JP2009137768A - Alまたは/及びAl−Mg合金添加MgO―Cれんがのマイクロ波熱処理方法、及びAlまたは/及びAl−Mg合金添加MgO―Cれんが - Google Patents

Alまたは/及びAl−Mg合金添加MgO―Cれんがのマイクロ波熱処理方法、及びAlまたは/及びAl−Mg合金添加MgO―Cれんが Download PDF

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Abstract

【課題】ノボラック系フェノール樹脂を用いて成形されたAlまたは/及びAl−Mg合金添加のMgO―Cれんがの強度を、従来よりも高いものとする。
【解決手段】アプリケーター1内に、ノボラック系フェノール樹脂で成形されたAlまたは/及びAl−Mg合金添加のMgO―Cれんが21を収容し、マイクロ波発振機11からのマイクロ波によって、MgO―Cれんが21を加熱処理する。処理温度は、400℃〜850℃の温度範囲とする。Al成分からAlやAlNが生成せず、ノボラック系フェノール樹脂から揮発分を完全に除去することができから、強度の高いれんがを提供できる。
【選択図】図4

Description

本発明は、本発明は、製鋼の転炉及び溶鋼鍋、脱ガス設備で主に用いられている、不焼成耐火物であるAlまたは/及びAl−Mg合金添加MgO―Cれんがをマイクロ波で熱処理する方法、および当該方法によって得られたAlまたは/及びAl−Mg合金添加MgO―Cれんがに関するものである。
MgO−Cれんがは通常、次のように製造される。まず、MgO源としてのマグネシア原料及び炭素源としての鱗状黒鉛、粉末ピッチ、カーボンブラックなどの粉末炭素原料、更には金属源としての、Al、Al−Mg合金に、結合剤としてノボラック系フェノール樹脂を加える。さらにこれらをニーダーなどで混錬し、混錬後の混錬物は、一軸オイルプレス、フリクションプレス、または等方加圧成形される。この成形体は、ノボラック系フェノール樹脂を硬化するための乾燥工程として、150℃〜300℃で熱処理され、製品としての不焼成耐火物となる。
この不焼成耐火物は、転炉、取鍋、RH等の脱ガス炉で築造され使用されている。例えば、転炉に築造されたMgO−Cれんがでは、築造終了後、炉内にコークスを挿入し、上部ランスより酸素を送風し、雰囲気温度として1000℃以上に昇温され、その後溶銑を受け入れ、溶銑の脱炭反応容器として使用される。
一方、取鍋、RH等では通常ガスバーナーを用いて、転炉の場合と同様に雰囲気温度1000℃以上に昇温され、その後取鍋では溶鋼輸送容器として、RHでは脱ガス処理炉として使用される。
ここで、MgO―Cれんがのような含炭素耐火物に、酸化抵抗性を付与する技術として、Al、Si、Cr、Ti、Mg群から選ばれた金属粉末を添加することが特許文献1に記載されており、その機能について以下のように詳述されている。
すなわち、原料耐火粉末とカーボン粉末ないしは加熱分解によりカーボンを生成する炭素物質の混合物に、高温域、普通には1000℃以上の高温域においてカーボンより酸素親和力の大きい金属粉末を成形したものを高温域、普通には1000℃以上に加熱することにより、該金属粉末の酸化物を生成せしめ、該金属酸化物生成時の体積膨張により、成形時の粒子間隙を塞ぐと同時に高強度化を達成するとされている。すなわち特許文献1においては、酸素親和力の大きな金属を添加後、この金属が反応する1000℃以上に焼成して得られる炭素含有耐火物が開示されている。
また特許文献2では、Al、Si、Cr、Ti、Mg群から選らばれた金属粉末を添加した500℃以下に焼成された炭素含有不焼成耐火物の製造方法が記載されている。その機能について以下のように詳述されている。
すなわち、原料耐火粉末とカーボン粉末ないしは加熱分解によりカーボンを生成する炭素物質の混合物に、高温域、普通には1000℃以上の高温域においてカーボンより酸素親和力の大きい金属粉末を配して成形し、必要に応じて500℃以下で乾燥又はベーキングした不焼成品を実炉の使用中に加熱されることにより、該金属粉末の酸化物を生成せしめ、該金属酸化物生成時の体積膨張により、成形時の粒子間隙を塞ぐと同時に高強度化を達成するとされている。
