JP2009139561A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】塗工層が設けられた記録媒体において発生しやすいトーンジャンプや細線の途切れなどの画質劣化の発生を抑制することができる。
【解決手段】従来知られた画像処理によってトナー像の濃度を補正すると、種々の画質劣化が生じてしまうため、画像形成装置の各部の駆動状態をコントロールすることにより、トナー像の濃度を補正する。普通紙およびコート紙に画像を形成するときのトナー重量と濃度との関係においては、同じ重量のトナーを用いた場合、コート紙の方がトナー像の濃度が高くなる。そこで、矢印R2で示したように、トナーの面積率100%における濃度を一致させるよう、コート紙の使用時のトナー重量をM1からM2に減じることによって、各記録用紙でのトナー像の濃度を一致させる。これを実現するために、露光量や、感光体ドラムの帯電電位、現像バイアスの電位、1次転写器に供給する1次転写電流等を、記録用紙の種別に応じて制御する。
【選択図】図5

Description

本発明は、画像を形成する画像形成装置に関する。
電子写真方式の画像形成装置では、所定の電位に帯電された感光体に光を照射して露光することにより静電潜像を形成し、現像ロールに印加する現像バイアスとの電位差により、静電潜像を現像剤で現像する、というプロセスを実行する。ところが、感光体に形成されたトナー像を用紙などの記録媒体に転写すると、記録媒体の種別によってトナー像の濃度が異なる。これは、記録媒体の材質や表面粗さ、厚み等によるものである。例えば、パルプ繊維状の材質からなる普通紙と、記録面にカオリンや炭酸カルシウムなどによる塗工層が形成された記録用紙(いわゆるコート紙)とを比較した場合、同じ階調値の画像データに基づいて画像を形成したとしても、コート紙に形成した画像の方が普通紙上の画像よりも高濃度になりやすい。このように記録用紙の種別によって色再現性に差異が生じないように、例えば特許文献1には、用紙の種別に応じたICC(International Color Consortium)カラープロファイルデータを用いたり、階調補正を行うことにより、色再現性を補正することが開示されている。
特開平6−62249号公報
特許文献1に記載された技術は、色再現性が普通紙とコート紙とにおいて、いわゆるオフセット印刷(ジャパンカラー等)の色再現に一致するように画像データの階調値を補正するものである。したがって、低濃度域においてトナーの面積率(単位面積当たりの記録用紙(媒体)に対するトナーの被覆率)の変化量に対する濃度変化量が大きく、高濃度域においてトナーの面積率に対する濃度変化量が小さくなる傾向(いわゆる、ハイガンマ特性)を示すコート紙を使用した場合に、この関係が全濃度域で略線形変化する普通紙に比べて、トーンジャンプが発生しやすい。また、普通紙に比べて高濃度な像が再現されるコート紙においては、入力される画像信号が表すベタ画像部(面積率が100%)が、いわゆるラインスクリーン等の中間調で表現され、普通紙を使用した場合と画像の質感が異なってしまうという問題があるし、文字や細線が途切れるという画質劣化も発生する。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、塗工層が設けられた記録媒体において発生しやすいトーンジャンプや細線の途切れなどの画質劣化を抑制することにある。
上述した課題を解決するため、本発明は、像保持体を帯電させ、帯電した像保持体に対して画像データに応じた光を照射して静電潜像を形成し、色材を含む現像剤によって当該静電潜像を現像し、現像された像を記録媒体の記録面に転写して定着させる画像形成手段と、前記像が転写される記録媒体が、その記録面に塗工層が設けられている記録媒体であるか又は当該塗工層が設けられていない記録媒体であるかを検知する検知手段と、前記検知手段によって前記塗工層が設けられていると検知された前記記録媒体の記録面に対し画像データに応じた画像を形成する場合には、当該塗工層が設けられている記録面に形成される画像の濃度と、前記塗工層が設けられていない記録面に画像を形成するとした場合の当該画像の濃度との差が小さくなるように、前記塗工層が設けられている記録面に転写する前記色材の量を減じさせて前記画像形成手段に前記画像を形成させる制御手段とを備えることを特徴とする画像形成装置を提供する。
本発明の画像形成装置において、前記制御手段は、前記画像形成手段が前記像保持体の表面に照射する光の強度を小さくすることにより、前記塗工層が設けられている記録面に転写する前記色材の量を減じさせることを特徴とする、また、前記制御手段は、前記画像形成手段が前記像保持体の表面を帯電させるときの帯電電位と現像剤によって静電潜像を現像するときの現像電位との電位差を小さくするよう、前記帯電電位および前記現像電位の少なくとも一方を制御することにより、前記塗工層が設けられている記録面に転写する前記色材の量を減じさせるようにしてもよい。また、前記制御手段は、前記画像形成手段が前記トナー像を前記記録面に転写させるときに用いる転写電流を小さくすることにより、前記塗工層が設けられている記録面に転写する前記色材の量を減じさせるようにしてもよい。
また、本発明の画像形成装置において、前記制御手段は、前記画像形成手段が前記現像された像を前記記録面に定着させるときの定着温度、定着速度または定着圧力のうちの少なくともいずれかを、前記減じさせた色材の量に応じて制御することが好ましい。
本発明によれば、塗工層が設けられた記録媒体において発生しやすいトーンジャンプや細線の途切れなどの画質劣化の発生を抑制することができる。
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を説明する。
(1)装置構成
図1は、本発明の一実施形態である画像形成装置1の構成を示す図である。画像形成装置1は、テスト画像信号発生回路11と、選択器12と、画像読取部20と、画像入力装置30と、UI(User Interface)部40と、画像形成部50と、プロセスコントロール部60とを備える。
