JP2009133623A - 冷凍装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】開度可変の膨張弁が設けられた冷媒回路を備える冷凍装置において、膨張弁による流量制御を適正化する。
【解決手段】弁制御手段(33)が膨張弁(13)の開度を制御する冷凍装置(10)に対して、膨張弁(13)を閉じた状態で圧縮機(11)を運転させるポンプダウン運転後に、圧縮機(11)を停止した状態で膨張弁(13)に出力する開度の指令値を徐々に増大させながら、膨張弁(13)と圧縮機(11)の吸入側との間の低圧側冷媒の状態の変化に基づいて膨張弁(13)が開状態になっているか否かの判定を行うことによって、膨張弁(13)が閉状態から開状態に変化するときの開度の指令値である開弁開度を検出する開弁開度検出動作を行う開弁開度検出手段(32,34)を設ける。弁制御手段(33)は、開弁開度検出動作で検出した開弁開度を用いて膨張弁(13)の制御を行う。
【選択図】図1

Description

本発明は、開度可変の膨張弁が設けられた冷媒回路を備える冷凍装置に関するものである。
従来より、開度可変の膨張弁が設けられた冷媒回路を備える冷凍装置が知られている。特許文献1には、この種の冷凍装置として空気調和機が開示されている。この空気調和機は、過熱度制御装置を備えている。過熱度制御装置の制御部は、暖房時に室外熱交換器の入口温度と室外熱交換器の出口温度との差を室外熱交換器の出口の過熱度として算出し、算出した過熱度と目標過熱度との差を偏差Eとして算出する。そして、過熱度制御装置の弁制御部は、偏差Eが0になるように電動膨張弁の開度を制御する。
特開平7−225058号公報
ところで、この種の冷凍装置に用いる開度可変の膨張弁は、ものによって開度に個体差があり、入力される開度の指令値が同じ値でも、実際の開度にばらつきが生じる。このため、開度可変の膨張弁を用いる従来の冷凍装置では、膨張弁に開度の指令値を出力する弁制御手段が設定しようとする制御上の開度に対して、膨張弁の実際の開度がずれてしまう場合があり、このような場合に適切な流量制御を行うことができないという問題がある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、開度可変の膨張弁が設けられた冷媒回路を備える冷凍装置において、膨張弁による流量制御を適正化することにある。
第1の発明は、圧縮機(11)と開度可変の膨張弁(13)とが設けられて冷凍サイクルを行う冷媒回路(20)と、上記膨張弁(13)の開度を制御する弁制御手段(33)とを備えている冷凍装置(10)を対象とする。そして、この冷凍装置(10)は、上記膨張弁(13)を閉じた状態で上記圧縮機(11)を運転させるポンプダウン運転後に、該圧縮機(11)を停止した状態で上記膨張弁(13)に出力する開度の指令値を徐々に増大させながら、該膨張弁(13)と圧縮機(11)の吸入側との間の低圧側冷媒の状態の変化に基づいて該膨張弁(13)が開状態になっているか否かの判定を行うことによって、該膨張弁(13)が閉状態から開状態に変化するときの開度の指令値である開弁開度を検出する開弁開度検出動作を行う開弁開度検出手段(32,34)を備え、上記弁制御手段(33)は、上記開弁開度検出動作で検出した開弁開度を用いて膨張弁(13)の制御を行う。
第1の発明では、開弁開度検出手段(32,34)が、膨張弁(13)が閉状態から開状態に変化するときの開度の指令値である開弁開度を検出する開弁開度検出動作を行う。開弁開度検出動作は、膨張弁(13)を閉じた状態で圧縮機(11)を運転させるポンプダウン運転後に行われる。開弁開度検出手段(32,34)は、膨張弁(13)と圧縮機(11)の吸入側との間にほとんど冷媒が存在しない状態から、圧縮機(11)を停止した状態で膨張弁(13)に出力する開度の指令値を徐々に増大させながら、膨張弁(13)と圧縮機(11)の吸入側との間の低圧側冷媒の状態の変化に基づいて膨張弁(13)が開状態になっているか否かの判定を行う。そして、膨張弁(13)が閉状態から開状態に変化すると、低圧側冷媒の状態(例えば圧力や温度)が変化するので、開弁開度検出手段(32,34)は、低圧側冷媒の状態の変化に基づいて開弁開度を検出する。この第1の発明では、膨張弁(13)によってばらつきがある開弁開度が検出される。この開弁開度によれば、実際の開度と制御上の開度のずれ等の膨張弁(13)の開度特性が把握される。このため、開弁開度を用いて膨張弁(13)の制御を行うと、膨張弁(13)の制御にその膨張弁(13)の開度特性が反映される。
第2の発明は、上記第1の発明において、上記開弁開度検出手段(32,34)が、上記ポンプダウン運転の際に冷凍サイクルの高圧圧力を一定の範囲内に調節する。
第2の発明では、ポンプダウン運転の際に、冷凍サイクルの高圧圧力が一定の範囲内に調節される。このため、開弁開度検出動作を行う際の冷凍サイクルの高圧圧力が一定化される。
第3の発明は、上記第1又は第2の発明において、上記ポンプダウン運転の前に、上記膨張弁(13)を開いた状態で圧縮機(11)を運転させながら、上記開弁開度検出手段(32,34)が冷凍サイクルの高圧圧力を一定の範囲内に調節する準備運転が行われる。
第3の発明では、ポンプダウン運転の前に準備運転が行われる。準備運転では、開弁開度検出手段(32,34)が冷凍サイクルの高圧圧力を一定の範囲内に調節する。従って、開弁開度検出動作を行う際の冷凍サイクルの高圧圧力が一定化される。
第4の発明は、上記第1乃至第3の何れか1つの発明において、上記開弁開度検出手段(32,34)が、上記低圧側冷媒の圧力が所定の低圧閾値を超えるときの開度の指令値を上記開弁開度として検出する。
第4の発明では、低圧側冷媒の圧力が所定の低圧閾値を超えるときの開度の指令値が、開弁開度として検出される。膨張弁(13)が閉状態から開状態に変化すると、低圧側冷媒の圧力が上昇すると共に、低圧側冷媒の温度が低下する。低圧側冷媒の圧力は温度に比べて早く変化する。この第4の発明では、開弁開度を検出するのに、温度に比べて変化が早い圧力の値が用いられている。
第5の発明は、上記第4の発明において、上記開弁開度検出手段(32,34)が、所定の上限値に上記開度の指令値が達すると、上記低圧側冷媒の圧力が上記低圧閾値以下であっても、該上限値を上記開弁開度として検出する。
第5の発明では、開弁開度検出手段(32,34)が、開度の指令値を徐々に増大させて、その開度の指令値が上限値に達すると、上限値を開弁開度として検出する。開弁開度検出手段(32,34)は、開度の指令値が上限値に達すると、低圧側冷媒の状態に拘わらず、上限値を開弁開度として検出する。
第6の発明は、上記第1乃至第5の何れか1つの発明において、上記開弁開度検出手段(32,34)が、上記開弁開度検出動作の際に、上記開度の指令値を所定の設定値だけ増大させる第1動作と、上記膨張弁(13)と圧縮機(11)の吸入側との間の低圧側冷媒の状態の変化に基づいて該膨張弁(13)が開状態になっているか否かを判定する第2動作とを、該第2動作で該膨張弁(13)が開状態になっていることを検出するまで順番に繰り返し行うことによって、上記開弁開度を検出する。
第6の発明では、開弁開度検出手段(32,34)が、開弁開度検出動作の際に、第1動作と第2動作とを順番に行う。第1動作では、開度の指令値が所定の設定値だけ増大される。第2動作では、低圧側冷媒の状態に基づいて膨張弁(13)が開状態になっているか否かが判定される。開弁開度検出手段(32,34)は、第2動作で膨張弁(13)が開状態になっていることを検出するまで、第1動作と第2動作とを順番に繰り返し行う。
第7の発明は、上記第1乃至第6の何れか1つの発明において、上記弁制御手段(33)では、該弁制御手段(33)に予め設定された下限指令値以上の範囲で上記開度の指令値が決定される一方、上記開弁開度検出手段(32,34)は、上記開弁開度を用いて上記下限指令値を補正するように構成されている。
