JP2009140643A - 全固体リチウム二次電池の製造方法 - Google Patents

全固体リチウム二次電池の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、副生成物の生成を抑制することにより、容量を向上させた全固体リチウム二次電池を提供することを主目的とするものである。
【解決手段】本発明は、基材上に、正極活物質を構成する有機金属化合物と、溶媒とを含む正極層用塗工液を塗布し、上記有機金属化合物の分解温度以上の仮焼温度で仮焼した後、冷却して正極層前駆体を得る正極層前駆体形成工程を少なくとも連続して2回以上行って上記正極層前駆体を積層させて、正極層前駆体積層体を得る正極層前駆体積層体形成工程と、上記正極層前駆体積層体を焼成することにより、高容量正極層を得る焼成工程とを有することを特徴とする全固体リチウム二次電池の製造方法を提供することにより、上記課題を解決する。
【選択図】図1

Description

本発明は副生成物の生成を抑制することにより、容量を向上させた全固体リチウム二次電池の製造方法に関する。
近年におけるパソコン、ビデオカメラ及び携帯電話等の情報関連機器や通信機器等の急速な普及に伴い、その電源として優れた二次電池、例えば、リチウム二次電池の開発が重要視されている。また、上記情報関連機器や通信関連機器以外の分野としては、例えば自動車産業界においても、低公害車としての電気自動車やハイブリッド自動車用の高出力かつ高容量のリチウム二次電池の開発が進められている。
しかしながら、現在市販されているリチウム二次電池は、可燃性の有機溶剤を溶媒とする有機電解液が使用されているため、短絡時の温度上昇を抑える安全装置の取り付けや短絡防止のための構造・材料面での改善が必要となる。
これに対し、液体電解質を固体電解質に変えて、電池を全固体化した全固体リチウム二次電池は、電池内に可燃性の有機溶媒を用いないので、安全装置の簡素化が図れ、製造コストや生産性に優れると考えられている。
上記の全固体リチウム二次電池を形成する手法としては、従来、スパッタ法、PLD法等の真空・低圧環境での膜成長手法が主に使われている。しかしながら、これらの手法は、材料の利用効率が悪い、亀裂が生じやすく短絡してしまうため電解質を厚くする必要があり電池の容量が低下する、高コストである等の問題があった。
このような問題を解決する手法としては、湿式法を用いることが有効である。湿式法とは、目的材料の元素を含む例えば有機金属化合物を溶解させた溶液を化学反応させて目的物質を得る方法全般を言う。
このような湿式法は、例えば、特許文献1等で用いられている。特許文献1は、活物質の構成元素を含む溶液を集電体上にスピンコート法等で塗布し、その後乾燥し、塗布と乾燥を繰り返して積層した後焼成し、集電体上に正極層を形成した正極電極体の製造方法を開示している。これは、性能の優れた薄膜状の正極を、簡略な工程にて製造可能とするものである。
しかしながら、上記のように塗布、乾燥を繰り返すだけでは、不純物が取り除けないおそれがあり、不純物が残ると、塗布した膜の表面の親水性の制御ができずに、均一な積層が困難になって厚膜化できなくなったり、焼成後の正極層が、不均質な結晶相となったりするなどして、充分な容量を得ることができないなどの問題があった。
特開2001−143688公報 特開2003−183030公報 特開2001−76724公報
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、副生成物の生成を抑制することにより、容量を向上させた全固体リチウム二次電池を得ることができる全固体リチウム二次電池の製造方法を提供することを主目的とするものである。
上記目的を達成するために、本発明においては、基材上に、正極活物質を構成する有機金属化合物と、溶媒とを含む正極層用塗工液を塗布し、上記有機金属化合物の分解温度以上の仮焼温度で仮焼した後、冷却して正極層前駆体を得る正極層前駆体形成工程を少なくとも連続して2回以上行って上記正極層前駆体を積層させて、正極層前駆体積層体を得る正極層前駆体積層体形成工程と、上記正極層前駆体積層体を焼成することにより、高容量正極層を得る焼成工程とを有することを特徴とする全固体リチウム二次電池の製造方法を提供する。
本発明によれば、上記有機金属化合物の分解温度以上の仮焼温度で仮焼を行うことにより、副生成物の生成を抑制して、正極層前駆体表面の親水性が向上して均一な積層を行うことが可能となり、不純物が少なく厚膜化された正極層前駆体積層体を得ることができ、この正極層前駆体積層体を焼成して得られた高容量正極層を用いることにより、容量を向上させた全固体リチウム二次電池を得ることができる。
また、本発明においては、上記有機金属化合物が、Liイソプロポキシドおよび酢酸Coであり、上記仮焼温度が350℃以上であることが好ましい。より確実に所望のLiCoO正極活物質を得ることができるからである。また、上記正極層前駆体が、上記正極層前駆体中にネットワークを作って溶解等しない強固なものに、より確実にすることができる。さらに、上記正極層前駆体中の副生成物の生成をより確実に抑制することができるからである。
