JP2009138067A - 二軸配向ポリエステルフィルムおよびそれを用いた孔版印刷用原紙ならびにその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】カーボンブラック粒子を高濃度に含有しつつ、製膜安定性に優れた二軸配向ポリエステルフィルムおよびその製造方法を提供すること。また、孔版印刷用原紙として用いた場合には高精細・高速製版の実現を可能とする二軸配向ポリエステルフィルムおよびその製造方法を提供すること。
【解決手段】少なくとも3種類のジオール成分を用いてなるポリエステルからなるフィルムであって、フィルムの厚みむらが20%以下であり、カーボンブラック粒子をフィルム全体に対して5〜30質量%含有する二軸配向ポリエステルフィルム。
【選択図】なし
【解決手段】少なくとも3種類のジオール成分を用いてなるポリエステルからなるフィルムであって、フィルムの厚みむらが20%以下であり、カーボンブラック粒子をフィルム全体に対して5〜30質量%含有する二軸配向ポリエステルフィルム。
【選択図】なし
Description
本発明は、二軸配向ポリエステルフィルムに関するものであり、特に孔版印刷用原紙として用いた場合には高精細・高速製版の実現を可能にするものである。
プラスチックフィルムの用途は多岐にわたっており、素材の特性を生かし、あるいは共重合・ブレンド・添加剤により特性を改良し、さらに種々の工程プロセスと組み合わせて製造することで、包装材料、磁気記録材料、印刷材料、電気絶縁材料、光学材料としてその応用分野を拡大してきた。
これらのうち、印刷材料における利用分野の一つに、孔版印刷用途がある。孔版印刷とは、孔版印刷用原紙(以下、「原紙」と略称することがある)として、支持体となる和紙・不織布や発泡樹脂などと画像形成体となるポリエステルフィルムなどのプラスチックフィルムを貼り合わせたものを用い、画像に合わせて孔を形成し、圧力によってそこを通過したインクを紙などに転写して印刷する方法である。
孔を形成する方法、すなわち穿孔の方法としては、従来からサーマルヘッドにより、熱を加えて原紙のフィルムを融解することによってパターニングする感熱孔版方式が主流である。
従来、感熱孔版方式にて穿孔する場合に用いられる印刷用原紙(以下、「感熱孔版印刷用原紙」ということがある)として、フィルムと多孔質部材からなる支持体とを接着剤で貼り合わせたものが使用されてきた。また、当該感熱孔版印刷用原紙に用いられるフィルムとしては、塩化ビニル/塩化ビニリデン共重合体フィルムやポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレート共重合体フィルムが使用され、多孔質部材からなる支持体としては、薄葉紙やポリエステル紗等が使用されてきた(例えば特許文献1)。
しかしながら、感熱孔版方式では、熱による融解を行うために、穿孔位置周辺の熱伝導の影響が大きく、穿孔精度に限界があった。また、熱を加えることによるフィルムの熱収縮・変形の問題もあるため、印刷精度は600dpi相当の印刷も困難であるのが現状である。
こうした問題を解決するために、新たな穿孔の方式が提案されている。例えば特許文献2には、熱可塑性樹脂フィルムの上にカーボンブラック層をコートし、該カーボンブラック層に赤外レーザー光を照射することにより、カーボンブラック層から発生する熱を利用して熱可塑性樹脂フィルムを溶融穿孔してパターニングする方式が開示されている(以下、レーザーを用いて原紙を穿孔し、パターニングする方法を「レーザー孔版方式」といい、レーザー孔版方式にて穿孔する場合に用いられる印刷用原紙を「レーザー孔版印刷用原紙」ということがある)。
特開昭53−49519号公報
特開2000−79772号公報
しかしながら、特許文献2で開示されている方法は、原紙として熱可塑性樹脂フィルムの上にカーボンブラック層をコートしたフィルムを用い、該カーボンブラック層にレーザーを照射して熱可塑性フィルムを間接的に溶融し、穿孔する方法であるため、伝熱効率が低いものであった。また、カーボンブラック層から発せられる熱に起因するフィルムの熱収縮・変形も少なからず発生するため、穿孔精度や穿孔速度はそれほど向上せず、結果として、印刷精度や製版速度の向上にも限界があった。
ここで、穿孔精度や穿孔速度をさらに飛躍的に向上させる新規な方法として、原紙として、フィルム内部にカーボンブラック粒子を分散せしめた熱可塑性樹脂フィルムを用い、該フィルムにレーザー光を照射することにより、穿孔し、パターニングする方法が考えられる。以下、当該方法の穿孔原理および利点について述べる。
まず、レーザー光をカーボンブラック粒子含有フィルムに照射すると、フィルム中のカーボンブラック粒子がレーザー光を吸収し、レーザーアブレーション現象が起こる。レーザーアブレーション現象とは、高エネルギー密度を有するレーザーを固体に照射した際、レーザーを吸収した固体が、大きなエネルギーを有するフラグメント(断片)となって、急激な発熱を伴いながら、爆発的に飛散する現象である。かかるレーザーアブレーション現象が起こると、カーボンブラック粒子がフラグメント化して飛散するのみならず、レーザーアブレーション現象に伴う急激な発熱によりカーボンブラック粒子周辺の樹脂がガス化する。かかるフラグメント化されたカーボンブラック粒子と、ガス化した樹脂は、フィルム面方向と垂直な方向に噴出するため、その部分に孔が生じ、フィルムが穿孔されることとなる。このようなレーザーアブレーション現象はフィルムの内部から起こるため、フィルムをより直接的に穿孔することが可能となる。つまり、当該方法を用いて穿孔することにより、レーザー光照射部のみを高精度に穿孔できるため、フィルム外部からの伝熱およびフィルムの熱収縮を利用した従来の感熱孔版方式と比較して、穿孔精度や穿孔速度の大幅な向上が期待できる。また、感熱孔版方式で問題となる穿孔部周辺の収縮劣化による耐久性の低下も大幅に抑制することができるものと思われる。
一方、これまで、カーボンブラックを含有させたポリエステルフィルムを安定に製膜できるカーボンブラック濃度の上限はフィルム全体に対して1質量%以下であり、かかる低いカーボンブラック濃度では、上記した新規なレーザー孔版方式を用いたとしても、穿孔速度や穿孔精度が充分に向上しないことが懸念される。この問題を解決する方法の一つとして、光源の出力が大きい高額なレーザーを使用する方法もあるが、次に述べる理由により、現実的ではない。すなわち、印刷システムを普及させるためには、印刷システムのコストをできるだけ抑制することも重要な課題であり、レーザーユニットは安価であることが好ましいため、一般に高額なレーザーユニットは歓迎されないからである。
以上より、カーボンブラックの濃度を従来以上に向上せしめたフィルムの創出が強く望まれる。
しかし、単にカーボンブラック濃度を高濃度化しただけでは延伸工程でフィルムの破断が起きやすくなり、フィルムの製膜安定性が大幅に低下してしまう。そのため、カーボンブラックを高濃度に含有し、かつ製膜安定性(生産性)に優れたフィルムは、未だ得られていないのが現状である。
よって、本発明は、カーボンブラック粒子を高濃度に含有し、かつ製膜安定性に優れたポリエステルフィルムを創出することによって、上述したような従来の孔版印刷用原紙に用いられるフィルムにおける欠点を解消し、孔版印刷用原紙として用いた場合には高精細・高速製版の実現を目的とするものである。
本発明は、以下の構成を有する。すなわち、
(1)少なくとも3種類のジオール成分を用いてなるポリエステルからなるフィルムであって、フィルムの厚みむらが20%以下であり、カーボンブラック粒子をフィルム全体に対して5〜30質量%含有する二軸配向ポリエステルフィルム、
(2)孔版印刷用原紙に用いられる(1)に記載の二軸配向ポリエステルフィルム、
(3)(1)に記載の二軸配向ポリエステルフィルムに、多孔質部材からなる支持体を貼り合わせてなる孔版印刷用原紙、
(4)ジオール成分の90モル%以上が単一のジオール成分(a1)からなるポリエステル(A1)と、ジオール成分の90モル%以上がジオール成分(a1)とは異なる単一のジオール成分(a2)からなるポリエステル(A2)と、カーボンブラック粒子とを予め混練することにより得られた組成物(B)を用いて得られた(1)に記載の二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法、
(5)(4)に記載の組成物(B)とポリエステル(C)とを混合し、溶融押出しし、二軸延伸して得られた(1)に記載の二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法、である。
(1)少なくとも3種類のジオール成分を用いてなるポリエステルからなるフィルムであって、フィルムの厚みむらが20%以下であり、カーボンブラック粒子をフィルム全体に対して5〜30質量%含有する二軸配向ポリエステルフィルム、
(2)孔版印刷用原紙に用いられる(1)に記載の二軸配向ポリエステルフィルム、
(3)(1)に記載の二軸配向ポリエステルフィルムに、多孔質部材からなる支持体を貼り合わせてなる孔版印刷用原紙、
(4)ジオール成分の90モル%以上が単一のジオール成分(a1)からなるポリエステル(A1)と、ジオール成分の90モル%以上がジオール成分(a1)とは異なる単一のジオール成分(a2)からなるポリエステル(A2)と、カーボンブラック粒子とを予め混練することにより得られた組成物(B)を用いて得られた(1)に記載の二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法、
(5)(4)に記載の組成物(B)とポリエステル(C)とを混合し、溶融押出しし、二軸延伸して得られた(1)に記載の二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法、である。
本発明のフィルムは、カーボンブラック粒子を高濃度に含有しているにもかかわらず、製膜安定性に優れ、特に孔版印刷用原紙として用いた場合には高精細・高速製版の実現することができ、有用なものである。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、赤外線等のレーザー光や熱を効率よく吸収するためにカーボンブラック粒子をフィルム全体に対して5〜30質量%含有していることが必要であり、好ましくは7〜25質量%、より好ましくは10〜20質量%である。カーボンブラックの含有量が5質量%未満であると、穿孔性に劣るフィルムとなり、30質量%を越えるとフィルム製造中の延伸工程において破断などが起きやすくなり、製膜安定性に劣る。
本発明のフィルムを、レーザー孔版方式にて穿孔する場合、用いられるレーザー光の波長はカーボンブラックの吸収波長(波長300nm〜2500nm)と一致するものであればどのような領域のものでも構わないが、レーザー発信装置が高出力かつ安価な点で赤外線を用いたものが好ましい。赤外線とは一般に700nm以上の波長を持つ光のことを言い、レーザーには特に700nm〜2500nmの近赤外線波長が用いられる事が多い。
本発明におけるカーボンブラック粒子の数平均粒径(一次粒径)は0.003〜0.5μmであることが好ましく、粒子の分散性やフィルムの製膜安定性の点から0.005〜0.1μmであることがより好ましく、0.01〜0.05μmであることがさらに好ましい。粒子の数平均粒径が0.003μm未満だと粒子の比表面積が大きいため、凝集による粗大異物の発生や高い表面活性によるポリマーの分解の恐れがあるので好ましくない。また粒子の数平均粒径が0.5μmより大きいと、異物の出現等のフィルムの欠陥が生じやすくなり、安定した製膜が出来なくなるために好ましくない。ここで数平均粒径とは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察した画像中で、円相当粒子径が0.0002〜1μmである粒子から無作為に選んだ100個の粒子径から算出した数平均粒子直径である。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムに含有せしめるカーボンブラックの種類は、チャンネル型、ファーネス型、サーマル型、ランプ型など、どの様な種類でもかまわないが、本発明にて好適に用いられる粒径の小さな種類が大量生産されていて、安価に手で入る点でファーネス型のカーボンブラックが好ましい。
本発明におけるポリエステルとは、エステル結合により構成される高分子量体の総称であり、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどをあげることができる。
