JP2009140858A - 燃料電池スタックの製造方法及び製造設備 - Google Patents

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Abstract

【課題】運搬工数を低減し、発電検査を含む一連の製造工程を効率良く行うことができる、燃料電池スタックの製造方法及び製造設備を提供すること。
【解決手段】製造ライン101上の各ステーションで、単セル2等の積層部品をにある治具110上に積み上げ、燃料電池スタック1を組み立てる。組み立てた燃料電池スタック1を治具110ごと、製造ライン101上の発電検査ステーションに運搬する。発電検査ステーションにて、燃料ガス及び酸化ガスを治具110を介して燃料電池スタック1に供給し、燃料電池スタック1の発電検査を行うようにした。供給する燃料ガス及び酸化ガスは、ドライ状態であり、ボンベ151から供給される。製造ライン101としては、コンベア102、ターンテーブル201、台車202などを利用することができる。
【選択図】図5

Description

本発明は、燃料電池スタックの製造方法及び製造設備に関し、特に、単セルの積層から燃料電池スタックの発電検査までの製造工程に関するものである。
燃料電池の基本単位である単セルは、例えば固体高分子型である場合、膜―電極アッセンブリ(MEA:Membrane Electrode Assembly)を一対のセパレータで挟持してなる。燃料電池スタックは、このような単セルを直列に複数積層したセル積層体を有し、さらに、セル積層体の両端に集電板、絶縁板及びエンドプレートを順に積層している(例えば特許文献1参照)。
通常、各単セルの電解質膜とセパレータとの間や、隣接する単セル同士の間は、燃料ガス、酸化ガス及び冷媒が混合しないように、接着剤やOリング等のシール部材を用いてシールされる。十分なシール性を確保するためにはシール部材を一定時間加圧保持する必要があるので、燃料電池スタックの製造工程では、プレス機等を用いてセル積層体に圧縮荷重を付与することが行われる。その後、燃料電池スタックの締結荷重を保持するために、弾性モジュールによってセル積層体に所定の圧縮力をかけたり、エンドプレート間にテンションプレートをかけ渡したりすることが行われる。
特許文献1には、セル積層体のシール性を確認する漏洩試験を、燃料電池スタックの製造工程中に効率よく行う方法が記載されている。この方法では、先ず、積層エリアで、治具上に単セルを積層してセル積層体を構成し、次いで、プレス機のエリアで、セル積層体に圧縮荷重を付与する。続いて、リーク検査エリアで、セル積層体に検査流体を供給してリーク試験を行い、リーク試験の終了後に、セル積層体を治具から取り外す。積層エリアからプレス機のエリア及びリーク検査エリアまでは、治具ごとセル積層体をベルトコンベア等で搬送している。治具から取り外されたセル積層体は、エンドプレート等を組付けるための組付けエリアに運搬される。
特開2001−23665号公報
特許文献1に記載の方法では、リーク検査エリアから組付けエリアにセル積層体を運搬するのに、ベルトコンベア等とは別の搬送装置(台車等)が必要となる上、セル積層体をリーク検査エリアから取り出して、組付けエリアにセットするのに多大な労力が必要となる。また、通常、製造後の燃料電池スタックは発電検査を実施されるが、この点に関して特許文献1では何ら考慮されていない。特許文献1に記載の製造工程において発電検査を行おうとすると、さらに別の搬送装置で、組付けエリアの燃料電池スタックを発電検査エリアへと運搬する必要があり、より一層多大な労力がかかってしまう。
本発明は、運搬工数を低減し、発電検査を含む一連の製造工程を効率良く行うことができる、燃料電池スタックの製造方法及び製造設備を提供することをその目的としている。
上記目的を達成するべく、本発明の燃料電池スタックの製造方法は、製造ラインにある治具上に、複数の単セルを含む構成部材を積層して燃料電池スタックを組み立てる組立工程と、組み立てられた燃料電池スタックを治具ごと、製造ライン上の発電検査ステーションに運搬する運搬工程と、発電検査ステーションにて、燃料ガス及び酸化ガスを治具を介して燃料電池スタックに供給し、燃料電池スタックの発電検査を行う発電検査工程と、を備えたものである。