第7の発明では、開度の指令値の下限値である下限指令値が、開弁開度を用いて補正される。この開弁開度によれば、上述したように、実際の開度と制御上の開度のずれ等の膨張弁(13)の開度特性が把握される。このため、開弁開度を用いて下限指令値を補正すると、下限指令値に膨張弁(13)の開度特性が反映される。
第8の発明は、上記第7の発明において、上記開弁開度検出手段(32,34)では、開弁開度の想定値が設定され、上記開弁開度から該想定値を引いた値が補正値として算出されると共に、上記弁制御手段(33)に予め設定された下限指令値に該補正値を加えることによって補正後の下限指令値が算出される。
第8の発明では、開弁開度から開弁開度の想定値を引くことによって、下限指令値を補正するための補正値が算出される。そして、その補正値を補正前の下限指令値に加えることによって補正後の下限指令値が算出される。
第9の発明は、上記第7又は第8の発明において、上記開弁開度検出手段(32,34)が、対象空間の温度調節を行う通常運転中に上記開度の指令値が下限指令値に等しくなる下限制御状態で、膨張弁(13)を通過する冷媒流量に関する所定の判定条件が成立する場合に上記開弁開度を用いて補正された下限指令値を再補正する。
第9の発明では、通常運転中に開度の指令値が下限指令値に等しくなる下限制御状態で、膨張弁(13)を通過する冷媒流量に関する所定の判定条件が成立する場合に、開弁開度を用いて補正された下限指令値が再補正される。つまり、下限制御状態で実際に膨張弁(13)を通過する冷媒流量を見て、開弁開度によって補正された下限指令値が適正な値であるか否かを判定した上で、補正が必要な場合には下限指令値が再補正される。
第10の発明は、上記第9の発明において、上記開弁開度検出手段(32,34)が、上記下限制御状態で上記膨張弁(13)を通過する冷媒流量が所定の過少状態になる第1条件が上記判定条件として成立する場合に、上記開弁開度を用いて補正された下限指令値を大きな値に再補正する。
第10の発明では、下限制御状態で上記膨張弁(13)を通過する冷媒流量が所定の過少状態になる第1条件が成立する場合に、開弁開度を用いて補正された下限指令値が大きな値に再補正される。つまり、下限制御状態で実際に膨張弁(13)を通過する冷媒流量が制御上の適正な流量よりも少ないと判断した場合には、開弁開度を用いて補正された下限指令値よりも大きな値に下限指令値が補正される。
第11の発明は、上記第9又は第10の発明において、上記開弁開度検出手段(32,34)が、上記下限制御状態で上記膨張弁(13)を通過する冷媒流量が所定の過多状態になる第2条件が上記判定条件として成立する場合に、上記開弁開度を用いて補正された下限指令値を小さな値に再補正する。
第11の発明では、下限制御状態で上記膨張弁(13)を通過する冷媒流量が所定の過多状態になる第2条件が成立する場合に、開弁開度を用いて補正された下限指令値が小さな値に再補正される。つまり、下限制御状態で実際に膨張弁(13)を通過する冷媒流量が制御上の適正な流量よりも多いと判断した場合には、開弁開度を用いて補正された下限指令値よりも大きな値に下限指令値が補正される。
第12の発明は、上記第1乃至第11の何れか1つの発明において、上記開弁開度検出手段(32,34)が、所定の条件が成立する場合にだけ、冷凍装置(10)の起動時に上記開弁開度検出動作を行うように構成されている。
第12の発明では、冷凍装置(10)の起動時に所定の条件が成立する場合には、開弁開度検出動作が行われる。冷凍装置(10)の起動時に所定の条件が成立しない場合には、開弁開度検出動作が省略される。
第13の発明は、上記第9の発明において、上記開弁開度検出手段(32,34)は、所定の条件が成立する場合にだけ、冷凍装置(10)の起動時に上記開弁開度検出動作を行うように構成される一方、上記開弁開度検出手段(32,34)は、該弁制御手段(33)に予め設定された下限指令値と補正後の下限指令値との差を補正値として記憶する記憶部(35)を備え、冷凍装置(10)の起動時に上記開弁開度検出動作を実行しない場合には、該記憶部(35)に記憶されている補正値を用いて上記下限指令値を補正する。
第13の発明では、弁制御手段(33)に予め設定された下限指令値と補正後の下限指令値との差が、補正値として記憶部(35)に保存される。冷凍装置(10)の起動時に開弁開度検出動作を実行しない場合には、記憶部(35)に保存された補正値を用いて、下限指令値が補正される。
本発明では、膨張弁(13)が開状態から閉状態へ変化するときの開度の指令値である開弁開度が検出され、検出した開弁開度を用いて膨張弁(13)の制御を行うので、膨張弁(13)の制御にその膨張弁(13)の開度特性が反映される。つまり、膨張弁(13)の制御が膨張弁(13)の個体差を考慮して行われる。従って、膨張弁(13)を通過する冷媒流量に膨張弁(13)の個体差が反映されるので、膨張弁(13)による流量制御を適正化することができる。
また、上記第2、第3の各発明では、開弁開度検出動作を行う際の冷凍サイクルの高圧圧力が一定化されるようにしている。ここで、開弁開度検出動作の前に冷凍サイクルの高圧圧力を調節しない場合には、例えば凝縮器に送る空気の温度などの運転条件によって、開弁開度検出動作を行う際の冷凍サイクルの高圧圧力が変化するので、運転条件によって膨張弁(13)に作用する冷媒の圧力が変化する。このため、膨張弁(13)が開状態に変化するときの低圧側冷媒の状態の変化の程度が運転条件によって一定にならず、開弁開度を正確に検出することが困難になる。これに対して、この第2、第3の各発明では、開弁開度検出動作を行う際の冷凍サイクルの高圧圧力が一定化されるので、運転条件によらず、膨張弁(13)に作用する冷媒の圧力が一定になる。従って、膨張弁(13)が開状態に変化するときの低圧側冷媒の状態の変化の程度が運転条件によらず一定になるので、開弁開度を正確に検出することができる。
また、上記第4の発明では、開弁開度を検出するのに、温度に比べて変化が早い圧力の値が用いられている。このため、開弁開度検出動作の時間を比較的短い時間で行うことができる。
また、上記第7の発明では、開弁開度検出手段(32,34)が開弁開度を用いて下限指令値を補正するので、下限指令値に膨張弁(13)の開度特性が反映される。ここで、下限指令値を補正しない従来の冷凍装置(10)では、例えば膨張弁(13)が開度の指令値に対して開き側に開度がずれるものである場合に、圧縮機(11)の吸入冷媒の過熱度が減少したときに、開度の指令値が下限指令値になるまで膨張弁(13)の開度を絞っても、制御上で想定する開度まで膨張弁(13)の実際の開度を絞りきることができない。このため、膨張弁(13)を通過する冷媒流量が適正な流量よりも多くなり、圧縮機(11)の吸入冷媒が湿り状態になることを解消することができないおそれがある。これに対して、第7の発明では、下限指令値に膨張弁(13)の開度特性が反映され、下限指令値が膨張弁(13)の個体差を考慮した値になる。このため、圧縮機(11)の吸入冷媒の過熱度が減少したときに、制御上で想定する開度、又はそれに近い開度まで膨張弁(13)を絞ることができるようになる。従って、膨張弁(13)を通過する冷媒流量が適正な流量よりも多くなることを抑制することができるので、膨張弁(13)を絞りきることができないために圧縮機(11)の吸入冷媒が湿り状態になることを抑制することができる。
また、上記第9の発明では、下限制御状態で実際に膨張弁(13)を通過する冷媒流量を見て、開弁開度によって補正された下限指令値が適正な値であるか否かを判定した上で、補正が必要な場合には下限指令値が再補正される。従って、開弁開度によって補正された下限指令値をさらに適正な値に補正することができるので、下限制御状態での膨張弁(13)による流量制御をさらに適正化することができる。
また、上記第10の発明では、下限制御状態で実際に膨張弁(13)を通過する冷媒流量が制御上の適正な流量よりも少ないと判断した場合には、開弁開度を用いて補正された下限指令値よりも大きな値に下限指令値が補正される。従って、開弁開度を用いて補正された下限指令値が適正な値よりも小さくなっている場合に、下限指令値を適正な値に近づけることができる。