テスト画像信号発生回路11は、予め決められたテスト画像を表すテスト画像信号を発生させるためのデータを記憶しており、発生したテスト画像信号を選択器12に供給する。このテスト画像について詳しくは後述する。選択器12は、テスト画像信号発生回路11から取得したテスト画像信号、または、画像入力装置30から取得した画像信号のいずれか一方を選択して画像形成部50に出力する。選択器12は、画像形成部50によって形成されるトナー像の基となる画像信号を出力することになる。
画像読取部20は、所謂スキャナであり、図示せぬ光源、結像レンズおよびラインセンサを有する。光源は、原稿等の被撮像物に光を照射する。結像レンズは、被撮像物からの反射光をラインセンサの位置に結像する。ラインセンサは、結像された光を受光し、その光に応じた画像信号を生成して出力する。このラインセンサは、R(レッド)、G(グリーン)、B(ブルー)の3色にて撮像可能な撮像素子を備え、これら3色の画像信号を生成する。そして、画像読取部20は、上記画像信号に対してA/D変換処理を施し、これを読取信号としてプロセスコントロール部60に出力する。
画像入力装置30は、LAN(Local Area Network)等のネットワークを介して、図示せぬコンピュータ等の外部装置から画像を形成するために与えられた画像信号を受信することにより、画像形成装置1に画像信号を入力する。この画像信号は、画像形成部50が形成するトナーの色に対応しており、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の4色の色成分に分けられた各画素の階調値を含んでいる。UI部40は、ユーザによる操作入力を受け付けるとともに、ユーザに対する表示を含む報知が可能なタッチパネル等のユーザインタフェースである。この画像形成装置1によって画像が形成される記録用紙には、パルプ繊維からなる記録用紙(以下、「普通紙」という)と、この普通紙の記録面に塗工層が設けられた「コート紙」とがある。「塗工層」や各記録用紙について詳しくは後述する。また、普通紙は、コート紙と比べると、安価で使用頻度が高い。
ユーザがUI部40を操作することによりトナー像を形成する記録用紙(記録媒体)の種別を指示すると、UI部40はこの記録用紙の種別を表す用紙種別信号をプロセスコントロール部60に出力する。
画像形成部50は、選択器12から供給された画像信号に応じた画像を記録用紙に形成するものであり、給紙トレイ51と、画像形成エンジン52と、中間転写ベルト55と、2次転写器56、定着器57とを備える。給紙トレイ51は、給紙トレイ51a,51b,51cからなり、それぞれにA4などの所定サイズにカットされた複数枚の記録用紙を収容し、収容された用紙は給紙トレイ51から一枚ずつピッキングされ、2次転写器56、定着器57を経由して排紙口へと繋がる用紙搬送路600上を順次搬送されるようになっている。ここでは、給紙トレイ51aには「普通紙」が収容され、給紙トレイ51bには「コート紙」が収容され、給紙トレイ51cには異なる種別の記録用紙が収容されている。画像形成エンジン52は、C、M、Y、Kの各色の画像信号に応じたトナー像を中間転写ベルト55へ形成する。
ここで、図2は、画像形成部50(主に画像形成エンジン52)およびプロセスコントロール部60の詳細な構成と、その周辺の構成とを示した図である。プロセスコントロール部60は、画像形成部50の駆動状態をコントロール(プロセスコントロール)するために、その駆動状態を決定付ける各種物理量(以下、「制御パラメータ」という)として好適な値を求める。なお、画像形成エンジン52が有するC,M,Y,Kの各色のトナー像を形成するための機構はそれぞれ同じ構成であるから、以下では、そのうちの1つの機構のみを図示して説明する。
画像形成エンジン52は、周回する感光体ドラム501を取り囲むように備えられた、帯電器502、電位センサ503、露光器504、現像器505、1次転写器506、トナー濃度センサ508、クリーナ509、レーザードライバ510、帯電器電源511、現像バイアス電源512、温度センサ513及び環境センサ514を備える。
感光体ドラム501は、例えば導体基板上に電荷受容体としてOPC(Organic Photo Conductor:有機光導電体)からなる電荷発生層や電荷輸送層を含む2層ないし3層の光導電層が積層されることによって形成された像保持体である。感光体ドラム501は、図示せぬ駆動機構によってその中心軸を中心として図に示す矢印Aの方向(時計周り方向)へ回転させられる。帯電器502は、感光体ドラム501の表面を一様に帯電させる一次帯電用のスコロトロンであり、感光体ドラム501の表面を所定の帯電電位に帯電させる。電位センサ503は、矢印A方向に対して帯電器502の帯電位置よりも下流側、且つ、現像器505の現像位置よりも上流側の感光体ドラム501の表面電位を検知するセンサであり、検知した表面電位を示す表面電位信号をプロセスコントロール部60へ出力する。
露光器504は、ポリゴンミラーに向けてレーザー光を照射し、その反射光を感光体ドラム501の表面に照射することにより、光導電性により感光体ドラム501の表面電位を所定の電位まで低下させて静電潜像を形成する。現像器505は、現像剤に含まれているトナー(色材)を用いて静電潜像を現像する。このとき、現像器505は、プロセスコントロール部60による制御に応じた量のトナーを供給する。なお、露光光の走査方向は、感光体ドラムの軸方向と等しく、この方向を画像形成部50の「主走査方向」という。そして、この主走査方向と直交する方向を画像形成部50の「副走査方向」という。
1次転写器506は、感光体ドラム501の表面に形成されたトナー像が、その感光体ドラム501の回転に伴って、自身と感光体ドラム501とが中間転写ベルト55を挟む位置(転写位置)に到達すると、そのトナー像を中間転写ベルト55に転写する。具体的には、1次転写器506にはプロセスコントロール部60が求めた制御パラメータに応じた大きさの1次転写電流が供給され、それに応じた電位(転写電位)に帯電された主動ロールと、感光体ドラム501との電位差によって静電力が発生し、その静電力の作用でトナー像が転写される。
トナー濃度センサ508は、トナー像が形成された感光体ドラム501の表面に検出光を照射し、その反射光の光量に応じてトナー像の濃度を検出して、検出したトナー像の濃度を表す信号を出力する。ここでは、「濃度」とは光学濃度のことであり、トナー濃度センサ508は下記式(1)の演算を行うことによってトナー像の濃度Dを算出する。