上記目的を達成するべく、本発明の燃料電池スタックの製造設備は、治具と、治具上に複数の単セルを含む構成部材を積層する工程が実行され、燃料電池スタックが組み立てられる組立てステーションと、燃料電池スタックの発電検査が行われる発電検査ステーションと、発電検査ステーションに設けられ、燃料ガス及び酸化ガスを治具を介して燃料電池スタックに供給するガス供給装置と、を備える。組立てステーション及び発電検査ステーションは、治具を運搬可能な製造ライン上にあり、製造ラインは、組立てステーションから発電検査ステーションへと、治具ごと燃料電池スタックを運搬する。
本発明によれば、組み立てられた燃料電池スタックを治具ごと運搬し、この治具を介して燃料ガス等を供給して発電検査を行う。これにより、発電検査まで含めた一貫したライン生産することができ、燃料電池スタックの製造効率を向上できる。また、組立工程が完了してから発電検査ステーションに運搬するので、組立工程の途中で発電検査ステーションとの間を往復させなくて済み、治具等の運搬工数を低減することができる。
好ましくは、発電検査工程では、燃料ガスの供給用配管及び酸化ガスの供給用配管を治具に取り付けて、治具を介して燃料電池スタックに燃料ガス及び酸化ガスを供給するとよい。こうすることで、単セル等の積層に用いる治具を有効に利用して、燃料電池スタックに燃料ガス等を供給することができる。
好ましくは、発電検査工程では、ドライ状態又は無加湿状態の燃料ガス及び酸化ガスを燃料電池スタックに供給するとよい。こうすることで、ウェット状態にするために必要な加湿器の設備を不要にできるなど、簡易な設備で燃料ガス等を供給することができる。
より好ましくは、発電検査工程では、燃料ガス及び酸化ガスをそれぞれ貯留したボンベから燃料電池スタックに供給するとよい。こうすることで、例えば酸化ガスの供給のためのエアコンプレッサを不要にできるなど、ガスの供給装置を簡素化できる。
好ましくは、発電検査工程では、燃料ガス及び酸化ガスを燃料電池スタックに循環供給するとよい。こうすることで、循環供給しない場合に比べて、発電検査での燃料ガス及び酸化ガスの利用効率を高めることができる。
より好ましくは、発電検査工程では、燃料電池スタックから排出された燃料ガス及び酸化ガスに含まれる水分を気液分離器で除去してから、燃料ガス及び酸化ガスを燃料電池スタックに循環供給するとよい。こうすることで、発電検査により生成される水を過剰に含んだ燃料ガス等が燃料電池スタックに再供給されることを抑制できる。
好ましくは、製造ラインの方式は、コンベア方式、ターンテーブル方式、及び台車を利用した方式のいずれかであるとよい。
好ましくは、組立工程は、製造ライン上の複数のステーションに治具を順次運搬して行われるとよい。こうすることで、組立工程が流れ作業的に行われるので、組立工程を一つのステーションだけで行う場合に比べて、製造効率を高めることができる。
より好ましくは、複数のステーションは、複数の単セルを積層するための一以上の積層ステーションと、複数の単セルが積層されてなるセル積層体をセル積層方向に圧縮するための圧縮ステーションと、燃料電池スタックの両端にあるエンドプレート間を連結部材で連結するための締付けステーションと、を含むとよい。
本発明の燃料電池スタックの製造方法及び製造設備によれば、運搬工数を低減でき、発電検査を含む一連の製造工程を効率良く行うことができる。
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態に係る燃料電池スタックの製造方法及び製造設備について説明するが、その前に先ず、燃料電池スタックの構造について説明する。また、ここでは、車両に好適な固体高分子型の燃料電池スタックを例に説明する。この種の燃料電池スタックは、車両に好適であるが、これに限らず、例えば船舶、飛行機及びロボットといった自走式の移動体に搭載することもできるし、定置型の電源としても用いることが可能である。
図1及び図2に示すように、燃料電池スタック1は、基本単位である単セル2を積層したセル積層体3を有する。セル積層体3は、例えば200〜400枚程度の単セル2が積層されてなる。セル積層体3の両端に位置する単セル2の外側には、それぞれ順次、集電板5a、5b、絶縁板6a、6b及びエンドプレート7a、7bが積層され、テンションプレート8,8によってセル積層体3等の積層状態が拘束される。テンションプレート8,8は、セル積層体3の外側において対向するようにエンドプレート7a、7b間に架け渡され、これらにボルト9で固定される。また、一方のエンドプレート7bと絶縁板6bとの間には、セル積層体3と直列的に弾性モジュール10が設けられる。
