JP2009137152A - 転写シート、中間シート、接着剤塗布方法、液体吐出ヘッドの製造方法及びマイクロポンプ装置の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数の圧電素子を振動板の位置に精度良くかつ十分に密着して接着するための接着剤塗布方法を提供する。
【解決手段】変形することにより接している物質に機械エネルギーを伝える、平面上の複数の位置に配設された弾性部材に、前記弾性部材の配設位置に対応する位置関係を維持して固定板に剥離可能に仮固定されている圧電素子を接着する接着剤を、該圧電素子の前記固定板に対向する面である転写面に転写により塗布する転写シートであって、前記圧電素子の前記転写面に沿う柔軟な基材からなり、転写する接着剤が塗布される面に、高さが概同じ突起を複数個備えている。
【選択図】図3

Description

本発明は、転写シート、中間シート、接着剤塗布方法、液体吐出ヘッドの製造方法及びマイクロポンプ装置の製造方法に関する。
インクジェット記録方式は、ノンインパクト記録方式の1つであり、高速記録が可能であると共に、種々の記録媒体に対して記録が可能であり、しかも、高精細な画像が得られる。このような利点から、インクジェット記録方式は、コンピューターの周辺機器としてのプリンタばかりでなく、複写機、写真、各種印刷、産業用高精細パターニング等の記録手段として近年用途を拡大しながら急速に普及している。
このようなインクジェット記録を行う記録ヘッドには、インク等の液体を飛翔させるためのノズルと、このノズルに連通する圧力室のインク等の液体に吐出のためのエネルギーを与えるエネルギー発生手段とを備えている。そして、エネルギー発生手段として電気機械変換素子である圧電素子(ピエゾ素子)を用いた液体吐出ヘッド(記録ヘッド)は、圧電素子が発生した圧力波の伝搬によってノズル先端のメニスカスを制御して液滴を吐出させるもので、このような圧電素子の機械エネルギーを液体に伝搬させるための振動板(ダイヤフラムとも称する。)を備えているものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
振動板に圧電素子を固定する場合、圧電素子が発生する機械エネルギーを液体に効率よく伝搬させるため、各ノズルに対応した圧力室の振動板に対して位置精度良く圧電素子を固定する必要がある。圧電素子の固定位置にバラツキがあると、各圧電素子に同じ駆動信号を印加して発生させる振動を同じとしても、各圧力室内に生じる圧力に差が生じてノズルから吐出する液滴の飛翔状態が異なってしまい、印刷品質が良好とならない。また、圧電素子が発生した機械エネルギーを十分に振動板に伝達するには、圧電素子と振動板とが一体化するように十分に接着する必要がある。
上記の様に圧電素子が変形する機械エネルギーを効率よく液体に伝搬させるために、圧電素子を振動板に対して位置精度良く十分に接着する例として以下がある(特許文献2参照)。
基板に複数の圧電素子を位置決めして接着する方法として、以下の3工程を備えている。
第1の工程:各圧電素子を相対位置関係を保持した状態で、一方の面を粘着テープに仮貼着する。
第2の工程:粘着テープに仮貼着された各圧電素子を他方の面で接着剤を介して、圧電素子を貼り付ける基板に位置決めして仮置きする。
第3の工程:各圧電素子に対応する突出部を一体的に具備する弾性部材を用意する。この弾性部材は、各圧電素子の平面形状、寸法に応じた平面部分を表面とする突出部を、各圧電素子と同じ相対位置関係を保持して備えている。弾性部材の各突出部と圧電素子とを対応させ、粘着テープの仮貼着面とは反対の面に、この各突出部を当接して基板に対して加圧する。これにより、各突出部と圧電素子とを対応させ圧力が均一化されて、粘着テープの粘着面とは反対側の表面が加圧され、また、隣り合うもの同士の間で圧力の不均一による側方の力を受けないとしている。
また、適量の接着剤を接着面に塗布することにより接着剤のはみ出しがないように複数のプレートを接着する方法として、以下の例がある(特許文献3参照)。
接着剤を弾性体からなる接着剤転写シートに塗布した後、この接着剤転写シートにダミー部材を接触させて、接着剤転写シートの表面に塗布された接着剤をダミー基板に転写する。この後、接着剤転写シートをプレートに接触させて、接着剤転写シートの表面に残留する接着剤をこのプレートに転写する。これにより、適量の接着剤をほぼ均一に転写することができ、プレートを積層・接着しても、孔や溝に接着剤が流れ込むことがなくなるとしている。
また、インクジェット記録方式の記録ヘッドと同様に、液体を送出させるために圧力室の液体に送出のためのエネルギーを振動板を介して与える圧電素子を備えている例としてマイクロポンプ装置がある。このマイクロポンプ装置も、圧電素子が変形する機械エネルギーを効率よく液体に伝搬させるために、圧電素子を振動板に対して位置精度良く十分に接着する必要がある。
マイクロポンプ装置は、マイクロマシン技術および超微細加工技術を駆使することにより、化学分析、化学合成などを行うための装置、手段(例えばポンプ、バルブ、流路、センサなど)を微細化して1チップ上に集積化したシステム(例えば特許文献4参照)に組み込まれているものである。1チップ上に集積化したシステムはμ−TAS(Micro total Analysis System:マイクロ総合分析システム)、バイオチップとも呼ばれ、医療検査、診断分野、環境測定分野、農産製造分野でその応用が期待されている。
これら各種の分析、検査で使用されるチップにおける分析の定量性、解析の精度、経済性などが重要視される。そのためには簡単な構成で、高い信頼性の送液手段が必要とされている。この送液手段の例として、シリコン基板とガラス基板を接合して形成したマイクロポンプ装置を備えたマイクロ流体デバイスがある(例えば特許文献5参照)。
特開平5−229114号公報 特開平5−69548号公報 特開2006−192584号公報 特開2004−28589号公報 特開2004−108285号公報