また、本発明においては、上記有機金属化合物が、Liイソプロポキシドおよび酢酸Coである場合には、上記仮焼温度が550℃以下であることであることが好ましい。上記仮焼後の上記正極活物質前駆体表面の親水性をより確実に良好なものとして、より効果的に均一な積層を行うことによる厚膜化ができ、容量を向上させることができるからである。
本発明においては、副生成物の生成を抑制して、正極層前駆体表面の親水性が向上して均一な積層を行うことが可能となり、不純物が少なく厚膜化された正極層前駆体積層体を得ることができ、この正極層前駆体積層体を焼成して得られた高容量正極層を用いることにより、容量を向上させた全固体リチウム二次電池を得ることができるという効果を奏する。
本発明の全固体リチウム二次電池の製造方法について、以下詳細に説明する。
本発明の全固体電池のリチウム二次電池の製造方法は、基材上に、正極活物質を構成する有機金属化合物と、溶媒とを含む正極層用塗工液を塗布し、上記有機金属化合物の分解温度以上の仮焼温度で仮焼した後、冷却して正極層前駆体を得る正極層前駆体形成工程を少なくとも連続して2回以上行って上記正極層前駆体を積層させて、正極層前駆体積層体を得る正極層前駆体積層体形成工程と、上記正極層前駆体積層体を焼成することにより、高容量正極層を得る焼成工程とを有することを特徴とするものである。
本発明によれば、上記有機金属化合物の分解温度以上の仮焼温度で仮焼を行うことにより、副生成物の生成を抑制して、正極層前駆体表面の親水性が向上して均一な積層を行うことが可能となる。このため、不純物が少なく厚膜化された正極層前駆体積層体を得ることができ、上記正極層前駆体積層体を焼成することにより、高容量正極層を得ることができる。上記高容量正極層は、上記正極層前駆体積層体を焼成したものであるため、副生成物等の不純物量を抑制して厚膜化された均質な結晶相を有しており、高容量なものである。このように厚膜化され、均質な結晶相を有する高容量正極層を正極層として用いることにより、容量を向上させた全固体リチウム二次電池を得ることができるのである。
このような本発明の全固体リチウム二次電池の製造方法としては、具体的には次のような工程を経ることにより、全固体リチウム二次電池を得ることができる。
例えば、上記基材が正極集電体である場合、まず、上記正極集電体上に、正極活物質を構成する有機金属化合物と、溶媒とを含む正極層用塗工液を塗布し、上記有機金属化合物の分解温度以上の仮焼温度で仮焼した後、冷却して正極層前駆体を得る正極層前駆体形成工程を少なくとも連続して2回以上行って正極集電体上に上記正極層前駆体を積層して、正極層前駆体積層体を得る正極層前駆体積層体形成工程を行う。その後、上記正極層前駆体積層体を焼成する焼成工程を行って高容量正極層を形成する。
次に、上記高容量正極層上に固体電解質層を形成する固体電解質層形成工程を行った後、負極層を上記固体電解質上に形成する負極層形成工程を行う。その後、負極集電体を負極層上に形成する負極集電体形成工程を行う。
さらに、上記固体電解質層が、上記高容量正極層および上記正極集電体と、上記負極層および上記負極集電体とにより挟持されたものを電池ケース内に設置するなどして電池セルを形成する電池セル形成工程を行うことにより、上述した所望の全固体リチウム二次電池を得ることができる。
また、例えば、上記基材が固体電解質層である場合は、上記固体電解質層の一方に、上記正極層用塗工液を塗布して、上記有機金属化合物の分解温度以上の仮焼温度で仮焼した後、冷却して正極層前駆体を得る正極層前駆体形成工程を少なくとも連続して2回以上行って固体電解質層の一方に上記正極層前駆体を積層して、正極層前駆体積層体を得る正極層前駆体積層体形成工程を行う。その後、上記正極層前駆体積層体を焼成する焼成工程を行って高容量正極層を形成する。
次に、上記高容量正極層上に正極集電体を形成する正極集電体形成工程を行った後、負極層を上記固体電解質層の他方、すなわち、高容量正極層と反対側に形成する負極層形成工程を行う。その後、上記負極層上に負極集電体を形成する負極集電体形成工程を行う。
さらに、上記固体電解質層が、上記高容量正極層および上記正極集電体と、上記負極層および上記負極集電体とにより挟持されたものを電池ケース内に設置するなどして電池セルを形成する電池セル形成工程を行うことにより、上述した所望の全固体リチウム二次電池を得ることができる。
なお、上記基材が固体電解質層である場合は、所望の全固体リチウム二次電池を得ることができれば、工程の順序を変更しても良い。例えば、上記負極層形成工程、上記負極集電体形成工程を行った後、上記正極層前駆体積層体形成工程、および上記焼成工程を行ってもよい。また、上記負極層形成工程を行い、上記正極層前駆体積層体形成工程、および上記焼成工程を行った後に、上記負極集電体形成工程、上記正極集電体形成工程のいずれかを行ってもよい。また、上記負極層形成工程を行い、上記正極層前駆体積層体形成工程を行った後に、上記負極集電体形成工程を行い、上記焼成工程を行ってもよい。
次に、本発明により得られる全固体リチウム二次電池について、図面を用いて説明する。図1は、本発明により得られる全固体リチウム二次電池の一例を模式的に示す概略断面図である。図1に示される全固体リチウム二次電池は、固体電解質層1が、容量を向上させた上記高容量正極層2と、負極層3とにより挟持されており、さらに高容量正極層2の外側に正極集電体4が配され、負極層3の外側に負極集電体5が配され、側面を覆うように絶縁(電池ケース)部6が配されている。