弾性モジュール10は、弾性力によってセル積層体3に圧縮荷重(締結力)を作用させるものであり、例えば一対のプレート11,11間に複数の弾性体12を有する。セル積層体3への圧縮荷重は、例えばいわゆるいもねじの調整ネジ13によって、その軸方向長さを変えることにより、調整することができる。調整ネジ13は、エンドプレート7bと一方のプレート11との間でこの両者又は一方に螺合しており、エンドプレート7bの外面側から操作可能に構成されている。このような燃料電池スタック1の構成により、セル積層体3は、単セル2の積層方向(以下、「セル積層方向」という。)に所定の圧縮荷重(締結力)が付与された状態となる。
燃料ガス、酸化ガス及び冷媒は、エンドプレート7aの供給口15a,16a及び17aに接続した供給管18からセル積層体3内のマニホールド20aに供給される。その後、燃料ガス、酸化ガス及び冷媒は、セル積層方向に延在するマニホールド20aを流れると共に単セル2の平面方向にも流れる。最終的に、燃料ガス、酸化ガス及び冷媒は、セル積層体3内のマニホールド20bから、エンドプレート7の排出口15b,16b及び17bに接続した排出管19へと流れ、燃料電池スタック1外に排出される。
なお、供給管18、排出管19及びマニホールド20a,20bは、燃料ガス、酸化ガス及び冷媒の各流体に対応して設けられるが、図2では同一符号を付して説明を省略している。また、燃料ガスとは水素を含む水素ガスであり、酸化ガスとは酸素や空気を代表とする酸化剤を含有するガスである。燃料ガス及び酸化ガスは、反応ガスと総称されることがある。冷媒は、例えば冷却水である。
図3に示すように、単セル2は、MEA20及び一対のセパレータ22A,22Bを備える。
MEA20(膜―電極アッセンブリ)は、イオン交換膜からなる電解質膜30と、電解質膜30を挟んだ一対の電極32A,32Bと、で構成される。電極32A,32Bは、例えば多孔質のカーボン素材からなる拡散層に、例えば白金からなる触媒層が結着されたものである。電極32A(アノード)の拡散層は、セパレータ22Aの燃料ガス流路40に面しており、燃料ガスを通過させる機能と、触媒層及びセパレータ22Aを電気的に導通させる機能と、を有する。一方、電極32B(カソード)の拡散層は、セパレータ22Bの酸化ガス流路42に面しており、酸化ガスを通過させる機能と、触媒層及びセパレータ22Bを電気的に導通させる機能と、を有する。
セパレータ22A,22Bは、ガス不透過の導電性材料で構成される。導電性材料としては、カーボンや、導電性を有する硬質樹脂の他、アルミニウムやステンレス等の金属が挙げられる。本実施形態では、セパレータ22A,22Bは、基材を板状の金属とするいわゆるメタルセパレータからなり、平面視矩形状に形成される。セパレータ22A、22Bの外周縁部には、例えばガスケットである第1シール材51及び第2シール52が設けられる。第1シール材51によって、隣接する単セル2,2間がシールされ、第2シール材52によって、各単セル2におけるセパレータ22Aとセパレータ22Bとの間がシールされる。
セパレータ22Aは、表面に燃料ガス流路40を有し、裏面に冷媒流路44Aを有する。セパレータ22Bは、表面に酸化ガス流路42を有し、裏面に冷媒流路44Bを有する。隣接する二つの単セル2,2の一方の冷媒流路44Aが他方の冷媒流路44Bと連通することで、単セル2,2間に冷媒を供給する冷媒流路が構成される。燃料ガス流路40が電極32Aに燃料ガスを供給し、酸化ガス流路42が電極32Bに酸化ガスを供給することにより、MEA20内で電気化学反応が生じ、起電力が得られる。また、この電気化学反応により、電極32B側に水が生成されると共に発熱する。そして、冷媒流路(44A,44B)に冷媒が流れることで、単セル2の熱が低減され、燃料電池スタック1の運転温度が所定の範囲に保たれる。
