本発明の電子写真用トナー(以下、単にトナーとも言う)はウレア変性ポリエステル樹脂を含有する結着樹脂中に染料を分散してなる電子写真用トナーにおいて、染料として前記一般式(1)で表される油溶性アゾ色素を含有することを特徴とする。
以下に本発明を実施するための最良の形態を説明する。
本発明に用いられる特定構造の着色剤について説明する。まず、前記一般式(1)及び一般式(2)で表される化合物について説明する。
油溶性とは油脂等に溶解するものを言い、構造上はカルボキシル基やスルホ基などの水溶性基がなく、アミノ基等を有している。本発明における油溶性の定義としては、カルボキシル基やスルホ基などの水溶性基がなく、化合物のlogP値が12以上のものを言う。
本発明に係る油溶性アゾ色素のlogP値は12〜25であることが好ましく、14〜21であることが特に好ましい。logP値がこの範囲にある場合、油溶性アゾ色素の熱、光、及び、特に水に対する安定性が優れ、溶剤に対する溶解性が非常に良好な油溶性アゾ色素を提供することが可能となる。
logP値とは化合物の疎水性/親水性の尺度を表すパラメータであり、数値が大きいほど疎水性であることを示し、逆に数値が小さいほど親水性であることを示す。logP値は広く知られた化合物のパラメータであり、測定することができ、また計算によっても求めることができる。
また、後述する計算式より算出されるlogP値は、n−オクタノールと水への二つの溶媒系における物質の、以下の式で定義できる分配係数と完全に一致するものではなく、計算値と測定値にやや差がある場合もある。また、実際は異なった物質であっても同じ値となる場合もある。しかしながら、その違いはそれ程大きくなく、大凡の性質の記述はこれによって十分可能である。
logPo/w、Po/w=So/Sw
So:25℃におけるn−オクタノール中での該有機化合物の溶解度
Sw:25℃における純水中での該有機化合物の溶解度。
これらは、化学領域増刊122号「薬物の構造活性相関」(南江堂)73〜103頁に詳しく記載されている。
また、近年logPを計算により求める方法が提案されており、分子軌道計算をベースにするものや、基本的にはHanschのデータを利用するフラグメント法、またHPLCによる方法など幾つかの方法がある。
logPの計算プログラムは、富士通製のCACheという分子計算パッケージの中のProject Leaderであり、A.K.Ghost et al.,J.Comput.Chem.9:80(1988)のフラグメント法をベースにしている方法であり、logP値が計算による方法で得られる場合には、計算値を用いるのが好ましい。
前記一般式(1)で表される油溶性アゾ色素において、Aは5員複素環ジアゾ成分A−NH2の残基を表す。該5員複素環のヘテロ原子の例には、N、O、及びSを挙げることができる。好しくは含窒素5員複素環であり、複素環に脂肪族環、芳香族環または他の複素環が縮合していてもよい。Aの好ましい複素環の例には、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、またはベンゾイソチアゾール環を挙げることができる。各複素環は更に置換基を有していてもよい。中でも、下記(a)から(g)で表される複素環が好ましい。
上記(a)から(g)において、Rm1〜Rm16は一般式(1)におけるR1及びR2と同義である。
R3、R4は各々独立に水素原子、脂肪族基(アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基等)、芳香族基(フェニル基、ナフチル基等)、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルホニル基(アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基等)またはスルファモイル基を表す。各基は更に置換されていてもよい。
好ましくは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、芳香族基、複素環基、スルホニル基、アシル基、カルバモイル基であり、各置換基は更に置換されていてもよい。
B1及びB2は各々−CR1=もしくは−CR2=を表すか、またはいずれか一方が窒素原子、他方が−CR1=もしくは−CR2=を表す。B1及びB2が−CR1=または−CR2=を表す場合が、より優れた性能を発揮できる点で好ましい。
R1、R2は、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、複素環オキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、複素環アミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルフアモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、ニトロ基、アルキルもしくはアリールチオ基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、アルキルもしくはアリールスルフィニル基、スルファモイル基、または複素環チオ基を表す。各置換基は更に置換されていてもよい。
また、R1とR3、あるいはR3とR4が結合して5または6員環を形成してもよい。a及びeは各々独立に、アルキル基、アルコキシ基またはハロゲン原子を表すが、a及びeが共にアルキル基である時は、そのアルキル基を構成する炭素数の合計が3以上であって、それらは更に置換されていてもよい。b、c、dは各々独立にR1、R2と同義であり、aとb、またはeとdで互いに縮環していてもよい。
本発明では一般式(1)で表される化合物の内、一般式(2)で表される化合物が好ましい。
一般式(2)において、Z2はハメットの置換基定数σp値が0.20以上の電子吸引性基を表す。Z2の上記電子吸引性基はハメットの置換基定数σp値が0.20以上、好ましくは0.30以上の電子吸引性基である。σp値の上限としては、好ましくは1.0以下である。
Z2が表すσp値が0.20以上の電子吸引性基の具体例としては、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、ジアルキルホスホノ基、ジアリールホスホノ基、ジアリールホスフィニル基、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホニルオキシ基、アシルチオ基、スルファモイル基、チオシアネート基、チオカルボニル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン化アリールオキシ基、ハロゲン化アルキルアミノ基、ハロゲン化アルキルチオ基、複素環基、ハロゲン原子、アゾ基、セレノシアネート基及びσp値が0.20以上の他の電子吸引性基で置換されたアリール基が挙げられる。Z2として好ましくは、シアノ基、ニトロ基またはハロゲン原子であり、ハロゲン原子またはシアノ基がより好ましく、シアノ基が最も好ましい。
Z1は水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基を表す。Z1としては、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、芳香族基、複素環基が好ましく、アルキル基がより好ましい。各置換基は更に置換されていてもよい。
アルキル基には、置換基を有するアルキル基及び無置換のアルキル基が含まれる。前記アルキル基は、置換基の炭素原子を除いた炭素原子数が1〜12のアルキル基が好ましく、より好ましくは炭素原子数1〜6のアルキル基が好ましい。置換基の例には、ヒドロキシル基、アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子が含まれる。アルキル基の例には、メチル、エチル、ブチル、イソプロピル、t−ブチル、ヒドロキシエチル、メトキシエチル、シアノエチル、トリフルオロメチル、3−スルホプロピル及び4−スルホブチルが含まれる。
シクロアルキル基には、置換基を有するシクロアルキル基及び無置換のシクロアルキル基が含まれる。前記シクロアルキル基としては、置換基の炭素原子を除いた炭素原子数が5〜12のシクロアルキル基が好ましい。