このような本発明の全固体リチウム二次電池の製造方法においては、少なくとも上記正極層前駆体積層体形成工程、上記焼成工程を有するものであれば、特に限定されるものではなく、上述したような他の工程を有していてもよい。
以下、本発明の全固体リチウム二次電池の製造方法について、各工程について、詳細に説明する。
1.正極層前駆体積層体形成工程
本発明における正極層前駆体積層体形成工程とは、基材上に、正極活物質を構成する有機金属化合物と、溶媒とを含む正極層用塗工液を塗布し、上記有機金属化合物の分解温度以上の仮焼温度で仮焼した後、冷却して正極層前駆体を得る正極層前駆体形成工程を少なくとも連続して2回以上行って上記正極層前駆体を積層させて、正極層前駆体積層体を得る工程である。具体的な方法としては、上記の塗布、仮焼、冷却を行う正極層前駆体形成工程を少なくとも連続して2回以上繰り返し行って、不純物が少なく厚膜化された正極層前駆体積層体を得ることができる方法であれば、特に限定されるものではなく、通常用いられる方法を用いることができる。
例えば、上記基材が固体電解質層である場合は、固体電解質層の一方に、上記正極層用塗工液を塗布して、上記有機金属化合物の分解温度以上の所定の温度で仮焼した後、冷却して正極層前駆体を得る正極層前駆体形成工程を少なくとも連続して2回以上行って固体電解質層の一方に上記正極層前駆体を積層させていき、所望の厚みとして、正極層前駆体積層体を得る等の方法を挙げることができる。
また、本工程においては、2回目以降の塗布は、正極層用塗工液を塗布、仮焼、冷却して得られた正極層前駆体上に正極層用塗工液が塗布されることになる。
次に、上記正極層前駆体積層体について、図面を用いて説明する。図2は、本工程により得られる正極層前駆体積層体の一例を模式的に示す概略断面図である。図2に示される正極層前駆体積層体7は、基材8上に、複数の正極層前駆体9が積層されている。
上記正極層前駆体積層体形成工程は、少なくとも上記正極層前駆体形成工程を連続して2回以上行う工程であれば、特に限定されるものではなく、他の工程を有していても良い。
以下、本発明における正極層前駆体積層体形成工程における、各工程について、詳細に説明する。
(1)正極層前駆体形成工程
上記正極層前駆体形成工程とは、基材上に、正極活物質を構成する有機金属化合物と、溶媒とを含む正極層用塗工液を塗布し、上記有機金属化合物の分解温度以上の仮焼温度で仮焼した後、冷却して正極層前駆体を得る工程である。本工程に用いられる正極層前駆体形成方法は、副生成物の生成を抑制して、正極層前駆体表面の親水性が向上して均一な積層を行って厚膜化することが可能となり、正極層前駆体中の不純物を少なくすることができる方法であれば、特に限定されるものではない。
例えば、上記基材が固体電解質層である場合は、固体電解質層の一方に、上記正極層用塗工液を塗布して、上記有機金属化合物の分解温度以上の所定の温度で仮焼した後、冷却して正極層前駆体を得る方法等を挙げることができる。
また、上述したように2回目以降の塗布は、正極層用塗工液を塗布、仮焼、冷却して得られた上記正極層前駆体上に正極層用塗工液が塗布されることになる。
本工程を経ることにより、副生成物の生成が抑制され、正極層前駆体表面の親水性が向上するため、均一な積層を行うことが可能となって厚膜化でき、さらに上記副生成物等の不純物が少ない均一なアモルファス中間体からなる正極層前駆体を得ることができる。
本工程に用いられる上記正極層用塗工液は、少なくとも正極活物質を構成する有機金属化合物と、溶媒とを含むものである。上記正極層用塗工液は、例えば、所定の溶媒中に上記有機金属化合物を添加して、混合するなどして調製することができる。
上記有機金属化合物は、金属と、有機基とからなるものである。上記金属としては、所望の正極活物質が得られるような金属であれば特に限定されるものではない。例えば、Li、Co、Ni、Mn、Fe、Ti、V、Cr、およびCuの中から複数の金属を適宜選択して用いることができる。本発明においては、上記金属の中でも、Liが必須の金属であり、かつ、Co、Ni、Mn、およびFeからなる群より選ばれるいずれか一種の金属が必須の金属であることが好ましい。なお、Co、Ni、Mn、およびFeからなる群より選ばれる金属は、2種以上の金属であっても良い。
また、有機基としては、上記金属の種類等によっても変化するものであり、所望の正極活物質が得られるようなものであれば特に限定されるものではない。例えば、アルコキシド、酢酸、カルボン酸、アルコール、エステル、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)、エーテル類(ジメチルエーテル、ジエチルエーテルなど)、シクロアルカン類、芳香族類などを挙げることができる。また、上述した有機基を有機金属化合物中に、2種類以上含んでいても良い。
上記金属、および上記有機基からなる有機金属化合物としては、所望の正極活物質が得られるような組み合わせのものを適宜選択することができる。
