JP2009142610A - ミシン - Google Patents

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洋 小田
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Abstract

【課題】針棒の上下ストロークを調整しても針棒抱きから針棒を解放することなく針棒の高さを調整すること。
【解決手段】ミシンモータにより回転する上軸3と、上軸に固定されるクランク4と、上軸の軸心から偏心した位置でクランクに回転自在に取り付けられる第1軸部5aと、上軸及び第1軸部の軸心から偏心した軸心を有する第2軸部5bと、を有する偏心ピン5と、一端部6aが偏心ピンに回転可能に連結され、他端部6bが針棒2を保持する針棒抱き9に回転可能に連結されたクランクロッド6と、を備えるミシン1において、クランクロッドの一端部に連結された偏心ピンにおける第2軸部の軸心と、クランクロッドの他端部に回転可能に連結された針棒抱きの軸心との距離を調節する距離調節機構7を備えた。
【選択図】図2

Description

本発明は、ミシンに関する。
工業用ミシンの縫製対象となる生地は、その厚さや種類の範囲が多様であるため、厚物から薄物までを、同一の針棒ストロークで対応するのが困難である。そのため、生地の厚さや種類に応じて、ミシンの針棒の上下ストローク量を調整することが従来より行われている。針棒の上下ストローク量を調整する装置としては、例えば、偏心ピンを利用するものが知られている。
具体的には、図7に示すように、ミシン100には、ミシンモータにより回転駆動する上軸101にクランク102が設けられている。クランク102には、その軸心から偏心した位置にクランクロッド103の一端部103aが偏心ピン104を介して回転自在に設けられている。偏心ピン104は互いに平行かつ軸心が異なる第1の軸部104aと第2の軸部10bから成り、第1の軸部104aはクランク102に設けられた穴に嵌合し、止めネジ102sにて固定され、第2の軸部104bはクランクロッド103の一端103aに挿通される。クランクロッド103の他端部には針棒抱き105が挿通されており、針棒抱き105には角駒106が設けられている。針棒抱き105には、止めネジ107により針棒108が保持されている。角駒106は、ガイドレール109に沿って移動するように構成されている。
そして、ミシンモータにより上軸101が軸回りに回転駆動すると、上軸101と共にクランク102が回転する。これにより、クランク102に取り付けられている偏心ピン104およびクランクロッド103の一端部103aも上軸101の軸心を中心に回転する。
ここでクランク102に対して、偏心ピン104の第1の軸部104aを取付ける位相を変更することにより、偏心ピン104の第2の軸部104bの軸心と上軸101の軸心との距離を変更することができる。これによりクランクロッド103の一端部103aの回転半径(第2の軸部104bの軸心と上軸101の軸心との距離)も変更することができ、針棒108の上下動ストロークを変えることができる。
特開2002−219293号公報
しかし、上記のような針棒108の上下ストロークを調整する方法においては、偏心ピン104の取付け位相を変更するだけで針棒108のストロークを調節していた。そのため、偏心ピン104の回転により第2の軸部104bの軸心と上軸101の軸心との距離が増減すると、クランクロッド103の他端およびそこに連結される針棒抱き、針棒、針の、上下運動における下死点の高さも増減する。ミシンにおいては、正確な縫い目を形成すべく、下死点の位置は針棒108の上下ストロークに限らず定位置にしておく必要がある。従って、針棒108の上下ストロークを調整した後に止めネジ107を緩めて針棒108の位置を調整しなければならなかった。
さらに、針棒108の位置を調整する際に、針棒108が軸回りに回転してしまうという問題もある。ここで、図8に示すように、針110は、先端に針穴110aが形成され、その針穴110aの近傍は他の部位に比べて凹むように形成されている。これは、針110に通された縫い糸Tをルーパや釜の剣先111により掬う際にルーパや釜の剣先111が針110に接触しないようにするためのものである。にもかかわらず、図9に示すように、針棒108が回転すると、針110も回転するため、ルーパや釜の剣先111が針110に衝突してしまうという問題があった。また、図10に示すように、針棒108の回転により、針110も回転するため、縫い針の針穴の位置も変わり、ルーパや釜の剣先111が針穴に通された縫い糸を掬えないという問題もあった。