しかしながら、特許文献2においては、圧電素子を加圧する圧力が均一化され振動板に対して複数の圧電素子を十分に密着させて接着するには、各圧電素子と基板との間に介する接着剤をムラなく均一の厚みとなるようにする必要があるが、これに関する記述がない。特許文献2に記載されている方法で加圧しても、圧電素子と基板との間にムラなく均一に接着剤が介していなければ、十分に密着させて接着することが困難であることは十分に推測できる。
また、特許文献3に記載してある接着塗布の方法を、記録ヘッドを構成する振動板に圧電素子を固定する場合に当てはめてみると、以下のようになる。
各圧電素子を相対位置関係を保持した状態で、一方の面を板に仮貼着して固定する。接着剤転写シートに接着剤を塗布し、ダミー基板に転写したのち、板に仮固定した圧電素子の仮固定されている面の反対面に接着剤転写シートを接触させて、接着剤転写シートの表面に残留する接着剤を圧電素子に転写する。
ここで、板に仮固定された圧電素子の仮固定されている面の反対面は、板の圧電素子が固定されている面からの高さが一定となっていない。これは、圧電素子を振動板に貼り付けた後、仮固定した板から圧電素子を良好に剥がすために使用している粘着テープ等の厚みが一定でないためである。従って、高さが一定でない圧電素子の面に接着剤転写シートを接触させ、圧電素子に接着剤転写シートを均一に加圧しても、圧電素子に接着剤を均一な厚みで転写することは困難である。
また,接着剤中に複数個の同一径を有するスペーサ球を均一に散在させ、被接着部材間の間隙を一定にする方法がある。この接着剤を接着剤転写シートに塗布して、上記の様に板に仮固定された圧電素子の仮固定されている面の反対面に接着剤転写シートを接触させて加圧する。このようにすると、圧電素子の接着面から接着剤転写シートまでの距離がスペーサ球により一定とすることが出来る。しかし、圧電素子からを接着剤転写シートを剥離すると、一部のスペーサ球は転写された接着剤と共に圧電素子側にあるため、圧電素子に転写された接着剤からスペーサ球が露出した状態となる。よって、圧電素子を振動板に接触させて接着しようとすると、接着剤表面から露出したスペーサ球により圧電素子の表面と振動板との間に接着剤が充填されていない箇所が発生し,接着による固定が不十分となる。
本発明は、上記の課題を鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、複数の圧電素子を振動板の位置に精度良くかつ十分に密着して接着するために圧電素子に接着剤を塗布する転写シート、中間シート、これらのシートを用いた接着剤塗布方法、この接着剤塗布方法を用いたインクジェット用記録ヘッドの製造方法及びマイクロポンプ装置の製造方法を提供することである。
上記の課題は、以下の構成により解決される。
1. 変形することにより接している物質に機械エネルギーを伝える、平面上の複数の位置に配設された弾性部材に、前記弾性部材の配設位置に対応する位置関係を維持して固定板に剥離可能に仮固定されている圧電素子を接着する接着剤を、該圧電素子の前記固定板に対向する面である転写面に転写により塗布する転写シートであって、
前記圧電素子の前記転写面に沿う柔軟な基材からなり、
転写する接着剤が塗布される面に、高さが概同じ突起を複数個備えていることを特徴とする転写シート。
2. 前記突起の高さは、前記転写面の表面粗さの2倍以上であることを特徴とする1に記載の転写シート。
3. 前記突起は、転写する接着剤が塗布される面に固定されている、直径が概同じ球形状であることを特徴とする1又は2に記載の転写シート。
4. 変形することにより接している物質に機械エネルギーを伝える、平面上の複数の位置に配設された弾性部材に、圧電素子を接着する接着剤を該圧電素子に塗布する接着剤塗布方法において、
前記弾性部材の配設位置に対応する位置関係を維持して前記圧電素子を固定板に剥離可能に仮固定する工程と、
1乃至3の何れか一項に記載の転写シートの前記突起がある面に前記接着剤を塗布する工程と、
前記転写シートの前記接着剤を塗布した面を仮固定された前記圧電素子の前記固定板に対向する面である転写面に重ね合わせる工程と、
前記重ね合わせる工程の後、前記転写シートの前記接着剤を塗布してない面を前記固定板に対して押圧する工程と、
前記転写シートを前記固定板に対して押圧した後、前記転写シートを前記転写面から引き離す工程と、を有することを特徴とする接着剤塗布方法。
5. 前記接着剤を塗布する工程において、前記接着剤は、前記転写シートの前記突起がある面に該突起が露出しない厚みに塗布することを特徴とする4に記載の接着剤塗布方法。
6. 変形することにより接している物質に機械エネルギーを伝える、平面上の複数の位置に配設された弾性部材に、前記弾性部材の配設位置に対応する位置関係を維持して固定板に剥離可能に仮固定されている圧電素子を接着する接着剤が塗布され、
且つ、前記圧電素子の前記固定板に対向する面である転写面に沿う柔軟な基材からなる接着剤シートを、
前記転写面に押し付けて、塗布された前記接着剤を該転写面に転写する際に、前記接着剤シートと該転写面の間に挟む中間シートであって、
前記圧電素子の前記転写面に沿う柔軟な基材からなり、
前記接着剤シートに塗布された前記接着剤が前記転写面に移動できる複数の開口を備えていることを特徴とする中間シート。
7. 前記中間シートの厚みは、以下の条件式(1)を満足することを特徴とする6に記載の中間シート。
ts ≧ Rz/α×2 (1)
但し、
ts:中間シートの厚み
α:中間シートにおける接着剤塗布面積に対する開口面積の比
Rz:圧電素子の転写面の表面粗さ
8. 変形することにより接している物質に機械エネルギーを伝える、平面上の複数の位置に配設された弾性部材に、圧電素子を接着する接着剤を該圧電素子に塗布する接着剤塗布方法において、
前記弾性部材の配設位置に対応する位置関係を維持して前記圧電素子を固定板に剥離可能に仮固定する工程と、
前記圧電素子に転写する接着剤を前記圧電素子の前記固定板に対向する面である転写面に沿う柔軟な接着剤シートに塗布する工程と、
前記接着剤シートの接着剤を塗布した面を、6又は7に記載の中間シートを間に挟んで、仮固定された前記圧電素子の前記転写面に重ね合わせる工程と、
前記重ね合わせる工程の後、前記接着剤シートの前記接着剤を塗布してない面を前記固定板に対して押圧する工程と、