本発明におけるポリエステルの合成においては、常法に従い、ジオール成分とジカルボン酸成分あるいはそのエステル形成性誘導体の縮重合により得ることが好ましい。ここでジカルボン酸とは、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバチン酸などで代表されるものである。また、これらのエステル形成性誘導体とは、テレフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル等に代表される化合物である。また、ジオールとは、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコールなどで代表されるものである。
まず、第一段階としてポリエステルのオリゴマーを合成する。このオリゴマーの合成法には、ジカルボン酸成分とジオール成分のエステル化反応を経る直接重合法、ジカルボン酸のアルキルエステルとジオール成分のエステル交換反応を経るエステル交換反応法の2つが代表的であるが、本発明においてはいずれを用いても良い。こうして得られたオリゴマーを、徐々に昇温させながら減圧して、ジオール成分および水を反応系外に留去することにより高重合度化してポリエステルを得る。
重合方法としてはバッチ式重合装置でも連続重合装置を用いても構わない。133Pa以下の減圧下あるいは窒素等の不活性ガス雰囲気下において、結晶化温度以上、融点以下の温度で加熱処理することにより固相重合を行ってもよい。この温度は、例えばポリエステルがポリエチレンテレフタレートである場合には180〜250℃が好ましく、より好ましくは190〜245℃、さらに好ましくは200〜240℃の範囲である。
本発明のポリエステルの製造触媒は、特に限定されるものではなく、種々の触媒を用いることができる。エステル交換反応に有効な触媒としては、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウムなどのアルカリ金属またはアルカリ土類金属化合物の他、酢酸マンガン、酢酸コバルト、酢酸亜鉛、酢酸スズ、アルコキシドチタンなどを用いることができる。また、重合触媒としては、三酸化二アンチモン、二酸化ゲルマニウム、アルコキシドチタンなどの他、アルミニウムやシリカの複合酸化物などを用いることができる。また、安定剤として、リン酸、亜リン酸、ジメチトリメチルホスフェートなどの各種リン化合物を添加することが好ましい。該リン化合物の添加時期は、エステル化反応後あるいはエステル交換反応後から重縮合反応の初期に添加することが好ましい。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、少なくとも3種類のジオール成分を用いてなるポリエステルからなる必要がある。本発明のフィルムは、単一のジオール成分1を主たるジオール成分としてなるポリエステル1と、単一のジオール成分2(但しジオール成分1とは異なる)を主たるジオール成分としてなるポリエステル2と、単一のジオール成分3(但しジオール成分1、2とは異なる)を主たるジオール成分としてなるポリエステル3の3種類のポリエステルを用いてなることが好ましいが、3種類のジオール成分(ジオール成分1、ジオール成分2、ジオール成分3)が共重合されてなる1種類のポリエステルを用いてなるフィルムであっても良いし、単一の1種類のジオール成分(ジオール成分1)を主たるジオール成分としてなるポリエステル1と2種類以上のジオール成分(ジオール成分2(但しジオール成分1とは異なる)、ジオール成分3(但しジオール成分1とは異なる))が共重合されてなるポリエステル2の2種類のポリエステルを用いてなるフィルムであっても構わない。ジオール成分が2種類以下であると、延伸性、機械特性、耐熱性が劣る。本発明では、ジオール成分として、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール(以下、「プロパンジオール」と略称することがある)、1,4−ブタンジオール(以下、「ブタンジオール」と略称することがある)、シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコール(これらのジオール成分を以下「好適なジオール成分」ということがある)から選ばれる3種類以上のジオール成分を用いてなるポリエステルからなるフィルムであることが好ましく、特にエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオールの3種類のジオール成分を用いてなるポリエステルからなるフィルムであることが好ましい。この場合、エチレングリコール成分がフィルム中のポリエステルの全ジオール成分に対して60〜90モル%、1,3-プロパンジオール成分が5〜20モル%、1,4-ブタンジオール成分が5〜20モル%であることがより好ましい。エチレングリコール成分が90モル%より多いと延伸性が低下し、60モル%未満であると機械特性に劣ることがある。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、前述した少なくとも3種類のジオール成分を用いてなるポリエステルからなることにより、延伸時にカーボンブラック粒子周りのポリエステルの結晶化を抑制し、その結果、延伸性を向上させる点に特徴がある。
また、本発明者らのさらなる検討によると、外力が負荷される製膜、加工時等において、フィルムが破れたり切れやすくなる原因は、カーボンブラック粒子周りを起点とするクラックの発生が主原因であり、該クラックの発生は粒子周りのポリマーが過度に結晶化しているために起こる事が分かった。そこで、この結晶化を抑制するために、粒子周りのポリエステルを低結晶性のポリエステルとすることにより、フィルムの融解ピークを低下させることなく、すなわちフィルムの耐熱性を低下させることなく、高濃度にカーボンブラックを含有せしめたフィルムを安定的に製膜できる。
本発明における粒子周りのポリエステルとは、粒子の周りを覆うポリエステルのことであり、バルクのポリエステルとは異なる。ここで、バルクのポリエステルとは全てのカーボンブラック粒子の表面から0.1μm以上離れているポリエステルのことをいう。また、粒子周りのポリエステルは、バルクのポリエステルよりも低結晶性であることが好ましい。なお、本発明においてポリエステルの結晶性とは、ポリエステルの結晶化指数のことであり、赤外分光測定によるトランス量で算出される。
ポリエステルを低結晶性のポリエステルとするためには、ジオール成分として、「好適なジオール成分」から選ばれる2種類以上のジオール成分が用いられていることが好ましく、特に、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオールが用いられていることが好ましい。
また、低結晶性のポリエステルに用いられるジカルボン酸成分は、特に限定されるものではないが、テレフタル酸を有することが、耐熱性やコスト、さらには粒子周りの結晶化抑制の点から好ましい。すなわち、本発明における低結晶性のポリエステルは、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートから選ばれる少なくとも2種類のポリエステルを含むことが好ましく、具体的には、低結晶性のポリエステル全体を100質量%としたとき、ポリプロピレンテレフタレートを15〜85質量%、およびポリブチレンテレフタレートを85〜15質量%含むことがより好ましい。
しかし、バルクのポリエステルと粒子周りのポリエステルの両方を低結晶性のポリエステルとすると、耐熱性や機械特性の面で劣るフィルムとなるため、バルクのポリエステルは、粒子の周りを覆うポリエステルに用いられているジオール成分とは異なるジオール成分を用いてなることが好ましい。より好ましくは、ジオール成分の90モル%以上が単一のジオール成分であり、かつ該ジオール成分が粒子周りを覆うポリエステルに用いられているジオール成分とは異なるジオール成分であり、かつ該ジオール成分がエチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオールから選ばれるジオール成分であることである。また、バルクのポリエステルに用いられるジカルボン酸成分は、特に限定されるものではないが、テレフタル酸を有することが耐熱性やコストの点から好ましい。
また、カーボンブラックの粒子周りを低結晶性のポリエステルで被覆する方法としては特に限定されないが、ベントを備えた二軸混練押出機により、予め低結晶性のポリエステル(A)にカーボンブラックを高濃度に添加し混練した組成物(B)(いわゆるマスターバッチ)を得、しかる後にこの組成物(B)を適切な比で希釈用ポリエステル(C)と混合して希釈することにより所望の濃度のカーボンブラックを含有した混合物を得て、これをフィルム化することが好ましい。予めカーボンブラックと低結晶性のポリエステル(A)とからなる組成物(B)を製造する事により、カーボンブラック粒子周りが低結晶性のポリエステル(A)に囲まれ、ポリエステル(C)で希釈したあともカーボンブラック粒子周りが低結晶性ポリエステルで被覆された状態に保たれる。このとき組成物(B)とポリエステル(C)の適切な比は、組成物(B)が5〜70質量%、ポリエステル(C)が95〜30質量%であることが好ましい。かかる範囲とすることで、ポリエステル(C)で希釈した後のカーボンブラックの分散性の点で有利となる。このような方法を用いることにより、カーボンブラックを5質量%以上含有する場合でも、安定して延伸製膜することができる。
また、上記製造方法を用いる場合、低結晶性のポリエステル(A)は、少なくとも2種類のジオール成分を用いてなるポリエステルからなることが好ましく、より好ましくは90モル%以上が単一のジオール成分(a1)からなるポリエステル(A1)と、ジオール成分の90モル%以上がジオール成分(a1)とは異なる単一のジオール成分(a2)からなるポリエステル(A2)とを用いてなることが、耐熱性の点からより好ましい。
すなわち、ジオール成分の90モル%以上が単一のジオール成分(a1)からなるポリエステル(A1)と、ジオール成分の90モル%以上がジオール成分(a1)とは異なる単一のジオール成分(a2)からなるポリエステル(A2)と、カーボンブラック粒子とを予め混練することにより得られた組成物(B)を用いることによって、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを得ることが好ましい。
ポリエステル(A1)に用いられるジオール成分(a1)やポリエステル(A2)に用いられるジオール成分(a2)は、「好適なジオール成分」から選ばれることが好ましく、特に、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオールが、ポリエステルの低結晶化の点から好ましい。また、ポリエステル(A1)やポリエステル(A2)に用いられるジカルボン酸成分としては、特に限定されるものではないが、テレフタル酸を有することが耐熱性やコスト、さらには粒子周りの結晶化抑制の点から好ましい。すなわち、本発明における組成物(B)に用いられるポリエステルは、ジオール成分の90モル%以上が1,3−プロパンジオールであるポリプロピレンテレフタレート(共重合体含む)、またはジオール成分の90モル%以上が1,4−ブタンジオールであるポリブチレンテレフタレート(共重合体含む)の少なくとも一方を用いてなることが好ましく、より好ましくはジオール成分の90モル%以上が1,3−プロパンジオールであるポリプロピレンテレフタレート(共重合体含む)とジオール成分の90モル%以上が1,4−ブタンジオールであるポリブチレンテレフタレート(共重合体含む)の両方を用いてなることである。
また、ポリエステル(A1)、ポリエステル(A2)が、ポリプロピレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレートである場合は、ポリエステル(A1)とポリエステル(A2)の全量を100質量%として、ポリプロピレンテレフタレートを15〜85質量%、ポリブチレンテレフタレートを85〜15質量%含むのがより好ましい。
なお、少なくとも2種類のジオール成分を用いてなる低結晶性のポリエステル(A)にカーボンブラックを高濃度に添加し混練することにより組成物(B)を得る場合は、低結晶性のポリエステル(A)90〜40質量%にカーボンブラック10〜60質量%(両者の合計が100質量%)を添加することが、カーボンブラックの分散性の点から好ましい。
