図1は、本発明の実施の第1形態である画像形成装置1の構成を模式的に示す断面図である。画像形成装置1は、複写機能、プリンタ機能およびファクシミリ機能を併せ持つ複合機であり、伝達される画像情報に応じて、記録媒体上にフルカラーまたはモノクロの画像を形成する。すなわち、画像形成装置1においては、コピアモード(複写モード)、プリンタモードおよびFAXモードという3種の印刷モードを有しており、図示しない操作部からの操作入力、パーソナルコンピュータ、携帯端末装置、情報記録記憶媒体、メモリ装置を用いた外部機器からの印刷ジョブの受信などに応じて、図示しない制御部により、印刷モードが選択される。画像形成装置1は、トナー像形成手段2と、転写手段3と、定着手段4と、記録媒体供給手段5と、排出手段6とを含む。トナー像形成手段2を構成する各部材および中間転写手段3に含まれる一部の部材は、カラー画像情報に含まれるブラック(b)、シアン(c)、マゼンタ(m)およびイエロー(y)の各色の画像情報に対応するために、それぞれ4つずつ設けられる。ここでは、各色に応じて4つずつ設けられる各部材は、各色を表すアルファベットを参照符号の末尾に付して区別し、総称する場合は参照符号のみで表す。
トナー像形成手段2は、感光体ドラム11と、帯電手段12と、露光ユニット13と、現像手段14と、クリーニングユニット15とを含む。帯電手段12、現像手段14およびクリーニングユニット15は、感光体ドラム11まわりに、この順序で配置される。帯電手段12は、現像手段14およびクリーニングユニット15よりも鉛直方向下方に配置される。
感光体ドラム11は、図示しない駆動手段により、軸線回りに回転駆動可能に支持され、図示しない、導電性基体と、導電性基体の表面に形成される感光層とを含む。導電性基体は種々の形状を採ることができ、たとえば、円筒状、円柱状、薄膜シート状などが挙げられる。これらの中でも円筒状が好ましい。導電性基体は導電性材料によって形成される。導電性材料としては、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、アルミニウム、銅、真鍮、亜鉛、ニッケル、ステンレス鋼、クロム、モリブデン、バナジウム、インジウム、チタン、金、白金などの金属、これらの2種以上の合金、合成樹脂フィルム、金属フィルム、紙などのフィルム状基体にアルミニウム、アルミニウム合金、酸化錫、金、酸化インジウムなどの1種または2種以上からなる導電性層を形成してなる導電性フィルム、導電性粒子および/または導電性ポリマーを含有する樹脂組成物などが挙げられる。なお、導電性フィルムに用いられるフィルム状基体としては、合成樹脂フィルムが好ましく、ポリエステルフィルムが特に好ましい。また、導電性フィルムにおける導電性層の形成方法としては、蒸着、塗布などが好ましい。
感光層は、たとえば、電荷発生物質を含む電荷発生層と、電荷輸送物質を含む電荷輸送層とを積層することにより形成される。その際、導電性基体と電荷発生層または電荷輸送層との間には、下引き層を設けるのが好ましい。下引き層を設けることによって、導電性基体の表面に存在する傷および凹凸を被覆して、感光層表面を平滑化する、繰り返し使用時における感光層の帯電性の劣化を防止する、低温および/または低湿環境下における感光層の帯電特性の向上させるといった利点が得られる。また最上層に感光体表面保護層を設けた耐久性の大きい三層構造の積層感光体であっても良い。
電荷発生層は、光照射により電荷を発生する電荷発生物質を主成分とし、必要に応じて公知の結着樹脂、可塑剤、増感剤などを含有する。電荷発生物質としては、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、ペリレンイミド、ペリレン酸無水物などのペリレン系顔料、キナクリドン、アントラキノンなどの多環キノン系顔料、金属および無金属フタロシアニン、ハロゲン化無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、スクエアリウム色素、アズレニウム色素、チアピリリウム色素、カルバゾール骨格、スチリルスチルベン骨格、トリフェニルアミン骨格、ジベンゾチオフェン骨格、オキサジアゾール骨格、フルオレノン骨格、ビススチルベン骨格、ジスチリルオキサジアゾール骨格またはジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料などが挙げられる。これらの中でも、無金属フタロシアニン顔料、オキソチタニルフタロシアニン顔料、フローレン環および/またはフルオレノン環を含有するビスアゾ顔料、芳香族アミンからなるビスアゾ顔料、トリスアゾ顔料などは高い電荷発生能を有し、高感度の感光層を得るのに適する。電荷発生物質は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。電荷発生物質の含有量は特に制限はないけれども、電荷発生層中の結着樹脂100重量部に対して好ましくは5〜500重量部、さらに好ましくは10〜200重量部である。電荷発生層用の結着樹脂としてもこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン、アクリル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、ポリカーボネート、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ポリアリレート、ポリアミド、ポリエステルなどが挙げられる。結着樹脂は1種を単独で使用できまたは必要に応じて2種以上を併用できる。
電荷発生層は、電荷発生物質および結着樹脂ならびに必要に応じて可塑剤、増感剤などのそれぞれ適量を、これらの成分を溶解または分散し得る適切な有機溶媒に溶解または分散して電荷発生層塗液を調製し、この電荷発生層塗液を導電性基体表面に塗布し、乾燥することにより形成できる。このようにして得られる電荷発生層の膜厚は特に制限されないが、好ましくは0.05〜5μm、さらに好ましくは0.1〜2.5μmである。
電荷発生層の上に積層される電荷輸送層は、電荷発生物質から発生する電荷を受け入れて輸送する能力を有する電荷輸送物質および電荷輸送層用の結着樹脂を必須成分とし、必要に応じて公知の酸化防止剤、可塑剤、増感剤、潤滑剤などを含有する。電荷輸送物質としてはこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメートおよびその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒ縮合物およびその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリル)アントラセン、1,1−ビス(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、ピラゾリン誘導体、フェニルヒドラゾン類、ヒドラゾン誘導体、トリフェニルアミン系化合物、テトラフェニルジアミン系化合物、トリフェニルメタン系化合物、スチルベン系化合物、3−メチル−2−ベンゾチアゾリン環を有するアジン化合物などの電子供与性物質、フルオレノン誘導体、ジベンゾチオフェン誘導体、インデノチオフェン誘導体、フェナンスレンキノン誘導体、インデノピリジン誘導体、チオキサントン誘導体、ベンゾ[c]シンノリン誘導体、フェナジンオキサイド誘導体、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、プロマニル、クロラニル、ベンゾキノンなどの電子受容性物質などが挙げられる。