JP2009139736A - 表示媒体用粒子およびそれを用いた情報表示用パネル - Google Patents
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Abstract
【課題】長期間放置した後にも帯電減衰が少ない情報表示用パネルに用いる表示媒体用粒子及びそれを用いた情報表示用パネルを提供することにある。
【解決手段】少なくとも一方が透明な対向する2枚の基板間に光学的反射率および帯電性を有する表示媒体を封入し、表示媒体に電界を付与することによって、表示媒体を移動させて画像等の情報を表示する情報表示用パネルに用いる表示媒体を構成する表示媒体用粒子31であって、溶液中で架橋性樹脂を析出させた後に架橋させることによって得られた微粒子33を母粒子32表面に埋設してなることを特徴とする表示媒体用粒子31及び該表示媒体用粒子31を表示媒体として用いた情報表示用パネルである。
【選択図】図6
【解決手段】少なくとも一方が透明な対向する2枚の基板間に光学的反射率および帯電性を有する表示媒体を封入し、表示媒体に電界を付与することによって、表示媒体を移動させて画像等の情報を表示する情報表示用パネルに用いる表示媒体を構成する表示媒体用粒子31であって、溶液中で架橋性樹脂を析出させた後に架橋させることによって得られた微粒子33を母粒子32表面に埋設してなることを特徴とする表示媒体用粒子31及び該表示媒体用粒子31を表示媒体として用いた情報表示用パネルである。
【選択図】図6
Description
本発明は、少なくとも一方が透明な2枚の基板間に少なくとも1種類以上の粒子からなる光学的反射率および帯電性を有する表示媒体を少なくとも1種類以上封入し、表示媒体に電界を付与することによって、表示媒体を移動させて画像等の情報を表示する情報表示用パネルにおける表示媒体を構成する表示媒体用粒子及びこれを用いた情報表示用パネルに関するものである。
従来、少なくとも一方が透明な2枚の基板間に少なくとも1種類以上の粒子からなる光学的反射率および帯電性を有する表示媒体を少なくとも1種類以上封入し、表示媒体に電界を付与することによって、表示媒体を移動させて画像等の情報を表示する情報表示用パネルにおける表示媒体を構成する表示媒体用粒子として、粒子表面に微粒子を埋め込んで凹凸をつけることにより、電界駆動に要する印加電圧を下げる技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。表示媒体用粒子の表面に凹凸をつけるためには、熱可塑性樹脂ベースの母粒子に対し、高硬度の微粒子を機械的なせん断力により埋め込む方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。ここで、上記微粒子としては、ゾル−ゲル法で作製された球状粒子を用いる方法が一般的である。
しかしながら、微粒子として上述したようなゾル−ゲル法で作製された粒子を用いた場合、硬度は確保できるが、その製法により、該微粒子を具えた表示媒体用粒子の帯電の減衰が速すぎる場合がある。帯電減衰が速いと、該表示媒体用粒子を表示媒体として用いた情報表示用パネルにおいて、長期間放置した後の表示媒体用粒子の帯電量が不充分となり、良好な画像品質が得られない場合がある。
したがって、本発明の目的は、上記課題を解決し、長期間放置した後にも帯電減衰が少ない情報表示用パネルに用いる表示媒体用粒子及びそれを用いた情報表示用パネルを提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、溶液中に架橋性樹脂を析出した後に架橋させることによって得られる微粒子を母粒子表面に埋設して表示媒体用粒子を構成することによって、長期間放置した後の帯電減衰を少なくすることができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の表示媒体用粒子は、少なくとも一方が透明な対向する2枚の基板間に光学的反射率および帯電性を有する表示媒体を封入し、表示媒体に電界を付与することによって、表示媒体を移動させて画像等の情報を表示する情報表示用パネルに用いる表示媒体を構成する表示媒体用粒子であって、
溶液中で架橋性樹脂を析出させた後に架橋させることによって得られた微粒子を母粒子表面に埋設してなることを特徴とする。
溶液中で架橋性樹脂を析出させた後に架橋させることによって得られた微粒子を母粒子表面に埋設してなることを特徴とする。
本発明の表示媒体用粒子の好適例においては、前記架橋性樹脂が、アゾ基を有するポリビニルブチラールであることを特徴とする。
また、本発明の情報表示用パネルは、上記表示媒体用粒子を表示媒体として用いたことを特徴とする。
本発明によれば、長期間放置した後の帯電減衰が少ない表示媒体用粒子を提供することができ、該表示媒体用粒子を情報表示用パネルの表示媒体として用いることによって、長期間にわたって良好な画像品質が得られる情報表示用パネルを提供できるという有利な効果を奏する。
以下に本発明について詳細に説明する。まず、本発明の表示媒体用粒子よりなる表示媒体として用いる情報表示用パネルの基本的な構成について説明する。本発明の情報表示用パネルでは、対向する2枚の基板間に封入した帯電性を有する粒子群として構成した表示媒体に電界が付与される。付与された電界方向にそって、表示媒体が電界による力やクーロン力などによって引き寄せられ、表示媒体が電界方向の変化によって移動方向を変えることにより、画像等の情報表示がなされる。従って、表示媒体が、均一に移動し、かつ、繰り返し表示書き換えを行う時あるいは表示情報を継続して表示させておく時の安定性を維持できるように、情報表示用パネルを設計する必要がある。ここで、表示媒体を構成する粒子にかかる力は、粒子同士のクーロン力により引き付けあう力の他に、電極や基板との電気鏡像力、分子間力、液架橋力、重力などが考えられる。