また、組成物(B)を希釈するポリエステル(C)に用いられるジオール成分は、エチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオールから選ばれるジオール成分であることが、耐熱性の点から好ましいが、組成物(B)に含まれるポリエステルに用いられているジオール成分とは異なるジオール成分であることがカーボンブラック粒子の分散性の点からより好ましい。なお、ポリエステル(C)に用いられるジカルボン酸成分は、特に限定されないが、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸であることが耐熱性の点から好ましい。したがって、ポリエステル(C)はポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリブチレン−2,6−ナフタレート、ポリプロピレン−2,6−ナフタレートから選ばれるポリエステルであることが耐熱性の点から好ましい。
本発明のフィルムにおいて、粒子周りを覆うポリエステルのジオール成分と、それ以外のバルクを構成するポリエステルのジオール成分は、以下の方法でそれぞれ測定することができる。まず、オルトクロロフェノール(OCP)を用いてフィルムを60℃で5時間溶解する。この温度および時間条件においては、カーボンブラック粒子周りを構成するポリエステルは粒子表面で結晶化し、かつ化学的に結合しているためほとんど溶解せず、粒子周りに残る。結果、これを遠心分離することにより得られる上澄み溶液(X)中に含まれるポリエステルは、フィルムのバルクを構成するポリエステルである。一方、沈殿物は、粒子周りを特定組成のポリマーに被覆された粒子であり、この粒子を、再びオルトクロロフェノール中で、より強い温度条件である150℃で1時間処理することにより、粒子表面に固着した粒子周りのポリエステルは完全に溶解される。これを遠心分離すると、粒子周りのポリエステルを含有した上澄み溶液(Y)が得られる。これら(X)と(Y)を、核磁気共鳴スペクトル(NMR)法、質量分析ガスクロマトグラフィー(GC−MS)法、あるいは液体クロマトグラフィー(LC)法など、一般的な有機分析処方を用いることにより、容易にジオール成分を定性・定量することができる。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは二軸に配向されている必要がある。フィルムを二軸配向させるためには、例えばフィルムを二軸延伸することにより達成することができる。なお、未配向フィルム(未延伸フィルム)や一軸配向フィルム(一軸延伸フィルム)では十分な薄膜化を行う事が出来ず、厚さも一定にする事が困難なため、均一な大きさの径を穿孔できるフィルムを得る事が出来ない。さらに、配向(延伸)していない方向は、機械強度が不足するため破れや変形が生じて耐久性に劣る。二軸延伸を行なう場合は、フィルムの長手方向と、長手方向に直交する幅方向に、それぞれ延伸することが好ましい。本発明において、二軸延伸の倍率は特に限定されないが、破れやしわの発生を防止して安定した生産を行うためには、長手方向、幅方向の延伸倍率はそれぞれ2.5倍〜4.5倍であることが好ましい。二軸延伸の方法としては、同時二軸延伸法と逐次二軸延伸法があるが、ポリエステルフィルムの場合、同時二軸延伸では、厚みむらや平面性が悪化する場合があるため、逐次二軸延伸が好ましい。さらに、逐次二軸延伸法には長手方向に延伸した後で幅方向に延伸する方法と、幅方向に延伸した後で長手方向に延伸する方法の2種類が考えられるが、ポリエステルフィルムの場合、たわみなどが生じないよう均一に延伸する方法として、ロール間で長手方向に延伸を行った後テンターにて幅方向に延伸を行う延伸方法が主流である。
したがって、本発明では、組成物(B)とポリエステル(C)とを混合し、溶融押出しし、二軸延伸することにより、二軸配向ポリエステルフィルムを得ることが好ましい。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、フィルム厚みが1μm〜30μmであることが好ましく、より好ましくは1.5μm〜20μmであり、さらに好ましくは2μm〜10μmである。フィルムの厚みが厚い場合には、フィルムを穿孔するために必要なエネルギー(以下、「穿孔エネルギー」という)が大きくなるため十分な大きさの穿孔径を得るためには高額な高出力レーザーシステムを導入したり、あるいは穿孔に長時間かける必要がある。また、フィルムの厚みが薄い場合は、フィルムの持つ弾性率にもよるが、製版時(穿孔時)及び印刷時の耐久性が低下したり、印刷機内での搬送や印刷ドラムへの着版などのハンドリングが困難となる。この場合、多孔質部材からなる支持体を貼り合わせることによって耐久性やハンドリング性が向上するが、コストが増大する。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、フィルムの厚みむらが20%以下である必要がある。好ましくは15%以下、より好ましくは10%以下である。厚みむらが20%より大きい場合には、フィルム厚みが厚い箇所は、穿孔エネルギーが大きくなるため十分な大きさの穿孔径が得られなかったり、フィルムの厚みが薄い箇所は、穿孔径が大きくなりすぎて、隣接している孔と連結してしまう場合がある。厚み精度を向上させる方法は一般的には、強い静電印加をかけることによってキャスティングドラムに密着させる方法、延伸温度を80℃〜95℃の比較的低温にして二軸延伸する方法、もしくは二軸延伸の延伸倍率を長手方向、幅方向ともに3倍以上の高倍率で行うことが挙げられる。
しかし通常、カーボンブラック粒子が高濃度添加されたフィルムにおいて、静電印加をかける方法はカーボンブラックの導電性のために密着性が悪化して効果が少なく、また、カーボンブラック周りのポリエステルが結晶化することによって延伸性が悪化しているために低温での延伸や高倍率延伸は困難である。
この点、本発明では、3種類以上のジオール成分を用いてなるポリエステルを用いることにより、延伸特性を飛躍的に向上せしめている。すなわち、本発明の構成とすることにより、長手方向、幅方向ともに高倍率で延伸を行うことが可能となり、厚みむらを改善することができる。具体的には、長手方向、幅方向ともに2.5倍以上の延伸を行うことにより、厚みむらを20%以下にすることができ、また、長手方向、幅方向ともに3倍以上で延伸することにより厚みむらをより小さくすることができる。なお、延伸性の観点から好ましいジオール成分としては、「好適なジオール成分」から選ばれるジオール成分が挙げられ、特に好ましくは、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオールの3種類のジオール成分を用いることである。
さらに上記方法に加えて、キャスト位置を溶融されたポリマーとキャスティングドラムの角度が10°〜60°になるように前方にする方法によってフィルムの着地時の振動を抑えたり、キャスティングドラムの温度を高くすることやエアーナイフを使用することによって、フィルムとキャストとの密着性を向上させて、キャスト時の厚みむら発生を抑えることによりフィルムの厚みむらを20%以下にすることができる。
本発明における厚みむらとは、フィルム平均厚みに対する最大変動幅の比に100を乗じたものであり、詳細な測定方法は後述する。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、長手方向および幅方向の弾性率が2.5〜5GPaであることが好ましく、より好ましくは3〜5GPa、さらに好ましくは3.5〜5GPaである。弾性率が2.5GPaよりも低い場合には機械的強度不足のため、穿孔時や印刷時に穿孔周りが変形する場合がある。弾性率が5GPaより大きい場合には柔軟性が失われて取り扱い性が悪化する場合がある。弾性率を向上させる方法は特に限定しないが、例えば85℃〜110℃の比較的低温で延伸する方法や、長手方向、幅方向ともに3倍以上の高倍率で延伸することにより、フィルムを高配向させる方法が挙げられる。さらには二軸延伸後に、温度を変えて再度延伸する多段延伸法や、190℃〜245℃で1〜30秒間熱処理する方法なども挙げられる。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを孔版印刷用原紙として用いる場合、フィルムの表面粗さは1nm〜100nmが好ましく、より好ましくは3nm〜70nm、さらに好ましくは5nm〜50nmである。表面粗さが100nmより大きくなると厚みむらの原因になったり、多孔質部材からなる支持体など他部材との貼り合わせ加工時にしわが発生したりする為好ましくない。また、1nmよりも小さいと摩擦が大きくなり、ハンドリングが悪くなるので好ましくない。表面粗さを1nm〜100nmの範囲に制御する方法としては、フィルム中に各種不活性粒子を添加する方法が挙げられる。この不活性粒子の粒径は0.01μm〜3μmが好ましく、濃度は0.5〜10質量%が好ましい。ここで本発明における表面粗さとは、表面の凹凸のことであり、JIS.B0601(1994)に記載の「算術平均粗さの定義及び表示」の項で規定される二次元の中心線平均粗さ(Ra)のことで、触針式表面粗さ計を用いて測定する。
これら不活性粒子としては、湿式あるいは乾式シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、ジルコニア、珪酸アルミニウム、酸化亜鉛、酸化銅、などの酸化物無機粒子、金、銀、銅、鉄、白金等の無機金属粒子、架橋ポリスチレン、架橋ジビニルベンゼンなどに代表される有機粒子、その他炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、硫酸バリウム、カーボンブラックなどの粒子を挙げることができる。これら粒子は、ポリエステルの重縮合における任意の工程、好ましくはオリゴマーから重縮合工程に移行する前に反応系に添加されることが分散性向上の観点から好ましい。また、粒子は、水あるいはエチレングリコールなどのポリエステルモノマー化合物を分散媒として添加されることが好ましい。また、これら粒子を、ベント孔つき二軸押出機を用いて、あらかじめ得られたポリエステルに混練分散しても構わない。また、ポリエステルの重縮合触媒に起因して重縮合過程において生成する、いわゆる内部粒子を含有しても構わない。
また、本発明のフィルムには、酸化防止剤、難燃剤、易滑剤、着色剤などの各種添加剤を、本発明のフィルムの物性を損なわない範囲で添加することができる。
以下に、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを得るための方法について説明するが、本発明のフィルムの製造方法は以下の方法に限定されるものではない。
まず、ポリエステル(A1)としてジオール成分の90モル%以上がプロパンジオール(ジオール成分(a1))からなるポリプロピレンテレフタレートと、ポリエステル(A2)としてジオール成分の90モル%以上がブタンジオール(ジオール成分(a2))からなるポリブチレンテレフタレートと、カーボンブラック粒子とを、ベントを備えた二軸混練押出機に供給し、溶融混練して組成物(B)を得る。
次に、該組成物(B)と、ポリエステル(C)たるポリエチレンテレフタレートとをカーボンブラック濃度が所望の値となるように混合し、120〜180℃で2〜4時間減圧乾燥後、溶融押出機に供給し、押出機に具備されたT型ダイ口金からシート状に溶融押出しし、キャスティングドラムを一定速度で回転させながら、キャスティングドラムの前方に着地させる。このとき溶融ポリマーとキャスティングドラムの角度は0°〜90°が好ましく、さらに好ましくは10°〜60°である。溶融ポリマーを静電印加法および/またはエアーナイフ法により密着固化し、未配向(未延伸)フィルムを得る。得られた未配向フィルムを、複数のロール群を備えた延伸機で、ロール間の周速差を利用して長手方向に延伸する。延伸温度は80〜170℃が好ましい。より好ましくは85〜160℃、さらに好ましくは90〜150℃である。延伸倍率は2.5〜4.5倍が好ましく、より好ましくは3〜4倍である。こうして得られた、長手方向に一軸配向(一軸延伸)されたフィルムの両端をクリップで把持して、加熱したテンター内で幅方向に延伸を行う。延伸倍率は2.5〜4.5倍が好ましく、より好ましくは3〜4倍である。また、延伸温度は85〜180℃が好ましい。より好ましくは、90℃〜170℃、さらに好ましくは95℃〜160℃である。
これにより、本発明の二軸配向(二軸延伸)ポリエステルフィルムを得ることができる。
なお、幅方向に延伸した後、さらに長手方向および/または幅方向に110〜180℃の延伸温度範囲で1.01〜2.5倍に延伸してもよい。