前記接着剤シートを前記固定板に対して押圧した後、前記接着剤シートを前記転写面から前記中間シートと共に引き離す工程と、を有することを特徴とする接着剤塗布方法。
9. 前記塗布する工程において、前記接着剤シートに塗布する前記接着剤の厚みは、以下の条件式(2)を満足することを特徴とする8に記載の接着剤塗布方法。
tg ≧ ts×α (2)
但し、
tg:接着剤シートに塗布する接着剤の厚み
ts:中間シートの厚み
α:中間シートにおける接着剤塗布面積に対する開口面積の比
10. 前記仮固定する工程は、前記固定板に前記圧電素子を加熱により接着力が低下する発泡剥離シートで仮固定することを特徴とする4、5、8及び9の何れか一項に記載の接着剤塗布方法。
11. 複数のノズル孔を有するノズルプレートを形成する工程と、
前記ノズルプレートと接合して、前記ノズル孔に連通し、圧電素子の変位による容積の変化により前記ノズル孔から液滴を吐出させる圧力室となる圧力室溝を備えたボディプレートを形成する工程と、
前記ノズルプレートと前記ボディプレートとを接合して前記ノズル孔に連通する前記圧力室を形成する接合工程と、
前記圧力室の一側面を弾性部材で構成する振動板に前記振動板を振動させる前記圧電素子を結合する工程と、を有するインクジェット記録ヘッドの製造方法において、
前記圧電素子を結合する工程は、4、5、8、9及び10の何れか一項に記載の接着剤塗布方法により前記圧電素子に接着剤を塗布する工程と、
前記接着剤が塗布された前記圧電素子が仮固定されている前記固定板を、前記振動板に押し付けた状態で、前記接着剤を硬化する工程と、
前記接着剤を硬化する工程の後、前記固定板を前記圧電素子より引き離す工程と、を有することを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。
12. 液体の複数の入口及び出口を有する第1の基板を形成する工程と、
前記第1の基板と接合して、前記入口及び出口に連通し、圧電素子の変位による容積の変化により前記入口及び出口から液体を吸入及び送出させる加圧室となる加圧室溝を形成する第2の基板を形成する工程と、
前記第1の基板と前記第2の基板とを接合して前記入口及び出口に連通する前記加圧室を形成する接合工程と、
前記加圧室の一側面を弾性部材で構成する振動板に前記振動板を振動させる前記圧電素子を結合する工程とを有するマイクロポンプ装置の製造方法において、
前記圧電素子を結合する工程は、4、5、8、9及び10の何れか一項に記載の接着剤塗布方法により圧電素子に接着剤を塗布する工程と、
前記接着剤が塗布された前記圧電素子が仮固定されている前記固定板を、前記振動板に押し付けた状態で、前記接着剤を硬化する工程と、
前記固定板を前記圧電素子より引き離す工程と、を有することを特徴とするマイクロポンプ装置の製造方法。
本発明によれば、転写シートは、柔軟な基材からなっているため高さが不揃いとする圧電素子の転写面にも沿うことができ、また接着剤塗布面に高さが概同じ突起を複数個備えているため、転写シートと転写面との間隔を概同じ高さにすることができる。例えば、転写シートに突起を超える厚みの接着剤を塗布し、転写面に突起が接触するように転写シートを重ねると、転写シートと転写面との間の接着剤の厚みを概突起の高さとすることができる。よって、圧電素子の転写面に適量で厚みにムラがなく均一に接着剤を塗布することができる。
中間シートは、柔軟な基材からなっているため高さが不揃いとする圧電素子の転写面にも沿うことができ、また接着剤シートに塗布された接着剤が圧電素子の転写面に移動できる複数の開口を備えている。接着剤シートと転写面との間隔は中間シートの概厚みとなる。例えば、接着剤を塗布した接着剤シートを中間シートを挟んで転写面に重ねて押圧すると、接着剤シートと転写面との間隔を中間シートの概厚みとして接着剤シートに塗布された接着剤は圧電素子の転写面に移動する。よって、圧電素子の転写面に適量で厚みにムラがなく均一に接着剤を塗布することができる。
接着剤塗布方法は、上記の転写シート又は中間シートを用いて複数の弾性部材の配置位置に対応する位置関係を維持して固定板に、高さを一定とする調整をすること無く仮固定した複数の圧電素子の転写面に適量で厚みにムラがなく均一に接着剤を塗布することができる。
上記の接着剤塗布方法を用いて、インクジェット用記録ヘッドの製造方法及びマイクロポンプ装置における弾性部材で構成される振動板に圧電素子を接着することができる。
従って、複数の圧電素子を振動板(弾性部材)の位置に精度良くかつ十分に密着して接着するために圧電素子に接着剤を塗布する転写シート、中間シート、これらのシートを用いた接着剤塗布方法、この接着剤塗布方法を用いたインクジェット用記録ヘッドの製造方法及びマイクロポンプ装置の製造方法を提供することができる。
本発明を図示の実施の形態に基づいて説明するが、本発明は該実施の形態に限らない。
本発明に関して、イックジェット式記録ヘッドを用いて説明する。図1は液体吐出ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッドA(以下、記録ヘッドAと称する。)の構成の分解斜視図(配線部は図示していない。)を示している。図1において、1は液体吐出ヘッド用ノズルプレート(以下、ノズルプレートと称する。)、5は中間プレート、2はボディプレート、3は圧電素子、30は供給口接続部を模式的に示している。また、図2は、この記録ヘッドAにおけるノズルプレート1のY−Y’、中間プレート5のZ−Z’及びボディプレート2のX−X’の位置での断面を模式的に示している。
ノズルプレート1には、インク吐出のためのノズル孔11を複数配列してある。ノズル孔11の液滴を吐出する吐出口を有する吐出面13には撥液膜45がある。中間プレート5には、ノズル孔11に連通する貫通孔12が設けてある。貫通孔12の径は、ノズル孔11の径より大きい。
ボディプレート2には、中間プレート5を介してノズルプレート1を貼り合わせることで、圧力室となる圧力室溝24、インク供給路となるインク供給路溝23及び共通インク室となる共通インク室溝22、並びにインク供給口21が形成されている。
