JP2009138675A - 内燃機関の着火時期判定システム - Google Patents

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Abstract

【課題】筒内圧センサ及びクランク角度センサの測定値に基づいて算出される熱発生率に基づいて行われる着火時期判定の判定精度を高める技術を提供する。
【解決手段】圧縮上死点近傍の所定クランク角度範囲内において燃料の蒸発による熱吸収及び燃焼による熱発生が行われない所定条件下で、当該所定クランク角度範囲内の複数点における熱発生率を算出し、当該複数点における熱発生率の平均値を算出し、クランク角度センサにオフセット誤差が存在しないことを想定して設定される基本判定基準値に当該平均値を加算した値を着火時期判定に係る判定基準値とし、筒内圧の測定値及びクランク角度の測定値に基づいて算出される熱発生率が当該判定基準値を超えた時を着火時期と判定する。
【選択図】図9

Description

本発明は、内燃機関の着火時期判定システムに関する。
内燃機関の筒内圧を筒内圧センサによって測定し、内燃機関のクランク角度をクランク角度センサによって測定し、当該筒内圧の測定値及びクランク角度の測定値に基づいて燃焼室内の熱発生率を算出し、当該熱発生率の算出値と判定基準値との比較に基づいて燃料の着火時期と判定する着火時期判定方法が知られている(例えば、特許文献1、2を参照)。
特開2006−144639号公報 特開平11−125141号公報
クランク角度センサの出力信号にはオフセット誤差が含まれる場合がある。オフセット誤差は、クランク角度センサ個々の特性のばらつき、クランク角度センサの取り付け位置のばらつき、クランク角度センサの使用過程での特性変化、運転状態の変化や車体の経時的な変化によるクランク角度センサの取り付け位置の変化等、様々な要因で生じる可能性がある。クランク角度センサの出力信号にオフセット誤差が含まれる場合、クランク角度センサによって測定されたクランク角度の測定値と、実際のクランク角度との間にずれが生じる。そのため、クランク角度の測定値に基づいて算出される熱発生率の値が、実際の熱発生率からずれた値となる可能性がある。その場合、当該算出された熱発生率に基づいて行われる着火時期判定において、正確な着火時期判定ができない虞がある。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、筒内圧センサ及びクランク角度センサの測定値から算出される熱発生率に基づいて行われる着火時期判定の判定精度を高める技術を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の内燃機関の着火時期判定システムは、
内燃機関の筒内圧を測定する筒内圧センサと、
前記内燃機関のクランク角度を測定するクランク角度センサと、
前記筒内圧センサによる筒内圧の測定値及び前記クランク角度センサによるクランク角度の測定値に基づいて前記内燃機関の燃焼室内の熱発生率を算出する熱発生率算出手段と、
前記熱発生率算出手段によって算出される熱発生率に基づいて燃料の着火時期を判定する着火時期判定手段と、
を備え、
前記着火時期判定手段による着火時期の判定に係る値を前記クランク角度センサのオフセット誤差に相関する値に基づいて算出又は補正することを特徴とする。
上記構成において、「着火時期判定手段による着火時期の判定に係る値」とは、燃料が着火する時期を着火時期判定手段が判定するために参照される物理量や当該物理量との比較の対象として設定される判定基準値等を含む。例えば、熱発生率算出手段によって算出される熱発生率(以下、「熱発生率算出値」という)、クランク角度センサや筒内圧センサによる測定値、それらの測定値に基づく計算により算出される量や値、それらの量や値との比較の対象として設定される判定基準値等を例示できる。また、「クランク角度セン
サのオフセット誤差に相関する値」とは、クランク角度センサの出力にオフセット誤差が存在することにより生じる量や値を含む。例えば、オフセット誤差自体、オフセット誤差と一定の関数関係にある量や値、クランク角度センサによるクランク角度の測定値、当該クランク角度の測定値を用いて算出される量や値(例えば熱発生率算出値)等を例示できる。
上記のように構成された本発明の着火時期判定システムによれば、クランク角度センサのオフセット誤差に相関する値に基づいて算出又は補正された値に基づいて、着火時期の判定を行うことができる。例えば、クランク角度センサのオフセット誤差に起因して熱発生率算出値に含まれる誤差を熱発生率算出値から除去したり、当該誤差に応じて着火時期判定に係る判定基準値を変更したり、当該誤差が熱発生率算出値に含まれないように熱発生率算出手段による熱発生率の算出に係る量や値を補正したりすることができる。これにより、クランク角度センサのオフセット誤差の有無によらず、熱発生率算出値に基づく判定により精度良く正確に着火時期の判定を行うことが可能になる。
上記本発明において、着火時期判定手段は、熱発生率算出値がある判定基準値を超えた時を着火時期と判定する手段として構成することができる。この場合、上述の「着火時期判定手段による着火時期の判定に係る量や値」としては、熱発生率算出値や判定基準値が考えられる。従って、この場合の本発明は、判定基準値、熱発生率算出値又はその両方を、「クランク角度センサのオフセット誤差に相関する量や値」に基づいて算出又は補正する構成とすることができる。
例えば、上記本発明において、着火時期判定に係る値として、判定基準値を、クランク角度センサのオフセット誤差に相関する量や値に基づいて算出又は補正する構成とする場合、上記本発明の構成において、
前記熱発生率算出手段による熱発生率の算出値との比較により着火時期を判定するための判定基準値を前記クランク角度センサのオフセット誤差に相関する値に基づいて算出する判定基準値算出手段を更に備え、
前記着火時期判定手段は、前記熱発生率算出手段によって算出される熱発生率が前記判定基準値算出手段によって算出される判定基準値を超える時を着火時期と判定する手段とすることができる。
このように構成した本発明の着火時期判定システムは、熱発生率算出値にクランク角度センサのオフセット誤差に起因する誤差が含まれている場合においても、その誤差を含んだ熱発生率算出値との比較によって正確な着火時期判定が可能なように、判定基準値を設定することを特徴とする。例えば、クランク角度センサにオフセット誤差が存在しないことを想定して設定された判定基準値に対して、クランク角度センサのオフセット誤差の存在に起因して熱発生率算出値に生じる誤差に対応する分だけずらした値を、実際に着火時期判定の判定基準値として用いることができる。
こうすることによって、熱発生率算出値と実際の熱発生率との間にクランク角度センサのオフセット誤差に起因する誤差が生じていても、着火時期判定における判定基準値にも当該誤差に対応する分のずれが設定されることになる。従って、オフセット誤差に起因する誤差を含む熱発生率算出値と、このように設定された判定基準値と、の比較において、両者に同等に含まれる誤差が相殺されるので、クランク角度センサのオフセット誤差が存在しないことを想定して設定された判定基準値と実際の熱発生率との比較に基づく着火時期判定と実質的に同等の判定を行うことができる。これにより、熱発生率算出値にクランク角度センサのオフセット誤差に起因する誤差が含まれている場合においても、精度良く正確な着火時期の判定を行うことが可能となる。
また、上記本発明において、着火時期判定に係る値として、熱発生率算出値を、クランク角度センサのオフセット誤差に相関する量や値に基づいて算出又は補正する構成とする場合、上記本発明の構成において、
前記熱発生率算出手段による熱発生率の算出値を前記クランク角度センサのオフセット誤差に相関する値に基づいて補正した熱発生率補正値を算出する補正手段を更に備え、
前記着火時期判定手段は、前記補正手段によって算出された熱発生率補正値が所定の判定基準値を超える時を着火時期と判定する手段とすることができる。