D=−log(I/Io)・・・(1)
ただし、Ioは、トナー濃度センサ508が照射する検出光の光量であり、Iは、トナー濃度センサ508が受光する反射光の光量である。
クリーナ509は、感光体ドラム501の表面の残留トナーや紙粉を除去する。レーザードライバ510は、プロセスコントロール部60が求めた制御パラメータに応じて、露光器504が照射する光の強度(露光量)を制御し、感光体ドラム501の表面に静電潜像を形成する。帯電器電源511は、帯電器502に感光体ドラム501を帯電させるための電力を供給する。現像バイアス電源512は、現像器505の現像ロールに現像バイアスを印加させるための電力を供給する。これらの帯電器502及び現像器505に供給される電力の量は、プロセスコントロール部60が求めた制御パラメータに応じた量である。温度センサ513は、定着器57の周囲に設置され、検出した温度を表す信号を、プロセスコントロール部60に出力する。環境センサ514は、画像形成装置1内の温湿度を検出してその検出値を示す温湿度信号をプロセスコントロール部60へ出力する。
ここで図1に戻って説明する。
2次転写器56は、画像形成エンジン52により各色のトナー像が重畳形成された中間転写ベルト55のベルト面と、給紙トレイ51から用紙搬送路600経由で搬送されてくる用紙とが、自身の転写位置に到達すると、主動ロールの作用によってトナー像を中間転写ベルト55から記録用紙へと転写する。定着器57は、記録用紙に転写されたトナー像を定着する。具体的には、定着器57は、内部に加熱源を持つ加熱ロールと加圧ロールの周面同士で用紙搬送路600を挟み込むことによって接触領域を形成している。2次転写器56によるトナー像の転写を経た記録用紙がこの転写位置へ移動させられると、定着器57は、加熱ロールによる加熱作用と加圧ロールによる加圧作用とによってトナー像を記録用紙に定着する。
以上が、画像形成部50の構成である。
続いて、再び図2を参照して、プロセスコントロール部60の構成について説明する。
プロセスコントロール部60は、ドットカウンタ601、パッチ信号生成部602、信号セレクタ603、電位制御コントローラ604、電位パラメータ決定部605、現像制御コントローラ606、転写制御コントローラ607および定着制御コントローラ608を備える。
ドットカウンタ601は、画像入力装置30から取得した画像信号に基づいて、露光器504が感光体ドラム501の表面に静電潜像を形成するときのドット数を計数する。ドットカウンタ601は、計数したドット数を現像制御コントローラ606に出力する一方で、取得した画像信号をそのまま信号セレクタ603へ出力する。
パッチ信号生成部602は、所定の画像信号(以下、「パッチ画像信号」という)を生成し、信号セレクタ603に出力する。パッチ画像信号は、各々の濃度が最高濃度から最低濃度へと段階的に遷移する複数の矩形画像を副走査方向に並べたラスタデータの画像信号である。この矩形画像の主走査方向の幅は、トナー濃度センサ508の濃度検出点の周辺の狭小な範囲に収まる。
信号セレクタ603は、ドットカウンタ601から取得した画像信号、またはパッチ信号生成部602から取得したパッチ画像信号のいずれかを選択してに画像形成部50のレーザードライバ510へ出力する。具体的には、信号セレクタ603は、後述する画像選択信号を取得した場合には、パッチ画像信号を選択して出力するし、それ以外の場合は、ドットカウンタ601から取得した画像信号を選択して出力する。
電位制御コントローラ604は、レーザードライバ510、帯電器電源511及び現像バイアス電源512の各部の駆動を制御する。具体的には、電位制御コントローラ604は、信号セレクタ603から画像形成部50へ画像信号が供給されてトナー像の形成が行われるたびに、UI部40からの用紙種別信号と、電位センサ503からの表面電位信号と、環境センサ514からの温湿度信号とをそれぞれ取得する。そして、電位制御コントローラ604は、取得した各信号に基づいて、露光器504のレーザーダイオードの露光量、帯電器502の帯電電位、及び現像器505の現像バイアスの電位の実値と理想値との偏差を割り出す。そして、電位制御コントローラ604は、その偏差を埋め合わせるような制御パラメータに基づいてレーザードライバ510、帯電器電源511、現像バイアス電源512を駆動させるべく、それぞれに露光量制御信号、帯電電位制御信号、現像バイアス制御信号を出力する。
このとき、電位制御コントローラ604は、用紙種別信号に応じて特定される記録用紙の種別に応じて、単位面積当たりの色材の量(以下、単に「トナー重量」という)を制御するための制御パラメータで各部を駆動させる。
現像時に現像器505から感光体ドラム501表面に移るトナーのトナー重量は、感光体ドラム501の表面電位と現像器505の現像バイアスとの電位差によって決まり、この電位差が小さいほど静電力が小さくなり、トナー重量は小さくなる。例えば、現像バイアスおよび帯電電位を一定にしたまま、露光量を小さくすると、露光された領域つまり静電潜像の領域の電位は大きくなるため、静電潜像と現像バイアスとの電位差が小さくなり、トナー重量も小さくなる。また、帯電電位と露光量を一定にしたまま、現像バイアスを小さくした場合にも、現像バイアスと静電潜像との電位差が小さくなり、トナー重量は小さくなる。また、露光量および現像バイアスを一定にしたまま帯電電位を大きくすると、これに応じて静電潜像の電位も高くなるため、静電潜像と現像バイアスとの電位差は小さくなり、トナー重量は小さくなる。このように、露光量、帯電電位および現像バイアスに応じて、感光体ドラム501上の現像像のトナー重量が変化する。電位制御コントローラ604は、目標とするトナー重量でトナー像を形成するよう、画像データに含まれる階調値と用紙種別信号とに応じた各制御パラメータに基づいて各部を駆動させることになる。これらの制御パラメータは、記録用紙の種別を表す識別情報に対応付けて電位制御コントローラ604の図示せぬメモリに予め記憶されている。
また、電位制御コントローラ604は、上述の露光量、帯電電位、現像バイアスの電位の実値と理想値との偏差が閾値以上になったタイミングで、信号セレクタ603へ画像選択信号を出力する。この偏差が大きくなる場合とは、レーザードライバ510、帯電器電源511および現像バイアス電源512の各部の駆動状態が理想とする場合と異なる場合ということになる。
