JP2009138685A - バルブタイミング調整装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】バルブタイミング調整装置1は、収容室25、26、27、28を有するハウジング10と、油圧によりハウジング10に対して相対回転駆動されるベーンロータ40と、ベーンロータ40の外周壁に設けられる案内溝51、52、53、54に摺動可能に案内され、先端がハウジングの内壁16、17、18、19に液蜜に摺接するシール部材61、62、63、64と、ベーンロータ40をハウジング10に対して進角側に付勢するトーションスプリング80とを備える。そして、ハウジング10の内周壁は、ベーンロータ40の遅角方向に行くに従い、ベーンロータ回転中心軸から遠くなる曲面形状となっている。
【選択図】図1
Description
特許文献1によると、内燃機関の始動時における低油圧のときにはすべての進角室または遅角室に油圧を供給し、内燃機関の通常運転時おける高油圧のときにはいずれかの進角室または遅角室に供給する油圧を遮断することによってベーンロータに作用する油圧を変更するバルブタイミング調整装置が知られている。しかし、このバルブタイミング調整装置は、トーションスプリングの回転トルクの影響を減少し、精密な位相制御を可能とするものではない。
また、本発明の別の目的は、体格を小さくするバルブタイミング調整装置を提供することにある。
さらに、収容室を形成するハウジングの内周壁を、ベーンロータの進角側に行くに従い、ベーンロータ回転中心に近くなる曲面形状とすることにより、バルブタイミング調整装置の体格を小さくすることができる。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態によるバルブタイミング調整装置を図1〜図7に示す。本実施形態のバルブタイミング調整装置1は作動流体として作動油を用いる油圧制御式であり、内燃機関の排気弁について始動時の位相を進角側に制御するバルブタイミングを調整するものである。
駆動側回転体であるハウジング10は、チェーンスプロケット11、シューハウジング12から構成されている。チェーンスプロケット11は、図示しない内燃機関の駆動軸としてのクランクシャフトとチェーンにより結合し、クランクシャフトと同期して回転する。カムシャフト2は、チェーンスプロケット11に対し相対回転可能にチェーンスプロケット11に挿入され、チェーンスプロケット11に対し所定の位相差をおいて回転する。クランクシャフトの駆動力は、バルブタイミング装置1を経由して従動軸としてのカムシャフト2に伝達され、排気弁を開閉駆動する。チェーンスプロケット11およびカムシャフト2は、図3に示す矢印X方向から見て時計回りに回転する。以下、この回転方向を進角方向とし、反回転方向を遅角方向とする。
図2に示すように、ベーン42のシュー21側の面がシュー21に当接することで、ベーンロータ40の遅角方向の回転範囲を規制している。ベーン42とシュー21が当接する位置がハウジング10に対するベーンロータ40の最遅角位置である。ベーンロータ40が最遅角位置にあるとき、回転中心軸Oから後述するシール部材64と周壁19との接点までの距離はL2である。
ベーンロータ40の回転中心軸Oと周壁19の内壁面との距離は、シール部材64がベーンロータ40の最遅角位置で接する位置から、最遅角にあるときで接する位置までの間、穏やかな円弧で連続して大きくなっている。回転中心軸Oから周壁19とシール部材64との接線までの距離は、ベーンロータ40が最進角位置から最遅角位置まで移動する間にL2−L1大きくなっている。
図4に示すように、ベーンロータ40が最進角側に位置するとき、シール部材64は、ベーン45に形成された案内溝54に大部分が収納され、案内溝54から周壁19に向けて僅かに突出している。ベーン45は、径方向外側の外壁面から径方向内側に形成される案内溝54にシール部材64を収納可能である。
シール部材64の先端となる摺接面642は、曲面形状となっている。これにより、進角室34と遅角室39との作動油の流れを確実に防止できる。