本発明の表示媒体用粒子を表示媒体として用いる情報表示用パネルの例を、図1(a)、(b)〜図5(a)、(b)に基づき説明する。図1(a)、(b)に示す例では、光学的反射率と帯電性とを有する粒子を含む少なくとも1種以上の粒子からなる粒子群として構成される、互いに光学的反射率および帯電特性が異なる表示媒体を少なくとも2種以上(ここでは白色表示媒体用粒子3Waの粒子群からなる白色表示媒体3Wと黒色表示媒体用粒子3Baの粒子群からなる黒色表示媒体3Bを示す)基板間に封入し、隔壁4で形成された各セルにおいて、基板1に設けた電極5(個別電極)と基板2に設けた電極6(個別電極)との間に電圧を印加することにより発生する電界に応じて、基板1、2と垂直に移動させる。そして、図1(a)に示すように白色表示媒体3Wを観察者に視認させて白色ドット表示を行うか、あるいは、図1(b)に示すように黒色表示媒体3Bを観察者に視認させて黒色ドット表示を行っている。なお、図1(a)、(b)において、手前にある隔壁は省略している。
図2(a)、(b)に示す例では、光学的反射率と帯電性とを有する粒子を含む少なくとも1種以上の粒子からなる粒子群として構成される、互いに光学的反射率および帯電特性が異なる表示媒体を少なくとも2種以上(ここでは白色表示媒体用粒子3Waの粒子群からなる白色表示媒体3Wと黒色表示媒体用粒子3Baの粒子群からなる黒色表示媒体3Bを示す)基板間に封入し、隔壁4で形成された各セルにおいて、基板1に設けた電極5(ライン電極)と基板2に設けた電極6(ライン電極)との間に電圧を印加することにより発生する電界に応じて、基板1、2と垂直に移動させる。そして、図2(a)に示すように白色表示媒体3Wを観察者に視認させて白色ドット表示を行うか、あるいは、図2(b)に示すように黒色表示媒体3Bを観察者に視認させて黒色ドット表示を行っている。なお、図2(a)、(b)において、手前にある隔壁は省略している。
図3(a)、(b)に示す例では、光学的反射率と帯電性とを有する粒子を含む少なくとも1種以上の粒子からなる粒子群として構成される表示媒体を1種(ここでは白色表示媒体用粒子3Waの粒子群からなる白色表示媒体3Wを示す)基板間に封入し、隔壁4で形成された各セルにおいて、基板1に設けた電極5と基板2に設けた電極6との間に電圧を印加することにより発生する電界に応じて、基板1、2と平行方向に移動させる。そして、図3(a)に示すように、白色表示媒体3Wを観察者に視認させて白色ドット表示を行うか、あるいは、図3(b)に示すように黒色板7の色を観察者に視認させて黒色ドット表示を行っている。なお、図3(a)、(b)に示す例では、手前にある隔壁は省略している。
図4(a)〜(d)に示す例では、まず、図4(a)、(c)に示すように、光学的反射率と帯電性とを有する粒子を含む少なくとも1種以上の粒子からなる粒子群として構成される、互いに光学的反射率および帯電特性が異なる表示媒体を少なくとも2種以上(ここでは白色表示媒体用粒子3Waの粒子群からなる白色表示媒体3Wと黒色表示媒体用粒子3Baの粒子群からなる黒色表示媒体3Bを示す)基板間に封入し、隔壁4で形成された各セルにおいて、基板1の外側に設けた外部電界形成手段11と基板2の外側に設けた外部電界形成手段12との間に電圧を印加することにより発生する電界に応じて、基板1、2と垂直に移動させる。そして、図4(b)に示すように白色表示媒体3Wを観察者に視認させて白色ドット表示を行うか、あるいは、図2(d)に示すように黒色表示媒体3Bを観察者に視認させて黒色ドット表示を行っている。なお、図4(a)〜(d)において、手前にある隔壁は省略している。また、基板1の内側には導電部材13を設けるとともに、基板2の内側には導電部材14を設けている。この導電部材は設けなくてもよい。
図5(a)、(b)に示す例では、三個のセルで表示単位(1ドット)を構成するカラー表示の例を示している。図5(a)、(b)に示す例では、表示媒体としてはすべてのセル21−1〜21−3に白色表示媒体3Wと黒色表示媒体3Bとを充填し、第1のセル21−1の観察者側に赤色カラーフィルター22Rを設け、第2のセル21−2の観察者側に緑色カラーフィルター22Gを設け、第3のセル21−3の観察者側に青色カラーフィルター22BLを設け、第1のセル21−1、第2のセル21−2および第3のセル21−3の三個のセルで表示単位を構成している。本例では、図5(a)に示すように、観察者側に、すべての第1セル21−1〜第3のセル21−3において白色表示媒体3Wを移動することで、観察者に対し白色ドット表示を行うか、あるいは、図5(b)に示すように、観察者側に、すべての第1セル21−1〜第3のセル21−3において黒色表示媒体3Bを移動することで、観察者に対し黒色ドット表示を行っている。なお、図5(a)、(b)において、手前にある隔壁は省略している。各セルにおいて表示媒体の移動のさせ方で多色カラー表示を行うことができる。
次に、本発明の特徴となる表示媒体用粒子を図を参照しながら詳細に説明する。本発明の表示媒体用粒子は、図1(a)、(b)〜図5(a)、(b)の情報表示用パネルに適用することができ、上記情報表示用パネルの少なくとも一方が透明な2枚の基板の間に表示媒体を構成して封入されるものである。図6は本発明の表示媒体用粒子の一例を示す図である。図6に示す例において、本発明の表示媒体用粒子31の特徴は、母粒子32表面に、溶液中で架橋性樹脂を析出させた後に架橋させることによって得られた微粒子33が埋設されていることである。このように表示媒体用粒子31を構成することによって、長期間放置した後の帯電減衰を少なくすることができる。
本発明の表示媒体用粒子において、前記微粒子33は、溶液中で架橋性樹脂を析出させた後に架橋させることによって得られたものであることを要する。ここで、架橋性樹脂とは、熱や架橋剤等により架橋可能な官能基を有する樹脂を指す。微粒子33を架橋性樹脂で構成し、後に該架橋性樹脂の架橋を行うことによって、耐熱性を向上させることができる。架橋性樹脂の例としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂が挙げられる。なお、これらの中でも、通常は別添加する必要のある架橋剤を添加する必要がなく、ポットライフの問題を回避できる観点から、熱架橋可能なアゾ基を有するポリビニルブチラールであることが好ましい。
前記架橋性樹脂を溶液中で析出させる方法としては、該架橋性樹脂の貧溶媒を用いる方法がある。具体的には、架橋性樹脂を良溶媒に溶解して得られた溶液に貧溶媒を滴下するか、又は架橋性樹脂を少量の良溶媒に溶解して得られた溶液を貧溶媒に滴下することによって、架橋性樹脂を析出させることができる。
前記架橋性樹脂を析出させた後、架橋性樹脂の架橋を行う。ここで、架橋性樹脂の架橋方法は、架橋性樹脂中の架橋可能な官能基によって決定され、例えば、加熱、架橋剤、電子線照射、紫外線(UV)照射等によって行うことができる。