例えば、酢酸コバルト、Liイソプロポキシドであることが好ましい。より確実に所望のLiCoO正極活物質を得ることができるからである。
上記有機金属化合物の上記溶媒中の含有量としては、所望の正極活物質が得られるような含有量であれば特に限定されるものではない。例えば、酢酸コバルト、Liイソプロポキシドを上記有機金属化合物として用いた場合は、析出しない程度まで、できるだけ多量に入れることが好ましい。
上記溶媒としては、上記有機金属化合物等を溶解させることができ、所望の上記正極層用塗工液を得ることができる溶媒であれば、特に限定されるものではない。例えば、アルコキシド、酢酸、カルボン酸、アルコール、エステル、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)、エーテル類(ジメチルエーテル、ジエチルエーテルなど)、シクロアルカン類、芳香族類などの化合物を挙げることができる。また、本発明における溶媒は、上述した化合物を、2種類以上混合した混合溶媒でも良い。
また、上記溶媒中には、上記有機金属化合物以外に、増粘剤、電子伝導剤、表面調整剤等を添加してもよい。
上記増粘剤としては、上記溶媒中に添加して、所望の粘性とすることができるものであれば、特に限定されるものではない。例えば、PVP(ポリビニルピロリドン)、パラフィン、パルミチン酸類、セルロース類、PEG(ポリエチレングリコール)類、アシド類、ポリアクリル酸類、ポリエチレン、ポリオクタニウム、ポリビニルアルコール等を挙げることができる。
上記電子伝導剤としては、後述する焼成後に電子伝導性を有するものであれば特に限定されるものではない。例えば、カーボン類(グラファイト、カーボンナノチューブ、フラーレン、アモルファスカーボンなど)を挙げることができる。
また、上記表面調整剤としては、表面を調整して表面張力を制御するなどして上記正極層前駆体表面をより平滑にすることができるものであれば、特に限定されるものではない。例えば、界面活性剤等を挙げることができる。
本工程において、上記正極層用塗工液を塗布する方法としては、上記正極層用塗工液を基材上に平滑に塗布することができる方法であれば、特に限定されるものではない。例えば、スピンコート、ディップコート、スプレーコート、グラビアコート、ダイコート等の通常用いられる方法を挙げることができる。中でも、スピンコート、ディップコートが好ましい。得られる薄膜の平滑性が特に優れているからである。
本工程における、1回の塗工量としては、後述する仮焼、冷却した後の正極層前駆体の膜厚が例えば10nm〜20μmの範囲内、中でも20nm〜2μmの範囲内、特に50nm〜500nmの範囲内であることが好ましい。上記範囲内であれば、膜面のひび割れ等を抑制することができるからである。
上記正極層用塗工液を塗布する基材としては、上記正極層用塗工液を塗布することができる基材であれば特に限定されるものではないが、通常、正極集電体、固体電解質層が用いられる。
上記正極集電体とは、上記高容量正極層の集電を行うものである。基材としての上記正極集電体としては、正極集電体としての機能を有するものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、金属薄膜等を用いることができる。上記正極集電体の材料としては、導電性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えばアルミニウム、SUS、ニッケル、鉄およびチタン等を挙げることができ、中でもアルミニウムおよびSUSが好ましい。さらに、上記正極集電体は、緻密金属集電体であっても良く、多孔質金属集電体であっても良い。
また、基材としての上記固体電解質層は、固体電解質材料をプレス成形したもの等を用いても良い。本工程に用いられる上記固体電解質材料としては、一般的な全固体リチウム二次電池に用いられるものと同様のものを用いることができる。例えば硫化物系結晶化ガラス、チオリシコン、酸化物系固体電解質等を挙げることができる。
上記正極層用塗工液を上記基材上に塗布したもの(以下、正極層用塗工液塗布基材と称する場合がある。)を仮焼する方法としては、仮焼して、副生成物の生成を抑制することができる方法であれば、特に限定されるものではない。例えば、オーブン内に正極層用塗工液塗布基材を設置して、設定した温度履歴にしたがって仮焼する方法等を挙げることができる。
上記仮焼する際の仮焼温度としては、上記正極層前駆体が、上記正極層前駆体中にネットワークを作って溶解等しない強固なものとなることができ、さらに、上記正極層前駆体中の副生成物の生成を抑制することができる温度であれば、特に限定されるものではない。通常は、上記有機金属化合物の分解温度以上であり、例えば上記有機金属化合物が、酢酸コバルトおよびLiイソプロポキシドである場合には、具体的には350℃以上、中でも400℃以上であることが好ましい。
また、本工程においては、上記仮焼を、上記正極活物質前駆体表面の親水性が保持されるような温度以下で行うことが好ましい。上記仮焼後の上記正極活物質前駆体表面の親水性置換基量が充分な量となり、親水性をより確実に良好なものとして、より効果的に均一な積層を行うことによる厚膜化ができ、容量を向上させることができるからである。