非特許文献1には、MgO−C中に添加された金属Alの酸化防止機構が熱力学的に説明されている。まずAlは炭素と反応しAl粒子表面にCOガス下で安定なAlが生成する。一方、反応しきれない粒子内部のAlは気体となり、COガスと反応しAlとなるか、あるいは成形時に巻きこまれたNと反応し、AlNも生成するが、このAlNも最終的にはCOガスと反応しAlとなる。
また非特許文献2には、Al、Siを添加したMgO−Cれんがをコークス粉中で熱処理した後の鉱物構成が報告されており、1000℃〜1400℃の処理ではAlが生成していると報告されている。
すなわち、MgO−CれんがにAl系金属が添加されていると、1000℃〜1400℃で熱処理された場合、Alが最終的にAlに変化する過程で、AlやAlNが生成するのは既知であるが、これらAlやAlNは、水和し易い化合物である。つまり、Al系金属を添加した炭素含有耐火物では、焼成後冷却された時点でAlが生成されている。この状態で築造を行い、実炉で使用する段階では再加熱を受けることになり、AlやAlNの水和物が、分解によって耐火物の崩壊をもたらすという欠点を有している。
このことにより特許文献1に開示された技術で得られた耐酸化性を付与する手法の中でも、特にAl、またはAl−Mg合金添加炭素含有耐火物を、1000℃以上の熱処理後に築造するという技術は、前記した欠点のために、実際には採用されていないのが実情である。
一方、特許文献2では、原料耐火粉末とカーボン粉末ないしは加熱分解によりカーボンを生成する炭素物質の混合物に、高温域、普通には1000℃以上の高温域においてカーボンより酸素親和力の大きい金属粉末を配して成形し、必要に応じて500℃以下で乾燥又はベーキングした不焼成品を用いるとあるが、加熱分解により炭素を生成する炭素物質の混合物から揮発分は完全には除去されておらず、そのためこの揮発分が、実炉の使用中に加熱されることにより放出されることになり、この揮発分が放出される際に、組織の劣化を引き起こしていた。
特開昭54−39422号公報 特開昭54−163913号公報 炭素含有耐火物 P.63〜P.68 2006年3月15日発行 岡山セラミックス技術振興財団編 川崎製鉄技報 Vol.5 P.45〜P.53 No.2 1983
以上の事から、Alまたは/及びAl−Mg合金が添加されたMgO―Cれんがにおいて、結合剤であるノボラック系フェノール樹脂から完全に揮発分を除去する熱処理が必要とされていたが、1000℃以上の高温での熱処理を行なうと、既述したように、Al成分から水和性に富んだAlやAlNが生成するという問題がある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、Alまたは/及びAl−Mg合金が添加されたMgO―Cれんがにおいて、前記したようなAlやAlNが生成される温度よりも低い温度で熱処理し、しかも結合剤であるノボラック系フェノール樹脂から揮発分を完全に除去して、従来よりも強度を高いものとすることを目的としている。
発明者らは各種実験により、Alまたは/及びAl−Mg合金添加MgO―Cれんがにおいて、MgO−Cれんがの組織強度が維持され、かつ添加している金属Al、または/及びAl−Mg合金が炭素と反応しない適切な、マイクロ波による熱処理温度が存在することを見出した。
つまり、従来からの電気炉等による雰囲気加熱ではなくマイクロ波加熱を行なうことで、揮発分除去過程が促進され、マイクロ波加熱工程でフェノール樹脂が炭化した組織は組織強度がほぼ一定の高強度組織となることを見出した。またこのマイクロ波を用いることで、バインダの硬化処理と、炭化処理とを連続して行なえることがわかった。そして後述の実施例で説明したように、マイクロ波によって加熱処理する場合、処理温度が400℃〜850℃の範囲で、そのような高強度が確保できることを見出した。発明者らの知見では400℃の処理温度は、フェノール樹脂起因の揮発分除去が可能な温度である。また850℃の処理温度は、Al−C系化合物が生成しない温度の上限である。