電荷輸送物質は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。電荷輸送物質の含有量は特に制限されないけれども、好ましくは電荷輸送物質中の結着樹脂100重量部に対して10〜300重量部、さらに好ましくは30〜150重量部である。電荷輸送層用の結着樹脂としては、この分野で常用されかつ電荷輸送物質を均一に分散できるものを使用でき、たとえば、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリビニルブチラール、ポリアミド、ポリエステル、ポリケトン、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリスルホン樹脂、これらの共重合樹脂などが挙げられる。これらの中でも、成膜性、得られる電荷輸送層の耐摩耗性、電気特性などを考慮すると、ビスフェノールZをモノマー成分として含有するポリカーボネート(以後「ビスフェノールZ型ポリカーボネート」と称す)、ビスフェノールZ型ポリカーボネートと他のポリカーボネートとの混合物などが好ましい。結着樹脂は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。
電荷輸送層には、電荷輸送物質および電荷輸送層用の結着樹脂と共に、酸化防止剤が含まれるのが好ましい。酸化防止剤としてもこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、ビタミンE、ハイドロキノン、ヒンダードアミン、ヒンダードフェノール、パラフェニレンジアミン、アリールアルカンおよびそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物などが挙げられる。酸化防止剤は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。酸化防止剤の含有量は特に制限されないけれども、電荷輸送層を構成する成分の合計量の0.01〜10重量%、好ましくは0.05〜5重量%である。電荷輸送層は、電荷輸送物質および結着樹脂ならびに必要に応じて酸化防止剤、可塑剤、増感剤などのそれぞれ適量を、これらの成分を溶解または分散し得る適切な有機溶媒に溶解または分散して電荷輸送層用塗液を調製し、この電荷輸送層用塗液を電荷発生層表面に塗布し、乾燥することにより形成できる。このようにして得られる電荷発生層の膜厚は特に制限されないが、好ましくは10〜50μm、さらに好ましくは15〜40μmである。なお、1つの層に、電荷発生物質と電荷輸送物質とが存在する感光層を形成することもできる。その場合、電荷発生物質および電荷輸送物質の種類、含有量、結着樹脂の種類、その他の添加剤などは、電荷発生層および電荷輸送層を別々に形成する場合と同様でよい。
本実施の形態では、前述のような、電荷発生物質および電荷輸送物質を用いる有機感光層を形成してなる感光体ドラムを用いるけれども、それに代えて、シリコンなどを用いる無機感光層を形成してなる感光体ドラムを使用できる。
帯電手段12は、感光体ドラム11を臨み、感光体ドラム11の長手方向に沿って感光体ドラム11表面から間隙を有して離隔するように配置され、感光体ドラム11表面を所定の極性および電位に帯電させる。帯電手段12には、帯電ブラシ型帯電器、チャージャー型帯電器、鋸歯型帯電器、イオン発生装置などを使用できる。本実施の形態では、帯電手段12は感光体ドラム11表面から離隔するように設けられるけれども、それに限定されない。たとえば、帯電手段12として帯電ローラを用い、帯電ローラと感光体ドラムとが圧接するように帯電ローラを配置しても良く、帯電ブラシ、磁気ブラシなどの接触帯電方式の帯電器を用いても良い。
露光ユニット13は、露光ユニット13から出射される各色情報の光が、帯電手段12と現像手段14との間を通過して感光体ドラム11の表面に照射されるように配置される。露光ユニット13は、画像情報を該ユニット内でb,c,m,yの各色情報の光に分岐し、帯電手段12によって一様な電位に帯電された感光体ドラム11表面を各色情報の光で露光し、その表面に静電潜像を形成する。露光ユニット13には、たとえば、レーザ照射部および複数の反射ミラーを備えるレーザスキャニングユニットを使用できる。他にもLEDアレイ、液晶シャッタと光源とを適宜組み合わせたユニットを用いてもよい。
現像手段14は、現像槽20とトナーホッパ21とを含む。現像槽20は感光体ドラム11表面を臨むように配置され、感光体ドラム11の表面に形成された静電潜像にトナーを供給して現像し、可視像であるトナー像を形成する容器状部材である。現像槽20は、その内部空間にトナーを収容しかつ現像ローラ、供給ローラ、撹拌ローラなどのローラ部材またはスクリュー部材を収容して回転自在に支持する。現像槽20の感光体ドラム11を臨む側面には開口部が形成され、この開口部を介して感光体ドラム11に対向する位置に現像ローラが回転駆動可能に設けられる。現像ローラは、感光体ドラム11との圧接部または最近接部において感光体11表面の静電潜像にトナーを供給するローラ状部材である。トナーの供給に際しては、現像ローラ表面にトナーの帯電電位とは逆極性の電位が現像バイアス電圧(以下単に「現像バイアス」とする)として印加される。これによって、現像ローラ表面のトナーが静電潜像に円滑に供給される。さらに、現像バイアス値を変更することによって、静電潜像に供給されるトナー量(トナー付着量)を制御できる。供給ローラは現像ローラを臨んで回転駆動可能に設けられるローラ状部材であり、現像ローラ周辺にトナーを供給する。攪拌ローラは供給ローラを臨んで回転駆動可能に設けられるローラ状部材であり、トナーホッパ21から現像槽20内に新たに供給されるトナーを供給ローラ周辺に送給する。トナーホッパ21は、その鉛直方向下部に設けられるトナー補給口(図示せず)と、現像槽20の鉛直方向上部に設けられるトナー受入口(図示せず)とが連通するように設けられ、現像槽20のトナー消費状況に応じてトナーを補給する。またトナーホッパ21を用いず、各色トナーカートリッジから直接トナーを補給するよう構成しても構わない。
ここで、トナーとしては特に制限されず、結着樹脂、着色剤、離型剤、帯電制御剤などを含み、必要に応じて、有機微粒子、無機微粒子などを含むトナーを使用できる。結着樹脂としては、トナー用結着樹脂として常用されかつ溶融状態で造粒可能であれば特に制限されず、公知のものを使用でき、たとえば、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、スチレン系ポリマー、(メタ)アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、シリコーン樹脂、ポリウレタン、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、ロジン変性樹脂、テルペン樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、脂環式炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられる。結着樹脂は1種を単独で使用できまたは2種以上を併用できる。これらの中でも、水系における湿式造粒によって粒子表面が平滑になり易いポリエステル、スチレン系ポリマー、(メタ)アクリル樹脂などが好ましい。