このように構成した本発明の着火時期判定システムは、熱発生率算出値にクランク角度センサのオフセット誤差に起因する誤差が含まれている場合には、所定の判定基準値を着火時期判定における判定基準値として正確な着火時期判定が可能なように、当該誤差を含む熱発生率算出値を補正することを特徴とする。例えば、クランク角度センサのオフセット誤差に相関する値や量に基づいて、クランク角度センサのオフセット誤差に起因する誤差を熱発生率算出値から除去する補正を行い、これを熱発生率補正値とすることができる。或いは、熱発生率算出手段が熱発生率算出値を算出する際に用いる値や量(例えばクランク角度センサによるクランク角度の測定値等)を、クランク角度センサのオフセット誤差に相関する値や量に基づいて補正し、当該補正された値や量を用いて熱発生率算出手段により算出される熱発生率を、熱発生率補正値とすることができる。
このようにして算出される熱発生率補正値と実際の熱発生率との間に含まれるクランク角度センサのオフセット誤差に起因する誤差は、熱発生率算出値と実際の熱発生率との間に含まれる当該誤差と比較して十分に小さくすることができる。従って、クランク角度センサにオフセット誤差が存在する場合においても、熱発生率補正値と所定の判定基準値との比較に基づいて着火時期判定を行うことにより、精度良く正確な着火時期の判定を行うことができる。
ここで、「所定の判定基準値」とは、予め定められる判定基準値である。例えば、クランク角度センサのオフセット誤差が存在しないことを想定して定められる判定基準値とすることができる。換言すると、オフセット誤差に起因する誤差を含まない熱発生率算出値との比較において正確な着火時期の判定ができるように定められる判定基準値とすることができる。このように定められる判定基準値を、以下、「基本判定基準値」と称する。基本判定基準値は、燃焼室内における燃料の燃焼に伴う熱発生率がその値を超えた場合に燃料が着火したと判定できるように、実験やシミュレーション等によって求められる熱発生率の基準値に基づいて定めることができる。また、クランク角度センサのオフセット誤差がある特定の値であることを想定して定められる判定基準値としても良い。その場合には、当該想定されたオフセット誤差と実際のオフセット誤差との差に起因して生じる誤差を、熱発生率算出値から除去することによって熱発生率補正値を算出値したり、当該誤差が生じないように熱発生率算出手段による熱発生率の算出において用いられる量や値を補正することによって熱発生率補正値を算出したりすることができる。そして、当該算出された熱発生率補正値と、クランク角度センサのオフセット誤差がある特定の値であることを想定して定められた判定基準値と、の比較に基づいて着火時期の判定を行うことができる。
熱発生率算出手段は、概略、クランク角度センサによるクランク角度の測定値とエンジン諸元とに基づいて燃焼室容積を算出し、当該燃焼室容積と筒内圧センサによる筒内圧の測定値とに基づいて熱発生率を算出する。ここで、クランク角度センサの出力にプラスのオフセット誤差が存在する場合、すなわち、実際のクランク角度に対してクランク角度センサによる測定値の方が大きい場合、燃焼室容積が実際より大きく計算されるので、熱発生率が実際より大きく算出される。つまり、実際には発生していない熱が燃焼室内で発生しているかのような熱発生率が算出されることになる。
従って、クランク角度センサにプラスのオフセット誤差が存在する場合、燃料噴射及び燃料の燃焼を伴わない運転条件(フューエルカット運転が行われる条件)においても、燃焼室内において熱が発生しているかのような熱発生率が熱発生率算出手段によって算出される。燃焼を伴わない運転条件において、クランク角度センサにオフセット誤差が存在するために算出されるこのような擬似的な熱発生率を、以下「ベース熱発生率」と称する。つまり、クランク角度センサにプラスのオフセット誤差が存在している場合、プラスのベース熱発生率が算出される。
ベース熱発生率は、クランク角度センサにマイナスのオフセット誤差が存在する場合にも上記と同様に熱発生率算出手段により算出される。すなわち、クランク角度センサにマイナスのオフセット誤差が存在する場合、実際のクランク角度に対してクランク角度センサによる測定値の方が小さくなり、燃焼室容積が実際より小さく計算されるので、熱発生率が実際より小さく算出される。つまり、実際には燃焼室内で発生している熱が発生していないかのような熱発生率が算出されることになる。従って、クランク角度センサにマイナスのオフセット誤差が存在する場合に算出されるベース熱発生率は、マイナスの値になる。
このベース熱発生率は、熱発生率算出値と実際の熱発生率との間に生じる、クランク角度センサのオフセット誤差に起因するずれに相当すると考えられる。つまり、クランク角度センサにオフセット誤差が存在する場合、実際の熱発生率に対してベース熱発生率分だけずれた値(オフセットした値)として熱発生率算出値が算出されることによって、熱発生率算出値と実際の熱発生率との間の誤差が生じると考えられる。
従って、上述した、着火時期の判定に係る値としての判定基準値を、クランク角度センサのオフセット誤差に相関する量や値に基づいて算出又は補正するようにした構成において、「クランク角度センサのオフセット誤差に相関する量や値」として、上記のベース熱発生率を用いることができる。具体的には、実際の着火時期判定に用いられる判定基準値を、基本判定基準値からベース熱発生率分だけずらした値として設定することができる。これにより、実際の熱発生率に対してベース熱発生率分だけずれた値として算出される熱発生率算出値と、基本判定基準値からベース熱発生率分だけずれた値として設定される判定基準値と、の比較に基づいて、着火時期の判定が行われることになるので、両者の比較においてベース熱発生率分の誤差が相殺され、精度良く正確な着火時期の判定を行うことができる。
ここで、ベース熱発生率の値はクランク角度の関数としてクランク角度に応じて変化する。従って、上記構成において、判定基準値の算出のために基本判定基準値に加味すべきベース熱発生率として、クランク角度に応じて変化するベース熱発生率の値を用いて、クランク角度の関数として判定基準値を算出しても良い。
一方、着火時期の判定基準値を算出するためには、着火時期近傍におけるベース熱発生率の値が得られれば十分である。また、ベース熱発生率は燃焼を伴わない運転条件下で熱発生率算出手段によって算出される擬似的な見かけの熱発生率であるから、ベース熱発生率の値は急激に変化することはない。また、クランク角度の関数としてのベース熱発生率は、圧縮上死点近傍にピークを有する関数形となるため、圧縮上死点近傍のクランク角度範囲内では略一定値とみなすことができる。このような点に鑑みると、着火時期が圧縮上死点近傍ならば、判定基準値算出のために基本判定基準値に加味すべきベース熱発生率として、圧縮上死点におけるベース熱発生率の値を用いることができると考えられる。
圧縮上死点におけるベース熱発生率の値は、熱発生率算出手段による熱発生率の算出が
行われる対象となる気筒において燃料噴射が停止される燃料噴射制御が行われている場合に、熱発生率算出手段によって算出される熱発生率として求めることができる。また、燃料噴射及び燃料の燃焼が行われる場合であっても、圧縮上死点において燃料噴射及び燃料燃焼による熱吸収や熱発生が行われない条件が成立する場合には、圧縮上死点において熱発生率算出手段によって算出される熱発生率として、圧縮上死点におけるベース熱発生率を求めることができる。
そこで、「クランク角度センサのオフセット誤差に相関する量や値」としてベース熱発生率に基づいて判定基準値を算出する構成を実現するために、上記構成において、
前記判定基準値算出手段は、
燃焼室内における燃料の燃焼に伴う熱発生率がその値を超えた場合に燃料が着火したと判定可能に定められる判定基準値である基本判定基準値を取得する手段と、
圧縮上死点において燃料噴射及び燃料燃焼による熱授受が略行われない所定条件下において、圧縮上死点における熱発生率を前記熱発生率算出手段により算出する手段と、
を有し、
前記判定基準値を、前記基本判定基準値と、前記所定条件下において算出された圧縮上死点における熱発生率と、の和として算出する手段とすることができる。