すなわち、本発明は、ノボラック系フェノール樹脂を用いて成形されたAlまたは/及びAl−Mg合金添加MgO―Cれんがのマイクロ波熱処理方法において、熱処理温度として400℃〜850℃の温度範囲で、マイクロ波により加熱することを特徴としている。
本発明によれば、マイクロ波によって400℃〜850℃の温度範囲で熱処理するようにしたので、Al成分から水和性に富んだAlやAlNが生成せず、しかも後述の実施例において記載したように、揮発分を完全に除去することができ、れんがの組織の劣化を招来しない。またノボラック系フェノール樹脂を用いているので、混練後の胚土の硬さの経時変化が小さく、混練後の成形性が良好である。
本発明に使用されるMgO−Cれんがは、その炭素含有率が1質量%〜30質量%、MgO含有率が98質量%〜67質量%、Alまたは/及びAl−Mg合金含有率が1〜3質量%であることが好ましい。炭素含有率が1質量%未満だと、実機使用ではスラグ浸透が多くなり、損傷が大きくなりやすい。また炭素含有率が30質量%を超えると、れんがの耐酸化性が損なわれやすくなる。Alまたは/及びAl−Mg合金含有率については、3質量%よりも多いときはれんがが割れやすくなる。
また別な観点によれば、本発明は、前記したAlまたは/及びAl−Mg合金添加MgO―Cれんがのマイクロ波熱処理方法によって得られたAlまたは/及びAl−Mg合金添加MgO―Cれんがである。
本発明によれば、Al成分からAlやAlNが生成せず、しかも結合剤として使用されているノボラック系フェノール樹脂から揮発分を完全に除去することができから、強度の高いれんがを提供することができる。
以下、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明するが、それに先立って、まずMgO−Cれんがを構成している構成要素毎にマイクロ波加熱を実施し、MgO−Cれんがのマイクロ波加熱の基礎特性調査を実施した。この実験方法について以下に述べる。
まずマグネシア源として純度99質量%の電融マグネシア粗粒(平均粒径2mm)、炭素源として純度98質量%の鱗状黒鉛粗粒(平均粒径250μm)、純度99質量%のAl粉(平均粒径100μm)、ノボラック含有量55質量%のノボラック系フェノール樹脂溶液を準備した。
この試料をPTFE(ポリ・テトラ・フルオロ・エチレン)製のるつぼに入れ、図1に模式的に示した実験装置を用いて昇温挙動を測定した。この実験装置における処理容器としてのアプリケーター1は、例えば接地された金属製のパネルによって容器本体が構成され、マイクロ波の漏洩防止処理がなされている。このアプリケーター1内に、試料台2が設けられており、試料を収容するるつぼ3は、この試料台2上に載置されている。
アプリケーター1内のるつぼ3に対しては、マイクロ波発振機11からのマイクロ波が照射されるようになっている。より詳述すると、マイクロ波発振機11は、例えば周波数が2.45GHzのマイクロ波を発振するように構成されており、マイクロ波発振機11から発振されたマイクロ波は、反射したマイクロ波がマイクロ波発振機11側に入射するのを防止するアイソレーター12、アプリケーター1内への入射、反射のマイクロ波の出力を監視するパワーモニター13、マイクロ波をアプリケーター2へと導入させるための導波管14とのインピーダンス調整を行なうチューナー15、そして前記導波管14を経て、アプリケーター1内のるつぼ3に対して照射されるようになっている。
るつぼ3内の温度は、光ファイバー温度センサ4によって検出され、アプリケーター1の外に設置されている光ファイバー温度計本体5で計測され、データロガー6から出力されるようになっている。
かかる構成の実験装置を用い、マイクロ波出力100Wで2分間の照射を行い、昇温挙動を測定した。測定結果を図2に示す。これによれば、最も良く昇温したのはノボラック系フェノール樹脂Dであり、次に鱗状黒鉛C、Al粉Aの順に昇温していくことがわかった。一方電融マグネシア粗粒Bは殆ど昇温しなかった。