また、上記第11の発明では、下限制御状態で実際に膨張弁(13)を通過する冷媒流量が制御上の適正な流量よりも多いと判断した場合には、開弁開度を用いて補正された下限指令値よりも小さな値に下限指令値が補正される。従って、開弁開度を用いて補正された下限指令値が適正な値よりも大きくなっている場合に、下限指令値を適正な値に近づけることができる。
また、上記第12の発明では、冷凍装置(10)の起動時に所定の条件が成立するか否かで、開弁開度検出動作の実行の有無が決定されるようにしている。従って、開弁開度検出動作の実行によって、冷凍装置(10)の起動の度に通常運転の開始までの時間が長くなることを防止することができる。
また、上記第13の発明では、冷凍装置(10)の起動時に開弁開度検出動作を実行しない場合でも、記憶部(35)に保存された補正値を用いて、下限指令値が補正される。従って、冷凍装置(10)の起動時に開弁開度検出動作を実行しない場合でも、下限指令値に膨張弁(13)の開度特性を反映させて膨張弁(13)による流量制御を適正化することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
本実施形態は、本発明に係る冷凍装置(10)である。本実施形態の冷凍装置(10)は、コンテナの庫内を冷却するコンテナ用冷凍装置(10)として構成されている。この冷凍装置(10)は、庫内の設定温度を比較的広い温度範囲(例えば−30℃から46℃)から選択することができるように構成されている。
冷凍装置(10)は、図1に示すように、冷媒が充填された冷媒回路(20)を備えている。冷媒回路(20)には、圧縮機(11)、庫外熱交換器(12)、膨張弁(13)、及び庫内熱交換器(14)が接続されている。冷媒回路(20)では、冷媒を循環させて蒸気圧縮冷凍サイクルが行われる。
圧縮機(11)は、例えば高圧ドーム型の圧縮機として構成されている。圧縮機(11)の吐出側は庫外熱交換器(12)のガス側に接続されている。圧縮機(11)の吸入側は庫内熱交換器(14)のガス側に接続されている。
庫外熱交換器(12)は、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器によって構成されている。庫外熱交換器(12)の近傍には、庫外熱交換器(12)に庫外空気を送る庫外ファン(21)が設置されている。庫外熱交換器(12)では、庫外空気と冷媒との間で熱交換が行われる。庫外熱交換器(12)の液側は膨張弁(13)に接続されている。庫外熱交換器(12)と膨張弁(13)との間には、冷媒を一時的に貯留するレシーバ(15)が設けられている。
庫内熱交換器(14)は、クロスフィン式のフィン・アンド・チューブ型熱交換器によって構成されている。庫内熱交換器(14)の近傍には、庫内熱交換器(14)に庫内空気を送る庫内ファン(22)が設置されている。庫内熱交換器(14)では、庫内空気と冷媒との間で熱交換が行われる。庫内熱交換器(14)の液側は膨張弁(13)に接続されている。
また、膨張弁(13)は、開度可変の電動膨張弁より構成されている。膨張弁(13)の開度は、後述する弁制御部(33)が出力するパルス信号の制御パルス(開度の指令値)に応じて調節される。膨張弁(13)の詳細については後述する。
上記冷凍装置(10)には、コントローラ(30)が設けられている。コントローラ(30)は、圧縮機制御部(31)とファン制御部(32)と弁制御部(33)と制御開度補正部(34)とを備えている。コントローラ(30)の詳細については後述する。
また、本実施形態の冷凍装置(10)には複数のセンサが設けられている。具体的に、冷媒回路(20)の圧縮機(11)の吐出側には、圧縮機(11)から吐出された高圧側冷媒の圧力を検出する高圧圧力センサ(23)が設けられている。圧縮機(11)の吸入側には、圧縮機(11)に吸入される低圧側冷媒の圧力を検出する低圧圧力センサ(24)が設けられている。高圧圧力センサ(23)及び低圧圧力センサ(24)の計測値はゲージ圧で検出される。
また、蒸発器となる庫内熱交換器(14)の入口側には、庫内熱交換器(14)に流入する冷媒の温度を検出する入口温度センサ(25)が設けられている。また、庫内熱交換器(14)の出口側には、庫内熱交換器(14)から流出する冷媒の温度を検出する出口温度センサ(26)が設けられている。また、庫内熱交換器(14)の近傍には、庫内熱交換器(14)に流入する空気の温度を計測する吸込温度センサ(27)が設けられている。これらのセンサ(23〜27)の計測値は、コントローラ(30)に入力される。
−膨張弁の構造−
上記冷媒回路(20)の膨張弁(13)は、直動式の電動膨張弁である。ここでは、この膨張弁(13)について、図2を参照しながら説明する。
上記膨張弁(13)では、円筒状のモータケーシング(71)の外周側に配設された固定子としてのソレノイド(72)と、該ケーシング(71)内に位置する回転子としてのロータ(73)に設けられたマグネット(74)とによってパルスモータ(75)が構成されている。この膨張弁(13)は、ロータ(73)の回転に応じて先端に弁部(76a)の設けられたニードル(76)を上下動させるように構成されている。
ロータ(73)は、円筒状のブッシュ(77)と、その外周側に配設されるマグネット(74)と、を備えている。ブッシュ(77)には、その回転中心近傍に下方に向かって開口する穴部(77a)が形成されている。この穴部(77a)は、その内周面にねじ山の形成された雌ねじになっている。そして、穴部(77a)内には、上端側をロータ(73)に固定されたニードル(76)が、下方に向かって延びるように配設されている。
モータケーシング(71)の下側には、柱状の本体部(78)が一体的に設けられている。この本体部(78)の内部には、側方及び下方に向かってそれぞれ開口する流通路としての穴部(78a,78b)が直交するように形成されている。この本体部(78)には、穴部(78a,78b)にそれぞれ連通して第1及び第2の管路(85,86)を形成するように第1及び第2の継手(79,80)が接続されている。第2の継手(80)の接続される穴部(78b)内には、弁部(76a)を受けるための弁座(81)が設けられている。
また、本体部(78)の内部には、弁座(81)の設けられた穴部(78b)から上方に向かって延びる穴部(78c)も形成されている。そして、本体部(78)の上側には、この穴部(78c)の内部空間と連通するように、上方に向かって延びる円筒部材(82)が配設されている。この円筒部材(82)の外周面上にはねじ部が形成されていて、ロータ(73)の穴部(77a)に螺合している。これにより、ロータ(73)が回転すると、モータケーシング(71)に固定された本体部(78)に対して、ロータ(73)は上下動することになる。
円筒部材(82)の内部において、ニードル(76)は、ロータ(73)に上端側が固定され、穴部(77a)内を下方に向かって延びる姿勢で配置されている。このニードル(76)は、前記円筒部材(82)の内部空間に連通する本体部(78)の穴部(78c)内にも挿通されている。ニードル(76)の下端の弁部(76a)は、本体部(78)の穴部(78a,78b)が互いに直交する部分(即ち、連通部(87))で、本体部(78)内に設けられた弁座(81)と対向する。これにより、上述のように、ロータ(73)が上下動すると、それに応じてニードル(76)が円筒部材(82)内及び本体部(78)の穴部(78c)内を上下動することになり、該ニードル(76)の下端の弁部(76a)が弁座(81)に対して上下動(第2の管路の長手方向に移動)し、これにより膨張弁(13)の開閉動作が行われることになる。