図6に示すように、格納溝641には、2つのコイルスプリング74a、74bが格納されている。摺接面642は、コイルスプリング74a、74bの復元力により周壁19の内壁面に押し付けられている。
図7に示すように、摺接面642は、コイルスプリング74a、74bの復元力により周壁19の内壁に押し付けられている。シール部材64の摺接面642と反対側の面と案内溝54の底面との隙間は大きく開いている。図6と図7の状態において、シール部材64の摺接面642と反対側の面と案内溝54の底面との間隔は、L2−L1大きくなっている。このため、シール部材64の径方向の長さはL2−L1よりも大きく形成されている。
トーションスプリング80の復元力はハウジング10に対してベーンロータ40を進角方向へ回転させる付勢トルクとして働いている。このトルクは、ベーンロータ40が最遅角位置にあるときに最大となり、ベーンロータ40が進角方向に移動するに従い小さくなる。なお、このトルクは、排気弁からカムシャフト2が受ける平均正トルクより常に大きい。排気弁からカムシャフト2が受ける平均正トルクとは、ハウジング10に対してベーンロータ40を遅角方向に相対回転させる向きのトルクをいう。
<最進角位置における位相保持制御時>
バルブタイミング調整装置がベーンロータ40の位相を最進角位置に保持している状態を図1、図4および図6を用いて説明する。図1では、切換弁の作動により進角室31、32、33、34および遅角室36、37、38、39から作動油が排出されるのを防止し、ベーンロータ40を最進角位置で位相保持している。この状態におけるシール部材64の詳細を図4および図6に示す。
一方、シール部材64は、案内溝54から僅かに押し出され、周壁19に液密に摺接している。このため、油圧がシール部材64の外壁643、644に作用する面積は僅かとなっている。また、周壁19の内壁と摺接面642とは常に当接し、遅角室39と進角室34との作動油の流れを常に遮断している。これにより、遅角室39および進角室34に供給される油圧は、確実にベーン45の外壁452、453に作用し、トルクを発生させる。ここで、シール部材64の外壁643、644に作用し、発生するトルクは僅かである。
このため、ベーンロータ40を進角方向へ回転させるトーションスプリング80のトルクが最小となっているとき、油圧がベーン45の外壁452、453およびシール部材64の外壁643、644に作用し、ベーンロータ40を位相保持するトルクは小さい。
バルブタイミング調整装置がベーンロータ40の位相を最遅角位置に保持している状態を図2、図5および図7を用いて説明する。図2では、切換弁の作動により進角室31、32、33、34および遅角室36、37、38、39から作動油が排出されるのを防止し、ベーンロータ40を最遅角位置で位相保持している。この状態におけるシール部材64の詳細を図5および図7に示す。
このとき、トーションスプリング80のトルクは、ベーンロータ40が遅角方向に移動するに従い大きくなるので、最遅角位置において最大となっている。
このため、ベーンロータ40を進角方向へ回転させるトーションスプリング80のトルクが最大となっているとき、油圧がベーン45の外壁452、453およびシール部材64の外壁643、644に作用し、ベーンロータ40を位相保持するトルクは大きい。
これにより、ベーンロータ40が遅角方向に回転するに従い、トーションスプリング80のトルクが増加し、このトルクが位相制御に与える影響を相対的に減少させることができる。
バルブタイミング調整装置がベーンロータ40の位相を進角制御している状態を図1を用いて説明する。図1では、切換弁の作動により進角室31、32、33、34に作動油が供給され、油圧がベーン42、43、44、45およびシール部材61、62、63、64の進角室31、32、33、34側の外壁に作用し、ベーンロータ40を進角側に付勢するトルクを発生する。一方、遅角室36、37、38、39から作動油が排出されている。これにより、ベーンロータ40は、進角方向に回転する。
バルブタイミング調整装置がベーンロータ40の位相を遅角制御している状態を図2を用いて説明する。図2では、切換弁の作動により遅角室36、37、38、39に作動油が供給され、油圧がベーン42、43、44、45およびシール部材61、62、63、64の遅角室36、37、38、39側の外壁に作用し、ベーンロータ40を遅角側に付勢するトルクを発生する。一方、進角室31、32、33、34から作動油が排出されている。これにより、ベーンロータ40は、遅角方向に回転する。