このことより、MgO−Cれんがをマイクロ波で加熱するということは、ノボラック系フェノール樹脂、黒鉛、Alがマイクロ波を吸収することで加熱できることがわかる。
次に、揮発分を発生させるノボラック系フェノール樹脂単体でマイクロ波加熱を実施するとどのようになるかを、図1の装置を用いるともに、るつぼをMgO製に変更し、また測温方法も8mmφシース型K熱電対をフェノール溶液に挿入する方法で加熱実験を行なった。実験にはノボラック系フェノール樹脂30gをMgOるつぼに入れ、マイクロ波出力300W〜900Wに徐々に出力を増加させる実験を行なった。
実験結果を図3に示す。図中aは、マイクロ波出力を示し、bはノボラック系フェノール樹脂の温度を示している。これによれば、ノボラック系フェノール樹脂は、マイクロ波加熱400℃から急激な温度上昇を示すことがわかる。これは400℃でノボラック系フェノール樹脂のマイクロ波吸収能、つまり誘電率や誘電損失が大きくなったことを示しており、炭化して炭素状態になったものと考えられる。つまり、ベンゼン環に結合していたOH基がマイクロ波によって加熱振動され、揮発分が放出されたため、その結果、マイクロ波による加熱下ではノボラック系フェノール樹脂の炭化反応は400℃で起こっているものと考えられる。
そこで図1の実験装置を用い、ノボラック系フェノール樹脂30gをマイクロ波で加熱し、フェノール樹脂起因の揮発分除去が可能な温度である400℃に保持するようにしてマイクロ波の出力を増減させ、1時間の保持後、このノボラック系フェノール樹脂の残炭率を測定した。その結果、残炭率42%の値を得た。比較のために、同じくノボラック系フェノール樹脂30gを、蓋を有するマグネシアるつぼで秤量し、コークスブリーズ中に埋没させ、電気炉にて900℃で1時間、加熱処理を行った結果、残炭率はマイクロ波処理の場合と同様の42%の値を得たこのことからもノボラック系フェノール樹脂は、マイクロ波による加熱下では、400℃に保持することで揮発分は完全に除去されることが証明された。
なおここでいう「残炭率」とは、樹脂の全体質量を基準質量Wbとし、熱処理したときの残存質量Wtとしたとき、下記の式で得られるものである。すなわち、残炭率ΔW=Wt/Wb×100(%)である。
このような実験結果を踏まえた上で、実際にMgO−Cれんがを試作し、本発明にしたがうマイクロ波加熱処理を実施した。また比較のため、電気炉による従来加熱でMgO−Cれんがを熱処理し、各々の熱処理によって物性がどのようになるかを調べた。加熱処理対象としたMgO−Cれんがの組成は、MgO:78質量%、鱗状黒鉛:18質量%、ノボラック含有量が55質量%のノボラック系フェノール樹脂:3質量%、Al:1質量%、もしくはこのAlの代わりに、Al−Mg:1質量%の組成を準備した(実施例2、6、比較例5、10)。さらにAlの代わりに、Alが0.5質量%とAl−Mg合金が0.5質量%の合金についても検証した(実施例7、8)。
マイクロ波加熱の際に用いたマイクロ波加熱装置の構成を図4に模式的に示した。このマイクロ波加熱装置は、基本的には、図1に示した実験装置と同様な構成を有しているが、アプリケーター1の内部の構成が異なっている。より詳述すると、アプリケーター1自体の構成は、図1に示した実験装置と同様であり、またアプリケーター1内にマイクロ波を照射するための、マイクロ波発振機11、アイソレーター12、パワーモニター13、導波管14、チューナー15も同様な構成にて採用されている。そしてアプリケーター1内において、加熱対象となるMgO−Cれんが21は、断熱ボックス22内に収容される。断熱ボックス22内には、SiO粉体23が充填されており、MgO−Cれんが21はこのSiO粉体23内に埋設されている。また断熱ボックス22の外側は、全てセラミックファイバーのパネル24で覆われている。
MgO−Cれんがの温度は、シース熱電対25によって検出され、データロガー6から出力されるようになっている。そしてシース熱電対25によって検出された温度が、350℃〜900℃の間となる様にマイクロ波によって昇温させ、その温度で8時間保持するようにした。