そこで、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、針棒の上下ストロークを調整しても針棒抱きから針棒を解放することなく針棒の高さを調整することができるミシンを提供することを目的とする。
請求項1に記載の発明は、ミシンモータにより回転する上軸と、前記上軸に固定されるクランクと、前記上軸の軸心から偏心した位置で前記クランクに回転自在に取り付けられる第1軸部と、前記上軸及び前記第1軸部の軸心から偏心した軸心を有する第2軸部と、を有する偏心ピンと、一端部が前記偏心ピンに回転可能に連結され、他端部が針棒を保持する針棒抱きに回転可能に連結されたクランクロッドと、を備えるミシンにおいて、前記クランクロッドの一端部に連結された前記偏心ピンにおける前記第2軸部の軸心と、前記クランクロッドの他端部に回転可能に連結された前記針棒抱きの軸心との距離を調節する距離調節機構と、を備えることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、距離調節機構は、クランクロッドの一端部に連結された偏心ピンにおける第2軸部の軸心と、クランクロッドの他端部に回転可能に連結された針棒抱きの軸心との距離を調節する。
これにより、偏心ピンにより針棒の上下ストロークを調節した後、針の下死点が変化したとしても、距離調節機構により針の下死点の高さの変化分を打ち消すように調節することができる。
よって、針棒の上下ストロークを調整しても針棒抱きから針棒を解放することなく針の下死点の高さを調整することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のミシンにおいて、前記距離調節機構は、前記クランクロッドの他端部に回転方向の位置を調整可能に外周を固定されると共に、その外周の軸心から偏心した位置に前記針棒抱きが回転可能に連結される偏心カムを備えることを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、偏心カムを回転させることにより、偏心カムに挿通されている針棒抱きを上下方向に移動させることができ、その結果、針棒を上下方向に移動させることができる。
これにより、偏心カムの回転により、針棒の高さを調整することができるので、簡易な機構で距離調整機構を構成することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のミシンにおいて、前記偏心カムの外周縁の一部には突部が形成され、前記クランクロッドの他端部には、前記偏心カムを回転させた際に前記突部に当接して前記偏心カムの回転を規制する規制部が形成されていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明によれば、偏心カムの突部の移動経路上に規制部が形成されているので、予め決められた規制部の位置に合わせて偏心カムを回転させることができる。また、規制部を設ける位置によって偏心カムの回転範囲も規制することができる。
これにより、針棒の上下ストローク調整後の針棒の高さの調節量を設定することができる。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のミシンにおいて、前記偏心カムは、前記突部が前記偏心カムの軸心を挟んで対向すると共に針棒の上下方向に並ぶ二つの位置間で180°回転可能とされ、前記偏心カムの外周の軸心に対する前記偏心カムの偏心量が前記偏心ピンの前記第1軸部の軸心と第2軸部の軸心との偏心量と同一であることを特徴とする。
請求項4に記載の発明によれば、偏心カムは、突部が偏心カムの軸心を挟んで対向する位置まで移動した際には、針棒抱きは偏心カムからの偏心量と同一の距離だけ上下動するので、上記構成とすることで偏心カムを180°回転させるだけで針棒の上下ストロークの調整の際にずれた針棒の下死点の高さ位置を元に戻すことができる。