アラルキル基としては、置換基を有するアラルキル基及び無置換のアラルキル基が含まれる。アラルキル基としては、置換基の炭素原子を除いた炭素原子数が7〜12のアラルキル基が好ましい。前記アラルキル基の例には、ベンジル基及び2−フェネチル基が含まれる。
芳香族基としては、置換基の炭素原子を除いた炭素原子数が6〜12のアリール基が好ましい。置換基の例には、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アルキルアミノ基、アミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホンアミド基、水酸基、エステル基が含まれる。アリール基の例には、フェニル、p−トリル、p−メトキシフェニル、o−クロロフェニル及びm−(3−スルホプロピルアミノ)フェニルが含まれる。
複素環基には、置換基を有する複素環基及び無置換の複素環基が含まれる。複素環基としては、5員または員環の複素環基が好ましい。置換基の例には、アミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホンアミド基、エステル基が含まれる。複素環基の例には、2−ピリジル基、2−チエニル基、2−チアゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基及び2−フリル基が含まれる。
Qは水素原子、脂肪族基、芳香族基または複素環基を表す。好ましくは、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、芳香族基、または複素環基を表し、これら各置換基は更に置換されていてもよい。これらの置換基の詳細は上記R1、R2の場合と同じである。Qは電子吸引性基で置換された芳香族基または複素環基が好ましい。
ここで、本明細書中で用いられるハメットの置換基定数σp値について若干説明する。ハメット則は、ベンゼン誘導体の反応または平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために、1935年L.P.Hammettにより提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。
ハメット則に求められた置換基定数にはσp値とσm値があり、これらの値は多くの一般的な成書に見出すことができ、例えば、J.A.Dean編、「Lange’s Handbook of Chemistry」第12版、1979年(McGraw−Hill)や「化学の領域」増刊、122号、96〜103頁、1979年(南光堂)に詳しい。なお、本発明において各置換基をハメットの置換基定数σpにより限定したり、説明したりするが、これは上記の成書で見出せる文献既知の値がある置換基にのみ限定されるという意味ではなく、その値が文献未知であっても、ハメット則に基づいて測定した場合にその範囲内に包まれるであろう置換基をも含むことは言うまでもない。
Qの上記電子吸引性基は、ハメットの置換基定数σp値が0.20以上、好ましくは0.30以上の電子吸引性基である。σp値の上限としては、好ましくは1.0以下である。σp値が0.20以上の電子吸引性基の具体例としては、アシル基、アシルオキシ基、カルバモイル基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、シアノ基、ニトロ基、ジアルキルホスホノ基、ジアリールホスホノ基、ジアリールホスフィニル基、アルキルスルフィニル、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホニルオキシ基、アシルチオ基、スルファモイル基、チオシアネート基、チオカルボニル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アルコキシ基、ハロゲン化アリールオキシ基、ハロゲン化アルキルアミノ基、ハロゲン化アルキルチオ基、複素環基、ハロゲン原子、アゾ基、セレノシアネート基及びσp値が0.20以上の他の電子吸引性基で置換されたアリール基が挙げられ、好ましくはシアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子である。上記複素環基は、電子吸引性基で置換されていてもいなくてもよい。
一般式(1)に関して、好ましい置換基の組み合わせ例を以下に示す。Aは、ピラゾール環、イミダゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環またはベンゾチアゾール環(その中でも好ましくは、ピラゾール環)、B1は無置換炭素原子、B2は無置換またはアルキル置換された炭素原子、R3、R4は水素原子、アルキル基、アラルキル基、芳香族基、複素環基、スルホニル基またはアシル基、a及びeはアルキル基またはハロゲン原子が好ましく、a及びeが共にアルキル基の時は無置換アルキル基であって、a及びeの炭素数の合計が3以上(好ましくは5以下)であり、a、b、c、dは各々水素原子、ハロゲン原子、アルキル基の場合が好ましい組み合わせである。
一般式(1)中、一般式(2)の場合が最も好ましい。Z2はシアノ基が最も好ましい。Z1はアルキル基または芳香族基が好ましい。更にアルキル基の内、炭素数3〜4のアルキル基(好ましくは、イソプロピル基、t−ブチル基)が好ましい。芳香族基では、フェニル基及びピラゾール母核側から見て2位、4位または6位のいずれかに更なる置換基を有するフェニル基が好ましい。
本発明に係る油溶性アゾ色素の具体例を以下に示すが、下記の例に限定されるものではない。
以下、具体的に一般式(1)、及び一般式(2)で表される化合物の合成法の一例を示すが、その他の化合物も同様にして合成することが可能であり、合成法としては、これらに限定されない。
5−アミノ−t−ブチル−4−シアノピラゾール(a−1)17.9g(0.109mol)、濃塩酸40ml、酢酸30ml、プロピオン酸4mlを内温0℃で攪拌させ、水20mlに溶解させた亜硝酸ナトリウム7.5g(0.109mol)を10分間で滴下した。そのまま30分間攪拌させた。カプラー成分(a−2)45.3g(0.109mol)をメタンスルホン酸200ml、酢酸140ml、プロピオン酸220mlに溶解させ、0℃で攪拌し、上記ジアゾニウム塩を30分間で加えた。ジアゾニウム塩添加後、更に反応液を30分攪拌させた後、水2000mlに氷700gを添加し、攪拌させたところへ上記反応液を徐々に加え、析出した化合物(a−3)を吸引濾過し単離した。収量46.7g、収率72.5%。
化合物(a−3)28.0g(47.4mmol)にヘテリル化剤15.9g(94mmol)、炭酸カリウム6.5g、DMSO、80mlを加え、窒素バブリングさせながら内温90℃で4時間加熱攪拌させた。攪拌終了後、室温まで冷却し、反応系から析出した化合物を吸引濾過にて単離した。更にこの粗結晶を水1L中で分散させ、過剰の炭酸カリウムを溶解させ、吸引濾過して例示化合物3を得た。収量25.3g、収率62.2%。NMR、MASSスペクトルにより同定し、目的物であることを確認した。
5−アミノ−t−ブチル−4−シアノピラゾール(b−1)17.9g(0.109mol)、濃塩酸40ml、酢酸30ml、プロピオン酸45mlを内温0℃で攪拌させ、水20mlに溶解させた亜硝酸ナトリウム7.5g(0.109mol)を10分間で滴下した。そのまま30分間攪拌させた。カプラー成分(b−2)45.3g(0.109mol)をメタンスルホン酸200ml、酢酸140ml、プロピオン酸220mlに溶解させ、0℃で攪拌し、上記ジアゾニウム塩を30分間で加えた。ジアゾニウム塩添加後、更に反応液を30分攪拌させた後、水2000mlに氷700gを添加し、攪拌させたところへ上記反応液を徐々に加え、析出した化合物(b−3)を吸引濾過し単離した。収量44.8g、収率69.6%。
化合物(b−3)28.0g(47.4mmol)にヘテリル化剤15.9g(94mmol)、炭酸カリウム6.5g、DMSO、80mlを加え、窒素バブリングさせながら内温90℃で4時間加熱攪拌させた。攪拌終了後、室温まで冷却し、反応系から析出した化合物を吸引濾過にて単離した。更にこの粗結晶を水1L中で分散させ、過剰の炭酸カリウムを溶解させ、吸引濾過して例示化合物13を得た。収量30.2g、収率74.3%。NMR、MASSスペクトルにより同定し、目的物であることを確認した。