上記親水性が保持されるような温度としては、例えば上記有機金属化合物が、酢酸コバルトおよびLiイソプロポキシドである場合には、550℃以下、中でも500℃以下であることが好ましい。
上記仮焼を行う際の雰囲気としては、副生成物の生成を抑制することができる雰囲気であれば、特に限定されるものではない。
本工程で、冷却する際の冷却方法としては、冷却することができれば特に限定されるものではない。例えば、放冷、不活性ガス等により冷却する方法等を挙げることができる。
また、本工程においては、上記の塗布後に乾燥工程は行わない方が好ましい。このような乾燥工程を行うことにより、副生成物などの不純物が多量に生成する可能性があるからである。
(2)その他
上記正極層前駆体積層体形成工程は、上述した「(1)正極層前駆体形成工程」を少なくとも連続して2回以上繰り返すことにより、副生成物等の不純物が少なく、厚膜化されて容量を向上させた正極層前駆体積層体を得ることができる。このような「(1)正極層前駆体形成工程」の繰り返し回数としては、中でも2〜10回、特に3〜5回繰り返すことが好ましい。上記回数より少ないと、厚膜化することができず、容量を向上することができないおそれがある。上記範囲内とすることにより、充分厚膜化されて、容量を向上させることができるからである。
2.焼成工程
本発明においては、上記正極層前駆体積層体形成工程の後に、焼成工程を行う。
上記焼成工程とは、上述した「1.正極層前駆体積層体形成工程」にて得られた正極層前駆体積層体を用いて、焼成して高容量正極層を得る工程である。
本工程を経ることにより、副生成物の生成を抑制して厚膜化され、副生成物等の不純物の少ない均一なアモルファス中間体からなる上記正極層前駆体積層体を用いて焼成を行うので、厚膜化され、副生成物等の不純物を少なくして均質な結晶相とした高容量正極層を得ることができる。
本工程に用いられる上記正極層前駆体積層体については、上述した「1.正極層前駆体積層体形成工程」に記載したものと同様のものであるので、ここでの説明は省略する。
本工程において上記焼成を行う焼成方法としては、厚膜化され、副生成物等の不純物を少なくして均質な結晶相とした高容量正極層を得ることができる方法であれば特に限定されるものではない。例えば、オーブン中に上記正極層前駆体積層体を設置して、常圧の雰囲気下で、所定の温度履歴にしたがって、所定の温度にて所定の時間焼成する方法等が挙げられる。
本工程において、焼成する温度としては、厚膜化され、副生成物等の不純物を少なくして均質な結晶相とした高容量正極層を得ることができ、所望の容量を向上させた全固体リチウム二次電池を得ることができる温度であれば、特に限定されるものではない。通常は、上記仮焼温度よりも高い温度である。このような温度としては、例えば、600℃以上、中でも600〜1000℃の範囲内、特に700〜900℃の範囲内であることが好ましい。上記温度よりも低いと、均質な結晶相とすることができないおそれがあり、一方、上記温度よりも高いと、正極層の分解等が起こるなどして、所望の高容量な正極層、および容量を向上させた全固体リチウム二次電池が得られない可能性があるからである。
また、焼成する時間としては、厚膜化され、副生成物等の不純物を少なくして均質な結晶相とした高容量正極層を得ることができ、所望の容量を向上させた全固体リチウム二次電池を得ることができる時間であれば、特に限定されるものではない。例えば0.5時間以上、中でも1〜2時間の範囲内であることが好ましい。焼成時間が短すぎると、均質な結晶相とすることができないおそれがあり、一方、焼成時間が上記範囲より長いと、正極層の分解等が起こるなどして、所望の高容量な正極層、および容量を向上させた全固体リチウム二次電池が得られない可能性があるからである。
また、上記焼成を行う際の、雰囲気としては、厚膜化され、副生成物等の不純物を少なくして均質な結晶相とした高容量正極層を得ることができる雰囲気であれば、特に限定されるものではない。具体的には、不活性ガス(例えばAr、N)、酸化ガス(例えばO)、還元ガス(例えばH)、プラズマ等を挙げることができる。
本工程により得られる高容量正極層の膜厚としては、所望の高容量正極層が得られる膜厚であれば、特に限定されるものではない。例えば、50nm以上、中でも、100nm〜100μmの範囲内、特に、1μm〜10μmの範囲内であることが好ましい。上記膜厚よりも小さいと、所望の容量が得られないおそれがある。上記範囲内とすることにより、充分厚膜化され、所望の高容量正極層を得ることができるからである。
3.その他の工程
本発明においては、本発明に必須の工程である上記正極層前駆体積層体形成工程、上記焼成工程の他に、必要に応じて、固体電解質層を形成する固体電解質層形成工程、負極層を形成する負極層形成工程、負極集電体を形成する負極集電体形成工程、正極集電体を形成する正極集電体形成工程、上記固体電解質層が、上記高容量正極層および上記正極集電体と、上記負極層および上記負極集電体とにより挟持されたものを電池ケース内に設置するなどして電池セルを形成する電池セル形成工程等を有する。これらの工程としては、より具体的には上述したように2つの実施態様を挙げることができる。
(1)第1実施態様