なお、この冷凍装置(10)に使用されている膨張弁(13)は、制御パルス(EV)の最大値がEV_maxパルス(例えばEV_max=2000)の製品である。この製品は、図3に示すように、制御パルス(EV)と膨張弁(13)の通過流量との関係を表す流量特性に、特性線Aから特性線Cの範囲のばらつきがある。なお、特性線Aは、この製品の中で膨張弁(13)の通過流量が最大になる膨張弁(13)の流量特性を表している。特性線Bは、この製品の中で膨張弁(13)の通過流量が平均的な値になる膨張弁(13)の流量特性を表している。特性線Cは、この製品の中で膨張弁(13)の通過流量が最少になる膨張弁(13)の流量特性を表している。この製品では、膨張弁(13)が開状態から閉状態に変化するときの制御パルス(EV)である開弁開度(EV_Llim)の個体差によるばらつきの範囲として、EV_Llim(A)パルス(例えばEV_Llim(A)=50)からEV_Llim(C)パルス(例えばEV_Llim(C)=150)の範囲を想定している。また、この膨張弁(13)の規格は、庫内の設定温度が比較的高い条件(例えば30℃)に合わせて、全開時の流量が決定されている。
−運転動作−
本実施形態の冷凍装置(10)の運転動作として、コンテナの庫内を冷却する冷却運転について説明する。冷却運転は、対象空間である庫内を温度調節する通常運転である。冷却運転は圧縮機(11)が起動されると開始される。その際、冷媒回路(20)では、庫外熱交換器(12)が凝縮器として動作して庫内熱交換器(14)が蒸発器として動作する冷凍サイクルが行われる。
具体的に、圧縮機(11)から吐出された冷媒は、庫外熱交換器(12)で庫外空気へ放熱して凝縮する。庫外熱交換器(12)で凝縮した冷媒は、膨張弁(13)で減圧された後に庫内熱交換器(14)へ流入する。庫内熱交換器(14)では、冷媒が庫内空気から吸熱して蒸発する。一方、庫内熱交換器(14)で冷却された庫内空気は庫内へ供給される。庫内熱交換器(14)で蒸発した冷媒は、圧縮機(11)へ吸入されて圧縮される。
−コントローラの構成−
コントローラ(30)は、上述したように、圧縮機制御部(31)とファン制御部(32)と弁制御部(33)と制御開度補正部(34)とを備えている。弁制御部(33)は弁制御手段を構成している。制御開度補正部(34)は開弁開度検出手段を構成している。
具体的に、圧縮機制御部(31)は、圧縮機(11)の運転状態を制御するように構成されている。圧縮機制御部(31)は、例えば低圧圧力センサ(24)の計測値(LPT)が所定の目標値になるように圧縮機(11)の運転容量を制御する。
ファン制御部(32)は、庫外ファン(21)及び庫内ファン(22)の運転状態を制御するように構成されている。ファン制御部(32)は、庫外ファン(21)の運転状態を制御することによって、冷凍サイクルの高圧圧力を制御する。具体的に、ファン制御部(32)は、圧縮機(11)の運転中に高圧圧力センサ(23)の計測値(HPT)が第1高圧基準値を上回る場合には庫外ファン(21)を起動させる。一方、ファン制御部(32)は、高圧圧力センサ(23)の計測値(HPT)が第2高圧基準値を下回る場合には庫外ファン(21)を停止させる。ファン制御部(32)は、圧縮機(11)が停止する際にも、庫外ファン(21)を停止させる。なお、これらの高圧基準値は、後述する準備運転及びポンプダウン運転の方が通常運転に比べて高い値に設定されている。
弁制御部(33)は、冷却運転中に膨張弁(13)の開度を制御するように構成されている。弁制御部(33)は、庫内熱交換器(14)の出口の冷媒の過熱度(SH)が所定の目標過熱度(例えば5℃)になるように膨張弁(13)の開度を制御する過熱度制御を行う。ただし、弁制御部(33)は、高圧圧力センサ(23)の検出値(HPT)が所定の第3高圧基準値(例えば2100kPa)以上になる場合には、過熱度制御に優先して、膨張弁(13)の開度を所定開度だけ縮小し、冷凍サイクルの高圧圧力を低下させる。
具体的に、過熱度制御では、弁制御部(33)が、庫内熱交換器(14)の出口の冷媒の過熱度(SH)が目標過熱度に近づくように制御パルス(EV)を決定して、決定した制御パルス(EV)のパルス信号を膨張弁(13)のパルスモータ(75)に出力する。弁制御部(33)は、庫内熱交換器(14)の出口の冷媒の過熱度(SH)が目標過熱度よりも大きい場合には、制御パルス(EV)を増大させる。一方、弁制御部(33)は、庫内熱交換器(14)の出口の冷媒の過熱度(SH)が目標過熱度よりも小さい場合には、制御パルス(EV)を減少させる。
なお、弁制御部(33)には、図4に示すように、運転条件のうち吸込温度センサ(27)の計測値(RS)に応じて、制御パルスの下限値である下限指令値(EVL)が予め設定されている。下限指令値(EVL)は、吸込温度センサ(27)の計測値(RS)の温度範囲毎に設定されている。下限指令値(EVL)は、吸込温度センサ(27)の計測値(RS)が大きいほど、大きな値になるように設定されている。弁制御部(33)では、下限指令値(EVL)以上で且つ上記最大値(EV_max)以下の範囲で制御パルス(EV)が決定される。
制御開度補正部(34)は、上記開弁開度(EV_Llim)を検出するための開弁開度検出動作と、検出した開弁開度(EV_Llim)を用いて下限指令値(EVL)を補正する第1補正動作と、第1補正動作で補正した下限指令値(EVL)を再補正する第2補正動作とを行うように構成されている。制御開度補正部(34)は、冷凍装置(10)の起動時に開弁開度検出動作を行い、その開弁開度検出動作の直後に第1補正動作を行う。また、制御開度補正部(34)は、冷却運転中に第2補正動作を行う。第1補正動作では、下限指令値(EVL)を補正するための補正値(EV_adj)が算出される。また、第2補正動作では、下限指令値(EVL)と共に補正値(EV_adj)が補正される。
また、制御開度補正部(34)は、補正値(EV_adj)を記憶するための記憶部(35)を備えている。記憶部(35)は、補正値(EV_adj)を保存可能なメモリとして構成されている。記憶部(35)は、冷凍装置(10)の電源がオフになっても、記憶した内容が消えないSRAM(Static Random Access Memory)によって構成されている。
−コントローラの動作−
コントローラ(30)の動作のうち開弁開度検出動作と、第1補正動作と、第2補正動作とについて説明する。なお、開弁開度検出動作と第1補正動作とは一連の動作として行われるので、以下では、図5を参照しながら、開弁開度検出動作と第1補正動作とを一緒に説明する。また、この冷凍装置(10)では、冷凍装置(10)の起動時に開弁開度検出動作の前に準備運転とポンプダウン運転とが行われるので、開弁開度検出動作の説明を行う前に、準備運転とポンプダウン運転について説明する。
まず、冷凍装置(10)が起動されると、ステップ1(ST1)において、コントローラ(30)が、冷凍装置(10)に準備運転を行わせる。ステップ1(ST1)では、圧縮機制御部(31)が圧縮機(11)を起動させ、ファン制御部(32)が庫内ファン(22)を起動させる。また、弁制御部(33)は、所定の設定値(例えば800パルス)を制御パルス(EV)とするパルス信号を膨張弁(13)に出力して、膨張弁(13)の開度を調節する。また、コントローラ(30)では、圧縮機(11)の起動開始と同時に、例えば90秒タイマである第1タイマが起動される。
また、準備運転中のファン制御部(32)は、高圧圧力センサ(23)の検出値(HPT)に基づいて庫外ファン(21)の運転と停止を制御する。具体的に、ファン制御部(32)は、高圧圧力センサ(23)の検出値(HPT)が所定の第1高圧基準値(例えば1800kPa)を上回る場合に庫外ファン(21)を起動させ、高圧圧力センサ(23)の検出値(HPT)が所定の第2高圧基準値(例えば1600kPa)を下回る場合に庫外ファン(21)を停止させる。準備運転では、冷凍サイクルの高圧圧力が第1高圧基準値から第2高圧基準値までの一定の範囲内に調節される。この実施形態では、開弁開度検出動作の前にこのような高圧制御を行うファン制御部(32)が、制御開度補正部(34)と共に開弁開度検出手段を構成している。