5−アミノ−3−t−ブチル−イソチアゾール−4−カルボニトリル(c−1)10.0g(55.1mmol)、リン酸/酢酸(1/1、v/v)80mlに溶解させ、0℃に冷却する。40%ニトロシル硫酸14.0mlを、内温を0℃以下に保ち、ゆっくりと滴下し、そのまま30分撹拌する。カプラー成分(c−2)34.9g(55.1mmol)をメタノール200mlに溶解させ、5℃に冷却し、上記ジアゾニウム塩を30分で加える。ジアゾニウム塩添加後、更に室温で1時間撹拌後、反応液を飽和食塩水に放出し結晶を析出させる。析出した結晶を吸引濾過し、粗結晶の化合物を得る。上記無機塩を含む粗結晶は、シリカゲルクロマトグラフィーで脱塩、単離精製して化合物(c−3)を得た。収量30.4g、収率72%。
化合物(c−3)30.0g(47.4mmol)にヘテリル化剤15.9g(94mmol)、炭酸カリウム6.5g、DMSO、80mlを加え、窒素バブリングさせながら内温90℃で4時間加熱攪拌させた。攪拌終了後、室温まで冷却し、反応系から析出した化合物を吸引濾過にて単離した。更にこの粗結晶を水1L中で分散させ、過剰の炭酸カリウムを溶解させ、吸引濾過して例示化合物24を得た。収量27g、収率66%。NMR、MASSスペクトルにより同定し、目的物であることを確認した。
5−アミノ−3−フェニル−4−シアノピラゾール(d−1)20.0g(0.109mol)、濃塩酸40ml、酢酸30ml、プロピオン酸45mlを内温0℃で攪拌させ、水20mlに溶解させた亜硝酸ナトリウム7.5g(0.109mol)を10分間で滴下した。そのまま30分間攪拌させた。カプラー成分(d−2)48.0g(0.109mol)をメタンスルホン酸200ml、酢酸140ml、プロピオン酸220mlに溶解させ、0℃で攪拌し、上記ジアゾニウム塩を30分間で加えた。ジアゾニウム塩添加後、更に反応液を30分攪拌させた後、水2000mlに氷700gを添加し、攪拌させたところへ上記反応液を徐々に加え、析出した化合物(d−3)を吸引濾過し単離した。収量49.9g、収率72%。
化合物(d−3)30.0g(47.2mmol)にヘテリル化剤26.6g(94mmol)、炭酸カリウム6.5g、DMSO、80mlを加え、窒素バブリングさせながら内温90℃で4時間加熱攪拌させた。攪拌終了後、室温まで冷却し、反応系から析出した化合物を吸引濾過にて単離した。更にこの粗結晶を水1L中で分散させ、過剰の炭酸カリウムを溶解させ、吸引濾過して例示化合物37を得た。収量27g、収率66%。NMR、MASSスペクトルにより同定し、目的物であることを確認した。
その他の例示化合物についてもこれらと同様の方法や、特開2006−143989号公報の合成例に従って合成することができる。
本発明に用いられる着色剤は2種類以上の着色剤を併用することが可能であり、本発明に係る前記一般式(1)で表される油溶性アゾ色素とともに、公知の染料及び顔料を使用することができる。
例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、R、N、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミウムレッド、カドミウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY 、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトポン及びそれらの混合物が使用できる。
着色剤の含有量はトナーに対して通常1〜15質量%、好ましくは3〜12質量%である。
本発明で用いる染料は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。マスターバッチの製造またはマスターバッチとともに混練される結着樹脂としては、本発明に係るウレア変性ポリエステルの他に、ポリエステル樹脂、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の重合体;スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタレン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられ、単独あるいは混合して使用できる。
本マスターバッチは、マスターバッチ用の樹脂と着色剤とを高剪断力をかけて混合、混練してマスターバッチを得ることができる。この際、着色剤と樹脂の相互作用を高めるために有機溶剤を用いることができる。また、所謂フラッシング法と呼ばれる着色剤の水を含んだ水性ペーストを樹脂と有機溶剤とともに混合混練し、着色剤を樹脂側に移行させ、水分と有機溶剤成分を除去する方法も着色剤のウエットケーキをそのまま用いることができるため乾燥する必要がなく、好ましく用いられる。混合混練するには、3本ロールミル等の高剪断分散装置が好ましく用いられる。
また、結着樹脂、着色剤とともにワックスを含有させることもできる。ワックスとしては公知のものが使用でき、例えば、ポリオレフィンワッックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなど)、長鎖炭化水素(パラフィンワックス、サゾールワックスなど)、カルボニル基含有ワックスなどが挙げられる。
これらの内、好ましいものはカルボニル基含有ワックスである。カルボニル基含有ワックスとしては、ポリアルカン酸エステル(カルナバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレートなど)、ポリアルカノールエステル(トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなど)、ポリアルカン酸アミド(エチレンジアミンジベヘニルアミドなど)、ポリアルキルアミド(トリメリット酸トリステアリルアミドなど)、及びジアルキルケトン(ジステアリルケトンなど)などが挙げられる。これらカルボニル基含有ワックスの内、好ましいものはポリアルカン酸エステルである。
ワックスの融点は通常40〜160℃であり、好ましくは50〜120℃、更に好ましくは60〜90℃である。融点が40℃未満のワックスは耐熱保存性に悪影響を与え、160℃を超えるワックスは低温での定着時にコールドオフセットを起こしやすい。
また、ワックスの溶融粘度は、融点より20℃高い温度での測定値として0.005〜1Pa・sが好ましく、更に好ましくは0.01〜0.1Pa・sである。1Pa・sを超えるワックスは、耐ホットオフセット性、低温定着性への向上効果に乏しい。トナー中のワックスの含有量は通常0〜40質量%であり、好ましくは3〜30質量%である。
本発明の電子写真用トナーは、好ましくは重合法によって製造される。
従来、広く用いられてきたトナーの製造法は、所謂粉砕法であり、この方法は樹脂と着色剤、更には必要に応じて離型剤や荷電制御剤等を粉体混合し、次いで十分な熱を加えて樹脂を溶融すると共に剪断力を加えて樹脂中に添加剤を分散させ(溶融混練)、その後、この溶融混練物を冷却し、粉砕、分散することで目的とする粒径、粒度分布のトナーを得る。粉砕法で得られるトナーの形状は不定形となる。
これに対して重合法とは、独立したポリマー粒子をモノマーから形成し、このポリマー粒子に着色剤等を内包または複合させ、トナー粒子とする方法であり、懸濁重合と乳化重合会合法が代表的である。
本発明のトナーを得るための製造方法に関しては、所謂重合法で調製する方法が好ましく使用される。即ち、形状の安定化のためには、例えば、重合法で調製することである程度均一な形状を形成させ、更に乾燥時に流動状態で乾燥することによって、トナー粒子の形状を更に丸めにすることができる。
重合法としては、樹脂を調製するための重合性単量体中に着色剤や離型剤などのトナー構成成分を分散し、次いで水中に懸濁した後にその懸濁粒子を重合させてトナーを得る懸濁重合法や、乳化重合で樹脂粒子を調製し、その樹脂粒子と着色剤などのトナー構成成分の分散液とを混合して粒子を合一させて調製する、所謂乳化会合型のいずれでもよい。
