このように、従来技術の部品実装装置、それに使用するプログラムおよび部品実装システムは、基板1枚毎に部品の実装を行うものであるが、単位時間当たりの部品の移載個数はほゞ一定であり、また基板搬送装置による基板搬送中は部品の実装が中断されるので基板の生産性の向上に限界があった。
また実際の生産ラインは、それぞれに部品実装装置を設けた複数の実装ステーションを直列に接続したものであるが、一部の実装ステーションに障害が生じた場合には、その生産ライン全体が停止してしまうことがあるという問題がある。
さらに、生産ラインの途中に設けた基板検査ステーションにおいて手直し可能な部品の欠落が検出された場合には、その基板の部品実装を最後まで行い、改めて手作業などにより欠落した部品を再実装しているが、生産管理が煩雑になるという問題があった。
本発明は、それぞれが基板の搬入および搬出を行う2台の基板搬送装置を部品実装装置に設けるとともに、適切な制御を行うことによりこのような各問題を解決することを目的とする。
上記の課題を解決するため、請求項1に記載の発明の構成上の特徴は、それぞれが基板の搬送を行う2台の基板搬送装置と、前記基板に装着する複数種類の部品を供給する部品供給装置と、この部品供給装置から供給される部品を採取して前記基板上に実装する部品採取ヘッドおよびこの部品採取ヘッドを少なくとも前記基板の面と平行な2方向に移動するヘッド移送機構よりなる部品移載装置を備えてなる部品実装装置において、前記部品移載装置は前記2台の基板搬送装置により部品実装位置に搬送された2枚の基板に対して同時にまたは代わる代わる部品を実装することである。
請求項2に係る発明の構成上の特徴は、請求項1において、前記2台の基板搬送装置は直線搬送方式のコンベアで互いに平行に配置され、前記部品供給装置は前記各基板搬送装置の各外側に配置されていることである。
請求項3に係る発明の構成上の特徴は、請求項1または2において、前記各基板搬送装置の搬送方向と直交する方向における幅を変更可能としたことである。
請求項4に係る発明の構成上の特徴は、請求項1〜3のいずれかにおいて、前記部品採取ヘッドは1つであることである。
請求項5に係る発明の構成上の特徴は、請求項4において、前記部品採取ヘッドは前記部品供給装置から採取した部品を2つの前記基板に対して交互に実装することである。
請求項6に係る発明の構成上の特徴は、請求項4において、前記部品採取ヘッドは前記部品供給装置から採取した部品を2つの前記基板に対して異なる実装頻度で代わる代わる実装することである。
請求項7に係る発明の構成上の特徴は、請求項4において、何れか一方の前記基板が部品実装完了後の搬送中であるとき、またはその一方の基板を搬送する前記基板搬送装置が幅を変更中であるときに、前記部品採取ヘッドは他方の前記基板に対する部品の実装を集中して行うことである。
請求項8に係る発明の構成上の特徴は、請求項1〜3のいずれかにおいて、前記部品採取ヘッドは2つであり、各部品採取ヘッドはそれぞれ異なるヘッド移送機構により独立して移動されることである。
請求項9に係る発明の構成上の特徴は、請求項8において、何れか一方の前記部品採取ヘッドは何れか一方の前記基板に対する部品の実装を専ら行い、他方の前記部品採取ヘッドは他方の前記基板に対する部品の実装を専ら行うことである。
請求項10に係る発明の構成上の特徴は、請求項9において、何れか一方の前記基板が部品実装完了後の搬送中であるときまたはその一方の基板を搬送する前記基板搬送装置が幅を変更中であるときに、前記一方の基板に対する部品の実装を専ら行う一方の前記部品採取ヘッドは他方の前記部品採取ヘッドによる他方の前記基板に対する部品の実装に加担して前記他方の基板に対する部品の実装を行うことである。
請求項11に係る発明の構成上の特徴は、請求項8において、2台の前記基板搬送装置における部品実装時の各基板の停止位置を互いに異ならせたことである。
請求項12に係る発明の構成上の特徴は、請求項8において、何れか一方の前記部品採取ヘッドが両基板の間となる中央部に接近した所定の干渉危険領域において何れか一方の前記基板に部品を実装している際に、他方の前記部品採取ヘッドは前記干渉危険領域を除く干渉安全領域において他方の前記基板に部品を実装することである。
請求項13に係る発明の構成上の特徴は、請求項8において、何れか一方の前記基板が部品実装完了後の搬送中であるときまたはその一方の基板を搬送する前記基板搬送装置が幅を変更中であるときに、前記部品採取ヘッドは両基板の間となる中央部に接近した所定の干渉危険領域において他方の前記基板に部品を実装することである。
請求項14に係る発明の構成上の特徴は、請求項1〜13のいずれかにおいて、前記2台の基板搬送装置のうち、一方は定生産品種の製品用基板のみを搬送する定生産品種専用とし、他方は基板幅の異なる割込み品種の製品用基板を搬送する割込み品種用に設定する手段を備えたことである。
請求項15に係る発明の構成上の特徴は、請求項14において、定生産品種を一方の基板搬送装置で実装している第1定生産品種から第2定生産品種に切替える場合、切替える前に第2定生産品種を他方の基板搬送装置で実装して試生産する手段と、切替え時に前記他方の基板搬送装置を定生産品種の製品用基板のみを搬送する所定品種専用とし、一方の基板搬送装置を基板幅の異なる割込み品種の製品用基板を搬送する割込み品種用に変更するように前記設定手段を変更設定する手段を設けたことである。
請求項16に係る発明の構成上の特徴は、請求項1〜13のいずれかにおいて、前記2台の基板搬送装置で実装している製品の品種を第1品種から第2品種に変更する場合、前記一方の基板搬送装置で前記第1品種を実装している間に、前記他方の基板搬送装置で第2品種を試実装する手段と、前記他方の基板搬送装置で前記第2品種を本実装開始した後、前記一方の基板搬送装置で第2品種を試実装する手段を備えたことである。
請求項17に係る発明の構成上の特徴は、基板の両側をガイドする2本のガイドレールを夫々有し基板を互いに平行な方向に搬送する2台の基板搬送装置と、前記2台の基板搬送装置の互いに隣接する中央側とは反対の外側に各々設けられた2台の部品供給装置と、この部品供給装置から供給される部品を採取して前記基板上に実装する部品採取ヘッドおよびこの部品採取ヘッドを少なくとも前記基板の面と平行な2方向に移動するヘッド移送機構よりなる部品移載装置を備えてなる部品実装装置において、前記各基板搬送装置の各2本のガイドレールは、前記部品供給装置に隣接する外側の各ガイドレールが固定され、中央側の各ガイドレールが該ガイドレールの延在方向と直交する方向に位置調整可能とされていることである。
請求項18に係る発明の構成上の特徴は、基板の両側をガイドする2本のガイドレールを夫々有し基板を互いに平行な方向に搬送する2台の基板搬送装置と、前記2台の基板搬送装置の互いに隣接する中央側とは反対の外側に各々設けられた2台の部品供給装置と、前記各ガイドレールをその延在方向と直交する方向に位置調整するガイドレール位置調整手段と、前記部品供給装置から供給される部品を採取して前記基板上に実装する部品採取ヘッドおよびこの部品採取ヘッドを少なくとも前記基板の面と平行な2方向に移動するヘッド移送機構よりなる部品移載装置を備えてなる部品実装装置において、前記ガイドレール位置調整手段は、前記各2本のガイドレールのうち、前記部品供給装置に隣接する外側の各ガイドレールを前記部品供給装置に最も近接する位置に位置付けるとともに、中央側の各ガイドレールを搬送する基板の幅に応じて位置付けすることである。
請求項19に係る発明の構成上の特徴は、それぞれが基板の搬送を行う2台の基板搬送装置と、前記基板に装着する複数種類の部品を供給する少なくとも1つの部品供給装置と、この部品供給装置から供給される部品を採取して前記基板上に実装する少なくとも1つの部品採取ヘッドおよびこの部品採取ヘッドを少なくとも前記基板の面と平行な2方向に移動する同部品採取ヘッドと同数のヘッド移送機構よりなる部品移載装置を備えてなる部品実装装置の作動を制御するプログラムにおいて、前記部品移載装置は前記2台の基板搬送装置により部品実装位置に搬送された2枚の基板に対して同時にまたは代わる代わる部品を実装し、何れか一方の前記基板が部品実装完了後の搬送中であるとき、またはその一方の基板を搬送する前記基板搬送装置が幅を変更中であるときには、前記部品採取ヘッドは他方の前記基板に対する部品の実装を集中して行うよう制御することである。
請求項20に係る発明の構成上の特徴は、それぞれが基板の搬送を行う2台の基板搬送装置と、前記基板に装着する複数種類の部品を供給する少なくとも1つの部品供給装置と、この部品供給装置から供給される部品を採取して前記基板上に実装する2つの部品採取ヘッドおよびこの各部品採取ヘッドを少なくとも前記基板の面と平行な2方向に移動する2つのヘッド移送機構よりなる部品移載装置を備えてなる部品実装装置の作動を制御するプログラムにおいて、前記部品移載装置は前記2台の基板搬送装置により部品実装位置に搬送された2枚の基板に対して同時にまたは代わる代わる部品を実装し、何れか一方の前記部品採取ヘッドが両基板の間となる中央部に接近した所定の干渉危険領域において何れか一方の前記基板に部品を実装している際に、他方の前記部品採取ヘッドは前記干渉危険領域を除く干渉安全領域において他方の前記基板に対する部品の実装を行うよう制御することである。
請求項21に係る発明の構成上の特徴は、2台の基板搬送装置と、前記基板に装着する複数種類の部品を供給する部品供給装置と、この部品供給装置から供給される部品を採取して前記基板上に実装する部品採取ヘッドおよびこの部品採取ヘッドを少なくとも前記基板の面と平行な2方向に移動するヘッド移送機構を有する部品移載装置と、前記2台の基板搬送装置のうち、一方は定生産品種の製品用基板のみを搬送する所定品種専用とし、他方は基板幅の異なる割込み品種の製品用基板を搬送する割込み品種用に設定する手段と、前記各基板搬送装置のレール幅を変更するレール幅変更手段とを備えてなる部品実装装置の作動を制御するプログラムにおいて、定生産品種以外の割込み品種の製品の生産指令に応じて、前記他方の基板搬送装置から定生産品種の製品用基板を排出し、前記他方の基板搬送装置で実行される実装プログラムを前記割込み品種に対応した実装プログラムに切替え、前記他方の基板搬送装置を前記割込み品種の製品用基板に対応したレール幅に変更し、前記他方の基板搬送装置に前記割込み品種の製品用基板を搬入して部品実装することである。