電位パラメータ決定部605は、画像形成部50によって記録用紙に形成されたパッチ画像が画像読取部20によって読み取られた場合に、その読取結果を表す読取信号を取得し、それに基づいて決定した制御パラメータを、用紙種別信号に対応付けて電位制御コントローラ604に出力する。電位パラメータ決定部605の機能及び動作について詳しくは後述する。
現像制御コントローラ606は、パッチ画像信号に応じたトナー像が形成されると、トナー濃度センサ508が検出するそのトナー像の濃度を現像器505のトナー供給量にフィードバックさせるような機能を有する。具体的には、現像制御コントローラ606は、ドットカウンタ601から供給されるドットカウント値を計数し、その累算値が予めに設定された閾値を超えると、信号セレクタ603へ画像選択信号を出力する。この閾値は、現像器505のトナー供給量のキャリブレーションが必要となる出力枚数(例えば30枚)に応じて決められたドット数に基づいて設定される。すなわち、画像選択信号は、所定回数以上の画像形成処理が行われ、最適なトナー供給量を再設定することが好ましいと考えられるタイミングで出力される。
画像選択信号を取得した信号セレクタ603が、パッチ画像信号を画像形成部50に出力すると、画像形成部50によってそのパッチ画像信号に応じた各濃度の矩形画像のトナー像が感光体ドラム501に順次形成される。そして、形成されたトナー像の濃度は、トナー濃度センサ508により読み取られ、トナー濃度信号として現像制御コントローラ606へ供給される。現像制御コントローラ606は、トナー濃度センサ508から順次供給されるトナー濃度信号を基に濃度検出点の濃度の実値と自らのメモリに記憶されている濃度の理想値の偏差を割り出し、その偏差が予め設定された許容範囲に収まるか否か判断する。そして、許容範囲を超えたと判断すると、以降、画像入力装置30によって入力される画像信号に応じたトナー像を形成するに際しては、現像制御コントローラ606は、その偏差を埋め合わせるようなトナー供給制御信号を現像器505に出力し、トナーカートリッジから現像器505に供給されるトナー量を増減させる。例えば、濃度検出点の濃度の実値が許容範囲の下限を下回っていればトナー供給量を多くすることを指示するトナー供給制御信号を供給し、許容範囲を上回っていればトナー供給量を少なくすることを指示するトナー供給制御信号を出力する。
転写制御コントローラ607は、用紙種別信号に応じた1次転写電流制御信号を1次転写器506に供給し、1次転写器506に流れる1次転写電流を制御する。ここで転写制御コントローラ607が制御する1次転写電流の大きさは、記録用紙の種別を表す識別情報に対応付けて予め設定されている。これによって、感光体ドラム501から中間転写ベルト55に転写されるトナーのトナー重量を制御することができる。具体的には、感光体ドラム501の表面電位と1次転写器506の転写電位とは逆極性であり、1次転写電流値が小さくなるほどこれらの間に生じる静電力は小さくなるから、転写されるトナー重量は減じられる(転写率が小さくなる)。一方で、1次転写電流を大きくするほど、これらの電位差が大きくなり、中間転写ベルト55に転写されるトナーのトナー重量は大きくなる(転写率が大きくなる)。
定着制御コントローラ608は、用紙種類信号および温度センサ513から取得する定着ロール温度に基づいて、定着温度や定着速度、定着圧力を制御する定着制御信号を定着器57に出力する。この定着制御信号に対応する制御パラメータは、例えば、厚さが大きい記録用紙には定着温度を大きくしたり、定着速度を小さくしたり、定着圧力を大きくするよう予め設定されている。また、定着制御コントローラ608は、トナー重量に応じて定着条件の制御パラメータを制御するが、これについて詳しくは後述する。
以上のようにして、プロセスコントロール部60は、用紙種別や用紙の性質に応じた制御パラメータを画像形成部50に出力して、記録用紙に形成させるトナー像のトナー重量を制御する。
(2)記録用紙の種別
次に、図3は、普通紙およびコート紙の構造および現像時にこれらの記録用紙に重ねられるトナーからなる画像構造体を説明する図である。
図3(a)に示したように、普通紙にトナー像を形成した場合、画像構造体は、微細な糸状のパルプ繊維が膨大な数絡み合うことによって構成されている「繊維層」と、この繊維層にトナーが重ねられることによって構成されている「トナー層」とからなる。同図からも分かるように、「繊維層」においては、各パルプ繊維どうしの間には空隙が存在している。また、普通紙の記録面においては、このパルプ繊維が露出しており、表面粗さが非常に大きい。ここでの「表面粗さ」とは中心線平均粗さのことをいい、普通紙において、その大きさはおよそ10μm〜20μmである。
一方、図3(b)に示したように、コート紙にトナー像を形成した場合、画像構造体は、「繊維層」と、「繊維層」の両面のそれぞれに重ねられた「塗工層」と、上面の「塗工層」上に重ねられたトナーによって構成されている「トナー層」とからなる。「塗工層」は、普通紙(繊維層)の表面に形成されたコート材によって形成される層のことであり、このコート材として、例えば炭酸カルシウムやカオリン等の顔料を含む塗料等が用いられる。この「塗工層」は、記録用紙の表面の表面粗さを小さくするために設けられたものであり、光沢度も普通紙に比べて高い。トナー像が形成されるに際しては、トナーがこの塗工層に重ねられることによって「トナー層」が形成される。このコート紙の表面に露出している「塗工層」は、表面粗さ(中心線平均粗さ)が普通紙に比べて非常に小さくなるように塗布されており、その大きさはおよそ1μm〜3μmである。
(3)記録用紙の種別とトナー像の濃度との関係
続いて、記録用紙の種別と、トナー像の濃度との関係について説明する。
図4は、普通紙とコート紙とのそれぞれに同じトナー像を形成した場合の、トナーの面積率と、そのトナー像の濃度との関係を実験的に求めたものを表したグラフである。以下、この関係を「階調特性」という。