請求項5に記載の発明は、請求項2に記載のミシンにおいて、前記クランクロッドの他端部には、前記偏心カムを前記クランクロッドに固定する固定部材の挿通孔が外面から内面に貫通するように形成され、前記偏心カムの外周面には、その周方向に沿って前記固定部材の先端部が係合可能な複数の係合部が形成されていることを特徴とする。
請求項5に記載の発明によれば、偏心カムを所望の位置まで回転させて複数の係合部のうちの一つを挿通孔に合わせた後、固定部材を挿通孔に挿入すると、固定部材の先端部は係合部に係合され、偏心カムがクランクロッドに固定される。
これにより、偏心カムの回転位置、言い換えると、針棒の上下ストローク調整後の針棒の高さの調節量を設定することができる。
請求項1に記載の発明によれば、距離調節機構は、クランクロッドの一端部に連結された偏心ピンにおける第2軸部の軸心と、クランクロッドの他端部に回転可能に連結された針棒抱きの軸心との距離を調節する。
これにより、偏心ピンにより針棒の上下ストロークを調節した後、針棒の高さが変化したとしても、距離調節機構により針棒の高さの変化分を打ち消すように調節することができる。
よって、針棒の上下ストロークを調整しても針棒抱きから針棒を解放することなく針棒の下死点の高さを調整することができる。
請求項2に記載の発明によれば、偏心カムを回転させることにより、偏心カムに挿通されている針棒抱きを上下方向に移動させることができ、その結果、針棒を上下方向に移動させることができる。
これにより、偏心カムの回転により、針棒の高さを調整することができるので、簡易な機構で距離調整機構を構成することができる。
請求項3に記載の発明によれば、偏心カムの突部の移動経路上に規制部が形成されているので、予め決められた規制部の位置に合わせて偏心カムを回転させることができる。また、規制部を設ける位置によって偏心カムの回転範囲も規制することができる。
これにより、針棒の上下ストローク調整後の針棒の高さの調節量を設定することができる。
請求項4に記載の発明によれば、偏心カムは、突部が偏心カムの軸心を挟んで対向する位置まで移動した際には、針棒抱きは偏心カムからの偏心量と同一の距離だけ上下動するので、上記構成とすることで偏心カムを180°回転させるだけで針棒の上下ストロークの調整の際にずれた針棒の高さ位置を元に戻すことができる。
請求項5に記載の発明によれば、偏心カムを所望の位置まで回転させて複数の係合部のうちの一つを挿通孔に合わせた後、固定部材を挿通孔に挿入すると、固定部材の先端部は係合部に係合され、偏心カムがクランクロッドに固定される。
これにより、偏心カムの回転位置、言い換えると、針棒の上下ストローク調整後の針棒の高さの調節量を設定することができる。
以下、図面を参照して、本発明に係るミシンの最良の形態について詳細に説明する。
<ミシンの構成>
図1、図2に示すように、ミシン1は、針棒2の上下動ストロークを調節することができるように構成されている。
ミシン1には、各部の駆動源となるミシンモータ(図示略)が設けられ、このミシンモータの出力軸には、ミシンモータの駆動により軸回りに回転し、針Nを保持する針棒2を上下動させる駆動力を伝達する上軸3が連結されている。
上軸3には、クランク4が止めネジ4tにより固定され、クランク4は、上軸3の回転とともに回転する。クランク4は、略半円形のカウンタウエイト4aと、カウンタウエイト4aの略半円形部分の中心から突出するように形成されたクランクアーム4bと、を備えている。
クランクアーム4bには、上軸3の軸心から偏心した位置に偏心ピン5を嵌め込むための取付孔4cが形成されている。取付孔4cには、ワッシャW、ベアリングBを介して偏心ピン5が挿入されている。
(偏心ピン)
図2,3に示すように、偏心ピン5は、上軸3の軸心から偏心した位置でクランクアーム4bに止めネジ4sにより取り付けられる第1軸部5aと、上軸3の軸心及び第1軸部5aの軸心X1から偏心した軸心X2を有する第2軸部5bと、偏心ピン5を回転させるために外力を付与する操作部5cと、を備えている。偏心ピン5は、操作部5cに第2軸部5bが連結され、第2軸部5bに第1軸部5aが連結されており、一体形成されている。なお、各部をネジ等により連結したものであってもよい。
(クランクロッド)