ノズルプレート1のノズル孔11とボディプレート2の圧力室溝24とが一対一で対応するように中間プレート5を挟んでノズルプレート1とボディプレート2と貼り合わせることで流路ユニットMを構成する。ここで、以後、上記で説明に使用した圧力室溝、供給路溝、共通インク室溝の各符号はそれぞれ圧力室、供給路、共通インク室にも使用する。また、インク供給口21に連通するように供給口接続部30を結合してある。供給口接続部30と別途準備するインク貯蔵部(図示しない)とをパイプ(図示しない)で接続することで流路ユニットMにインクを供給することができる。
図2が示しているように、圧電素子3を圧力室24の容積を変化させてノズル孔11から液滴を吐出させるアクチュエータとして、ボディプレート2のノズルプレート1を有する面と反対面上の各圧力室24の底部の弾性部材である振動板25に結合してある。振動板25と圧電素子3との間には、全ての圧電素子3と電気的に接続されるベース電極40が設けてある。
ボディプレート2の底面には、圧電素子の駆動回路に接続されるフレキシブル基板(図示しない)が固定され、このフレキシブル基板には、各圧電素子3と接続する個別端子と全ての圧電素子3に接続する共通端子とを備えている。各圧電素子3と個別端子とを接続するワイヤを配線Lで示し、共通端子とベース電極40とを接続するワイヤをコモン線CLとして示している。
駆動回路(図示しない)により、コモン線CLと配線Lとの間に駆動パルス電圧を印加することによって、各圧電素子3を独立して駆動することができる。駆動した圧電素子3から発生する振動が圧力室24の振動板25に伝えられ、この振動板25の振動により圧力室24内の圧力を変動させて圧力室24内の液体をノズル孔11から液滴として吐出できる。
これまで説明した記録ヘッドAを製造することに関して図1から4を参照しながら説明する。
(ノズルプレートの準備、ボディプレートの準備、中間プレートの準備)
図2に示す流路ユニットMを構成するノズルプレート1、中間プレート5、ボディプレート2をそれぞれ製造する。ノズルプレート1とボディプレート2の材料はSiとし、中間プレート5の材料は、可動イオンを含む硼珪酸ガラスが好ましい。各プレートをこれらの材料とすることで後述する陽極接合を容易に行うことができる。
ノズルプレート1にノズル孔11を形成する方法、中間プレート5に貫通孔12を形成する方法、ボディプレート2に圧力室溝24等を形成する方法は、公知のフォトリソグラフィー技術(レジスト塗布、露光、現像)及びエッチング技術等を用いることができる。エッチング方法としては、ドライエッチングが好ましい。これらの方法により、ノズルプレート1、ボディプレート2及び中間プレート5を準備する。
(接合)
準備したノズルプレート1、中間プレート5、ボディプレート2の3枚のプレートを重ね合わせ、例えば陽極接合にて接合して圧力室24を備える流路ユニットMを形成する。接合方法は、陽極接合に限らず接着剤を用いてもよい。
(撥液膜形成)
吐出面13に設ける撥液膜45に関して説明する。ノズルプレート1の吐出面13に撥液膜45を設けるのが好ましい。撥液膜45を設けることで、ノズル孔11から液体が吐出面13に馴染むことによる染み出しや広がりを抑制することができる。撥液膜45には、例えば液体が水性であれば撥水性を有する材料が用いられ、液体が油性であれば撥油性を有する材料が用いられる。一般に、FEP(四フッ化エチレン、六フッ化プロピレン)、PTFE(ポリテトラフロロエチレン)、フッ素化シロキサン、フルオロアルキルシラン、アモルファスパーフルオロ樹脂等のフッ素樹脂等が用いられることが多く、塗布方法、真空蒸着方法、浸漬方法で吐出面13に成膜する。撥液膜45の厚みは、撥液膜45の材料、形成方法により適宜決めればよい。また、撥液膜45は、吐出面13に直接成膜できるが、撥液膜45の密着性を向上させるために、下地層、例えばTEOS(テトラエトキシシラン)膜を介して成膜するのが好ましい。
(ベース電極形成)
流路ユニットMの背面の圧電素子3を設ける振動板25及びその周辺部分にベース電極40を設ける(図2参照)。ベース電極40は、この上に設ける全ての圧電素子3に電圧を印加して駆動するための共通電極として機能する。このベース電極40の材料は、電極となる材料であれば特に限定することはなく、例えば、Al、Au、Cu、Agが挙げられる。また、密着性を良くするためのCr等の下地層を設けてもよい。ベース電極40を形成する方法は、例えば公知のスパッタリングや真空蒸着があるが、これらに限定されない。
(圧電素子結合、配線)
振動板25の位置のベース電極40の上に別途用意する圧電素子3を接着剤を用いて結合する。圧電素子3に電圧を印加する2つの面には、予めAu等の一対の対向する電極を設けておき、この電極の一方の面を例えば銀ペースト等の導電性接着剤を用いてベース電極40に結合する。この後、ボディプレート2の底面に、フレキシブル基板を固定し、フレキシブル基板と各圧電素子3及びベース電極40との間をワイヤボンディングにより接続する。振動板25の位置に圧電素子3を結合することに関して以下で詳細に説明する。
(インク供給路結合)
流路ユニットMに開口しているインク供給口21にインクを供給するための供給口接続部30を接着剤等で結合する。供給口接続部30を流路ユニットMに設けることで、供給口接続部30と別途設けるインク貯蔵部(図示しない)とをパイプで接続することができ、流路ユニットMにインクを供給することができる。これで、記録ヘッドAを完成することができる。
(圧電素子結合の第1の方法)
上記の圧電素子結合で説明した振動板25の上に圧電素子3を接着剤で結合することに関して、図3に沿って説明する。尚、実際には振動板25の上にはベース電極40があるが、説明の便宜上、ベース電極40を省略して、圧電素子3を接着する箇所は振動板25として説明する。
まず、圧電素子3を固定板100に仮固定する(図3(a))。圧電素子3の固定板100に対向する面及び反対側の面には駆動用の電極が設けてあるが、図を簡略化するため図示していない。固定板100は、例えば剛性が高く表面が平坦な板が好ましく、例えば厚み5mm程度のガラス基板が挙げられるが、これに限定されない。