前記架橋性樹脂を溶液中で析出させる他の方法としては、該架橋性樹脂を適当な溶媒中で架橋反応させることにより、直接的に、架橋した樹脂粒子を析出させる方法が挙げられる。
上記のようにして製造された微粒子33の母粒子32への埋設は、従来から知られている方法で行うことができ、例えば、ヘンシェルミキサー等の攪拌機で撹拌する方法や、ハイブリダイザー等の表面改質機で機械的に打ち込む方法等によって行うことができる。
以下、本発明の対象となる情報表示用パネルを構成する各部材について説明する。
基板については、少なくとも一方の基板は情報表示用パネル外側から表示媒体の色が確認できる透明な基板2であり、可視光の透過率が高くかつ耐熱性の良い材料が好適である。基板1は透明でも不透明でもかまわない。基板材料を例示すると、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリイミド、アクリルなどのポリマーシートや、金属シートのように可とう性のあるもの、および、ガラス、石英などの可とう性のない無機シートが挙げられる。基板の厚みは、2〜5000μmが好ましく、さらに5〜2000μmが好適であり、薄すぎると、強度、基板間の間隔均一性を保ちにくくなり、5000μmより厚いと、薄型情報表示用パネルとする場合に不都合がある。
必要に応じて情報表示用パネルに電極を設ける場合の電極形成材料としては、アルミニウム、銀、ニッケル、銅、金等の金属類や酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム、アンチモン錫酸化物(ATO)、亜鉛ドープ酸化インジウム(IZO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、導電性酸化錫、導電性酸化亜鉛等の導電金属酸化物類、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェンなどの導電性高分子類が例示され適宜選択して用いられる。電極の形成方法としては、上記例示の材料をスパッタリング法、真空蒸着法、CVD(化学蒸着)法、塗布法等で薄膜状に形成する方法や、金属箔(例えば圧延銅箔)をラミネートする方法や、導電部材を溶媒や合成樹脂バインダーに混合して塗布したりする方法が用いられる。視認側であり透明である必要のある表示面側基板2に設ける電極は透明である必要があるが、背面側基板1に設ける電極は透明である必要はない。いずれの場合もパターン形成可能で導電性である上記材料を好適に用いることができる。なお、電極厚みは、導電性が確保でき光透過性に支障がなければ良く、0.01〜10μm、好ましくは0.05〜5μmである。背面側基板1に設ける電極の材質や厚みなどは上述した表示面側基板に設ける電極と同様であるが、透明である必要はない。なお、この場合の外部電圧入力は、直流あるいは交流を重畳しても良い。
必要に応じて基板に設ける隔壁4については、その形状は表示にかかわる表示媒体の種類や、配置する電極の形状、配置により適宜最適設定され、一概には限定されないが、隔壁の幅は2〜100μm、好ましくは3〜50μmに、隔壁の高さは10〜500μm、好ましくは10〜200μmに調整される。
情報表示用パネルのフレキシビリティを得るためには隔壁高さが低い方が好ましく、また、低電圧印加で高電界を得るためには隔壁高さが低い方が好ましく、これらの場合には、隔壁の高さを10〜100μm、好ましくは10〜50μmに調整する。
また、隔壁を形成するにあたり、対向する両基板1、2の各々にリブを形成した後に接合する両リブ法、片側の基板上にのみリブを形成する片リブ法が考えられる。この発明では、いずれの方法も好適に用いられる。
これらのリブからなる隔壁により形成されるセルは、図7に示すごとく、基板平面方向からみて四角状、三角状、ライン状、円形状、六角状が例示され、配置としては格子状やハニカム状や網目状が例示される。表示面側から見える隔壁断面部分に相当する部分(セルの枠部の面積)はできるだけ小さくした方が良く、表示の鮮明さが増す。
ここで、隔壁の形成方法を例示すると、金型転写法、スクリーン印刷法、サンドブラスト法、フォトリソ法、アディティブ法が挙げられる。いずれの方法もこの発明の情報表示用パネルに好適に用いることができるが、これらのうち、レジストフィルムを用いるフォトリソ法や金型転写法が好適に用いられる。
情報表示用パネルのフレキシビリティを得るためには隔壁高さが低い方が好ましく、また、低電圧印加で高電界を得るためには隔壁高さが低い方が好ましく、これらの場合には、隔壁の高さを10〜100μm、好ましくは10〜50μmに調整する。
また、隔壁を形成するにあたり、対向する両基板1、2の各々にリブを形成した後に接合する両リブ法、片側の基板上にのみリブを形成する片リブ法が考えられる。この発明では、いずれの方法も好適に用いられる。
これらのリブからなる隔壁により形成されるセルは、図7に示すごとく、基板平面方向からみて四角状、三角状、ライン状、円形状、六角状が例示され、配置としては格子状やハニカム状や網目状が例示される。表示面側から見える隔壁断面部分に相当する部分(セルの枠部の面積)はできるだけ小さくした方が良く、表示の鮮明さが増す。
ここで、隔壁の形成方法を例示すると、金型転写法、スクリーン印刷法、サンドブラスト法、フォトリソ法、アディティブ法が挙げられる。いずれの方法もこの発明の情報表示用パネルに好適に用いることができるが、これらのうち、レジストフィルムを用いるフォトリソ法や金型転写法が好適に用いられる。
次に、本発明の表示媒体用粒子31(以下、粒子ともいう)について説明する。表示媒体用粒子31は、そのまま該表示媒体用粒子31だけで構成して表示媒体としたり、その他の粒子と合わせて構成して表示媒体としたりして用いられる。粒子を主に構成する母粒子32には、その主成分となる樹脂に、必要に応じて、従来と同様に、荷電制御剤、着色剤、無機添加剤等を含ますことができる。以下に、樹脂、荷電制御剤、着色剤、その他添加剤を例示する。