ここで、「基本判定基準値を取得する手段」は、例えば、予め実験やシミュレーション等によって求められメモリ等の記憶装置に記憶された基本判定基準値に関するデータを、当該記憶手段から読み込む手段等を例示できる。
また、「圧縮上死点において燃料噴射及び燃料燃焼による熱授受が略行われない所定条件」が成立する場合としては、例えば、熱発生率算出手段による熱発生率の算出対象となる気筒において燃料噴射を一時的に停止する燃料噴射制御が行われている場合や、内燃機関において燃料カット制御が行われている場合等を例示できる。これらの場合、燃料噴射が停止されているので、圧縮上死点において噴射燃料の蒸発による熱吸収や噴射燃料の燃焼による熱発生は行われない。また、燃料噴射時期が圧縮上死点よりも一定期間後の時期に設定されている場合や、燃料の燃焼が圧縮上死点よりも一定期間前の時期に終了するように燃料噴射制御が行われている場合等を例示できる。これらの場合、燃料噴射及び燃料の燃焼は行われるものの、前者では圧縮上死点以後に燃料噴射が行われるので、圧縮上死点において噴射燃料の蒸発に伴う熱吸収や燃料の燃焼に伴う熱発生が行われず、後者では圧縮上死点前の段階で燃料噴射及び燃料の燃焼が終了しているので、同様に圧縮上死点において噴射燃料の蒸発に伴う熱吸収や燃料の燃焼に伴う熱発生が行われない。
上記構成において、クランク角度センサにプラスのオフセット誤差が存在する場合には上述のようにベース熱発生率はプラスの値となるので、基本判定基準値とベース熱発生率の上死点における値との和として算出される判定基準値は、基本判定基準値よりも大きい値となる。一方、クランク角度センサにマイナスのオフセット誤差が存在する場合にはベース熱発生率はマイナスの値となるので、基本判定基準値とベース熱発生率の上死点における値との和として算出される判定基準値は、基本判定基準値よりも小さい値となる。
また、圧縮上死点におけるベース熱発生率を、より精度良く求めるために、次のような構成としても良い。すなわち、上記構成において、
前記判定基準値算出手段は、
燃焼室内における燃料の燃焼に伴う熱発生率がその値を超えた場合に燃料が着火したと判定可能に定められる判定基準値である基本判定基準値を取得する手段と、
圧縮上死点近傍において燃料噴射及び燃料燃焼による熱授受が略行われない所定条件下において、圧縮上死点近傍の所定期間内の複数時点における熱発生率を前記熱発生率算出手段により算出し、当該算出された複数時点における熱発生率の平均値を算出する手段
と、
を有し、
前記判定基準値を、前記基本判定基準値と、前記所定条件下において算出された圧縮上死点近傍における熱発生率の平均値と、の和として算出する手段としても良い。
このように、圧縮上死点近傍における複数点で算出された熱発生率算出値の平均値を計算することによって、ベース熱発生率の上死点における値をより精度良く求めることができる。ここで、「圧縮上死点近傍の所定期間内」とは、着火時期を含まず、且つ、ベース熱発生率の値が略一定であるとみなすことが可能なクランク角度の範囲である。例えば、圧縮上死点前後5〜10degの範囲とすることができる。
また、上述した、着火時期の判定に係る値としての熱発生率算出値を、クランク角度センサのオフセット誤差に相関する量や値に基づいて算出又は補正するようにした構成において、「クランク角度センサのオフセット誤差に相関する量や値」として、上記のベース熱発生率を用いることができる。具体的には、上記構成において、
前記補正手段は、
圧縮上死点において燃料噴射及び燃料燃焼による熱授受が略行われない所定条件下において、前記熱発生率算出手段により熱発生率を算出する手段を有し、
前記熱発生率補正値を、前記熱発生率算出手段による熱発生率の算出値から、前記所定条件下において算出された熱発生率を引いた値として算出する手段とすることができる。
これにより、クランク角度センサのオフセット誤差に起因する誤差を含む熱発生率算出値から、クランク角度センサのオフセット誤差に起因する誤差を除去することができるので、クランク角度センサにオフセット誤差が存在する場合においても、熱発生率補正値と基本判定基準値との比較に基づいて着火時期判定を行うことにより、精度良く正確な着火時期の判定を行うことができる。
ここで、ベース熱発生率は、上記のように、クランク角度センサにオフセット誤差が存在する場合に、燃料噴射及び燃焼を伴わない運転条件においても、燃焼室内において熱が発生しているかのような熱発生率として熱発生率算出手段により算出される擬似的な熱発生率である。すなわち、クランク角度センサのオフセット誤差と、気筒や燃焼室の形状等の内燃機関のハードウェア諸元とに基づいて、どのようなベース熱発生率が生じるかを計算によって求めることができる。
従って、クランク角度センサのオフセット誤差とベース熱発生率の例えば圧縮上死点における値との関係を求めてメモリ等の記憶手段に記憶しておき、当該関係と、上述の各構成と同様の所定条件下で圧縮上死点において熱発生率算出手段によって算出される熱発生率として算出されるベース熱発生率の圧縮上死点における値と、に基づいて、その時点におけるクランク角度センサのオフセット誤差を算出することができる。
このようにして算出されたクランク角度センサのオフセット誤差に基づいて、クランク角度センサによるクランク角度の測定値を補正することができる。そして、熱発生率算出手段による熱発生率の算出において用いられるクランク角度として、当該補正されたクランク角度の測定値を用いることによって、熱発生率算出値に、クランク角度センサのオフセット誤差に起因する誤差が含まれることを抑制することができる。このようにして算出された熱発生率算出値に基づけば、基本判定基準値との比較によって、精度良く正確な着火時期の判定を行うことができる。
このように、上記本発明の構成において、着火時期の判定に係る値としての熱発生率算
出値を算出する際に用いる値や量を、「クランク角度センサのオフセット誤差に相関する値や量」としてのクランク角度センサのオフセット誤差自体に基づいて補正する構成を実現するために、上記構成において、
前記補正手段は、
燃料噴射及び燃料燃焼が行われない場合に前記熱発生率算出手段によって燃焼室内の熱発生率として算出される値であるベース熱発生率と、前記クランク角度センサのオフセット誤差と、の関係を取得する手段と、
圧縮上死点において燃料噴射及び燃料燃焼による熱授受が略行われない所定条件下において、圧縮上死点における熱発生率を前記熱発生率算出手段により算出する手段と、
前記所定条件下において算出された圧縮上死点における熱発生率と、前記対応関係と、に基づいて前記クランク角度センサのオフセット誤差を算出する手段と、
前記算出されたオフセット誤差に基づいて前記クランク角度センサによるクランク角度の測定値を補正する手段と、
を有し、
前記熱発生率補正値を、前記熱発生率算出手段において前記補正されたクランク角度の測定値を用いて算出した熱発生率として算出する手段とすることができる。
上記構成において、「圧縮上死点において燃料噴射及び燃料燃焼による熱授受が略行われない所定条件下において、圧縮上死点における熱発生率を前記熱発生率算出手段により算出する手段」は、ベース熱発生率の圧縮上死点における値を算出する手段である。従って、上述の他の構成において説明したように、圧縮上死点近傍において燃料噴射及び燃料燃焼による熱授受が略行われない所定条件下において、圧縮上死点近傍の所定期間内の複数時点における熱発生率を前記熱発生率算出手段により算出し、当該算出された複数時点における熱発生率の平均値として、ベース熱発生率の圧縮上死点における値を算出するようにしても良い。こうすることにより、より精度良くベース熱発生率の圧縮上死点における値を求めることができる。
本発明により、筒内圧センサ及びクランク角度センサの測定値から算出される熱発生率に基づいて行われる着火時期判定の判定精度を高めることが可能になる。
以下に図面を参照して、この発明を実施するための最良の形態を例示的に詳しく説明する。本実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置等は、特に記載がない限りは、発明の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