圧電素子3を固定板100に仮固定する方法は、仮固定時は固定位置が容易に変化することがない十分な粘着力を持ち、剥離時は容易に剥離できるように加熱等により粘着力が十分に低下する粘着層を圧電素子3を仮固定する面に備えた粘着シート110が好ましい。粘着シート110は、例えば厚みが50μm程度の加熱により発泡し容易に剥離できる発泡剥離シートが挙げられるが、これに限定されない。
圧電素子3を固定板100に仮固定する位置は、流路ユニットMの圧力室24の振動板25に圧電素子3を固定する位置に対応する位置関係を維持している配置とする。固定板100に仮固定された圧電素子3の固定板100の固定面から圧電素子3の仮固定されていない面までの高さは、圧電素子3の厚みは高精度であるものの、粘着シート110の厚みの不均一に起因して、図3(a)に示すように不揃いな状態となる。
上記で準備した固定板100に仮固定した圧電素子3に接着剤を塗布するための、転写シート120を用意する(図3(b))。転写シート120は、ポリイミド等を材料とする柔軟なシートに複数の突起を備えている。突起は、エンボス加工等によりシート自体に持たせても良いし、図3(b)に示すようにシートに固定されている球状のスペーサ130としても良い。スペーサの材料は、セラミックや硬質樹脂が挙げられる。
スペーサ130を備えた転写シート120に接着剤140をスペーサ130が露出しない厚みに塗布するのが好ましい(図3(c))。このように塗布することで、後で行う、固定板100に仮固定された圧電素子3への接着剤140の転写の際に、圧電素子3と転写シート120との間に接着剤が隙間無くあるようにすることができる。
尚、転写シート120に塗布した接着剤140の厚みが厚すぎると、固定板100に仮固定された圧電素子3への接着剤140の転写の際に、圧電素子3の間に入り込み、更に振動板25の位置に圧電素子3を接着する際に、振動板25と圧電素子3との間に挟まれた接着剤が周囲に押し出されて、隣接する圧電素子3同士の間の接着剤の量が過剰となる。このため、圧電素子3の振動板25への固定は十分になされるが、圧電素子3自体の振動が十分にできなくなってしまい、液滴の吐出性能が十分に得られなくなってしまう。これは、スペーサ130の径が大きすぎる場合も同様に生じる。接着剤140の好ましい厚みは、塗布対象である圧電素子3の厚み、大きさ、配列のピッチ等に依存するため、実際に実験により求めるのが好ましいが、最大厚さの目安として50μm程度、スペーサ130の径はφ40μm程度である。
次に、接着剤140を塗布した転写シート120を固定板100に仮固定した圧電素子3に十分に接触させる(図3(d))。転写シート120の接着剤140が塗布されていな面から転写シート120を圧電素子3に対して押圧することにより、柔軟な転写シート120は、仮固定された圧電素子3の凹凸に沿った状態となる。よって、転写シート120の接着剤側の面と圧電素子3の接着剤塗布面との距離は、圧電素子3の接着剤塗布面が図3(d)に示すように平坦で無く凹凸状態であってもスペーサ130の概直径とすることができる。
次に、固定板100から転写シート120を引き離す(図3(e))。この引き離しにより、転写シート120と圧電素子3の両者に接触した接着剤140は、接着剤とこの両者との接着力に大きな差がない状態であるので、その接着層のほぼ中央から分離される。すなわち、接着剤140の概半分は圧電素子3側に転写され、概半分は転写シート120に残る。
スペーサ130の径が大きすぎると、接着層からスペーサが抜けた容積が大きすぎて周囲からの接着剤の流れ込みではスペーサの穴埋めが十分できなくて、圧電素子3の転写された接着層の厚みムラが大きくなり、この結果良好な接着力が得られなくなる場合が生じる。このスペーサの穴埋めが十分できなくなることは、スペーサの大きさだけではなく、後述のスペーサの配置密度の影響も受ける。
また、焼結技術により製造された圧電素子3は、表面粗さRz(最大高さ:JIS B0601:2001)が1μm〜5μm程度ある。この圧電素子3の表面粗さRzに起因する振動板25との接着時の接着剤の充填不良を防ぐため、スペーサ130の径を表面粗さRzの2倍以上とするのが好ましい。
また、圧電素子3に接着剤140を良好に転写するには、転写シートに備えるスペーサ130を、圧電素子3の接着剤転写面の大きさに合わせて適度な密度で均一に配置することが好ましい。スペーサの配置密度が高すぎると、スペーサ130間の隙間が少なくなりすぎて、圧電素子3への接着剤140の転写が十分に行うことができない。また、密度が低すぎると、圧電素子3と転写シート間の距離をスペーサ130の概直径に維持することが困難となり、接着剤140を均一な厚みで転写できなくなる。スペーサ130の密度の目安としては、例えばスペーサ130の直径をφ10μmとすると、接着剤の転写面積100μm×100μm当たりスペーサ1個とするのが好ましい。
次に、固定板100に仮固定され、接着剤140が転写された圧電素子3を流路ユニットMの振動板25の位置に接触させ、加圧・加熱して接着剤140を硬化させて固定する(図3(f))。図3(f)、(g)の流路ユニットMは、圧電素子3と振動板25の周辺での圧電素子3と圧力室24が並列する方向の断面を示している。スペーサ130の直径で圧電素子3に転写する接着剤140の厚みを調整できるため、圧電素子3を振動板25に接着する際、圧電素子3を流路ユニットMに加圧する力の調整と合わせて、圧電素子3と振動板25との間の間隔(接着層の厚み)や圧電素子3の周囲にはみ出る接着量を適宜調整することができる。従って、圧電素子3を十分に振動板に固定することができ、又、圧電素子3の振動自体が制限されることがなく、更に隣の同士の圧電素子3による相互の影響を抑えることができる。また、圧電素子3に塗布されている接着剤の量が調整されているため、圧電素子3を流路ユニットMに加圧する力を抑えることができ、圧電素子3より機械強度が弱い振動板25の破損を避けることができる。
次に、圧電素子3から固定板100を剥離する(図3(g))。例えば、圧電素子3を固定板100に発泡剥離シートで仮固定している場合、発泡剥離シートを流路ユニットM、圧電素子3及び固定板100と共に130℃程度に加熱することにより、圧電素子3と振動板25との接着や振動板25に影響を与えることなく容易に圧電素子3から固定板100を剥離することができる。