一方、比較のために実施した電気炉によるMgO−Cれんがの加熱処理は、コークスブリーズ中にMgO−Cれんがを埋没させ、電気炉によって同様の温度まで昇温し、同じ時間保持するようにした。そしてこれら熱処理後、試料のMgO−Cれんがの質量減少率、気孔率、曲げ強度の測定を行なった。質量減少率は、試料のMgO−Cれんがの熱処理前後の質量の変化から求めたものであり、気孔率は、計測用に切り出した試験片についてJIS R2205の真空法で計測したものであり、また曲げ強度は、計測用に切り出した試験片に対してJIS R2213に準じて三点曲げ法によって測定したものである。
さらに併せて添加している金属Alのピークの増減を調査した。ここでいう金属Alのピークは、XRD(粉末X線回折法)で得られた金属Alのピークを意味しており、金属Alの場合、立方晶(hkl)=(111)面のピークが最大ピークで、この同定により得られる。
そして金属Alのピークが減少していることは、金属Alと炭素間での反応が起こったことを意味し、水和反応が発生すると考えられるからである。これらの測定結果を表1、表2に示す。表1は実施例の測定結果、表2は比較例の測定結果を各々示している。
Figure 2009137768
Figure 2009137768
表1の結果によれば、まず、ノボラック系フェノール樹脂から揮発分が完全に除去された温度は、表1のマイクロ波熱処理実験結果では、400℃以上(実施例1〜実施例6、実施例7、8及び比較例2)で、質量減少率が約1.8%以上の値を示し、一方通常のコークスブリーズ中での焼成では、比較例8の850℃以上の焼成でこの質量減少率が1.8%以上を示していることから、フェノール樹脂単独での実験結果と同様のマイクロ波で400℃以上の温度で熱処理すれば揮発分が完全に除去されることがわかる。また、この揮発分が除去された400℃以上のマイクロ波での熱処理状態では、気孔率がほぼ一定の7%程度となっている。
一方、比較例7〜10に示されている通常の電気炉熱処理では、720℃以上で気孔率が8%以上とマイクロ波処理に比べて気孔率が大きくなっていた。
この原因は以下のように推察される。揮発分発生原因である、結合剤として使用されているノボラック系フェノール樹脂は、MgO粒子や鱗状黒鉛粒子の外周面に比較的均一にコーティングされている。この状態でマイクロ波を照射すると、MgO粒子はマイクロ波吸収能が乏しいためMgO粒子を透過し、構成粒子表面(MgO、鱗状黒鉛、金属Al)のノボラック系フェノール層、及び鱗状黒鉛、Alがマイクロ波を吸収し昇温され、これらからの熱伝導により、れんが全体が均一に加熱されることが推定される。
つまりマイクロ波で加熱して昇温させることで、ノボラック系フェノール層自体が加熱され、さらにマイクロ波はこのれんが中に浸透していき、この加熱現象がMgO−Cれんが全域で均等に発生することが推測される。このマイクロ波照射直後からノボラック系フェノール樹脂から発生する揮発分でできた通気孔を通じて、硬化時、さらには炭化処理時でも連続的に揮発分が系外へ排気され、それが結果として従来加熱品に比べて低気孔率化の原因となっていると考えられる。またこの低気孔率が、結果としてMgO−Cれんがの高強度化を達成しているものと推定される。
これに対し、従来の電気炉による加熱では、あくまでもMgO−Cれんがの外側からの熱伝導によってのみ加熱されるものであるから、ノボラック系フェノール樹脂の揮発分が発生する温度にまで加熱されないと、当然ながら揮発分は発生しないことになる。また、この揮発分の発生は外側から内面に熱伝導により昇温されていき、内部では揮発分が発生する所定温度に上昇して初めて揮発分が発生することになる。つまり、内部から発生した揮発分自体が外部に移動する際に、外部温度に暴露されることになり、この温度上昇に伴う体積増加による圧力が発生し、この圧力により気孔が大きくなり、結果として高気孔率になるため、れんがの強度が低下するものと推定される。