また、延伸後にフィルムの融点以下の温度で熱処理を加えることが好ましく、より好ましい温度範囲は190〜245℃であり、より好ましくは195℃〜235℃、さらに好ましくは200〜230℃である。熱処理時間は、1〜30秒間であることが好ましい。ここで、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの融点とは示差走査熱量計(セイコー電子工業製RDC220)を用いて、フィルム5mgをサンプルに用い、25℃から20℃/分の昇温速度で300℃まで昇温し、測定を行った際の融解現象で発現する吸熱ピーク温度である。なお、本発明のフィルムは異なる組成のポリエステル樹脂を用いてなることがあるため、フィルムとした場合にポリエステルの融解に伴う吸熱ピークが複数現れる場合があるが、その場合、最も高温側に現われる吸熱ピーク温度を本発明のポリエステルフィルムの融点とする。
また、熱処理工程の前後または同時に弛緩処理を行ってもよく、その後100〜160℃の温度で中間冷却を行ってもよい。弛緩処理の倍率は、幅方向及び/または長手方向に1〜10%であることが好ましく、より好ましくは2〜8%である。なお、幅方向の弛緩処理は幅方向の延伸が完了した後の最大フィルム幅に対してテンター出口の幅を縮めることによって行うことが好ましく、幅方向の弛緩処理の倍率Rwは、弛緩開始直前におけるフィルムの幅方向のクリップ間隔をDw1、弛緩終了直後のクリップ間隔をDw2として、
Rw=(Dw1−Dw2)/Dw1×100[%]
で表される。また、長手方向の弛緩処理は、テンタークリップのレール上の走行速度を徐々に減速することによって行うことが好ましく、長手方向の弛緩処理の倍率Rlは、弛緩開始直前のクリップと、そのクリップと同じレール上で隣接する進行方向手前のクリップとの間隔をDl1、弛緩終了直後のクリップと、そのクリップと同じレール上で隣接する進行方向奥のクリップとの間隔をDl2として、
Rl=(Dl1−Dl2)/Dl1×100[%]
で表される。
Rw=(Dw1−Dw2)/Dw1×100[%]
で表される。また、長手方向の弛緩処理は、テンタークリップのレール上の走行速度を徐々に減速することによって行うことが好ましく、長手方向の弛緩処理の倍率Rlは、弛緩開始直前のクリップと、そのクリップと同じレール上で隣接する進行方向手前のクリップとの間隔をDl1、弛緩終了直後のクリップと、そのクリップと同じレール上で隣接する進行方向奥のクリップとの間隔をDl2として、
Rl=(Dl1−Dl2)/Dl1×100[%]
で表される。
次に、本発明における二軸配向ポリエステルフィルムを孔版印刷用原紙として用いる場合について述べる。本発明のフィルムを用いた孔版印刷用原紙は、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムのみから構成されていても良いし、多孔質部材からなる支持体など他部材と本発明の二軸配向ポリエステルフィルムとを貼り合わせたものであっても良い。
本発明のフィルムを感熱孔版印刷用原紙として用いる場合、印刷機内での搬送や印刷ドラムへの着版などのハンドリング性や印刷時の耐久性の向上の点から、本発明のフィルムと多孔質部材からなる支持体とを貼り合わせて、孔版印刷用原紙とすることが好ましい。
一方、本発明のフィルムをレーザー孔版印刷用原紙として用いる場合、当該原紙は本発明の二軸配向ポリエステルフィルムのみから構成されていても良いし、多孔質部材からなる支持体など他部材と本発明の二軸配向ポリエステルフィルムとを貼り合わせたものであっても良いが、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムのみから構成されていることがより好ましい。支持体など他部材が不要となるためコストを大幅に削減することができ、かつ印刷時において支持体等にインクが接触することがないため、画質の低下を防止することができるためである。なお、本発明のフィルムを他部材と貼り合わせることなく、フィルム単独でも原紙として用いることができるのは、次の理由による。本発明のフィルムをレーザー孔版方式にて穿孔する場合、フィルムの厚みを厚くしても、高速に穿孔でき、かつ穿孔時の収縮による変形を小さくすることが可能である。そのため、フィルムの厚みを従来以上に厚くすることができ、フィルム単独でも充分なハンドリング性や耐久性を持たせることができるためである。
また、本発明における多孔質部材とは、成形体の片面から他面へ貫通した連続気孔を形成しているものであれば良く、孔版印刷用原紙として用いられる際に、インクが透過する部材のことである。中でも平滑性と成形加工性とに優れた不織布および多孔質樹脂シートが好適である。
不織布としては天然繊維、化学繊維または合成繊維あるいはこれらを混抄したものがあげられる。不織布としては合成繊維不織布が好ましく、合成繊維不織布とは合成樹脂繊維を主体とする繊維をランダムに交絡させてなる薄葉体であり、代表的なものとしてはメルトブロー不織布、スパンボンド不織布などが挙げられる。ここで、合成樹脂繊維を主体とするとは、不織布を構成する繊維のうち合成樹脂繊維を70質量%以上含むことをいう。合成樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレートなどが好ましく用いられる。
多孔質樹脂シートは、樹脂パウダーを希望の形状の金型に充填し、加圧あるいは無加圧状態で加熱焼結することで連続的に得ることができる。あるいは、樹脂パウダーをベルトコンベア上に充填し、コンベアを加温室に通して樹脂パウダーを焼結させることによって、連続的に得ることもできる。
また、多孔質樹脂シートは、発泡剤を含有した樹脂を押出機に供給して押出機中で発泡させ、溶融キャストしてシート状に形成することにより得ることもできる。なお、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを製造する工程において、かかる発泡樹脂層とカーボンブラック含有ポリエステル層を共押出しして積層未延伸シートを得、ひきつづきそのまま延伸することにより、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムに多孔質部材たる多孔質樹脂シートが積層された(貼り合わされた)孔版印刷用原紙を一気に得ることもできる。かかる方法は生産性の点で好ましい方法の一つである。
本発明に用いる多孔質樹脂シートを構成する樹脂は、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂に代表されるポリオレフィン系樹脂が好ましく用いられる。ポリオレフィン系樹脂としては、エチレンの単独重合体、エチレンとプロピレン、ブテン−1,ヘキセン−1,オクテン−1の様な1種類以上のα−オレフィンとの共重合体、エチレンと酢酸ビニル、アクリル酸、メタアクリル酸、アクリル酸エステル、メタアクリル酸エステルなどの共重合体、プロピレンの単独重合体、プロピレンとエチレン、ブテン−1の様な1種類以上のα−オレフィンとの共重合体等が挙げられる。またそれらは、用いる印刷用インキが水性インキの場合は、スルフォン化、親水性モノマーのグラフト重合処理、特定の界面活性剤の添加、親水性の層を設ける等の公知の方法で親水化することもできる。
上記した不織布あるいは多孔質樹脂シートと二軸配向ポリエステルフィルムとを貼り合せて孔版印刷用原紙を得る方法としては、特に限定されない。例えば、予め製造した二軸配向ポリエステルフィルムと不織布あるいは多孔質樹脂シートを熱あるいは接着剤によって貼り合わせる方法が挙げられる。
また、二軸配向ポリエステルフィルムの製造過程でフィルムと不織布あるいは多孔質樹脂シートとを低温で熱圧着した後あるいは接着剤によって貼り合わせた後、共延伸する方法も、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムに多孔質部材からなる支持体を貼り合わせてなる孔版印刷用原紙を一気に得ることができる点で好ましい方法の一つである。該方法について、より具体的に説明すると、該方法は二軸配向ポリエステルフィルムの製造過程において、延伸工程前の未配向(未延伸)ポリエステルフィルムと不織布あるいは多孔質樹脂シートを熱あるいは接着剤によって貼り合わせた後、それらを延伸工程にて延伸することにより、不織布あるいは多孔質樹脂シートと二軸配向ポリエステルフィルムとを複合化させる方法である。
一般に不織布を多孔質部材として用いる場合は、機械的強度を得るためにバインダー樹脂、またはバインダー繊維と呼ばれる繊維間接着剤が用いられることが多い。しかし、これらのバインダー成分は凝集体となってインキ不透過欠点となりやすいため、本発明においては、メルトブロー法やスパンボンド法など、繊維を空中でランダムに交絡させてコンベアネット等で捕集することによって薄葉体とする方法で製造される不織布が、均一なインキ透過性と機械的な強度のバランスの点で好ましく用いられる。
さらに、本発明における二軸配向ポリエステルフィルムと合成繊維不織布あるいは多孔質樹脂シートを貼り合せる方法として、不織布あるいは多孔質樹脂シートとしてポリエステルからなるものを用いて、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの製造過程でフィルムと不織布等とを低温で熱圧着した後、共延伸する方法が最も好ましい。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを用いた孔版印刷用原紙が製版される時間は短いほど好ましく、A4サイズの原紙を製版する許容範囲としては10分以内であり、好ましくは5分以内、より好ましくは3分以内である。このとき、例えば照射径が直径15μmで1.44Wのレーザーを4本使用した場合、A4サイズの原紙を10分間で製版する時に、1スポットに照射されるレーザー光のエネルギー密度は125mJ/mm2であり、同様に5分間の場合63mJ/mm2、3分間の場合38mJ/mm2である。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを孔版印刷用原紙として用いる場合、上記した理由により、エネルギー密度125mJ/mm2以下の光線により穿孔されることが好ましい。より好ましくは63mJ/mm2以下であり、さらに好ましくは38mJ/mm2以下である。穿孔可能な最小穿孔エネルギー密度を小さくする方法としては、フィルム厚みを薄くする方法やカーボンブラックの濃度を上げる方法が考えられる。最小穿孔エネルギー密度を125mJ/mm2以下になるようにカーボンブラック濃度とフィルム厚みを設計した場合、2種類以下のジオール成分からなるポリエステルフィルムでは、穿孔性、製膜安定性および機械強度の全てに優れたフィルムとすることは到底できない。すなわち、少なくとも3種類のジオール成分を用いてなる本発明のポリエステルフィルムとすることによりはじめて、穿孔性、製膜安定性および機械強度の全てに優れたフィルムを得ることができ、孔版印刷用原紙として好適に用いることができる。
[特性の測定方法および効果の評価方法]
本発明において説明に使用した特性値の測定方法および効果の評価方法は、次のとおりである。
本発明において説明に使用した特性値の測定方法および効果の評価方法は、次のとおりである。
(1)ポリエステルの固有粘度
オルトクロロフェノール中、25℃で測定した溶液粘度から、下式で計算した値を用いてポリエステルの固有粘度[η]を算出した。
ηsp/C=[η]+K[η] 2・C
ここで、ηsp=(溶液粘度/溶媒粘度)−1であり、Cは、溶媒100mlあたりの溶解ポリマー重量(g/100ml、通常1.2)、Kはハギンス定数(0.343とする)である。
また、溶液粘度、溶媒粘度はオストワルド粘度計を用いて測定した。単位は[dl/g]で示す。
オルトクロロフェノール中、25℃で測定した溶液粘度から、下式で計算した値を用いてポリエステルの固有粘度[η]を算出した。
ηsp/C=[η]+K[η] 2・C
ここで、ηsp=(溶液粘度/溶媒粘度)−1であり、Cは、溶媒100mlあたりの溶解ポリマー重量(g/100ml、通常1.2)、Kはハギンス定数(0.343とする)である。
また、溶液粘度、溶媒粘度はオストワルド粘度計を用いて測定した。単位は[dl/g]で示す。
(2)フィルム中のカーボンブラック含有量
フィルムをオルトクロロフェノール(OCP)中に150℃で溶解して、カーボンブラックをポリエステルから遠心分離してカーボンブラック質量を測定し、サンプリングしたフィルムの全体質量に対するカーボンブラック含有量(質量%)を求めた。
フィルムをオルトクロロフェノール(OCP)中に150℃で溶解して、カーボンブラックをポリエステルから遠心分離してカーボンブラック質量を測定し、サンプリングしたフィルムの全体質量に対するカーボンブラック含有量(質量%)を求めた。