(圧電素子結合の第2の方法)
圧電素子3に接着剤を転写する上記とは別の方法として、突起を備えた転写シートの代わりに中間シートであるメッシュシートを使用する方法に関して図4に沿って説明する。
上記の第1の方法と同じように、圧電素子3を粘着シート110で固定板100に仮固定する(図4(a))。次に、上記で準備した固定板100に仮固定した圧電素子3に接着剤を塗布するための、接着剤シート220を用意する(図4(b))。接着剤シート220は、ポリイミド等を材料とする柔軟性を備えている。この接着剤シート220に接着剤140を塗布する。塗布する接着剤140の厚みに関しては、後述する。
次に、下から順に圧電素子3を粘着シート110で仮固定した固定板100、メッシュシート300、接着剤140を塗布した接着剤シート220を重ね合わせ(図4(c))、重ね合わせた状態で、固定板100に対して接着剤シート220を押圧する(図4(d))。押圧により、接着剤シート220の接着剤側の面と圧電素子3の接着剤塗布面との距離は、圧電素子の接着剤塗布面が図4(d)に示すように平坦で無く凹凸状態であってもメッシュシート300の概厚みとすることができる。
メッシュシート300は、接着剤シート220と重ねた状態で十分に接着剤シート220と隙間無く十分に接着剤シート220に沿うことができる柔軟性と、接着剤を転写する面積に対して一定の比率(開口率)で複数の開口302を備えた薄板である。
メッシュシート300は、例えばスクリーン印刷に使用するメタルマスクと同様にアディティブ法、レーザー加工法、エッチング法等で製造することができるが、これに限定されない。これら中で、メッシュシート300の製造方法は、高精度に製造できることからNi等を用いた電鋳技術によるアディティブ法が好ましい。
次に、固定板100から接着剤シート220をメッシュシート300と共に引き離す(図4(e))。この引き離しにより、接着剤シート220と圧電素子3の両者に接触した接着剤140は、接着剤140とこの両者との接着力に大きな差がない状態であるので、その接着層のほぼ中央から分離される。すなわち、接着剤140の概半分は圧電素子3側に転写され、概半分は接着剤シート220に残る。圧電素子3に転写された開口形状の接着剤は、転写シートが除かれることで、周囲に広がっていく。
メッシュシート300の厚みtsは、以下の式(1)を満足することが好ましい。
ts ≧ Rz/α×2 (1)
αは開口率、Rzは、接着剤を転写する圧電素子3の表面粗さ(最大高さ:JIS B0601:2001)である。メッシュシート300の厚みtsが式(1)の下限を下回る場合、圧電素子3に塗布される接着剤の厚みが圧電素子3の表面粗さに対して十分でなく、圧電素子3の表面粗さに起因する圧電素子3と振動板25の間の接着剤の充填不足が生じる。
開口率αの範囲は、おおよそ0.2〜0.6の範囲が好ましい。開口率αが0.2を下回ると、転写される接着剤の量が少なくなりすぎて、転写ムラや圧電素子3と振動板25の接着時の両者間に接着剤の充填不足による隙間の発生頻度が高くなる。また、開口率αが0.6を上回ると、メッシュシート300自体の強度が低下して、取り扱いが容易で無くなってしまう。
開口の形状は、配置に方向性がない円形が好ましいが、これに限定されない。また、開口の大きさの上限は、上記の開口率の好ましい範囲内では転写する対象により依存し。例えば、圧電素子3の大きさが0.2mm×2mmで、配置のピッチが0.28mmとすると概ねピッチの半分0.14mmを直径とする円形となる。また開口の大きさの下限は、メッシュシートの製造の観点からシートの厚みの半分を直径とする円形となる。
また、接着剤シート220に塗布する接着剤140の厚みtgは、以下の式(2)を満足することが好ましい。
tg ≧ ts×α (2)
接着剤140の厚みtgが式(1)の下限を下回る場合、上記で説明した圧電素子3の表面の凹凸に起因する圧電素子3と振動板25の接着剤の充填不足が生じない厚みに均一にするための接着剤の量が確保することができなくなる。
接着剤140の厚みtgが大きすぎると、メッシュシート300の開口から、開口してない部分への接着剤の回り込みが多くなりすぎ、固定板100に仮固定された圧電素子3への接着剤140の転写の際に、圧電素子3の間に入り込み、更に振動板25の位置に圧電素子3を接着する際に、振動板25と圧電素子3との間に挟まれた接着剤が周囲に押し出されて、隣接する圧電素子3同士の間の接着剤の量が過剰となる。このため、圧電素子3の振動板25への固定は十分になされるが、圧電素子3自体の振動が十分にできなくなってしまい、液滴の吐出性能が十分に得られなくなってしまう。尚、接着剤140の厚みtgの上限は、上記に第1の方法と同様に50μm程度である。
次に、接着剤140が転写された圧電素子3を流路ユニットMの所定の位置に接触させ、加圧・加熱して接着剤140を硬化させて固定する(図4(f))。図4(f)、(g)の流路ユニットMは、圧電素子3と振動板25の周辺での圧電素子3と圧力室24が並列する方向の断面を示している。メッシュシート300の厚みtsとその開口率αで圧電素子3に転写する接着剤140の厚みを調整することができる。このため、圧電素子3を振動板25に接着する際、圧電素子3を流路ユニットMに加圧する力の調整と合わせて、圧電素子3と振動板25との接着剤の間隔(接着層の厚み)や圧電素子3の周囲にはみ出る接着量を適宜調整することができる。従って、圧電素子3を十分に振動板に固定することができ、又、圧電素子3の振動自体が制限されることがなく、更に隣の同士の圧電素子3による相互の影響を抑えることができる。また、圧電素子3に塗布されている接着剤の量が調整されているため、圧電素子3を流路ユニットMに加圧する力を抑えることができ、圧電素子3より機械強度が弱い振動板25の破損を避けることができる。
次に、圧電素子3から固定板100を剥離する(図4(g))。上記に第1の方法と同様に、圧電素子3を固定板100に発泡剥離シートで仮固定している場合、発泡剥離シートを流路ユニットM、圧電素子3及び固定板100と共に130℃程度に加熱することにより、圧電素子3と振動板25との接着や振動板25に影響を与えることなく容易に圧電素子3から固定板100を剥離することができる。