ステップ2(ST2)では、コントローラ(30)が、第1タイマの残り時間があるか否かを判定する第1タイマ判定を行う。コントローラ(30)は、第1タイマの残り時間がない場合には、準備運転の終了を判断して、第1タイマをリセットした後にステップ3(ST3)を行う。コントローラ(30)は、第1タイマの残り時間がある場合には、第1タイマの残り時間がなくなるまでステップ2(ST2)を繰り返し行う。
ステップ3(ST3)では、コントローラ(30)が、冷凍装置(10)にポンプダウン運転を行わせる。ステップ3(ST3)では、弁制御部(33)が膨張弁(13)を全閉に設定すると共に、例えば120秒タイマである第2タイマが起動される。ポンプダウン運転は、膨張弁(13)が閉じた時点から開始される。なお、圧縮機(11)の運転は準備運転から継続される。ポンプダウン運転では、膨張弁(13)が閉じた状態で圧縮機(11)の運転が行われ、庫内熱交換器(14)に冷媒が流入することなく、庫内熱交換器(14)の冷媒が圧縮機(11)に吸入されてゆく。ポンプダウン運転では、準備運転と同様に、冷凍サイクルの高圧圧力が、ファン制御部(32)によって第1高圧基準値から第2高圧基準値までの一定の範囲内に調節される。ステップ3(ST3)が終了するとステップ4(ST4)が行われる。
ステップ4(ST4)では、コントローラ(30)が、第2タイマの残り時間があるか否かを判定する第2タイマ判定を行う。コントローラ(30)は、第2タイマの残り時間がない場合には、冷凍装置(10)を異常停止させる必要があると判断して、ステップ6(ST6)に移行して、冷凍装置(10)を異常停止させる。一方、コントローラ(30)は、第2タイマの残り時間がある場合には、ステップ5(ST5)を行う。
ステップ5(ST5)では、ポンプダウン運転を終了させるか否かの判断が行われる。コントローラ(30)は、低圧圧力センサ(24)の計測値(LPT)が所定の第1低圧基準値(例えば−55kPa)以下になっている場合には、ポンプダウン運転の終了を判断し、第2タイマをリセットした後にステップ7(ST7)を行う。一方、コントローラ(30)は、低圧圧力センサ(24)の計測値(LPT)が所定の第1低圧基準値以下になっていない場合には、ステップ4(ST4)へ戻って、上記第2タイマ判定を行う。本実施形態の冷凍装置(10)は、第2タイマの残り時間がなくなるまでに、低圧圧力センサ(24)の計測値(LPT)が第1低圧基準値以下にならない場合に異常停止される。
ステップ7(ST7)からは、コントローラ(30)において、制御開度補正部(34)による開弁開度検出動作が開始される。ステップ7(ST7)では、制御開度補正部(34)が、圧縮機(11)を停止させると共に、庫外ファン(21)が運転状態であれば庫外ファン(21)を停止させる。なお、庫内ファン(22)の運転は継続される。また、ステップ7(ST7)では、制御開度補正部(34)が、所定の初期値(例えば50パルス)を制御パルス(EV)とするパルス信号を膨張弁(13)に出力して、膨張弁(13)の開度を調節する。これにより、膨張弁(13)のニードル(76)が僅かに上昇する。なお、初期値は、この膨張弁(13)の開弁開度(EV_Llim)の個体差によるばらつき範囲として想定された範囲の下限値(EV_Llim(A))に設定されている。ステップ7(ST7)が終了するとステップ8(ST8)で、例えば20秒タイマである第3タイマが起動される。
ステップ9(ST9)では、制御開度補正部(34)が、第3タイマの残り時間があるか否かを判定する第3タイマ判定を行う。制御開度補正部(34)は、第3タイマの残り時間がある場合には、ステップ10(ST10)、ステップ11(ST11)を順次行う。一方、制御開度補正部(34)は、第3タイマの残り時間がない場合には、ステップ13(ST13)を行う。
ステップ10(ST10)では、制御開度補正部(34)が、膨張弁(13)が開いているか否かを判断するための低圧閾値(Pjdg)を算出する。低圧閾値(Pjdg)は、以下に示す式1を用いて算出される。ステップ10(ST10)が終了するとステップ11(ST11)が行われる。
式1:Pjdg=Ref(RS)×F
上記式1において、Pjdgは低圧閾値、RSは吸込温度センサ(27)の計測値、Fは安全率(例えばF=0.5)を表している。また、Refは、温度から使用冷媒の飽和圧力をゲージ圧で求める関数である。上記式1を用いると、吸込温度センサ(27)の計測値(RS)の温度における飽和圧力に安全率を考慮した圧力が、低圧閾値として得られる。
ステップ11(ST11)では、膨張弁(13)が開いているか否か、つまり膨張弁(13)を冷媒が通過しているか否かの判定を行う判定動作(第2動作)が行われる。制御開度補正部(34)は、低圧圧力センサ(24)の計測値(LPT)が低圧閾値(Pjdg)を上回る場合に、膨張弁(13)が開いていると判断し、ステップ12(ST12)を行う。一方、制御開度補正部(34)は、低圧圧力センサ(24)の計測値(LPT)が低圧閾値(Pjdg)以下の場合には、膨張弁(13)が開いていないと判断し、ステップ9(ST9)へ戻る。
ステップ12(ST12)では、制御開度補正部(34)が、膨張弁(13)の現在の制御パルス(EV)の値を開弁開度(EV_Llim)として検出する。検出された開弁開度(EV_Llim)は、記憶部(35)に一時的に記憶される。ステップ12(ST12)が終了すると、ステップ16(ST16)が行われる。開弁開度検出動作はステップ12(ST12)で終了し、ステップ16(ST16)からは第1補正動作が開始される。
ステップ13(ST13)では、膨張弁(13)の現在の制御パルス(EV)が所定の上限値(Hlim)(例えばHlim=150パルス)を下回っている否かの判定が行われる。上限値(Hlim)は、開弁開度(EV_Llim)の個体差によるばらつき範囲として想定された範囲の上限値の値になっている。
ステップ13(ST13)において、制御開度補正部(34)は、現在の制御パルス(EV)が上限値(Hlim)以上の場合には、ステップ14(ST14)を行い、開弁開度検出動作を終了する。ステップ14(ST14)では、制御開度補正部(34)が、上限値(Hlim)の値を開弁開度(EV_Llim)として検出する。検出された開弁開度(EV_Llim)は、記憶部(35)に一時的に記憶される。開弁開度検出動作では、現在の制御パルス(EV)が所定の上限値(Hlim)に達すると、低圧圧力センサ(24)の計測値(LPT)が低圧閾値(Pjdg)以下であっても、膨張弁(13)が開状態になっていると判断される。
一方、ステップ13(ST13)において、制御開度補正部(34)は、現在の制御パルス(EV)が所定の上限値(Hlim)を下回っている場合には、膨張弁(13)がまだ開状態になっていないと判断して、ステップ15(ST15)を経てステップ8(ST8)へ戻る。ステップ15(ST15)では、制御開度補正部(34)が、膨張弁(13)の現在の制御パルス(EV)に所定の設定値(ΔEV)(例えばΔEV=20パルス)を加えた値を制御パルス(EV')とするパルス信号を膨張弁(13)に出力して、膨張弁(13)の開度を調節する開度増大動作(第1動作)を行う。開度増大動作後は、開度増大動作で出力されたパルス信号の制御パルス(EV')が膨張弁(13)の現在の制御パルス(EV)となる。
ステップ16(ST16)からは、上述したように、第1補正動作が行われる。ステップ16(ST16)では、制御開度補正部(34)が、下限指令値(EVL)を補正するための補正値(EV_adj)を算出する。補正値(EV_adj)は、以下に示す式2を用いて算出される。
式2:EV_adj=EV_Llim−EV_ave