図2に示すように、ベアリングBとワッシャWとの間には、クランクロッド6が設けられている。クランクロッド6の一端部6aには、偏心ピン5の第2軸部5bが挿入されると共に第2軸部5bの外周面が摺接する円形状の連結孔61が形成されている。すなわち、クランクロッド6は、その一端部6aにおいて、偏心ピン5によりクランクアーム4bの取付孔4cに連結されている。クランクロッド6の他端部6bには、偏心カム7(後述する)が挿入されると共に偏心カム7(後述する)の外周面が摺接する円形状の連結孔62が形成されている。
クランクロッド6の他端部6bには、連結孔62に挿入された偏心カム7を回転させた際に、その回転を一定の範囲で規制する規制部63が形成されている。規制部63は、クランクロッド6の他端部6bの連結孔62の内周面に沿って段状、すなわち、針棒2が設けられる側に突出するように形成されている。この規制部63は、円形に形成された連結孔62の内周面の半周に相当する部分であって、規制部63の一端部がクランクロッド6の長手方向の一端部6a側、規制部63の他端部がクランクロッド6の長手方向の他端部6b側に位置するように形成されている。
クランクロッド6の他端部6bには、外面から内面に貫通する挿通孔6dが形成されている。挿通孔6dは、連結孔62に挿入された偏心カム7をクランクロッド6に固定する固定部材としての止めネジ8を挿入する孔である。
(偏心カム)
偏心カム7は、クランクロッド6の連結孔62に挿入され、外周面が摺接するように円柱状に形成されている。偏心カム7の一端部7aであって、偏心カム7の外周縁の一部には、径方向に外側に張り出す突部71が形成されている。突部71は、偏心カム7の一端部7aと面一に形成されている。すなわち、突部71は、偏心カム7の一端部7aにおいて、偏心カム7の軸心方向には突出していないが、偏心カム7の径方向にのみ張り出すように形成されている。また、突部71における偏心カム7の軸心方向の長さは、規制部63の高さとほぼ同じ高さに形成されている。
偏心カム7には、その外周の軸心X3から偏心した位置に軸心X4を有し、針棒2を保持する針棒抱き9が挿入されて固定される挿入孔72が形成されている。ここで、挿入孔72(及び針棒抱き9の軸部91)の軸心X4の偏心カム7の外周の軸心X3に対する偏心量は、偏心ピン5の第1軸部5aの軸心X1に対する第2軸部5bの軸心X2の偏心量と同一となるように構成されている。
偏心カム7には、止めネジ8の先端に係合する係合部としての係合孔73が形成されている。係合孔73に止めネジ8の先端が進入することで偏心カム7をクランクロッド6に固定することができる。
偏心カム7は、突部71の裏面側がクランクロッド6の他端部6bに当接する。これにより、偏心カム7をクランクロッド6の連結孔62に挿入した際に、偏心カム7の一端部7aの端面が規制部63の先端面と面一となる。また、偏心カム7を回転させた際に、突部71が規制部63に当接して偏心カム7の回転が規制される。すなわち、突部71は、図4に示すように、規制部63の一端部から他端部に当接するまで回転可能となり、突部71は、0〜180°の範囲内で回転することが可能である。言い換えると、偏心カム7は、突部71が偏心カム7の軸心X3を挟んで対向すると共に針棒2の上下方向に並ぶ二つの位置間で180°回転可能とされている。
そして、偏心カム7が回転することにより、針棒抱き9の位置も上下動する。従って、偏心カム7を備えることにより、クランクロッド6の一端部6aに連結された偏心ピン5における第2軸部5bの軸心X2と、クランクロッド6の他端部6bに固定された針棒抱き9の軸心X4との距離を調節する距離調節機構が構成される。
(針棒抱き)
針棒抱き9は、クランクロッド6の他端部に偏心カム7を介して回動可能に連結されている。
針棒抱き9は、偏心カム7の挿入孔72に挿入される軸部91と、軸部91の一端部に設けられ、針棒2を把持する把持部92と、を備えている。
軸部91は、偏心カム7の挿入孔72に回転自在に挿入されている。
把持部92には、針棒2を通す挿通孔92aが形成されており、止めネジ10で挿通孔92aを狭めることにより、針棒2を保持することができるように構成されている。
針棒抱き9の軸部91には角駒92が設けられている。角駒92は、ガイドレール93に沿って移動するように構成されている。
<針棒の高さ調節>
次に、針棒2の上下ストローク調節後における針棒2の高さ調節操作について説明する。