(3)カーボンブラックの数平均粒径
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて倍率1000000倍で観察した画像中の粒子について円相当粒子径を求めた。円相当粒子径が0.0002〜1μmであった粒子から無作為に100個の粒子を選び、それら100個の粒子の円相当粒子径の平均値を求め、カーボンブラックの数平均粒径とした。
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて倍率1000000倍で観察した画像中の粒子について円相当粒子径を求めた。円相当粒子径が0.0002〜1μmであった粒子から無作為に100個の粒子を選び、それら100個の粒子の円相当粒子径の平均値を求め、カーボンブラックの数平均粒径とした。
(4)弾性率
フィルムの長手方向および幅方向についてASTM−D882(1997)に規定された方法に従い、(株)オリエンテック製テンシロンUCT−100を用いて測定した。25℃、65%RH雰囲気下で、試料幅10mm、試料間100mm、引っ張り速度200mm/分の条件下で引っ張った。得られた張力―歪曲線の立ち上がり接線から(株)オリエンテック製万能試験機データ処理装置UTPS−STD(ver.3.00)を用いて弾性率を算出した。
フィルムの長手方向および幅方向についてASTM−D882(1997)に規定された方法に従い、(株)オリエンテック製テンシロンUCT−100を用いて測定した。25℃、65%RH雰囲気下で、試料幅10mm、試料間100mm、引っ張り速度200mm/分の条件下で引っ張った。得られた張力―歪曲線の立ち上がり接線から(株)オリエンテック製万能試験機データ処理装置UTPS−STD(ver.3.00)を用いて弾性率を算出した。
(5)フィルムの厚みむら
フィルムの厚みむらは、(株)ミツトヨ製デジマチックマイクロメーターMDC−MJ/PJを用い、下記の方法で求めた。
(i)まず、フィルムの任意の位置からA4サイズのサンプルを切出し、サンプルの長辺方向を上下方向、短辺方向を左右方向とした。
(ii)上端から0.5cm、左端から0.5cmの位置を測定始点とする。
(iii)測定始点の厚みを測定し、その位置から右方向に測定位置を2cmずつ移動させながら、測定始点も含め、計10点の厚みを測定した。
(iv)次に、フィルムの上端から2.5cm、左端から0.5cmの位置を測定始点し、(iii)と同様の測定を行った(すなわち、測定位置を右方向に2cmずつ移動させながら計10点の厚みを測定した)。
(v)以下同様に、測定始点を下方向に2cmずつずらしながら(iii)と同様の測定を計10回行い、合計100点の測定値を得た。なお、測定位置の終点は上端から18.5cm、左端から18.5cmの地点となる。
(vi)該100点の測定値の中から最大厚みAと最小厚みBを求め、最大厚みAから最小厚みBを減じた数値(A−B)を最大変動幅Cとする。次いで、100点の測定値の中から最大厚みAと最小厚みB以外の98点の測定の平均を求め、これを平均厚みDとする。次いで、最大変動幅Cを平均厚みDで除し(C/D)、これをEとし、さらにEに100を乗じ、フィルムの厚みむら(%)とした。
フィルムの厚みむらは、(株)ミツトヨ製デジマチックマイクロメーターMDC−MJ/PJを用い、下記の方法で求めた。
(i)まず、フィルムの任意の位置からA4サイズのサンプルを切出し、サンプルの長辺方向を上下方向、短辺方向を左右方向とした。
(ii)上端から0.5cm、左端から0.5cmの位置を測定始点とする。
(iii)測定始点の厚みを測定し、その位置から右方向に測定位置を2cmずつ移動させながら、測定始点も含め、計10点の厚みを測定した。
(iv)次に、フィルムの上端から2.5cm、左端から0.5cmの位置を測定始点し、(iii)と同様の測定を行った(すなわち、測定位置を右方向に2cmずつ移動させながら計10点の厚みを測定した)。
(v)以下同様に、測定始点を下方向に2cmずつずらしながら(iii)と同様の測定を計10回行い、合計100点の測定値を得た。なお、測定位置の終点は上端から18.5cm、左端から18.5cmの地点となる。
(vi)該100点の測定値の中から最大厚みAと最小厚みBを求め、最大厚みAから最小厚みBを減じた数値(A−B)を最大変動幅Cとする。次いで、100点の測定値の中から最大厚みAと最小厚みB以外の98点の測定の平均を求め、これを平均厚みDとする。次いで、最大変動幅Cを平均厚みDで除し(C/D)、これをEとし、さらにEに100を乗じ、フィルムの厚みむら(%)とした。
(6)フィルムの厚み
(5)フィルム厚みむら測定で得た平均厚みDを該フィルムの厚みとした。
(5)フィルム厚みむら測定で得た平均厚みDを該フィルムの厚みとした。
(7)表面粗さRa
JIS B0601(1994)に記載の「算術平均粗さの定義及び表示」の項に従って、触針式表面粗さ計を用いて測定した。なお、測定には小坂研究所(株)製、高精度薄膜段差測定器(型式:ET−10)を使用し、触針径円錐型0.5μmR、荷重16mg、カットオフは0.08mmとした。
JIS B0601(1994)に記載の「算術平均粗さの定義及び表示」の項に従って、触針式表面粗さ計を用いて測定した。なお、測定には小坂研究所(株)製、高精度薄膜段差測定器(型式:ET−10)を使用し、触針径円錐型0.5μmR、荷重16mg、カットオフは0.08mmとした。
(8)製膜安定性
各実施例・比較例について未延伸フィルムを採取し、該フィルムより1辺9.5cmの正方形状のサンプルを切り出した。該サンプルについて、東洋精器(株)製二軸延伸装置を用いて、予熱温度90℃、予熱時間20秒、延伸温度90℃、延伸速度2000%/分の条件で、装置に対して縦方向に3.5倍で延伸を行い、次いで縦方向と垂直な横方向に3.5倍で延伸を行った。製膜試験は10回行い、破断せずに延伸できたサンプルの枚数を製膜安定性の指標とした。なお、判定基準は以下の通りとした。
破断せずに得られた枚数が
10枚:◎ 製膜性良好
8〜9枚:○ やや劣るが、安定に製膜できる
6〜7枚:△ 製膜安定性にやや支障あり
5枚以下:× 製膜安定性が低い。
各実施例・比較例について未延伸フィルムを採取し、該フィルムより1辺9.5cmの正方形状のサンプルを切り出した。該サンプルについて、東洋精器(株)製二軸延伸装置を用いて、予熱温度90℃、予熱時間20秒、延伸温度90℃、延伸速度2000%/分の条件で、装置に対して縦方向に3.5倍で延伸を行い、次いで縦方向と垂直な横方向に3.5倍で延伸を行った。製膜試験は10回行い、破断せずに延伸できたサンプルの枚数を製膜安定性の指標とした。なお、判定基準は以下の通りとした。
破断せずに得られた枚数が
10枚:◎ 製膜性良好
8〜9枚:○ やや劣るが、安定に製膜できる
6〜7枚:△ 製膜安定性にやや支障あり
5枚以下:× 製膜安定性が低い。
(9)製版速度
赤外線レーザー使用時の製版速度;
1270dpiの描画品質を想定した評価方法に基づいて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。図1に本測定方法の概略図を示した。以下、図1を用いて実験・評価方法を説明する。
赤外線レーザー使用時の製版速度;
1270dpiの描画品質を想定した評価方法に基づいて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。図1に本測定方法の概略図を示した。以下、図1を用いて実験・評価方法を説明する。
まず、1270dpiの描画品質で製版を行う場合、孔の間隔は20μmであるため、レーザーヘッド1に装着されたレーザー出力端子2を4本使用し、その照射中心の間隔が20μmになるように設定し、集光レンズを用いて照射径の調整を行った。
次いで、フィルムからA4サイズの大きさのサンプルを切りだし、該サンプル4を長辺方向が円周方向となるように製版ドラム3に貼り付けた。製版ドラム3の円周は30cmである。製版ドラム3を速度1000rpmで5の方向に回転させながら、4本のレーザー出力端子2から20μm間隔で25回レーザー光をサンプル4へ計100点照射した。レーザーの照射された部分をスポット6とする。顕微鏡を用いて倍率200倍でレーザーが照射されたスポット6を観察し、レーザー照射径の80%以上の穿孔径が生じているものを合格とした。100点中91点以上合格である場合は孔版印刷用原紙として合格と判断して試験を終了し、製版ドラム3の回転数から算出したA4版を製版するのに必要な時間を製版可能時間とした。また、この孔版印刷用原紙として合格と判断された穿孔済みフィルムを「孔版フィルム」とし、(10)穿孔むら試験および(11)耐久性試験のサンプルとして用いた。
一方、合格点が90点以下である場合、フィルムから新たに切り出したサンプル4を張りつけ、製版ドラム3の速度を950rpmへ変更して同様のテストを行った。以下同様に、合格点が90点以下である場合は、製版ドラム3の速度を900rpmから200rpmまで50rpmずつ落として回転させながら、20μm間隔で25回レーザー光を照射して、合格点が91点以上となる孔版フィルムができるまで試験を続けた。200rpmで回転させた場合でも合格点が90点以下の場合は×と判定して試験を終了した。製版可能時間としては、短ければ短いほど好ましく、下記の基準に則り、◎〜×で判定した。
3分以内:◎
5分以内:○
10分以内:△
10分 超:×(不合格)。
3分以内:◎
5分以内:○
10分以内:△
10分 超:×(不合格)。
(10)穿孔むら
(9)の製版速度試験の結果、製版可能時間の判定が◎〜△であった孔版フィルムについて、レーザー照射により穿孔された100点の孔について、顕微鏡を用いて倍率200倍でスポットを観察し、レーザー照射径の90%以上20μm未満の穿孔径が生じているものを合格として個数を数え、下記の基準に則り、◎〜×で判定した。なお、穿孔径が20μmを超えて隣接した孔と連結している場合には、連結した隣接の孔についても不合格とした。
96個〜100個:◎
91個〜95個:○
81個〜90個:△
80個以下:×。
(9)の製版速度試験の結果、製版可能時間の判定が◎〜△であった孔版フィルムについて、レーザー照射により穿孔された100点の孔について、顕微鏡を用いて倍率200倍でスポットを観察し、レーザー照射径の90%以上20μm未満の穿孔径が生じているものを合格として個数を数え、下記の基準に則り、◎〜×で判定した。なお、穿孔径が20μmを超えて隣接した孔と連結している場合には、連結した隣接の孔についても不合格とした。
96個〜100個:◎
91個〜95個:○
81個〜90個:△
80個以下:×。
(11)耐久性
(9)の製版速度試験の結果、製版可能時間の判定が◎〜△であった孔版フィルムについて、印刷テストを行い、印刷像が維持されなくなる(すなわち、孔版フィルムが部分的に破れる)までの印刷可能枚数により、下記の基準で判定した。
1000枚以上:◎
800枚以上:○
700枚以上:△
700枚未満:×。
(9)の製版速度試験の結果、製版可能時間の判定が◎〜△であった孔版フィルムについて、印刷テストを行い、印刷像が維持されなくなる(すなわち、孔版フィルムが部分的に破れる)までの印刷可能枚数により、下記の基準で判定した。
1000枚以上:◎
800枚以上:○
700枚以上:△
700枚未満:×。
(12)最小穿孔エネルギー密度
最小穿孔エネルギー密度ELD(mJ/mm2)とは、レーザーのもつ波長、出力、照射径および照射時間を検討していくにあたり、パラメーターを一括する為に定義したものである。(9)の製版速度試験で得られた孔版フィルムのうち製版可能時間の判定が◎〜△であったフィルムに対し、下記式で算出した。
ELD=4/π×PL×TL/φ2
ここで、πは円周率を、PLはレーザーの出力(mW)を、TLは照射時間(μsec)を、φはレーザー照射径(μm)を示す。
最小穿孔エネルギー密度ELD(mJ/mm2)とは、レーザーのもつ波長、出力、照射径および照射時間を検討していくにあたり、パラメーターを一括する為に定義したものである。(9)の製版速度試験で得られた孔版フィルムのうち製版可能時間の判定が◎〜△であったフィルムに対し、下記式で算出した。
ELD=4/π×PL×TL/φ2
ここで、πは円周率を、PLはレーザーの出力(mW)を、TLは照射時間(μsec)を、φはレーザー照射径(μm)を示す。