上記式2において、EV_adjは補正値、EV_aveはこの冷凍装置(10)で使用している膨張弁(13)の開弁開度(EV_Llim)の想定値(例えばEV_ave=100)を表している。この実施形態の想定値には、開弁開度(EV_Llim)の個体差によるばらつき範囲として想定された範囲の上限値と下限値の平均値が用いられている。補正値(EV_adj)は、開弁開度(EV_Llim)よりも上記平均値(EV_ave)の方が大きい場合には負の値になる。式2によって算出された補正値(EV_adj)は、記憶部(35)に保存される。なお、記憶部(35)に以前に保存された補正値(EV_adj)が存在している場合には、記憶部(35)に新たな補正値(EV_adj)が上書き保存される。ステップ16(ST16)が終了すると、ステップ17(ST17)が行われる。
ステップ17(ST17)では、制御開度補正部(34)が、補正値(EV_adj)を用いて、下限指令値(EVL)を補正する。補正後の制御パルスの下限値(EVL')は、弁制御部(33)に設定されている下限値(EVL)に補正値(EV_adj)を加えた値になる。ステップ17(ST17)では、運転条件毎に各下限値(EVL)が補正される。ステップ17(ST17)が終了すると、第1補正動作が終了する。そして、第1動作が終了すると、圧縮機(11)が起動されると共に庫外ファン(21)が起動されて、通常運転である冷却運転が開始される。
続いて、第2補正動作について図6を参照しながら説明する。第2補正動作中は、弁制御部(33)による過熱度制御が中断される。
なお、この冷凍装置(10)では、庫内熱交換器(14)の出口の冷媒の過熱度(SH)を調節するにあたって、弁制御部(33)が下限指令値(EVL)を制御パルス(EV)とするパルス信号を出力して、強制的に膨張弁(13)の開度を絞る場合がある。第2補正動作は、例えば弁制御部(33)が下限指令値(EVL)を制御パルス(EV)とするパルス信号を出力した直後に行われる。
第2補正動作では、まずステップ21(ST21)において、制御開度補正部(34)が、膨張弁(13)の現在の制御パルス(EV)が下限指令値(EVL)になっているか否かの判定を行う。制御開度補正部(34)は、膨張弁(13)の現在の制御パルス(EV)が下限指令値(EVL)に等しくなる下限制御状態になっている場合には、ステップ22(ST22)を行う。一方、制御開度補正部(34)は、膨張弁(13)の現在の制御パルス(EV)が下限指令値(EVL)に等しくない場合には、例えば120秒タイマである第4タイマが起動中であればステップ23(ST23)で第4タイマを停止してリセットした後に、第2補正動作を終了する。第2補正動作が終了すると、弁制御部(33)による過熱度制御が再開される。
ステップ22(ST22)では、制御開度補正部(34)が、第4タイマがすでにスタートされているか否か、つまり第4タイマが起動中であるか否かの判定を行う。制御開度補正部(34)は、第4タイマがまだスタートされていない場合には、ステップ24(ST24)で第4タイマを起動させた後に、ステップ25(ST25)を行う。一方、制御開度補正部(34)は、第4タイマがすでにスタートされている場合には、ステップ24(ST24)を行うことなく、ステップ25(ST25)を行う。
ステップ25(ST25)では、制御開度補正部(34)が、低圧圧力センサ(24)の計測値(LPT)、入口温度センサ(25)の計測値、及び出口温度センサ(26)の計測値の読み込みを行うと共に、庫内熱交換器(14)の出口の冷媒の過熱度(SH)を算出する。制御開度補正部(34)は、入口温度センサ(25)の計測値と出口温度センサ(26)の計測値との差を上記過熱度(SH)として算出する。ステップ25(ST25)が終了するとステップ26(ST26)が行われる。
ステップ26(ST26)では、制御開度補正部(34)が、下限指令値(EVL)を開き側へ補正するか否かの判定を行う。制御開度補正部(34)は、低圧圧力センサ(24)の計測値(LPT)が所定の第2低圧基準値(例えば−60kPa)を下回るという第1−1条件と、ステップ25(ST25)で計算した冷媒の過熱度(SH)が所定の第1基準過熱度(例えば10℃)を上回るという第1−2条件の少なくとも一方が成立する場合に、下限指令値(EVL)を開き側へ補正する必要があると判断して、ステップ27(ST27)、ステップ28(ST28)を順次行う。一方、制御開度補正部(34)は、第1−1条件と第1−2条件とが両方とも成立しない場合には、ステップ29(ST29)を行う。第1−1条件と第1−2条件とは、下限制御状態で膨張弁(13)を通過する冷媒流量が所定の過少状態、つまり膨張弁(13)を通過する冷媒流量が適正な流量に比べて少ない状態になっているか否かを判定するための判定条件である。
ステップ27(ST27)では、制御開度補正部(34)が、以下に示す式3を用いて下限指令値(EVL)を補正する。また、ステップ28(ST28)では、制御開度補正部(34)が、以下に示す式4を用いて補正値(EV_adj)を補正する。補正後の補正値(EV_adj')は、記憶部(35)に上書き保存される。
式3:EVL'=EVL+E1
式4:EV_adj'=EV_adj+E1
上記式3において、EVL'は補正後の下限指令値、EVLは補正前の下限指令値、E1は第1補正開度(例えばE1=4パルス)を表している。上記式4において、EV_adj'は補正後の補正値、EV_adjは記憶部(35)に保存されている補正前の補正値を表している。なお、第1補正開度(E1)は、制御開度補正部(34)に予め設定されている。第1補正開度(E1)には設定値(ΔEV)よりも小さな値が用いられる。
ステップ28(ST28)が終了すると、第2補正動作が終了する。弁制御部(33)は、第2補正動作の終了後に過熱度制御を再開し、補正後の下限指令値(EVL')を制御パルスとするパルス信号を膨張弁(13)に出力して、膨張弁(13)の開度を開き側へ調節する。膨張弁(13)の開度が調節されると、膨張弁(13)を通過する冷媒流量が増加するので、冷凍サイクルの低圧圧力が上昇すると共に、庫内熱交換器(14)の出口の冷媒の過熱度が減少する。
ステップ29(ST29)では、制御開度補正部(34)が、ステップ24(ST24)で起動した第4タイマの残り時間があるか否かを判定する第4タイマ判定を行う。ステップ29(ST29)が終了するとステップ30(ST30)が行われる。制御開度補正部(34)は、第4タイマの残り時間がない場合には、ステップ30(ST30)に移行する。一方、制御開度補正部(34)は、第4タイマの残り時間がある場合には、第2補正動作を終了する。
ステップ30(ST30)では、制御開度補正部(34)が、下限指令値(EVL)を閉じ側へ補正するか否かの判定を行う。制御開度補正部(34)は、ステップ25(ST25)で計算した冷媒の過熱度(SH)が所定の第2基準過熱度(例えば0℃)を下回るという第2条件が成立する場合に、圧縮機(11)に吸入される冷媒が湿り状態になっているために、下限指令値(EVL)を閉じ側へ補正する必要があると判断して、ステップ31(ST31)、ステップ32(ST32)を順次行う。一方、制御開度補正部(34)は、第2条件が成立しない場合には、そのまま第2補正動作を終了する。第2条件とは、下限制御状態で膨張弁(13)を通過する冷媒流量が所定の過多状態、つまり膨張弁(13)を通過する冷媒流量が適正な流量に比べて多い状態になっているか否かを判定するための判定条件である。
ステップ31(ST31)では、制御開度補正部(34)が、以下に示す式5を用いて下限指令値(EVL)を補正する。また、ステップ32(ST32)では、制御開度補正部(34)が、以下に示す式6を用いて補正値(EV_adj)を補正する。補正後の補正値(EV_adj')は、記憶部(35)に上書き保存される。
式5:EVL'=EVL−E2
式6:EV_adj'=EV_adj−E2
上記式5において、EVL'は補正後の下限指令値、EVLは補正前の下限指令値、E2は第2補正開度(例えばE2=2パルス)を表している。上記式6において、EV_adj'は補正後の補正値、EV_adjは記憶部(35)に保存されている補正前の補正値を表している。なお、第2補正開度(E2)は、制御開度補正部(34)に予め設定されている。第2補正開度(E2)には第1補正開度(E1)よりも小さな値が用いられる。