請求項22に係る発明の構成上の特徴は、2台の基板搬送装置と、前記基板に装着する複数種類の部品を供給する部品供給装置と、この部品供給装置から供給される部品を採取して前記基板上に実装する部品採取ヘッドおよびこの部品採取ヘッドを少なくとも前記基板の面と平行な2方向に移動するヘッド移送機構とを有する部品移載装置と、前記2台の基板搬送装置のうち、一方は定生産品種の製品用基板のみを搬送する定生産品種専用とし、他方は基板幅の異なる割込み品種の製品用基板を搬送する割込み品種用に設定する設定手段とを備えてなる部品実装装置の作動を制御するプログラムにおいて、定生産品種を一方の基板搬送装置で実装している第1定生産品種から第2定生産品種に切替える場合、切替える前に第2定生産品種を他方の基板搬送装置で実装して試生産し、切替え時に前記他方の基板搬送装置を定生産品種の製品用基板のみを搬送する定生産品種専用とし、一方の基板搬送装置を基板幅の異なる割込み品種の製品用基板を搬送する割込み品種用に変更するように前記設定手段の設定を変更することである。
請求項23に係る発明の構成上の特徴は、2台の基板搬送装置と、前記基板に装着する複数種類の部品を供給する部品供給装置と、この部品供給装置から供給される部品を採取して前記基板上に実装する部品採取ヘッドおよびこの部品採取ヘッドを少なくとも前記基板の面と平行な2方向に移動するヘッド移送機構を有する部品移載装置とを備えてなる部品実装装置の作動を制御するプログラムにおいて、前記2台の基板搬送装置で実装している製品の品種を第1品種から第2品種に変更する場合、前記一方の基板搬送装置で前記第1品種を実装している間に、前記他方の基板搬送装置で第2品種を試実装し、前記他方の基板搬送装置で前記第2品種を本実装開始した後、前記一方の基板搬送装置で第2品種を試実装するように制御することである。
請求項24に係る発明の構成上の特徴は、基板の両側をガイドする2本のガイドレールをそれぞれ有し基板を互いに平行な方向に搬送する2台の基板搬送装置と、前記2台の基板搬送装置が互いに隣接する側とは反対側に各々設けられる2台の部品供給装置と、前記各ガイドレールをその延在方向と直交する方向に位置調整するガイドレール位置調整手段と、前記部品供給装置から供給される部品を採取して前記基板上に実装する部品採取ヘッドおよびこの部品採取ヘッドを少なくとも前記基板の面と平行な2方向に移動するヘッド移送機構よりなる部品移載装置を備えた部品実装装置の作動を制御するプログラムであって、前記各2本のガイドレールのうち、前記部品供給装置に隣接する外側の各ガイドレールを前記部品供給装置に最も近接する位置に位置付けるとともに、中央側の各ガイドレールを搬送する基板の幅に応じて位置付けることである。
請求項25に係る発明の構成上の特徴は、それぞれが基板の搬送を行う2台の基板搬送装置と、前記基板に装着する複数種類の部品を供給する部品供給装置と、この部品供給装置から供給される部品を採取して前記基板上に実装する部品移載装置を備えてなる部品実装装置を使用した部品実装システムにおいて、2台の前記基板搬送装置により部品実装位置に搬送された2枚の前記基板に対して前記部品移載装置によりそれぞれ部品を実装する第1の生産モードと、一方の前記基板搬送装置が前記基板に対して前記部品移載装置による部品の実装を行う実装コンベアとして使用され、他方の前記基板搬送装置が前記部品移載装置による部品の実装を行わない基板をバイパスさせるバイパスコンベアとして使用される第2の生産モードの何れか一方が選択可能であることである。
請求項26に係る発明の構成上の特徴は、それぞれが基板の搬送を行う2台の基板搬送装置と、前記基板に装着する複数種類の部品を供給する部品供給装置と、この部品供給装置から供給される部品を採取して前記基板上に実装する部品移載装置を備えてなる部品実装装置を使用した部品実装システムにおいて、2台の前記基板搬送装置により部品実装位置に搬送された2枚の前記基板に対して前記部品移載装置によりそれぞれ部品を実装する第1の生産モードと、一方の前記基板搬送装置が前記基板に対して前記部品移載装置による部品の実装を行う実装コンベアとして使用され、他方の前記基板搬送装置が前記部品移載装置による部品の実装を再度行う必要がある基板を部品実装装置の搬入側に戻すリターンコンベアとして使用される第2の生産モードの何れか一方が選択可能であることである。
請求項27に係る発明の構成上の特徴は、請求項26に記載の部品実装システムにおいて、前記部品実装装置の搬入側には、前記他方の基板搬送装置により搬入側に戻された基板を前記一方の基板搬送装置に載せ換えるシフト装置を設け、前記部品実装装置の搬出側には、前記一方の基板搬送装置により搬出された前記基板を検査して部品の欠落はあるが再実装が可能な基板を前記他方の基板搬送装置に載せ換える検査工程付きシフト装置を設けたことである。
上記のように構成した請求項1に係る発明においては、部品移載装置により2台の基板搬送装置により搬入された2枚の基板に対して同時にまたは代わる代わる部品を実装するので、各基板に対する部品の実装を効率的に行うことができ、また2台の基板搬送装置による各基板の搬送のタイミングをずらすことにより、何れか一方の基板の搬送中は他方の基板に対する部品の実装を行うようにして、基板の搬送による部品実装の中断を避けることができるので、単位時間当たりの部品の移載個数は同じであっても基板の生産性を向上させることができる。
上記のように構成した請求項2に係る発明においては、2台の基板搬送装置は直線搬送方式のコンベアとして互いに平行に配置し、部品供給装置は各基板搬送装置の各外側に配置した部品実装装置によれば、2台の基板搬送装置により搬入された各基板と各部品供給装置の間の平均距離を減少させることができるので、部品移載装置による部品供給装置から各基板への部品実装時間を減少させて基板の生産性を一層向させることができる。
上記のように構成した請求項3に係る発明においては、部品実装装置は各基板搬送装置の搬送方向と直交する方向における幅を変更可能としたので、1台の部品実装装置で幅が異なる複数種類の基板に対する部品の実装を行うことができる。
上記のように構成した請求項4に係る発明においては、部品採取ヘッドを1つとしたので、部品実装装置は構造が簡単となり、部品装着数が少ない基板の生産に適した部品実装装置が得られる。
上記のように構成した請求項5または6に係る発明においては、1つの部品採取ヘッドを部品を2つの基板Sに対して交互に実装するようにし、または2つの基板Sに対して異なる実装頻度で代わる代わる実装するようにしたので、各基板に対する部品の実装を効率的に行うことができる。
上記のように構成した請求項7に係る発明においては、何れか一方の基板が部品実装完了後の搬送中であるときまたはその一方の基板を搬送する基板搬送装置が幅を変更中であるときに、部品採取ヘッドは他方の基板に対する部品の実装を集中して行うようにしたので、そのときにおける他方の基板に対する部品実装の効率を向上させることができる。
上記のように構成した請求項8に係る発明においては、部品採取ヘッドは2つとし、各部品採取ヘッドはそれぞれ異なるヘッド移送機構により独立して移動されるようにしたので、部品採取ヘッドの数が増えた分だけ単位時間当たりの部品の移載個数は増大するので、基板の生産性を一層向させることができる。
上記のように構成した請求項9に係る発明においては、何れか一方の部品採取ヘッドは何れか一方の基板に対する部品の実装を専ら行い、他方の部品採取ヘッドは他方の基板に対する部品の実装を専ら行うようにしたので、部品実装装置の作動を制御するプログラムを簡略化させることができる。
上記のように構成した請求項10に係る発明においては、何れか一方の基板が部品実装完了後の搬送中であるとき、またはその一方の基板を搬送する基板搬送装置が幅を変更中であるときに、一方の基板に対する部品の実装を専ら行う一方の部品採取ヘッドは他方の部品採取ヘッドによる他方の基板に対する部品の実装に加担して他方の基板に対する部品の実装を行うので、そのときにおける他方の基板に対する部品実装の効率を向上させることができる。
上記のように構成した請求項11に係る発明においては、2台の基板搬送装置における部品実装時の各基板の停止位置を互いに異ならせた部品実装装置によれば、各基板に対する部品実装の際に2つの部品採取ヘッドが互いに干渉するおそれがなくなるので、両基板に対する部品実装の効率を向上させ、また部品実装装置の作動を制御するプログラムを簡略化させることができる。
上記のように構成した請求項12に係る発明においては、何れか一方の部品採取ヘッドが両基板の間となる中央部に接近した所定の干渉危険領域において何れか一方の基板に部品を実装している際に、他方の部品採取ヘッドは干渉危険領域を除く干渉安全領域において他方の基板に部品を実装するので、各基板に対する部品実装の際に2つの部品採取ヘッドが互いに干渉するおそれがなくなり、両基板に対する部品実装の効率を向上させることができる。
上記のように構成した請求項13に係る発明においては、何れか一方の基板が部品実装完了後の搬送中であるとき、またはその一方の基板を搬送する基板搬送装置が幅を変更中であるときに、部品採取ヘッドは両基板の間となる中央部に接近した所定の干渉危険領域において他方の基板に部品を実装するようにしたので、両基板に同時に実装する場合には干渉危険領域となる領域に対する部品の実装を、2つの部品採取ヘッドが互いに干渉する虞なしに行うことができるので、各基板に対する部品実装の効率を向上させることができる。
上記のように構成した請求項14に係る発明においては、2台の基板搬送装置のうち、一方は定生産品種の製品用基板のみを搬送する定生産品種専用とし、他方は基板幅の異なる割込み品種の製品用基板を搬送する割込み品種用に設定するので、定生産品種の製品を生産中に割込み製品の生産指令が入った場合、2台の基板搬送装置を段取り替えすることなく、割込み品種用に設定された基板搬送装置のみを混乱なく割込み製品用に段取り替えできるので、段取り替えを短時間に低コストで行うことができる。
上記のように構成した請求項15に係る発明においては、定生産品種を第1定生産品種から第2定生産品種に切替える場合、一方の基板搬送装置で第1定生産品種を実装している間に、第2定生産品種を割込み品種用に設定された他方の基板搬送装置で実装して試生産し、問題がなければ他方の基板搬送装置を定生産品種専用に設定して第2定生産品種を本実装し、一方の基板搬送装置を割込み品種用に設定変更するので、請求項14に記載の効果に加え、生産を中断することなく、第2定生産品種の本実装開始前に問題を抽出し、本実装開始後の品質不良発生を防止して円滑に生産品種の切替えを行うことができる。