なお、(9)の製版速度試験において、孔版フィルムが製版ドラム3の最高回転速度である1000rpmで作成されたときに、上式より算出されるELD値(算出値をXとする)は、必ずしも最小穿孔エネルギーとはならない。そこで、このような場合、最小穿孔エネルギーは「XmJ/mm2以下」と表記することとした。例えば、照射径φが15μm、レーザー出力が1440mWのレーザー照射条件で、製版ドラム3の最高回転速度である1000rpmにて「孔版フィルム」が作成されたとき、照射時間TLは3.0μsecとなり、最小穿孔エネルギー密度ELDの算出値は24mJ/mm2となるが、この場合の評価結果は「24mJ/mm2以下」とした。
また、フィルムの最小穿孔エネルギー密度ELDが小さいほど、低出力のレーザーであっても短時間で、より大きな径の穿孔ができるフィルムと言える。
次に、実施例に基づいて本発明を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
<組成物(B)(マスターバッチ)の調整>
(参考例1)ポリエステル(A1)としてジオール成分の99モル%以上がプロパンジオール(ジオール成分(a1))からなるポリプロピレンテレフタレート(DuPont製 コルテラ ブライト)37.5質量%と、ポリエステル(A2)としてジオール成分の99モル%以上がブタンジオール(ジオール成分(a2))からなるポリブチレンテレフタレート(東レ(株)製 トレコン1200S)37.5質量%と、カーボンブラック(平均粒子径0.025μm)25質量%を、二軸混練機を用いて、混練温度280℃で混練し、組成物(B)Aを得た。
(参考例1)ポリエステル(A1)としてジオール成分の99モル%以上がプロパンジオール(ジオール成分(a1))からなるポリプロピレンテレフタレート(DuPont製 コルテラ ブライト)37.5質量%と、ポリエステル(A2)としてジオール成分の99モル%以上がブタンジオール(ジオール成分(a2))からなるポリブチレンテレフタレート(東レ(株)製 トレコン1200S)37.5質量%と、カーボンブラック(平均粒子径0.025μm)25質量%を、二軸混練機を用いて、混練温度280℃で混練し、組成物(B)Aを得た。
(参考例2)ポリエステル(A1)としてジオール成分の99モル%以上がエチレングリコール(ジオール成分(a1))からなるポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.65)37.5質量%と、ポリエステル(A2)としてジオール成分の99モル%以上がプロパンジオール(ジオール成分(a2))からなるポリプロピレンテレフタレート(DuPont製 コルテラ ブライト)37.5質量%と、カーボンブラック(平均粒子径0.025μm)25質量%を、二軸混練機を用いて、混練温度280℃で混練し、組成物(B)Bを得た。
(参考例3)ポリエステル(A1)としてジオール成分の99モル%以上がプロパンジオール(ジオール成分(a1))からなるポリプロピレンテレフタレート(DuPont製 コルテラ ブライト)25質量%と、ポリエステル(A2)としてジオール成分の99モル%以上がブタンジオール(ジオール成分(a2))からなるポリブチレンテレフタレート(東レ(株)製 トレコン1200S)25質量%と、カーボンブラック(平均粒子径0.025μm)50質量%を、二軸混練機を用いて、混練温度280℃で混練し、組成物(B)Cを得た。
(参考例4)ポリエステル(A1)としてジオール成分の99モル%以上がプロパンジオール(ジオール成分(a1))からなるポリプロピレンテレフタレート(DuPont製 コルテラ ブライト)37.5質量%と、ポリエステル(A2)としてジオール成分の99モル%以上がブタンジオール(ジオール成分(a2))からなるポリブチレンテレフタレート(東レ(株)製 トレコン1200S)37.5重量%と、カーボンブラック(平均粒子径0.2μm)25質量%を、二軸混練機を用いて、混練温度280℃で混練し、組成物(B)Dを得た。
(参考例5)ポリエステル(A1)としてジオール成分の99モル%以上がプロパンジオール(ジオール成分(a1))からなるポリプロピレンテレフタレート(DuPont製 コルテラ ブライト)37.5質量%と、ポリエステル(A2)としてジオール成分の99モル%以上がブタンジオール(ジオール成分(a2))からなるポリブチレンテレフタレート(東レ(株)製 トレコン1200S)37.5質量%と、カーボンブラック(平均粒子径0.005μm)25質量%を、二軸混練機を用いて、混練温度280℃で混練し、組成物(B)Eを得た。
(参考例6)ポリエステル(A1)としてPET-G(ジオール成分として93モル%のエチレングリコール(ジオール成分(a1))と7モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノールとを共重合したポリエチレンテレフタレート共重合体)37.5質量%と、ポリエステル(A2)としてジオール成分の99モル%以上がプロパンジオール(ジオール成分(a2))からなるポリプロピレンテレフタレート(DuPont製 コルテラ ブライト)37.5質量%と、カーボンブラック(平均粒子径0.025μm)25質量%を、二軸混練機を用いて、混練温度280℃で混練し、組成物(B)Fを得た。
(参考例7)ポリエステル(A1)としてPET-G(ジオール成分として93モル%のエチレングリコール(ジオール成分(a1))と7モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノールとを共重合したポリエチレンテレフタレート共重合体)37.5質量%と、ポリエステル(A2)としてジオール成分の99モル%以上がブタンジオール(ジオール成分(a2))からなるポリブチレンテレフタレート(東レ(株)製 トレコン1200S)37.5質量%と、カーボンブラック(平均粒子径0.025μm)25質量%を、二軸混練機を用いて、混練温度280℃で混練し、組成物(B)Gを得た。
(参考例8)ポリエステル(A1)としてPET-I(ジオール成分として99モル%以上のエチレングリコール(ジオール成分(a1))と、ジカルボン酸成分として90モル%のテレフタル酸と10モル%のイソフタル酸を共重合したポリエチレンテレフタレート共重合体)37.5質量%と、ポリエステル(A2)としてジオール成分の99モル%以上がプロパンジオール(ジオール成分(a2))からなるポリプロピレンテレフタレート(DuPont製 コルテラ ブライト)37.5質量%と、カーボンブラック(平均粒子径0.025μm)25質量%を、二軸混練機を用いて、混練温度280℃で混練し、組成物(B)Hを得た。
(参考例9)ポリプロピレンテレフタレート(DuPont製 コルテラ ブライト)60質量%と、カーボンブラック(平均粒子径0.025μm)40質量%を、二軸混練機を用いて、混練温度280℃で混練し、組成物(B)Iを得た。
(参考例10)ポリブチレンテレフタレート(東レ(株)製 トレコン1200S)60質量%と、カーボンブラック(平均粒子径0.025μm)40質量%を、二軸混練機を用いて、混練温度280℃で混練し、組成物(B)Jを得た。
(実施例1)
参考例1で得られた組成物(B)A20質量%と、希釈用ポリエステル(C)としてポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.65)80質量%を、それぞれ180℃で3時間乾燥した。その後、T型口金を備えた押出機に供給し、20℃に冷却したキャスティングドラム上に静電印加を行いながら混練押出・冷却して未延伸フィルムを得た。
参考例1で得られた組成物(B)A20質量%と、希釈用ポリエステル(C)としてポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.65)80質量%を、それぞれ180℃で3時間乾燥した。その後、T型口金を備えた押出機に供給し、20℃に冷却したキャスティングドラム上に静電印加を行いながら混練押出・冷却して未延伸フィルムを得た。
さらに得られた未延伸フィルムを、加熱ロールを備えた延伸装置に導き70℃で予熱し、ロール間の周速差により長手方向に80℃で3.1倍の延伸倍率にて延伸を行い、さらにテンター式延伸機で70℃に予熱後、幅方向に100℃で3.2倍の延伸倍率にて延伸を行った後、210℃で5秒間の熱処理を行なうと同時に、幅方向に弛緩処理の倍率2.3%にて弛緩処理を行い、二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
得られたフィルムの特性等および製版速度試験の条件を表1に示す(他の実施例・比較例も同様に、得られたフィルムの特性等および製版速度試験の条件を表1に示す)。また、製版速度試験の結果、製版可能時間は2.8分(判定:◎)であった。
得られたフィルムの特性等および製版速度試験の条件を表1に示す(他の実施例・比較例も同様に、得られたフィルムの特性等および製版速度試験の条件を表1に示す)。また、製版速度試験の結果、製版可能時間は2.8分(判定:◎)であった。
(実施例2)
実施例1で得られた二軸配向ポリエステルフィルムを用いて、製版速度試験を表1に記載の条件で行なった。結果、製版可能時間は5.6分(判定:△)であった。
実施例1で得られた二軸配向ポリエステルフィルムを用いて、製版速度試験を表1に記載の条件で行なった。結果、製版可能時間は5.6分(判定:△)であった。
(実施例3)
実施例1で得られた二軸配向ポリエステルフィルムを用いて、製版速度試験を表1に記載の条件で行なった。結果、製版可能時間は2.0分(判定:◎)であった。
実施例1で得られた二軸配向ポリエステルフィルムを用いて、製版速度試験を表1に記載の条件で行なった。結果、製版可能時間は2.0分(判定:◎)であった。
(実施例4)
実施例1で得られた二軸配向ポリエステルフィルムを用いて、製版速度試験を表1に記載の条件で行なった。結果、製版可能時間は3.0分(判定:◎)であった。
実施例1で得られた二軸配向ポリエステルフィルムを用いて、製版速度試験を表1に記載の条件で行なった。結果、製版可能時間は3.0分(判定:◎)であった。
(実施例5)
参考例2で得られた組成物(B)B20質量%と、希釈用ポリエステル(C)としてポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.65)69質量%、ポリプロピレンテレフタレート(DuPont製 コルテラ ブライト)5.5質量%、ポリブチレンテレフタレート(東レ(株)製 トレコン1200S)5.5質量%を、それぞれ180℃で3時間乾燥した。その後、T型口金を備えた押出機に供給し、20℃に冷却したキャスティングドラム上に静電印加を行いながら混練押出・冷却して未延伸フィルムを得た。
参考例2で得られた組成物(B)B20質量%と、希釈用ポリエステル(C)としてポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.65)69質量%、ポリプロピレンテレフタレート(DuPont製 コルテラ ブライト)5.5質量%、ポリブチレンテレフタレート(東レ(株)製 トレコン1200S)5.5質量%を、それぞれ180℃で3時間乾燥した。その後、T型口金を備えた押出機に供給し、20℃に冷却したキャスティングドラム上に静電印加を行いながら混練押出・冷却して未延伸フィルムを得た。
さらに得られた未延伸フィルムを、加熱ロールを備えた延伸装置に導き70℃で予熱し、ロール間の周速差により長手方向に80℃で3.1倍の延伸倍率にて延伸を行い、さらにテンター式延伸機で70℃に予熱後、幅方向に100℃で3.2倍の延伸倍率にて延伸を行った後、210℃で5秒間の熱処理を行なうと同時に、幅方向に弛緩処理の倍率2.3%にて弛緩処理を行い、二軸配向ポリエステルフィルムを得た。また、製版速度試験の結果、製版可能時間は2.6分(判定:◎)であった。
(実施例6)
実施例5で得られた二軸配向ポリエステルフィルムを用いて、製版速度試験を表1に記載の条件で行なった。結果、製版可能時間は3.9分(判定:○)であった。
実施例5で得られた二軸配向ポリエステルフィルムを用いて、製版速度試験を表1に記載の条件で行なった。結果、製版可能時間は3.9分(判定:○)であった。
(実施例7)
実施例5で得られた二軸配向ポリエステルフィルムを用いて、製版速度試験を表1に記載の条件で行なった。結果、製版可能時間は3.0分(判定:◎)であった。
実施例5で得られた二軸配向ポリエステルフィルムを用いて、製版速度試験を表1に記載の条件で行なった。結果、製版可能時間は3.0分(判定:◎)であった。
(実施例8)
実施例5で得られる未延伸フィルムを、加熱ロールを備えた延伸装置に導き70℃で予熱し、ロール間の周速差により長手方向に80℃で2.7倍の延伸倍率にて延伸を行い、さらにテンター式延伸機で70℃に予熱後、幅方向に100℃で2.8倍の延伸倍率にて延伸を行った後、210℃で5秒間の熱処理を行なうと同時に、幅方向に弛緩処理の倍率2.3%にて弛緩処理を行い、二軸配向ポリエステルフィルムを得た。また、製版速度試験の結果、製版可能時間は9.8分(判定:△)であった。