尚、メッシュシートの開口位置の設定は、メッシュシートの製造方法から自由度が高いことから容易に設定することができる。このため、開口の配置を、シート面に対して一様ではなく、圧電素子3の配置を考慮したもの、例えば圧電素子3間に対応する位置では開口を少なくする等とすることで、必要箇所により的確に効率よく接着剤を塗布するようにできる。
次に、マイクロポンプ装置の一例について、図5を用いて説明する。図5(a)はマイクロポンプ装置の平面図であり、図5(b)は図5(a)にW−W’で示す部分の断面図である。
図5に示すようにマイクロポンプ装置500は、第1の基板511、第2の基板512及び圧電素子530から構成されている。なお、図5(a)において、第1の基板511の下の第2の基板512の流路を点線で図示している。
図5(a)のW−W’で示す部分が一つのマイクロポンプMPを構成しており、例えば入出口545から吸入した液体を入出口546から送出する。あるいは、逆方向に入出口546から吸入した液体を入出口545から送出することもできる。マイクロポンプMPの詳しい構造、動作に関しては、特開2001−322099号公報に記載されてあるため、ここでは省略する。
図5(a)の例では、マイクロポンプ装置500は8つのマイクロポンプMPが形成されている。これらのマイクロポンプMPはそれぞれ同じ構造であるから、以下においては図5(b)を用いて説明する。
第2の基板512は、図5(b)に示すように、加圧室521、振動板522、第1絞り流路523、第1流路524、第2絞り流路525、および第2流路526をそれぞれ構成する溝を有する。
第2の基板512は、例えばシリコンウエハを公知のフォトリソグラフィー技術(レジスト塗布、露光、現像)及びエッチング技術を用いて形成することができるが、これに限定されない。例えばプラステック樹脂材料を用いて射出成形により作製することもできる。
図5(b)に示すように、第2の基板512の振動板522の外側の面に、圧電素子530を接着する。圧電素子530を振動板522の外側の面に接着する方法は、これまで記録ヘッドを例にして圧電素子結合の第1の方法、圧電素子結合の第2の方法として説明した接着方法が適用出来る。
圧電素子530の駆動のための2つの電極は、上述した記録ヘッドの場合と同様に圧電素子530の両側の表面にAu等により設けられ、フレキシブル基板(図示しない)と接続する。圧電素子530の一方の電極は、全ての圧電素子530と接続する電極として第2の基板512の振動板522及びその周辺に設けたベース電極(図示しない)に接続し、ベース電極からフレキシブル基板の共通端子に接続する。各圧電素子530からはフレキシブル基板の個別端子に接続する。
第1の基板511には、第1流路524、第2流路526それそれに対応した入出口545、546を設ける。入出口545、546は、第1の基板511の材料が後述のガラスであれば、公知のフォトリソグラフィー技術(レジスト塗布、露光、現像)及びエッチング技術を用いて形成することができるが、これに限定されない。
加圧室521等を構成する溝が形成されている第2の基板512と入出口が形成されている第1の基板511とを結合する。信頼性を良好とするため、第1の基板511の熱膨張率は第2の基板512にできるだけ近いことが望ましい。第2の基板512の材料がシリコンの場合、第1の基板511の材料は、例えば、パイレックス(登録商標)ガラス(PyrexはCorning Glass Warks社)、テンパックス(登録商標)ガラス(TempaxはSchott Glaswerk社)などが用いられる。これらは熱膨張率がシリコン基板とほぼ同じである。第2の基板512をシリコンとし、第1の基板511を上記のパイレックス(登録商標)ガラス又はテンパックス(登録商標)ガラスとすると、これらを重ね合わせて陽極接合により接合することができるが、これに限定されことはなく、接着剤を用いてもよい。これで、マイクロポンプ装置500が完成する。
液体吐出ヘッドの一例としてインクジェット式記録ヘッドの構成を示す分解斜視図である。 インクジェット式記録ヘッドの断面を示す図である。 振動板の上に圧電素子を接着剤で結合する方法の例を説明する図である。 振動板の上に圧電素子を接着剤で結合する方法の例を説明する図である。 マイクロポンプ装置の一例の構成を示す図である。(a)は上面図、(b)は断面図である。
符号の説明
1 ノズルプレート
2 ボディプレート
3、530 圧電素子
5 中間プレート
11 ノズル孔
12 貫通孔
13 吐出面
21 インク供給口
22 共通インク室(溝)
23 インク供給路(溝)
24 圧力室(溝)
25、522 振動板
30 供給口接続部
40 ベース電極
45 撥液膜
100 板
110 粘着シート
130 スペーサ
120 転写シート
140 接着剤
300 メッシュシート
220 接着剤シート
500 マイクロポンプ装置
511 第1の基板
512 第2の基板
521 加圧室
523 第1絞り流路
524 第1流路
525 第2絞り流路
526 第2流路
545、546 入出口
A インクジェット式記録ヘッド(記録ヘッド)
L 配線
CL コモン線
M 流路ユニット
MP マイクロポンプ

Claims (12)

  1. 変形することにより接している物質に機械エネルギーを伝える、平面上の複数の位置に配設された弾性部材に、前記弾性部材の配設位置に対応する位置関係を維持して固定板に剥離可能に仮固定されている圧電素子を接着する接着剤を、該圧電素子の前記固定板に対向する面である転写面に転写により塗布する転写シートであって、
    前記圧電素子の前記転写面に沿う柔軟な基材からなり、
    転写する接着剤が塗布される面に、高さが概同じ突起を複数個備えていることを特徴とする転写シート。
  2. 前記突起の高さは、前記転写面の表面粗さの2倍以上であることを特徴とする請求項1に記載の転写シート。