本実施態様は、上記基材が正極集電体であることを特徴とする。本実施態様においては、例えば、上記正極集電体上に形成された上記高容量正極層上に固体電解質層を形成する固体電解質層形成工程を行う。次に、負極層を上記固体電解質上に形成する負極層形成工程を行う。その後、負極集電体を負極層上に形成する負極集電体形成工程を行う。
さらに、上記固体電解質層が、上記高容量正極層および上記正極集電体と、上記負極層および上記負極集電体とにより挟持されたものを電池ケース内に設置するなどして電池セルを形成する電池セル形成工程を行うことにより、上述した所望の全固体リチウム二次電池を得ることができる。
以下、各工程について詳細に説明する。
(a)固体電解質層形成工程
本工程は、上記正極集電体上に形成された上記高容量正極層上に固体電解質層を形成する工程である。上記高容量正極層上に固体電解質層を形成する具体的な方法としては、通常、電着等の薄膜を形成する方法により形成することが好ましい。プレス成形等する必要がなく、プレス成形による不純物の混入等を抑制することができ、より効果的に容量を向上させることができるからである。
基材としての上記正極集電体について、および上記高容量正極層については、「1.正極層前駆体積層体形成工程 (1)正極層前駆体形成工程」、および「2.焼成工程」にそれぞれ記載したものと同様のものであるので、ここでの説明は省略する。
次に、上記固体電解質層形成工程に用いられる固体電解質層について説明する。
上記固体電解質層としては、固体電解質層としての機能を有するものであれば特に限定されるものではない。上記固体電解質層に用いられる固体電解質材料としては、上述した「1.正極層前駆体積層体形成工程 (1)正極層前駆体形成工程」に記載したものと同様のものであるので、ここでの説明は省略する。
上記固体電解質層の膜厚としては、特に限定されるものではなく、通常の全固体リチウム二次電池に用いられる固体電解質膜の厚さと同様の厚さのものを用いることができる。
(b)負極層形成工程
本実施態様における上記負極層形成工程は、負極層を上記固体電解質上に形成する工程である。上記負極層を上記固体電解質上に形成する具体的な方法としては、通常、電着等の薄膜を形成する方法により形成することが好ましい。プレス成形等する必要がなく、プレス成形による不純物の混入等を抑制することができ、より効果的に容量を向上させることができるからである。
次に、上記負極層形成工程に用いられる負極層について説明する。
上記負極層は、負極層としての機能を有するものであれば、特に限定されるものではない。上記負極層に用いられる負極材料としては、一般的な全固体リチウム二次電池に用いられる材料と同様のものを使用することができる。例えば、インジウム箔等を挙げることができる。また、導電性を向上させるために、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンファイバー等の導電助剤を含有していても良い。
上記負極層の膜厚としては、特に限定されるものではなく、通常の全固体リチウム二次電池に用いられる負極層の厚さと同様の厚さのものを用いることができる。
(c)負極集電体形成工程
本工程は、負極集電体を上記負極層上に形成する工程である。上記負極集電体を上記負極層上に形成する具体的な方法としては、通常、電着等の薄膜を形成する方法により形成することが好ましい。プレス成形等する必要がなく、プレス成形による不純物の混入等を抑制することができ、より効果的に容量を向上させることができるからである。
次に、上記負極集電体形成工程に用いられる負極集電体について説明する。
上記負極集電体とは、上記負極層の集電を行うものである。上記負極集電体の材料としては、導電性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば銅、ステンレス、ニッケル等を挙げることができ、中でも銅が好ましい。さらに、上記負極集電体は、緻密金属集電体であっても良く、多孔質金属集電体であっても良い。
(d)電池セル形成工程
本工程は、上記固体電解質層が、上記高容量正極層および上記正極集電体と、上記負極層および上記負極集電体とにより挟持されたものを電池ケース内に設置するなどして電池セルを形成する工程である。上記電池セルを形成する具体的な方法としては、所望の上記容量を向上させた全固体リチウム二次電池を得ることができる方法であれば良く、一般的な全固体リチウム二次電池における工程に用いられる方法と同様の方法を用いることができ、特に限定されるものではない。例えば、上記固体電解質層が、上記高容量正極層および上記正極集電体と、上記負極層および上記負極集電体とにより挟持されたものをコイン型の電池ケース内に設置して、樹脂等で密閉して全固体リチウム二次電池を得る方法等を挙げることができる。
次に、上記電池セル形成工程に用いられる電池ケース等について説明する。
上記電池ケースとしては、一般的には、金属製のものが用いられ、例えばステンレス製のもの等が挙げられる。また、上記樹脂としては、吸水率の低い樹脂が好ましく、例えばエポキシ樹脂等が挙げられる。また、上記電池ケースは、集電体の機能を兼ね備えたものであっても良い。具体的には、SUS(ステンレス鋼)製の電池ケースを用意し、その一部を集電体として用いる場合等を挙げることができる。
