料ペレット13の焼結後には、アルミナシリケートがガラス相として結晶粒界に析出し、結晶粒界の全部または一部を覆う形で存在する。このため、ジルコニウム基合金に対し腐食性をもつヨウ素などの核分裂生成物は、結晶粒界のガラス相で捕捉される。よって、腐食性物質が燃料ペレット13の外へ出て、被覆管に到達する量が減少する。このため、PCI−SCC破損の条件のうち、(3)腐食性物質が被覆管に達することが抑制されるため、燃料棒のPCI−SCC破損が抑制される。
つまり、被覆管12の内面にジルコニウムライナを設けないことにより被覆管12と燃料ペレット13の機械的相互作用が大きくなったとしても、化学的相互作用を抑制することによってPCI−SCC破損を抑制することができる。また、ジルコニウムライナを設けていないため、ジルコニウムライナによる被覆管の水素濃度の増加のおそれはなく、水素脆化破損の可能性を高めることはない。
また、被覆管12の鉄濃度をジルカロイ−2の仕様範囲の高い側あるいはそれ以上の0.13質量%〜0.40質量%に高めているため、被覆管の腐食およびそれに起因する水素吸収を低減することができる(たとえば非特許文献1参照)。したがって、被覆管12に生じる水素化物の量を低減することができ、燃料棒11の水素脆化破損を抑制することができる。
このように、本実施の形態の燃料棒11では、PCI−SCC破損および水素脆化破損をともに抑制することができる。
さらに、ペレットにアルミナシリケート添加ペレットを用いたことにより、PCI−SCC破損を防止するため用いられているジルコニウムライナは不要となる。このため、ジルコニウムライナの厚さ分だけ燃料棒内部の空間が広くなり、ペレットの直径を大きくすることができる。
ペレットの直径を大きくすることにより燃料の装荷量が増すので、結果として燃料の経済性を高めることができる。一般に用いられている被覆管のジルコニウムライナの厚さは、約0.1mmである。このようなジルコニウムライナをなくすことによって、被覆管の内径(直径)はたとえば約9.8mmから約10.0mmに増加する。ペレット−被覆管ギャップ幅(直径)を従来の約200μm(0.2mm)のままとすると、ペレット直径はたとえば約9.6mmから約9.8mmに増加させることができる。これにより、燃料棒中に装荷される燃料の量は約4%増大する。つまり、同様の使用条件下で燃料棒から取り出せるエネルギーが約4%増加する。このように、燃料の経済性が有意に向上する。
さらに、アルミナシリケート添加ペレットと鉄濃度を高めたジルコニウム基合金被覆管との組み合わせによって、上述のようにPCI−SCC破損と水素脆化破損の可能性が抑制された結果、ペレット−被覆管ギャップを狭めることによるペレット−被覆管相互作用の増大が被覆管の破損確率の増大に及ぼす影響は小さくなっている。したがって、直径ギャップを現行の200μmからさらに小さくして、燃料の装荷量をさらに増大し燃料の経済性を一層高めることも可能となる。ペレットの被覆管への装填に支障が生じない最低の直径ギャップは約100μmであり、これが下限値となる。この場合の燃料装荷量は、従来の燃料に比べて約6%増大する。
また、水素脆化破損は、被覆管12のジルコニウム基合金の結晶方位の分布状態に強く関係する。被覆管12の結晶方位は、圧延工程を経ると、六方晶の基本格子の底面(c軸に垂直な面)が管の周方向を概ね向くようになる。面状の水素化物は、ジルコニウム基合金の特定の結晶学的位置、主に底面位置に形成される傾向がある。このため、圧延後の被覆管では、水素化物は被覆管12の周方向に主に配向すると考えられる。
一般的に、被覆管12には、製造工程における圧延後の最終焼鈍として、ジルコニウム基合金の再結晶化が顕著に進行する温度(約550℃)を超える比較的高温(約580℃)で、いわゆる再結晶化焼きなましを施している。しかし、圧延後に、最終焼鈍として再結晶化焼きなましを施すと、結晶方位は等方的に近づく。この場合、照射時に被覆管12中に析出する水素化物の方位は、結晶方位と同様に等方的に近くなる。このため、被覆管12の径方向(肉厚方向)に配向する水素化物が一定割合存在することになる。水素化物がこのように分布すると、水素化物が被覆管12の周方向に配向する焼鈍前の状態に比べ、き裂が脆い水素化物をたどって肉厚方向に進展しやすい。よって、水素脆化破損が発生しやすいと考えられる。
そこで、本実施の形態の被覆管12の製造方法は、被覆管12の成形工程と、成形工程の後に、適切な温度での最終焼鈍工程を含むことが望ましい。
ジルコニウム基合金の再結晶化が顕著に進行する温度は550℃である。また、加工歪の除去のためには、約450℃以上での焼鈍が必要である。そこで、被覆管12の製造時の最終焼鈍工程は、再結晶化が顕著に進む温度よりも有意に低い温度で、かつ、焼鈍の主目的である加工歪の除去に有効な温度範囲である、450〜540℃の温度域において行う。この場合、従来の約580℃での焼鈍の場合に比較して、再結晶化の進行が抑制されてジルコニウムの基本格子底面の被覆管12周方向への配向性がより強く残存する。したがって、基本格子底面に析出する傾向をもつ水素化物は主に被覆管12の周方向に配向することになり、径方向に配向する水素化物の割合は低下する。その結果、径方向の水素化物に沿ったき裂進展が抑えられ、水素脆化破損の可能性がさらに低減される。
本発明に係る燃料棒の一実施の形態における横断面図である。 本発明に係る燃料棒の一実施の形態における側面図である。
符号の説明
11…燃料棒、12…被覆管、13…燃料ペレット、14…端栓

Claims (4)

  1. 沸騰水型原子炉に装荷される燃料集合体に用いられる燃料棒において、
    少なくとも内面から所定の厚さの領域が、1.20〜1.70質量%のスズと、0.13〜0.40質量%の鉄と、0.05〜0.15質量%のクロムと、0.03〜0.08質量%のニッケルと0.09〜0.16質量%の酸素と、不可避不純物とを含有し、残部がジルコニウムからなるジルコニウム基合金で形成された円筒状の被覆管と、
    前記被覆管に収められ、核燃料物質の酸化物にアルミナおよびシリカを添加した複数の燃料ペレットと、
    を有することを特徴とする燃料棒。
  2. 前記被覆管は、450℃ないし540℃で最終焼鈍されたものであることを特徴とする請求項1に記載の燃料棒。
  3. 沸騰水型原子炉に装荷される燃料集合体に用いられる燃料棒の製造方法において、
    1.20〜1.70質量%のスズと、0.13〜0.40質量%の鉄と、0.05〜0.15質量%のクロムと、0.03〜0.08質量%のニッケルと0.09〜0.16質量%の酸素と、不可避不純物とを含有し、残部がジルコニウムからなるジルコニウム基合金で円筒状の被覆管を形成する被覆管加工工程と、
    核燃料物質の酸化物にアルミナおよびシリカを添加した燃料ペレットを製造する工程と、
    複数の前記燃料ペレットを前記被覆管に収める工程と、
    を有することを特徴とする燃料棒の製造方法。
  4. 前記被覆管加工工程は、前記ジルコニウム基合金を所定の内径および肉厚の円筒状に成形する成形工程と、この成形工程よりも後に450℃ないし540℃で最終焼鈍する最終焼鈍工程と、を含むことを特徴とする請求項3に記載の燃料棒の製造方法。
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