樹脂の例としては、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリルウレタン樹脂、アクリルウレタンシリコーン樹脂、アクリルウレタンフッ素樹脂、アクリルフッ素樹脂、シリコーン樹脂、アクリルシリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレンアクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ブチラール樹脂、塩化ビニリデン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられ、2種以上混合することもできる。特に、基板との付着力を制御する観点から、スチレンアクリル樹脂、アクリル樹脂、アクリルフッ素樹脂、ポリスチレン樹脂が好適である。
正帯電性の荷電制御剤としては、ポリアミン樹脂、3級アミノ基含有共重合体、及び4級アンモニウム塩基含有共重合体等の荷電制御樹脂、イミダゾール化合物、ニグロシン染料、4級アンモニウム塩、並びにトリアミノトリフェニルメタン化合物等を用いることができる。
負帯電性の荷電制御剤としては、スルホン酸基含有共重合体、スルホン酸塩基含有共重合体、カルボン酸基含有共重合体、及びカルボン酸塩基含有共重合体等の荷電制御樹脂、並びにCr、Co、Al、及びFe等の元素記号で表される金属を含有するアゾ染料、サリチル酸金属化合物、並びにアルキルサルチル酸金属酸化物等がある。
上記の荷電制御剤の中でも、荷電制御樹脂を用いることが好ましいし、荷電制御樹脂は、帯電性を付与する官能基の含有量が0.5〜15質量%であることが好ましく、1〜10質量%であることがさらに好ましい。
荷電制御剤としては、特に制限はないが、負荷電制御剤としては例えば、サリチル酸金属錯体、含金属アゾ染料、含金属(金属イオンや金属原子を含む)の油溶性染料、4級アンモニウム塩系化合物、カリックスアレン化合物、含ホウ素化合物(ベンジル酸ホウ素錯体)、ニトロイミダゾール誘導体等が挙げられる。正荷電制御剤としては例えば、ニグロシン染料、トリフェニルメタン系化合物、4級アンモニウム塩系化合物、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体等が挙げられる。その他、超微粒子シリカ、超微粒子酸化チタン、超微粒子アルミナ等の金属酸化物、ピリジン等の含窒素環状化合物及びその誘導体や塩、各種有機顔料、フッ素、塩素、窒素等を含んだ樹脂等も荷電制御剤として用いることもできる。
着色剤としては、以下に例示するような、有機または無機の各種、各色の顔料、染料が使用可能である。
黒色着色剤としては、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、アニリンブラック、活性炭等がある。
青色着色剤としては、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC等がある。
赤色着色剤としては、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウム、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3B、C.I.ピグメントレッド2等がある。
黄色着色剤としては、黄鉛、亜鉛黄、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファーストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、C.I.ピグメントイエロー12等がある。
緑色着色剤としては、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、C.I.ピグメントグリーン7、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンG等がある。
橙色着色剤としては、赤色黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダンスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダンスレンブリリアントオレンジGK、C.I.ピグメントオレンジ31等がある。
紫色着色剤としては、マンガン紫、ファーストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ等がある。
白色着色剤としては、亜鉛華、酸化チタン、アンチモン白、硫化亜鉛等がある。
体質顔料としては、バライト粉、炭酸バリウム、クレー、シリカ、ホワイトカーボン、タルク、アルミナホワイト等がある。また、塩基性、酸性、分散、直接染料等の各種染料として、ニグロシン、メチレンブルー、ローズベンガル、キノリンイエロー、ウルトラマリンブルー等がある。
無機系添加剤の例としては、酸化チタン、亜鉛華、硫化亜鉛、酸化アンチモン、炭酸カルシウム、鉛白、タルク、シリカ、ケイ酸カルシウム、アルミナホワイト、カドミウムイエロー、カドミウムレッド、カドミウムオレンジ、チタンイエロー、紺青、群青、コバルトブルー、コバルトグリーン、コバルトバイオレット、酸化鉄、カーボンブラック、マンガンフェライトブラック、コバルトフェライトブラック、銅粉、アルミニウム粉などが挙げられる。
これらの顔料および無機系添加剤は、単独であるいは複数組み合わせて用いることができる。このうち特に黒色顔料としてカーボンブラックが、白色顔料として酸化チタンが好ましい。
これらの顔料および無機系添加剤は、単独であるいは複数組み合わせて用いることができる。このうち特に黒色顔料としてカーボンブラックが、白色顔料として酸化チタンが好ましい。
また、本発明の表示媒体としての粒子は平均粒子径d(0.5)が、1〜20μmの範囲であり、均一で揃っていることが好ましい。平均粒子径d(0.5)がこの範囲より大きいと表示上の鮮明さに欠け、この範囲より小さいと粒子同士の凝集力が大きくなりすぎるために表示媒体としての移動に支障をきたすようになる。
更に本発明では、各粒子の粒子径分布に関して、下記式に示される粒子径分布Spanを5未満、好ましくは3未満とする。
Span=(d(0.9)−d(0.1))/d(0.5)
(但し、d(0.5)は粒子の50%がこれより大きく、50%がこれより小さいという粒子径をμmで表した数値、d(0.1)はこれ以下の粒子の比率が10%である粒子径をμmで表した数値、d(0.9)はこれ以下の粒子が90%である粒子径をμmで表した数値である。)