実施例5で得られる未延伸フィルムを、加熱ロールを備えた延伸装置に導き70℃で予熱し、ロール間の周速差により長手方向に80℃で2.7倍の延伸倍率にて延伸を行い、さらにテンター式延伸機で70℃に予熱後、幅方向に100℃で2.8倍の延伸倍率にて延伸を行った後、210℃で5秒間の熱処理を行なうと同時に、幅方向に弛緩処理の倍率2.3%にて弛緩処理を行い、二軸配向ポリエステルフィルムを得た。また、製版速度試験の結果、製版可能時間は9.8分(判定:△)であった。
(実施例9)
実施例5で得られた未延伸フィルムを、加熱ロールを備えた延伸装置に導き70℃で予熱し、ロール間の周速差により長手方向に80℃で4.1倍の延伸倍率にて延伸を行い、さらにテンター式延伸機で70℃に予熱後、幅方向に100℃で4.2倍の延伸倍率にて延伸を行った後、210℃で5秒間の熱処理を行なうと同時に、幅方向に弛緩処理の倍率4.6%にて弛緩処理を行い、二軸配向ポリエステルフィルムを得た。また、製版速度試験の結果、製版可能時間は2.0分(判定:◎)であった。
実施例5で得られた未延伸フィルムを、加熱ロールを備えた延伸装置に導き70℃で予熱し、ロール間の周速差により長手方向に80℃で4.1倍の延伸倍率にて延伸を行い、さらにテンター式延伸機で70℃に予熱後、幅方向に100℃で4.2倍の延伸倍率にて延伸を行った後、210℃で5秒間の熱処理を行なうと同時に、幅方向に弛緩処理の倍率4.6%にて弛緩処理を行い、二軸配向ポリエステルフィルムを得た。また、製版速度試験の結果、製版可能時間は2.0分(判定:◎)であった。
(実施例10)
参考例3で得られた組成物(B)C60質量%と、希釈用ポリエステル(C)としてポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.65)40質量%を、それぞれ180℃で3時間乾燥した。その後、T型口金を備えた押出機に供給し、20℃に冷却したキャスティングドラム上に静電印加を行いながら混練押出・冷却して未延伸フィルムを得た。
参考例3で得られた組成物(B)C60質量%と、希釈用ポリエステル(C)としてポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.65)40質量%を、それぞれ180℃で3時間乾燥した。その後、T型口金を備えた押出機に供給し、20℃に冷却したキャスティングドラム上に静電印加を行いながら混練押出・冷却して未延伸フィルムを得た。
さらに得られた未延伸フィルムを、加熱ロールを備えた延伸装置に導き70℃で予熱し、ロール間の周速差により80℃で2.7倍の延伸倍率にて長手方向に延伸を行い、さらにテンター式延伸機で70℃に予熱後、幅方向に100℃で2.8倍の延伸倍率にて延伸を行った後、210℃で5秒間の熱処理を行なうと同時に、幅方向に弛緩処理の倍率2.3%にて弛緩処理を行い、二軸配向ポリエステルフィルムを得た。また、製版速度試験の結果、製版可能時間は2.0分(判定:◎)であった。
(実施例11)
参考例4で得られた組成物(B)D40質量%と、希釈用ポリエステル(C)としてポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.65)60質量%を、それぞれ180℃で3時間乾燥した。その後、T型口金を備えた押出機に供給し、20℃に冷却したキャスティングドラム上に静電印加を行いながら混練押出・冷却して未延伸フィルムを得た。
参考例4で得られた組成物(B)D40質量%と、希釈用ポリエステル(C)としてポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.65)60質量%を、それぞれ180℃で3時間乾燥した。その後、T型口金を備えた押出機に供給し、20℃に冷却したキャスティングドラム上に静電印加を行いながら混練押出・冷却して未延伸フィルムを得た。
さらに得られた未延伸フィルムを、実施例1と同様の方法を用いて延伸等を行い、二軸配向ポリエステルフィルムを得た。また、製版速度試験の結果、製版可能時間は2.3分(判定:◎)であった。
(実施例12)
参考例5で得られた組成物(B)E20質量%と、希釈用ポリエステル(C)としてポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.65)69質量%、ポリプロピレンテレフタレート(DuPont製 コルテラ ブライト)5.5質量%、ポリブチレンテレフタレート(東レ(株)製 トレコン1200S)5.5質量%を、それぞれ180℃で3時間乾燥した。その後、T型口金を備えた押出機に供給し、20℃に冷却したキャスティングドラム上に静電印加を行いながら混練押出・冷却して未延伸フィルムを得た。
参考例5で得られた組成物(B)E20質量%と、希釈用ポリエステル(C)としてポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.65)69質量%、ポリプロピレンテレフタレート(DuPont製 コルテラ ブライト)5.5質量%、ポリブチレンテレフタレート(東レ(株)製 トレコン1200S)5.5質量%を、それぞれ180℃で3時間乾燥した。その後、T型口金を備えた押出機に供給し、20℃に冷却したキャスティングドラム上に静電印加を行いながら混練押出・冷却して未延伸フィルムを得た。
さらに得られた未延伸フィルムを、加熱ロールを備えた延伸装置に導き70℃で予熱し、ロール間の周速差により80℃で3.1倍の延伸倍率にて長手方向に延伸を行い、さらにテンター式延伸機で70℃に予熱後、幅方向に100℃で3.2倍の延伸倍率にて延伸を行った後、210℃で5秒間の熱処理を行なうと同時に、幅方向に弛緩処理の倍率2.3%にて弛緩処理を行い、二軸配向ポリエステルフィルムを得た。また、製版速度試験の結果、製版可能時間は2.4分(判定:◎)であった。
(実施例13)
組成物(B)の種類を参考例6の方法で作成した組成物(B)Fを用いた他は、実施例12と同様の方法で製膜を行い、二軸配向ポリエステルフィルムを得た。また、製版速度試験の結果、製版可能時間は2.3分(判定:◎)であった。
組成物(B)の種類を参考例6の方法で作成した組成物(B)Fを用いた他は、実施例12と同様の方法で製膜を行い、二軸配向ポリエステルフィルムを得た。また、製版速度試験の結果、製版可能時間は2.3分(判定:◎)であった。
(実施例14)
組成物(B)の種類を参考例7の方法で作成した組成物(B)Gを用いた他は、実施例12と同様の方法で製膜を行い、二軸配向ポリエステルフィルムを得た。また、製版速度試験の結果、製版可能時間は2.3分(判定:◎)であった。
組成物(B)の種類を参考例7の方法で作成した組成物(B)Gを用いた他は、実施例12と同様の方法で製膜を行い、二軸配向ポリエステルフィルムを得た。また、製版速度試験の結果、製版可能時間は2.3分(判定:◎)であった。
(実施例15)
組成物(B)の種類を参考例8の方法で作成した組成物(B)Hを用いた他は、実施例12と同様の方法で製膜を行い、二軸配向ポリエステルフィルムを得た。また、製版速度試験の結果、製版可能時間は2.2分(判定:◎)であった。
組成物(B)の種類を参考例8の方法で作成した組成物(B)Hを用いた他は、実施例12と同様の方法で製膜を行い、二軸配向ポリエステルフィルムを得た。また、製版速度試験の結果、製版可能時間は2.2分(判定:◎)であった。
(比較例1)
ポリエチレンテレフタレート(PET)90質量%と、カーボンブラック(平均粒子径0.025μm)10質量%、を、それぞれ180℃で3時間乾燥した。その後、T型口金を備えた押出機に供給し、20℃に冷却したキャスティングドラム上に静電印加を行いながら混練押出・冷却して未延伸フィルムを得た。
この得られた未延伸フィルムを、実施例1と同様な方法で延伸しようとしたが、フィルムが破断し、全く延伸が出来なかった。
ポリエチレンテレフタレート(PET)90質量%と、カーボンブラック(平均粒子径0.025μm)10質量%、を、それぞれ180℃で3時間乾燥した。その後、T型口金を備えた押出機に供給し、20℃に冷却したキャスティングドラム上に静電印加を行いながら混練押出・冷却して未延伸フィルムを得た。
この得られた未延伸フィルムを、実施例1と同様な方法で延伸しようとしたが、フィルムが破断し、全く延伸が出来なかった。
(比較例2)
参考例9で得られた組成物(B)I25質量%と、希釈用ポリエステル(C)としてポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.65)75質量%を、それぞれ180℃で3時間乾燥した。その後、T型口金を備えた押出機に供給し、20℃に冷却したキャスティングドラム上に静電印加を行いながら混練押出・冷却して未延伸フィルムを得た。
この得られた未延伸フィルムを、実施例1と同様な方法で延伸しようとしたが、フィルムが破断し、全く延伸が出来なかった。
参考例9で得られた組成物(B)I25質量%と、希釈用ポリエステル(C)としてポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.65)75質量%を、それぞれ180℃で3時間乾燥した。その後、T型口金を備えた押出機に供給し、20℃に冷却したキャスティングドラム上に静電印加を行いながら混練押出・冷却して未延伸フィルムを得た。
この得られた未延伸フィルムを、実施例1と同様な方法で延伸しようとしたが、フィルムが破断し、全く延伸が出来なかった。
(比較例3)
比較例2で得られた未延伸フィルムを、加熱ロールを備えた延伸装置に導き70℃で予熱し、ロール間の周速差により長手方向に80℃で2.5倍の延伸倍率にて延伸を行い、さらにテンター式延伸機で70℃に予熱後、幅方向に100℃で2.6倍の延伸倍率にて延伸を行った後、210℃で5秒間熱処理を行なうと同時に、幅方向に弛緩処理の倍率2.3%にて弛緩処理を行い、二軸配向ポリエステルフィルムを得た。また、製版速度試験の結果、製版可能時間は7.8分(判定:△)であった。
比較例2で得られた未延伸フィルムを、加熱ロールを備えた延伸装置に導き70℃で予熱し、ロール間の周速差により長手方向に80℃で2.5倍の延伸倍率にて延伸を行い、さらにテンター式延伸機で70℃に予熱後、幅方向に100℃で2.6倍の延伸倍率にて延伸を行った後、210℃で5秒間熱処理を行なうと同時に、幅方向に弛緩処理の倍率2.3%にて弛緩処理を行い、二軸配向ポリエステルフィルムを得た。また、製版速度試験の結果、製版可能時間は7.8分(判定:△)であった。
(比較例4)
参考例10で得られた組成物(B)J25質量%と、希釈用ポリエステル(C)としてポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.65)75質量%を、それぞれ180℃で3時間乾燥した。その後、T型口金を備えた押出機に供給し、20℃に冷却したキャスティングドラム上に静電印加を行いながら混練押出・冷却して未延伸フィルムを得た。
この得られた未延伸フィルムを、実施例1と同様な方法で延伸しようとしたが、フィルムが破断し、全く延伸が出来なかった。
参考例10で得られた組成物(B)J25質量%と、希釈用ポリエステル(C)としてポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.65)75質量%を、それぞれ180℃で3時間乾燥した。その後、T型口金を備えた押出機に供給し、20℃に冷却したキャスティングドラム上に静電印加を行いながら混練押出・冷却して未延伸フィルムを得た。
この得られた未延伸フィルムを、実施例1と同様な方法で延伸しようとしたが、フィルムが破断し、全く延伸が出来なかった。
(比較例5)
参考例1で得られた組成物(B)A40質量%と、希釈用ポリエステル(C)としてポリプロピレンテレフタレート(DuPont製 コルテラ ブライト)30質量%と、ポリブチレンテレフタレート(東レ(株)製 トレコン1200S)30質量%を、それぞれ180℃で3時間乾燥した。その後、T型口金を備えた押出機に供給し、20℃に冷却したキャスティングドラム上に静電印加を行いながら混練押出・冷却して未延伸フィルムを得た。この得られた未延伸フィルムを、実施例1と同様な方法で延伸しようとしたが、延伸工程においてフィルムが破断し、全く延伸が出来なかった。