次に、本発明で用いられる結着樹脂について説明する。本発明で使用することのできる結着樹脂はとしては、ウレア変性ポリエステル樹脂の他に、ポリエステル樹脂、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の重合体;スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタレン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられ、単独あるいは混合して使用できる。
本発明で使用することのできるポリエステル樹脂は、アルコールとカルボン酸との縮重合によって通常得られるものである。該アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、及びビスフェノールA等のエーテル化ビスフェノール類、その他二価のアルコール単量体、三価以上の多価アルコール単量体を挙げることができる。また、カルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマール酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、マロン酸等の二価の有機酸単量体、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸等の三価以上の多価カルボン酸単量体を挙げることができる。
以下、本発明に係るウレア変性ポリエステル樹脂について説明する。
本発明に用いるトナー及びトナー母体粒子を製造する方法は、有機溶媒中に活性水素基を有する化合物と反応可能な部位を有する重合体を含有し、水系媒体中で造粒する際に活性水素基を有する化合物と反応させる高分子量化工程を含むことが好ましい。活性水素基を有する化合物と反応可能な部位を有する重合体としては、イソシアネート基含有ポリエステルプレポリマー(A)が好ましく、活性水素基を有する化合物としてはアミン(B)が好ましい。
イソシアネート基を含有するポリエステルプレポリマー(A)は、ポリオール(PO)とポリカルボン酸(PC)の重縮合物で、且つ活性水素基を有するポリエステルを、更にポリイソシアネート(PIC)と反応させることによって得ることができる。この場合、ポリエステルの有する活性水素基としては、水酸基(アルコール性水酸基及びフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基などが挙げられ、これらのうち好ましいものはアルコール性水酸基である。
前記ポリオール(PO)としては、ジオール(DIO)及び3価以上のポリオール(TO)が挙げられ、(DIO)単独、または(DIO)と少量の(TO)の混合物が好ましい。ジオール(DIO)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど)、アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど)、脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど)、ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど)、上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物、上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。
これらの内、好ましいものは炭素数2〜12のアルキレングリコール及びビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、及びこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。
3価以上のポリオール(TO)としては、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど)、3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど)、上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
前記ポリカルボン酸(PC)としては、ジカルボン酸(DIC)及び3価以上のポリカルボン酸(TC)が挙げられ、(DIC)単独、及び(DIC)と少量の(TC)の混合物が好ましい。ジカルボン酸(DIC)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸など)、アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。これらの内、好ましいものは炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸及び炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。3価以上のポリカルボン酸(TC)としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。なお、ポリカルボン酸(PC)としては、上述のものの酸無水物または低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いてポリオール(PO)と反応させてもよい。
ポリオール(PO)とポリカルボン酸(PC)の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、更に好ましくは1.3/1〜1.02/1である。
前記ポリイソシアネート(PIC)としては、脂肪族ポリイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなど)、脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど)、芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど)、芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α′,α′−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど)、イソシアヌレート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの、及びこれら2種以上の併用が挙げられる。
イソシアネート基を有するポリエステル系プレポリマーを得る場合、ポリイソシアネート(PIC)と活性水素を有するポリエステル系樹脂(PE)との比率は、イソシアネート基[NCO]と水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]との当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、更に好ましくは2.5/1〜1.5/1である。末端にイソシアネート基を有するプレポリマーA中のポリイソシアネート(PIC)構成成分の含有量は、通常0.5〜40質量%、好ましくは1〜30質量%、更に好ましくは2〜20質量%である。
前記アミン(B)としては、ポリアミン及び/または活性水素含有基を有するアミン類が用いられる。この場合の活性水素含有基には、水酸基やメルカプト基が包含される。このようなアミンには、ジアミン(B1)、3価以上のポリアミン(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、及びB1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)などが挙げられる。
ジアミン(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4′ジアミノジフェニルメタンなど)、脂環式ジアミン(4,4′−ジアミノ−3,3′ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど)、及び脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)などが挙げられる。3価以上のポリアミン(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、前記B1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリン化合物などが挙げられる。これらアミン(B)のうち好ましいものは、(B1)及び(B1)と少量の(B2)の混合物である。