(2)第2実施態様
本実施態様は、上記基材が固体電解質層であることを特徴とする。本実施態様においては、例えば、上記固体電解質層上に形成された上記高容量正極層上に正極集電体を形成する正極集電体形成工程を行う。次に、負極層を上記固体電解質層の他方、すなわち、高容量正極層と反対側に形成する負極層形成工程を行う。その後、上記負極層上に負極集電体を形成する負極集電体形成工程を行う。
さらに、上記固体電解質層が、上記高容量正極層および上記正極集電体と、上記負極層および上記負極集電体とにより挟持されたものを電池ケース内に設置するなどして電池セルを形成する電池セル形成工程を行うことにより、上述した所望の全固体リチウム二次電池を得ることができる。
なお、本実施態様においては、所望の全固体リチウム二次電池を得ることができれば、工程の順序を変更しても良い。例えば、上記負極層形成工程、上記負極集電体形成工程を行った後、上記正極層前駆体積層体形成工程、および上記焼成工程を行ってもよい。また、上記負極層形成工程を行い、上記正極層前駆体積層体形成工程、および上記焼成工程を行った後に、上記負極集電体形成工程、上記正極集電体形成工程のいずれかを行ってもよい。また、上記負極層形成工程を行い、上記正極層前駆体積層体形成工程を行った後に、上記負極集電体形成工程を行い、上記焼成工程を行ってもよい。
以下、各工程について詳細に説明する。
(a)正極集電体形成工程
本工程は、上記固体電解質層上に形成された上記高容量正極層上に正極集電体を形成する工程である。上記高容量正極層上に正極集電体を形成する具体的な方法としては、通常、電着等の薄膜を形成する方法により形成することが好ましい。プレス成形等する必要がなく、プレス成形による不純物の混入等を抑制することができ、より効果的に容量を向上させることができるからである。
基材としての上記固体電解質層、上記高容量正極層の集電を行う上記正極集電体に用いられる材料について、および上記高容量正極層については、「1.正極層前駆体積層体形成工程 (1)正極層前駆体形成工程」、および「2.焼成工程」にそれぞれ記載したものと同様のものであるので、ここでの説明は省略する。
(b)負極層形成工程
本実施態様における上記負極層形成工程は、負極層を上記固体電解質層の他方、すなわち、高容量正極層と反対側に形成する工程である。上記負極層を上記固体電解質層の他方、すなわち、高容量正極層と反対側に形成する具体的な方法について、および上記負極層については、上述した「3.その他の工程 (1)第1実施態様 (b)負極層形成工程」に記載したものと同様のものであるので、ここでの説明は省略する。
また、本実施態様における(c)負極集電体形成工程、(d)電池セル形成工程については、上述した「3.その他の工程 (1)第1実施態様」に記載したものと同様のものであるので、ここでの説明は省略する。
4.用途
本発明により得られる全固体リチウム二次電池の用途としては、特に限定されるものではないが、例えば、自動車用の全固体リチウム二次電池等として、用いることができる。
5.形状
本発明により得られる上記の全固体リチウム二次電池の形状は、例えばコイン型、ラミネート型、円筒型、角型等を挙げることができ、中でも角型、ラミネート型が好ましく、特にラミネート型が好ましい。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は、例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下に実施例を示して本発明をさらに具体的に説明する。
[実施例1]
(正極層用塗工液調製)
i−(CHCHOLiと、PVPと、CHCOOHと、2−COHとをモル比が1.1:1:10:20となるように混合して、溶液Aを調製した。次に、Co(CHCOO)・4HOとHOとをモル比が1:50となるように混合して、溶液Bを調製した。上記の溶液Aと溶液Bとを混合して正極層用塗工液を得た。
(熱分解測定)
RIKAGAKU社製のSETARAG TAG24を用いて、熱分解測定を行った。測定条件は20〜800℃(5℃/min)とした。測定結果を図3に示す。図3に示されるように、上記正極層用塗工液を、温度を上昇させて熱分解させると、酢酸Coの分解、Liイソプロポキシドの分解、PVPの分解が順に起こり、400℃以上の温度であれば、酢酸Co、Liイソプロポキシド等の副生成物の生成は抑制されることが確認できた。
(正極層形成)
正極層用塗工液形成で得られた正極層用塗工液15μLを金基板(10mmΦ×0.5mmt)に滴下し、4000rpmで20secスピンコートした。次に、400℃で10min仮焼した後、冷却した。
目的の厚さ1μmになるまで、スピンコート、仮焼(400℃)、冷却を繰り返し行った。目的の厚さとなった後、800℃で1時間の焼成を行い、正極層を得た。
(電池セル形成)
上記の正極層形成で得られた正極層を正極に用い、負極としては、Li金属(本城金属製)を用い、セパレータとしてUP3025(宇部興産製)を用い、エチレンカーボネート系の電解液に、支持塩としてLiPFを1mol/l添加したものを用いて(有)日本トムセルの冶具を用いて電池セルを形成した。
[実施例2]