図1は、本実施例に係る内燃機関の着火時期判定システムを適用する内燃機関とその吸気系及び排気系の概略構成を模式的に示す概念図である。内燃機関1はディーゼルエンジンであり、気筒6には吸気通路2及び排気通路3が接続されている。気筒6には気筒6内を上下に摺動可能なピストン4が挿入されている。ピストン4はコンロッド5によってクランクシャフト12と接続されており、コンロッド5によってピストン4の上下運動がクランクシャフト12の回転運動に変換される。気筒6内には、ピストン4と気筒6内壁とにより区画された燃焼室11が形成されている。気筒6の上部には燃焼室11内に臨む燃料噴射弁7が設けられ、燃料噴射弁7から燃焼室11内に直接燃料が噴射供給される。燃料噴射弁7は後述するECU10に接続され、ECU10から出力される信号に従って制御される。内燃機関1には、燃焼室11内の圧力(以下、筒内圧という)を測定する筒内圧センサ8、クランクシャフト12の回転角度(以下、クランク角度という)θを測定するクランク角度センサ9が設けられている。筒内圧センサ8及びクランク角度センサ9からの出力信号は電気配線を介してECU10に入力される。ECU10は内燃機関1の動
作を制御するコンピュータである。ECU10は前記の筒内圧センサ8及びクランク角度センサ9を含むセンサ類からの出力信号が入力されるようになっており、当該各種センサからの入力信号に基づいて、前記の燃料噴射弁7を含む機器類に制御信号を出力し、当該機器類の動作を制御する。
ECU10は、筒内圧センサ8による筒内圧の測定値及びクランク角度センサ9によるクランク角度の測定値に基づいて燃料噴射弁7により燃焼室11内に噴射供給された燃料の着火時期を算出する。詳細には、筒内圧の測定値及びクランク角度の測定値に基づいて燃焼室11内における燃料の燃焼に伴う熱発生率を算出し、当該算出された熱発生率(以下、熱発生率算出値という)がある判定基準値を超えた時を燃料の着火時期と判定する。
ところで、クランク角度センサ9の出力にはオフセット誤差が含まれる場合がある。オフセット誤差は、クランク角度センサ個々のセンサ特性のばらつき、クランク角度センサ9の取り付け位置のばらつき、クランク角度センサ9の使用過程での特性変化、運転状態の変化や車体の経時的な変化によるクランク角度センサ9の取り付け位置の変化等、様々な要因で生じる可能性がある。クランク角度センサ9の出力にオフセット誤差が含まれる場合、クランク角度センサ9によって測定されたクランク角度の測定値と、実際のクランク角度との間にずれが生じる。例えば、クランク角度センサ9の出力にプラスのオフセット誤差が存在する場合は、実際のクランク角度に対して、クランク角度センサ9によるクランク角度の測定値は大きくなる。一方、クランク角度センサ9の出力にマイナスのオフセット誤差が存在する場合は、実際のクランク角度に対して、クランク角度センサ9によるクランク角度の測定値は小さくなる。
クランク角度センサ9のオフセット誤差に起因してクランク角度の測定値と実際のクランク角度との間にずれが存在する場合、当該クランク角度センサ9によるクランク角度の測定値を用いて算出される熱発生率算出値も、実際の熱発生率からずれた値となる。例えば、クランク角度センサ9にプラスのオフセット誤差が存在する場合、すなわち、実際のクランク角度に対してクランク角度センサ9による測定値の方が大きい場合、燃焼室11の容積が実際より大きく計算されるので、熱発生率が実際より大きく算出される。つまり、実際には発生していない熱が燃焼室11内で発生しているかのような熱発生率算出値が算出されることになる。逆に、クランク角度センサ9にマイナスのオフセット誤差が存在する場合、すなわち、実際のクランク角度に対してクランク角度センサ9による測定値の方が小さい場合、燃焼室11の容積が実際より小さく計算されるので、熱発生率が実際より小さく算出される。つまり、実際には燃焼室11内で発生している熱が発生していないかのような熱発生率算出値が算出されることになる。
図2に、クランク角度に応じた熱発生率又は熱発生率算出値の変化の仕方の一例を示す。図2の横軸は圧縮上死点から計ったクランク角度を表し、縦軸は熱発生率を表す。図2の実線Aは、燃料の燃焼に伴う実際の熱発生率を表す。これは、クランク角度センサ9にオフセット誤差が存在しない場合にECU10によって算出される熱発生率算出値と考えても良い。図2の実線Aは、クランク角度センサ9にプラスのオフセット誤差が存在する場合に、当該クランク角度センサ9によるクランク角度の測定値を用いて算出される熱発生率算出値を表す。実線Aに示されるように、この場合、熱発生率算出値は実際の熱発生率(実線A)より大きな値になる。図2の実線Aは、クランク角度センサ9にマイナスのオフセット誤差が存在する場合に、当該クランク角度センサ9によるクランク角度の測定値を用いて算出される熱発生率算出値を表す。実線Aに示されるように、この場合熱発生率算出値は実際の熱発生率(実線A)より小さな値になる。
図2において、クランク角度センサ9にオフセット誤差が存在しないことを想定して定められる着火時期判定のための判定基準値をCで表す。以下、この判定基準値を「基本
判定基準値」と称する。基本判定基準値Cは、燃焼室11内における燃料の燃焼に伴う熱発生率がその値を超えた場合に燃料が着火したと判定できるように、実験、シミュレーション、適合作業等によって求められ、ECU10のROMに記憶される。
従来知られた熱発生率算出値に基づく着火時期判定では、この基本判定基準値を熱発生率算出値が超えた時を着火時期と判定する。しかしながら、例えば、クランク角度センサ9にプラスのオフセット誤差が存在する場合に、ECU10により算出される熱発生率算出値(図2の実線A)と基本判定基準値Cとの比較に基づいて着火時期の判定を行うと、図2に示すように、クランク角度θにおいて着火したと判定されてしまい、実際の着火時期θを正確に判定することができない虞があった。クランク角度センサ9にマイナスのオフセット誤差が存在する場合も同様に、ECU10により算出される熱発生率算出値(図2の実線A)と基本判定基準値Cとの比較に基づいて着火時期の判定を行うと、正確な着火時期を判定できない虞があった。
そこで、本実施例の着火時期判定では、クランク角度センサ9のオフセット誤差に起因してECU10による熱発生率算出値と実際の熱発生率との間に生じる誤差(クランク角度センサ9にプラスのオフセット誤差が存在する場合、図2のΔAで表される誤差。クランク角度センサ9にマイナスのオフセット誤差が存在する場合、図2のΔAで表される誤差)を、ECU10による熱発生率算出値から除去する補正を行い、当該補正された熱発生率算出値と基本判定基準値との比較に基づいて着火時期の判定を行うこととした。
ここで、上述のように、クランク角度センサ9にプラスのオフセット誤差が存在する場合、実際の熱発生率よりも大きな値の熱発生率算出値が算出される。よって、着目している気筒6において燃料噴射及び燃料燃焼を伴わない場合においても、当該気筒6の燃焼室11内において熱が発生しているかのような熱発生率がECU10によって算出されることになる。燃料噴射及び燃料燃焼を伴わない場合において、クランク角度センサ9にオフセット誤差が存在するために算出されるこのような擬似的な熱発生率を、以下「ベース熱発生率」と称する。ベース熱発生率は、クランク角度センサ9にマイナスのオフセット誤差が存在する場合にも、上記と同様にECU10によって算出される。この場合のベース熱発生率は負の値になる。
図3に、クランク角度に応じたベース熱発生率の変化の仕方の一例を示す。図3の実線Bは、クランク角度センサ9にプラスのオフセット誤差が存在する場合に算出されるベース熱発生率を表す。また、図3の実線Bは、クランク角度センサ9にマイナスのオフセット誤差が存在する場合に算出されるベース熱発生率を表す。図3のグラフに表されるように、ベース熱発生率はクランク角度に対して緩やかに変化し、圧縮上死点近傍にピークを有する。
上述のように、ベース熱発生率は、実際には燃焼室11内において熱の発生又は吸収が行われていないにもかかわらず、熱の発生又は吸収が行われているかのように算出される擬似的な熱発生率である。従って、図4に示すように、クランク角度センサ9にオフセット誤差が存在する場合、実際の熱発生率(実線A)にベース熱発生率(実線B)が重畳された値として、熱発生率算出値(実線A)が算出されると考えられる。