上記のように構成した請求項16に係る発明においては、2台の基板搬送装置で実装している製品の品種を第1品種から第2品種に切替える場合、一方の基板搬送装置で第1品種を実装している間に、他方の基板搬送装置で第2品種を試実装し、問題がなければ他方の基板搬送装置で第2品種を本実装開始した後、一方の基板搬送装置で第2品種を試実装して問題がなければ一方の基板搬送装置で第2品種を本実装開始するので、生産を中断することなく、第2品種の本実装開始前に問題を抽出し、本実装開始後の品質不良発生を防止して円滑に生産品種の切替えを行うことができる。
上記のように構成した請求項17に係る発明においては、2台の基板搬送装置の各々に設けられ基板の両側をガイドする2本のガイドレールは、部品供給装置に隣接する外側の各ガイドレールが固定され、中央側の各ガイドレールが該ガイドレールの延在方向と直交する方向に位置調整可能とされているので、2本のガイドレールの幅を狭くしたときに生じる各基板搬送装置の中央側の可動のガイドレール間の余剰スペースにより2つの基板が隔離され、部品採取ヘッドの干渉の可能性を小さくすることができる。
上記のように構成した請求項18に係る発明においては、互いに平行な方向に基板を搬送する2台の基板搬送装置は、各々2本のガイドレールにより基板の両側をガイドする。各ガイドレールは、ガイドレール位置調整手段により基板の幅に応じてその延在方向と直交する方向に位置調整される。ガイドレール位置調整手段は、各2本のガイドレールのうち、部品供給装置に隣接する外側のガイドレールを部品供給装置に最も近接する位置に位置付けるとともに、中央側のガイドレールを基板の幅に応じて位置付けする。これにより、基板搬送装置の2本のガイドレールの幅を狭くしたときに生じる中央側のガイドレール間の余剰スペースにより各基板搬送装置に搬送される2つの基板が隔離され、部品採取ヘッドの干渉の可能性を小さくすることができる。
上記のように構成した請求項19に係る発明においては、それぞれが基板の搬送を行う2台の基板搬送装置と、基板に装着する複数種類の部品を供給する少なくとも1つの部品供給装置と、この部品供給装置から供給される部品を採取して基板上に実装する少なくとも1つの部品採取ヘッドおよびこの部品採取ヘッドを少なくとも基板の面と平行な2方向に移動する同部品採取ヘッドと同数のヘッド移送機構よりなる部品移載装置を備えてなる部品実装装置の作動を制御するプログラムは、部品移載装置が2台の基板搬送装置により部品実装位置に搬送された2枚の基板に対して同時にまたは代わる代わる部品を実装し、何れか一方の基板が部品実装完了後の搬送中であるとき、またはその一方の基板を搬送する前記基板搬送装置が幅を変更中であるときには、部品採取ヘッドが他方の基板に対する部品の実装を集中して行うよう制御するので、そのときにおける他方の基板に対する部品実装の効率を向上させることができる。
上記のように構成した請求項20に係る発明においては、それぞれが基板の搬送を行う2台の基板搬送装置と、基板に装着する複数種類の部品を供給する少なくとも1つの部品供給装置と、この部品供給装置から供給される部品を採取して基板上に実装する2つの部品採取ヘッドおよびこの各部品採取ヘッドを少なくとも基板の面と平行な2方向に移動する2つのヘッド移送機構よりなる部品移載装置を備えてなる部品実装装置の作動を制御するプログラムは、部品移載装置が2台の基板搬送装置により部品実装位置に搬送された2枚の基板に対して同時にまたは代わる代わる部品を実装し、何れか一方の部品採取ヘッドが両基板の間となる中央部に接近した所定の干渉危険領域において何れか一方の基板に部品を実装している際に、他方の部品採取ヘッドは干渉危険領域を除く干渉安全領域において他方の基板に対する部品の実装を行うよう制御するので、各基板に対する部品実装の際に2つの部品採取ヘッドが互いに干渉するおそれがなく、両基板に対する部品実装の効率を向上させることができる。
上記のように構成した請求項21に係る発明においては、2台の基板搬送装置のうち、一方は定生産品種の製品用基板のみを搬送する定生産品種専用とし、他方は基板幅の異なる割込み品種の製品用基板を搬送する割込み品種用に設定した部品実装装置の作動を制御するプログラムは、定生産品種以外の割込み品種の製品の生産指令に応じて、他方の基板搬送装置に定生産品種の製品用基板の搬入を停止して全て搬出し、他方の基板搬送装置で実行される実装プログラムを割込み品種に対応した実装プログラムに切替え、他方の基板搬送装置を割込み品種の製品用基板に対応したレール幅に変更し、他方の基板搬送装置に割込み品種の製品用基板を搬入して部品を実装する。これにより、定生産品種の製品を生産中に割込み製品の生産指令が入った場合、2台の基板搬送装置を段取り替えすることなく、割込み品種用に設定された基板搬送装置のみを混乱なく割込み製品用に段取り替えできるので、段取り替えを短時間に低コストで行うことができる。
上記のように構成した請求項22に係る発明においては、部品実装装置の作動を制御するプログラムは、定生産品種を第1定生産品種から第2定生産品種に切替える場合、一方の基板搬送装置で第1定生産品種を実装している間に、第2定生産品種を割込み品種用に設定された他方の基板搬送装置で実装して試生産し、問題がなければ他方の基板搬送装置を定生産品種専用に設定し、一方の基板搬送装置を割込み品種用に設定変更する。これにより、第1定生産品種の製品を生産中に第2定生産品種に切替える指令が入った場合、2台の基板搬送装置を段取り替えすることなく、割込み品種用に設定された基板搬送装置のみを混乱なく第2定生産品種用に段取り替えできる。そして、生産を中断することなく、第2定生産品種を他方の基板搬送装置で試実装して問題を抽出し、本実装開始後の品質不良発生を防止して円滑に生産品種の切替えを行うことができる。
上記のように構成した請求項23に係る発明においては、部品実装装置の作動を制御するプログラムは、2台の基板搬送装置で実装している製品の品種を第1品種から第2品種に変更する場合、一方の基板搬送装置で第1品種を実装している間に、他方の基板搬送装置で第2品種を試実装し、問題がなければ他方の基板搬送装置で第2品種を本実装開始した後、一方の基板搬送装置で第2品種を試実装し、問題がなければ本実装するように制御するので、生産を中断することなく、第2品種の試実装で問題を抽出し、本実装開始後の品質不良発生を防止して円滑に生産品種の切替えを行うように制御することができる。
上記のように構成した請求項24に係る発明においては、互いに平行な方向に基板を搬送する2台の基板搬送装置が、各々2本のガイドレールにより基板の両側をガイドし、各ガイドレールが基板の幅に応じてその延在方向と直交する方向に位置調整される部品実装装置の作動を制御するプログラムは、各2本のガイドレールのうち、部品供給装置に隣接する外側の各ガイドレールを各部品供給装置に最も近接する位置に位置付けるとともに、中央側の各ガイドレールを搬入する基板の幅に応じて位置付ける。これにより、基板搬送装置の2本のガイドレールの幅を狭くしたときに生じる中央側の各ガイドレール間の余剰スペースにより各基板搬送装置に搬送される2つの基板が隔離され、部品採取ヘッドの干渉の可能性を小さくすることができる。
上記のように構成した請求項25に係る発明おいては、それぞれが基板の搬送を行う2台の基板搬送装置と、基板に装着する複数種類の部品を供給する部品供給装置と、この部品供給装置から供給される部品を採取して基板上に実装する部品移載装置を備えてなる部品実装装置を使用した部品実装システムは、第1および第2生産モードのいずれか一方が選択可能である。第1の生産モードでは、2台の基板搬送装置により部品実装位置に搬送された2枚の基板に対して部品移載装置によりそれぞれ部品を実装する。第2の生産モードでは、一方の基板搬送装置は搬入された基板を部品移載装置による部品実装が行なわれる実装位置に搬送する実装コンベアとして使用され、他方の基板搬送装置は部品移載装置による部品実装が行われない基板をバイパスさせるバイパスコンベアとして使用される。
これにより、複数の部品実装装置を直列に接続した生産ラインにおいて、一部の部品実装装置に障害が生じた場合でも、基板を他方の基板搬送装置によりバイパスさせて、下流の部品実装装置による部品の実装を行うことが可能となり、生産ライン全体が停止することはなくなる。また部品装着点数の少ない一部の基板は、部品実装を行わない部品実装装置をバイパスさせて基板の生産性を向上させることも可能になる。
上記のように構成した請求項26に係る発明においては、それぞれが基板の搬送を行う2台の基板搬送装置と、基板に装着する複数種類の部品を供給する部品供給装置と、この部品供給装置から供給される部品を採取して基板上に実装する部品移載装置を備えてなる部品実装装置を使用した部品実装システムは、第1および第2の生産モードのいずれか一方が選択可能である。第1の生産モードでは、2台の基板搬送装置により部品実装位置に搬送された2枚の基板に対して部品移載装置によりそれぞれ部品を実装する。第2の生産モードでは、一方の基板搬送装置は、搬入された基板を部品移載装置による部品実装が行われる実装位置に搬送する実装コンベアとして使用され、他方の基板搬送装置は、部品移載装置による部品の実装を再度行う必要がある基板を部品実装装置の搬入側に戻すリターンコンベアとして使用される。これにより、一方の基板搬送装置から搬出される基板に手直し可能な部品の欠落が生じた場合には、搬出された基板の部品の欠落を検出し、他方の基板搬送装置により部品実装装置の搬入側に戻して欠落した部品を再実装することができる。従って、生産ラインによる部品の実装が完了した後に、改めて部品の再実装を行うことが不要となるので、部品の欠落に対する生産管理を簡略化することかできる。
上記のように構成した請求項27に係る発明においては、一方の基板搬送装置により部品実装装置から搬出された基板は、検査工程付きシフト装置により検査され、部品の欠落はあるが再実装が可能な場合、他方の基板搬送装置に載せ換えて搬入側に戻され、シフト装置により一方の基板搬送装置に載せ換えられるので、欠落した部品の再実装を自動的に行うことが可能になる。
以下に、添付図面に示す実施の形態により本発明による部品実装装置、その作動を制御するプログラムおよび部品実装システムの説明をする。先ず図1〜図3により、本発明による部品実装装置の説明をする。この部品実装装置は、第1および第2基板搬送装置10a,10bと、各基板搬送装置10a,10bに付随したコンベア幅変更装置30と、部品移載装置40と、第1および第2部品供給装置45a,45bにより構成されている。