参考例1で得られた組成物(B)A40質量%と、希釈用ポリエステル(C)としてポリプロピレンテレフタレート(DuPont製 コルテラ ブライト)30質量%と、ポリブチレンテレフタレート(東レ(株)製 トレコン1200S)30質量%を、それぞれ180℃で3時間乾燥した。その後、T型口金を備えた押出機に供給し、20℃に冷却したキャスティングドラム上に静電印加を行いながら混練押出・冷却して未延伸フィルムを得た。この得られた未延伸フィルムを、実施例1と同様な方法で延伸しようとしたが、延伸工程においてフィルムが破断し、全く延伸が出来なかった。
(比較例6)
参考例3で得られた組成物(B)C70質量%と、希釈用ポリエステル(C)としてポリエチレンテレフタレート(PET)30質量%、を、それぞれ180℃で3時間乾燥した。その後、T型口金を備えた押出機に供給し、20℃に冷却したキャスティングドラム上に静電印加を行いながら混練押出・冷却して未延伸フィルムを得た。
この得られた未延伸フィルムを、実施例1と同様な方法で延伸しようとしたが、フィルムが破断し、全く延伸が出来なかった。
参考例3で得られた組成物(B)C70質量%と、希釈用ポリエステル(C)としてポリエチレンテレフタレート(PET)30質量%、を、それぞれ180℃で3時間乾燥した。その後、T型口金を備えた押出機に供給し、20℃に冷却したキャスティングドラム上に静電印加を行いながら混練押出・冷却して未延伸フィルムを得た。
この得られた未延伸フィルムを、実施例1と同様な方法で延伸しようとしたが、フィルムが破断し、全く延伸が出来なかった。
(比較例7)
参考例1で得られた組成物(B)A4質量%と、希釈用ポリエステル(C)としてポリエチレンテレフタレート(PET)85質量%、ポリプロピレンテレフタレート(PPT)5.5質量%、ポリブチレンテレフタレート(東レ(株)製 トレコン1200S)5.5質量%を、それぞれ180℃で3時間乾燥した。その後、T型口金を備えた押出機に供給し、20℃に冷却したキャスティングドラム上に静電印加を行いながら混練押出・冷却して未延伸フィルムを得た。
参考例1で得られた組成物(B)A4質量%と、希釈用ポリエステル(C)としてポリエチレンテレフタレート(PET)85質量%、ポリプロピレンテレフタレート(PPT)5.5質量%、ポリブチレンテレフタレート(東レ(株)製 トレコン1200S)5.5質量%を、それぞれ180℃で3時間乾燥した。その後、T型口金を備えた押出機に供給し、20℃に冷却したキャスティングドラム上に静電印加を行いながら混練押出・冷却して未延伸フィルムを得た。
さらに得られた未延伸フィルムを、加熱ロールを備えた延伸装置に導き70℃で予熱し、ロール間の周速差により長手方向に80℃で4.1倍の延伸倍率にて延伸を行い、さらにテンター式延伸機で70℃に予熱後、幅方向に100℃で4.2倍の延伸倍率にて延伸を行った後、210℃で5秒間の熱処理を行なうと同時に、幅方向に弛緩処理の倍率2.3%にて弛緩処理を行い、二軸配向ポリエステルフィルムを得た。また、得られたフィルムに対し、製版速度試験を行なったところ、製版時間を20分とした試験においても穿孔径がレーザー照射径の80%以上であるものが91点以上に達しなかった(判定:×)。
(比較例8)
実施例1と同様な方法で未延伸フィルムを得た。さらに得られた未延伸フィルムを、加熱ロールを備えた延伸装置に導き90℃で予熱し、ロール間の周速差により長手方向に100℃で2.6倍の延伸倍率にて延伸を行い、さらにテンター式延伸機で90℃に予熱後、幅方向に110℃で2.8倍の延伸倍率にて延伸を行った後、210℃で5秒間の熱処理を行なうと同時に、幅方向に弛緩処理の倍率10.7%にて弛緩処理を行い、二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムは厚みむらが大きいものであった。得られたフィルムに対し、製版速度試験を行なったところ、製版時間を20分とした試験においても穿孔径がレーザー照射径の80%以上であるものが91点以上に達しなかった(判定:×)。また、フィルム位置によって穿孔径が大きくばらついていた。これは、フィルムの厚みムラが原因であると思われる。
実施例1と同様な方法で未延伸フィルムを得た。さらに得られた未延伸フィルムを、加熱ロールを備えた延伸装置に導き90℃で予熱し、ロール間の周速差により長手方向に100℃で2.6倍の延伸倍率にて延伸を行い、さらにテンター式延伸機で90℃に予熱後、幅方向に110℃で2.8倍の延伸倍率にて延伸を行った後、210℃で5秒間の熱処理を行なうと同時に、幅方向に弛緩処理の倍率10.7%にて弛緩処理を行い、二軸配向ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムは厚みむらが大きいものであった。得られたフィルムに対し、製版速度試験を行なったところ、製版時間を20分とした試験においても穿孔径がレーザー照射径の80%以上であるものが91点以上に達しなかった(判定:×)。また、フィルム位置によって穿孔径が大きくばらついていた。これは、フィルムの厚みムラが原因であると思われる。
(実施例16〜23)不織布を貼り合わせた孔版印刷用原紙
ポリエチレンテレフタレート原料(固有粘度0.50、融点255℃)を、孔径0.8mm、孔数100個の矩形口金を用いて、口金温度290℃、熱風温度295℃、熱風速度7000m/min ポリマー吐出量35g/分で、メルトブロー法にて紡出し、捕集距離10cmでネットコンベア上に繊維を捕集して巻き取り、目付90g/m2の未延伸不織布を作製した。該不織布と実施例1にて得ることができる未延伸フィルムと重ね合わせて、実施例1と同様の加熱ロール式延伸機に供給し、加熱ロール群を通過させることにより、不織布とフィルムを熱接着させ、100℃に予熱した後、ロール間の周速差により長手方向に100℃で2.7〜3.5倍の延伸倍率にて延伸を行った。さらにテンター式延伸機で90℃に予熱後、幅方向に95℃で2.7〜3.5倍の延伸倍率にて延伸を行った後、210℃で1〜5秒間の熱処理を行なうと同時に、幅方向に弛緩処理の倍率1〜4%にて弛緩処理を行って、それぞれ、フィルムの厚みむらが20%以下でありかつカーボンブラック粒子をフィルム全体に対して5質量%含有する二軸配向ポリエステルフィルムに、多孔質部材からなる支持体を貼り合わせてなる孔版印刷用原紙を得た(実施例16)。
また、実施例5および実施例10〜15にて得ることができる未延伸フィルムについても実施例16と同様の方法で、それぞれフィルムの厚みむらが20%以下でありかつカーボンブラック粒子をフィルム全体に対して5〜30質量%含有する二軸配向ポリエステルフィルムに、多孔質部材からなる支持体を貼り合わせてなる孔版印刷用原紙を得ることができた(実施例17〜実施例23)。
ポリエチレンテレフタレート原料(固有粘度0.50、融点255℃)を、孔径0.8mm、孔数100個の矩形口金を用いて、口金温度290℃、熱風温度295℃、熱風速度7000m/min ポリマー吐出量35g/分で、メルトブロー法にて紡出し、捕集距離10cmでネットコンベア上に繊維を捕集して巻き取り、目付90g/m2の未延伸不織布を作製した。該不織布と実施例1にて得ることができる未延伸フィルムと重ね合わせて、実施例1と同様の加熱ロール式延伸機に供給し、加熱ロール群を通過させることにより、不織布とフィルムを熱接着させ、100℃に予熱した後、ロール間の周速差により長手方向に100℃で2.7〜3.5倍の延伸倍率にて延伸を行った。さらにテンター式延伸機で90℃に予熱後、幅方向に95℃で2.7〜3.5倍の延伸倍率にて延伸を行った後、210℃で1〜5秒間の熱処理を行なうと同時に、幅方向に弛緩処理の倍率1〜4%にて弛緩処理を行って、それぞれ、フィルムの厚みむらが20%以下でありかつカーボンブラック粒子をフィルム全体に対して5質量%含有する二軸配向ポリエステルフィルムに、多孔質部材からなる支持体を貼り合わせてなる孔版印刷用原紙を得た(実施例16)。
また、実施例5および実施例10〜15にて得ることができる未延伸フィルムについても実施例16と同様の方法で、それぞれフィルムの厚みむらが20%以下でありかつカーボンブラック粒子をフィルム全体に対して5〜30質量%含有する二軸配向ポリエステルフィルムに、多孔質部材からなる支持体を貼り合わせてなる孔版印刷用原紙を得ることができた(実施例17〜実施例23)。
1:レーザーヘッド
2:レーザー出力端子
3:製版ドラム
4:フィルムから切り出したサンプル
5:製版ドラム回転方向
6:レーザー照射された領域(スポット)
2:レーザー出力端子
3:製版ドラム
4:フィルムから切り出したサンプル
5:製版ドラム回転方向
6:レーザー照射された領域(スポット)
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、熱や赤外線レーザーによる穿孔性が良好であるため、感熱孔版印刷用原紙やレーザー孔版印刷用原紙など孔版印刷用原紙として好適に使用することができる。
Claims (5)
- 少なくとも3種類のジオール成分を用いてなるポリエステルからなるフィルムであって、フィルムの厚みむらが20%以下であり、カーボンブラック粒子をフィルム全体に対して5〜30質量%含有する二軸配向ポリエステルフィルム。
- 孔版印刷用原紙に用いられる請求項1に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
- 請求項1に記載の二軸配向ポリエステルフィルムに、多孔質部材からなる支持体を貼り合わせてなる孔版印刷用原紙。
- ジオール成分の90モル%以上が単一のジオール成分(a1)からなるポリエステル(A1)と、ジオール成分の90モル%以上がジオール成分(a1)とは異なる単一のジオール成分(a2)からなるポリエステル(A2)と、カーボンブラック粒子とを予め混練することにより得られた組成物(B)を用いて得られた請求項1に記載の二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法。
- 請求項4に記載の組成物(B)とポリエステル(C)とを混合し、溶融押出しし、二軸延伸して得られた請求項1に記載の二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007314269A JP2009138067A (ja) | 2007-12-05 | 2007-12-05 | 二軸配向ポリエステルフィルムおよびそれを用いた孔版印刷用原紙ならびにその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2007314269A JP2009138067A (ja) | 2007-12-05 | 2007-12-05 | 二軸配向ポリエステルフィルムおよびそれを用いた孔版印刷用原紙ならびにその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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ID=40869007
Family Applications (1)
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JP2007314269A Pending JP2009138067A (ja) | 2007-12-05 | 2007-12-05 | 二軸配向ポリエステルフィルムおよびそれを用いた孔版印刷用原紙ならびにその製造方法 |
Country Status (1)
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---|---|
JP (1) | JP2009138067A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2018142662A1 (ja) * | 2017-01-31 | 2018-08-09 | 東レ株式会社 | 配向ポリエステルフィルム |
-
2007
- 2007-12-05 JP JP2007314269A patent/JP2009138067A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2018142662A1 (ja) * | 2017-01-31 | 2018-08-09 | 東レ株式会社 | 配向ポリエステルフィルム |
JPWO2018142662A1 (ja) * | 2017-01-31 | 2019-11-21 | 東レ株式会社 | 配向ポリエステルフィルム |
JP7031306B2 (ja) | 2017-01-31 | 2022-03-08 | 東レ株式会社 | 配向ポリエステルフィルム |
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