そこで、本実施例の着火時期判定では、ECU10による熱発生率算出値と実際の熱発生率との間に生じる誤差をECU10による熱発生率算出値から除去する補正を、ECU10による熱発生率算出値からベース熱発生率の値を減算することによって行うこととした。これにより、図5に示すように、クランク角度センサ9にオフセット誤差が存在する場合においても、熱発生率算出値からベース熱発生率を減算した値(以下、熱発生率補正値という。図5の実線A)と基本判定基準値Cとの比較に基づいて着火時期を判定す
ることにより、正確な着火時期θを精度良く判定することが可能になる。
ここで、本実施例の熱発生率算出値の補正を行い熱発生率補正値を算出するためには、ベース熱発生率を取得する必要がある。ベース熱発生率は、上述のように、燃料噴射及び燃料燃焼が行われていない時にECU10によって算出される熱発生率算出値である。従って、本実施例では、ベース熱発生率を取得するために、着目している気筒6において燃料噴射及び燃料燃焼が行われない所定条件が成り立つ時にECU10によって熱発生率算出値を求め、その熱発生率算出値をベース熱発生率とすることとした。
ここで、「着目している気筒6において燃料噴射及び燃料燃焼が行われない所定条件」としては、例えば、内燃機関1の運転状態が、フューエルカット制御が行われるように定められた運転状態である条件を例示できる。この場合、着目している気筒6を含め全ての気筒において燃料噴射が停止されるので、着目している気筒6において燃料噴射及び燃料燃焼が行われない。また、着目している気筒6についてのみ一時的に燃料噴射を停止する燃料噴射制御を行うことによって、当該着目している気筒6について所定条件が成り立つようにすることができる。この場合、着目している気筒6以外の気筒6については通常通り燃料噴射を行っても良いし、着目している気筒6について燃料噴射が停止されることによるトルク低下を補償するように、着目している気筒6において噴射供給されるはずであった燃料量を当該気筒6以外の気筒6に分配し、当該気筒6以外の気筒6ついて通常より燃料噴射量を多くするようにしても良い。
ベース熱発生率は、上記のような所定条件が成り立つ時に取得し、それをECU10の記憶装置に学習値として記憶することにより、以降の着火時期判定その他の熱発生率算出値を用いる各種の制御や演算において当該記憶装置から当該学習値を読み込み、熱発生率算出値の補正に用いることができる。ベース熱発生率の学習は1回だけでも良いが、より好ましくは、定期的に学習を行って更新することが好適である。これは、クランク角度センサ9のオフセット誤差は、クランク角度センサ9の組み付け時やクランク角度センサ9個々のセンサ特性のばらつき等、エンジン組み立て時に決定する要素や、エンジンの運転過程でのクランク角度センサ9の取り付け位置の歪みやずれ、クランク角度センサ9の経時的な特性劣化等、クランク角度センサ9の使用過程で変化していく要素や、その他の要素によって定まり、一定値とは限らないからである。
ここで、図6を参照して本実施例の着火時期判定について説明する。図6は、本実施例における着火時期判定ルーチンを表すフローチャートである。
ステップS101において、ECU10は、着目する気筒について上記所定条件が成り立つか否かを判定する。ステップS101において肯定判定された場合、ECU10はステップS102に進む。ステップS101において否定判定された場合、ECU10はステップS104に進む。
ステップS102において、ECU10は、着目する気筒について筒内圧センサ8による筒内圧の測定値及びクランク角度センサ9によるクランク角度の測定値を取得する。
ステップS103において、ECU10は、ステップS102において取得した筒内圧の測定値及びクランク角度の測定値に基づいて熱発生率を算出し、当該算出された熱発生率を以てベース熱発生率を取得する。
ステップS104において、ECU10は、ベース熱発生率を取得済みか否かを判定する。ステップS104において肯定判定された場合、ECU10はステップS105に進む。ステップS104において否定判定され場合、ECU10は本ルーチンの実行を一旦
終了する。
ステップS105において、ECU10は、着目する気筒について筒内圧センサ8による筒内圧の測定値及びクランク角度センサ9によるクランク角度の測定値を取得する。
ステップS106において、ECU10は、ステップS105において取得した筒内圧の測定値及びクランク角度の測定値に基づいて熱発生率を算出する。
ステップS107において、ECU10は、ステップS106において算出した熱発生率算出値から、ステップS103において算出し記憶したベース熱発生率を減算し、これにより熱発生率補正値を算出する。
ステップS108において、ECU10は、基本判定基準値を取得する。例えば、予め求められROMに記憶されている基本判定基準値のデータをROMから読み込む。
ステップS109において、ECU10は、ステップS107において算出した熱発生率補正値とステップS108において取得した基本判定基準値との比較に基づいて着火時期の判定を行う。すなわち、熱発生率補正値が基本判定基準値を超えた時を着火時期と判定する。
この着火時期判定ルーチンに従って着火時期の判定を行うことにより、クランク角度センサ9にオフセット誤差が存在する場合においても、熱発生率補正値と基本判定基準値との比較に基づく着火時期判定を行うことにより、正確な着火時期の判定を行うことが可能になる。
本実施例において、筒内圧センサ8による筒内圧の測定値及びクランク角度センサ9によるクランク角度の測定値に基づいて熱発生率を算出するECU10が、本発明における熱発生率算出手段に相当する。また、熱発生率補正値が基本判定基準値を超えた時を着火時期と判定するECU10が、本発明における着火時期判定手段に相当する。また、熱発生率補正値を算出するECU10が、本発明における補正手段に相当する。
次に、本発明の第2の実施例について説明する。本実施例において、実施例1と実質的に同一の構成については実施例1と同じ符号及び名称を用いて参照し、詳細な説明は省略する。
本実施例の着火時期判定では、クランク角度センサ9のオフセット誤差に起因してECU10による熱発生率算出値が実際の熱発生率に対してずれることに対応して、当該ずれに相当する分だけ基本判定基準値からずらした値を着火時期の判定に係る判定基準値として算出し、当該算出された判定基準値(以下、補正判定基準値という)と熱発生率算出値との比較に基づいて着火時期の判定を行うこととした。この点、ECU10によって算出される熱発生率算出値を補正した熱発生率補正値を算出し、当該算出された熱発生率補正値と基本判定基準値との比較に基づいて着火時期の判定を行う実施例1と相違する。
ここで、上述したように、クランク角度センサ9にオフセット誤差が存在する場合、実際の熱発生率にベース熱発生率が重畳された値として熱発生率算出値が算出されると考えられる。そこで、本実施例では、当該誤差を含む熱発生率算出値との比較に基づいて着火時期判定を行うための補正判定基準値を、基本判定基準値にベース熱発生率を加算することによって算出することとした。
図3に示すように、ベース熱発生率はクランク角度に応じて変化する。従って、補正判定基準値として、基本判定基準値にベース熱発生率を加算して算出される、クランク角度に応じて変化する値を用いることもできる。このようなクランク角度に応じて可変値をとる補正判定基準値を用いて着火時期判定を行うことにより、着火時期によらず正確な着火時期判定を行うことができる。
ところで、着火時期が圧縮上死点近傍の場合には、より簡単に補正判定基準値を設定することもできる。図3に示すように、ベース熱発生率は圧縮上死点近傍にピークを有し、圧縮上死点近傍においてはクランク角度に対する変化率が小さい。従って、圧縮上死点近傍の所定クランク角度範囲内では、ベース熱発生率の値は略一定とみなすことができる。そこで、着火時期が圧縮上死点近傍である場合には、圧縮上死点近傍の所定クランク角度範囲内の複数点におけるベース熱発生率の平均値を求め、当該平均値を以て着火時期におけるベース熱発生率とみなし、当該平均値と基本判定基準値との和を補正判定基準値とすることができる。