ステップ32(ST32)が終了すると、第2補正動作が終了する。弁制御部(33)は、第2補正動作の終了後に過熱度制御を再開し、補正後の下限指令値(EVL')を制御パルスとするパルス信号を膨張弁(13)に出力して、膨張弁(13)の開度を閉じ側へ調節する。膨張弁(13)の開度が調節されると、膨張弁(13)を通過する冷媒流量が減少するので、庫内熱交換器(14)の出口の冷媒の過熱度が上昇し、圧縮機(11)が損傷しやすい湿り状態が回避される。なお、制御開度補正部(34)では、第2補正動作の終了から所定時間(例えば1分)が経過すると、再び第2補正動作が開始される。
−実施形態の効果−
本実施形態では、膨張弁(13)が閉状態から開状態に変化するときの開度の指令値である開弁開度が検出され、検出した開弁開度を用いて膨張弁(13)の制御が行われるので、膨張弁(13)の制御にその膨張弁(13)の開度特性が反映される。つまり、膨張弁(13)の制御が膨張弁(13)の個体差を考慮して行われる。従って、膨張弁(13)を通過する冷媒流量に膨張弁(13)の個体差が反映されるので、膨張弁(13)による流量制御を適正化することができる。
また、本実施形態では、開弁開度検出動作を行う際の冷凍サイクルの高圧圧力が一定化されるようにしている。ここで、開弁開度検出動作の前に冷凍サイクルの高圧圧力を調節しない場合には、例えば凝縮器に送る空気の温度などの運転条件によって、開弁開度検出動作を行う際の冷凍サイクルの高圧圧力が変化するので、運転条件によって膨張弁(13)に作用する冷媒の圧力が変化する。このため、膨張弁(13)が開状態に変化するときの低圧側冷媒の状態の変化の程度が運転条件によって一定にならず、開弁開度を正確に検出することが困難になる。これに対して、本実施形態では、開弁開度検出動作を行う際の冷凍サイクルの高圧圧力が一定化されるので、運転条件によらず、膨張弁(13)に作用する冷媒の圧力が一定になる。従って、膨張弁(13)が開状態に変化するときの低圧側冷媒の状態の変化の程度が運転条件によらず一定になるので、開弁開度を正確に検出することができる。
また、本実施形態では、開弁開度を検出するのに、温度に比べて変化が早い圧力の値が用いられている。このため、開弁開度検出動作の時間を比較的短い時間で行うことができる。
また、本実施形態では、開度の指令値が上限値に達すると、低圧側冷媒の状態に拘わらず、上限値が開弁開度として検出される。開弁開度は、必ず開弁開度の個体差によるばらつき範囲として想定された範囲を超えない値になる。従って、膨張弁(13)が開状態に変化するときの低圧側冷媒の状態の変化が想定しているような変化をしない場合であっても、開弁開度の値が、開弁開度のばらつき範囲として想定された範囲を超えて大きくなりすぎることを防止することができる。
また、本実施形態では、制御開度補正部(34)が開弁開度を用いて下限指令値を補正するので、下限指令値に膨張弁(13)の開度特性が反映される。ここで、庫内の設定温度の範囲が広いコンテナ用冷凍装置(10)では、庫内の設定温度が比較的高い条件(例えば30℃)に合わせて膨張弁(13)の規格を決定するのが一般的である。このため、庫内の設定温度が低い条件(例えば−30℃)に設定される場合に、制御パルス(EV)の下限値付近で膨張弁(13)の開度が制御される。従って、下限指令値を補正しない従来の冷凍装置(10)では、例えば膨張弁(13)が開度の指令値に対して開き側に開度がずれるものである場合に、圧縮機(11)の吸入冷媒の過熱度が目標過熱度を下回るときに、開度の指令値が下限指令値になるまで膨張弁(13)の開度を絞っても、制御上で想定する開度まで膨張弁(13)の実際の開度を絞りきることができない。このため、膨張弁(13)を通過する冷媒流量が適正な流量よりも多くなり、圧縮機(11)の吸入冷媒が湿り状態になることを解消することができないおそれがある。これに対して、本実施形態では、下限指令値に膨張弁(13)の開度特性が反映され、下限指令値が膨張弁(13)の個体差を考慮した値になる。このため、圧縮機(11)の吸入冷媒の過熱度が減少したときに、制御上で想定する開度、又はそれに近い開度まで膨張弁(13)を絞ることができるようになる。従って、膨張弁(13)を通過する冷媒流量が適正な流量よりも多くなることを抑制することができるので、膨張弁(13)を絞りきることができないために圧縮機(11)の吸入冷媒が湿り状態になることを抑制することができる。
また、本実施形態では、下限制御状態で実際に膨張弁(13)を通過する冷媒流量を見て、開弁開度によって補正された下限指令値が適正な値であるか否かを判定した上で、補正が必要な場合には下限指令値が再補正される。従って、開弁開度によって補正された下限指令値をさらに適正な値に補正することができるので、下限制御状態での膨張弁(13)による流量制御をさらに適正化することができる。
また、本実施形態では、下限制御状態で実際に膨張弁(13)を通過する冷媒流量が制御上の適正な流量よりも少ないと判断した場合には、開弁開度を用いて補正された下限指令値よりも大きな値に下限指令値が補正される。従って、開弁開度を用いて補正された下限指令値が適正な値よりも小さくなっている場合に、下限指令値を適正な値に近づけることができる。
また、本実施形態では、下限制御状態で実際に膨張弁(13)を通過する冷媒流量が制御上の適正な流量よりも多いと判断した場合には、開弁開度を用いて補正された下限指令値よりも小さな値に下限指令値が補正される。従って、開弁開度を用いて補正された下限指令値が適正な値よりも大きくなっている場合に、下限指令値を適正な値に近づけることができる。
−実施形態の変形例−
実施形態の変形例について説明する。この変形例では、制御開度補正部(34)が、所定の条件が成立する場合にだけ、冷凍装置(10)の起動時に開弁開度検出動作を行うように構成されている。
具体的に、この冷凍装置(10)には、図7に示すように、冷凍装置(10)の起動時に開弁開度検出動作を行うか否かをユーザーが選択することができる選択ボタン(36)が設けられている。制御開度補正部(34)は、開弁開度検出動作の実行を選択する選択ボタン(36)の入力がある場合に、冷凍装置(10)の起動時に開弁開度検出動作を行うように構成されている。つまり、上記所定の条件とは、開弁開度検出動作の実行を選択する選択ボタン(36)の入力があるという条件である。
制御開度補正部(34)は、開弁開度検出動作の実行を選択する選択ボタン(36)の入力がある場合には、記憶部(35)に保存されている補正値(EV_adj)を消去する。そして、制御開度補正部(34)は、準備運転とポンプダウン運転後に、開弁開度検出動作及び第1補正動作を実行する。開弁開度検出動作では、開弁開度(EV_Llim)が検出される。第1補正動作では、開弁開度検出動作で検出された開弁開度(EV_Llim)を用いて下限指令値(EVL)が補正されると共に、開弁開度(EV_Llim)を用いて算出された補正値(EV_adj)が保存される。そして、第1補正動作が終了すると、弁制御部(33)が過熱度制御を実行する。
一方、コントローラ(30)では、開弁開度検出動作の実行を選択する選択ボタン(36)の入力がない場合には、制御開度補正部(34)が、冷凍装置(10)の起動後に第1補正動作だけを行う。第1補正動作では、記憶部(35)に保存されている補正値(EV_adj)を用いて、下限指令値(EVL)が補正される。そして、第1補正動作が終了すると、弁制御部(33)が過熱度制御を実行する。
この変形例では、冷凍装置(10)の起動時に選択ボタン(36)の入力の有無によって、開弁開度検出動作の実行の有無が決定されるようにしている。従って、開弁開度検出動作の実行によって、冷凍装置(10)の起動の度に通常運転の開始までの時間が長くなることを防止することができる。