図4に示したように、面積率0%〜100%のほぼ全域において、コート紙に形成されたトナー像の濃度(破線で図示)の方が、普通紙に形成されたトナー像の濃度(実線で図示)よりも高くなっていることが分かる。例えば面積率100%のそれぞれのトナー像の濃度に注目する。これらの記録用紙にトナー像を形成したときのトナーのトナー重量はほぼ一致しているにも関わらず、普通紙に形成されたトナー像の濃度(目標濃度)Dmax1がおよそ「1.75」であるのに対し、コート紙に形成されたトナー像の濃度Dmax2はおよそ「2.0」もあり、コート紙の方が濃度がおよそ「0.25」も高くなっていることが分かる。また、これらの記録用紙における階調特性を参照すると、普通紙においては、ほぼ線形的な階調特性を示している一方で、コート紙においては、トナーの面積率の増加に対して濃度が線形的に大きくなっているわけではない。具体的には、低濃度域においてトナーの面積率に対する濃度変化量が大きく、高濃度域においてトナーの面積率に対する濃度変化量が小さくなる傾向を示す。このように、記録用紙の種別によって階調特性が異なっていると、トナー像が形成される記録用紙によって、色再現性が異なってしまう。
このようになる理由について、前掲の図3を参照しつつ説明する。
図3(a)に示した画像構造体の普通紙に重ねられた「トナー層」を微視的に見ると、紙面の各位置に対して一様な量のトナーが転写されたにもかかわらず、そのトナー量の分布は各角位置によって大きく異なっている。これは、同図(a)に示したように、繊維層のパルプ繊維間の空隙にトナーが入り込んで、繊維層に吸収されたような状態になってしまうからである。従って、人間が視認できるトナーの量は少なくなってしまい、トナー像の濃度は低下した状態となる。また、トナー層の表面は、普通紙上にあるトナー量の分布の偏りにより、凸凹が生じており、平らでない。
一方、図3(b)に示したように、コート紙においては、塗工層にトナーがほとんど吸収されずに、その表面にトナーが重ねられる。よって、平滑な塗工層上に各位置で一様の量のトナーによってトナー層が構成されることになる。つまり、各位置でトナー層の厚みは一様であり、トナー像の表面も平らである。
以上説明したように、同じトナー重量のトナーで普通紙とコート紙とのそれぞれにトナー像が形成された場合、普通紙の方がコート紙に比べて濃度が大幅に低くなる。さらに、普通紙に構成された「トナー層」の表面は平らでないから、トナー層に光が照射されると、その反射光のうち、正反射光成分の強度が小さく、乱反射光成分の強度が大きくなる。この場合、式(1)によれば、I/Ioが小さくなるから、トナー像の濃度Dは更に小さくなってしまう。したがって、画像形成装置1がコート紙にトナー像を形成しようとした場合に、普通紙に対してトナー像を目標とする濃度で形成できるように最適に設定された制御パラメータをそのまま用いると、コート紙上のトナー像の濃度がかなり高くなってしまう。
このような理由によって記録用紙の種別によってトナー像の濃度に差異が生じてしまうから、これを補正するために、画像信号の階調値に記録用紙の種別に応じたルックアップテーブルを作用させて階調特性を補正する、という手法が知られている。
この手法によれば、コート紙におけるトナーの面積率100%のトナー像の濃度Dmax2を、普通紙におけるトナーの面積率100%のトナー像の濃度(以下、「目標濃度」)Dmax1を目標として近づけるよう、階調特性を補正することができる。しかしながら、この画像処理による補正では、図4の矢印R1で示したように、普通紙において面積率100%で表される目標濃度Dmax1が、コート紙においては面積率50%程度で表現されることになる。これでは、それぞれの記録用紙でトナー像の濃度を一致させることができるものの、トナーの面積率が異なることにより、その質感が異なってしまう。例えば、普通紙では面積率100%のベタ画像で表される文字を意味するトナー像が、コート紙では列状や網点状等のなど中間調で表現されると、これを見たユーザは違和感を抱いてしまい、これが結果的に画質劣化となってしまうことになる。さらには、普通紙における面積率100%に相当する濃度の文字や細線を再現した場合には、トナー像の濃度は普通紙と一致するものの、文字や細線が途切れてしまう、という画像欠陥が生じてしまうこともある。
また、例えば、トナー像の濃度を256階調(8ビット)で表現する場合、普通紙においては面積率0%〜100%の範囲内で、面積率に応じた濃度が表現されることになる。一方、コート紙においては、最大濃度を目標濃度Dmax1として各濃度が表現されるから、図4から分かるように、およそ面積率0%〜50%の範囲内での面積率に応じて各濃度が表現されることになる。つまり、普通紙にトナー像が形成される場合には、コート紙の場合と比べて、50%程度の範囲の面積率でしかトナー像の濃度を表現できないから、濃度の階調数はおよそ50%(階調数がおよそ「128」)に小さくなってしまう。この階調数の減少により、面積率の変化に対するトナー像の濃度変化が大きくなるトーンジャンプが発生してしまう。このトーンジャンプによって、例えばグラデーション画像における滑らかな色の変化を表現できず、濃度に段差が生じてしまい、擬似輪郭が発生するなどの画像欠陥が発生してしまうことがある。
以上のように、従来の技術を採用して階調特性を一致させるよう補正すると、塗工層を有するコート紙において、画質が劣化したり、画像欠陥が生じてしまう。
(4)トナー重量の制御による濃度の補正
上記のような画像欠陥や画質劣化を発生させないようにトナー像の濃度を補正するべく、画像形成装置1は、記録用紙の種別に応じた制御パラメータでプロセスコントロールを行って、トナー像を形成するときのトナー重量を制御する。
ここで、図5は、普通紙およびコート紙に形成される、面積率100%の画像(いわゆるベタ画像)を表す画像データに基づく画像形成時における、トナー重量の変化に対するトナー像の濃度の変化との関係を実験的に求めたものを表したグラフである。
図5に示したように、図示したトナー重量の範囲内で、普通紙およびコート紙に形成されたトナー像の濃度を比較すると、コート紙の方が普通紙よりも2割程度高くなっていることが分かる。従って、コート紙に形成されるトナー像のトナー重量を同図の特性に従って減じれば、コート紙と普通紙とにおける濃度の差異をほぼなくすことができ、それぞれの階調特性の差異も小さくすることができる。具体的には、図示したように、目標濃度Dmax1(=1.75)としてトナー像を形成する場合、普通紙に対するトナーのトナー重量を、M1≒4.8g/m2とすれば、面積率100%において目標濃度Dmax1となる。一方で、コート紙においては、矢印R2で示したように、トナー重量M2≒3.7g/m2に減じれば、面積率100%での濃度の目標濃度Dmax1に一致させることができる。