ここで、「所定クランク角度範囲」とは、ベース熱発生率のクランク角度に対する変化率が十分に小さく、ベース熱発生率を略一定値とみなすことが可能なクランク角度範囲であり、予め定められる。例えば、圧縮上死点前後5〜10degの範囲とすることができる。また、より簡単には、圧縮上死点におけるベース熱発生率を以て着火時期におけるベース熱発生率とみなし、圧縮上死点におけるベース熱発生率と基本判定基準値との和を補正判定基準値としても良い。
これにより、図7に示すように、クランク角度センサ9にプラスのオフセット誤差が存在する場合においても、基本判定基準値Cにベース熱発生率の圧縮上死点近傍における値の平均値(又は圧縮上死点における値)B1TDCを加算した値C(=C+B1TDC)を補正判定基準値として用いて、クランク角度センサ9のオフセット誤差に起因する誤差を含む熱発生率算出値(実線A)との比較に基づいて着火時期を判定することにより、正確な着火時期θを精度良く判定することが可能になる。
また、図8に示すように、クランク角度センサ9にマイナスのオフセット誤差が存在する場合においても、基本判定基準値Cにベース熱発生率の圧縮上死点近傍における値の平均値(又は圧縮上死点における値)B2TDCを加算した値C(=C+B2TDC)を補正判定基準値として用いて、クランク角度センサ9のオフセット誤差に起因する誤差を含む熱発生率算出値(実線A)との比較に基づいて着火時期を判定することにより、正確な着火時期θを精度良く判定することが可能になる。
ここで、「ベース熱発生率の圧縮上死点近傍の所定クランク角度範囲内の複数点における値」(又は、「ベース熱発生率の圧縮上死点における値」。以下同様)は、実施例1と同様に、「着目している気筒6において燃料噴射及び燃料燃焼が行われない所定条件」が成り立つ時に、ECU10によって熱発生率算出値を求め、その所定クランク角度範囲内の当該複数点における値として取得することができる。
また、本実施例の場合には、特に所定クランク角度範囲内の複数点におけるベース熱発生率の値が取得できれば十分なので、上記所定条件が成り立たない場合、すなわち、着目している気筒6において燃料噴射又は燃料燃焼が行われる場合であっても、所定クランク角度範囲内において噴射燃料の蒸発による熱吸収や燃料の燃焼に伴う熱発生等の熱授受が行われない所定条件が成り立つ場合であれば、当該条件下でECU10によって所定クランク角度範囲内の当該複数点における熱発生率算出値を求め、当該熱発生率算出値を以て「ベース熱発生率の圧縮上死点近傍の所定クランク角度範囲内の複数点における値」を取得することもできる。
ここで、「所定クランク角度範囲内において熱授受が行われない所定条件」としては、上記「着目している気筒6において燃料噴射及び燃料燃焼が行われない所定条件」の他に、例えば、燃料噴射時期が圧縮上死点よりも一定期間後の時期になるように燃料噴射制御が行われている場合や、燃料の燃焼が圧縮上死点よりも一定期間前の時期に終了するように燃料噴射制御が行われている場合等を例示できる。ここで、「一定期間」は、燃料噴射時期や燃焼終了時期が上記の所定クランク角度範囲内に入らないように定められる。「所定クランク角度範囲内において熱授受が行われない所定条件」は、着目している気筒6についてのみ一時的に上記のような燃料噴射制御を行う場合や、内燃機関1の運転状態が、全気筒に対して上記のような燃料噴射制御を行うべき運転状態である場合に、成り立つ。前者の場合、着目している気筒6に対して上記のような燃料噴射制御を行うことによるトルク変動等を抑制できるように、当該着目している気筒6以外の気筒6における燃料噴射制御を補正しても良い。
補正判定基準値は、上記の所定条件が成り立つ時に算出し、それをECU10の記憶装置に学習値として記憶することにより、以降の着火時期判定において当該記憶装置から当該学習値を読み込み、着火時期の判定基準値として用いることができる。実施例1と同様に、補正判定基準値の学習は1回だけ行って以降の着火時期判定では当該1回学習された補正判定基準値を用いても良いし、定期的に学習を行って補正判定基準値の学習値を更新していっても良い。また、本実施例の場合、毎サイクル補正判定基準値を算出するようにしても良い。その場合、サイクルによっては、上記の所定クランク角度範囲内に着火時期や燃料噴射時期が入ってしまい、上記所定条件が成立しない場合もある。そのようなサイクルでは、当該サイクル以外のサイクルで算出された補正判定基準値をECU10の記憶装置から読み込むことによって着火時期判定を行うようにしても良い。また、上記所定条件が成立しないサイクルでは、上記所定条件が成立するように所定クランク角度範囲を狭くする(すなわち、ベース熱発生率の平均値を算出するためのベース熱発生率のサンプル数を減らす)ことにより、補正判定基準値の算出を行うようにしても良い。
ここで、図9を参照して本実施例の着火時期判定について説明する。図9は、本実施例における着火時期判定ルーチンを表すフローチャートである。
ステップS201において、ECU10は、着目する気筒について上記所定条件が成り立つように燃料噴射制御を行う。例えば、着目する気筒について燃料噴射を停止したり、着目する気筒について燃料噴射時期や燃料の燃焼終了時期が所定クランク角度範囲内に入らないような燃料噴射制御を行ったりする。
ステップS202において、ECU10は、着目する気筒について筒内圧センサ8による筒内圧の測定値及びクランク角度センサ9によるクランク角度の測定値を取得する。
ステップS203において、ECU10は、ステップS202において取得した筒内圧の測定値及びクランク角度の測定値に基づいて熱発生率を算出する。
ステップS204において、ECU10は、ステップS203において算出した熱発生率算出値の、上記所定クランク角度範囲内における複数の値の平均値を計算する。
ステップS205において、ECU10は、基本判定基準値を取得する。例えば、予め求められROMに記憶されている基本判定基準値のデータをROMから読み込む。
ステップS206において、ECU10は、ステップS204において計算した所定クランク角度範囲内の複数点における熱発生率算出値の平均値と、ステップS205におい
て取得した基本判定基準値と、の和を計算し、これにより補正判定基準値を算出する。
ステップS207において、ECU10は、ステップS203において算出した熱発生率算出値とステップS206において算出した補正判定基準値との比較に基づいて着火時期の判定を行う。すなわち、熱発生率算出値が補正判定基準値を超えた時を着火時期と判定する。
上記ルーチンにおいて、ステップS201では、着目する気筒について上記所定条件が成り立つように燃料噴射制御を行うようにしているが、着目する気筒について上記所定条件が成り立つか否かを判定し、肯定判定された場合にステップS202以降のステップを実行するようにしても良い。
この着火時期判定ルーチンに従って着火時期の判定を行うことにより、クランク角度センサ9にオフセット誤差が存在する場合においても、熱発生率算出値と補正判定基準値との比較に基づく着火時期判定を行うことにより、正確な着火時期の判定を行うことが可能になる。
本実施例において、筒内圧センサ8による筒内圧の測定値及びクランク角度センサ9によるクランク角度の測定値に基づいて熱発生率を算出するECU10が、本発明における熱発生率算出手段に相当する。また、熱発生率算出値が補正判定基準値を超えた時を着火時期と判定するECU10が、本発明における着火時期判定手段に相当する。また、補正判定基準値を算出するECU10が、本発明における判定基準値算出手段に相当する。
次に、本発明の第3の実施例について説明する。本実施例において、実施例1と実質的に同一の構成については実施例1と同じ符号及び名称を用いて参照し、詳細な説明を省略する。