Spanを5以下の範囲に収めることにより、各表示媒体用粒子のサイズが揃い、均一な表示媒体としての移動が可能となる。
Span=(d(0.9)−d(0.1))/d(0.5)
(但し、d(0.5)は粒子の50%がこれより大きく、50%がこれより小さいという粒子径をμmで表した数値、d(0.1)はこれ以下の粒子の比率が10%である粒子径をμmで表した数値、d(0.9)はこれ以下の粒子が90%である粒子径をμmで表した数値である。)
Spanを5以下の範囲に収めることにより、各表示媒体用粒子のサイズが揃い、均一な表示媒体としての移動が可能となる。
さらにまた、複数の表示媒体を使用する場合には、使用した表示媒体を構成する表示媒体用粒子の内、最大の平均粒子径d(0.5)を示す表示媒体用粒子のd(0.5)に対する最小の平均粒子径d(0.5)を示す表示媒体用粒子のd(0.5)の比を10以下とすることが肝要である。たとえ粒子径分布Spanを小さくしたとしても、互いに帯電特性の異なる表示媒体用粒子が互いに反対方向に動くので、互いの表示媒体用粒子サイズが近く、互いの表示媒体用粒子が当量ずつ反対方向に容易に移動できるようにするのが好適であり、それがこの範囲となる。
なお、上記の粒子径分布および粒子径は、レーザー回折/散乱法などから求めることができる。測定対象となる粒子にレーザー光を照射すると空間的に回折/散乱光の光強度分布パターンが生じ、この光強度パターンは粒子径と対応関係があることから、粒子径および粒子径分布が測定できる。ここで、本発明における粒子径および粒子径分布は、体積基準分布から得られたものである。具体的には、Mastersizer2000(Malvern Instruments Ltd.)測定機を用いて、窒素気流中に粒子を投入し、付属の解析ソフト(Mie理論を用いた体積基準分布を基本としたソフト)にて、粒子径および粒子径分布の測定を行なうことができる。
表示媒体用粒子の帯電量は当然その測定条件に依存するが、情報表示用パネルにおける表示媒体用粒子の帯電量はほぼ、初期帯電量、隔壁との接触、基板との接触、経過時間に伴う電荷減衰に依存し、特に表示媒体用粒子の帯電挙動の飽和値が支配因子となっているということが分かった。
本発明者らは鋭意検討の結果、ブローオフ法において同一のキャリア粒子を用いて、表示媒体用粒子の帯電量測定を行うことにより、表示媒体用粒子の適正な帯電特性値の範囲を評価できることを見出した。
更に、表示媒体用粒子で構成する表示媒体を気体中空間で駆動させる方式の情報表示用パネルに適用する場合には、基板間の表示媒体を取り巻く空隙部分の気体の管理が重要であり、表示安定性向上に寄与する。具体的には、空隙部分の気体の湿度について、25℃における相対湿度を60%RH以下、好ましくは50%RH以下とすることが重要である。この空隙部分とは、図1(a)、(b)〜図3(a)、(b)において、対向する基板1、基板2に挟まれる部分から、電極5、6(電極を基板の内側に設けた場合)、表示媒体3の占有部分、隔壁4の占有部分(隔壁を設けた場合)、情報表示用パネルシール部分を除いた、いわゆる表示媒体が接する気体部分を指すものとする。
空隙部分の気体は、先に述べた湿度領域であれば、その種類は問わないが、乾燥空気、乾燥窒素、乾燥アルゴン、乾燥ヘリウム、乾燥二酸化炭素、乾燥メタンなどが好適である。この気体は、その湿度が保持されるように情報表示用パネルに封入することが必要であり、例えば、表示媒体の充填、情報表示用パネルの組み立てなどを所定湿度環境下にて行い、さらに、外からの湿度侵入を防ぐシール材、シール方法を施すことが肝要である。
情報表示用パネルにおける基板と基板との間隔は、表示媒体が移動できて、コントラストを維持できればよいが、帯電性粒子を含んだ粒子群として構成した表示媒体を気体中空間で駆動させる場合には、通常10〜100μm、好ましくは10〜50μmに調整される。対向する基板間の気体中空間における表示媒体の体積占有率は5〜70%が好ましく、さらに好ましくは5〜60%である。70%を超える場合には表示媒体の移動に支障をきたし、5%未満の場合にはコントラストが不明確となり易い。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
実施例および比較例の情報表示用パネルは、下記の方法にて作製したものを、下記の基準に従い、評価した。
<実施例1>
負帯電性母粒子としてシクロオレフィン樹脂(ゼオネックス330R:日本ゼオン(株)製)100質量部と、二酸化チタン(タイペークCR-90:石原産業(株)製)80質量部とを2軸混練機により溶融混練し、ジェットミル(ラボジェットミルIDS-LJ型:日本ニューマチック工業(株)製)で細かく粉砕し、分級機(MDS-2:日本ニュ−マチック工業(株)製)を用いて分級し、溶融球状化装置(MR-10:日本ニュ−マチック工業(株)製)を用いて溶融球状化し平均粒子径R0が8.2μmの負帯電性母粒子Aを得た。
負帯電性母粒子としてシクロオレフィン樹脂(ゼオネックス330R:日本ゼオン(株)製)100質量部と、二酸化チタン(タイペークCR-90:石原産業(株)製)80質量部とを2軸混練機により溶融混練し、ジェットミル(ラボジェットミルIDS-LJ型:日本ニューマチック工業(株)製)で細かく粉砕し、分級機(MDS-2:日本ニュ−マチック工業(株)製)を用いて分級し、溶融球状化装置(MR-10:日本ニュ−マチック工業(株)製)を用いて溶融球状化し平均粒子径R0が8.2μmの負帯電性母粒子Aを得た。
予め、ポリビニルブチラール(エスレックBL-1H:積水化学工業(株)製)に、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸) (V-501:和光純薬工業(株)製)を10質量%グラフトさせることにより、反応性ポリビニルブチラール(PVB1)を作製した。次いで、エタノール(関東化学(株)製)48ml中に上記PVB1 0.04gを溶解させ、さらにPVB1の貧溶媒であるn-ヘキサン(関東化学(株)製)320mlをゆっくりと滴下させて、PVB1粒子を析出させ、次に80℃の温度をかけてアゾ基によるPVB1の架橋を行い、負帯電性微粒子aを得た。この微粒子aを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、30個の粒子について粒子径を測定したところ、平均粒子径は250nmであった。また、この微粒子bの帯電量を測定した。帯電量は、一般的なブローオフ法に基づいて測定した。すなわち、測定装置としてブローオフ方式帯電量測定機(京セラケミカル社製、TB−203)を用いて、メッシュアパーチャ:32(μm)、フロー圧/サクション圧:4.5(kPa)/9.5(kPa)、キャリア:F96−80(パウダーテック社製)、サンプル/キャリア配合質量比:1/100、振とう回数:120回の条件で測定した。測定の結果、この微粒子bの帯電量は-25.0μC/gで負帯電を示した。