また、コート紙に使用するトナーの最適なトナー重量は、トナーの色、記録用紙の色や、光沢度を決定付ける定着条件、記録用紙の表面粗さによっても異なるが、発明者らは、普通紙に使用するトナーのトナー重量に対して5%〜40%程度削減しても、ほぼ同等の色を再現することができることが分かった。電子写真方式の画像形成装置では、普通紙を使用する場合も、コート紙を使用する場合も、いわゆるオフセット印刷(ジャパンカラー等)の色再現を目標とするので、それぞれの記録用紙において目標濃度は同じである。したがって、コート紙を使用する場合のトナーのトナー重量を、普通紙を使用する場合よりも減じることにより、トーンジャンプなどの画像欠陥や画質劣化を発生させることなく、目標濃度に近づくようトナー像の濃度を補正することができるのである。
したがって、図5に示したような記録用紙の種別に応じたトナー重量と濃度との関係に応じて最適なトナー重量が決定されると、プロセスコントロール部60は、決定したトナー重量に従ってこれ減じるように各制御パラメータを制御してトナー像の濃度を補正することによって、各記録用紙で階調特性を一致させることができる。この最適なトナー重量を実現するために、露光量、帯電電位、現像バイアス及び1次転写電流に対する各制御パラメータが、記録用紙の種別ごとにプロセスコントロール部60内に記憶されている。
よって、画像形成時においては、選択器12が画像入力装置30から取得した画像信号を画像形成部50に出力する一方で、プロセスコントロール部60によってコート紙の使用が検知された場合には、普通紙の使用時よりもトナー重量を減じられるよう、各制御パラメータを決定してトナー像が形成されることになる。ただし、この場合、コート紙に形成される画像の濃度と、普通紙に形成される画像の濃度との差が小さくなるように、各制御パラメータが決定される。
図6は、普通紙におけるトナー重量をM1とし、コート紙におけるトナー重量をM1からM2に減じた場合の、普通紙とコート用紙における階調特性を実験的に求めたものを表したグラフである。図6において、破線で示した曲線P1が、コート紙の使用時において、トナー重量M1のまま(濃度の補正前)、記録用紙にトナー像を形成した場合の階調特性である。また、一点鎖線で示した曲線P2は、コート紙の使用時において、トナー重量M2に減じて(濃度の補正後)、記録用紙にトナー像を形成した場合の階調特性である。また、実線で示した曲線P3は、普通紙の使用時において、トナー重量M1で記録用紙にトナー像を形成した場合の階調特性である。同図から分かるように、曲線P2で図示したトナー重量の補正後の階調特性は、実線P3で図示した普通紙における階調特性にほぼ一致しており、これらの差異は、曲線P1で図示したコート紙における補正前の階調特性との差異よりも小さくなっている。このようにして、コート紙における濃度Dmax2が、目標濃度Dmax1にほぼ一致するよう補正することにより、画像形成装置1は、普通紙に形成されたトナー像と、コート紙に形成されたトナー像との質感に差がないようにトナー像を形成することができるようになる。
また、図7は、コート紙に形成されたトナー像の明度L*と光沢度との関係の測定結果を表すグラフである。同図おいて、実線のグラフは、普通紙において使用するトナーのトナー重量M1(濃度の補正前)としてトナー像を形成した場合の関係を示し、破線のグラフは、図5を用いて前述したようにしてトナー重量をM2に減じた(濃度の補正後)場合の関係を示している。
図7から分かるように、特に明度L*が低いほど、トナー重量を減じたことによるトナー像の光沢度の低下が顕著である一方で、明度L*が高いほど光沢度の低下がほとんどない。このような現象により、トナー重量M2に減じてトナー像を形成した場合、低明度から高明度までのトナー像を形成した場合の、トナー像の光沢度の最大値と最小値との差分の大きさを表す「光沢度差」が小さくなる。具体的には、トナー重量をM1としたときの光沢度の最大値はおよそ「65」で、最小値はおよそ「35」であり、光沢度差はおよそ「30」である。一方、トナー重量M2に減じたときの光沢度の最大値はおよそ「48」で、最小値はおよそ「35」であり、光沢度差はおよそ「13」である。つまり、この例では、光沢度差が3分の1近くまで低減されたことになる。一般に、トナー像において、明度の変化に対する光沢度の変化量が小さい(すなわち、光沢度差が小さい)ほど、人間が画像を見た場合に違和感を抱きにくく、好ましい画像とされている。したがって、コート紙の使用時において、普通紙の使用時よりもトナー重量を減じることは、このような光沢度の観点からも、コート紙の使用時における画質を向上させることに寄与すると言うことができる。
さらに、トナー重量を減じることは、コート紙で目立つトナーの飛び散り(いわゆるブラー)や転写抜けなどの転写ディフェクトや、背景部に相当する領域にトナーが付着するかぶりや、感光体ドラム501表面における現像された領域と、現像されていない領域とに電位差が生じることにより生じるエッジ効果などの現像ディフェクトも改善することができる。また、用紙表面に気泡が発生するブリスタや、トナーが定着器57等に取り残されてしまうオフセットなどの定着ディフェクトも改善することができる。
これらに加えて、画像形成装置1は、トナー像を定着するときの省エネルギー化も実現できるという効果がある。具体的には、トナー重量を減じたときには、プロセスコントロール部60の定着制御コントローラ608は、用紙種別信号に応じてこれを特定し、そのトナー重量を減じた量に応じて、定着器57の定着速度、定着温度又は定着圧力を制御する。具体的には、トナー重量を減じた量が多いほど、つまりトナー像を形成するトナーのトナー重量が小さいほど、定着に必要な熱エネルギーは小さくて済むので、定着器57の定着速度を高速化させたり、定着温度を低下させたりすることができるし、定着圧力を小さくしてもよい。これにより、確実にトナー像を定着させることができる。
(5)制御パラメータの設定