セパレータ22Aの両面の燃料ガス流路40及び冷媒流路44Aは、セパレータ22Aのプレス成形によって同時に形成され、セパレータ22Bの両面の酸化ガス流路42及び冷媒流路44Bは、セパレータ22Bのプレス成形によって同時に形成される。つまり、セパレータ22A,22Bでは、流体の流路をなすための凹凸形状が表面と裏面とで反転した関係になっている。なお、燃料ガス流路40、酸化ガス流路42及び冷媒流路44A,44Bは、凹凸の繰り返しが一方向に延びるストレート流路、又は、途中に折り返し部を有するサーペンタイン流路で構成される。
次に、図4及び図5を参照して、燃料電池スタック1の製造方法について説明する。
図4に示すように、本製造方法における一連の工程は、ステップS1〜S6で構成される。そして、このうちのステップS1〜S5が、燃料電池スタック1の各構成部材(単セル2、集電板5a、5b、絶縁板6a、6b及びエンドプレート7a、7b、弾性モジュール10など)を積層して、燃料電池スタック1を組み立てる組立工程となっている。
図5に示すように、燃料電池スタック1の製造設備100は、製造ライン101を有しており、製造ライン101上には、ステップS1〜S6の各工程をそれぞれ実行するためのステーション(エリア)が設けられている。製造ライン101の方式はコンベア式であり、無端のコンベア102によって治具110が各ステーションに順次搬送(運搬)される。そして、各ステーションにおいて、作業者又は作業用ロボットがステップS1〜S6の各工程を流れ作業的に実行する。なお、これらの工程はいずれも大気圧下で行うことができる。
<ステップS1:単セル2等の積層工程>
図5(a)に示すように、第1の積層ステーションでは、先ず、治具110上に一つのエンドプレート7aを水平にセットする。次いで、エンドプレート7a上に、絶縁板6a及び集電板5aを積層し、さらに、その上に所定枚数(200〜400枚)の単セル2を積層してセル積層体3を構成させる。その後、セル積層体3の上に集電板5b及び絶縁板6bを積層する。
治具110は、例えば、板状からなり、エンドプレート7aの設置位置を規定するためのアライメントマークを有している。ただし、治具110の上方には、エンドプレート7aのセット作業において障害物となるような物(例えば加圧治具など)が配置されておらず、このセット作業を容易に行えるようになっている。この点、図5(b)〜(f)でも同様である。
<ステップS2:弾性モジュール10及びエンドプレート7bの積層工程>
図5(b)に示すように、第2の積層ステーションでは、セル積層体3上の絶縁板6bに、弾性モジュール10及びエンドプレート7bを積層する。この積層により、セル積層体3は、弾性モジュール10及びエンドプレート7bの重量を受けてセル積層方向に僅かに圧縮される。また、セル積層体3は、自重によってもセル積層方向に僅かに圧縮される。この圧縮は、主として、第1シール材51及び第2シール材52のつぶれしろ等のつぶれによるものである。
なお、第2の積層ステーションを省略し、第1の積層ステーションで弾性モジュール10の積層を行ってもよい。一方で、生産量に応じて、第1の積層ステーションを分割し、図5(a)に示す積層工程を更に分割して行ってもよい。要するに、積層ステーションの数は一以上にすることができる。なお、エンドプレート7bの積層を図5(c)の圧縮工程後に行ってもよい。また、図5(e)の調整工程で調整ネジ13のストロークを小さくすることを目的に、図5(b)の積層工程において、弾性モジュール10としてプレ圧縮荷重がかかったものを用いてもよい。
<ステップS3:セル積層体3の圧縮工程>
図5(c)に示すように、圧縮ステーションでは、セル積層体3のセル積層方向への圧縮が行われる。この圧縮は、プレス機などの加圧機を用いて機械的にセル積層体3を圧縮することもできるが、ここでは、真空ポンプ120を用いて、エア配管121から治具110を介してセル積層体3を圧縮している。
一例を説明すると、先ず、治具110に貫通形成された流通路131〜136に、エア配管121の6個の接続端部を接続する。流通路131〜136は、それぞれ、エンドプレート7aの供給口15a,16a,17a及び排出口15b,16b,17bに連通している。この状態で、真空ポンプ120を駆動することで、燃料ガス流路40、酸化ガス流路42及び冷媒流路(44A,44B)内のエアが同時に吸引され、セル積層体3内が真空化する。その結果、セル積層体3の大気圧である外部と真空化された内部との間の圧力差によって、セル積層体3がセル積層方向に圧縮される。この圧縮は、主として、第1シール材51及び第2シール材52のつぶれしろ等のつぶれと、電解質膜30の縮小とによるものであり、テンションプレート8を組付可能な長さまで行われる。