更にプレポリマー(A)とアミン(B)とを反応させる場合、必要により伸長停止剤を用いてポリエステルの分子量を調整することができる。伸長停止剤としては、活性水素含有基を有しないモノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、及びそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などが挙げられる。その添加量は、生成するウレア変性ポリエステル樹脂に所望する分子量との関係で適宜選定される。
アミン(B)とイソシアネート基を有するプレポリマー(A)との比率は、イソシアネート基を有するプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン(B)中のアミノ基[NHx](xは1〜2の数を示す)の当量比[NCO]/[NHx]として、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、更に好ましくは1.2/1〜1/1.2である。
また、有機溶媒組成物中の結着樹脂にはポリエステル樹脂が含まれることが好ましく、更に該有機溶媒組成物の酸価は2〜30KOHmg/gの範囲であることが好ましい。ポリエステル樹脂は、スチレンアクリル樹脂に比べて低分子量化が容易であり、低温定着性に優れており、省エネルギー化に対して好ましい材料である。酸価付与については、トナーの紙への接着性向上のために有利であり、2KOHmg/g以上の酸価が必要である。しかしながら、30KOHmg/gを超える酸価付与については乳化時の系内安定性が増してしまい、微粒子の合着が進まなくなるためシャープな粒度分布のトナーが得難くなる。酸価の測定方法はJISK0070に準拠した方法による。但し、サンプルが溶解しない場合は、溶媒にジオキサンまたはTHF等の溶媒を用いる。
また、反応が完結した高分子成分の有機溶媒中への溶解、または分散は困難なことから、本発明においては、耐オフセット性を発現させるために必要な高分子成分を、粒子内に均一に導入するために、有機溶媒組成物は活性水素基を有する化合物と反応可能な部位を有する重合体を含有し、上記有機溶媒組成物を水系媒体中で剪断力により分散させた後、または分散させながら該活性水素基を有する化合物と反応可能な部位を有する重合体と活性水素基を有する化合物とを反応させる工程を有することが好ましい。
本発明に係る製造方法によって得られる、トナー粒子(以下、トナー母体粒子を含む意味で用いる。)の体積平均粒径は3〜8μmであることが好ましく、また、その個数平均粒径との比(Dv/Dn)は1.20以下であることが好ましい。Dv/Dnをこのように規定することにより、高解像度、高画質のトナーを得ることが可能となる。
また、より高品質の画像を得るには、トナーの体積平均粒径を3〜7μmにし、個数平均粒径との比(Dv/Dn)をDv/Dnを1.17以下にし、且つ4μm以下の粒子を個数%で1〜10個数%にするのがよく、より好ましくは体積平均粒径を4〜7μmにし、Dv/Dnを1.15以下にするのがよい。このようなトナーは、とりわけフルカラー複写機などに用いた場合に飛散やカブリがなく、長期的に現像性が良好で高画質な画像を形成することが可能である。
乳化液中に存在するトナー粒子の平均粒径及び粒度分布は、コールターカウンターTA−II型を用い、個数分布、体積分布を出力するインターフェイス(日科技研製)と、PC9801パーソナルコンピューター(NEC製)とを接続し測定した。
本発明に係るトナー粒子は特定の形状と形状の分布を有すことが好ましく、平均円形度が0.92未満では微粒子の合着が不十分なため、満足した転写性やチリのない高画質画像が得られ難い。なお、形状の計測方法としては粒子を含む懸濁液を平板上の撮像部検知帯に通過させ、CCDカメラで光学的に粒子画像を検知し、解析する光学的検知帯の手法が適当である。この手法で得られる投影面積の等しい相当円の周囲長を実在粒子の周囲長で除した値である平均円形度が0.92〜1.00のトナーが、適正な濃度の再現性のある高精細な画像を形成するのに好ましい。
本発明に用いる帯電制御剤としては上記フッ素系化合物が好ましいが、公知の帯電制御剤を併用してもよい。このような帯電制御剤としては、例えば、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、四級アンモニウム塩、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、サリチル酸金属塩及びサリチル酸誘導体の金属塩等である。
具体的には、ニグロシン系染料のボントロン03、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSYVP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージNEGVP2036、コピーチャージNXVP434(以上、ヘキスト製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。
本発明において帯電制御剤の使用量は、結着樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくはバインダー樹脂100質量部に対して、0.1〜10質量部の範囲で用いられる。好ましくは、0.2〜5質量部の範囲がよい。10質量部を越える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、主帯電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や画像濃度の低下を招く。
本発明で得られたトナー母体粒子の流動性や現像性、帯電性を補助するための外添剤としては、無機微粒子を用いることができる。この無機微粒子の一次粒子径は5〜2000μmであることが好ましく、特に5〜500μmであることが好ましい。また、BET法による比表面積は20〜500m2/gであることが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5質量%であることが好ましく、特に0.01〜2.0質量%であることが好ましい。
無機微粒子の具体例としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。
この他高分子系微粒子、例えば、ソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン、メタクリル酸エステルやアクリル酸エステル共重合体やシリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロンなどの重縮合系、熱硬化性樹脂による重合体粒子が挙げられる。
このような外添剤は表面処理を行って、疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止することができる。例えば、シランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイルなどが好ましい表面処理剤として挙げられる。
感光体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するためのクリーニング性向上剤としては、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸など脂肪酸金属塩、例えば、ポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子などのソープフリー乳化重合などによって製造された、ポリマー微粒子などを挙げることができる。ポリマー微粒子は比較的粒度分布が狭く、体積平均粒径が0.01から1μmのものが好ましい。
以下に、本発明に係る静電荷像現像用トナーの製造方法を例示するが、勿論これらに限定されることはない。
(ポリエステル樹脂の作製)