上記では、普通紙およびコート紙を例に挙げて説明したが、これ以外の種別の記録用紙で、画像形成装置1に制御パラメータが設定されていないものが使用される場合もある。最適なトナー重量は、前述したように、記録用紙の表面粗さ、厚み、色(白色度)、定着条件などの条件によって決まるものであるから、プロセスコントロール部60は、トナー像を形成する記録用紙の種別毎に制御パラメータを設定しておく必要がある。また、制御パラメータが設定されている普通紙やコート紙においても、ユーザの希望に応じて、トナーの面積率100%のときのトナー像の濃度を目標濃度Dmax1よりも高くしたり、低くしたりする場合もある。このような場合には、プロセスコントロール部60が用いる制御パラメータを追加したり、更新する必要がある。このような要望に応えるために、画像形成装置1は以下に説明する機能を備える。
ここで、図8は、テスト画像と制御パラメータとの関係を説明する図である。このテスト画像はテスト画像T1,T2,・・・T9はそれぞれ面積率100%で表される正方形の画像からなる。
例えばユーザがUI部40を用いて、給紙トレイ51cに収容されている、制御パラメータが設定されていない種別の記録用紙に対する制御パラメータの設定を指示すると、選択器12はテスト画像信号発生回路11からテスト画像信号を取得して画像形成部50に供給する。画像形成部50は、給紙トレイ51cに収容された記録用紙に、取得したテスト画像信号に応じた画像を形成させることになる。ここでは、図8において破線で囲まれたテスト画像T1〜T9が副走査方向に対して順次形成される。また、これらのテスト画像T1〜T9の形成時においては、画像形成部50は、それぞれのテスト画像の右側に説明しているようにして、露光量を段階的に変化させて静電潜像を形成する。このときの露光量は、普通紙にトナー像を形成するときの露光量を100%として、この露光量に対する光量を表している。
続いて、ユーザは、テスト画像T1〜T9が形成された記録用紙を画像読取部20にセットし、UI部40を介して読み取りを指示する。これに応じて、画像読取部20は記録用紙を読み取って、読取結果を表す画像信号(読取信号)を生成し、プロセスコントロール部60の電位パラメータ決定部605に出力する。この読取信号は、R,G,Bの各階調値を表すものである。
電位パラメータ決定部605は、RGB色空間で表されるこの読取信号にラスタライズ処理や色空間変換処理を施し、CMYK色空間で表されるラスタ形式の画像信号に変換してから、階調値に応じてC,M,Y,Kの各色の濃度を求める。そして、電位パラメータ決定部605は、C、M、Y、Kの各色の濃度に基づいて決定した電位パラメータを、用紙種別信号を対応付けて電位制御コントローラ604に出力する。ここでの「電位パラメータ」は、露光量を表すものである。例えば、画像読取部20によるテスト画像の読取結果から求められたテスト画像T1〜T9の濃度が、図8に示したように、それぞれ「2.0」、「1.95」、「1.90」、「1.80」、「1.70」、「1.60」、「1.50」、「1.40」、「1.30」であったとする。ここで、面積率100%におけるトナー像の濃度を「1.70」にしたい場合には、図示したように露光量を「80%」とすればよいことになるから、ユーザによってその旨が指示されると、電位パラメータ決定部605は用紙種別信号と露光量を「80%」とすることを表す制御パラメータとを対応付けて、電位制御コントローラ604に出力する。電位制御コントローラ604は、取得した用紙種別信号に応じた記録用紙の識別情報と、電位パラメータとを対応付けて記憶しておく。以降、この用紙種別信号に対応する記録用紙にトナー像を形成する際には、電位制御コントローラ604は、この電位パラメータに基づいて制御パラメータを設定する。
このようにすれば、制御パラメータが設定されていない、例えば厚紙や、OHP(OverHead Projector)シート等のプラスティックからなるシート状物を使用する場合や、目標濃度を様々に変更する場合にも最適な制御パラメータを設定し、目標する階調特性でトナー像を形成するようトナー像の濃度を補正することができる。
以上説明した実施形態によれば、記録用紙の種別に応じてトナー重量を最適な量に減じるように、画像形成部50の駆動状態を決定付ける制御パラメータを設定してトナー像を形成するから、画像劣化や画像欠陥を発生させることなく、様々な種別の記録用紙に形成されたトナー像の濃度が一致するよう濃度の補正することができる。
(6)変形例
なお、上記実施形態を次のように変形してもよい。具体的には、例えば以下のような変形が挙げられる。これらの変形は、各々を適宜に組み合わせることも可能である。
上述した実施形態では、記録用紙の種別に応じて、プロセスコントロール部60は、露光量、帯電電位、現像バイアス及び転写電位のすべてについて制御パラメータを制御していたが、これらのうち少なくともいずれか1つを制御すれば、記録用紙に転写されるトナー重量を制御する(減じる)ことができる。各記録用紙にトナー像を形成する場合の、それぞれの階調特性の差異が小さくなるようにトナー重量を減じることができるのであれば、どの制御パラメータを制御してもよい。例えば、例えば1次転写電流のみを変化させても、この電流値に応じた量のトナーが中間転写ベルト55に転写されるから、記録用紙に重ねられるトナーのトナー重量を変化させることもできる。
上述した実施形態では、テスト画像の読取結果に応じて、電位パラメータ決定部605は面積率100%における濃度が目標濃度Dmax1に一致するように、露光量の制御パラメータを決定していたが、帯電電位や現像バイアスを設定するようにしてもよい。感光体ドラム501の表面電位と現像バイアスとの電位差によってトナー重量が変化するから、プロセスコントロール部60は、露光量に代えて、帯電電位又は現像バイアスを制御してもよい。また、プロセスコントロール部60は、転写制御コントローラ607が転写率を最適に制御するための制御パラメータを制御する構成としてもよい。
ただし、トナー重量を制御するためには、上記の制御パラメータのうち露光量を制御することが最も効果的であるため、実施形態ではテスト画像の読取結果に応じて露光量を補正している。