第1および第2基板搬送装置10a,10bは実質的に同一構造であるので、主として第1基板搬送装置10aにつき説明する。図2および図3に示すように、1対の外側支持脚12は基台11上に立設固定され、また各外側支持脚12と対向する1対の内側支持脚12aは外側支持脚12との間の距離が可変となるように、基台11上に外側支持脚12と直交する案内レール15を介して案内支持されたスライダ15a上に立設固定されている。各支持脚12,12aの上部には支持板13の両端部が固定され、各支持脚12,12aから上方に突出する各支持板13の上縁にはサイドレール14が固定され、各サイドレール14の上縁には支持レール20よりも内側に突出するフランジ部14aが形成されている。第2基板搬送装置10bは、内側支持脚12aが互いに隣接するように、第1基板搬送装置10aと平行に、かつ対称的に基台11上に設けられている。また基台11には、第2基板搬送装置10bの外側支持脚12より外側に、支持板39が立設固定されている。
支持板13と直交するよう配置された搬送用回転軸16の両端部は、各基板搬送装置10a,10bの一方の外側支持脚12に回転自在に支持され、中間の大部分を占めるスプライン軸部16aは対応する内側支持脚12aを回転および軸線方向摺動自在に貫通している。外側支持脚12と接する搬送用回転軸16の両端部には外側駆動用プーリ17が固定されている。また各内側支持脚12aのスプライン軸部16aが貫通する部分に形成されたボス部には内側駆動用プーリ17aが回転自在かつ軸線方向移動が拘束されるように支持され、この各内側駆動用プーリ17aはスプライン軸部16aに摺動自在にスプライン係合されて、搬送用回転軸16の回転が伝達されるようになっている。
主として図3に示すように、内側支持脚12aに固定された支持板13には、サイドレール14よりやや下側となる両端部とそれより内側下方にそれぞれ1対のプーリ18,19が回転自在に設けられ、また各プーリ18,19の中間部下側にもそれぞれプーリ19a,19bが回転自在に設けられている。内側駆動用プーリ17aとこれらの各プーリ18,19,19a,19bの間には凸形断面形状のコンベアベルト21が張り巡らされ、プーリ17a,18,19aにはコンベアベルト21の離脱を防止するためにコンベアベルト21の断面の凸部と係合する円周方向溝が設けられている。1対のプーリ18の間に張設される各コンベアベルト21の一部は、各サイドレール14のフランジ部14aとの間に一定の距離が保たれており、両プーリ18の間にはコンベアベルト21の凸部と係合する長手方向溝が形成されてコンベアベルト21のこの部分を支持する支持レール20が支持板13に固定されている。外側支持脚12に固定された支持板13にも同様のプーリ18,19,19a,19bが設けられ、外側駆動用プーリ17とこれらの各プーリ18,19,19a,19bの間にもコンベアベルト21が張り巡らされ、またコンベアベルト21を支持する支持レール20が設けられている。
搬送用回転軸16の一端は第2基板搬送装置10bの外側支持脚12を通って支持板39から突出されて、その先端にはプーリ16bが固定されている。基台11にはコンベア駆動用モータ22が支持され(支持構造は図示省略)、コンベア駆動用モータ22の出力軸に固定されたプーリ22aとプーリ16bの間に駆動用ベルト23を設け、搬送用回転軸16を介して各駆動用プーリ17,17aを回転することによりコンベアベルト21は移動される。以上に述べた基板搬送装置10a,10bにより、2つの基板Sa,Sbを部品実装装置に搬入しまた搬出する直線搬送方式の2つのコンベアが形成される。
各基板搬送装置10a,10b上部の内側および外側の各支持レール20間には、昇降装置(図示省略)により昇降されるバックアッププレート24aと、このバックアッププレート24aの上に立設固定された多数のバックアップピン24bよりなるバックアップ装置24が設けられている。図示のバックアップ装置24は搬送方向と直交する方向の幅が可変ではなく、従って後述するコンベア幅変更装置30により基板搬送装置10a,10bの搬送方向と直交する方向の幅が変更される都度、バックアッププレートは交換されることになる。しかしバックアップ装置24はこれに限らず、コンベア幅変更装置30の作動と連動して自動的に幅が変更されるものとして、基板搬送装置10a,10bの幅を変更する毎のバックアップ装置24の交換を不要とすることもできる。なお図2では作図を簡略化するために、バックアップ装置24は第2基板搬送装置10bにのみ表示したが、バックアップ装置24は第1基板搬送装置10aにも設けられている。
基板Sa,Sbは、第1および第2基板搬送装置10a,10bの各コンベアベルト21により両側縁が支持されて部品実装装置に搬入および搬出され、所定位置に搬送された状態でバックアップ装置24を上昇させれば、各基板Sa,Sbは持ち上げられ各サイドレール14のフランジ部14aに当接されて部品実装位置に位置される。
なおこの実施の形態では、搬送用回転軸16は第1および第2基板搬送装置10a,10bに共通なものとして、両基板搬送装置10a,10bのコンベアベルト21を同時に駆動するようにしている。しかしながらコンベアベルト21の駆動装置はこのようなものに限らず、第1および第2基板搬送装置10a,10bにそれぞれ搬送用回転軸16を設けて異なるコンベア駆動用モータ22により回転されるようにしてもよく、そのようにすれば両基板搬送装置10a,10bのコンベアベルト21を互いに独立して駆動することができる。その場合には、各搬送用回転軸16は、図3において互いに反対側となる各支持脚12,12aに設ければよい。
次にコンベア幅変更装置30を、図2および図3により説明をする。搬送用回転軸16と平行に配置された1対の第1ねじ軸31は第1基板搬送装置10aの両支持脚12,12aおよびこれに支持される支持板13の間の距離を変更するものである。各第1ねじ軸31は、両端部が各基板搬送装置10a,10bの両方の外側支持脚12に回転自在に支持され、中間部は第2基板搬送装置10bの内側支持脚12aを回転および摺動自在に貫通し、主として第1基板搬送装置10a側に形成されたねじ部が第1基板搬送装置10aの内側支持脚12aに形成したボス部に螺合されている。各第1ねじ軸31の一端はそれぞれ第2基板搬送装置10bの外側支持脚12を通って支持板39から突出されて各先端にはプーリ31aが固定され、両プーリ31aの片側半分同士を連動用ベルト32を介して回転連結する。基台11には第1駆動モータ33が支持され(支持構造は図示省略)、第1駆動モータ33の出力軸に固定されたプーリ33aと一方のプーリ31aの残る半分の間に駆動用ベルト34を設け、これにより両第1ねじ軸31は第1駆動モータ33により連動して回転され、第1基板搬送装置10aの搬送方向と直交する方向の幅(両支持脚12,12aに支持された支持板13およびサイドレール14の間の距離)が変更される。
搬送用回転軸16と平行に配置された1対の第2ねじ軸35は第2基板搬送装置10bの両支持脚12,12aおよびこれに支持された支持板13の間の距離を変更するものである。各第2ねじ軸35は、両端部が両基板搬送装置10a,10bの外側支持脚12に回転自在に支持され、中間部は第1基板搬送装置10aの内側支持脚12aを回転および摺動自在に貫通し、主として第2基板搬送装置10b側に形成されたねじ部が第2基板搬送装置10bの内側支持脚12aに形成されたボス部に螺合されている。その他の関連部分の構造は第1ねじ軸31と実質的に同じであるので、対応する部材に第1ねじ軸31部より4大きい参照番号を付して詳細な説明は省略する。第2駆動モータ37が回転されれば、両第2ねじ軸35は互いに連動して回転され、第2基板搬送装置10bの搬送方向と直交する方向の幅は、第1基板搬送装置10aの幅とは独立して変更される。
なおこの実施の形態では、各基板搬送装置10a,10bの各外側支持脚12を基台11に固定し、各内側支持脚12aを独立して移動させるようにして、各基板搬送装置10a,10bの幅を独立して変更可能としている。しかしながらこれに限らず、各内側支持脚を基台11に固定し、各外側支持脚を2本のねじ軸により独立して移動させるようにしてもよいし、両基板搬送装置10a,10bの一方の外側支持脚と他方の内側支持脚を基台11に固定し、残る内側支持脚と外側支持脚を2本のねじ軸により独立して移動させるようにしてもよい。あるいはまた、両基板搬送装置10a,10bの一方の外側支持脚だけを基台11に固定し、2つの内側支持脚はねじ軸により一体的に移動し、他方の外側支持脚は2つの内側支持脚とは独立して別のねじ軸により移動させるようにしてもよい。
次に部品移載装置40は、図1に示すように、両基板搬送装置10a,10bの両端部の上側に互いに平行に配置されて基台11に支持された1対の固定レール41と、この固定レール41と直交して配置されて両端が固定レール41に沿って移動可能に支持された2つのヘッド移動レール42a,42bと、この各ヘッド移動レール42a,42bに沿ってそれぞれ移動可能に支持された2個の部品採取ヘッド43a,43bよりなるもので、固定レール41とヘッド移動レール42a,42bが、部品採取ヘッド43a,43bを基板Sa,Sbの面と平行な2方向に移動するヘッド移送機構を構成している。各部品採取ヘッド43a,43bは部品を吸着する昇降可能な吸着ノズル(図示省略)を備えている。ヘッド移動レール42a,42b、部品採取ヘッド43a,43bおよび吸着ノズルの移動は、それぞれサーボモータにより制御され、次に述べる部品供給装置45a,45bから供給される部品を吸着ノズルにより吸着して、前述のように基板搬送装置10a,10bの部品実装位置に保持された各基板Sa,Sb上に移載して実装するものである。
部品供給装置45a,45bは、図1に示すように、フィーダテーブルの上に並んで設置された複数のフィーダよりなるものであり、各フィーダは例えばテープ型のものである。このテープ型フィーダは部品を所定ピッチで封入した細長いテープを供給リールに巻き付けて保持し、部品採取ヘッド43の吸着ノズルにより吸着(採取)される部品を1個ずつ基板搬送装置10a,10b側となるテープ型フィーダの先端部に送り込むものである。テープは部品を保持するテープ本体とこれを覆うカバーテープよりなり、フィーダの先端部ではカバーテープが引き剥がされて部品が吸着可能となり、部品が吸着されたテープ本体は下側に折り曲げられて巻き取られるようになっている。この実施の形態では部品供給装置45a,45bは第1および第2基板搬送装置10a,10bの両外側に1つずつ設けてあるが、両基板搬送装置10a,10bの何れか一方の外側に1つだけ設けるようにしてもよい。