ここで、図5(c)に示す圧縮工程では、セル積層体3のリーク検査も同時に行うとよい。例えば、エア配管121上のセンサ122によって、セル積層体3内の真空度をモニターし、その結果に基づいてリーク検査を行うとよい。真空度の悪化が検出された場合には、リークが生じていることになる。リークの原因としては、例えば、シール材51、52のシールが適切になされていないことが挙げられる。このように、圧縮工程の際にリーク検査を行うことで、燃料電池スタック1の製造後に発電検査前の確認のためのみにリーク検査を行わなくて済む。圧縮工程の終了後には、真空ポンプ120の駆動を停止してエア配管121を取り外し、次の締付け工程のステーションへと治具110ごと搬送する。
<ステップS4:テンションプレート8による締付け工程>
図5(d)に示すように、締付けステーションでは、エンドプレート7a,7b間をテンションプレート8で連結する。これにより、セル積層体3がセル積層方向において締め付けられる。なお、締付けは、テンションプレート8以外の他の手段を用いてもよい。
<ステップS5:調整ネジ13による圧縮荷重の調整工程>
図5(e)に示すように、荷重調整ステーションでは、調整ネジ13を用いて、弾性モジュール10によるセル積層体3への圧縮荷重を調整する。この調整によって、セル積層体3への圧縮荷重を所定値(規定荷重)に設定する。この設定により、燃料電池スタック1の一連の組立工程が完了する。組み立てられた燃料電池スタック1は、次の発電検査工程のステーションへと治具110ごと搬送される。なお、請求項に記載の組立てステーションとは、本実施形態においては、第1の積層ステーション、第2の積層ステーション、圧縮ステーション、締付けステーション及び荷重調整ステーションを含むものである。
<ステップS6:燃料電池スタック1の発電検査工程>
図5(f)に示すように、発電検査ステーションでは、燃料電池スタック1の発電検査を行う。この発電検査は、燃料電池システムと同じシステムを用いることで行うことができるが、実用化される燃料電池システムよりも簡素化したシステムを用いて行うことができる。ここでは、簡素化したシステムを用いて、コンベア102上で行う発電検査の一例を説明する。
先ず、簡素化したシステムは、燃料ガスを燃料電池スタック1に供給するための燃料ガス供給装置141と、酸化ガスを燃料電池スタック1に供給するための酸化ガス供給装置と、を備えている。
燃料ガス配管系141は、ボンベ151、インジェクタ152、供給配管153、循環配管154、気液分離器155、循環ポンプ156及び排水弁157を備える。ボンベ151は、燃料ガスとして、水素ガスを貯留する。インジェクタ152は、供給配管153の途中に設けられ、燃料電池スタック1への水素ガスの供給流量及び供給圧を制御する。供給管153の下流端は、治具110の流通路131に接続され、燃料電池スタック1内の燃料ガス用のマニホールド20aに連通する。循環配管154の一端は、治具110の流通路134に接続され、燃料電池スタック1内の燃料ガス用のマニホールド20bに連通する。循環配管154の他端は、気液分離器155に接続される。気液分離器155は、燃料電池スタック1から排出された水素オフガス中の水分を分離する。この水分は、燃料電池スタック1の発電によって生成される生成水である。気液分離器155で分離された水分は排水弁157から外部へと排水され、水素オフガス(気体分)は循環ポンプ156によってインジェクタ152の下流側に圧送される。したがって、燃料電池スタック1には、水分を除去された燃料ガスが循環供給される。
酸化ガス供給装置は、図示省略したが、燃料ガス供給装置141とほぼ同様の構成である。すなわち、ボンベに貯留された酸化ガスは、インジェクタで調整された後、循環ポンプからの酸化オフガスを混合されて、治具110内の流通路132から燃料電池スタック1内に供給される。酸化オフガスは、治具110内の流通路135から気液分離器へと排出され、水分が除去された後、循環ポンプによってインジェクタの下流へと圧送される。このように、酸化ガス供給装置によっても、水分を除去された酸化ガスが燃料電池スタック1に循環供給される。