ポリエステルとしては、多価アルコールと多価カルボン酸との重縮合物が好ましい。多価アルコールとしては、たとえば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなどの脂肪族アルコール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールなどの脂環式アルコール、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物などのビスフェノールAアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。多価アルコールは1種または2種以上を使用できる。多価カルボン酸としては、たとえば、フタル酸、テレフタル酸、無水フタル酸などの芳香族カルボン酸とその酸無水物、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデセニルコハク酸などの飽和および不飽和脂肪族カルボン酸とその酸無水物などが挙げられる。多価カルボン酸は1種または2種以上を使用できる。
スチレン系ポリマーとしては、スチレン系モノマーのホモポリマー、スチレン系モノマーとスチレン系モノマーに共重合可能なモノマーとのコポリマーなどが挙げられる。スチレン系モノマーとしては、たとえば、スチレン、o−メチルスチレン、エチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンなどが挙げられる。他のモノマーとしては、たとえば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルなどの(メタ)アクリル酸エステル類、アクリロニトリル、メタアクリルアミド、グリシジルメタアクリレート、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリレートなどの(メタ)アクリル系モノマー類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンなどのビニルケトン類、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドールなどのN−ビニル化合物などが挙げられる。スチレン系モノマーおよびスチレン系モノマーに共重合可能なモノマーは、それぞれ1種または2種以上を使用できる。
(メタ)アクリル酸樹脂としては、(メタ)アクリル酸エステル類のホモポリマー、(メタ)アクリル酸エステル類と(メタ)アクリル酸エステル類に共重合可能なモノマーとのコポリマーなどが挙げられる。(メタ)アクリル酸エステル類としては前述のものと同様のものを使用できる。(メタ)アクリル酸エステル類に共重合可能なモノマーとしては、(メタ)アクリル系モノマー類、ビニルエーテル類、ビニルケトン類、N−ビニル化合物などが挙げられる。これらは前述のものと同様のものを使用できる。
なお、結着樹脂の主鎖および/または側鎖にカルボキシル基、スルホン酸基などの親水性基を結合させ、水中での自己分散性を付与した結着樹脂を用いることもできる。
着色剤としては、たとえば、黒色系顔料、有彩色系顔料などを使用できる。黒色系顔料としては、たとえば、カーボンブラック、酸化銅、二酸化マンガン、活性炭、非磁性フェライト、磁性フェライト、マグネタイトなどの黒色系無機顔料、アニリンブラックなどの黒色系有機顔料などが挙げられる。有彩色系顔料としては、たとえば、黄鉛、亜鉛鉛、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、ミネラルファストイエロー、ニッケルチタンイエロー、ネーブルイエローなどの黄色系無機顔料、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、ハンザイエロー10G、ベンジジンイエローG、ベンジジンイエローGR、キノリンイエローレーキ、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキなどの黄色系有機顔料、赤色黄鉛、モリブデンオレンジなどの橙色系無機顔料、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、バルカンオレンジ、インダスレンブリリアントオレンジRK、ベンジジンオレンジG、インダスレンブリリアントオレンジGKなどの橙色系有機顔料、ベンガラ、カドミウムレッド、鉛丹、硫化水銀、カドミウムなどの赤色系無機顔料、パーマネントレッド4R、リソールレッド、ピラゾロンレッド、ウォッチングレッド、カルシウム塩、レーキレッドC、レーキレッドD、ブリリアントカーミン6B、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、アリザリンレーキ、ブリリアントカーミン3Bなどの赤色系有機顔料、マンガン紫などの紫色系無機顔料、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキなどの紫色系有機顔料、紺青、コバルトブルーなどの青色系無機顔料、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー部分塩素化物、ファーストスカイブルー、インダスレンブルーBCなどの青色系有機顔料、クロムグリーン、酸化クロムなどの緑色系無機顔料、ピグメントグリーンB、マイカライトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンGなどの緑色系有機顔料などが挙げられる。着色剤は1種または2種以上を使用できる。同色系の着色剤を2種以上用いてもよく、異色系のものを混合して用いても良い。着色剤の含有量は、好ましくはトナー粒子全量の1〜20重量%、さらに好ましくはトナー粒子全量の0.2〜10重量%である。
離型剤としてはこの分野で常用されるものを使用でき、たとえば、パラフィンワックスとその誘導体、マイクロクリスタリンワックスとその誘導体などの石油系ワックス、フィッシャートロプシュワックスとその誘導体、ポリオレフィンワックスとその誘導体、低分子量ポリプロピリンワックスとその誘導体、ポリオレフィン系重合体ワックス(低分子量ポリエチレンワックスなど)とその誘導体などの炭化水素系合成ワックス、カルナバワックスとその誘導体、ライスワックスとその誘導体、キャンデリラワックスとその誘導体、木蝋などの植物系ワックス、蜜蝋、鯨蝋などの動物系ワックス、脂肪酸アミド、フェノール脂肪酸エステルなどの油脂系合成ワックス、長鎖カルボン酸とその誘導体、長鎖アルコールとその誘導体、シリコーン系重合体、高級脂肪酸などが挙げられる。なお、誘導体には、酸化物、ビニル系モノマーとワックスとのブロック共重合物、ビニル系モノマーとワックスとのグラフト変性物などが含まれる。ワックスの使用量は特に制限されず広い範囲から適宜選択できるけれども、好ましくは、トナー粒子全量の0.2〜20重量%である。