次に添加したAl、または/及びAl−Mg合金のAlピークの低減調査結果より、マイクロ波熱処理では、900℃で熱処理すると(比較例2)、Alのピーク低下が認められたことから、Alの炭化物が生成しているのがわかる。一方、通常の電気炉熱処理では、この900℃までの熱処理ではAlのピークの低下現象は確認されなかった。これらの結果を総合すると、ノボラック系フェノール樹脂で成形されたAlまたは/及びAl−Mg合金添加MgO―Cれんがをマイクロ波熱処理方法において加熱処理する場合、熱処理温度として、400℃〜850℃の温度範囲で、マイクロ波により加熱すれば、ノボラック系フェノール樹脂からの揮発分が完全に除去でき、しかも添加しているAl、または/及びAl−Mg合金も炭素と反応することなく金属状態を維持できるので、このような熱処理を施しても水和反応を心配する必要がないことが証明された。
次にこのマイクロ波処理品の耐用性の調査を実施した。試験試料としては、従来から使用されている、電気炉で乾燥されたものと同様の処理である、比較例3(350℃処理)、及びマイクロ波で熱処理された実施例1(400℃処理)、同じくマイクロ波で熱処理された実施例5(850℃処理)、さらには実施例5と同じ温度で電気炉にて熱処理された比較例8(850℃処理)、の4種類のれんがを準備し、回転侵食試験法にて耐食性の評価を実施した。
試験条件としては、塩基度CaO/SiO=3.5(質量ベース)の組成に、FeOを10質量%含有させた合成スラグを事前に準備し、回転侵食炉内の雰囲気を1650℃までバーナーで加熱し、その後この合成スラグを投入し30分間侵食させる。その後スラグをかき出し、再度新しく同様の組成の合成スラグを投入し30分侵食させる実験を合計12サイクル繰り返した。その後試料を切断し、最大損耗部の深さで耐食性指数を調査した。耐食性指数は、従来使用されていたものと同様と考えられる、比較例3の損耗量の値を耐食性指数100として、全ての試料の値を表示した。耐食性評価結果を図5に示す。
比較例3に比べると、比較例8でも5%程度の改善は認められるが、本発明の実施例では20%以上の改善につながった。
本発明は、ノボラック系フェノール樹脂で成形されたAlまたは/及びAl−Mg合金添加のMgO―Cれんがを熱処理する場合に有用である。
本発明を実証する際に用いた実験装置の構成を模式的に示した説明図である。 構成原料へのマイクロ波の照射による温度変化を示すグラフである。 ノボラック系フェノール樹脂へのマイクロ波の照射による温度変化を示すグラフである。 実施の形態で用いたマイクロ波加熱装置の構成を模式的に示した説明図である。 実施例と比較例の耐食性評価結果を示すグラフである。
符号の説明
1 アプリケーター
2 試料台
3 るつぼ
4 光ファイバー温度センサ
5 光ファイバー温度計本体
6 データロガー
11 マイクロ波発振機
12 アイソレーター
13 パワーモニター
14 導波管
15 チューナー
21 MgO−Cれんが
22 断熱ボックス
23 SiO粉体
24 セラミックファイバーのパネル
25 シース熱電対

Claims (3)

  1. ノボラック系フェノール樹脂を用いて成形されたAlまたは/及びAl−Mg合金添加のMgO―Cれんがを熱処理する方法であって、
    前記MgO―Cれんがを、400℃〜850℃の温度範囲で、マイクロ波によって加熱することを特徴とする、Alまたは/及びAl−Mg合金添加MgO―Cれんがのマイクロ波熱処理方法。
  2. 前記MgO−Cれんがは、
    炭素含有率が1質量%〜30質量%、
    MgO含有率が98質量%〜67質量%、
    Alまたは/及びAl−Mg合金含有率が1〜3質量%であることを特徴とする、請求項1に記載のAlまたは/及びAl−Mg合金添加MgO―Cれんがのマイクロ波熱処理方法。
  3. 請求項1又は2に記載のAlまたは/及びAl−Mg合金添加MgO―Cれんがのマイクロ波熱処理方法によって熱処理されたことを特徴とする、Alまたは/及びAl−Mg合金添加MgO―Cれんが。
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