図5(a)は、クランク4に設けられた取付孔4c(および第1軸部5aの軸心X1)が回転運動の下死点に位置し、針棒2に保持された針Nも上下動の下死点に位置する状態を示す。また、針棒2の上下ストロークは最短に調整された状態である。この状態において、偏心ピン5の第2軸部5bの軸心X2は偏心ピン5の第1軸部5aの軸心X1よりも上方に偏心した位置にあり、偏心カム7に挿入された針棒抱き9の軸部91の軸心X4は偏心カム7の軸心X3よりも下方に偏心した位置にある。
そして、針棒2の上下動ストロークを調整するために、偏心ピン5の操作部5cを回転させると、偏心ピン5は第1軸部5aの軸心X1回りに回転する。クランクロッド6は、偏心ピン5における第2軸部5bで連結されているため、第2軸部5bの回転に伴って移動する。
針棒2の上下動ストロークが最長になるように調整する場合、図5(b)に示すように偏心ピン5を180°回転させる。すると偏心ピン5の第2軸部5bの軸心X2は、偏心ピン5の第1軸部5aの軸心X1を中心に回転し、調整範囲の下死点に位置する。このとき第2軸部5bの下降に伴い、クランクロッド6、針棒抱き9、針棒2も下降し、針棒2の下死点も下方に移動する。この状態では、針Nとルーパや釜との位置関係が乱れるため、ルーパや釜の剣先により針Nに通された糸を掬うことができず、縫製を続行することができない。
針棒2の下死点を元の位置に戻すには、図5(c)に示すように、偏心カム7を180°回転させる。すると、針棒抱き9の軸部91の軸心X4は、偏心カム7の外周の軸心X3を中心に回転し、調整範囲の最上点にまで上昇する。針棒抱き9の上昇に伴って針棒2も上昇する。ここで、偏心ピン5の第1軸部5aの軸心X1から第2軸部5bの軸心X2への距離と、偏心カムの外周の軸心X3から挿入孔X4への距離は同一であるため、針7の下死点において、偏心ピン5の回転により針棒2の上昇した距離は、偏心カム7の回転により針棒2の下降する距離により相殺される。よって針棒2の下死点は、針棒2の上下動ストローク調整の前後で同一となる。
以上の調整により、針棒2の上下ストロークを調節した後でも、針Nの下死点を同一にすることができ、針Nと、ルーパや釜との位置関係を維持することができる。
なお、偏心カム7の操作において、突部71は偏心カム7の軸心回りに0°〜180°の範囲内で回転することができ、180°以上回転しようとしてもクランクロッド6に形成された規制部63に突部71が当接して回転を規制されるので誤操作が発生しにくくなっている。
<作用・効果>
以上のように、距離調節機構は、偏心カム7を備えて構成されているため、クランクロッド6の一端部6aに連結された偏心ピン5における第2軸部5bの軸心X2と、クランクロッド6の他端部6bに固定された針棒抱き9の軸心X4との距離を調節する。
これにより、偏心ピン5により針棒2の上下ストロークを調節した後、針棒2の下死点の高さが変化したとしても、偏心カム7の回転により針棒2の下死点の高さの変化分を打ち消すように調節することができる。
よって、針棒2の上下ストロークを調整しても針棒抱き9から針棒2を解放することなく針棒2の下死点の高さを調整することができる。
また、針棒抱き9から針棒2の把持を解放して針棒2の下死点の位置を調節する必要が無くなるので、針棒2が回転することにより生じていたルーパや釜の剣先が針Nに衝突してしまうという問題や、針Nの回転による針穴位置の変化によって生じるルーパや釜の剣先が針穴に通された縫い糸を掬えないという問題を解消することができる。
また、偏心カム7の突部71の移動経路上に規制部63が形成されているので、予め決められた規制部63の位置に合わせて偏心カム7を回転させることができる。また、規制部63を設ける位置によって偏心カム7の回転範囲も規制することができる。
これにより、針棒2の上下ストローク調整後の針棒2の高さの調節量を設定することができる。
また、偏心カム7は、突部71が偏心カム7の軸心X3を挟んで対向する位置まで移動した際には、針棒抱き9は偏心カム7からの偏心量の2倍の距離だけ上下動するので、上記構成とすることで偏心カム7を180°回転させるだけで針棒2の上下ストロークの調整の際にずれた針棒2の下死点の高さ位置を元に戻すことができる。
<その他>
なお、本発明は上記実施形態に限られるものではない。例えば、上記実施形態においては、偏心カム7に突部71を設け、クランクロッド6の他端部6bに規制部63を設けることで、偏心カム7の回転可能な範囲が決定され、針棒2の高さ位置の調節量が可能となっているが、図6に示すような構成を採ってもよい。