上述した実施形態では、ユーザによるUI部40による操作によって、トナー像を形成する記録用紙がコート紙であるか又は普通紙であるかを検知したが、これ以外の方法で記録用紙の種別を特定してもよい。例えば、各記録用紙の種別に応じた不可視情報(イエロードット等)を埋め込んでおき、給紙トレイ51に収容された記録用紙、または、用紙搬送路600を搬送される記録用紙を読み取ることができるセンサを設けておく。そして、画像形成時には、センサがこの種別情報を読み取り、その読取結果に応じて、各部が記録用紙の種別を検知してもよい。また、画像入力装置30が外部装置から画像データを受信するときに、用紙種別信号も取得し、これによって用紙種別を検知してもよい。外部装置のユーザによって指定された種別の記録用紙にトナー像を形成する場合には、用紙の種別を指定する旨の指示も受信することができる。
また、画像読取部20は、RGB形式の画像信号を生成していたが、テスト画像T1〜T9の濃度を検出できればよいので、画像読取部20に代えて、トナー濃度センサ508と同等の構成の装置を採用してもよい。また、画像読取部20に変えてCIELAB色空間の測色値を求める測色器を採用してもよい。この場合、電位パラメータ決定部605は、CIELAB色空間からCMYK色空間に変換することになる。もちろん、トナーの色に対応する色空間に変換できるのであれば、これ以外の色空間でテスト画像の読取結果を表してもよい。
上述した実施形態では、画像形成装置1は、コート紙に画像を形成する際には、普通紙の使用を基準として決められたトナー重量を減じることによって、それぞれの用紙に形成した画像の濃度差が小さくなるようにトナー像の濃度を補正していた。このような手法は、コート紙の表面の表面粗さが、塗工層が設けられることにより普通紙の表面粗さよりも小さくなるから、有効なものであった。したがって、塗工層に用いられるコート材には、普通紙の記録面よりも平滑な記録面を得ることができるのであれば、前掲したもの以外のものを使用することもできる。例えば、各種顔料、各種樹脂、ゴムラッテクス又は高分子材料等である。
本発明の実施形態に係る画像形成装置の構造を示す図である。 画像形成部およびプロセスコントロール部の詳細な構成と、その周辺の構成とを示した図である。 普通紙およびコート紙の構造および現像時にこれらの記録用紙に重ねられるトナーからなる画像構造体を説明する図である。 普通紙とコート用紙とにおけるトナーの面積率と、そのトナー像の濃度との関係(階調特性)を実験的に求めたものを表したグラフである。 トナーの面積率100%の画像を表す画像データに基づく画像形成時における、トナー重量の変化に対するトナー像の濃度の変化との関係を実験的に求めたものを表したグラフである。 普通紙とコート用紙とにおける階調特性を実験的に求めたものを表したグラフである コート紙に形成されたトナー像の明度と光沢度との関係の測定結果を表すグラフである。 テスト画像と制御パラメータとの関係を説明する図である。
符号の説明
1…画像形成装置、10…制御部、11…テスト画像信号発生回路、12…選択器、20…画像読取部、30…画像入力装置、40…UI部、50…画像形成部、501…感光体ドラム、502…帯電器、503…電位センサ、504…露光器、505…現像器、506…現像器、508…トナー濃度センサ、509…クリーナ、51,51a,51b,51c…給紙トレイ、510…レーザードライバ、511…帯電器電源、512…現像バイアス電源、513…温度センサ、514…環境センサ、52…画像形成エンジン、55…中間転写ベルト、56…2次転写器、57…定着器、600…用紙搬送路、601…ドットカウンタ、602…パッチ信号生成部、603…信号セレクタ、604…電位制御コントローラ、605…電位パラメータ決定部、606…現像制御コントローラ、607…転写制御コントローラ、608…定着制御コントローラ、60…プロセスコントロール部。

Claims (5)

  1. 像保持体を帯電させ、帯電した像保持体に対して画像データに応じた光を照射して静電潜像を形成し、色材を含む現像剤によって当該静電潜像を現像し、現像された像を記録媒体の記録面に転写して定着させる画像形成手段と、
    前記像が転写される記録媒体が、その記録面に塗工層が設けられている記録媒体であるか又は当該塗工層が設けられていない記録媒体であるかを検知する検知手段と、
    前記検知手段によって前記塗工層が設けられていると検知された前記記録媒体の記録面に対し画像データに応じた画像を形成する場合には、当該塗工層が設けられている記録面に形成される画像の濃度と、前記塗工層が設けられていない記録面に画像を形成するとした場合の当該画像の濃度との差が小さくなるように、前記塗工層が設けられている記録面に転写する前記色材の量を減じさせて前記画像形成手段に前記画像を形成させる制御手段と
    を備えることを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記制御手段は、前記画像形成手段が前記像保持体の表面に照射する光の強度を小さくすることにより、前記塗工層が設けられている記録面に転写する前記色材の量を減じさせる
    ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記制御手段は、前記画像形成手段が前記像保持体の表面を帯電させるときの帯電電位と現像剤によって静電潜像を現像するときの現像電位との電位差を小さくするよう、前記帯電電位および前記現像電位の少なくとも一方を制御することにより、前記塗工層が設けられている記録面に転写する前記色材の量を減じさせる
    ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  4. 前記制御手段は、前記画像形成手段が前記トナー像を前記記録面に転写させるときに用いる転写電流を小さくすることにより、前記塗工層が設けられている記録面に転写する前記色材の量を減じさせる
    ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  5. 前記制御手段は、前記画像形成手段が前記現像された像を前記記録面に定着させるときの定着温度、定着速度または定着圧力のうちの少なくともいずれかを、前記減じさせた色材の量に応じて制御する
    ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
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