帯電制御剤としては、たとえば、含金属アゾ染料(クロム・アゾ錯体染料、鉄アゾ錯体染料、コバルト・アゾ錯体染料など)、銅フタロシアニン染料、サリチル酸とそのアルキル誘導体の金属(クロム、亜鉛、アルミニウム、硼素など)錯体およびその塩、ナフトール酸とその誘導体の金属(クロム、亜鉛、アルミニウム、硼素など)錯体およびその塩、ベンジル酸とその誘導体の金属(クロム、亜鉛、アルミニウム、硼素など)錯体およびその塩、長鎖アルキルカルボン酸塩、長鎖アルキルスルホン酸塩などの負帯電性トナー用帯電制御剤、ニグロシン染料とその誘導体、ベンゾグアナミン、トリフェニルメタン誘導体、4級アンモニウム塩、4級ホスフォニウム塩、4級ピリジニウム塩、グアニジン塩、アミジン塩、含窒素官能基を有するモノマー〔N,N−ジメチルアミノメチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのN,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート類、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどのN,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリルアミド類など〕のラジカル重合性共重合体などが挙げられる。帯電制御剤は1種または2種以上を使用できる。帯電制御剤の含有量は好ましくはトナー粒子全量の0.1〜5.0重量%である。
無機微粒子および有機微粒子は、その体積平均粒子径が、好ましくはトナーの体積平均粒子径の1.0×10−3〜3.0×10−2倍程度である。無機微粒子としては、たとえば、二酸化珪素、珪酸アルミニウム、珪酸亜鉛、珪酸マグネシウムなどのシリカ含有微粒子、窒化珪素などの窒化物微粒子、炭化珪素などの炭化物微粒子、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムなどの脂肪族金属塩、鉄、コバルト、ニッケル、銅、アルミニウムなどの金属単体微粒子、酸化ジルコニウム、酸化ケイ素、酸化錫、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化マグネシウム、酸化クロム、マンガン酸化物(ヘマタイト、マグヘマタイトなど)、フェライト、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウムなどの金属酸化物微粒子などが挙げられる。有機微粒子としては、たとえば、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリスチレン、スチレン−アクリル樹脂、ポリウレタンなどからなる微粒子が挙げられる。無機微粒子および有機微粒子は、それぞれ、1種または2種以上を使用できる。無機微粒子と有機微粒子とを併用してもよい。無機微粒子および/または有機微粒子の使用量は、結着樹脂100重量部に対して、好ましくは0.5〜20重量部である。
トナーは、たとえば、溶融混練粉砕法によって製造できる。溶融混練粉砕法によれば、結着樹脂、着色剤、離型剤、電荷制御剤、その他の添加材などのそれぞれ所定量を乾式混合し、得られる混合物を溶融混練し、得られる溶融混練物を冷却して固化させ、得られる固化物を機械的に粉砕することによって製造できる。乾式混合に用いられる混合機としては、たとえば、ヘンシェルミキサ(商品名、三井鉱山(株)製)、スーパーミキサ(商品名、(株)カワタ製)、メカノミル(商品名、岡田精工(株)製)などのヘンシェルタイプの混合装置、オングミル(商品名、ホソカワミクロン(株)製)、ハイブリダイゼーションシステム(商品名、(株)奈良機械製作所製)、コスモシステム(商品名、川崎重工業(株)製)などが挙げられる。混練は、攪拌下に結着樹脂の溶融温度以上の温度(通常は80〜200℃程度、好ましくは100〜150℃程度)に加熱しながら行われる。混練機として、たとえば、二軸押し出し機、三本ロール、ラボブラストミルなどの一般的な混練機を使用できる。さらに具体的には、たとえば、TEM−100B(商品名、東芝機械(株)製)、PCM−65/87(商品名、(株)池貝製)などの1軸もしくは2軸の押出機、ニーデックス(商品名、三井鉱山(株)製)などのオープンロール方式のものが挙げられる。これらの中でも、オープンロール方式のものが好ましい。溶融混練物を冷却して得られる固化物の粉砕には、カッターミル、フェザーミル、ジェットミルなどが挙げられる。たとえば、固化物をカッターミルで粗粉砕した後、ジェットミルで粉砕することによって、所望の体積平均粒子径を有するトナーが得られる。
このようにして得られるトナーの中でも、画像形成装置1で用いるには、体積平均粒子径5〜6μm、着色剤(顔料)濃度5〜12重量%、形状係数SF1 110〜140の高顔料濃度トナーを用いるのが好ましい。この高顔料濃度トナーを用いることによって、画像形成のランニングコストの削減、ならびに画像濃度および彩度の高い高品位画像の形成を両方とも達成できる。体積平均粒子径は次のようにして求められる値である。電解液(商品名:ISOTON−II、ベックマン・コールター社製)50mlに、試料20mgおよびアルキルエーテル硫酸エステルナトリウム1mlを加え、超音波分散器(商品名:UH−50、STM社製)により超音波周波数20kzで3分間分散処理して測定用試料を調製する。この測定用試料について、粒度分布測定装置(商品名:Multisizer2、ベックマン・コールター社製)を用い、アパーチャ径:100μm、測定粒子数:50000カウントの条件下に測定を行い、試料粒子の体積粒度分布から体積平均粒子径を算出できる。また、形状係数SF−1は、具体的には、走査型電子顕微鏡(商品名:S−800、(株)日立製作所製)により倍率5000倍でトナーの写真を撮影し、これを画像解析装置(商品名:LUSEX3、ニレコ社製)に導入して解析を行って「MXLNG」および「AREA」を求め、式(1)に基づいて算出した。式(1)において「MXLNG」はトナー粒子を2次元平面に投影してできる形状の最大長(トナー粒子の絶対最大長)であり、「AREA」はトナー粒子の図形面積(投影面積)である。
SF−1={(MXLNG)2/AREA}×(100π/4) …(1)