本実施例の着火時期判定では、クランク角度センサ9のオフセット誤差に起因するクランク角度の測定値と実際のクランク角度とのずれを補正し、当該補正されたクランク角度の測定値を用いて熱発生率を算出し、熱発生率算出値にクランク角度センサ9のオフセット誤差に起因する誤差が含まれないようにすることによって、当該誤差を含まない熱発生率算出値と基本判定基準値との比較に基づいて着火時期の判定を行うこととした。この点、クランク角度センサ9のオフセット誤差に起因する誤差を含んだ熱発生率算出値に対して当該誤差を除去する補正を行う実施例1や、当該誤差を含んだ熱発生率算出値を用いて着火時期判定ができるように着火時期の判定に係る判定基準値を補正する実施例2と相違する。
ここで、ベース熱発生率は、クランク角度センサ9のオフセット誤差と、気筒6や燃焼室11の形状等の内燃機関1のハードウェア諸元と、に基づいて、計算によって求めることができる。すなわち、ベース熱発生率とクランク角度センサ9のオフセット誤差との間には一定の関係が成り立つ。図10に、クランク角度センサ9のオフセット誤差と圧縮上死点におけるベース熱発生率の値との関係の一例を示す。ここで、「圧縮上死点におけるベース熱発生率」とは、正確には「クランク角度センサ9による測定値が圧縮上死点である時点におけるベース熱発生率」を意味し、「実際のクランク角度が圧縮上死点である時点におけるベース熱発生率」ではない。図10の横軸はクランク角度センサ9のオフセット誤差を表し、縦軸は圧縮上死点におけるベース熱発生率の値を表す。図10に示すように、クランク角度センサ9のオフセット誤差と圧縮上死点におけるベース熱発生率の値とは、1対1の対応関係を有する。従って、圧縮上死点におけるベース熱発生率の値を取得することにより、図10に示す対応関係に基づいて、クランク角度センサ9のオフセット
誤差を算出することができる。
クランク角度センサ9のオフセット誤差を算出することができれば、当該算出されたオフセット誤差に基づいて、クランク角度センサ9によるクランク角度の測定値を補正し、実際のクランク角度を算出することができる。従って、当該補正されたクランク角度の測定値を用いて熱発生率を算出することによって、熱発生率算出値に、クランク角度センサ9のオフセット誤差に起因する誤差が含まれることを抑制することができる。
これにより、図11に示すように、クランク角度センサ9にオフセット誤差が存在する場合においても、ECU10による熱発生率の算出においては、当該オフセット誤差に起因する誤差が除去されたクランク角度の測定値が用いられるので、実際の熱発生率に略一致する熱発生率算出値をECU10によって算出することができる(実線A)。そして、このようにして算出された熱発生率算出値Aと基本判定基準値Cとの比較に基づいて着火時期を判定することにより、正確な着火時期θを精度良く判定することが可能になる。図11はクランク角度センサ9にプラスのオフセット誤差が存在する場合について示したが、マイナスのオフセット誤差が存在する場合も同様である。
なお、図10には、クランク角度センサ9のオフセット誤差と、圧縮上死点におけるベース熱発生率の値と、の関係を例示したが、その他の時点におけるベース熱発生率の値との関係を用いることもできる。但し、上述したように、ベース熱発生率の値は圧縮上死点近傍にピークを有し、圧縮上死点近傍においてクランク角度に対する変化率が小さいので、圧縮上死点近傍におけるベース熱発生率はその他の時点におけるベース熱発生率より比較的精度良く取得することができる。従って、圧縮上死点におけるベース熱発生率とオフセット誤差との関係に基づくことにより、より精度良くクランク角度センサ9のオフセット誤差を算出することができる。
また、圧縮上死点におけるベース熱発生率の値は、実施例1又は2において説明した所定条件が成り立つ場合にECU10によって算出される熱発生率算出値の圧縮上死点における値又は圧縮上死点近傍の所定クランク角度範囲内の複数点における値の平均値として取得することができる。その他、ベース熱発生率の取得に関する部分については実施例1又は2で説明した内容をそのまま適用できる。
ここで、図12を参照して本実施例の着火時期判定について説明する。図12は、本実施例における着火時期判定ルーチンを表すフローチャートである。
ステップS301において、ECU10は、クランク角度センサ9のオフセット誤差を算出済みであるか否かを判定する。ステップS301で肯定判定された場合は、ECU10はステップS307に進む。ステップS301で否定判定された場合は、ECU10はステップS302に進む。
ステップS302において、ECU10は、着目する気筒について上記所定条件が成り立つか否かを判定する。ステップS302で肯定判定された場合、ECU10はステップS303に進む。ステップS302で否定判定された場合、ECU10は本ルーチンの実行を一旦終了する。
ステップS303において、ECU10は、着目する気筒について筒内圧センサ8による筒内圧の測定値及びクランク角度センサ9によるクランク角度の測定値を取得する。
ステップS304において、ECU10は、ステップS303において取得した筒内圧の測定値及びクランク角度の測定値に基づいて熱発生率を算出する。
ステップS305において、ECU10は、ステップS304において算出した熱発生率算出値の、上記所定クランク角度範囲内における複数の値の平均値を計算し、この計算値を以て圧縮上死点におけるベース熱発生率を取得する。
ステップS306において、ECU10は、ステップS305において取得したベース熱発生率の圧縮上死点値と、図10に示したクランク角度センサ9のオフセット誤差とベース熱発生率の圧縮上死点値との対応関係と、に基づいて、クランク角度センサ9のオフセット誤差を算出する。
ステップS307において、ECU10は、着目する気筒について筒内圧センサ8による筒内圧の測定値及びクランク角度センサ9によるクランク角度の測定値を取得する。
ステップS308において、ステップS306において算出したクランク角度センサ9のオフセット誤差に基づいて、ステップS307において取得したクランク角度の測定値を補正する。
ステップS309において、ECU10は、ステップS307において取得した筒内圧の測定値と、ステップS308において算出したクランク角度の測定値の補正値と、に基づいて熱発生率を算出する。
ステップS310において、ECU10は、基本判定基準値を取得する。例えば、予め求められROMに記憶されている基本判定基準値のデータをROMから読み込む。
ステップS311において、ECU10は、ステップS309において算出した熱発生率算出値と、ステップS310において取得した基本判定基準値と、の比較に基づいて着火時期の判定を行う。すなわち、熱発生率算出値が基本判定基準値を超えた時を着火時期と判定する。
上記ルーチンにおいて、ステップS302では、着目する気筒について上記所定条件が成り立つか否かを判定するようにしているが、着目する気筒について上記所定条件が成り立つように燃料噴射制御を行うようにして、上記ステップS303以降の処理を行うようにしても良い。
この着火時期判定ルーチンに従って着火時期の判定を行うことにより、クランク角度センサ9にオフセット誤差が存在する場合においても、熱発生率算出値と基本判定基準値との比較に基づく着火時期判定を行うことにより、正確な着火時期の判定を行うことが可能になる。
本実施例において、筒内圧センサ8による筒内圧の測定値と、クランク角度センサ9によるクランク角度の測定値の補正値と、に基づいて熱発生率を算出するECU10が、本発明における補正手段に相当する。また、筒内圧センサ8による筒内圧の測定値と、クランク角度センサ9によるクランク角度の測定値の補正値と、に基づいて算出された熱発生率が基本判定基準値を超えた時を着火時期と判定するECU10が、本発明における着火時期判定手段に相当する。
なお、以上述べた実施例は本発明を説明するための一例であって、本発明の本旨を逸脱しない範囲内において上記の実施例には種々の変更を加え得る。また、各実施例は可能な限り組み合わせて本発明を実施することができる。例えば、実施例3において、予め求められたクランク角度センサ9のオフセット誤差とベース熱発生率の圧縮上死点値との対応