多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)を、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150〜280℃に加熱し、必要により減圧しながら生成する水を溜去して、ポリエステル樹脂を得る。
(ポリエステルプレポリマーの作製)
上記ポリエステル樹脂と同様の方法で得られた水酸基を有するポリエステルに、40〜140℃にて多価イソシアネート(PIC)を反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を得る。多価イソシアネート(PIC)を反応させる際には、必要により溶剤を用いることもできる。使用可能な溶剤としては、イソシアネート化合物に対して不活性である、芳香族溶剤(トルエン、キシレンなど)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)、エステル類(酢酸エチルなど)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)及びエーテル類(テトラヒドロフランなど)などが挙げられる。
(ウレア変性ポリエステル樹脂の作製)
ポリエステルプレポリマー(A)とアミン類(B)との反応は、他のトナー構成材料と混合させて行わせるものであってもよいし、予め作製しておくものでもよい。予め作製する場合は、ポリエステルプレポリマー(A)にアミン類(B)を0〜140℃にて反応させ、ウレア変性ポリエステル樹脂を得る。ポリエステルプレポリマー(A)とアミン類(B)を反応させる場合にも、ポリエステルプレポリマー(A)の場合と同様に必要に応じて溶剤を用いることができる。使用可能な溶剤は先に挙げた通りである。
(水系媒体中でのトナー粒子製造法)
本発明に用いる水系媒体としては水単独でもよいが、水と混和可能な溶剤を併用することもできる。混和可能な溶剤としては、アルコール(メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などが挙げられる。
トナー粒子は、水系媒体中でイソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を含有する分散体をアミン類(B)と反応させて形成してもよいし、予め作製した変性ポリエステル樹脂を用いてもよい。
水系媒体中でポリエステル樹脂やポリエステルプレポリマー(A)からなる分散体を安定して形成させる方法としては、水系媒体中にポリエステル樹脂やポリエステルプレポリマー(A)からなるトナー構成材料を加えて、機械的剪断力により分散させるが、他のトナー構成材料であるワックスなどは、水系媒体中で分散体を形成させる際に混合してもよいが、予めこれらトナー構成材料を混合した後、水系媒体中にその混合物を加えて分散させたほうがより好ましい。
また、本発明においては、ワックスなどのトナー構成材料は必ずしも水系媒体中で粒子を形成させる時に混合しておく必要はなく、粒子を形成せしめた後、添加してもよい。
(固体微粒子分散剤)
また、水系媒体中に予め固体微粒子分散剤を添加しておくことで、水相中での油滴の分散が均一化する。これは、分散時に油滴の表面に固体微粒子分散剤が配置するようになり、油滴の分散が均一化するものであり、それと共に油滴同士の合一が防止され、粒度分布のシャープなトナーが得られるようになる。
固体微粒子分散剤は水系媒体中で水に難溶の固体状で存在するものであり、有機微粒子を用いることが好ましいが、平均粒径が0.01〜1μmの無機微粒子を用いることもできる。
有機微粒子は水性分散体を形成しうる樹脂であればいかなる樹脂も使用でき、熱可塑性樹脂でも熱硬化性樹脂でもよいが、例えば、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。有機微粒子としては、上記の樹脂を2種以上併用してもよい。このうち好ましいのは、微細球状樹脂粒子の水性分散体が得られやすい点から、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂及びそれらの併用が好ましい。
ビニル系樹脂としては、ビニル系モノマーを単独重合また共重合したポリマーで、例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸−アクリル酸エステル重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。
有機微粒子は表面処理剤を固定させるためには、末端構造にカルボキシル基を有することが好ましく、更にはより有機微粒子の表面にカルボキシル基を偏在させ、表面処理剤を固定するには、該カルボキシル基はアクリル酸またはメタクリル酸に由来することが好ましい。上記スチレン−(メタ)アクリル酸エステル樹脂、(メタ)アクリル酸−アクリル酸エステル重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体等を好ましく用いることができる。
無機微粒子の具体例としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。
更に好ましくは、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、コロイド状酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイトなども用いることができる。特に、水中でリン酸ナトリウムと塩化カルシウムを塩基性条件下で反応させて合成したヒドロキシアパタイトが好ましい。
トナー組成物が分散された油相を水系媒体中に乳化、分散するための分散剤として、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどの陰イオン界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの4級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えば、アラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムベタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。
また、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果を挙げることができる。好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[ω−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[ω−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及びその金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。
商品名としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−l29(住友3M製)、ユニダインDS−101、DS−l02、(ダイキン工業製)、メガファックF−ll0、F−l 20、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ製)、エクトップEF−102、l03、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204(トーケムプロダクツ製)、フタージェントF−100、F150(ネオス製)などが挙げられる。
また、カチオン界面活性剤としては、フルオロアルキル基を有する脂肪族1級、2級もしくは3級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩などの脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、商品名としてはサーフロンS−l21(旭硝子製)、フロラードFC−135(住友3M製)、ユニダインDS−202(ダイキン工業製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ製)、エクトップEF−l32(トーケムプロダクツ製)、フタージェントF−300(ネオス製)などが挙げられる。