具体的には、図6に示すように、偏心カム70の外周面の周方向に沿って止めネジ8の先端部が係合可能な複数の係合孔74(係合部)を形成する。そして、針棒2の高さ位置の調節時には、針棒2の高さの変化量に応じて偏心カム70を回転させると共にいずれかの係合孔74をクランクロッド6の挿通孔6dに合わせる。その後、止めネジ8を挿通孔6dに挿通させると、止めネジ8の先端部は偏心カム70の係合孔74に係合され、偏心カム70がクランクロッド6に固定される。
これにより、偏心カム70の回転位置、言い換えると、針棒2の上下ストローク調整後の針棒2の高さの調節量を設定することができる。
また、実施形態1と異なり、偏心カム70を多くの位置で固定することができるので、針棒2の高さ位置調節の自由度を向上させることができる。
なお、偏心カム70に複数の係合孔74を設けるだけでなく、偏心カムの円周方向に延びる長孔を形成し、この長孔の任意の位置で止めネジ8により固定するようにしてもよい。この場合には、針棒2の高さ位置を無段階で調節することができる。
ミシンの針棒まわりの構成を示す斜視図。 ミシンの針棒まわりの構成を示す分解斜視図。 偏心ピンを側方から見た図。 偏心カム回りの正面図。 針棒の高さ位置を調節する手順を説明する模式図。 偏心カム回りの他の例を説明する正面図。 従来技術におけるミシンの針棒まわりの構成を示す分解斜視図。 従来技術における針の先端の構造を説明する図であり、(a)は正面図、(b)は側方から見た図。 従来技術における問題点を説明する模式図。 従来技術における問題点を説明する模式図。
符号の説明
1 ミシン
2 針棒
3 上軸
4 クランク
5 偏心ピン
5a 第1軸部
5b 第2軸部
6 クランクロッド
6a 一端部
6b 他端部
7 偏心カム(距離調節機構)
8 止めネジ(固定部材)
9 針棒抱き
63 規制部
70 偏心カム(距離調節機構)
71 突部
74 係合孔(係合部)
X1 第1軸部の軸心
X2 第2軸部の軸心
X3 偏心カムの軸心
X4 挿入孔及び針棒抱きの軸部の軸心

Claims (5)

  1. ミシンモータにより回転する上軸と、
    前記上軸に固定されるクランクと、
    前記上軸の軸心から偏心した位置で前記クランクに回転自在に取り付けられる第1軸部と、前記上軸及び前記第1軸部の軸心から偏心した軸心を有する第2軸部と、を有する偏心ピンと、
    一端部が前記偏心ピンに回転可能に連結され、他端部が針棒を保持する針棒抱きに回転可能に連結されたクランクロッドと、を備えるミシンにおいて、
    前記クランクロッドの一端部に連結された前記偏心ピンにおける前記第2軸部の軸心と、前記クランクロッドの他端部に回転可能に連結された前記針棒抱きの軸心との距離を調節する距離調節機構と、
    を備えることを特徴とするミシン。
  2. 前記距離調節機構は、
    前記クランクロッドの他端部に回転方向の位置を調整可能に外周を固定されると共に、その外周の軸心から偏心した位置に前記針棒抱きが回転可能に連結される偏心カムを備えることを特徴とする請求項1に記載のミシン。
  3. 前記偏心カムの外周縁の一部には突部が形成され、
    前記クランクロッドの他端部には、前記偏心カムを回転させた際に前記突部に当接して前記偏心カムの回転を規制する規制部が形成されていることを特徴とする請求項2に記載のミシン。
  4. 前記偏心カムは、前記突部が前記偏心カムの軸心を挟んで対向すると共に針棒の上下方向に並ぶ二つの位置間で180°回転可能とされ、
    前記偏心カムの外周の軸心に対する前記偏心カムの偏心量が前記偏心ピンの前記第1軸部の軸心と第2軸部の軸心との偏心量と同一であることを特徴とする請求項3に記載のミシン。
  5. 前記クランクロッドの他端部には、前記偏心カムを前記クランクロッドに固定する固定部材の挿通孔が外面から内面に貫通するように形成され、
    前記偏心カムの外周面には、その周方向に沿って前記固定部材の先端部が係合可能な複数の係合部が形成されていることを特徴とする請求項2に記載のミシン。
JP2007326007A 2007-12-18 2007-12-18 ミシン Pending JP2009142610A (ja)

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