次に、上記負帯電性母粒子A 95質量部と上記負帯電性微粒子a 5質量部とをメカノフュージョン装置(ホソカワミクロン(株)製)にて回転数4000rpm、運転時間90分で複合化させ、複合粒子Aaを得た。この粒子Aaを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、母粒子の表面全体がPVB1粒子により被覆され、表面凹凸が確認された。また、この粒子Aaの帯電量を上記と同様の方法で測定したところ、-11.5μC/gで表示媒体用粒子として適正な値であった。
次に、この粒子Aaに、シリカ微粒子(H3004:クラリアントジャパン(株)製)を2質量%添加し、ヘンシェルミキサー(KM5C:三井金属鉱山(株)製)にて攪拌し、負帯電性白色粒子Aa1を得た。
正帯電性母粒子としては、メチルメタクリレ−ト(関東化学(株)製)65質量部及び1分子中に重合反応基を複数持つ多官能性モノマ−としてエチレングリコ−ルジメタクリレ−ト(和光純薬工業(株)製)35質量部に、正帯電性を付与する荷電制御剤としてニグロシン化合物(ボントロンN07:オリエント化学(株)製)3質量部及び黒色着色剤としてカ−ボンブラック(スペシャルブラック5:デグッサ(株)製)5質量部をサンドミルにより分散させた後、さらに重合の開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(V-60:和光純薬工業(株)製)2質量部を溶解させた液を、界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキルエ−テル硫酸ナトリウム(ラテムルE-118B:花王(株)製)を0.5%添加した精製水に懸濁、重合させ、濾過、乾燥させた後、分級機(MDS-2:日本ニュ−マチック工業(株)製)を用いて分級を行い、平均粒子径9.1μmの正帯電性母粒子Bを得た。この粒子Bの帯電量を上記と同様の方法で測定したところ、+22.0μC/gで表示媒体用粒子として適正な値であった。次に、この粒子Bに、シリカ微粒子(H3050:クラリアントジャパン(株)製)を2質量%添加し、ヘンシェルミキサー(KM5C:三井金属鉱山(株)製)にて攪拌し、正帯電性黒色粒子B2を得た。
上記白色粒子Aa1と黒色粒子B2とを当容積量混合攪拌して摩擦帯電を行い、100μmのスペ−サ−を介して配置された、一方が内側ITO処理され電源に接続されたガラス基板と、もう一方が銅基板であるセル中に体積占有率30%で充填し、テスト表示用パネルを得た。ITOガラス基板、銅基板それぞれを電源に接続し、ITOガラス基板を低電位に、銅基板を高電位となる様に直流電圧をかけると、黒色粒子は低電位極側に、白色粒子は高電位極側にそれぞれ移動する。ここで黒色粒子は正帯電、白色粒子が負帯電であるので、ガラス基板を通して黒色の表示状態が観察され、次に印可電圧の電位を逆にすると、粒子はそれぞれ逆方向に移動して、白色の表示状態が観察される。印加電圧を+200[V]から-200[V]に切り替えて印加した時の白表示時反射率と黒表示時反射率の比をコントラスト比とし、このテスト表示用パネルの初期のコントラスト比は、8.8であった。さらに、-200V(低電位)から+200V(高電位)への切り替えを1kHzで500万回繰り返して表示書き換えを行った後のコントラスト比は8.5でほとんど変化がなかった。このパネルを分解して、内部の白色粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、表面の微粒子が埋め込まれず、母粒子表面の被覆が保持されていることが確認された。次に、同様に作製したテスト表示用パネルを40℃のオーブンに2週間放置し、コントラスト比を測定したところ8.7とほとんど変化がなかった。
<実施例2>
予め、ポリビニルブチラール(エスレックBL-1H:積水化学工業(株)製)に、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸) (V-501:和光純薬工業(株)製)を20質量%グラフトさせることにより、反応性ポリビニルブチラール(PVB2)を作製した。次いで、エタノール(関東化学(株)製)48ml中に上記PVB2 0.04gを溶解させ、さらにPVB2の貧溶媒であるn-ヘキサン(関東化学(株)製)320mlをゆっくりと滴下させて、PVB2粒子を析出させ、次に80℃の温度をかけてアゾ基によるPVB2の架橋を行い、負帯電性微粒子bを得た。この微粒子bを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、30個の粒子について粒子径を測定したところ、平均粒子径R0は240nmであった。また、この微粒子bの帯電量を上記と同様の方法で測定したところ、-29.2μC/gで負帯電を示した。
予め、ポリビニルブチラール(エスレックBL-1H:積水化学工業(株)製)に、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸) (V-501:和光純薬工業(株)製)を20質量%グラフトさせることにより、反応性ポリビニルブチラール(PVB2)を作製した。次いで、エタノール(関東化学(株)製)48ml中に上記PVB2 0.04gを溶解させ、さらにPVB2の貧溶媒であるn-ヘキサン(関東化学(株)製)320mlをゆっくりと滴下させて、PVB2粒子を析出させ、次に80℃の温度をかけてアゾ基によるPVB2の架橋を行い、負帯電性微粒子bを得た。この微粒子bを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、30個の粒子について粒子径を測定したところ、平均粒子径R0は240nmであった。また、この微粒子bの帯電量を上記と同様の方法で測定したところ、-29.2μC/gで負帯電を示した。