この部品実装装置の作動は、図4に示すように、制御装置60により制御され、制御装置60にはさらに通信部61、入力部64、表示部65、記憶部63および装着計画作成部62が接続されている。通信部61は、この部品実装装置を含む生産ラインを管理するホストコンピュータとの間の通信を行うもので、例えば生産される品種毎の実装データ(実装される部品種とその実装座標のデータ)と、生産計画データ(品種毎の生産順番と生産枚数を示すデータ)とがホストコンピュータから部品実装装置に送信される。
装着計画作成部62は、ホストコンピュータから送信された各品種毎の実装データおよび生産計画データに基づいて、部品実装装置で実際に実行される実装プログラムを作成するものである。すなわち、生産予定の基板の品種毎の数量に応じた最適な部品供給装置45a,45b内のフィーダの配置や、2品種を同時に生産するときのそれぞれの実装速度比率を考慮した実装シーケンスを決定し、2台の基板搬送装置10a,10bがともに基板Sa,Sbの搬送中であるといった生産効率を下げる状況を回避した実装プログラムを作成する。なお、装着計画作成部62が行う実装プログラム作成処理はホストコンピュータで実行し、できあがった実装プログラムを部品実装装置に送信するようにしてもよい。
記憶部63は、部品実装装置に関する各種プログラム、データ、ログなどが記憶されている。この実施の形態では、ホストコンピュータから送信された品種毎の実装データおよび生産計画データと、それらに基づいて装着計画作成部62によって作成された実装プログラムが記憶される。入力部64は必要なデータや指令などを入力するキーボード、押しボタンなどである。表示部65は、必要な情報を表示するための液晶またはCRTなどによる表示装置である。
次に上述した部品実装装置の作動の説明をする。
(第1の実施の形態)
先ず図5〜図7により、2台の基板搬送装置10a,10b、2つの部品供給装置45a,45bおよび1つの部品採取ヘッド43を有する部品移載装置40を備えた第1の実施の形態の作動の説明をする。この第1の実施の形態の部品実装装置は、前述のように、2台の基板搬送装置10a,10bがともに基板Sa,Sbの搬送中であるという状況を回避する実装プログラムにより作動されている。
図24に示すフローチャートにより、第1の実施の形態の作動の説明をする。両基板搬送装置10a,10bの何れもが、それぞれの支持する基板Sa,Sbを搬送中でなく、またそれぞれの幅を変更中でもない場合は、制御装置60は制御動作をステップ100からステップ101〜103を通ってステップ104に進める。このステップ104では、部品移載装置40の部品採取ヘッド43は部品供給装置45a,45bから指定された部品を吸着して、両基板搬送装置10a,10b上の部品実装位置に保持された基板Sa,Sb上の所定座標位置に部品を実装する。
部品移載装置40の部品採取ヘッド43による部品の実装は、例えば図5に示すように、第2部品供給装置45bから吸着した部品を第2基板搬送装置10bに保持された基板Sbに実装し、次に第1部品供給装置45aから吸着した部品を第1基板搬送装置10aに保持された基板Saに実装し、再び第2部品供給装置45bから吸着した部品を基板Sbに実装し、次に第1部品供給装置45aから吸着した部品を基板Saに実装するというように、部品を各基板Sa,Sbに交互に実装してもよい。あるいはまた、部品採取ヘッド43による部品の実装は、図7に示すように、第2部品供給装置45bから吸着した部品を基板Sbに実装する作動を1回行い、次に第1部品供給装置45aから吸着した部品を基板Saに実装する作動を2度繰り返し、再び第2部品供給装置45bから吸着した部品を基板Sbに実装する作動を1回行い、次に第1部品供給装置45aから吸着した部品を基板Saに実装する作動を2度繰り返すというように、各基板Sa,Sbに対する部品の実装頻度を異ならせてもよい。この2番目の例の部品実装頻度の比率は基板Sbへの実装が1に対し基板Saへの実装が2の割合であるが、連続して同一基板に部品を実装する繰り返し回数をその都度異ならせることにより、この比率は任意の値とすることができる。
また、上述した2つの例では部品は実装される基板Sa,Sbに近い方の部品供給装置45a,45bから吸着しているが、場合によっては離れた方の部品供給装置から吸着するようにしてもよい。あるいは部品実装装置に設ける部品供給装置は1つとして、その部品供給装置だけから部品を吸着して両基板Sa,Sbに実装するようにしてもよい。
図24に示すフローチャートによる作動の説明に戻り、図6に示すように、第2基板搬送装置10bが基板Sbを搬送中であるか、または第2基板搬送装置10bがその幅を変更中である場合は、制御装置60は制御動作をステップ100からステップ101を通ってステップ102またはステップ103に進め、さらにステップ106に進める。第2基板搬送装置10bが基板Sbを搬送中、または第2基板搬送装置10bがその幅を変更中である場合には、基板Sbに部品を実装することはできないので、このステップ106では、図6に示すように、部品移載装置40の部品採取ヘッド43は第1部品供給装置45aから指定された部品を順次吸着して、第1基板搬送装置10aの部品実装位置に保持された基板Saにのみ部品を順次実装する。このように部品採取ヘッド43は基板Sbに対する部品の実装を行わず、その代わり第1基板搬送装置10aに保持された基板Sa上に対する部品の実装を集中して行うので、その間における基板Saに対する部品の実装時間は短縮され、実装効率が向上される。
同様に、第1基板搬送装置10aが基板Saを搬送中であるか、または第1基板搬送装置10aがその幅を変更中である場合は、制御装置60は制御動作をステップ100またはステップ101からステップ105に進める。この場合も、部品採取ヘッド43は第2部品供給装置45bから指定された部品を順次吸着して、第2基板搬送装置10bの部品実装位置に保持された基板Sbにのみ部品を順次実装する。このように部品採取ヘッド43は基板Saに対する部品の実装は行わず、その代わり第2基板搬送装置10bに保持された基板Sb上に対する部品の実装を集中して行うので、その間における基板Sbに対する部品の実装時間は短縮され、実装効率が向上される。
上述した第1の実施の形態は、1つの部品採取ヘッドを備えた部品移載装置40の場合につき説明したが、この第1の実施の形態は2つの部品採取ヘッド43a,43bを有する部品移載装置40を備えた部品実装装置にも適用可能である。その場合には2台の基板搬送装置10a,10bが何れも基板搬送中でなく、幅変更中でもないときは、各部品採取ヘッド43a,43bは対応する基板搬送装置10a,10bに保持された各基板Sa,Sb同時に並行して部品の実装を行う。また何れか一方の基板搬送装置10a(または10b)が基板を搬送中であるか、または幅を変更中であるときは、それに対応する方の部品採取ヘッド43a(または43b)は、他方の基板搬送装置10b(または10a)に対応する部品採取ヘッド43b(または43a)に加担して、他方の基板搬送装置10b(または10a)に保持された基板Sb(またはSa)に対する部品の実装を、行う。この場合にも基板Sb(またはSa)に対する部品の実装時間は短縮され、実装効率が向上される。なおその場合は、例えば次に述べるような、2つの部品採取ヘッド同士の物理的な干渉を避けるための考慮が必要である。
図1および図8に示すように、2台の基板搬送装置10a,10b、2つの部品供給装置45a,45bおよび2つの部品採取ヘッド43を有する部品移載装置40を備えた部品実装装置の場合には、実装される部品の移動距離を減少させ、制御プログラムを簡略化させるために、第1部品採取ヘッド43aは専ら基板Saに対する部品の実装を行い、第2部品採取ヘッド43bは専ら基板Sbに対する部品の実装を行うようにすることが好ましい。またこの場合において両部品採取ヘッド43a,43bが両基板Sa,Sbの間となる中央部に接近した所定の干渉危険領域Si内にあるときは、両部品採取ヘッド43a,43bの物理的干渉の回避は困難になる。なおここでいう中央部とは部品実装のために部品実装位置に停止された両基板Sa,Sbの点対称の中心点、および両基板Sa,Sbの縁部一部または全部が互いに平行に並んでいる場合はその縁部の並んだ範囲の中心線であり、所定の干渉危険領域Siとは前述した中央部から各部品採取ヘッド43a,43bの平面形状により与えられる距離だけ離れた各基板Sa,Sb上の範囲である。また各基板Sa,Sb上の干渉危険領域Siを除く範囲は干渉安全領域である。次にこの干渉を回避するための実施の形態をいくつか説明する。
(第2の実施の形態)
図9に示す第2の実施の形態では、2台の基板搬送装置10a,10bにおける部品実装時の各基板Sa,Sbの搬送方向における停止位置を互いに異ならせている。この停止位置が適切な距離以上離れていれば部品実装時に両基板Sa,Sbの間となる中央部に接近した所定の干渉危険領域Siがなくなるので、各基板Sa,Sbに対する部品実装の際に2つの部品採取ヘッド43a,43bが互いに干渉するおそれがなくなる。従って基板Sa,Sbに対する部品実装の効率が向上し、また部品実装装置の作動を制御するプログラムも簡略化される。
(第3の実施の形態)
上述した第2の実施の形態では、各基板Sa,Sbの停止位置の物理的配置を工夫することにより前述した2つの部品採取ヘッド43a,43bの干渉を回避しているが、図10にタイムチャートを、また図25にフローチャートを示す第3の実施の形態では、部品実装装置の制御プログラムを工夫することにより、両基板Sa,Sbの位置をずらせる必要なしに、この干渉を回避したものである。前述と同様、第1部品採取ヘッド43aは専ら基板Saに対する部品の実装を行い、第2部品採取ヘッド43bは専ら基板Sbに対する部品の実装を行うものとして、この第3の実施の形態の説明をする。