破線aは、従来のバルブタイミング調整装置の位相を油圧で制御するときに発生するトルクの変化を示している。従来のバルブタイミング調整装置において、ベーンロータが最進角位置から最遅角位置に移動する間、油圧がベーンロータ及びシール部材に作用し、発生するトルクは一定である。
上記実施形態では、周壁19の内壁を、シール部材64がベーンロータ40の最遅角位置で接する位置から、最遅角にあるときで接する位置までの間、穏やかな円弧で連続して拡大するバルブタイミング調整装置1について説明した。これに対し、トーションスプリングのトルクがベーンロータの回転角度に比例して大きくなるのに対応し、周壁19の内壁をインボリュート曲線状又は直線状に拡大させてもよい。これにより、トーションスプリングの付勢力の変化に対応してベーンロータに作用する作動油のトルクを大きくすることができる。
このように、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、上記複数の実施形態を組み合わせることに加え、他の種々の実施形態に適用可能である。
Claims (4)
- 内燃機関の駆動軸から吸気弁および排気弁の少なくともいずれか一方を開閉駆動する従動軸に駆動力を伝達する駆動力伝達系に設けられ、前記吸気弁および前記排気弁の少なくともいずれか一方の開閉タイミングを調整するバルブタイミング調整装置において、
前記駆動軸および前記従動軸の一方とともに回転し、回転方向に所定角度範囲で形成される収容室を有するハウジングと、
前記駆動軸および前記従動軸の他方とともに回転し、前記収容室を遅角室および進角室に仕切り、前記遅角室および前記進角室に供給される作動流体の圧力により遅角側または進角側に前記ハウジングに対して相対回動するように駆動されるベーンロータと、
前記ベーンロータに形成される案内溝に摺動可能に案内され、先端が前記ハウジングの内壁に液密に摺接するシール部材と、
一端が前記ベーンロータに係止され、他端が前記ハウジングに係止され、前記ハウジングに対し前記ベーンロータを進角側に付勢する付勢手段と、を備え、
前記収容室を形成するハウジングの内周壁は、前記ベーンロータの遅角側にいくに従い、ベーンロータ回転中心軸から遠くなる曲面形状であることを特徴とするバルブタイミング調整装置。 - 前記ベーンロータによって仕切られる収容室は、進角側から遅角側に前記収容室の有効半径が大きくなっていることを特徴とする請求項1記載のバルブタイミング調整装置。
- 前記ベーンロータの前記案内溝に前記シール部材をベーンロータ径外方向に付勢する圧縮スプリングを備えることを特徴とする請求項1または2記載のバルブタイミング調整装置。
- 内燃機関の駆動軸から吸気弁および排気弁の少なくともいずれか一方を開閉駆動する従動軸に駆動力を伝達する駆動力伝達系に設けられ、前記吸気弁および前記排気弁の少なくともいずれか一方の開閉タイミングを調整するバルブタイミング調整装置において、
前記駆動軸および前記従動軸の一方とともに回転し、回転方向に所定角度範囲で形成される収容室を有するハウジングと、
前記駆動軸および前記従動軸の他方とともに回転し、前記収容室を遅角室および進角室に仕切り、前記遅角室および前記進角室に供給される作動流体の圧力により遅角側または進角側に前記ハウジングに対して相対回動するように駆動されるベーンロータと、
前記ベーンロータに形成される案内溝に摺動可能に案内され、先端が前記ハウジングの内壁に液密に摺接するシール部材と、
一端が前記ベーンロータに係止され、他端が前記ハウジングに係止され、前記ハウジングに対し前記ベーンロータを進角側に付勢する付勢手段と、を備え、
前記収容室を形成するハウジングの内周壁は、前記ベーンロータの進角側にいくに従い、ベーンロータ回転中心軸から近くなる曲面形状であることを特徴とするバルブタイミング調整装置。
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