なお、体積平均粒子径5〜6μmおよび形状係数SF1 110〜140であるトナーは、たとえば、溶融混練物の固化物を粗粉砕し、得られる粗粉砕物を水性スラリー化し、得られる水性スラリーを高圧ホモジナイザで処理して微粒化し、得られる微粒を水性媒体中で加熱して凝集・溶融させることによって製造できる。溶融混練物の固化物の粗粉砕は、たとえば、ジェットミル、ハンドミルなどを用いて行われる。粗粉砕によって、粒径100μm〜3mm程度の粒径を有する粗粉を得る。粗粉を水に分散させて、水性スラリーを調製する。粗粉を水に分散させるに際しては、たとえば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどの分散剤の適量を水に溶解させておくことによって、粗粉が均一に分散した水性スラリーが得られる。この水性スラリーを高圧ホモジナイザで処理することによって、水性スラリー中の粗粉が微粒化され、体積平均粒子径0.4〜1.0μm程度の微粒を含む水性スラリーが得られる。この水性スラリーを加熱し、微粒を凝集させ、微粒同士を溶融させて結合することによって、所望の体積平均粒子径および形状係数(SF−1)を有するトナーが得られる。体積平均粒子径および形状係数(SF−1)は、たとえば、微粒の水性スラリーの加熱温度および加熱時間を適宜選択することによって、所望の値にすることができる。加熱温度は、結着樹脂の軟化点以上、結着樹脂の熱分解温度未満の温度範囲から適宜選択される。加熱時間が同じである場合には、通常は、加熱温度が高いほど、得られるトナーの体積平均粒子径は大きくなる。
高圧ホモジナイザとしては、市販品、特許文献に記載のものなどが知られる。高圧ホモジナイザの市販品としては、たとえば、マイクロフルイダイザー(商品名、マイクロフルディクス(Microfluidics)社製)、ナノマイザー(商品名、ナノマイザー社製)、アルティマイザー(商品名、(株)スギノマシン製)などのチャンバ式高圧ホモジナイザ、高圧ホモジナイザ(商品名、ラニー(Rannie)社製)、高圧ホモジナイザ(商品名、三丸機械工業(株)製)、高圧ホモゲナイザ(商品名、(株)イズミフードマシナリ製)、NANO3000(商品名、(株)美粒製)などが挙げられる。また、特許文献に記載の高圧ホモジナイザとしては、たとえば、国際公開第03/059497号パンフレットに記載のものが挙げられる。これらの中でも、NANO3000、国際公開第03/059497号パンフレットに記載の高圧ホモジナイザなどが好ましい。
国際公開第03/059497号パンフレットに記載の高圧ホモジナイザ、NANO3000などの高圧ホモジナイザにおいては、トナーの粗粉を粉砕工程、減圧工程および冷却工程で順次処理することによって、粗粉の微粒化が行われる。図2は、NANO300である高圧ホモジナイザ51の構成を簡略化して示す系統図である。高圧ホモジナイザ51は、タンク52と、送りポンプ53と、加圧ユニット54と、加熱器55と、粉砕用ノズル56と、減圧モジュール57と、冷却機58と、配管59と、取り出し口60とを含む。水性スラリーが粉砕用ノズル56を通過するのが粉砕工程であり、水性スラリーが減圧モジュール57を通過するのが減圧工程であり、水性スラリーが冷却機58を通過するのが冷却工程である。
タンク52は粗粉スラリーを貯留する。送りポンプ53は、タンク52内に貯留される粗粉スラリーを加圧ユニット54に向けて送給する。加圧ユニット54にはプランジャポンプを使用する。加熱器55には、図示しないコイル状配管と、加熱手段とを含むものを使用する。加熱手段はコイル状配管の周囲に設けられる配管であり、ボイラから供給される水蒸気によってコイル状配管を加熱する。粉砕用ノズル56は、たとえば、ノズル長0.4mmでかつ長手方向に貫通する径0.09mmの流路が形成されたノズルである。減圧モジュール57は、図3に示す減圧ノズル70である。図3は、減圧ノズル70の構成を模式的に示す長手方向断面図である。減圧ノズル70には、その内部を長手方向に貫通する流路71が形成される。流路71の入口71aおよび出口71bがそれぞれ配管59に連結される。入口71aから粗粉スラリーが流路71内に導入され、粉砕後の粗粉スラリーが出口71bから流路71の外部に排出される。流路71は、粗粉スラリーの流過方向である矢符72の方向に垂直な方向の断面が、入口71aから出口71bに向けて徐々に小さくなるテーパ状に形成される。冷却機58は、冷却用配管内を冷却水が循環する冷却機である。冷却用配管は配管59の周囲に設けられる。配管59は、タンク52、送りポンプ53、加圧ユニット54、加熱器55、粉砕用ノズル56、減圧モジュール57および冷却機58をこの順番でかつ粗粉スラリーが循環可能に連結する。取り出し口60はタンク52と冷却機58との間の配管59に設けられる。粉砕後の粗粉スラリーすなわち微粒を含む水性スラリー(以下「微粒スラリー」とする)は取り出し口60から高圧ホモジナイザ51の外部に取り出される。このようにして得られる微粒スラリーは、上記のように加熱され、微粒が凝集・融合して所望の体積平均粒子径および形状係数(SF−1)を有するトナーが得られる。
クリーニングユニット15は、記録媒体にトナー像を転写した後に、感光体ドラム11の表面に残留するトナーを除去し、感光体ドラム11の表面を清浄化する。クリーニングユニット15には、たとえば、クリーニングブレードなどの板状部材が用いられる。なお、本発明の画像形成装置においては、感光体ドラム11として、主に有機感光体ドラムが用いられ、有機感光体ドラムの表面は樹脂成分を主体とするものであるため、帯電装置によるコロナ放電によって発生するオゾンの化学的作用によって表面の劣化が進行しやすい。ところが、劣化した表面部分はクリーニングユニット15よる擦過作用を受けて摩耗し、徐々にではあるが確実に除去される。したがって、オゾンなどによる表面の劣化の問題が実際上解消され、長期間にわたって、帯電動作による帯電電位を安定に維持することができる。本実施の形態ではクリーニングユニット15を設けるけれども、それに限定されず、クリーニングユニット15を設けなくてもよい。
トナー像形成手段2によれば、帯電手段12によって均一な帯電状態にある感光体ドラム11の表面に、露光ユニット13から画像情報に応じた信号光を照射して静電潜像を形成し、これに現像手段14からトナーを供給してトナー像を形成し、このトナー像を中間転写ベルト25に転写した後に、感光体ドラム11表面に残留するトナーをクリーニングユニット15で除去する。この一連のトナー像形成動作が繰り返し実行される。
転写手段3は、感光体ドラム11の上方に配置され、中間転写ベルト25と、駆動ローラ26と、従動ローラ27と、中間転写ローラ28(b,c,m,y)と、転写ベルトクリーニングユニット29、転写ローラ30とを含む。中間転写ベルト25は、駆動ローラ26と従動ローラ27とによって張架されてループ状の移動経路を形成する無端ベルト状部材であり、矢符Bの方向に回転駆動する。中間転写ベルト25が、感光体ドラム11に接しながら感光体ドラム11を通過する際、中間転写ベルト25を介して感光体ドラム11に対向配置される中間転写ローラ28から、感光体ドラム11表面のトナーの帯電極性とは逆極性の転写バイアスが印加され、感光体ドラム11の表面に形成されたトナー像が中間転写ベルト25上へ転写される。フルカラー画像の場合、各感光体ドラム11で形成される各色のトナー画像が、中間転写ベルト25上に順次重ねて転写されることによって、フルカラートナー像が形成される。駆動ローラ26は図示しない駆動手段によってその軸線回りに回転駆動可能に設けられ、その回転駆動によって、中間転写ベルト25を矢符B方向へ回転駆動させる。従動ローラ27は駆動ローラ26の回転駆動に従動回転可能に設けられ、中間転写ベルト25が弛まないように一定の張力を中間転写ベルト25に付与する。