先ず第1および第2部品採取ヘッド43a,43bの何れもが、対応する基板Sa,Sbの干渉危険領域Siに部品を実装しない場合は、制御装置60は、図25のフローチャートにおいて、制御動作をステップ110からステップ111を通ってステップ112に進める。このステップ112では、各部品採取ヘッド43a,43bは対応する各基板搬送装置10a,10bの各基板Sa,Sbの干渉安全領域に部品を実装する。第1部品採取ヘッド43aが第1基板搬送装置10a上の基板Saの干渉危険領域Siに部品実装を行う場合は、制御装置60は制御動作をステップ110からステップ113に進めて、第2部品採取ヘッド43bは第2基板搬送装置10b上の基板Sbの干渉安全領域に部品を実装する。また、第2部品採取ヘッド43bが第2基板搬送装置10b上の基板Sbの干渉危険領域Siに部品実装を行う場合は、制御装置60は制御動作をステップ111からステップ114に進めて、第1部品採取ヘッド43aは第1基板搬送装置10a上の基板Saの干渉安全領域に部品を実装する。これにより、両基板Sa,Sbの各干渉危険領域Siに各部品採取ヘッド43a,43bが同時に部品を実装することはなくなるので、各基板Sa,Sbに対する部品実装の際に2つの部品採取ヘッド43a,43bが互いに干渉するおそれがなくなる。
(第4の実施の形態)
図11、図12および図26に示す第4の実施の形態も、部品実装装置の制御プログラムを工夫することにより、両基板Sa,Sbの位置をずらせることなしに、2つの部品採取ヘッド43a,43bの干渉を回避したものである。次にこの第4の実施の形態の作動を、主として図26に示すフローチャートにより説明する。
先ず、両基板搬送装置10a,10bの何れもが、それぞれの支持する基板Sa,Sbを搬送中でなく、またそれぞれの幅を変更中でもない場合は、制御装置60は制御動作をステップ120からステップ121〜123を通ってステップ124に進める。このステップ124では、部品移載装置40の各部品採取ヘッド43a,43bは部品供給装置45a,45bから部品を吸着して、両基板搬送装置10a,10bに保持された各基板Sa,Sbの干渉安全領域内の所定座標位置に部品を実装する。
図12に示すように第2基板搬送装置10bが基板Sbを搬送中である場合、または第2基板搬送装置10bがその幅を変更中である場合は、制御装置60は制御動作をステップ120からステップ121を通ってステップ122またはステップ123に進め、さらにステップ126に進める。このステップ126では、第1部品採取ヘッド43aは第1部品供給装置45aから指定された部品を順次吸着して、第1基板搬送装置10aの部品実装位置に保持された基板Saの干渉危険領域Si内の所定位置に部品を順次実装する。第2基板搬送装置10bが基板Sbを搬送中、または第2基板搬送装置10bがその幅を変更中である場合には、基板Sbに対する部品の実装は行われないので、第2部品採取ヘッド43bは第1部品採取ヘッド43aと干渉するおそれがない位置に退避させてもよく(図12参照)、そのようにすれば基板Saの干渉危険領域Siに部品を実装する第1部品採取ヘッド43aと干渉を生じることはない。あるいはまた第1部品採取ヘッド43aに加担して、基板Saの干渉危険領域Si内に部品を実装するようにしてもよく、そのようにすれば基板Saの生産効率を高めることができる。なおその場合は、2つの部品採取ヘッド43a,43bの干渉を回避するための制御が必要である。
同様に、第1基板搬送装置10aが基板Saを搬送中であるか、または第1基板搬送装置10aがその幅を変更中である場合は、制御装置60は制御動作をステップ120またはステップ121からステップ125に進めて、第2部品採取ヘッド43bは第1基板搬送装置10aに保持された基板Sbの干渉危険領域Si内の所定位置に部品を実装する。この場合も、基板Saへの部品の実装を行わない第1部品採取ヘッド43aは、退避させれば基板Sbの干渉危険領域Siに部品を実装する第2部品採取ヘッド43bと干渉を生じることはなくなり、あるいはまた第2部品採取ヘッド43bに加担して基板Sbの干渉危険領域Si内に部品を実装するようにすれば基板Sbの生産効率を高めることができる。
なお、第2〜第4の実施の形態における部品採取ヘッド43a,43bによる基板Sa,Sbに対する部品の実装は、第1の実施の形態において図5〜図7により説明したのと同様にして行われる。また第2〜第4の実施の形態では、第1部品供給装置45aから吸着した部品を基板Saに実装し、第2部品供給装置45bから吸着した部品を基板Sbに実装しているが、場合によっては第1部品供給装置45aから吸着した部品を基板Sbに実装し、第2部品供給装置45bから吸着した部品を基板Saに実装するようにしてもよい。あるいは部品実装装置に設ける部品供給装置は1つとして、その部品供給装置だけから部品を吸着して基板Sa,Sbに実装するようにしてもよい。
(第5の実施の形態)
次に図13〜図17に示す第5の実施の形態の説明をする。この実施の形態は、2台の基板搬送装置10a,10b、2つの部品供給装置45a,45bおよび2つの部品採取ヘッド43a,43bを有する部品移載装置40を備えた部品実装装置を用いて、次の表1に示す3種類の基板に部品を実装する場合の手順の一例を示すものである。
生産の順序としては、先ず第1基板搬送装置10aにより基板Aを搬送するとともに第2基板搬送装置10bにより基板Bを搬送することにより2つの基板A,Bの生産を開始し、基板Bの生産の終了後には第2基板搬送装置10bにより基板Cを搬送するとともに第1基板搬送装置10aでは引き続き基板Aを搬送して2つの基板A,Cを生産行うものとする。
この場合、生産開始に先立ち、図13に示すように、各コンベア幅変更装置30により第1基板搬送装置10aの幅を10cmに、第2基板搬送装置10bの幅を15cmにセットするとともに、基板A生産用のフィーダを第1部品供給装置45aのフィーダテーブル上にセットし、基板B生産用のフィーダを第2部品供給装置45bのフィーダテーブル上にセットし、基板C生産用のフィーダを第2部品供給装置45bのフィーダテーブル上にセットする。なお図示の例では、基板C生産用のフィーダは第2部品供給装置45bのフィーダテーブル上にセットしきれないので、第1部品供給装置45aのフィーダテーブル上にもセットしている。
生産に際しては、先ず図14に示すように、第1基板搬送装置10aにより基板Aを順次搬入して第1部品採取ヘッド43a(図示省略)により部品を実装し、これと並行して第2基板搬送装置10bにより基板Bを順次搬入して第2部品採取ヘッド43b(図示省略)により部品を実装する。なお両基板Sa,Sbの干渉危険領域Siにおける両部品採取ヘッド43a,43bの物理的干渉を回避するために、各基板Sa,Sbは搬送方向における停止位置を互いに異ならせるようにしてもよい(図9参照)。
基板Bの生産終了後、図15に示すように、基板Aに対する部品の実装と並行して、第2基板搬送装置10bのコンベア幅変更装置30により第2基板搬送装置10bの幅を15cmから10cmに変更する。この変更中は第2部品採取ヘッド43bは退避位置に退くようにしてもよいが、第1部品採取ヘッド43aに加担して基板Aに対する部品実装を行えば生産効率を高めることができる。なおその場合は、2つの部品採取ヘッド43a,43bの干渉を回避するための制御が必要である。
第2基板搬送装置10bの幅の変更が終了すれば、図16に示すように、第1部品採取ヘッド43aによる基板Aに対する部品実装と並行して、第2基板搬送装置10bにより搬入された基板Cに対して第2部品採取ヘッド43bによる部品の実装が行われる。基板Cに実装する部品のフィーダが第1部品供給装置45a側のフィーダテーブル上にセットされている場合には、両部品採取ヘッド43a,43bが干渉する機会が増大するので、この干渉を回避するための対策が必要である。図示の例では、各基板Sa,Sbの搬送方向における停止位置を互いに異ならせ、また第1部品供給装置45aのフィーダテーブル上にセットする基板A生産用のフィーダと基板C生産用のフィーダとを間を空けて配置することによりこれに応えている。これで不充分な場合には、図17に示すように、第2部品採取ヘッド43bが第1部品供給装置45a側のフィーダから部品を採取する場合には、第1部品採取ヘッド43aを一時的に退避位置に移動させるなどの制御を行う。基板Aの生産終了後は、このような干渉回避のための制御は不要となる。
第1基板搬送装置10aにおける基板Aの生産終了後、引き続き生産する異なる品種の基板がある場合は、その基板が第1基板搬送装置10aに搬入されるまでの間、第1部品採取ヘッド43aは退避位置で待機するか、あるいは第2部品採取ヘッド43bに加担して基板Cに対する部品の実装を行う。予定された生産計画が完了する場合も同様に、第1部品採取ヘッド43aは退避位置で待機するか、あるいは第2部品採取ヘッド43bに加担して基板Cに対する部品の実装を行う。
(第6の実施の形態)
次に図18,27に示す第6の実施の形態の説明をする。この実施の形態は、2台の基板搬送装置10a,10b、2つの部品供給装置45a,45bおよび1つ又は2つの部品採取ヘッド43または43a,43bを有する部品移載装置40を備えた部品実装装置を用いて、2台の基板搬送装置10a,10bのうち、一方は定生産品種の製品用基板のみを搬送する定生産品種専用とし、他方は基板幅の異なる割込み品種の製品用基板を搬送する割込み品種用とするものである。
A品種の製品を多数枚生産する計画であったときに、緊急でB品種の製品を割込み生産する指示がホストコンピュータから制御装置60に入力された場合、基板搬送装置10a,10bを2台とも定生産品種から割込み品種の製品を生産するように段取り替えすると、段取り替えに要するロス時間が多くなる。特に、割込み品種の製品の生産枚数が少数であるときに、2台とも段取り替えすると、大きな時間ロスとなる。
この段取り替えのロス時間を減少するために、2台の基板搬送装置10a,10bのうち、一方を定生産品種の製品用基板のみを搬送する定生産品種専用に設定し、他方を基板幅の異なる割込み品種の製品用基板を搬送する割込み品種用に設定する。この設定を行う設定手段としては、例えば記憶部63に基板搬送装置を定生産品種専用に設定する場合は、”1”をセットし、割込み品種用に設定する場合は、”0”をセットする設定領域を基板搬送装置10a,10b毎に設け、例えば基板搬送装置10aを定生産品種専用、基板搬送装置10bを割込み品種用に設定する場合、基板搬送装置10a,10bの設定領域に夫々”1”、”0”を制御装置60の入力部64から入力する。そして、基板搬送装置10a側の部品供給装置45aには、定生産品種の製品用部品のフィーダを全面的にセットし、基板搬送装置10b側の部品供給装置45aには、割込み品種の製品用部品のフィーダをセットするために空きスロットを残しておく。