また、この変形例では、冷凍装置(10)の起動時に開弁開度検出動作を実行しない場合でも、記憶部(35)に保存されている補正値(EV_adj)を用いて、下限指令値(EVL)が補正される。従って、冷凍装置(10)の起動時に開弁開度検出動作を実行しない場合でも、下限指令値(EVL)に膨張弁(13)の開度特性を反映させて膨張弁(13)による流量制御を適正化することができる。
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
上記実施形態について、制御開度補正部(34)が、膨張弁(13)の実際の開度が制御パルス(EV)によって決定される制御上の開度に近づくように、制御パルス(EV)の下限値から最大値までの全制御領域で、開弁開度(EV_Llim)を用いて制御パルス(EV)を補正するように構成されていてもよい。
また、上記実施形態について、開弁開度検出動作や第1補正動作は、冷凍装置(10)を製作する工場で冷凍装置(10)を出荷する前に行ってもよい。
また、上記実施形態について、制御開度補正部(34)が、補正値(EV_adj)ではなく開弁開度(EV_Llim)を記憶するように構成されていてもよい。
また、上記実施形態について、冷凍装置(10)が、冷凍サイクルの高圧が冷媒の臨界圧力よりも高い値に設定される超臨界サイクルを行うように構成されていてもよい。その場合、庫外熱交換器(12)及び庫内熱交換器(14)は、その一方がガスクーラとして動作し、他方が蒸発器として動作する。
また、上記実施形態について、冷凍装置(10)が、コンテナ用冷凍装置以外の他の種類の冷凍装置(例えば空気調和装置)であってもよい。
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
以上説明したように、本発明は、開度可変の膨張弁が設けられた冷媒回路を備える冷凍装置について有用である。
本発明の実施形態に係る冷凍装置の概略構成図である。 本発明の実施形態に係る膨張弁の縦断面図である。 本発明の実施形態に係る膨張弁の流量特性を表す図表である。 本発明の実施形態に係る弁制御部に設定されている下限指令値の設定状況を表す図表である。 本発明の実施形態に係る冷凍装置における開弁開度検出動作及び第1補正動作の流れを表すフローチャートである。 本発明の実施形態に係る冷凍装置における第2補正動作の流れを表すフローチャートである。 本発明の実施形態の変形例に係る冷凍装置の概略構成図である。
10 冷凍装置
11 圧縮機
12 庫外熱交換器
13 膨張弁
14 庫内熱交換器
20 冷媒回路
21 庫外ファン
22 庫内ファン
30 コントローラ
31 圧縮機制御部
32 ファン制御部(開弁開度検出手段)
33 弁制御部(弁制御手段)
34 制御開度補正部(開弁開度検出手段)

Claims (13)

  1. 圧縮機(11)と開度可変の膨張弁(13)とが設けられて冷凍サイクルを行う冷媒回路(20)と、
    上記膨張弁(13)の開度を制御する弁制御手段(33)とを備えている冷凍装置であって、
    上記膨張弁(13)を閉じた状態で上記圧縮機(11)を運転させるポンプダウン運転後に、該圧縮機(11)を停止した状態で上記膨張弁(13)に出力する開度の指令値を徐々に増大させながら、該膨張弁(13)と圧縮機(11)の吸入側との間の低圧側冷媒の状態の変化に基づいて該膨張弁(13)が開状態になっているか否かの判定を行うことによって、該膨張弁(13)が閉状態から開状態に変化するときの開度の指令値である開弁開度を検出する開弁開度検出動作を行う開弁開度検出手段(32,34)を備え、
    上記弁制御手段(33)は、上記開弁開度検出動作で検出した開弁開度を用いて膨張弁(13)の制御を行うことを特徴とする冷凍装置。
  2. 請求項1において、
    上記開弁開度検出手段(32,34)は、上記ポンプダウン運転の際に冷凍サイクルの高圧圧力を一定の範囲内に調節することを特徴とする冷凍装置。
  3. 請求項1又は2において、
    上記ポンプダウン運転の前に、上記膨張弁(13)を開いた状態で圧縮機(11)を運転させながら、上記開弁開度検出手段(32,34)が冷凍サイクルの高圧圧力を一定の範囲内に調節する準備運転が行われることを特徴とする冷凍装置。
  4. 請求項1乃至3の何れか1つにおいて、
    上記開弁開度検出手段(32,34)は、上記低圧側冷媒の圧力が所定の低圧閾値を超えるときの開度の指令値を上記開弁開度として検出することを特徴とする冷凍装置。
  5. 請求項4において、
    上記開弁開度検出手段(32,34)は、所定の上限値に上記開度の指令値が達すると、上記低圧側冷媒の圧力が上記低圧閾値以下であっても、該上限値を上記開弁開度として検出することを特徴とする冷凍装置。
  6. 請求項1乃至5の何れか1つにおいて、
    上記開弁開度検出手段(32,34)は、上記開弁開度検出動作の際に、上記開度の指令値を所定の設定値だけ増大させる第1動作と、上記低圧側冷媒の状態の変化に基づいて該膨張弁(13)が開状態になっているか否かを判定する第2動作とを、該第2動作で該膨張弁(13)が開状態になっていることを検出するまで順番に繰り返し行うことによって、上記開弁開度を検出することを特徴とする冷凍装置。
  7. 請求項1乃至6の何れか1つにおいて、
    上記弁制御手段(33)では、該弁制御手段(33)に予め設定された下限指令値以上の範囲で上記開度の指令値が決定される一方、
    上記開弁開度検出手段(32,34)は、上記開弁開度を用いて上記下限指令値を補正するように構成されていることを特徴とする冷凍装置。
  8. 請求項7において、
    上記開弁開度検出手段(32,34)では、開弁開度の想定値が設定され、上記開弁開度から該想定値を引いた値が補正値として算出されると共に、上記弁制御手段(33)に予め設定された下限指令値に該補正値を加えることによって補正後の下限指令値が算出されることを特徴とする冷凍装置。
  9. 請求項7又は8において、
    上記開弁開度検出手段(32,34)は、対象空間の温度調節を行う通常運転中に上記開度の指令値が下限指令値に等しくなる下限制御状態で、膨張弁(13)を通過する冷媒流量に関する所定の判定条件が成立する場合に上記開弁開度を用いて補正された下限指令値を再補正することを特徴とする冷凍装置。
  10. 請求項9において、
    上記開弁開度検出手段(32,34)は、上記下限制御状態で上記膨張弁(13)を通過する冷媒流量が所定の過少状態になる第1条件が上記判定条件として成立する場合に、上記開弁開度を用いて補正された下限指令値を大きな値に再補正することを特徴とする冷凍装置。
  11. 請求項9又は10において、
    上記開弁開度検出手段(32,34)は、上記下限制御状態で上記膨張弁(13)を通過する冷媒流量が所定の過多状態になる第2条件が上記判定条件として成立する場合に、上記開弁開度を用いて補正された下限指令値を小さな値に再補正することを特徴とする冷凍装置。
  12. 請求項1乃至11の何れか1つにおいて、
    上記開弁開度検出手段(32,34)は、所定の条件が成立する場合にだけ、冷凍装置(10)の起動時に上記開弁開度検出動作を行うように構成されていることを特徴とする冷凍装置。
  13. 請求項9において、
    上記開弁開度検出手段(32,34)は、所定の条件が成立する場合にだけ、冷凍装置(10)の起動時に上記開弁開度検出動作を行うように構成される一方、
    上記開弁開度検出手段(32,34)は、該弁制御手段(33)に予め設定された下限指令値と補正後の下限指令値との差を補正値として記憶する記憶部(35)を備え、冷凍装置(10)の起動時に上記開弁開度検出動作を実行しない場合には、該記憶部(35)に記憶されている補正値を用いて上記下限指令値を補正することを特徴とする冷凍装置。
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