中間転写ローラ28は、中間転写ベルト25を介して感光体ドラム11に圧接し、かつ図示しない駆動手段によってその軸線回りに回転駆動可能に設けられる。中間転写ローラ28は、前述のように転写バイアスを印加する図示しない電源が接続され、感光体ドラム11表面のトナー像を中間転写ベルト25に転写する機能を有する。転写ベルトクリーニングユニット29は、中間転写ベルト25を介して従動ローラ27に対向し、中間転写ベルト25の外周面に接触するように設けられる。感光体ドラム11との接触によって中間転写ベルト25に付着するトナーは、記録媒体の裏面を汚染する原因となるので、転写ベルトクリーニングユニット29が中間転写ベルト25表面のトナーを除去し回収する。転写ローラ30は、中間転写ベルト25を介して駆動ローラ26に圧接し、図示しない駆動手段によって軸線回りに回転駆動可能に設けられる。転写ローラ30と駆動ローラ26との圧接部(転写ニップ部)において、中間転写ベルト25に担持されて搬送されて来るトナー像が、後述する記録媒体供給手段5から送給される記録媒体に転写される。トナー像を担持する記録媒体は、定着手段4に送給される。転写手段3によれば、感光体ドラム11と中間転写ローラ28との圧接部において感光体ドラム11から中間転写ベルト25に転写されるトナー像が、中間転写ベルト25の矢符B方向への回転駆動によって転写ニップ部に搬送され、そこで記録媒体に転写される。
定着手段4は、転写手段3よりも記録媒体の搬送方向下流側に設けられ、定着ローラ31と加圧ローラ32とを含む。定着ローラ31は図示しない駆動手段によって回転駆動可能に設けられ、記録媒体に担持される未定着トナー像を構成するトナーを加熱して溶融させ、記録媒体に定着させる。定着ローラ31の内部には図示しない加熱手段が設けられる。加熱手段は、定着ローラ31表面が所定の温度(加熱温度)になるように定着ローラ31を加熱する。加熱手段には、たとえば、ヒータ、ハロゲンランプなどを使用できる。加熱手段は、後記する定着条件制御手段によって制御される。定着条件制御手段による加熱温度の制御については、後に詳述する。定着ローラ31表面近傍には温度検知センサが設けられ、定着ローラ31の表面温度を検知する。温度検知センサによる検知結果は、後記する制御手段の記憶部に書き込まれる。加圧ローラ32は定着ローラ31に圧接するように設けられ、加圧ローラ32の回転駆動に従動回転可能に支持される。加圧ローラ32は、定着ローラ31によってトナーが溶融して記録媒体に定着する際に、トナーと記録媒体とを押圧することによって、トナー像の記録媒体への定着を補助する。定着ローラ31と加圧ローラ32との圧接部が定着ニップ部である。定着手段4によれば、転写手段3においてトナー像が転写された記録媒体が、定着ローラ31と加圧ローラ32とによって挟持され、定着ニップ部を通過する際に、トナー像が加熱下に記録媒体に押圧されることによって、トナー像が記録媒体に定着され、画像が形成される。
記録媒体供給手段5は、自動給紙トレイ35と、ピックアップローラ36と、搬送ローラ37と、レジストローラ38、手差給紙トレイ39と、表面粗さ検知センサ42とを含む。自動給紙トレイ35は画像形成装置1の鉛直方向下部に設けられ、記録媒体を貯留する容器状部材である。記録媒体には、普通紙、カラーコピー用紙、オーバーヘッドプロジェクタ用シート、葉書などがある。普通紙、カラーコピー用紙などの記録紙を表面粗さによって分類すると、表面粗さ3〜8μmのものが標準紙、表面粗さ3μm未満のものが平滑紙、表面粗さ8μmを超えるものがラフ紙である。標準紙は、主に、一般に市販されるコピー用紙などである。平滑紙は主にコート紙などである。ラフ紙は主に再生紙などである。ピックアップローラ36は、自動給紙トレイ35に貯留される記録媒体を1枚ずつ取り出し、用紙搬送路S1に送給する。搬送ローラ37は互いに圧接するように設けられる一対のローラ部材であり、記録媒体をレジストローラ38に向けて搬送する。レジストローラ38は互いに圧接するように設けられる一対のローラ部材であり、搬送ローラ37から送給される記録媒体を、中間転写ベルト25に担持されるトナー像が転写ニップ部に搬送されるのに同期して、転写ニップ部に送給する。手差給紙トレイ39は、手動動作によって記録媒体を画像形成装置1内に取り込む装置であり、手差給紙トレイ39から取り込まれる記録媒体は、搬送ローラ37によって用紙搬送路S2内を通過し、レジストローラ38に送給される。表面粗さ検知センサ42は、自動給紙トレイ35の内部における記録媒体の上方に設けられる。表面粗さ検知センサ42は記録媒体の表面粗さを検知する表面粗さ検知手段であり、その検知結果は後記する制御手段の記憶部に入力される。表面粗さ検知センサ42には、発光部を有し、発光部から記録媒体に向けて光を照射し、その反射光を検知して表面粗さに変換する型の一般的な表面粗さ検知センサを使用できる。このセンサにおける表面粗さの検出は、JIS B0601−1994に準ずる。記録媒体供給手段5によれば、自動給紙トレイ35または手差給紙トレイ39から1枚ずつ供給される記録媒体を、中間転写ベルト25に担持されるトナー像が転写ニップ部に搬送されるのに同期して、転写ニップ部に送給する。それとともに、表面粗さ検知センサ42によって記録媒体の表面粗さを検知し、制御手段の記憶部に書き込む。
排出手段6は、搬送ローラ37と、排出ローラ40と、排出トレイ41とを含む。搬送ローラ37は、用紙搬送方向において定着ニップ部よりも下流側に設けられ、定着手段4によって画像が定着された記録媒体を排出ローラ40に向けて搬送する。排出ローラ40は、画像が定着された記録媒体を、画像形成装置1の鉛直方向上面に設けられる排出トレイ41に排出する。排出トレイ41は、画像が定着された記録媒体を貯留する。
画像形成装置1は、図示しない制御手段を含む。制御手段は、たとえば、画像形成装置1の内部空間における上部に設けられ、記憶部と演算部と制御部とを含む。制御手段の記憶部には、画像形成装置1の上面に配置される図示しない操作パネルを介する各種設定値、画像形成装置1内部の各所に配置される図示しないセンサなどからの検知結果、外部機器からの画像情報などが入力される。また、各種手段を実行するプログラムが書き込まれる。各種手段とは、たとえば、記録媒体判定手段、付着量制御手段、定着条件制御手段などである。記憶部には、この分野で常用されるものを使用でき、たとえば、リードオンリィメモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、ハードディスクドライブ(HDD)などが挙げられる。外部機器には、画像情報の形成または取得が可能であり、かつ画像形成装置に電気的に接続可能な電気・電子機器を使用でき、たとえば、コンピュータ、デジタルカメラ、テレビ、ビデオレコーダ、DVDレコーダ、HDVD、ブルーレイディスクレコーダ、ファクシミリ装置、携帯端末装置などが挙げられる。演算部は、記憶部に書き込まれる各種データ(画像形成命令、検知結果、画像情報など)および各種手段のプログラムを取り出し、各種判定を行う。制御部は、演算部の判定結果に応じて該当装置に制御信号を送付し、動作制御を行う。制御部および演算部は中央処理装置(CPU、