次に、上記負帯電性母粒子A 95質量部と上記負帯電性微粒子b 5質量部とをメカノフュージョン装置(ホソカワミクロン(株)製)にて回転数4000rpm、運転時間90分で複合化させ、複合粒子Abを得た。この粒子Abを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、母粒子の表面全体がPVB2粒子により被覆され、表面凹凸が確認された。また、この粒子Abの帯電量を上記と同様の方法で測定したところ、-13.1μC/gで表示媒体用粒子として適正な値であった。
次に、この粒子Abに、シリカ微粒子(H3004:クラリアントジャパン(株)製)を2質量%添加し、ヘンシェルミキサー(KM5C:三井金属鉱山(株)製)にて攪拌し、負帯電性白色粒子Ab1を得た。
正帯電性黒色粒子としては、上記B2を使用した。上記白色粒子Ab1と黒色粒子B2とを用いて、実施例1と同様にテスト表示用パネルを作製し、評価を行ったところ、初期のコントラスト比は9.0であった。また、前述と同条件で繰り返し表示書き換えを行った後のコントラスト比は8.6でほとんど変化がなかった。このパネルを分解して、内部の白色粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、表面の微粒子が埋め込まれず、母粒子表面の被覆が保持されていることが確認された。次に、同様に作製したテスト表示用パネルを40℃のオーブンに2週間放置し、コントラスト比を測定したところ8.8とほとんど変化がなかった。
<実施例3>
正帯電性母粒子としてシクロオレフィン樹脂(ゼオネックス330R:日本ゼオン(株)製)100質量部と、カ−ボンブラック(スペシャルブラック5:デグッサ(株)製)5質量部とを2軸混練機により溶融混練し、ジェットミル(ラボジェットミルIDS-LJ型:日本ニューマチック工業(株)製)で細かく粉砕し、分級機(MDS-2:日本ニュ−マチック工業(株)製)を用いて分級し、溶融球状化装置(MR-10:日本ニュ−マチック工業(株)製)を用いて溶融球状化し平均粒子径R0が8.8μmの正帯電性母粒子Cを得た。
正帯電性母粒子としてシクロオレフィン樹脂(ゼオネックス330R:日本ゼオン(株)製)100質量部と、カ−ボンブラック(スペシャルブラック5:デグッサ(株)製)5質量部とを2軸混練機により溶融混練し、ジェットミル(ラボジェットミルIDS-LJ型:日本ニューマチック工業(株)製)で細かく粉砕し、分級機(MDS-2:日本ニュ−マチック工業(株)製)を用いて分級し、溶融球状化装置(MR-10:日本ニュ−マチック工業(株)製)を用いて溶融球状化し平均粒子径R0が8.8μmの正帯電性母粒子Cを得た。
次に、酢酸0.30gを加えたメラミンプレポリマー(スミテックスレジンM3:住友化学株(製))の1.5%水溶液50mLを攪拌しながら80℃で2時間反応させ、予備架橋させた後、精製水50gで希釈し、遠心沈降により分離し、沈降した粒子を120℃で2時間乾燥・硬化処理を行い、正帯電性微粒子cを得た。この微粒子cを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、30個の粒子について粒子径を測定したところ、平均粒子径R0は240nmであった。また、この微粒子cの帯電量を上記と同様の方法で測定したところ、40.0μC/gで正帯電を示した。
次に、上記正帯電性母粒子C 95質量部と上記正帯電性微粒子c 5質量部とをメカノフュージョン装置(ホソカワミクロン(株)製)にて回転数4000rpm、運転時間90分で複合化させ、複合粒子Ccを得た。この粒子Ccを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、母粒子の表面全体がメラミン粒子により被覆され、表面凹凸が確認された。また、この粒子Ccの帯電量を上記と同様の方法で測定したところ、20.8μC/gで表示媒体用粒子として適正な値であった。
次に、この粒子Ccに、シリカ微粒子(H3050:クラリアントジャパン(株)製)を2質量%添加し、ヘンシェルミキサー(KM5C:三井金属鉱山(株)製)にて攪拌し、正帯電性黒色粒子Cc2を得た。
負帯電性白色粒子としては上記Aa1を使用した。上記白色粒子Aa1と上記黒色粒子Cc2とを用いて、実施例1と同様にテスト表示用パネルを作製し、評価を行ったところ、初期のコントラスト比は8.9であった。また、前述と同条件で繰り返し表示書き換えを行った後のコントラスト比は8.7でほとんど変化がなかった。このパネルを分解して、内部の黒色粒子をSEMで観察したところ、表面の微粒子が埋め込まれず、母粒子表面の被覆が保持されていることが確認された。次に、同様に作製したテスト表示用パネルを40℃のオーブンに2週間放置し、コントラスト比を測定したところ8.6とほとんど変化がなかった。
<比較例1>
上記負帯電性母粒子A 95質量部と、ゾル−ゲル粒子(シーホスターKE-S30:(株)日本触媒製)をアルキルシラン処理して負帯電性をもたせた微粒子d 5質量部とをメカノフュージョン装置(ホソカワミクロン(株)製)にて回転数4000rpm、運転時間90分で複合化させ、複合粒子Adを得た。この粒子Adを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、母粒子の表面全体に微粒子が埋め込まれ、表面凹凸が確認された。また、この粒子Adの帯電量を上記と同様の方法で測定したところ、-15.0μC/gで表示媒体用粒子として適正な値であった。
上記負帯電性母粒子A 95質量部と、ゾル−ゲル粒子(シーホスターKE-S30:(株)日本触媒製)をアルキルシラン処理して負帯電性をもたせた微粒子d 5質量部とをメカノフュージョン装置(ホソカワミクロン(株)製)にて回転数4000rpm、運転時間90分で複合化させ、複合粒子Adを得た。この粒子Adを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、母粒子の表面全体に微粒子が埋め込まれ、表面凹凸が確認された。また、この粒子Adの帯電量を上記と同様の方法で測定したところ、-15.0μC/gで表示媒体用粒子として適正な値であった。