仮焼温度を500℃とした以外は、実施例1と同様にして電池セルを形成した。
[比較例1]
仮焼温度を600℃とした以外は、実施例1と同様にして電池セルを形成した。
[比較例2]
仮焼温度を170℃とした以外は、実施例1と同様にして電池セルを形成した。
[比較例3]
仮焼温度を300℃とした以外は、実施例1と同様にして電池セルを形成した。
[評価]
(ラマン分光測定)
実施例1、実施例2、比較例1、比較例2、および比較例3中で得られた正極層中の副生成物量の評価をラマン分光測定により行った。測定装置としてはラマンアナライザー(東京インスツルメメント社製)を用い、測定条件は0〜1600cm−1とした。得られた結果を図4に示す。
(膜表面形状観察)
SEMにより、実施例2、および比較例1中で得られた正極層表面の形状観察を行った。得られた結果を図5(実施例2)および図6(比較例1)に示す。
(充放電試験)
実施例1、実施例2、比較例1、比較例2、および比較例3中で得られた電池セルを用いて、充放電特性について試験を行った。充放電試験条件としては、充電スタート後、充電:CV4.3V、5μA、休止10min、放電:CV3.5V、5μA、休止10minで行った。得られた結果を図4に示す。
図4でのラマン分光測定結果に示すように、ラマン不純物ピーク強度は、実施例1における熱分解測定で確認された、酢酸Co、Liイソプロポキシド等の副生成物が生成する温度で仮焼された比較例2、および比較例3で大きくなり、不純物が多量に生成していることが確認された。一方、酢酸Co、Liイソプロポキシド等の副生成物の生成が抑制される温度で仮焼された実施例1、実施例2、および比較例1では、ラマン不純物ピーク強度は小さくなり、不純物量が少ないことが確認された。
また、図5、および図6のSEM測定結果に示されるように、実施例2では、下地の金基板の露出等はなく、表面特性に優れ、厚膜化された正極層が得られた。一方、比較例1では、金基板が露出してしまっており、表面特性に優れておらず、厚膜化された正極層が得られていないことが確認された。これは、比較例1では、仮焼温度が高すぎるため、正極層用塗工液を塗布して仮焼した後の表面の親水性基が過剰に減少するなどして、疎水性が強くなり、正極層用塗工液を良好に均一に積層することができなかったためであると推測される。
また、図4の充放電試験結果に示すように、放電容量は、比較例1、比較例2、および比較例3よりも、実施例1、および実施例2のほうが大きくなり、良好な放電容量を示した。
以上の結果から、実施例1、および実施例2においては、上記有機金属化合物の分解温度以上の温度、さらに上記仮焼後の上記正極活物質前駆体表面の親水性が保持される温度以下で仮焼を行うことにより、副生成物の生成を抑制して、正極層前駆体表面の親水性が向上して均一な積層を行うことが可能となり、不純物が少なく厚膜化された正極層前駆体積層体が得られた。このため、上記正極層前駆体積層体を焼成して得られた高容量正極層は、副生成物等の不純物量を抑制して厚膜化された均質な結晶相を有しており、このような高容量正極層を正極層として用いることにより、容量を向上させた電池セルを得ることができた。このため、上記高容量正極層を正極層として用いることにより、容量を向上させた全固体リチウム二次電池を得ることができることが推測された。
本発明により得られる全固体リチウム二次電池の一例を模式的に示す概略断面図である。 本工程により得られる正極層前駆体積層体の一例を模式的に示す概略断面図である。 実施例1で得られた正極層用塗工液の熱分解測定結果を示すグラフである。 実施例1、実施例2、比較例1、比較例2、および比較例3で用いられる正極層のラマン分光測定結果、および実施例1、実施例2、比較例1、比較例2、および比較例3で得られた電池セルの充放電特性の測定結果を示すグラフである。 実施例2中で得られた正極層表面のSEM写真である。 比較例1中で得られた正極層表面のSEM写真である。
符号の説明
1 … 固体電解質
2 … 高容量正極層
3 … 負極層
4 … 正極集電体
5 … 負極集電体
6 … 絶縁部
7 … 正極層前駆体積層体
8 … 基材
9 … 正極層前駆体

Claims (3)

  1. 基材上に、正極活物質を構成する有機金属化合物と、溶媒とを含む正極層用塗工液を塗布し、前記有機金属化合物の分解温度以上の仮焼温度で仮焼した後、冷却して正極層前駆体を得る正極層前駆体形成工程を少なくとも連続して2回以上行って前記正極層前駆体を積層させて、正極層前駆体積層体を得る正極層前駆体積層体形成工程と、前記正極層前駆体積層体を焼成することにより、高容量正極層を得る焼成工程とを有することを特徴とする全固体リチウム二次電池の製造方法。
  2. 前記有機金属化合物が、Liイソプロポキシドおよび酢酸Coであり、前記仮焼温度が350℃以上であることを特徴とする請求項1に記載の全固体リチウム二次電池の製造方法。
  3. 前記仮焼温度が550℃以下であることを特徴とする請求項2に記載の全固体リチウム二次電池の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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