Central Processing Unit)を備えるマイクロコンピュータ、マイクロプロセッサなどによって実現される処理回路を含む。制御手段は、前述の処理回路とともに主電源を含み、電源は制御手段だけでなく、画像形成装置1内部における各装置にも電力を供給する。
記憶媒体判定手段は、表面粗さ検知センサ42の検知結果に応じて、記録媒体が標準紙、平滑紙またはラフ紙のいずれであるかを判定する。表面粗さ検知センサ42は、給紙トレイ35に収容され、次回の画像形成時に画像形成用の記録媒体として供される一番上に載置される記録媒体の表面粗さを検知する。表面粗さ検知センサ42による検知結果は制御手段に入力され、制御手段の記憶部に書き込まれる。表面粗さ検知センサ42による検知結果(以下「表面粗さ検知結果」とする)が制御手段の記憶部に入力されると、記憶媒体判定手段のプログラムが演算部に展開され、記憶媒体の判定が開始される。記憶媒体判定手段は、記憶部に予め書き込まれる標準紙(表面粗さ3〜8μm)、平滑紙(表面粗さ3μm未満)およびラフ紙(表面粗さ<8μm)の表面粗さ値を取り出し、同じく記憶部から取り出される表面粗さ検知結果を取り出して両者を比較し、表面粗さ検知結果がどの用紙の表面粗さ範囲に入るかを調べ、記録媒体の種類を判定する。この判定結果は記憶部に入力される。この判定結果が記憶部に入力すると、演算部において付着量制御手段および定着条件制御手段が立ち上がる。なお、記録媒体の表面粗さが使用者によって予め認識できる場合は、画像形成装置1の鉛直方向上面に設けられる図示しない表示パネルに記憶媒体判定ボタンを設け、使用者によって、記録媒体の表面粗さに基づく種類を制御手段に入力してもよい。記憶媒体判定手段は、使用者による入力結果がある場合、表面粗さ検知センサ42による検知結果と使用者による入力結果とが一致することを確認した上で、記録媒体の判定を行うのが好ましい。また、使用者による入力結果に基づいて、付着量制御手段による付着量制御を行ってもよい。
付着量制御手段は、記憶媒体判定手段の判定結果(以下「記憶媒体判定結果」とする)に応じて、トナー付着量を制御する。記録媒体毎のトナー付着量の基準範囲は、予め記憶部に書き込まれる。記録媒体が標準紙である場合のトナー付着量は0.4mg/cm2以下である。下限は特に制限されず、形成しようとする画像の種類などに応じて、当業者が選択し得る範囲の中から適宜選択すればよい。たとえば、印字率によっては、トナー付着率が0.1mg/cm2以下でも良い。また、標準紙に印字率100%のベタ画像を形成する場合には、トナー付着率は0.25〜0.4mg/cm2の範囲から選択するのが好ましい。画像面積率記録媒体が平滑紙である場合のトナー付着量は、標準紙のトナー付着量の0.9倍以下、好ましくは0.7〜0.9倍である。記録媒体がラフ紙である場合のトナー付着量は、標準紙のトナー付着量の1.2倍以上、好ましくは1.2〜1.5倍である。これらの基準範囲が記憶部に予め書き込まれる。付着量制御手段は、記憶媒体判定結果を記憶部から取り出し、記憶媒体判定結果に応じてトナー付着量の適切な基準範囲を記憶部から取り出す。さらに、記憶部に書き込まれる画像情報の中から印字率のデータを取り出し、印字率に応じてトナー付着量を補正する。トナー付着量と印字率とは正比例の関係にあると前提して補正を行う。たとえば、印字率100%におけるトナー付着量を基準範囲の最高値(標準紙では0.4mg/cm2)とする。印字率が判れば、印字率100%におけるトナー付着量から最適なトナー付着量を算出できる。このようにして付着量制御手段は、記録媒体に対するトナー付着量を制御する。付着量制御手段によって判定されるトナー付着量は記憶部に書き込まれる。付着量制御手段は、現像バイアスを変化させることによってトナー付着量を制御する。記憶部には、現像バイアス値とトナー付着量との関係がデータテーブルとして予め書き込まれているので、付着量制御手段は記憶部から前記データテーブルを取り出し、決定されたトナー付着量を実現するのに必要な現像バイアス値を決定する。この結果に基づいて、制御手段の制御部から現像ローラに現像バイアスを印加する図示しない電源に制御信号が送られ、付着量制御手段によって決定された現像バイアス値が現像ローラに印加される。
定着条件制御手段は、記憶媒体判定結果に応じて、定着条件を制御する。定着条件には、たとえば、加熱温度、加圧圧力、定着ニップ部における搬送速度などがある。トナー付着量を制御する場合、一定の高品位画質を得るためには、これらの定着条件の中でも加熱温度を制御するのが好ましい。したがって、定着条件制御手段は、記憶媒体判定結果に応じて、加熱温度を制御する。ここでの加熱温度は定着ローラ31の表面温度になる。制御手段の記憶部には、記録媒体の表面粗さに基づく種類において、加熱温度の基準範囲が予め入力される。標準紙は160〜170℃である。平滑紙は150℃以上、160℃未満である。ラフ紙は170℃を超え180℃以下である。また、記憶部には、記録媒体の表面粗さに基づく種類毎に、印字率と加熱温度との関係がデータテーブルとして入力される。また、記憶部には、定着ローラ31の表面近傍に設けられる温度センサによる検知結果(定着ローラ31の表面温度の検知結果)が書き込まれる。記憶媒体判定結果の記憶部への入力とともに立ち上がる定着条件制御手段は、まず、記憶媒体判定結果に基づいて、記憶部から加熱温度の基準範囲を取り出す。次に、記憶部から印字率のデータと印字率と加熱温度との関係を示すデータテーブルを取り出し、加熱温度を決定する。次に、記憶部から温度センサによる検知結果を取り出し、決定された加熱温度と温度センサによる検知結果とを比較する。決定された加熱温度が検知結果より低いという比較結果が得られる場合、その比較結果に基づいて、制御手段の制御部から、定着ローラ31に内蔵される図示しない加熱手段に発熱用の電圧を印加する電源に制御信号を送り、定着ローラ31の表面温度が決定された加熱温度まで上昇するように電圧を印加させる。決定された加熱温度が検知結果よりも高いとの比較結果が得られる場合、制御手段の制御部は、定着ローラ31周辺の空気を排気することによって定着ローラ31の表面温度を低下させる図示しない冷却用排気ファンを駆動させる駆動源に制御信号を送り、定着ローラ31を冷却してその表面温度を決定された加熱温度まで低下させる。このようにして、トナー付着量と定着時の加熱温度とを制御できる。
画像形成装置1によれば、トナー像形成手段2で形成されるトナー像を転写手段3の中間転写ベルト25に転写し、さらに中間転写ベルト25上のトナー像を記録媒体に転写し、定着手段4によってトナー像を記録媒体に定着させて画像を形成し、この画像形成済記録媒体を排出手段6経由で、排出トレイ41に排出する。この画像形成動作に際し、記録媒体の表面粗さに応じてトナー付着量および定着条件を制御することによって、記録媒体の種類に関係なく、一定の高品位画質を有する画像が安定的に形成される。
以下に製造例、実施例および比較例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明する。なお、本実施例において、結着樹脂の軟化点およびガラス転移温度は以下の方法に従って測定した。また、本実施例において、「部」および「%」は特に断わらない限り、それぞれ「重量部」および「重量%」を意味する。