次に、この粒子Adに、気相法で作製されたシリカ微粒子(H3004:クラリアントジャパン(株)製)を2質量%添加し、ヘンシェルミキサー(KM5C:三井金属鉱山(株)製)にて攪拌し、負帯電性白色粒子Ad1を得た。
正帯電性黒色粒子としては、上記B2を使用した。上記白色粒子Ad1と黒色粒子B2とを用いて、実施例1と同様にテスト表示用パネルを作製し、評価を行ったところ、初期のコントラスト比は8.6であった。また、前述と同条件で繰り返し表示書き換えを行った後のコントラスト比は8.3でほとんど変化がなかった。このパネルを分解して、内部の白色粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、表面の子粒子が埋め込まれず、母粒子表面の被覆が保持されていることが確認された。しかし、同様に作製されたテスト表示用パネルを40℃のオーブンに2週間放置し、コントラスト比を測定したところ、4.8で悪化してしまった。これは、経時により粒子の帯電量が低下してしまったためと推測される。
<比較例2>
上記負帯電性母粒子Aに微粒子を埋め込まず、シリカ微粒子(H3004:クラリアントジャパン(株)製)を2質量%添加し、ヘンシェルミキサー(KM5C:三井金属鉱山(株)製)にて攪拌し、負帯電性白色粒子A1を得た。
上記負帯電性母粒子Aに微粒子を埋め込まず、シリカ微粒子(H3004:クラリアントジャパン(株)製)を2質量%添加し、ヘンシェルミキサー(KM5C:三井金属鉱山(株)製)にて攪拌し、負帯電性白色粒子A1を得た。
正帯電性黒色粒子としては、上記B2を使用した。上記白色粒子A1と黒色粒子B2とを用いて、実施例1と同様にテスト表示用パネルを作製し、評価を行ったところ、初期のコントラスト比は8.8であった。しかし前述と同条件で繰り返し表示書き換えを行った時のコントラスト比は3.7で悪化してしまった。このパネルを分解して、内部の白色粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、粒子表面のシリカ微粒子が粒子内部に埋まってしまい、表面が平滑になっていることが確認された。但し、同様に作製したテスト表示用パネルを40℃のオーブンに2週間放置し、コントラスト比を測定したところ8.7とほとんど変化がなかった。
<比較例3>
PVB1の代わりに4,4’−アゾビス(4-シアノペンタン酸) (V-501:和光純薬工業(株)製)をグラフトさせていないポリビニルブチラール(エスレックBL-1H :積水化学工業(株)製)(PVB0)を用い、80℃の架橋工程を除いた以外は実施例1と同様にして、負帯電性微粒子eを得た。この微粒子eを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、30個の粒子について粒子径を測定したところ、平均粒子径R0が260nmであった。また、この微粒子eの帯電量を上記と同様の方法で測定したところ、-20.5μC/gで負帯電を示した。
PVB1の代わりに4,4’−アゾビス(4-シアノペンタン酸) (V-501:和光純薬工業(株)製)をグラフトさせていないポリビニルブチラール(エスレックBL-1H :積水化学工業(株)製)(PVB0)を用い、80℃の架橋工程を除いた以外は実施例1と同様にして、負帯電性微粒子eを得た。この微粒子eを走査型電子顕微鏡(SEM)で観察し、30個の粒子について粒子径を測定したところ、平均粒子径R0が260nmであった。また、この微粒子eの帯電量を上記と同様の方法で測定したところ、-20.5μC/gで負帯電を示した。
次に、上記負帯電性母粒子A 95質量部と上記負帯電性微粒子e 5質量部とをメカノフュージョン装置(ホソカワミクロン(株)製)にて回転数4000rpm、運転時間90分で複合化させることを試みたが、微粒子eを構成する樹脂が未架橋であるため、複合化中に融着が起きてしまい、複合化粒子が得られなかった。
以上の結果をまとめて表1に示す。表示特性の評価結果については、良好な表示特性が得られたものを(○)、良好な表示特性が得られなかったものを(×)、表示特性の評価を実施できなかったものを(−)として示した。
本発明の対象となる情報表示用パネルは、ノートパソコン、PDA、携帯電話、ハンディターミナル等のモバイル機器の表示部、電子書籍、電子新聞等の電子ペーパー、看板、ポスター、黒板等の掲示板、電卓、家電製品、自動車用品等の表示部、ポイントカード、ICカード等のカード表示部、電子広告、電子POP、電子値札、電子棚札、電子楽譜、RF−ID機器の表示部のほか、外部電界形成手段を用いて表示書き換えを行う表示部(いわゆるリライタブルペーパー)などに好適に用いられる。
1、2 基板
3 表示媒体(粒子群)
3W 白色表示媒体
3Wa 白色表示媒体用粒子
3B 黒色表示媒体
3Ba 黒色表示媒体用粒子
4 隔壁
5、6 電極
7 黒色板
11、12 外部電界形成手段
13、14 導電部材
21−1 第1のセル
21−2 第2のセル
21−3 第3のセル
22R 赤色カラーフィルター
22G 緑色カラーフィルター
22BL 青色カラーフィルター
31 表示媒体用粒子
32 母粒子
33 子粒子
3 表示媒体(粒子群)
3W 白色表示媒体
3Wa 白色表示媒体用粒子
3B 黒色表示媒体
3Ba 黒色表示媒体用粒子
4 隔壁
5、6 電極
7 黒色板
11、12 外部電界形成手段
13、14 導電部材
21−1 第1のセル
21−2 第2のセル
21−3 第3のセル
22R 赤色カラーフィルター
22G 緑色カラーフィルター
22BL 青色カラーフィルター
31 表示媒体用粒子
32 母粒子
33 子粒子
Claims (3)
- 少なくとも一方が透明な対向する2枚の基板間に光学的反射率および帯電性を有する表示媒体を封入し、表示媒体に電界を付与することによって、表示媒体を移動させて画像等の情報を表示する情報表示用パネルに用いる表示媒体を構成する表示媒体用粒子であって、
溶液中で架橋性樹脂を析出させた後に架橋させることによって得られた微粒子を母粒子表面に埋設してなることを特徴とする表示媒体用粒子。 - 前記架橋性樹脂が、アゾ基を有するポリビニルブチラールであることを特徴とする請求項1記載の表示媒体用粒子。
- 請求項1又は2に記載の表示媒体用粒子を表示媒体として用いたことを特徴とする情報表示用パネル。
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