  3. 前記突起は、転写する接着剤が塗布される面に固定されている、直径が概同じ球形状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の転写シート。
  4. 変形することにより接している物質に機械エネルギーを伝える、平面上の複数の位置に配設された弾性部材に、圧電素子を接着する接着剤を該圧電素子に塗布する接着剤塗布方法において、
    前記弾性部材の配設位置に対応する位置関係を維持して前記圧電素子を固定板に剥離可能に仮固定する工程と、
    請求項1乃至3の何れか一項に記載の転写シートの前記突起がある面に前記接着剤を塗布する工程と、
    前記転写シートの前記接着剤を塗布した面を仮固定された前記圧電素子の前記固定板に対向する面である転写面に重ね合わせる工程と、
    前記重ね合わせる工程の後、前記転写シートの前記接着剤を塗布してない面を前記固定板に対して押圧する工程と、
    前記転写シートを前記固定板に対して押圧した後、前記転写シートを前記転写面から引き離す工程と、を有することを特徴とする接着剤塗布方法。
  5. 前記接着剤を塗布する工程において、前記接着剤は、前記転写シートの前記突起がある面に該突起が露出しない厚みに塗布することを特徴とする請求項4に記載の接着剤塗布方法。
  6. 変形することにより接している物質に機械エネルギーを伝える、平面上の複数の位置に配設された弾性部材に、前記弾性部材の配設位置に対応する位置関係を維持して固定板に剥離可能に仮固定されている圧電素子を接着する接着剤が塗布され、
    且つ、前記圧電素子の前記固定板に対向する面である転写面に沿う柔軟な基材からなる接着剤シートを、
    前記転写面に押し付けて、塗布された前記接着剤を該転写面に転写する際に、前記接着剤シートと該転写面の間に挟む中間シートであって、
    前記圧電素子の前記転写面に沿う柔軟な基材からなり、
    前記接着剤シートに塗布された前記接着剤が前記転写面に移動できる複数の開口を備えていることを特徴とする中間シート。
  7. 前記中間シートの厚みは、以下の条件式(1)を満足することを特徴とする請求項6に記載の中間シート。
    ts ≧ Rz/α×2 (1)
    但し、
    ts:中間シートの厚み
    α:中間シートにおける接着剤塗布面積に対する開口面積の比
    Rz:圧電素子の転写面の表面粗さ
  8. 変形することにより接している物質に機械エネルギーを伝える、平面上の複数の位置に配設された弾性部材に、圧電素子を接着する接着剤を該圧電素子に塗布する接着剤塗布方法において、
    前記弾性部材の配設位置に対応する位置関係を維持して前記圧電素子を固定板に剥離可能に仮固定する工程と、
    前記圧電素子に転写する接着剤を前記圧電素子の前記固定板に対向する面である転写面に沿う柔軟な接着剤シートに塗布する工程と、
    前記接着剤シートの接着剤を塗布した面を、請求項6又は7に記載の中間シートを間に挟んで、仮固定された前記圧電素子の前記転写面に重ね合わせる工程と、
    前記重ね合わせる工程の後、前記接着剤シートの前記接着剤を塗布してない面を前記固定板に対して押圧する工程と、
    前記接着剤シートを前記固定板に対して押圧した後、前記接着剤シートを前記転写面から前記中間シートと共に引き離す工程と、を有することを特徴とする接着剤塗布方法。
  9. 前記塗布する工程において、前記接着剤シートに塗布する前記接着剤の厚みは、以下の条件式(2)を満足することを特徴とする請求項8に記載の接着剤塗布方法。
    tg ≧ ts×α (2)
    但し、
    tg:接着剤シートに塗布する接着剤の厚み
    ts:中間シートの厚み
    α:中間シートにおける接着剤塗布面積に対する開口面積の比
  10. 前記仮固定する工程は、前記固定板に前記圧電素子を加熱により接着力が低下する発泡剥離シートで仮固定することを特徴とする請求項4、5、8及び9の何れか一項に記載の接着剤塗布方法。
  11. 複数のノズル孔を有するノズルプレートを形成する工程と、
    前記ノズルプレートと接合して、前記ノズル孔に連通し、圧電素子の変位による容積の変化により前記ノズル孔から液滴を吐出させる圧力室となる圧力室溝を備えたボディプレートを形成する工程と、
    前記ノズルプレートと前記ボディプレートとを接合して前記ノズル孔に連通する前記圧力室を形成する接合工程と、
    前記圧力室の一側面を弾性部材で構成する振動板に前記振動板を振動させる前記圧電素子を結合する工程と、を有するインクジェット記録ヘッドの製造方法において、
    前記圧電素子を結合する工程は、請求項4、5、8、9及び10の何れか一項に記載の接着剤塗布方法により前記圧電素子に接着剤を塗布する工程と、
    前記接着剤が塗布された前記圧電素子が仮固定されている前記固定板を、前記振動板に押し付けた状態で、前記接着剤を硬化する工程と、
    前記接着剤を硬化する工程の後、前記固定板を前記圧電素子より引き離す工程と、を有することを特徴とする液体吐出ヘッドの製造方法。
  12. 液体の複数の入口及び出口を有する第1の基板を形成する工程と、
    前記第1の基板と接合して、前記入口及び出口に連通し、圧電素子の変位による容積の変化により前記入口及び出口から液体を吸入及び送出させる加圧室となる加圧室溝を形成する第2の基板を形成する工程と、
    前記第1の基板と前記第2の基板とを接合して前記入口及び出口に連通する前記加圧室を形成する接合工程と、
    前記加圧室の一側面を弾性部材で構成する振動板に前記振動板を振動させる前記圧電素子を結合する工程とを有するマイクロポンプ装置の製造方法において、
    前記圧電素子を結合する工程は、請求項4、5、8、9及び10の何れか一項に記載の接着剤塗布方法により圧電素子に接着剤を塗布する工程と、
    前記接着剤が塗布された前記圧電素子が仮固定されている前記固定板を、前記振動板に押し付けた状態で、前記接着剤を硬化する工程と、
    前記固定板を前記圧電素子より引き離す工程と、を有することを特徴とするマイクロポンプ装置の製造方法。
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