また、高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させてもよい。例えば、アクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えば、アクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエーテル類、例えば、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなど、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ビニルビリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの窒素原子、またはその複素環を有するものなどのホモポリマーまたは共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフエニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類などが使用できる。
なお、分散剤としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能な物質を用いた場合は、塩酸等の酸によりリン酸カルシウム塩等を溶解した後、水洗するなどの方法によって微粒子からリン酸カルシウム塩等を除去する。その他、酵素による分解などの操作によっても除去できる。
分散剤を使用した場合には、該分散剤がトナー粒子表面に残存したままとすることもできるが、伸長及び/または架橋反応後、洗浄除去するほうがトナーの帯電面から好ましい。
伸長及び/または架橋反応時間は、ポリエステルプレポリマー(A)の有するイソシアネート基構造とアミン類(B)の組み合わせによる反応性により選択されるが、通常10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。反応温度は、通常0〜150℃、好ましくは40〜98℃である。
また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。具体的には、ジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレートなどが挙げられる。
得られた乳化分散体から有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に昇温し、液滴中の有機溶媒を完全に蒸発除去する方法を採用することができる。あるいはまた、乳化分散体を乾燥雰囲気中に噴霧して、液滴中の非水溶性有機溶媒を完全に除去してトナー微粒子を形成し、合わせて水系分散剤を蒸発除去することも可能である。乳化分散体が噴霧される乾燥雰囲気としては、空気、窒素、炭酸ガス、燃焼ガス等を加熱した気体、特に使用される最高沸点溶媒の沸点以上の温度に加熱された各種気流が一般に用いられる。スプレイドライアー、ベルトドライアー、ロータリーキルンなどにより、短時間の処理で十分目的とする品質が得られる。
得られた乾燥後のトナーの粉体と外添剤などの異種粒子とともに混合したり、混合粉体に機械的衝撃力を与えることによって表面で固定化、融合化させ、得られる複合体粒子の表面からの異種粒子の脱離を防止することができる。
具体的手段としては、高速で回転する羽根によって混合物に衝撃力を加える方法、高速気流中に混合物を投入し、加速させ、粒子同士または複合化した粒子を適当な衝突板に衝突させる方法などがある。装置としては、オングミル(ホソカワミクロン製)、I式ミル(日本ニューマチック製)を改造して、粉砕エアー圧カを下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所製)、クリプトロンシステム(川崎重工業製)、自動乳鉢などが挙げられる。
本発明のトナーを二成分系現像剤に用いる場合には、磁性粒子からなるキャリアと混合して用いればよく、現像剤中のキャリアとトナーの含有比はキャリア100質量部に対してトナー1〜10質量部が好ましく、更に3〜9質量部の範囲とするのが好ましい。
磁性キャリアとしては、粒子径20〜200μm程度の鉄粉、フェライト粉、マグネタイト粉、磁性樹脂キャリアなど従来から公知のものが使用できる。
また、被覆材料としては、アミノ系樹脂、例えば、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。またポリビニル及びポリビニリデン系樹脂、例えば、アクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂及びスチレン・アクリル共重合樹脂等のポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル等のハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂及びポリブチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ弗化ビニル樹脂、ポリ弗化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、弗化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、弗化ビニリデンと弗化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンと弗化ビニリデンと非弗化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー、及びシリコーン樹脂等が使用できる。
また、必要に応じて導電粉等を被覆樹脂中に含有させてもよい。導電粉としては、金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛等が使用できる。これらの導電粉は、平均粒子径1μm以下のものが好ましい。平均粒子径が1μmよりも大きくなると、電気抵抗の制御が困難になる。また、本発明のトナーはキャリアを使用しない一成分系の磁性トナー、あるいは非磁性トナーとしても用いることができる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
〔トナー1の作製〕
(水系媒体の調製)
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器中に、水683質量部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(「エレミノールRS−30」;三洋化成工業(株)製)11質量部、スチレン80質量部、メタクリル酸83質量部、アクリル酸ブチル110質量部、チオグリコール酸ブチル12質量部、及び過硫酸アンモニウム1質量部を仕込み、400回転/分にて15分間撹拌し、白色の乳濁液を得た。該乳濁液を加熱し、系内温度を75℃まで昇温して5時間反応させた。
次いで、該反応液に1質量%過硫酸アンモニウム水溶液を30質量部添加し、75℃にて5時間熟成してビニル樹脂(スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液(以下「微粒子分散液1」と称する)を調製した。
得られた「微粒子分散液1」は、レーザー回折式粒度分布測定器(「LA−920」;(株)島津製作所製)で測定した体積平均粒径が120nmであった。また、得られた「微粒子分散液1」の一部を乾燥して樹脂分を単離した。該樹脂分のガラス転移温度(Tg)は42℃であり、重量平均分子量(Mw)は30,000であった。
その後、水990質量部、該「微粒子分散液1」83質量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5質量%水溶液(「エレミノールMON−7」;三洋化成工業(株)製)37質量部、及び酢酸エチル90質量部を混合撹拌し、乳白色の液体(以下「水相」と称する)を調製した。
(ポリエステルの合成)