〔軟化点〕
軟化点は流動特性評価装置(商品名:フローテスターCFT−100C、株式会社島津製作所製)を用いて測定した。流動特性評価装置(フローテスターCFT−100C)において、荷重10kgf/cm2(9.8×105Pa)与えて試料1gがダイ(ノズル、口径1mm、長さ1mm)から押出されるように設定し、昇温速度毎分6℃で加熱し、ダイから試料の半分量が流出したときの温度を求め、軟化点とした。
〔ガラス転移温度(Tg)〕
示差走査熱量計(商品名:DSC220、セイコー電子工業(株)製)を用い、日本工業規格(JIS)K7121−1987に準じて、試料1gを昇温速度毎分10℃で加熱してDSC曲線を測定した。得られたDSC曲線のガラス転移に相当する吸熱ピークの高温側のベースラインを低温側に延長した直線と、ピークの立ち上がり部分から頂点までの曲線に対して勾配が最大になるような点で引いた接線との交点の温度をガラス転移温度(Tg)として求めた。
(製造例1)
ポリエステル樹脂(結着樹脂、ガラス転移温度60℃、軟化点110℃)87.5部、PR122(商品名、着色剤、大日精化工業(株)製)8部、ポリエステル系ワックス(融点85℃)3部および帯電制御剤(商品名:TRH、保土ヶ谷化学工業(株)製)2部を粉体混合機(商品名:ヘンシェルミキサ、三井鉱山(株)製)で混合し、得られた混合物をオープンロール連続混練造粒機(商品名:ニーデックス、三井鉱山(株)製)にて
150℃で混練して溶融混練物を調製した。この溶融混練物を冷却ベルトにて冷却後、カッターミル(商品名:VM−16、(株)セイシン企業製)にて粗粉砕し、粒径100μm〜3mmの粗砕物を調製した。この粗砕物100部と、高分子分散剤(商品名:ジョングリル51、ジョンソンポリマー(株)製)1部およびドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1部を脱イオン水490部に溶解した水溶液とを混合し、得られた混合物を混合機(商品名:ニュージェネレーションミキサNGM−1.5TL、(株)美粒製)に投入し、2000rpmで5分攪拌した後脱気して粗粉スラリーを調製した。
上記で得られた粗粉スラリー800gを高圧ホモジナイザ(商品名:NANO3000、(株)美粒製)のタンクに投入し、温度を120℃以上に維持しかつ210MPaの加圧下に、該高圧ホモジナイザ内を40分間循環させ、体積平均粒子径0.4〜1.0μm以上の着色剤含有樹脂粒子を含む水性スラリーを調製した。この水性スラリーを攪拌下に90℃で30分間加熱し、着色剤含有樹脂粒子を凝集および溶融させ、体積平均粒子径5.5μm、形状係数(SF−1)134のトナー粒子を製造した。
ここで用いられる高圧ホモジナイザ(NANO3000)は、図2に示す粉砕用高圧ホモジナイザ51である。加熱器55に内蔵される図示しないコイル状配管は、コイル内径4.0mm、コイル半径(コイル曲率半径)40mm、コイル巻き数50である。粉砕用ノズル56は、ノズル長0.4mmでかつ長手方向に貫通する径0.09mmの流路が形成されたノズルである。減圧モジュール57は、図3に示す減圧ノズル70である。ノズル長150mm、入口71aの径2.5mm、出口71bの径0.3mmである。
(製造例2)
製造例1において、高圧ホモジナイザによって粉砕処理を施されて得られる体積平均粒子径0.4〜1.0μm以上の着色剤含有樹脂粒子を含む水性スラリーを100℃で30分間加熱する以外は、製造例1と同様にして、体積平均粒子径6.5μm、形状係数(SF−1)134のトナー粒子を製造した。
(製造例3)
ポリエステル樹脂(結着樹脂、ガラス転移温度60℃、軟化点110℃)87.5部、PR122(商品名、着色剤、大日精化工業(株)製)8部、ポリエステル系ワックス(融点85℃)3部および帯電制御剤(商品名:TRH、保土ヶ谷化学工業(株)製)2部を粉体混合機(商品名:ヘンシェルミキサ、三井鉱山(株)製)で混合し、得られた混合物をオープンロール連続混練造粒機(商品名:ニーデックス、三井鉱山(株)製)にて
150℃で混練して溶融混練物を調製した。この溶融混練物を冷却ベルトにて冷却後、カッターミル(商品名:VM−16、(株)セイシン企業製)にて粗粉砕し、粒径100μm〜3mmの粗砕物を調製した。この粗砕物を衝突式気流粉砕機(商品名:ジェットミル、ホソカワミクロン(株)製)によって所望の体積平均粒子径になるまで粉砕し、体積平均粒子径5.5μm、形状係数(SF−1)152のトナー粒子を製造した。
(製造例4)
ポリエステル樹脂の使用量を87.5部から91部に変更しかつ着色剤の使用量を8部から4.5部に変更する以外は、製造例3と同様にして、体積平均粒子径5.5μm、形状係数(SF−1)152のトナー粒子を製造した。
(実施例1〜6および比較例1〜2)
製造例1〜4で得られたトナー粒子100部に、シランカップリング剤で疎水化処理された平均1次粒子径20nmのシリカ粒子0.7部および酸化チタン1部を混合して、本発明で使用するトナーを製造した。得られたトナー70gと、磁性キャリア(体積平均径50μm、シリコーン樹脂被覆キャリア、パウダーテック(株)製)930gとをV型混合機にて30分間撹拌混合して2成分現像剤を調製した。この2成分現像剤を、市販プリンタ(商品名:MX−4500、シャープ(株)製)から定着装置を取り除いた試験用プリンタの現像装置に充填し、A4判の記録用紙上に、トナー付着量を調整して、縦20mm、横50mmの長方形状のべた画像部を未定着の状態で形成した。その後定着用加熱ローラを備える外部定着機(商品名:LIBRE AR−C260、シャープ(株)製)を用い、記録用紙の通紙速度を毎秒120mmとして、形成された未定着トナー像の定着を行い、評価用画像を作成した。なお、画像形成条件は表1に示すとおりである。得られた評価用画像について、下記の方法に従って画像濃度および彩度を評価した。結果を表2に示す。
[画像濃度]
定着用加熱ローラの表面温度が170℃のときに形成される画像について、反射濃度計(商品名:RD918、マクベス社製)を用いて、ベタ画像部の光学反射濃度を測定し、これを画像濃度とした。画像濃度が1.40以上1.5未満である場合を「○」、1.3以上1.4未満である場合を「△」、それ以外を「×」と評価した。
[彩度]
定着用加熱ローラの表面温度が170℃のときに形成される画像について、分光光度計(商品名:X−Rite938、X−Rite社製)を用いて、日本工業規格(JIS)Z 8729に規定されるL*a*b*表色系(CIE1976)における色座標a*およびb*を測定し、下記式(2)に基づいて、abクロマ(C*ab)の値を算出し、以下の基準で彩度を評価した。
C*ab=[(a*)2+(b*)2]1/2 …(2)
以下の基準に基づいて彩度を評価した。
○:良好。C*abが60以上である。
△:実用上問題なし。C*abが55以上、60未満である。
×:不良。C*abが55未満である。
なお、総合評価は、画像濃度および彩度の両方「○」の場合に「◎」と評価し、「○」と「△」とが1つずつの場合は「○」と評価し、それ以外は「×」と評価した。
表2から、トナー付着量と定着温度(加熱温度)とを制御することによって、ほぼ同じ画像濃度と彩度とを有する高品位画像を形成できることが明らかである。