基板搬送装置10a,10bに定生産品種の製品用基板(A基板)が搬送されて、定生産品種の製品(A製品)が通常生産されているときに(ステップ131)、割込み品種の製品(B製品)の生産がホストコンピュータから制御装置60に入力されると(ステップ132)、割込み品種用基板搬送装置10bでA基板の搬入を停止して排出する払い出し処理が行なわれる(ステップ133)。基板搬送装置10bにより部品実装位置に搬送された基板に部品を実装する実装プログラムがA製品用実装プログラムからB製品用実装プログラムに切替えられ(ステップ134)、基板搬送装置10bの搬送方向と直交する方向の幅が、B基板に対応したレール幅に変更される(ステップ135)。基板搬送装置10aでA基板に部品実装し、基板搬送装置10bでB基板に部品実装しても、部品採取ヘッド43a,43bが干渉せず、同時実装が可能であるか否か判定され(ステップ136)、可能であれば、基板搬送装置10aでのA基板への部品実装、基板搬送装置10bでのB基板への部品実装が同時に行われる(ステップ137)。同時生産が不可能な場合、基板搬送装置10aでは部品実装が休止され、基板搬送装置10bでは指令された枚数だけB基板に部品実装が行われる(ステップ138)。指令枚数のB基板に部品実装が完了すると(ステップ139)、基板搬送装置10bがA製品生産用に戻され、基板搬送装置10a,10bでA製品が通常生産される。
(第7の実施の形態)
次に図19,20に示す第7の実施の形態の説明をする。この実施の形態は、基板搬送装置で部品実装する基板を第1品種の製品基板(A基板)から第2品種の製品基板(第B基板)に変更する場合、該基板搬送装置で変更後の基板に部品を試実装し、問題がなければ本実装を開始するものである。基板搬送装置でA基板への部品実装が終了した後に、直ちにB基板に部品実装を開始し、B基板への部品実装に品質不良が生じると、不良品、生産時間のロスが発生する。このため、生産現場では生産の切替え時に、変更後に使用される基板搬送装置で事前にB基板に部品を試実装することが行われている。しかし、試実装後、長時間が経過すると、部品実装装置の状態が変化し、またB基板への部品実装に必要なフィーダが部品供給装置にセットされていることを確認しなければならない点を考えると、B基板への部品実装の開始直前に試実装を行うことが好ましい。そこで、部品実装装置が、2台の基板搬送装置10a,10bを備えていることを利用し、一方の基板搬送装置でのA基板への部品実装と並行して他方の基板搬送装置でB基板に部品を試実装する。
図19に示すように、例えば、基板搬送装置10aが定生産品種専用、基板搬送装置10bが割込み品種用に設定され、基板搬送装置10aで第1定生産品種の製品用基板(A基板)に部品が本実装され、基板搬送装置10bでは部品実装が行なわれない片側生産が行われているときに、第2定生産品種の製品用基板(B基板)を実装する片側生産が指令された場合、基板搬送装置10bでB基板に部品実装する実装プログラムがセットされ、基板搬送装置10bの幅が、B基板に対応したレール幅に変更される。基板搬送装置10aでA基板に部品が本実装され、基板搬送装置10bでB基板に部品が試実装される。試実装を開始するタイミングは、第1定生産品種から第2定生産品種への切替えが生産計画で決まっている場合は、第1定生産品種の製品の生産状況と第2定生産品種の製品の試生産時間および検査、修正に必要な時間を考慮して決定される。第2定生産品種への切替えが急に指令された場合、切替え指令があった時点で第2定生産品種の製品基板への試実装を開始する。部品を実装されたB基板は基板搬送装置10bから搬出されてリフロー、検査が行われる。検査は、装着位置と部品、フィーダのセット間違い、装着精度などの項目について行なわれる。検査の結果問題があれば、基板搬送装置10bでのB基板への部品実装の調整、セットされたフィーダの変更など問題箇所の修正が行なわれる。問題が解消されると、基板搬送装置10bでB基板に部品の本実装が開始され、基板搬送装置10aでのA基板への部品実装が計画枚数に達すると終了される。そして、基板搬送装置10bを定生産品種専用、基板搬送装置10aを割込み品種用に設定変更するために、制御装置60の記憶部63の基板搬送装置10a,10bの設定領域に夫々”0”、”1”が入力部64から入力される。
図20に示すように、基板搬送装置10aが定生産品種専用、基板搬送装置10bが割込み品種用に設定され、基板搬送装置10a,10bで第1品種の製品用基板(A基板)に部品を本実装する両側生産が行われているときに、第2品種の製品用基板(B基板)に部品を本実装する両側生産が指令された場合は、先ず、基板搬送装置10bでB基板に部品を試実装するために、基板搬送装置10bでA基板の搬入を停止して払い出し処理が行なわれる。基板搬送装置10bで基板に部品実装する実装プログラムがA基板への実装プログラムからB基板への実装プログラムに切替えられ、基板搬送装置10bの幅が、B基板に対応したレール幅に変更される。基板搬送装置10aでA基板に部品が本実装され、基板搬送装置10bでB基板に部品が試実装される。試部品実装されたB基板は基板搬送装置10bから搬出されてリフロー、検査が行われる。検査の結果問題があれば、問題箇所が修正され、基板搬送装置10bでB基板に部品の本実装が開始される。次に、基板搬送装置10aでのA基板への部品実装が計画枚数に達すると、基板搬送装置10aで、基板搬送装置10bの場合と同様にB基板への部品の試実装が行なわれ、問題点を洗い出して解消した後にB基板への部品の本実装が開始される。
(第8の実施の形態)
次に第8の実施の形態の説明をする。この実施の形態は、2台の基板搬送装置10a,10b、2つの部品供給装置45a,45bおよび2つの部品採取ヘッド43a,43bを有する部品移載装置40を備えた部品実装装置を用いて同時生産する際に、2つの部品採取ヘッド43a,43bの干渉を少なくするものである。
図2,21に示すように、基板を互いに平行な方向に搬送する2台の基板搬送装置10a,10bが並接され、該基板搬送装置10a,10bが互いに隣接する中央側と反対の外側には、2台の部品供給装置45a,45bが夫々並設されている。各基板搬送装置10a,10bには、基板の両側をガイドする2本のガイドレール25a,26aおよび25b、26bが夫々設けられている。部品供給装置45a,45bに隣接する外側のガイドレール25a,25bをなす支持レール20およびサイドレール14は、基台11上に立設固定された外側支持脚12,12に固定され、中央側のガイドレール26a,26bをなす支持レール20およびサイドレール14は、ガイドレールの延在方向と直交する方向に位置調整可能に基台11上に案内支持された内側支持脚12a,12aに固定されている。内側支持脚12aは、制御装置60からの指令に基づいて第1、第2駆動モータ33,37により第1、第2ねじ軸31,35を介して移動され、中央側のガイドレール26a,26bが該ガイドレールの延在方向と直交する方向に位置調整され、各基板搬送装置10a,10bのレール幅が基板の幅に応じて変更される。中央側のガイドレール26a,26bをその延在方向と直交する方向に位置調整するガイドレール位置調整手段27は、内側支持脚12a、第1、第2駆動モータ33,37、第1、第2ねじ軸31,35、制御装置60等により構成されている。これにより、2本のガイドレール25a,26aまたは25b,26b間の幅を狭くしたときに生じる各基板搬送装置10a,10bの中央側の各可動のガイドレール26a,26b間に余剰スペースが生じ、この余剰スペースにより2つの基板が隔離され、部品採取ヘッドの43a,43bの干渉の可能性を小さくすることができる。
外側支持脚12を、内側支持脚12aと同様に基台11上に位置調整可能に案内支持し、駆動モータによりねじ軸を介して移動可能とし、外側のガイドレール25a,25bを該ガイドレールの延在方向と直交する方向に位置調整手段27により位置調整可能とした場合も、制御によって外側のガイドレール25a,25bを部品供給装置45a,45b側の外側に最も寄せて位置付け、中央側のガイドレール26a,26bを位置調整して各基板搬送装置10a,10bのレール幅を搬送する基板の幅に応じて変更するようにすれば、各基板搬送装置10a,10bの中央側に生じる余剰スペースにより部品採取ヘッドの43a,43b干渉の可能性を小さくすることができる。この場合は、基板搬送装置10aおよび10bにより搬送される基板に実装する部品のフィーダが、遠い側の部品供給装置45bおよび45aにもセットされているか否かを事前に判定し、近い側の部品供給装置45a,45bにのみセットされている場合に限り、上述のように外側のガイドレール25a,25bを部品供給装置45a,45b側に最も寄せて位置付けする制御を行うようにすれば、部品採取ヘッドの43a,43bの移動距離短縮と干渉防止を図ることができる。
次に図1〜図4で述べた部品実装装置を使用した生産ラインにおける部品実装システムを、第9および第10の実施の形態により説明をする。
(第9の実施の形態)
第9の実施の形態の部品実装システムでは、図22に示すように、それぞれ前述した部品実装装置よりなる2つの実装ステーション50,51を直列に配置し、第1実装ステーション50の搬入側に第1シフト装置52を、第2実装ステーション51の搬出側に第2シフト装置53を配置した生産ライン(の一部)を使用する。第1シフト装置52は、基板搬送装置10a,10bと同様のコンベア幅変更装置30を備えた第1および第2入口側基板搬送装置52a,52bを備えており、第2シフト装置53は、第1および第2入口側基板搬送装置52a,52bと同様の第1および第2出口側基板搬送装置53a,53bを備えている。第1シフト装置52の第1入口側基板搬送装置52aと、2つの実装ステーション50,51内の第1基板搬送装置10aと、第2シフト装置53の第1出口側基板搬送装置53aとは、それぞれのコンベア幅変更装置30により幅を一致させて長手方向に連続して接続されており、同様に第2入口側基板搬送装置52bと2つの第2基板搬送装置10bと第2出口側基板搬送装置53bも幅を一致させて長手方向に連続して接続されている。これにより各基板は一方の各基板搬送装置52a,10a,10a,53aの上および他方の各基板搬送装置52b,10b,10b,53bの上を、互いに独立して連続的に移動可能となっている。第1、第2基板搬送装置10a,10bは幅を一致させて変更されるので、各基板は第1シフト装置52により第1、第2基板搬送装置10a,10bに分別して搬入され、第2シフト装置53により第1出口側基板搬送装置53aに合流して搬出されることができる。