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物229質量部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物529質量部、テレフタル酸208質量部、アジピン酸46質量部、及びジブチルチンオキサイド2質量部を仕込み、常圧下、230℃にて8時間反応させた。
次いで、該反応液を10〜15mmHgの減圧下にて5時間反応させた後、反応容器中に無水トリメリット酸45質量部を添加し、常圧下、180℃にて2時間反応させて、ポリエステル(1)を合成した。
得られたポリエステル(1)は、数平均分子量(Mn)が2,500、重量平均分子量(Mw)が6,500、ガラス転移温度(Tg)が43℃、酸価が25であった。
(ポリエステルプレポリマーの合成)
冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物682質量部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物81質量部、テレフタル酸283質量部、無水トリメリット酸22質量部、及びジブチルチンオキサイド2質量部を仕込み、常圧下で230℃にて8時間反応させた。
次いで、10〜15mmHgの減圧下で5時間反応させて、中間体ポリエステルを合成した。得られた中間体ポリエステルは、数平均分子量(Mn)が2,100、重量平均分子量(Mw)が9,500、ガラス転移温度(Tg)が55℃、酸価が0.5、水酸基価が51であった。そして、冷却管、撹拌機及び窒素導入管の付いた反応容器中に、該中間体ポリエステル1410質量部、イソホロンジイソシアネート89質量部及び酢酸エチル500質量部を仕込み、100℃にて5時間反応させて、ポリエステルプレポリマー(1)(活性水素基含有化合物と反応可能な重合体)を合成した。
得られたポリエステルプレポリマー(1)の遊離イソシアネート含有量は、1.55%であった。
(ケチミン化合物の合成)
撹拌棒及び温度計をセットした反応容器中に、イソホロンジアミン170質量部及びメチルエチルケトン75質量部を仕込み、50℃にて5時間反応を行い、ケチミン化合物(活性水素基含有化合物)を合成した。得られたケチミン化合物のアミン価は418であった。
(乳化・分散)
タンク中に35%カルナバワックス酢酸エチル分散液170質量部、前記ポリエステルプレポリマー(1)267質量部、及び前記ケチミン化合物2.9質量部、例示化合物−2、31質量部、ポリエステル(1)546質量部、酢酸エチル1165質量部を仕込み、TK式ホモミキサー(特殊機化製)を用いて5,000rpmにて10分間混合した後、反応容器中に前記「水相」3350質量部を添加し、TK式ホモミキサーを用いて、回転数13,000rpmにて20分間混合してウレア化及び乳化、分散を行い、乳化スラリーを調製した。
次いで、撹拌機及び温度計をセットした反応容器中に前記乳化スラリーを仕込み、30℃にて8時間脱溶剤した。その後、該乳化スラリーを45℃にて4時間熟成した。
得られた乳化スラリーはマルチサイザーII(コールターカウンター製)で測定した体積平均粒径が5.7μmであり、個数平均粒径が5.4μmであった。
(洗浄・乾燥)
熟成後の前記乳化スラリー100質量部を減圧濾過した後、濾過ケーキにイオン交換水100質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数5,000rpmにて10分間)した後、濾過した。ここで得た濾過ケーキに10質量%水酸化ナトリウム水溶液100質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数5,000rpmにて30分間)した後、減圧濾過した。
ここで得た濾過ケーキに10%塩酸100質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数5,000rpmにて10分間)した後、濾過した。ここで得た濾過ケーキにイオン交換水300質量部を添加し、TK式ホモミキサーで混合(回転数5,000rpmにて10分間)した後で濾過する操作を2回行い、「最終濾過ケーキ1」を得た。
ここで得られた最終濾過ケーキを循風乾燥機で45℃にて48時間乾燥し、目開きミキサーで解砕した後、目開き44μmメッシュで篩うとトナー粒子(1)が得られた。
次に、得られたトナー粒子(1)100部、帯電制御剤(オリエント化学製、ボントロンE−84)0.25部をQ型ミキサー(三井鉱山製)に仕込み、タービン型羽根の周速を50m/secに設定して混合処理した。この場合、その混合操作は2分間運転、1分間休止を5サイクル行い、合計の処理時間を10分間とした。
更に疎水性シリカ(H2000、クラリアントジャパン製)を0.5部添加し、混合処理した。この場合、その混合操作は周速を15m/secとして、30秒混合1分間休止を5サイクル行った。
以上のようにして、トナー1を得た。
〔トナー2〜27の作製〕
例示化合物−2を表1に記載の例示化合物に変更した以外は、トナー1の作製と同様の方法でトナー2〜27を得た。
〔トナー28の作製〕
例示化合物−2を例示化合物−8に変更し、帯電制御剤の添加量をトナー粒子100質量部に対して0.20質量部に変更した以外は、トナー1の作製と同様の方法でトナー28を得た。
〔トナー29〜31の作製〕
例示化合物−2をそれぞれ比較化合物−1、比較化合物−2、比較化合物−3に変更した以外は、トナー1の作製と同様の方法で比較トナー29〜31を得た。
〔トナー32の作製〕
ポリエステルプレポリマー(1)の代わりにポリエステル(1)を結着樹脂として用い、ケチミン化合物を添加しないこと以外は、トナー1と同様の方法で比較トナー32を得た。
特開2006−143989号公報の化合物(d−5)及び化合物(d−6)を、それぞれ比較化合物−1及び比較化合物−2とした。また、比較化合物−3は例示化合物3と同様の方法で合成した。
〔評価〕
(色相・彩度)
コピー用紙上の単色画像の色相・彩度について、10人のモニターによる目視評価により下記評価基準に従って評価した。なお、トナー付着量は0.7±0.05(mg/cm2)の範囲で評価した。10点満点で評価を行い、10人の平均点が10〜9点を◎、10人の平均点が9〜8点を○、10人の平均点が8〜7点を△、7点未満を×とした。
(帯電性の湿度依存性)
帯電性の湿度依存性については、市販のデジタルカラー複写機(複合機)bizhub c352(コニカミノルタビジネステクノロジーズ製)のマゼンタ現像器を駆動する単体駆動機にマゼンタ現像器をセットし、本発明のトナーをキャリアと混合したトナー濃度6%となるように現像剤をセットした。
72時間、20℃50%に放置した現像器2台を、1)33℃80%RH環境に移送し、2時間放置した。更に、2)10℃12%RHの環境に移送し、2時間放置した。
1)に2)の現像器を30秒、1200秒駆動し、それぞれ現像剤を5gサンプリングして、トナーの帯電量を公知のブローオフ法で測定した。
優良:30秒値、1200秒値とも、2)の環境の値と1)の環境の値が3マイクロC/g未満
良好:30秒値、1200秒値とも、2)の環境の値と1)の環境の値が3マイクロC/g以上、5マイクロ未満
不良:30秒値、1200秒値とも、2)の環境の値と1)の環境の値が7マイクロC/g以上。
(帯電速度)
画素率75%とし、トナー消費量、補給量が著しく多いプリントモードで1000枚プリントを行い、機内のトナーこぼれとプリント画像の画像かすれを目視で評価した。
◎:帯電不良によるトナーこぼれ、画像のかすれ全くなし
○:帯電不良によるトナーこぼれはないが、プリントの後端に軽微なかすれ発生したが、実用上問題なし
×:帯電不良によるトナーこぼれ、画像のかすれ発生し実用上問題。
(トナー消費量)
トナー付着量0.7±0.05(mg/cm2)のフルカラー写真画像をA4サイズの用紙にプリントした画像と、トナー付着量を0.5±0.05(mg/cm2)としてプリントした画像との濃度を比較し、10人の被験者により10点満点で濃度の差を採点し、10人の平均点が10〜9点を◎、10人の平均点が9〜8点を○、10人の平均点が8〜7点を△、7点未満を×とした。その濃度差が小さいほどトナー消費量を少なくできるものとして評価した。
評価結果より本発明のトナー1〜28は優れた帯電性を示し、色相及び彩度に優れた画像を形成することができる。また、トナー消費量を少なくしてもその色濃度が極端に低下することがなく、良好な画像を得ることができる。