ここで、燃料ガス配管系141及び酸化ガス配管系のいずれにも、通常の燃料電池システムで酸化ガス系統に搭載される加湿器が設けられていない。このため、発電検査用に燃料電池スタック1に供給される燃料ガス及び酸化ガスは、無加湿の状態、すなわちドライ状態となっている。また、発電検査用の酸化ガスとしては、純粋な酸素ガス、これを大気中のエアで希釈したガス、または、エアから窒素を除去した酸素リッチガスを用いることができる。好ましくは、循環供給される酸化ガスは、燃料電池スタック1の入口酸素濃度(供給口16aでの酸素濃度)が21%程度となるように制御されることが好ましい。この制御は、例えばインジェクタを作動させることにより行うことが可能である。
燃料電池スタック1の発電検査を行う場合、先ず、治具110の流通路131及び134に供給配管153及び循環配管154の端部を接続する。同様に、酸化ガス系統の供給配管及び循環配管も治具110を介して燃料電池スタック1に接続する。これらの接続後に、燃料電池スタック1に燃料ガス及び酸化ガスを循環供給し、燃料電池スタック1の発電を行う。そして、図示省略したセルモニタ、電圧計及び電流計等を用いて、燃料電池スタック1の発電が正常に行われているか否かを検査する。発電状況に異常がある場合には、適宜、点検等の作業を行う。一方、発電状況が正常である場合には、発電検査を終了し、最終的に、治具110から燃料電池スタック1を取り外す。これにより、燃料電池スタック1の一連の製造工程が完了する。
以上説明したように、本実施形態の燃料電池スタック1の製造方法及び製造設備によれば、一つの製造ライン101において、燃料電池スタック1の組立工程を複数のステーションで流れ作業的に行い、さらに、組立てた燃料電池スタック1を治具110ごと搬送し、発電検査ステーションにて発電検査を行うことができる。これにより、製造効率を高めることができ、燃料電池スタック1を迅速に量産することが可能となる。
特に、組立工程が完了してから燃料電池スタック1を治具110ごと発電検査ステーションに運搬するので、組立工程の途中で発電検査ステーションとの間を往復させなくて済み、運搬工数を低減することができる。しかも、積層に用いる治具110を有効に利用して、燃料ガス等の供給及び発電検査を行うことができ、発電検査までも含めた燃料電池スタック1のライン生産が可能となる。換言すれば、燃料電池スタック1について、量産時にインライン検査することができるようになる。また、発電検査を行うシステムを簡素化しているので、大型の加湿器やエアコンプレッサ等が不要となり、製造設備100の小型化及びコスト低減を図ることができる。
本実施形態の他の実施態様では、発電検査工程(ステップS6)の際に、燃料ガス及び酸化ガスの両方及び一方を燃料電池スタック1に循環供給しないようにすることもできる。この場合には、開放されている治具110内の流通路には栓をすればよい。
また、別の実施態様では、治具110に流通路131〜136を形成するのではなく、治具110に配管挿通用の穴を形成し、圧縮工程でのエア配管121や、発電検査工程での供給配管153及び循環配管154を、直接、エンドプレート7aに取り付けてもよい。このような構成であっても、例えば発電検査工程では、燃料ガス及び酸化ガスを治具110を介して燃料電池スタック1に供給することができる。
<変形例>
次に、図6を参照して、製造ライン101の変形例について説明する。製造ライン101の方式は、上記したコンベア式に限られるものではなく、図6(a)に示すターンテーブル式、あるいは、図6(b)に示す台車を利用した方式を用いることもできる。
図6(a)に示すように、例えば、ターンテーブル201の周縁部に、第1の積層ステーション(図5(a))、第2の積層ステーション(図5(b))、圧縮ステーション(図5(c))、締付けステーション(図5(d))、荷重調整ステーション(図5(e))及び発電検査ステーション(図5(f))を順に設けてもよい。この場合も、治具110を各ステーションに順次運搬させ、治具110上の積層体(発電検査工程では、燃料電池スタック1)に対し、各工程を行う。
また、図6(b)に示すように、台車202を利用する場合には、例えば、治具110を上面に搭載した台車202が、所定の経路を自動的に又はマニュアル操作により移動し、各ステーションに治具110上の積層体を臨ませるようにすればよい。