関係に経時的な変化が生じた場合、当該対応関係に基づいて補正したランク角度の測定値と実際のクランク角度との間になお誤差が残る可能性がある。そのような場合には、実施例1又は2と組み合わせて、熱発生率算出値や判定基準値を補正することにより、着火時期判定の判定精度をさらに高めることができる。
実施例に係る着火時期判定システムを適用する内燃機関の概略構成を示す図である。 クランク角度センサにプラスのオフセット誤差が存在する場合の熱発生率算出値、マイナスのオフセット誤差が存在する場合の熱発生率算出値及び実際の熱発生率を示す図である。 クランク角度センサにプラスのオフセット誤差が存在する場合及びマイナスのオフセット誤差が存在する場合の各場合におけるベース熱発生率の一例を示す図である。 クランク角度センサにプラスのオフセット誤差が存在する場合における熱発生率算出値、ベース熱発生率及び実際の熱発生率を示す図である。 実施例1に係る着火時期判定システムによって算出される熱発生率補正値を示す図である。 実施例1に係る着火時期判定ルーチンを表すフローチャートである。 実施例2に係る着火時期判定システムにおいて、クランク角度センサにプラスのオフセット誤差が存在する場合に算出される補正判定基準値を示す図である。 実施例2に係る着火時期判定システムにおいて、クランク角度センサにマイナスのオフセット誤差が存在する場合に算出される補正判定基準値を示す図である。 実施例2に係る着火時期判定ルーチンを表すフローチャートである。 クランク角度センサのオフセット誤差とベース熱発生率の圧縮上死点における値との関係を示す図である。 クランク角度センサにプラスのオフセット誤差が存在する場合の熱発生率算出値と、実施例3に係る着火時期判定システムによって補正されたクランク角度測定値を用いて算出された熱発生率算出値とを示す図である。 実施例3に係る着火時期判定ルーチンを表すフローチャートである。
符号の説明
1 内燃機関
2 吸気通路
3 排気通路
4 ピストン
5 コンロッド
6 気筒
7 燃料噴射弁
8 筒内圧センサ
9 クランク角度センサ
10 ECU
11 燃焼室
12 クランクシャフト

Claims (12)

  1. 内燃機関の筒内圧を測定する筒内圧センサと、
    前記内燃機関のクランク角度を測定するクランク角度センサと、
    前記筒内圧センサによる筒内圧の測定値及び前記クランク角度センサによるクランク角度の測定値に基づいて前記内燃機関の燃焼室内の熱発生率を算出する熱発生率算出手段と、
    前記熱発生率算出手段によって算出される熱発生率に基づいて燃料の着火時期を判定する着火時期判定手段と、
    を備え、
    前記着火時期判定手段による着火時期の判定に係る値を前記クランク角度センサのオフセット誤差に相関する値に基づいて算出又は補正することを特徴とする内燃機関の着火時期判定システム。
  2. 請求項1において、
    前記熱発生率算出手段による熱発生率の算出値との比較により着火時期を判定するための判定基準値を前記クランク角度センサのオフセット誤差に相関する値に基づいて算出する判定基準値算出手段を更に備え、
    前記着火時期判定手段は、前記熱発生率算出手段によって算出される熱発生率が前記判定基準値算出手段によって算出される判定基準値を超える時を着火時期と判定する手段であることを特徴とする内燃機関の着火時期判定システム。
  3. 請求項1において、
    前記熱発生率算出手段による熱発生率の算出値を前記クランク角度センサのオフセット誤差に相関する値に基づいて補正した熱発生率補正値を算出する補正手段を更に備え、
    前記着火時期判定手段は、前記補正手段によって算出された熱発生率補正値が所定の判定基準値を超える時を着火時期と判定する手段であることを特徴とする内燃機関の着火時期判定システム。
  4. 請求項2において、
    前記判定基準値算出手段は、
    燃焼室内における燃料の燃焼に伴う熱発生率がその値を超えた場合に燃料が着火したと判定可能に定められる判定基準値である基本判定基準値を取得する手段と、
    圧縮上死点において燃料噴射及び燃料燃焼による熱授受が略行われない所定条件下において、圧縮上死点における熱発生率を前記熱発生率算出手段により算出する手段と、
    を有し、
    前記判定基準値を、前記基本判定基準値と、前記所定条件下において算出された圧縮上死点における熱発生率と、の和として算出する手段であることを特徴とする内燃機関の着火時期判定システム。
  5. 請求項2において、
    前記判定基準値算出手段は、
    燃焼室内における燃料の燃焼に伴う熱発生率がその値を超えた場合に燃料が着火したと判定可能に定められる判定基準値である基本判定基準値を取得する手段と、
    圧縮上死点近傍において燃料噴射及び燃料燃焼による熱授受が略行われない所定条件下において、圧縮上死点近傍の所定期間内の複数時点における熱発生率を前記熱発生率算出手段により算出し、当該算出された複数時点における熱発生率の平均値を算出する手段と、
    を有し、
    前記判定基準値を、前記基本判定基準値と、前記所定条件下において算出された圧縮
    上死点近傍における熱発生率の平均値と、の和として算出する手段であることを特徴とする内燃機関の着火時期判定システム。
  6. 請求項3において、
    前記補正手段は、
    圧縮上死点において燃料噴射及び燃料燃焼による熱授受が略行われない所定条件下において、前記熱発生率算出手段により熱発生率を算出する手段を有し、
    前記熱発生率補正値を、前記熱発生率算出手段による熱発生率の算出値から、前記所定条件下において算出された熱発生率を引いた値として算出する手段であることを特徴とする内燃機関の着火時期判定システム。
  7. 請求項3において、
    前記補正手段は、
    燃料噴射及び燃料燃焼が行われない場合に前記熱発生率算出手段によって燃焼室内の熱発生率として算出される値であるベース熱発生率と、前記クランク角度センサのオフセット誤差と、の関係を取得する手段と、
    圧縮上死点において燃料噴射及び燃料燃焼による熱授受が略行われない所定条件下において、圧縮上死点における熱発生率を前記熱発生率算出手段により算出する手段と、
    前記所定条件下において算出された圧縮上死点における熱発生率と、前記関係と、に基づいて前記クランク角度センサのオフセット誤差を算出する手段と、
    前記算出されたオフセット誤差に基づいて前記クランク角度センサによるクランク角度の測定値を補正する手段と、
    を有し、
    前記熱発生率補正値を、前記熱発生率算出手段において前記補正されたクランク角度の測定値を用いて算出した熱発生率として算出する手段であることを特徴とする内燃機関の着火時期判定システム。
  8. 請求項3、6、又は7のいずれか1項において、
    前記着火時期判定手段は、
    燃焼室内における燃料の燃焼に伴う熱発生率がその値を超えた場合に燃料が着火したと判定可能に定められる判定基準値である基本判定基準値を取得する手段を有し、
    前記所定の判定基準値とは、前記基本判定基準値であることを特徴とする内燃機関の着火時期判定システム。
  9. 請求項4から8のいずれか1項において、
    前記所定条件は、前記熱発生率算出手段による熱発生率の算出対象となる気筒において燃料噴射を停止する燃料噴射制御を行うことにより成立する条件であることを特徴とする内燃機関の着火時期判定システム。
  10. 請求項4から8のいずれか1項において、
    前記所定条件は、前記内燃機関において燃料カット制御が行われる時に成立する条件であることを特徴とする内燃機関の着火時期判定システム。
  11. 請求項4から8のいずれか1項において、
    前記所定条件は、燃料噴射時期を圧縮上死点よりも一定期間後の時期に設定することにより成立する条件であることを特徴とする内燃機関の着火時期判定システム。
  12. 請求項4から8のいずれか1項において、
    前記所定条件は、燃料の燃焼が圧縮上死点よりも一定期間前の時期に終了するように燃料噴射制御を行うことにより成立する条件であることを特徴とする内燃機関の着火時期判
    定システム。
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