第1シフト装置52は、制御装置60からの指令に基づいて、前工程から第1入口側基板搬送装置52aに搬入された複数種基板Sa,Sbを、第1基板搬送装置10aに送り込む基板Saと、第2基板搬送装置10bに送り込む基板Sbに分別して、前者はそのまま第1実装ステーション50の第1基板搬送装置10aに送り込み、また後者は第2入口側基板搬送装置52bに移し換えて第1実装ステーション50の第2基板搬送装置10bに送り込むもので、そのような移し換えを行う入口側シフト機構(N形の矢印のみで表示し、詳細構造は省略)を備えている。なお図22では前工程からの基板は第1入口側基板搬送装置52aに搬入されるものとして示したが、この基板は第2入口側基板搬送装置52bに搬入するようにしても、また両入口側基板搬送装置52a,52bに搬入するようにしてもよく、入口側シフト機構の具体的機能および構造は多少異なったものとなる。
第2シフト装置53は、制御装置60からの指令に基づいて、実装ステーション50,51から出口側基板搬送装置53a,53bに搬入された各基板Sa,Sbのうち引き続き部品の実装を行う必要があるものは、第1出口側基板搬送装置53aに移し換えて次の実装ステーションに搬出し、部品の実装が完了したものは基板搬出装置54に移し換えて搬出するもので、そのような移し換えを行う出口側シフト機構(N形の矢印のみで表示し、詳細構造は省略)を備えている。
この第9の実施の形態の生産ラインは、次に述べる第1および第2の2つの生産モードの何れか一方を選択して作動させるものである。先ず第1の生産モードでは、第1シフト装置52は前工程から第1入口側基板搬送装置52aに搬入された複数種の基板Sa,Sbを、各実装ステーション50,51内の第1基板搬送装置10a上で部品を実装する基板Saと、各実装ステーション50,51内の第2基板搬送装置10b上で部品を実装する基板Sbに分別して、前者は第1実装ステーション50の第1基板搬送装置10aに送り込み、また後者は第1実装ステーション50の第2基板搬送装置10bに送り込む。各基板Sa,Sbは、それぞれ各実装ステーション50,51内の部品実装装置で部品が実装されて第2シフト装置53の出口側基板搬送装置53a,53bに送り出され、引き続き部品の実装を行う必要がある基板Sa,Sbは第1出口側基板搬送装置53aから次の実装ステーションに搬出され、部品の実装が完了した基板Sa,Sbは基板搬出装置54から搬出される。
また第2の生産モードでは、第1シフト装置52は前工程から第1入口側基板搬送装置52aに搬入された複数種の基板Sa,Sbを、各実装ステーション50,51内の第1基板搬送装置10a上で部品を実装する基板Saと、各実装ステーション50,51では部品を実装しない基板Sbに分別して、前者は第1実装ステーション50の第1基板搬送装置10aに送り込み、また後者は第1実装ステーション50の第2基板搬送装置10bに送り込む。基板Saは各実装ステーション50,51の部品実装装置の第1基板搬送装置10a上で部品が実装されて第2シフト装置53の第1出口側基板搬送装置53aに送り出され、基板Sbは各第2基板搬送装置10bにより各実装ステーション50,51内の部品実装装置内を停止することなくバイパスして第2シフト装置53の第2出口側基板搬送装置53bに送り出される。そして第1の生産モードの場合と同様、引き続き部品の実装を行う必要がある基板Sa,Sbは第1出口側基板搬送装置53aから次の実装ステーションに搬出され、部品の実装が完了した基板Sa,Sbは基板搬出装置54から搬出される。この第2の生産モードでは、両実装ステーション50,51内の第2基板搬送装置10bは、第1基板搬送装置10a上において部品の実装を行わない基板Sbをバイパスさせるバイパスコンベアとして使用される。
この第9の実施の形態の第1の生産モードでは、複数種類の基板Sa,Sbがランダムに送り込まれた場合でも、各基板Sa,Sbを対応する基板搬送装置10a,10bに自動的に送り込んで各部品実装装置により部品を実装することができるので、基板の生産のフレキシビリティを高めることができる。また第2の生産モードでは、ある実装ステーションでは部品の装着の必要がない基板は、そのような実装ステーションをバイパスして先に送ることができ、生産ラインの途中に停止させておくことがなくなるので、基板の生産性を向上させることができる。
さらに、図22のような複数の部品実装装置を直列に接続した生産ラインでは、一部の部品実装装置の部品移載装置40に障害が生じると通常は生産ライン全体が停止してしまう。しかし生産ラインにおいてそのような障害が生じた部品実装装置に第2の生産モードを適用して基板をバイパスさせれば、その部品実装装置以外の部品実装装置による部品の実装を行うことができるので、その生産ライン全体が停止することはなくなる。そして障害が生じた部品実装装置により装着できなかった部品を改めて装着すれば、比較的短時間で基板を修正して完成品とすることができる。
(第10の実施の形態)
次に図23に示す第10の実施の形態の説明をする。この実施の形態は、第9の実施の形態において、第1実装ステーション50の搬入側に配置した第1シフト装置52をシフト装置55と置き換え、第2実装ステーション51の搬出側に配置した第2シフト装置53を検査工程付きシフト装置56と置き換え、基板搬送装置10bに基板を第2出口側基板搬送装置56bから第2入口側基板搬送装置55bに戻す機能を付加したものである。
シフト装置55は、第1シフト装置52とほゞ同様の構造であるが、前述した第1シフト装置52の機能に加えて、検査工程付きシフト装置56から両実装ステーション50,51内の第2基板搬送装置10bを通って第2入口側基板搬送装置55bに戻されてきた基板Sbを第1入口側基板搬送装置55aに載せ換えて第1実装ステーション50の第1基板搬送装置10aに送り込む機能を有している。
また検査工程付きシフト装置56は、第9の実施の形態における第2シフト装置53とほゞ同様な構造であるが、前述した第2シフト装置53の機能に加えて、実装ステーション50,51から第1出口側基板搬送装置56aに搬入された基板Saを検査して、部品の欠落はあるが再実装が可能な基板Saを第2基板搬送装置10bに載せ換え、部品の欠落があり再実装が不能な基板Saは基板搬出装置57に載せ換える機能を有している。
この第10の実施の形態の生産ラインは、次に述べる第1および第2の2つの生産モードの何れか一方を選択して作動させるものである。先ず第1の生産モードでは、前述した第9の実施の形態の第1の生産モードと同様、シフト装置55は前工程から第1入口側基板搬送装置55aに搬入された複数種の基板Sa,Sbを2つに分別して、それぞれ第1実装ステーション50の第1基板搬送装置10aと第2基板搬送装置10bに送り込む。各基板Sa,Sbは、それぞれ各実装ステーション50,51内の部品実装装置で部品が実装されて検査工程付きシフト装置56の出口側基板搬送装置56a,56bに送り出され、引き続き部品の実装を行う必要がある基板Sa,Sbは第1出口側基板搬送装置56aから次の実装ステーションに搬出され、部品の実装が完了した基板Sa,Sbは基板搬出装置57から搬出される。
また第2の生産モードでは、シフト装置55は先ず前工程から第1入口側基板搬送装置52aに搬入された基板Saを、全て第1実装ステーション50の第1基板搬送装置10aに送り込む。検査工程付きシフト装置56は、各実装ステーション50,51の部品実装装置の第1基板搬送装置10a上で部品が実装されて第1出口側基板搬送装置56aに搬入された基板Saを検査して、部品の欠落はあるが再実装が可能な基板を第2基板搬送装置10bに載せ換え、部品の欠落があり再実装が不能な不良基板は基板搬出装置57に載せ換える。基板搬出装置57に載せ換えられた不良基板はそのまま搬出される。第2基板搬送装置10bに載せ換えられた基板は基板Sbとして各実装ステーション50,51内の第2基板搬送装置10bを通して、途中で停止することなくシフト装置55の第2入口側基板搬送装置55bに戻され、この基板Sbの部品の欠落の情報は制御装置60に入力される。第2入口側基板搬送装置55bに戻された基板Sbは、制御装置60により制御されるシフト装置55により第1入口側基板搬送装置55aに載せ換えられ、両実装ステーション50,51の第1基板搬送装置10aに送り込まれ、制御装置60に入力されている部品の欠落の情報に基づき欠落していた部品が自動的に再実装される。この第2の生産モードでは、両実装ステーション50,51内の第2基板搬送装置10bは、欠落のある基板Sbを検査工程付きシフト装置56からシフト装置55に戻すリターンコンベアとして使用される。
この第10の実施の形態の第1の生産モードでは、第9の実施の形態の第1の生産モードと同様、基板の生産のフレキシビリティを高めることができる。また第2の生産モードでは、各実装ステーション50,51内の第1基板搬送装置10a上で部品が実装されて検査工程付きシフト装置56に送り出される基板Saに手直し可能な部品の欠落が生じた場合には、検査工程付きシフト装置56でそのような部品の欠落を自動的に検出し、第2基板搬送装置10bによりに基板Saを実装ステーション50,51の前側のシフト装置55に戻して欠落した部品を自動的に再実装することができる。従ってその生産ラインによる部品の実装が完了した後に改めて部品の再実装を行うことが不要となるので、部品の欠落に対する生産管理を簡略化することかできる。
なお、この第6および第10の実施の形態では、部品移載装置40の部品採取ヘッド43a,43bを基板Sa,Sbの面と平行な2方向に移動するいわゆるXYタイプのものとした例について説明したが、この2つの実施の形態はこれに限らず、ターレットタイプの部品採取ヘッドを用いた部品実装装置に適用することも可能である。
上述した各実施の形態では、2台の基板搬送装置10a,10bは各部品実装装置毎に設けており、このようにすれば各基板搬送装置10a,10bの幅の変更は、1ロットの最後の基板が部品実装装置を通過する毎に行うことができ、次のロットの基板の生産開始までの待ち時間を短くすることができる。しかしながら本発明はこれに限られるものではなく、基板搬送装置は生産ライン全体にわたる1つのものとして実施することも可能である。