実施形態に係る燃料電池スタックの斜視図である。 実施形態に係る燃料電池スタックの一部を断面的に示す側断面図である。 実施形態に係る燃料電池スタックのセル積層体の断面図である。 実施形態に係る燃料電池スタックの製造方法における一連の製造工程を示すフローチャートである。 実施形態に係る燃料電池スタックの製造設備を示す模式図であり、(a)は単セル等の積層工程、(b)は弾性モジュール等の積層工程、(c)はセル積層体の圧縮工程、(d)は締付け工程、(e)は圧縮荷重の調整工程、(f)は発電検査工程をそれぞれ示す図である。 変形例に係る燃料電池スタックの製造ラインを示す模試図であり、(a)はターンテーブル式の製造ラインの平面図であり、(b)は台車を利用した形式の製造ラインの側面図である。
符号の説明
1…燃料電池スタック、2…単セル、3…セル積層体、5a,5b…集電板、6a,6b…絶縁板、7a,7b…エンドプレート、8…テンションプレート(連結部材)、10…弾性モジュール、20…MEA、100…製造設備、101…製造ライン、102…コンベア、110…治具、151…ボンベ、201…ターンテーブル、202…台車

Claims (10)

  1. 製造ラインにある治具上に、複数の単セルを含む構成部材を積層して燃料電池スタックを組み立てる組立工程と、
    組み立てられた燃料電池スタックを前記治具ごと、前記製造ライン上の発電検査ステーションに運搬する運搬工程と、
    前記発電検査ステーションにて、燃料ガス及び酸化ガスを前記治具を介して前記燃料電池スタックに供給し、当該燃料電池スタックの発電検査を行う発電検査工程と、
    を備えた、燃料電池スタックの製造方法。
  2. 前記発電検査工程では、燃料ガスの供給用配管及び酸化ガスの供給用配管を前記治具に取り付けて、前記治具を介して前記燃料電池スタックに燃料ガス及び酸化ガスを供給する、請求項1に記載の燃料電池スタックの製造方法。
  3. 前記発電検査工程では、ドライ状態の燃料ガス及び酸化ガスを前記燃料電池スタックに供給する、請求項1又は2に記載の燃料電池スタックの製造方法。
  4. 前記発電検査工程では、燃料ガス及び酸化ガスをそれぞれ貯留したボンベから前記燃料電池スタックに供給する、請求項3に記載の製造方法。
  5. 前記発電検査工程では、燃料ガス及び酸化ガスを前記燃料電池スタックに循環供給する、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の燃料電池スタックの製造方法。
  6. 前記発電検査工程では、前記燃料電池スタックから排出された燃料ガス及び酸化ガスに含まれる水分を気液分離器で除去してから、燃料ガス及び酸化ガスを前記燃料電池スタックに循環供給する、請求項5に記載の燃料電池スタックの製造方法。
  7. 前記製造ラインの方式は、コンベア方式、ターンテーブル方式、及び台車を利用した方式のいずれかである、請求項1ないし6のいずれか一項に記載の燃料電池スタックの製造方法。
  8. 前記組立工程は、前記製造ライン上の複数のステーションに前記治具を順次運搬して行われる、請求項1ないし7のいずれか一項に記載の燃料電池スタックの製造方法。
  9. 前記複数のステーションは、
    前記複数の単セルを積層するための一以上の積層ステーションと、
    前記複数の単セルが積層されてなるセル積層体をセル積層方向に圧縮するための圧縮ステーションと、
    前記燃料電池スタックの両端に位置するエンドプレート間を連結部材で連結するための締付けステーションと、を含む、請求項8に記載の燃料電池スタックの製造方法。
  10. 治具上に複数の単セルを含む構成部材を積層する工程が実行され、燃料電池スタックが組み立てられる組立てステーションと、
    前記燃料電池スタックの発電検査が行われる発電検査ステーションと、
    前記発電検査ステーションに設けられ、燃料ガス及び酸化ガスを前記治具を介して前記燃料電池スタックに供給するガス供給装置と、を備え、
    前記組立てステーション及び前記発電検査ステーションは、前記治具を運搬可能な製造ライン上にあり、
    前記製造ラインは、前記組立てステーションから前記発電検査ステーションへと、前記治具ごと前記燃料電池スタックを運搬する、燃料電池スタックの製造設備。
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